車両乗員拘束システム用エアバッグ、及び車両乗員拘束システムの製造方法
本発明は、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層(11,12)と、前記第1及び第2の層(11,12)の間に設けられ、車両乗員(20)を保護するために膨張可能な少なくとも1つのチャンバー(18)と、前記第1及び第2の層(11,12)を各外周の少なくとも1つの部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目(2)と、を備える、車両の車両乗員拘束システム用エアバッグに関する。本発明によれば、エアバッグ(1)は、当該エアバッグが車両に装着されて膨張する際、前記継ぎ目(2)が車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して傾斜或いは交差する平面に沿って延在するように構成される。本発明の第2の態様によれば、前記縫い目(2)は、エアバッグの主要延在方向に傾斜或いは交差する平面に沿って延在する。本発明は、更に所定のエアバッグを製造するための方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1にかかる、車両の車両乗員拘束システム用エアバッグ、請求項15にかかるエアバッグ、また請求項23にかかる車両乗員拘束システムの製造方法に関するものである。
【0002】
車両乗員拘束システムのエアバッグを、例えば繊維布であるエアバッグ材料からなる少なくとも2つの層によって製造する点が公知である。これら2つの層はそれぞれの周縁に沿って延在する継ぎ目によって互いに接続され、2つの層の間に少なくとも1つの膨張可能なチャンバーが形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって解決される課題は、衝撃を極力減衰させることが可能な外形を有し、簡単な方法で製造することが可能なエアバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1にかかる特徴を有するエアバッグによって、請求項15にかかる特徴を有するエアバッグによって、また請求項23にかかる特徴を有する方法によって解決される。本発明の改良が従属項に示されている。
【0005】
従って、車両乗員拘束システム用エアバッグは、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層と、前記第1及び第2の層の間に設けられ、車両乗員を保護するために膨張可能な少なくとも1つの膨張可能なチャンバーと、前記第1及び第2の層を各外周の部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目と、を備え、当該エアバッグが車両乗員と車両側構造部との間で展開されるように構成される。
【0006】
前記エアバッグは、当該エアバッグが車両に装着されて膨張されるとき、前記継ぎ目が車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して傾斜或いは交差する平面に沿って延在するように構成される。
【0007】
従って、継ぎ目は、2つの層(特に、少なくとも概ね合同のエアバッグブランク(未加工材))を互いに接続する周縁継ぎ目として構成され、車両乗員を保護するための膨張可能なチャンバーが、複数の層によって規定され、即ち2つの層の間に当該チャンバーが延在する。特に、この継ぎ目は、2つのエアバッグ層の一部に沿って延在するのみならず、各エアバッグ層の外周の全体に沿って延在することが可能であり、即ち継ぎ目を全面的に設けることが可能であり、これにより当該継ぎ目が膨張可能なチャンバーを完全に取り囲む。
【0008】
本発明によれば、エアバッグの継ぎ目は、車両に装着された従来のエアバッグの周縁継ぎ目に傾斜或いは交差して延在し、(例えば、車両シートの表面又は内部に装着されたサイドエアバッグ、或いはカーテンエアバッグにおいて)車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に当該継ぎ目が配置される。特に、継ぎ目が延在する平面は、車両の長手方向及び高さ方向によって構成される平面に対して、車両の高さ方向と平行に延在する軸まわりに回転されているが、車両の長手方向と平行に延在する軸まわりには傾斜してない。換言すれば、車両の長手方向ではなく、特に車両の高さ方向が、継ぎ目が延在する平面に対して平行に延在する。
【0009】
この継ぎ目の外形(「輪郭」ともいう)によって、特にキャッチストラップのような追加の外形規定手段を用いることなく、エアバッグの外形を継ぎ目によって予め規定することができる。エアバッグは、通常、膨張状態においては周縁継ぎ目に沿って最も大きく拡張するので、エアバッグの少なくとも一部の有効厚みを、周縁継ぎ目(即ち、第1及び第2の層を互いに接続する継ぎ目)の位置によって予め規定することができる。
【0010】
車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面と交差して継ぎ目が配置されるため、例えば車両の長手方向に関するエアバッグの拡張を制限するために追加の手段を設けることなく、車両の交差方向についてエアバッグの有効厚みを大きくすることができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、継ぎ目は、車両のステアリングホイールのステアリングホイールリム、及び/又は車両の助手席ダッシュボード面が延在する平面に傾斜或いは交差して延在し、ここではエアバッグが、例えば車両のステアリングホイール内に一体状に組み込まれる。サイドエアバッグと同様に、ステアリングホイール又は助手席ダッシュボードと保護される車両乗員との間の運転者用又は助手席乗員用のエアバッグの有効厚みを、周縁継ぎ目の配置によって予め規定することができる。
【0012】
本発明の1つの態様では、エアバッグは、第1及び第2の層を互いに接続する第1の継ぎ目を含むのみならず、エアバッグの複数の層を各外周の部位に沿って同様に互いに接続する少なくとも1つの別の継ぎ目を含む。特に第2の継ぎ目によって互いに接続される2つの層も第1及び第2の層とされ、これにより第1及び第2の層は、各外周の第1の部位に沿って第1の継ぎ目で互いに接続され、且つ各外周の第2の部位に沿って第2の継ぎ目で互いに接続される。
【0013】
別の例では、第2の継ぎ目が一方では、第1及び第2の層とは異なり、且つ第1及び第2の層から例えば所定距離を隔てて配置された2つの別の層に接続される。これに対して、これら別の層をそれぞれ第1及び第2の層に接続することもできる。
【0014】
第1及び第2の層は、膨張エアバッグの外形を規定するために、特に互いに所定の角度をなして配置される(当該層は、互いに傾斜又は交差して平面に沿って延在する)。エアバッグ層を接続する第1及び第2の継ぎ目(或いは、そのような継ぎ目が2つ以上の場合には、エアバッグ層を接続する全ての継ぎ目)がそれぞれ、例えば車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する平面に沿って延在することができる。
【0015】
一方で、勿論、別の継ぎ目(或いは、更なる複数の継ぎ目の少なくとも1つ)が、従来の方向、即ち車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面と平行に延在することもできる。
【0016】
例えば、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する(或いは、車両のステアリングホイールのステアリングホイールリム、及び/又は車両の助手席ダッシュボード面が延在する平面と交差する)第1の平面に沿って第1の継ぎ目が延在し、また、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面と平行に延在する(或いは、車両のステアリングホイールのステアリングホイールリム、及び/又は車両の助手席ダッシュボード面が延在する平面と平行な)第2の面に沿って第2の継ぎ目が延在する。
【0017】
本発明の別の改良例では、第1及び第2の層が第1チャンバーを規定し、また2つの別の層がエアバッグの第2チャンバーを規定する。一方で、第1及び第2の層が2つの別の層とともに、エアバッグの(個別の)チャンバーを規定することも考えられる。特に、第2の継ぎ目によって互いに接続される層が別個の層ではなく、同様に第1及び第2の層であるとき、第1及び第2の層は、互いに傾斜或いは交差して配置された少なくとも2つの継ぎ目(第1の継ぎ目と、少なくとも1つの第2の継ぎ目)によって互いに接続されるが、それでも個別のチャンバーを形成する。
【0018】
互いに傾斜或いは交差して延在する継ぎ目によって、いわばエアバッグの捩じれが生じ、このため、特に車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差して(或いは、車両のステアリングホイールのステアリングホイールリム、及び/又は車両の助手席ダッシュボード面が延在する平面と傾斜或いは交差して)延在する継ぎ目に沿ったエアバッグ外形は、残りのエアバッグに比べてより大きな有効厚みを有する。勿論、(特に、運転席用エアバッグの場合に)エアバッグが、その周縁継ぎ目が前述のように傾斜して配置された1つの膨張可能なチャンバーのみを含むこともできる。
【0019】
