説明

走行履歴蓄積システム、方法およびプログラム

【課題】正確に車両の動作や車両に影響を与える信号機を予測可能な情報を作成すること。
【解決手段】車両の停止位置を示す停止位置情報を取得し、前記停止位置より前方の最も近い最近接信号交差点における信号機の点灯パターンと前記最近接信号交差点に対する前記車両の進入方向とを対応づけて最近接信号交差点情報として取得し、前記最近接信号交差点より前方の前方信号交差点における信号機の点灯パターンと前記前方信号交差点が存在する道路上での前記車両の動作とを対応づけて前方信号交差点情報として取得し、前記最近接信号交差点情報と前記前方信号交差点情報とを対応づけて所定の記憶媒体に蓄積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行履歴を蓄積する走行履歴蓄積システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、信号交差点の通過コストを設定し、当該通過コストに基づいて経路探索を行う技術が知られており、例えば、特許文献1には、信号機の有無や信号機における矢印信号の有無に応じて経路探索用のコスト情報を設定する技術が知られている。
【特許文献1】特開2005−321360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術においては、車両の動作や車両の動作に影響を与える信号機を正確に予測可能な情報を作成することができなかった。すなわち、現実の信号交差点の周辺における車両の動作は、信号機の有無や矢印信号の有無のみならず、信号機の点灯パターンや信号交差点に対する車両の進入方向に依存して変動する。従って、信号機の有無や矢印信号の有無のみに基づいて信号交差点やその周辺の道路における車両の走行の様子を正確に予測することは困難である。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、車両の動作や車両の動作に影響を与える信号機を正確に予測可能な情報を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため、本発明においては、停止位置情報が示す停止位置よりも前方の最も近い最近接信号交差点における信号機の点灯パターンと最近接信号交差点に対する車両の進入方向とを対応づけて最近接信号交差点情報として取得する。また、最近接信号交差点より前方の前方信号交差点における信号機の点灯パターンと前方信号交差点が存在する道路上での前記車両の動作とを対応づけて前方信号交差点情報として取得する。そして、最近接信号交差点情報と前方信号交差点情報とを対応づけて所定の記憶媒体に蓄積させる。
【0005】
この結果、最近接信号交差点をキーにして最近接信号交差点情報を参照し、当該最近接信号交差点情報に対応した前方信号交差点情報を参照できるように所定の記憶媒体に情報が蓄積されることになる。すなわち、車両が最近接信号交差点に対して特定の進入方向で進入し、最近接信号交差点が特定の点灯パターンであったときに、最近接信号交差点をキーにして最近接信号交差点情報を参照して上述の特定の進入方向、特定の点灯パターンに合致した最近接信号交差点情報が存在するか否かを判別することができる。そして、当該最近接信号交差点情報に対応する前方信号交差点情報を参照すると、最近接信号交差点における進入方向と点灯パターンに対応した、前方信号交差点における信号機の点灯パターンと前方信号交差点が存在する道路上での車両の動作の履歴を参照することができる。従って、この履歴に基づいて車両の動作や車両の動作に影響を与える信号機を正確に予測することが可能である。
【0006】
停止位置情報取得手段においては、車両の停止位置を示す停止位置情報を取得することができれば良く、停止位置自体を直接的あるいは間接的に特定するための情報であっても良いし、停止位置が所定の範囲内であることを特定するための情報(例えば、特定のリンク内で停止したことを示す情報)であってもよく、種々の構成を採用可能である。なお、ここでは、車両が停止したと見なせる所定の基準を満たしているときに車両が停止したとして停止位置を特定すれば良く、所定の基準としては、例えば、車両の速度が略0km/hとなっている状態であることや、所定速度(例えば、5km/h)以下となっている状態が所定時間以上継続していることなどが挙げられる。
【0007】
最近接信号交差点情報取得手段は、最近接信号交差点情報を取得することができれば良く、公知の種々のセンサやカメラなどの出力情報や路車間通信によって最近接信号交差点における信号機の点灯パターンを特定可能である。また、公知の種々のセンサやカメラなどの出力情報や路車間通信、GPS信号や地図上での走行軌跡などによって最近接信号交差点に対する車両の進入方向を特定可能である。点灯パターンと進入方向とが特定されれば、両者を対応づけて最近接信号交差点情報を定義すればよい。
【0008】
なお、前方とは車両の走行軌跡において進行方向と同じ方向である。ここで、点灯パターンは、最近接信号交差点における信号機の点灯状態であり、最近接信号交差点を通過した後の車両の走行に影響を与え得る点灯パターンである。すなわち、最近接信号交差点における点灯パターンと進入方向とが特定の組み合わせであることによって最近接信号交差点を通過した後の車両が特定の動作を行うことが期待できる場合に、点灯パターンと進入方向とを対応づけて最近接信号交差点情報とする。
【0009】
前方信号交差点情報取得手段は、前方信号交差点情報を取得することができれば良く、公知の種々のセンサやカメラなどの出力情報や路車間通信等によって前方信号交差点における信号機の点灯パターンを特定可能である。また、公知の種々のセンサやカメラなどの出力情報や路車間通信、GPS信号や地図上での走行軌跡などによって前方信号交差点が存在する道路上での車両の動作を特定可能である。点灯パターンと車両の動作とが特定されれば、両者を対応づけて前方信号交差点情報を定義すればよい。
【0010】
