車両の車体下部構造
【課題】クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、圧縮入力と曲げ力とを効果的に吸収し、さらにセンタピラー下部の−の確保によりセンタピラー上部の侵入量抑制を図る車両の車体下部構造を提供する。
【解決手段】クロスメンバ30のサイドシル側端部を、サイドシル6から所定間隔を隔てた位置に配設し、クロスメンバ30のサイドシル側端部とサイドシル6の側面とを結合する結合部材35を設け、結合部材35がクロスメンバ30より低強度に設定され、結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度が、結合部材35のサイドシル結合領域Sの強度より高くなるように構成されたことを特徴とする。
【解決手段】クロスメンバ30のサイドシル側端部を、サイドシル6から所定間隔を隔てた位置に配設し、クロスメンバ30のサイドシル側端部とサイドシル6の側面とを結合する結合部材35を設け、結合部材35がクロスメンバ30より低強度に設定され、結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度が、結合部材35のサイドシル結合領域Sの強度より高くなるように構成されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられたような車両の車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センタピラーが結合されたサイドシルと、トンネル部との間を、車幅方向に延びるクロスメンバで完全に結合固定すると、側突荷重の入力時においてクロスメンバの強い耐力でサイドシルが支持されるので、センタピラー上部が大きく車室内に侵入するか、またはセンタピラーの上下方向中間部が座屈して、この座屈点よりも上方のセンタピラーが車室内に侵入するという問題点があった。
このような問題点を解決するために、特許文献1に開示されているように、センタピラーが結合されたサイドシルと、トンネル部との間を結合するクロスメンバにおいて、該クロスメンバの車幅方向外方側のサイドシルに近接する部分に、断面ハット形状のクロスメンバの稜線部に穴を開口形成し、クロスメンバのサイドシルに対する接続部分の断面耐力を、クロスメンバ本体の断面耐力よりも小さく設定したものが既に発明されている。
【0003】
特許文献1に開示されたこの従来構造においては、側突荷重の入力初期においては、センタピラーおよびサイドシルを介してクロスメンバに荷重が入力されると、穴が形成されたクロスメンバが荷重を吸収しながら車幅方向に潰れて、衝撃エネルギの吸収を図ることができる。
【0004】
その後、センタピラーが荷重を受けると、該センタピラーの上側が車室内に傾倒するように変位し、サイドシルには回転モーメントが作用するが、この回転モーメントによる曲げ力で、上記クロスメンバが座屈変形するので、荷重を受けることができなくなる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−74835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、クロスメンバのサイドシル側端部とサイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、この結合部材がクロスメンバより低強度に設定されると共に、該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成することで、センタピラーを介して入力される側突荷重を、入力初期においてはサイドシルとクロスメンバとの間の結合部材における強度が低いサイドシル結合領域で荷重を受け、その後、サイドシルからの曲げモーメントに対して結合部材における強度が高いクロスメンバ結合領域で荷重を受けるようにし、クロスメンバはそれらの入力に耐えられる強度と成して、クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができ、さらにセンタピラー下部の変形代の確保によりセンタピラー上部の侵入量抑制を図ることができる車両の車体下部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による車両の車体下部構造は、フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられた車両の車体下部構造であって、上記クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、上記クロスメンバのサイドシル側端部と上記サイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、該結合部材が上記クロスメンバより低強度に設定されると共に、該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成されたものである。
上記構成によれば、センタピラーおよびサイドシルを介して入力される側突荷重を、その入力初期においては、サイドシルとクロスメンバとの間の結合部材における強度が低いサイドシル結合領域で荷重を受け、このサイドシル結合領域が荷重を吸収しながら軸方向(車幅方向)に潰れて、衝撃エネルギを吸収する。
【0008】
その後、サイドシルからの曲げモーメントに対しては、結合部材における強度が高いクロスメンバ結合領域で荷重を受け、このクロスメンバ結合領域が曲げ入力を吸収しながら潰れ、荷重を可及的クロスメンバに伝えないようにする。
また、上記クロスメンバは結合部材より高強度に設定されているので、該クロスメンバは上記各入力に耐えられる強度を有しており、このクロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、上記結合部材にて、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができる。
また、該結合部材が軸方向(車幅方向)に潰れることにより、センタピラー下部が車幅方向内方へ所定量移動し得る変形代を確保することができ、この変形代の確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記結合部材が乗員用シートを支持するシート取付けブラケットにて構成されたものである。
上記構成によれば、シートを支持するシート取付けブラケットを利用して、クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができるうえ、センタピラー下部の変形代の確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの車幅方向外側部が、該クロスメンバの車幅方向内側部に対して高強度に形成されたものである。
上述のクロスメンバの車幅方向外側部と、クロスメンバの車幅方向内側部とは、テーラードブランクにより一体に形成してもよく、また、それぞれ別々の部材にて形成してもよい。
上記構成によれば、強度が必要なクロスメンバの車幅方向外側部のみを高強度に構成することができるので、重量増加やコストアップを抑制することができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部とが別部材にて構成され、上記外側部を上記内側部に対して上側にして接合固定したものである。
上記構成によれば、側突時におけるサイドシルからの曲げモーメントに対して、上側に位置するクロスメンバの車幅方向外側部から下側に位置するクロスメンバの車幅方向内側部に効果的に荷重を伝達することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの上部には車幅方向に延びる補強部が一体形成されたものである。
上述の補強部はビードに設定してもよい。
上記構成によれば、サイドシルからの曲げモーメントに対するクロスメンバの耐力向上を図ることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部との境界部を、上記トンネル部とサイドシルとの間においてフロアパネル下部に車両前後方向に延びるように設けられたフレーム部材と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部側に配設したものである。
上述のフレーム部材は、フロアフレームに設定してもよい。
上記構成によれば、側突時においてサイドシルからの荷重を、高強度のクロスメンバの車幅方向外側部を介して、フロアパネル下部のフレーム部材で支えることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記結合部材のサイドシル結合領域の下端と、上記フロアパネル上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域を圧縮変形すべく空間部が設けられたものである。
上記構成によれば、上述の空間部を設けたことにより、側突荷重の入力初期に上記結合部材のサイドシル結合領域を確実に圧縮変形させて、上記センタピラー下部の変形代をより一層確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、クロスメンバのサイドシル側端部とサイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、この結合部材がクロスメンバより低強度に設定されると共に、該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成したので、センタピラーを介して入力される側突荷重を、入力初期においてはサイドシルとクロスメンバとの間の結合部材における強度が低いサイドシル結合領域で荷重を受け、その後、サイドシルからの曲げモーメントに対して結合部材における強度が高いクロスメンバ結合領域で荷重を受けるようにし、クロスメンバはそれらの入力に耐えられる強度と成して、クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができ、さらにセンタピラー下部の変形代の確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の車両の車体下部構造を備えた車体構造を示す概略斜視図
【図2】車両の車体下部構造を示す斜視図
【図3】図2のA−A線矢視断面図
【図4】クロスメンバとナットプレートとの相互関連構造を示す断面図
【図5】クロスメンバとナットプレートの分解斜視図
【図6】図3の要部拡大図
【図7】図2の要部拡大斜視図
【図8】図2のB−B線矢視断面図
【図9】図7の要部拡大正面図
