路面状態測定方法、路面状態測定装置、およびコンピュータプログラム
【課題】段差や凹凸という路面状態を高い精度をもって測定できるようにすること。
【解決手段】荷重センサ111に所定重量の錘113で荷重をかけた状態のセンシング装置112を搭載した車両を走行させ、所定のサンプリング間隔毎に荷重センサ111の出力を記録し、これに対応させてその記録位置の位置情報を記録する。錘113の重力による荷重のみがかけられた状態の荷重センサ111の出力を静止荷重と観念し、車両走行中の荷重センサ111の出力を衝撃荷重と観念し、静止荷重に対する衝撃荷重の値の変化を求め、これを位置情報に関連付けて表示するようにした。
【解決手段】荷重センサ111に所定重量の錘113で荷重をかけた状態のセンシング装置112を搭載した車両を走行させ、所定のサンプリング間隔毎に荷重センサ111の出力を記録し、これに対応させてその記録位置の位置情報を記録する。錘113の重力による荷重のみがかけられた状態の荷重センサ111の出力を静止荷重と観念し、車両走行中の荷重センサ111の出力を衝撃荷重と観念し、静止荷重に対する衝撃荷重の値の変化を求め、これを位置情報に関連付けて表示するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を実際に走行させて、道路に生じている段差や凹凸等の路面状態を測定するようにした技術に係り、特に、路面に対して接触しない非接触方式であって、路面から受ける動的応答を測定するレスポンス方式の路面状態測定方法、路面状態測定装置、およびこれらの方法および装置に利用するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の路面は、理想的には平滑面であることが望ましい。しかしながら、完全な平滑性を維持している道路は存在せず、現実には段差や凹凸が無数に連続している。このような段差や凹凸は、道路の竣工時から不可避的に発生しているし、使用頻度に応じてその程度も増大する。とりわけ、高速道路では、路面に生じている段差や凹凸が走行時の快適性に大きく影響を与えるのみならず、騒音の原因となったり、安全運行に支障を来たしたりすることから、厳重な路面管理が必要である。
【0003】
路面を管理する場合、路面の平滑性を評価するための何らかの指標が必要となる。わが国では、建設省(現、国土交通省)で開発されたMCI(Maintenance Control Index:維持管理指数)があるが、近年では、より道路利用者の快適性に重点をおいた指標として、IRI(International Roughness Index:国際ラフネス指標)が注目されている。これに対して、どのような指標を採用するにせよ、まずは、道路に生じている段差や凹凸等の路面状態を測定する必要がある。
【0004】
路面状況を測定する技術には、大別すると、プロファイル方式とレスポンス方式とがある。プロファイル方式は、路面の縦方向のプロファイルを実測する方式である。例えば、特許文献1には、プロファイル方式の一例として、レーザ光点変位計、超音波距離計等を用い、路面との間の波動の往復伝播時間を計測して計測車と路面との間の相対距離を検出する技術が開示されている(段落0008等参照)。これに対して、レスポンス方式は、路面から受ける動的応答に基づいて路面の平滑性を測定する方式である。例えば、特許文献2には、レスポンス方式の一例として、鉛直方向の加速度を加速度計で測定し、これを積分して鉛直方向の変位を求めるようにした技術が開示されている(段落0006〜0011参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−094445号公報
【特許文献2】特開平10−168810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この出願の発明者は、レスポンス方式に着目し、路面状態の測定について研究を重ねた。レスポンス方式によって路面状態を測定する最も一般的な手法は、上記特許文献2に記載されているように、鉛直方向の加速度を測定し、これを積分して鉛直方向の変位を求める手法である。ところが、このような測定手法を用いた場合、路面の段差や凹凸に対して、必ずしも高い検出精度が得られないという問題がある。これは、路面の段差や凹凸に応じて加速度計は加速度を検出するわけであるが、段差や凹凸が比較的小さな場合の加速度と比較的大きな場合の加速度とを比較した場合、両者間に顕著な加速度変化が生じないからである。つまり、道路上に車両を実走行させた場合、路面には細かな段差や凹凸が連続しているために、車両に搭載されている加速度計は常に加速度を検出した状態となっている。このため、比較的大きな段差や凹凸を乗り越えた場合であっても、大きな加速度変化が現れにくい。その結果、路面の段差や凹凸に対して高い検出精度が得られない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、段差や凹凸という路面状態を高い精度をもって測定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の路面状態測定方法は、垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置を搭載した車両を走行させ、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を記録する工程と、前記車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する工程と、前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める工程と、を備えることによって上記課題を解決した。
【0009】
本発明の路面状態測定装置は、垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置と、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を記録する手段と、前記荷重センサを搭載した車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する手段と、前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める手段と、を備えることによって上記課題を解決した。
【0010】
本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置から、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を取得して記録する機能と、前記荷重センサを搭載した車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する機能と、前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める機能と、を実行させることによって上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、路面の段差や凹凸の程度に応じて荷重センサの出力の値に大きな変化が生ずるため、路面状態を高い精度をもって測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の一形態として、路面状態測定装置を搭載して路面状態測定方法を実施している状態を示す車両の模式図。
【図2】路面状態測定装置の概略構造を示すブロック図。
【図3】静止荷重Wと衝撃荷重Pと衝撃力Pimpとの関係を説明する荷重センサユニットの経時出力変化を示すグラフ。
【図4】路面状態測定装置の採取データに基づき生成された標本化データベースの模式図。
【図5】不快適性の段階を説明するための模式図。
【図6】路面状態測定装置が備えるセンシング装置の分解斜視図。
【図7】センシング装置が備える錘を下方から見た斜視図。
【図8】センシング装置の箱体のみを断面にして示す側面図。
【図9】パソコンのハードウェア構成を概略的に示すブロック図。
【図10】パソコンが実行する衝撃荷重取得処理の流れを示すフローチャート。
【図11】パソコンが実行する位置情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図12】路面状態測定装置によって測定された測定値を可視化する処理の流れを示すフローチャート。
【図13】路面状態測定装置を用いて開通直後の高速道路(北関東自動車道)で採取した採取データに基づき生成した標本化データベースの可視化例として、横軸に時間、縦軸に不快適指数をとったデフォルトのグラフ表示を示す模式図。
【図14】路面状態測定装置を用いて開通後38年経過した高速道路(東北自動車道)で採取した採取データに基づき生成した標本化データベースの可視化例として、横軸に時間、縦軸に不快適指数をとったデフォルトのグラフ表示を示す模式図。
【図15】図14に示すグラフの基礎となる標本化データベースのデータに基づいて作成した横軸に時間(図14よりもスケールアップ)、縦軸に衝撃荷重Pをとったグラフ。
【図16】横軸にKP(キロポスト)、縦軸に衝撃荷重Pをとったグラフ表示を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、路面状態測定装置101を搭載して路面状態測定方法を実施している状態を示す車両11の模式図である。道路1の路面2の状態を測定するには、例えば荷台12の上に路面状態測定装置101を搭載した車両11で測定対象である路面2上を走行する。車両11としては、特別なものを用意する必要はなく、一般的な乗用車、軽自動車、ワゴン、ライトバン、トラック等、あらゆるものを用いることができる。路面状態測定装置101は、荷台12に限らず、例えばシート13の上や、車両の床面14に設置してもよい。車両11が路面2に生じている段差3や凹凸(図示せず)を通過すると、路面状態測定装置101はこれに反応する。
【0015】
図2に示すように、路面状態測定装置101は、荷重センサ111を備えるセンシング装置112と、パソコン131と、GPSユニット151との組み合わせからなる。センシング装置112が備える荷重センサ111は、垂直荷重を計測する。センシング装置112は、このような荷重センサ111に所定重量の錘113で重力による荷重をかけた状態にしている。このため、車両11の静止時、荷重センサ111は、その錘113の重量、例えば60kgに応じた電気信号を出力する。荷重センサ111の出力は、計量回路114を介してパソコン131に送られる。計量回路114は、荷重センサ111から出力されるアナログの電気信号を増幅し、デジタル信号に変換して出力する。パソコン131は、計量回路114が出力するデジタル信号を参照することによって、荷重センサ111にかかっている荷重量を認識することができる。荷重センサ111と計量回路114とは、荷重センサユニット115(図9参照)を構成する。
【0016】
図3は、静止荷重Wと衝撃荷重Pと衝撃力Pimpとの関係を説明する荷重センサユニットの経時出力変化を示すグラフである。図3のグラフでは、横軸に時間、縦軸に荷重量がとられている。前述したように、錘113の重量が60kgであるとすると、車両11の静止時、パソコン131は、計量回路114から取り込んだ荷重センサ111の出力に基づいて、60kgの荷重を認識する。この荷重の値は、錘113の重力による荷重のみがかけられた状態の荷重センサ111の出力である。本明細書では、これを静止荷重Wと呼ぶ。
【0017】
