説明

車両の変速装置

【課題】シフトスピンドルおよびシフトドラム間に設けられるシフト駆動力伝達機構に、ロストモーション手段が介設され、歯車列の1つが確立した状態およびニュートラル状態ではシフトドラムの回動位置がシフトストッパ機構で弾発的に保持される車両の変速装置において、変速操作フィーリングを良好にしつつ、変速操作を所定のタイミングで確実に行うことができるようにする。
【解決手段】ロストモーション手段62で一時的に蓄えられるシフト駆動力の作用による複数の歯車列の確立状態の切換作動を許容する状態ならびにその切換作動を阻止する状態が、シフトストッパ機構114とは別のシフト規制機構120で切換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的に確立可能な複数変速段の歯車列が変速入力軸および変速出力軸間に設けられて成る歯車変速機構と、回動位置に応じて複数の前記歯車列の1つを選択的に確立させるようにしてエンジンケースに回動可能に支承されるシフトドラムと、シフト操作に応じて回動するようにして前記エンジンケースに回動可能に取付けられるシフトスピンドルと、該シフトスピンドルの回動に応じて前記シフトドラムを回動駆動することを可能として前記シフトスピンドルおよび前記シフトドラム間に設けられるシフト駆動力伝達機構と、前記シフトスピンドルから伝達されるシフト駆動力を一時的に蓄えるようにして前記シフト駆動力伝達機構に介設されるロストモーション手段と、複数の前記歯車列がその1つを確立した状態およびニュートラル状態にあるときの前記シフトドラムの回動位置を弾発的に保持するシフトストッパ機構とを備える車両の変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シフトスピンドルおよびシフトドラム間に設けられるシフト駆動力伝達機構に、ロストモーション手段が介設される車両の変速装置が、特許文献1等で知られており、歯車変速機構での歯車列の確立切換え時に、ドグ当たりが生じたときにはロストモーション手段でのロストモーション作用によって良好な操作フィーリングを得るようにしている。
【特許文献1】実開平01−116240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1で開示されたもののようにシフト駆動力伝達機構にロストモーション手段が介設される構造を、動力源出力軸および変速入力軸間に介設されるクラッチの断・接を電動モータ等のアクチュエータで自動的に切換える変速装置に適用した場合、クラッチの動力伝達遮断動作を適切なタイミングで開始する必要がある。すなわちロストモーション手段にばらつきがあるので、たとえばクラッチの動力伝達遮断動作をシフト操作に合わせて行うようにすると、前記ロストモーション手段に充分な力が蓄えられていない場合には、クラッチが動力伝達遮断動作を開始してもシフトドラムを回動させる力がロストモーション手段に蓄えられるまでシフトドラムが回動しないので、シフト操作に合致した変速が行われない可能性がある。またロストモーション手段に充分な力が蓄えられている場合には、クラッチの動力伝達遮断動作開始前にシフトドラムが回動してしまい、シフト操作に合致した変速が行われない可能性がある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、変速操作フィーリングを良好にしつつ、変速操作を所定のタイミングで確実に行うことができるようにした車両の変速装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、選択的に確立可能な複数変速段の歯車列が変速入力軸および変速出力軸間に設けられて成る歯車変速機構と、回動位置に応じて複数の前記歯車列の1つを選択的に確立させるようにしてエンジンケースに回動可能に支承されるシフトドラムと、シフト操作に応じて回動するようにして前記エンジンケースに回動可能に取付けられるシフトスピンドルと、該シフトスピンドルの回動に応じて前記シフトドラムを回動駆動することを可能として前記シフトスピンドルおよび前記シフトドラム間に設けられるシフト駆動力伝達機構と、前記シフトスピンドルから伝達されるシフト駆動力を一時的に蓄えるようにして前記シフト駆動力伝達機構に介設されるロストモーション手段と、複数の前記歯車列がその1つを確立した状態およびニュートラル状態にあるときに前記シフトドラムの回動位置を弾発的に保持するシフトストッパ機構とを備える車両の変速装置において、前記ロストモーション手段で一時的に蓄えられるシフト駆動力の作用による複数の前記歯車列の確立状態の切換作動を許容する状態ならびにその切換作動を阻止する状態を切換可能としたシフト規制機構を、前記シフトストッパ機構とは別に含むことを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記シフト規制機構が、前記シフト駆動力伝達機構によるシフト駆動力伝達経路上で前記ロストモーション手段よりも前記シフトドラム側に配置されて前記シフト駆動力伝達機構の一部を構成する回動部材への係合および係合解除を切換え得るように構成されることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記回動部材であるシフトドラムセンターが、前記シフトドラムを収容するエンジンケースの外側で前記シフトドラムに同軸に固定され、前記シフトドラムセンターへの係合および係合解除を切換える前記シフト規制機構が前記エンジンケースの外側に配設されることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明の構成に加えて、前記シフト規制機構が、前記回動部材への係合および係合解除を切換える動力を発揮するとともにアクチュエータ制御手段で作動が制御される回動規制用アクチュエータを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成に加えて、動力源出力軸および前記変速入力軸間の動力伝達の断・接を切換えるクラッチと、該クラッチを断・接作動せしめるクラッチアクチュエータと、前記ロストモーション手段によるシフト駆動力の一時的な蓄え量を検出する蓄力量検出手段と、該蓄力量検出手段の検出値が所定値を超えたか否かを判断するとともにその判断結果を前記アクチュエータ制御手段に入力する判断手段とを含み、前記アクチュエータ制御手段は、前記検出値が前記所定値を超えたと前記判断手段が判断するのに応じて前記シフトドラムの回動を許容する側に前記シフト規制機構を作動せしめるべく前記回動規制用アクチュエータを制御することを特徴とする。
【0010】
さらに請求項6記載の発明は、請求項2〜5のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記シフトドラムセンターの外周に係合凹部が設けられ、前記シフト規制機構が、前記係合凹部に係合し得る係合部材と、該係合部材を前記係合凹部に係合する側に弾発付勢する弾性部材とを備えることを特徴とする。
【0011】