【図10】結合部材、クロスメンバ車幅方向外側部、クロスメンバ車幅方向内側部の分解斜視図
【図11】ナットプレートの斜視図
【図12】車両の車体下部構造の他の実施例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収し、さらにセンタピラー下部の変形代確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図るという目的を、フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられた車両の車体下部構造において、上記クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、上記クロスメンバのサイドシル側端部と上記サイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、該結合部材が上記クロスメンバより低強度に設定されると共に、該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成するという構造にて実現した。
【実施例】
【0018】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の車体下部構造を示し、図1において、車室の底面を形成するフロアパネル1を設け、このフロアパネル1の車幅方向中央には、車室内へ突出して車両の前後方向へ延びるトンネル部2(いわゆるフロアトンネル)を一体または一体的に形成している。このトンネル部2は車体剛性の中心となるものである。
【0019】
上述のフロアパネル1の後部にはリヤシートパン3を連設すると共に、このリヤシートパン3のさらに後方には、荷室底面を形成するリヤフロア4を一体的に連設形成し、該リヤフロア4の後部車幅方向中間には下方に凹設されたスペアタイヤパン5を一体形成している。
【0020】
また、上述のフロアパネル1の車幅方向両サイド(但し、図面では右側のみを示す)には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのサイドシル6を設けている。
このサイドシル6は、図2、図3に示すように、サイドシルインナ7と、サイドシルレインフォースメント8と、サイドシルアウタ9とを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面10を備えた強度部材である。
【0021】
上述のサイドシル6の前部から上方に延びるヒンジピラー11と、サイドシル6の前後方向中間部から上方に延びるセンタピラー12とを設けている。これらの各ピラー11,12は図示しないフロントドアおよびリヤドアを開閉可能に支持する車体強度部材である。
ヒンジピラー11は、ヒンジピラーアウタとヒンジピラーインナとを備えて、上下方向に延びるヒンジピラー閉断面をもった車体剛性部材であって、このヒンジピラー11はルーフサイドレール13とサイドシル6との間に立設固定されており、必要に応じて上記ヒンジピラーアウタとヒンジピラーインナとの間には、ヒンジピラーレインフォースメントが設けられる。
【0022】
また、センタピラー12は、センタピラーアウタと、センタピラーレインフォースメントと、センタピラーインナとを備えて、上下方向に延びるセンタピラー閉断面をもった車体剛性部材であって、このセンタピラー12はルーフサイドレール13とサイドシル6との間に立設固定されている。
ここで、上述のヒンジピラー11と、サイドシル6と、センタピラー12と、ルーフサイドレール13とで囲繞された空間部を、前席乗員の乗降口14(ドア開口部)に設定すると共に、センタピラー12と、サイドシル6と、クオータピラー15と、ルーフサイドレール13とで囲繞された空間部を、後席乗員の乗降口16(ドア開口部)に設定している。
【0023】
また、左右一対のサイドシル6,6と車両の前後方向に略連続するように、リヤシートパン3およびリヤフロア4の車幅方向両サイド部には、左右一対のリヤサイドフレーム17を設けている。
【0024】
ところで、上述の前席乗員の乗降口14と対応して、フロアパネル1上部のトンネル部2と、サイドシル6との間には、車幅方向に延びるクロスメンバ20(いわゆるNo.2クロスメンバ)を設けている。
また、このクロスメンバ20と前後方向に離間するように上述のセンタピラー12と対応して、フロアパネル1上部のトンネル部2と、サイドシル6との間には、車幅方向に延びるクロスメンバ30(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)を設けている。
【0025】
さらに、フロアパネル1の後部とリヤシートパン3の前部との間には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ40(いわゆるNo.3クロスメンバ)を設けると共に、リヤシートパン3の後部とリヤフロア4の前部との間には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ50(いわゆるNo.4クロスメンバ)を設けている。
上述の各クロスメンバ20,30および各リヤクロスメンバ40,50は、車体剛性部材であって、これらの各クロスメンバ20,30,40,50により車体下部の剛性向上を図るように構成している。
【0026】
一方、図2、図3に示すように、フロアパネル1の下部にはフロアフレーム18を接合固定して、フロアパネル1の下面と該フロアフレーム18との間には、車両の前後方向に延びる閉断面19を形成している。
この実施例では、上述のフロアフレーム18は、その前部がサイドシルインナ7とトンネル部2の縦壁部との車幅方向中間に位置し、該フロアフレーム18が後方にいくに従って車幅方向外方に位置するように、平面視スラント状に配設されている。
【0027】
上述のクロスメンバ20は、図2〜図5に示すように、上片20aと、前片20bと、該前片20bの下端から前方に折曲げ形成された接合フランジ片20cと、後片20d(図4参照)と、該後片20dの下端から後方に折曲げ形成された接合フランジ片20eとでクロスメンバ20の本体部20Aを形成すると共に、該本体部20Aの車幅方向外端部には、サイドシルインナ7に接合固定する接合フランジ片20f,20g,20hを設け、さらに、上記本体部20Aの車幅方向内端部には、トンネル部2の縦壁に接合固定する接合フランジ片20i,20j,20kを設けている。
【0028】
ここで、該クロスメンバ20は上述の各片20a〜20kを一体形成したもので、クロスメンバ20の本体部20Aは断面ハット形状に構成され、その下部の接合フランジ片20c,20eはフロアパネル1の上面に接合固定されており、該フロアパネル1とクロスメンバ20との間には、車幅方向に延びる閉断面21(図4参照)が形成されている。
【0029】
また、該クロスメンバ20の本体部20Aの車幅方向内側には、該クロスメンバ20の座屈を防止するための補強部としてのビード22が形成されている。このビード22は図2、図4に示すようにクロスメンバ20の上片20aから下方に窪んで車幅方向に延びる補強部であるが、この下方に凸のビード22に代えて、上方に凸のビードを設けてもよいことは勿論である。
【0030】
しかも、図3、図4、図6に示すように、上述のクロスメンバ20の車幅方向外側のサイドシル6との結合端部近傍には、側突時の衝撃を緩和する衝撃吸収部としての切欠部23を設けている。
この切欠部23は、図5、図6に示すように、クロスメンバ20におけるサイドシルインナ7との結合端部近傍において車幅方向内側に切欠かれた脆弱部であって、さらに詳しくは、クロスメンバ20の上片20aと前片20bとの間の前側の稜線Xと、上片20aと後片20dとの間の後側の稜線Yとを、サイドシルインナ7との結合端部近傍において車幅方向内側に切欠いて構成したものである。
このように、強度が高い稜線X,Y部分を切欠いて切欠部23を前後に設けることで、適切な衝撃吸収部となすことができる。
【0031】
さらに、図3、図4に示すように、上述のクロスメンバ20の本体部20Aの車幅方向外側近傍には、補強部材としてのナットプレート24を配設し、図3、図6に示すように、該ナットプレート24の車幅方向外側端部24aを上述の切欠部23に対して車幅方向にオーバラップして設けている。
ここで、補強部材としてのナットプレート24の車幅方向外側端部24aは、図6に拡大図で示すように、サイドシルインナ7に対して車幅方向内側に離間して設けられている。
【0032】
また、上述のナットプレート24は、図5にその斜視図を示すように、クロスメンバ20の上片20a下面にスポット溶接される接合部24c,24dと、これら接合部24c,24dに対して凹設された略水平な上片部24eと、前片部24fと、後片部24gとを一体形成したもので、ナットプレート24の前片部24fは閉断面21内においてクロスメンバ20の前片20bに接合固定され、ナットプレート24の後片部24gは閉断面21内においてクロスメンバ20の後片20dに接合固定される。
【0033】
さらに、上述のナットプレート24の上片部24eには、図4、図5に示すように開口部24h,24iを形成する一方、下面にナット25を溶接固定したナット支持部材26を設け、このナット支持部材26には逆L字状の係止片26aを一体形成している。
【0034】
そして、上述のナット25をナットプレート24の開口部24h内に配置すると共に、係止片26aをナットプレート24の開口部24i内に係入することで、シート取付け時において製作誤差を吸収すべく、ナット支持部材26がナット25を備えた状態で前後左右方向に微動調整できるように構成している。
上述のナットプレート24は、図示しない乗員用シート(フロントシート)を上述のクロスメンバ20に固定するためのシート取付部材であり、また該ナットプレート24はクロスメンバ20とフロアパネル1との間の閉断面21(図4参照)内に、そのデッドスペースを利用して、設けられて乗員用シート固定用のナット25を保持するためのプレートである。
【0035】
ここで、上述のナットプレート24におけるナット25と上下方向に対向するクロスメンバ20の上片20aには、ボルト挿通孔27が形成されている。
しかも、補強部材およびシート取付部材としてのナットプレート24の強度は、上述のクロスメンバ20の本体部20Aの強度よりも弱く設定されている。
【0036】
この実施例では、クロスメンバ20をハイテン鋼(高張力鋼板)で形成する一方、ナットプレート24を一般的な鋼板にて形成することで、ナットプレート24の強度がクロスメンバ20の強度に対して弱くなるように構成しているが、この材料の差異により強度を弱くする構成に代え、クロスメンバ20の板厚をナットプレート24の板厚に対して厚く設定し、両者20,24を同一材料で構成しつつ、ナットプレート24の強度を相対的に弱くする構成を採用してもよい。