車両11が道路1を走行すると、その路面2に生じている段差3や凹凸を通過する。すると、その際に生ずる車両11の突き上げによって荷重センサ111が錘113に押し付けられるため、荷重センサ111の出力の値が大きくなる。これにより、パソコン131は、計量回路114から取り込んだ荷重センサ111の出力に基づいて、60kgを超える値の荷重を認識する。本明細書では、これを衝撃荷重Pと呼ぶ。
【0018】
そして、図3に示すように、衝撃荷重Pの値は、そのピークを過ぎると減少する。つまり、道路1を走行する車両11が路面2に生じている段差3や凹凸を通過すると衝撃荷重Pの値が増加し始め、ピークに達すると減少するという現象が、繰り返し発生する。このような衝撃荷重Pの変化曲線において、ピーク時の衝撃荷重Pを、本明細書では衝撃力Pimpと呼ぶ。
【0019】
以上の説明によって、静止荷重W、衝撃荷重P、および衝撃力Pimpの概念についてご理解いただけたことであろう。そこで、再び、図2を参照されたい。パソコン131は、所定のサンプリング間隔で荷重センサ111の出力を取り込むことで、図3に例示するような荷重量の変化を認識することができる。精度良く荷重量の変化を認識するためのサンプリング間隔としては、車両11の走行速度が80〜100km/hrとして、1/100秒程度であることが望ましい。これを距離に変換すると、
車両11が時速80kmのとき : 約222mm
車両11が時速90kmのとき : 250mm
車両11が時速100kmのとき: 約278mm
となる。これは、250mm以下の測定間隔を規定するIRI(国際ラフネス指標)とほぼ符合する。サンプリング間隔をこのように規定することで、衝撃力Pimpのデータを正確に採取することが可能となる。反対に、1/100秒程度よりも細かいサンプリング間隔で荷重センサ111の出力を取り込んだ場合には、より豊富な衝撃荷重Pのデータを得ることができる反面、衝撃力Pimpのデータを得るという目的から見ると、データ量が過剰になってしまう。したがって、車両11の走行速度が80〜100km/hrとした場合に、1/100秒程度のサンプリング周期で荷重センサ111の出力を取り込むことが最善である。
【0020】
パソコン131は、さらに、GPSユニット151から位置情報を取得する。つまり、GPSユニット151は、GPS(Global Positioning System:汎地球測位システム)を搭載し、アンテナ152を介して受信したGPS衛星からの信号に基づいて現在位置の座標情報を演算によって求める。そこで、パソコン131は、車両11の走行中、所定のサンプリング間隔、例えば1秒毎に、GPSユニット151から現在位置の座標情報を取り込む。そして、取り込んだ座標情報は、1/100秒程度のサンプリング間隔で取り込んだ荷重センサ111の出力に対応させて、この荷重センサ111の出力と共にデータ記録する。この際、荷重センサ111の出力によって得られる衝撃荷重Pのデータのサンプリング間隔(1/100秒程度)とGPSユニット151から得られる座標情報のサンプリング間隔(1秒程度)とは、正確にシンクロナイズさせる必要はなく、およそ対応していればよい。
【0021】
図4は、路面状態測定装置101の採取データに基づき生成された標本化データベースDBの模式図である。標本化データベースDBは、「1/100秒値」、「衝撃荷重」、「不快適指数」、「段階値」、「位置座標」、および「KP(キロポスト)」のデータを記録し蓄積する。パソコン131は、荷重センサ111の出力を取り込むサンプリング間隔である1/100秒の値を次々と「1/100秒値」に記録してゆく。そして、その時の荷重センサ111からの出力に基づく衝撃荷重Pを「衝撃荷重」に記録してゆく。また、1秒というサンプリング間隔毎にGPSユニット151から取得する位置情報(座標情報)を「位置座標」に記録してゆく。
【0022】
このような標本化データベースDB中、「不快適指数」、「段階値」、および「KP(キロポスト)」については、未だ説明をしていないので、説明を加える。
【0023】
「不快適指数」は、静止荷重Wの値と衝撃荷重Pの値との比率である。つまり、パソコン131は、静止荷重Wの値に対する衝撃荷重Pの変化を求める処理として、静止荷重Wの値と衝撃荷重Pの値との比率を求める処理を実行する。この場合の比率は、
(衝撃荷重P/静止荷重W) ………(1)
として算出される。例えば、静止荷重Wを60kgとすると、衝撃荷重Pの値が75kgの場合の不快適指数は1.25であり、衝撃荷重Pの値が90kgの場合の不快適指数は1.5である。そこで、パソコン131は、荷重センサ111の出力から得た衝撃荷重Pの値に基づいて不快適指数を算出し、これをその基となる衝撃荷重Pに対応させて標本化データベースDB中の「不快適指数」に記録してゆく。なお、不快適指数という用語は、一般的に通用している技術用語ではなく、本明細書において定義する用語である。
【0024】
図5は、不快適性の段階を説明するための模式図である。前述した不快適指数は、路面2の状態に関するいわば1次評価である。この評価は、路面2の物的な状態にのみ依存しており、人間が快適と感ずるか不快適と感ずるかというような心理的要素を含んでいない。これに対して、不快適性の段階は、路面2の状態に関するいわば2次評価である。この評価は、人間が快適と感ずるか不快適と感ずるかという心理的評価をなしている。
【0025】
一般的に、路面2に生じた段差3が20mm程度になると、例えば80〜100km/hrで走行する車両11で乗り越えた場合、不快適と感じることが多い。このため、20mmの段差3は、補修が必要になるものと考えられる。そこで、一例として、20mmの段差を路面2上に実際に作り、その上を80km/hrの速度で車両11を走行してみる。そして、この時の荷重センサ111の出力に基づく衝撃荷重Pを採取し、衝撃力Pimpを求める。こうして求めた衝撃力Pimpを、ここでは補修基準衝撃力Pimp・基準とする。
【0026】
図5に示すように、静止荷重Wから補修基準衝撃力Pimp・基準の際の衝撃荷重Pに至る段階を、5段階に分類する。これが、不快適性の段階である。では、各段階をどのように分類するのかというと、荷重センサ111の出力に基づく衝撃荷重Pを、
(Pimp−W)/(Pimp・基準−W) ………(2)
W:静止荷重、Pimp:衝撃力、Pimp・基準:補修基準衝撃力
の式に当てはめ、表1に示す不快適性の判定基準に従い分類する。例えば、静止荷重が60kg、補修基準衝撃力Pimp・基準が120kgと仮定する。この場合、採取した衝撃荷重Pが75kgとすると、(2)式の解は0.25となり、不快適性の段階は0.3以下なので1段階となる。また、採取した衝撃荷重Pが85kgとすると、(2)式の解は約0.42となり、不快適性の段階は0.3〜0.5なので2段階となる。同様に、採取した衝撃荷重Pが100kgとすると、(2)式の解は約0.67となり、不快適性の段階は0.5〜0.7なので3段階となる。同様に、採取した衝撃荷重Pが105kgとすると、(2)式の解は約0.75となり、不快適性の段階は0.7〜0.9なので4段階となる。そして、採取した衝撃荷重Pが110kgとすると、(2)式の解は約0.83となり、不快適性の段階は0.9〜1.0なので5段階となる。
【0027】
【表1】
【0028】
そして、実際に車両11を走行させた場合の人間の感覚として、不快適と感ずるまでは至らないが、3段階目と4段階目とにやや問題を感じたならば、それぞれの価値観を定義する。表1に示す一例では、3段階目を観察、4段階目を注意観察という価値観で定義している。
【0029】
なお、不快適と感ずるかどうかは、車両11の性能に大きく依存するし、個人差もある。このため、20mmというのは、あくまでも一つの目安であり、他の値の採用を否定するものではない。また、不快適性の段階として、実際に走行している車両11に搭乗している者の感覚に基づき定義した例を示したが、他の価値観をもって不快適正の段階を定義してもよい。例えば、路面2に生じている段差3を車両11が乗り越える際に発生する騒音の程度や、走行時に生ずることであろう危険性の程度などの価値観で不快適性の段階を定義してもよい。
【0030】
パソコン131は、荷重センサ111の出力から得た衝撃荷重Pの値に基づいて不快適の段階を算出し、これをその基となる衝撃荷重Pに対応させて標本化データベースDB中の「段階値」に記録してゆく。なお、不快適性の段階という用語は、一般的に通用している技術用語ではなく、本明細書において定義する用語である。
【0031】
ついで、「KP(キロポスト)」は、基準となる地点からの一定間隔毎の標識位置である。本実施の形態において、KP(キロポスト)の用語は広義であり、文字通りの1km毎の標識位置であっても、他の間隔、例えば100m毎の標識位置であってもよい。より狭義には、実際の道路、例えば東名高速道路や中央自動車道等に現実に設置されているいわゆる狭義のキロポストに対応する標識位置であってもよい。
【0032】
パソコン131は、GPSユニット151から取り込んだ座標情報に基づいてKP(キロポスト)の位置を求め、この位置情報をその基となる座標情報に対応させて標本化データベースDB中の「KP(キロポスト)」に記録してゆく。
【0033】
こうして、パソコン131は、測定対象である路面2を車両11が走行している間のデータを標本化データベースDBに逐次記録し、標本化データベースDBを完成させる。
【0034】
図6は、路面状態測定装置101が備えるセンシング装置112の分解斜視図である。センシング装置112は、荷重センサ111を備えるセンサベース116を箱型の保持ベース117に収納し、センサベース116に錘113を取り付けた構造のものである。センサベース116は、円柱状のロワベース116aとアッパベース116bとの間に荷重センサ111を配置した構造体である。荷重センサ111は、一例として、一対のシート状のゴムの間に圧電フィルムをラミネートしたシート型変電荷重センサである。このようなシート型変電荷重センサは、垂直荷重がかかったゴムがポアゾン効果によって水平方向に伸びる力で圧電フィルムを引き延ばし、その変形に応じた電荷を圧電フィルムに生じさせる。このような荷重センサ111は、ロワベース116aの上面とアッパベース116bの下面とに接着固定されている。なお、別の一例として、ロードセル秤を用いて荷重センサ111としてもよい。
【0035】
センサベース116は、アッパベース116bの上面に三本の装着棒118を垂直方向に向けて固定している。これらの装着棒118は、錘113をセンサベース116に装着するための構造物であり、正三角形をなす位置に配置されている。つまり、円盤状の錘113には、それらの装着棒118と位置を合わせて三個の装着孔119が形成されている。そこで、錘113に形成された装着孔119に装着棒118を通すようにしてセンサベース116に錘113を載置することで、錘113がセンサベース116に装着される。ここで重要なことは、錘113に形成されている装着孔119の方がアッパベース116bに設けられている装着棒118よりも大径に形成されている、ということである。したがって、装着棒118と装着孔119との間には遊びが形成される。このような錘113は、一例として、一つが15kgの重量で形成されている。本実施の形態では、四個の錘113をセンサベース116に装着可能である。したがって、最大で60kgの錘113による荷重を荷重センサ111にかけることができる。このように、錘113は四個に分割されているので、その持ち運びや取り扱いが良好である。
【0036】
