説明

車両の衝突回避システム又は衝突軽減システム及びこれらを動作させるための方法

本発明は、車両(10)の衝突軽減システムの衝突回避システムを動作させるための方法に関する。車両(10)と潜在的な衝突対象物(11、20)との間の現在の走行間隔が検出され、第1の閾値(12)に達すると、第1の警告及び/又は通知機能が作動する。本発明によれば、第2の閾値(13)に達すると、自動的な部分制動と少なくとも1つの更なる安全措置との組合せを備えたシステム介入が開始される。本発明はまた、車両の衝突回避システム又は衝突軽減システムにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前段に記載の車両の衝突回避又は衝突軽減システムを動作させるための方法、及び衝突回避又は衝突軽減システムに関する。
【背景技術】
【0002】
距離及び速度制御用のシステムとして、危険な場合に制動操作に介入するだけでなく追突を予測することで、乗員の危険性を最小限に抑えるシステムが広く知られている。この所謂「衝突軽減システム(CMS)」では、潜在的な衝突対象物との衝突の可能性がある場合は、必要とされるあらゆる対策が事前に自動的に開始される。このため、公知のCMSは走行条件、先行車両との距離、及び相対速度を基に衝突の確率を算出する。必要に応じて、CMSは衝突を回避するために単独で介入する。このシステムが介入するタイミングは、必要な所望の減速度及び運転者の反応時間を基準としている。公知のCMSでは、システムの介入に先立ち、視覚的及び/又は可聴式の警告機能が作動する。ただし、このシステムでは、車両運転者のために付加的な安全保護機能は使用されていない。
【0003】
特許文献1によれば、例えば、プリテンショナーとして構成されており衝突前に所定の予備締付け力をもたらす制御可能なベルトテンショナーが、車両と衝突対象物との予想される衝突に対処する安全保護機能として公知である。実際の衝突の場合には、更に強い張力をもたらす第二のベルトテンショナーが機能する。
【0004】
【特許文献1】独国特許発明第44 11 184 C2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、車両の衝突回避又は衝突軽減システムを動作させるための進化した方法、及び改良された関連の衝突回避又は衝突軽減システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記目的は独立請求項の特徴によって達成される。
【0007】
本発明に係る方法では、車両と潜在的な衝突対象物との間の現在の走行間隔が検出され、第1の閾値に達すると第1の警告機能及び/又は通知機能が作動し、第2の閾値に達すると自動的な部分制動と少なくとも1つの更なる安全措置との組合わせを備えたシステム介入が開始される。結果として、衝突回避システムは有利により高い安全性を提供する。その理由は、本発明によれば、すでに公知の警告機能とは別に、事実上のシステム介入が実施される前であっても部分制動が提供されるからである。加えて、更に時間的に危機的な状況になると、部分制動と組み合わされたアクティブセーフティ機能によって車両乗員はさらに警告を与えられる。
【0008】
本発明の有利な実施形態及び利点については、本明細書及び他の請求項に見出すことができる。
【0009】
第1の警告機能及び/又は通知機能として、例えば、可聴式警告信号(例えば注意を引くトーン/サウンド、音声出力、又は操作を促す勧告等)又は視覚的警告信号(例えば光信号)を出すことができる。更に、視覚的警告信号(例えばディスプレイに操作の指示を表示、又はディスプレイに車両及び障害物を表現)又は触覚的警告信号(例えばステアリングホイールの振動又は揺さぶり)も可能である。触覚的警告信号はベルト引込みとすることも可能である。これにより、切迫した危険な状態にあることが車両運転者に至急警告される。
【0010】
更なる安全措置として、例えばベルト締付けの形式で安全保護機能として設計された乗員の拘束が行われることが好ましい。部分制動及びベルト締付けは、車両運転者に警告を与えるだけでなく、運転者が反応する前に衝突エネルギーを弱める働きをする。
【0011】
本発明の好適な実施形態では、自動的な制動介入を、衝突回避に必要な減速度の大きさを下回る値に減少させることができる。これの利点は、衝突回避システムが「距離アシスタント」として誤用されることがないこと、予想される衝突の回避においては車両運転者の機敏さの程度が予め推定されていることにある。部分制動が、例えば衝突回避に必要な減速度の最大約90%に当たる制動加速度(減速度)で実施される。
【0012】
加えて、部分制動の制動加速度は、速度に応じて事前に決定されている最大限度を常に下回るように制限される。走行速度が遅いときは、走行速度が速い場合よりも、制動加速度の限度を大きく設定できる。例えば、約50km/hまでの走行速度では約−4m/sの制動加速度、約150km/hまでの走行速度では約−3m/sの制動加速度、約250km/hまでの走行速度では約−2m/sの制動加速度を限度値として設定できる。
