説明

赤外線カメラ調整方法及び赤外線カメラ調整器具

【課題】赤外線カメラ内のパラメータ、または、複数の赤外線カメラ間の関係を表すカメラ間パラメータ、あるいは、これらを同時に計測する場合のいずれにおいても有効に用いることができる赤外線カメラ調整方法を提供する。
【解決手段】中乃至遠赤外線の反射率が50%未満である輻射材料からなる輻射面1aと中乃至遠赤外線の反射率が50%以上である反射材料からなる平滑面である反射面1bとが表面部に存在しこれら2つの面1a,1bが所定の模様を構成して配置されているターゲットボード1を用いて、赤外線カメラ3の写角内にターゲットボード1を配置し、赤外線カメラ3により撮影される反射面1bには水平線よりも上方が反射されるとともに地上の物体が映り込まない状態とし、赤外線カメラ3により撮影されるターゲットボード1上の所定の模様に基づいて、赤外線カメラ3の位置、または、方向の調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中乃至遠赤外線領域の映像を用いるステレオ映像計測において、2つの赤外線カメラのキャリブレーション(位置及び方向の調整)を行うための赤外線カメラ調整方法及び赤外線カメラ調整器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夜間に道路上等の障害物の検出や位置の同定を行うには、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、中乃至遠赤外線帯域(波長4μm乃至13μm程度)用の赤外線カメラを2台用いて、ステレオ計測を行うことが有効である。
【0003】
このようなステレオ計測においては、2台の赤外線カメラを用いるため、各赤外線カメラのレンズ歪やレンズの焦点距離などのカメラ内パラメータや、各赤外線カメラ間の位置関係(距離や向き)を表すカメラ間パラメータを正確に計測して、キャリブレーションを行うことが重要である(論文によっては、カメラ内パラメータはカメラ内部パラメータ、カメラ間パラメータはカメラ外部パラメータと呼ばれる)。
【0004】
このような、ステレオ計測における2台のカメラのキャリブレーションの方法として、特許文献3には、ターゲット板に参照点を印刷したキャリブレーションボードを用いる方法が記載されている。また、Roger Y.Tsai等により提案されている方法(Roger Y.Tsai, "A Versatile Camera Calibration Technique for High-Accuracy 3D Machine Metrology Using Off-the Shelf TV Cameras and Lenses", IEEE J.Robotics and Automation, Vol. RA-3, No4, pp.323-344, 1987)も、同様の方法である。さらに、特許文献4には、キャリブレーション用の立体に市松模様を印刷したものを用いる方法が記載されている。
【0005】
しかし、これらの方法は、計測に可視光を用いることを前提としており、これらの方法をそのまま中乃至遠赤外線を用いる計測に適用することは困難である。
【0006】
特許文献5には、中乃至遠赤外線用の赤外線カメラと、可視光用のカメラとの2台のカメラの写角を重ね合わせて使用することが、構造物のひび割れの検出に有効であることが記載されている。さらに、この特許文献5には、カメラ内及びカメラ間のパラメータキャリブレーションについても記載されている。この方法においては、レンズ歪の特性などは、予め計測されており、さらに、2台のカメラ間の位置関係も既知とされている。
【0007】
この方法においては、赤外線帯域において、簡便に高い精度でキャリブレーションを行うことはできない。また、レンズ中心のずれや、受光素子の傾きも含めたカメラ系として考えた場合には、撮影された映像に基づいて、2台のカメラ間の位置関係をキャリブレーションするほうが、正確なキャリブレーションが行えると考えられる。
【0008】
このようなキャリブレーションを行うには、2台のカメラにより撮影された映像中における対応点が特定できれば、Roger Y.Tsai等により提案されている方法により計算できる。しかし、赤外線帯域において、十分な精度の計測ができるターゲットパターンが存在しないため、高精度のキャリブレーションができないという問題がある。
【0009】
特許文献6には、ハーフミラーにより分光して2台のカメラで撮影する装置が記載されている。しかし、撮像面の素子サイズは、カメラごとに異なり、可視光と遠赤外線では波長が大きく違いうため収差が発生し、同じレンズの特性(歪や焦点距離など)として扱うと、誤差が生じる。はやり、高精度のキャリブレーションを行うには、実際に撮影された映像を用いる必要がある。