なお第1実施例のメインシャフト12が本発明の変速入力軸に対応し、第1実施例のカウンタシャフト13が本発明の変速出力軸に対応し、第1〜第3実施例のロストモーションばね62が本発明のロストモーション手段に対応し、第1〜第3実施例のシフトドラムセンター72が本発明の回動部材に対応し、第1および第2実施例のねじりばね123が本発明の弾性部材に対応し、第3実施例では位置決めノッチ115が本発明の係合凹部に対応し、ストッパアーム116が本発明の係合部材に対応し、コイルばね142が本発明の弾性部材に対応する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、シフトストッパ機構とは別であるシフト規制機構によって、ロストモーション手段で一時的に蓄えられるシフト駆動力の作用による複数の歯車列の確立状態の切換作動を許容する状態ならびにその切換作動を阻止する状態を切換えるので、ロストモーション手段が充分な力を蓄えるまで、シフト規制機構でシフト作動を阻止し、必要に応じてシフト作動を許容することができるので、ロストモーション手段の働きによって変速操作フィーリングを良好にしつつ、ロストモーション手段によるロスト量のばらつきにもかかわらず変速操作を所定のタイミングで確実に行うことができる。
【0013】
また請求項2記載の発明によれば、シフト規制機構が、シフト駆動力伝達機構によるシフト駆動力伝達経路上でロストモーション手段よりもシフトドラム側に配置されてシフト駆動力伝達機構の一部を構成する回動部材への係合および係合解除を切換えることによって、シフトドラムの回動を阻止する状態ならびにシフトドラムの回動を許容する状態をシフトストッパ機構とは別に切換えるようにしているので、ロストモーション手段がシフトドラムを回動するのに充分な力を蓄えるまで、シフト規制機構でシフトドラムの回動を阻止し、必要に応じてシフト規制機構によるシフトドラムの回動阻止状態を解除することができるので、ロストモーション手段の働きによって変速操作フィーリングを良好にしつつ、ロストモーション手段によるロスト量のばらつきにもかかわらず変速操作を所定のタイミングで確実に行うことができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、回動部材であるシフトドラムセンターがシフトドラムに同軸に固定され、シフトドラムセンターへの係合および係合解除を切換えるシフト規制機構がエンジンケースの外側に配設されるので、シフト規制機構のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、シフト規制機構が備える回動規制用アクチュエータの作動を制御ユニットで制御するようにしているので、適切なタイミングでシフト規制機構によるシフトドラムの回動阻止ならびにその解除を切換えることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、動力源出力軸および変速入力軸間の動力伝達の断・接を切換えるクラッチをクラッチアクチュエータで断・接作動せしめる際に、蓄力量検出手段の検出値が所定値を超えたとき、シフトドラムの回動を許容する側にシフト規制機構を作動せしめるべく制御ユニットが回動規制用アクチュエータを制御するので、適切なタイミングでシフト規制機構によるシフトドラムの回動阻止ならびにその解除を切換えるようにして、クラッチの動力伝達遮断動作が開始されるのに合致した所定のタイミングで変速操作を確実に行うことができる。
【0017】
さらに請求項6記載の発明によれば、シフト回動規制機構が、シフトドラムセンターの外周に設けられた係合凹部に係合し得る係合部材と、係合部材を係合凹部に係合する側に弾発付勢する弾性部材とを備えるので、電動モータ等のアクチュエータによらずにシフトドラムの回動を機械的に阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図13は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は自動二輪車用変速装置の要部縦断面図、図2は図1の2矢視拡大図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2からシフトカバーおよびギヤカバーを取外した状態での斜視図、図5は図3の5−5線断面図、図6は図3の6−6線断面図、図7は図6の7−7線断面図、図8はシフト駆動力伝達機構の一部を伝動回動部材が切欠かれた状態で示す斜視図、図9は伝動回動部材およびロストモーションばねを取り外した状態での図8に対応した斜視図、図10は図3の10−10線断面図、図11は図3の11−11線断面図、図12は図3の12−12線断面図、図13はシフト規制機構の作動を制御するための制御系を示すブロック図である。
【0020】
先ず図1において、この変速装置は、たとえば自動二輪車用のものであり、相互に平行な軸線を有してエンジンケース11に回転自在に支承される変速入力軸としてのメインシャフト12ならびに変速出力軸としてのカウンタシャフト13との間に、選択的な確立を可能とした複数変速段たとえば6段の第1〜第6速用歯車列G1,G2,G3,G4,G5,G6が設けられて成る歯車変速機構10を備え、第1〜第6速用歯車列G1〜G6はエンジンケース11に収納される。
【0021】
動力源出力軸であるエンジンのクランクシャフト(図示せず)および前記メインシャフト12の一端部間には、動力伝達の断・接を切換えるクラッチ14が設けられており、このクラッチ14は、前記クランクシャフトから一次減速装置15およびトルクダンパ16を介して動力が伝達されるクラッチアウタ17と、該クラッチアウタ17内の中心部に配置されてメインシャフト12に相対回転不能に結合されるクラッチインナ18と、クラッチアウタ17の内周壁に軸方向摺動可能にスプライン嵌合される複数枚の駆動摩擦板19…と、それらの駆動摩擦板19…と交互に重ねられるとともにクラッチインナ18の外周に軸方向摺動可能にスプライン嵌合される複数枚の被動摩擦板20…と、最も内側の駆動摩擦板19を受けるようにしてクラッチインナ18の内端に一体に設けられる受圧板21と、最も外側の駆動摩擦板19を押圧可能としてクラッチインナ18の外端に摺動可能に取付けられる加圧板22と、該加圧板22を受圧板21側に向けて付勢するクラッチばね23とを備える。
【0022】
而して前記クラッチばね23の付勢力をもって駆動摩擦板19…および被動摩擦板20…が加圧板22および受圧板21間に挟持されると、クラッチ14はクラッチアウタ17およびクラッチインナ18間を相互に摩擦連結するクラッチオン状態(動力伝達状態)となる。
【0023】
またクラッチインナ18の中心部には、前記加圧板22との間にレリーズベアリング24を介在させたレリーズ部材25が配置されており、このレリーズ部材25に、メインシャフト12内に軸方向移動可能に挿入されるプッシュロッド26が連接される。このプッッシュロッド26には、押圧力を発揮し得るクラッチアクチュエータ30が連結されており、そのクラッチアクチュエータ30でプッシュロッド26が押されることにより、加圧板22はクラッチばね23のばね力に抗して後退せしめられ、それによって各駆動摩擦板19…および各被動摩擦板20…が自由状態となり、クラッチ14は、クラッチアウタ17およびクラッチインナ18間を非連結としたクラッチオフ状態(動力遮断状態)となる。
【0024】
前記クラッチ14とは反対側でカウンタシャフト13の一部はエンジンケース11から突出されており、このエンジンケース11からのカウンタシャフト13の突出端部に駆動スプロケット27が固定される。而して駆動スプロケット27は、該駆動スプロケット27に巻き掛けられる無端状のチェーン28とともに伝動手段29の一部を構成するものであり、カウンタシャフト13から出力される動力は前記伝動手段29を介して図示しない後輪に伝達される。