本発明の別の態様では、第1及び第2の層が一体状に折り畳まれる1つの材料片(蝶形のバタフライ構造)として構成され、ここで材料片が互いに折り畳まれた部位は、それらの外周(折り畳まれた縁部の外側)に沿って継ぎ目で互いに接続される。一方で、最初は別体の材料片として構成された第1及び第2の層が、その後に継ぎ目によって互いに接続されることも考えられる。勿論、エアバッグが、継ぎ目によって互いに接続される(例えば、隣接する)2つ以上の層を有することもできる。
【0020】
特に、第1及び第2の層は、更なる別個のエアバッグ層を設けることなく膨張可能な複数のチャンバーを規定することも可能であり、例えば第1及び第2の層の間に分離手段(例えば、キャッチストラップ)が配置される。
【0021】
第1及び第2の層を互いに接続する継ぎ目は、特に縫合継ぎ目として構成される。一方で、この継ぎ目を線形の接着接続によって構成することもできる。
【0022】
更に、本発明にかかるエアバッグは、当該エアバッグをエアバッグ膨張のためのガスジェネレータと接続するための固定手段を含むことができ、当該固定手段が継ぎ目から所定距離を隔てて配置される。特に、この固定手段は、第1又は第2の層における少なくとも1つの開口によって構成され、ここでは当該開口は、例えばエアバッグにガスジェネレータを固定するための固定ボルトが当該開口を通じて延在できるように構成される。
【0023】
別の改良例によれば、エアバッグは、第1及び第2の層を互いに接続するための継ぎ目から所定距離を隔てて配置された流出開口を含み、当該流出開口を通じてエアバッグから周辺領域へとガスが流出可能となる。特に、この流出開口は、エアバッグ装着状態で、当該流出開口が前方進行方向を向くように配置される。
【0024】
本発明にかかるエアバッグは、例えば当該エアバッグが車両シート内又は車両シート上、或いは車両ドア内又は車両ドア上に配置されるサイドエアバッグの形態として構成され、或いは特に車両のルーフレールに沿って配置され、且つ膨張状態で車両の長手面に沿って延在するカーテンエアバッグの形態として構成される。
【0025】
第2の態様では、本発明は、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層と、前記第1及び第2の層の間に設けられ、車両乗員保護のために膨張可能な少なくとも1つのチャンバーと、前記第1及び第2の層を各外周の部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目と、を備え、当該エアバッグが膨張状態で延在主要面に沿って延在するエアバッグに関する。
【0026】
本発明によれば、継ぎ目は、延在主要面に傾斜又は交差する所定の平面に沿って延在する。
【0027】
従って、第1及び第2の層を接続する継ぎ目(周縁継ぎ目)は、従来のエアバッグの継ぎ目ように、エアバッグの主動作方向と垂直な平面に沿っては延在せずに、エアバッグの主動作方向に垂直でない平面に沿って延在する。エアバッグの「主動作方向」は、主にエアバッグの衝突エネルギーを吸収する方向であり、ここでは側面或いは前方の衝突時に、車両乗員に対して最も大きな荷重動作が作用すると予測される方向と主動作方向が合致する。
【0028】
「主要延在方向」は、膨張エアバッグが最も大きく拡張する平面(方向)と解される。特に、複数のチャンバーを有するエアバッグでは、主要延在面は、最も容量の大きいチャンバーの最大拡張面によって規定される。例えば、サイドエアバッグ(シートエアバッグ、ドアエアバッグ又はカーテンエアバッグ)の主要延在面は、少なくとも殆どが車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に沿って延在する。運転者用エアバッグの主要延在面は、例えば車両のステアリングホイールのステアリングホイールリムに概ね平行に延在する。
【0029】
本発明の別の態様によれば、エアバッグは主要展開方向に沿って展開し、ここでは第1及び第2の層を各外周の部位に沿って互いに接続する継ぎ目は、主要展開方向と垂直には配置されない。エアバッグの「主要展開方向」は、エアバッグが展開の際のその拡張時に最も大きく変化する方向であると解される。例えば、車両シートに配置されるサイドエアバッグでは、その主要展開方向が、概ね前方進行方向を向くか、或いは車両シートのバックレストに垂直となることができる。運転席用エアバッグでは、主要展開方向が、例えばステアリングホイールリムの平面に垂直となる。
【0030】
本発明は、車両乗員拘束装置を製造するための方法にも関し、その方法によれば、エアバッグは、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層を含み、当該層が少なくとも各(外側の)周囲の部位に沿って継ぎ目で互いに接続されるように構成される。このエアバッグは、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する平面に沿って継ぎ目が延在するように車両に配置される。
【0031】
特に、本発明は、所定のエアバッグを製造するための方法にも関し、この方法によれば、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層は、少なくとも各外周の部位に沿った継ぎ目で互いに接続され、ここでは第1及び第2の層は、エアバッグを車両に装着する際に、エアバッグが車両乗員と車両側構成部との間で展開するように構成され、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する平面に沿って継ぎ目が延在する。
【0032】
従って、第1及び第2のエアバッグ層は、エアバッグを製造するために各外周に沿って互いに接続される未加工材(ブランク)として構成される。当該未加工材は、(例えば、サイドエアバッグの形態の)エアバッグが従来のエアバッグのように車両に配置される(即ち、エアバッグが従来の継ぎ目の外形を有する)が、2つのエアバッグ層を互いに接続する継ぎ目が、車両の長手方向及び高さ方向を規定する平面に対して、及び/又はエアバッグの主要延在面に対して交差して延在するように(例えば、非合同状或いは非円形状に)構成される。
【0033】
本発明は、図面が参照される典型的な実施形態によって以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、従来のエアバッグを示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1の典型的な実施形態にかかるエアバッグを示す図である。
【図3】図3は、本発明の第2の典型的な実施形態にかかるエアバッグを示す図である。
【図4A】図4Aは、本発明の第3の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図4B】図4Bは、本発明の第3の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図4C】図4Cは、本発明の第3の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図4D】図4Dは、本発明の第3の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図5】図5は、本発明の第4の典型的な実施形態にかかるエアバッグの線図である。
【図6A】図6Aは、本発明の第4の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図6B】図6Bは、本発明の第4の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図7】図7は、本発明の第5の典型的な実施形態にかかるエアバッグの側面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の第6の典型的な実施形態にかかるエアバッグを示す図である。
【図8B】図8Bは、本発明の第6の典型的な実施形態にかかるエアバッグを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、従来のサイドエアバッグ1に関するものであり、当該エアバッグは、図示されている膨張状態では、車両側構造部10と保護される車両乗員20との間に延在している。車両乗員20は、図示省略の車両シートに着座しており、ここではエアバッグ1が特に、車両シート内に、或いは車両側構造部の車両ドア内に一体状に組み込まれる。
【0036】
この従来エアバッグ1は、第1のエアバッグ層11及び第2のエアバッグ層12を含み、これら2つのエアバッグ層は、所定の周縁継ぎ目2によって互いに接続されており、これによりこれら2つの層11,12の間に膨張可能なチャンバー(区画室)が形成される。このエアバッグ1は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される所定平面に沿って、即ちエアバッグの動作方向に垂直で且つ主要延在面に平行に配置された所定平面に沿って延在するように、車両に構成配置されている。
【0037】
周縁継ぎ目2のこの外形(「輪郭」ともいう)によれば、膨張エアバッグは、車両の長軸方向に最も大きく拡張される。車両乗員と車両側構造部との間の、即ち車両を横切る方向に沿ったエアバッグの有効厚みを増やすためには、車両の長手方向についてのエアバッグの拡張を制限するキャッチストラップ又はダート(図示省略)を設けることができ、このため膨張エアバッグは車両を横切る方向についてより大きく拡張する。
【0038】
図2には、本発明にかかるエアバッグ1が図示されており、当該エアバッグは図1のエアバッグのように、2つのエアバッグ層11,12を備えており、これらエアバッグ層は、各層の周縁部(外周の縁部)に沿って延在する周縁継ぎ目2によって互いに接続されている。
【0039】
