説明

車両および車両の制御方法

【課題】外部充電が可能な車両において、充電時間の遅延が生じた場合の要因を事後的に認識可能とする。
【解決手段】車両100は、充電が可能な蓄電装置110と、外部電源500からの電力を用いて蓄電装置110を充電するための充電装置200と、ECU300とを備える。ECU300は、蓄電装置110に供給することができる最大供給電力および蓄電装置110に実際に供給された充電電力に基づいて、最大供給電力で充電を行なった場合の充電電力に対する不足量によって生じる充電時間の遅延量を演算するとともに、遅延が生じた遅延要因に関する情報を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両および車両の制御方法に関し、より特定的には、外部電力を用いて充電が可能な車両における、充電時間遅延要因のログ機能に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタなど)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力から生じる駆動力を用いて走行する車両が注目されている。このような車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。そして、これらの車両に搭載される蓄電装置を発電効率の高い商用電源により充電する技術が提案されている。
【0003】
ハイブリッド車においても、電気自動車と同様に、車両外部の電源(以下、単に「外部電源」とも称する。)から車載の蓄電装置の充電(以下、単に「外部充電」とも称する。)が可能な車両が知られている。たとえば、家屋に設けられたコンセントと車両に設けられた充電口(以下、インレットとも称する。)とを充電ケーブルで接続することにより、一般家庭の電源から蓄電装置の充電が可能ないわゆる「プラグイン・ハイブリッド車」が知られている。これにより、ハイブリッド自動車の燃料消費効率を高めることが期待できる。
【0004】
特開2009−100569号公報(特許文献1)は、外部充電が可能な車両において、外部充電時に充電開始から所定の時間帯終了までの時間内に、必要な充電量が得られないと判断された場合には、所定の充電時間の前あるいは後に充電時間を拡張する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−100569号公報
【特許文献2】特開2008−211955号公報
【特許文献3】特開2010−032459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外部充電が可能な車両においては、外部充電を実行中には、蓄電装置や充電装置などの車両に搭載された充電に関連する機器の状態、あるいは車両の補機装置の使用状態によって、充電時間が延長(遅延)される場合がある。
【0007】
そうすると、充電が完了したことを期待して、ユーザが車両を運転しようとした際に、まだ充電が完了していないことによって、運転ができなかったり、または走行距離が制限されたりするおそれがある。このような場合に、充電時間の遅延が生じた要因が不明であると、ユーザに対して、システムに対する不信感を与えてしまったり、ユーザがシステムの故障と誤認識してしまったりして、クレームが生じる可能性がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、外部充電が可能な車両において、充電時間の遅延が生じた場合の要因を事後的に認識可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による車両は、外部電源からの電力を用いて充電が可能な車両であって、充電が可能な蓄電装置と、外部電源からの電力を用いて蓄電装置を充電するための充電装置と、制御装置とを備える。制御装置は、蓄電装置に供給することができる最大供給電力および蓄電装置に実際に供給された充電電力に基づいて最大供給電力で充電を行なった場合の充電電力に対する不足量を演算するとともに、不足量が生じた要因に関連する情報を記憶する。
【0010】
好ましくは、制御装置は、所定のサンプリング期間ごとに演算された不足量に基づいた値を時間軸方向に積算した積算値が、予め定められたしきい値を上回る場合に不足量が生じた要因に関連する情報を記憶する。
【0011】
好ましくは、不足量が生じた要因は、蓄電装置の充電電力上限値の低下に起因して充電電力が不足したことを含む。
【0012】
好ましくは、不足量が生じた要因は、充電装置の出力電力が制限されたことに起因して充電電力が不足したことを含む。
【0013】
好ましくは、不足量が生じた要因は、充電装置の過熱保護のために充電装置の出力電力が制限されたことに起因して充電電力が不足したことを含む。
【0014】
好ましくは、車両は、充電動作中に充電装置からの出力電力を用いて駆動することができる補機装置をさらに備える。不足量が生じた要因は、充電動作中に補機装置が使用された場合の、補機装置による電力消費に起因して充電電力が不足したことを含む。
【0015】
好ましくは、車両は、充電動作中に充電装置からの出力電力を用いて駆動することができる補機装置をさらに備える。不足量が生じた要因は、蓄電装置の充電電力制限値の低下に起因して充電電力が不足した第1の要因と、充電装置の保護のために充電装置の出力電力が制限されたことに起因して充電電力が不足した第2の要因と、充電動作中に補機装置が使用された場合の、補機装置による電力消費に起因して充電電力が不足した第3の要因の少なくとも1つを含む。そして、制御装置は、所定のサンプリング期間ごとに演算された第1〜第3の要因の各々による不足量に基づいた値の合計値を時間軸方向に積算した積算値が、予め定められたしきい値を上回る場合に、各要因についての不足量が生じた要因に関連する情報を記憶する。
