説明

走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法およびその装置

【課題】微細な半導体パターンに対する広視野な撮像領域(EP)において、コンタミネーション、画像の撮像ずれや歪みに対してロバストなパノラマ画像合成を実現できるようにした走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成技術を提供することにある。
【解決手段】走査荷電粒子顕微鏡を用いた広視野な撮像領域(EP)におけるパノラマ画像合成技術において、各調整ポイントの配置並びに各局所撮像領域(及び各調整ポイントの撮像順からなる撮像シーケンスを最適化して撮像レシピとして作成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査荷電粒子顕微鏡を用いて広視野・高分解能な画像を取得するため、撮像領域を複数の局所撮像領域に分割して撮像し、前記局所撮像領域の撮像画像を画像処理により繋ぎ合せることによって荷電粒子照射によるコンタミネーション、画像の撮像ずれや歪みに対してロバストなパノラマ画像を生成する方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハに配線パターンを形成するに際しては、半導体ウェーハ上にレジストと呼ばれる塗布材を塗布し、レジストの上に配線パターンの露光用マスク(レチクル)を重ねてその上から可視光線、紫外線あるいは電子ビームを照射し、レジストを感光(露光)して現像することによって半導体ウェーハ上にレジストによる配線パターンを形成し、このレジストの配線パターンをマスクとして半導体ウェーハをエッチング加工することにより配線パターンを形成する方法が採用されている。
【0003】
マスクやウェーハ上のパターン形状の検査には、走査荷電粒子顕微鏡の一つである測長走査電子顕微鏡(Critical Dimension Scanning Electron Microscope:CD−SEM)が広く用いられている。パターン形状の評価のため、SEM撮像を行う座標を評価ポイントと呼び、以降、EP(Evaluation Point)と略記する。EPを少ない撮像ずれ量で、かつ高画質で撮像するため、アドレッシングポイント(以降、APと呼ぶ)あるいはオートフォーカスポイント(以降、AFと呼ぶ)あるいはオートスティグマポイント(以降、ASTと呼ぶ)あるいはオートブライトネス・コントラストポイント(以降、ABCCと呼ぶ)の一部又は全ての調整ポイントを必要に応じて設定し、それぞれの調整ポイントにおいて、アドレッシング、オートフォーカス調整、オートスティグマ調整、オートブライトネス・コントラスト調整を行った後、EPを撮像する。前記アドレッシングにおける撮像ずれ量は、事前に登録テンプレートとして登録された座標既知のAPにおけるSEM画像と、実際の撮像シーケンスにおいて観察されたSEM画像とをマッチングし、前記マッチングのずれ量を撮像位置のずれ量として補正している。前記評価ポイント(EP)、調整ポイント(AP、AF、AST、ABCC)をまとめて撮像ポイントと呼ぶ。EPのサイズ・座標、撮像条件、ならびに各調整ポイントの撮像条件、調整方法、ならびに各撮像ポイントの撮像順(あるいは調整順)、ならびに前記登録テンプレートは撮像レシピとして管理され、SEMは前記撮像レシピに基づき、EPの撮像を行う。
【0004】
従来、レシピの生成はSEMオペレータがマニュアルで行っており、労力と時間を要する作業であった。また、各調整ポイントの決定や登録テンプレートをレシピに登録するためには、実際にウェーハを低倍で撮像する必要があることから、レシピの生成がSEM装置の稼働率低下の一因となっていた。更に、パターンの微細化・複雑化に伴い、評価を要するEPの点数は爆発的に増加し、前記レシピのマニュアルによる生成は、労力、生成時間の観点から非現実的になりつつある。
【0005】
そこで撮像レシピに関して、例えばGDSII形式で記述された半導体の回路パターンの設計データを基にAPを決定し、さらに設計データからAPにおけるデータを切り出して前記登録テンプレートとして撮像レシピに登録する半導体検査システムが開示されている(特許文献1:特開2002−328015号公報)。そこでは、APの決定ならびに登録テンプレートの登録の目的のみで実ウェーハを撮像する必要がなく、SEMの稼働率向上が実現する。また、実際の撮像シーケンスにおいてAPにおけるSEM画像(実撮像テンプレート)を取得した際、前記実撮像テンプレートと設計データの登録テンプレートとのマッチングを行い、前記設計データの登録テンプレートの位置に対応するSEM画像を登録テンプレートとして撮像レシピに再登録し、以降、前記再登録したSEM画像の登録テンプレートをアドレッシング処理に使用する機能を有する。さらに設計データから特徴のあるパターン部分を自動的に検出し、APとして登録する機能を有する。
【0006】
EPとしては、ユーザからの指定点や、EDA(Electronic Design Automation)ツール等から出力されるホットスポットと呼ばれるデバイス不良が発生しやすい危険箇所等が挙げられ、これらEPにおけるパターン寸法値を基にマスクパターンの形状補正や半導体製造プロセス条件の変更等のフィードバックを行い、高い歩留まりを実現する。近年の半導体デバイスの高速化・高集積化のニーズに対応して、配線パターンの微細化・高密度化が進んでおり、光近接効果補正(Optical Proximity Correction:OPC)に代表される超解像度露光技術が導入されている。これに伴うマスクパターンの複雑化によりウェーハ上に転写されるパターン形状のシミュレーション予測や、実際に転写されたパターン形状の検査がより重要となっている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−328015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウェーハ上に転写されるパターン形状のシミュレーション予測のためには、マスク上のパターン形状を入力する必要があるが、光近接効果を加味したシミュレーションを行うためにはある程度広範囲のパターン形状を入力する必要がある。前記パターン形状として設計データを入力する方法が考えられるが、設計データと実際にマスク上に生成されたパターン形状とは乖離があるため、この乖離がシミュレーション誤差となってしまう。そこで、マスク上に生成されたパターンをSEM撮像し、形状を抽出することが考えられるが、前記広範囲をカバーするように低倍率で撮像を行うと画像分解能が低下してしまう。逆に高倍率で撮像を行うと分解能は改善するが視野は狭くなってしまう。そこで、広範囲な撮像範囲(高倍率でSEM撮像を行う広い範囲を評価ポイント:EP(Evaluation Point))を、複数の局所撮像領域に分割して高倍率(高分解能)でSEM撮像し、該分割された高倍率(高分解能)での複数の局所撮像領域の撮像画像を画像処理によって繋ぎ合せることによって広視野・高分解能なパノラマ画像を生成することが考えられる。前記分割された高倍率(高分解能)での局所撮像領域についてEPを分割した撮像領域ということで、以降、SEP(Segmental Evaluation Point)と呼ぶ。一般にパノラマ画像合成はよく知られた処理であるが、例えばCCDカメラ等で撮像された画像のパノラマ合成に対し、SEMを用いた半導体パターンに対するパノラマ画像合成処理には特有の課題がある。
【0009】
一つは、電子線照射による試料上へ汚染物質の付着(コンタミネーション)の課題である。すなわち、同じ場所を2回SEM撮像した場合、2枚目のSEM画像においてはコンタミネーションの影響がより強く現れることから、1枚目のSEM画像に対して画像が黒ずんだり、パターンの線幅が変化するといった現象が起こることがある。そのため、最終的に得られるパノラマ画像においては、場所によりコンタミネーションの度合いが異なり、画像上のパターン形状精度が低下するといった課題がある。
【0010】
また、微細な半導体パターンを観察する際には、広視野(広範囲)の撮像領域(EP)に亘って数万から数十万倍の高倍率(高解像度)で撮像する必要がある。そのためSEP間の撮像ずれや、微小な画像歪みもパノラマ合成処理において問題となる。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、微細な半導体パターンに対する広視野なEPにおいて、分割された高分解能なSEP群を基に、コンタミネーション、画像の撮像ずれや歪みに対してロバストなパノラマ画像合成を実現できるようにした走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法およびその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、走査荷電粒子顕微鏡(SEM)を用いた広範囲な画像(広視野の画像)について、分割された高分解能なSEP群を基に、コンタミネーション、画像の撮像ずれや歪みに対してロバストなパノラマ画像合成を実現できるようにした。
(1)即ち、SEPを少ない撮像ずれ量で、かつ高画質で撮像するためには、調整ポイントを設定する必要があるが、パノラマ画像においては複数のSEP同士が隣接しているため、別のSEPとの撮像範囲の重複を許さなければあるSEP用の調整ポイントが配置できない場合が生じる。しかしながら、前記別のSEPに重複するあるSEP用の調整ポイントを撮像後に、前記別のSEPを撮像すると、該別のSEPの画像内に重複する調整ポイントの撮像によるコンタミネーションが発生し、観測したパターン形状の計測精度に影響を与えてしまう。一方、調整ポイントでの各種調整はコンタミネーションの影響を比較的受けにくい。
【0013】
そこで、本発明は、あるSEP用の調整ポイントが、別のSEPと重複領域をもつ場合、前記あるSEP用の調整ポイントの撮像を、前記別のSEPの撮像後であって、前記あるSEPの撮像前に行うように調整ポイントの配置や撮像ポイント(各SEP及び各調整ポイント)の撮像順を最適化することを特徴とする。
【0014】
即ち、本発明は、SEMを用いて撮像する試料上における広範囲(広視野)の撮像領域(評価ポイント:EP(Evaluation Point))を決定する領域決定ステップと、前記広範囲(広視野)の撮像領域(EP)を複数の高倍率の局所撮像領域(SEP(Segmentation Evaluation Point))に分割して決定する局所領域決定ステップと、前記複数のSEPの各々を撮像するための調整ポイント(アドレッシング点(AP)あるいはオートフォーカス点(AF)あるいはオートスティグマ点(AST)あるいはオートブライトネス・コントラスト点(ABCC)あるいは倍率調整点の一部または全て)を決定する調整ポイント決定ステップと、前記各SEP及び前記各調整ポイントの撮像順を決定する撮像順決定ステップとを有し、前記各SEP及び前記各調整ポイントの座標(配置)並びに前記各SEP及び前記各調整ポイントの撮像順を撮像レシピとして作成する撮像レシピ作成過程と、該撮像レシピ作成過程で作成された撮像レシピに基づき前記SEMを用いて前記試料上における前記複数のSEPの各々を順に撮像する撮像過程と、前記撮像過程において順に撮像したSEP画像群を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成するモザイク処理過程とを有し、前記画像レシピ作成過程において、任意のSEPに対して撮像範囲が重複するように調整ポイントの配置が決定された場合には、前記撮像順決定ステップにおいて、さらに、該重複する調整ポイントに対応する局所撮像領域以外の各局所撮像領域については、該各局所撮像領域用の調整ポイントでの調整直後に前記各局所撮像領域での撮像を行う条件を満たしつつ、前記重複する調整ポイントに対応する局所撮像領域については、前記任意の局所撮像領域を撮像した後において前記重複する調整ポイントでの調整直後に撮像を行うように前記撮像シーケンスを前記撮像レシピとして作成することを特徴とする。