【0013】
衝突回避又は衝突軽減のためのシステム介入は、車両運転者の要求に応じて停止され得る自動的な制動介入及び/又は自動的なステアリング介入として設計できる。例えば、システム介入は、車両運転者が作動させる緊急制動によって停止させることができる。システム介入の停止に対して、ブレーキペダル工程及びブレーキペダル速度から算出される閾値を設定することも実現可能であり、例えば、ペダル工程の少なくとも50%に達したときとすることができる。改良されたシステムでは、短い制動又は急な制動事象(例えば、車両運転者が先行車両に迫っているが追い越しレーンがまだ空いていないとき追い越し直前に行う)が阻止される場合がある。車両運転者によって引き起こされる加速によって、及び/又は大きなステアリング操作(例えば大きい又は急なステアリングホイールの偏向)によっても、システム介入は終了する。システム介入が停止したときは、可聴式及び/又は視覚的な距離警告だけが適宜発生する。運転者がアクセルを踏み込むか、制動をゆるめるか、又は舵をきることにより他の衝突回避を選択した場合は、衝突回避又は衝突軽減システムを有利に直感的に停止することができる。いずれの場合も同一の評価基準に基づく調和した衝突警告が有利に連続的な均一システムを実現する。
【0014】
本発明はまた、車両の衝突回避又は衝突軽減システムに関する。本発明に係る衝突回避又は衝突軽減システムでは、周囲を検出するセンサ、例えばレーダー、ライダー(光検出及び測距)、ビデオセンサ、及び/又は超音波センサ等が、車両と潜在的な衝突対象物との現在の走行間隔を検出するための手段として提供されるのが好ましい。周囲センサは特に、約9度の開口角で約7〜150mの検知範囲を有利に保証できる77GHzレーダーセンサとして構成されることが好ましい。他の実施形態では、約45度の開口角で約0.1〜30mの検知範囲を保証できる2つの24GHzレーダーセンサを代替又は追加で構成できる。これらのセンサを使用することにより、同一センサ構成を有する公知の走行間隔制御装置の場合と比べて、より確実な対象物の検出を有利に達成できる。この手段によって同じ対象物が有利に検出されるが、加えて従来のセンサの場合にはほとんど検出されない又はめったに検出されない静止対象物、又は頻繁に検出される又は誤って検出される静止対象物を観測することもできる。本発明によれば、対象物の検出能力を高める目的のもと、無作動又は誤作動の危険性を軽減することができ、実際には、例えば、車両運転者の反応時間も状況認識のために利用される。
【0015】
提供されたセンサを使用することにより、カーブの多い道路又は複数レーンの道路であっても対象物を長い間確実に認識できる。これらのセンサを使用することでより細いレーンの要件を満たすことができるので、例えば、運転者のカッティングインを許容し、運転者のムービングアウトを早めに免除できる。更に、静止対象物がすでに移動されている場合は、それらを有利に考慮に入れることが可能である。例えば、停止前に連続して検出されていた車両が交通信号で停止した場合、その静止している車両を考慮に入れることができる。又は、不動の対象物がセンサによって予め特に確実に検出されている場合、約72km/h未満の自車速度で、その不動の対象物を考慮に入れることができる。概して、危険な状況の場合でも、センサシステムにより信頼性の高い解釈及びインテリジェントな状況解析が有利に実現される。
【0016】
対象物の誤配置又は汚損の危険がある場合、センサの信頼性がその限界に達する可能性がある。
【0017】
周囲検出センサは、車両の周囲の状況が実際にどのような状態にあるかを検出するために必要な情報を提供する。周囲検出センサを使用して、車両と車両周囲内に存在する障害物との間の距離が算出される。このプロセスでは、該当する潜在的な衝突対象物が選択され、「タイムツーアボイド」及び「タイムツーブレーキ」評価基準によって特定の時点での衝突の危険性が評価される。「タイムツーアボイド」は、潜在的な衝突対象物との衝突をこの後、回避操作によって防止するために車両運転者に残された期間から成り、「タイムツーブレーキ」は、潜在的な衝突対象物との衝突をこの後、制動操作によって防止するために車両運転者に残された期間から成る。これらの要因を周囲検出センサで記録されたデータに併せて、状況評価を行うことができる。これにより、事故の危険が迫っている状況を正確に予測できる。
【0018】
