説明

車両および車両の制御方法

【課題】ユーザが所望するEV走行を確保することが可能な車両および車両の制御方法を提供する。
【解決手段】車両100は、蓄電装置10に蓄えられた電力をエネルギー源として走行するEV走行モードと、電力および燃料をエネルギー源として走行するHV走行モードとを備える。制御装置100は、ナビゲーションシステム40において設定された目的地までの走行区間をEV走行モードで走行したときの電気系の駆動機器の温度を推定するとともに、当該走行区間をHV走行モードで走行したときの駆動機器の温度を推定する。そして、制御装置100は、EV走行モードおよびHV走行モードにそれぞれ対応付けられた2つの駆動機器の温度の推定値を比較した結果に基づいて、EV走行モードおよびHV走行モードのいずれか一方を、当該走行区間を走行するための走行モードに選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両および車両の制御方法に関し、より特定的には、蓄電装置に蓄えらレた電力を第1のエネルギー源として走行する第1のモードと、第1のエネルギー源および第2のエネルギー源を用いて走行する第2のモードとを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力と燃料とをエネルギー源として走行するハイブリッド車両においては、搭載する蓄電装置を商用電源などの車両外部の電源(外部電源)からの電力によって充電するための構成が提案されている。このような外部電源により蓄電装置を充電可能な、いわゆるプラグインタイプのハイブリッド車両では、エンジンを可能な限り停止状態に維持して走行することがエネルギ効率上好ましい。そのため、特開2010−280379号公報(特許文献1)に開示されるように、エンジンを停止状態に保ったままモータのみを用いて走行する走行モードと、エンジンを用いた走行形態を含む走行モードとの2つの走行モードが選択的に適用される。なお、前者の走行モードは、EV(Electric Vehicle)走行モードとも称され、後者の走行モードは、HV(Hybrid Vehicle)走行モードとも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−280379号公報
【特許文献2】特開2006−6036号公報
【特許文献3】特開2004−324613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなプラグインタイプのハイブリッド車両においては、EV走行モードとHV走行モードとを順次切替えて制御を行なう。たとえば、車両のユーザの操作によってイグニッションオン指令が与えられると、蓄電装置の充電状態(SOC:State of Charge)が所定値を下回るまではEV走行モードが選択され、EV走行モード中に蓄電装置のSOCが所定値まで下回ると、走行モードをHV走行モードへ切替える。
【0005】
また、ユーザは、運転席の近傍に設けられた選択スイッチを操作することにより、走行モードを強制的に選択することができる。EV走行モードは、HV走行モードと比較して、低騒音および排気ガス低減の点で優れていることから、ユーザは、観光都市などの特定の地域において、選択スイッチの操作によって、強制的にEV走行モードを選択することができる。
【0006】
しかしながら、ハイブリッド車両では、一般的に、エンジンと、モータおよび電力制御ユニットなどで構成された電気系の駆動機器とは、車両前方に配置されたエンジンルーム内に搭載されているため、エンジンが作動するとエンジンルーム内の雰囲気温度が上昇し、電気系の駆動機器の温度が過度に上昇する場合がある。そのため、上記のように、特定の地域において、EV走行モードでハイブリッド車両を走行させることをユーザが所望する場合において、ユーザが所望する地域にハイブリッド車両がたどり着くまでに電気系の駆動機器が高温状態になる可能性がある。駆動機器の過昇温を防止するために、モータの出力を制限するとともに強制的にエンジンを始動させると、ユーザは所望の地域において、EV走行モードでハイブリッド車両を走行させることが出来なくなってしまう。上記公報では、この点についての検討はなされていない。
【0007】
それゆえ、この発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザが所望するEV走行を確保することが可能な車両および車両の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従えば、車両は、蓄電装置に蓄えられた電力を第1のエネルギー源として走行する第1のモードと、第1のエネルギー源および第2のエネルギー源を用いて走行する第2のモードとを備える。車両は、蓄電装置から電力の供給を受けて車両駆動力を発生する電動機と、蓄電装置と電動機との間で電力変換を行なう電力制御ユニットとを少なくとも含む電気系の駆動機器と、第1のモードと第2のモードとの切替えを制御するための制御装置とを備える。制御装置は、所定の走行区間を第1のモードで走行したときの駆動機器における発熱量に基づいて、駆動機器の温度を推定する第1の推定手段と、所定の走行区間を第2のモードで走行したときの駆動機器における発熱量に基づいて、駆動機器の温度を推定する第2の推定手段と、第1の推定手段により推定された駆動機器の温度と、第2の推定手段により推定された駆動機器の温度との比較結果に基づいて、第1のモードおよび第2のモードのいずれか一方を、所定の走行区間を走行するための走行モードに選択する選択手段とを含む。
【0009】
好ましくは、選択手段は、第1の推定手段により推定された駆動機器の温度が、第2の推定手段により推定された駆動機器の温度を下回る場合には、第1のモードを走行モードに選択する。
【0010】
好ましくは、車両は、燃料を第2のエネルギー源として車両駆動力を発生する内燃機関をさらに備える。第2の推定手段は、電動機における発熱量、内燃機関における発熱量および、内燃機関と電動機との間の熱抵抗に少なくとも基づいて、駆動機器の温度を推定する。
【0011】
好ましくは、第1の推定手段は、所定の走行区間の走行ルート情報に基づいて電動機に要求される駆動力を算出し、該算出した要求駆動力に基づいて電動機における発熱量を算出する。第2の推定手段は、所定の走行区間の走行ルート情報に基づいて電動機および内燃機関の各々に要求される駆動力を算出し、該算出した要求駆動力に基づいて電動機および内燃機関における発熱量を算出する。
【0012】
好ましくは、第2のエネルギー源は、電力を発生可能な燃料電池である。第2のモード時において、電動機は、蓄電装置および燃料電池から電力の供給可能に構成される。第2の推定手段は、電動機における発熱量、燃料電池における発熱量および、燃料電池と電動機との間の熱抵抗に少なくとも基づいて、前駆駆動機器の温度を推定する。
【0013】
