説明

超音波受信モジュール、超音波距離測定システムおよび超音波距離測定方法、並びに書画カメラ

【課題】超音波を利用して距離を測定する超音波受信モジュール、超音波距離測定システムおよび超音波距離測定方法、並びに書画カメラを提供する。
【解決手段】超音波受信モジュール120は、少なくとも1つの超音波信号を受信する超音波受信端130と、超音波受信端130と電気的に接続され、時間の経過とともに増大する所定倍率を提供し、所定倍率により超音波信号の振幅を変更する信号増幅器140と、信号増幅器140と電気的に接続され、時間の経過とともに低減する閾値を提供し、振幅が閾値よりも大きな超音波信号の部分をキャプチャする測定モジュール150とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波距離測定装置および超音波距離測定方法に関し、特に超音波を利用して距離を測定する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動距離測定システムは、産業技術の発展に伴い、需要が日増しに高まっている。例えば、車両駐車、無人運搬車の操作およびポジショニングシステムには、自動距離測定システムが一般に使用される。自動距離測定システムを利用すると、障害物に邪魔されることなく、所定の場所へ車両をスムーズに駐車したり、無人運搬車により所定の場所へ貨物を迅速に移動させたりすることができる。
【0003】
従来の距離測定システムでは、距離測定の媒体(media)として超音波を用い、反射された超音波を利用して被測定物までの距離を測定する。
【0004】
図1Aおよび図1Bは、従来の反射式超音波距離測定システム10を示す模式図である。図1Aを参照する。例えば、図1Aに示すように、従来の反射式超音波距離測定システム10は、送信器12、受信器14、被測定物16および周辺回路(図示せず)を含む。被測定物16から送信器12および/または受信器14までの距離が測定距離である。
【0005】
従来の反射式超音波距離測定システム10は、まず、送信器12により進行波fを生成させる。進行波fの一部は、被測定物16の表面により受信器14へ反射波rが反射される。
【0006】
続いて、送信器12から送信される進行波fと、受信器14により受信される反射波rとの間の時間差を利用し、被測定物16から送信器12および/または受信器14までの距離(即ち、測定距離)を計算する。
【0007】
しかし、この従来の反射式超音波距離測定システム10には、例えば、反射波rの信号が弱すぎて測定が困難であるなど、多くの欠点があった。さらに詳細には、空間を伝搬される超音波は、伝搬距離が長くなるに従い、振幅強度が大幅に低減する虞があった。そのため、遠距離の測定を行うとき、超音波の振幅強度が低すぎて信号ノイズ比が大幅に低減し、測定精度が低くなる虞があった。
【0008】
図1Bを参照する。図1Bに示すように、実際の測定環境中には、被測定物16から反射された反射波r以外に、例えば、クロストーク現象によるクロストークノイズcなど、多くの干渉信号が存在する。近距離測定を行うとき、測定距離が短いため、被測定物16から反射された反射波rがクロストークノイズcによる影響を受け、測定結果に誤差が生じる虞があった。
【0009】
そのため、遠距離または近距離の測定モードでも、測定精度が高い超音波距離測定装置および超音波距離測定方法が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、超音波信号の伝達時間が短いとき(例えば、短距離を測定するとき)、所定倍率が小さく、クロストーク信号の干渉を防ぐことができ、閾値が大きいときにクロストーク信号を除去することができる上、超音波信号の伝達時間が長いとき(例えば、遠距離を測定するとき)、所定倍率の増大により超音波信号が増幅されて閾値が低減されるため、測定感度を高めることができる超音波受信モジュール、超音波距離測定システムおよび超音波距離測定方法、並びに書画カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は上記課題を解決するため、少なくとも1つの超音波信号を受信する超音波受信端と、前記超音波受信端と電気的に接続され、時間の経過とともに増大する所定倍率を提供し、前記所定倍率により前記超音波信号の振幅を変更する信号増幅器と、前記信号増幅器と電気的に接続され、時間の経過とともに低減する閾値を提供し、前記振幅が前記閾値よりも大きな前記超音波信号の部分をキャプチャする測定モジュールと、を備えることを特徴とする超音波受信モジュールを提供する。
【0012】