エアバッグが車両に装着された状態では、継ぎ目2は、図1に比べて、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される所定平面に沿って延在するのではなく、この所定平面に対し角度αで傾斜して配置された平面に沿って延在している。図示の例では、継ぎ目2が延在する平面は、ある意味では車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して、車両の高さ方向に平行な軸まわりに角度αで回転されている。
【0040】
本発明は、勿論、従来の継ぎ目の外形(形状)に対して傾斜した継ぎ目の特定の配置に限定されるものではなく、原則的には、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して傾斜した如何なる継ぎ目の外形も採用することができる。例えば、角度αを0度から180度のうちの値に設定することができる。
【0041】
これに加えて、継ぎ目2が延在する平面が、従来の継ぎ目が延在する平面に、即ち車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に延在するように構成することも可能であり、車両の高さ方向の軸まわりの回転に加えて或いは代えて、車両の長手方向と平行に延在する軸まわりに、及び/又は車両を横切る方向と平行に延在する軸まわりに回転することもできる。
【0042】
更に、従来の継ぎ目の平面がそのまわりに回転されることとなる回転点(回転位置)を、エアバッグの対称軸上に配置する必要はなく、その縁部或いはエアバッグの外部にも配置可能であり、これにより本発明は、概して第1及び第2の層の間の接続継ぎ目を有するエアバッグに関し、当該接続継ぎ目は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して、何らの方法で傾斜或いは交差した平面に沿って延在する。
【0043】
図3には、エアバッグの複数の層を互いに接続する1つの周縁継ぎ目よりも多くの周縁継ぎ目を設けることも可能である点が示されており、ここでは複数の周縁継ぎ目を異なる形態で配置することができる。図3の例では、エアバッグ1は、例えばエアバッグの膨張可能なチャンバーを構成する下部領域13と、例えばエアバッグの更なる別のチャンバーを構成する上部領域14を有する。一方で、上部及び下部領域13,14がエアバッグの共通のチャンバーを構成することもできる。
【0044】
下部領域13は、第1の周縁継ぎ目2に沿って互いに接続された第1及び第2の層11,12によって構成されている。この周縁継ぎ目2は、従来エアバッグのように、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に平行に延在している。
【0045】
エアバッグ1の上部領域14は、第2の周縁継ぎ目3によって互いに接続された更なる別の2つの層15,16によって構成されている。エアバッグ層11及び15がエアバッグ層12及び16と互いに一体状に構成されることも可能であり、即ちこれらの層が互いに所定の連続した層を形成する。
【0046】
第2の周縁継ぎ目3は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して、従って第1の周縁継ぎ目2に対して、角度αで回転した平面に沿って延在しており、これによりエアバッグの上部領域14が、言うなれば下部のエアバッグ部13に対して捩じられている。
【0047】
図1から図3に記載の原理を、類似の方法で、例えばカーテン式、運転席用(運転者用)、助手席用、或いは膝用のエアバッグのような他の種類のエアバッグに適用することもできる。
【0048】
図4Aから図4Dには、本発明にかかるエアバッグ1を種々の視点から視た図が、図3の原理に基づいて示されている。具体的には、図4Aには、車両乗員20と車両側構造部10との間に延在する膨張したサイドエアバッグ1の上部領域14の断面構造が示されている。図4Bには、エアバッグ1を車両前方から視た図が示されており、図4Cには、車両側構造部10から視た側面視が示されており、また図4Dには、エアバッグを上方から視た図が示されている。
【0049】
エアバッグ1は、同様に下部領域13を備えており、ここでは下部領域13のエアバッグ層11,12は、第1の周縁継ぎ目2に沿って互いに接続されており、また上部領域14のエアバッグ層15及び16は、第2の周縁継ぎ目3に沿って互いに接続されている。装着状態のエアバッグでは、上部領域14は、車両のヘッドライナーに向かい(対向し)、また特には、保護される車両乗員が着座する車両シートのバックレストに沿って延在している。
【0050】
第1の周縁継ぎ目2は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される所定平面に沿って配置され、その一方で第2の周縁継ぎ目3は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して交差して延在する所定平面に沿って延在している。特に、第2の周縁継ぎ目3は、車両シートのバックレストに概ね平行に位置する平面に沿って延在している。
【0051】
図4Aに示されるように、膨張可能な上部チャンバー17は、上部領域14のエアバッグ層15及び16によって規定され、当該エアバッグ層は、周縁継ぎ目3によって互いに接続されている。上部チャンバー17の領域には、ガスジェネレータ(「ガス発生器」ともいう)4が配置されており、当該ガスジェネレータは、エアバッグ層15の開口を通じて延在する取り付け固定ボルト(図示省略)によって、車両側構造部(特に、車両シートのバックレスト)に接続されている。
【0052】
更に、エアバッグの上部チャンバー17の領域には、流出開口5が設けられており、ガスは当該流出開口を通じて上部チャンバーから周辺領域へと流出できる。
【0053】
流出開口5は、車両前方に対向して、従って周縁継ぎ目3から所定距離を隔ててエアバッグ層16に配置されている。
【0054】
エアバッグの上部領域14、即ち上部チャンバー17は、分離継ぎ目5によってエアバッグの下部領域13から分離されており、これにより第1の周縁継ぎ目2で互いに接続されたエアバッグ層11,12によって、更なる別の下部チャンバー18が規定されている。第1及び第2の周縁継ぎ目2,3が異なる配置態様であるため、上部チャンバー17が下部チャンバー18に対して回転されている。
【0055】
エアバッグ1の膨張状態では、周縁継ぎ目3の外形が車両の長手方向と交差する、即ちエアバッグの動作方向の平面に沿って延在しているため、上部チャンバー17は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される所定平面に沿って周縁継ぎ目2が延在している下部チャンバー18よりも厚みが大きくなる。継ぎ目2の外形によれば、下部チャンバー18は車両の長手方向に最も大きく拡張する。
【0056】
エアバッグの上部領域14を下部領域13から分離する継ぎ目5が任意に設けられる。エアバッグの上部及び下部領域が共通のチャンバーを構成することも考えられる。例えば継ぎ目5を中断することによって形成されるオーバーフロー手段によって、上部チャンバー17が下部チャンバー18と流通可能な状態で接続される構成が少なくとも考えられる。
【0057】
エアバッグの上部領域がエアバッグの下部領域に対して回転される原理が図5に示されており、この図には相対的に回転された2つの継ぎ目2,3のみが示されている。
【0058】
図6A及び6Bには、そのようなエアバッグにおける側面視及び上面視がそれぞれ示されており、その下部領域13には、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して交差する平面に沿って延在する第1の周縁継ぎ目2が設けられており、またその上部領域14には、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に沿って延在する第2の周縁継ぎ目3が設けられている。エアバッグの上部及び下部領域13,14は、特に共通のチャンバーを形成している。
【0059】
図7は、本発明にかかる、別の典型的な実施形態のエアバッグ1に関するものである。このエアバッグ1は、1つの外周の周縁継ぎ目2に沿って互いに接続された2つのエアバッグ層11,12を備えており、これによりエアバッグの1つのチャンバーが2つのエアバッグ層11,12及び周縁継ぎ目2によって規定されている。
【0060】
勿論、エアバッグ層11,12及び外周の周縁継ぎ目2が、エアバッグの複数のチャンバーを規定することも考えられ、例えば2つの層11,12の間に、例えばストラップ又はダートの形態の分離手段が設けられ、これにより2つのエアバッグ層11,12の間に、膨張可能な複数のチャンバーが形成される。図7の実施例によれば、エアバッグ1の膨張状態では、外周の周縁継ぎ目2は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面と交差し、且つ保護される車両乗員が着座する車両シートのバックレストに平行な所定平面に沿って延在する。
【0061】
図8A及び8Bは、図7の典型的な実施形態の変更例に関するものであり、ここではエアバッグを通じた部位が示されている。このエアバッグ1は、第1のエアバッグ層11に2つの開口111,112の形態の固定手段を備えており、当該固定手段は、エアバッグ1をガスジェネレータ(図示省略)に接続するための機能を果たす。開口111,112の領域では、例えばエアバッグ材料によって製造された補強層113が第1の層11に接続されている。
【0062】