図7および図8に示すように、最下段の錘113は、その下面に三個のローラベアリング120を備えている。これらのローラベアリング120は、正三角形の頂点をなす位置に配置されている。したがって、アッパベース116bに装着された四個の錘113は、ローラベアリング120の作用で、装着棒118と装着孔119との間の遊びの分だけ自由に移動することができる。このため、センシング装置112を搭載した車両11を走行させた場合、車両11には振動が伝わるので、錘113は絶えず装着棒118と装着孔119との間の遊びの分だけ自由に移動することになる。この際、ローラベアリング120は、正三角形の頂点をなす三箇所の位置に配置されているので、保持ベース117からの浮き上がりが抑制される。これにより、保持ベース117の底面に対するセンサベース116の垂直度が維持され、荷重センサ111の測定精度が保たれる。
【0037】
なお、車両11から伝わる振動によって四個の錘113が一体的に移動するよう、個々の錘113同士が位置固定されているとよい。このような個々の錘113同士の位置固定は、一例として、下方に位置付けられる錘113の上面とこれに積み重ねられる錘113の下面とに凹凸の嵌合構造を形成しておくことで、容易に実現可能である。
【0038】
また、別の一例として、アッパベース116bの装着棒118と錘113の装着孔119とを共に設けず、単に、アッパベース116bの上面に錘113を載置するだけの構成としてもよい。この場合には、一例として、保持ベース117の側壁の高さを錘113の高さ程度以上に高く形成し、ローラベアリング120によって自由に移動する錘113の脱落を保持ベース117の側壁によって防止するようにする。そして、個々の錘113同士を紐などで結び合わせることで、大きな振動が伝わると凹凸嵌合だけでは脱落してしまう可能性がある個々の錘113同士を、強固に一体化することが可能となる。
【0039】
図9は、センシング装置112のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。センシング装置112のハードウェア構成は、パソコン131に荷重センサユニット115とGPSユニット151とが接続されて構築されている。パソコン131は、各種の演算処理を実行するCPU132にROM133およびRAM134が接続されたマイクロコンピュータ135を主体とする。ROM133は、例えばEEPROMであり、BIOS等の固定データを格納している。RAM134は、各種の可変データを書き換え自在に記憶し、CPU132が演算処理を実行する際のワークエリアを提供する。このようなマイクロコンピュータ135には、ハードディスクドライブ(HDD)136、液晶ディスプレイ等の表示部137、並びに、キーボードおよびポインティングデバイスからなる入力部138が接続され、パソコン131を構成している。HDD136には、路面状態測定用のコンピュータプログラムであるプログラムPGがインストールされており、標本化データベースDBが格納されている。プログラムPGを起動させると、その全部または一部がRAM134のワークエリアにコピーされ、CPU132はRAM134にアクセスしてプログラムPGに従った処理を実行する。また、起動したプログラムによって標本化データベースDBを作成するに際して、CPU132は、標本化データベースDBを作成してHDD136に格納した上で、この標本化データベースDBに蓄積すべきデータをRAM134のワークエリアにまず記憶し、その後、逐次、HDD136に格納した標本化データベースDBに格納していく。
【0040】
こうして構築されたパソコン131のCPU132には、荷重センサユニット115とGPSユニット151とがデータ通信自在に接続されている。荷重センサユニット115は、前述したように、センシング装置112が備えている荷重センサ111に計量回路114が組み合わされたハードウェアである。GPSユニット151は、アンテナ152を介して受信したGPS衛星からの信号に基づいて現在位置の座標情報を演算によって求め、座標情報(座標データ)をパソコン131に送信する。
【0041】
以上のように構成された路面状態測定装置101を使用するには、まず、路面状態測定装置101を車両11に搭載し、路面2の状態を測定しようとする道路1まで赴く。そして、路面状態測定用のプログラムPGを起動させ、測定対象である路面2上を走行する。この際、起動したプログラムPGに従い、パソコン131のCPU132は、衝撃荷重取得処理およびそのバックグランド処理と位置情報取得処理とをマルチタスク処理で並列的に実行し、新たな標本化データベースDBを構築してゆく。以下、衝撃荷重取得処理を図10に基づいて、位置情報取得処理を図11に基づいて、順に説明する。衝撃荷重取得処理のバックグランド処理については、フローチャート等で図示することなく説明する。
【0042】
まず、図10に示すように、衝撃荷重取得処理として、CPU132は、所定のサンプリング間隔を規定するサンプリング周期の到来を判定すると(ステップS101のYES)、荷重センサユニット115から荷重値を取得する(ステップS102)。この場合のサンプリング周期は、先に例示したように、1/100秒である。CPU132は、荷重値を取得したならば(ステップS102)、1/100秒値をインクリメントし、その1/100秒値と共に取得した荷重値を標本化データベースDBの「1/100秒値」と「衝撃荷重」とに記録する(ステップS103)。このような処理(ステップS101〜ステップS103)は、CPU132が終了コマンドを受信するまで(ステップS104のYES)、繰り返し実行される。
【0043】
CPU132は、衝撃荷重取得処理のバックグランド処理として、不快適指数と不快適性の段階値とを演算処理によって算出し、その算出結果の値を標本化データベースDBの「不快適指数」および「段階値」に記録する。これらの不快適指数と不快適性の段階値との算出手法については、上記(1)式および(2)式として既に述べたとおりであるので重複説明を避けるが、若干の説明を補足する。
【0044】
まず、不快適性指数は、上記(1)式のとおり、(衝撃荷重P/静止荷重W)として算出される。このため、予め静止荷重Wの値が予め定義されている必要がある。そこで、路面状態測定用のプログラムPGは、静止荷重Wの値を定義する機会をユーザに提供する。静止荷重Wの値の定義は、一例として、入力部138を用いた手入力によってなされる。別の一例としては、荷重センサユニット115から取り込んだ加重値によって静止荷重Wの値を定義してもよい。この場合、一例として、車両11を停止した状態で入力部138によって取り込み指定をすると、荷重センサユニット115から荷重値を取り込み、これを静止荷重Wとして定義する。
【0045】
ついで、不快適性の段階は、上記(2)式のとおり、(Pimp−W)/(Pimp・基準−W)として算出され、上記表1中の各段階値を決する(2)式の解の範囲に当てはめて求められる。このため、補修基準衝撃力Pimp・基準および各段階値を決する(2)式の解の範囲が予め定義されている必要がある。そこで、路面状態測定用のプログラムPGは、これらの補修基準衝撃力Pimp・基準および各段階値を決する(2)式の解の範囲を定義する機会をユーザに提供する。これらの値の定義は、一例として、入力部138を用いた手入力によってなされる。
【0046】
ついで、図11に示すように、位置情報取得処理として、CPU132は、所定のサンプリング間隔を規定するサンプリング周期の到来を判定すると(ステップS151のYES)、GPSユニット151から現在位置の位置座標を取得する(ステップS152)。この場合のサンプリング周期は、先に例示したように、1秒である。CPU132は、一座標を取得したならば(ステップS152)、取得した位置座標からKP(キロポスト)を算出する(ステップS153)。そして、位置座標およびKPを標本化データベースDBの「位置座標」と「KP(キロポスト)」とに記録する(ステップS154)。このような処理(ステップS151〜ステップS154)は、CPU132が終了コマンドを受信するまで(ステップS155のYES)、繰り返し実行される。
【0047】
パソコン131のCPU132は、プログラムPGに従い、以上説明した衝撃荷重取得処理およびそのバックグランド処理と位置情報取得処理とを実行することで、測定対象である路面2を車両11が走行している間のデータを標本化データベースDBに逐次記録し、標本化データベースDBを完成させる。路面状態測定用のプログラムPGは、こうして生成した標本化データベースDBのデータに基づき、静止荷重Wの値に対する衝撃荷重Pの値の変化を位置情報と関連付けて可視化する機能をパソコン131に実行させる。また、路面状態測定用のプログラムPGさえインストールしておけば、車両11に搭載した路面状態測定装置101のパソコン131のHDD136に構築された標本化データベースDBをコピーすることで、別のコンピュータで上記可視化処理を行なわせることもできる。以下、このような可視化処理を図12のフローチャートおよび図13〜図16に示すグラフ表示等を参照しながら説明する。ここでは、パソコン131によって可視化処理を実行する場合を説明する。
【0048】
図12に示すように、CPU132は、可視化を望む標本化データベースDBが選択指定されたならば(ステップS201のYES)、可視化装置となる表示部137にデフォルトグラフ表示を実行する(ステップS202)。デフォルトグラフ表示は、横軸に1/100秒値、縦軸に不快適指数をとった二次元グラフである。その一例を図13に、別の一例を図14にそれぞれ示す。
【0049】
図13は、本実施の形態の路面状態測定装置101を試作し、開通直後の高速道路(北関東自動車道(平成22年4月17日開通))で実際に採取した採取データに基づき生成した標本化データベースDBの可視化例である。また、図14は、本実施の形態の路面状態測定装置101を試作し、開通後38年経過した高速道路(東北自動車道)で実際に採取した採取データに基づき生成した標本化データベースDBの可視化例である。いずれも、各種条件は、
データ採取日 :平成22年5月8日
走行速度 :80km/hr
荷重値のサンプリング間隔:1/100秒
である。
【0050】
図13および図14のグラフ表示を参照すると、基調となる不快適指数が1〜1.1強程度の範囲に収まっていることが分かる。また、基調となる不快適指数についても、開通直後の北関東自動車道よりも開通後38年経過した東北自動車道の方が、より数値が高い、つまり快適でないことが示されている。これに加えて、北関東自動車道では、基調となる不快適指数が比較的一定しているのに対して、東北自動車道では基調となる不快適指数に変動が生じている。これは、補修時期の相違によるものと推定される。
【0051】
また、図13および図14のグラフ表示を参照すると、1〜1.1強程度の範囲に収まっている基調となる不快適指数の値のところどころに、ピーク的な上昇が測定されていることが分かる。この不快適指数のピーク的な上昇箇所は、車両11が段差3や凹凸を乗り越えた箇所である。図13のグラフ表示から、開通間もない道路1であっても、路面状態測定装置101は、極めて敏感に路面2の段差3や凹凸に反応してこれを記録していることが分かる。このような路面状態測定装置101の性能について、図15のグラフを参照して次に説明する。
【0052】
図15は、図14に示すグラフの基礎となる標本化データベースDBのデータに基づいて作成した横軸に時間、縦軸に衝撃荷重Pをとったグラフである。図15のグラフでは、横軸の時間を図14よりもスケールアップし、1/100秒間隔で示している。このような図15のグラフを参照すると、12(11と13との間)から17で示される6/100秒の間に、1/100秒(0.01秒)間に19〜22kgずつ衝撃荷重Pが増加し、合計で115kgもの衝撃荷重Pの増加を測定していることが分かる。したがって、本実施の形態の路面状態測定装置101によれば、段差3や凹凸という路面2の状態に対する反応が極めて良好であり、このような路面2の状態を高い精度をもって測定することができる。