なお、ここでの点灯パターンは、前方信号交差点における信号機の点灯状態であり、最近接信号交差点を通過した後の車両の走行に影響を与え得る点灯パターンである。また、前方信号交差点が存在する道路上での前記車両の動作は、最近接信号交差点における信号機の点灯パターンや進入方向、前方信号交差点における信号機の点灯パターン等によって影響された結果としての車両の動作である。なお、車両が走行する際には、ある時点での動作によってそれ以後の時点での動作が影響を受けるため、前方信号交差点が存在する道路上での車両の動作として、過去の車両の動作によって影響された結果としての車両の動作が含まれていても良い。例えば、前方信号交差点間の道路上での停止や、信号交差点の通過が車両の動作に相当する。むろん、車両の動作に関連する情報、例えば、当該動作を行う時刻などは車両の動作を示す情報に含まれ得る。従って、車両の動作を示す情報として、前方信号交差点の間の所要時間を取得する構成であっても良い。
【0011】
蓄積制御手段は、所定の記憶媒体に対する情報の蓄積を制御して最近接信号交差点情報と前方信号交差点情報とを対応づけて蓄積させることができれば良い。ここで、所定の記憶媒体と他の手段とは物理的に一体の装置であっても良いし、物理的に別の場所に存在するシステムであっても良い。後者としては、例えば、所定の記憶媒体を備えるサーバに対して通信によって情報を蓄積するシステムが挙げられる。
【0012】
さらに、走行履歴に対応した最近接信号交差点情報と前方信号交差点情報とを所定の記憶媒体に蓄積させる際に、走行履歴を取得する際の始点と終点とを規定して起点から終点までの走行履歴を取得する処理を繰り返しても良い。例えば、停止位置の前方で車両が再停止したときに再停止位置を示す再停止位置情報を取得し、再停止位置より前方の最も近い信号交差点を終点とする。すなわち、車両の走行軌跡において最近接信号交差点の次に存在する前方信号交差点から再停止位置より前方の最も近い前方信号交差点までの各信号交差点について前方信号交差点情報を取得する。
【0013】
この構成によれば、当該前方信号交差点情報と最近接信号交差点情報とによって、最初の停止位置から再停止位置の前方の最も近い前方信号交差点までの間の情報を構成することができる。むろん、再停止位置は、ある走行履歴を取得する際の終点を規定するための情報となるが、次の走行履歴を取得する際の情報にもなる。すなわち、再停止位置を最初の停止位置とし、当該位置より前方の最も近い最近接信号交差点について最近接信号交差点情報を取得していく処理を行うことで、車両の停止を契機にして情報をまとめて所定の記憶媒体に蓄積させることが可能である。
【0014】
さらに、最近接信号交差点情報に含まれる点灯パターンを示す情報として、停止位置において車両が停止してから最近接信号交差点を通過するまでの間における信号機の点灯状態の推移を示す情報を取得してもよい。すなわち、信号交差点においては、信号機の点灯状態を変動させることによって信号交差点において車両に対して許可する進行方向を制御しているため、信号機の点灯状態の推移(点灯状態の時間的変化)が異なるとその後の車両の動作が異なり得る。そこで、最近接信号交差点における信号機の点灯状態の推移を点灯パターンとして取得すれば、その後の車両の動作を正確に予測することが可能になる。
【0015】
なお、本発明のように、停止位置より前方の最も近い最近接信号交差点における信号機の点灯パターンと進入方向とに基づいて、前方信号交差点が存在する道路上での車両の動作を予測する情報を蓄積する手法は、この処理を行うプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような走行履歴蓄積システム、方法、プログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあれば、車両に搭載されない各部と連携して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、走行履歴蓄積システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)走行履歴蓄積システムの構成:
(2)走行履歴取得処理:
(3)走行履歴の構成例:
(4)走行履歴の利用例:
(5)他の実施形態:
【0017】
(1)走行履歴蓄積システムの構成:
(1−1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、車両11に備えられたナビゲーション装置10と道路情報の管理センタに設置された蓄積サーバ50とを含む構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20と記憶媒体30とを備えており、当該記憶媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実行可能である。当該ナビゲーションプログラム21によって、車両11の走行履歴を収集し、蓄積サーバ50に送信する走行履歴蓄積システムとしてナビゲーション装置10を機能させる。
【0018】
そのため車両11は、GPS受信部40と車速センサ41とジャイロセンサ42とカメラ43を備えている。GPS受信部40は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両11の現在位置を算出するための信号、および、現在日時を示す信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両11の現在位置および日時を取得する。車速センサ41は、車両11が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両11の速度を取得する。ジャイロセンサ42は、車両11の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両11の向きに対応した信号を出力する。制御部20は図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両11の走行方向を取得する。車速センサ41およびジャイロセンサ42は、GPS受信部40の出力信号から特定される車両11の現在位置を補正するためなどに利用される。また、車両11の現在位置は、後述する地図情報30aと照合することにより適宜補正される。カメラ43は、自車両の前方情報の空間を視野に含むように自車両に対して取り付けられており、撮影した画像を示す画像情報を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの画像情報を取得して画像認識処理を行い、信号機の点灯状態を特定する。