図8Aに示されるように、開口111,112は、エアバッグの装着状態に基づいた場合、車両の高さ方向に関し一方が他方の上方に配置されている。一方でで、図8Bの実施例では、開口111,112及び補強層113は回転され、即ち車両の高さ方向に傾斜して延在する軸に沿って配置されている。
【0063】
上述の種々の典型的な実施形態を構成する複数の要素は、互いに組み合わせて使用できることは勿論であり、ガスジェネレータをその他の典型的な実施形態の複数の要素に固定するのに、例えば図8A及び8Bに示された構造を用いることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 サイドエアバッグ
2,3 継ぎ目
4 ガスジェネレータ
5 流出開口
10 車両側構造部
11 第1の層
12 第2の層
13 下部領域
14 上部領域
15,16 別の層
17 上部チャンバー
18 下部チャンバー
20 車両乗員
111,112 開口
113 補強層
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1にかかる、車両の車両乗員拘束システム用エアバッグ、請求項15にかかるエアバッグ、また請求項23にかかる車両乗員拘束システムの製造方法に関するものである。
【0002】
車両乗員拘束システムのエアバッグを、例えば繊維布であるエアバッグ材料からなる少なくとも2つの層によって製造する点が公知である。これら2つの層はそれぞれの周縁に沿って延在する継ぎ目によって互いに接続され、2つの層の間に少なくとも1つの膨張可能なチャンバーが形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって解決される課題は、衝撃を極力減衰させることが可能な外形を有し、簡単な方法で製造することが可能なエアバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1にかかる特徴を有するエアバッグによって、請求項15にかかる特徴を有するエアバッグによって、また請求項23にかかる特徴を有する方法によって解決される。本発明の改良が従属項に示されている。
【0005】
従って、車両乗員拘束システム用エアバッグは、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層と、前記第1及び第2の層の間に設けられ、車両乗員を保護するために膨張可能な少なくとも1つの膨張可能なチャンバーと、前記第1及び第2の層を各外周の部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目と、を備え、当該エアバッグが車両乗員と車両側構造部との間で展開されるように構成される。
【0006】
前記エアバッグは、当該エアバッグが車両に装着されて膨張されるとき、前記継ぎ目が車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して傾斜或いは交差する平面に沿って延在するように構成される。
【0007】
従って、継ぎ目は、2つの層(特に、少なくとも概ね合同のエアバッグブランク(未加工材))を互いに接続する周縁継ぎ目として構成され、車両乗員を保護するための膨張可能なチャンバーが、複数の層によって規定され、即ち2つの層の間に当該チャンバーが延在する。特に、この継ぎ目は、2つのエアバッグ層の一部に沿って延在するのみならず、各エアバッグ層の外周の全体に沿って延在することが可能であり、即ち継ぎ目を全面的に設けることが可能であり、これにより当該継ぎ目が膨張可能なチャンバーを完全に取り囲む。
【0008】
本発明によれば、エアバッグの継ぎ目は、車両に装着された従来のエアバッグの周縁継ぎ目に傾斜或いは交差して延在し、(例えば、車両シートの表面又は内部に装着されたサイドエアバッグ、或いはカーテンエアバッグにおいて)車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に当該継ぎ目が配置される。特に、継ぎ目が延在する平面は、車両の長手方向及び高さ方向によって構成される平面に対して、車両の高さ方向と平行に延在する軸まわりに回転されているが、車両の長手方向と平行に延在する軸まわりには傾斜してない。換言すれば、車両の長手方向ではなく、特に車両の高さ方向が、継ぎ目が延在する平面に対して平行に延在する。
【0009】
この継ぎ目の外形(「輪郭」ともいう)によって、特にキャッチストラップのような追加の外形規定手段を用いることなく、エアバッグの外形を継ぎ目によって予め規定することができる。エアバッグは、通常、膨張状態においては周縁継ぎ目に沿って最も大きく拡張するので、エアバッグの少なくとも一部の有効厚みを、周縁継ぎ目(即ち、第1及び第2の層を互いに接続する継ぎ目)の位置によって予め規定することができる。
【0010】
車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面と交差して継ぎ目が配置されるため、例えば車両の長手方向に関するエアバッグの拡張を制限するために追加の手段を設けることなく、車両の交差方向についてエアバッグの有効厚みを大きくすることができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、継ぎ目は、車両のステアリングホイールのステアリングホイールリム、及び/又は車両の助手席ダッシュボード面が延在する平面に傾斜或いは交差して延在し、ここではエアバッグが、例えば車両のステアリングホイール内に一体状に組み込まれる。サイドエアバッグと同様に、ステアリングホイール又は助手席ダッシュボードと保護される車両乗員との間の運転者用又は助手席乗員用のエアバッグの有効厚みを、周縁継ぎ目の配置によって予め規定することができる。
【0012】
本発明の1つの態様では、エアバッグは、第1及び第2の層を互いに接続する第1の継ぎ目を含むのみならず、エアバッグの複数の層を各外周の部位に沿って同様に互いに接続する少なくとも1つの別の継ぎ目を含む。特に第2の継ぎ目によって互いに接続される2つの層も第1及び第2の層とされ、これにより第1及び第2の層は、各外周の第1の部位に沿って第1の継ぎ目で互いに接続され、且つ各外周の第2の部位に沿って第2の継ぎ目で互いに接続される。
【0013】
別の例では、第2の継ぎ目が一方では、第1及び第2の層とは異なり、且つ第1及び第2の層から例えば所定距離を隔てて配置された2つの別の層に接続される。これに対して、これら別の層をそれぞれ第1及び第2の層に接続することもできる。
【0014】
第1及び第2の層は、膨張エアバッグの外形を規定するために、特に互いに所定の角度をなして配置される(当該層は、互いに傾斜又は交差して平面に沿って延在する)。エアバッグ層を接続する第1及び第2の継ぎ目(或いは、そのような継ぎ目が2つ以上の場合には、エアバッグ層を接続する全ての継ぎ目)がそれぞれ、例えば車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する平面に沿って延在することができる。
【0015】
一方で、勿論、別の継ぎ目(或いは、更なる複数の継ぎ目の少なくとも1つ)が、従来の方向、即ち車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面と平行に延在することもできる。
【0016】
例えば、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する(或いは、車両のステアリングホイールのステアリングホイールリム、及び/又は車両の助手席ダッシュボード面が延在する平面と交差する)第1の平面に沿って第1の継ぎ目が延在し、また、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面と平行に延在する(或いは、車両のステアリングホイールのステアリングホイールリム、及び/又は車両の助手席ダッシュボード面が延在する平面と平行な)第2の面に沿って第2の継ぎ目が延在する。
【0017】
本発明の別の改良例では、第1及び第2の層が第1チャンバーを規定し、また2つの別の層がエアバッグの第2チャンバーを規定する。一方で、第1及び第2の層が2つの別の層とともに、エアバッグの(個別の)チャンバーを規定することも考えられる。特に、第2の継ぎ目によって互いに接続される層が別個の層ではなく、同様に第1及び第2の層であるとき、第1及び第2の層は、互いに傾斜或いは交差して配置された少なくとも2つの継ぎ目(第1の継ぎ目と、少なくとも1つの第2の継ぎ目)によって互いに接続されるが、それでも個別のチャンバーを形成する。
【0018】
互いに傾斜或いは交差して延在する継ぎ目によって、いわばエアバッグの捩じれが生じ、このため、特に車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差して(或いは、車両のステアリングホイールのステアリングホイールリム、及び/又は車両の助手席ダッシュボード面が延在する平面と傾斜或いは交差して)延在する継ぎ目に沿ったエアバッグ外形は、残りのエアバッグに比べてより大きな有効厚みを有する。勿論、(特に、運転席用エアバッグの場合に)エアバッグが、その周縁継ぎ目が前述のように傾斜して配置された1つの膨張可能なチャンバーのみを含むこともできる。
【0019】
本発明の別の態様では、第1及び第2の層が一体状に折り畳まれる1つの材料片(蝶形のバタフライ構造)として構成され、ここで材料片が互いに折り畳まれた部位は、それらの外周(折り畳まれた縁部の外側)に沿って継ぎ目で互いに接続される。一方で、最初は別体の材料片として構成された第1及び第2の層が、その後に継ぎ目によって互いに接続されることも考えられる。勿論、エアバッグが、継ぎ目によって互いに接続される(例えば、隣接する)2つ以上の層を有することもできる。
