説明

車両傾斜検知装置

【課題】温度変化や風や騒音があっても傾斜角度を精度よく検知することができる車両傾斜検知装置を得ることを目的とする。また、受信信号レベルの偏位があっても傾斜角度を精度よく検知することができる車両傾斜検知装置を得ることを目的とする。
【解決手段】車両に設置され、所定の周波数、振幅、位相を持つ送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、地面で反射した電波を2つの受信アンテナで受信し第1の受信信号と第2の受信信号として取り出し送信手段からの送信信号と第1の受信信号で直交検波して得た信号から第1の振幅値と第1の位相値を算出し送信手段からの送信信号と第2の受信信号で直交検波して得た信号から第2の振幅値と第2の位相値を算出する受信手段と、算出された振幅値と位相値に基づいて車両の地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段を備えたことを特徴とする車両傾斜検知装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車などの車両の傾斜角度を自動的に検知するための車両傾斜検知装置に関するものである。特に、この車両傾斜検知装置は車両用ヘッドライトの光軸制御を自動で行うシステムにおいて適したものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術に係る車両傾斜検知装置として、例えば、特許文献1に示す装置がある。超音波送信部は地面(路面)に向けて超音波を送信する。地面で反射した超音波を異なる位置で設置した超音波受信部で受信する。送信から受信までの時間を計測し、各信号受信部における受信時間差または位相差を算出し、車両の傾斜角度を検知する。
【0003】
また、従来技術に係る車両傾斜検知装置として、例えば、特許文献2に示す装置がある。電波送信部は電波を地面に向けて放射し、電波受信部は路面で反射した電波を2箇所の受信アンテナで受信する。演算部は受信した2信号の位相差を合成処理により算出し、車両の傾斜角度を検知する。
【0004】
また、従来技術に係る車両傾斜検知装置として、例えば、特許文献3に示す装置がある。車両の前後方向に二個の超音波送受信センサが設置されている。超音波送信部は地面に向けて超音波を送信する。地面で反射した超音波を超音波受信部で受信し、送信から受信までの時間を計測する。超音波送受信センサの前後方向の設置間隔と超音波送受信センサ間の受信時間差または位相差から二個の超音波送受信センサの高さ変位から車両の傾斜角度を検知する。車速センサで計測した車速から車両の走行状態および停止状態を判定し、走行中に算出された傾斜角度を優先的に用いて平均処理した傾斜角度平均値を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1による車両傾斜検知装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1による電波の伝播経路を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1による傾斜角度と位相差の関係を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態2による車両傾斜検知装置の受信手段と傾斜角度演算手段を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態3による車両傾斜検知装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態3による周波数と位相差の関係を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態4による車両傾斜検知装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態5における車両傾斜検知装置のアンテナ配置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態5によるアンテナを三角形に配置したときの傾斜角度と位相差とアンテナ高さの関係を説明する説明図である。
【図10】本発明の実施の形態5による送信アンテナと受信アンテナを直線上に配置した時の傾斜角と位相差の関係を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態6における車両傾斜検知装置のアンテナ配置の構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態6における車両傾斜検知装置のブロック図の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態6による前後方向の傾斜角度と位相差の関係を説明した図である。
【図14】本発明の実施の形態6による前後方向の傾斜角度と位相差の関係を説明した図である。