【0025】
ところで、第1速用歯車列G1は、メインシャフト12に一体に形成された第1速用駆動歯車31ならびにカウンタシャフト13に相対回転自在に装着されて第1速用駆動歯車31に噛合する第1速用被動歯車32から成り、第2速用歯車列G2は、メインシャフト12に相対回転不能に装着される第2速用駆動歯車33ならびにカウンタシャフト13との相対回転を可能としつつ第2速用駆動歯車33に噛合する第2速用被動歯車34から成り、第3速用歯車列G3は、メインシャフト12との相対回転を不能とした第3速用駆動歯車35ならびにカウンタシャフト13に相対回転を可能として装着されて第3速用駆動歯車35に噛合する第3速用被動歯車36から成り、第4速用歯車列G4は、メインシャフト12との相対回転を不能とした第4速用駆動歯車37ならびにカウンタシャフト13に相対回転を可能として装着されて第4速用駆動歯車37に噛合する第4速用被動歯車38から成り、第5速用歯車列G5は、メインシャフト12に相対回転を可能として装着される第5速用駆動歯車39ならびにカウンタシャフト13との相対回転を不能としつつ第5速用駆動歯車39に噛合する第5速用被動歯車40から成り、第6速用歯車列G6は、メインシャフト12に相対回転を可能として装着される第6速用駆動歯車41ならびにカウンタシャフト13との相対回転を不能としつつ第6速用駆動歯車41に噛合する第6速用被動歯車42から成る。
【0026】
第5速用駆動歯車39および第6速用駆動歯車41間でメインシャフト12には、第5・第6速切換用シフタ44が軸方向の摺動を可能を可能としてスプライン嵌合され、第3速用駆動歯車35は第6速用駆動歯車41に対向するようにして第5・第6速切換用シフタ44に一体に形成され、第4速用駆動歯車37は第5速用駆動歯車39に対向するようにして第5・第6速切換用シフタ44に一体に形成される。また第1速用被動歯車32および第4速用被動歯車38間でカウンタシャフト13には、第5速用被動歯車40が一体に形成される第1・第4速切換用シフタ45が軸方向の摺動を可能としてスプライン嵌合され、第2速用被動歯車34および第3速用被動歯車36間でカウンタシャフト13には、第6速用被動歯車42が一体に形成される第2・第3速切換用シフタ46が軸方向の摺動を可能としてスプライン嵌合される。
【0027】
第5・第6速切換用シフタ44を軸方向に摺動せしめて第5速用駆動歯車39に係合させたときには、第5速用駆動歯車39が第5・第6速切換用シフタ44を介してメインシャフト12に相対回転不能に連結され、第5速用歯車列G5が確立する。また第5・第6速切換用シフタ44を軸方向に摺動せしめて第6速用駆動歯車41に係合させたときには、第6速用駆動歯車41が第5・第6速切換用シフタ44を介してメインシャフト12に相対回転不能に連結され、第6速用歯車列G6が確立する。
【0028】
第1・第4速切換用シフタ45を軸方向に摺動せしめて第1速用被動歯車32に係合させたときには、第1速用被動歯車32が第1・第4速切換用シフタ45を介してカウンタシャフト13に相対回転不能に連結され、第1速用歯車列G1が確立する。また第1・第4速切換用シフタ45を軸方向に摺動せしめて第4速用被動歯車38に係合させたときには、第4速用被動歯車38が第1・第4速切換用シフタ45を介してカウンタシャフト13に相対回転不能に連結され、第4速用歯車列G4が確立する。
【0029】
第2・第3速切換用シフタ46を軸方向に摺動せしめて第2速用被動歯車34に係合させたときには、第2速用被動歯車34が第2・第3速切換用シフタ46を介してカウンタシャフト13に相対回転不能に連結され、第2速用歯車列G2が確立する。また第2・第3速切換用シフタ46を軸方向に摺動せしめて第3速用被動歯車36に係合させたときには、第3速用被動歯車36が第2・第3速切換用シフタ46を介してカウンタシャフト13に相対回転不能に連結され、第3速用歯車列G3が確立する。
【0030】
第5・第6速切換用シフタ44は第1シフトフォーク47に回転可能に保持され、第1・第4速切換用シフタ45は第2シフトフォーク48に回転可能に保持され、第2・第3速切換用シフタ46は第3シフトフォーク49に回転可能に保持されており、第1シフトフォーク47は、メインシャフト12およびカウンタシャフト13と平行な軸線を有して前記エンジンケース11に支持された第1シフトフォーク軸50に軸方向のスライド可能に支承され、第2および第3シフトフォーク48,49は、第1シフトフォーク軸50と平行な軸線を有してエンジンケース11に支持された第2シフトフォーク軸51に軸方向のスライド可能に支承される。
【0031】
前記エンジンケース11には、第1および第2シフトフォーク軸50,51と平行な軸線を有するシフトドラム52が収容されるとともに回動可能に支承されており、シフトドラム52の両端およびエンジンケース11には、ボールベアリング58,59が介装される。シフトドラム52の外面には、第1〜第3シフトフォーク47〜49がそれぞれ係合される3つのリード溝53,54,55が設けられる。而して前記リード溝53〜55は、シフトドラム52の回動位置に応じて第1および第2シフトフォーク軸50,51上での第1〜第3シフトフォーク47〜49の位置を定めるように形成されており、このシフトドラム52が回動することにより、その回動位置に応じて第1〜第6速用歯車列G1〜G6が選択的に確立されることになる。
【0032】
前記エンジンケース11には、シフト操作に応じて回動するようにしてシフト駆動軸であるシフトスピンドル60が回動可能に取付けられ、該シフトスピンドル60の回動に応じてシフトドラム52を回動駆動することを可能としたシフト駆動力伝達機構61が、シフトスピンドル60およびシフトドラム52間に設けられ、シフト駆動力伝達機構61には、前記シフトスピンドル60から伝達されるシフト駆動力を一時的に蓄えるロストモーション手段であるロストモーションばね62が介設される。
【0033】
前記シフトスピンドル60は、前記シフトドラム52と平行な軸線を有してエンジンケース11に回動可能に取付けられており、該シフトスピンドル60の一端部には、チェンジペダル(図示せず)に連動、連結されるシフトレバー63が固定される。
【0034】
図2および図3を併せて参照して、前記シフトドラム52の一端側で前記エンジンケース11には、前記シフトスピンドル60および前記シフト駆動力伝達機構61の一部を無端状に囲む壁部11aが一体に設けられており、壁部11aに対応して無端状に連なる壁部材64Aを前記壁部11aとの間に介在させるシフトカバー65が、複数のボルト66…で前記壁部材64Aとともに前記壁部11aに締結されており、前記シフトスピンドル60の一部および前記シフト駆動力伝達機構61を収容する作動室67が、前記エンジンケース11と、前記壁部材64Aおよびシフトカバー65との間に形成される。また前記シフトスピンドル60は、その一端をシフトカバー65から突出させてエンジンケース11およびシフトカバー65で回動自在に支承され、シフトカバー65およびシフトスピンドル60間には、ニードルベアリング91と、該ニードルベアリング91の外方に配置されるダストシール92とが介装される。また前記シフトカバー65には、該シフトカバー65との間にギヤ室69を形成するようにしてシフトカバー65の一部を覆うギヤカバー68がボルト70,106Bで締結される。
【0035】