【0010】
【特許文献1】特開2005−234694公報
【特許文献2】特開2001−344597公報
【特許文献3】特開2001−264037公報
【特許文献4】特開2002−350131公報
【特許文献5】特開2005−338359公報
【特許文献6】特開平10−73412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、中乃至遠赤外線帯域(波長4μm乃至13μm)においては、紙や木材、プラスチックのような可視光を乱反射する物体は、赤外線放射を行うため、赤外線の光源となる。この性質を有効に使うことで、夜間において赤外線カメラが使用可能となっている。光源としての明るさは、温度に比例するので、塗料を塗ったとしても、塗料及び母材ともに赤外線の光源となる。もしくは、塗料が薄い場合には、母材からの赤外線がそのまま透過する。
【0012】
そのため、ターゲットボード上に塗料により模様を描いても、赤外線カメラによって撮影した映像においては、温度分布にかくれて模様は見えなくなってしまい、あるいは、見えたとしても、映像処理に十分な鮮明な映像を得ることができない。
【0013】
ここで、ターゲット板に温度が高い部分と低い部分をつくることにより、模様を描くことが考えられる。しかし、温度分布は、塗料と違い、周囲に伝播してにじんでしまうため、映像処理に十分な鮮明な映像を得ることはできない。このため、ターゲット板やターゲット立体を用いた方式では、高精度のキャリブレーションを行うことができなかった。
【0014】
このような方法の一例が、橋本謙太郎らによって提案されている(橋本謙太郎、高松淳、小川原光一、池内克史「赤外線映像のステレオ処理に基づく手の形状推定」第19回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2001, pp.1283-1284, 2001年9月))。この方法は、板状の母材に豆電球を取り付け、豆電球の発熱部分をマーカとする方法である。
【0015】
しかし、この方法でも、母材に熱が伝わって滲みが発生する点、豆電球の形状が高さを持ち、真球でないことや、製品によるばらつきがあることにより、斜めから撮影した時には、撮影された映像中において映像の中心と豆電球の中心とが同じ位置に見えない場合があることがあり、可視光による計測に比較して、精度が低くなるという問題があった。
【0016】
さらに、特許文献2に記載されたキャリブレーション方法を用いる場合には、マーカのIDとなる記号を描く場合もあるが、IDを描く際には、豆電球では、自由な形状を描けず、自動化部分の実現が困難となってしまう問題もあった。
【0017】
なお、以上の従来の技術の説明では、カメラ内のパラメータ(ひずみ等)及びカメラ間のパラメータを同時に推定することを示したが、ステレオ計測を2台のカメラではなく、1台のカメラで実現するための方法が、特開平10−239054公報に記載されている。
【0018】
しかし、この場合にも、カメラ内の歪パラメータを事前に計測しておく必要がある。この場合のように、カメラ内の歪などのカメラパラメータだけを計測する必要がある場合にも、Roger Y.Tsai等により提案されている方法を用いるが、有効なターゲット板が必要となる問題点については同様である。このように、カメラ内のパラメータだけ、及び、カメラ間のパラメータだけを求める場合にも、高い精度で計測できるターゲットボードが必要になる。
【0019】
そこで、本発明は、前記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、赤外線カメラ内のパラメータ、または、複数の赤外線カメラ間の関係を表すカメラ間パラメータ、あるいは、これらを同時に計測する場合のいずれにおいても有効に用いることができる赤外線カメラ調整方法及び赤外線カメラ調整器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明は、以下のいずれかの構成を有するものである。
【0021】
〔構成1〕
本発明に係る赤外線カメラ調整方法は、中乃至遠赤外線の反射率が50%未満である輻射材料からなる輻射面と中乃至遠赤外線の反射率が50%以上である反射材料からなる平滑面である反射面とが表面部に存在しこれら2つの面が所定の模様を構成して配置されているターゲットボードを用いて、赤外線カメラの写角内にターゲットボードを配置し、赤外線カメラにより撮影される反射面には水平線よりも上方が反射されるとともに地上の物体が映り込まない状態とし、赤外線カメラにより撮影されるターゲットボード上の所定の模様に基づいて、赤外線カメラのカメラ内パラメータ、もしくは、複数カメラのカメラ間パラメータの調整を行うことを特徴とするものである。