(2)また、本発明は、(1)で述べた(a)複数のSEPへの分割(SEPの数、サイズ、座標の決定)、(b)各SEPに対応する各調整ポイントの配置の決定、(c)撮像ポイント(各SEP及び各調整ポイント)の撮像順の決定の一部又は全てを、前記試料上に形成された回路パターンの設計データを基に行うことを特徴とする。
【0015】
前記項目(a)〜(c)を決定するには、少なくともEP(評価ポイント)の撮像範囲内にどのようなパターンが存在するか分からなければならない。また、イメージシフトによる視野移動可能な範囲内でEPの周辺に調整ポイントを配置することも考えられる。その場合はEPとその周辺のパターン情報が分かる必要がある。例えば低倍率でEPとその周辺のパターンを一旦撮像し、パターン配列を取得することも考えられるが、低分解能であること、撮像時間を要すること、多少のコンタミネーションが発生することが問題である。そこで、本発明は、設計データを用いることで、オフライン(撮像装置不要)でパターン情報を取得することを特徴とする。また、前述のように、SEPや撮像シーケンス(撮像ポイントの座標や撮像順。広く、前記撮像ポイントのサイズ、撮像条件や調整方法も含む)の決定には考慮すべき評価項目が多く存在し、人手での最適化には多くの時間を要する。そのため、前記設計データをソフトウェアにより解析することにより前記SEPや撮像シーケンスを自動で決定することが可能となる。
(3)また、本発明は、SEPを決定する際には、隣り合うSEP間には重複領域があり、前記重複領域内には隣り合うSEP間の位置合せ量あるいは画像の歪み補正量を決定する手掛かりとなるパターンのエッジが含まれるように複数のSEPを決定することを特徴する。また、本発明は、前記パターンのエッジが前記重複領域内に含まれるかを評価する際、SEP撮像時の予想撮像ずれ量を入力し、前記予想撮像ずれ量分の撮像ずれが発生しても前記重複領域外にならないパターンのエッジのみを評価することを特徴とする。
【0016】
すなわち、SEPを撮像する際に発生する撮像ずれを補正し、シームレスなパノラマ画像を得るために、SEP間の重複領域に含まれるパターンを用いてSEP画像の繋ぎ合せ処理(モザイク処理)を行う。そのため、前記重複領域内に前記繋ぎ合せ処理に適したパターンが存在するかによってSEPを設定するが、SEP撮像時の撮像ずれによって、重複領域に含まれるはずだったパターンが重複領域外となってしまい、繋ぎ合せ処理に失敗する危険性がある。そのためSEP決定時には、予め予想撮像ずれ量を入力し、前記予想撮像ずれ量が発生しても重複領域外とならないパターンのみを評価することによって撮像ずれにロバストなパノラマ合成処理を実現することが可能となる。
(4)また、本発明は、SEP決定ステップにおいて、SEPの決定は、SEP間の重複領域内に含まれるパターンのエッジ、各調整ポイントの配置、撮像ポイント(各SEP及び各調整ポイント)の撮像順を基に決定することを特徴とする。
【0017】
通常は、撮像すべき領域であるSEPを決定した後、前記SEPを良好に撮像するための調整ポイントを設定するが、パノラマ画像においては複数のSEPが密集するため、与えられたSEPでコンタミネーションが発生しないように調整ポイントを設定することが困難な場合がある。そのため、まずSEPを決めるのではなく、重複領域内に繋ぎ合わせ処理に有利なパターンのエッジが含まれ、かつコンタミネーションが発生しないような調整ポイントの配置や撮像順の組み合わせが存在しうるかを加味しながら、EPを埋め尽くすように複数のSEPを決定することを特徴とする。
(5)また、本発明は、複数の局所撮像領域(SEP)の撮像位置を、同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上の座標に分配することを特徴とする。
【0018】
SEP間の重複領域は少なくとも二回撮像することになるため、特に二回目の撮像時にはコンタミネーションの影響が大きくなる。また、前述のようにパノラマ画像においては複数のSEPが密集するため、SEP上にコンタミネーションが発生しないように調整ポイントを設定することが困難な場合がある。そこで、本発明は、回路パターンがセルあるいはチップ間で繰り返されることを利用し、SEPの撮像位置を複数のセルあるいはチップに分配して撮像することによって、コンタミネーションの影響を緩和し、かつSEPや調整ポイントの設定において多くの選択肢を与えることができる。
(6)また、本発明は、局所撮像領域(SEP)の撮像およびパノラマ画像の生成を、同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上で行うことによって、複数のパノラマ画像を生成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、得られたパノラマ画像群から輪郭線群を算出し、前記輪郭線群から平均的な輪郭線を算出することを特徴とする。前記平均的な輪郭線は、エッジラフネス等に起因する形状バリエーションを平均化し、よりばらつきの少ない輪郭線情報を得ることができる。
(7)また、本発明は、(6)で述べた複数のパノラマ画像の各々を生成するSEPの配置(繋ぎ合せ位置)は、前記パノラマ画像毎に異なることを特徴とする。
【0020】
また、得られたパノラマ画像群から輪郭線群を算出し、前記輪郭線群から平均的な輪郭線を算出することを特徴とする。SEP間の繋ぎ合せ位置(重複領域)における輪郭線の精度はコンタミネーションの度合いや繋ぎ合せ精度等の問題から他の部位の輪郭に対して検出精度が低下する危険性が高い。前記平均的な輪郭線はSEP間の繋ぎ合せ位置(重複領域)が異なるパノラマ画像群の平均であることから、繋ぎ合せ部分において発生する輪郭線の形状誤差を平均化し、よりばらつきの少ない輪郭線情報を得ることができる。(6)(7)において生成する平均的な輪郭線は、対応する複数の輪郭線の座標の平均値を用いてもよいし、信頼性の低い輪郭線(例えば重複領域から算出された輪郭線)を除外した上で平均をとる等のバリエーションがありうる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンタミネーション、画像の撮像ずれや歪みに対してロバストなパノラマ画像合成を実現することができる。また、本発明によれば、得られたパノラマ画像は広視野・高分解能であるため、SEP間の繋ぎ合せ領域におけるパターン形状誤差も抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、微細な半導体パターンを観察する走査荷電粒子顕微鏡(SEM)を用いた広域な撮像範囲(EP)の画像(広視野の画像)を、コンタミネーション、画像の撮像ずれや歪みに対してロバストなパノラマ画像合成技術を用いて高分解能(数万乃至数十万倍の高倍率)で取得できるようにしたSEMを用いたパノラマ画像合成装置およびその方法を提供することにある。以下、本発明に係る実施の形態を、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)に適用した場合について説明する。
1.SEM
1.1 SEM構成要素
図1に試料の二次電子像(Secondary Electron:SE像)あるいは反射電子像(Backscattered Electron:BSE像)を取得するSEMの構成概要のブロック図を示す。また、SE像とBSE像を総称してSEM画像と呼ぶ。また、ここで取得される画像は測定対象を垂直方向から電子ビームを照射して得られたトップダウン画像、あるいは任意の傾斜角方向から電子ビームを照射して得られたチルト画像の一部または全てを含む。
【0023】
電子光学系102は内部に電子銃103を備え、電子線104を発生する。電子銃103から発射された電子線104はコンデンサレンズ105で細く絞られた後、ステージ121上におかれた試料である半導体ウェーハ101上の任意の位置において電子線が焦点を結んで照射されるように、偏向器106および対物レンズ108により電子線の照射位置と絞りとが制御される。電子線104が照射された半導体ウェーハ101からは、2次電子と反射電子が放出され、ExB偏向器107によって照射電子線の軌道と分離された2次電子は2次電子検出器109により検出される。一方、反射電子は反射電子検出器110および111により検出される。反射電子検出器110と111とは互いに異なる方向に設置されている。2次電子検出器109および反射電子検出器110および111で検出された2次電子および反射電子はA/D変換機112、113、114でデジタル信号に変換され、処理・制御部115に入力されて、画像メモリ117に格納され、CPU116で目的に応じた画像処理が行われる。
【0024】
図2に半導体ウェーハ上に電子線を走査して照射した際、半導体ウェーハ上から放出される電子の信号量を画像化する方法を示す。電子線は、例えば図2(a)に示すようにx、y方向に201〜203又は204〜206のように走査して照射される。電子線の偏向方向を変更することによって走査方向を変化させることが可能である。x方向に走査された電子線201〜203が照射された半導体ウェーハ上の場所をそれぞれG1〜G3で示す。同様にy方向に走査された電子線204〜206が照射された半導体ウェーハ上の場所をそれぞれG4〜G6で示す。前記G1〜G6において放出された電子の信号量は、それぞれ図2(b)内に示した画像209における画素H1〜H6の明度値になる(G、Hにおける添字1〜6は互いに対応する)。208は画像上のx、y方向を示す座標系である。このように視野内を電子線で走査することにより、画像フレーム209を得ることができる。また実際には同じ要領で前記視野内を電子線で何回か走査し、得られる画像フレームを加算平均することにより、高S/Nな画像を得ることができる。加算フレーム数は任意に設定可能である。
【0025】
図1中の処理・制御部115はCPU116と画像メモリ117を備えたコンピュータシステムであり、撮像レシピを基に撮像ポイントを撮像するため、ステージコントローラ119や偏向制御部120に対して制御信号を送る、あるいは半導体ウェーハ101上の任意の撮像ポイントにおける撮像画像に対し各種画像処理を行う等の処理・制御を行う。ここで撮像ポイントとは調整ポイント(アドレッシングポイント(以降、APと呼ぶ)、オートフォーカスポイント(以降、AFと呼ぶ)、オートスティグマポイント(以降、ASTと呼ぶ)、オートブライトネス・コントラストポイント(以降、ABCCと呼ぶ)若しくは倍率調整点の一部又は全てを含む)並びに広範囲な撮像範囲(高倍率でSEM撮像を行う広い範囲を評価ポイント:EP(Evaluation Point))を、分割して高倍率(高分解能)でSEM撮像する複数の局所撮像領域(以降、SEPと呼ぶ)を含む。また、処理・制御部115は処理端末118(ディスプレイ、キーボード、マウス等の入出力手段を備える)と接続されており、ユーザに対して画像等を表示する、あるいはユーザからの入力を受け付けるGUI(Graphic User Interface)を備える。121はXYステージであり、半導体ウェーハ101を移動させ、前記半導体ウェーハの任意の位置の画像撮像を可能にしている。XYステージ121により撮像位置を変更することをステージシフト、例えば偏向器106により電子線を偏向することにより観察位置を変更することをイメージシフトと呼ぶ。一般にステージシフトは可動範囲が広いが撮像位置の位置決め精度が低く、逆にイメージシフトは可動範囲が狭いが撮像位置の位置決め精度が高いという性質がある。
【0026】
図1では反射電子像の検出器110、111を2つ備えた実施例を示したが、前記反射電子像の検出器をなくすことも、数を減らすことも、数を増やすことも可能である。また、図1に示す装置を用いて測定対象を任意の傾斜角方向から観察したチルト画像を得る方法としては(1)電子光学系102より照射する電子線104を偏向し、電子線104の照射角度を傾斜させて傾斜画像を撮像する方式(例えば特開2000−348658号公報)、(2)半導体ウェーハを移動させるステージ121自体を傾斜させる方式(図1においてはチルト角122でステージが傾斜している)、(3)電子光学系自体を機械的に傾斜させる方式等がある。
【0027】
