車両の底部車体構造
【課題】本発明は、フロアパネルにトンネル部を形成して、そのトンネル部上面から側面にかけてトンネル補強部材を接合し、その側面に左右のクロスメンバと、クロス補強部材とを重ねて接合する車両の底部車体構造において、切欠部をなくすことでトンネル補強部材の口開き変形のおそれをなくしつつ、3枚重ねで接合することで確実に4部材の接合を行なうことができ、トンネル部近傍の剛性を高めることができる車両の底部車体構造を提供することを目的とする
【解決手段】トンネルレインフォースメント2に、第3クロスメンバ3と重合する部分を切り抜いた開口部5を形成するとともに、その開口部5において第3クロスメンバ3を、フロアパネル1を介して第3クロスレインフォースメント4に接合する。
【解決手段】トンネルレインフォースメント2に、第3クロスメンバ3と重合する部分を切り抜いた開口部5を形成するとともに、その開口部5において第3クロスメンバ3を、フロアパネル1を介して第3クロスレインフォースメント4に接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の底部車体構造に関し、特にトンネル部を備えたフロアパネルに対して、車幅方向に延びる左右のクロスメンバと、トンネル部上方に位置してトンネル部を補強するトンネル補強部材と、トンネル部下方に位置して左右のクロスメンバを連結するクロス補強部材を接合することで、車体剛性を高め、さらに、複数の部材を接合した際の接合強度低下を防ぐ車両の底部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の捩れ剛性やフロアパネルの面剛性を向上するため、フロアパネルの車幅方向略中央に、車両前後方向に延びる上方に隆起したトンネル部を形成することが知られており、また、このトンネル部の剛性をさらに高めるため、そのトンネル部上部等にトンネル補強部材を接合することも知られている。
【0003】
さらに、近年では、側面衝突時の安全性を高めるために、フロアパネル上に車幅方向に延びてサイドシルとトンネル部とを連結する左右のクロスメンバを配置し、この左右のクロスメンバ間において、トンネル部下方(内方)で車幅方向に延びて、左右のクロスメンバを連結するクロスメンバ補強部材を設けることが知られている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、フロアパネルにトンネル部を設け、そのトンネル部の上壁と側壁上部にトンネルレインフォースを接合すると共に、車幅方向に延びる左右のクロスメンバをフロアパネル上に配置して、トンネル部下方に車幅方向に延びるトンネルステイを設けた車両の底部車体構造が開示されている。
【0005】
もっとも、さらに車体剛性を高めるため、トンネル部の形状を確実に保持しうるよう、トンネル補強部材をトンネル部上部のみならず側面下部まで延ばし、上方からトンネル部全体を覆うように設置することが考えられる。
【0006】
しかし、こうした車体構造によると、トンネル部の側面下部に接合される左右のクロスメンバやトンネル補強部材と共に、トンネル補強部材を重ね合せた状態で接合する必要が生じ、フロアパネルも含め、計4枚のパネル体をスポット溶接等で接合しなければならない。
【0007】
しかし、このように4枚を重ね合わせて接合すると、パネル間の隙にばらつきが発生する可能性が高くなり、各パネル間に十分な「ナゲット」を生成することができない可能性が生じ、溶接不良の可能性が生じ、各パネル体が充分に溶接されないおそれが生じる。
【0008】
そこで、本出願人は、先に特願2005−302569号(以下、先願)を出願している。この先願では、トンネル補強部材の両側端部に切欠部を設け、その切欠部においてクロスメンバ補強部材と左右のクロスメンバをフロアパネルを介して接合し、その切欠部の両側端部を車幅方向外方まで延設してフロアパネルを介してクロスメンバ補強部材に接合する底部車体構造を提案している。
【0009】
この構造によると、4枚重ねとなる接合ポイントをなくすことができるため、各パネル体が充分に溶接されないというおそれを解消することができる。
【0010】
【特許文献1】特開平8−80874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述の先願の構造によると、トンネル補強部材の側部に切欠部を設けたため、車両前突時、車両前後方向の荷重が入力された際に、トンネル補強部材に切欠部を中心とした口開き変形が生じやすくなり、その対策が必要になるといった問題がある。
【0012】
また、この対策によって、切欠部の両側端部を車幅方向外方まで延設してクロスメンバ補強部材に接合したとしても、結局、この接合部が剥離した場合には、トンネル補強部材に口開き変形が生じるといった問題が生じる。
【0013】
そこで、本発明は、フロアパネルにトンネル部を形成して、そのトンネル部上面から側面にかけてトンネル補強部材を接合し、その側面に左右のクロスメンバと、クロス補強部材とを重ねて接合する車両の底部車体構造において、切欠部をなくすことでトンネル補強部材の口開き変形のおそれをなくしつつ、3枚重ねで接合することで確実に4部材の接合を行なうことができ、トンネル部近傍の剛性を高めることができる車両の底部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の車両の底部車体構造は、車両のフロアパネルが、平面部と車幅方向略中央で車両前後方向に延びるように上方に膨出形成されたトンネル部とを有し、前記フロアパネル上には、トンネル部の上部から平面部にかけて位置して該トンネル部を補強するトンネル補強部材と、前記トンネル部から車幅方向外方側へ延びる左右のクロスメンバとを配置し、前記フロアパネル下には、車幅方向に延びてフロアパネルを介して前記左右のクロスメンバ間を連結するクロスメンバ補強部材を配置した車両の底部車体構造であって、前記トンネル補強部材に、前記クロスメンバと重合する部分を切り抜いた開口部を形成するとともに、該開口部において前記クロスメンバを、フロアパネルを介して前記クロスメンバ補強部材に接合したものである。
【0015】
上記構成によれば、クロスメンバとクロスメンバ補強部材が、トンネル補強部材に形成した開口部においてフロアパネルを介して接合されることになる。
このため、トンネル補強部材、クロスメンバ、クロスメンバ補強部材、及びフロアパネルの4部材が重合する部分であっても、開口部を形成したことで、3枚重ねで接合することができる。また、トンネル補強部材は、開口部を形成しているだけなので、車両前後方向の荷重が入力された際でも、切欠部を設けた場合のように、口開き変形が生じるおそれもない。
【0016】
なお、前述の開口部は、クロスメンバの重合部分を全てを開口する必要はなく、重合部分の一部を開口したものであってもよい。
また、開口部の形状も、クロスメンバの形状に合わせて矩形状にしてもよいし、全く関係なく円形形状等にしてもよい。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記クロスメンバを、前記トンネル補強部材の車幅方向外端部よりも車幅方向外方位置において、フロアパネルを介してクロスメンバ補強部材に接合したものである。
上記構成によれば、クロスメンバは、開口部における部位とトンネル補強部材の車幅方向外方位置とで、トンネル補強部材を跨ぐようにして、フロアパネルを介して、クロスメンバ補強部材に接合されることになる。
このため、クロスメンバは、トンネル補強部材を介在させることなく、直接側面衝突荷重を、クロスメンバ補強部材に伝達することができる。
よって、クロスメンバの側突荷重の伝達性をより高めることができ、車両の側突安全性能を高めることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記クロスメンバの車幅方向外方位置におけるクロスメンバ補強部材との接合ポイントを車両前後位置に複数設定し、該接合ポイントが車幅方向で互いにオフセットするように設定したものである。
上記構成によれば、側突荷重が入力された際に、クロスメンバの車幅方向外方位置の剥離ポイントが、前後位置で互い違いにずれることになる。
よって、側面衝突時におけるクロスメンバのフロアパネルからの剥離が抑制されて、さらに側突荷重の伝達性が高まり、車両の側突安全性能を高めることができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、前記フロアパネルに、前記トンネル補強部材の開口部に対応して車室内方側へ隆起するクロスメンバ座部を形成したものである。
上記構成によれば、クロスメンバ座部が隆起しているため、クロスメンバ座部の剛性を他のフロアパネル部位よりも高くすることができる。また、フロアパネルに車室内方側へ隆起するクロスメンバ座部を形成したことで、トンネル補強部材をフロアパネルへ組み付ける際に、開口部を隆起したクロスメンバ座部に合わせるだけで、容易に位置決めを行なうことができる。
よって、隆起したクロスメンバ座部を形成したことで、クロスメンバの取付け剛性も高めることができ、また、トンネル補強部材のフロアパネルへの組付け性を高めることができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、前記フロアパネルのクロスメンバ座部の近傍に、車載装備品取付け部を設定し、該クロスメンバ座部の隆起を、該車載装備品取付け部に連続するように形成したものである。
上記構成によれば、クロスメンバ座部が、車載装備品取付け部に連続して隆起しているため、車載装備品取付け部の剛性も他のフロアパネルの部位よりも高くすることができる。
よって、クロスメンバ座部のみならず、車載装備品取付け部の取付け剛性も高めることができる。
【0021】