(2)また、少なくとも1つの第1の超音波信号を送信する超音波送信端と、前記第1の超音波信号および少なくとも1つの干渉信号を含む少なくとも1つの第2の超音波信号を受信する超音波受信端と、前記超音波受信端と電気的に接続され、時間の経過とともに増大する所定倍率を提供し、前記所定倍率により前記第2の超音波信号の振幅を変更する信号増幅器と、前記信号増幅器と電気的に接続され、時間の経過とともに低減する閾値を提供し、前記振幅が前記閾値よりも大きな前記第2の超音波信号の部分をキャプチャする測定モジュールと、を備えることを特徴とする超音波距離測定システムを提供する。
【0013】
(3)また、少なくとも1つの第1の超音波信号を送信するステップと、少なくとも1つの第2の超音波信号を受信するステップと、時間の経過とともに増大する所定倍率で、前記受信した第2の超音波信号の振幅を変更するステップと、前記第1の超音波信号の周波数を含む周波数範囲に周波数が入る前記第2の超音波信号の部分をフィルタリングするステップと、時間の経過とともに低減する閾値に基づいて、前記振幅が前記閾値よりも大きな前記第2の超音波信号の部分をキャプチャするステップと、を含むことを特徴とする超音波距離測定方法を提供する。
【0014】
(4)また、ベースと、前記ベース上に吊設され、少なくとも1つの被撮影物の画像をキャプチャするレンズと、前記レンズから前記被撮影物までの距離を測定する長音波距離測定システムと、を備えることを特徴とする書画カメラを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の超音波受信モジュール、超音波距離測定システムおよび超音波距離測定方法、並びに書画カメラは、超音波信号の伝達時間が短いとき(例えば、短距離測定を処理するとき)、所定倍率が小さく、クロストーク信号の干渉を防ぐことができ、閾値が大きいときにクロストーク信号を除去することができる上、超音波信号の伝達時間が長いとき(例えば、遠距離測定を処理するとき)、所定倍率が増大されて超音波信号を増幅し、閾値が低減されるため、測定感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】従来の反射式超音波距離測定システムを示す模式図である。
【図1B】従来の反射式超音波距離測定システムを示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態による超音波距離測定システムを示すブロック図である。
【図3A】本発明の一実施形態による超音波信号の時間変化を表すグラフである。
【図3B】本発明の一実施形態による所定倍率の時間変化を表すグラフである。
【図3C】本発明の一実施形態による閾値の時間変化を表すグラフである。
【図4】本発明の他の実施形態による書画カメラを示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態による超音波距離測定方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図2を参照する。図2は、本発明の一実施形態による超音波距離測定システム100を示すブロック図である。超音波距離測定システム100は、超音波送信端110および超音波受信モジュール120を含む。
【0019】
超音波送信端110は、信号生成器112に接続される。信号生成器112により生成された超音波信号は、超音波送信端110から空間へ放射される。以下、説明の都合上、超音波送信端110から送信される超音波信号を第1の超音波信号と称する。
【0020】
図3A〜図3Cを参照する。図3A〜図3Cは、超音波信号、所定倍率および閾値の時間変化を表すグラフである。図2および図3Aに示すように、本実施形態の超音波送信端110は、第1の時間tのときに、第1の超音波信号f(t)を空気中に送信する。
【0021】
超音波受信モジュール120は、超音波信号の受信および処理を行うために用いる。超音波受信モジュール120は、超音波信号の受信に用いる超音波受信端130を含む。以下、説明の都合上、超音波受信端130が受信する超音波信号を第2の超音波信号と称する。
【0022】
図2〜図3Bを同時に参照する。図2〜図3Bに示すように、第2の超音波信号は、被測定信号および環境中の干渉信号を含む。本実施形態の被測定信号とは、超音波送信端110から送信された第1の超音波信号f(t)が空間を伝搬された後、超音波受信端130により受信される信号を指す。
【0023】
超音波送信端110と超音波受信端130とは、互いに対向するように間隔をおいて配置されてもよい。これにより、超音波送信端110は、超音波受信端130に向けて第1の超音波信号f(t)を送信することができる。さらに、超音波送信端110は、超音波受信端130に隣接させて互いに対向しないように配置させてもよい。これにより、超音波送信端110により送信された第1の超音波信号f(t)は、他の物体により超音波受信端130へ反射される。本実施形態の超音波送信端110は、他の物体により反射された信号を受信するために用いる超音波受信端130へ隣接するように配置させてもよい。
【0024】