撮像レシピ作成装置123においては、後述する方法により広域(広視野)の撮像領域(EP)に対して分割されて高倍率(高分解能)でSEM撮像される複数の局所撮像領域(SEP)の決定および該SEPを高倍率(高分解能)でSEM撮像するための撮像レシピを作成し、該作成された撮像レシピに基づきSEM装置を制御することにより画像撮像を行う。前記撮像レシピには、SEPのサイズ・座標、撮像条件、ならびにSEPを撮像するための撮像シーケンス(撮像ポイントの座標や撮像順。広く、前記撮像ポイントのサイズ、撮像条件や調整方法も含む)、ならびにAP等の調整ポイントに関する登録テンプレートの情報が書き込まれている。また、画像処理装置124においては、撮像された複数のSEP画像を用いたパノラマ画像合成処理や前記パノラマ画像からの回路パターンの輪郭線抽出処理等を行う。形状計測・評価ツールサーバ125では、前記パノラマ画像や輪郭線を用いた形状計測や形状評価等を行う。123、124、125は処理端末126(ディスプレイ、キーボード、マウス等の入出力手段を備える)と接続されており、ユーザに対して処理結果等を表示する、あるいはユーザからの入力を受け付けるGUI(Graphic User Interface)を備える。また、127は半導体回路パターンの設計レイアウト情報(以降、設計データ)等のデータベースを格納したストレージであり、前記データベースには撮像したSEP画像、生成したパノラマ画像、輪郭線、形状計測・評価結果、撮像レシピ等の情報を保存・共有することが可能である。115、123、124、125で行われる処理は、任意の組合せで複数台の装置に分割、あるいは統合して処理させることが可能である。
【0028】
なお、本発明に係る撮像レシピ作成装置123は、領域決定ステップを実行する領域決定手段、局所領域決定ステップを実行する局所領域決定手段、調整ポイント決定ステップを実行する調整ポイント決定手段及び撮像順決定ステップを実行する撮像順決定手段を有して構成される。
1.2 システム構成
本発明に係るシステム構成の実施例について図3を用いて説明する。
【0029】
図3(a)において、1101はマスクパターン設計装置、1102はマスク描画装置、1103はマスクパターンのウェーハ上への露光・現像装置、1104はウェーハのエッチング装置、1105および1107は図1及び図2で説明したSEM装置、1106および1108はそれぞれ前記SEM装置を制御するSEM制御装置、1109はEDA(Electronic Design Automation)ツールサーバ、1110はデータベースサーバ、1111は127と同様にデータベースを保存するストレージ、1112は123と同様に撮像レシピ作成装置、1113は124と同様に画像処理装置、1114は125と同様に生成したパターン形状の計測・評価ツールサーバであり、これらはネットワーク1115を介して情報の送受信が可能である。データベースサーバ1110にはストレージ1111が取り付けられており、(a)EPのサイズ・座標、(b)設計データ(マスク設計データ(OPCなし/あり)、ウェーハ転写パターン設計データ)、(c)撮像レシピ生成ルール、(d)生成された撮像レシピ(SEP、撮像シーケンス含む)、(e)撮像・生成した画像(SEP画像、パノラマ画像)、(f)画像から抽出した輪郭線、(g)シミュレーションパターン、(h)計測・評価結果の一部または全てを、品種、製造工程、日時、データ取得装置等とリンクさせて保存し、また参照することが可能である。また、同図においては実施例として二台のSEM装置1105、1107がネットワークに接続されているが、本発明においては、任意の複数台のSEM装置において撮像レシピをデータベースサーバ1111により共有することが可能であり、一回の撮像レシピ作成によって前記複数台のSEM装置を稼動させることができる。また複数台のSEM装置でデータベースを共有することにより、過去の前記撮像あるいは計測の成否や失敗原因の蓄積も早く、これを参照することにより良好な撮像レシピ生成の一助とすることができる。
【0030】
図3(b)は一実施例として図3(a)における1106、1108、1109、1110、1112〜1114を一つの装置1116に統合したものである。本実施例のように任意の機能を任意の複数台の装置に分割、あるいは統合して処理させることが可能である。
1.3 SEM撮像シーケンス
SEMを用いたSEPの撮像に関して、図4(a)に示す調整ポイント(AP、AF、AST、ABCC若しくは倍率調整点の一部又は全てを含む)の撮像を含む代表的な撮像シーケンス(撮像ポイントの座標や撮像順)の実施例について説明する。
【0031】
まず、図4(a)のステップS41において、試料である半導体ウェーハをSEM装置のステージ121上に取り付ける。ステップS42において、ウェーハ上のグローバルアライメントマークを観察することにより、ウェーハの原点ずれやウェーハの回転を補正する。
【0032】
ステップS43において、処理・制御部115の処理及び制御に基づいて、ステージ121を移動して、撮像位置をAPに移動して撮像し、アドレッシングのパラメータを求め、前記求められたパラメータに基づいてアドレッシングを行う。ここでアドレッシングについて説明を加えておく。SEPを観察する場合、ステージシフトにより直接SEPを観察しようとすると、ステージの位置決め精度により、大きく撮像位置がずれてしまう危険性がある。そこで、一旦位置決め用として予め撮像ポイントの座標値とテンプレート(撮像ポイントのパターン。データ形式はSEM画像でも設計データでもよい)とが与えられたAPをステージシフトにより観察する。前記テンプレートは撮像レシピに登録されるので、以降、登録テンプレートと呼ぶ。APはSEPの周辺領域(イメージシフトにより移動可能な範囲)から選択する。また、APはSEPに対して一般に低倍視野であるため、多少の撮像位置のずれに対しても、登録テンプレート内のパターンが全て視野外となる危険性は低い。そこで、APの登録テンプレートと、実際に撮像されたAPのSEM像とをマッチングすることにより、APにおける撮像ポイントの撮像ずれ量を推定することができる。AP、SEPの座標値はデータベース127に登録されており既知なので、AP−SEP間の相対変位ベクトルを求めることができ、かつAPにおける撮像ポイントの撮像ずれ量も前述のマッチングにより推定できるため、前記相対変位量から前記撮像ずれ量を差し引くことにより、実際に移動すべきAP撮像位置からSEPまでの相対変位ベクトルが分かる。前記相対変位ベクトル分だけ、位置決め精度の高いイメージシフトによって移動することにより、高い座標精度でSEPを撮像することが可能となる。
【0033】
次にステップS44において、処理・制御部115の処理及び制御に基づいて、イメージシフトにより撮像位置をAFに移動して撮像し、オートフォーカス調整のパラメータを求め、該求められたパラメータに基づいてオートフォーカス調整を行う。図4(a)のフロー図では、SEPを鮮明に撮像するためのオートフォーカス処理がステップS44において行われているが、同様にAPを鮮明に撮像するためのAFを、ステップS43の前に設定して前記AFを用いたオートフォーカス処理をAP撮像前に行う等のバリエーションがありうる(後述するAST、ABCCに関しても同様)。
【0034】
次にステップS45において、処理・制御部115の処理及び制御に基づいて、イメージシフトにより撮像位置をASTに移動して撮像し、オートスティグマ調整(非点収差補正)のパラメータを求め、該求められたパラメータに基づいてオートスティグマ調整を行う。
【0035】
次にステップS46において、処理・制御部115の処理及び制御に基づいて、イメージシフトにより撮像位置をABCCに移動して撮像し、ブライトネス・コントラスト調整のパラメータを求め、該求められたパラメータに基づいてオートブライトネス・コントラスト調整を行う(SEP撮像時に適切な明度値及びコントラストをもつ鮮明な画像を取得するため、例えば二次電子検出器109におけるフォトマル(光電子増倍管)の電圧値等のパラメータを調整することよって、例えば画像信号の最も高い部分と最も低い部分とがフルコントラストあるいはそれに近いコントラストになるように調整する)。
【0036】
最後にステップS47において、イメージシフトにより撮像ポイントをSEPに移動して撮像を行う。
【0037】
図4(b)には、SEP309からのイメージシフト可能領域308上におけるAP310、AF311、AST312、ABCC313の配置の一実施例を図示する。なお、前述したステップS43、S44、S45、S46は場合によって一部あるいは全てが省略される、あるいはステップS43、S44、S45、S46の順番が任意に入れ替わる、あるいはAP、AF、AST、ABCCの座標で重複するものがある(例えばオートフォーカス、オートスティグマを同一箇所で行う)等のバリエーションがありうる。
2.パノラマ画像合成処理フロー
本発明に係るコンタミネーション、画像の撮像ずれや歪みに対してロバストなパノラマ画像合成処理フローについて図5を用いて説明する。
2.1 データ入力ステップ
まず、EPのサイズ・座標と半導体回路パターンの設計データを入力する(それぞれステップS51、S52)。EPは取得したい広域な画像の撮像範囲であり、EPの座標は、例えばEDA(Electronic Design Automation)ツール1109で実行される露光シミュレーション等の結果を基に検出されたデバイス不良が発生しやすいホットスポット(危険ポイント)の座標が入力されたり、あるいはユーザが自身の判断により(必要に応じてデータベース127(1111)に格納された前記EDAツール1109の情報も参考にしながら)入力される場合もある。また、処理端末126などから必要に応じてユーザ要求仕様を入力することができる(ステップS53)。前記ユーザ要求仕様として、EPに対して分割される高分解能を有するSEPのサイズや撮像倍率、SEPの個数、SEP撮像位置のセルあるいはチップへの分配有無あるいは分配の組み合わせ、調整ポイントであるAP/AF/AST/ABCC/倍率調整点の設定有無等を指定することができる。また、必要に応じて処理パラメータを入力することができる(ステップS54)。前記処理パラメータとして、ステージ/イメージシフト予想誤差、アドレッシング後の予想撮像ずれ量、重複領域幅、パノラマ画像合成処理に必要な重複領域内エッジ量等を指定することができる。ここで、前述のステップS53、S54で指定可能な情報として述べた情報は必ずしも全て指定する必要はない。
2.2 SEP/撮像シーケンス推定&撮像レシピ生成ステップ
撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、端末装置126、118等を用いて、ステップS55、S56において、ステップS51、S52、S53、S54で入力された情報を元に、必要に応じてステップS53、S54で指定されなかった情報を決定しながら、SEP(数、サイズ、座標、SEP撮像位置のセルあるいはチップへの分配)や撮像シーケンス(調整テンプレート(AP/AF/AST/ABCC等)、撮像ポイント(調整ポイント及びSEP)の撮像順)を決定する。ステップS55において、例えば図6(d)に示すように、SEPを決定する際には、隣り合うSEP間には重複領域があり、前記重複領域内には隣り合うSEP間の位置合せ量あるいは画像の歪み補正量を決定する手掛かりとなるパターンのエッジが含まれるように複数のSEP(503−1)〜(503−9)を決定する。
【0038】