【0019】
ナビゲーションプログラム21は、停止位置情報取得部21aと最近接信号交差点情報取得部21bと前方信号交差点情報取得部21cと蓄積制御部21dとナビゲーション処理部21eとを備えており、記憶媒体30や制御部20におけるRAM等と協働する。また、記憶媒体30には、ナビゲーションプログラム21による上述の機能を実施するため地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、車両が走行する道路上に設定されたノードを示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路やその周辺に存在する地物を示すデータ等を含み、車両11の現在位置の特定や、目的地までの経路探索、目的地への経路案内等に利用される。なお、本実施形態において、ノードデータにはノードが対応する交差点が信号交差点であるか否かを示す情報が含まれる。
【0020】
停止位置情報取得部21aは、停止位置情報を取得する機能を制御部20に実現させる。すなわち、制御部20は、停止位置情報取得部21aの処理により、GPS受信部40、車速センサ41、ジャイロセンサ42の出力信号を取得し、当該出力信号に基づいて車両11の現在位置を示す情報を取得し、当該情報に基づいて車両11が停止したか否か、または、停止後に走行を開始したか否かを判別する。また、車両11が停止した場合には、停止位置を示す停止位置情報を取得する。ここで、停止位置情報は停止位置の前方の最も近い信号交差点である最近接信号交差点を特定可能な情報であれば良く、本実施形態において停止位置情報は停止位置が含まれるリンクを示す情報である。また、走行中に車両11が停止したか否かの判別は所定の基準に基づいて行われれば良く、本実施形態においては所定速度(例えば、5km/h)以下となっている状態が所定時間以上継続している場合に停止したと判別する。むろん、車両の速度が0km/hとなっているときに車両11が停止したと判別しても良いし、停止位置情報は停止位置自体を直接的あるいは間接的に示す情報であっても良い。また、車両11が停止後に走行を開始した場合とは、路上に駐車していた車両11にて電源を投入して走行を開始した場合および道路外の駐車場に駐車していた車両11にて電源を投入して走行を開始した場合を含む。また、前者の場合には駐車していた路上の位置を示す情報が停止位置情報となり、後者の場合には駐車場から道路に進入した際の道路上の位置を示す情報が停止位置情報となる。
【0021】
最近接信号交差点情報取得部21bは、最近接信号交差点における信号機の点灯パターンと最近接信号交差点に対する前記車両の進入方向とを対応づけて最近接信号交差点情報として取得する機能を制御部20に実現させる。すなわち、制御部20は、最近接信号交差点情報取得部21bの処理により、GPS受信部40、車速センサ41、ジャイロセンサ42の出力信号を取得し、当該出力信号に基づいて車両11の現在位置を示す情報を取得する。また、制御部20は、地図情報30aを参照して車両11の前方に存在する信号交差点を検索する。そして、制御部20は、上述の停止位置の前方に存在する最も近い信号交差点(1個目の交差点)を最近接信号交差点として特定し、車両11の現在位置に基づいて車両11が最近接信号交差点を通過したと判別されたときに、車両11の現在位置の推移(走行軌跡)に基づいて最近接信号交差点への車両11の進入方向を特定する。
【0022】
さらに、制御部20は、最近接信号交差点情報取得部21bの処理により、カメラ43の出力信号を取得し、当該出力信号に基づいて車両11の前方の最近接信号交差点における信号機の点灯パターンを取得する。本実施形態において最近接信号交差点における信号機の点灯パターンは、停止位置において車両が停止してから最近接信号交差点を通過するまでの間における信号機の点灯状態の推移を示す情報である。なお、本実施形態においては、最近接信号交差点情報に対して最近接信号交差点を通過した時間帯を示す情報が含まれている。
【0023】
前方信号交差点情報取得部21cは、前方信号交差点における信号機の点灯パターンと前方信号交差点が存在する道路上での車両の動作とを対応づけて前方信号交差点情報として取得する機能を制御部20に実現させる。すなわち、制御部20は、前方信号交差点情報取得部21cの処理により、最近接信号交差点より前方の道路上においてGPS受信部40、車速センサ41、ジャイロセンサ42の出力信号を取得し、当該出力信号に基づいて車両11の現在位置を示す情報を取得する。また、制御部20は、地図情報30aを参照し、車両11が存在する道路において当該車両11の前方に存在する最も近い信号交差点を検索する。
【0024】
そして、制御部20は、車両11より前方に存在する最も近い信号交差点(2個目以降の交差点)を前方信号交差点として特定する処理を行い、車両11の現在位置に基づいて車両11が前方信号交差点を通過したと判別されたときに、信号交差点間の所要時間を特定する。信号交差点を通過すると再度前方信号交差点の特定を行う。さらに、停止位置情報取得部21aの処理により、車両11の現在位置に基づいて車両11が停止したと判別されたとき、すなわち、上述の停止位置の前方で再停止したと判別されたとき、制御部20は、当該再停止した位置を示す再停止位置情報を取得する。ここでも、再停止位置情報は再停止位置が含まれるリンクを示す情報である。