超音波の強度は、空間を伝搬される距離が長くなるに従い下がる。さらに、伝搬距離が長くなるに従い伝搬時間も長くなるため、超音波受信端130が受信する被測定信号の強度は、時間の経過に伴い小さくなる。例えば、第2の時間tで受信する被測定信号r(t)は、第2の時間tの後の第3の時間tで受信する被測定信号r(t)より強度が強い。一般に、超音波の強度が小さすぎる場合、信号ノイズ比が大幅に下がり、測定精度が低下する虞があった。
【0025】
さらに、超音波の伝搬時間が短い状況では、超音波受信端130は、クロストーク現象により形成されたクロストーク信号c(t)を受信する。クロストーク信号c(t)の波形および強度は、被測定信号r(t)に近似しているため、従来の超音波距離測定システムでは、測定結果に誤差が生じる虞があった。
【0026】
本実施形態の超音波距離測定システム100は、以下で述べる複数の装置および方法により、従来技術における問題点を解決し、測定精度を高めることができる。
【0027】
本実施形態の超音波距離測定システム100は、超音波受信端130と電気的に接続された信号増幅器140を有する。信号増幅器140は、第2の超音波信号の振幅を変更することができる(即ち、第2の超音波信号の振幅を増幅させたり減衰させたりすることができる。)。さらに詳細には、信号増幅器140は、第2の超音波信号の振幅を所定倍率g(t)で変更させることができる。所定倍率g(t)は、時間の経過に伴い大きくなる。言い換えれば、所定倍率g(t)は、時間の経過に伴い数値が増大する一種の時間変化関数である。
【0028】
図3Bを参照する。図3Bは、所定倍率g(t)の時間変化を表すグラフである。図3Bのグラフは、横軸が時間を表し、縦軸が所定倍率g(t)の大きさを表す。
【0029】
所定倍率g(t)は、時間の経過に伴い値が増大する連続した時間変化関数である。時間が短いとき(例えば、第2の時間tのとき)、所定倍率g(t)は小さく、クロストーク信号c(t)による干渉を抑えることができる。反対に、時間が長いとき(例えば、第3の時間tのとき)、所定倍率g(t)は大きく、被測定信号r(t)の強度を増幅させることができる。
【0030】
超音波距離測定システム100は、信号増幅器140と電気的に接続され、第2の超音波信号の一部をキャプチャするために用いる測定モジュール150をさらに含む。測定モジュール150には、閾値d(t)が設定される。測定モジュール150は、信号増幅器140により処理された振幅が閾値d(t)より大きい第2の超音波信号の部分をキャプチャする。閾値d(t)は、時間の経過に伴い小さくなる。言い換えれば、測定モジュール150が提供する閾値d(t)は、時間の経過に伴い大きさが減少する時間変化関数である。
【0031】
図2および図3Cを同時に参照する。図3Cは、閾値d(t)の時間変化を表すグラフである。図3Cのグラフは、横軸が時間を表し、縦軸が閾値d(t)の大きさを表す。
【0032】
閾値d(t)は、時間の経過に伴い値が小さくなる連続した時間変化関数である。時間が短い場合(例えば、第2の時間tのとき)、閾値d(t)は大きく、測定基準値を高くすることにより、クロストーク信号c(t)の影響を防ぐことができる。反対に、時間が長い場合(例えば、第3の時間tのとき)、閾値d(t)は小さく、被測定信号r(t)の測定感度を高めることができる。
【0033】
超音波距離測定システム100は、周波数範囲が設定され、第2の超音波信号中の周波数範囲にある部分をキャプチャするバンドパスフィルタ190をさらに含む。さらに詳細には、バンドパスフィルタ190は、周波数範囲が設定され、第2の超音波信号中の周波数範囲にある部分だけが残される。基本的に、バンドパスフィルタ190の周波数範囲には、第1の超音波信号の周波数が含まれる。言い換えれば、超音波送信端110から送信される第1の超音波信号の周波数は、上述の周波数範囲内にある。例えば、第1の超音波信号の周波数は40kHzであり、バンドパスフィルタ190の周波数は40kHz前後(例えば、38kHz〜42kHzの間)である。これにより、フィルタリングされた第2の超音波信号の一部は、空間を伝搬された後の第1の超音波信号である可能性が極めて高い。
【0034】
バンドパスフィルタ190は、信号増幅器140および/または測定モジュール150と電気的に接続される。本実施形態のバンドパスフィルタ190は、信号増幅器140と測定モジュール150との間に配置される。言い換えれば、第2の超音波信号を受信すると、信号増幅器140により第2の超音波信号の振幅が変更されてから、バンドパスフィルタ190により所定の帯域幅の部分がフィルタリングされ、その後、振幅が閾値d(t)より大きい部分が測定ジュール150によりキャプチャされる。
【0035】
超音波距離測定システム100は、測定モジュール150と電気的に接続されたプロセッサ160を含む。測定モジュール150により第2の超音波信号の一部がキャプチャされた後、超音波送信端110から超音波受信端130まで伝送される第1の超音波信号f(t)の距離をプロセッサ160により計算する。