このように、前記エッジが前記重複領域内に含まれるか否かの評価は、SEP撮像時の予想撮像ずれ量を入力し、前記予想撮像ずれ量分の撮像ずれが発生しても前記重複領域外にならないエッジのみを評価することによって行う。すなわち、SEP撮像時の撮像ずれによって、重複領域に含まれるはずだったパターンが重複領域外となってしまい、繋ぎ合せ処理に失敗する危険性がある。そのため、撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、ステップS55において、SEP決定時には、SEMの処理・制御部115から取得されて格納されたデータベース127(1111)から予め予想撮像ずれ量を入力し、前記予想撮像ずれ量が発生しても重複領域外とならないパターンのみを評価することによって、画像処理装置124,1113(1116)において撮像ずれにロバストなパノラマ合成処理を実現する。撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、前記予想撮像ずれ量については、例えばステップS54においてデータベース127(1111)から入力されたステージ/イメージシフト予想誤差、アドレッシング後の予想撮像ずれ量を元に推定することができる。アドレッシング後の予想撮像ずれ量については、SEM撮像時において撮像したAP画像を基に推定することも可能である。
【0039】
また、撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、前記ステップS55、S56を独立に行うのではなく、SEP間の重複領域内に含まれるパターンのエッジ、調整ポイントの配置、撮像ポイントの撮像順を基にインタラクティブに行うことにある。すなわち、通常は、撮像すべき領域であるSEPを決定した後、前記SEPを良好に撮像するための調整ポイントを設定することが考えられるが、本発明に係るパノラマ画像においては複数のSEPが密集するため、与えられたSEPでコンタミネーションが発生しないように調整ポイントを設定することが困難な場合が生じる。そのため、本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、まずSEPを決めるのではなく、前記ステップS55、S56に示すように、重複領域内に繋ぎ合わせ処理に有利なパターンのエッジが含まれ、かつコンタミネーションが発生しないような調整ポイントの配置や撮像順の組み合わせが存在しうるかを加味しながら、EPを埋め尽くすように複数のSEPを決定することを特徴とする。
【0040】
また、本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、複数のSEPの撮像位置を、試料上における同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上の座標に分配できることを特徴とする。すなわち、SEP間の重複領域は少なくとも二回撮像することになるため、特に二回目の撮像時にはコンタミネーションの影響が大きくなる。また、本発明のようにパノラマ画像においては複数のSEPが密集するため、SEP上にコンタミネーションが発生しないように調整ポイントを設定することが困難な場合が生じる。そこで、本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、観察対象の回路パターンがセルあるいはチップ間で繰り返されることを利用し、SEPの撮像位置を複数のセルあるいはチップに分配して撮像することによって、コンタミネーションの影響を緩和し、かつSEPや調整ポイントの設定において多くの選択肢を与えることができる。
【0041】
また、本発明に係る画像処理装置124、1113(1116)において局所撮像領域の撮像およびパノラマ画像の生成を同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上で行い、複数のパノラマ画像を生成できることを特徴とする。更に、本発明に係る前記複数のパノラマ画像を構成するSEPの配置(繋ぎ合せ位置)は、前記パノラマ画像毎に異なるように設定できることを特徴とする(複数のパノラマ画像を生成すること、および前記複数のパノラマ画像毎にSEPの配置を変える利点は後述の輪郭線平均化(ステップS61)の説明で述べる)。
【0042】
また、本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)が行う前記ステップS55、S56におけるSEPへの分割や撮像シーケンス(調整ポイントの配置並びにSEPの撮像順)の決定の一部又は全てを、データベース127、1111に格納された回路パターンの設計データを基に行うことを特徴とする。本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)がSEPや撮像シーケンスを決定するには、少なくともEP撮像範囲内にどのようなパターンが存在するか分からなければならない。また、視野移動可能な範囲内でEPの周辺に調整ポイントを配置することも考えられる。その場合はEPとその周辺のパターン情報が分かる必要がある。例えば低倍率でEPとその周辺のパターンを一旦撮像し、パターン配列を取得することも考えられるが、低分解能であること、撮像時間を要すること、多少のコンタミネーションが発生することが問題である。そこで、本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、ステップS52で入力された設計データを用いることで、オフライン(撮像装置不要)でパターン情報を取得することが可能となる。また、前述のように、SEPや撮像シーケンスの決定には考慮すべき評価項目が多く存在し、人手での最適化には多くの時間を要する。そのため、本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、前記入力された設計データをソフトウェアにより解析することによりSEPや撮像シーケンスを自動で決定することを特徴とする。
【0043】
本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、ステップS55、S56で決定したSEPのサイズ・座標、撮像条件、ならびにEPを撮像するための各種調整ポイントのサイズ・座標、撮像条件、調整方法、ならびに撮像順、ならびに前記登録テンプレートを撮像レシピとして保存する(ステップS57)。
2.3 撮像&パノラマ画像合成/輪郭線抽出/輪郭線平均化ステップ
SEMを用いてステップS57において作成した撮像レシピに基づき順次、複数のSEPの撮像を行う(ステップS58)。
【0044】
本発明に係る画像処理装置124、1113(1116)は、ステップS59において、前記複数のSEPにおいてそれぞれ撮像したSEP画像群を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成する。前記繋ぎ合せには、SEP画像間のxy方向位置合せ、歪み補正、明度補正の一部又は全てを含む。ステップS60では、前記生成したパノラマ画像から画像処理によりパターンの輪郭線を抽出する。また、ステップS59において複数のパノラマ画像を生成した場合は、前記複数のパノラマ画像から輪郭線群を算出し、前記輪郭線群から平均的な輪郭線を算出する(ステップS61)。前記平均的な輪郭線は、エッジラフネス等に起因する形状バリエーションを平均化し、よりばらつきの少ない輪郭線情報を得ることができる。
【0045】
また、本発明に係る画像処理装置124、1113(1116)は、前記複数のパノラマ画像を構成するSEPの配置(繋ぎ合せ位置)を、前記パノラマ画像毎に異なるように設定する。また、本発明に係る画像処理装置124、1113(1116)は、得られたパノラマ画像群から輪郭線群を算出し、前記輪郭線群から平均的な輪郭線を算出する。SEP間の繋ぎ合せ位置(重複領域)における輪郭線の精度はコンタミネーションの度合いや繋ぎ合せ精度等の問題から他の部位の輪郭に対して検出精度が低下する危険性が高い。そこで、前記平均的な輪郭線はSEP間の繋ぎ合せ位置(重複領域)が異なるパノラマ画像群の平均であることから、繋ぎ合せ部分において発生する輪郭線の形状誤差を平均化し、よりばらつきの少ない輪郭線情報を得ることができる。前記平均的な輪郭線の生成方法としては、対応する複数の輪郭線の座標の平均値を用いてもよいし、信頼性の低い輪郭線(例えば重複領域から算出された輪郭線)を除外した上で平均をとる等のバリエーションがありうる。このように複数のパノラマ画像を生成するため、同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいはチップでのSEP画像の撮像を行ったり、前記複数のパノラマ画像間で重複領域を変える等の撮像レシピ生成はステップS55、S56、S57で行うことができる。
2.4 表示/画像・数値データ出力&設計・製造条件の変更
画像処理装置124、1113(1116)は、ステップS59、S60、S61において生成したパノラマ画像や輪郭線の情報を、処理端末126等のGUI上に表示したり、画像あるいは数値データとして出力することができる。また、形状計測・評価ツールサーバ125、1114(1116)等は、比較用のパターンと前記輪郭線との形状差を算出し、表示・出力することもできる。前記比較用のパターンとしては、パターン形状の設計データ、比較用に撮像した過去の撮像画像、EDAツール1109等によってマスクパターンから実パターン形状を推定したシミュレーション結果等を用いることができる。
【0046】
また、形状計測・評価ツールサーバ125、1114(1116)等は、画像処理装置124、1113(1116)から得られる前記パノラマ画像あるいは輪郭線情報を基に、設計・製造条件の変更を行うことができる。例えば、マスクのパノラマ画像であれば、マスク上に生成されたパターン形状を得ることができ、前記パターン形状を入力としてウェーハ上に転写されるパターン形状の高精度なシミュレーション予測を実現する(ステップS64)。また、形状計測・評価ツールサーバ125、1114(1116)等は、前記マスク上に生成されたパターン形状とマスクの設計データ等との比較により、製造誤差の算出や、製造条件へのフィードバックを実現する(ステップS65)。また、形状計測・評価ツールサーバ125、1114(1116)等は、画像処理装置124、1113(1116)からウェーハのパノラマ画像が得られるのであれば、ウェーハ上に生成されたパターン形状を得ることができ、生成パターンの設計データ等との比較により、製造誤差の算出や、露光条件等の製造パラメータへのフィードバック(ステップS66)、更に製造パラメータの変更で修正しきれない形状誤差に対してはマスクパターンの変更(ステップS67)等を実施し、高い歩留まりを実現することができる。前記マスクパターンの変更は、OPCパターンのみ変更する場合(OPCキャリブレーション)や回路パターンのレイアウト自体を変更する場合がある。
3. 詳細
以下、図5に示す処理フローで詳細説明を要する箇所を抜き出し、補足説明する。
3.1 SEP/撮像シーケンス生成
OPC付きのマスクを観測した際のパノラマ画像の一実施例について図6を用いて説明する。図6(a)はOPCなしのマスクパターンの一部を表示した一実施例であり、図6(b)は同図(a)にOPCを施したパターンの一実施例を示す図である。通称、ハンマーヘッド(Hammerhead)、セリフ(Serif)、SRAF(Sub Resolution Assist Feature)と呼ばれる補正パターンやアシストパターンが追加される。さらにモデルベースOPCと呼ばれる詳細なシミュレーションに基づく形状補正が行われることもあり、パターン形状は複雑化する。このようなOPCパターンが適切にマスク上に生成されているか、あるいは前記マスクによって設計通りのパターンがウェーハ上に転写されるかを検証する必要がある。また不具合があった場合にはOPCパターンを更に補正する必要がある。点線501はユーザが指定したEP範囲の一実施例を示す。前記EPが広域であった場合、一回の撮像で分解能の高い画像取得が困難であることから、撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、ステップS55において、前記広域のEPに対して高分解能を有する複数のSEPに分割してSEM撮像するようにSEPを決定する。図6(c)は前記広域のEPに対して複数のSEPを格子状に配置した一実施例を示す。本実施例ではEPを埋め尽くすように9個のSEP502−1、SEP502−2、・・・、SEP502−9(以降SEP502−1〜502−9と表記)が格子状に設定されている。同図においてSEP間の重複領域にはハッチングが施されている。しかしながら、単純にEPを格子状に分割してSEPを設定しても、パノラマ画像合成においてSEP間を高精度に繋ぎ合わせることが困難な場合が生じる。例えばSEP502−4は重複領域にy方向に変化するパターン(x方向にのびるパターンエッジ)を含まないため、前記SEP502−4撮像時に微小なy方向の撮像ずれが発生しても、検知することができない。そこで各SEPの重複領域にx、y両方向に変化するパターンを含むようにSEPの位置を修正した一実施例が図6(d)である。同様にEPを埋め尽くすように9個のSEP503−1〜503−9を配置したが、いずれのSEPも重複領域にx、y両方向に変化するパターンを含んでいる。図6(d)の実施例は同図(c)に対し位置のみ変更したが、SEPのサイズを変更したり(視野または倍率の変更。SEP毎にこれらのパラメータを変えることも可能)、SEPの数を変更することも可能である(同図は3×3のSEPであるが、4×4のように設定することも可能)。また、このような格子状に近い配置に限定する必要もない。