【0053】
ここで、本実施の形態では、荷重センサ111に錘113による荷重を予めかけている。この場合の荷重量として、本実施の形態では、15kgの錘113を四個用いて60kgとしている。この60kgというのは、男女合わせた日本人の平均体重程度の重さである。したがって、本実施の形態の路面状態測定装置101は、観念的にいうなら、車両11に搭乗している人間に対して加わる路面2の段差3や凹凸による衝撃を、直接的に荷重センサ111で計測しているが如き測定原理を採用していることになる。このため、荷重センサ111の出力に基づく値、例えば前述の不快適指数や不快適性の段階は、車両11に搭乗している人間が受ける実際の快適性に関する感覚に、極めて近似した値を示すはずである。ここに、60kgという錘113の重量の意義を見出すことができる。
【0054】
もっとも、上記60kgというのは、使用する錘113の重さが60kgあるいはその前後の重さでなければならないことを意図するものではない。発明者の認識においても、60kgおよびその前後の重さは単なる例示であって、60kgからかけ離れた重さ、例えば15kgの錘113のみを採用することに、特段の躊躇はない。実際に、発明者は、錘113の重量を15kgとして試験走行してみた。その結果、ある程度の大きさの段差3や凹凸によって荷重センサ111の出力に生ずるピーク的な変動に関して、十分な反応を示すことを確認することができた。
【0055】
図12に示すフローチャートの説明に戻る。CPU132は、デフォルトグラフ表示を実行した後(ステップS202)、表示切替の指定の有無を判定する(ステップS203)。表示切替の指定を判定した場合(ステップS203のYES)、現在の表示がデフォルトグラフ表示ならば(ステップS204のYES)、キロポストグラフ表示に切り替える(ステップS205)。これに対して、キロポストグラフ表示に切り替えられた後に(ステップS205)、表示切替の指定の有無判定(ステップS203)は終了コマンドを認識するまで繰り返されるので(ステップS211)、表示切替の指定の有無判定(ステップS203)の後、現在の表示がデフォルトグラフ表示ではないと判定されることもある(ステップS204のNO)。この場合には、キロポストグラフ表示がなされているはずなので、デフォルトグラフ表示に切り替える(ステップS206)。
【0056】
図16に示すように、キロポストグラフ表示は、横軸にKP(キロポスト)の値をとったグラフ表示である。図16に示すグラフ表示の一例では、横軸にKP(キロポスト)、縦軸に衝撃荷重Pの値をとっている。図示しないが、CPU132は、横軸にKP(キロポスト)、縦軸に不快適指数の値をとったグラフ表示をすることもできる。このようなキロポストグラフ表示によれば、縦軸に示される衝撃荷重Pや不快適指数がどの場所でどのように変化しているのかが一目瞭然となる。このため、道路1の路面2の状況を現場検分するに際して、現場の位置を適切に知らせることができる。
【0057】
以上、デフォルトグラフ表示とキロポストグラフ表示とについて説明した。追加の機能として、CPU132は、いずれのグラフ表示であっても、横軸(時間、KP)のスケールを可変する機能をサポートしている。また、CPU132は、デフォルトグラフ表示およびキロポストグラフ表示に、不快適性の段階を可視化する機能もサポートしている。以下、このような不快適性の段階を可視化する機能について説明する。
【0058】
図12に示すように、CPU132は、段階表示の指定の有無を判定する(ステップS207)。段階表示の指定がなければ(ステップS207のNO)、前述したように、終了コマンドを認識するまで(ステップS211のYES)、ステップS203の表示切替の有無の判定にリターンし、表示切替および段階表示の処理を繰り返す。これに対して、CPU132は、段階表示の指定を判定すると(ステップS207のYES)、現在のグラフ表示に不快適性の段階を表示する(ステップS208)。この処理は、標本化データベースDBの「段階値」を参照し、段階毎にグラフに示される表示値の色を可変することによってなされる。例えば、表1に示す不快適性の判定基準では、段階1および2は問題無しなので、表示色の変更はせず、段階3(観察)になった場合には表示色を緑色に、段階4(注意観察)になった場合には表示色を黄色に、そして、段階5(要補修)に至ると表示色を赤色にする。これにより、デフォルトグラフ表示またはキロポストグラフ表示を見ただけで、不快適性の段階が一目瞭然となる。とりわけ、キロポストグラフ表示に不快適性の段階を色分け表示した場合には、どの場所で補修を要するのか等が歴然となり、補修等の箇所を有効に知らしめることができる。
【0059】
CPU132は、ステップS208において、不快適性の段階表示として、ポップアップ表示も実行する。ポップアップ表示は、グラフ表示とは別途のウインドウになされるため、より自由な表現形式で不快適性の段階を表示することができる。
【0060】
続いて、CPU132は、プリント指示の有無を判定し(ステップS209)、プリント指示を判定したならば(ステップS209のYES)、プリント処理を実行する(ステップS210)。すると、パソコン131に接続された可視化装置として機能するプリンタ(図示せず)より、デフォルトグラフ表示、キロポストグラフ表示、それらに不快適性の段階を重畳表示したグラフをプリントアウトすることができる。このように、路面状態測定装置101は、静止荷重Wの値に対する衝撃荷重Pの値の変化を位置情報と関連付けた可視化の手法としては、表示部137を利用した可視化の他、プリンタを利用した可視化もサポートしている。
【0061】
そして、CPU132は、終了コマンドを認識したならば(ステップS211のYES)、処理を終了する。
【符号の説明】
【0062】
11 車両
111 荷重センサ
112 センシング装置
113 錘
137 表示部(可視化装置)
P 衝撃荷重
W 静止荷重
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を実際に走行させて、道路に生じている段差や凹凸等の路面状態を測定するようにした技術に係り、特に、路面に対して接触しない非接触方式であって、路面から受ける動的応答を測定するレスポンス方式の路面状態測定方法、路面状態測定装置、およびこれらの方法および装置に利用するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の路面は、理想的には平滑面であることが望ましい。しかしながら、完全な平滑性を維持している道路は存在せず、現実には段差や凹凸が無数に連続している。このような段差や凹凸は、道路の竣工時から不可避的に発生しているし、使用頻度に応じてその程度も増大する。とりわけ、高速道路では、路面に生じている段差や凹凸が走行時の快適性に大きく影響を与えるのみならず、騒音の原因となったり、安全運行に支障を来たしたりすることから、厳重な路面管理が必要である。
【0003】
路面を管理する場合、路面の平滑性を評価するための何らかの指標が必要となる。わが国では、建設省(現、国土交通省)で開発されたMCI(Maintenance Control Index:維持管理指数)があるが、近年では、より道路利用者の快適性に重点をおいた指標として、IRI(International Roughness Index:国際ラフネス指標)が注目されている。これに対して、どのような指標を採用するにせよ、まずは、道路に生じている段差や凹凸等の路面状態を測定する必要がある。
【0004】
路面状況を測定する技術には、大別すると、プロファイル方式とレスポンス方式とがある。プロファイル方式は、路面の縦方向のプロファイルを実測する方式である。例えば、特許文献1には、プロファイル方式の一例として、レーザ光点変位計、超音波距離計等を用い、路面との間の波動の往復伝播時間を計測して計測車と路面との間の相対距離を検出する技術が開示されている(段落0008等参照)。これに対して、レスポンス方式は、路面から受ける動的応答に基づいて路面の平滑性を測定する方式である。例えば、特許文献2には、レスポンス方式の一例として、鉛直方向の加速度を加速度計で測定し、これを積分して鉛直方向の変位を求めるようにした技術が開示されている(段落0006〜0011参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−094445号公報
【特許文献2】特開平10−168810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この出願の発明者は、レスポンス方式に着目し、路面状態の測定について研究を重ねた。レスポンス方式によって路面状態を測定する最も一般的な手法は、上記特許文献2に記載されているように、鉛直方向の加速度を測定し、これを積分して鉛直方向の変位を求める手法である。ところが、このような測定手法を用いた場合、路面の段差や凹凸に対して、必ずしも高い検出精度が得られないという問題がある。これは、路面の段差や凹凸に応じて加速度計は加速度を検出するわけであるが、段差や凹凸が比較的小さな場合の加速度と比較的大きな場合の加速度とを比較した場合、両者間に顕著な加速度変化が生じないからである。つまり、道路上に車両を実走行させた場合、路面には細かな段差や凹凸が連続しているために、車両に搭載されている加速度計は常に加速度を検出した状態となっている。このため、比較的大きな段差や凹凸を乗り越えた場合であっても、大きな加速度変化が現れにくい。その結果、路面の段差や凹凸に対して高い検出精度が得られない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、段差や凹凸という路面状態を高い精度をもって測定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の路面状態測定方法は、垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置を搭載した車両を走行させ、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を記録する工程と、前記車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する工程と、前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める工程と、を備えることによって上記課題を解決した。
【0009】
本発明の路面状態測定装置は、垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置と、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を記録する手段と、前記荷重センサを搭載した車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する手段と、前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める手段と、を備えることによって上記課題を解決した。
【0010】