この発明の別の局面に従えば、蓄電装置に蓄えられた電力を第1のエネルギー源として走行する第1のモードと、第1のエネルギー源および第2のエネルギー源を用いて走行する第2のモードとを備えた車両の制御方法であって、車両は、蓄電装置から電力の供給を受けて車両駆動力を発生する電動機と、蓄電装置と電動機との間で電力変換を行なう電力制御ユニットとを少なくとも含む電気系の駆動機器を含む。制御方法は、所定の走行区間を第1のモードで走行したときの駆動機器における発熱量に基づいて、駆動機器の温度を推定するステップと、所定の走行区間を第2のモードで走行したときの駆動機器における発熱量に基づいて、駆動機器の温度を推定するステップと、所定の走行区間を第1のモードで走行したときの駆動機器の温度の推定値と、所定の走行区間を第2のモードで走行したときの駆動機器の温度の推定値との比較結果に基づいて、第1のモードおよび第2のモードのいずれか一方を、所定の走行区間を走行するための走行モードに選択するステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、EV走行モードで走行することをユーザが所望する地域において、車両がEV走行モードで走行することが可能であるように、その地域にたどり着くまでの車両の走行モードが選択される。この結果、ユーザが所望するEV走行を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態による車両の代表例として示されるハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態によるハイブリッド車両におけるエネルギーの流れを示した図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う制御装置における制御構造を示すブロック図である。
【図4】図3における走行モード選択部による走行モードの選択を説明するフローチャートである。
【図5】図4のステップS02の処理を詳細に説明するフローチャートである。
【図6】図4のステップS02の処理を説明するための概念図である。
【図7】図4のステップS03,S04の処理を詳細に説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態によるハイブリッド車両における熱等価回路である。
【図9】本発明の実施の形態による車両の適用例として示される燃料電池自動車の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明が繰返さない。
【0017】
(車両の構成)
図1は、本発明の実施の形態による車両の代表例として示されるハイブリッド車両の概略構成図である。
【0018】
図1を参照して、ハイブリッド車両5は、エンジン(内燃機関)18とモータジェネレータMG1,MG2とを搭載する。さらに、ハイブリッド車両5は、モータジェネレータMG1,MG2に対して電力を入出力可能な蓄電装置10を搭載する。
【0019】
蓄電装置10は、再充電可能な電力貯蔵要素であり、代表的には、リチウムイオンやニッケル水素などの二次電池が適用される。あるいは、電気二重層キャパシタなどの電池以外の電力貯蔵要素によって、蓄電装置10を構成してもよい。図1には、ハイブリッド車両5のうちの蓄電装置10の充放電制御に関連するシステム構成が記載されている。
【0020】
監視ユニット11は、蓄電装置10に設けられた温度センサ12、電圧センサ13および電流センサ14の出力に基づいて、蓄電装置10の「状態値」を検出する。上述のように、蓄電装置10として代表的には二次電池が用いられるため、蓄電装置10の温度Tb、電圧Vbおよび電流Ibについて、以下では、電池温度Tb、電池電圧Vbおよび電池電流Ibとも称する。また、電池温度Tb、電池電圧Vbおよび電池電流Ibを包括的に「電池データ」とも総称する。
【0021】
なお、温度センサ12、電圧センサ13および電流センサ14については、蓄電装置10に設けられる温度センサ、電圧センサ、および電流センサのそれぞれを包括的に示すものである。すなわち、実際には、温度センサ12、電圧センサ13の少なくとも一部については、複数個設けられることが一般的である点について確認的に記載する。
【0022】
エンジン18、モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2は、遊星歯車機構からなる動力分割機構22を介して機械的に連結される。
【0023】
ハイブリッド車両5の走行時において、動力分割機構22は、エンジン18の作動によって発生する駆動力をニ分割し、その一方をモータジェネレータMG1側へ配分するとともに、残部をモータジェネレータMG2へ配分する。動力分割機構22からモータジェネレータMG1側へ配分された駆動力は、発電動作に用いられる。一方、モータジェネレータMG2側へ配分された駆動力は、モータジェネレータMG2で発生した駆動力と合成されて、駆動輪24Fの駆動に使用される。
【0024】
このように、ハイブリッド車両5の走行状況に応じて、動力分割機構22を介して上記3者の間で駆動力の分配および結合が行なわれ、その結果として、駆動輪24Fが駆動される。また、ハイブリッド車両5の走行中において、蓄電装置10は、エンジン18の出力を源とした、モータジェネレータMG1の発電電力により充電可能である。
【0025】
ハイブリッド車両5は、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)50をさらに備える。PCU50は、モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2と、蓄電装置10との間で双方向に電力変換するように構成される。PCU50は、コンバータ(CONV)6と、モータジェネレータMG1およびMG2にそれぞれ対応付けられた第1インバータ(INV1)8−1および第2インバータ(INV2)8−1とを含む。
【0026】
コンバータ(CONV)6は、蓄電装置10と、インバータ8−1,8−2の直流リンク電圧を伝達する正母線MPLとの間で、双方向の直流電圧変換を実行するように構成される。すなわち、蓄電装置10の入出力電圧と、正母線MPLおよび負母線MNL間の直流電圧とは、双方向に昇圧または降圧される。コンバータ6における昇降圧動作は、制御装置100からのスイッチング指令PWCに従ってそれぞれ制御される。そして、正母線MPLおよび負母線MNL間の直流電圧Vhは、電圧センサ16によって検知される。
【0027】
第1インバータ8−1および第2インバータ8−2は、正母線MPLおよび負母線MNLの直流電力と、モータジェネレータMG1およびMG2に入出力される交流電力との間で双方向の電力変換を実行する。主として、第1インバータ8−1は、制御装置100からのスイッチング指令PMI1に応じて、エンジン18の出力によってモータジェネレータMG1が発生する交流電力を直流電力に変換し、正母線MPLおよび負母線MNLへ供給する。これにより、車両走行中にも、エンジン18の出力によって蓄電装置10を能動的に充電することができる。
【0028】
また、第1インバータ8−1は、エンジン18の始動時には、制御装置100からのスイッチング指令PMI1に応じて、蓄電装置10からの直流電力を交流電力に変換して、モータジェネレータMG1へ供給する。これにより、エンジン18は、モータジェネレータMG1をスタータとして始動することができる。
【0029】
第2インバータ8−2は、制御装置100からのスイッチング指令PWI2に応じて、正母線MPLおよび負母線MNLを介して供給される直流電力を交流電力に変換して、モータジェネレータMG2へ供給する。これにより、モータジェネレータMG2は、ハイブリッド車両5の駆動力を発生する。
【0030】
一方、ハイブリッド車両5の回生制動時には、モータジェネレータMG2は、駆動輪24Fの減速に伴なって交流電力を発電する。このとき、第2インバータ8−2は、制御装置100からのスイッチング指令PMI2に応じて、モータジェネレータMG2が発生する交流電力を直流電力に変換し、正母線MPLおよび負母線MNLへ供給する。これにより、減速時や降坂走行時に蓄電装置10が充電される。
【0031】