【0016】
好ましくは、制御装置は、不足量に基づいた値として、最大供給電力で充電を行なった場合に生じる充電時間からの充電時間の遅延量を演算し、遅延量がしきい値を上回る場合に、情報を遅延要因についての情報として記憶する。
【0017】
好ましくは、遅延要因についての情報は、不足量が生じた要因および不足量によって生じる遅延量の情報を含む。
【0018】
本発明による車両の制御方法は、外部電源からの電力を用いて、搭載された蓄電装置の充電が可能な車両についての制御方法であって、蓄電装置に供給することができる最大供給電力および蓄電装置に実際に供給された充電電力に基づいて、最大供給電力で充電を行なった場合の充電電力に対する不足量を演算するステップと、不足量が生じた要因に関連する情報を記憶するステップとを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外部充電が可能な車両において、充電時間の遅延が生じた場合の要因を事後的に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に従う車両を含む充電システムの全体ブロック図である。
【図2】実施の形態1において、蓄電装置の充電電力上限値に起因する充電電力低下を説明するための図である。
【図3】実施の形態1における、充電遅延時間の演算手法を説明するための図である。
【図4】実施の形態1において、ECUで実行される遅延時間ログ制御を説明するための機能ブロック図である。
【図5】実施の形態1において、ECUで実行される遅延時間ログ制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図6】実施の形態2において、充電装置の保護機能に起因する充電電力低下を説明するための図である。
【図7】実施の形態2において、ECUで実行される遅延時間ログ制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施の形態3において、補機装置の電力消費に起因する遅延時間を説明するための図である。
【図9】実施の形態3において、ECUで実行される遅延時間ログ制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態4において、ECUで実行される遅延時間ログ制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0022】
[車両の基本構成]
図1は、本実施の形態に従う車両100を含む充電システム10の全体ブロック図である。
【0023】
図1を参照して、車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレー(以下、SMR(System Main Relay)とも称する。)115と、駆動装置であるPCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130,135と、動力伝達ギア140と、駆動輪150と、エンジン160と、表示装置170と、補機装置180と、制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)とも称する。)300とを備える。
【0024】
蓄電装置110は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置110は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池または鉛蓄電池などの二次電池、あるいは電気二重層キャパシタなどの蓄電素子のセルを含んで構成される。
【0025】
蓄電装置110は、SMR115を介して、モータジェネレータ130,135を駆動するためのPCU120に接続される。そして、蓄電装置110は、車両100の駆動力を発生させるための電力をPCU120に供給する。また、蓄電装置110は、モータジェネレータ130,135で発電された電力を蓄電する。蓄電装置110の出力は、たとえば200Vである。
【0026】
SMR115に含まれるリレーの一方端は、蓄電装置110の正極端子および負極端子にそれぞれ接続される。SMR115に含まれるリレーの他方端は、PCU120に接続された電力線PL1および接地線NL1にそれぞれ接続される。そして、SMR115は、ECU300からの制御信号SE1に基づいて、蓄電装置110とPCU120との間での電力の供給と遮断とを切換える。
【0027】
PCU120は、コンバータ121と、インバータ122,123と、コンデンサC1,C2とを含む。
【0028】
コンバータ121は、ECU300からの制御信号PWCに基づいて、電力線PL1および接地線NL1と電力線PL2および接地線NL1との間で電圧変換を行なう。
【0029】
インバータ122,123は、電力線PL2および接地線NL1に対して並列に接続される。インバータ122,123は、ECU300からの制御信号PWI1,PWI2に基づいて、コンバータ121から供給される直流電力を交流電力に変換し、モータジェネレータ130,135をそれぞれ駆動する。
【0030】
コンデンサC1は、電力線PL1および接地線NL1の間に設けられ、電力線PL1および接地線NL1間の電圧変動を減少させる。また、コンデンサC2は、電力線PL2および接地線NL1の間に設けられ、電力線PL2および接地線NL1間の電圧変動を減少させる。
【0031】