【0037】
さらに、図4に示すように、ナットプレート24の車幅方向内側端部24bが、クロスメンバ20のビード22に対して車幅方向に距離L1だけオーバラップして設けられており、このオーバラップ構造により、クロスメンバ20の本体部20Aが座屈することを抑制するように構成している。
【0038】
図7は、フロアパネル1上部のトンネル部2と、センタピラー12が結合されたサイドシル6との間において車幅方向に延びるクロスメンバ30(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)と、その周辺構造を示す図2の要部拡大斜視図であって、このクロスメンバ30は、クロスメンバの車幅方向外側部としての第一クロスメンバ31と、クロスメンバの車幅方向内側部としての第2クロスメンバ32とを備えている。
【0039】
この実施例では、第1クロスメンバ31が第2クロスメンバ32に対して高強度に形成されている。
ここで、第1クロスメンバ31を第2クロスメンバ32に対して高強度に形成する具体的構成としては、第1クロスメンバ31の板厚を、第2クロスメンバ32の板厚に対して厚く設定してもよく、第1クロスメンバ31をハイテン鋼(高張力鋼板)で形成する一方、第2クロスメンバ32を一般的な鋼板で形成する構造を採用してもよい。
【0040】
また、この実施例では、図7に示すように、第1クロスメンバ31と、第2クロスメンバ32とがそれぞれ別々の部材にて構成され、第1クロスメンバ31を第2クロスメンバ32に対して上側にして接合固定すると共に、図7、図8、図9に示すように、第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32との境界部Zを、上述のフレーム部材としてフロアフレーム18と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部2側に配設している。
【0041】
さらに、図8の要部を図9に拡大して示すように、上記境界部Zより車幅方向外側部分において、上述の第1および第2の各クロスメンバ31,32が所定長さL2にてオーバラップするように接合固定しており、このオーバラップ部が、上述のフロアフレーム18と対応する上側位置に配設されたものである。
【0042】
また、第1クロスメンバ31および第2クロスメンバ32の分解斜視図を図10に示すように、第1クロスメンバ31は、上片部31aと、前片部31bと、後片部31cと、前後の各片部31b,31cから前後方向に折曲げ形成された接合フランジ部31d,31eとを一体形成した車体剛性部材であって、上述の上片部31aの中間には車幅方向に延びる下向き凸形の補強部としてのビード33が、その長手方向全長にわたって一体形成されている。
【0043】
同様に、第2クロスメンバ32は、上片部32aと、前片部32bと、後片部32cと、前後の各片部32b,32cから前後方向に折曲げ形成された接合フランジ部32d,32eとを一体形成した車体剛性部材であって、上述の上片部32aの中間には車幅方向に延びる下向き凸形の補強部としてのビード34が、その長手方向全長にわたって一体形成されている。
【0044】
そして、上述の各接合フランジ部31d,31e,32d,32eをフロアパネル1上面にスポット溶接することで、該フロアパネル1と第1クロスメンバ31との間、並びに、フロアパネル1と第2クロスメンバ32との間には、車幅方向に連続する閉断面が形成されている。
しかも、図7に示すように、上述の第1および第2の各クロスメンバ31,32から成るクロスメンバ30のサイドシル6側端部は、該サイドシル6のサイドシルインナ7から所定間隔を隔てた位置に配設されている。
【0045】
同様に、クロスメンバ30のトンネル部2側端部も、該トンネル部2の縦壁部から所定間隔を隔てた位置に配設されている。
そして、第1クロスメンバ31のサイドシル側端部と、サイドシル6におけるサイドシルインナ7の側面とを結合する結合部材35を設けると共に、第2クロスメンバ32のトンネル部側端部と、トンネル部2における縦壁部とを結合する結合部材36を設けている。
これらの各結合部材35,36は、乗員用シートとしてのフロントシート(図示せず)を支持するシート取付けブラケットにて構成されている。
【0046】
図10に上述の結合部材35の分解斜視図を示すように、該結合部材35は、上片部35aと、この上片部35aの前端から下方に折曲げ形成された前片部35bと、上片部35aの後端から下方に折曲げ形成された後片部35cと、上片部35aの車幅方向内端から下方に折曲げ形成された内片部35dと、この内片部35dの下端から水平方向に折曲げ形成された接合フランジ部35eと、内片部35dの前端および後端から車幅方向外方に向けて折曲げ形成された接合フランジ部35f,35gと、上述の上片部35a,前片部35bおよび後片部35cのそれぞれの車幅方向外端から折曲げ形成された接合フランジ部35h,35i,35jと、を一体形成したものである。
そして、接合フランジ部35fを前片部35bの内面に予めスポット溶接にて接合固定すると共に、接合フランジ部35gを後片部35cの内面に予めスポット溶接にて接合固定している。
【0047】
図7に示すように、結合部材35の接合フランジ部35eは、第1クロスメンバ31の上片部31aに接合固定され、結合部材35の前片部35bおよび後片部35cは、第1クロスメンバ31の前片部31bおよび後片部31cにそれぞれ接合固定され、結合部材35の各接合フランジ部35h,35i,35jは、フロアパネル1の上方への折返し部を介して、または直接、サイドシルインナ7の車室側の面に接合固定されている。
また、上述の結合部材35はクロスメンバ30よりも低強度に設定されると共に、該結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度は、該結合部材35のサイドシル結合領域Sの強度よりも高くなるように構成されている。
【0048】
すなわち、クロスメンバ結合領域Cは、上片部35a,前片部35b,後片部35c、内片部35dで四面が囲繞されたボックス形成に構成されており、サイドシル結合領域Sは、上片部35a、前片部35b、後片部35cで三方が囲まれた開放形状に構成されており、クロスメンバ結合領域Cの強度が、サイドシル結合領域Sの強度よりも高くなるように構成されたものである。
さらに、図9に正面図で示すように、上述の結合部材35のサイドシル結合領域Sの下端と、フロアパネル1上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域Sを圧縮変形すべく空間部37が設けられている。
【0049】
加えて、図8、図9に示すように、シート取付けブラケットにて構成された結合部材35の内部には、ナットプレート38を取付けている。
このナットプレート38は、図11に斜視図で示すように、略水平な上片部38aと、この上片部38aの前後両端から下方に向けて折曲げ形成された前後の取付け片38b,38cと、上片部38aに開口形成された2つの開口部38d,38eとを備えている。
【0050】
また、下部にナットNが予め溶接固定されたナット支持部材39を設け、このナット支持部材39には係止片39aが下方に向けて一体に折曲げ形成されている。
そして、ナット支持部材39下面のナットNを、ナットプレート38の開口部38dに遊嵌すると共に、係止片39aを他の開口部38eに挿入し、シート取付け時において製作誤差を吸収すべく、ナット支持部材39がナットNを備えた状態で前後左右方向に微動調整できるように構成している。
【0051】
ここで、上述のナットプレート38の前後の取付け片38b,38cは、結合部材35の前片部35bおよび後片部35cに溶接固定されている。一方、該結合部材35の上片部35aにはシート取付け用のボルト(図示せず)を挿通するボルト挿通孔35kが形成されている。
【0052】
図7に示すように、第2クロスメンバ32とトンネル部2とを結合する結合部材36は、上記結合部材35と略左右対称構造に形成されている。
【0053】
ところで、図8に示すように、上述のセンタピラー12は、センタピラーインナ41と、センタピラーレインフォースメント42と、センタピラーアウタ43とを接合固定して、車両の上下方向に延びるセンタピラー閉断面44を備えた車体剛性部材であって、上述のセンタピラーインナ41の下部は、サイドシル6のサイドシルインナ7とサイドシルレインフォースメント8との間のサイドシル閉断面10内を通って、これら両者7,8の下部接合部間まで下方に延長されている。
また、センタピラーアウタ43の下部は、サイドシルアウタ9と一体または一体的に形成されている。
【0054】
さらに、上述のサイドシルインナ7とサイドシルレインフォースメント8との上部接合部間には、リトラクタ(図示せず)を支持するためのリトラクタ支持ブラケット45が取付けられている。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印OUTは車両外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0055】
このように構成した車両の車体下部構造の作用について説明する。
図8に示すように、第1クロスメンバ31のサイドシル側の端部と、サイドシルインナ7とは直接接続されておらず、第1クロスメンバ31のサイドシル側の端部は、サイドシルインナ7から所定間隔を隔てた位置に配設されており、第1クロスメンバ31とサイドシルインナ7との間は、結合部材35で結合され、また、この結合部材35の強度はクロスメンバ30および第1クロスメンバ31よりも低強度に設定され、かつ、該結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度がそのサイドシル結合領域Sの強度よりも高く設定されているので、次のような作用を奏する。
【0056】
すなわち、車両の側突時において、センタピラー12およびサイドシル6を介して入力される側突荷重は、その入力初期においては、相対的に低強度の結合部材35のサイドシル結合領域Sが潰れることで、その衝撃エネルギを吸収するので、センタピラー12下部がその潰れ量に対応して車幅方向内方へ所定量移動し得る変形代を確保することができる。
【0057】
また、その後においては、センタピラー12の上側が車室内に傾倒するように変位することで、サイドシル6には曲げモーメントが作用するが、この曲げモーメントは結合部材35の相対的に高強度のクロスメンバ結合領域Cで荷重を受け、このクロスメンバ結合領域Cが曲げ入力を吸収しながら潰れるので、その荷重を可及的クロスメンバ30に伝えないようにすることができる。
【0058】