【0022】
〔構成2〕
本発明に係る赤外線カメラ調整器具は、中乃至遠赤外線の反射率が50%未満である輻射材料からなる輻射面と中乃至遠赤外線の反射率が50%以上である反射材料からなる平滑面である反射面とが表面部に存在しこれら2つの面が模様を構成して配置されているターゲットボードと、ターゲットボードを保持するボード保持具と、赤外線カメラを保持するカメラ保持具とを備え、ボード保持具及びカメラ保持具は、ターゲットボード及び赤外線カメラの位置関係を、赤外線カメラの写角内にターゲットボードが存在し、赤外線カメラにより撮影される反射面には水平線よりも上方が反射されるとともに地上の物体が映り込まない位置関係として、ターゲットボード及び赤外線カメラを保持することを特徴とするものである。
【0023】
本発明において、輻射材料は、赤外線の光源となる材料であり、紙、プラスチック、セラミックのような物質である。また、本発明において、反射材料は、例えば、金属であり、平滑面とすることにより、金属鏡面となっていることが好ましい。
【0024】
ターゲットボードの構造としては、母材を輻射材料により形成し、この母材上に反射材料の薄膜による鏡面によって模様を描いたものとすることができる。
【0025】
また、ターゲットボードの構造としては、母材を反射材料により形成し、この母材上に輻射材料の薄膜によって模様を描いたものとすることができる。
【0026】
ターゲットボードは、赤外線カメラの写角の端など、本来の計測に問題が発生しない位置に配置することが好ましい。また、ターゲットボード及び赤外線カメラは、ロボット装置や車両のシャーシに保持させ、互いの位置関係が変化しないように設置してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る赤外線カメラ調整方法及び赤外線カメラ調整器具においては、輻射材料からなる輻射面は、赤外線の光源となり、周囲構造の温度や周りの気温と同様の温度となり、その温度に相当する赤外線を放射する。そして、反射材料からなる平滑面である反射面には、水平線よりも上方が反射されるので、高空の大気(マイナス数十度)及び宇宙からの放射が合わさった赤外線、もしくは、雲の温度(マイナス数十度、少なくとも地表付近の気温よりも十分に低い温度)に相当する非常に少ない赤外線が反射される。
【0028】
赤外線カメラにより撮影すると、赤外線の光量のコントラストが明確な境目をもって所定の模様に対応して変化した映像が得られる。したがって、可視光を用いる場合と同様の高精度なキャリブレーションを行うことができる。
【0029】
また、本発明におけるターゲットボードにおいては、所定の模様は自由な模様とすることができ、複数のマーカの自動識別等にも有効なターゲットを作成することができる。
【0030】
すなわち、本発明は、赤外線カメラ内のパラメータ、または、複数の赤外線カメラ間の関係を表すカメラ間パラメータ、あるいは、これらを同時に計測する場合のいずれにおいても有効に用いることができる赤外線カメラ調整方法及び赤外線カメラ調整器具を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る赤外線カメラ調整方法を実施するための本発明に係る赤外線カメラ調整器具の構成を示す斜視図である。
【0033】
本発明に係る赤外線カメラ調整器具は、図1に示すように、ターゲットボード1を有している。このターゲットボード1は、中乃至遠赤外線(波長4μm乃至13μm程度)の反射率が50%未満である輻射材料からなる輻射面1aと、中乃至遠赤外線の反射率が50%以上である反射材料からなる平滑面である反射面1bとが表面部に存在し、これら2つの面1a,1bが所定の模様を構成して配置されている。
【0034】
輻射材料は、赤外線の光源となる材料であり、例えば、紙、プラスチック、セラミックのような物質である。また、反射材料は、例えば、金属であり、平滑面とすることにより、金属鏡面となっていることが好ましい。
【0035】
ターゲットボード1は、ボード保持具2によってを保持される。また、この赤外線カメラ調整器具は、赤外線カメラ3を保持するカメラ保持具4を備えている。
【0036】