蓄電装置10とPCU50との間には、正線PLおよび負線NLに介挿接続されたシステムメインリレー7が設けられる。システムメインリレー7は、制御装置100からのリレー制御信号SEに応答して、オンオフされる。システムメインリレー7は、蓄電装置10の充放電経路を遮断可能な開閉装置の代表例として用いられる。すなわち、任意の形式の開閉装置をシステムメインリレー7に代えて適用することができる。
【0032】
ハイブリッド車両5は、蓄電装置10を車両外部の電源(以下、「外部電源」とも称する)によって充電するための、コネクタ受入部90および外部充電部30をさらに備える。また、ハイブリッド車両5は、後述する走行モードをユーザが強制的に選択するための、運転席近傍に設けられた選択スイッチ26を備える。
【0033】
コネクタ部350がコネクタ受入部90に連結されることで、正充電線CPLおよび負充電線CNLを介して外部電源からの電力が外部充電部30へ供給される。また、コネクタ受入部90は、コネクタ受入部90とコネクタ部350との連結状態を検出するための連結検出センサ90aを含む。連結検出センサ90aからの連結信号CONによって、制御装置100は、外部電源により充電可能な状態となったことを検出する。なお、外部電源は、代表的には単相交流の商用電源により構成される。ただし、商用電源に代えて、もしくは商用電源に加えて、住宅の屋根などに設置された太陽電池パネルによる発電電力によって外部電源の電力が供給されてもよい。
【0034】
コネクタ部350は、外部電源からの電力をハイブリッド車両5に供給するための連結機構を構成する。たとえば、コネクタ部350は、キャプタイヤケーブルなどからなる電力線PSLを介して外部電源を備えた充電ステーション(図示せず)と連結される。そして、コネクタ部350は、外部充電時にハイブリッド車両5と連結されることによって、外部電源とハイブリッド車両5に搭載された外部充電部30とを電気的に接続する。一方、ハイブリッド車両5には、コネクタ部350と連結されることによって外部電源を受入れるためのコネクタ受入部90が設けられる。
【0035】
なお、図1に示す構成に代えて、外部電源と車両とを非接触のまま電磁的に結合して電力を供給する構成、具体的には外部電源側に一次コイルを設けるとともに、車両側に二次コイルを設け、一次コイルと二次コイルとの間の相互インダクタンスを利用して電力供給を行なう構成により、外部電源からの電力を受入れてもよい。
【0036】
外部充電部30は、外部電源からの電力を受けて蓄電装置10を充電するための装置であり、正線PLおよび負線NLと正充電線CPLおよび負充電線CNLとの間に配置される。外部充電部30は、電流制御部30aと、電圧変換部30bとを含み、外部電源からの電力を蓄電装置10の充電に適した電力に変換する。
【0037】
具体的には、電圧変換部30bは、外部電源の供給電圧を蓄電装置10の充電に適した電圧に変換するための装置であり、代表的に所定の変圧比を有する巻線型の変圧器や、AC−ACスイッチングレギュレータなどからなる。また、電流制御部30aは、電圧変換部30bによつ電圧変換後の交流電圧を整流して直流電圧を生成するとともに、制御装置100からの充電電流指令に従って、蓄電装置10に供給する充電電流を制御する。電流制御部30aは、代表的に単相のブリッジ回路などからなる。なお、電流制御部30aおよび電圧変換部30bからなる構成に代えて、AC−DCスイッチングレギュレータなどによって外部充電部30を実現してもよい。
【0038】
制御装置100は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ領域と、入出力インターフェイスとを主体として構成された電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)により構成される。そして、制御装置100は、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、車両走行および充放電に係る制御を実行する。なお、ECUの少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
【0039】
制御装置100に入力される情報として、図1には、監視ユニット11からの電池データ(電池温度Tb、電池電圧Vbおよび電池電流Ib)や、正母線MPLと負母線MNLとの線間に配置された電圧センサ16からの直流電圧Vhを例示する。図示しないが、モータジェネレータMG1,MG2の各相の電流検出値やモータジェネレータMG1,MG2の回転角検出値についても、制御装置100に入力される。
【0040】
制御装置100にはさらに、ナビゲーションシステム40からの情報が入力される。ナビゲーションシステム40は、図示は省略するが、地図情報等が記憶されたハードディスクなどの記憶媒体、入出力ポートおよび通信ポートからなる制御部を有する本体と、車両の現在位置に関する情報を受信するGPSアンテナと、渋滞情報、規制情報および駐車場の満空情報などを受信するVICSアンテナと、車両の現在位置に関する情報や目的地までの走行ルートなどの各種情報を表示するディスプレイとを備える。地図情報には、サービス情報(観光情報や駐車場など)や予め定められている走行区間ごとの道路情報などがデータベース化されて記憶されている。ナビゲーションシステム40は、地図情報と車両の現在位置の情報とを入力して現在走行している走行路についての道路情報、渋滞情報および規制情報などを常時検出しており、検出した情報を含むデータをECU30へ送信する。
【0041】
本発明の実施の形態による車両(ハイブリッド車両5)では、蓄電装置10は、モータジェネレータMG1の発電電力によって車両走行中に充電可能であるとともに、走行終了後には、蓄電装置10を外部電源によって充電することができる。このようなプラグインタイプの車両では、エンジン18を可能な限り停止状態に維持して走行することがエネルギ効率上は好ましい。そのため、本実施の形態による車両(ハイブリッド車両5)では、EV走行モードおよびHV走行モードの2つの走行モードが選択的に適用される。
【0042】
EV走行モードでは、基本的にエンジン18を停止して、モータジェネレータMG2からの駆動力のみで走行する。そのため、エンジン18の動力を受けたモータジェネレータMG1の発電動作は行なわれず、モータジェネレータMG1による蓄電装置10の充電は制限される。なお、EV走行モードでは、エンジン18を停止状態に保ったまま、予め蓄電装置10に蓄えられた電力を用いて走行することで、ハイブリッド車両5の燃費を改善することを目的としている。そのため、EV走行モード中は、運転者から急加速などの駆動力要求が与えられた場合においても、エンジン18の始動は不許可とされる。あるいは、運転者からの駆動力要求がモータジェネレータMG2により発生可能な駆動力の範囲内となるように制限される。
【0043】
HV走行モードでは、蓄電装置10のSOCを維持しつつ、かつ、総合的な燃費が最適化されるように、エンジン18も作動を開始する。エンジン18の作動によって生じる動力は、ハイブリッド車両5の駆動力として用いられるとともに、蓄電装置10を充電するための発電動作にも用いられる。
【0044】
なお、ユーザは、選択スイッチ26の操作によって、強制的にEVモードを選択、すなわち、HVモードの選択をキャンセルすることができる。一方、選択スイッチ26が操作されていないときには、制御装置100は、蓄電装置10のSOCに基づいて、走行モードを自動的に選択する。
【0045】
図2は、本発明の実施の形態によるハイブリッド車両におけるエネルギーの流れを示した図である。