さらに、上述のクロスメンバ30、特に、第1クロスメンバ31は結合部材35に対して高強度に設定されており、該第1クロスメンバ31は曲げモーメントに起因する曲げ入力に耐え得る強度を備えているので、このクロスメンバ30が座屈変形するのを抑制しながら、上述の結合部材35により軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができる。
【0059】
このように、図1〜図11で示した実施例の車両の車体下部構造は、フロアパネル1上部のトンネル部2と、センタピラー12が結合されたサイドシル6との間に、車幅方向に延びるクロスメンバ30が設けられた車両の車体下部構造であって、上記クロスメンバ30のサイドシル6側端部を、該サイドシル6から所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、上記クロスメンバ30のサイドシル6側端部と上記サイドシル6の側面とを結合する結合部材35を設け、該結合部材35が上記クロスメンバ30より低強度に設定されると共に、該結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度が、該結合部材35のサイドシル結合領域Sの強度より高くなるように構成されたものである(図1、図8参照)。
【0060】
この構成によれば、センタピラー12およびサイドシル6を介して入力される側突荷重を、その入力初期においては、サイドシル6とクロスメンバ30との間の結合部材35における強度が低いサイドシル結合領域Sで荷重を受け、このサイドシル結合領域Sが荷重を吸収しながら軸方向(車幅方向)に潰れて、衝撃エネルギを吸収する。
【0061】
その後、サイドシル6からの曲げモーメントに対しては、結合部材35における強度が高いクロスメンバ結合領域Cで荷重を受け、このクロスメンバ結合領域Cが曲げ入力を吸収しながら潰れ、荷重を可及的クロスメンバ30に伝えないようにする。
また、上記クロスメンバ30は結合部材35より高強度に設定されているので、該クロスメンバ30は上記各入力に耐えられる強度を有しており、このクロスメンバ30の座屈変形を抑制しつつ、上記結合部材35にて、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができる。
【0062】
また、該結合部材35が軸方向(車幅方向)に潰れることにより、センタピラー12下部が車幅方向内方へ所定量移動し得る変形代を確保することができ、この変形代の確保によりセンタピラー12上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
さらに、上記結合部材35が乗員用シートを支持するシート取付けブラケットにて構成されたものである(図7〜図9参照)。
この構成によれば、シートを支持するシート取付けブラケットを利用して、クロスメンバ30の座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができるうえ、センタピラー12下部の変形代の確保によりセンタピラー12上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
【0063】
加えて、上記クロスメンバ30の車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)が、該クロスメンバ30の車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)に対して高強度に形成されたものである(図7〜図9参照)。
この構成によれば、強度が必要なクロスメンバ30の車幅方向外側部(実施例の第1クロスメンバ31参照)のみを高強度に構成することができるので、重量増加やコストアップを抑制することができる。
【0064】
また、上記クロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)と、該クロスメンバの車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)とが別部材にて構成され、上記外側部(第1クロスメンバ31参照)を上記内側部(第2クロスメンバ32参照)に対して上側にして接合固定したものである(図7、図10参照)。
この構成によれば、側突時におけるサイドシル6からの曲げモーメントに対して、上側に位置するクロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)から下側に位置するクロスメンバの車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)に効果的に荷重を伝達することができる。
【0065】
さらに、上記クロスメンバ30の上部には車幅方向に延びる補強部(ビード33,34参照)が一体形成されたものである(図7、図10参照)。
上記構成によれば、部品点数の増加を招くことなく、サイドシル6からの曲げモーメントに対するクロスメンバ30の耐力向上を図ることができる。
【0066】
そのうえ、上記クロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)と、該クロスメンバの車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)との境界部Zを、上記トンネル部2とサイドシル6との間においてフロアパネル1下部に車両前後方向に延びるように設けられたフレーム部材(フロアフレーム18参照)と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部2側に配設したものである(図8、図9参照)。
この構成によれば、側突時においてサイドシル6からの荷重を、高強度のクロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)を介して、フロアパネル1下部のフレーム部材(フロアフレーム18参照)で支えることができる。
【0067】
さらに、上記結合部材35のサイドシル結合領域Sの下端と、上記フロアパネル1上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域Sを圧縮変形すべく空間部37が設けられたものである(図9参照)。
この構成によれば、上述の空間部37を設けたことにより、側突荷重の入力初期に上記結合部材35のサイドシル結合領域Sをより一層確実に圧縮変形させて、上記センタピラー12下部の変形代をより一層確実に確保することができる。
【0068】
図12は車両の車体下部構造の他の実施例を示す正面図である。
図1〜図11で示した先の実施例においては、第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32とを別部材により形成したが、図12に示すこの実施例においては、テーラードブランクにより第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32とを実質的に一体形成したものである。
【0069】
すなわち、相対的に板厚が厚い部材により、クロスメンバの車幅方向外側部としての第1クロスメンバ31となる素材を設けると共に、相対的に板厚が薄い部材により、クロスメンバの車幅方向内側部としての第2クロスメンバ32となる素材を設け、これら両素材を予め接合固定して一体化した板材をプレス加工によって断面ハット形状に加工して、第1および第2の各クロスメンバ31,32を構成したものである。
このように、クロスメンバ30を、テーラードブランクにより構成しても、第1クロスメンバ31を第2クロスメンバ32に対して高強度に形成することができる。
【0070】
図12に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例と同様であるから、図12において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のクロスメンバの車幅方向外側部は、実施例の第1クロスメンバ31に対応し、
以下同様に、
クロスメンバの車幅方向内側部は、第2クロスメンバ32に対応し、
補強部は、ビード33,34に対応し、
フレーム部材は、フロアフレーム18に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
1…フロアパネル
2…トンネル部
6…サイドシル
12…センタピラー
18…フロアフレーム(フレーム部材)
30…クロスメンバ
31…第1クロスメンバ(クロスメンバの車幅方向外側部)
32…第2クロスメンバ(クロスメンバの車幅方向内側部)
33,34…ビード(補強部)
35…結合部材
37…空間部
C…クロスメンバ結合領域
S…サイドシル結合領域
Z…境界部
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられたような車両の車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センタピラーが結合されたサイドシルと、トンネル部との間を、車幅方向に延びるクロスメンバで完全に結合固定すると、側突荷重の入力時においてクロスメンバの強い耐力でサイドシルが支持されるので、センタピラー上部が大きく車室内に侵入するか、またはセンタピラーの上下方向中間部が座屈して、この座屈点よりも上方のセンタピラーが車室内に侵入するという問題点があった。
このような問題点を解決するために、特許文献1に開示されているように、センタピラーが結合されたサイドシルと、トンネル部との間を結合するクロスメンバにおいて、該クロスメンバの車幅方向外方側のサイドシルに近接する部分に、断面ハット形状のクロスメンバの稜線部に穴を開口形成し、クロスメンバのサイドシルに対する接続部分の断面耐力を、クロスメンバ本体の断面耐力よりも小さく設定したものが既に発明されている。
【0003】
特許文献1に開示されたこの従来構造においては、側突荷重の入力初期においては、センタピラーおよびサイドシルを介してクロスメンバに荷重が入力されると、穴が形成されたクロスメンバが荷重を吸収しながら車幅方向に潰れて、衝撃エネルギの吸収を図ることができる。
【0004】
