説明

車両のクリープ制御装置及びクリープ制御方法

【課題】トルクコンバータの代わりに副変速機を設けた車両において、クリープ車速を適切に制御する。
【解決手段】遊星歯車機構(18)と高速段と低速段を切り換える変速用クラッチ(16)とを有する副変速機(8)と、前記副変速機からの回転が入力される前後進切り換え機構内に車両発進用クラッチ(10)を有する主変速機(6)と、を備える車両のクリープ制御装置において、前記発進用クラッチ(10)の締結を制御する締結制御手段と、前記変速用クラッチ(16)のスリップ量を制御するスリップ量制御手段(30:S4−S11、S12−S19)と、を備え、前記スリップ量制御手段が、車両のクリープ時に、前記変速用クラッチの前記スリップ量を制御することにより車速を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のクリープ制御装置及びクリープ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の自動変速機において、トルクコンバータの代わりに副変速機を設けたものが知られている(特許文献1、2参照)。副変速機は、遊星歯車機構と変速用クラッチ(高速段クラッチ)から構成され、遊星歯車機構はトルクコンバータの代わりにトルク比を発生するものである。トルク比を生じさせる必要のない場合には、変速用クラッチの締結により、トルクコンバータのロックアップ状態と同様に主変速機とエンジンを直結状態にできる。
【特許文献1】特開2003−35353号公報
【特許文献2】特開2005−163953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、車両の発進時にエンジン回転を遊星歯車機構で減速させて変速機に入力するという構成になっていたため、クリープ車速(クリープ時の車速)が低く、クリープ時の車両の操作性が悪いという問題があった。
【0004】
本発明ではこのような問題点を解決するために発明されたもので、クリープ車速を適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、遊星歯車機構と高速段と低速段を切り換える変速用クラッチとを有する副変速機と、前記副変速機からの回転が入力される前後進切り換え機構内に車両発進用クラッチを有する主変速機と、を備える車両のクリープ制御装置において、前記発進用クラッチの締結を制御する締結制御手段と、前記変速用クラッチのスリップ量を制御するスリップ量制御手段と、を備え、前記スリップ量制御手段が、車両のクリープ時に、前記変速用クラッチの前記スリップ量を制御することにより車速を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、トルクコンバータの代わりに副変速機を設けた車両においても、副変速機の変速用クラッチのスリップ量を制御することにより、クリープ車速を適切に制御でき、車両の操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1実施形態について図1を用いて説明する。図1は、本発明を適用する車両の全体を示す図である。車両において、自動変速機1は、エンジン2の駆動力を駆動輪4へと伝達する。自動変速機1は、主変速機6と副変速機8から構成される。主変速機6は、発進用クラッチ10(車両発進用のクラッチ)を有する前後進切り換え機構12と、無段変速機構や有段変速機構等の変速機構14から構成される。なお、本実施形態では、前後進切り換え機構12の前進クラッチを発進用クラッチ10とする。発進用クラッチ10の締結により、車両は、ニュートラルレンジ(Nレンジ)又はパーキングレンジ(Pレンジ)の停止状態から前進レンジ(Dレンジ)に対応した前進状態になる。
【0008】
副変速機8は、遊星歯車機構18、及び、高速段と低速段を切り換える変速用クラッチ(高速段選択クラッチ)16とを備え、例えば、上記特許文献1、2(特開2003−35353号公報、特開2005−163953号公報)と同様のものが使用されてよい。遊星歯車機構18は、リングギア18r、サンギア18s、ピニオンギア18p、キャリア18c等からなる通常の遊星歯車機構である。リングギア18rは、固定用のワンウェイクラッチ19により、エンジン出力軸(エンジンの出力軸)22の回転と逆方向に回転しないようにする。キャリア18cは、副変速機出力軸(副変速機の出力軸)24と直結している。
