説明

車両のオーディオ制御装置

【課題】エンジン自動停止・始動制御(いわゆるアイドルストップ制御)を実行する車両において、オーディオ装置の出力音声が適度な音量で聞こえるようにする。
【解決手段】エンジン停止要求が発生したときに、オーディオ装置の音量を自動調整前の音量として記憶し、この自動調整前の音量よりも小さい音量をアイドルストップ中(エンジン停止中)の目標音量として設定し、クランキング中でも乗員が聞き取り可能な音量をクランキング中の目標音量として設定する。その後、アイドルストップ中にオーディオ装置の音量をアイドルストップ中の目標音量に制御して、オーディオ装置の出力音声が聴感的に大きくなったように聞こえることを防止し、アイドルストップ状態から自動始動するときのクランキング中にオーディオ装置の音量をクランキング中の目標音量に制御して、オーディオ装置の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ装置の音声を自動調整する機能を備えた車両のオーディオ制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン(内燃機関)を搭載した車両においては、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、エンジン自動停止・始動システム(いわゆるアイドルストップシステム)を採用したものがある。このアイドルストップシステムは、運転者が車両を停車させて所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させ、その後、運転者が車両を発進させようとする操作を行って所定の自動始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるようにしている。
【0003】
このようなアイドルストップシステムを搭載した車両においては、特許文献1(特開2006−217774号公報)に記載されているように、エンジン再始動時にオーディオ装置の出力音声を一時的に無音にしたり又は低減することで、エンジン再始動時にオーディオ装置の出力音声に重畳するノイズ(スタータ駆動時のバッテリ電圧変動によるノイズ)の影響を乗員に感じさせないようにすることが提案されている。
【特許文献1】特開2006−217774号公報(第2頁等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アイドルストップシステムを搭載した車両では、アイドルストップ中(エンジン停止中)に、エンジン音が消えるため、オーディオ装置の出力音声が聴感的に大きくなったように聞こえて乗員に違和感を与える懸念がある。
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術は、エンジン再始動時にオーディオ装置の出力音声に重畳するノイズの影響を乗員に感じさせないようする技術であり、上述したアイドルストップ中にオーディオ装置の出力音声が聴感的に大きくなったように聞こえる問題を解決することはできない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、アイドルストップ中にオーディオ装置の出力音声が適度な音量で聞こえるようにできる車両のオーディオ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、エンジン停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン始動要求が発生したときにエンジンを自動始動させるアイドルストップ手段と、音声を出力するオーディオ装置とを備えた車両のオーディオ制御装置において、エンジン停止要求が発生したときに前記オーディオ装置の音量(以下「自動調整前の音量」という)を前記音量記憶手段に記憶しておき、少なくとも前記アイドルストップ手段によるエンジン停止中(以下「アイドルストップ中」という)に、前記音量記憶手段に記憶されている前記自動調整前の音量に基づいてオーディオ装置の音量を音量制御手段により自動調整するようにしたものである。
【0008】
この構成では、アイドルストップ中に自動調整前の音量(アイドルストップ直前の音量)に基づいてオーディオ装置の音量を自動調整することができるため、アイドルストップ中にエンジン音が消えるという事情があっても、オーディオ装置の出力音声が乗員に適度な音量で聞こえるように音量を自動調整することができる。
【0009】
具体的には、請求項2のように、アイドルストップ中にオーディオ装置の音量を自動調整前の音量よりも小さい目標音量に制御するようにすると良い。アイドルストップ中は、エンジン音が消えるため、オーディオ装置の音量を自動調整前の音量よりも小さい目標音量に制御することで、オーディオ装置の出力音声が聴感的に大きくなったように聞こえることを未然に防止することができ、乗員に違和感を感じさせないようにすることができる。
【0010】
この場合、請求項3のように、アイドルストップ中にオーディオ装置の音量を手動調整するための音量操作部が操作された場合には当該アイドルストップ中にオーディオ装置の音量を音量操作部の操作量に応じた音量に制御するようにしても良い。つまり、アイドルストップ中に音量操作部が操作された場合には、その音量操作部の操作を優先して、アイドルストップ中にオーディオ装置の音量を音量操作部の操作量に応じた音量に制御することで、アイドルストップ中にオーディオ装置の音量を乗員の要求する音量に制御することができる。
【0011】
