説明

車両のスピーカ取付け構造

【課題】インパネ後部にスピーカを配設し、該スピーカからの音を段差部に形成された反射面にて反射させて乗員に導くことで、段差部に連続するインパネ後部を有効利用してスピーカを配設することができる車両のスピーカ取付け構造を提供する。
【解決手段】フロントウインド6下側に位置するインパネ上面部8の前後方向中間部に形成された段差部11と、インパネ上面部8の段差部11よりも前方に位置するインパネ前部12と、インパネ上面部8の段差部11より後方に位置し、かつインパネ前部12より下側に位置するインパネ後部13と、を有するインストルメントパネル7が設けられ、スピーカ15をインパネ後部13に配設し、スピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REが段差部11に設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロントウインド下側の車室内に位置するインストルメントパネルに対してスピーカを取付けるような車両のスピーカ取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インストルメントパネルに対してスピーカを設ける場合、フロントウインドに曇り止め用の空調風を吹出すデフロスタダクトの後方位置にスピーカがレイアウトされていた。しかし、ナビゲーション装置その他の情報提供装置の乗員の視認性を向上させる目的で、該情報提供装置をインストルメントパネル内の車両前後方向の前方に移動させると、上記スピーカと情報提供装置とが干渉して、スピーカのレイアウトが困難となる。
一方、情報提供装置と干渉しないようにデフロスタダクトの後方位置にスピーカをレイアウトしようとすると、該スピーカの大幅は小型化が要請され、スピーカとしての充分な性能維持が困難となる問題点があった。
【0003】
ところで、特許文献1には、インストルメントパネルの上部左右にサイドスピーカを取付け、これら各サイドスピーカの上部または車幅方向外端部に反射板を設け、サイドスピーカからの音を反射板で反射させて、乗員に導くように構成したスピーカシステムが開示されているが、別部材としての反射板が必要となるうえ、見映の悪化を招くという問題点があった。
【0004】
また、特許文献2には、メータフードの下部に、運転者(ドライバ)に対して各種の音声情報を出力するスピーカを設け、該スピーカの音波放射面を車両後方に向けた構成が開示されているが、上記スピーカからの音をフード部で反射させるという技術思想については何等の開示も示唆もない。
【0005】
さらに、特許文献3には、フロントウインド下側のインストルメントパネルにおいて、該インストルメントパネルがフロントウインドと対向するその前部に、スピーカを内蔵し、該スピーカからの音をフロントウインドで反射させて、乗員に導くように構成した車両用スピーカの配設構造が開示されているが、上記インストルメントパネルを有効利用してスピーカからの音を反射させるという技術思想については全く開示されておらず、その示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−27054号公報
【特許文献2】特開2007−55430号公報
【特許文献3】実開昭58−173984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、インパネ上面部の前後方向中間部に形成された段差部と、段差部より前方に位置するインパネ前部と、段差部より後方で、かつインパネ前部より下側に位置するインパネ後部とを有するインストルメントパネルを設け、スピーカを上記インパネ後部に配設し、該スピーカからの音を反射させて後方に導く反射面を段差部に設けることで、段差部に連続するインパネ後部を有効利用してスピーカを配設することができる車両のスピーカ取付け構造の提供を目的とする。
【0008】
この発明は、また、インパネ上面部の前後方向中間部に形成された段差部と、段差部より前方に位置するインパネ前部と、段差部より後方で、かつインパネ前部より下側に位置するインパネ後部とを有するインストルメントパネルを設け、スピーカを上記段差部に配設し、該スピーカからの音を反射させて後方に導く反射面を上記インパネ後部に設けることで、段差部を有効利用してスピーカを配設することができる車両のスピーカ取付け構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による車両のスピーカ取付け構造は、フロントウインド下側の車室内に位置するインパネ上面部の車両前後方向中間部に形成された段差部と、上記インパネ上面部において該段差部よりも前方に位置するインパネ前部と、上記インパネ上面部において上記段差部よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部よりも下側に位置するインパネ後部と、を有するインストルメントパネルに対してスピーカを取付ける車両のスピーカ取付け構造であって、上記スピーカをインパネ後部に配設し、該スピーカからの音を反射させて後方に導く反射面が上記段差部に設けられたものである。
上述のスピーカは、センタスピーカに設定してもよく、またはサイドスピーカに設定してもよい。
上記構成によれば、インパネ後部にスピーカを配設し、該スピーカからの音を段差部に形成された反射面にて反射させて乗員に導くので、上記段差部に連続するインパネ後部を有効利用してスピーカを配設することができる。
【0010】
この発明による車両のスピーカ取付け構造は、また、フロントウインド下側の車室内に位置するインパネ上面部の車両前後方向中間部に形成された段差部と、上記インパネ上面部において該段差部よりも前方に位置するインパネ前部と、上記インパネ上面部において上記段差部よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部よりも下側に位置するインパネ後部と、を有するインストルメントパネルに対してスピーカを取付ける車両のスピーカ取付け構造であって、上記スピーカを上記段差部に配設し、該スピーカからの音を反射させて後方に導く反射面が上記インパネ後部に設けられたものである。