モータジェネレータ130,135は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。
【0032】
モータジェネレータ130,135の出力トルクは、減速機や動力分割機構によって構成される動力伝達ギア140を介して駆動輪150およびエンジン160に伝達されて、車両100を走行させる。モータジェネレータ130,135は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪150の回転力によって発電することができる。そして、その発電電力は、PCU120によって蓄電装置110の充電電力に変換される。本実施の形態においては、モータジェネレータ130を専らエンジン160によって駆動されて発電を行なうための発電機として動作し、モータジェネレータ135を専ら駆動輪150を駆動して車両100を走行させるための電動機として動作するものとする。
【0033】
なお、本実施の形態においては、モータジェネレータおよびインバータの対が2つ設けられる構成を一例として示すが、モータジェネレータおよびインバータの対は1つであってもよいし、2つより多く備える構成としてもよい。
【0034】
また、本実施の形態においては、車両100は、上述のように、ハイブリッド自動車を例として説明するが、車両100の構成は、蓄電装置110からの電力を用いて車両駆動力を発生するための電動機を搭載する車両であればその構成は限定されない。すなわち、車両100は、図1のようなエンジンおよび電動機により車両駆動力を発生するハイブリッド自動車のほかに、エンジンを搭載しない電気自動車あるいは燃料電池自動車などを含む。
【0035】
表示装置170は、ECU300からの表示信号DSPに基づいて、ECU300によって判定された異常その他の情報をユーザに視覚的に通知するための装置である。表示装置170としては、ランプやLEDなどの表示灯、あるいは、液晶表示画面のような表示パネルが含まれる。
【0036】
補機装置180は、電力線PL1および接地線NL1に接続され、蓄電装置110からの電力を用いて動作する。補機装置180としては、たとえば、DC/DCコンバータ、空調機であるエアコン、オーディオなどの補機負荷、補機バッテリなどが含まれる。また、外部充電が行なわれる際には、ECU300や後述する充電装置200を駆動するための電源電圧は、補機バッテリの電力消費を節約するために、DC/DCコンバータから供給されることが好ましい。
【0037】
車両100は、外部電源500からの電力を用いて蓄電装置110を充電するための構成として、充電装置200と、充電リレーCHR210と、接続部220とをさらに備える。
【0038】
接続部220は、外部電源500からの電力を受けるために、車両100のボディに設けられる。接続部220には、充電ケーブル400の充電コネクタ410が接続される。そして、充電ケーブル400のプラグ420が、外部電源500のコンセント510に接続されることによって、外部電源500からの電力が、充電ケーブル400の電線部430を介して車両100に伝達される。また、充電ケーブル400の電線部430には、外部電源500から車両100への電力の供給と遮断とを切換えるための、充電回路遮断装置(図示せず)が介挿される場合がある。
【0039】
充電装置200は、電力線ACL1,ACL2を介して接続部220に接続される。また、充電装置200は、CHR210を介して蓄電装置110と接続される。そして、充電装置200は、ECU300からの制御信号PWDに基づいて、外部電源500から供給される交流電力を、蓄電装置110が充電可能な直流電力に変換する。
【0040】
CHR210に含まれるリレーの一方端は、蓄電装置110の正極端子および負極端子にそれぞれ接続される。CHR210に含まれるリレーの他方端は、充電装置200に接続された電力線PL2および接地線NL2にそれぞれ接続される。そして、CHR210は、ECU300からの制御信号SE2に基づいて、充電装置200から蓄電装置110への電力の供給と遮断とを切換える。
【0041】
ECU300は、いずれも図1には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力および各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0042】
ECU300は、蓄電装置110に含まれる、図示しない電圧センサ、電流センサおよび温度センサから、蓄電装置110の電圧VB、電流IBおよび温度TBの検出値をそれぞれ受ける。ECU300は、これらの情報に基づいて、蓄電装置110の充電状態SOC(State of Charge)を演算する。また、ECU300は、蓄電装置110のSOCおよび温度TBなどに基づいて、蓄電装置110の充電電力上限値Win,放電電力上限値Woutを演算する。
【0043】
なお、図1においては、ECU300は1つの制御装置として記載されているが、各機器または機能ごとに個別の制御装置を設ける構成としてもよい。
【0044】
このような外部充電が可能な車両においては、できるだけ短時間で充電動作を完了させることが望ましい。そのため、理想的には、外部電源から供給可能な最大電力によって充電動作を実行することが望まれる。
【0045】
しかしながら、蓄電装置に供給される電力は、さまざまな要因によって制限される場合があり、それによって、充電時間が遅延される可能性がある。
【0046】
第1には、充電動作に関わる機器の保護のために電力が制限される場合である。たとえば、充電電力を受ける蓄電装置が過電圧となることを防止するために受容される電力が制限されたり、充電装置の電力変換動作によって生じる発熱から装置を保護するために充電装置からの出力電力が制限されたりする場合がこれに対応する。