本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置から、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を取得して記録する機能と、前記荷重センサを搭載した車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する機能と、前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める機能と、を実行させることによって上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、路面の段差や凹凸の程度に応じて荷重センサの出力の値に大きな変化が生ずるため、路面状態を高い精度をもって測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の一形態として、路面状態測定装置を搭載して路面状態測定方法を実施している状態を示す車両の模式図。
【図2】路面状態測定装置の概略構造を示すブロック図。
【図3】静止荷重Wと衝撃荷重Pと衝撃力Pimpとの関係を説明する荷重センサユニットの経時出力変化を示すグラフ。
【図4】路面状態測定装置の採取データに基づき生成された標本化データベースの模式図。
【図5】不快適性の段階を説明するための模式図。
【図6】路面状態測定装置が備えるセンシング装置の分解斜視図。
【図7】センシング装置が備える錘を下方から見た斜視図。
【図8】センシング装置の箱体のみを断面にして示す側面図。
【図9】パソコンのハードウェア構成を概略的に示すブロック図。
【図10】パソコンが実行する衝撃荷重取得処理の流れを示すフローチャート。
【図11】パソコンが実行する位置情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図12】路面状態測定装置によって測定された測定値を可視化する処理の流れを示すフローチャート。
【図13】路面状態測定装置を用いて開通直後の高速道路(北関東自動車道)で採取した採取データに基づき生成した標本化データベースの可視化例として、横軸に時間、縦軸に不快適指数をとったデフォルトのグラフ表示を示す模式図。
【図14】路面状態測定装置を用いて開通後38年経過した高速道路(東北自動車道)で採取した採取データに基づき生成した標本化データベースの可視化例として、横軸に時間、縦軸に不快適指数をとったデフォルトのグラフ表示を示す模式図。
【図15】図14に示すグラフの基礎となる標本化データベースのデータに基づいて作成した横軸に時間(図14よりもスケールアップ)、縦軸に衝撃荷重Pをとったグラフ。
【図16】横軸にKP(キロポスト)、縦軸に衝撃荷重Pをとったグラフ表示を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、路面状態測定装置101を搭載して路面状態測定方法を実施している状態を示す車両11の模式図である。道路1の路面2の状態を測定するには、例えば荷台12の上に路面状態測定装置101を搭載した車両11で測定対象である路面2上を走行する。車両11としては、特別なものを用意する必要はなく、一般的な乗用車、軽自動車、ワゴン、ライトバン、トラック等、あらゆるものを用いることができる。路面状態測定装置101は、荷台12に限らず、例えばシート13の上や、車両の床面14に設置してもよい。車両11が路面2に生じている段差3や凹凸(図示せず)を通過すると、路面状態測定装置101はこれに反応する。
【0015】
図2に示すように、路面状態測定装置101は、荷重センサ111を備えるセンシング装置112と、パソコン131と、GPSユニット151との組み合わせからなる。センシング装置112が備える荷重センサ111は、垂直荷重を計測する。センシング装置112は、このような荷重センサ111に所定重量の錘113で重力による荷重をかけた状態にしている。このため、車両11の静止時、荷重センサ111は、その錘113の重量、例えば60kgに応じた電気信号を出力する。荷重センサ111の出力は、計量回路114を介してパソコン131に送られる。計量回路114は、荷重センサ111から出力されるアナログの電気信号を増幅し、デジタル信号に変換して出力する。パソコン131は、計量回路114が出力するデジタル信号を参照することによって、荷重センサ111にかかっている荷重量を認識することができる。荷重センサ111と計量回路114とは、荷重センサユニット115(図9参照)を構成する。
【0016】
図3は、静止荷重Wと衝撃荷重Pと衝撃力Pimpとの関係を説明する荷重センサユニットの経時出力変化を示すグラフである。図3のグラフでは、横軸に時間、縦軸に荷重量がとられている。前述したように、錘113の重量が60kgであるとすると、車両11の静止時、パソコン131は、計量回路114から取り込んだ荷重センサ111の出力に基づいて、60kgの荷重を認識する。この荷重の値は、錘113の重力による荷重のみがかけられた状態の荷重センサ111の出力である。本明細書では、これを静止荷重Wと呼ぶ。
【0017】
車両11が道路1を走行すると、その路面2に生じている段差3や凹凸を通過する。すると、その際に生ずる車両11の突き上げによって荷重センサ111が錘113に押し付けられるため、荷重センサ111の出力の値が大きくなる。これにより、パソコン131は、計量回路114から取り込んだ荷重センサ111の出力に基づいて、60kgを超える値の荷重を認識する。本明細書では、これを衝撃荷重Pと呼ぶ。
【0018】
そして、図3に示すように、衝撃荷重Pの値は、そのピークを過ぎると減少する。つまり、道路1を走行する車両11が路面2に生じている段差3や凹凸を通過すると衝撃荷重Pの値が増加し始め、ピークに達すると減少するという現象が、繰り返し発生する。このような衝撃荷重Pの変化曲線において、ピーク時の衝撃荷重Pを、本明細書では衝撃力Pimpと呼ぶ。
【0019】
以上の説明によって、静止荷重W、衝撃荷重P、および衝撃力Pimpの概念についてご理解いただけたことであろう。そこで、再び、図2を参照されたい。パソコン131は、所定のサンプリング間隔で荷重センサ111の出力を取り込むことで、図3に例示するような荷重量の変化を認識することができる。精度良く荷重量の変化を認識するためのサンプリング間隔としては、車両11の走行速度が80〜100km/hrとして、1/100秒程度であることが望ましい。これを距離に変換すると、
車両11が時速80kmのとき : 約222mm
車両11が時速90kmのとき : 250mm
車両11が時速100kmのとき: 約278mm
となる。これは、250mm以下の測定間隔を規定するIRI(国際ラフネス指標)とほぼ符合する。サンプリング間隔をこのように規定することで、衝撃力Pimpのデータを正確に採取することが可能となる。反対に、1/100秒程度よりも細かいサンプリング間隔で荷重センサ111の出力を取り込んだ場合には、より豊富な衝撃荷重Pのデータを得ることができる反面、衝撃力Pimpのデータを得るという目的から見ると、データ量が過剰になってしまう。したがって、車両11の走行速度が80〜100km/hrとした場合に、1/100秒程度のサンプリング周期で荷重センサ111の出力を取り込むことが最善である。
【0020】
パソコン131は、さらに、GPSユニット151から位置情報を取得する。つまり、GPSユニット151は、GPS(Global Positioning System:汎地球測位システム)を搭載し、アンテナ152を介して受信したGPS衛星からの信号に基づいて現在位置の座標情報を演算によって求める。そこで、パソコン131は、車両11の走行中、所定のサンプリング間隔、例えば1秒毎に、GPSユニット151から現在位置の座標情報を取り込む。そして、取り込んだ座標情報は、1/100秒程度のサンプリング間隔で取り込んだ荷重センサ111の出力に対応させて、この荷重センサ111の出力と共にデータ記録する。この際、荷重センサ111の出力によって得られる衝撃荷重Pのデータのサンプリング間隔(1/100秒程度)とGPSユニット151から得られる座標情報のサンプリング間隔(1秒程度)とは、正確にシンクロナイズさせる必要はなく、およそ対応していればよい。
【0021】
図4は、路面状態測定装置101の採取データに基づき生成された標本化データベースDBの模式図である。標本化データベースDBは、「1/100秒値」、「衝撃荷重」、「不快適指数」、「段階値」、「位置座標」、および「KP(キロポスト)」のデータを記録し蓄積する。パソコン131は、荷重センサ111の出力を取り込むサンプリング間隔である1/100秒の値を次々と「1/100秒値」に記録してゆく。そして、その時の荷重センサ111からの出力に基づく衝撃荷重Pを「衝撃荷重」に記録してゆく。また、1秒というサンプリング間隔毎にGPSユニット151から取得する位置情報(座標情報)を「位置座標」に記録してゆく。
【0022】
このような標本化データベースDB中、「不快適指数」、「段階値」、および「KP(キロポスト)」については、未だ説明をしていないので、説明を加える。
【0023】
「不快適指数」は、静止荷重Wの値と衝撃荷重Pの値との比率である。つまり、パソコン131は、静止荷重Wの値に対する衝撃荷重Pの変化を求める処理として、静止荷重Wの値と衝撃荷重Pの値との比率を求める処理を実行する。この場合の比率は、
(衝撃荷重P/静止荷重W) ………(1)
として算出される。例えば、静止荷重Wを60kgとすると、衝撃荷重Pの値が75kgの場合の不快適指数は1.25であり、衝撃荷重Pの値が90kgの場合の不快適指数は1.5である。そこで、パソコン131は、荷重センサ111の出力から得た衝撃荷重Pの値に基づいて不快適指数を算出し、これをその基となる衝撃荷重Pに対応させて標本化データベースDB中の「不快適指数」に記録してゆく。なお、不快適指数という用語は、一般的に通用している技術用語ではなく、本明細書において定義する用語である。
【0024】
図5は、不快適性の段階を説明するための模式図である。前述した不快適指数は、路面2の状態に関するいわば1次評価である。この評価は、路面2の物的な状態にのみ依存しており、人間が快適と感ずるか不快適と感ずるかというような心理的要素を含んでいない。これに対して、不快適性の段階は、路面2の状態に関するいわば2次評価である。この評価は、人間が快適と感ずるか不快適と感ずるかという心理的評価をなしている。
【0025】
一般的に、路面2に生じた段差3が20mm程度になると、例えば80〜100km/hrで走行する車両11で乗り越えた場合、不快適と感じることが多い。このため、20mmの段差3は、補修が必要になるものと考えられる。そこで、一例として、20mmの段差を路面2上に実際に作り、その上を80km/hrの速度で車両11を走行してみる。そして、この時の荷重センサ111の出力に基づく衝撃荷重Pを採取し、衝撃力Pimpを求める。こうして求めた衝撃力Pimpを、ここでは補修基準衝撃力Pimp・基準とする。
【0026】
図5に示すように、静止荷重Wから補修基準衝撃力Pimp・基準の際の衝撃荷重Pに至る段階を、5段階に分類する。これが、不快適性の段階である。では、各段階をどのように分類するのかというと、荷重センサ111の出力に基づく衝撃荷重Pを、
(Pimp−W)/(Pimp・基準−W) ………(2)
W:静止荷重、Pimp:衝撃力、Pimp・基準:補修基準衝撃力