【0009】
変速用クラッチ16は、キャリア18cとエンジン出力軸22との間に介在する。副変速機8の高速段(2速)において、変速用クラッチ16が完全締結することにより、エンジン出力軸22とキャリア18cは直結され、主変速機6(主変速機の前後進切り換え機構12)とエンジン2を直結状態にできる。直結状態では、エンジン回転速度(即ち、エンジン出力軸22の回転速度)と副変速機の出力回転速度(即ち、副変速機出力軸24の回転速度)は等しくなり、副変速機8の高速段の減速比(通常は1)が実現される。副変速機8の低速段(1速)において、変速用クラッチ16が完全解放されることにより、主変速機6は、サンギア18sとピニオンギア18pを介してのみエンジン出力軸22と結合して、副変速機8の低速段の減速比(1より大きい)が実現される。変速用クラッチ16が完全締結状態と完全解放状態の間のスリップ状態にある時、副変速機8の減速比は、低速段の減速比と高速段の減速比の間の減速比となる。
【0010】
コントローラ30は、中央処理演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、タイマ、入出力インターフェース等から構成されるものであり、自動変速機1とエンジン2を制御する。本実施形態では、通信線により各種情報を共有し合うエンジンコントロールユニットと自動変速機コントロールユニットをまとめてコントローラ30としている。
【0011】
コントローラ30は、発進用クラッチ10と変速用クラッチ16に油圧を供給する油圧システム(コントロールバルブボディ)32を介して、発進用クラッチ10と変速用クラッチ16の締結、解放、又はスリップ制御を実行する。コントローラ30には、車両の車速を検出する車速センサ40(車輪速センサ等でよい)からの車速信号、ブレーキペダルの踏み込みを検出してオンするブレーキスイッチ42からのオンオフ信号、エンジン回転速度を検出するエンジン回転速度センサ44からのエンジン回転速度信号、副変速機8の出力回転速度を検出する副変速機出力回転速度センサ46からの副変速機出力回転速度信号、変速機構14への入力回転速度を検出する入力回転速度センサ47からのT/M入力回転速度信号、アクセルペダルの踏込みを検出するアクセルペダル位置センサ48(スロットル開度センサでもよい)からのアクセルペダルの踏込み信号、セレクタレバーの選択レンジ(P、N、D、R)を検出するレンジ位置センサ50(インヒビタスイッチでよい)からのレンジ位置信号が入力される。
【0012】
コントローラ30は、車両のクリープ時に、エンジン2のアイドル回転速度を維持するようなクリープ制御(例えば、特開平10−166897、特開2000−110855参照)に基づいて、エンジントルク制御を実行する。コントローラ30は、例えば、所要のエンジン回転速度を維持するために、ISC弁(アイドルスピードコントロールバルブ)を作動制御してエンジントルクを制御する。その他、コントローラ30は、エンジン2の点火プラグの点火時期を変えたり、エンジン2の燃料噴射装置の燃料噴射量を変更することでもエンジントルクを制御することもできる。
【0013】
図2のフローチャート及び図3、4のタイムチャートを参照して、コントローラ30が実行するクリープ制御について説明する。図2のフローチャートは、繰返し実行される。
【0014】
ステップS1において、クリープ開始指令が生じているか否か判断される。選択レンジがDレンジ且つアクセルペダルの踏込みがない状態で、車速がゼロ且つブレーキスイッチ42がオフである場合、クリープ開始指令が生じていると判断され、そうでない場合、クリープ開始指令は生じていないと判断される。クリープ開始指令が生じると、コントローラ30は、発進用クラッチ10の締結のため油圧システム32に発進用クラッチ10への油圧の上昇を指令し、また、エンジン2のアイドル回転速度を維持するエンジントルク制御を開始する(図3の時間T1)。これにより、図3のように、変速機構14への入力回転速度(T/M入力回転速度)、発進用クラッチ10のトルク、車速が、徐々に上昇する。クリープ開始指令が生じている場合はステップS2に進み、クリープ開始指令が生じていない場合はステップS1の判断を繰り返す。
【0015】
