説明

車両のパワーユニット支持部構造

【課題】フロアパネルの下面に複数のスポット溶接により接合される一方、パワーユニットの一部を支持するブラケットを備えた車両のパワーユニット支持部構造において、パワーユニットからの荷重により各スポット溶接部が容易には破断しないようフロアパネルへのブラケットの各スポット溶接による接合強度を向上させる。
【解決手段】ユニットマウント16におけるパワーユニットの支持中心35を含むブラケット14の車体2側面断面視で、支持中心35がブラケット14の剪断中心36から車体2前後方向でのいずれか一方向に偏位している。複数のスポット溶接S1〜S6部のうち、支持中心35が偏位した一方向側に位置する各スポット溶接S4〜S6部を、一方向に向かうに従い車体2外側方に向かうよう列状に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネルの下面に複数のスポット溶接により接合される一方、パワーユニットの一部を支持するブラケットを備えた場合において、上記フロアパネルの下面へのブラケットの各スポット溶接による接合が強固になされるようにするための車両のパワーユニット支持部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両のパワーユニット支持部構造には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車両のパワーユニット支持部構造は、車体幅方向におけるフロアパネルの中途部に上方に向かって膨出するよう形成され、その内部にパワーユニットの一部分を収容するトンネルと、このトンネルの下側で車体幅方向に延び、その長手方向の端部上面が上記トンネルの外側方近傍における上記フロアパネルの下面に接合されるブラケットと、このブラケットの長手方向の中途部に取り付けられ、上記パワーユニットの一部を支持するユニットマウントとを備えており、上記フロアパネルの下面へのブラケットの端部の接合は、通常、複数のスポット溶接により行われる。
【0003】
ここで、車体に対するパワーユニットの支持を安定的にかつ強固にするため、通常、このユニットマウントにおける上記パワーユニットの支持中心と、この支持中心を含む上記ブラケットの車体側面断面視におけるこのブラケットの剪断中心とは、車体前後方向で互いにほぼ同じところに位置させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2757723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の技術において、パワーユニットを例えば大型化しようとする場合には、車体の共通化などの理由により、この車体の形状を大きくは変化させないよう維持したまま、上記のようにパワーユニットを大型化することが考えられる。
【0006】
しかし、パワーユニットの大型化に伴い、このパワーユニットを支持する上記ユニットマウントを後方に変位させたとすると、このユニットマウントの支持中心は、上記ブラケットの剪断中心から車体前後方向での後方に向けて大きく偏位しがちとなる。このため、上記パワーユニットからの荷重が上記ユニットマウントの支持中心位置で上記ブラケットに与えられると、このブラケットには大きい捩りモーメントが与えられることとなる。
【0007】
そして、上記捩りモーメントによれば、前記複数のスポット溶接部のうち、上記剪断中心から上記支持中心が偏位した後方に向かってより大きく離間した端部のスポット溶接部に、最大の引張応力(応力集中)が生じがちとなる。このため、車両の走行時に、パワーユニットからユニットマウントを介しブラケットに対し、繰り返し荷重が与えられるとき、上記端部のスポット溶接部から破断し始め、これに続いて上記各スポット溶接部が全体的に破断するおそれを生じる。
【0008】
そこで、上記ブラケットの板厚の増加や別途補強材の設定により、上記フロアパネルへのブラケットの接合強度をより向上させることが考えられる。しかし、単にこのようにすると、車体の質量が増加すると共に、車体の構成が複雑になるという不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、フロアパネルの下面に複数のスポット溶接により接合される一方、パワーユニットの一部を支持するブラケットを備えた車両のパワーユニット支持部構造において、上記パワーユニットからの荷重により上記各スポット溶接部が容易には破断しないよう上記フロアパネルへのブラケットの各スポット溶接による接合強度を向上させるようにすることである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、上記した接合強度の向上が、車体の質量の増加を避け、かつ簡単な構成により達成できるようにすることである。