の式に当てはめ、表1に示す不快適性の判定基準に従い分類する。例えば、静止荷重が60kg、補修基準衝撃力Pimp・基準が120kgと仮定する。この場合、採取した衝撃荷重Pが75kgとすると、(2)式の解は0.25となり、不快適性の段階は0.3以下なので1段階となる。また、採取した衝撃荷重Pが85kgとすると、(2)式の解は約0.42となり、不快適性の段階は0.3〜0.5なので2段階となる。同様に、採取した衝撃荷重Pが100kgとすると、(2)式の解は約0.67となり、不快適性の段階は0.5〜0.7なので3段階となる。同様に、採取した衝撃荷重Pが105kgとすると、(2)式の解は約0.75となり、不快適性の段階は0.7〜0.9なので4段階となる。そして、採取した衝撃荷重Pが110kgとすると、(2)式の解は約0.83となり、不快適性の段階は0.9〜1.0なので5段階となる。
【0027】
【表1】
【0028】
そして、実際に車両11を走行させた場合の人間の感覚として、不快適と感ずるまでは至らないが、3段階目と4段階目とにやや問題を感じたならば、それぞれの価値観を定義する。表1に示す一例では、3段階目を観察、4段階目を注意観察という価値観で定義している。
【0029】
なお、不快適と感ずるかどうかは、車両11の性能に大きく依存するし、個人差もある。このため、20mmというのは、あくまでも一つの目安であり、他の値の採用を否定するものではない。また、不快適性の段階として、実際に走行している車両11に搭乗している者の感覚に基づき定義した例を示したが、他の価値観をもって不快適正の段階を定義してもよい。例えば、路面2に生じている段差3を車両11が乗り越える際に発生する騒音の程度や、走行時に生ずることであろう危険性の程度などの価値観で不快適性の段階を定義してもよい。
【0030】
パソコン131は、荷重センサ111の出力から得た衝撃荷重Pの値に基づいて不快適の段階を算出し、これをその基となる衝撃荷重Pに対応させて標本化データベースDB中の「段階値」に記録してゆく。なお、不快適性の段階という用語は、一般的に通用している技術用語ではなく、本明細書において定義する用語である。
【0031】
ついで、「KP(キロポスト)」は、基準となる地点からの一定間隔毎の標識位置である。本実施の形態において、KP(キロポスト)の用語は広義であり、文字通りの1km毎の標識位置であっても、他の間隔、例えば100m毎の標識位置であってもよい。より狭義には、実際の道路、例えば東名高速道路や中央自動車道等に現実に設置されているいわゆる狭義のキロポストに対応する標識位置であってもよい。
【0032】
パソコン131は、GPSユニット151から取り込んだ座標情報に基づいてKP(キロポスト)の位置を求め、この位置情報をその基となる座標情報に対応させて標本化データベースDB中の「KP(キロポスト)」に記録してゆく。
【0033】
こうして、パソコン131は、測定対象である路面2を車両11が走行している間のデータを標本化データベースDBに逐次記録し、標本化データベースDBを完成させる。
【0034】
図6は、路面状態測定装置101が備えるセンシング装置112の分解斜視図である。センシング装置112は、荷重センサ111を備えるセンサベース116を箱型の保持ベース117に収納し、センサベース116に錘113を取り付けた構造のものである。センサベース116は、円柱状のロワベース116aとアッパベース116bとの間に荷重センサ111を配置した構造体である。荷重センサ111は、一例として、一対のシート状のゴムの間に圧電フィルムをラミネートしたシート型変電荷重センサである。このようなシート型変電荷重センサは、垂直荷重がかかったゴムがポアゾン効果によって水平方向に伸びる力で圧電フィルムを引き延ばし、その変形に応じた電荷を圧電フィルムに生じさせる。このような荷重センサ111は、ロワベース116aの上面とアッパベース116bの下面とに接着固定されている。なお、別の一例として、ロードセル秤を用いて荷重センサ111としてもよい。
【0035】
センサベース116は、アッパベース116bの上面に三本の装着棒118を垂直方向に向けて固定している。これらの装着棒118は、錘113をセンサベース116に装着するための構造物であり、正三角形をなす位置に配置されている。つまり、円盤状の錘113には、それらの装着棒118と位置を合わせて三個の装着孔119が形成されている。そこで、錘113に形成された装着孔119に装着棒118を通すようにしてセンサベース116に錘113を載置することで、錘113がセンサベース116に装着される。ここで重要なことは、錘113に形成されている装着孔119の方がアッパベース116bに設けられている装着棒118よりも大径に形成されている、ということである。したがって、装着棒118と装着孔119との間には遊びが形成される。このような錘113は、一例として、一つが15kgの重量で形成されている。本実施の形態では、四個の錘113をセンサベース116に装着可能である。したがって、最大で60kgの錘113による荷重を荷重センサ111にかけることができる。このように、錘113は四個に分割されているので、その持ち運びや取り扱いが良好である。
【0036】
図7および図8に示すように、最下段の錘113は、その下面に三個のローラベアリング120を備えている。これらのローラベアリング120は、正三角形の頂点をなす位置に配置されている。したがって、アッパベース116bに装着された四個の錘113は、ローラベアリング120の作用で、装着棒118と装着孔119との間の遊びの分だけ自由に移動することができる。このため、センシング装置112を搭載した車両11を走行させた場合、車両11には振動が伝わるので、錘113は絶えず装着棒118と装着孔119との間の遊びの分だけ自由に移動することになる。この際、ローラベアリング120は、正三角形の頂点をなす三箇所の位置に配置されているので、保持ベース117からの浮き上がりが抑制される。これにより、保持ベース117の底面に対するセンサベース116の垂直度が維持され、荷重センサ111の測定精度が保たれる。
【0037】
なお、車両11から伝わる振動によって四個の錘113が一体的に移動するよう、個々の錘113同士が位置固定されているとよい。このような個々の錘113同士の位置固定は、一例として、下方に位置付けられる錘113の上面とこれに積み重ねられる錘113の下面とに凹凸の嵌合構造を形成しておくことで、容易に実現可能である。
【0038】
また、別の一例として、アッパベース116bの装着棒118と錘113の装着孔119とを共に設けず、単に、アッパベース116bの上面に錘113を載置するだけの構成としてもよい。この場合には、一例として、保持ベース117の側壁の高さを錘113の高さ程度以上に高く形成し、ローラベアリング120によって自由に移動する錘113の脱落を保持ベース117の側壁によって防止するようにする。そして、個々の錘113同士を紐などで結び合わせることで、大きな振動が伝わると凹凸嵌合だけでは脱落してしまう可能性がある個々の錘113同士を、強固に一体化することが可能となる。
【0039】
図9は、センシング装置112のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。センシング装置112のハードウェア構成は、パソコン131に荷重センサユニット115とGPSユニット151とが接続されて構築されている。パソコン131は、各種の演算処理を実行するCPU132にROM133およびRAM134が接続されたマイクロコンピュータ135を主体とする。ROM133は、例えばEEPROMであり、BIOS等の固定データを格納している。RAM134は、各種の可変データを書き換え自在に記憶し、CPU132が演算処理を実行する際のワークエリアを提供する。このようなマイクロコンピュータ135には、ハードディスクドライブ(HDD)136、液晶ディスプレイ等の表示部137、並びに、キーボードおよびポインティングデバイスからなる入力部138が接続され、パソコン131を構成している。HDD136には、路面状態測定用のコンピュータプログラムであるプログラムPGがインストールされており、標本化データベースDBが格納されている。プログラムPGを起動させると、その全部または一部がRAM134のワークエリアにコピーされ、CPU132はRAM134にアクセスしてプログラムPGに従った処理を実行する。また、起動したプログラムによって標本化データベースDBを作成するに際して、CPU132は、標本化データベースDBを作成してHDD136に格納した上で、この標本化データベースDBに蓄積すべきデータをRAM134のワークエリアにまず記憶し、その後、逐次、HDD136に格納した標本化データベースDBに格納していく。
【0040】
こうして構築されたパソコン131のCPU132には、荷重センサユニット115とGPSユニット151とがデータ通信自在に接続されている。荷重センサユニット115は、前述したように、センシング装置112が備えている荷重センサ111に計量回路114が組み合わされたハードウェアである。GPSユニット151は、アンテナ152を介して受信したGPS衛星からの信号に基づいて現在位置の座標情報を演算によって求め、座標情報(座標データ)をパソコン131に送信する。
【0041】
以上のように構成された路面状態測定装置101を使用するには、まず、路面状態測定装置101を車両11に搭載し、路面2の状態を測定しようとする道路1まで赴く。そして、路面状態測定用のプログラムPGを起動させ、測定対象である路面2上を走行する。この際、起動したプログラムPGに従い、パソコン131のCPU132は、衝撃荷重取得処理およびそのバックグランド処理と位置情報取得処理とをマルチタスク処理で並列的に実行し、新たな標本化データベースDBを構築してゆく。以下、衝撃荷重取得処理を図10に基づいて、位置情報取得処理を図11に基づいて、順に説明する。衝撃荷重取得処理のバックグランド処理については、フローチャート等で図示することなく説明する。
【0042】
まず、図10に示すように、衝撃荷重取得処理として、CPU132は、所定のサンプリング間隔を規定するサンプリング周期の到来を判定すると(ステップS101のYES)、荷重センサユニット115から荷重値を取得する(ステップS102)。この場合のサンプリング周期は、先に例示したように、1/100秒である。CPU132は、荷重値を取得したならば(ステップS102)、1/100秒値をインクリメントし、その1/100秒値と共に取得した荷重値を標本化データベースDBの「1/100秒値」と「衝撃荷重」とに記録する(ステップS103)。このような処理(ステップS101〜ステップS103)は、CPU132が終了コマンドを受信するまで(ステップS104のYES)、繰り返し実行される。
【0043】
CPU132は、衝撃荷重取得処理のバックグランド処理として、不快適指数と不快適性の段階値とを演算処理によって算出し、その算出結果の値を標本化データベースDBの「不快適指数」および「段階値」に記録する。これらの不快適指数と不快適性の段階値との算出手法については、上記(1)式および(2)式として既に述べたとおりであるので重複説明を避けるが、若干の説明を補足する。
【0044】
まず、不快適性指数は、上記(1)式のとおり、(衝撃荷重P/静止荷重W)として算出される。このため、予め静止荷重Wの値が予め定義されている必要がある。そこで、路面状態測定用のプログラムPGは、静止荷重Wの値を定義する機会をユーザに提供する。静止荷重Wの値の定義は、一例として、入力部138を用いた手入力によってなされる。別の一例としては、荷重センサユニット115から取り込んだ加重値によって静止荷重Wの値を定義してもよい。この場合、一例として、車両11を停止した状態で入力部138によって取り込み指定をすると、荷重センサユニット115から荷重値を取り込み、これを静止荷重Wとして定義する。
【0045】