【0047】
次に、撮像レシピ作成装置123、1112(1116)が、ステップS56において行う図6(d)に示したSEP503−1〜503−9を撮像するための撮像シーケンス(撮像ポイントの配置(座標)及び撮像順)の決定について図7及び図8を用いて説明する。図7は説明を簡素化するためにEP601のパノラマ画像を得るために設定された9個のSEP602−1〜602−9を撮像するための調整ポイントとして、SEP602−1〜602−9に対応して設定された例えば9個のAF603−1〜603−9(長い点線枠で表示)と、最初のSEP602−1及び最後に近いSEP602−4に対応して設定された例えば2個のAP604−1及び604−2(短い点線枠で表示)とを設定した一実施例である。前記AF、APはそれぞれオートフォーカス調整およびアドレッシングに有効なパターンを探索して選択されたものである。AFについてはオートフォーカス調整であるため、ほぼ各SEPに対応して設けられ、APについてはステージシフトによる位置ずれを補正するため、限られたSEPに対応して設けられる。
【0048】
図8(a)は二つのSEP602−8、602−9に重複するAF603−5(SEP602−5撮像用の調整ポイント)の撮像を、前記SEP602−8、602−9の撮像前に行うため、前記SEP602−8、602−9にコンタミネーションが多く発生してしまう撮像シーケンスの比較例を示す図である。即ち、図8(a)に示す撮像シーケンスの比較例では、まず、ウェーハに対する電子ビームの垂直入射位置が図7に十字マークで示した座標605−1にくるようにステージシフトによって移動した後、イメージシフトによりAP604−1に視野を移動し、前記AP604−1においてアドレッシングを行い、撮像ずれを検出する(以降のイメージシフトは前記撮像ずれ分差し引いた変位でシフトする)。次にAF603−1にイメージシフトによって視野を移動し、オートフォーカス調整を行う。次にSEP602−1にイメージシフトによって視野を移動し、SEP602−1を撮像する。以下同様にAF603−sでオートフォーカス調整、SEP602−sで撮像をs=2〜6で順に繰り返す。次にウェーハに対する電子ビームの垂直入射位置が図7に十字マークで示した座標605−2にくるようにステージシフトによって移動した後、イメージシフトによりAP604−2に視野を移動し、前記AP604−2においてアドレッシングを行い、撮像ずれを検出する(以降のイメージシフトは前記撮像ずれ分差し引いた変位でシフトする)。次にAF603−7にイメージシフトによって視野を移動し、オートフォーカス調整を行う。次にSEP602−7にイメージシフトによって視野を移動し、SEP602−7を撮像する。以下同様にAF603−sでオートフォーカス調整、SEP602−sで撮像をs=8、9順に繰り返す。途中でステージシフトにより座標605−2に電子ビームの垂直入射位置を移動するのは、ある一点の電子ビーム垂直入射位置からのイメージシフトにより全ての撮像ポイント(SEP602−1〜602−9、AF603−1〜603−9、AP603−1、603−2)に視野移動することが困難だからである。
【0049】
しかしながら、図8(a)に示す撮像シーケンスの比較例では、二つのSEP602−8、602−9に重複する603−5(SEP602−5撮像用の調整ポイント)の撮像を、前記SEP602−8、602−9の撮像前に行うため、前記SEP602−8、602−9にコンタミネーションが多く発生してしまうという問題が生じる。これは、パノラマ画像においては複数のSEP同士が隣接しているため、別のSEP602−8、602−9との重複を許さなければあるSEP602−5撮像用の調整ポイント603−5が配置できない場合があるという事情による。即ち、あるSEP602−5撮像用の調整ポイント603−5は、あるSEP602−5撮像用の調整パターンを含み、且つあるSEP602−5に近づける必要があり、別のSEP602−8、602−9との重複して配置せざる得なくなる。実際には、EP601のパノラマ画像を得るために設定されるSEPの数も多くなり、自ずと調整ポイントの数も増加し、調整ポイントをSEPに重複して配置せざるを得なくなる。
【0050】
図8(b)は、本発明に係る撮像シーケンスを最適化した一実施例を示す図である。通常、別のSEP602−8、602−9に重複する調整ポイント603−5の撮像後に前記SEP602−8、602−9を撮像すると、SEP602−8、602−9の画像内にコンタミネーションが発生し、観測したパターン形状の計測精度に影響を与えてしまうが、それに対し調整ポイント603−5での各種調整はコンタミネーションの影響を比較的受けにくい傾向がある。そこで図8(b)に示す本発明に係る撮像シーケンスは、SEP603−4の撮像後に行われていた別のSEP602−8、602−9に重複するAF603−5でのオートフォーカス調整および該AF603−5に対応するSEP602−5での撮像を行わず、先にAF603−6でのオートフォーカス調整およびSEP602−6での撮像を行う。そして、別のSEP602−8、602−9に重複するAF603−5でのオートフォーカス調整および該AF603−5に対応するSEP602−5での撮像は、SEP602−5以外の全てのSEPの撮像が終わった後に行う。このように、本発明は、任意のSEP602−8、602−9に撮像範囲が重複するように調整ポイント(AF603−5)の配置が決定された場合には、該調整ポイント(AF603−5)に対応するSEP602−5以外の各SEP602−1〜602−4、602−6〜602−9については、該各SEP用の調整ポイントAP604−1、AF603−1〜AF603−6、AP604−2、AF603−7〜AF603−9での調整直後に前記各SEP602−1〜602−4、602−6〜602−9での撮像を行う条件を満たしつつ、前記重複する調整ポイント(AF603−5)に対応するSEP602−5については、前記任意のSEP602−8、602−9を撮像した後において前記重複する調整ポイント(AF603−5)での調整直後に撮像を行うように撮像シーケンスを最適化することを特徴とする。なお、重複する調整ポイント(AF603−5)と該重複する調整ポイント(AF603−5)に対応するSEP602−5とは撮像範囲が重複しないので、SEP602−5の画像内にコンタミネーションが発生するのを防止して観測したパターン形状の計測精度に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0051】
即ち、本発明は、広視野の撮像する領域(EP)に対して複数に分割される局所撮像領域の画像群(SEP群)を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成する撮像レシピ生成において、前記局所撮像領域群(SEP群)の内任意のSEPに対して撮像範囲が重複するように調整ポイントの配置が決定された場合には、該重複する調整ポイントに対応するSEP以外の各SEPについては、該各SEP用の調整ポイントでの調整直後に前記各SEPでの撮像を行う条件を満たしつつ、前記重複する調整ポイントに対応するSEPについては、前記任意のSEPを撮像した後において前記重複する調整ポイントでの調整直後に撮像を行うように調整ポイントの配置および各SEPを含めた撮像ポイントの撮像順からなる撮像シーケンスを最適化して決定することを特徴とする。即ち、本発明は、広視野の撮像する領域(EP)に対して複数に分割される局所撮像領域の画像群(SEP群)を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成する撮像レシピ生成において、任意の局所撮像領域(任意のSEP)に対して撮像範囲が重複するように調整ポイントの配置が決定された場合には、前記任意の局所撮像領域(任意のSEP)を撮像した後において、前記重複する調整ポイントの撮像を行うように前記調整ポイントの配置並びに撮像ポイント(前記調整ポイント及び前記局所撮像領域)の撮像順からなる撮像シーケンスを最適化して決定することを特徴とする。
【0052】
ちなみに図7及び図8(b)に示す実施例においては、アドレッシング(AP)に関しては2回のステージシフト後にそれぞれ行い、オートフォーカス調整(AF)に関しては各SEPの撮像前に必ず行う撮像シーケンスを示したが、ステージシフト回数や調整ポイントの削除、追加、調整を行うタイミング等は自由に変更することができる。例えば、オートフォーカス調整(AF)は最初のSEP撮像前に一回だけ行うという撮像シーケンスにしてもよいし、AST、ABCC等の調整ポイントを加えて調整を行ってもよい。またアドレッシング調整(AP604−1、604−2)もより高倍のAPを設定して、ステージシフト後だけでなくイメージシフト後にもアドレッシングを行ってもよい。
【0053】
本実施例は撮像シーケンスの中で、撮像順の最適化について述べたが、電子ビーム垂直入射位置、調整ポイントのサイズ・座標・撮像条件、さらにSEPのサイズ・座標・撮像条件の変更も含めて最適化を行うことが可能である。ここで、前記撮像条件について補足する。撮像条件にはプローブ電流、加速電圧、電子ビームの走査方向等が挙げられるが、その内、電子ビームの走査方向について図9(a)(b)を用いて説明する。対象のパターンエッジを鮮明に画像化するためには前記パターンエッジに直交する方向に電子ビームを走査することが望ましい。すなわち、図9(a)に示すようにSEP606内にy方向にのびるパターン607が存在する場合、電子ビームの走査はx方向に連続的な走査が望ましい。そこで、同図中に電子ビームの走査を608に模式的に示すように、x方向に連続的な電子ビーム走査をy方向に離散的にずらしながら複数回行うことにより画像を取得することが考えられる(図ではy方向のずらしは模式的に5回としている)。これをx方向の電子ビーム走査と呼ぶ。同様に図9(b)はy方向の電子ビーム走査例である。このような電子ビームの走査方向を含む撮像条件も撮像シーケンスにおける最適化項目の一つである。前述のようにパターンにより走査方向を変化させたり、あるいは走査方向をSEP撮像毎に何度も変更しないように、なるべく走査方向が同じSEPを連続的に撮像するように撮像順を変更する等の最適化が考えられる。
3.2 SEP間の重複領域
本発明に係る画像処理装置124、1113(1116)が実行する隣り合うSEP間の重複領域における評価値の算出方法について図10を用いて説明する。前記評価値が高い重複領域においては、SEP間の繋ぎ合せ処理(xy方向位置合せ、歪み補正、明度補正部又は全て)を良好に行うことができ、シームレスなパノラマ画像を生成することができる。そのため、前記評価値は本発明に係る撮像レシピ作成装置123,1112(1116)がSEPや撮像シーケンスを決定する際の判断基準の一つとなる。
【0054】
SEP間のxy方向位置合せを行うためには、xy方向に撮像ずれが発生したとき、前記撮像すれが検知できるように、図10(a)に示すように、SEP701、702間の重複領域703(ハッチングを施した領域)内にxy方向にのびるパターンエッジが含まれていることが望ましい(主にx方向にのびるエッジはパターン704、y方向ののびるエッジはパターン705に含まれている)。このようにxy方向にのびるエッジが十分含まれる重複領域に高い評価値を与える評価方法が考えられる。