【0025】
このとき制御部20は、前方信号交差点情報取得部21cの処理により、カメラ43の出力信号を取得し、当該出力信号に基づいて車両11の前方の前方信号交差点における信号機の点灯パターンを取得する。なお、車両11が前方信号交差点を通過した場合、当該前方信号交差点における信号機の点灯パターンは、前方信号交差点を通過した時点において当該前方信号交差点の信号機にて点灯していたランプの色を示す情報(現示情報)である。また、車両11が再停止した場合、当該前方信号交差点における信号機の点灯パターンは、車両11が再停止した時点で再停止位置より前方の最も近い前方信号交差点の信号機にて点灯していたランプの色を示す情報である。
【0026】
蓄積制御部21dは、最近接信号交差点情報と前方信号交差点情報とを対応づけて記憶媒体30に蓄積する機能を制御部20に実現させる。すなわち、制御部20は、蓄積制御部21dの処理により、最近接信号交差点情報取得部21bが取得した最近接信号交差点情報と前方信号交差点情報取得部21cが取得した前方信号交差点情報とを対応づけて記憶媒体30に蓄積する(図1に示す最近接信号交差点情報30b,前方信号交差点情報30c)。なお、同じ条件の下で複数組の最近接信号交差点情報,前方信号交差点情報が取得されたとき、記憶媒体30へ記録する所要時間を平均化するなど、統計的な処理を行って記憶媒体30に情報を記録しても良い。
【0027】
なお、本実施形態において蓄積制御部21dは、蓄積サーバ50に対して最近接信号交差点情報30b,前方信号交差点情報30cを送信し、蓄積サーバ50から最近接信号交差点情報30b,前方信号交差点情報30cを受信する機能を制御部20に実現させることが可能である。すなわち、蓄積制御部21dは外部機器と無線通信を行う図示しない通信部を制御する機能を制御部20に実現させる通信制御部21d1を備えており、蓄積サーバ50は外部機器と無線通信を行う図示しない通信部を備えている。また、蓄積サーバ50の記憶媒体51には複数の車両から収集し、統計的な処理がなされた最近接信号交差点情報51aと前方信号交差点情報51bとが記録されている。
【0028】
制御部20は通信制御部21d1の処理によって、蓄積サーバ50と通信を行うことが可能であり、制御部20は定期的に記憶媒体30から最近接信号交差点情報30b,前方信号交差点情報30cを取得して蓄積サーバ50に送信する。蓄積サーバ50においては送信された各情報を取得し、上述の統計的な処理を行って最近接信号交差点情報51aと前方信号交差点情報51bとを更新する。一方、制御部20は定期的に蓄積サーバ50と通信を行って最近接信号交差点情報51aと前方信号交差点情報51bとを取得して記憶媒体30における最近接信号交差点情報30b,前方信号交差点情報30cを更新する。
【0029】
ナビゲーション処理部21eは、車両11において経路案内を行う機能を制御部20に実現させる。すなわち、制御部20は、ナビゲーション処理部21eの処理によって、車両11を目的地までの経路に沿って走行するように案内するための情報を図示しない表示部やスピーカーから出力させる。本実施形態において制御部20は、この処理の過程において、最近接信号交差点情報30b,前方信号交差点情報30cを参照し、走行経路上に存在する信号交差点の信号機の点灯状態を推定して案内する。
【0030】
(2)走行履歴取得処理:
次に、以上の構成において実施される停止履歴取得処理および停止履歴蓄積処理について説明する。図2は、ナビゲーション装置10で実施される走行履歴取得処理を示すフローチャートである。この処理は、車両11が備えるスイッチにおいて電源が投入された後に実行され、電源がOFFとなるまで実行され続ける。この処理において制御部20は、停止位置情報取得部21aの処理により、1個目の信号交差点を通過したか否かを判別する(ステップS100)。
【0031】
すなわち、電源投入前において車両11は停止していたため、当該停止していた位置を停止位置とし、制御部20は、当該停止位置から走行を開始して始めて信号交差点を通過したか否かを判別する。ステップS100において、1個目の信号交差点を通過したと判別されないときにはステップS100の判別を続ける。
【0032】
ステップS100において1個目の信号交差点を通過したと判別されたとき、制御部20は当該1個目の信号交差点の通過時刻と進入方向と点灯パターンを記憶媒体30に記憶させる(ステップS105)。ここで制御部20は、まず、停止位置情報取得部21aの処理により、停止位置情報を取得する。すなわち、車両11が路上に駐車していた場合および走行の過程で停止した場合には当該停止位置が含まれるリンクを特定するための情報を停止位置情報として取得する。また、車両11が駐車場に駐車していた場合には、駐車場から道路に進入した際の道路上の位置が含まれるリンクを特定するための情報を停止位置情報として取得する。また、制御部20は、最近接信号交差点情報取得部21bの処理により、当該停止位置から走行を開始して始めて通過した1個目の信号交差点、すなわち、最近接信号交差点について進入方向と点灯パターンからなる最近接信号交差点情報30bを取得する。また、制御部20は、蓄積制御部21dの処理により、最近接信号交差点を記憶媒体30に記憶させる。なお、当該ステップS105の処理の後、走行経路に沿った信号交差点の順序を示す番号Nを1から2にインクリメントする。
【0033】
次に制御部20は、停止位置情報取得部21aおよび前方信号交差点情報取得部21cの処理により、車両11が再停止あるいはN個目の信号交差点通過のいずれかの動作を行なったか否かを判別する(ステップS110)。N個目の信号交差点を通過したと判別されたとき制御部20は、前方信号交差点情報取得部21cの処理により前方信号交差点情報30cを取得し、蓄積制御部21dの処理により最近接信号交差点と最近接信号交差点情報30bとを対応づけて記憶媒体30に記憶させる(ステップS115)。すなわち、制御部20は、(N−1)個目の信号交差点からN個目の信号交差点までの所要時間を取得する。また、通過したN個目の信号交差点の信号機の点灯パターンを取得し、所要時間および点灯パターンを示す情報を前方信号交差点情報30cとして記憶媒体30に記憶させる。そして、Nをインクリメントし(ステップS120)、ステップS110以降の処理を繰り返す。