ところで、アイドルストップ手段によるエンジン自動始動時のクランキング中(スタータ駆動中)は、クランキング音が発生するため、オーディオ装置の出力音声が聞き取り難くなって乗員に不快感を与える懸念がある。
【0012】
この対策として、請求項4のように、アイドルストップ手段によるエンジン自動始動時のクランキング中にオーディオ装置の音量を該クランキング終了後の目標音量よりも大きな目標音量に制御するようにすると良い。エンジン自動始動時のクランキング中は、クランキング音が発生するため、オーディオ装置の音量をクランキング終了後の目標音量(例えば自動調整前の音量)よりも大きな目標音量に制御することで、オーディオ装置の音量をクランキング中でも乗員が聞き取り可能な音量に制御することができて、オーディオ装置の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなることを未然に防止することができ、乗員に不快感を感じさせないようにすることができる。
【0013】
この場合、請求項5のように、アイドルストップ中又はその後のクランキング中にオーディオ装置の音量を手動調整するための音量操作部が操作された場合に、音量操作部の操作量に応じた音量がクランキング中の目標音量よりも大きいときにはクランキング中にオーディオ装置の音量を音量操作部の操作量に応じた音量に制御し、音量操作部の操作量に応じた音量がクランキング中の目標音量以下のときにはクランキング中にオーディオ装置の音量をクランキング中の目標音量に制御するようにしても良い。
【0014】
このようにすれば、音量操作部の操作量に応じた音量がクランキング中の目標音量よりも大きいときには、音量操作部の操作を優先して、クランキング中にオーディオ装置の音量を音量操作部の操作量に応じた音量に制御することで、クランキング中にオーディオ装置の音量を乗員の要求する音量に制御しながら、オーディオ装置の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなることを防止することができる。一方、音量操作部の操作量に応じた音量がクランキング中の目標音量以下のときには、クランキング中にオーディオ装置の音量を音量操作部の操作量に応じた音量に制御すると、オーディオ装置の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなると判断して、クランキング中にオーディオ装置の音量をクランキング中の目標音量に制御することで、クランキング中にオーディオ装置の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなることを確実に防止することができる。
【0015】
また、請求項6のように、アイドルストップ手段によるエンジン自動始動時のクランキング終了後又は自動始動完了後にオーディオ装置の音量を自動調整前の音量に制御するようにしても良い。このようにすれば、クランキング終了後又は自動始動完了後にオーディオ装置の音量を自動調整前の音量に自動的に戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいて制御システム全体の概略構成を説明する。
車両に搭載される内燃機関であるエンジン11の各気筒の吸気ポート12又はその近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁13が取り付けられている。エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ14が取り付けられ、各点火プラグ14の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
【0017】
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ15が取り付けられ、クランク軸16の外周側には、クランク軸16が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ17が取り付けらている。このクランク角センサ17の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
【0018】
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「エンジンECU」と表記する)18に入力される。このエンジンECU18は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶されたエンジン制御用のルーチンを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁13の燃料噴射量や点火プラグ14の点火時期を制御する。
【0019】
また、車両に搭載されるオーディオ装置19は、ラジオ放送を受信するラジオチューナ部20やCD(Compact Disk)プレーヤ部21等から出力される音声信号をアンプ部22等で増幅してスピーカ23に入力し、このスピーカ23から音声を出力する。また、乗員が音量操作部24(リモコン式も含む)を操作することでスピーカ23から出力される音量を手動調整できるようになっている。このオーディオ装置19の制御部(以下「オーディオECU」と表記する)25は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶されたオーディオ制御用のルーチンを実行することで、オーディオ装置19を制御する。
【0020】
尚、オーディオ装置19は、ラジオ放送やCDの音声を出力する構成に限定されず、MD(Mini Disk )、DVD(Digital Video Disk)、テレビ放送、ナビゲーションシステム等の音声を出力する構成にしても良い。