図4〜図7を併せて参照して、前記シフト駆動力伝達機構61は、基端部が前記シフトスピンドル60に固定されるマスターアーム71Aと、エンジンケース11の外側で前記シフトドラム52の一端部に同軸に固定されるシフトドラムセンター72と、該シフトドラムセンター72と同軸の軸線まわりに回動することを可能としてシフトドラムセンター72内に一部が配置される第2の伝動回動部材としてのドラムシフタ73と、前記シフトドラムセンター72および前記ドラムシフタ73間に設けられるポールラチェット機構74と、前記マスターアーム71Aから回動力が伝達されるようにして前記シフトドラムセンター72に外方から同軸に対向配置されるとともに前記ドラムシフタ73の少なくとも一部を収容する伝動回動部材75とを備え、ロストモーションばね62が伝動回動部材75およびドラムシフタ73間に設けられる。
【0036】
前記シフトドラムセンター72は、シフトドラム52側を閉じた有底の段付き円筒状に形成されるものであり、前記シフトドラム52の一端に同軸のシフトドラムボルト76で固定される。
【0037】
図8および図9を併せて参照して、前記壁部材64Aには、シフトドラムセンター72をエンジンケース11との間に挟むガイドプレート77が、たとえば一対のボルト78,78で固定されており、前記ドラムシフタ73に対応した略円形の開口部79がガイドプレート77に設けられる。またドラムシフタ73は、前記シフトドラムボルト76に同軸に設けられた軸部76aで回動自在に支承され、シフトドラムセンター72に対して同軸の軸線まわりに相対回動可能であり、ドラムシフタ73の外周の一部が前記開口部79の周縁部で覆われることにより、ドラムシフタ73の前記シフトドラムセンター72からの離脱が阻止される。
【0038】
図10において、前記シフトドラムセンター72および前記ドラムシフタ73間に設けられるポールラチェット機構74は、シフトドラムセンター72の半径方向に起倒するようにしてドラムシフタ73に対称的に装着されるとともに起立側にばね付勢される一対のポール81…と、それらのポール81…のうちドラムシフタ73の回動方向に応じて定まる一方のポール81を係合させることを可能としてシフトドラムセンター72の内周に設けられる複数の係合凹部82…とで構成され、ドラムシフタ73がシフトドラムセンター72に対して相対回動することにより、前記両ポール81…のいずれかが前記係合凹部82…の1つに選択的に係合することによって、シフトドラムセンター72およびシフトドラム52が回動駆動される。
【0039】
また前記ガイドプレート77には、前記開口部79から内方に突出する規制突部83が一体に突設されており、前記ポールラチェット機構74における両ポール81…の一方が、前記規制突部83に当接することにより、ドラムシフタ73およびシフトドラム52が1回の回動動作時に必要以上の回動量で回動することは避けられる。
【0040】
前記伝動回動部材75は、前記マスターアーム71Aおよび前記ガイドプレート77間に挟まれるように配置されており、前記シフトドラムセンター72の外径に略対応した外径を有してドラムシフタ73の一部を収容する外側円筒部75aと、シフトドラムボルト76の軸部76aを貫通せしめるとともに内端部を前記ドラムシフタ73に摺接させる内側円筒部75bと、外側円筒部75aおよび内側円筒部75bの外端部を連結する円板状の端壁部75cとを一体に有して、前記シフトドラムセンター72側に開放した有底の二重円筒状に形成され、前記軸部76aで回動可能に支承される。
【0041】
前記伝動回動部材75の端壁部75cには、その回動軸線すなわち前記軸部76aの軸線からオフセットした位置で前記ガイドプレート77とは反対側に突出するピン84が突設される。一方、前記マスターアーム71Aには、前記シフトスピンドル60の半径方向に長く延びる長孔状のガイド孔85が設けられ、該ガイド孔85の両側縁に転がり接触するローラ86が前記ピン84に回転自在に装着される。而してシフトスピンドル60とともにマスターアーム71Aが回動することによって前記ピン84すなわち伝動回動部材75には、前記軸部76aの軸線まわりに回動する力がマスターアーム71Aから伝達されることになる。
【0042】
図6および図8に注目して、前記伝動回動部材75および前記ドラムシフタ73間に設けられるロストモーションばね62は、前記伝動回動部材75の外側円筒部75aを囲繞するコイル部62aの両端にロストモーションばね62の内側に延びる係合部62b,62cが設けられて成る。また前記外側円筒部75aには、前記両係合部62b,62cを挿通せしめる一対の挿通孔87,88が周方向に延びて設けられ、前記ドラムシフタ73には、前記両係合部62b,62cの一方62bを該ドラムシフタ73の周方向一方から係合させ得る係止部89と、前記両係合部62b,62cの他方62cをドラムシフタ73の周方向他方から係合させ得る係止部90とが設けられる。
【0043】
このようなロストモーションばね62によれば、伝動回動部材75がいずれの方向に回動したとしてもその回動力は前記ロストモーションばね62を介してドラムシフタ73に伝達されるのであるが、シフトドラム52およびシフトドラムセンター73がその回動を拘束された状態にあるときには、ドラムシフタ73の回動も拘束された状態にあるので、伝動回動部材75はドラムシフタ73を置き去りにして回動することになり、ロストモーションばね62は、シフトスピンドル60から伝達されるシフト駆動力を一時的に蓄えることになる。
【0044】
図11を併せて参照して、前記シフトスピンドル60の近傍で前記マスターアーム71Aには、シフトスピンドル60の軸線を中心とする円弧に沿う規制孔93が設けられており、エンジンケース11に植設されたストッパピン94が該規制孔93に挿通される。したがってシフトスピンドル60の軸線まわりの前記マスターアーム71Aの回動範囲は、シフトスピンドル60の周方向に沿う規制孔93の両端に前記ストッパピン94が当接することによって規制される。
【0045】
またマスターアーム71Aは戻しばね95によって元の中立位置に戻るように付勢されるものであり、戻しばね95は、シフトスピンドル60を囲繞するコイル部95aの両端に、前記ストッパピン94を両側から挟む挟み部95b,95cが一体に連設されて成るものであり、マスターアーム71Aには、前記ストッパピン94の外方で前記両挟み部95b,95c間に配置される係合部71aが一体に設けられる。
【0046】
而してマスターアーム71Aがシフトスピンドル60の軸線まわりに回動すると、マスターアーム71Aの係合部71aは、両挟み部95b,95cの一方に当接、係合し、両挟み部95b,95cの他方を前記ストッパピン94に当接させることで置き去りにして一方の挟み部をストッパピン94から離れるように撓ませつつ回動することになり、マスターアーム71Aに作用していた荷重が解放されると、両挟み部95b,95cのうち撓んでいた挟み部のばね力でマスターアーム71Aが、前記係合部71aを前記ストッパピン94の外方に位置させた中立位置に戻ることになる。
【0047】
前記シフトドラムボルト76における軸部76aには、棒状の被検出部材96が同軸にかつ相対回動不能に連結される。すなわち前記軸部76aの外端には非円形の嵌合凹部97が同軸に設けられ、前記被検出部材96の一端部は前記嵌合凹部97に相対回動不能に嵌合される。
【0048】