上記構成によれば、段差部にスピーカを配設し、該スピーカからの音をインパネ後部に形成された反射面にて反射させて乗員に導くので、上記段差部を有効利用してスピーカを配設することができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記インパネ前部の後端が、インパネ後部の前端よりも車両前後方向後方に位置し、上記反射面が、インパネ前部の後端からインパネ後部の前端に向けて前方下方へ傾斜して設けられたものである。
上記構成によれば、反射面が前方下方へ傾斜(前低後高に傾斜)して設けられているので、インパネ後部に設けられたスピーカの音を、上記反射面にて後方の乗員側へ効率的に反射させることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記インパネ後部をその前部が後部に対して下方に位置するように水平面に対して車両前方へ向けて傾斜させたものである。
上記構成によれば、インパネ後部を水平面に対して車両前方へ向けて傾斜(前低後高状に傾斜)させることにより、該インパネ後部に設けたスピーカからの音を反射面にて反射させ効果的に後方へ導くことができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記スピーカが段差部に対して下向きに配設され、上記反射面がスピーカの配設位置の下方に設けられたものである。
上記構成によれば、スピーカ配設位置の下方に反射面が設けられていることで、上記段差部に設けられたスピーカからの音を反射して、効率的に後方へ導くことができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記インパネ後部の下方のインストルメントパネル内部に上記スピーカへ音響データを出力するオーディオユニットを設け、該オーディオユニットをその前部が後部に対して下方に位置するよう車両前方へ向けて傾斜配設し、該オーディオユニットの配設角度の傾斜を上記インパネ後部の傾斜よりも大きく設定し、上記インパネ後部と上記オーディオユニットとの間にスピーカを配設したものである。
上記構成によれば、インパネ後部の傾斜角度とオーディオユニットの傾斜角度とを異ならせ、両者(インパネ後部およびオーディオユニット)間のスペースに上記スピーカを配設するので、該スペースの有効利用を図ることができ、また、スピーカとオーディオユニットとのレイアウトの両立を図ることができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、車両に関する情報を乗員に表示して提供する情報提供装置を上記段差部の内奥に設け、上記情報提供装置の後方に、上記スピーカからの音を反射させて後方に導くための反射面が形成されたものである。
【0016】
上述の情報提供装置は、ナビゲーション装置、または、車速やシートベルト着用の有無などを乗員に対して表示する装置であってもよい。
上記構成によれば、情報提供装置を乗員から可及的遠い位置で、かつ段差部の内奥に設けることができ、表示される情報の視認性向上と、スピーカのレイアウト確保との両立を図ることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記反射面は車幅方向に延びるように形成され、該反射面の乗員側端部が反乗員側端部よりも車両前方に位置するように該反射面が曲面形状に形成されたものである。
上記構成によれば、反射面が車幅方向において乗員側端部が反乗員側端部よりも車両前方に位置するように曲面形状に形成されているので、スピーカからの音が該反射面で反射され、この反射音が乗員に効率的に伝達される。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記スピーカはインパネ後部に対して取付け部を介して取付けられ、該取付け部のインパネ後部に対する取付け角度を変更することで、スピーカのインパネ後部に対する取付け傾斜角度を変更すべく構成したものである。
上記構成によれば、取付け部の取付け角度を変更することにより、スピーカの取付け角度が変更できるので、設計自由度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、インパネ上面部の前後方向中間部に形成された段差部と、段差部より前方に位置するインパネ前部と、段差部より後方で、かつインパネ前部より下側に位置するインパネ後部とを有するインストルメントパネルを設け、スピーカを上記インパネ後部に配設し、該スピーカからの音を反射させて後方に導く反射面を段差部に設けたので、段差部に連続するインパネ後部を有効利用してスピーカを配設することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の車両のスピーカ取付け構造を備えたインストルメントパネルを車室内側から見た状態で示す正面図
【図2】図1のA−A線に沿う車体構造を含む側面図
【図3】図2の要部拡大側面図
【図4】車両のスピーカ取付け構造を備えたインパネ周辺部の平面部
【図5】図4のB−B線矢視断面図
【図6】図5の部分拡大側面図
【図7】スプリングナットの斜視図
【図8】スピーカの取付け傾斜角度変更時の説明図
【図9】スピーカ取付け構造の他の実施例を示す部分側面図
【図10】車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例を示す側面図
【図11】車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例を示す側面図
【図12】車両のスピーカ取付け構図のさらに他の実施例を示す側面図
【図13】車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例を示す側面図
【図14】車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