【0020】
特に、第1及び第2の層は、更なる別個のエアバッグ層を設けることなく膨張可能な複数のチャンバーを規定することも可能であり、例えば第1及び第2の層の間に分離手段(例えば、キャッチストラップ)が配置される。
【0021】
第1及び第2の層を互いに接続する継ぎ目は、特に縫合継ぎ目として構成される。一方で、この継ぎ目を線形の接着接続によって構成することもできる。
【0022】
更に、本発明にかかるエアバッグは、当該エアバッグをエアバッグ膨張のためのガスジェネレータと接続するための固定手段を含むことができ、当該固定手段が継ぎ目から所定距離を隔てて配置される。特に、この固定手段は、第1又は第2の層における少なくとも1つの開口によって構成され、ここでは当該開口は、例えばエアバッグにガスジェネレータを固定するための固定ボルトが当該開口を通じて延在できるように構成される。
【0023】
別の改良例によれば、エアバッグは、第1及び第2の層を互いに接続するための継ぎ目から所定距離を隔てて配置された流出開口を含み、当該流出開口を通じてエアバッグから周辺領域へとガスが流出可能となる。特に、この流出開口は、エアバッグ装着状態で、当該流出開口が前方進行方向を向くように配置される。
【0024】
本発明にかかるエアバッグは、例えば当該エアバッグが車両シート内又は車両シート上、或いは車両ドア内又は車両ドア上に配置されるサイドエアバッグの形態として構成され、或いは特に車両のルーフレールに沿って配置され、且つ膨張状態で車両の長手面に沿って延在するカーテンエアバッグの形態として構成される。
【0025】
第2の態様では、本発明は、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層と、前記第1及び第2の層の間に設けられ、車両乗員保護のために膨張可能な少なくとも1つのチャンバーと、前記第1及び第2の層を各外周の部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目と、を備え、当該エアバッグが膨張状態で延在主要面に沿って延在するエアバッグに関する。
【0026】
本発明によれば、継ぎ目は、延在主要面に傾斜又は交差する所定の平面に沿って延在する。
【0027】
従って、第1及び第2の層を接続する継ぎ目(周縁継ぎ目)は、従来のエアバッグの継ぎ目ように、エアバッグの主動作方向と垂直な平面に沿っては延在せずに、エアバッグの主動作方向に垂直でない平面に沿って延在する。エアバッグの「主動作方向」は、主にエアバッグの衝突エネルギーを吸収する方向であり、ここでは側面或いは前方の衝突時に、車両乗員に対して最も大きな荷重動作が作用すると予測される方向と主動作方向が合致する。
【0028】
「主要延在方向」は、膨張エアバッグが最も大きく拡張する平面(方向)と解される。特に、複数のチャンバーを有するエアバッグでは、主要延在面は、最も容量の大きいチャンバーの最大拡張面によって規定される。例えば、サイドエアバッグ(シートエアバッグ、ドアエアバッグ又はカーテンエアバッグ)の主要延在面は、少なくとも殆どが車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に沿って延在する。運転者用エアバッグの主要延在面は、例えば車両のステアリングホイールのステアリングホイールリムに概ね平行に延在する。
【0029】
本発明の別の態様によれば、エアバッグは主要展開方向に沿って展開し、ここでは第1及び第2の層を各外周の部位に沿って互いに接続する継ぎ目は、主要展開方向と垂直には配置されない。エアバッグの「主要展開方向」は、エアバッグが展開の際のその拡張時に最も大きく変化する方向であると解される。例えば、車両シートに配置されるサイドエアバッグでは、その主要展開方向が、概ね前方進行方向を向くか、或いは車両シートのバックレストに垂直となることができる。運転席用エアバッグでは、主要展開方向が、例えばステアリングホイールリムの平面に垂直となる。
【0030】
本発明は、車両乗員拘束装置を製造するための方法にも関し、その方法によれば、エアバッグは、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層を含み、当該層が少なくとも各(外側の)周囲の部位に沿って継ぎ目で互いに接続されるように構成される。このエアバッグは、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する平面に沿って継ぎ目が延在するように車両に配置される。
【0031】
特に、本発明は、所定のエアバッグを製造するための方法にも関し、この方法によれば、エアバッグ材料からなる第1及び第2の層は、少なくとも各外周の部位に沿った継ぎ目で互いに接続され、ここでは第1及び第2の層は、エアバッグを車両に装着する際に、エアバッグが車両乗員と車両側構成部との間で展開するように構成され、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する平面に沿って継ぎ目が延在する。
【0032】
従って、第1及び第2のエアバッグ層は、エアバッグを製造するために各外周に沿って互いに接続される未加工材(ブランク)として構成される。当該未加工材は、(例えば、サイドエアバッグの形態の)エアバッグが従来のエアバッグのように車両に配置される(即ち、エアバッグが従来の継ぎ目の外形を有する)が、2つのエアバッグ層を互いに接続する継ぎ目が、車両の長手方向及び高さ方向を規定する平面に対して、及び/又はエアバッグの主要延在面に対して交差して延在するように(例えば、非合同状或いは非円形状に)構成される。
【0033】
本発明は、図面が参照される典型的な実施形態によって以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、従来のエアバッグを示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1の典型的な実施形態にかかるエアバッグを示す図である。
【図3】図3は、本発明の第2の典型的な実施形態にかかるエアバッグを示す図である。
【図4A】図4Aは、本発明の第3の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図4B】図4Bは、本発明の第3の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図4C】図4Cは、本発明の第3の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図4D】図4Dは、本発明の第3の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図5】図5は、本発明の第4の典型的な実施形態にかかるエアバッグの線図である。
【図6A】図6Aは、本発明の第4の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図6B】図6Bは、本発明の第4の典型的な実施形態にかかるエアバッグを各視点から視た図である。
【図7】図7は、本発明の第5の典型的な実施形態にかかるエアバッグの側面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の第6の典型的な実施形態にかかるエアバッグを示す図である。
【図8B】図8Bは、本発明の第6の典型的な実施形態にかかるエアバッグを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、従来のサイドエアバッグ1に関するものであり、当該エアバッグは、図示されている膨張状態では、車両側構造部10と保護される車両乗員20との間に延在している。車両乗員20は、図示省略の車両シートに着座しており、ここではエアバッグ1が特に、車両シート内に、或いは車両側構造部の車両ドア内に一体状に組み込まれる。
【0036】
この従来エアバッグ1は、第1のエアバッグ層11及び第2のエアバッグ層12を含み、これら2つのエアバッグ層は、所定の周縁継ぎ目2によって互いに接続されており、これによりこれら2つの層11,12の間に膨張可能なチャンバー(区画室)が形成される。このエアバッグ1は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される所定平面に沿って、即ちエアバッグの動作方向に垂直で且つ主要延在面に平行に配置された所定平面に沿って延在するように、車両に構成配置されている。
【0037】
周縁継ぎ目2のこの外形(「輪郭」ともいう)によれば、膨張エアバッグは、車両の長軸方向に最も大きく拡張される。車両乗員と車両側構造部との間の、即ち車両を横切る方向に沿ったエアバッグの有効厚みを増やすためには、車両の長手方向についてのエアバッグの拡張を制限するキャッチストラップ又はダート(図示省略)を設けることができ、このため膨張エアバッグは車両を横切る方向についてより大きく拡張する。
【0038】
図2には、本発明にかかるエアバッグ1が図示されており、当該エアバッグは図1のエアバッグのように、2つのエアバッグ層11,12を備えており、これらエアバッグ層は、各層の周縁部(外周の縁部)に沿って延在する周縁継ぎ目2によって互いに接続されている。
【0039】
エアバッグが車両に装着された状態では、継ぎ目2は、図1に比べて、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される所定平面に沿って延在するのではなく、この所定平面に対し角度αで傾斜して配置された平面に沿って延在している。図示の例では、継ぎ目2が延在する平面は、ある意味では車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して、車両の高さ方向に平行な軸まわりに角度αで回転されている。