【0047】
第2には、充電動作に関わる機器による制限がない場合であっても、外部電源から供給された電力が、蓄電装置の充電電力以外の用途に使用されることによって、蓄電装置への充電電力が低減される場合である。
【0048】
上記のような、最大供給可能電力からの充電電力の不足量が生じるために充電時間が延長(遅延)された場合、ユーザが、充電が完了したことを期待して車両を運転しようとした場合に、まだ十分に充電がなされておらず、車両の走行ができなかったり、蓄電装置から電力を用いた駆動力で走行する距離が短縮されたりする状態が起こり得る。
【0049】
このとき、なぜ充電が遅延してしまったかの理由を、ユーザが認識できなければ、システムに対する不信感をユーザに抱かせてしまったり、ユーザがシステムの故障や異常と誤認識することによってディーラに対するクレームが発生したりするおそれがある。
【0050】
したがって、充電動作にある程度長時間の遅延が生じた場合には、その遅延要因に関する情報を事後的に確認できるようにすることが必要とされる。
【0051】
そこで、本実施の形態においては、外部充電が可能な車両において、最大供給可能電力からの不足電力によって充電時間の遅延が生じた場合に、その遅延要因に関する情報を記憶する遅延時間ログ制御を実施する。これによって、充電時間の遅延が生じた場合に、その遅延要因を事後的に認識可能とすることができ、ユーザへの与える不信感を排除し、かつ、ユーザからの不必要なクレームを防止することが可能となる。
【0052】
[実施の形態1]
実施の形態1においては、蓄電装置110において許容される充電電力が通常の場合よりもさらに制限されることに起因して、充電時間に遅延が生じる場合について説明する。
【0053】
蓄電装置110においては、過大な充電電力の受容によって過電圧となることを防止するために、SOCや蓄電装置110の温度などに依存した充電電力上限値Winが一般的に設定される。そして、外部充電を行なう場合には、充電装置200は、充電電力がこの充電電力上限値Winを超えないように制御される。この充電電力上限値Winの大きさが、温度等によって通常よりも制限されて低下する場合には、制限されない場合に比べて多くの充電時間を必要とするので、充電時間の遅延が生じ得る。
【0054】
図2は、実施の形態1において、蓄電装置110の充電電力上限値Winに起因する充電電力低下の例を説明するための図である。図2においては、蓄電装置110の温度TBによって充電電力上限値Winがさらに低下される場合を例として説明する。
【0055】
図2を参照して、図中の曲線W1は充電電力上限値Winを示しており、曲線W2は充電装置200から蓄電装置110に供給される実際の充電電力を示す。充電電力上限値Winは、温度が低くなるにつれて低下する特性を有している。
【0056】
蓄電装置110の温度TBがT1より大きい場合、すなわち、充電電力上限値Winが充電装置200の定格出力電力Prateよりも大きい場合は、他の制限がなければ、蓄電装置110には充電装置200が出力可能な最大の充電電力(すなわち、定格出力電力Prate)が供給される。
【0057】
しかしながら、蓄電装置110の温度TBがT1を下回ると、充電電力上限値Winが充電装置200の定格出力電力Prateよりも小さくなり、これに従って、充電装置200から蓄電装置110に供給される充電電力が低減される(図2中の領域AR1)。そうすると、充電装置200から蓄電装置110に供給される単位時間当たりの電力が低減されるので、蓄電装置110の温度がT1より高い場合に比べて充電に要する時間が増加し得る。
【0058】
次に、図3を用いて、実施の形態1における充電遅延時間の演算手法、および遅延時間ログ制御の概要について説明する。図3を参照して、ECU300は、制御周期から定まる所定のサンプリング周期(図3中のA1,A2,A3など)において、充電電力上限値Winと充電装置200の定格出力電力Prateとを比較する。そして、充電電力上限値Winが定格電力Prateを下回っている場合には、以下の式(1)のように、定格電力Prateに対する不足電力(=Prate−Win)の比率をサンプリング時間STに乗じた値を、そのサンプリング周期における遅延時間ΔT(図3中のΔT1,ΔT2など)として演算する。
【0059】
ΔT=(Prate−Win)×ST/Prate … (1)
そして、ECU300は、この遅延時間ΔTを積算し、積算値が所定のしきい値α(たとえば、1時間)に到達したことに応答して、充電電力上限値Winの低下に起因して遅延時間が発生したことをログとして記憶する。
【0060】
図4は、実施の形態1において、ECU300で実行される遅延時間ログ制御を説明するための機能ブロック図である。図4の機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、ECU300によるハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
【0061】
図1および図4を参照して、ECU300は、遅延時間演算部310と、積算部320と、判定部330と、記憶部340と、表示制御部350とを含む。
【0062】
遅延時間演算部310は、充電電力上限値Winを受ける。遅延時間演算部310は、図3を用いて説明したような手法によって、遅延時間ΔTを演算する。そして、遅延時間演算部310は、算出した遅延時間ΔTを積算部320へ出力する。
【0063】
積算部320は、外部充電実行中に、遅延時間演算部310から受ける遅延時間ΔTを積算する。そして、積算部320は、その積算値ΣΔTを判定部330および記憶部340へ出力する。