【0036】
本実施形態では第1の超音波信号f(t)の伝送時間をプロセッサ160により計算することにより、第1の超音波信号f(t)の伝送距離を計算する。さらに詳細には、超音波距離測定システム100は、超音波送信端110と電気的に接続され、第1の超音波信号f(t)が超音波送信端110から送信された時間(例えば、第1の時間t)を記録するタイマ170を含む。
【0037】
タイマ170は、信号の受信時間を記録するために超音波受信端130または測定モジュール150と電気的に接続されてもよい。さらに詳細には、タイマ170は、超音波受信端130と電気的に接続され、超音波受信端130が信号を受信する時間を記録する。さらに、タイマ170は、測定モジュール150と電気的に接続され、被測定信号r(t)を含む信号を受信する時間を記録する。言い換えれば、測定モジュール150により第2の超音波信号の一部をキャプチャするとは、被測定信号r(t)を含む第2の超音波信号を受信することを意味するため、その時間を第2の時間tとして記録する。本実施形態のタイマ170は、測定モジュール150と電気的に接続される。
【0038】
プロセッサ160は、タイマ170と電気的に接続される。プロセッサ160は、比較作業を終了した後、第1の時間tと第2の時間tとの差値に基づいて第1の超音波信号f(t)の伝送距離を計算する。さらに詳細には、プロセッサ160は、第1の時間tと第2の時間tとの差値を超音波の伝搬速度で乗ずることにより、第1の超音波信号f(t)の伝送距離を計算する。
【0039】
本実施形態では、超音波送信端110から送信された第1の超音波信号f(t)が、被測定物から超音波受信端130へ反射される。第1の超音波信号f(t)の伝送距離とは、超音波送信端110から被測定物までの距離に、被測定物から超音波受信端130までの距離を加えた距離のことである。本発明の他の実施形態では、超音波送信端110と超音波受信端130とが近接するように配置されているため、第1の超音波信号f(t)の伝送距離は、被測定物から超音波受信端130までの距離の約2倍に等しいか、超音波送信端110から被測定物までの距離の約2倍に等しい。
【0040】
さらに、本発明の他の実施形態において、超音波送信端110と超音波受信端130とが互いに対向するように間隔をおいて配置される場合、第1の超音波信号f(t)の伝送距離は、超音波送信端110から超音波受信端130までの距離に等しい。
【0041】
さらに、プロセッサ160は、信号生成器112により信号が生成される時間を制御するために、信号生成器112と電気的に接続されてもよい。
【0042】
超音波距離測定システム100は、近距離または遠距離でも良好な測定精度を得るために、超音波送信端110と電気的に接続された切換装置180をさらに含む。切換装置180は、超音波送信端110を近距離モードまたは遠距離モードへ切換えるために用いる。近距離モードの場合、超音波送信端110から送信される第1の超音波信号f(t)には、第1のサイクル数が含まれる。遠距離モードの場合、第1の超音波信号f(t)には、第2のサイクル数が含まれる。ここで第1のサイクル数は、第2のサイクル数と異なる。
【0043】
ここで、「近距離」または超音波信号が伝搬される「時間が短い」状況とは、クロストーク信号c(t)の影響を受けやすい状況を指す。さらに、「遠距離」または超音波信号が伝搬される「時間が長い」状況とは、クロストーク信号c(t)の影響を受け難い状況を指す。
【0044】
本実施形態では、第1のサイクル数が第2のサイクル数より小さい。近距離モードのとき、第1の超音波信号f(t)の第1のサイクル数は小さく、クロストーク干渉を受ける時間を短縮させることができる。反対に、遠距離モードのとき、第1の超音波信号f(t)の第2のサイクル数が大きい場合、伝送エネルギーが累積され、第1の超音波信号f(t)が測定される機会を増やすことができる。
【0045】
図4は、本発明の他の実施形態による書画カメラ400を示す斜視図である。図2および図4に示すように、書画カメラ400は、ベース410、レンズ420および超音波距離測定システム100(図示しない)を含む。超音波距離測定システム100については、すでに詳述しているため、ここでは繰り返して述べない。
【0046】
レンズ420は、ベース410の上方に吊設され、被撮影物の撮影に用いられる。書画カメラ400のレンズ420は、回動可能であるため、ベース410へ向けたり、他の方向へ向けたりして撮影することができる。例えば、室内で書画カメラ400を使用するとき、レンズ420を用いてベース410上の物体(例えば、書籍など)を撮影したり、他の場所にある物体(例えば、壁に掛けられた絵など)を撮影したりすることができる。
【0047】