【0040】
本発明は、勿論、従来の継ぎ目の外形(形状)に対して傾斜した継ぎ目の特定の配置に限定されるものではなく、原則的には、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して傾斜した如何なる継ぎ目の外形も採用することができる。例えば、角度αを0度から180度のうちの値に設定することができる。
【0041】
これに加えて、継ぎ目2が延在する平面が、従来の継ぎ目が延在する平面に、即ち車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に延在するように構成することも可能であり、車両の高さ方向の軸まわりの回転に加えて或いは代えて、車両の長手方向と平行に延在する軸まわりに、及び/又は車両を横切る方向と平行に延在する軸まわりに回転することもできる。
【0042】
更に、従来の継ぎ目の平面がそのまわりに回転されることとなる回転点(回転位置)を、エアバッグの対称軸上に配置する必要はなく、その縁部或いはエアバッグの外部にも配置可能であり、これにより本発明は、概して第1及び第2の層の間の接続継ぎ目を有するエアバッグに関し、当該接続継ぎ目は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して、何らの方法で傾斜或いは交差した平面に沿って延在する。
【0043】
図3には、エアバッグの複数の層を互いに接続する1つの周縁継ぎ目よりも多くの周縁継ぎ目を設けることも可能である点が示されており、ここでは複数の周縁継ぎ目を異なる形態で配置することができる。図3の例では、エアバッグ1は、例えばエアバッグの膨張可能なチャンバーを構成する下部領域13と、例えばエアバッグの更なる別のチャンバーを構成する上部領域14を有する。一方で、上部及び下部領域13,14がエアバッグの共通のチャンバーを構成することもできる。
【0044】
下部領域13は、第1の周縁継ぎ目2に沿って互いに接続された第1及び第2の層11,12によって構成されている。この周縁継ぎ目2は、従来エアバッグのように、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に平行に延在している。
【0045】
エアバッグ1の上部領域14は、第2の周縁継ぎ目3によって互いに接続された更なる別の2つの層15,16によって構成されている。エアバッグ層11及び15がエアバッグ層12及び16と互いに一体状に構成されることも可能であり、即ちこれらの層が互いに所定の連続した層を形成する。
【0046】
第2の周縁継ぎ目3は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して、従って第1の周縁継ぎ目2に対して、角度αで回転した平面に沿って延在しており、これによりエアバッグの上部領域14が、言うなれば下部のエアバッグ部13に対して捩じられている。
【0047】
図1から図3に記載の原理を、類似の方法で、例えばカーテン式、運転席用(運転者用)、助手席用、或いは膝用のエアバッグのような他の種類のエアバッグに適用することもできる。
【0048】
図4Aから図4Dには、本発明にかかるエアバッグ1を種々の視点から視た図が、図3の原理に基づいて示されている。具体的には、図4Aには、車両乗員20と車両側構造部10との間に延在する膨張したサイドエアバッグ1の上部領域14の断面構造が示されている。図4Bには、エアバッグ1を車両前方から視た図が示されており、図4Cには、車両側構造部10から視た側面視が示されており、また図4Dには、エアバッグを上方から視た図が示されている。
【0049】
エアバッグ1は、同様に下部領域13を備えており、ここでは下部領域13のエアバッグ層11,12は、第1の周縁継ぎ目2に沿って互いに接続されており、また上部領域14のエアバッグ層15及び16は、第2の周縁継ぎ目3に沿って互いに接続されている。装着状態のエアバッグでは、上部領域14は、車両のヘッドライナーに向かい(対向し)、また特には、保護される車両乗員が着座する車両シートのバックレストに沿って延在している。
【0050】
第1の周縁継ぎ目2は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される所定平面に沿って配置され、その一方で第2の周縁継ぎ目3は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して交差して延在する所定平面に沿って延在している。特に、第2の周縁継ぎ目3は、車両シートのバックレストに概ね平行に位置する平面に沿って延在している。
【0051】
図4Aに示されるように、膨張可能な上部チャンバー17は、上部領域14のエアバッグ層15及び16によって規定され、当該エアバッグ層は、周縁継ぎ目3によって互いに接続されている。上部チャンバー17の領域には、ガスジェネレータ(「ガス発生器」ともいう)4が配置されており、当該ガスジェネレータは、エアバッグ層15の開口を通じて延在する取り付け固定ボルト(図示省略)によって、車両側構造部(特に、車両シートのバックレスト)に接続されている。
【0052】
更に、エアバッグの上部チャンバー17の領域には、流出開口5が設けられており、ガスは当該流出開口を通じて上部チャンバーから周辺領域へと流出できる。
【0053】
流出開口5は、車両前方に対向して、従って周縁継ぎ目3から所定距離を隔ててエアバッグ層16に配置されている。
【0054】
エアバッグの上部領域14、即ち上部チャンバー17は、分離継ぎ目5によってエアバッグの下部領域13から分離されており、これにより第1の周縁継ぎ目2で互いに接続されたエアバッグ層11,12によって、更なる別の下部チャンバー18が規定されている。第1及び第2の周縁継ぎ目2,3が異なる配置態様であるため、上部チャンバー17が下部チャンバー18に対して回転されている。
【0055】
エアバッグ1の膨張状態では、周縁継ぎ目3の外形が車両の長手方向と交差する、即ちエアバッグの動作方向の平面に沿って延在しているため、上部チャンバー17は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される所定平面に沿って周縁継ぎ目2が延在している下部チャンバー18よりも厚みが大きくなる。継ぎ目2の外形によれば、下部チャンバー18は車両の長手方向に最も大きく拡張する。
【0056】
エアバッグの上部領域14を下部領域13から分離する継ぎ目5が任意に設けられる。エアバッグの上部及び下部領域が共通のチャンバーを構成することも考えられる。例えば継ぎ目5を中断することによって形成されるオーバーフロー手段によって、上部チャンバー17が下部チャンバー18と流通可能な状態で接続される構成が少なくとも考えられる。
【0057】
エアバッグの上部領域がエアバッグの下部領域に対して回転される原理が図5に示されており、この図には相対的に回転された2つの継ぎ目2,3のみが示されている。
【0058】
図6A及び6Bには、そのようなエアバッグにおける側面視及び上面視がそれぞれ示されており、その下部領域13には、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して交差する平面に沿って延在する第1の周縁継ぎ目2が設けられており、またその上部領域14には、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に沿って延在する第2の周縁継ぎ目3が設けられている。エアバッグの上部及び下部領域13,14は、特に共通のチャンバーを形成している。
【0059】
図7は、本発明にかかる、別の典型的な実施形態のエアバッグ1に関するものである。このエアバッグ1は、1つの外周の周縁継ぎ目2に沿って互いに接続された2つのエアバッグ層11,12を備えており、これによりエアバッグの1つのチャンバーが2つのエアバッグ層11,12及び周縁継ぎ目2によって規定されている。
【0060】
勿論、エアバッグ層11,12及び外周の周縁継ぎ目2が、エアバッグの複数のチャンバーを規定することも考えられ、例えば2つの層11,12の間に、例えばストラップ又はダートの形態の分離手段が設けられ、これにより2つのエアバッグ層11,12の間に、膨張可能な複数のチャンバーが形成される。図7の実施例によれば、エアバッグ1の膨張状態では、外周の周縁継ぎ目2は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面と交差し、且つ保護される車両乗員が着座する車両シートのバックレストに平行な所定平面に沿って延在する。
【0061】
図8A及び8Bは、図7の典型的な実施形態の変更例に関するものであり、ここではエアバッグを通じた部位が示されている。このエアバッグ1は、第1のエアバッグ層11に2つの開口111,112の形態の固定手段を備えており、当該固定手段は、エアバッグ1をガスジェネレータ(図示省略)に接続するための機能を果たす。開口111,112の領域では、例えばエアバッグ材料によって製造された補強層113が第1の層11に接続されている。
【0062】
図8Aに示されるように、開口111,112は、エアバッグの装着状態に基づいた場合、車両の高さ方向に関し一方が他方の上方に配置されている。一方でで、図8Bの実施例では、開口111,112及び補強層113は回転され、即ち車両の高さ方向に傾斜して延在する軸に沿って配置されている。
【0063】