【0011】
請求項1の発明は、車体2幅方向におけるフロアパネル5の中途部に上方に向かって膨出するよう形成され、その内部にパワーユニット10の一部分を収容するトンネル8と、このトンネル8の下側で車体2幅方向に延び、その長手方向の端部上面が上記トンネル8の外側方近傍における上記フロアパネル5の下面に複数のスポット溶接S1〜S6により接合されるブラケット14と、このブラケット14の長手方向の中途部に取り付けられ、上記パワーユニット10の一部を支持するユニットマウント16とを備え、このユニットマウント16における上記パワーユニット10の支持中心35を含む上記ブラケット14の車体2側面断面視(図5)で、上記支持中心35が上記ブラケット14の剪断中心36から車体2前後方向でのいずれか一方向に偏位した車両のパワーユニット支持部構造において、
上記複数のスポット溶接S1〜S6部のうち、上記支持中心35が偏位した上記一方向側に位置する各スポット溶接S4〜S6部を、上記一方向に向かうに従い車体2外側方に向かうよう列状に配置したことを特徴とする車両のパワーユニット支持部構造である。
【0012】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0013】
本発明による効果は、次の如くである。
【0014】
請求項1の発明は、車体幅方向におけるフロアパネルの中途部に上方に向かって膨出するよう形成され、その内部にパワーユニットの一部分を収容するトンネルと、このトンネルの下側で車体幅方向に延び、その長手方向の端部上面が上記トンネルの外側方近傍における上記フロアパネルの下面に複数のスポット溶接により接合されるブラケットと、このブラケットの長手方向の中途部に取り付けられ、上記パワーユニットの一部を支持するユニットマウントとを備え、このユニットマウントにおける上記パワーユニットの支持中心を含む上記ブラケットの車体側面断面視で、上記支持中心が上記ブラケットの剪断中心から車体前後方向でのいずれか一方向に偏位した車両のパワーユニット支持部構造において、
上記複数のスポット溶接部のうち、上記支持中心が偏位した上記一方向側に位置する各スポット溶接部を、上記一方向に向かうに従い車体外側方に向かうよう列状に配置しており、次の効果が生じる。
【0015】
即ち、上記発明によれば、その前提として、ユニットマウントの支持中心はブラケットの剪断中心から一方向に偏位しているため、上記パワーユニットからの荷重が上記ユニットマウントの支持中心位置で上記ブラケットに与えられると、このブラケットには大きい捩りモーメントが与えられることとなる。
【0016】
そして、上記捩りモーメントによれば、上記複数のスポット溶接部のうち、上記剪断中心から上記支持中心が偏位した一方向に向かってより大きく離間した端部のスポット溶接部に、最大の引張応力(応力集中)が生じがちとなる。このため、車両の走行時に、パワーユニットからユニットマウントを介しブラケットに対し、繰り返し荷重が与えられるとき、上記端部のスポット溶接部から破断し始め、これに続いて上記各スポット溶接部が全体的に破断するおそれを生じる。
【0017】
しかし、前記したように、要するに、複数の各スポット溶接部のうち、支持中心が偏位した一方向側に位置する各スポット溶接部を、上記一方向に向かうに従い車体外側方に向かうよう列状に配置している。
【0018】
このため、車体平面視で、上記一方向側に位置する各スポット溶接部と上記支持中心との間の各距離を、上記一方向に向かうに従い漸増させることができ、もしくは、互いにほぼ同じにさせることができる。
【0019】
よって、上記支持中心位置に与えられる荷重により、上記一方向側に位置する各スポット溶接部にそれぞれ曲げモーメントおよび/もしくは剪断力が与えられるとき、これに基づき上記各スポット溶接部にそれぞれ生じる引張応力および/もしくは剪断応力を、上記一方向に向かうに従い漸減させることができ、もしくは、互いにほぼ同じにさせることができる。
【0020】