ステップS2において、発進用クラッチ10の締結が完了したか否かが判断される。例えば、副変速機出力回転速度とT/M入力回転速度が等しい場合に、発進用クラッチ10の締結が完了したと判断できる。或いは、車速が、発進用クラッチ10の締結が完了した場合の所定車速になった場合や、図示しない油圧センサが検出する発進用クラッチ10に加わる油圧が所定値になった場合に、発進用クラッチ10の締結が完了したと判断できる。発進用クラッチ10の締結が完了していない場合ステップS2を繰り返し、発進用クラッチ10の締結が完了した場合(図3の時間T2)、ステップS3に進む。なお、図3のT2以後の時間において、副変速機出力回転速度とT/M入力回転速度(変速機構14への入力回転速度)が等しい状態が維持される。
【0016】
ステップS3において、車速が低いか否かが判断する。つまり、車速が所定値(例えば、3km/h程度)以下か否かが判断される。車速が所定値より大きい場合ステップS3を繰り返し、車速が所定値以下の場合ステップS4に進む。
【0017】
ステップS4において、クラッチトルクを上昇するよう変速用クラッチ16の締結を開始する(図3の時間T3)。ここでは、エンジン回転速度と副変速機出力回転速度の差である変速用クラッチ16のスリップ量を所定量だけ減少するように、油圧システム32を介して変速用クラッチ16の油圧を上昇する。例えば、この所定量は、変速用クラッチ16の完全解放状態でのエンジン回転速度と副変速機出力回転速度の差の数十分の1の量であってよい。スリップ量を所定量だけ減少する代わりに、変速用クラッチ16への油圧を所定値だけ増加させるようにしてもよい。
【0018】
次に、ステップS5において、エンジン回転速度とエンジントルクが、それぞれの規定範囲内にあるか否かが判断される。ここで、エンジントルクは、上記エンジントルク制御におけるエンジントルク指令値(燃料噴射量指令値等)であってよい。エンジン回転速度又はエンジントルクがそれぞれの規定範囲内から外れた場合、ステップS6に進み、変速用クラッチ16のスリップ量を所定量だけ増加する(クラッチトルクを下げる)ため、油圧システム32を介して変速用クラッチ16への油圧を減少する。エンジン回転速度とエンジントルクが、それぞれの規定範囲内にある場合、ステップS7に進む。
【0019】
エンジン回転速度の規定範囲は、エンストが生じ始めるエンジン回転速度を下限とする範囲でよい。規定範囲の上限は、目標アイドル回転速度でよい。例えば、登坂路等でエンジン回転速度が減少して下限を超えて規定範囲から外れると、エンストが生ずる可能性があると判断してエンジン回転速度を増加すべく変速用クラッチ16のスリップ量が増加され、これによりエンストが防止され、クリープ力も安定する。エンジントルクの規定範囲は、エンジンの種類により適宜定められるが、エンストが生じ始めていると判断できるエンジントルクを下限とする範囲でよい。規定範囲の上限は、エンジンの異常と判断できるトルクでよい。例えば、登坂路等で、エンジントルクが減少して下限を超え規定範囲から外れると、エンスト防止のため、変速用クラッチ16のスリップ量が増加され、クリープ力が安定する。
【0020】
ステップS7において、クリープ指令中か否かが判断される。選択レンジがDレンジ且つアクセルペダルの踏込みがない状態であれば、クリープ指令中と判断される。アクセルペダルの踏込みがあった場合又は選択レンジがDレンジ以外のレンジになった場合、クリープ指令中でないと判断される。クリープ指令中でない場合、ステップS8において、変速用クラッチ16のスリップ制御は終了し、ここでアクセルペダルが踏み込まれているであれば通常走行時の変速制御が行なわれる。クリープ指令中である場合、ステップS9に進む。
【0021】
ステップS9において、ブレーキスイッチ42がオフであるか否か判断される。ブレーキスイッチ42がオフである場合、ステップS10において、エンジン回転速度と副変速機出力回転速度の差である変速用クラッチ16のスリップ量が最小スリップ量に達したか否か判断される。最小スリップ量に達していない場合、ステップS4に戻り、スリップ量を所定量だけ減少することが繰り返される。この繰返しにより、図3の時間T3から時間T4において、徐々に(典型的には時間に比例して)スリップ量が減少して、副変速機出力回転速度及び車速は徐々に上昇する。スリップ量が最小スリップ量に達した場合、ステップS11にて、スリップ量が所定の最小スリップ量に維持され、さらに、最小スリップ量に応じた車速が維持される。このように、ステップS4からS11は、スリップ量制御手段を構成し、変速用クラッチ16のスリップ量を制御して、クリープ時の車速を適切に制御でき、車両の操作性が向上する。また、スリップ量が微小な最小スリップ量に維持されることにより、エンジン2が変速機側からトルク変動を受けることが抑制できる。