【0064】
なお、積算部320は、外部充電の開始時、あるいは終了時などの所定のタイミングで発生されるリセット信号RSTを受けると、積算値ΣΔTをゼロにリセットする。
【0065】
判定部330は、積算部320からの遅延時間の積算値ΣΔTを受ける。そして、判定部330は、積算値ΣΔTが所定のしきい値αを上回っているか否かを判定する。そして、その判定結果である遅延判定フラグFLGを設定して記憶部340へ出力する。具体的には、たとえば、積算値ΣΔTが所定のしきい値αを上回っている場合には遅延判定フラグFLGはオンに設定され、そうでなければ遅延判定フラグはオフに設定される。
【0066】
記憶部340は、積算部320からの積算値ΣΔTと、判定部330からの遅延判定フラグFLGとを受ける。記憶部340は、遅延判定フラグがオンに設定されたことに応答して、積算値ΣΔTを含む情報をログ情報LOGとして記憶する。記憶部340は、表示制御部350からの要求に応じて、記憶したログ情報LOGを表示制御部350へ出力する。
【0067】
表示制御部350は、記憶部340にログ情報LOGが記憶されたことに応じて、あるいは、ユーザからの要求等に応じて、記憶部340から記憶されたログ情報LOGを取得する。そして、表示制御部350は、取得したログ情報LOGに基づいて、表示装置170へ制御信号DSPを出力して、ログ情報LOGの内容をユーザに通知する。
【0068】
図5は、実施の形態1において、ECU300で実行される遅延時間ログ制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図5および後述する図7,9,10に示されるフローチャートは、ECU300に予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて、所定周期で実行されることによって処理が実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)で処理を実現することも可能である。
【0069】
図1および図5を参照して、ECU300は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100において、遅延判定フラグFLGがオフであるか否かを判定する。
【0070】
遅延判定フラグFLGがオンの場合(S100にてNO)は、すでに外部充電の遅延が検出されているので、以降のステップをスキップして、メインルーチンに処理を戻す。
【0071】
遅延判定フラグFLGがオフの場合(S100にてYES)は、処理がS110に進められ、充電電力上限値Winが基準電力より小さいか否かが判断される。なお、ここでの基準電力は、上述のように、充電装置200の定格出力電力に基づいて、あるいは、外部電源500の出力電力のほうが充電装置200の定格出力電力より小さい場合には外部電源500の出力電力に基づいて定められる。すなわち、基準電力は、充電電力上限値Winに起因した充電電力制限が行なわれない状態における、最大可能充電電力に設定され得る。
【0072】
充電電力上限値Winが基準電力以上の場合(S110にてNO)は、充電電力上限値Winに起因した充電遅延は生じないので、以降のステップがスキップされて処理がメインルーチンに戻される。
【0073】
充電電力上限値Winが基準電力より小さい場合(S110にてYES)は、処理がS120に進められて、ECU300は、図3において説明したように、サンプリング周期ごとの遅延時間ΔTを演算するとともに、S130にて、算出した遅延時間ΔTを積算する。
【0074】
そして、ECU300は、S140にて、S130で積算された積算値ΣΔTが、予め定められたしきい値αより大きいか否かを判定する。
【0075】
積算値ΣΔTがしきい値α以下の場合(S140にてNO)は、ECU300は、処理をメインルーチンに戻し、S100およびS110の条件が成立している場合には、遅延時間の積算をさらに継続する。
【0076】
一方、積算値ΣΔTがしきい値αより大きい場合(S140にてYES)は、S150に処理が進められ、ECU300は、遅延判定フラグFLGをオンに設定する。そして、ECU300は、S160にて、充電遅延のログ情報を記憶する。
【0077】
なお、図5には示していないが、ログ情報の記憶とあわせて、表示装置170にログ情報の内容を表示させるようにしてもよい。
【0078】
このような処理に従って制御を行なうことによって、蓄電装置の充電電力上限値が低下することに起因して生じる充電遅延の情報を記憶することができる。これによって、充電時間の遅延が生じた場合の要因を事後的に認識することが可能となる。
【0079】
[実施の形態2]
図1に示した充電装置においては、外部電源からの電力(たとえば交流電力)を蓄電装置が充電可能な直流電力に変換する電力変換動作によって発熱が生じ得る。この発熱が過度になると、充電装置内の制御部の故障の原因となったり、電力経路(たとえば、スイッチング素子、端子部、電力線など)の劣化や絶縁が悪くなったりする可能性がある。そのため、一般的に、充電装置には、充電装置各部の過熱保護のために、出力電力を低減する機能が備えられている場合がある。
【0080】
外部充電中に、充電装置において、たとえば上述の過熱保護の例で示したような保護機能が動作すると、蓄電装置へ供給される時間当たりの電力が低下するので、充電時間の遅延が生じ得る。
【0081】
そこで、実施の形態2においては、充電装置の保護機能のような充電装置の出力電力制限によって充電時間の遅延が生じる場合の遅延ログ情報を記憶する場合について説明する。