インストルメントパネルの段差部に連続するインパネ後部を有効利用してスピーカを配設するという目的を、フロントウインド下側の車室内に位置するインパネ上面部の車両前後方向中間部に形成された段差部と、上記インパネ上面部において該段差部よりも前方に位置するインパネ前部と、上記インパネ上面部において上記段差部よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部よりも下側に位置するインパネ後部と、を有するインストルメントパネルに対してスピーカを取付ける車両のスピーカ取付け構造であって、上記スピーカをインパネ後部に配設し、該スピーカからの音を反射させて後方に導く反射面を上記段差部に設けるという構成にて実現した。
【実施例1】
【0022】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のスピーカ取付け構造を示し、図1はインストルメントパネルを車室内側から見た状態で示す正面図、図2は図1のA−A線に沿う車体構造を含む側面図、図3は図2の要部拡大側面図であって、図2において、車室1の上部を構成するルーフパネル2を設け、このルーフパネル2の前端下部には車幅方向に延びるフロントヘッダ3を接合固定して、ルーフパネル2とフロントヘッダ3との間には、車幅方向に延びるヘッダ閉断面4を形成している。
【0023】
上述のフロントヘッダ3およびルーフパネル2の下面を内装部材としてのトップシーリング5で覆う一方、ルーフパネル2の前端から斜め前方下方に延びるようにフロントウインド6を設けている。
【0024】
上述の車室1内において、フロントウインド6の下側には、図1、図2、図3に示すように、インパネメンバ(図示せず)で支持されたインストルメントパネル7を配設している。
このインストルメントパネル7は、フロントウインド6下側の車室内に位置するインパネ上面部8と、インパネ中央部においてインパネ上面部8と連続して下方に延びるインパネ中央下部9と、このインパネ中央下部9の左右両側において車幅方向に延びる運転席側および助手席側のインパネ下面部10D,10P(図1参照)と、を備えている。
【0025】
図3に示すように、上述のインパネ上面部8の車両前後方向の中間部には段差部11が形成されている。また、上述のインパネ上面部8において段差部11よりも上側かつ前方に位置するインパネ前部12を形成すると共に、インパネ上面部8において段差部11よりも下側後方に位置し、かつ上述のインパネ前部12よりも下側に位置するインパネ後部13を形成している。
【0026】
この実施例では、インパネ前部12の後端12Rが、インパネ後部13の前端13Fよりも車両前後方向の後方に位置するように形成されており、車両側面視において、インパネ前部12と、段差部11と、インパネ後部13とが略Z字状を成すように形成されている。
上述のインパネ前部12の後端12Rから下方かつ前方に延びる折返し部14が上記インパネ前部12と一体形成されており、この折返し部14で段差部11の一部を構成している。
【0027】
しかも、上述のインパネ後部13の下面にはスピーカ15(詳しくは、センタスピーカ)を取付けている。該スピーカ15はボイスコイル15aを有し、このスピーカ15はその音波放射面が上側を向くと共に、ボイスコイル15aが下側に位置するように取付けられており、インパネ後部13のスピーカ15取付け面にはスピーカグリル13aが形成されている。
また、上述の段差部11、詳しくは、折返し部14前端とインパネ後部13の前端13Fとの間には、ガラス製または樹脂製の無反射透明板16が設けられていて、この無反射透明板16の後面がスピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REに設定されている。
【0028】
図3に示すように、この反射面REはインパネ前部12の後端12R(詳しくは、折返し部14の前端)からインパネ後部13の前端13Fに向けて前方下方へ傾斜して設けられている。
【0029】
この実施例では、上述の無反射透明板16およびその後面の反射面REは所定の曲率形状に湾曲形成されており、このラウンド構造によりスピーカ15からの音を上記反射面REで拡散反射させ、図2に示す乗員Xの視聴覚領域Y(特に、聴覚領域)に伝達することで、乗員Xが音を聞きとりやすい範囲に導くように構成している。
ここで、上述のインパネ後部13は、その前部が後部に対して下方に位置するように水平面に対して車両前方へ向けて所定角度、例えば約15度傾斜するように構成されている。
【0030】
一方、上述のインパネ後部13の下方のインストルメントパネル7の内部(詳しくは、センタパネルの内部)には、上述のスピーカ15へ音響データを出力するオーディオユニット17と、空調温度を制御するヒータコントロールユニット18とを設けている。
上述のオーディオユニット17はその後面に表示部をもった操作部17aが形成され、この操作部17aがセンタパネルの開口部19から視認および操作可能となるように構成されている。
【0031】
同様に、上述のヒータコントロールユニット18はその後面に表示部をもった操作部18aが形成され、この操作部18aがセンタパネルの開口部20から視認および操作可能となるように構成されている。
上述のオーディオユニット17はその前部が後部に対して下方に位置するように車両前方へ向けて傾斜配設されており、ヒータコントロールユニット18はオーディオユニット17の下部において該オーディオユニット17と平行になるように配設されている。
しかも、上述のオーディオユニット17の配設角度(例えば、約30度)の傾斜は、上述のインパネ後部13の傾斜(約15度の傾斜)よりも大きく設定されていて、これら異なる傾斜角度のインパネ後部13の下面とオーディオユニット17の上面との間のスペースに上述のスピーカ15を配設したものである。
【0032】
さらに、図3に示すように、車両に関する情報を乗員に表示して提供する情報提供装置としてのナビゲーション装置21を設け、このナビゲーション装置21を上述の段差部11を構成する無反射透明板16の内奥(車両前方側)に配設している。
上述のナビゲーション装置21は表示部21aを有し、この表示部21aが乗員X側、つまり車両後方を向くように配設されている。