【0021】
エンジンECU18は、図示しないエンジン自動停止・始動制御ルーチンを実行することで、特許請求の範囲でいうアイドルストップ手段として機能し、次のようにしてエンジン自動停止・始動制御(いわゆるアイドルストップ制御)を実行する。図2のタイムチャートに示すように、エンジン運転中に、通常制御モード(モード1)で車両が停止して所定の自動停止条件(例えばアクセル全閉、ブレーキ操作中、アイドル運転中等の条件)が成立してエンジン停止要求が発生した時点t1 で、停止制御モード(モード2)に切り換えて、点火及び/又は燃料噴射を停止してエンジン回転を停止させ、エンジン回転が停止した時点t2 で、アイドルストップ中モード(モード3)に切り換えて、エンジン11を停止状態に維持する。その後、アイドルストップ中(エンジン停止中)に、運転者が車両発進のための準備操作(ブレーキ解除、シフトレバー操作等)や発進操作(アクセル踏込み等)を行った時点t3 で、自動始動条件が成立してエンジン始動要求が発生する。この時点t3 で、始動制御モード(モード4)に切り換えて、スタータ(図示せず)を駆動してエンジン11をクランキングすることでエンジン11を再始動させる。
【0022】
一方、オーディオECU25は、後述する図3及び図4の各ルーチンを実行することで、特許請求の範囲でいう音量制御手段として機能し、エンジン自動停止・始動制御中に次のようにしてオーディオ装置19の音量を自動調整する。図2のタイムチャートに示すように、エンジン停止要求が発生してエンジン制御モードが通常制御モード(モード1)から停止制御モード(モード2)に切り換わった時点t1 で、現在のオーディオ装置19の音量を「自動調整前の音量」としてRAM等のメモリ(音量記憶手段)に記憶する。そして、アイドルストップ中の目標音量を、自動調整前の音量よりも所定量だけ小さい音量に設定し、クランキング中の目標音量を、クランキング終了後の目標音量(例えば自動調整前の音量)よりも大きな音量に設定することでクランキング中でも乗員が聞き取り可能な音量に設定する。
【0023】
更に、オーディオ装置19の音量をアイドルストップ中の目標音量に向かって徐々に変化させる制御を実行し、エンジン制御モードがアイドルストップ中モード(モード3)に切り換わった時点t2 で、オーディオ装置19の音量をアイドルストップ中の目標音量(自動調整前の音量よりも所定量だけ小さい音量)に制御する。
【0024】
この後、エンジン始動要求が発生してエンジン制御モードが始動制御モード(モード4)に切り換わった時点t3 で、オーディオ装置19の音量をクランキング中の目標音量(クランキング中でも乗員が聞き取り可能な音量)に制御する。
【0025】
この後、始動制御モード中にクランキングが終了した時点t4 で、オーディオ装置19の音量を自動調整前の音量(アイドルストップ前の音量)に向かって徐々に変化させる制御を実行して、クランキング終了後又は始動完了後にオーディオ装置19の音量を自動調整前の音量に制御する。
【0026】
以上説明したオーディオ装置19の音量制御は、オーディオECU25によって図3及び図4の各ルーチンに従って実行される。以下、これらの各ルーチンの処理内容を説明する。尚、これらの各ルーチンの処理は、エンジンECU18又は他の制御装置によって実行するようにしても良い。
【0027】
[エンジン停止時の音量制御ルーチン]
図3に示すエンジン停止時の音量制御ルーチンは、所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、エンジン停止要求が発生してエンジン制御モードが通常制御モード(モード1)から停止制御モード(モード2)に切り換わった直後であるか否かを判定する。
【0028】
このステップ101で、エンジン制御モードが通常制御モードから停止制御モードに切り換わった直後であると判定された時点で、ステップ102に進み、現在のオーディオ装置19の音量を「自動調整前の音量」としてRAM等のメモリに記憶する。このステップ102の処理が特許請求の範囲でいう音量記憶手段としての役割を果たす。
【0029】
この後、ステップ103に進み、自動調整前の音量よりも所定量だけ小さい音量をアイドルストップ中の目標音量として設定し、クランキング中でも乗員が聞き取り可能な音量をクランキング中の目標音量として設定する。その際、自動調整前の音量よりも所定量だけ大きい音量をクランキング中の目標音量として設定するようにしても良い。或は、自動調整前の音量に拘らず予めクランキング中の目標音量を設定するようにしても良い。この場合、予め設定したクランキング中の目標音量が自動調整前の音量よりも大きい場合には予め設定したクランキング中の目標音量を最終的なクランキング中の目標音量として設定し、予め設定したクランキング中の目標音量が自動調整前の音量以下の場合には自動調整前の音量を最終的なクランキング中の目標音量として設定するようにしても良い。
【0030】
その後、上記ステップ101で、エンジン制御モードが通常制御モードから停止制御モードに切り換わった直後ではないと判定された場合には、ステップ104に進み、エンジン制御モードが停止制御モード(モード2)であるか否かを判定し、停止制御モードであると判定された場合には、ステップ105に進み、オーディオ装置19の音量をアイドルストップ中の目標音量に向かって徐々に変化させる制御を実行する。
【0031】
その後、上記ステップ104で、エンジン制御モードが停止制御モードではないと判定された場合には、ステップ106に進み、エンジン制御モードがアイドルストップ中モード(モード3)であるか否かを判定し、アイドルストップ中モードであると判定された場合には、ステップ107に進み、アイドルストップ中に音量操作部24が操作されたか否か(つまり乗員が音量操作部24を操作したか否か)を判定する。