【0082】
図6は、実施の形態2において、充電装置200の保護機能に起因する充電電力低下を説明するための図である。図6においては、横軸に充電装置200の温度TCが示され、縦軸に充電装置200の出力電力が示される。
【0083】
図6を参照して、たとえば、実施の形態1で説明した充電電力上限値Winが充電装置200の定格出力電力よりも大きい場合、すなわち充電目標電力が充電装置200の定格出力電力よりも大きい場合であって、充電装置200の温度TCが過熱保護を実行するための所定の基準温度Tthを下回るときには、充電装置200は、定格出力電力あるいはそれに近い値の電力を出力して蓄電装置110の充電動作を実行する。
【0084】
ところが、充電装置200の温度TCが基準温度Tthを上回ると、充電装置200は充電装置200の劣化や故障を防止するために、出力可能電力を過熱制限電力LIMまで低下する。このとき、図6においては、最大出力可能電力(すなわち、定格出力電力Prate)と過熱制限電力LIMとの差が不足電力となる。そして、実施の形態1の図3で説明したのと同様に、最大出力可能電力に対する不足電力にサンプリング時間を乗じたものが遅延時間ΔTとなり得る。
【0085】
なお、たとえば、SOCが満充電状態に近づいて、充電電力上限値Winが制限されるような場合には、充電目標電力が低下され、充電装置200の定格出力電力よりも小さくなることがある。このような場合には、最大出力可能電力は、定格出力電力Prateではなく充電目標電力を用いて、遅延時間ΔTが算出される。
【0086】
また、充電装置200の温度TCが基準温度Tthを上回った場合の、充電装置200の出力電力の制限については、図6中の実線W11のようにステップ状に出力電力を低下させるようにしてもよいし、図6中の破線W12のように温度TCの増加とともに徐々に低下させていくようにしてもよい。
【0087】
そして、算出された遅延時間ΔTの積算値ΣΔTが所定のしきい値を上回ったことに応答して、充電遅延情報が記憶される。
【0088】
図7は、実施の形態2において、ECU300で実行される遅延時間ログ制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図7のフローチャートは、実施の形態1の図5で説明されたフローチャートにおけるステップS110が、ステップS110Aに置き換えられたものとなっている。図7においては、図5と重複するステップの詳細な説明は繰り返さない。
【0089】
図1および図7を参照して、遅延判定フラグFLGがオフであることが判定されると(S100にてYES)、処理がS110Aに進められ、ECU300は、充電目標電力が過熱制限電力LIMよりも大きく、かつ、充電装置200の出力電力が所定範囲内であるか否かを判定する。
【0090】
ここで、所定範囲とは、たとえば、充電目標電力が充電装置200の定格出力電力よりも大きい場合には定格出力電力よりも小さい範囲を指し、充電目標電力が充電装置200の定格出力電力よりも小さい場合には充電目標電力よりも小さい範囲を指す。
【0091】
充電目標電力が過熱制限電力LIM以下であるか、あるいは、充電装置200の出力電力が所定範囲ではない場合(S110AにてNO)は、充電装置200の出力電力制限による充電時間の遅延は生じないため、処理がメインルーチンに戻される。
【0092】
一方、充電目標電力が過熱制限電力LIMよりも大きく、かつ、充電装置200の出力電力が所定範囲内である場合(S110AにてYES)の場合には、S120に処理が進められ、ECU300は、充電装置200の出力電力制限に起因した遅延時間ΔTを演算する。
【0093】
その後、ECU300は、算出された遅延時間ΔTを積算する(S130)する。そして、その積算値ΣΔTがしきい値αを上回った場合(S140にてYES)には、ECU300は、遅延判定フラグFLGをオンに設定する(S150)とともに、充電遅延のログ情報を記憶する(S160)。
【0094】
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、充電装置の保護機能のような充電装置の出力電力制限に起因して生じる充電遅延の情報を記憶することができる。これによって、充電時間の遅延が生じた場合の要因を事後的に認識することが可能となる。
【0095】
[実施の形態3]
外部充電が行なわれる際に、たとえば、ユーザが車両に搭載されたオーディオやエアコンなどの補機装置を使用する場合がある。外部充電中においては、補機装置は、一般的に、外部電源から充電装置を介して供給された電力の一部を用いて動作する。
【0096】
そうすると、充電装置から出力される電力の一部が補機装置によって消費されてしまうので、補機装置を使用しない場合と比較して蓄電装置に供給される充電電力が減少する。そのため、このように外部充電中に補機装置が駆動されることによって、充電時間の遅延が生じ得る。
【0097】
そこで、実施の形態3においては、外部充電中の補機装置による電力消費によって充電時間の遅延が生じる場合の遅延ログ情報を記憶する場合について説明する。
【0098】
図8は、実施の形態3において、補機装置180の電力消費に起因する遅延時間を説明するための図である。
【0099】
図8を参照して、外部充電中の充電装置200からの出力電力PRは、大きく、蓄電装置110を充電するための充電電力PRchgおよび補機装置180による消費電力PRcsmに分類される。さらに、補機消費電力PRcsmは、充電動作を行なうために必要なECU300や充電装置200を駆動するための消費電力PRcms1と、ユーザにより操作されるオーディオやエアコンなどの駆動のための消費電力PRcms2とに分類される。