特に、クロスメンバ座部と車載装備品取付け部が車両前後方向に並んで配置される場合には、フロアパネルに車両前後方向に延びるようにビード状の隆起部が形成されることになるため、フロアパネルの車両前後方向の剛性も高めることができる。
ここで、車載装備品取付け部に取付ける車載装備品は、シートや、シートベルト装置、エアバッグ装置や音響機器等が考えられ、特に限定されるものではない。
【0022】
この発明の一実施態様においては、前記トンネル補強部材の開口部の縁部を、車室内方側へ隆起するように形成したものである。
上記構成によれば、開口部の縁部が車室内方側へ隆起するため、開口部周縁の剛性を高めることができる。
よって、開口部を形成したことによる剛性低下を補うことができ、トンネル補強部材の高い剛性を維持できる。
【0023】
この発明の一実施態様においては、前記フロアパネルのクロスメンバ座部の隆起を、前記トンネル補強部材の開口部の縁部の隆起よりも大きく設定し、該クロスメンバ座部が該開口部の縁部よりも車室内方側に位置するように設定したものである。
上記構成によれば、クロスメンバをフロアパネル上方位置から載置してフロアパネルに組み付ける際に、クロスメンバ座部が開口部の縁部より車室内方側に位置しているため、開口部の縁部がクロスメンバと干渉することがなく、クロスメンバを容易に組付けることができ、確実にクロスメンバをクロスメンバ座部に接合することができる。
よって、開口部の縁部を車室内方側へ隆起させた場合であっても、クロスメンバをフロアパネルに容易に組付けることができ、確実にクロスメンバをクロスメンバ座部に接合できる。
【0024】
この発明の一実施態様においては、前記クロスメンバ補強部材を、前記フロアパネルの平面部と重合する位置まで延設するとともに、該クロスメンバ補強部材の車幅方向外端部に、フロアパネルの平面部と重合する部位において切欠き又は開口を形成して、該切欠き又は開口の部位においてクロスメンバをトンネル補強部材を介してフロアパネルに接合したものである。
上記構成によれば、クロスメンバ補強部材の外端部の切欠き又は開口の部位で、クロスメンバとトンネル補強部材がフロアパネルと共に接合されることになる。
このため、トンネル補強部材の車幅方向外端部が、フロアパネルとクロスメンバに確実に接合されて、側面衝突時にフロアパネルから浮き上がって剥離するのが抑止されることになる。
よって、トンネル補強部材の側突対応力を高めることができ、車両の側突安全性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、トンネル補強部材に開口部を設けたため、トンネル補強部材、クロスメンバ、クロスメンバ補強部材、及びフロアパネルの4部材が重合する部分であっても、3枚重ねで接合することができる。また、トンネル補強部材には、開口部を形成しているだけなので、車両前後方向の荷重が入力された際に、トンネル補強部材に切欠部を設けた場合のように、口開き変形が生じるおそれもない。
【0026】
よって、フロアパネルにトンネル部を形成して、そのトンネル部上面から側面にかけてトンネル補強部材を接合し、その側面に左右のクロスメンバと、クロス補強部材とを重ねて接合する車両の底部車体構造において、切欠部をなくすことでトンネル補強部材の口開き変形のおそれをなくしつつ、3枚重ねで接合することで確実に4部材の接合を行なうことができ、トンネル部近傍の剛性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明が採用された車両の底部車体構造たる車体フロアの全体斜視図であり、図2は、その車体フロアを構成する各部材の分解斜視図である。
【0028】
図1、図2に示すように、本実施形態の車体フロアは、車両前後方向及び車幅方向に広がる平面部1Aと車幅方向略中央で車両前後方向に延びる上方に膨出したトンネル部1Bを備えたフロアパネル1と、トンネル部1B上方の車両後方側においてトンネル部1Bを覆うように車両前後方向に延設されるトンネルレインフォースメント2と、そのトンネルレインフォースメント2の車幅方向両側で車幅方向に延設してトンネル部1Bとサイドシル(図示せず)を繋ぐ左右の第3クロスメンバ3,3と、トンネル部1B内に設置されて左右の第3クロスメンバ3,3間を補強する第3クロスレインフォースメント4とを備える。
【0029】
前述のフロアパネル1は、車体の軽量化を図るため、比較的薄い(例えば0.65mm程度)パネル体(例えば鉄板)で成形している。但し、車幅方向略中央に上方に膨出するトンネル部1Bを形成することで、面剛性を確保して、フロアパネル1の捩れ剛性を保っている。
【0030】
トンネル部1Bは、車両前後方向に延びる上面部11と、その両側で車両前後方向に延びる縦壁状の側面部12,12とによって構成している。本実施形態のトンネル部1Bの高さは、車両の駆動方式がフロントエンジン・フロントドライブの所謂FFタイプであることから、プロペラシャフトが貫通配置される所謂FRタイプのように高くなく、比較的低く設定している。
【0031】
また、このトンネル部1Bの側面部12中央には、後述する第3クロスメンバを接合するため、車室内方側(車幅方向外方側)へ隆起したクロスメンバ座部13(図2参照)を形成している。
【0032】
前述のトンネルレインフォースメント2は、中程度の板厚(例えば0.8mm程度)のパネル体で成形した断面略コ字状の鞍形状部材で構成しており、トンネル部1Bの上面部11から側面部12下部までの全体を覆うように設置している。
【0033】
このようにトンネルレインフォースメント2を設置することで、トンネル部1B形状を確実に保持し、板厚が薄くさらにトンネル部1B高さも低い、本実施形態のようなトンネル部1Bであっても、トンネル部1Bの剛性を高めている。
【0034】
また、このトンネルレインフォースメント2の側部の前後方向略中央には、車両前後方向を長手とした略長方形形状の開口部5を穿設している。この開口部5を穿設した位置は、後述する第3クロスメンバ3との重合部分であり、この開口部5を穿設することで、第3クロスメンバ3を直接フロアパネル1のトンネル部1Bに接合できるように構成している。
【0035】
前述の第3クロスメンバ3,3は、比較的厚い(例えば1.6mm程度)剛性の高いパネル体で成形した下向き開放の断面略ハット状のメンバ部材で構成され、トンネル部1Bの左右両側位置において、それぞれ車幅方向に延びて、トンネル部1BとサイドシルSとを連結している(図5参照)。
【0036】
この第3クロスメンバ3,3を設けたことで、側突荷重がトンネル部1Bに伝達されやすくなり、サイドシルSの車体内方側への変形を抑えることができる。また、第3クロスメンバ3,3がフロアパネル1にも接合されることで、フロアパネル1の面剛性も高めることができる。
【0037】
前述の第3クロスレインフォースメント4も、比較的厚い(例えば1.6mm程度)剛性の高いパネル体で成形したハット状断面のメンバ部材で構成しており、トンネル部1B形状に沿って上方に隆起している。トンネル部1Bの内面(車外側)に接合することで、フロアパネル1を介して左右の第3クロスメンバ3,3を連結するように構成している(図6参照)。
【0038】
この第3クロスレインフォースメント4を設けることで、一方の第3クロスメンバ3から入力された側突荷重を他方の第3クロスメンバ3に伝達することができ、第3クロスメンバ3の側突対応力を高めて、車両の側突安全性能を高めることができる。また、トンネル部1B形状も保持できるため、加えてトンネル部1Bの剛性も高めることができる。
【0039】
こうした各部材を、それぞれ組み合わせて接合することで、本実施形態の車体フロアを構成することになる。次に、この車体フロアの組立て接合作業について説明する。
【0040】
まず、初めに、フロアパネル1上面のトンネル部1B上方に、トンネルレインフォースメント2を設置し、溶接ガン(図示せず)によって、周囲の接合フランジをスポット溶接して、トンネルレインフォースメント2をフロアパネル1に接合する。
【0041】
このトンネルレインフォースメント2の設置の際に、トンネル部1Bのクロスメンバ座部13に、トンネルレインフォースメント2の開口部5を嵌め合わすような形で両者を組み合わせることで、両者の位置決めを容易に行なうことができる。
【0042】
そして、次に、第3クロスメンバ3をトンネルレインフォースメント2の開口部5に合わせてフロアパネル1上に載置するとともに、第3クロスレインフォースメント4を、その下側に設置して、両者を接合フランジでフロアパネル1等にスポット溶接することで接合する。
以上の工程によって、本実施形態の車体フロアの組立て接合作業は完了する。
【0043】
なお、本実施形態では、このスポット溶接作業で組立て接合が完了するが、先願である、前述の特願2005−302569号の構造では、予め第3クロスメンバを先に接合しておかないと、第3クロスレインフォースメントを接合できないため、ここで、さらに、フロアパネル1を裏返してスポット溶接を行なう必要があり、工数が増加してしまうという問題がある。
そこで本実施形態では、接合フランジの形状や第3クロスレインフォースメント4の形状等を工夫することにより、その裏返し工程をなくしている。
【0044】
ところで、この接合作業で行われるスポット溶接とは、重ね合わせ抵抗溶接の一種であり、車体パネルを重ね合わせた状態で、溶接ガンの上下電極を車体パネルの溶接ポイントに合わせて、加圧状態で通電することにより、車体パネル間に接合金属(以下、ナゲット)を生成して、溶接を行なうものである。
【0045】
このスポット溶接では、一度に重合して接合するパネル枚数が増加すると、ナゲットを各パネル間に充分に生成できないおそれがあるため、原則2枚、多くても3枚までの重合状態で車体パネルを接合するのが望ましい。
【0046】