この被検出部材96は、前記マスターアーム71Aに設けられた透孔98を貫通するとともに、シフトカバー65に設けられた透孔99を回動可能に貫通するものであり、シフトカバー65およびギヤカバー68で回動可能に支承される。而して前記マスターアーム71Aの前記透孔98は、マスターアーム71Aが回動する際に前記非検出部材96がマスターアーム71Aと干渉することがないように、シフトスピンドル60の周方向に長く形成されるものであり、前記ガイド孔85および前記透孔98は、略T字状をなすようにして相互に連なる。
【0049】
前記ギヤカバー68の外面には、前記被検出部材96の回動量すなわちシフトドラムセンター72およびシフトドラム52の回動量を検出することでシフトドラム52のシフト回動位置を得るシフトポジションセンサ100のセンサケース105が、その一部をギヤ室69に臨ませるようにして一対のボルト106A,106Bでギヤカバー68に締結され、一方のボルト106Bは、センサケース105およびギヤカバー68に挿通され、シフトカバー65に螺合される。
【0050】
前記被検出部材96および前記シフトポジションセンサ100間には、被検出部材96の回動作動量を減速して前記シフトポジションセンサ100側に伝達する減速機構101が介設され、この減速機構101は前記ギヤ室69に収容される。
【0051】
図7および図11に注目して、前記減速機構101は、前記被検出部材96に固設される駆動ギヤ102と、該駆動ギヤ102に噛合するセクタギヤ103とを備える。このセクタギヤ103には、図11で示すように、その回動軸線からオフセットして設けられる一対の係合ピン104,104が設けられており、前記シフトポジションセンサ100は、前記両係合ピン104,104で挟まれる検出部(図示せず)を有するものである。
【0052】
また前記シフトカバー65には、前記シフトスピンドル60の回動量を検出するスピンドル角度センサ107が取付けられるものであり、このスピンドル角度センサ107のケース108は複数のねじ部材109…でシフトカバー65に締結される。
【0053】
而して前記マスターアーム71Aの前記シフトスピンドル60からオフセットした位置にはピン110が植設されており、このピン110に先端部を係合させたレバー111の基端部が前記スピンドル角度センサ107が備える検出軸112に固定される。而してシフトスピンドル60およびマスターアーム71Aが回動すると、その回動量に応じて前記検出軸112が回動し、シフトスピンドル60およびマスターアーム71Aの回動量がスピンドル角度センサ107で検出されることになる。
【0054】
図12において、歯車変速機構10における第1〜第6速用歯車列G1,G2,G3,G4,G5,G6の1つが確立された状態ならびにそれらの歯車列G1〜G6のいずれもが非確立であるニュートラル状態において、前記シフトドラム52およびシフトドラムセンター72の回動位置は、シフトストッパ機構114で弾発的に保持される。
【0055】
このシフトストッパ機構114は、シフトドラム52で設定されている複数の設定回動位置に対応した位置でシフトドラムセンター72の外周に設けられて円弧状に凹んだ複数の位置決めノッチ115…と、前記ストッパピン94に基端部が回動可能に支承されるとともに先端部には前記位置決めノッチ115…の1つに係合することを可能としたローラ117が軸支されるストッパアーム116と、前記ローラ117をシフトドラムセンター72の外周に摺接するように前記ストッパアーム116を付勢するばね力を発揮するようにしてエンジンケース11およびストッパアーム116間に設けられるねじりばね118とで構成される。
【0056】
ところで前記ロストモーションばね62で一時的に蓄えられるシフト駆動力の作用による第1〜第6速歯車列G1〜G6の確立状態の切換作動を許容する状態ならびにその切換作動を阻止する状態が、前記シフトストッパ機構114とは別のシフト規制機構120で切換えられるものであり、この実施例では、シフトドラム52およびシフトドラムセンター72の回動が、シフト規制機構120によっても阻止される。
【0057】
このシフト規制機構120は、シフト駆動力伝達機構61によるシフト駆動力伝達経路上で前記ロストモーションばね62よりもシフトドラム52側に配置されてシフト駆動力伝達機構61の一部を構成する回動部材であるシフトドラムセンター72への係合および係合解除を切換え得るように構成され、エンジンケース11の外側に配設される。
【0058】
前記シフト規制機構120は、前記位置決めノッチ115…とは軸方向にずれた位置で前記シフトドラムセンター72の外周に設けられる複数の係合凹部121…と、それらの係合凹部121…の1つに係合可能な係合部122aを有して支軸124で回動可能に支承される係合部材としての係合アーム122と、前記係合部122aを前記係合凹部121…の1つに係合する側とは逆方向に前記係合アーム122を弾発付勢する弾性部材であるねじりばね123と、該ねじりばね123のばね力に抗して前記係合部122aを前記係合凹部121…の1つに係合する駆動力を発揮する回動規制用アクチュエータ126とを備え、前記支軸124は、前記シフトドラムセンター72の軸線と平行な軸線を有して前記シフトカバー65および壁部材64Aで支持されており、前記支軸124を囲繞する前記ねじりばね123がシフトカバー65および係合アーム122間に設けられる。
【0059】
前記係合アーム122の中間部には、前記シフトドラムセンター72から遠ざかる側に延びる連結腕部122bが一体に連設されており、前記回動規制用アクチュエータ126が前記連結腕部122bに連結される。
【0060】
回動規制用アクチュエータ126は、前記シフトドラムセンター72および前記支軸124の軸線に直交する平面内に軸線を配置したロッド127を有するとともにそのロッド127を通電時に軸方向に押し出すようにしたソレノイドであり、壁部材64Aにボルト125,125によって締結される。
【0061】
前記壁部材64Aには、前記作動室67に隣接した収容室128が形成されており、前記ロッド127は収容室128内で前記連結腕部122bに連結される。また収容室128を閉じる蓋部材129が複数個たとえば3個のねじ部材130…で前記壁部材64Aに締結される。
【0062】
而して回動規制用アクチュエータ126の通電状態では係合アーム122の係合部122aは回動規制用アクチュエータ126の押し出し力によってシフトドラムセンター72の係合凹部121…の1つに係合しており、この状態で、シフトドラムセンター72およびシフトドラム52の回動は阻止される。一方、回動規制用アクチュエータ126の非通電状態では、係合アーム122はねじりばね123のばね力によって係合部122aを係合凹部121から離脱させるように回動し、この状態で、シフトドラムセンター72およびシフトドラム52の回動が許容されることになる。
【0063】
図13において、前記回動規制用アクチュエータ126の作動は、制御ユニットCで制御されるものであり、この制御ユニットCは、前記ロストモーションばねによるシフト駆動力の一時的な蓄え量を検出する蓄力量検出手段131と、該蓄力量検出手段131の検出値が所定値を超えたか否かを判断する判断手段132と、その判断手段132の判断結果に応じて回動規制用アクチュエータ126の作動を制御するアクチュエータ制御手段133とを含んでおり、該アクチュエータ制御手段133は、前記検出値が前記所定値を超えたと前記判断手段132が判断するのに応じてシフトドラム52の回動を許容する側に前記係合アーム122が回動するように回動規制用アクチュエータ126を非通電状態とする。
【0064】