【0034】
一方、車両11が再停止したと判別されたとき制御部20は、前方信号交差点情報取得部21cの処理により、再停止位置の前方の前方信号交差点に関する前方信号交差点情報30cを取得し、蓄積制御部21dの処理により最近接信号交差点情報30bと対応づけて記憶媒体30に記憶させる(ステップS125)。すなわち、制御部20は、(N−1)個目の信号交差点から再停止位置で停止するまでの所要時間を取得する。また、再停止位置の前方の最も近い前方信号交差点をN個目の信号交差点とし、当該信号交差点の信号機の点灯パターンを取得し、所要時間および点灯パターンを示す情報を前方信号交差点情報30cとして記憶媒体30に記憶させる。そして、Nを初期化し(ステップS130)、ステップS105以降の処理を繰り返す。すなわち、再停止した位置を最初の停止位置として最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30cを取得する処理を繰り返す。
【0035】
(3)走行履歴の構成例:
次に、以上の処理によって作成される走行履歴(最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30c)の例を説明する。図3Aは、1個目〜N個目の信号交差点I1,I2,I3,I4,,,INが存在する道路および当該道路上での車両11の走行履歴を例示する図である。同図3Aにおいては、信号交差点I1を一方のノードとするリンクで車両11が駐車しており(図3AのC0)、走行開始後に信号交差点I2,I3間のリンクで再停止し(図3AのC1)、再停止した後の走行開始後に信号交差点I(N-1),INをノードとするリンクで再停止した(図3AのC2)状態を示している。なお、図3Aにおいて信号交差点I(N-1)は図示されていない。
【0036】
車両11が駐車している状態C0から走行を開始すると図2に示すフローチャートが実行され、車両11が信号交差点I1を通過したことによってステップS105が実行されて信号交差点I1を最近接信号交差点とした最近接信号交差点情報30bが蓄積される。図4は、蓄積される情報の例を示しており、同図4に示す例においては、最近接信号交差点情報30bが左側に示され、その右隣に前方信号交差点情報30cが示されている。また、本実施形態においては、車両11が最近接信号交差点を通過した時間帯を示す情報も取得されており、図4に示すように、最近接信号交差点情報30bに含まれている。なお、図4においては各信号交差点についての情報を通過した順に左から右に並べて記載している。さらに、情報が記録されない場合には"−"を付しており、何らかの情報が記録され得る場合には"・・・"としている。
【0037】
図3Aに示す例のように1個目の信号交差点が信号交差点I1である場合には、信号交差点I1における信号機の点灯パターンと信号交差点I1に対する進入方向が最近接信号交差点情報30bとして蓄積される。この例において点灯パターンは、車両11が停止位置において停止してから信号交差点I1を通過するまでの間における信号機の点灯状態の推移を示す情報であり、当該点灯パターンと信号交差点I1への進入方向との組み合わせに対してより前方の前方信号交差点における動作を対応づけることで車両の動作を予測することになる。
【0038】
なお、当該点灯パターンと進入方向との組み合わせは、信号交差点I1付近の車両11の動作のパターンに対応しているため、当該車両11の動作に対してその後の前方信号交差点における動作を対応づけて車両の動作を予測する構成であるとも言える。例えば、最近接信号交差点情報30bにおいて、信号機L1の点灯パターンが"青"(図4に示す例では符号P1)、信号交差点I1への進入方向が"西から進入"(図4に示す例では符号D1)であったとき、図3Bに示すように、車両11が停止位置から走行を開始した後、道路上で移動し続け(図3Bに示す実線の矢印M)、信号機L1が青の状態(図3Bに示す信号機L1)で信号交差点I1を通過したことが推定される。なお、図3に示す例においては、車両11から見て信号機L1の右側の信号灯が赤、中央の信号灯が黄、左側の信号灯が青である。
【0039】
また、信号機L1の点灯パターンが"赤から青"、信号交差点I1への進入方向が"西から進入"であったとき、図3Cに示すように、信号機L1が赤の状態(図3Cに実線で示す信号機L1a)となったことで実線の矢印のように走行していた車両11が停止位置Saで停止し、信号機L1が青の状態(図3Cに破線で示す信号機L1b)となったことで破線の矢印Mbのように走行を開始して信号交差点I1を通過したことが推定される。なお、図3Cにおいては、添え字a,bおよび線種によって時間推移を示しており、例えば、添え字aで示す実線の信号機L1aに対応した車両の動作を実線の矢印および符号Sの添え字aで示し、添え字bで示す実線の信号機L1bに対応した車両の動作を破線の矢印および符号Mの添え字bで示している。
【0040】
さらに、信号機L1が矢印信号を含む信号機であり、点灯パターンが"赤から矢印"、信号交差点I1への進入方向が"西から進入"であったとき、図3Dに示すように、信号機L1が赤の状態(図3Dに実線で示す信号機L1a)となったことで実線の矢印のように走行していた車両11が停止位置Saで停止し、信号機L1が直進許可矢印を点灯した状態(図3Dに破線で示す信号機L1b)となったことで破線の矢印Mbのように走行を開始して信号交差点I1を通過したことが推定される。図3Dにおいても図3Cと同様に、添え字および線種によって時間推移を示している。
【0041】