その後、センタピラーが荷重を受けると、該センタピラーの上側が車室内に傾倒するように変位し、サイドシルには回転モーメントが作用するが、この回転モーメントによる曲げ力で、上記クロスメンバが座屈変形するので、荷重を受けることができなくなる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−74835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、クロスメンバのサイドシル側端部とサイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、この結合部材がクロスメンバより低強度に設定されると共に、該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成することで、センタピラーを介して入力される側突荷重を、入力初期においてはサイドシルとクロスメンバとの間の結合部材における強度が低いサイドシル結合領域で荷重を受け、その後、サイドシルからの曲げモーメントに対して結合部材における強度が高いクロスメンバ結合領域で荷重を受けるようにし、クロスメンバはそれらの入力に耐えられる強度と成して、クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができ、さらにセンタピラー下部の変形代の確保によりセンタピラー上部の侵入量抑制を図ることができる車両の車体下部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による車両の車体下部構造は、フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられた車両の車体下部構造であって、上記クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、上記クロスメンバのサイドシル側端部と上記サイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、該結合部材が上記クロスメンバより低強度に設定されると共に、該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成されたものである。
上記構成によれば、センタピラーおよびサイドシルを介して入力される側突荷重を、その入力初期においては、サイドシルとクロスメンバとの間の結合部材における強度が低いサイドシル結合領域で荷重を受け、このサイドシル結合領域が荷重を吸収しながら軸方向(車幅方向)に潰れて、衝撃エネルギを吸収する。
【0008】
その後、サイドシルからの曲げモーメントに対しては、結合部材における強度が高いクロスメンバ結合領域で荷重を受け、このクロスメンバ結合領域が曲げ入力を吸収しながら潰れ、荷重を可及的クロスメンバに伝えないようにする。
また、上記クロスメンバは結合部材より高強度に設定されているので、該クロスメンバは上記各入力に耐えられる強度を有しており、このクロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、上記結合部材にて、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができる。
また、該結合部材が軸方向(車幅方向)に潰れることにより、センタピラー下部が車幅方向内方へ所定量移動し得る変形代を確保することができ、この変形代の確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記結合部材が乗員用シートを支持するシート取付けブラケットにて構成されたものである。
上記構成によれば、シートを支持するシート取付けブラケットを利用して、クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができるうえ、センタピラー下部の変形代の確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの車幅方向外側部が、該クロスメンバの車幅方向内側部に対して高強度に形成されたものである。
上述のクロスメンバの車幅方向外側部と、クロスメンバの車幅方向内側部とは、テーラードブランクにより一体に形成してもよく、また、それぞれ別々の部材にて形成してもよい。
上記構成によれば、強度が必要なクロスメンバの車幅方向外側部のみを高強度に構成することができるので、重量増加やコストアップを抑制することができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部とが別部材にて構成され、上記外側部を上記内側部に対して上側にして接合固定したものである。
上記構成によれば、側突時におけるサイドシルからの曲げモーメントに対して、上側に位置するクロスメンバの車幅方向外側部から下側に位置するクロスメンバの車幅方向内側部に効果的に荷重を伝達することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの上部には車幅方向に延びる補強部が一体形成されたものである。
上述の補強部はビードに設定してもよい。
上記構成によれば、サイドシルからの曲げモーメントに対するクロスメンバの耐力向上を図ることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部との境界部を、上記トンネル部とサイドシルとの間においてフロアパネル下部に車両前後方向に延びるように設けられたフレーム部材と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部側に配設したものである。
上述のフレーム部材は、フロアフレームに設定してもよい。
上記構成によれば、側突時においてサイドシルからの荷重を、高強度のクロスメンバの車幅方向外側部を介して、フロアパネル下部のフレーム部材で支えることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記結合部材のサイドシル結合領域の下端と、上記フロアパネル上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域を圧縮変形すべく空間部が設けられたものである。
上記構成によれば、上述の空間部を設けたことにより、側突荷重の入力初期に上記結合部材のサイドシル結合領域を確実に圧縮変形させて、上記センタピラー下部の変形代をより一層確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、クロスメンバのサイドシル側端部とサイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、この結合部材がクロスメンバより低強度に設定されると共に、該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成したので、センタピラーを介して入力される側突荷重を、入力初期においてはサイドシルとクロスメンバとの間の結合部材における強度が低いサイドシル結合領域で荷重を受け、その後、サイドシルからの曲げモーメントに対して結合部材における強度が高いクロスメンバ結合領域で荷重を受けるようにし、クロスメンバはそれらの入力に耐えられる強度と成して、クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができ、さらにセンタピラー下部の変形代の確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の車両の車体下部構造を備えた車体構造を示す概略斜視図
【図2】車両の車体下部構造を示す斜視図
【図3】図2のA−A線矢視断面図
【図4】クロスメンバとナットプレートとの相互関連構造を示す断面図
【図5】クロスメンバとナットプレートの分解斜視図
【図6】図3の要部拡大図
【図7】図2の要部拡大斜視図
【図8】図2のB−B線矢視断面図
【図9】図7の要部拡大正面図
【図10】結合部材、クロスメンバ車幅方向外側部、クロスメンバ車幅方向内側部の分解斜視図
【図11】ナットプレートの斜視図
【図12】車両の車体下部構造の他の実施例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収し、さらにセンタピラー下部の変形代確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図るという目的を、フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられた車両の車体下部構造において、上記クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、上記クロスメンバのサイドシル側端部と上記サイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、該結合部材が上記クロスメンバより低強度に設定されると共に、該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成するという構造にて実現した。
【実施例】
【0018】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の車体下部構造を示し、図1において、車室の底面を形成するフロアパネル1を設け、このフロアパネル1の車幅方向中央には、車室内へ突出して車両の前後方向へ延びるトンネル部2(いわゆるフロアトンネル)を一体または一体的に形成している。このトンネル部2は車体剛性の中心となるものである。
【0019】
上述のフロアパネル1の後部にはリヤシートパン3を連設すると共に、このリヤシートパン3のさらに後方には、荷室底面を形成するリヤフロア4を一体的に連設形成し、該リヤフロア4の後部車幅方向中間には下方に凹設されたスペアタイヤパン5を一体形成している。
【0020】
また、上述のフロアパネル1の車幅方向両サイド(但し、図面では右側のみを示す)には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのサイドシル6を設けている。
このサイドシル6は、図2、図3に示すように、サイドシルインナ7と、サイドシルレインフォースメント8と、サイドシルアウタ9とを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面10を備えた強度部材である。
【0021】
上述のサイドシル6の前部から上方に延びるヒンジピラー11と、サイドシル6の前後方向中間部から上方に延びるセンタピラー12とを設けている。これらの各ピラー11,12は図示しないフロントドアおよびリヤドアを開閉可能に支持する車体強度部材である。
ヒンジピラー11は、ヒンジピラーアウタとヒンジピラーインナとを備えて、上下方向に延びるヒンジピラー閉断面をもった車体剛性部材であって、このヒンジピラー11はルーフサイドレール13とサイドシル6との間に立設固定されており、必要に応じて上記ヒンジピラーアウタとヒンジピラーインナとの間には、ヒンジピラーレインフォースメントが設けられる。
【0022】