この結果、前記捩りモーメントと、上記曲げモーメントおよび/もしくは剪断力とにより、上記一方向側に位置した各スポット溶接部のうちの前記端部のスポット溶接部に生じる合応力を他のスポット溶接部に比べて小さくでき、もしくは、上記各スポット溶接部に生じる各合応力を互いにより均等にできる。このため、車両の走行時に、パワーユニットからユニットマウントを介しブラケットに対し、繰り返し荷重が与えられるとき、上記端部のスポット溶接部から破断し始め、これに続いて上記各スポット溶接部が全体的に破断する、ということは防止される。つまり、上記フロアパネルへのブラケットの各スポット溶接による接合強度を向上させることができる。
【0021】
また、上記したフロアパネルへのブラケットの接合強度の向上は、上記一方向側に位置する各スポット溶接部の配置を工夫したことによるものであって、ブラケットの板厚の増加や別途補強材の設定を必須にするものではない。よって、上記した接合強度の向上は、車体の質量の増加を避け、かつ、簡単な構成により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図3の部分拡大平面図である。
【図2】フロアパネルを省略した車体の部分斜視図である。
【図3】車体の部分平面図である。
【図4】車体の部分背面断面図である。
【図5】図1のV−V線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の車両のパワーユニット支持部構造に関し、フロアパネルの下面に複数のスポット溶接により接合される一方、パワーユニットの一部を支持するブラケットを備えた車両のパワーユニット支持部構造において、上記パワーユニットからの荷重により上記各スポット溶接部が容易には破断しないよう上記フロアパネルへのブラケットの各スポット溶接による接合強度を向上させるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0024】
即ち、車両のパワーユニット支持部構造は、車体幅方向におけるフロアパネルの中途部に上方に向かって膨出するよう形成され、その内部にパワーユニットの一部分を収容するトンネルと、このトンネルの下側で車体幅方向に延び、その長手方向の端部上面が上記トンネルの外側方近傍における上記フロアパネルの下面に複数のスポット溶接により接合されるブラケットと、このブラケットの長手方向の中途部に取り付けられ、上記パワーユニットの一部を支持するユニットマウントとを備える。このユニットマウントにおける上記パワーユニットの支持中心を含む上記ブラケットの車体側面断面視で、上記支持中心が上記ブラケットの剪断中心から車体前後方向でのいずれか一方向に偏位している。
【0025】
上記複数のスポット溶接部のうち、上記支持中心が偏位した上記一方向側に位置する各スポット溶接部を、上記一方向に向かうに従い車体外側方に向かうよう列状に配置している。
【実施例】
【0026】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0027】
図において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。また、下記する左右とは、車両1の車体2の前方に向かっての車体2幅方向をいうものとする。
【0028】
上記車両1の車体2は、この車体2下部の骨格を構成し、車体2前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ3,3と、これらサイドメンバ3,3の上面に架設かつ支持されて、上記車体2内部の車室4の下面を形成する板金製フロアパネル5とを備えている。
【0029】
車体2幅方向における上記フロアパネル5の中途部に上方に向かって膨出するようトンネル8が形成されている。このトンネル8は、車体2幅方向における車体中心線9上に形成され、この車体中心線9に沿って車体2前後方向に延び、上記フロアパネル5において、強度と剛性とが大きい部分とされている。上記トンネル8の内部には、エンジンにより主構成される走行駆動用パワーユニット10の一部である後部と、このパワーユニット10の一部から後車輪側に向かって延びるドライブシャフト11とが収容される。
【0030】
上記トンネル8の下側で、このトンネル8を跨ぐよう車体2幅方向に延び、その長手方向の各端部の上面が上記トンネル8を含む上記フロアパネル5の下面に接合される板金製ブラケット14と、このブラケット14の長手方向の中途部の上面に締結具15により取り付けられ、上記パワーユニット10の一部を支持するユニットマウント16とが設けられている。
【0031】