【0100】
このとき、消費電力PRcms1は、充電動作を実行するためには必須の電力であるので、消費電力PRcms2によって充電時間が遅延させられることになる。すなわち、ECU300におけるサンプリング時間ごとの補機の電力消費に起因する遅延時間は、サンプリング時間をSTとした場合には、以下の式(2)のように定義することができる。
【0101】
ΔT=PRcms2×ST/PR … (2)
そして、算出された遅延時間ΔTの積算値ΣΔTが所定のしきい値を上回ったことに応答して、充電遅延情報が記憶される。
【0102】
図9は、実施の形態3において、ECU300で実行される遅延時間ログ制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図9のフローチャートは、実施の形態1の図5で説明されたフローチャートにおけるステップS110が、ステップS110Bに置き換えられたものとなっている。図9においては、図5と重複するステップの詳細な説明は繰り返さない。
【0103】
図1および図9を参照して、遅延判定フラグFLGがオフであることが判定されると(S100にてYES)、処理がS110Bに進められ、ECU300は、補機装置180の消費電力が、充電動作に必須の消費電力PRcsm1よりも大きいか否かを判定する。
【0104】
補機装置180の消費電力が消費電力PRcsm1以下である場合(S110BにてNO)は、充電装置200の補機使用による充電時間の遅延は生じないため、処理がメインルーチンに戻される。
【0105】
一方、補機装置180の消費電力が消費電力PRcsm1よりも大きい場合(S110BにてYES)の場合には、S120に処理が進められ、ECU300は、図8で示したような手法により、補機装置180の電力消費に起因した遅延時間ΔTを演算する。
【0106】
その後、ECU300は、算出された遅延時間ΔTを積算する(S130)する。そして、その積算値ΣΔTがしきい値αを上回った場合(S140にてYES)には、ECU300は、遅延判定フラグFLGをオンに設定する(S150)とともに、充電遅延のログ情報を記憶する(S160)。
【0107】
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、外部充電中の補機装置の使用に起因して生じる充電遅延の情報を記憶することができる。これによって、充電時間の遅延が生じた場合の要因を事後的に認識することが可能となる。
【0108】
[実施の形態4]
実施の形態1〜3においては、それぞれ蓄電装置の充電電力上限値の低下に起因する充電遅延、充電装置の出力電力制限に起因する充電遅延、および、補機による電力消費に起因する充電遅延が個別に生じる場合についての充電遅延情報の記憶について説明した。
【0109】
しかしながら、上記説明した充電遅延要因の各々は、必ずしも単独で生じるとは限らず、ある外部充電の期間中に、上記のような充電遅延要因のうちの少なくとも2つが同時に発生したり、同時ではなくとも外部充電期間中の異なるタイミングで異なる複数の遅延要因が個別に発生したりする可能性がある。
【0110】
そこで、実施の形態4においては、上述した3つの充電遅延要因が組み合わされて発生し得る場合の遅延ログ情報を記憶する場合について説明する。
【0111】
図10は、実施の形態4において、ECU300で実行される遅延時間ログ制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0112】
図1および図10を参照して、ECU300は、S200において、遅延判定フラグFLGがオフであるか否かを判定する。
【0113】
遅延判定フラグFLGがオンの場合(S200にてNO)は、すでに外部充電の遅延が検出されているので、以降のステップをスキップして、メインルーチンに処理を戻す。
【0114】
遅延判定フラグFLGがオフの場合(S200にてYES)は、処理がS210に進められ、実施の形態1と同様の処理によって、充電電力上限値Winが低下することに起因して発生する遅延時間ΔTWINを演算する。
【0115】
次に、ECU300は、S220にて、実施の形態2と同様の処理によって、充電装置200の出力電力制限に起因して発生する遅延時間ΔTCHGを演算する。
【0116】
さらに、ECU300は、S230にて、実施の形態3と同様の処理によって、補機装置180の電力消費に起因して発生する遅延時間ΔTAUXを演算する。
【0117】
そして、ECU300は、S240にて、S210,S220,S230で算出した遅延時間の合計を、以下の式(3)のように積算する。
【0118】
ΣΔT=Σ(ΔTWIN+ΔTCHG+ΔTAUX) … (3)
ECU300は、S250にて、S240で積算された積算値ΣΔTが、予め定められたしきい値αより大きいか否かを判定する。
【0119】
積算値ΣΔTがしきい値α以下の場合(S250にてNO)は、ECU300は、処理をメインルーチンに戻し、遅延時間の積算を継続する。
【0120】
一方、積算値ΣΔTがしきい値αより大きい場合(S250にてYES)は、S260に処理が進められ、ECU300は、遅延判定フラグFLGをオンに設定する。そして、ECU300は、S270にて、充電遅延のログ情報を記憶する。
【0121】
なお、S270においては、それぞれの充電遅延要因による遅延時間(ΔTWIN,ΔTCHG,ΔTAUX)を個別に記憶することが好ましい。
【0122】
このような処理に従って制御を行なうことによって、外部充電中に複数の遅延要因が組み合わされて生じ得る場合における、充電遅延の情報を記憶することができる。これによって、充電時間の遅延が生じた場合の要因を事後的に認識することが可能となる。