【0055】
しかしながら一つの重複領域内にxy両方向に変化するパターンが含まれるようにSEPを設定することが困難な場合もある。そこで、図10(b)に示すように、SEP706の位置合せに関してx方向の位置合せはSEP708の重複領域(y方向にのびるパターン712を含む)で、y方向の位置合せはSEP707の重複領域(x方向にのびるパターン710を含む)で行うことによってxy両方向に対し位置合せを行うことができる。このように複数の重複領域を用いて位置合せ可能な重複領域にも高い評価値を与えるような評価方法が考えられる。
【0056】
SEP画像において画像の歪み補正を行う場合には、SEP間の重複領域に位置合せ可能なパターンが満遍なく分布していることが望ましい。図10(c)には、隣り合う二つのSEPの撮像画像713、714を示す。本実施例では両画像に大きな歪みが発生している。図10(d)は撮像画像713、714を繋ぎ合わせた結果である。重複領域はハッチングを施した領域721であり、図10(c)における2つのパターン715、718は繋がれて図10(d)においてはパターン722となっている。2つのパターン716、719とパターン723、および2つのパターン717、720とパターン724の関係も同様である。図10(d)に示すように両画像713、714が適切に歪み補正され、繋ぎ合わせることができたのは、重複領域721内に満遍なく位置合せ可能なパターンが分布していたためである(例えば図10(b)内の重複領域709のみを用いてSEP706、707の歪み補正を行うことは難しいかもしれない)。このようにパターンの分布も重複領域の評価値に反映することが考えられる。
【0057】
また、本発明は、重複領域内に含まれるパターンを評価する際には撮像ずれを考慮することを特徴とする。すなわち、図11(a)に示すように、x方向の撮像ずれ802a、y方向の撮像ずれ802bが発生した場合、指定したSEP撮像位置801に対し、実際の撮像位置は点線枠で示す803となる。そのため図11(a)においてハッチングを施した領域内に他のSEPとの重複領域が存在し、かつ前記ハッチングを施した領域内の重複領域に含まれるパターンを頼りに繋ぎ合せ処理を行うことを想定していた場合、同繋ぎ合せ処理は失敗することになる(撮像ずれにより、繋ぎ合せ処理に用いることを想定していたパターンが重複領域外となってしまうため)。そこで、本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、図11(b)に示すようにSEP801の周辺から幅804の禁止領域805(点線枠で表示)を設定し、SEP周辺から点線枠の間のパターンを評価しないことによって幅804の撮像ずれに対してもロバストなSEPを選択することが可能となる。図11(b)にはもう一つのSEP806を表示しているが、前記SEP806に対しても禁止領域807を設けることにより、SEP801、806間の繋ぎ合わせ処理の手掛かりとして評価するパターンは同図内のハッチングを施した領域内に含まれるパターンのみとする。幅804の値としては、予想される撮像ずれ量を用いることができる。またSEM画像の周辺近傍は不安定になることがあり、計測には用いられないことがある。そのため、前記周辺近傍を幅804の値として用いてもよい。更に前記予想撮像ずれ量と前記周辺近傍の大きい方を幅804の値として用いてもよい。
3.3 SEPのセル/チップへの分配
本発明に係る撮像レシピ作成装置123、1112(1116)は、SEP間の重複領域におけるコンタミネーションの発生を低減するため、分割された複数のSEPの決定(S55)において該複数のSEPの撮像位置を、試料上における同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上の座標に分配することを特徴とする。図12(a)はEP901のパノラマ画像を得るために設定された9個のSEP902−1〜902−9を示している。しかしながら、前記SEP902−1〜902−9間の重複領域は少なくとも二回以上撮像されることからコンタミネーションが多く発生する。そこで図12(b)に示すようにSEP902−1〜902−9の撮像位置をそれぞれチップ904−1〜904−9上に分配する。ウェーハ903上に並ぶ各チップには同じ設計のパターンが繰り返し作成されているので、撮像過程において各チップにおいてそれぞれのSEPに対応する位置で撮像することができ、重複領域におけるコンタミネーションの発生を低減できる。
【0058】
また、パターンのできばえは面内で異なる場合があることを考慮すると、前記分配はなるべく局所的な範囲で行うことが望ましい。そこで、本発明によれば、チップに変わってチップ内で繰り返されるセルに対して複数のSEPの撮像位置を分配してもよい。また分配するSEPの組合せにはバリエーションがありうる。即ち、本発明によれば、図12(b)に示したように各SEPを全て異なるセルあるいはチップに分配してもよいし、例えば図13(a)(b)に示すように、市松状にSEPを組み合わせて撮像位置を分配してもよい。同図では、撮像過程において、SEP902−1、902−3、902−5、902−7、902−9を一つの組合せ(セット1)として、あるセルあるいはチップで撮像し、残るSEP902−2、902−4、902−6、902−8をもう一つの組合せ(セット2)として前記あるセルあるいはチップとは異なるセルあるいはチップで撮像する。このように撮像することにより、セット1に含まれるSEP間の重複領域、またセット2に含まれるSEP間の重複領域においてはコンタミネーションが多く発生するが、残りの重複領域におけるコンタミネーションの発生は抑えることができる。このようなSEPのセットの組合せは任意に設定可能である。
3.4 複数のパノラマ画像生成
本発明に係る画像処理装置124、1113(1116)は、モザイク処理過程においてパノラマ画像の生成を試料上における同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上で行い、複数のパノラマ画像を生成することを特徴とする。その結果、例えば図14に示すように3つのチップ1002−1〜1002−3においてそれぞれ画像撮像してパノラマ画像を生成し、前記パノラマ画像から対応する3つの輪郭線1003−1〜1003−3を取得することができる(前記輪郭線は説明のためパノラマ撮像領域内に含まれる1パターンを抜き出したもの)。各輪郭線はエッジラフネス等に起因して形状に多少のばらつきがある。そこで前記3つの輪郭線1003−1〜1003−3を平均化し、よりばらつきの少ない輪郭線1004を得ることを特徴とする。
【0059】
また、SEP間の重複領域における輪郭線の精度はコンタミネーションの度合いや繋ぎ合せ精度等の問題から他の部位の輪郭線に対して検出精度が低下する危険性が高い。そこで、本発明に係る画像処理装置124、1113(1116)は、前述の複数のパノラマ画像生成において、前記複数のパノラマ画像毎に構成するSEPの繋ぎ合せ位置を変えることを特徴とする。重複領域の異なるSEP分割実施例を図15(a)(b)に示す。同一のEP1005を図15(a)ではSEP1006−1〜1006−9のように、図15(b)ではSEP1007−1〜1007−9のように分割している。図15(a)の重複領域と図15(b)の重複領域とは一部重複するものの、その面積は少なく、平均化により繋ぎ合せ誤差等を低減することができる。図15(c)には図15(a)と図15(b)とを対応する座標で重ね合わせた様子を示す。図15(c)内の黒で塗りつぶした領域が図15(a)の重複領域と図15(b)の重複領域との重複領域である。
【0060】
また、図15(d)に示すように、図12及び図13を用いて説明したSEPの分配と図14及び図15を用いて説明した複数のパノラマ画像生成を組み合わせることができる。すなわち、図15(d)は一つのパノラマ画像を構成する9つのSEPをチップ1010−1〜1010−9に分配して撮像し、同様の撮像をチップ1011−1〜1011−9においても行うことにより(1010−a、1011−bにおいて添え字のa、bが等しいチップにおいてはチップ座標での相対位置が同じSEPを撮像)、同じ設計のパターンをもつ2つのパノラマ画像を生成する実施例である。
5. GUI
本発明における入力・出力情報の設定あるいは表示を行う処理端末126,118等のGUIの実施例を図16に示す。図16中のウィンドウ1201内に一画面で描画された各種情報は任意の組合せでウィンドウに分割してディスプレイ等に表示することができる。また、図16中の**はシステムに入力された、あるいは出力された任意の数値(あるいは文字列)や数値の範囲であることを示す。
【0061】
ボックス1204においてEPのサイズ・座標や撮像条件を表示している。ウィンドウ1205においてSEPの数、サイズ、撮像条件、撮像位置のチップIDを表示している。ウィンドウ1206において撮像シーケンスを表示している。具体的には、撮像ポイントのサイズ・座標、撮像条件、チップID、撮像順等である。ウィンドウ1207においてSEPおよび撮像シーケンスの決定条件を表示している。具体的には、ステージ/イメージシフト予想誤差、アドレッシング後の予想撮像ずれ量、重複領域幅、重複領域内エッジ量等である。ウィンドウ1208内のチェックボックスにおいて、調整テンプレートの設定有無、撮像順の最適化有無、SEP撮像位置のセル/チップへの分配有無等を表示している。必要に応じて前述の1204〜1208の設定項目の一部又は全てを設定し、SEP決定ボタン1209、撮像シーケンス決定ボタン1210を押すことにより、前記設定項目に基づきそれぞれSEP、撮像シーケンスを決定することができる。前述の1204〜1208の設定項目は必ずしも全て指定する必要はなく、システムは指定された項目を満たすようにSEPや撮像シーケンスを決定し、また指定しなかった項目については必要に応じてシステム内部で推定・設定することができる。そのため、ボックス・ウィンドウ・チェックボックス1204〜1208は、パラメータの入力手段にも、システム内部で設定したパラメータの表示手段にもなる。決定したSEPや撮像シーケンスは可視化されてウィンドウ1202に表示することができる。ウィンドウ1202内の図は図6(a)と同じであるため説明は省略する。
【0062】
また、ウィンドウ1203に生成したパノラマ画像等の対象パターンの表示や、前記対象パターンと比較パターンとのオーバレイ表示が可能である。前記対象パターンとして、撮像画像(SEP画像/パノラマ画像)、画像より抽出した輪郭線、複数のパノラマ画像を用いて算出した平均化輪郭線等をウィンドウ1211により選択し、表示することができる。また、前記比較パターンとして、マスク設計データ(OPCなし/OPCあり)、ウェーハ転写パターン設計データ、シミュレーションパターン等をウィンドウ1212により選択し、対象パターンに対しオーバレイ表示することができる。また、画像出力ボタン1213、輪郭線画像出力ボタン1214、輪郭線座標出力ボタン1215を押すことにより、それぞれのデータを出力することができる。
【0063】
図17に図16中のウィンドウ1203に表示される情報を拡大表示する。図17(a)は、マスク上のEP1301を観察した場合のパノラマ画像(撮像画像)あるいは輪郭線1302(実線で表示)とマスクの設計データ1303(点線で表示)とのオーバレイ表示である。図17(b)は、ウェーハ上のEP1304を観察した場合のパノラマ画像(撮像画像)あるいは輪郭線1305(実線で表示)とウェーハ上に転写されるパターンの設計データ1306(点線で表示)とのオーバレイ表示である。
【0064】
以上の実施例では、パノラマ画像を生成した後、前記パノラマ画像から回路パターンの輪郭線を抽出することによって広域な輪郭線情報を取得する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のSEPの撮像画像から輪郭線群を抽出し、その後に前記輪郭線群を繋ぎ合せることによって広域な輪郭線情報を取得してもよい。