【0046】
図2を参照して、蓄電装置10からの直流電力はPCU50によって交流電力に変換されてモータジェネレータMG2へ供給される。モータジェネレータMG2は、PCU50から供給される交流電力により駆動されて、ハイブリッド車両5の駆動力を発生する。モータジェネレータMG2の駆動力は、トランスアクスル(T/A)を介して駆動輪24Fに伝えられる。さらに、エンジン18が発生した駆動力の一部が、トランスアクスルを介して駆動輪24Fに伝えられる。
【0047】
モータジェネレータMG2およびPCU50は、電気系の駆動機器を構成する。ハイブリッド車両5には、この電気系の駆動機器を冷却するための電気系冷却システム200が設けられている。電気系冷却システム200は、たとえば、ラジエータ、リザーバタンクおよびウォータポンプを含む。このラジエータ、リザーバタンクおよびウォータポンプと電気系の駆動機器とは、冷却媒体である冷却水の流路によって直列かつ環状に接続されている。ウォーターポンプは、冷却水を循環させるためのポンプである。ラジエータは、駆動機器を冷却した後の冷却水を冷却する。電気系冷却システム200は、図示しない温度センサにより冷却水の温度T1を検出して制御装置100へ出力する。制御装置100は、電気系冷却システム200からの冷却水温T1に基づいて、ウォータポンプを駆動するための信号を生成し、その生成した信号をウォータポンプへ出力する。
【0048】
ハイブリッド車両5には、さらに、エンジン18を冷却するための内燃機関冷却システム300が設けられている。内燃機関冷却システム300は、たとえば、エンジン18のシリンダブロックに冷却媒体である冷却水の流路を設けて、冷却水をウォータポンプで循環させるように構成される。エンジン18で発生した熱は、冷却水を介してラジエータで放熱される。
【0049】
なお、本発明の実施の形態では、電気系冷却システム200を、内燃機関冷却システム300とが別系統の冷却システムであるとして説明するが、本発明に係る車両に搭載される冷却システムは、このようなものに限定されるものではない。すなわち、電気系冷却システム200が内燃機関冷却システム300と共用の冷却配管を用いるものであっても、配管は別に設けてラジエータを共用するもの(すなわち、エンジン18のラジエータと駆動機器のラジエータとを共用)であっても、その他の共用の形態であっても構わない。
【0050】
ここで、ハイブリッド車両5においては、エンジン18と電気系の駆動機器とはともに、車両前方の配置されたエンジンルーム内に搭載されるのが一般的である。そのため、エンジン18が作動することによってエンジンルーム内の雰囲気温度が上昇すると、電気系冷却システム200の冷却水の温度が上昇することにより、電気系の駆動機器の温度も上昇する可能性がある。すなわち、エンジン18で発生した熱が電気系の駆動機器に伝達されることによって、電気系の駆動機器の温度が上昇する可能性がある。したがって、ハイブリッド車両5がHV走行モードで走行している場合には、電気系の駆動機器は、モータジェネレータMG2による駆動力を発生する際にPCU50およびモータジェネレータMG2が発生する熱と、エンジン18から伝達される熱との両方を受けることによって、その温度が過度に上昇する虞がある。
【0051】
これに対して、ハイブリッド車両5がEV走行モードで走行している場合には、エンジン18が停止状態に維持されるため、エンジン18からの熱が伝達されることがない。その一方で、モータジェネレータMG2が発生する駆動力のみによって走行するために、モータジェネレータMG2およびPCU50で発生する熱は、HV走行モードで走行している場合と比較して、大きくなる傾向がある。
【0052】
モータジェネレータMG2の温度上昇は、モータジェネレータMG2の樹脂材料(絶縁材等)の寿命を短くする可能性がある。また、PCU50の温度が上昇すると、コンバータ6およびインバータ8−1,8−2を構成する電力用半導体スイッチング素子(代表的にはIGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)や平滑用コンデンサCの機能を低下させる虞がある。
【0053】
このような温度上昇を回避する技術としては、EV走行モードの実行中にモータジェネレータMG2が高温状態となったときには、モータジェネレータMG2の出力を制限するとともにエンジン18を始動することによって、強制的にHV走行モードに移行させる制御態様がある。しかしながら、このような制御態様では、低車速のような相対的に効率の悪い運転ポイントでエンジン18が駆動されてしまうため、ハイブリッド車両5の燃費を悪化させる可能性がある。
【0054】
また、ユーザが選択スイッチ26(図1)の操作によって強制的にEV走行モードを選択しているにも拘らず、EV走行モードの選択がキャンセルされることとなり、ユーザに違和感を与える可能性がある。たとえば、特定の地域において、EV走行モードでハイブリッド車両5を走行させることをユーザが所望する場合において、その地域にハイブリッド車両5がたどり着くまでにモータジェネレータMG2が高温状態となってしまうと、ユーザが所望する地域においてEV走行モードでハイブリッド車両5を走行させることが出来なくなる虞がある。したがって、所望の地域にハイブリッド車両5が到着するまでは、モータジェネレータMG2の温度上昇をできるだけ抑制することが望ましい。
【0055】
上述したように、本発明の実施の形態による車両(ハイブリッド車両5)では、EV走行モードおよびHV走行モードのそれぞれにおいて、モータジェネレータMG2を含む電気系の駆動機器の温度が上昇する。特に、HV走行モードでは、電気系の駆動機器は、モータジェネレータMG2およびPCU50が発生する熱に加えて、エンジン18から伝達される熱を受けてその温度が上昇する。
【0056】
そこで、本発明の実施の形態に係る車両では、これらの走行モードでの電気系の駆動機器の温度上昇を反映して、EV走行モードおよびHV走行モードを選択的に適用する。より具体的には、ユーザによって設定された目的地までの走行区間をEV走行モードで走行したときの駆動機器の温度上昇と、該走行区間をHV走行モードで走行したときの駆動機器の温度上昇とを比較する。そして、その比較結果に基づいて該走行区間を走行するための走行モードを選択する。
【0057】
図3は、本発明の実施の形態に従う制御装置100における制御構造を示すブロック図である。なお、図3のブロック図に記載された各機能ブロックについては、予め設定されたプログラムに従って制御装置100がソフトウェア処理を実行することにより実現することができる。あるいは、制御装置100の内部に、当該機能ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)を構成することも可能である。
【0058】
図3を参照して、制御装置100における制御構造は、状態推定部110と、充放電制御部120と、走行制御部130と、配分部140と、走行モード選択部150とを含む。
【0059】
状態推定部110は、監視ユニット11からの電池データ(Tb,Ib,Vb)に基づいて、蓄電装置10のSOCを推定する。SOCは、満充電容量に対する現在の残容量を百分率(0〜100%)で示したものである。たとえば、状態推定部110は、蓄電装置10の充放電量の積算値に基づいて蓄電装置10のSOC推定値(♯SOC)を順次演算する。充放電量の積算値は、電池電流Ibおよび電池電圧Vbの積(電力)を時間的に積分することで得られる。あるいは、開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)とSOCとの関係に基づいてSOC推定値(♯SOC)を算出してもよい。