このように、信号交差点I1における点灯パターンと進入方向との組み合わせは、信号交差点I1における車両11の動作に対応し、点灯パターンと進入方向とが特定の組み合わせであったときには、その後の車両11の動作が特定の動作となることが期待される。そこで、本実施形態においては、最近接信号交差点情報30bに対応づけて前方信号交差点情報30cを蓄積することとしており、最近接信号交差点である信号交差点I1を通過した後、車両11が再停止するまでステップS110〜S130のループ処理を行う。この結果、図4に示すように、最近接信号交差点である信号交差点I1に対応づけて、信号交差点I1より前方の前方信号交差点に関する前方信号交差点情報30cを蓄積する。
【0042】
例えば、図3Aに示すように、信号交差点I1を通過した後に信号交差点I2を通過し、信号交差点I3を通過する以前に再停止(図3AのC1)した場合、信号交差点I2,信号交差点I3が最近接信号交差点である信号交差点I1に対応する前方信号交差点となる。そして、信号交差点I2に関しては、信号交差点I1,I2間の所要時間(図4に示す例では符号T2で示す"5分")と信号交差点I2の点灯パターン(図4に示す例では符号P2で示す"青")とを示す情報が前方信号交差点情報30cとして蓄積される。また、信号交差点I3に関しては、信号交差点I2,I3間の所要時間(図4に示す例では符号T3で示す"5分")と信号交差点I3の点灯パターン(図4に示す例では符号P31で示す"赤")とを示す情報が前方信号交差点情報30cとして蓄積される。
【0043】
なお、本実施形態においては、車両11の停止位置の前方の最も近い最近接信号交差点から再停止位置の前方の最も近い前方信号交差点までの各信号交差点について情報を蓄積する。従って、図3Aに示す例のように、信号交差点I3を通過する前に車両11が再停止した場合、符号P31で示す点灯パターンの後の情報として信号交差点I3より前方の信号交差点に関する情報は蓄積されない(図4に示す例では符号N41で示す"−")。また、車両11は信号機の点灯状態が"赤"であるとき以外にも再停止し得る。例えば、渋滞に起因して車両11が再停止したときに当該車両11の前方に存在する最も近い信号機の点灯状態が"青"である場合もある。この場合、図4にて符号P32で示すように信号交差点I3の信号機に関する点灯パターンが"青"となり、当該点灯パターンの後の情報として信号交差点I3より前方の情報は蓄積されない(図4に示す例では符号N42で示す"−")。
【0044】
(4)走行履歴の利用例:
次に、以上のようにして蓄積された最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30cが利用される例を説明する。ナビゲーション処理部21eの処理によって制御部20は、車両11の経路を案内するナビゲーション処理を行うが、本実施形態においては、当該ナビゲーション処理の過程で車両11の経路上に存在する信号機の点灯状態を案内する点灯状態案内処理を行っており、この際に最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30cが参照される。
【0045】
図5は、点灯状態案内処理を示すフローチャートである。この処理において、制御部20は、予め設定された走行予定経路を車両11が走行している過程で記憶媒体30を参照し、車両11の現在位置の前方の信号交差点が1個目の信号交差点となっている最近接信号交差点情報30bが存在するか否か判別する(ステップS200)。
【0046】
ステップS200において、現在位置の前方の信号交差点が1個目の信号交差点となっている最近接信号交差点情報30bが存在すると判別されたとき、制御部20は、その中に、車両11の前方の信号交差点における点灯パターンおよび当該信号交差点に対する車両11の進入方向に一致する点灯パターンおよび進入方向の最近接信号交差点情報30bが存在するか否かを判別する(ステップS205)。
【0047】
ステップS205において、前方の信号交差点における点灯パターンおよび当該信号交差点に対する車両11の進入方向に一致する点灯パターンおよび進入方向の最近接信号交差点情報30bが存在すると判別されたとき、その最近接信号交差点情報30bに対応した情報であって、車両11の走行予定経路上の信号交差点に対応する前方信号交差点情報30cを取得する(ステップS210)。この結果、車両11の走行予定経路上の信号交差点に関する情報であって、車両11の現在の動作に対応した前方信号交差点情報30cが取得される。
【0048】
次に、制御部20は、渋滞情報に基づいて1個目の信号交差点以降の各信号交差点について信号交差点間を走行する際の旅行時間を推定する(ステップS215)。すなわち、制御部20は、図示しない通信部を介して外部機器(道路交通情報管理センターの送信部等)から渋滞情報を受信する。本実施形態において渋滞情報には各リンクにおける交通量(渋滞、混雑、空きなど)を示す情報が含まれており、制御部20は当該渋滞情報に基づいて各リンクの旅行時間を推定する。
【0049】
そして、制御部20は、当該旅行時間と前方信号交差点情報30cとに基づいて走行経路上の信号交差点における信号機の点灯状態を推定し、図示しないディスプレイ等を利用して当該信号機の点灯状態を案内する(ステップS220)。本例において、1個目〜N−1個目の信号交差点(Nは再停止位置の前方の最も近い信号交差点を示す番号)についての最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30cは、過去に車両が停止することなく通過した信号交差点についての情報である。そこで、本例においては、1個目〜N−1個目の信号交差点について各信号交差点間の旅行時間が前方信号交差点情報30cに規定された各所要時間と略一致した場合に、車両11は各信号交差点間で停止することなく通過するとみなす。そして、1個目〜N−1個目の信号交差点の点灯状態は前方信号交差点情報30cに規定された点灯状態である"青"とみなし、各信号交差点の点灯状態が"青"と推定される旨を案内する。
【0050】