超音波距離測定システム100の超音波送信端110および超音波受信端130は、何れも、レンズ420に近接した箇所に設けられる。さらに詳細には、図4に示すように、ケーシング430の表面432上にはレンズ420が配置され、超音波送信端110および超音波受信端130がレンズ420に近接された表面432上に設けられる。そのため、超音波距離測定システム100は、レンズ420から被撮影物までの距離を測定することができる。
【0048】
超音波距離測定システム100の切換装置180は、手動切換モードまたは自動切換モードでもよい。例えば、図4の書画カメラ400の切換装置180を手動切換モードに切り換えた場合、ユーザ自らが切換装置180を近距離モードまたは遠距離モードへ切換えることができる。さらに、切換装置180が自動切換モードである場合、例えば、センサにより検知したレンズ420の現在位置を基に、切換装置180の切換えを自動的に行う。センサおよびその作用は、様々な態様があり、ここでは詳述しない。
【0049】
例えば、レンズ420をベース410へ向け、ベース410上にある物体(例えば、書籍など)を撮影する場合、切換装置180を近距離モードに切換える。例えば、レンズ420を他の方向へ向け、他の場所にある物体(例えば、壁に掛けられた絵など)を撮影するときは、切換装置180を遠距離モードへ切換える。
【0050】
上述の各実施形態から分かるように、本実施形態の超音波距離測定システム100を書画カメラ400などへ応用する際は、近距離または遠距離でも測定を行うことができるため、従来の測定方法による問題が生じず、測定感度を向上させることができる。
【0051】
図5を参照する。図5は、本発明の他の実施形態による超音波距離測定方法500を示す流れ図である。
【0052】
この超音波距離測定方法500では、まず、ステップ510において、少なくとも1つの第1の超音波信号を送信する。続いて、ステップ520において、少なくとも1つの第2の超音波信号を受信する。第2の超音波信号には、被測定信号および環境中の干渉信号(例えば、クロストーク信号)が含まれる。被測定信号とは、ステップ510において送信された第1の超音波信号が空間を伝搬された後に受信される信号を指す。
【0053】
続いて、ステップ530において、受信した第2の超音波信号の振幅を所定倍率で変更する。この所定倍率は、時間の経過に伴い増大する。
【0054】
続いて、ステップ540において、第2の超音波信号中の周波数が周波数範囲にある部分をフィルタリングする。ステップ540では、バンドパスフィルタ(band−pass filter)を介して第2の超音波信号をフィルタリングし、周波数が周波数範囲にある第2の超音波信号の部分をフィルタリングする。ここで、第1の超音波信号の周波数は、周波数範囲内にある。
【0055】
続いて、ステップ550において、閾値に基づいて第2の超音波信号の一部をキャプチャする。このキャプチャした第2の超音波信号の振幅は、時間の経過に伴い減少する閾値より大きい。
【0056】
本実施形態では、振幅が閾値より大きい第2の超音波信号をキャプチャする場合、ステップ560で第1の超音波信号の伝送距離を計算する。
【0057】
第1の超音波信号の伝送距離の計算には様々な方法があるが、本実施形態では第1の超音波信号の伝送時間に基づいて第1の超音波信号の伝送距離を計算する。
【0058】
さらに詳細には、超音波距離測定方法500のステップ510を行うとき、第1の超音波信号の送信時間を第1の時間として記録する。続いて、ステップ520を行うとき、第2の超音波信号の受信時間を第2の時間として記録する。或いは、ステップ550を行うとき、振幅が閾値より大きい第2の超音波信号をキャプチャする時間を第2の時間として記録する。
【0059】
続いて、第1の時間と第2の時間との差値を計算する。最後に、この差値に基づいて第1の超音波信号の伝送距離を計算する。
【0060】
上述の各実施形態から分かるように、本発明の超音波距離測定システムおよびその超音波距離測定方法は、近距離または遠距離の測定に利用することができる。さらに、時間変化する所定倍率、時間変化する閾値および/またはサイクル数が調整可能な超音波信号により、近距離で測定するときに、クロストーク信号による干渉を防ぐことができる上、遠距離を測定するときに、被測定信号の強度を高めることにより、従来測定の際に生じていた問題点を有さず、測定感度を高めることができる。
【0061】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と範囲を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明による特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0062】
10 超音波距離測定システム
12 送信器
14 受信器
16 被測定物
100 超音波距離測定システム
110 超音波送信端
112 信号生成器
120 超音波受信モジュール