上述の種々の典型的な実施形態を構成する複数の要素は、互いに組み合わせて使用できることは勿論であり、ガスジェネレータをその他の典型的な実施形態の複数の要素に固定するのに、例えば図8A及び8Bに示された構造を用いることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 サイドエアバッグ
2,3 継ぎ目
4 ガスジェネレータ
5 流出開口
10 車両側構造部
11 第1の層
12 第2の層
13 下部領域
14 上部領域
15,16 別の層
17 上部チャンバー
18 下部チャンバー
20 車両乗員
111,112 開口
113 補強層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車両乗員拘束システム用エアバッグであって、
エアバッグ材料からなる少なくとも1つの第1及び第2の層(11,12)と、
前記第1及び第2の層(11,12)の間に設けられ、車両乗員(20)を保護するために膨張可能な少なくとも1つの膨張可能なチャンバー(18)と、
前記第1及び第2の層(11,12)を各外周の部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目(2)と、を備え、
当該エアバッグが車両乗員と車両側構造部との間で展開されるように構成され、
前記エアバッグ(1)は、当該エアバッグが車両に装着されて膨張する際、前記継ぎ目(2)が車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して傾斜或いは交差する平面に沿って延在するように構成されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】
請求項1に記載のエアバッグであって、当該エアバッグが装着され膨張するとき、車両の高さ方向は、少なくとも前記継ぎ目(2)が延在する平面に概ね平行に延在することを特徴とするエアバッグ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアバッグであって、
前記継ぎ目(2)は、前記第1及び第2の層(11,12)を各外周の部位に沿って互いに接続する第1の継ぎ目であり、
前記エアバッグ(1)は、当該エアバッグの2つの層(11,12,15,16)を各外周の部位に沿って互いに接続する第2の継ぎ目(3)を含み、
前記第1の継ぎ目(2)が第1の平面に沿って延在し、前記第2の継ぎ目(3)が第2の平面に沿って延在し、前記第2の平面が前記第1の平面に傾斜或いは交差して延在していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項4】
請求項3に記載のエアバッグであって、
前記第2の継ぎ目(3)によって接続された2つの層が前記第1及び第2の層(11,12)であり、これにより前記第1及び第2の層(11,12)は、各外周の部位のうち第1の部位沿いが前記第1の継ぎ目(2)によって、また第2の部位沿いが前記第2の継ぎ目(3)によって、互いに接続されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項5】
請求項4に記載のエアバッグであって、
前記第2の継ぎ目(3)によって接続された2つの層は、前記第1及び第2の層とは別のエアバッグ層(15,16)であることを特徴とするエアバッグ。
【請求項6】
請求項3から5のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記第1及び第2の層(11,12)が第1の膨張可能なチャンバー(18)を規定し、前記第2の継ぎ目(3)によって互いに接続された2つの層(15,16)がエアバッグの第2のチャンバー(17)を規定していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項7】
請求項3から5のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記第1及び第2の層(11,12)と、前記第2の継ぎ目(3)によって互いに接続された前記2つの層(15,16)は、連携してエアバッグの独立したチャンバーを規定していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項8】
請求項3から7のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対し、前記第1の面が交差し、前記第2の面が平行に延在していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項9】
請求項1から5のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記第1及び第2の層(11,12)は、膨張可能な複数のチャンバーを規定していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項10】
請求項1から9のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記第1及び第2の層(11,12)は、一体状に折り畳まれる材料片によって構成されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のエアバッグであって、
前記継ぎ目(2)は、前記第1及び第2の層(11,12)のそれぞれの全周に沿って延在していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項12】
請求項1から11のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
エアバッグ(1)を、当該エアバッグを膨張させるためのガスジェネレータ(4)に接続する固定手段を備え、前記固定手段が前記継ぎ目(2)から所定距離を隔てて配置されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項13】
請求項12に記載のエアバッグであって、
前記固定手段は、前記第1又は第2の層(11,12)における少なくとも1つの開口(111,112)を備えていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項14】
請求項1から13のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記エアバッグ(1)から周辺領域へガスが流出する流出開口(5)が、前記継ぎ目(2)から所定距離を隔てて配置されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項15】
特に請求項1から14のうちのいずれかに記載の、車両の車両乗員拘束システム用エアバッグであって、
エアバッグ材料からなる少なくとも1つの第1及び第2の層(11,12)と、
前記第1及び第2の層(11,12)の間に設けられ、車両乗員(20)を保護するために膨張可能な少なくとも1つの膨張可能なチャンバー(18)と、
前記第1及び第2の層(11,12)を各外周の部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目(2)と、を備え、
当該エアバッグは膨張状態で延在主要面に沿って延在し、
前記継ぎ目(2)は、前記延在主要面に対して傾斜或いは交差する平面に沿って延在していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項16】
請求項15に記載のエアバッグであって、
前記エアバッグが装着され膨張するとき、前記延在主要面は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に概ね平行に配置されることを特徴とするエアバッグ。
【請求項17】
請求項16に記載のエアバッグであって、
当該エアバッグは、車両の車両シートに隣接して配置されるサイドエアバッグ、或いはカーテンエアバッグであることを特徴とするエアバッグ。
【請求項18】
請求項15に記載のエアバッグであって、
前記エアバッグが装着され膨張するとき、前記延在主要面は、車両のステアリングホイール及び/又は車両の助手席ダッシュボード表面が延在する平面に概ね平行に配置されることを特徴とするエアバッグ。
【請求項19】
請求項18に記載のエアバッグであって、
前記エアバッグは、運転者用或いは助手席乗員用であることを特徴とするエアバッグ。
【請求項20】
請求項1から19のうちのいずれかに記載のエアバッグを備えた車両。
【請求項21】
請求項20に記載の車両であって、
前記エアバッグ(1)は、車両シートの内部又は表面に、或いは車両側構造部の内部又は表面に配置されていることを特徴とする車両。
【請求項22】
請求項15に係る請求項20に記載の車両であって、
前記エアバッグ(1)は、車両のステアリングホイール内に、或いは助手席ダッシュボード内に配置されていることを特徴とする車両。
【請求項23】
エアバッグ材料からなる第1及び第2の層(11,12)が継ぎ目(2)により少なくとも各外周の部位に沿って互いに接続されたエアバッグの製造方法であって、
前記第1及び第2の層は、前記エアバッグが車両に配置されたときに当該エアバッグが車両乗員と車両側構造部との間に展開されるように設けられ、前記継ぎ目(2)は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する平面に沿って延在することを特徴とする方法。
【請求項1】
車両の車両乗員拘束システム用エアバッグであって、
エアバッグ材料からなる少なくとも1つの第1及び第2の層(11,12)と、