本実施形態の車体フロアでは、第3クロスメンバ3のトンネル部1B側の接合部位において、フロアパネル1を含め、第3クロスメンバ3、トンネルレインフォースメント2、第3クロスレインフォースメント4の計4部材、すなわち4枚の車体パネルを重ね合せる必要があり、そのまま接合すると4枚の車体パネルを接合しなければならない。
【0047】
そこで、本実施形態では、前述のようにトンネルレインフォースメント2に開口部5を形成することで、この接合部位でも、最大3枚重ねで接合できるようにしている。次に、この第3クロスメンバのトンネル部側の接合部位の詳細構造について、図3〜図12により説明する。
【0048】
図3はこの接合部位の詳細斜視図、図4は接合部位の平面図、図5は図1のA−A線矢視断面図、図6は図3のB−B線矢視断面図、図7は図4のC−C線矢視断面図、以下同様に、図8がD−D線、図9がE−E線、図10がF−F線、図11がG−G線、図12がH−H線の矢視断面図である。なお、各図のINは車室内方、OUTは車室外方を示す。
【0049】
図3及び図4に示すように、この第3クロスメンバ3のトンネル部1B側の接合部位では、前述のトンネルレインフォースメント2に形成した開口部5を貫通して第3クロスメンバ3を直接トンネル部1Bのクロスメンバ座部13に接合している。
【0050】
第3クロスメンバ3の車幅方向内側端部には、クロスメンバ座部13に接合されるトンネル接合フランジ31が形成され、下側端部には、フロアパネルの平面部1Aに接合される平面接合フランジ部32を形成している。
【0051】
また、トンネルレインフォースメント2には、その側端部にフロアパネルの平面部1Aと接合される車両前後方向に延びる平面延出部21を形成している。この平面延出部21は第3クロスメンバ3の下側に位置する部分も含めて車両前後方向に延びるように形成している。
【0052】
また、トンネルレインフォースメント2の開口部5の周縁には、車室内方側(車幅方向外方側且つ上方側)に隆起する段部51を形成している。この段部51を形成することで、開口部5を設けたことによる剛性低下を補っている。
【0053】
また、この段部51は、そのまま車両後方側に延びて、図示しないシートを取付けるシート取付け部6の周囲をほぼ取り囲むように構成している(61)。これにより、シート取付け部6の剛性も高めている。
【0054】
なお、フロアパネル1のトンネル部1Bも、同様にクロスメンバ座部13から車両後方側に連なってシート取付け段部14を隆起形成している(図2参照)。このシート取付け段部14を形成することで、フロアパネル1には、車両前後方向に延びるビード状の段部(13,14)がトンネル部1Bの側面部12に形成されることになるため、車両前突時の車両前後方向の荷重に対して剛性を高めることができる。
【0055】
フロアパネル1の下面には、第3クロスレインフォースメント4を接合している(図3、図4で破線で示す)。この第3クロスレインフォースメント4も、第3クロスメンバ3の接合位置に対応して、前後の接合フランジ41,42(図2参照)でフロアパネル1に接合されている。また、前述のシート取付け部6も含めて補強するため、車両後方側に延びる延出部43を設けている。
【0056】
この第3クロスメンバ3の車幅方向内方側の接合部位では、合計7箇所の接合ポイントで(但し、そのうち1箇所は、直接第3クロスメンバ3を接合していない)、第3クロスメンバ3、第3クロスレインフォースメント4、トンネルレインフォースメント2、それとフロアパネル1の接合を行っている。便宜上、各接合ポイントには、「イ」〜「ト」の符号を付して説明する。
【0057】
第3クロスメンバ3のトンネル部1B側の接合ポイントは、図3に示すように、トンネル接合フランジ31の「イ」と「ロ」の二箇所に設定しており、平面部1A側の接合ポイントは、平面接合フランジ32の「へ」と「ト」に設定している。また、トンネルレインフォースメント2との接合ポイントは、平面接合フランジ32の「ハ」と「ニ」に設定して、トンネルレインフォーメント2のフロアパネルの平面部1Aへの接合ポイントは、「ホ」に設定している。
【0058】
これらの接合ポイントは、前述のように、予め、トンネルレインフォースメント2をフロアパネル1に接合した後に、フロアパネル1の上方から第3クロスメンバ3を載置して、フロアパネル1の下側に第3クロスレインフォースメント4を設置した後に、溶接ガンでスポット溶接を行なうように構成している。
【0059】
まず、図6に示すように、「イ」と「ロ」の接合ポイントでは、フロアパネル1(トンネル部1B)を介して、直接第3クロスメンバ3(トンネル接合フランジ31)が第3クロスレインフォースメント4(前後の接合フランジ41,42)と接合されており、第3クロスメンバ3、フロアパネル1、及び第3クロスレインフォースメント4の3部材(3枚)で接合を行なうように構成している。
【0060】
また、図7に示すように、「ハ」の接合ポイントでは、フロアパネル1(平面部1A)に第3クロスメンバ3(平面接合フランジ32)とトンネルレインフォースメント2(平面延出部21)を接合している。すなわち、この「ハ」の接合ポイントでは、第3クロスレインフォースメント4に円形の開口44(図3参照)を形成し、この開口44を通じて、第3クロスレインフォースメント4以外の3部材を接合するように構成している。
【0061】
また、図8に示すように、「ニ」の接合ポイントでも、フロアパネル1(平面部1A)に第3クロスメンバ3(平面接合フランジ32)とトンネルレインフォースメント2(平面延出部21)を接合している。すなわち、この接合ポイントでも、第3クロスレインフォースメント4に半円状の切欠き45(図3参照)を形成し、この切欠き45を通じて、第3クロスレインフォースメント4以外の3部材を接合するように構成している。
【0062】
次に、図9に示すように、「ホ」の接合ポイントでは、フロアパネル1(平面部1A)に第3クロスレインフォースメント4(延出部43)とトンネルレインフォースメント2(平面延出部21)を接合している。すなわち、この「ホ」の接合ポイントでは、「ハ」の接合ポイントとは逆に、第3クロスメンバ3に半円状の切欠き33(図3参照)を形成し、この切欠き33を通じて、第3クロスメンバ3以外の3部材を接合するように構成している。
【0063】
さらに、図10に示すように、「へ」の接合ポイントでは、「イ」や「ロ」の接合ポイントと同様に、フロアパネル1(平面部1A)を介して、第3クロスメンバ3(平面接合フランジ32)を第3クロスレインフォースメント4(接合フランジ42)に接合している。この接合ポイントでは、トンネルレインフォースメント2がないため、そのまま、第3クロスメンバ3、フロアパネル1、第3クロスレインフォースメント4の3部材を接合している。
【0064】
最後に、図11に示すように、「ト」の接合ポイントでも、フロアパネル1(平面部1A)を介して、第3クロスメンバ3(平面接合フランジ32)を第3クロスレインフォースメント4(接合フランジ41)に接合されている。この接合ポイントでも、トンネルレインフォースメント2がないため、そのまま、第3クロスメンバ3、フロアパネル1、第3クロスレインフォースメント4の3部材を接合している。
【0065】
以上のように、各接合ポイントは、4部材を重ね合わせつつも、全て3部材(3枚)ごとに接合されるため、スポット溶接のナゲット生成不良による溶接不良の発生を防止できる。
【0066】
本実施形態では、特にトンネルレインフォースメント2に開口部5を設けて、3部材を接合しているため、車両前突時、車両前後方向の荷重が作用した場合でも、トンネルレインフォースメント2に、口開き変形が生じるおそれがない。
【0067】
また、図4に示すように、接合ポイントの「ハ」、「ホ」及び「へ」は、各接合ポイントを近接して設けている。このため、第3クロスメンバ3、第3クロスレインフォースメント4、トンネルレインフォースメント2、それとフロアパネル1の4部材が直接接合されていなくても、直接接合されたのと同等の接合強度を得ることができる。
【0068】
また、接合ポイントの「ハ」〜「ト」は、車幅方向において互い違いに所定間隔(図4のs1〜s4参照)をおいて千鳥状にオフセット配置している。このため、側突荷重を受けた際には、各接合ポイントの剥離していくタイミングがずれることになり、衝突荷重に対する車体の耐力を高めることができる。
【0069】
この他の接合ポイントとしては、図3に示すように、「ホ」の車両後方側においてフロアパネル1及び第3クロスレインフォースメント4に接合する接合ポイント「チ」を設定している。この「チ」を設定したことにより、第3クロスレインフォースメント4をフロアパネル1に、より強固に接合できる。
【0070】
また、シート取付け部6の周囲にも、第3クロスレインフォースメント4に接合する接合ポイント「リ」4箇所設定している。この接合ポイント「リ」を設けたことにより、シートの取付け剛性を高めることができる。
【0071】
ところで、フロアパネル1のクロスメンバ座部13は、車室内方側に隆起しているが、図12に示すように、トンネルレインフォースメント2の開口部5周囲の段部51よりも車室内方側に大きく隆起するように設定している。
【0072】
このため、第3クロスメンバ3をフロアパネル1上方から載置する際に(仮想線で示す)、第3クロスメンバ3がトンネルレインフォースメント2の開口部5周縁に干渉するのを避けつつも、クロスメンバ座部13に第3クロスメンバ3のトンネル接合フランジ31を接合させることができる。
【0073】
次に、以上のように構成された本実施形態の作用効果について、詳述する。
この実施形態の車両の底部車体構造は、トンネルレインフォースメント2に、第3クロスメンバ3と重合する部分を切り抜いた開口部5を形成するとともに、その開口部5において第3クロスメンバ3を、フロアパネル1を介して第3クロスレインフォースメント4に接合したものである。