また、センタピラー12は、センタピラーアウタと、センタピラーレインフォースメントと、センタピラーインナとを備えて、上下方向に延びるセンタピラー閉断面をもった車体剛性部材であって、このセンタピラー12はルーフサイドレール13とサイドシル6との間に立設固定されている。
ここで、上述のヒンジピラー11と、サイドシル6と、センタピラー12と、ルーフサイドレール13とで囲繞された空間部を、前席乗員の乗降口14(ドア開口部)に設定すると共に、センタピラー12と、サイドシル6と、クオータピラー15と、ルーフサイドレール13とで囲繞された空間部を、後席乗員の乗降口16(ドア開口部)に設定している。
【0023】
また、左右一対のサイドシル6,6と車両の前後方向に略連続するように、リヤシートパン3およびリヤフロア4の車幅方向両サイド部には、左右一対のリヤサイドフレーム17を設けている。
【0024】
ところで、上述の前席乗員の乗降口14と対応して、フロアパネル1上部のトンネル部2と、サイドシル6との間には、車幅方向に延びるクロスメンバ20(いわゆるNo.2クロスメンバ)を設けている。
また、このクロスメンバ20と前後方向に離間するように上述のセンタピラー12と対応して、フロアパネル1上部のトンネル部2と、サイドシル6との間には、車幅方向に延びるクロスメンバ30(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)を設けている。
【0025】
さらに、フロアパネル1の後部とリヤシートパン3の前部との間には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ40(いわゆるNo.3クロスメンバ)を設けると共に、リヤシートパン3の後部とリヤフロア4の前部との間には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ50(いわゆるNo.4クロスメンバ)を設けている。
上述の各クロスメンバ20,30および各リヤクロスメンバ40,50は、車体剛性部材であって、これらの各クロスメンバ20,30,40,50により車体下部の剛性向上を図るように構成している。
【0026】
一方、図2、図3に示すように、フロアパネル1の下部にはフロアフレーム18を接合固定して、フロアパネル1の下面と該フロアフレーム18との間には、車両の前後方向に延びる閉断面19を形成している。
この実施例では、上述のフロアフレーム18は、その前部がサイドシルインナ7とトンネル部2の縦壁部との車幅方向中間に位置し、該フロアフレーム18が後方にいくに従って車幅方向外方に位置するように、平面視スラント状に配設されている。
【0027】
上述のクロスメンバ20は、図2〜図5に示すように、上片20aと、前片20bと、該前片20bの下端から前方に折曲げ形成された接合フランジ片20cと、後片20d(図4参照)と、該後片20dの下端から後方に折曲げ形成された接合フランジ片20eとでクロスメンバ20の本体部20Aを形成すると共に、該本体部20Aの車幅方向外端部には、サイドシルインナ7に接合固定する接合フランジ片20f,20g,20hを設け、さらに、上記本体部20Aの車幅方向内端部には、トンネル部2の縦壁に接合固定する接合フランジ片20i,20j,20kを設けている。
【0028】
ここで、該クロスメンバ20は上述の各片20a〜20kを一体形成したもので、クロスメンバ20の本体部20Aは断面ハット形状に構成され、その下部の接合フランジ片20c,20eはフロアパネル1の上面に接合固定されており、該フロアパネル1とクロスメンバ20との間には、車幅方向に延びる閉断面21(図4参照)が形成されている。
【0029】
また、該クロスメンバ20の本体部20Aの車幅方向内側には、該クロスメンバ20の座屈を防止するための補強部としてのビード22が形成されている。このビード22は図2、図4に示すようにクロスメンバ20の上片20aから下方に窪んで車幅方向に延びる補強部であるが、この下方に凸のビード22に代えて、上方に凸のビードを設けてもよいことは勿論である。
【0030】
しかも、図3、図4、図6に示すように、上述のクロスメンバ20の車幅方向外側のサイドシル6との結合端部近傍には、側突時の衝撃を緩和する衝撃吸収部としての切欠部23を設けている。
この切欠部23は、図5、図6に示すように、クロスメンバ20におけるサイドシルインナ7との結合端部近傍において車幅方向内側に切欠かれた脆弱部であって、さらに詳しくは、クロスメンバ20の上片20aと前片20bとの間の前側の稜線Xと、上片20aと後片20dとの間の後側の稜線Yとを、サイドシルインナ7との結合端部近傍において車幅方向内側に切欠いて構成したものである。
このように、強度が高い稜線X,Y部分を切欠いて切欠部23を前後に設けることで、適切な衝撃吸収部となすことができる。
【0031】
さらに、図3、図4に示すように、上述のクロスメンバ20の本体部20Aの車幅方向外側近傍には、補強部材としてのナットプレート24を配設し、図3、図6に示すように、該ナットプレート24の車幅方向外側端部24aを上述の切欠部23に対して車幅方向にオーバラップして設けている。
ここで、補強部材としてのナットプレート24の車幅方向外側端部24aは、図6に拡大図で示すように、サイドシルインナ7に対して車幅方向内側に離間して設けられている。
【0032】
また、上述のナットプレート24は、図5にその斜視図を示すように、クロスメンバ20の上片20a下面にスポット溶接される接合部24c,24dと、これら接合部24c,24dに対して凹設された略水平な上片部24eと、前片部24fと、後片部24gとを一体形成したもので、ナットプレート24の前片部24fは閉断面21内においてクロスメンバ20の前片20bに接合固定され、ナットプレート24の後片部24gは閉断面21内においてクロスメンバ20の後片20dに接合固定される。
【0033】
さらに、上述のナットプレート24の上片部24eには、図4、図5に示すように開口部24h,24iを形成する一方、下面にナット25を溶接固定したナット支持部材26を設け、このナット支持部材26には逆L字状の係止片26aを一体形成している。
【0034】
そして、上述のナット25をナットプレート24の開口部24h内に配置すると共に、係止片26aをナットプレート24の開口部24i内に係入することで、シート取付け時において製作誤差を吸収すべく、ナット支持部材26がナット25を備えた状態で前後左右方向に微動調整できるように構成している。
上述のナットプレート24は、図示しない乗員用シート(フロントシート)を上述のクロスメンバ20に固定するためのシート取付部材であり、また該ナットプレート24はクロスメンバ20とフロアパネル1との間の閉断面21(図4参照)内に、そのデッドスペースを利用して、設けられて乗員用シート固定用のナット25を保持するためのプレートである。
【0035】
ここで、上述のナットプレート24におけるナット25と上下方向に対向するクロスメンバ20の上片20aには、ボルト挿通孔27が形成されている。
しかも、補強部材およびシート取付部材としてのナットプレート24の強度は、上述のクロスメンバ20の本体部20Aの強度よりも弱く設定されている。
【0036】
この実施例では、クロスメンバ20をハイテン鋼(高張力鋼板)で形成する一方、ナットプレート24を一般的な鋼板にて形成することで、ナットプレート24の強度がクロスメンバ20の強度に対して弱くなるように構成しているが、この材料の差異により強度を弱くする構成に代え、クロスメンバ20の板厚をナットプレート24の板厚に対して厚く設定し、両者20,24を同一材料で構成しつつ、ナットプレート24の強度を相対的に弱くする構成を採用してもよい。
【0037】
さらに、図4に示すように、ナットプレート24の車幅方向内側端部24bが、クロスメンバ20のビード22に対して車幅方向に距離L1だけオーバラップして設けられており、このオーバラップ構造により、クロスメンバ20の本体部20Aが座屈することを抑制するように構成している。
【0038】
図7は、フロアパネル1上部のトンネル部2と、センタピラー12が結合されたサイドシル6との間において車幅方向に延びるクロスメンバ30(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)と、その周辺構造を示す図2の要部拡大斜視図であって、このクロスメンバ30は、クロスメンバの車幅方向外側部としての第一クロスメンバ31と、クロスメンバの車幅方向内側部としての第2クロスメンバ32とを備えている。
【0039】
この実施例では、第1クロスメンバ31が第2クロスメンバ32に対して高強度に形成されている。
ここで、第1クロスメンバ31を第2クロスメンバ32に対して高強度に形成する具体的構成としては、第1クロスメンバ31の板厚を、第2クロスメンバ32の板厚に対して厚く設定してもよく、第1クロスメンバ31をハイテン鋼(高張力鋼板)で形成する一方、第2クロスメンバ32を一般的な鋼板で形成する構造を採用してもよい。
【0040】
また、この実施例では、図7に示すように、第1クロスメンバ31と、第2クロスメンバ32とがそれぞれ別々の部材にて構成され、第1クロスメンバ31を第2クロスメンバ32に対して上側にして接合固定すると共に、図7、図8、図9に示すように、第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32との境界部Zを、上述のフレーム部材としてフロアフレーム18と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部2側に配設している。
【0041】
さらに、図8の要部を図9に拡大して示すように、上記境界部Zより車幅方向外側部分において、上述の第1および第2の各クロスメンバ31,32が所定長さL2にてオーバラップするように接合固定しており、このオーバラップ部が、上述のフロアフレーム18と対応する上側位置に配設されたものである。
【0042】
また、第1クロスメンバ31および第2クロスメンバ32の分解斜視図を図10に示すように、第1クロスメンバ31は、上片部31aと、前片部31bと、後片部31cと、前後の各片部31b,31cから前後方向に折曲げ形成された接合フランジ部31d,31eとを一体形成した車体剛性部材であって、上述の上片部31aの中間には車幅方向に延びる下向き凸形の補強部としてのビード33が、その長手方向全長にわたって一体形成されている。
【0043】
同様に、第2クロスメンバ32は、上片部32aと、前片部32bと、後片部32cと、前後の各片部32b,32cから前後方向に折曲げ形成された接合フランジ部32d,32eとを一体形成した車体剛性部材であって、上述の上片部32aの中間には車幅方向に延びる下向き凸形の補強部としてのビード34が、その長手方向全長にわたって一体形成されている。