ボード保持具2及びカメラ保持具4は、ロボット装置や車両のシャーシ5に取付けられており、ターゲットボード1及び赤外線カメラ3の位置関係を、所定の位置関係に保持する。すなわち、ターゲットボード1及び赤外線カメラ3の位置関係は、赤外線カメラ3の写角内にターゲットボード1が存在し、かつ、赤外線カメラ3により撮影される反射面1bには、水平線よりも上方(すなわち、空や雲)が反射されるとともに、地上の物体が映り込まない位置関係となっている。
【0037】
なお、ターゲットボード1は、赤外線カメラの写角の端など、本来の計測に問題が発生しない位置に配置することが好ましい。
【0038】
本発明に係る赤外線カメラ調整方法は、前述のようなターゲットボード1を用いて行う。そして、この調整方法においては、赤外線カメラ3の写角内にターゲットボード1を配置し、赤外線カメラ3により撮影される反射面1bには、水平線よりも上方(すなわち、空や雲)が反射されるとともに、地上の物体が映り込まない状態とする。
【0039】
次に、赤外線カメラ3により撮影されるターゲットボード1上の所定の模様に基づいて、赤外線カメラ3の位置、または、方向等の調整を行う。
【0040】
例えば、ステレオ計測等のために、赤外線カメラ3が複数台ある場合には、各赤外線カメラにより同一のターゲットボード1を撮影し、各赤外線カメラにより撮影された映像において、ターゲットボード1における対応する箇所(模様)が同一位置(例えば、映像の中央)となるように各赤外線カメラの方向を調整すれば、各赤外線カメラの光軸は、ターゲットボード1上の所定の箇所において交差していることになる。このようにして、ターゲットボード1上の模様に基づいて、種々のキャリブレーションができる。
【0041】
また、複数の赤外線カメラにより同一のターゲットボード1を撮影し、各赤外線カメラにより撮影された映像において、ターゲットボード1における対応する箇所(模様)が同一の大きさとなるように各赤外線カメラの撮影倍率を調整すれば、各赤外線カメラの撮影倍率は、少なくともターゲットボード1の位置において同一であることになる。
【0042】
図2は、本発明に係る赤外線カメラ調整器具におけるターゲットボードの第1の構成を示す斜視図である。
【0043】
本発明に係る赤外線カメラ調整器具において、ターゲットボード1の構造としては、図2に示すように、母材を輻射材料により形成し、この母材上に反射材料の薄膜による鏡面によって模様を描いたものとすることができる。
【0044】
この場合には、例えば、エポキシ樹脂製の母材6に、30μm乃至50μm銅箔7で模様を描き、銅箔7部分を金でコーティングすることによって構成できる。
【0045】
実施例として、400mm×300mm×2mm(厚)の母材6に、100mmの格子で市松模様をつくり、これを赤外線カメラ1台で撮影し、赤外線カメラの内部パラメータ(赤外線カメラの歪など)を計測した。その後、2台から共通して見られるように設置した別のキャリブレーションボードを用いて、赤外線カメラ2台の相対的な位置関係のパラメータをキャリブレーションした。
【0046】
銅箔7は、アルミ等、赤外線を反射する金属に代えてもよく、厚さは1μm以上、1mm以下が望ましい。これ以上薄いと、赤外線が透過してしまい、厚すぎると、斜めから見た場合に誤差となるためである。また、さびを防ぐため、金など赤外線を反射し、耐食性の高い金属でコーティングすることが望ましい。1μm厚の金箔でもよいのであるが、コストや加工の面から、銅箔などをエッチング等で十分な厚みをもった金属箔として用意し、その上に金を蒸着コーティングすることが効率的である。
【0047】
図3は、本発明に係る赤外線カメラ調整器具におけるターゲットボードの第2の構成を示す斜視図である。
【0048】
また、本発明に係る赤外線カメラ調整器具において、ターゲットボード1の構造としては、図3に示すように、母材を反射材料により形成し、この母材上に輻射材料の薄膜によって模様を描いたものとすることができる。
【0049】
この場合には、例えば、板紙8の上に3μm乃至10μm厚のアルミ箔9を張り合わせて母材とし、印刷によって顔料10の模様を表面に描いた。印刷で模様が描けるため、短時間で容易に、望みの図柄の模様を描くことが可能である。母材上の鏡面となる金属の厚みは、1μm以上とし、母材全体がアルミの板であってもよい。
【0050】
実施例として、ターゲットボード1の平面精度を上げるために、プラスチックの板に貼り付けた。母材はフレキシブルであるため、立体のターゲットを用いる場合にも、望む形状の立体の表面に貼り付けるだけでよく、金属板を用いる場合に比べ、目的に応じた形状に作成できる。
【0051】