【0074】
この構成によれば、第3クロスメンバ3と第3クロスレインフォースメント4が、トンネルレインフォースメント2に形成した開口部5においてフロアパネル1を介して接合されることになる。このため、トンネルレインフォースメント2、第3クロスメンバ3、第3クロスレインフォースメント4、及びフロアパネル1の4部材が重合する部分であっても、3枚重ねで接合することができる。また、トンネルレインフォースメント2は、開口部5を形成しているだけなので、車両前倒時に、車両前後方向の荷重が入力された際でも、切欠部を設けた場合のように、口開き変形が生じるおそれもない。
【0075】
よって、トンネルレインフォースメント2の口開き変形のおそれをなくしつつ、3枚重ねで接合することで確実に4部材の接合を行なうことができ、トンネル部1B近傍の剛性を高めることができる。
【0076】
なお、本実施形態の開口部5は、第3クロスメンバ3の重合部分を全てを穿設したが、他の構造として、重合部分の一部を穿設するように構成したものであってもよい。
また、開口部5の形状も、本実施形態のように長方形形状に限られるものではなく、円形状等であってもよい。
【0077】
また、この実施形態では、第3クロスメンバ3を、前記トンネルレインフォースメント2の外端部よりも車幅方向外方位置の接合ポイント「へ」「ト」で、フロアパネル1を介して、第3クロスレインフォースメント4に接合している。このため、第3クロスメンバ3は、トンネルレインフォースメント2を跨ぐようにして、フロアパネル1を介して、第3クロスレインフォースメント4に接合されることになる。
【0078】
よって、第3クロスメンバ3は、トンネルレインフォースメント2を介在させることなく、直接、側突荷重を、第3クロスレインフォースメント4に伝達することができる。よって、側突荷重の伝達性をより高めることができ、車両の側突安全性能を高めることができる。
【0079】
また、この実施形態では、第3クロスメンバ3の車幅方向外方位置における接合ポイント「へ」「ト」を、車幅方向で互いにオフセットするように設定している。このため、側突荷重が入力された際に、第3クロスメンバ3の車幅方向外方位置の剥離ポイントが、前後位置で互い違いにずれることになり、側面衝突時における第3クロスメンバ3のフロアパネル1からの剥離が抑制されて、側突荷重の伝達性が高まり、車両の側突安全性能を高めることができる。
【0080】
また、この実施形態では、フロアパネル1に、トンネルレインフォースメント2の開口部5に対応して車室内方側へ隆起するクロスメンバ座部13を形成しているため、クロスメンバ座部13の剛性を他のフロアパネル1の部位よりも高くすることができる。また、トンネルレインフォースメント2をフロアパネル1へ組み付ける際に、開口部5をクロスメンバ座部13に合わせるだけで、容易に位置決めを行なうことができる。よって、第3クロスメンバ3の取付け剛性も高めることができ、また、トンネルレインフォースメント2のフロアパネル1への組付け性も高めることができる。
【0081】
また、この実施形態では、フロアパネル1のクロスメンバ座部13の近傍に、シート取付け部6を設定し、クロスメンバ座部13の隆起を、そのシート取付け部6に連続するように形成している。このため、シート取付け部6の剛性も他のフロアパネル1の部位よりも高くすることができ、クロスメンバ座部13だけでなく、シート取付け部6の取付け剛性も高めることができる。
【0082】
また、この実施形態では、クロスメンバ座部13とシート取付け部6を車両前後方向に並べて配置しているため、フロアパネル1には、車両前後方向に延びるようにビード状の隆起部が形成されることになり、フロアパネル1の車両前後方向剛性も高めることができる。
【0083】
また、この実施形態では、トンネルレインフォースメント2の開口部5周縁に、車室内方側へ隆起する段部51を形成している。このため、開口部5周縁の剛性を高めることができ、開口部5を形成したことによる剛性低下を補うことができ、トンネルレインフォースメント2の高い剛性を維持することができる。
【0084】
また、この実施形態では、フロアパネル1のクロスメンバ座部13の隆起を、トンネルレインフォースメント2の開口部5周縁の段部51の隆起よりも大きく設定し、クロスメンバ座部13が開口部5の縁部よりも車室内方側に位置するように設定している。このため、第3クロスメンバ3をフロアパネル1上方位置から載置してフロアパネル1に組み付ける際に、開口部5の縁部が第3クロスメンバ3と干渉することがなく、第3クロスメンバ3を容易に組付けることができ、確実に第3クロスメンバ3をクロスメンバ座部13に接合することができる。よって、開口部5の縁部に段部51を形成しても、確実に第3クロスメンバ3をクロスメンバ座部13に接合できる。
【0085】
また、この実施形態では、第3クロスレインフォースメント4の車幅方向外端部に、切欠き45や開口44を形成して、その切欠き45や開口44の部位において、第3クロスメンバ3をトンネルレインフォースメント2を介してフロアパネル1に接合している。このため、トンネルレインフォースメント2の車幅方向外端部がフロアパネル1と第3クロスメンバ3に確実に接合されて、車両の側面衝突時にフロアパネル1から浮き上がって剥離するのが抑止される。よって、トンネルレインフォースメント2の側突対応力を高めることができ、車両の側突安全性能をより向上することができる。
【0086】
なお、この切欠き45や開口44は、第3クロスレインフォースメント4の剛性低下を招かなければ、どのような形状であっても、又いくつ設けてもよい。また、一方のみを設けてもよい。
【0087】
以上、この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明のトンネル補強部材は、トンネルレインフォースメント2に対応し、
以下、同様に、
クロスメンバは、第3クロスメンバ3に対応し、
クロスメンバ補強部材は、第3クロスレインフォースメント4に対応し、
車載装備品取付け部は、シート取付け部6に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる車両の底部車体構造に適用する実施形態を含むものである。
【0088】
なお、他の実施形態としては、具体的には図示しないが、例えば、トンネルレインフォースメントを、直線状に延びるメンバ形状の部材で構成したものあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明が採用された車体フロアの全体斜視図。
【図2】車体フロアを構成する各部材の分解斜視図。
【図3】接合部位の詳細斜視図。
【図4】接合部位の平面図。
【図5】図1のA−A線矢視断面図。
【図6】図3のB−B線矢視断面図。
【図7】図4のC−C線矢視断面図。
【図8】図4のD−D線矢視断面図。
【図9】図4のE−E線矢視断面図。
【図10】図4のF−F線矢視断面図。
【図11】図4のG−G線矢視断面図。
【図12】図4のH−H線矢視断面図。
【符号の説明】
【0090】
1…フロアパネル
1A…平面部
1B…トンネル部
2…トンネルレインフォースメント(トンネル補強部材)
3…第3クロスメンバ(クロスメンバ)
4…第3クロスレインフォースメント(クロスメンバ補強部材)
5…開口部
6…シート取付け部(車載装備品取付け部)
13…クロスメンバ座部
44…開口
45…切欠き
51…段部
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の底部車体構造に関し、特にトンネル部を備えたフロアパネルに対して、車幅方向に延びる左右のクロスメンバと、トンネル部上方に位置してトンネル部を補強するトンネル補強部材と、トンネル部下方に位置して左右のクロスメンバを連結するクロス補強部材を接合することで、車体剛性を高め、さらに、複数の部材を接合した際の接合強度低下を防ぐ車両の底部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の捩れ剛性やフロアパネルの面剛性を向上するため、フロアパネルの車幅方向略中央に、車両前後方向に延びる上方に隆起したトンネル部を形成することが知られており、また、このトンネル部の剛性をさらに高めるため、そのトンネル部上部等にトンネル補強部材を接合することも知られている。
【0003】
さらに、近年では、側面衝突時の安全性を高めるために、フロアパネル上に車幅方向に延びてサイドシルとトンネル部とを連結する左右のクロスメンバを配置し、この左右のクロスメンバ間において、トンネル部下方(内方)で車幅方向に延びて、左右のクロスメンバを連結するクロスメンバ補強部材を設けることが知られている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、フロアパネルにトンネル部を設け、そのトンネル部の上壁と側壁上部にトンネルレインフォースを接合すると共に、車幅方向に延びる左右のクロスメンバをフロアパネル上に配置して、トンネル部下方に車幅方向に延びるトンネルステイを設けた車両の底部車体構造が開示されている。
【0005】
もっとも、さらに車体剛性を高めるため、トンネル部の形状を確実に保持しうるよう、トンネル補強部材をトンネル部上部のみならず側面下部まで延ばし、上方からトンネル部全体を覆うように設置することが考えられる。
【0006】
しかし、こうした車体構造によると、トンネル部の側面下部に接合される左右のクロスメンバやトンネル補強部材と共に、トンネル補強部材を重ね合せた状態で接合する必要が生じ、フロアパネルも含め、計4枚のパネル体をスポット溶接等で接合しなければならない。
【0007】