【0044】
そして、上述の各接合フランジ部31d,31e,32d,32eをフロアパネル1上面にスポット溶接することで、該フロアパネル1と第1クロスメンバ31との間、並びに、フロアパネル1と第2クロスメンバ32との間には、車幅方向に連続する閉断面が形成されている。
しかも、図7に示すように、上述の第1および第2の各クロスメンバ31,32から成るクロスメンバ30のサイドシル6側端部は、該サイドシル6のサイドシルインナ7から所定間隔を隔てた位置に配設されている。
【0045】
同様に、クロスメンバ30のトンネル部2側端部も、該トンネル部2の縦壁部から所定間隔を隔てた位置に配設されている。
そして、第1クロスメンバ31のサイドシル側端部と、サイドシル6におけるサイドシルインナ7の側面とを結合する結合部材35を設けると共に、第2クロスメンバ32のトンネル部側端部と、トンネル部2における縦壁部とを結合する結合部材36を設けている。
これらの各結合部材35,36は、乗員用シートとしてのフロントシート(図示せず)を支持するシート取付けブラケットにて構成されている。
【0046】
図10に上述の結合部材35の分解斜視図を示すように、該結合部材35は、上片部35aと、この上片部35aの前端から下方に折曲げ形成された前片部35bと、上片部35aの後端から下方に折曲げ形成された後片部35cと、上片部35aの車幅方向内端から下方に折曲げ形成された内片部35dと、この内片部35dの下端から水平方向に折曲げ形成された接合フランジ部35eと、内片部35dの前端および後端から車幅方向外方に向けて折曲げ形成された接合フランジ部35f,35gと、上述の上片部35a,前片部35bおよび後片部35cのそれぞれの車幅方向外端から折曲げ形成された接合フランジ部35h,35i,35jと、を一体形成したものである。
そして、接合フランジ部35fを前片部35bの内面に予めスポット溶接にて接合固定すると共に、接合フランジ部35gを後片部35cの内面に予めスポット溶接にて接合固定している。
【0047】
図7に示すように、結合部材35の接合フランジ部35eは、第1クロスメンバ31の上片部31aに接合固定され、結合部材35の前片部35bおよび後片部35cは、第1クロスメンバ31の前片部31bおよび後片部31cにそれぞれ接合固定され、結合部材35の各接合フランジ部35h,35i,35jは、フロアパネル1の上方への折返し部を介して、または直接、サイドシルインナ7の車室側の面に接合固定されている。
また、上述の結合部材35はクロスメンバ30よりも低強度に設定されると共に、該結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度は、該結合部材35のサイドシル結合領域Sの強度よりも高くなるように構成されている。
【0048】
すなわち、クロスメンバ結合領域Cは、上片部35a,前片部35b,後片部35c、内片部35dで四面が囲繞されたボックス形成に構成されており、サイドシル結合領域Sは、上片部35a、前片部35b、後片部35cで三方が囲まれた開放形状に構成されており、クロスメンバ結合領域Cの強度が、サイドシル結合領域Sの強度よりも高くなるように構成されたものである。
さらに、図9に正面図で示すように、上述の結合部材35のサイドシル結合領域Sの下端と、フロアパネル1上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域Sを圧縮変形すべく空間部37が設けられている。
【0049】
加えて、図8、図9に示すように、シート取付けブラケットにて構成された結合部材35の内部には、ナットプレート38を取付けている。
このナットプレート38は、図11に斜視図で示すように、略水平な上片部38aと、この上片部38aの前後両端から下方に向けて折曲げ形成された前後の取付け片38b,38cと、上片部38aに開口形成された2つの開口部38d,38eとを備えている。
【0050】
また、下部にナットNが予め溶接固定されたナット支持部材39を設け、このナット支持部材39には係止片39aが下方に向けて一体に折曲げ形成されている。
そして、ナット支持部材39下面のナットNを、ナットプレート38の開口部38dに遊嵌すると共に、係止片39aを他の開口部38eに挿入し、シート取付け時において製作誤差を吸収すべく、ナット支持部材39がナットNを備えた状態で前後左右方向に微動調整できるように構成している。
【0051】
ここで、上述のナットプレート38の前後の取付け片38b,38cは、結合部材35の前片部35bおよび後片部35cに溶接固定されている。一方、該結合部材35の上片部35aにはシート取付け用のボルト(図示せず)を挿通するボルト挿通孔35kが形成されている。
【0052】
図7に示すように、第2クロスメンバ32とトンネル部2とを結合する結合部材36は、上記結合部材35と略左右対称構造に形成されている。
【0053】
ところで、図8に示すように、上述のセンタピラー12は、センタピラーインナ41と、センタピラーレインフォースメント42と、センタピラーアウタ43とを接合固定して、車両の上下方向に延びるセンタピラー閉断面44を備えた車体剛性部材であって、上述のセンタピラーインナ41の下部は、サイドシル6のサイドシルインナ7とサイドシルレインフォースメント8との間のサイドシル閉断面10内を通って、これら両者7,8の下部接合部間まで下方に延長されている。
また、センタピラーアウタ43の下部は、サイドシルアウタ9と一体または一体的に形成されている。
【0054】
さらに、上述のサイドシルインナ7とサイドシルレインフォースメント8との上部接合部間には、リトラクタ(図示せず)を支持するためのリトラクタ支持ブラケット45が取付けられている。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印OUTは車両外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0055】
このように構成した車両の車体下部構造の作用について説明する。
図8に示すように、第1クロスメンバ31のサイドシル側の端部と、サイドシルインナ7とは直接接続されておらず、第1クロスメンバ31のサイドシル側の端部は、サイドシルインナ7から所定間隔を隔てた位置に配設されており、第1クロスメンバ31とサイドシルインナ7との間は、結合部材35で結合され、また、この結合部材35の強度はクロスメンバ30および第1クロスメンバ31よりも低強度に設定され、かつ、該結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度がそのサイドシル結合領域Sの強度よりも高く設定されているので、次のような作用を奏する。
【0056】
すなわち、車両の側突時において、センタピラー12およびサイドシル6を介して入力される側突荷重は、その入力初期においては、相対的に低強度の結合部材35のサイドシル結合領域Sが潰れることで、その衝撃エネルギを吸収するので、センタピラー12下部がその潰れ量に対応して車幅方向内方へ所定量移動し得る変形代を確保することができる。
【0057】
また、その後においては、センタピラー12の上側が車室内に傾倒するように変位することで、サイドシル6には曲げモーメントが作用するが、この曲げモーメントは結合部材35の相対的に高強度のクロスメンバ結合領域Cで荷重を受け、このクロスメンバ結合領域Cが曲げ入力を吸収しながら潰れるので、その荷重を可及的クロスメンバ30に伝えないようにすることができる。
【0058】
さらに、上述のクロスメンバ30、特に、第1クロスメンバ31は結合部材35に対して高強度に設定されており、該第1クロスメンバ31は曲げモーメントに起因する曲げ入力に耐え得る強度を備えているので、このクロスメンバ30が座屈変形するのを抑制しながら、上述の結合部材35により軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができる。
【0059】
このように、図1〜図11で示した実施例の車両の車体下部構造は、フロアパネル1上部のトンネル部2と、センタピラー12が結合されたサイドシル6との間に、車幅方向に延びるクロスメンバ30が設けられた車両の車体下部構造であって、上記クロスメンバ30のサイドシル6側端部を、該サイドシル6から所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、上記クロスメンバ30のサイドシル6側端部と上記サイドシル6の側面とを結合する結合部材35を設け、該結合部材35が上記クロスメンバ30より低強度に設定されると共に、該結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度が、該結合部材35のサイドシル結合領域Sの強度より高くなるように構成されたものである(図1、図8参照)。
【0060】
この構成によれば、センタピラー12およびサイドシル6を介して入力される側突荷重を、その入力初期においては、サイドシル6とクロスメンバ30との間の結合部材35における強度が低いサイドシル結合領域Sで荷重を受け、このサイドシル結合領域Sが荷重を吸収しながら軸方向(車幅方向)に潰れて、衝撃エネルギを吸収する。
【0061】
その後、サイドシル6からの曲げモーメントに対しては、結合部材35における強度が高いクロスメンバ結合領域Cで荷重を受け、このクロスメンバ結合領域Cが曲げ入力を吸収しながら潰れ、荷重を可及的クロスメンバ30に伝えないようにする。
また、上記クロスメンバ30は結合部材35より高強度に設定されているので、該クロスメンバ30は上記各入力に耐えられる強度を有しており、このクロスメンバ30の座屈変形を抑制しつつ、上記結合部材35にて、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができる。
【0062】
また、該結合部材35が軸方向(車幅方向)に潰れることにより、センタピラー12下部が車幅方向内方へ所定量移動し得る変形代を確保することができ、この変形代の確保によりセンタピラー12上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
さらに、上記結合部材35が乗員用シートを支持するシート取付けブラケットにて構成されたものである(図7〜図9参照)。
この構成によれば、シートを支持するシート取付けブラケットを利用して、クロスメンバ30の座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができるうえ、センタピラー12下部の変形代の確保によりセンタピラー12上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