【0022】
ステップS9において、ブレーキスイッチ42がオンである場合、ステップS12からS21までの処理に移行する。図4の時間T4において、ブレーキスイッチ42がオンとなっており、図4の時間T4以降のタイムチャートは、ステップS12からS19までの処理に対応する。
【0023】
まず、ステップS12において、ブレーキスイッチ42がオンになった時点の車速として現在の車速をRAMに記憶し、さらに、変速用クラッチ16のスリップ量を所定量だけ増加させて、変速用クラッチ16のクラッチトルクを下げる。
【0024】
次に、ステップS13において、ブレーキスイッチ42がオフか否かが判断される。ステップS13において、ブレーキスイッチ42がオンの場合、ステップS14において、クリープ指令中か否かが判断される。選択レンジがDレンジ且つアクセルペダルの踏込みがない状態であれば、クリープ指令中と判断される。ステップS14において、クリープ指令中である場合は、ステップS12に戻り、変速用クラッチ16のスリップ量を所定量だけ増加させる。ステップS12、S13、S14の繰返しにより、図4の時間T4から時間T5において、徐々に(典型的には時間に比例して)スリップ量が増加して、副変速機出力回転速度及び車速は徐々に減少する。ステップS14において、クリープ指令中でない場合は、ステップS15に進み、変速用クラッチ16のスリップ制御を終了する。
【0025】
ステップS13において、ブレーキスイッチ42がオフの場合に(図4の時間T5)、ステップS15において、変速用クラッチ16のスリップ量を所定量だけ減少させて、変速用クラッチ16のクラッチトルクを上げる。
【0026】
続いて、ステップS16において、車速が目標車速(例えば、5km/h程度)に達したか否か判断される。なお、目標車速は、ステップS12においてRAMに記憶された、ブレーキスイッチ42がオンになった時点(図4の時間T4)の車速より小さく設定される。これは、ブレーキスイッチ42がオンになった時点の車速は周囲の交通状況等に対して大きすぎるので運転者はブレーキペダルを踏んだと考えられ、ブレーキスイッチ42がオンになった時点より車速を低下させて維持しようとするものである。
【0027】
ステップS16で車速が目標車速に達していない場合、ステップS15に戻り、変速用クラッチ16のスリップ量を所定量だけ減少させる。ステップS15とS16の繰り返しにより、図4の時間T5からT6までの期間のように徐々に(典型的には時間に比例して)スリップ量が減少して、副変速機出力回転速度及び車速は徐々に上昇する。
【0028】
ステップS16で車速が目標車速に達した場合、ステップS17において、スリップ量が維持される。次に、ステップS18において、ブレーキスイッチ42がオフか否か、及び、エンジン回転速度とエンジントルクがそれぞれの規定範囲内にあるか否かが判断される。ブレーキスイッチ42がオフであり且つエンジン回転速度とエンジントルクがそれぞれの規定範囲内にある場合、ステップS17に戻りスリップ量が維持される。ブレーキスイッチ42がオンであるか、又は、エンジン回転速度とエンジントルクの少なくとも一方がエンジン回転速度の規定範囲、エンジントルクの規定範囲から外れた場合、ステップS19に進む。
【0029】
ステップS19において、クリープ指令中か否かが判断される。選択レンジがDレンジ且つアクセルペダルの踏込みがない状態であれば、クリープ指令中と判断される。クリープ指令中である場合は、ステップS12に戻り、変速用クラッチ16のスリップ量を所定量だけ増加させる。クリープ指令中である場合は、ステップS20に進み、変速用クラッチ16のスリップ制御を終了する。
【0030】
上記のように、ステップS12からS19は、スリップ量制御手段を構成し、クリープ時にブレーキスイッチ42が一度オンしたことに対応して適切なクリープ車速(目標車速)になるように、変速用クラッチ16のスリップ量を制御する。これにより、運転者が渋滞中や駐車場等でブレーキペダルを度々踏んで車速を調整することを回避し、運転性が向上する。