【0065】
また、以上説明した実施例は、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いたシステムについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、走査型イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope:SIM)又は走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)等の走査荷電粒子顕微鏡に応用することが可能である。
【0066】
以上説明した本発明に係る実施の形態によれば、マスクを観測して得られたパノラマ画像からマスク上に生成されたパターン形状を得ることができ、前記パターン形状を入力としてウェーハ上に転写されるパターン形状の高精度なシミュレーション予測を実現する。また、本発明に係る実施の形態によれば、前記マスク上に生成されたパターン形状とマスクの設計データ等との比較により、製造誤差の算出や、製造条件へのフィードバックを実現する。
【0067】
また、本発明に係る実施の形態によれば、ウェーハを観測して得られたパノラマ画像からウェーハ上に生成されたパターン形状を得ることができ、生成パターンの設計データ等との比較により、製造誤差の算出や、露光条件等の製造パラメータへのフィードバック、更に製造パラメータの変更で修正しきれない形状誤差に対してはマスクパターンの変更等を実施し、高い歩留まりを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
半導体デバイスの微細化・高密度化に伴う設計マージンの減少等により、光近接効果補正(Optical Proximity Correction:OPC)に代表される超解像度露光技術が導入されている。これに伴うマスクパターンの複雑化によりウェーハ上に転写されるパターン形状のシミュレーション予測や、実際に転写されたパターン形状の検査がより重要となっている。本発明は、走査荷電粒子顕微鏡を用いて広視野・高分解能な画像を取得するための方法を提供する。前記広視野・高分解能な画像や前記画像を用いたパターン形状の検査により半導体デバイスパターンの設計や製造プロセスへのフィードバックが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るパノラマ画像合成に用いられるSEM装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】(a)(b)は、本発明に係るSEM装置において半導体ウェーハ上から放出される電子の信号量を画像化する方法を示す図である。
【図3】(a)(b)は、夫々本発明に係るパノラマ画像合成に用いられる装置システムの一実施の形態を示す構成図である。
【図4】(a)は本発明に係るSEM装置の撮像シーケンスの一実施例を示す図であり、(b)は本発明に係るSEPからのイメージシフト可能領域上に配置される調整ポイントの一実施例を示す図である。
【図5】本発明に係るパノラマ画像合成における処理全体のフローの一実施の形態を示す図である。
【図6】本発明に係る評価ポイント(EP)を局所撮像領域(SEP)に分割する方法の説明図で、(a)はOPCなしのマスクパターンの一部を表示した一実施例を示す図であり、(b)は(a)にOPCを施したパターンの一実施例を示す図であり、(c)は広域のEPに対して複数のSEPを格子状に配置した一実施例を示す図であり、(d)は隣り合うSEP間には重複領域があり、該重複領域内にはパターンのエッジが含まれるように複数のSEPが決定される場合を示す図である。
【図7】本発明に係るパノラマ画像合成においてEPのパノラマ画像を得るために設定された複数のSEPに対応して複数の調整ポイントを配置した場合を簡素化して示す図である。
【図8】図7に示すように複数のSEPと複数の調整ポイントとを配置したパノラマ画像合成において、(a)は本発明に係る撮像シーケンスの比較例を示す図であり、(b)は本発明に係る撮像シーケンスを最適化した一実施例を示す図である。
【図9】本発明に係る撮像シーケンスの最適化項目の一つであるSEPにおいてパターンエッジを鮮明に画像化する撮像条件の説明図である。
【図10】本発明に係る隣り合うSEP間の重複領域における繋ぎ合せ処理の評価方法の説明図である。
【図11】本発明に係る隣り合うSEP間の重複領域における撮像ずれを考慮した繋ぎ合せ処理の評価方法の説明図である。
【図12】(a)はEPのパノラマ画像を得るために設定された複数のSEPを示す図であり、(b)は本発明に係る複数のSEPの撮像位置を異なるセルあるいはチップに分配する方法の一実施例を示す図である。
【図13】(a)(b)は本発明に係る複数のSEPの撮像位置を市松状に分配する方法の一実施例を示す図である。
【図14】本発明に係る複数のパノラマ画像を生成する方法の一実施例を示す図である。
【図15】(a)及び(b)は重複領域の異なるSEP分割実施例を示す図であり、(c)は(a)と(b)とを対応する座標で重ね合わせた様子を示す図であり、(d)は図12及び図13を用いて説明したSEPの分配と図14及び図15を用いて説明した複数のパノラマ画像生成とを組み合わせた実施例を示す図である。
【図16】本発明に係るパノラマ画像合成において、処理端末等に表示されるGUI画面の一実施例を示す図である。
【図17】図16中のウィンドウに表示される情報を拡大表示して示す図である。
【符号の説明】
【0070】
101…半導体ウェーハ、102…電子光学系、103…電子銃、104…電子線(一次電子)、105…コンデンサレンズ、106…偏向器、107…ExB偏向器、108…対物レンズ、109…二次電子検出器、110、111…反射電子検出器、112〜114…A/D変換器、115…処理・制御部、116…CPU、117…画像メモリ、118、126…処理端末、119…ステージコントローラ、120…偏向制御部、121…ステージ、122…ステージチルト角、123…撮像レシピ作成装置、124…画像処理装置、125…形状計測・評価ツールサーバ、127…データベース(ストレージ)、
201〜206…収束電子線の入射方向、207…試料表面、208…画像座標系、209…画像、308…SEPからのイメージシフト可動範囲、309…SEP、310…AP、311…AF、312…AST、313…ABCC、501…EP、502−1〜502−9、503−1〜503−9…SEP、601、606、609…EP、602−1〜602−9…SEP、603−1〜603−9…AF、604−1、604−2…AP、605−1、605−2…電子ビーム垂直入射位置、607、610…回路パターン、608、611…電子ビーム走査、701、702、706〜708、713、714…EP、704、705、710、712、715〜720、722〜724…回路パターン、801、806…EP、802a、802b…撮像ずれ、803…実際のEP撮像位置、804…禁止領域幅、805、807…禁止領域、901…EP、902−1〜902−9…SEP、903…ウェーハ、904−1〜904−9…チップ、1001、1009…ウェーハ、1002−1〜1002−3、1010−1〜1010−3、1011−1〜1011−3…チップ、1003−1〜1003−3…輪郭線、1004…平均輪郭線、1005…EP、1006−1〜1006−9、1007−1〜1007−9…SEP、1101…マスクパターン設計装置、1102…マスク描画装置、1103…露光・現像装置、1104…エッチング装置、1105、1007…SEM装置、1106、1108…SEM制御装置、1109…EDAツールサーバ、1110…データベースサーバ、1111…データベース、1112…撮像レシピ作成装置、1113…画像処理装置、1114…形状計測・評価ツールサーバ、1115…ネットワーク、1115…EDAツール、データベース管理、撮像レシピ作成、画像処理、形状計測・評価ツール、SEM制御用統合サーバ&演算装置、1201…GUI画面、1202…SEP・撮像シーケンス表示画面、1203…対象パターン・比較パターン表示画面、1204…EPサイズ・座標・撮像条件情報表示ボックス、1205…SEP情報表示ウィンドウ、1206…撮像シーケンス表示ウィンドウ、1207、1208…SEP/撮像シーケンス決定条件設定ウィンドウ、1209…SEP決定ボタン、1210…撮像シーケンス決定ボタン、1211…対象パターン表示設定ウィンドウ、1212…比較パターン表示設定ウィンドウ、1213…画像出力ボタン、1214…輪郭線画像出力ボタン、1215…輪郭線座標出力ボタン、
1301、1304…EP、1302…マスク上の撮像画像、1305…ウェーハ上の撮像画像、1303…マスク上の設計データ、1306…ウェーハ上の設計データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上における広視野の撮像領域を決定する領域決定ステップと、該領域決定ステップで決定された試料上における広視野の撮像領域を複数の局所撮像領域に分割して決定する局所領域決定ステップと、該局所領域決定ステップで分割して決定された複数の局所撮像領域の各々を撮像するための該各局所撮像領域に対応する調整ポイントの配置を決定する調整ポイント決定ステップと、前記局所領域決定ステップで分割して決定された前記各局所撮像領域及び前記調整ポイント決定ステップで配置が決定された前記各調整ポイントの撮像順を決定する撮像順決定ステップとを有し、前記各局所撮像領域の座標及び前記各調整ポイントの座標並びに前記各局所撮像領域及び前記各調整ポイントの撮像順からなる撮像シーケンスを撮像レシピとして作成する撮像レシピ作成過程と、
該撮像レシピ作成過程で作成された撮像レシピに基づき前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記試料上における前記複数の局所撮像領域の各々を順に撮像する撮像過程と、
該撮像過程において順に撮像した局所撮像領域画像群を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成するモザイク処理過程とを有し、
前記撮像レシピ作成過程において、さらに、任意の局所撮像領域に対して撮像範囲が重複するように調整ポイントの配置が決定された場合には、前記撮像順決定ステップにおいて、該重複する調整ポイントに対応する局所撮像領域以外の各局所撮像領域については、該各局所撮像領域用の調整ポイントでの調整直後に前記各局所撮像領域での撮像を行う条件を満たしつつ、前記重複する調整ポイントに対応する局所撮像領域については、前記任意の局所撮像領域を撮像した後において前記重複する調整ポイントでの調整直後に撮像を行うように前記撮像シーケンスを前記撮像レシピとして作成することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項2】
前記撮像レシピ作成過程において、前記局所領域決定ステップにおいて決定する前記局所撮像領域への分割、前記調整ポイント決定ステップにおいて決定する調整ポイントの配置、及び前記撮像順決定ステップにおいて決定する前記各調整ポイント及び前記各局所撮像領域の撮像順の決定の一部又は全てを前記試料上に形成された回路パターンの設計データを基に行うことを特徴とする請求項1に記載の走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項3】
前記撮像レシピ作成過程の前記局所領域決定ステップにおいて、隣り合う局所撮像領域間には重複領域があり、該重複領域内には隣り合う局所撮像領域間の位置合せ量若しくは画像の歪み補正量を決定する手掛かりとなるパターンのエッジが含まれるように前記複数の局所撮像領域を決定することを特徴とする請求項1に記載の走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項4】