【0060】
充放電制御部120は、蓄電装置10の状態に基づいて、充電電力上限値Winおよび放電電力上限値Woutを設定する。また、充放電制御部120は、蓄電装置10の充電要否を判定するとともに、蓄電装置10の充電電力指令値Pchを設定する。充電電力指令値Pchは、蓄電装置10の充電不要時にはPch=0に設定される。一方、充電電力指令値Pchは、蓄電装置10の充電が必要と判定されると、Pch>0に設定される。
【0061】
走行制御部130は、ハイブリッド車両5の車両状態およびドライバ操作に応じて、ハイブリッド車両5全体で必要な車両駆動力や車両制動力を算出する。ドライバ操作には、アクセルペダル(図示せず)の踏込み量、シフトレバー(図示せず)のポジション、ブレーキペダル(図示せず)の踏込み量などが含まれる。走行制御部130は、後述する走行モード選択部150が発生する走行モードフラグFMを受ける。走行モードフラグFMとは、EV走行モードおよびHV走行モードのいずれが走行モードに選択されているかを示すフラグである。
【0062】
そして、走行制御部130は、要求された車両駆動力および車両制動力を実現するように、モータジェネレータMG1,MG2への出力要求およびエンジン18への出力要求を決定する。なお、モータジェネレータMG1,MG2への出力要求は、蓄電装置10の充放電可能な電力範囲内(Win〜Wout)で蓄電装置10の充放電が実行されるように制限した上で設定される。
【0063】
走行制御部130は、EV走行モードにおいては、エンジン18を停止して、モータジェネレータMG2からの駆動力のみで走行するように、モータジェネレータMG1,MG2への出力要求およびエンジン18への出力要求を決定する。すなわち、走行制御部130は、EV走行モードでは、運転者からの駆動力要求が与えられた場合においてもエンジン18の始動を不許可とする。あるいは、運転者からの駆動力要求は、モータジェネレータMG2により発生可能な駆動力の範囲内となるように制限される。
【0064】
一方、走行制御部130は、HV走行モードにおいては、蓄電装置10のSOCを維持しつつ、総合的な燃費が改善されるように、モータジェネレータMG1,MG2への出力要求およびエンジン18の出力要求を決定する。
【0065】
配分部140は、走行制御部130によって決定されたモータジェネレータMG1,MG2への出力要求に応じて、モータジェネレータMG1,MG2のトルクや回転速度を演算する。そしてトルクや回転速度についての制御指令をPCU50へ出力する。さらに、直流電圧Vhの制御指令値をPCU50へ出力する。
【0066】
一方、配分部140は、走行制御部130によって決定されたエンジンパワーおよびエンジン目標回転数を示すエンジン制御指示を生成する。このエンジン制御指示に従って、図示しないエンジン18の燃料噴射、点火時期、バルブタイミングなどが制御される。
【0067】
PCU50においては、配分部140からの制御指令に応じて、モータジェネレータMG1およびMG2を駆動するためのスイッチング指令PWM1およびPWM2が生成されて、インバータ8−1および8−2へそれぞれ出力される。また、配分部140からの制御指令に従って直流電圧Vhが制御されるように、スイッチング指令PWCが生成される。
【0068】
走行モード選択部150は、電気系冷却システム200から冷却水温T1を受け、温度センサ20により検出された車両外部の外気温Taを受ける。走行モード選択部150はさらに、ナビゲーションシステム40から目的地までの走行ルート情報を受ける。この走行ルート情報には、車両の現在位置から目的地までの走行区間についての情報として、走行距離、道路勾配、法定制限速度、渋滞の有無などが含まれる。走行モード選択部150は、これらの入力情報に基づいて、EV走行モードおよびHV走行モードの一方を、当該走行区間を走行するための走行モードに選択する。そして、走行モード選択部150は、EV走行モードおよびHV走行モードのいずれが選択されたかを示す走行モードフラグFMを発生する。走行モードフラグFMは、走行制御部130へ送出される。
【0069】
図4は、図3における走行モード選択部150による走行モードの選択を説明するフローチャートである。
【0070】
図4を参照して、走行モード選択部150は、ステップS01により、ナビゲーションシステム40から目的地までの走行区間についての走行ルート情報(走行距離、道路勾配、法定制限速度、渋滞の有無など)を取得する。そして、走行モード選択部150は、ステップS02により、取得した走行ルート情報に基づいて、目的地までの走行区間を走行するためにハイブリッド車両5全体で必要な走行パワーPを算出する。走行モード選択部150は、要求された走行パワーPを実現するように、モータジェネレータMG2およびエンジン18への要求パワーを算出する。以下の説明では、モータジェネレータMG2への要求パワーを「モータパワーPm」とも記し、エンジン18への要求パワーを「エンジンパワーPe」とも表記する。
【0071】
具体的には、ステップS02では、走行モード選択部150は、目的地までの走行区間をEV走行モードで走行した場合におけるモータジェネレータMG2への要求パワー(モータパワー)Pm_evを算出する。さらに、走行モード選択部150は、当該走行区間をHV走行モードで走行した場合におけるエンジン18への要求パワー(エンジンパワー)Pe_hvと、モータジェネレータMG2への要求パワー(モータパワー)Pm_hvとをそれぞれ算出する。
【0072】
図5は、図4のステップS02の処理をさらに詳細に説明するフローチャートである。
図5を参照して、走行モード選択部150は、ステップS21により、目的地までの走行区間を走行するためにハイブリッド車両5全体で必要な走行パワーP(t)を算出する。走行モード選択部150は、ナビゲーションシステム40から取得した走行ルート情報に基づいて走行パワーP(t)を順次演算する。
【0073】
具体的には、走行モード選択部150は、図6に示すように、走行ルート情報に基づいて、目的地までの走行区間における予想車速(たとえば、走行区間の法定制限速度)の時間変化および該走行区間における道路勾配の時間変化を算出する。そして、走行モード選択部150は、予想車速および道路勾配の時間変化に基づいて、走行パワーP(t)の時間変化を算出する。たとえば、走行モード選択部150には、車速および道路勾配とハイブリッド車両5の出力パワー(要求パワーとも呼ばれる)との関係を予め定めたマップが予め記憶されている。そして、走行モード選択部150は、走行開始時点からの予想車速および道路勾配の時間変化が算出されると、当該マップを参照することによって、走行開始時点からの走行パワーP(t)の時間変化を算出する。なお、図6では、車速および道路勾配をパラメータに有するマップに従って、要求パワーを算出する構成としたが、要求パワーを算出する方法はこれに限らない。
【0074】
次に、走行モード選択部150は、ステップS21で算出された走行パワーP(t)を実現するように、モータジェネレータMG2への要求パワーPm(t)およびエンジン18への要求パワーPe(t)を算出する。
【0075】
具体的には、ステップS22では、走行モード選択部150は、目的地までの走行区間をEV走行モードで走行した場合におけるモータジェネレータMG2への要求パワー(モータパワー)Pm_ev(t)を算出する。このモータパワーPm_ev(t)は、下記の式(1)で示される。
【0076】
【数1】