【0032】
このステップ107で、音量操作部24が操作されていないと判定されれば、ステップ108に進み、アイドルストップ中にオーディオ装置19の音量をアイドルストップ中の目標音量(自動調整前の音量よりも小さい音量)に制御する。
【0033】
一方、上記ステップ107で、音量操作部24が操作されたと判定された場合には、ステップ109に進み、音量操作部24の操作を優先して、アイドルストップ中にオーディオ装置19の音量を音量操作部24の操作量に応じた音量に制御することで、オーディオ装置19の音量を乗員の要求する音量に制御する。
【0034】
[エンジン始動時の音量制御ルーチン]
図4に示すエンジン始動時の音量制御ルーチンは、所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、エンジン制御モードが始動制御モード(モード4)であるか否かを判定し、始動制御モードであると判定された場合には、ステップ202に進み、クランキング中(スタータ駆動中)であるか否かを判定する。
【0035】
このステップ202で、クランキング中であると判定された場合には、ステップ203に進み、アイドルストップ中に音量操作部24が操作されたか否かを判定し、音量操作部24が操作されていないと判定されれば、ステップ205に進み、クランキング中にオーディオ装置19の音量をクランキング中の目標音量(クランキング中でも乗員が聞き取り可能な音量)に制御する。
【0036】
一方、上記ステップ203で、音量操作部24が操作されたと判定された場合には、上記図3のステップ109でオーディオ装置19の音量が音量操作部24の操作量に応じた音量に制御されているため、ステップ204に進み、現在の音量(つまり音量操作部24の操作量に応じた音量)がクランキング中の目標音量よりも大きいか否かを判定する。
【0037】
このステップ204で、現在の音量(つまり音量操作部24の操作量に応じた音量)がクランキング中の目標音量よりも大きいと判定された場合には、ステップ206に進み、音量操作部24の操作を優先して、クランキング中に現在の音量を維持する(オーディオ装置19の音量を音量操作部24の操作量に応じた音量に制御する)。
【0038】
一方、上記ステップ204で、現在の音量(つまり音量操作部24の操作量に応じた音量)がクランキング中の目標音量以下であると判定された場合には、クランキング中にオーディオ装置19の音量を音量操作部24の操作量に応じた音量に制御すると、オーディオ装置19の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなると判断して、ステップ205に進み、クランキング中にオーディオ装置19の音量をクランキング中の目標音量(クランキング中でも乗員が聞き取り可能な音量)に制御する。
【0039】
その後、クランキングが終了して、上記ステップ202で、クランキング中ではないと判定されたときに、ステップ207に進み、オーディオ装置19の音量を自動調整前の音量(アイドルストップ前の音量)に向かって徐々に変化させる制御を実行して、クランキング終了後又は始動完了後にオーディオ装置19の音量を自動調整前の音量に制御する。
【0040】
以上説明した本実施例では、エンジン自動停止・始動制御によるアイドルストップ中に、エンジン音が消えることを考慮して、オーディオ装置19の音量をアイドルストップ中の目標音量(自動調整前の音量よりも小さい音量)に制御するようにしたので、オーディオ装置19の出力音声が聴感的に大きくなったように聞こえることを未然に防止することができ、乗員に違和感を感じさせないようにすることができる。
【0041】
更に、本実施例では、アイドルストップ中に音量操作部24が操作された場合には、その音量操作部24の操作を優先して、アイドルストップ中にオーディオ装置19の音量を音量操作部24の操作量に応じた音量に制御するようにしたので、アイドルストップ中にオーディオ装置19の音量を乗員の要求する音量(音量操作部24の操作量に応じた音量)に制御することができる。
【0042】
また、本実施例では、エンジン自動停止・始動制御によるエンジン自動始動時のクランキング中に、クランキング音が発生することを考慮して、オーディオ装置19の音量をクランキング中の目標音量(クランキング中でも乗員が聞き取り可能な音量)に制御するようにしたので、オーディオ装置19の出力音声がクランキング音で聞こえ難くなることを未然に防止することができ、乗員に不快感を感じさせないようにできる。
【0043】
更に、本実施例では、アイドルストップ中に音量操作部24が操作された場合に、音量操作部24の操作量に応じた音量がクランキング中の目標音量よりも大きいときには、音量操作部24の操作を優先して、クランキング中にオーディオ装置19の音量を音量操作部24の操作量に応じた音量に制御するようにしたので、クランキング中にオーディオ装置19の音量を乗員の要求する音量に制御しながら、オーディオ装置19の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなることを防止することができる。
【0044】
一方、音量操作部24の操作量に応じた音量がクランキング中の目標音量以下のときには、クランキング中にオーディオ装置19の音量を音量操作部24の操作量に応じた音量に制御すると、オーディオ装置19の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなると判断して、クランキング中にオーディオ装置19の音量をクランキング中の目標音量に制御するようにしたので、クランキング中にオーディオ装置19の出力音声がクランキング音で聞き取り難くなることを確実に防止することができる。