【0033】
そして、上述のナビゲーション装置21の後方には、スピーカ15からの音を反射させて後方に導くための上記反射面REが上記無反射透明板16にて形成されている。
つまり、該無反射透明板16は、乗員Xがナビゲーション装置21の表示部21aを視認するために透明に形成されると共に、スピーカ15からの音を反射させる作用を奏するように形成されている。要するに、この無反射透明板16は光の透過作用と、音の反射作用とを両立するものである。
【0034】
ところで、上述のインストルメントパネル7と、図示しないダッシュロアパネル(ダッシュパネル)との間には、空調ユニット22を配設しており、この空調ユニット22の所定部と、インパネ前部12の前方部に形成されたデフロスタ吹出し口23との間を、デフロスタダクト24で連通接続している。
また、図1に示すように、インストルメントパネル7の左右両側部には、サイドベント吹出口25,25を設ける一方、インストルメントパネル7の運転席側には、図示しないステアリングコラムを介してステアリングホイール26を配設している。
【0035】
このように、図1〜図3で示した実施例1の車両のスピーカ取付け構造(請求項1、3、4、6、7に相当)は、フロントウインド6下側の車室1内に位置するインパネ上面部8の車両前後方向中間部に形成された段差部11と、上記インパネ上面部8において該段差部11よりも前方に位置するインパネ前部12と、上記インパネ上面部8において上記段差部11よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部12よりも下側に位置するインパネ後部13と、を有するインストルメントパネル7に対してスピーカ15を取付ける車両のスピーカ取付け構造であって、上記スピーカ15をインパネ後部13に配設し、該スピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REが上記段差部11に設けられたものである(図3参照)。
この実施例では上記スピーカ15は、センタスピーカに設定されている。
この構成によれば、インパネ後部13にスピーカ15を配設し、該スピーカ15からの音を段差部11に形成された反射面REにて反射させて乗員X(特に、その視聴覚領域Y)に導くので、上記段差部11に連続するインパネ後部13を有効利用してスピーカ15を配設することができる。
【0036】
また、上記インパネ前部12の後端12Rが、インパネ後部13の前端13Fよりも車両前後方向後方に位置し、上記反射面REが、インパネ前部12の後端12Rからインパネ後部13の前端13Fに向けて前方下方へ傾斜して設けられたものである(図3参照)。
この構成によれば、反射面REが前方下方へ傾斜(前低後高に傾斜)して設けられているので、インパネ後部13に設けられたスピーカ15の音を、上記反射面REにて後方の乗員X側へ効率的に反射させることができる。
【0037】
さらに、上記インパネ後部13をその前部が後部に対して下方に位置するように水平面に対して車両前方へ向けて傾斜させたものである(図3参照)。
この構成によれば、インパネ後部13を水平面に対して車両前方へ向けて傾斜(前低後高状に傾斜)させることにより、該インパネ後部13に設けたスピーカ15からの音を反射面REにて反射させ効果的に後方へ導くことができる。
【0038】
加えて、上記インパネ後部13の下方のインストルメントパネル7内部(センタパネルの内部)に上記スピーカ15へ音響データを出力するオーディオユニット17を設け、該オーディオユニット17をその前部が後部に対して下方に位置するよう車両前方へ向けて傾斜配設し、該オーディオユニット17の配設角度の傾斜を上記インパネ後部13の傾斜よりも大きく設定(この実施例ではインパネ後部13の傾斜角度、約15度に対して、オーディオユニット17の傾斜角度を約30度に設定)し、上記インパネ後部13と上記オーディオユニット17との間のスペースにスピーカ15を配設したものである(図3参照)。
この構成によれば、インパネ後部13の傾斜角度とオーディオユニット17の傾斜角度とを異ならせ、両者(インパネ後部13およびオーディオユニット17)間のスペースに上記スピーカ15を配設するので、該スペースの有効利用を図ることができ、また、スピーカ15とオーディオユニット17とのレイアウトの両立を図ることができる。
【0039】
さらには、車両に関する情報を乗員Xに表示して提供する情報提供装置(ナビゲーション装置21参照)を上記段差部11の内奥(車両前方側)に設け、この情報提供装置(ナビゲーション装置21)の後方に、上記スピーカ15からの音を反射させて後方に導くための反射面REが形成されたものである。
この実施例では、情報提供装置として、ナビゲーション装置21を示したが、このナビゲーション装置21に代えて、車速やシートベルト着用の有無などの情報を乗員に対して表示する他の情報提供装置であってもよい。
この構成によれば、情報提供装置(ナビゲーション装置21参照)を乗員から可及的遠い位置で、かつ段差部11の内奥に設けることができ、表示される情報の視認性向上と、スピーカ15のレイアウト確保との両立を図ることができる。
【実施例2】
【0040】
図4〜図8は車両のスピーカ取付け構造の他の実施例を示し、図4はインストルメントパネルおよび、その周辺部の平面図、図5は図4のB−B線矢視断面図、図6は図5の部分拡大図、図7はスプリングナットの斜視図、図8はスピーカの取付け角度変更時の説明図である。
なお、図4〜図8において、前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略している。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
【0041】
図1〜図3で示した実施例1においては、インストルメントパネル7が一部材により構成されていたが、図4〜図8で示すこの実施例2においては、インストルメントパネル7が、前部インパネ7Fと後部インパネ7Rとの二部材で構成されている。
【0042】