【0063】
加えて、上記クロスメンバ30の車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)が、該クロスメンバ30の車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)に対して高強度に形成されたものである(図7〜図9参照)。
この構成によれば、強度が必要なクロスメンバ30の車幅方向外側部(実施例の第1クロスメンバ31参照)のみを高強度に構成することができるので、重量増加やコストアップを抑制することができる。
【0064】
また、上記クロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)と、該クロスメンバの車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)とが別部材にて構成され、上記外側部(第1クロスメンバ31参照)を上記内側部(第2クロスメンバ32参照)に対して上側にして接合固定したものである(図7、図10参照)。
この構成によれば、側突時におけるサイドシル6からの曲げモーメントに対して、上側に位置するクロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)から下側に位置するクロスメンバの車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)に効果的に荷重を伝達することができる。
【0065】
さらに、上記クロスメンバ30の上部には車幅方向に延びる補強部(ビード33,34参照)が一体形成されたものである(図7、図10参照)。
上記構成によれば、部品点数の増加を招くことなく、サイドシル6からの曲げモーメントに対するクロスメンバ30の耐力向上を図ることができる。
【0066】
そのうえ、上記クロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)と、該クロスメンバの車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)との境界部Zを、上記トンネル部2とサイドシル6との間においてフロアパネル1下部に車両前後方向に延びるように設けられたフレーム部材(フロアフレーム18参照)と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部2側に配設したものである(図8、図9参照)。
この構成によれば、側突時においてサイドシル6からの荷重を、高強度のクロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)を介して、フロアパネル1下部のフレーム部材(フロアフレーム18参照)で支えることができる。
【0067】
さらに、上記結合部材35のサイドシル結合領域Sの下端と、上記フロアパネル1上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域Sを圧縮変形すべく空間部37が設けられたものである(図9参照)。
この構成によれば、上述の空間部37を設けたことにより、側突荷重の入力初期に上記結合部材35のサイドシル結合領域Sをより一層確実に圧縮変形させて、上記センタピラー12下部の変形代をより一層確実に確保することができる。
【0068】
図12は車両の車体下部構造の他の実施例を示す正面図である。
図1〜図11で示した先の実施例においては、第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32とを別部材により形成したが、図12に示すこの実施例においては、テーラードブランクにより第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32とを実質的に一体形成したものである。
【0069】
すなわち、相対的に板厚が厚い部材により、クロスメンバの車幅方向外側部としての第1クロスメンバ31となる素材を設けると共に、相対的に板厚が薄い部材により、クロスメンバの車幅方向内側部としての第2クロスメンバ32となる素材を設け、これら両素材を予め接合固定して一体化した板材をプレス加工によって断面ハット形状に加工して、第1および第2の各クロスメンバ31,32を構成したものである。
このように、クロスメンバ30を、テーラードブランクにより構成しても、第1クロスメンバ31を第2クロスメンバ32に対して高強度に形成することができる。
【0070】
図12に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例と同様であるから、図12において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のクロスメンバの車幅方向外側部は、実施例の第1クロスメンバ31に対応し、
以下同様に、
クロスメンバの車幅方向内側部は、第2クロスメンバ32に対応し、
補強部は、ビード33,34に対応し、
フレーム部材は、フロアフレーム18に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
1…フロアパネル
2…トンネル部
6…サイドシル
12…センタピラー
18…フロアフレーム(フレーム部材)
30…クロスメンバ
31…第1クロスメンバ(クロスメンバの車幅方向外側部)
32…第2クロスメンバ(クロスメンバの車幅方向内側部)
33,34…ビード(補強部)
35…結合部材
37…空間部
C…クロスメンバ結合領域
S…サイドシル結合領域
Z…境界部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられた車両の車体下部構造であって、
上記クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、
上記クロスメンバのサイドシル側端部と上記サイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、
該結合部材が上記クロスメンバより低強度に設定されると共に、
該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成された
車両の車体下部構造。
【請求項2】
上記結合部材が乗員用シートを支持するシート取付けブラケットにて構成された
請求項1記載の車両の車体下部構造。
【請求項3】
上記クロスメンバの車幅方向外側部が、該クロスメンバの車幅方向内側部に対して高強度に形成された
請求項1または2記載の車両の車体下部構造。
【請求項4】
上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部とが別部材にて構成され、
上記外側部を上記内側部に対して上側にして接合固定した
請求項3記載の車両の車体下部構造。
【請求項5】
上記クロスメンバの上部には車幅方向に延びる補強部が一体形成された
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の車体下部構造。
【請求項6】
上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部との境界部を、
上記トンネル部とサイドシルとの間においてフロアパネル下部に車両前後方向に延びるように設けられたフレーム部材と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部側に配設した
請求項3〜5の何れか1に記載の車両の車体下部構造。
【請求項7】
上記結合部材のサイドシル結合領域の下端と、上記フロアパネル上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域を圧縮変形すべく空間部が設けられた
請求項1〜6の何れか1に記載の車両の車体下部構造。
【請求項1】
フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられた車両の車体下部構造であって、
上記クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、
上記クロスメンバのサイドシル側端部と上記サイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、
該結合部材が上記クロスメンバより低強度に設定されると共に、
該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成された
車両の車体下部構造。
【請求項2】
上記結合部材が乗員用シートを支持するシート取付けブラケットにて構成された
請求項1記載の車両の車体下部構造。
【請求項3】
上記クロスメンバの車幅方向外側部が、該クロスメンバの車幅方向内側部に対して高強度に形成された
請求項1または2記載の車両の車体下部構造。
【請求項4】
上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部とが別部材にて構成され、
上記外側部を上記内側部に対して上側にして接合固定した
請求項3記載の車両の車体下部構造。
【請求項5】
上記クロスメンバの上部には車幅方向に延びる補強部が一体形成された
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の車体下部構造。
【請求項6】
上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部との境界部を、
上記トンネル部とサイドシルとの間においてフロアパネル下部に車両前後方向に延びるように設けられたフレーム部材と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部側に配設した
請求項3〜5の何れか1に記載の車両の車体下部構造。
【請求項7】
上記結合部材のサイドシル結合領域の下端と、上記フロアパネル上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域を圧縮変形すべく空間部が設けられた
請求項1〜6の何れか1に記載の車両の車体下部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−228482(P2010−228482A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75409(P2009−75409)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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