130 超音波受信端
140 信号増幅器
150 測定モジュール
160 プロセッサ
170 タイマ
180 切換装置
190 バンドパスフィルタ
400 書画カメラ
410 ベース
420 レンズ
430 ケーシング
432 表面
500 超音波距離測定方法
c クロストークノイズ
c(t) クロストーク信号
d(t) 閾値
f 進行波
f(t) 第1の超音波信号
g(t) 所定倍率
r 反射波
r(t) 被測定信号
r(t) 被測定信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの超音波信号を受信する超音波受信端と、
前記超音波受信端と電気的に接続され、時間の経過とともに増大する所定倍率を提供し、前記所定倍率により前記超音波信号の振幅を変更する信号増幅器と、
前記信号増幅器と電気的に接続され、時間の経過とともに低減する閾値を提供し、前記振幅が前記閾値よりも大きな前記超音波信号の部分をキャプチャする測定モジュールと、を備えることを特徴とする超音波受信モジュール。
【請求項2】
前記所定倍率は、連続した時間変化関数であり、
前記閾値は連続した時間変化関数であることを特徴とする請求項1に記載の超音波受信モジュール。
【請求項3】
少なくとも1つの第1の超音波信号を送信する超音波送信端と、
前記第1の超音波信号および少なくとも1つの干渉信号を含む少なくとも1つの第2の超音波信号を受信する超音波受信端と、
前記超音波受信端と電気的に接続され、時間の経過とともに増大する所定倍率を提供し、前記所定倍率により前記第2の超音波信号の振幅を変更する信号増幅器と、
前記信号増幅器と電気的に接続され、時間の経過とともに低減する閾値を提供し、前記振幅が前記閾値よりも大きな前記第2の超音波信号の部分をキャプチャする測定モジュールと、を備えることを特徴とする超音波距離測定システム。
【請求項4】
前記測定モジュールと電気的に接続され、周波数範囲を提供し、周波数が前記周波数範囲に入る前記第2の超音波信号の部分をフィルタリングし、前記第1の超音波信号の周波数を含む前記周波数範囲を設定するバンドパスフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の超音波距離測定システム。
【請求項5】
前記超音波送信端および前記測定モジュールと電気的に接続され、前記第1の超音波信号が前記超音波送信端から送信される時間を第1の時間として記録し、前記第2の超音波信号が前記測定モジュールによりキャプチャされる時間を第2の時間として記録するタイマと、
前記測定モジュールおよび前記タイマと電気的に接続され、前記第1の時間と前記第2の時間との差値に基づいて前記第1の長音波信号の伝送距離を計算するプロセッサと、をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の超音波距離測定システム。
【請求項6】
前記超音波送信端と電気的に接続され、近距離モードまたは遠距離モードの切換えを行い、
前記近距離モードのときに、前記第1の超音波信号が第1のサイクル数を有し、
前記遠距離モードのときに、前記第1の超音波信号が第2のサイクル数を有し、
前記第1のサイクル数は、前記第2のサイクル数と異なり、
前記第1のサイクル数は、前記第2のサイクル数よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の超音波距離測定システム。
【請求項7】
少なくとも1つの第1の超音波信号を送信するステップと、
少なくとも1つの第2の超音波信号を受信するステップと、
時間の経過とともに増大する所定倍率で、前記受信した第2の超音波信号の振幅を変更するステップと、
前記第1の超音波信号の周波数を含む周波数範囲に周波数が入る前記第2の超音波信号の部分をフィルタリングするステップと、
時間の経過とともに低減する閾値に基づいて、前記振幅が前記閾値よりも大きな前記第2の超音波信号の部分をキャプチャするステップと、を含むことを特徴とする超音波距離測定方法。
【請求項8】
ベースと、
前記ベース上に吊設され、少なくとも1つの被撮影物の画像をキャプチャするレンズと、
前記レンズから前記被撮影物までの距離を測定する請求項3乃至6の何れかに記載の長音波距離測定システムと、を備えることを特徴とする書画カメラ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−256317(P2010−256317A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144215(P2009−144215)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(508198339)圓展科技股▲分▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】