図5に示すように、前部インパネ7Fに対して上側かつリヤ側に位置する後部インパネ7Rには、インパネ前部12、その後端12R、折返し部14、段差部11、インパネ後部13、スピーカグリル13a、開口部19が実施例1とほぼ同一条件下にて形成され、インパネ前部12の後端12Rからインパネ後部13の前端13Fに向けて前方下方へ傾斜し、かつラウンド形状の反射面REが無反射透明板16を用いて構成されている。
また、上述の後部インパネ7Rには、図4に示すように、その車幅方向の両側部にサイドベント吹出口25,25が形成されると共に、ステアリングホイール26と前後方向に対向する部位には、メータフード27が形成されている。
【0043】
後部インパネ7Rに対して下側かつフロント側に位置する前部インパネ7Fは、図5に示すように、そのフロント側からリヤ側にかけて、インパネ前部12と前後方向に連続する水平部30と、この水平部30の後端から下方に延びる段差部31と、段差部31の下端から後方下方に延びるスラント部32と、このスラント部32の後端から下方に延びる縦壁部33と、縦壁部33の下端から後方に延び、かつインパネ後部13の下方に位置するスピーカ取付け部34と、このスピーカ取付け部34の後端から折返された側面視L字状の折返し部35と、を一体形成したものである。
前部インパネ7Fの水平部30には、図4に示すように、デフロスタ吹出口23が形成されている。
【0044】
ところで、上述のスピーカ15はインパネ後部13に対して取付け部としてのスピーカ取付け部34を介して取付けられるものである。
すなわち、図6に部分拡大図で示すように、スピーカ15はボイスコイル15aとフランジ部15bとを有し、一方、上述のスピーカ取付け部34にはスピーカ取付け用の開口部34aが形成されており、スピーカ15は該開口部34aの口縁にその径方向内側から挿入された複数のスプリングナット36,36と、スピーカ15のフランジ部15bを上記スプリングナット36に締付け固定するビス37,37(取付け部材)と、を用いてスピーカ取付け部34に取付けられるものである。
【0045】
ここで、上述のスプリングナット36は、図7に斜視図で示すように、上片36aと下片36bとを横向きのU字状に一体形成し、かつ下片36bにはバーリング加工等によりナット部36cを一体形成したものである。
このため、図6に示すように、上述のビス37を、スピーカ15のフランジ部15bの開口、スプリングナット36の上片36aの開口、スピーカ取付け部34の開口を介して、スプリングナット36の下片36bにおけるナット部36cに締付けると、スピーカ15を上記スピーカ取付け部34に取付けることができる。
【0046】
この実施例では、スピーカ取付け部34のインパネ後部13に対する取付け角度を変更することで、スピーカ15のインパネ後部13に対する取付け傾斜角度を変更すべく構成している。
【0047】
具体的には、図8に示すように、一側(図8では車両後方側を例示)のスプリングナット36の上片36a上面と、これに対向するスピーカ15のフランジ部15bの下面との間に、任意枚数のワッシャ38(介設部材)…を介設すると、ビス37およびスプリングナット36を用いて締付けるスピーカ15のインパネ後部13に対する取付け傾斜角度が変更できるように構成したものである。つまり、この実施例では、スピーカ取付け部34のインパネ後部13に対する取付け角度を、所定枚数のワッシャ38を用いて、間接的に変更するように構成したものであり、図8に示すように、車両後方側にワッシャ38を介設すると、スピーカ15の前低後高状の傾斜角度を大きくすることができ、逆に車両前方側にワッシャ38を介設すると、スピーカ15の前低後高状の傾斜角度を小さくすることができ、さらに、使用するワッシャ38の厚さ、および、枚数により、スピーカ15の傾斜角度を任意に設定することができる。
なお、図6で示したスプリングナット36を用いる構造に代えて、図9に示すように、スピーカ取付け部34に合成樹脂製のボス39,39を一体形成し、このボス39の内周部にネジ孔(図示せず)を形成し、図示しないボルト等の取付け部材を用いて、スピーカ15を上記スピーカ取付け部に取付ける構造を採用してもよい。
【0048】
図9に示すように構成すると、スピーカ取付け部34とボス39とを同一の合成樹脂にて一体形成することができるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0049】
ところで、図5に示すように、無反射透明板16は、インパネ前部12の後端12R(詳しくは、折返し部14の前端)からインパネ後部13の前端13Fに向けて前方下方へ傾斜して設けられており、その後面を反射面REに設定している。
そして、この反射面REは、図4に平面図で示すように、車幅方向に延びるように形成されており、該反射面REの乗員側端部REa(ドライバーズ側の端部)が反乗員側端部REb(パッセンジャーズ側の端部)よりも車両前方に位置するように該反射面REが曲面形状に形成されたものである。
【0050】
このように、図4〜図9で示した実施例2(請求項1、3、4、6、7、8、9に相当)においては、上記反射面REは車幅方向に延びるように形成され、該反射面REの乗員側端部REaが反乗員側端部REbよりも車両前方に位置するように該反射面REが曲面形状に形成されたものである(図4参照)。
この構成によれば、反射面REが車幅方向において乗員側端部REaが反乗員側端部REbよりも車両前方に位置するように曲面形状に形成されているので、スピーカ15からの音が該反射面REで反射され、この反射音REが乗員(ドライバ)に効率的に伝達される。
【0051】
また、上記スピーカ15はインパネ後部13に対して取付け部(スピーカ取付け部34参照)を介して取付けられ、該取付け部34のインパネ後部13に対する取付け角度を変更することで、スピーカ15のインパネ後部13に対する取付け傾斜角度を変更すべく構成したものである(図6、図8参照)。
この構成によれば、取付け部(スピーカ取付け部34参照)の取付け角度を変更(この実施例では、ワッシャ38を用いて間接的に変更)することにより、スピーカ15の取付け角度が変更できるので、無反射透明板16を含むインストルメントパネル7の設計自由度の向上を図ることができる。