本発明に係る衝突回避又は衝突軽減システムは、状況の評価及び車両状態の解釈の結果を基に有利に作動する。車両状態の解釈を使用して、特定の時点での車両状態を検出できる。このために、公知の走行間隔制御装置の距離警告機能が使用される。走行間隔制御装置は、レーダーによって先行車両を認識し、その距離と速度を検出する。センサによって進路前方に障害物がないことが示されると、車両は車両運転者によって要求された走行速度まで自動的に加速する。走行間隔制御装置は、交通の流れの中で適切な速度を予測して選択し、各々の状況に速度を適合させることができる。この構成において、走行間隔制御装置は常に先行車両との距離を適切に保つことができる。本発明に係る方法は、公知の走行間隔制御装置の機能に加えて、安全保護機能を有利に作動させる。この構成では、解析制御装置は衝突回避のために必要な所望の減速度の値を出力することができる。この値は、車両と潜在的な衝突対象物との間の距離と、相対速度によって算出される。相対速度は、車両が潜在的な衝突対象物に接近している速度である。
【0019】
概して、起動された衝突回避及び衝突軽減システムは、特に有利な段階的な安全保護機能を提供する。この機能は、車両運転者の反応に応じて直感的に停止可能である。車両運転者が単独でブレーキをかけると、本発明に従って開発された自動的な制動支援システムへと有利に移行し、自動的な制動支援システムがベルト締付け等の更なる安全措置と一緒に実行される。
【0020】
以下では、図面に示された例示的な実施形態を参照しながら発明について更に詳細に説明する。図面、明細書、及び特許請求の範囲には組合せで多くの機能が含まれている。これらの機能はまた、適宜当事者によって個別に検討され、更なる適切な組合せを形成する。
【0021】
図は全て、概略図で示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図面においては、同じ要素又は本質的に変わらない要素には、同じ参照符号が付けられている。
【0023】
図1は、本発明に係る方法の状況評価を図示したものである。本発明に係る衝突回避システムCMSを装備した車両10は、車両11として構成された衝突の可能性がある対象物の後部に接近している。車両10と車両11は両方とも同じレーン19に位置している。車両10は、車両11とほぼ同じ方向21に走行している。時点16において、車両10の公知の距離警告システムは、約−2m/sの制動加速度での制動によって衝突を回避するための予想限界時間を示す。
【0024】
ラインTTBは、衝突を回避するフル制動を開始するための限界時間を示す。従って特定の時点からTTBまでの時間間隔は、緊急制動によって車両11との衝突を回避するために車両10の運転者に残されたタイムツーブレーキを示す。ラインTTAは、衝突を回避する回避操作を開始するための限界時間を示す。従って特定の時点からTTAまでの時間間隔は、回避操作によって潜在衝突対象物11との衝突を回避するために車両10の運転者に残されたタイムツーアボイドを示す。潜在的な衝突対象物がほぼ同じ速度で走行している場合、即ち、後の回避操作で衝突をまだ回避できる場合、時間TTBは時間TTAに先行する。衝突対象物が停止している場合は、時間の配置が逆になる可能性がある。即ち、この配置では時間TTAが時間TTBに先行する可能性がある。この時間配置は、図1には示されていない。
【0025】
概して、本発明に係る衝突回避又は衝突軽減システムの状況評価基準は、衝突をまだ回避可能かどうかに関しては、車両運転者の予想される最も遅い反応時間17となる。これは、上記の状況に応じて時間TTAにも時間TTBにもなり得る。
【0026】
周囲検出センサ14によって検出された入力データを基に状況が評価される。このために、対象物の情報によって、例えば潜在的な衝突対象物11からの距離、相対速度、及び加速度が明らかになる。同様に、自車の運動(例えば自車の速度や加速度等)に関するデータも検出される。入力データから時間TTA及びTTBを求めることにより、衝突の危険度が算出される。同時に、衝突を回避するために要求される物理的に必要な均一な減速度(a_phys)が算出される。本発明によれば、部分制動は物理的に必要な均一な減速度(a_phys)の最大90%の制動加速度(減速度)で実行される。制動加速度の最大限度は、速度に応じて事前に決定されている。走行速度が遅いときは、走行速度が速い場合よりも、制動加速度の限度が大きく設定される。例えば、約50km/hまでの走行速度では約−4m/sの制動加速度、約150km/hまでの走行速度では約−3m/sの制動加速度、約250km/hまでの走行速度では約−2m/sの制動加速度を限度値として設定できる。このため、部分制動によって達成可能な最大制動加速度は自車の速度によって異なり、いずれの場合も衝突を回避するために物理的に必要な均一な減速度(a−phys)の大きさを常に下回る。
【0027】
当然ながら、運転者がより大きな減速を必要としない、即ち、運転者がアクティブブレーキ操作による限界を克服できる範囲にのみ、制動加速度は限られる。
【0028】
反応時間17に対して定義された第1の閾値12に達すると、第1の警告機能及び/又は通知機能が作動する。警告は視覚的及び/又は可聴式であることが好ましい。また、ベルト引込みの形態等、触覚による警告も可能である。
【0029】