前記蓄力量検出手段131には、シフトドラムセンター72およびシフトドラム52の回動量を検出するシフトポジションセンサ100の検出値と、シフトスピンドル60の回動量を検出するスピンドル角度センサ107の検出値とが入力される。すなわちシフトドラムセンター72の回動が規制された状態でシフトスピンドル60を回動操作すると、ロストモーションばね62が、伝動回動部材75をドラムシフタ73に対して相対回動させるようにしてシフト操作力を蓄えることになり、スピンドル角度センサ107の検出値からシフトポジションセンサ100の検出値を減算することで、伝動回動部材75のドラムシフタ73に対する相対回動量に対応した前記ロストモーションばね62による蓄力量が蓄力量検出手段131で検出されることになる。
【0065】
次にこの第1実施例の作用について説明すると、歯車変速機構10が備える第1〜第6速用歯車列G1〜G6の1つが確立した状態ならびにそれらの歯車列G1〜G6のいずれもが非確立であるニュートラル状態でのシフトドラム52の回動位置は、シフトストッパ機構114で弾発的に保持されるのであるが、そのシフトストッパ機構114とは別に、シフトドラム52の回動を阻止する状態ならびにシフトドラム52の回動を許容する状態はシフト規制機構120で切換えられるものであり、このシフト規制機構120が、シフト駆動力伝達機構61によるシフト駆動力伝達経路上でロストモーションばね62よりもシフトドラム52側に配置されてシフト駆動力伝達機構61の一部を構成するシフトドラムセンター72への係合および係合解除を切換え得るように構成されている。
【0066】
したがってロストモーションばね62がシフトドラム52を回動するのに充分な力を蓄えるまで、シフト規制機構120でシフトドラム52の回動を阻止し、必要に応じてシフト規制機構120によるシフトドラム52の回動阻止状態を解除することができるので、ロストモーションばね62の働きによって変速操作フィーリングを良好にしつつ、ロストモーションばね62によるロスト量のばらつきにもかかわらず変速操作を所定のタイミングで確実に行うことができる。
【0067】
またシフトドラムセンター72が、シフトドラム52を収容するエンジンケース11の外側でシフトドラム52に同軸に固定され、シフトドラムセンター72への係合および係合解除を切換えるシフト規制機構120がエンジンケース11の外側に配設されるのでシフト規制機構120のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0068】
またシフト規制機構120が備える回動規制用アクチュエータ126の作動がアクチュエータ制御手段133で制御されるので、適切なタイミングでシフト規制機構120によるシフトドラム52の回動阻止ならびにその解除を切換えることができる。
【0069】
しかもクラッチアクチュエータ30で動力伝達の断・接を切換えるように作動するクラッチ14が、動力源出力軸であるエンジンのクランクシャフトおよび歯車変速機構10のメインシャフト12の間に設けられており、ロストモーションばね62によるシフト駆動力の一時的な蓄え量が蓄力量検出手段131で検出され、該蓄力量検出手段131の検出値が所定値を超えたか否かが判断手段132で判断され、前記蓄力量検出手段131の検出値が前記所定値を超えたと判断手段132が判断するのに応じて、アクチュエータ制御手段133が、シフトドラム52の回動を許容する側に前記シフト規制機構120が作動するように回動規制用アクチュエータ126を制御するので、適切なタイミングでシフト規制機構120によるシフトドラムの回動阻止ならびにその解除を切換えるようにして、クラッチ14の動力伝達遮断動作が開始されるのに合致した所定のタイミングで変速操作を確実に行うことができる。
【0070】
またシフト駆動力伝達機構61は、該シフト駆動力伝達機構61による伝達経路上でシフト駆動軸60側に設けられる伝動回動部材75と、前記伝達経路上で前記伝動回動部材75よりもシフトドラム52側に設けられるとともに伝動回動部材75との間にロストモーションばね62が介装されるドラムシフタ73とを備え、シフト駆動力伝達機構61を収容する作動室67が、エンジンケース11と、シフトカバー65と、エンジンケース11およびシフトカバー65間に挟まれる壁部材64Aとで形成されるので、ロストモーションばね62を含むロストモーション機構が配設される分だけシフト駆動力伝達機構61がシフトドラム52の軸方向に大型化するのに併せてエンジンケース11およびシフトカバー65間に壁部材64Aを挟むことで、シフト駆動力伝達機構61を配置する空間を確保することが可能となり、ロストモーション機構が設けられていない変速装置には、壁部材64Aを除くことで対応することが可能となり、ロストモーションばね62を含むロストモーション機構を設けても専用のエンジンケース11や専用のシフトカバー65等のケース類を不要とすることができる。
【0071】
またエンジンケース11の外側で前記シフトドラム52の一端部に同軸に固定されるシフトドラムセンター72をエンジンケース11との間に挟むとともに、シフトドラムセンター72内に一部が配置されるドラムシフタ73の前記シフトドラムセンター72からの離脱を阻止するガイドプレート77が、シフトドラム52の回動し過ぎを規制する規制突部83を有して壁部材64Aに取付けられるので、ガイドプレート77を取付けるための加工をエンジンケース11側に施すことが不要となる。
【0072】
しかもガイドプレート77と、シフトスピンドル60に固定されるマスターアーム71Aとの間に伝動回動部材75が挟まれるので、シフトドラム52の軸方向でのシフト駆動力伝達機構61の幅を極力抑えて、壁部材64Aを薄くすることが可能となり、軽量化に寄与することができる。
【0073】
さらにシフト駆動力伝達機構61の一部を構成する伝動回動部材75が、シフトスピンドル60の回動に連動して回動するようにしてシフトドラム52と同軸に配置され、シフト駆動力伝達機構61の一部を構成してシフトドラム60と同軸に配置されるドラムシフタ73の少なくとも一部が伝動回動部材75内に収容され、伝動回転部材75を囲繞してコイル状に形成されるとともに伝動回動部材75から回動力が伝達されるロストモーションばね62の両端に該ロストモーションばね62の内側に延びる係合部62b,62cがそれぞれ設けられ、ドラムシフタ73に、両係合部62b,62cの一方62bをドラムシフタ73の周方向一方から係合させ得る係止部89と、両係合部62b,62cの他方62cをドラムシフタ73の周方向他方から係合させ得る係止部90とが設けられる。
【0074】
したがって、コイル状であるロストモーションばね62の半径方向外側に、ロストモーションばね62の両端をシフト駆動力伝達機構の一部を構成する伝動回動部材に係合させるためのスペースを確保する必要がなく、ロストモーションばね62を含むロストモーション機構を配置するためのスペースを小さくすることができるとともに、前記壁部材64Aをより薄くすることができ、変速装置をより小型化することができる。
【0075】
また伝動回動部材75は、ドラムシフタ73の少なくとも一部を覆ってシフトドラム52と同軸に配置される外側円筒部75aを有し、該外側円筒部75aに、ロストモーションばね62の前記両係合部62b,62cを挿通せしめる一対の挿通孔87,88が周方向に延びて設けられるので、伝動回動部材75からの回動力をロストモーションばね62に伝達する機構を、簡単かつコンパクトに構成することが可能となる。