【0052】
なお、図4〜図9で示したこの実施例2においても、その他の点(請求項1、3、4、6、7に関する点)については先の実施例1と同様であるから、その詳しい説明を省略している。
【実施例3】
【0053】
図10は車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例を示し、この実施例3においても、フロントウインド6下側の車室1内に位置するインパネ上面部8の車両前後方向中間部に形成された段差部11と、インパネ上面部8において該段差部11よりも前方に位置するインパネ前部12と、インパネ上面部8において上記段差部11よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部12よりも下側に位置するインパネ後部13と、を有するインストルメントパネル7に対してスピーカ15を取付けたものである。
上述のスピーカ15はインパネ後部13に配設され、該スピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REが上述の段差部11に設けられている。
【0054】
また、この実施例3では、インパネ後部13を略水平状と成し、このインパネ後部13の下面に上述のスピーカ15を取付けている。
この実施例3は請求項1、3、6、7に相当し、インパネ後部13を略水平状に成した点以外については、先の実施例1と同様であるから、図10において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例4】
【0055】
図11は車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例を示し、この実施例4においても、フロントウインド6下側の車室1内に位置するインパネ上面部8の車両前後方向中間部に形成された段差部11と、インパネ上面部8において該段差部11よりも前方に位置するインパネ前部12と、インパネ上面部8において上記段差部11よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部12よりも下側に位置するインパネ後部13と、を有するインストルメントパネル7に対してスピーカ15を取付けたものである。
上述のスピーカ15はインパネ後部13に配設され、該スピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REが上述の段差部11に設けられている。
【0056】
また、この実施例4では、上述の反射面REおよび無反射透明板16が略垂直に配設されると共に、折返し部14も略垂直に折返し形成されている。一方、インパネ後部13はその前部が後部に対して下方に位置するように水平面に対して車両前方へ向けて傾斜して設けられており、この傾斜構造のインパネ後部13の下面に上述のスピーカ15を取付けている。さらに、上述のスピーカ15に対してオーディオユニット17およびヒータコントロールユニット18が略平行に配設されている。
この実施例4は請求項1、4、7に相当し、反射面REを略垂直と成した構造以外については、先の実施例1とほぼ同様であるから、図11において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例5】
【0057】
図12は車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例を示し、この実施例5においても、フロントウインド6下側の車室1内に位置するインパネ上面部8の車両前後方向の中間部に形成された段差部11と、インパネ上面部8において該段差部11よりも前方に位置するインパネ前部12と、インパネ上面部8において上記段差部11よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部12よりも下側に位置するインパネ後部13と、を有するインストルメントパネル7に対してスピーカ15を取付けたものである。
上述の段差部11は無反射透明板16と折返し部14とで形成され、該折返し部14はスピーカ15を取付けるのに充分な前後方向の長さを有し、かつインパネ前部12と折返し部14との間にスピーカ15を取付けるのに充分な上下方向のスペースを有するように、該折返し部14がインパネ前部12の後端12Rから車両前方下方に向けて一体形成されている。
【0058】
特に、この実施例5では、スピーカ15を、段差部11を形成する折返し部14に配設し、この折返し部14にはスピーカグリル14aを形成すると共に、該スピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REが上述のインパネ後部13に形成されている。
このインパネ後部13は、スピーカ15からの音を反射させて乗員側に導くために前方が高く、後方が低くなるように傾斜状に形成されている。つまり、前高後低状のスラント構造に形成されている。
【0059】
また、上述のスピーカ15は段差部11を構成する折返し部14に対して下向きに配設されている。つまり、スピーカ15の音波放射面が下側を向き、ボイスコイル15aが上側に位置するように取付けられている。
さらに、上述の反射面REはスピーカ15の配設位置の下方に設けられており、スピーカ15からの音を該反射面REで反射して後方へ導くように構成している。
【0060】
なお、インパネ後部13の下方のインストルメントパネル7内部(詳しくは、インパネ後部13の下方延長部)には、上記スピーカ15へ音響データを出力するオーディオユニット17と、ヒータコントロールユニット18とを設ける一方、段差部11を構成する無反射透明板16の内奥(車両前方側)には、車両に関する情報を乗員に表示して提供する情報提供装置の一例としてナビゲーション装置21を配設している。
【0061】