ついで、不快適性の段階は、上記(2)式のとおり、(Pimp−W)/(Pimp・基準−W)として算出され、上記表1中の各段階値を決する(2)式の解の範囲に当てはめて求められる。このため、補修基準衝撃力Pimp・基準および各段階値を決する(2)式の解の範囲が予め定義されている必要がある。そこで、路面状態測定用のプログラムPGは、これらの補修基準衝撃力Pimp・基準および各段階値を決する(2)式の解の範囲を定義する機会をユーザに提供する。これらの値の定義は、一例として、入力部138を用いた手入力によってなされる。
【0046】
ついで、図11に示すように、位置情報取得処理として、CPU132は、所定のサンプリング間隔を規定するサンプリング周期の到来を判定すると(ステップS151のYES)、GPSユニット151から現在位置の位置座標を取得する(ステップS152)。この場合のサンプリング周期は、先に例示したように、1秒である。CPU132は、一座標を取得したならば(ステップS152)、取得した位置座標からKP(キロポスト)を算出する(ステップS153)。そして、位置座標およびKPを標本化データベースDBの「位置座標」と「KP(キロポスト)」とに記録する(ステップS154)。このような処理(ステップS151〜ステップS154)は、CPU132が終了コマンドを受信するまで(ステップS155のYES)、繰り返し実行される。
【0047】
パソコン131のCPU132は、プログラムPGに従い、以上説明した衝撃荷重取得処理およびそのバックグランド処理と位置情報取得処理とを実行することで、測定対象である路面2を車両11が走行している間のデータを標本化データベースDBに逐次記録し、標本化データベースDBを完成させる。路面状態測定用のプログラムPGは、こうして生成した標本化データベースDBのデータに基づき、静止荷重Wの値に対する衝撃荷重Pの値の変化を位置情報と関連付けて可視化する機能をパソコン131に実行させる。また、路面状態測定用のプログラムPGさえインストールしておけば、車両11に搭載した路面状態測定装置101のパソコン131のHDD136に構築された標本化データベースDBをコピーすることで、別のコンピュータで上記可視化処理を行なわせることもできる。以下、このような可視化処理を図12のフローチャートおよび図13〜図16に示すグラフ表示等を参照しながら説明する。ここでは、パソコン131によって可視化処理を実行する場合を説明する。
【0048】
図12に示すように、CPU132は、可視化を望む標本化データベースDBが選択指定されたならば(ステップS201のYES)、可視化装置となる表示部137にデフォルトグラフ表示を実行する(ステップS202)。デフォルトグラフ表示は、横軸に1/100秒値、縦軸に不快適指数をとった二次元グラフである。その一例を図13に、別の一例を図14にそれぞれ示す。
【0049】
図13は、本実施の形態の路面状態測定装置101を試作し、開通直後の高速道路(北関東自動車道(平成22年4月17日開通))で実際に採取した採取データに基づき生成した標本化データベースDBの可視化例である。また、図14は、本実施の形態の路面状態測定装置101を試作し、開通後38年経過した高速道路(東北自動車道)で実際に採取した採取データに基づき生成した標本化データベースDBの可視化例である。いずれも、各種条件は、
データ採取日 :平成22年5月8日
走行速度 :80km/hr
荷重値のサンプリング間隔:1/100秒
である。
【0050】
図13および図14のグラフ表示を参照すると、基調となる不快適指数が1〜1.1強程度の範囲に収まっていることが分かる。また、基調となる不快適指数についても、開通直後の北関東自動車道よりも開通後38年経過した東北自動車道の方が、より数値が高い、つまり快適でないことが示されている。これに加えて、北関東自動車道では、基調となる不快適指数が比較的一定しているのに対して、東北自動車道では基調となる不快適指数に変動が生じている。これは、補修時期の相違によるものと推定される。
【0051】
また、図13および図14のグラフ表示を参照すると、1〜1.1強程度の範囲に収まっている基調となる不快適指数の値のところどころに、ピーク的な上昇が測定されていることが分かる。この不快適指数のピーク的な上昇箇所は、車両11が段差3や凹凸を乗り越えた箇所である。図13のグラフ表示から、開通間もない道路1であっても、路面状態測定装置101は、極めて敏感に路面2の段差3や凹凸に反応してこれを記録していることが分かる。このような路面状態測定装置101の性能について、図15のグラフを参照して次に説明する。
【0052】
図15は、図14に示すグラフの基礎となる標本化データベースDBのデータに基づいて作成した横軸に時間、縦軸に衝撃荷重Pをとったグラフである。図15のグラフでは、横軸の時間を図14よりもスケールアップし、1/100秒間隔で示している。このような図15のグラフを参照すると、12(11と13との間)から17で示される6/100秒の間に、1/100秒(0.01秒)間に19〜22kgずつ衝撃荷重Pが増加し、合計で115kgもの衝撃荷重Pの増加を測定していることが分かる。したがって、本実施の形態の路面状態測定装置101によれば、段差3や凹凸という路面2の状態に対する反応が極めて良好であり、このような路面2の状態を高い精度をもって測定することができる。
【0053】
ここで、本実施の形態では、荷重センサ111に錘113による荷重を予めかけている。この場合の荷重量として、本実施の形態では、15kgの錘113を四個用いて60kgとしている。この60kgというのは、男女合わせた日本人の平均体重程度の重さである。したがって、本実施の形態の路面状態測定装置101は、観念的にいうなら、車両11に搭乗している人間に対して加わる路面2の段差3や凹凸による衝撃を、直接的に荷重センサ111で計測しているが如き測定原理を採用していることになる。このため、荷重センサ111の出力に基づく値、例えば前述の不快適指数や不快適性の段階は、車両11に搭乗している人間が受ける実際の快適性に関する感覚に、極めて近似した値を示すはずである。ここに、60kgという錘113の重量の意義を見出すことができる。
【0054】
もっとも、上記60kgというのは、使用する錘113の重さが60kgあるいはその前後の重さでなければならないことを意図するものではない。発明者の認識においても、60kgおよびその前後の重さは単なる例示であって、60kgからかけ離れた重さ、例えば15kgの錘113のみを採用することに、特段の躊躇はない。実際に、発明者は、錘113の重量を15kgとして試験走行してみた。その結果、ある程度の大きさの段差3や凹凸によって荷重センサ111の出力に生ずるピーク的な変動に関して、十分な反応を示すことを確認することができた。
【0055】
図12に示すフローチャートの説明に戻る。CPU132は、デフォルトグラフ表示を実行した後(ステップS202)、表示切替の指定の有無を判定する(ステップS203)。表示切替の指定を判定した場合(ステップS203のYES)、現在の表示がデフォルトグラフ表示ならば(ステップS204のYES)、キロポストグラフ表示に切り替える(ステップS205)。これに対して、キロポストグラフ表示に切り替えられた後に(ステップS205)、表示切替の指定の有無判定(ステップS203)は終了コマンドを認識するまで繰り返されるので(ステップS211)、表示切替の指定の有無判定(ステップS203)の後、現在の表示がデフォルトグラフ表示ではないと判定されることもある(ステップS204のNO)。この場合には、キロポストグラフ表示がなされているはずなので、デフォルトグラフ表示に切り替える(ステップS206)。
【0056】
図16に示すように、キロポストグラフ表示は、横軸にKP(キロポスト)の値をとったグラフ表示である。図16に示すグラフ表示の一例では、横軸にKP(キロポスト)、縦軸に衝撃荷重Pの値をとっている。図示しないが、CPU132は、横軸にKP(キロポスト)、縦軸に不快適指数の値をとったグラフ表示をすることもできる。このようなキロポストグラフ表示によれば、縦軸に示される衝撃荷重Pや不快適指数がどの場所でどのように変化しているのかが一目瞭然となる。このため、道路1の路面2の状況を現場検分するに際して、現場の位置を適切に知らせることができる。
【0057】
以上、デフォルトグラフ表示とキロポストグラフ表示とについて説明した。追加の機能として、CPU132は、いずれのグラフ表示であっても、横軸(時間、KP)のスケールを可変する機能をサポートしている。また、CPU132は、デフォルトグラフ表示およびキロポストグラフ表示に、不快適性の段階を可視化する機能もサポートしている。以下、このような不快適性の段階を可視化する機能について説明する。
【0058】
図12に示すように、CPU132は、段階表示の指定の有無を判定する(ステップS207)。段階表示の指定がなければ(ステップS207のNO)、前述したように、終了コマンドを認識するまで(ステップS211のYES)、ステップS203の表示切替の有無の判定にリターンし、表示切替および段階表示の処理を繰り返す。これに対して、CPU132は、段階表示の指定を判定すると(ステップS207のYES)、現在のグラフ表示に不快適性の段階を表示する(ステップS208)。この処理は、標本化データベースDBの「段階値」を参照し、段階毎にグラフに示される表示値の色を可変することによってなされる。例えば、表1に示す不快適性の判定基準では、段階1および2は問題無しなので、表示色の変更はせず、段階3(観察)になった場合には表示色を緑色に、段階4(注意観察)になった場合には表示色を黄色に、そして、段階5(要補修)に至ると表示色を赤色にする。これにより、デフォルトグラフ表示またはキロポストグラフ表示を見ただけで、不快適性の段階が一目瞭然となる。とりわけ、キロポストグラフ表示に不快適性の段階を色分け表示した場合には、どの場所で補修を要するのか等が歴然となり、補修等の箇所を有効に知らしめることができる。
【0059】
CPU132は、ステップS208において、不快適性の段階表示として、ポップアップ表示も実行する。ポップアップ表示は、グラフ表示とは別途のウインドウになされるため、より自由な表現形式で不快適性の段階を表示することができる。
【0060】
続いて、CPU132は、プリント指示の有無を判定し(ステップS209)、プリント指示を判定したならば(ステップS209のYES)、プリント処理を実行する(ステップS210)。すると、パソコン131に接続された可視化装置として機能するプリンタ(図示せず)より、デフォルトグラフ表示、キロポストグラフ表示、それらに不快適性の段階を重畳表示したグラフをプリントアウトすることができる。このように、路面状態測定装置101は、静止荷重Wの値に対する衝撃荷重Pの値の変化を位置情報と関連付けた可視化の手法としては、表示部137を利用した可視化の他、プリンタを利用した可視化もサポートしている。
【0061】
そして、CPU132は、終了コマンドを認識したならば(ステップS211のYES)、処理を終了する。
【符号の説明】
【0062】
11 車両
111 荷重センサ
112 センシング装置
113 錘
137 表示部(可視化装置)
P 衝撃荷重
W 静止荷重
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置を搭載した車両を走行させ、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を記録する工程と、
前記車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する工程と、
前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める工程と、