【0077】
式(1)において、ηm(P)はモータジェネレータMG2のモータ効率である。モータ効率ηm(P)は、走行パワーPとモータ効率ηmとの関係を予め測定したマップに従って、走行パワーP(t)に基づいて算出することができる。式(1)に示されるように、モータパワーPm_ev(t)は、走行パワーP(t)を実現するのにモータジェネレータMG2に要求される出力パワーに相当する。
【0078】
同様にして、走行モード選択部150は、ステップS23により、目的地までの走行区間をHV走行モードで走行した場合におけるモータジェネレータMG2への要求パワー(モータパワー)Pm_hv(t)を算出する。このモータパワーPm_hv(t)は、モータ効率ηm(P)と、エンジン18およびモータジェネレータMG2の出力配分を示す係数kとを用いることにより、下記の式(2)で示される。この式(2)において、係数kは、総合的な燃費が最適化されるように、走行パワーPに応じて決定される。
【0079】
【数2】

【0080】
さらに、走行モード選択部150は、ステップS24により、目的地までの走行区間をHV走行モードで走行した場合におけるエンジン18への要求パワー(エンジンパワー)Pe_hv(t)を算出する。エンジン18への要求パワーPe_hv(t)は、下記の式(3)で示される。
【0081】
【数3】

【0082】
上記の式(3)において、ηe(P)はエンジン18の運転効率である。エンジン18の運転効率ηe(P)は、走行パワーPと運転効率ηeとの関係を予め測定したマップに従って、走行パワーP(t)に基づいて算出することができる。
【0083】
再び、図4を参照して、走行モード選択部150は、ステップS03により、走行区間をEV走行モードで走行した場合にモータジェネレータMG2で発生する発熱量の平均値(以下、「平均発熱量」とも称する)を算出する。このモータジェネレータMG2の平均発熱量は、ステップS21およびS22でそれぞれ算出したハイブリッド車両5の走行パワーP(t)およびモータパワーPm_ev(t)から算出されるモータジェネレータMG2の損失に基づいて算出される。そして、走行モード選択部150は、算出したモータジェネレータMG2の平均発熱量に基づいて、EV走行モードで走行した場合のモータジェネレータMG2の温度(以下、「モータ温度」とも称する)Tm_evを推定する。
【0084】
さらに、走行モード選択部150は、ステップS04では、走行区間をHV走行モードで走行した場合にモータジェネレータMG2で発生する発熱量の平均値(平均発熱量)を算出する。このモータジェネレータMG2の平均発熱量は、ステップS21,S23およびS24でそれぞれ算出したハイブリッド車両5の走行パワーP(t)、モータパワーPm_hv(t)およびエンジンパワーPe_hv(t)から算出されるモータジェネレータMG2およびエンジン18における損失に基づいて算出される。走行モード選択部150は、算出したモータジェネレータMG2の平均発熱量に基づいて、HV走行モードで走行した場合のモータジェネレータMG2の温度(モータ温度)Tm_hvを推定する。
【0085】
図7は、図4のステップS03,S04の処理をさらに詳細に説明するフローチャートである。なお、図7のステップS31〜S33による処理は、図4に示したステップS03の処理に対応する。図7のステップS41〜S45による処理は、図4に示したステップS04の処理に対応する。
【0086】
図7を参照して、走行モード選択部150は、ステップS31により、目的地までの走行区間をEV走行モードで走行した場合にモータジェネレータMG2で発生する損失Pmloss_ev(t)を算出する。このモータ損失Pmloss_ev(t)は、モータパワーPm_ev(t)からハイブリッド車両5の走行パワーP(t)を減算することにより算出される。
【0087】
【数4】

【0088】
そして、走行モード選択部150は、ステップS32により、モータ損失Pmloss_ev(t)に基づいて、当該走行区間をEV走行モードで走行した場合のモータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_mean_evを算出する。モータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_mean_evは、下記の式(5)で示されるように、モータ損失Pmloss_ev(t)を時間積分することにより算出することができる。
【0089】
【数5】

【0090】
ステップS32でモータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_mean_evが算出されると、走行モード選択部150は、ステップS33では、当該走行区間をEV走行モードで走行した場合のモータ温度Tm_evを推定する。
【0091】
図8を用いて、走行モード選択部150によるモータ温度の推定を詳細に説明する。
図8を参照して、モータジェネレータMG2で発生した熱、およびエンジン18で発生した熱はそれぞれ車両外部へ放出される。ハイブリッド車両5における熱等価回路は、モータジェネレータMG2の温度(モータ温度)Tm、エンジン18の温度(エンジン温度)Teおよび外気温Taと、モータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_meanおよびエンジン18の平均発熱量Pe_meanと、熱抵抗Rm,Re,Rmeとによって表現される。図8において、熱抵抗RmはモータジェネレータMG2から車両外部までの熱伝達経路の熱抵抗を示し、熱抵抗Reはエンジン18から車両外部までの熱伝達経路の熱抵抗を示し、熱抵抗RmeはモータジェネレータMG2とエンジン18との間の熱伝達経路の熱抵抗を示す。なお、熱抵抗Rm,Re,Rmeは実測もしくは解析によって予め求められる。
【0092】
目的地までの走行区間をEV走行モードで走行した場合、モータジェネレータMG2で発生した熱は、熱抵抗Rmを経由して車両外部に流れるとともに、熱抵抗RmeおよびReを経由して車両外部に流れる。ここで、EV走行モードでのモータジェネレータMG2の平均発熱量をPm_mean_evとすると、モータジェネレータMG2の温度(モータ温度)の温度上昇量ΔTmは、モータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_mean_evとモータジェネレータMG2および車両外部の間の熱抵抗との積により求めることができる。モータジェネレータMG2および車両外部の間の熱抵抗は、熱抵抗Rmと熱抵抗(Rme+Re)との並列合成抵抗となることから、モータジェネレータMG2の温度上昇量ΔTmは、下記の式(6)で示される。
【0093】
【数6】

【0094】
そして、この式(6)で示される温度上昇量ΔTmを、下記の式(7)に代入することにより、EV走行モードで走行した場合のモータ温度Tmの推定値Tm_evを算出することができる。
【0095】
【数7】

【0096】
再び、図7を参照して、走行モード選択部150は、ステップS41により、目的地までの走行区間をHV走行モードで走行した場合にモータジェネレータMG2で発生する損失Pmloss_hv(t)を算出する。このモータ損失Pmloss_hv(t)は、モータパワーPm_hv(t)から、ハイブリッド車両5の走行パワーP(t)のうちのモータジェネレータMG2の出力分(P(t)×k)を減算することにより算出される。
【0097】
【数8】