また、N個目の信号交差点についての前方信号交差点情報30cは、過去に車両が再停止したときに当該再停止位置の前方の最も近い信号交差点についてのデータである。そこで、本例においては、N−1個目とN個目の信号交差点間の旅行時間が前方信号交差点情報30cに規定された所要時間以上である場合に、車両11はN個目の信号交差点で停止するとみなす。そして、N個目の信号交差点の点灯状態として前方信号交差点情報30cに点灯状態"赤"が規定されている場合には、N個目の信号交差点の点灯状態が"赤"と推定される旨を案内する。
【0051】
以上のように、予め最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30cを作成しておけば、車両が最近接信号交差点に対して特定の進入方向で進入し、最近接信号交差点が特定の点灯パターンであったときに、最近接信号交差点をキーにして所定の記憶媒体を参照することで、その後の車両の動作や車両の動作に影響を与える信号機についてその点灯状態を予測することが可能である。また、最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30cは、過去に車両が実際に最近接信号交差点を走行したときの履歴に基づいて作成されているため、車両の動作や車両の動作に影響を与える信号機を正確に予測することが可能である。
【0052】
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、停止位置より前方の最も近い最近接信号交差点における信号機の点灯パターンと進入方向とに基づいて、前方信号交差点が存在する道路上での車両の動作を予測する情報を蓄積する限りにおいて他にも種々の実施形態を採用可能である。
【0053】
例えば、車両11の再停止位置より前方の最も近い信号交差点における信号機の点灯パターンとして信号機の点灯状態が変化する時刻を示す情報を取得し、車両11の再停止位置より前方の最も近い信号交差点が存在する道路における車両11の動作として再停止位置における停止時刻と再停止位置より後方の最も近い信号交差点を通過した時刻とを示す情報を取得して前方信号交差点情報30cとしてもよい。
【0054】
図6A、図6Bは、車両11が信号交差点I2を通過後、信号交差点I3を通過する以前に再停止位置Saにて再停止した場合の各種例を示している。例えば、図6Aは、信号交差点I2の信号機L2が"青"の状態で車両11が当該信号交差点I2を通過し(図6Aに示す実線の矢印M)、信号交差点I3の信号機L3が"青"の状態(図6Aに実線で示す信号機L3a)において車両11が停止位置Saで停止し、その後、信号機L3が"赤"に変わった(図3Cに破線で示す信号機L3b)ことを示している。
【0055】
このような状態においては、再停止位置Saにて再停止した時刻Taと車両11が信号交差点I2(再停止位置より後方の最も近い信号交差点)を通過した時刻T2とを車両の動作に対応した情報とし、信号交差点I3(再停止位置より前方の最も近い信号交差点)の信号機L3が"青"から"赤"に変わった時刻Tbを点灯パターンに対応した情報とする。この構成において、図6Aに示す例ではT2<Ta<Tbであるため、車両11が信号交差点I2を通過した後、信号機の点灯状態が"青"から"赤"に変わるまでに時間Tb−T2を要すると推定することが可能になる。また、車両11が信号交差点I2を通過後時間Ta−T2経過すると車両11が停止すると推定することが可能になる。また、当該停止時点における信号機L3の点灯状態は"赤"であると推定することが可能になる。
【0056】
また、図6Bは、信号交差点I2の信号機L2が"青"の状態で車両11が当該信号交差点I2を通過し(図6Bに示す実線の矢印M)、信号交差点I3の信号機L3が"赤"の状態(図6Bに実線で示す信号機L3a)となったことで車両11が停止位置Saで停止し、その後、信号機L3が"青"に変わった(図3Cに破線で示す信号機L3b)ことを示している。
【0057】
このような状態においては、再停止位置Saにて再停止した時刻Taと車両11が信号交差点I2を通過した時刻T2とを車両の動作に対応した情報とし、信号交差点I3の信号機L3が"赤"から"青"に変わった時刻Tbを点灯パターンに対応した情報とする。この構成において、図6Bに示す例ではT2<Ta<Tbであるため、車両11が信号交差点I2を通過した後、信号機の点灯状態が"赤"から"青"に変わるまでに時間Tb−T2を要すると推定することが可能になる。また、車両11が信号交差点I2を通過後、時間Ta−T2経過した直後に信号交差点I3に到達することが推定される場合には、信号交差点I3を通過可能であると推定する構成も採用可能である。いずれにしても、以上のような各時刻を含む前方信号交差点情報30cを蓄積すれば、再停止位置より前方の最も近い信号交差点における信号機の点灯状態や車両の動作についてより複雑な推定を行うことが可能である。
【0058】
さらに、上述の実施形態においては、渋滞情報と最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30cを組み合わせることによって信号機の点灯状態を推定したが、最近接信号交差点情報30bおよび前方信号交差点情報30cの利用法は上述のような方法に限定されない。例えば、1個目の信号交差点を通過するときの信号交差点に対する進入方向および信号機の点灯パターンを取得し、当該進入方向および点灯パターンに対応した最近接信号交差点情報30bを特定し、当該最近接信号交差点情報30bに対応した前方信号交差点情報30cを参照し、車両11の走行予定経路上の前方信号交差点について記述された所要時間を参照し、各所要時間が1個目の信号交差点以降の各信号交差点間の推定所要時間であるとして当該推定所要時間を案内する構成としても良い。また、所要時間が長い程、信号交差点やリンクのコストの重みを大きくし、コストに基づく経路探索や経路案内を行うことも可能である。また、走行履歴を利用する処理は図5に示す処理に限定されず、例えば、ステップS200の前に車両11が停止したか否かを判別し、停止したと判別されたときにステップS200を実行し、停止位置前方の信号交差点が1個目の信号交差点となっている情報が存在するか否かを判別しても良い。