上記ブラケット14は、上記トンネル8の下方で、このトンネル8を跨ぐよう車体2幅方向にほぼ水平に延び、その長手方向の中途部が車体2側面視(図5)で閉断面構造とされるブラケット本体19と、それぞれ上下方向に延び、その各下端部が上記ブラケット本体19の長手方向の各端部上面にそれぞれ締結具20により接合され、各上端部の上面が上記トンネル8の左右各外側方近傍におけるフロアパネル5の各下面にスポット溶接により接合される左右一対のブラケットメンバ21,22と、これら各ブラケットメンバ21,22をそれぞれ上記トンネル8の側部内面にスポット溶接により接合させる左右一対の他のブラケットメンバ23,24とを備えている。
【0032】
上記ブラケット本体19の長手方向での一端部(左端部)と他端部(右端部)とのうち、他端部は車体2外側方に向かって延出し、その延出部は締結具25により上記サイドメンバ3に結合されている。つまり、上記ブラケット本体19の他端部側は、上記フロアパネル5とサイドメンバ3とに対し強固に結合されている。
【0033】
前記ユニットマウント16は、上記ブラケット本体19の長手方向の中途部上面に前記締結具15により取り付けられ、車体2幅方向に延びる軸心27を有する円筒形状のマウント本体28と、上記軸心27上で上記マウント本体28を貫通する支軸29と、上記マウント本体28の内周面と支軸29との間に充填されるゴム製弾性体30と、上記パワーユニット10の一部に締結具31により結合され、上記支軸29の両端部に支持されるマウントメンバ32とを備えている。このユニットマウント16の弾性体30により、上記パワーユニット10の一部は上記ブラケット14に対し弾性的に支持されている。
【0034】
車体2幅方向で、上記ブラケット14はほぼ上記車体中心線9上に配置されている。一方、上記ユニットマウント16は、上記車体中心線9から一側方(左側方)に偏位して、上記ブラケット14に取り付けられている。このため、上記ユニットマウント16を介してのパワーユニット10からの荷重Fは、上記ブラケット14の左右ブラケットメンバ21,22のうち、一側方側(左側方側)のブラケットメンバ21によって、より大きく支持される。そして、この一側方側(左側方側)のブラケットメンバ21におけるほぼ水平な上面は、上記フロアパネル5におけるほぼ水平な下面に対し、複数(6つ)のスポット溶接S1〜S6により接合されている。
【0035】
上記ユニットマウント16におけるパワーユニット10の支持中心35は、上記軸心27上に、かつ、上記マウント本体28の軸方向の中央に位置している。また、上記支持中心35を含む上記ブラケット14の車体2側面断面視(図5)で、このブラケット14の剪断中心36に対し、上記支持中心35は、車体2前後方向での一方向(後方)に偏位している。
【0036】
図1において、前記複数のスポット溶接S1〜S6部のうち、上記支持中心35が偏位した上記一方向(後方)側に位置する各スポット溶接S4〜S6部は、上記一方向(後方)に向かうに従い車体2外側方に向かうよう列状(図1中、二点鎖線)に配置されている。また、上記スポット溶接S1〜S6のうち、上記一方向(後方)側に位置する各スポット溶接S3〜S6部は、直線的かつほぼ等ピッチとなるよう列状に配置されている。
【0037】
上記構成によれば、ユニットマウント16の支持中心35はブラケット14の剪断中心36から一方向(後方)に偏位しているため、上記パワーユニット10からの荷重Fが上記ユニットマウント16の支持中心35位置で上記ブラケット14に与えられると、このブラケット14には大きい捩りモーメントが与えられることとなる。
【0038】
そして、上記捩りモーメントによれば、上記複数のスポット溶接S1〜S6部のうち、上記剪断中心36から上記支持中心35が偏位した一方向(後方)に向かってより大きく離間した端部のスポット溶接S6部に、最大の引張応力(応力集中)が生じがちとなる。このため、車両1の走行時に、パワーユニット10からユニットマウント16を介しブラケット14に対し、繰り返し荷重Fが与えられるとき、上記端部のスポット溶接S6部から破断し始め、これに続いて上記各スポット溶接S1〜S6部が全体的に破断するおそれを生じる。
【0039】
しかし、前記したように、要するに、複数の各スポット溶接S1〜S6部のうち、上記支持中心35が偏位した上記一方向(後方)側に位置する各スポット溶接S3〜S6部を、上記一方向(後方)に向かうに従い車体2外側方に向かうよう列状に配置している。
【0040】