しかし、このように4枚を重ね合わせて接合すると、パネル間の隙にばらつきが発生する可能性が高くなり、各パネル間に十分な「ナゲット」を生成することができない可能性が生じ、溶接不良の可能性が生じ、各パネル体が充分に溶接されないおそれが生じる。
【0008】
そこで、本出願人は、先に特願2005−302569号(以下、先願)を出願している。この先願では、トンネル補強部材の両側端部に切欠部を設け、その切欠部においてクロスメンバ補強部材と左右のクロスメンバをフロアパネルを介して接合し、その切欠部の両側端部を車幅方向外方まで延設してフロアパネルを介してクロスメンバ補強部材に接合する底部車体構造を提案している。
【0009】
この構造によると、4枚重ねとなる接合ポイントをなくすことができるため、各パネル体が充分に溶接されないというおそれを解消することができる。
【0010】
【特許文献1】特開平8−80874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述の先願の構造によると、トンネル補強部材の側部に切欠部を設けたため、車両前突時、車両前後方向の荷重が入力された際に、トンネル補強部材に切欠部を中心とした口開き変形が生じやすくなり、その対策が必要になるといった問題がある。
【0012】
また、この対策によって、切欠部の両側端部を車幅方向外方まで延設してクロスメンバ補強部材に接合したとしても、結局、この接合部が剥離した場合には、トンネル補強部材に口開き変形が生じるといった問題が生じる。
【0013】
そこで、本発明は、フロアパネルにトンネル部を形成して、そのトンネル部上面から側面にかけてトンネル補強部材を接合し、その側面に左右のクロスメンバと、クロス補強部材とを重ねて接合する車両の底部車体構造において、切欠部をなくすことでトンネル補強部材の口開き変形のおそれをなくしつつ、3枚重ねで接合することで確実に4部材の接合を行なうことができ、トンネル部近傍の剛性を高めることができる車両の底部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の車両の底部車体構造は、車両のフロアパネルが、平面部と車幅方向略中央で車両前後方向に延びるように上方に膨出形成されたトンネル部とを有し、前記フロアパネル上には、トンネル部の上部から平面部にかけて位置して該トンネル部を補強するトンネル補強部材と、前記トンネル部から車幅方向外方側へ延びる左右のクロスメンバとを配置し、前記フロアパネル下には、車幅方向に延びてフロアパネルを介して前記左右のクロスメンバ間を連結するクロスメンバ補強部材を配置した車両の底部車体構造であって、前記トンネル補強部材に、前記クロスメンバと重合する部分を切り抜いた開口部を形成するとともに、該開口部において前記クロスメンバを、フロアパネルを介して前記クロスメンバ補強部材に接合したものである。
【0015】
上記構成によれば、クロスメンバとクロスメンバ補強部材が、トンネル補強部材に形成した開口部においてフロアパネルを介して接合されることになる。
このため、トンネル補強部材、クロスメンバ、クロスメンバ補強部材、及びフロアパネルの4部材が重合する部分であっても、開口部を形成したことで、3枚重ねで接合することができる。また、トンネル補強部材は、開口部を形成しているだけなので、車両前後方向の荷重が入力された際でも、切欠部を設けた場合のように、口開き変形が生じるおそれもない。
【0016】
なお、前述の開口部は、クロスメンバの重合部分を全てを開口する必要はなく、重合部分の一部を開口したものであってもよい。
また、開口部の形状も、クロスメンバの形状に合わせて矩形状にしてもよいし、全く関係なく円形形状等にしてもよい。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記クロスメンバを、前記トンネル補強部材の車幅方向外端部よりも車幅方向外方位置において、フロアパネルを介してクロスメンバ補強部材に接合したものである。
上記構成によれば、クロスメンバは、開口部における部位とトンネル補強部材の車幅方向外方位置とで、トンネル補強部材を跨ぐようにして、フロアパネルを介して、クロスメンバ補強部材に接合されることになる。
このため、クロスメンバは、トンネル補強部材を介在させることなく、直接側面衝突荷重を、クロスメンバ補強部材に伝達することができる。
よって、クロスメンバの側突荷重の伝達性をより高めることができ、車両の側突安全性能を高めることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記クロスメンバの車幅方向外方位置におけるクロスメンバ補強部材との接合ポイントを車両前後位置に複数設定し、該接合ポイントが車幅方向で互いにオフセットするように設定したものである。
上記構成によれば、側突荷重が入力された際に、クロスメンバの車幅方向外方位置の剥離ポイントが、前後位置で互い違いにずれることになる。
よって、側面衝突時におけるクロスメンバのフロアパネルからの剥離が抑制されて、さらに側突荷重の伝達性が高まり、車両の側突安全性能を高めることができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、前記フロアパネルに、前記トンネル補強部材の開口部に対応して車室内方側へ隆起するクロスメンバ座部を形成したものである。
上記構成によれば、クロスメンバ座部が隆起しているため、クロスメンバ座部の剛性を他のフロアパネル部位よりも高くすることができる。また、フロアパネルに車室内方側へ隆起するクロスメンバ座部を形成したことで、トンネル補強部材をフロアパネルへ組み付ける際に、開口部を隆起したクロスメンバ座部に合わせるだけで、容易に位置決めを行なうことができる。
よって、隆起したクロスメンバ座部を形成したことで、クロスメンバの取付け剛性も高めることができ、また、トンネル補強部材のフロアパネルへの組付け性を高めることができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、前記フロアパネルのクロスメンバ座部の近傍に、車載装備品取付け部を設定し、該クロスメンバ座部の隆起を、該車載装備品取付け部に連続するように形成したものである。
上記構成によれば、クロスメンバ座部が、車載装備品取付け部に連続して隆起しているため、車載装備品取付け部の剛性も他のフロアパネルの部位よりも高くすることができる。
よって、クロスメンバ座部のみならず、車載装備品取付け部の取付け剛性も高めることができる。
【0021】
特に、クロスメンバ座部と車載装備品取付け部が車両前後方向に並んで配置される場合には、フロアパネルに車両前後方向に延びるようにビード状の隆起部が形成されることになるため、フロアパネルの車両前後方向の剛性も高めることができる。
ここで、車載装備品取付け部に取付ける車載装備品は、シートや、シートベルト装置、エアバッグ装置や音響機器等が考えられ、特に限定されるものではない。
【0022】
この発明の一実施態様においては、前記トンネル補強部材の開口部の縁部を、車室内方側へ隆起するように形成したものである。
上記構成によれば、開口部の縁部が車室内方側へ隆起するため、開口部周縁の剛性を高めることができる。
よって、開口部を形成したことによる剛性低下を補うことができ、トンネル補強部材の高い剛性を維持できる。
【0023】
この発明の一実施態様においては、前記フロアパネルのクロスメンバ座部の隆起を、前記トンネル補強部材の開口部の縁部の隆起よりも大きく設定し、該クロスメンバ座部が該開口部の縁部よりも車室内方側に位置するように設定したものである。
上記構成によれば、クロスメンバをフロアパネル上方位置から載置してフロアパネルに組み付ける際に、クロスメンバ座部が開口部の縁部より車室内方側に位置しているため、開口部の縁部がクロスメンバと干渉することがなく、クロスメンバを容易に組付けることができ、確実にクロスメンバをクロスメンバ座部に接合することができる。
よって、開口部の縁部を車室内方側へ隆起させた場合であっても、クロスメンバをフロアパネルに容易に組付けることができ、確実にクロスメンバをクロスメンバ座部に接合できる。
【0024】
この発明の一実施態様においては、前記クロスメンバ補強部材を、前記フロアパネルの平面部と重合する位置まで延設するとともに、該クロスメンバ補強部材の車幅方向外端部に、フロアパネルの平面部と重合する部位において切欠き又は開口を形成して、該切欠き又は開口の部位においてクロスメンバをトンネル補強部材を介してフロアパネルに接合したものである。
上記構成によれば、クロスメンバ補強部材の外端部の切欠き又は開口の部位で、クロスメンバとトンネル補強部材がフロアパネルと共に接合されることになる。
このため、トンネル補強部材の車幅方向外端部が、フロアパネルとクロスメンバに確実に接合されて、側面衝突時にフロアパネルから浮き上がって剥離するのが抑止されることになる。
よって、トンネル補強部材の側突対応力を高めることができ、車両の側突安全性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、トンネル補強部材に開口部を設けたため、トンネル補強部材、クロスメンバ、クロスメンバ補強部材、及びフロアパネルの4部材が重合する部分であっても、3枚重ねで接合することができる。また、トンネル補強部材には、開口部を形成しているだけなので、車両前後方向の荷重が入力された際に、トンネル補強部材に切欠部を設けた場合のように、口開き変形が生じるおそれもない。
【0026】