【0045】
尚、クランキング中に音量操作部24が操作された場合に、音量操作部24の操作量に応じた音量がクランキング中の目標音量よりも大きいときにはクランキング中にオーディオ装置19の音量を音量操作部24の操作量に応じた音量に制御し、音量操作部24の操作量に応じた音量がクランキング中の目標音量以下のときにはクランキング中にオーディオ装置19の音量をクランキング中の目標音量に制御するようにしても良い。
【0046】
また、本実施例では、クランキング終了後又はエンジン始動完了後にオーディオ装置19の音量を自動調整前の音量に制御するようにしたので、クランキング終了後又はエンジン始動完了後にオーディオ装置19の音量を自動調整前の音量(アイドルストップ前の音量)に自動的に戻すことができる。
【0047】
尚、上記実施例では、エンジン停止要求が発生した時点のオーディオ装置19の音量を自動調整前の音量として記憶するようにしたが、これに限定されず、エンジン停止要求が発生した時点の直前や直後のオーディオ装置19の音量を自動調整前の音量として記憶するようにしても良く、要は、自動調整される前の音量を記憶するようにすれば良い。
【0048】
また、本発明の適用範囲は、車両の動力源としてエンジンのみを備えた車両に限定されず、車両の動力源としてエンジンとモータを備えたハイブリッド車に本発明を適用しても良い。
【0049】
その他、本発明は、エンジン11やオーディオ装置19の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例における制御システム全体の概略構成図である。
【図2】音量制御の実行例を説明するタイムチャートである。
【図3】エンジン停止時の音量制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】エンジン始動時の音量制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
11…エンジン、13…燃料噴射弁、14…点火プラグ、18…エンジンECU(アイドルストップ手段)、19…オーディオ装置、20…ラジオチューナ部、21…CDプレーヤ部、22…アンプ部、23…スピーカ、24…音量操作部、25…オーディオECU(音量記憶手段,音量制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン始動要求が発生したときにエンジンを自動始動させるアイドルストップ手段と、音声を出力するオーディオ装置とを備えた車両のオーディオ制御装置において、
前記エンジン停止要求が発生したときに前記オーディオ装置の音量(以下「自動調整前の音量」という)を記憶する音量記憶手段と、
少なくとも前記アイドルストップ手段によるエンジン停止中(以下「アイドルストップ中」という)に前記音量記憶手段に記憶されている前記自動調整前の音量に基づいて前記オーディオ装置の音量を自動調整する音量制御手段と
を備えていることを特徴とする車両のオーディオ制御装置。
【請求項2】
前記音量制御手段は、前記アイドルストップ中に前記オーディオ装置の音量を前記自動調整前の音量よりも小さい目標音量に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両のオーディオ制御装置。
【請求項3】
前記音量制御手段は、前記アイドルストップ中に前記オーディオ装置の音量を手動調整するための音量操作部が操作された場合には当該アイドルストップ中に前記オーディオ装置の音量を前記音量操作部の操作量に応じた音量に制御することを特徴とする請求項2に記載の車両のオーディオ制御装置。
【請求項4】
前記音量制御手段は、前記アイドルストップ手段によるエンジン自動始動時のクランキング中に前記オーディオ装置の音量を当該クランキング終了後の目標音量よりも大きな目標音量に制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両のオーディオ制御装置。
【請求項5】
前記音量制御手段は、前記アイドルストップ中又は前記クランキング中に前記オーディオ装置の音量を手動調整するための音量操作部が操作された場合に、前記音量操作部の操作量に応じた音量が前記クランキング中の目標音量よりも大きいときには前記クランキング中に前記オーディオ装置の音量を前記音量操作部の操作量に応じた音量に制御し、前記音量操作部の操作量に応じた音量が前記クランキング中の目標音量以下のときには前記クランキング中に前記オーディオ装置の音量を前記クランキング中の目標音量に制御することを特徴とする請求項4に記載の車両のオーディオ制御装置。
【請求項6】
前記音量制御手段は、前記アイドルストップ手段によるエンジン自動始動時のクランキング終了後又は自動始動完了後に前記オーディオ装置の音量を前記自動調整前の音量に制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両のオーディオ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−196509(P2009−196509A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40812(P2008−40812)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】