このため、車体2平面視(図1)で、上記一方向(後方)側に位置する各スポット溶接S3〜S6部と上記支持中心35との間の各距離を、上記一方向(後方)に向かうに従い漸増させることができ、もしくは、互いにほぼ同じにさせることができる。
【0041】
よって、上記支持中心35位置に与えられる荷重Fにより、上記一方向(後方)側に位置する各スポット溶接S3〜S6部にそれぞれ曲げモーメントおよび/もしくは剪断力が与えられるとき、これに基づき上記各スポット溶接S3〜S6部にそれぞれ生じる引張応力および/もしくは剪断応力を、上記一方向(後方)に向かうに従い漸減させることができ、もしくは、互いにほぼ同じにさせることができる。
【0042】
この結果、前記捩りモーメントと、上記曲げモーメントおよび/もしくは剪断力とにより、上記一方向(後方)側に位置した各スポット溶接S3〜S6部のうちの前記端部のスポット溶接S6部に生じる合応力を他のスポット溶接S3〜S5部に比べて小さくでき、もしくは、上記各スポット溶接S3〜S6部に生じる各合応力を互いにより均等にできる。このため、車両1の走行時に、パワーユニット10からユニットマウント16を介しブラケット14に対し、繰り返し荷重Fが与えられるとき、上記端部のスポット溶接S6部から破断し始め、これに続いて上記各スポット溶接S1〜S6部が全体的に破断する、ということは防止される。つまり、上記フロアパネル5へのブラケット14の各スポット溶接S1〜S6による接合強度を向上させることができる。
【0043】
また、上記したフロアパネル5へのブラケット14の接合強度の向上は、上記一方向(後方)側に位置する各スポット溶接S3〜S6部の配置を工夫したことによるものであって、ブラケット14の板厚の増加や別途補強材の設定を必須にするものではない。よって、上記した接合強度の向上は、車体2の質量の増加を避け、かつ、簡単な構成により達成される。
【0044】
なお、上記各スポット溶接S1〜S6部のうち、上記一方向(後方)とは反対(前方)側の複数(2つ)のスポット溶接S1,S2部は、前記捩りモーメントにより発生する応力は小さい部分である。そこで、これらスポット溶接S1,S2部は、上記フロアパネル5へのブラケットメンバ21のバランスのよい接合強度を得るため、車体2幅方向に離れて配置されるなど、任意の所望位置に配置される。
【0045】
また、以上は図示の例によるが、上記した各スポット溶接S3〜S6部の配置構成は、ユニットマウント16の支持中心35がブラケット14の剪断中心36から前方に偏位するものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 車両
2 車体
5 フロアパネル
8 トンネル
9 車体中心線
10 パワーユニット
14 ブラケット
16 ユニットマウント
19 ブラケット本体
21 ブラケットメンバ
27 軸心
28 マウント本体
29 支軸
30 弾性体
31 締結具
32 マウントメンバ
35 支持中心
36 剪断中心
F 荷重
S スポット溶接

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体幅方向におけるフロアパネルの中途部に上方に向かって膨出するよう形成され、その内部にパワーユニットの一部分を収容するトンネルと、このトンネルの下側で車体幅方向に延び、その長手方向の端部上面が上記トンネルの外側方近傍における上記フロアパネルの下面に複数のスポット溶接により接合されるブラケットと、このブラケットの長手方向の中途部に取り付けられ、上記パワーユニットの一部を支持するユニットマウントとを備え、このユニットマウントにおける上記パワーユニットの支持中心を含む上記ブラケットの車体側面断面視で、上記支持中心が上記ブラケットの剪断中心から車体前後方向でのいずれか一方向に偏位した車両のパワーユニット支持部構造において、
上記複数のスポット溶接のうち、上記支持中心が偏位した上記一方向側に位置する各スポット溶接部を、上記一方向に向かうに従い車体外側方に向かうよう列状に配置したことを特徴とする車両のパワーユニット支持部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−126315(P2011−126315A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283881(P2009−283881)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】