を備えることを特徴とする路面状態測定方法。
【請求項2】
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を前記記録した記録位置の位置情報と関連付けて可視化する工程を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の路面状態測定方法。
【請求項3】
前記可視化を、前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を示す軸と前記記録した記録位置の位置情報を示す軸とを有する二次元グラフによって行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の路面状態測定方法。
【請求項4】
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を、それらの静止荷重の値と衝撃荷重の値との比率として算出する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の路面状態測定方法。
【請求項5】
前記記録位置の位置情報を、GPSによる座標情報として取得する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の路面状態測定方法。
【請求項6】
垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置と、
所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を記録する手段と、
前記荷重センサを搭載した車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する手段と、
前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める手段と、
を備えることを特徴とする路面状態測定装置。
【請求項7】
情報を可視化する可視化装置と、
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を前記記録した記録位置の位置情報と関連付けて前記可視化装置に可視化させる手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の路面状態測定装置。
【請求項8】
前記可視化を、前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を示す軸と前記記録した記録位置の位置情報を示す軸とを有する二次元グラフによって行なう、
ことを特徴とする請求項7に記載の路面状態測定装置。
【請求項9】
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を、それらの静止荷重の値と衝撃荷重の値との比率として算出する、
ことを特徴とする請求項6ないし8のいずれか一に記載の路面状態測定装置。
【請求項10】
前記記録位置の位置情報を、GPSによる座標情報として取得する、
ことを特徴とする請求項6ないし9のいずれか一に記載の路面状態測定装置。
【請求項11】
コンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置から、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を取得して記録する機能と、
前記荷重センサを搭載した車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する機能と、
前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める機能と、
を実行させることを特徴とする機械読み取り可能なコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を前記記録した記録位置の位置情報と関連付けて、情報を可視化する可視化装置に可視化させる機能を更に実行させる、
ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記可視化を、前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を示す軸と前記記録した記録位置の位置情報を示す軸とを有する二次元グラフによって行なう、
ことを特徴とする請求項12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を、それらの静止荷重の値と衝撃荷重の値との比率として算出する、
ことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか一に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記記録位置の位置情報を、GPSによる座標情報として取得する、
ことを特徴とする請求項11ないし14のいずれか一に記載のコンピュータプログラム。
【請求項1】
垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置を搭載した車両を走行させ、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を記録する工程と、
前記車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する工程と、
前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める工程と、
を備えることを特徴とする路面状態測定方法。
【請求項2】
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を前記記録した記録位置の位置情報と関連付けて可視化する工程を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の路面状態測定方法。
【請求項3】
前記可視化を、前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を示す軸と前記記録した記録位置の位置情報を示す軸とを有する二次元グラフによって行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の路面状態測定方法。
【請求項4】
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を、それらの静止荷重の値と衝撃荷重の値との比率として算出する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の路面状態測定方法。
【請求項5】
前記記録位置の位置情報を、GPSによる座標情報として取得する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の路面状態測定方法。
【請求項6】
垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置と、
所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を記録する手段と、
前記荷重センサを搭載した車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する手段と、
前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める手段と、
を備えることを特徴とする路面状態測定装置。
【請求項7】
情報を可視化する可視化装置と、
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を前記記録した記録位置の位置情報と関連付けて前記可視化装置に可視化させる手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の路面状態測定装置。
【請求項8】
前記可視化を、前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を示す軸と前記記録した記録位置の位置情報を示す軸とを有する二次元グラフによって行なう、
ことを特徴とする請求項7に記載の路面状態測定装置。
【請求項9】
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を、それらの静止荷重の値と衝撃荷重の値との比率として算出する、
ことを特徴とする請求項6ないし8のいずれか一に記載の路面状態測定装置。
【請求項10】
前記記録位置の位置情報を、GPSによる座標情報として取得する、
ことを特徴とする請求項6ないし9のいずれか一に記載の路面状態測定装置。
【請求項11】
コンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
垂直荷重を計測する荷重センサに所定重量の錘で重力による荷重をかけた状態のセンシング装置から、所定のサンプリング間隔毎に前記荷重センサの出力を取得して記録する機能と、
前記荷重センサを搭載した車両の走行中、前記記録した荷重センサの出力に対応させてその記録位置の位置情報を記録する機能と、
前記錘の重力による荷重のみがかけられた状態の前記荷重センサの出力である静止荷重の値に対する前記記録した前記荷重センサの出力である衝撃荷重の値の変化を求める機能と、
を実行させることを特徴とする機械読み取り可能なコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を前記記録した記録位置の位置情報と関連付けて、情報を可視化する可視化装置に可視化させる機能を更に実行させる、
ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記可視化を、前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を示す軸と前記記録した記録位置の位置情報を示す軸とを有する二次元グラフによって行なう、
ことを特徴とする請求項12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記求めた静止荷重の値に対する衝撃荷重の値の変化を、それらの静止荷重の値と衝撃荷重の値との比率として算出する、
ことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか一に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記記録位置の位置情報を、GPSによる座標情報として取得する、
ことを特徴とする請求項11ないし14のいずれか一に記載のコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−12792(P2012−12792A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148403(P2010−148403)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(511243037)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(511243037)
【Fターム(参考)】
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