このように、図12で示した実施例の車両のスピーカ取付け構造(請求項2、5に相当)は、フロントウインド6下側の車室1内に位置するインパネ上面部8の車両前後方向中間部に形成された段差部11と、上記インパネ上面部8において該段差部11よりも前方に位置するインパネ前部12と、上記インパネ上面部8において上記段差部11よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部12よりも下側に位置するインパネ後部13と、を有するインストルメントパネル7に対してスピーカ15を取付ける車両のスピーカ取付け構造であって、上記スピーカ15を上記段差部11に配設し、該スピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REが上記インパネ後部13に設けられたものである(図12参照)。
この構成によれば、段差部11にスピーカ15を配設し、該スピーカ15からの音をインパネ後部13に形成された反射面REにて反射させて乗員に導くので、上記段差部11を有効利用してスピーカ15を配設することができる。
【0062】
また、上記スピーカ15が段差部11に対して下向きに配設され、上記反射面REがスピーカ15の配設位置の下方に設けられたものである(図12参照)。
この構成によれば、スピーカ配設位置の下方に反射面REが設けられていることで、上記段差部11に設けられたスピーカ15からの音を反射して、効率的に後方へ導くことができる。
【0063】
さらに、実施例で開示したように、車両に関する情報を乗員に表示して提供する情報提供装置の一例としてナビゲーション装置21を段差部11における無反射透明板16の内奥に設けたので、情報提供装置(ナビゲーション装置21参照)を乗員から可及的遠い位置で、かつ段差部11の内奥に設けることができ、表示される情報の視認性向上と、スピーカ15のレイアウト確保との両立を図ることができる。
なお、図12において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略している。
【実施例6】
【0064】
図13は車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例(請求項2、5に相当)を示し、この実施例6においても、フロントウインド6下側の車室1内に位置するインパネ上面部8の車両前後方向の中間部に形成された段差部11と、インパネ上面部8において該段差部11よりも前方に位置するインパネ前部12と、インパネ上面部8において上記段差部11よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部12よりも下側に位置するインパネ後部13と、を有するインストルメントパネル7に対してスピーカ15を取付けたものである。
上述の段差部11は無反射透明板16と折返し部14とで形成され、該折返し部14はスピーカ15を取付けるのに充分な前後方向の長さを有し、かつインパネ前部12と折返し部14との間にスピーカ15を取付けるのに充分な上下方向のスペースを有するように、該折返し部14はインパネ前部12の後端12Rから車両の前方下方、または車両の前方に向けて形成(つまり、前傾状または略水平に形成)されている。
【0065】
特に、この実施例6では、スピーカ15を、段差部11を形成する折返し部14に配設し、この折返し部14にはスピーカグリル14aを形成すると共に、該スピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REが上述のインパネ後部13の前半部分に形成されている。
このインパネ後部13は、スピーカ15からの音を反射させて乗員側に導くためにその前半部分が前方を高く、後方を低くするように傾斜状に形成されている。つまり、前高後低状のスラント構造に形成されている。
【0066】
上述のインパネ後部13の後半部分は、前半部分とは逆の傾斜、つまり、前方が低く、後方が高くなる前低後高状のスラント形状に形成されている。
また、上述のスピーカ15は段差部11を構成する折返し部14に対して下向きに配設されている。つまり、スピーカ15の音波放射面が下側を向き、ボイスコイル15aが上側に位置するように取付けられている。
さらに、上述の反射面REはスピーカ15の配設位置の下方に設けられており、スピーカ15からの音を該反射面REで反射して後方へ導くように構成している。
【0067】
なお、インパネ後部13の後方下方のインストルメントパネル7内部には、上記スピーカ15へ音響データを出力するオーディオユニット17と、ヒータコントロールユニット18とを設ける一方、段差部11を構成する無反射透明板16の内奥(車両前方側)には、車両に関する情報を乗員に表示して提供する情報提供装置の一例としてナビゲーション装置21を配設している。
このように構成しても、先の実施例5と同様の作用、効果を奏するもので、図13において図12と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例7】
【0068】
図14は車両のスピーカ取付け構造のさらに他の実施例(請求項2、5に相当)を示し、この実施例7においても、フロントウインド6下側の車室1内に位置するインパネ上面部8の車両前後方向の中間部に形成された段差部11と、インパネ上面部8において該段差部11よりも前方に位置するインパネ前部12と、インパネ上面部8において上記段差部11よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部12よりも下側に位置するインパネ後部13と、を有するインストルメントパネル7に対してスピーカ15を取付けたものである。
上述のインパネ前部12の後端12Rは、インパネ後部13の前端13Fよりも車両前後方向の後方に位置し、上述の段差部11は、インパネ前部12の後端12Rからインパネ後部13の前端13Fに向けて前方下方へ傾斜(前低後高状に傾斜)して設けられている。
【0069】
特に、この実施例7では、スピーカ15を、段差部11の車両前方側の面に配設し、この段差部11にはスピーカグリル11aを形成すると共に、該スピーカ15からの音を反射させて後方に導く反射面REが上述のインパネ後部13に形成されている。