【0059】
さらに、最近接信号交差点情報30bにおいては、信号交差点への進入方向に加えて車両の動作を記録するように構成してもよい。例えば、図3Cに示すように、信号機L1が赤の状態となったことで車両11が停止位置Saで停止し、信号機L1が青の状態となったことで車両11が再び走行を開始して信号交差点I1を通過する動作を行っていた場合には、当該動作を示す情報を最近接信号交差点情報30bに含める構成としても良い。
【0060】
さらに、信号機の点灯パターンを特定するための構成はカメラに限定されず、公知の種々のセンサの出力情報や路車間通信を利用可能である。また、車両の動作を公知の種々のセンサやカメラなどの出力情報や路車間通信に基づいて特定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】走行履歴蓄積システムのブロック図である。
【図2】走行履歴取得処理を示すフローチャートである。
【図3】(3A)〜(3D)は信号交差点と車両の動作例を示す図である。
【図4】蓄積される情報の例を示す図である。
【図5】点灯状態案内処理を示すフローチャートである。
【図6】(6A),(6B)は信号交差点と車両の動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10…ナビゲーション装置、11…車両、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…停止位置情報取得部、21b…最近接信号交差点情報取得部、21c…前方信号交差点情報取得部、21d…蓄積制御部、21d1…通信制御部、21e…ナビゲーション処理部、30…記憶媒体、30a…地図情報、30b…最近接信号交差点情報、30c…前方信号交差点情報、40…受信部、41…車速センサ、42…ジャイロセンサ、43…カメラ、50…蓄積サーバ、51…記憶媒体、51a…最近接信号交差点情報、51b…前方信号交差点情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の停止位置を示す停止位置情報を取得する停止位置情報取得手段と、
前記停止位置より前方の最も近い最近接信号交差点における信号機の点灯パターンと前記最近接信号交差点に対する前記車両の進入方向とを対応づけて最近接信号交差点情報として取得する最近接信号交差点情報取得手段と、
前記最近接信号交差点より前方の前方信号交差点における信号機の点灯パターンと前記前方信号交差点が存在する道路上での前記車両の動作とを対応づけて前方信号交差点情報として取得する前方信号交差点情報取得手段と、
前記最近接信号交差点情報と前記前方信号交差点情報とを対応づけて所定の記憶媒体に蓄積する蓄積制御手段と、
を備える走行履歴蓄積システム。
【請求項2】
前記停止位置情報取得手段は、前記停止位置の前方で前記車両が再停止した再停止位置を示す再停止位置情報を取得し、
前記前方信号交差点情報取得手段は、前記車両の走行軌跡において前記最近接信号交差点の次に存在する前記前方信号交差点から前記再停止位置より前方の最も近い前記前方信号交差点までの各信号交差点について前記前方信号交差点情報を取得する、
請求項1に記載の走行履歴蓄積システム。
【請求項3】
前記最近接信号交差点情報取得手段は、前記最近接信号交差点における信号機の点灯パターンとして前記停止位置において前記車両が停止してから前記最近接信号交差点を通過するまでの間における信号機の点灯状態の推移を示す情報を取得する、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の走行履歴蓄積システム。
【請求項4】
前記前方信号交差点情報取得手段は、前記車両の動作を示す情報として、前記車両が通過した前記前方信号交差点の間の所要時間を示す情報を取得する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の走行履歴蓄積システム。
【請求項5】
車両の停止位置を示す停止位置情報を取得する停止位置情報取得工程と、
前記停止位置より前方の最も近い最近接信号交差点における信号機の点灯パターンと前記最近接信号交差点に対する前記車両の進入方向とを対応づけて最近接信号交差点情報として取得する最近接信号交差点情報取得工程と、
前記最近接信号交差点より前方の前方信号交差点における信号機の点灯パターンと前記前方信号交差点が存在する道路上での前記車両の動作とを対応づけて前方信号交差点情報として取得する前方信号交差点情報取得工程と、
前記最近接信号交差点情報と前記前方信号交差点情報とを対応づけて所定の記憶媒体に蓄積する蓄積制御工程と、
を含む走行履歴蓄積方法。
【請求項6】
車両の停止位置を示す停止位置情報を取得する停止位置情報取得機能と、
前記停止位置より前方の最も近い最近接信号交差点における信号機の点灯パターンと前記最近接信号交差点に対する前記車両の進入方向とを対応づけて最近接信号交差点情報として取得する最近接信号交差点情報取得機能と、
前記最近接信号交差点より前方の前方信号交差点における信号機の点灯パターンと前記前方信号交差点が存在する道路上での前記車両の動作とを対応づけて前方信号交差点情報として取得する前方信号交差点情報取得機能と、
前記最近接信号交差点情報と前記前方信号交差点情報とを対応づけて所定の記憶媒体に蓄積する蓄積制御機能と、
をコンピュータに実現させる走行履歴蓄積プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−61215(P2010−61215A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223586(P2008−223586)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】