【0076】
さらにシフトドラムセンター72の外周に複数の係合凹部121…が設けられ、シフト規制機構120が、係合凹部121…の1つに係合し得る係合アーム122と、該係合アーム122を係合凹部121との係合を解錠する側に付勢するねじりばね123と、ねじりばね123のばね力に抗して係合部122aを係合凹部121…の1つに係合する駆動力を発揮する回動規制用アクチュエータ126とを備えるものであるので、回動規制用アクチュエータ126の非通電状態では、シフトドラム52の回動が規制されることがなく、シフトドラム52を自由に回動させることが可能となる。
【0077】
図14は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例の図5に対応した断面図である。
【0078】
この第2実施例においては、第1実施例に対応する部分に同一の参照符号を付して図示するのみで詳細な説明は省略する。
【0079】
シフト規制機構136は、シフトドラムセンター72の外周に設けられる複数の係合凹部121…と、それらの係合凹部121…の1つに係合可能な係合部122aを有して支軸124で回動可能に支承される係合部材としての係合アーム122と、前記係合部122aを前記係合凹部121…の1つに係合する側に前記係合アーム122を弾発付勢する弾性部材であるねじりばね123と、マスターアーム71Bとで構成される。
【0080】
前記シフトスピンドル60に基端部が固定されるマスターアーム71Bの先端部には、前記係合アーム122における係合部122aの両側に位置する一対の当接傾斜面135,135が前記係合部122a側に臨んで設けられ、両当接傾斜面135…は、前記シフトスピンドル60から離反するにつれて前記係合部122aから離反するように傾斜して形成される。
【0081】
このようなマスターアーム71Bの形状によれば、シフトスピンドル60およびマスターアーム71Bが所定回動量だけ回動すると、前記両当接傾斜面135…の一方が、係合凹部121に係合している前記係合部122aに当接し、シフトスピンドル60およびマスターアーム71Bがさらに回動することによって係合部122aが係合凹部121から離脱するように係合アーム122が回動駆動されることになる。
【0082】
すなわちシフトスピンドル60およびマスターアーム71Bの所定回動量以上の回動によって、シフトドラム52(第1実施例参照)の回動を阻止するようにして係合凹部121…の1つに係合部122aを係合させている係合アーム122が、シフトドラム52の回動を許容するようにマスターアーム71Bによって自動的に作動せしめられることになり、第1実施例で必要であった回動規制用アクチュエータ126が不要となる。
【0083】
しかもシフト規制機構136の係合アーム122はねじりばね123によって係合凹部121…の1つに係合する側に弾発付勢されているので、マスターアーム71が中立位置にある状態では、ソレノイドや電動モータ等のアクチュエータによらずにシフトドラム52の回動を機械的に阻止することができる。
【0084】
図15は本発明の第3実施例を示すものであって第1実施例の図6に対応した断面図である。
【0085】
この第3実施例においても第1実施例に対応する部分に同一の参照符号を付して図示するのみで詳細な説明は省略する。
【0086】
シフトストッパ機構114におけるストッパアーム116はストッパピン94に回動可能に支承されるのであるが、シフトストッパ機構114とは別にシフトドラム52の回動を阻止する状態ならびにシフトドラム52の回動を許容する状態がシフト規制機構140で切換えられる。
【0087】
而して、シフト規制機構140は、ストッパアーム116と、該ストッパアーム116に軸支されたローラ117をシフトドラムセンター72の外周に摺接するように前記ストッパアーム116を付勢するばね力を発揮するようにしてエンジンケース11およびストッパアーム116間に設けられるねじりばね118とを、前記シフトストッパ機構114と共通の構成要素とするものであり、それらの構成要素に加えて、前記ストッパアーム116を回動可能に支承するストッパピン94の軸方向で前記ストッパアーム116に一部を重ねるようにして前記ストッパピン94に回動可能に支承されるサブシフトストッパアーム141と、シフトドラムセンター72に係合する側にストッパアーム116を回動せしめる側にサブシフトストッパアーム141を付勢するコイルばね142と、回動規制用アクチュエータ147とを備える。
【0088】
すなわちこのシフト規制機構140では、前記ストッパアーム116のローラ117を係合させる位置決めノッチ115…が係合部材を係合させる係合凹部として機能し、ストッパアーム116が係合部材として機能し、前記コイルばね142が弾性部材として機能する。
【0089】
前記ストッパアーム116の基端部には、前記ローラ117と反対側に突出する突部116aが一体に設けられており、前記サブシフトストッパアーム141には、図15の時計方向で前記突部116aに当接する押圧突部141aが一体に設けられ、サブシフトストッパアーム141の一端には、コイルばね142で付勢された押圧ロッド143の一端が図15の時計方向にサブシフトストッパアーム141を回動付勢するようにして当接される。すなわちサブシフトストッパアーム141でストッパアーム116を図15の時計方向に押圧している状態では、ローラ117がねじりばね118のばね力だけでなく、コイルばね142のばね力によってもシフトドラムセンター72に係合する側に付勢されることになり、この状態ではシフトドラム52の回動は阻止されることになる。
【0090】
シフト駆動力伝達機構61を収容する作動室67′の一部を形成する壁部材64Bには、前記押圧ロッド143を摺動可能に嵌合せしめる摺動孔144と、前記押圧ロッド143の他端寄りに設けられる鍔部143aを移動可能に収容せしめて前記摺動孔144に同軸に連なる収容孔145とが設けられ、前記収容孔145の外端を気密に閉じるようにして前記収容孔145に嵌合、固定される蓋部材146および前記鍔部143a間に前記コイルばね142が縮設される。
【0091】
また回動規制用アクチュエータ147が、前記壁部材64Bに設けられており、この回動規制用アクチュエータ147は、前記押圧ロッド143による付勢方向と逆方向すなわち図15の反時計方向にサブシフトストッパアーム141を回動駆動するようにしてサブシフトストッパアーム141の他端に一端を当接し得るプランジャ148を備える。
【0092】
前記壁部材64Bには、前記プランジャ148を摺動可能に嵌合せしめるシリンダ孔149が設けられ、そのシリンダ孔149の外端を気密に閉じるようにして該シリンダ孔149の外端に嵌合、固定される蓋部材150と、前記プランジャ148との間には油圧室151が形成され、油圧室151に油圧を作用せしめることによってプランジャ148は、図15の反時計方向にサブシフトストッパアーム141を回動駆動するように作動することになる。
【0093】
このような回動規制用アクチュエータ147によれば、シフトドラム52の回動を阻止するときには、油圧室151に油圧を作用させないようにすればよく、コイルばね142が発揮するばね力によってサブシフトストッパアーム141がストッパアーム116をローラ117が位置決めノッチ115に嵌合する側に押圧することになる。またシフトドラム52の回動を許容するときには、油圧室151に油圧を作用せしめればよく、押圧突部141aが突部116aから離反する側にサブシフトストッパアーム141が回動するので、ストッパアーム116はローラ117を位置決めノッチ115から離脱させるように回動することが可能となり、シフトドラム52の回動が許容されることになる。