よって、フロアパネルにトンネル部を形成して、そのトンネル部上面から側面にかけてトンネル補強部材を接合し、その側面に左右のクロスメンバと、クロス補強部材とを重ねて接合する車両の底部車体構造において、切欠部をなくすことでトンネル補強部材の口開き変形のおそれをなくしつつ、3枚重ねで接合することで確実に4部材の接合を行なうことができ、トンネル部近傍の剛性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明が採用された車両の底部車体構造たる車体フロアの全体斜視図であり、図2は、その車体フロアを構成する各部材の分解斜視図である。
【0028】
図1、図2に示すように、本実施形態の車体フロアは、車両前後方向及び車幅方向に広がる平面部1Aと車幅方向略中央で車両前後方向に延びる上方に膨出したトンネル部1Bを備えたフロアパネル1と、トンネル部1B上方の車両後方側においてトンネル部1Bを覆うように車両前後方向に延設されるトンネルレインフォースメント2と、そのトンネルレインフォースメント2の車幅方向両側で車幅方向に延設してトンネル部1Bとサイドシル(図示せず)を繋ぐ左右の第3クロスメンバ3,3と、トンネル部1B内に設置されて左右の第3クロスメンバ3,3間を補強する第3クロスレインフォースメント4とを備える。
【0029】
前述のフロアパネル1は、車体の軽量化を図るため、比較的薄い(例えば0.65mm程度)パネル体(例えば鉄板)で成形している。但し、車幅方向略中央に上方に膨出するトンネル部1Bを形成することで、面剛性を確保して、フロアパネル1の捩れ剛性を保っている。
【0030】
トンネル部1Bは、車両前後方向に延びる上面部11と、その両側で車両前後方向に延びる縦壁状の側面部12,12とによって構成している。本実施形態のトンネル部1Bの高さは、車両の駆動方式がフロントエンジン・フロントドライブの所謂FFタイプであることから、プロペラシャフトが貫通配置される所謂FRタイプのように高くなく、比較的低く設定している。
【0031】
また、このトンネル部1Bの側面部12中央には、後述する第3クロスメンバを接合するため、車室内方側(車幅方向外方側)へ隆起したクロスメンバ座部13(図2参照)を形成している。
【0032】
前述のトンネルレインフォースメント2は、中程度の板厚(例えば0.8mm程度)のパネル体で成形した断面略コ字状の鞍形状部材で構成しており、トンネル部1Bの上面部11から側面部12下部までの全体を覆うように設置している。
【0033】
このようにトンネルレインフォースメント2を設置することで、トンネル部1B形状を確実に保持し、板厚が薄くさらにトンネル部1B高さも低い、本実施形態のようなトンネル部1Bであっても、トンネル部1Bの剛性を高めている。
【0034】
また、このトンネルレインフォースメント2の側部の前後方向略中央には、車両前後方向を長手とした略長方形形状の開口部5を穿設している。この開口部5を穿設した位置は、後述する第3クロスメンバ3との重合部分であり、この開口部5を穿設することで、第3クロスメンバ3を直接フロアパネル1のトンネル部1Bに接合できるように構成している。
【0035】
前述の第3クロスメンバ3,3は、比較的厚い(例えば1.6mm程度)剛性の高いパネル体で成形した下向き開放の断面略ハット状のメンバ部材で構成され、トンネル部1Bの左右両側位置において、それぞれ車幅方向に延びて、トンネル部1BとサイドシルSとを連結している(図5参照)。
【0036】
この第3クロスメンバ3,3を設けたことで、側突荷重がトンネル部1Bに伝達されやすくなり、サイドシルSの車体内方側への変形を抑えることができる。また、第3クロスメンバ3,3がフロアパネル1にも接合されることで、フロアパネル1の面剛性も高めることができる。
【0037】
前述の第3クロスレインフォースメント4も、比較的厚い(例えば1.6mm程度)剛性の高いパネル体で成形したハット状断面のメンバ部材で構成しており、トンネル部1B形状に沿って上方に隆起している。トンネル部1Bの内面(車外側)に接合することで、フロアパネル1を介して左右の第3クロスメンバ3,3を連結するように構成している(図6参照)。
【0038】
この第3クロスレインフォースメント4を設けることで、一方の第3クロスメンバ3から入力された側突荷重を他方の第3クロスメンバ3に伝達することができ、第3クロスメンバ3の側突対応力を高めて、車両の側突安全性能を高めることができる。また、トンネル部1B形状も保持できるため、加えてトンネル部1Bの剛性も高めることができる。
【0039】
こうした各部材を、それぞれ組み合わせて接合することで、本実施形態の車体フロアを構成することになる。次に、この車体フロアの組立て接合作業について説明する。
【0040】
まず、初めに、フロアパネル1上面のトンネル部1B上方に、トンネルレインフォースメント2を設置し、溶接ガン(図示せず)によって、周囲の接合フランジをスポット溶接して、トンネルレインフォースメント2をフロアパネル1に接合する。
【0041】
このトンネルレインフォースメント2の設置の際に、トンネル部1Bのクロスメンバ座部13に、トンネルレインフォースメント2の開口部5を嵌め合わすような形で両者を組み合わせることで、両者の位置決めを容易に行なうことができる。
【0042】
そして、次に、第3クロスメンバ3をトンネルレインフォースメント2の開口部5に合わせてフロアパネル1上に載置するとともに、第3クロスレインフォースメント4を、その下側に設置して、両者を接合フランジでフロアパネル1等にスポット溶接することで接合する。
以上の工程によって、本実施形態の車体フロアの組立て接合作業は完了する。
【0043】
なお、本実施形態では、このスポット溶接作業で組立て接合が完了するが、先願である、前述の特願2005−302569号の構造では、予め第3クロスメンバを先に接合しておかないと、第3クロスレインフォースメントを接合できないため、ここで、さらに、フロアパネル1を裏返してスポット溶接を行なう必要があり、工数が増加してしまうという問題がある。
そこで本実施形態では、接合フランジの形状や第3クロスレインフォースメント4の形状等を工夫することにより、その裏返し工程をなくしている。
【0044】
ところで、この接合作業で行われるスポット溶接とは、重ね合わせ抵抗溶接の一種であり、車体パネルを重ね合わせた状態で、溶接ガンの上下電極を車体パネルの溶接ポイントに合わせて、加圧状態で通電することにより、車体パネル間に接合金属(以下、ナゲット)を生成して、溶接を行なうものである。
【0045】
このスポット溶接では、一度に重合して接合するパネル枚数が増加すると、ナゲットを各パネル間に充分に生成できないおそれがあるため、原則2枚、多くても3枚までの重合状態で車体パネルを接合するのが望ましい。
【0046】
本実施形態の車体フロアでは、第3クロスメンバ3のトンネル部1B側の接合部位において、フロアパネル1を含め、第3クロスメンバ3、トンネルレインフォースメント2、第3クロスレインフォースメント4の計4部材、すなわち4枚の車体パネルを重ね合せる必要があり、そのまま接合すると4枚の車体パネルを接合しなければならない。
【0047】
そこで、本実施形態では、前述のようにトンネルレインフォースメント2に開口部5を形成することで、この接合部位でも、最大3枚重ねで接合できるようにしている。次に、この第3クロスメンバのトンネル部側の接合部位の詳細構造について、図3〜図12により説明する。
【0048】
図3はこの接合部位の詳細斜視図、図4は接合部位の平面図、図5は図1のA−A線矢視断面図、図6は図3のB−B線矢視断面図、図7は図4のC−C線矢視断面図、以下同様に、図8がD−D線、図9がE−E線、図10がF−F線、図11がG−G線、図12がH−H線の矢視断面図である。なお、各図のINは車室内方、OUTは車室外方を示す。
【0049】
図3及び図4に示すように、この第3クロスメンバ3のトンネル部1B側の接合部位では、前述のトンネルレインフォースメント2に形成した開口部5を貫通して第3クロスメンバ3を直接トンネル部1Bのクロスメンバ座部13に接合している。
【0050】
第3クロスメンバ3の車幅方向内側端部には、クロスメンバ座部13に接合されるトンネル接合フランジ31が形成され、下側端部には、フロアパネルの平面部1Aに接合される平面接合フランジ部32を形成している。
【0051】
また、トンネルレインフォースメント2には、その側端部にフロアパネルの平面部1Aと接合される車両前後方向に延びる平面延出部21を形成している。この平面延出部21は第3クロスメンバ3の下側に位置する部分も含めて車両前後方向に延びるように形成している。
【0052】
また、トンネルレインフォースメント2の開口部5の周縁には、車室内方側(車幅方向外方側且つ上方側)に隆起する段部51を形成している。この段部51を形成することで、開口部5を設けたことによる剛性低下を補っている。
【0053】
また、この段部51は、そのまま車両後方側に延びて、図示しないシートを取付けるシート取付け部6の周囲をほぼ取り囲むように構成している(61)。これにより、シート取付け部6の剛性も高めている。
【0054】
なお、フロアパネル1のトンネル部1Bも、同様にクロスメンバ座部13から車両後方側に連なってシート取付け段部14を隆起形成している(図2参照)。このシート取付け段部14を形成することで、フロアパネル1には、車両前後方向に延びるビード状の段部(13,14)がトンネル部1Bの側面部12に形成されることになるため、車両前突時の車両前後方向の荷重に対して剛性を高めることができる。
【0055】
フロアパネル1の下面には、第3クロスレインフォースメント4を接合している(図3、図4で破線で示す)。この第3クロスレインフォースメント4も、第3クロスメンバ3の接合位置に対応して、前後の接合フランジ41,42(図2参照)でフロアパネル1に接合されている。また、前述のシート取付け部6も含めて補強するため、車両後方側に延びる延出部43を設けている。
【0056】