このインパネ後部13は、スピーカ15からの音を反射させて乗員側に導くために略水平状または前方がやや低く、後方がやや高くなるような傾斜状に形成されている。
【0070】
また、上述のスピーカ15は段差部11に対して後方下向きに配設されている。つまり、スピーカ15の音波放射面が後方下側を向き、ボイスコイル15aが前方上側に位置するように取付けられている。
さらに、上述の反射面REはスピーカ15の配設位置の下方に設けられており、スピーカ15からの音を該反射面REで反射して後方へ導くように構成している。
【0071】
なお、インパネ後部13の下方のインストルメントパネル7内部には、上記スピーカ15へ音響データを出力するオーディオユニット17とヒータコントロールユニット18とを設けている。また、この実施例7においては前述の折返し部14と無反射透明板16とを用いない構造になっている。
このように構成しても、先の実施例5、実施例6とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図14において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0072】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の情報提供装置は、実施例のナビゲーション装置21に対応し、
以下同様に、
取付け部は、スピーカ取付け部34に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0073】
例えば、上記情報提供装置としては、ナビゲーション装置21に代えて、車速やシートベルト着用の有無などの車両に関する他の情報を乗員に表示して提供するものであってもよい。
また、上記各実施例においては、スピーカ15としてセンタスピーカを例示したが、上記構成の車両のスピーカ取付け構造を、サイドスピーカの取付けに採用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
1…車室
6…フロントウインド
7…インストルメントパネル
8…インパネ上面部
11…段差部
12…インパネ前部
13…インパネ後部
15…スピーカ
17…オーディオユニット
21…ナビゲーション装置(情報提供装置)
34…スピーカ取付け部(取付け部)
RE…反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントウインド下側の車室内に位置するインパネ上面部の車両前後方向中間部に形成された段差部と、
上記インパネ上面部において該段差部よりも前方に位置するインパネ前部と、
上記インパネ上面部において上記段差部よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部よりも下側に位置するインパネ後部と、を有するインストルメントパネルに対してスピーカを取付ける車両のスピーカ取付け構造であって、
上記スピーカをインパネ後部に配設し、該スピーカからの音を反射させて後方に導く反射面が上記段差部に設けられた
車両のスピーカ取付け構造。
【請求項2】
フロントウインド下側の車室内に位置するインパネ上面部の車両前後方向中間部に形成された段差部と、
上記インパネ上面部において該段差部よりも前方に位置するインパネ前部と、
上記インパネ上面部において上記段差部よりも後方に位置し、かつ上記インパネ前部よりも下側に位置するインパネ後部と、を有するインストルメントパネルに対してスピーカを取付ける車両のスピーカ取付け構造であって、
上記スピーカを上記段差部に配設し、該スピーカからの音を反射させて後方に導く反射面が上記インパネ後部に設けられた
車両のスピーカ取付け構造。
【請求項3】
上記インパネ前部の後端が、インパネ後部の前端よりも車両前後方向後方に位置し、
上記反射面が、インパネ前部の後端からインパネ後部の前端に向けて前方下方へ傾斜して設けられた
請求項1記載の車両のスピーカ取付け構造。
【請求項4】
上記インパネ後部をその前部が後部に対して下方に位置するように水平面に対して車両前方へ向けて傾斜させた
請求項1記載の車両のスピーカ取付け構造。
【請求項5】
上記スピーカが段差部に対して下向きに配設され、上記反射面がスピーカの配設位置の下方に設けられた
請求項2記載の車両のスピーカ取付け構造。
【請求項6】
上記インパネ後部の下方のインストルメントパネル内部に上記スピーカへ音響データを出力するオーディオユニットを設け、
該オーディオユニットをその前部が後部に対して下方に位置するよう車両前方へ向けて傾斜配設し、
該オーディオユニットの配設角度の傾斜を上記インパネ後部の傾斜よりも大きく設定し、
上記インパネ後部と上記オーディオユニットとの間にスピーカを配設した
請求項1記載の車両のスピーカ取付け構造。
【請求項7】
車両に関する情報を乗員に表示して提供する情報提供装置を上記段差部の内奥に設け、
上記情報提供装置の後方に、上記スピーカからの音を反射させて後方に導くための反射面が形成された
請求項1、3、4、6の何れか1に記載の車両のスピーカ取付け構造。
【請求項8】
上記反射面は車幅方向に延びるように形成され、
該反射面の乗員側端部が反乗員側端部よりも車両前方に位置するように該反射面が曲面形状に形成された
請求項1、3、4、6、7の何れか1に記載の車両のスピーカ取付け構造。
【請求項9】
上記スピーカはインパネ後部に対して取付け部を介して取付けられ、
該取付け部のインパネ後部に対する取付け角度を変更することで、スピーカのインパネ後部に対する取付け傾斜角度を変更すべく構成した
請求項1、3、4の何れか1に記載の車両のスピーカ取付け構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−46314(P2011−46314A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197512(P2009−197512)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】