第2の閾値13は、反応時間17に対して定義されており、第1の閾値12よりも反応時間17に接近している。この第2の閾値13に達すると、追突の危険度が非常に高い状況にあるとみなされ、自動的な部分制動と更なる安全措置(例えばベルト締付けによる乗員拘束)とが組み合わされた形式でシステム介入が行われる。第2の閾値13は、例えば、予想される最も遅い反応時間17より約1.4秒手前にある。第1の閾値12は、第2の閾値13より少なくとも約1秒、好ましくは0.8秒手前にある。
【0030】
本発明によれば、衝突回避又は衝突軽減システムは車両運転者によって停止され得る。車両運転要素の操作(特にブレーキペダル、アクセルペダル、ステアリングホイールを介した)の形式で、及び自車の運動(速度や加速度)に関する情報の形式でデータが入力されなければならない。運転者停止基準が決定され、ステアリング操作に関して停止条件が決定される。また、警告当初と比べて車両運転者のブレーキの踏み込みが弱いかどうか、警告当初に比べて運転者のアクセルの踏み込みが大きいかどうか、更には、緊急事態の表れとみなされるべき「キックダウン」が行われたかどうかも判定される。組み込まれているメニューにおいて対応する機能がオフにされた場合も停止の評価基準が満足される。上記の評価基準の1つが満足されると、停止信号が運転者に出力される。
【0031】
図2は衝突回避システムの機能を表現したものである。車両10は静止状態にある潜在的な衝突対象物20との衝突進路上に位置している。図2は、本発明に係る装置を備えた自動車10が衝突の3秒よりも前に通常走行しているときの空間的位置を示したものである。「衝突前段階」、つまり衝突前の約1秒未満の間には、車両10’が示されている。図2は、通常走行から、警告段階(システム介入が存在していない場合、予想される衝突の約2〜3秒前)、サポート段階(衝突の約1〜2秒前)、衝突前段階(衝突前の約1秒以内)を介した推移を図示する。警告段階は事故回避のために使用され、一方、サポート及び衝突前段階の間に開始される措置は事故の激しさを軽減するために使用される。
【0032】
車両10は、車両10と潜在的な衝突対象物20との間の現在の走行間隔を検出するための手段14(周囲検出センサとして構成されている)を備えている。特に、これらは、2個の24GHzレーダーセンサ及び/又は1個の77GHzレーダーセンサである。
【0033】
第1の閾値12に達すると、第1の警告機能及び/又は通知機能を出力するための手段15が作動する。
【0034】
追突の危険度が非常に高い状況を識別するために、周囲検出センサによって状況評価が実行される。状況評価の個々の評価基準は、図1を参照しながら説明済みである。
【0035】
更に、車両の状況解釈が実行される。車両の状況解釈の決定要因は、特に、自車の運動(自車の速度及び加速度)、通知及び/又は警告信号のアクティブ化、停止信号、対象物の情報、及び物理的に必要な均一の減速度(a_phys)である。計算によって、車両10が衝突対象物20に接近しているかどうかの車両の状況解釈が実行される。加えて、物理的に必要な減速の大きさが事前に決定された閾値(例えば2.5m/s)を上回っているかどうか、即ち、物理的に必要な減速度の大きさが自動的な制動介入を正当化するのに十分大きな値かどうかが判定される。対照的に、必要な減速の大きさが閾値を下回っているときは、運転者自身が楽な制動で減速を生じさせることができ、自動的な制動介入が必要ないとみなされる。加えて、最小期間、例えば0.8秒の間、通知及び警告信号がアクティブにされる。更に、停止条件のいずれも満たされていないかどうかがチェックされる。全ての評価基準が満たされると、車両状況解釈に関する信号が出力され、自動的な制動介入が許可されるべき車両状況が存在するかどうかを明示する。
【0036】
これらのデータは評価ユニットにより取得される。該評価ユニットは、解析制御装置による自車の運動及び対象物情報に関する入力データを使用して、自車瞬間速度に依存する対象物からの距離を修正するために必要な所望の減速度を計算する。出力信号として、制御装置は計算された所望の減速度を出力する。この所望の減速の値は、上記したように、距離アシスタントの役割を果たす衝突回避システムの誤用を排除するために制限される。
【0037】
状況評価に関連して、衝突回避又は衝突軽減システムが作動する。このために、作動ユニットには、状況評価の結果(追突の危険度が非常に高い)に関する入力、制限された所望の減速に関する入力、及び車両の状況解釈の結果に関する入力が提供される。作動ユニットによって事実上のシステム介入が起動されるのは、評価基準「追突の危険度が高い状況」及び「自動的な制動介入を許可する走行状況」が満足された場合、更にセンサによって検出された対象物がまだ有効で、制限された所望の減速度、つまり負加速度のために有効値を利用できる場合である。本発明に係る該衝突回避又は衝突軽減システムに出力信号「CMSアクティブ」が出力されると、その結果として衝突回避又は衝突軽減システムが作動する。