この第3クロスメンバ3の車幅方向内方側の接合部位では、合計7箇所の接合ポイントで(但し、そのうち1箇所は、直接第3クロスメンバ3を接合していない)、第3クロスメンバ3、第3クロスレインフォースメント4、トンネルレインフォースメント2、それとフロアパネル1の接合を行っている。便宜上、各接合ポイントには、「イ」〜「ト」の符号を付して説明する。
【0057】
第3クロスメンバ3のトンネル部1B側の接合ポイントは、図3に示すように、トンネル接合フランジ31の「イ」と「ロ」の二箇所に設定しており、平面部1A側の接合ポイントは、平面接合フランジ32の「へ」と「ト」に設定している。また、トンネルレインフォースメント2との接合ポイントは、平面接合フランジ32の「ハ」と「ニ」に設定して、トンネルレインフォーメント2のフロアパネルの平面部1Aへの接合ポイントは、「ホ」に設定している。
【0058】
これらの接合ポイントは、前述のように、予め、トンネルレインフォースメント2をフロアパネル1に接合した後に、フロアパネル1の上方から第3クロスメンバ3を載置して、フロアパネル1の下側に第3クロスレインフォースメント4を設置した後に、溶接ガンでスポット溶接を行なうように構成している。
【0059】
まず、図6に示すように、「イ」と「ロ」の接合ポイントでは、フロアパネル1(トンネル部1B)を介して、直接第3クロスメンバ3(トンネル接合フランジ31)が第3クロスレインフォースメント4(前後の接合フランジ41,42)と接合されており、第3クロスメンバ3、フロアパネル1、及び第3クロスレインフォースメント4の3部材(3枚)で接合を行なうように構成している。
【0060】
また、図7に示すように、「ハ」の接合ポイントでは、フロアパネル1(平面部1A)に第3クロスメンバ3(平面接合フランジ32)とトンネルレインフォースメント2(平面延出部21)を接合している。すなわち、この「ハ」の接合ポイントでは、第3クロスレインフォースメント4に円形の開口44(図3参照)を形成し、この開口44を通じて、第3クロスレインフォースメント4以外の3部材を接合するように構成している。
【0061】
また、図8に示すように、「ニ」の接合ポイントでも、フロアパネル1(平面部1A)に第3クロスメンバ3(平面接合フランジ32)とトンネルレインフォースメント2(平面延出部21)を接合している。すなわち、この接合ポイントでも、第3クロスレインフォースメント4に半円状の切欠き45(図3参照)を形成し、この切欠き45を通じて、第3クロスレインフォースメント4以外の3部材を接合するように構成している。
【0062】
次に、図9に示すように、「ホ」の接合ポイントでは、フロアパネル1(平面部1A)に第3クロスレインフォースメント4(延出部43)とトンネルレインフォースメント2(平面延出部21)を接合している。すなわち、この「ホ」の接合ポイントでは、「ハ」の接合ポイントとは逆に、第3クロスメンバ3に半円状の切欠き33(図3参照)を形成し、この切欠き33を通じて、第3クロスメンバ3以外の3部材を接合するように構成している。
【0063】
さらに、図10に示すように、「へ」の接合ポイントでは、「イ」や「ロ」の接合ポイントと同様に、フロアパネル1(平面部1A)を介して、第3クロスメンバ3(平面接合フランジ32)を第3クロスレインフォースメント4(接合フランジ42)に接合している。この接合ポイントでは、トンネルレインフォースメント2がないため、そのまま、第3クロスメンバ3、フロアパネル1、第3クロスレインフォースメント4の3部材を接合している。
【0064】
最後に、図11に示すように、「ト」の接合ポイントでも、フロアパネル1(平面部1A)を介して、第3クロスメンバ3(平面接合フランジ32)を第3クロスレインフォースメント4(接合フランジ41)に接合されている。この接合ポイントでも、トンネルレインフォースメント2がないため、そのまま、第3クロスメンバ3、フロアパネル1、第3クロスレインフォースメント4の3部材を接合している。
【0065】
以上のように、各接合ポイントは、4部材を重ね合わせつつも、全て3部材(3枚)ごとに接合されるため、スポット溶接のナゲット生成不良による溶接不良の発生を防止できる。
【0066】
本実施形態では、特にトンネルレインフォースメント2に開口部5を設けて、3部材を接合しているため、車両前突時、車両前後方向の荷重が作用した場合でも、トンネルレインフォースメント2に、口開き変形が生じるおそれがない。
【0067】
また、図4に示すように、接合ポイントの「ハ」、「ホ」及び「へ」は、各接合ポイントを近接して設けている。このため、第3クロスメンバ3、第3クロスレインフォースメント4、トンネルレインフォースメント2、それとフロアパネル1の4部材が直接接合されていなくても、直接接合されたのと同等の接合強度を得ることができる。
【0068】
また、接合ポイントの「ハ」〜「ト」は、車幅方向において互い違いに所定間隔(図4のs1〜s4参照)をおいて千鳥状にオフセット配置している。このため、側突荷重を受けた際には、各接合ポイントの剥離していくタイミングがずれることになり、衝突荷重に対する車体の耐力を高めることができる。
【0069】
この他の接合ポイントとしては、図3に示すように、「ホ」の車両後方側においてフロアパネル1及び第3クロスレインフォースメント4に接合する接合ポイント「チ」を設定している。この「チ」を設定したことにより、第3クロスレインフォースメント4をフロアパネル1に、より強固に接合できる。
【0070】
また、シート取付け部6の周囲にも、第3クロスレインフォースメント4に接合する接合ポイント「リ」4箇所設定している。この接合ポイント「リ」を設けたことにより、シートの取付け剛性を高めることができる。
【0071】
ところで、フロアパネル1のクロスメンバ座部13は、車室内方側に隆起しているが、図12に示すように、トンネルレインフォースメント2の開口部5周囲の段部51よりも車室内方側に大きく隆起するように設定している。
【0072】
このため、第3クロスメンバ3をフロアパネル1上方から載置する際に(仮想線で示す)、第3クロスメンバ3がトンネルレインフォースメント2の開口部5周縁に干渉するのを避けつつも、クロスメンバ座部13に第3クロスメンバ3のトンネル接合フランジ31を接合させることができる。
【0073】
次に、以上のように構成された本実施形態の作用効果について、詳述する。
この実施形態の車両の底部車体構造は、トンネルレインフォースメント2に、第3クロスメンバ3と重合する部分を切り抜いた開口部5を形成するとともに、その開口部5において第3クロスメンバ3を、フロアパネル1を介して第3クロスレインフォースメント4に接合したものである。
【0074】
この構成によれば、第3クロスメンバ3と第3クロスレインフォースメント4が、トンネルレインフォースメント2に形成した開口部5においてフロアパネル1を介して接合されることになる。このため、トンネルレインフォースメント2、第3クロスメンバ3、第3クロスレインフォースメント4、及びフロアパネル1の4部材が重合する部分であっても、3枚重ねで接合することができる。また、トンネルレインフォースメント2は、開口部5を形成しているだけなので、車両前倒時に、車両前後方向の荷重が入力された際でも、切欠部を設けた場合のように、口開き変形が生じるおそれもない。
【0075】
よって、トンネルレインフォースメント2の口開き変形のおそれをなくしつつ、3枚重ねで接合することで確実に4部材の接合を行なうことができ、トンネル部1B近傍の剛性を高めることができる。
【0076】
なお、本実施形態の開口部5は、第3クロスメンバ3の重合部分を全てを穿設したが、他の構造として、重合部分の一部を穿設するように構成したものであってもよい。
また、開口部5の形状も、本実施形態のように長方形形状に限られるものではなく、円形状等であってもよい。
【0077】
また、この実施形態では、第3クロスメンバ3を、前記トンネルレインフォースメント2の外端部よりも車幅方向外方位置の接合ポイント「へ」「ト」で、フロアパネル1を介して、第3クロスレインフォースメント4に接合している。このため、第3クロスメンバ3は、トンネルレインフォースメント2を跨ぐようにして、フロアパネル1を介して、第3クロスレインフォースメント4に接合されることになる。
【0078】
よって、第3クロスメンバ3は、トンネルレインフォースメント2を介在させることなく、直接、側突荷重を、第3クロスレインフォースメント4に伝達することができる。よって、側突荷重の伝達性をより高めることができ、車両の側突安全性能を高めることができる。
【0079】
また、この実施形態では、第3クロスメンバ3の車幅方向外方位置における接合ポイント「へ」「ト」を、車幅方向で互いにオフセットするように設定している。このため、側突荷重が入力された際に、第3クロスメンバ3の車幅方向外方位置の剥離ポイントが、前後位置で互い違いにずれることになり、側面衝突時における第3クロスメンバ3のフロアパネル1からの剥離が抑制されて、側突荷重の伝達性が高まり、車両の側突安全性能を高めることができる。
【0080】
また、この実施形態では、フロアパネル1に、トンネルレインフォースメント2の開口部5に対応して車室内方側へ隆起するクロスメンバ座部13を形成しているため、クロスメンバ座部13の剛性を他のフロアパネル1の部位よりも高くすることができる。また、トンネルレインフォースメント2をフロアパネル1へ組み付ける際に、開口部5をクロスメンバ座部13に合わせるだけで、容易に位置決めを行なうことができる。よって、第3クロスメンバ3の取付け剛性も高めることができ、また、トンネルレインフォースメント2のフロアパネル1への組付け性も高めることができる。
【0081】