【0031】
なお、上記実施形態において、前後進切り換え機構12の前進クラッチを発進用クラッチ10として、発進用クラッチ10の締結により、車両は、ニュートラルレンジ(Nレンジ)又はパーキングレンジ(Pレンジ)の停止状態から選択レンジが前進レンジ(Dレンジ)である前進状態になる場合を説明した。しかし、本発明は、前後進切り換え機構12の後進クラッチ(後進ブレーキ)を発進用クラッチ10として、発進用クラッチ10の締結により、車両がニュートラルレンジ(Nレンジ)の停止状態から選択レンジが後進レンジ(Rレンジ)である後進状態になる場合にも適用可能である。このように、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を適用する車両の全体図であり、副変速機と主変速機からなる駆動力伝達装置の構成を示す。
【図2】本発明によるクリープ制御装置が実行する制御を示すフローチャートである。
【図3】本発明によるクリープ制御装置が実行する制御の様子を例示するタイムチャートであり、クリープ走行中にブレーキがオンしない場合の様子を示す。
【図4】本発明によるクリープ制御装置が実行する制御の様子を例示するタイムチャートであり、クリープ走行中にブレーキがオンした場合の様子を示す。
【符号の説明】
【0033】
1 自動変速機
2 エンジン
6 主変速機
8 副変速機
10 発進用クラッチ
12 前後進切り換え機構
14 変速機構
16 変速用クラッチ
18 遊星歯車機構
19 ワンウェイクラッチ
22 エンジン出力軸
24 副変速機出力軸
30 コントローラ
32 油圧システム
40 車速センサ
42 ブレーキスイッチ
44 エンジン回転速度センサ
46 副変速機出力回転速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊星歯車機構と高速段と低速段を切り換える変速用クラッチとを有する副変速機と、前記副変速機からの回転が入力される前後進切り換え機構内に車両発進用クラッチを有する主変速機と、を備える車両のクリープ制御装置において、
前記発進用クラッチの締結を制御する締結制御手段と、
前記変速用クラッチのスリップ量を制御するスリップ量制御手段と、を備え、
前記スリップ量制御手段が、車両のクリープ時に、前記変速用クラッチの前記スリップ量を制御することにより車速を制御することを特徴とする車両のクリープ制御装置。
【請求項2】
エンジン回転速度を検出する手段と、
エンジントルクを検出する手段と、をさらに備え、
前記スリップ量制御手段が、エンジン回転速度又はエンジントルクがそれぞれの規定範囲内から外れた場合に、変速用クラッチのスリップ量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の車両のクリープ制御装置。
【請求項3】
ブレーキペダルの踏み込みを検出する手段をさらに備え、
前記スリップ量制御手段が、ブレーキペダルが踏み込みこまれた場合に、変速用クラッチのスリップ量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の車両のクリープ制御装置。
【請求項4】
前記締結制御手段が前記発進用クラッチを締結した後に、前記スリップ量制御手段が前記スリップ量の減少を開始することを特徴とする請求項1に記載の車両のクリープ制御装置。
【請求項5】
遊星歯車機構と高速段と低速段を切り換える変速用クラッチとを有する副変速機と、前記副変速機からの回転が入力される前後進切り換え機構内に車両発進用クラッチを有する主変速機と、を備える車両のクリープ制御方法において、
前記発進用クラッチの締結を制御するステップと、
車両のクリープ時に車速を制御するため、前記変速用クラッチのスリップ量を制御するステップと、を含むことを特徴とするクリープ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−180270(P2009−180270A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19086(P2008−19086)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】