前記撮像レシピ作成過程の前記局所領域決定ステップにおいて、前記パターンのエッジが前記重複領域内に含まれるかを評価する際、前記局所撮像領域撮像時の予想撮像ずれ量を入力し、該入力された前記予想撮像ずれ量分の撮像ずれが発生しても前記重複領域外にならないパターンのエッジのみを評価することを特徴とする請求項3に記載の走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項5】
前記撮像レシピ作成過程の前記局所領域決定ステップにおいて、局所撮像領域間の重複領域内に含まれるパターンのエッジ、前記各調整ポイントの配置並びに前記各調整ポイント及び前記各局所撮像領域の撮像順を基に前記各局所撮像領域を決定することを特徴とする請求項1に記載の走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項6】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上における広視野の撮像領域を決定する領域決定ステップと、該領域決定ステップで決定された試料上における広視野の撮像領域を複数の局所撮像領域に分割して決定する局所領域決定ステップと、該局所領域決定ステップで分割して決定された複数の局所撮像領域の各々を撮像するための該各局所撮像領域に対応する調整ポイントの配置を決定する調整ポイント決定ステップと、前記局所領域決定ステップで分割して決定された前記各局所撮像領域及び前記調整ポイント決定ステップで配置が決定された前記各調整ポイントの撮像順を決定する撮像順決定ステップとを有し、前記各局所撮像領域の座標及び前記各調整ポイントの座標並びに前記各局所撮像領域及び前記各調整ポイントの撮像順からなる撮像シーケンスを撮像レシピとして作成する撮像レシピ作成過程と、
該撮像レシピ作成過程で作成された撮像レシピに基づき前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記試料上における前記複数の局所撮像領域の各々を順に撮像する撮像過程と、
該撮像過程において順に撮像した局所撮像領域画像群を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成するモザイク処理過程とを有し、
前記撮像レシピ作成過程の前記局所領域決定ステップにおいて、前記分割された複数の局所撮像領域を、さらに、前記試料上における同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上の座標に分配して決定することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項7】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上における広視野の撮像領域を決定する領域決定ステップと、該領域決定ステップで決定された試料上における広視野の撮像領域を複数の局所撮像領域に分割して決定する局所領域決定ステップと、該局所領域決定ステップで分割して決定された複数の局所撮像領域の各々を撮像するための該各局所撮像領域に対応する調整ポイントの配置を決定する調整ポイント決定ステップと、前記局所領域決定ステップで分割して決定された前記各局所撮像領域及び前記調整ポイント決定ステップで配置が決定された前記各調整ポイントの撮像順を決定する撮像順決定ステップとを有し、前記各局所撮像領域の座標及び前記各調整ポイントの座標並びに前記各局所撮像領域及び前記各調整ポイントの撮像順からなる撮像シーケンスを撮像レシピとして作成する撮像レシピ作成過程と、
該撮像レシピ作成過程で作成された撮像レシピに基づき前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記試料上における前記複数の局所撮像領域の各々を順に撮像する撮像過程と、
該撮像過程において順に撮像した局所撮像領域画像群を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成するモザイク処理過程とを有し、
前記撮像過程及び前記モザイク処理過程において、前記複数の局所撮像領域の各々の撮像及び前記パノラマ画像の生成を、前記試料上における同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上で行うことによって、複数のパノラマ画像を生成することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項8】
前記複数のパノラマ画像の各々を生成するための前記局所撮像領域の配置は、前記撮像を行う複数のセルあるいは複数のチップ毎に異なることを特徴とする請求項7に記載の走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項9】
前記撮像レシピ作成過程の前記調整ポイント決定ステップにおいて、配置を決定する調整ポイントには、アドレッシング点あるいはオートフォーカス点あるいはオートスティグマ点あるいはオートブライトネス・コントラスト点あるいは倍率調整点の一部または全てを含むことを特徴とする請求項1に記載の走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成方法。
【請求項10】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上における広視野の撮像領域を決定する領域決定手段と、該領域決定手段で決定された試料上における広視野の撮像領域を複数の局所撮像領域に分割して決定する局所領域決定手段と、該局所領域決定手段で分割して決定された複数の局所撮像領域の各々を撮像するための該各局所撮像領域に対応する調整ポイントの配置を決定する調整ポイント決定手段と、前記局所領域決定手段で分割して決定された前記各局所撮像領域及び前記調整ポイント決定手段で配置が決定された前記各調整ポイントの撮像順を決定する撮像順決定手段とを有し、前記各局所撮像領域の座標及び前記各調整ポイントの座標並びに前記各局所撮像領域及び前記各調整ポイントの撮像順からなる撮像シーケンスを撮像レシピとして作成する撮像レシピ作成装置と、
該撮像レシピ作成装置で作成された撮像レシピに基づき前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記試料上における前記複数の局所撮像領域の各々を順に撮像する撮像装置と、
該撮像装置により順に撮像した局所撮像領域画像群を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成する画像処理装置とを備え、
前記撮像レシピ作成装置において、さらに、任意の局所撮像領域に対して撮像範囲が重複するように調整ポイントの配置が決定された場合には、該重複する調整ポイントに対応する局所撮像領域以外の各局所撮像領域については、該各局所撮像領域用の調整ポイントでの調整直後に前記各局所撮像領域での撮像を行う条件を満たしつつ、前記重複する調整ポイントに対応する局所撮像領域については、前記任意の局所撮像領域を撮像した後において前記重複する調整ポイントでの調整直後に撮像を行うように前記撮像シーケンスを前記撮像レシピとして作成することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成装置。
【請求項11】
前記撮像レシピ作成装置において、前記局所領域決定手段により決定する前記局所撮像領域への分割、前記調整ポイント決定手段により決定する調整ポイントの配置、及び前記撮像順決定手段により決定する前記各調整ポイント及び前記各局所撮像領域の撮像順の決定の一部又は全てを前記試料上に形成された回路パターンの設計データを基に行うことを特徴とする請求項10に記載の走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成装置。
【請求項12】
前記撮像レシピ作成装置の前記局所領域決定手段において、隣り合う局所撮像領域間には重複領域があり、該重複領域内には隣り合う局所撮像領域間の位置合せ量若しくは画像の歪み補正量を決定する手掛かりとなるパターンのエッジが含まれるように前記複数の局所撮像領域を決定することを特徴とする請求項10に記載の走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成装置。
【請求項13】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上における広視野の撮像領域を決定する領域決定手段と、該領域決定手段で決定された試料上における広視野の撮像領域を複数の局所撮像領域に分割して決定する局所領域決定手段と、該局所領域決定手段で分割して決定された複数の局所撮像領域の各々を撮像するための該各局所撮像領域に対応する調整ポイントの配置を決定する調整ポイント決定手段と、前記局所領域決定手段で分割して決定された前記各局所撮像領域及び前記調整ポイント決定手段で配置が決定された前記各調整ポイントの撮像順を決定する撮像順決定手段とを有し、前記各局所撮像領域の座標及び前記各調整ポイントの座標並びに前記各局所撮像領域及び前記各調整ポイントの撮像順からなる撮像シーケンスを撮像レシピとして作成する撮像レシピ作成装置と、
該撮像レシピ作成装置で作成された撮像レシピに基づき前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記試料上における前記複数の局所撮像領域の各々を順に撮像する撮像装置と、
該撮像装置により順に撮像した局所撮像領域画像群を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成する画像処理装置とを備え、
前記撮像レシピ作成装置の前記局所領域決定手段において、前記分割された複数の局所撮像領域を、さらに、前記試料上における同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上の座標に分配して決定することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成装置。
【請求項14】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上における広視野の撮像領域を決定する領域決定手段と、該領域決定手段で決定された試料上における広視野の撮像領域を複数の局所撮像領域に分割して決定する局所領域決定手段と、該局所領域決定手段で分割して決定された複数の局所撮像領域の各々を撮像するための該各局所撮像領域に対応する調整ポイントの配置を決定する調整ポイント決定手段と、前記局所領域決定手段で分割して決定された前記各局所撮像領域及び前記調整ポイント決定手段で配置が決定された前記各調整ポイントの撮像順を決定する撮像順決定手段とを有し、前記各局所撮像領域の座標及び前記各調整ポイントの座標並びに前記各局所撮像領域及び前記各調整ポイントの撮像順からなる撮像シーケンスを撮像レシピとして作成する撮像レシピ作成装置と、
該撮像レシピ作成装置で作成された撮像レシピに基づき前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記試料上における前記複数の局所撮像領域の各々を順に撮像する撮像装置と、
該撮像装置により順に撮像した局所撮像領域画像群を画像処理により繋ぎ合わせてパノラマ画像を生成する画像処理装置とを備え、
前記撮像装置及び前記画像処理装置において、前記複数の局所撮像領域の各々の撮像及び前記パノラマ画像の生成を、前記試料上における同一のパターン構造をもつ複数のセルあるいは複数のチップ上で行うことによって、複数のパノラマ画像を生成することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡を用いたパノラマ画像合成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−67516(P2010−67516A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233720(P2008−233720)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】