また、この実施形態では、フロアパネル1のクロスメンバ座部13の近傍に、シート取付け部6を設定し、クロスメンバ座部13の隆起を、そのシート取付け部6に連続するように形成している。このため、シート取付け部6の剛性も他のフロアパネル1の部位よりも高くすることができ、クロスメンバ座部13だけでなく、シート取付け部6の取付け剛性も高めることができる。
【0082】
また、この実施形態では、クロスメンバ座部13とシート取付け部6を車両前後方向に並べて配置しているため、フロアパネル1には、車両前後方向に延びるようにビード状の隆起部が形成されることになり、フロアパネル1の車両前後方向剛性も高めることができる。
【0083】
また、この実施形態では、トンネルレインフォースメント2の開口部5周縁に、車室内方側へ隆起する段部51を形成している。このため、開口部5周縁の剛性を高めることができ、開口部5を形成したことによる剛性低下を補うことができ、トンネルレインフォースメント2の高い剛性を維持することができる。
【0084】
また、この実施形態では、フロアパネル1のクロスメンバ座部13の隆起を、トンネルレインフォースメント2の開口部5周縁の段部51の隆起よりも大きく設定し、クロスメンバ座部13が開口部5の縁部よりも車室内方側に位置するように設定している。このため、第3クロスメンバ3をフロアパネル1上方位置から載置してフロアパネル1に組み付ける際に、開口部5の縁部が第3クロスメンバ3と干渉することがなく、第3クロスメンバ3を容易に組付けることができ、確実に第3クロスメンバ3をクロスメンバ座部13に接合することができる。よって、開口部5の縁部に段部51を形成しても、確実に第3クロスメンバ3をクロスメンバ座部13に接合できる。
【0085】
また、この実施形態では、第3クロスレインフォースメント4の車幅方向外端部に、切欠き45や開口44を形成して、その切欠き45や開口44の部位において、第3クロスメンバ3をトンネルレインフォースメント2を介してフロアパネル1に接合している。このため、トンネルレインフォースメント2の車幅方向外端部がフロアパネル1と第3クロスメンバ3に確実に接合されて、車両の側面衝突時にフロアパネル1から浮き上がって剥離するのが抑止される。よって、トンネルレインフォースメント2の側突対応力を高めることができ、車両の側突安全性能をより向上することができる。
【0086】
なお、この切欠き45や開口44は、第3クロスレインフォースメント4の剛性低下を招かなければ、どのような形状であっても、又いくつ設けてもよい。また、一方のみを設けてもよい。
【0087】
以上、この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明のトンネル補強部材は、トンネルレインフォースメント2に対応し、
以下、同様に、
クロスメンバは、第3クロスメンバ3に対応し、
クロスメンバ補強部材は、第3クロスレインフォースメント4に対応し、
車載装備品取付け部は、シート取付け部6に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる車両の底部車体構造に適用する実施形態を含むものである。
【0088】
なお、他の実施形態としては、具体的には図示しないが、例えば、トンネルレインフォースメントを、直線状に延びるメンバ形状の部材で構成したものあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明が採用された車体フロアの全体斜視図。
【図2】車体フロアを構成する各部材の分解斜視図。
【図3】接合部位の詳細斜視図。
【図4】接合部位の平面図。
【図5】図1のA−A線矢視断面図。
【図6】図3のB−B線矢視断面図。
【図7】図4のC−C線矢視断面図。
【図8】図4のD−D線矢視断面図。
【図9】図4のE−E線矢視断面図。
【図10】図4のF−F線矢視断面図。
【図11】図4のG−G線矢視断面図。
【図12】図4のH−H線矢視断面図。
【符号の説明】
【0090】
1…フロアパネル
1A…平面部
1B…トンネル部
2…トンネルレインフォースメント(トンネル補強部材)
3…第3クロスメンバ(クロスメンバ)
4…第3クロスレインフォースメント(クロスメンバ補強部材)
5…開口部
6…シート取付け部(車載装備品取付け部)
13…クロスメンバ座部
44…開口
45…切欠き
51…段部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルが、平面部と車幅方向略中央で車両前後方向に延びるように上方に膨出形成されたトンネル部とを有し、前記フロアパネル上には、トンネル部の上部から平面部にかけて位置して該トンネル部を補強するトンネル補強部材と、前記トンネル部から車幅方向外方側へ延びる左右のクロスメンバとを配置し、前記フロアパネル下には、車幅方向に延びてフロアパネルを介して前記左右のクロスメンバ間を連結するクロスメンバ補強部材を配置した車両の底部車体構造であって、
前記トンネル補強部材に、前記クロスメンバと重合する部分を切り抜いた開口部を形成するとともに、
該開口部において前記クロスメンバを、フロアパネルを介して前記クロスメンバ補強部材に接合した
車両の底部車体構造。
【請求項2】
前記クロスメンバを、前記トンネル補強部材の車幅方向外端部よりも車幅方向外方位置において、フロアパネルを介してクロスメンバ補強部材に接合した
請求項1記載の車両の底部車体構造。
【請求項3】
前記クロスメンバの車幅方向外方位置におけるクロスメンバ補強部材との接合ポイントを車両前後位置に複数設定し、
該接合ポイントが車幅方向で互いにオフセットするように設定した
請求項2記載の車両の底部車体構造。
【請求項4】
前記フロアパネルに、前記トンネル補強部材の開口部に対応して車室内方側へ隆起するクロスメンバ座部を形成した
請求項1〜3いずれか一項記載の車両の底部車体構造。
【請求項5】
前記フロアパネルのクロスメンバ座部の近傍に、車載装備品取付け部を設定し、
該クロスメンバ座部の隆起を、該車載装備品取付け部に連続するように形成した
請求項4記載の車両の底部車体構造。
【請求項6】
前記トンネル補強部材の開口部の縁部を、車室内方側へ隆起するように形成した
請求項4又は5記載の車両の底部車体構造。
【請求項7】
前記フロアパネルのクロスメンバ座部の隆起を、前記トンネル補強部材の開口部の縁部の隆起よりも大きく設定し、
該クロスメンバ座部が該開口部の縁部よりも車室内方側に位置するように設定した
請求項6記載の車両の底部車体構造。
【請求項8】
前記クロスメンバ補強部材を、前記フロアパネルの平面部と重合する位置まで延設するとともに、
該クロスメンバ補強部材の外端部に、フロアパネルの平面部と重合する部位において切欠き又は開口を形成して、
該切欠き又は開口の部位において、クロスメンバをトンネル補強部材を介してフロアパネルに接合した
請求項1〜7いずれか一項記載の車両の底部車体構造。
【請求項1】
車両のフロアパネルが、平面部と車幅方向略中央で車両前後方向に延びるように上方に膨出形成されたトンネル部とを有し、前記フロアパネル上には、トンネル部の上部から平面部にかけて位置して該トンネル部を補強するトンネル補強部材と、前記トンネル部から車幅方向外方側へ延びる左右のクロスメンバとを配置し、前記フロアパネル下には、車幅方向に延びてフロアパネルを介して前記左右のクロスメンバ間を連結するクロスメンバ補強部材を配置した車両の底部車体構造であって、
前記トンネル補強部材に、前記クロスメンバと重合する部分を切り抜いた開口部を形成するとともに、
該開口部において前記クロスメンバを、フロアパネルを介して前記クロスメンバ補強部材に接合した
車両の底部車体構造。
【請求項2】
前記クロスメンバを、前記トンネル補強部材の車幅方向外端部よりも車幅方向外方位置において、フロアパネルを介してクロスメンバ補強部材に接合した
請求項1記載の車両の底部車体構造。
【請求項3】
前記クロスメンバの車幅方向外方位置におけるクロスメンバ補強部材との接合ポイントを車両前後位置に複数設定し、
該接合ポイントが車幅方向で互いにオフセットするように設定した
請求項2記載の車両の底部車体構造。
【請求項4】
前記フロアパネルに、前記トンネル補強部材の開口部に対応して車室内方側へ隆起するクロスメンバ座部を形成した
請求項1〜3いずれか一項記載の車両の底部車体構造。
【請求項5】
前記フロアパネルのクロスメンバ座部の近傍に、車載装備品取付け部を設定し、
該クロスメンバ座部の隆起を、該車載装備品取付け部に連続するように形成した
請求項4記載の車両の底部車体構造。
【請求項6】
前記トンネル補強部材の開口部の縁部を、車室内方側へ隆起するように形成した
請求項4又は5記載の車両の底部車体構造。
【請求項7】
前記フロアパネルのクロスメンバ座部の隆起を、前記トンネル補強部材の開口部の縁部の隆起よりも大きく設定し、
該クロスメンバ座部が該開口部の縁部よりも車室内方側に位置するように設定した
請求項6記載の車両の底部車体構造。
【請求項8】
前記クロスメンバ補強部材を、前記フロアパネルの平面部と重合する位置まで延設するとともに、
該クロスメンバ補強部材の外端部に、フロアパネルの平面部と重合する部位において切欠き又は開口を形成して、
該切欠き又は開口の部位において、クロスメンバをトンネル補強部材を介してフロアパネルに接合した
請求項1〜7いずれか一項記載の車両の底部車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−153012(P2007−153012A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347799(P2005−347799)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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