【0098】
そして、走行モード選択部150は、ステップS42により、モータ損失Pmloss_hv(t)に基づいて、当該走行区間をHV走行モードで走行した場合のモータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_mean_hvを算出する。モータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_mean_hvは、下記の式(9)で示されるように、モータ損失Pmloss_hv(t)を時間積分することにより算出することができる。
【0099】
【数9】

【0100】
走行モード選択部150は、ステップS43では、当該走行区間をHV走行モードで走行した場合にエンジン18で発生する損失Peloss_hv(t)を算出する。このエンジン損失Peloss_hv(t)は、エンジンパワーPe_hv(t)から、ハイブリッド車両5の走行パワーP(t)のうちのエンジン18の出力分(P(t)×(1−k))を減算することにより算出される。
【0101】
【数10】

【0102】
そして、走行モード選択部150は、ステップS44により、エンジン損失Peloss_hv(t)に基づいて、当該走行区間をHV走行モードで走行した場合のエンジン18のの平均発熱量Pe_mean_hvを算出する。エンジン18の平均発熱量Pe_mean_hvは、下記の式(11)で示されるように、エンジン損失Peloss_hv(t)を時間積分することにより算出することができる。
【0103】
【数11】

【0104】
ステップS42でモータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_mean_hvが算出され、ステップS44でエンジン18の平均発熱量Pe_mean_hvが算出されると、走行モード選択部150は、ステップS45において、当該走行区間をHV走行モードで走行した場合のモータ温度Tm_hvを推定する。
【0105】
図8に示したハイブリッド車両5における熱等価回路を参照して、目的地までの走行区間をHV走行モードで走行した場合には、モータジェネレータMG2で発生した熱は、熱抵抗Rmを経由して車両外部に流れるとともに、熱抵抗RmeおよびReを経由して車両外部に流れる。
【0106】
さらに、エンジン18で発生した熱は、熱抵抗Reを経由して車両外部に流れるとともに、熱抵抗RmeおよびRmを経由して車両外部に流れる。したがって、モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG2自体が発生した熱に加えて、エンジン18で発生した熱を熱抵抗Rmeを介して受けることとなる。すなわち、モータ温度Tmの温度上昇量ΔTmには、モータジェネレータMG2の発熱による温度上昇量ΔTm1と、エンジン18からの熱伝達による温度上昇量ΔTm2とが含まれる。
【0107】
ここで、HV走行モードでのモータジェネレータMG2の平均発熱量をPm_mean_hvとすると、モータジェネレータMG2の発熱による温度上昇量ΔTm1は、EV走行モードでのモータジェネレータMG2の温度上昇量ΔTmと同様に、モータジェネレータMG2の平均発熱量Pm_mean_hvとモータジェネレータMG2および車両外部の間の熱抵抗との積により求めることができる。モータジェネレータMG2および車両外部の間の熱抵抗は、熱抵抗Rmと熱抵抗(Rme+Re)との並列合成抵抗となることから、モータジェネレータMG2の温度上昇量ΔTm1は、下記の式(12)で示される。
【0108】
【数12】

【0109】
一方、エンジン18からの熱伝達による温度上昇量ΔTm2は、エンジン18の平均発熱量Pe_mean_evとエンジン18および車両外部の間の熱抵抗とを用いて求めることができる。エンジン18および車両外部の間の熱抵抗は、熱抵抗Reと熱抵抗(Rme+Rm)との並列合成抵抗となる。そして、この並列合成抵抗のうちの熱抵抗Rmを流れる熱によりモータジェネレータMG2の温度上昇量ΔTm2が生じる。モータジェネレータMG2の温度上昇量ΔTm2は、下記の式(13)で示される。
【0110】
【数13】

【0111】
そして、走行区間をHV走行モードで走行した場合におけるモータジェネレータMG2の温度上昇量ΔTmは、上記の式(12),(13)で示される温度上昇量ΔTm1およびΔTm2を加算することにより算出することができ、下記の式(14)で示される。
【0112】
【数14】

【0113】
この式(14)で示される温度上昇量ΔTmを、下記の式(15)に代入することにより、HV走行モードで走行した場合のモータ温度Tmの推定値Tm_hvを算出することができる。
【0114】
【数15】