400mm×300mmの板紙8上のアルミ箔9に、100mmの格子で市松模様をつくり、12mm厚の部材に貼り付けてターゲットボード1とした。これを赤外線カメラ1台で撮影し、赤外線カメラの内部パラメータ(赤外線カメラの歪など)を計測した。その後、2台から共通して見られるように設置した別のターゲットボードを用いて、赤外線カメラ2台の相対的な位置関係のパラメータをキャリブレーションした。
【0052】
模様の印刷については、印刷の顔料が薄いと赤外線が透過し、コントラストが下がってしまうため、厚みを持たせるために、多色ずりで何色か重ね塗りすることが望ましい。
【0053】
模様の印刷は、真白や真黒ではなく、中間色をドットの塗り分けで表現し、表面に微細な凹凸を形成し、赤外線の輻射率を挙げることにより、高いコントラストを得られるようになる。
【0054】
図4は、本発明に係る赤外線カメラ調整器具の構成の他の例を示す斜視図である。
【0055】
キャリブレーションボード1は、赤外線カメラ3から常時見える位置に保持すると、赤外線カメラ3の写角の一部が遮られることになる。
【0056】
そこで、図4に示すように、ボード保持具2は、図4中矢印Aで示すように、ターゲットボード1を回転させ、あるいは、移動させる機能を有するものとすれば、ターゲットボード1を起き上がらせて赤外線カメラ3の写角内において上空が映り込む姿勢に保持しキャリブレーションが行える状態と、ターゲットボード1を寝かせるなどにより赤外線カメラ3の写角の外に留まらせる状態とを、切り替えることができる。
【0057】
この場合には、キャリブレーションを行わないときには、赤外線カメラ3の写角全体を、種々の計測のために活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る赤外線カメラ調整方法を実施するための本発明に係る赤外線カメラ調整器具の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る赤外線カメラ調整器具におけるターゲットボードの第1の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る赤外線カメラ調整器具におけるターゲットボードの第2の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る赤外線カメラ調整器具の構成の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ターゲットボード
1a 輻射面
1b 反射面
2 ボード保持具
3 赤外線カメラ
4 カメラ保持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中乃至遠赤外線の反射率が50%未満である輻射材料からなる輻射面と、前記赤外線の反射率が50%以上である反射材料からなる平滑面である反射面とが表面部に存在し、これら2つの面が所定の模様を構成して配置されているターゲットボードを用いて、
赤外線カメラの写角内に前記ターゲットボードを配置し、前記赤外線カメラにより撮影される前記反射面には、水平線よりも上方が反射されるとともに地上の物体が映り込まない状態とし、
前記赤外線カメラにより撮影される前記ターゲットボード上の所定の模様に基づいて、前記赤外線カメラのカメラ内パラメータ、もしくは、複数カメラのカメラ間パラメータの調整を行う
ことを特徴とする赤外線カメラ調整方法。
【請求項2】
中乃至遠赤外線の反射率が50%未満である輻射材料からなる輻射面と、前記赤外線の反射率が50%以上である反射材料からなる平滑面である反射面とが表面部に存在し、これら2つの面が模様を構成して配置されているターゲットボードと、
前記ターゲットボードを保持するボード保持具と、
赤外線カメラを保持するカメラ保持具と
を備え、
前記ボード保持具及びカメラ保持具は、前記ターゲットボード及び前記赤外線カメラの位置関係を、前記赤外線カメラの写角内に前記ターゲットボードが存在し、前記赤外線カメラにより撮影される前記反射面には、水平線よりも上方が反射されるとともに地上の物体が映り込まない位置関係として、前記ターゲットボード及び前記赤外線カメラを保持する
ことを特徴とする赤外線カメラ調整器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−48724(P2010−48724A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214632(P2008−214632)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(500302552)株式会社IHIエアロスペース (298)
【Fターム(参考)】