【0038】
第2の閾値13に達すると、少なくとも自動的な部分制動によるシステム介入が作動し得る。自動的な部分制動は、更なる安全措置、好ましくはベルト締付け等の乗員拘束の形態をとる安全措置との組み合わせで有利に行われる。
【0039】
車両運転者がすでにブレーキをかけている場合、自動的な部分制動にはサポート効果がある。対象物が失われた場合又は不確実性が存在する場合、警告段階及び/又はサポート段階は省略可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】衝突回避システムを動作させるために本発明に係る方法を作動させるための状況評価を示す。
【図2】衝突回避システムの機能を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)の衝突回避又は衝突軽減システムを動作させるための方法であって、車両(10)と潜在的な衝突対象物(11、20)との間の現在の走行間隔が検出され、第1の閾値(12)に達すると、第1の警告機能及び/又は通知機能が作動する方法において、
第2の閾値(13)に達すると、自動的な部分制動と少なくとも1つの更なる安全措置とを組合わせたシステム介入が開始されることを特徴とする方法。
【請求項2】
更なる安全措置として乗員の拘束が実施されること特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
衝突回避のために必要な減速度の大きさの最大90%に制動加速度を制限した状態で、前記部分制動が実行されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記部分制動の制動加速度が、速度に応じて事前に決定された最大限度に制限されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
走行速度が遅いときは、走行速度が速い場合よりも前記部分制動の制動加速度の最大限度が大きく設定されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
衝突回避のための前記システム介入が、車両運転者の要求に応じて停止される自動的な制動介入及び/又は自動的なステアリング介入として設計されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記システム介入が、車両運転者が作動させる緊急制動によって停止されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記システム介入の停止に対して、ブレーキペダル工程及びブレーキペダル速度から算出された閾値が設定されることを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記システム介入が、車両運転者により引き起こされた加速によって停止することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記システム介入が、車両運転者の大きなステアリング操作により停止することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
車両のための衝突回避又は衝突軽減システムであって、車両と潜在的な衝突対象物との間の現在の走行間隔を検出するための手段(14)と、第1の閾値(12)に達したときに第1の警告機能及び/又は通知機能を作動させるための手段(15)とを有する衝突回避又は衝突軽減システムにおいて、
第2の閾値(13)に達したときに、自動的な部分制動と少なくとも1つの更なる安全措置とを組合せたシステム介入を開始することを特徴とする衝突回避又は衝突軽減システム。
【請求項12】
前記車両と前記潜在的な衝突対象物との間の現在の走行間隔を検出するための手段(14)として周囲検出センサが提供されていることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記周囲検出センサ(14)が少なくとも1つの77GHzレーダーセンサを含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記周囲検出センサ(14)が少なくとも1つの24GHzレーダーセンサを含むことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−525254(P2008−525254A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547243(P2007−547243)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013207
【国際公開番号】WO2006/072342
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】