【0115】
再び、図4を参照して、走行モード選択部150は、ステップS05により、ステップS03(図7のステップS31〜S33)で求めたモータ温度推定値Tm_evと、ステップS04(図7のステップS41〜S45)で求めたモータ温度推定値Tm_hvとを比較する。そして、走行モード選択部150は、モータ温度推定値Tm_evがモータ温度推定値Tm_hvよりも低いとき(ステップS05においてYES)には、ステップS06により、EV走行モードを目的地までの走行区間における走行モードに選択する。
【0116】
一方、モータ温度推定値Tm_evがモータ温度推定値Tm_hv以上となるとき(ステップS05においてNO)には、ステップS07により、HV走行モードを目的地までの走行区間における走行モードに選択する。
【0117】
このように、本発明の実施の形態による車両によれば、目的地までの走行区間をEV走行モードで走行した場合のモータ温度推定値と、当該走行区間をHV走行モードで走行した場合のモータ温度推定値とを比較し、モータ温度推定値が低くなるほうの走行モードが当該走行区間における走行モードに選択される。これにより、目的地に到達するまで電気系の駆動機器の温度上昇を抑制することができる。その結果、目的地に到達した後ユーザが所望する地域において、EV走行モードで車両が走行することができる。
【0118】
なお、上記の実施の形態では、車両の一例として、エンジンとモータとを駆動源として搭載したハイブリッド車両の構成について説明した。しかしながら、本発明の適用はこのような車両に限られるものではない。具体的には、車両に搭載された蓄電装置のみをエネルギー源として走行する走行モード(EV走行モード)と、蓄電装置および他のエネルギー源を用いて走行する走行モードとを備えた車両であれば、本発明を適用することが可能である。たとえば、図1とは異なるハイブリッド構成のハイブリッド車両(たとえば、いわゆるシリーズハイブリッド構成についても本発明は適用可能である。
【0119】
あるいは、蓄電装置と燃料電池とをエネルギー源として搭載した燃料電池自動車についても本発明は適用可能である。図9は、本発明の実施の形態による車両の適用例として示される燃料電池自動車の概略構成図である。
【0120】
図9を参照して、燃料電池FCが発電した電力は電力制御ユニット50へ供給される。燃料電池自動車は、蓄電装置10のみからモータジェネレータMGに電力を供給するか、蓄電装置10および燃料電池FCの双方からモータジェネレータMGに電力を供給するかを、選択可能に構成される。
【0121】
図9に示す構成において、燃料電池FCには燃料電池冷却システム400が設けられている。燃料電池FCおよび燃料電池冷却システム400は、車両前方に配置されたエンジンルーム内において、モータジェネレータMG2および電力制御ユニット50を含む電気系の駆動機器に併設される。そのため、燃料電池FCで発生した熱が電気系の駆動機器に伝達されることにより、駆動機器の温度が過度に上昇する可能性がある。
【0122】
図9に示す燃料電池自動車では、目的地までの走行区間を蓄電装置10のみをエネルギー源として走行した場合の駆動機器の温度上昇と、該走行区間を蓄電装置10および燃料電池FCをエネルギー源として走行した場合の駆動機器の温度上昇とを比較し、温度上昇が低いほうの走行形態によって当該走行区間を走行する。
【0123】
具体的には、制御装置100は、目的地までの走行区間を蓄電装置10のみをエネルギー源として走行した場合のモータジェネレータMGの温度を推定するとともに、当該走行区間を蓄電装置10および燃料電池FCをエネルギー源として走行した場合のモータジェネレータMGの温度を推定する。なお、蓄電装置10および燃料電池FCをエネルギー源として走行した場合のモータジェネレータMGの温度の推定には、燃料電池FCからモータジェネレータMGまでの熱伝達経路における熱抵抗が考慮される。そして、制御装置100は、推定されたモータジェネレータMGの温度が低いほうの走行形態を、該走行区間の走行形態に選択する。このような構成とすることにより、目的地に到達するまで電気系の駆動機器の温度上昇を抑制できるため、ユーザが所望する地域において、蓄電装置のみをエネルギー源として車両が走行することができる。
【0124】
なお、上述した本実施の形態においては、走行開始点からナビゲーションシステムにおいて設定された目的地までを走行区間として、当該走行区間を走行するための走行モードを選択する構成について例示したが、ナビゲーションシステムに目的地が設定されていない場合においても、本発明を適用することが可能である。たとえば、車両走行中において、現在の車両の位置から所定の走行距離だけ離れた位置までを走行区間とし、所定の走行距離ごとに走行モードを選択する構成としてもよいし、高速道路を利用する場合に高速道路走行区間としてもよい。あるいは、ユーザの過去の走行履歴データを参照することにより、目的地までの走行区間を推定する構成としてもよい。
【0125】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
5 ハイブリッド車両、6 コンバータ、7 システムメインリレー、8−1,8−2 インバータ、10 蓄電装置、11 監視ユニット、12,20 温度センサ、13,16 電圧センサ、14 電流センサ、18 エンジン、22 動力分割機構、24F 駆動輪、26 選択スイッチ、30 外部充電部、30b 電圧変換部、30a 電流制御部、40 ナビゲーションシステム、50 電力制御ユニット、90 コネクタ受入部、90a 連結検出センサ、100 制御装置、110 状態推定部、120 充放電制御部、130 走行制御部、140 配分部、150 走行モード選択部、200 電気系冷却システム、300 内燃機関冷却システム、350 コネクタ部、400 燃料電池冷却システム、FC 燃料電池、MG,MG1,MG2 モータジェネレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置に蓄えられた電力を第1のエネルギー源として走行する第1のモードと、前記第1のエネルギー源および第2のエネルギー源を用いて走行する第2のモードとを備えた車両であって、
前記蓄電装置から電力の供給を受けて車両駆動力を発生する電動機と、前記蓄電装置と前記電動機との間で電力変換を行なう電力制御ユニットとを少なくとも含む電気系の駆動機器と、
前記第1のモードと前記第2のモードとの切替えを制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、
所定の走行区間を前記第1のモードで走行したときの前記駆動機器における発熱量に基づいて、前記駆動機器の温度を推定する第1の推定手段と、
前記所定の走行区間を前記第2のモードで走行したときの前記駆動機器における発熱量に基づいて、前記駆動機器の温度を推定する第2の推定手段と、
前記第1の推定手段により推定された前記駆動機器の温度と、前記第2の推定手段により推定された前記駆動機器の温度との比較結果に基づいて、前記第1のモードおよび前記第2のモードのいずれか一方を、前記所定の走行区間を走行するための走行モードに選択する選択手段とを含む、車両。
【請求項2】
前記選択手段は、前記第1の推定手段により推定された前記駆動機器の温度が、前記第2の推定手段により推定された前記駆動機器の温度を下回る場合には、前記第1のモードを前記走行モードに選択する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
燃料を前記第2のエネルギー源として車両駆動力を発生する内燃機関をさらに備え、
前記第2の推定手段は、前記電動機における発熱量、前記内燃機関における発熱量および、前記内燃機関と前記電動機との間の熱抵抗に少なくとも基づいて、前記駆動機器の温度を推定する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記第1の推定手段は、前記所定の走行区間の走行ルート情報に基づいて前記電動機に要求される駆動力を算出し、該算出した要求駆動力に基づいて前記電動機における発熱量を算出し、
前記第2の推定手段は、前記所定の走行区間の走行ルート情報に基づいて前記電動機および前記内燃機関の各々に要求される駆動力を算出し、該算出した要求駆動力に基づいて前記電動機および前記内燃機関における発熱量を算出する、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記第2のエネルギー源は、電力を発生可能な燃料電池であり、
前記第2のモード時において、前記電動機は、前記蓄電装置および前記燃料電池から電力の供給可能に構成され、
前記第2の推定手段は、前記電動機における発熱量、前記燃料電池における発熱量および、前記燃料電池と前記電動機との間の熱抵抗に少なくとも基づいて、前駆駆動機器の温度を推定する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項6】
蓄電装置に蓄えられた電力を第1のエネルギー源として走行する第1のモードと、前記第1のエネルギー源および第2のエネルギー源を用いて走行する第2のモードとを備えた車両の制御方法であって、
前記車両は、前記蓄電装置から電力の供給を受けて車両駆動力を発生する電動機と、前記蓄電装置と前記電動機との間で電力変換を行なう電力制御ユニットとを少なくとも含む電気系の駆動機器を含み、
前記制御方法は、
所定の走行区間を前記第1のモードで走行したときの前記駆動機器における発熱量に基づいて、前記駆動機器の温度を推定するステップと、
前記所定の走行区間を前記第2のモードで走行したときの前記駆動機器における発熱量に基づいて、前記駆動機器の温度を推定するステップと、
前記所定の走行区間を前記第1のモードで走行したときの前記駆動機器の温度の推定値と、前記所定の走行区間を前記第2のモードで走行したときの前記駆動機器の温度の推定値との比較結果に基づいて、前記第1のモードおよび前記第2のモードのいずれか一方を、前記所定の走行区間を走行するための走行モードに選択するステップとを備える、車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60034(P2013−60034A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197948(P2011−197948)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】