【0094】
この第3実施例によっても上記第2実施例と同様の効果を奏することができる。
【0095】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0096】
たとえば上記各実施例では、シフトドラムの回動を規制するものとしてシフト規制機構を説明したが、シフトドラムに係合するシフトフォークの作動や、歯車列の確立を切換えるシフターの作動をシフト規制機構で規制するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1実施例の自動二輪車用変速装置の要部縦断面図である。
【図2】図1の2矢視拡大図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2からシフトカバーおよびギヤカバーを取外した状態での斜視図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】図3の6−6線断面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】シフト駆動力伝達機構の一部を伝動回動部材が切欠かれた状態で示す斜視図である。
【図9】伝動回動部材およびロストモーションばねを取り外した状態での図8に対応した斜視図である。
【図10】図3の10−10線断面図である。
【図11】図3の11−11線断面図である。
【図12】図3の12−12線断面図である。
【図13】シフト規制機構の作動を制御するための制御系を示すブロック図である。
【図14】第2実施例を示すものであって第1実施例の図5に対応した断面図である。
【図15】第3実施例を示すものであって第1実施例の図6に対応した断面図である。
【符号の説明】
【0098】
10・・・歯車変速機構
11・・・エンジンケース
12・・・変速入力軸であるメインシャフト
13・・・変速出力軸であるカウンタシャフト
14・・・クラッチ
30・・・クラッチアクチュエータ
52・・・シフトドラム
60・・・シフトスピンドル
61・・・シフト駆動力伝達機構
62・・・ロストモーション手段であるロストモーションばね
72・・・回動部材であるシフトドラムセンター
114・・・シフトストッパ機構
115・・・係合凹部として機能する位置決めノッチ
120,136,140・・・シフト規制機構
121・・・係合凹部
123・・・弾性部材であるねじりばね
126,147・・・回動規制用アクチュエータ
131・・・蓄力量検出手段
132・・・判断手段
133・・・アクチュエータ制御手段
142・・・弾性部材であるコイルばね
G1,G2,G3,G4,G5,G6・・・歯車列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的に確立可能な複数変速段の歯車列(G1,G2,G3,G4,G5,G6)が変速入力軸(12)および変速出力軸(13)間に設けられて成る歯車変速機構(10)と、回動位置に応じて複数の前記歯車列(G1〜G6)の1つを選択的に確立させるようにしてエンジンケース(11)に回動可能に支承されるシフトドラム(52)と、シフト操作に応じて回動するようにして前記エンジンケース(11)に回動可能に取付けられるシフトスピンドル(60)と、該シフトスピンドル(60)の回動に応じて前記シフトドラム(52)を回動駆動することを可能として前記シフトスピンドル(60)および前記シフトドラム(52)間に設けられるシフト駆動力伝達機構(61)と、前記シフトスピンドル(60)から伝達されるシフト駆動力を一時的に蓄えるようにして前記シフト駆動力伝達機構(61)に介設されるロストモーション手段(62)と、複数の前記歯車列(G1〜G6)がその1つを確立した状態およびニュートラル状態にあるときの前記シフトドラム(52)の回動位置を弾発的に保持するシフトストッパ機構(114)とを備える車両の変速装置において、前記ロストモーション手段(62)で一時的に蓄えられるシフト駆動力の作用による複数の前記歯車列(G1〜G6)の確立状態の切換作動を許容する状態ならびにその切換作動を阻止する状態を切換可能としたシフト規制機構(120,136,140)を、前記シフトストッパ機構(114)とは別に含むことを特徴とする車両の変速装置。
【請求項2】
前記シフト規制機構(120,136,140)が、前記シフト駆動力伝達機構(61)によるシフト駆動力伝達経路上で前記ロストモーション手段(62)よりも前記シフトドラム(52)側に配置されて前記シフト駆動力伝達機構(61)の一部を構成する回動部材(72)への係合および係合解除を切換え得るように構成されることを特徴とする車両の変速装置。
【請求項3】
前記回動部材であるシフトドラムセンター(72)が、前記シフトドラム(52)を収容するエンジンケース(11)の外側で前記シフトドラム(52)に同軸に固定され、前記シフトドラムセンター(72)への係合および係合解除を切換える前記シフト規制機構(120,136,140)が前記エンジンケース(11)の外側に配設されることを特徴とする請求項2記載の車両の変速装置。
【請求項4】
前記シフト規制機構(120,140)が、前記回動部材(72)への係合および係合解除を切換える動力を発揮するとともにアクチュエータ制御手段(133)で作動が制御される回動規制用アクチュエータ(126,147)を備えることを特徴とする請求項2または3記載の車両の変速装置。
【請求項5】
動力源出力軸および前記変速入力軸(12)間の動力伝達の断・接を切換えるクラッチ(14)と、該クラッチ(14)を断・接作動せしめるクラッチアクチュエータ(30)と、前記ロストモーション手段(62)によるシフト駆動力の一時的な蓄え量を検出する蓄力量検出手段(131)と、該蓄力量検出手段(131)の検出値が所定値を超えたか否かを判断するとともにその判断結果を前記アクチュエータ制御手段(133)に入力する判断手段(132)とを含み、前記アクチュエータ制御手段(133)は、前記検出値が前記所定値を超えたと前記判断手段(132)が判断するのに応じて前記シフトドラム(52)の回動を許容する側に前記シフト規制機構(120,140)を作動せしめるべく前記回動規制用アクチュエータ(126,147)を制御することを特徴とする請求項4記載の車両の変速装置。
【請求項6】
前記シフトドラムセンター(72)の外周に係合凹部(121,115)が設けられ、前記シフト規制機構(136,140)が、前記係合凹部(121,115)に係合し得る係合部材(122,116)と、該係合部材(122,116)を前記係合凹部(121,115)に係合する側に弾発付勢する弾性部材(123,142)とを備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の車両の変速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−54001(P2010−54001A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221410(P2008−221410)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】