【0123】
なお、上記の実施の形態4の説明においては、3つの充電遅延要因についての遅延時間の合計によって遅延時間の判定を行なったが、これらのうちのいずれか2つを考慮するようにしてもよい。また、上述した3つの充電遅延要因以外の追加的な遅延要因が存在する場合には、その追加的な遅延要因をさらに考慮するようにしてもよい。
【0124】
なお、上述の実施の形態においては、充電時間の遅延量をパラメータとする手法を説明したが、充電電力の不足量自体をパラメータとしてもよい。
【0125】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
10 充電システム、100 車両、110 蓄電装置、115 SMR、120 PCU、121 コンバータ、122,123 インバータ、130,135 モータジェネレータ、140 動力伝達ギア、150 駆動輪、160 エンジン、170 表示装置、180 補機装置、200 充電装置、210 CHR、220 接続部、300 ECU、310 遅延時間演算部、320 積算部、330 判定部、340 記憶部、350 表示制御部、400 充電ケーブル、410 充電コネクタ、420 プラグ、430 電線部、500 外部電源、510 コンセント、ACL1,ACL2,PL1,PL2 電力線、C1,C2 コンデンサ、NL1,NL2 接地線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源からの電力を用いて充電が可能な車両であって、
充電が可能な蓄電装置と、
前記外部電源からの電力を用いて前記蓄電装置を充電するための充電装置と、
前記蓄電装置に供給することができる最大供給電力および前記蓄電装置に実際に供給された充電電力に基づいて、前記最大供給電力で充電を行なった場合の充電電力に対する不足量を演算するとともに、前記不足量が生じた要因に関連する情報を記憶するための制御装置とを備える、車両。
【請求項2】
前記制御装置は、所定のサンプリング期間ごとに演算された前記不足量に基づいた値を時間軸方向に積算した積算値が、予め定められたしきい値を上回る場合に前記情報を記憶する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記不足量が生じた要因は、前記蓄電装置の充電電力上限値の低下に起因して前記充電電力が不足したことを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記不足量が生じた要因は、前記充電装置の出力電力が制限されたことに起因して前記充電電力が不足したことを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記不足量が生じた要因は、前記充電装置の過熱保護のために前記充電装置の出力電力が制限されたことに起因して前記充電電力が不足したことを含む、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記車両は、
充電動作中に、前記充電装置からの出力電力を用いて駆動することができる補機装置をさらに備え、
前記不足量が生じた要因は、前記充電動作中に前記補機装置が使用された場合の、前記補機装置による電力消費に起因して前記充電電力が不足したことを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項7】
前記車両は、
充電動作中に、前記充電装置からの出力電力を用いて駆動することができる補機装置をさらに備え、
前記不足量が生じた要因は、前記蓄電装置の充電電力制限値の低下に起因して前記充電電力が不足した第1の要因と、前記充電装置の保護のために前記充電装置の出力電力が制限されたことに起因して前記充電電力が不足した第2の要因と、前記充電動作中に前記補機装置が使用された場合の、前記補機装置による電力消費に起因して前記充電電力が不足した第3の要因の少なくとも1つを含み、
前記制御装置は、所定のサンプリング期間ごとに演算された前記第1〜第3の要因の各々による不足量に基づいた値の合計値を時間軸方向に積算した積算値が、予め定められたしきい値を上回る場合に、各前記要因についての前記情報を記憶する、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記制御装置は、前記不足量に基づいた値として、前記最大供給電力で充電を行なった場合に生じる充電時間からの充電時間の遅延量を演算し、前記遅延量が前記しきい値を上回る場合に、前記情報を遅延要因についての情報として記憶する、請求項2〜7のいずれか1項に記載の車両。
【請求項9】
前記遅延要因についての情報は、前記不足量が生じた要因および前記不足量によって生じる遅延量の情報を含む、請求項8に記載の車両。
【請求項10】
外部電源からの電力を用いて、搭載された蓄電装置の充電が可能な車両の制御方法であって、
前記蓄電装置に供給することができる最大供給電力および前記蓄電装置に実際に供給された充電電力に基づいて、前記最大供給電力で充電を行なった場合の充電電力に対する不足量を演算するステップと、
前記不足量が生じた要因に関連する情報を記憶するステップとを備える、車両の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−157189(P2012−157189A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15068(P2011−15068)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】