前記第1及び第2の層(11,12)の間に設けられ、車両乗員(20)を保護するために膨張可能な少なくとも1つの膨張可能なチャンバー(18)と、
前記第1及び第2の層(11,12)を各外周の部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目(2)と、を備え、
当該エアバッグが車両乗員と車両側構造部との間で展開されるように構成され、
前記エアバッグ(1)は、当該エアバッグが車両に装着されて膨張する際、前記継ぎ目(2)が車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対して傾斜或いは交差する平面に沿って延在するように構成されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】
請求項1に記載のエアバッグであって、当該エアバッグが装着され膨張するとき、車両の高さ方向は、少なくとも前記継ぎ目(2)が延在する平面に概ね平行に延在することを特徴とするエアバッグ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアバッグであって、
前記継ぎ目(2)は、前記第1及び第2の層(11,12)を各外周の部位に沿って互いに接続する第1の継ぎ目であり、
前記エアバッグ(1)は、当該エアバッグの2つの層(11,12,15,16)を各外周の部位に沿って互いに接続する第2の継ぎ目(3)を含み、
前記第1の継ぎ目(2)が第1の平面に沿って延在し、前記第2の継ぎ目(3)が第2の平面に沿って延在し、前記第2の平面が前記第1の平面に傾斜或いは交差して延在していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項4】
請求項3に記載のエアバッグであって、
前記第2の継ぎ目(3)によって接続された2つの層が前記第1及び第2の層(11,12)であり、これにより前記第1及び第2の層(11,12)は、各外周の部位のうち第1の部位沿いが前記第1の継ぎ目(2)によって、また第2の部位沿いが前記第2の継ぎ目(3)によって、互いに接続されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項5】
請求項4に記載のエアバッグであって、
前記第2の継ぎ目(3)によって接続された2つの層は、前記第1及び第2の層とは別のエアバッグ層(15,16)であることを特徴とするエアバッグ。
【請求項6】
請求項3から5のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記第1及び第2の層(11,12)が第1の膨張可能なチャンバー(18)を規定し、前記第2の継ぎ目(3)によって互いに接続された2つの層(15,16)がエアバッグの第2のチャンバー(17)を規定していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項7】
請求項3から5のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記第1及び第2の層(11,12)と、前記第2の継ぎ目(3)によって互いに接続された前記2つの層(15,16)は、連携してエアバッグの独立したチャンバーを規定していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項8】
請求項3から7のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に対し、前記第1の面が交差し、前記第2の面が平行に延在していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項9】
請求項1から5のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記第1及び第2の層(11,12)は、膨張可能な複数のチャンバーを規定していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項10】
請求項1から9のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記第1及び第2の層(11,12)は、一体状に折り畳まれる材料片によって構成されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のエアバッグであって、
前記継ぎ目(2)は、前記第1及び第2の層(11,12)のそれぞれの全周に沿って延在していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項12】
請求項1から11のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
エアバッグ(1)を、当該エアバッグを膨張させるためのガスジェネレータ(4)に接続する固定手段を備え、前記固定手段が前記継ぎ目(2)から所定距離を隔てて配置されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項13】
請求項12に記載のエアバッグであって、
前記固定手段は、前記第1又は第2の層(11,12)における少なくとも1つの開口(111,112)を備えていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項14】
請求項1から13のうちのいずれかに記載のエアバッグであって、
前記エアバッグ(1)から周辺領域へガスが流出する流出開口(5)が、前記継ぎ目(2)から所定距離を隔てて配置されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項15】
特に請求項1から14のうちのいずれかに記載の、車両の車両乗員拘束システム用エアバッグであって、
エアバッグ材料からなる少なくとも1つの第1及び第2の層(11,12)と、
前記第1及び第2の層(11,12)の間に設けられ、車両乗員(20)を保護するために膨張可能な少なくとも1つの膨張可能なチャンバー(18)と、
前記第1及び第2の層(11,12)を各外周の部位に沿って互いに接続する少なくとも1つの継ぎ目(2)と、を備え、
当該エアバッグは膨張状態で延在主要面に沿って延在し、
前記継ぎ目(2)は、前記延在主要面に対して傾斜或いは交差する平面に沿って延在していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項16】
請求項15に記載のエアバッグであって、
前記エアバッグが装着され膨張するとき、前記延在主要面は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に概ね平行に配置されることを特徴とするエアバッグ。
【請求項17】
請求項16に記載のエアバッグであって、
当該エアバッグは、車両の車両シートに隣接して配置されるサイドエアバッグ、或いはカーテンエアバッグであることを特徴とするエアバッグ。
【請求項18】
請求項15に記載のエアバッグであって、
前記エアバッグが装着され膨張するとき、前記延在主要面は、車両のステアリングホイール及び/又は車両の助手席ダッシュボード表面が延在する平面に概ね平行に配置されることを特徴とするエアバッグ。
【請求項19】
請求項18に記載のエアバッグであって、
前記エアバッグは、運転者用或いは助手席乗員用であることを特徴とするエアバッグ。
【請求項20】
請求項1から19のうちのいずれかに記載のエアバッグを備えた車両。
【請求項21】
請求項20に記載の車両であって、
前記エアバッグ(1)は、車両シートの内部又は表面に、或いは車両側構造部の内部又は表面に配置されていることを特徴とする車両。
【請求項22】
請求項15に係る請求項20に記載の車両であって、
前記エアバッグ(1)は、車両のステアリングホイール内に、或いは助手席ダッシュボード内に配置されていることを特徴とする車両。
【請求項23】
エアバッグ材料からなる第1及び第2の層(11,12)が継ぎ目(2)により少なくとも各外周の部位に沿って互いに接続されたエアバッグの製造方法であって、
前記第1及び第2の層は、前記エアバッグが車両に配置されたときに当該エアバッグが車両乗員と車両側構造部との間に展開されるように設けられ、前記継ぎ目(2)は、車両の長手方向及び高さ方向によって規定される平面に傾斜或いは交差する平面に沿って延在することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2012−525297(P2012−525297A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507730(P2012−507730)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055709
【国際公開番号】WO2010/125099
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(594101503)タカタ・ペトリ アーゲー (146)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055709
【国際公開番号】WO2010/125099
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(594101503)タカタ・ペトリ アーゲー (146)
【Fターム(参考)】
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