【図15】本発明の実施の形態7による車両傾斜検知装置の傾斜角度演算手段を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態8による車両傾斜検知装置の傾斜角度演算手段の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施の形態9による車両傾斜検知装置のブロック図の構成を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態9による車両傾斜検知装置の車両状態判定手段を説明した図である。
【図19】本発明の実施の形態9による車両傾斜検知装置の路面状態判定手段を説明した図である。
【図20】本発明の実施の形態10による車両傾斜検知装置のブロック図の構成を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態11による車両傾斜検知装置のブロック図の構成を示す図である。
【図22】本発明の車両傾斜検知装置の適用例を説明する図である。
【図23】本発明の車両傾斜検知装置の適用例を説明する図である。
【図24】本発明の車両傾斜検知装置の適用例を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による車両傾斜検知装置の構成を示すブロック図である。車両の傾斜角度を検出する車両傾斜検知装置は送信手段100と受信手段200と傾斜角度演算手段300とを備えている。送信手段100は、発振器101と増幅器102と送信アンテナ103とを備えている。受信手段200は第1の受信アンテナ201と第2の受信アンテナ202と第1の増幅器203と第2の増幅器204と直交検波器205とを備えている。傾斜角度演算手段300は傾斜角演算器301を備えている。
【0020】
なお、送信アンテナ103と受信アンテナ201と受信アンテナ202とは直線上に設置する、三角形の各頂点に設置するなどいかなる配置をしてもよい。また、送信アンテナ103と受信アンテナ201と受信アンテナ202は同一の高さになるように設置する、異なる高さになるよう設置するなどいかなる設置をしてもよい。さらに、送信アンテナ103と受信アンテナ201の間隔1と、送信アンテナ103と受信アンテナ202の間隔2の関係について、間隔1と間隔2とか等間隔でも等間隔じゃなくてもどちらでもよい。
【0021】
次に動作について説明する。送信手段100は増幅器102を介して発振器101から所定の周波数と振幅と位相とを持った送信信号を送信アンテナ103へ出力する。送信アンテナ103に入力された送信信号は電波として放射される。周波数帯としては、24GHz帯域の送信信号がある。
【0022】
受信手段200は、電波を第1の受信アンテナ201と第2の受信アンテナ202とでそれぞれ受信し第1の受信信号1と第2の受信信号2とを得る。受信信号は増幅器203,204を介して直交検波器205から、第1の受信信号1と第2の受信信号2の振幅値と位相値を算出して傾斜角度演算手段300へ出力する。傾斜角度演算手段300は、振幅値と位相値とから傾斜角度を算出する。
【0023】
送信手段100内の発振器101は予め設定した周波数と振幅と位相をもつ信号を送信信号として増幅器102へ出力する。増幅器102は送信信号を所定のレベルまで電力増幅し送信アンテナ103へ出力する。送信アンテナ103は送信信号を電波として空間へ放射する。送信アンテナ103は指向性アンテナ、アレイアンテナ、ホーンアンテナ、パッチアンテナ等いかなるアンテナを用いてもよい。また、放射する電波は、垂直偏波、水平偏波、円偏波等いかなる電波を放射してもよい。
【0024】
放射された電波は地面で反射し受信手段200内の異なる位置に設置された第1の受信アンテナ201と第2の受信アンテナ202でそれぞれ受信され、第1の受信信号1と第2の受信信号2として出力される。受信アンテナは指向性アンテナ、アレイアンテナ、ホーンアンテナ、パッチアンテナ等いかなるアンテナを用いてもよい。
【0025】
受信手段201内の第1の増幅器203は第1の受信信号1を所定のレベルまで電力増幅し直交検波器205へ出力する。第2の増幅器204は第2の受信信号2を所定のレベルまで電力増幅し直交検波器205へ出力する。直交検波器205はどちらか一方の受信信号を基準信号として他方の受信信号をベースバンド信号にIQ検波(直交検波)しIQ信号を傾斜演算器301へ出力する。
【0026】
IQ信号は基準信号の0度成分によって得られるベースバンド信号のI信号と90度成分によって得られるベースバンド信号のQ信号の2信号で構成される。I信号とQ信号の逆正接は第1の受信信号1と第2の受信信号2の位相差に相当する。I信号とQ信号の二乗和の平方根は第1の受信信号1と第2の受信信号2の振幅の積に相当する。傾斜角度演算手段300内の傾斜角度演算器301は、IQ信号から出力された受信信号1と受信信号2の位相差から車両の傾斜角度を算出し出力する。
【0027】
図2は、実施の形態1による電波の伝播経路を説明する説明図である。より具体的には、送信アンテナ103から放射された電波が路面で反射し受信アンテナ201と受信アンテナ202へ伝播する経路を示した説明図である。送信アンテナ103と受信アンテナ201と受信アンテナ202は、同一平面上かつ送信アンテナ103を中心として等間隔に直線配置されている。送信アンテナ103から受信アンテナ201までの伝播する経路長をL1、送信アンテナ103から受信アンテナ202までの伝播する経路長をL2とおくと、車両と路面が平行のときのL1とL2は等しくなる。これに対して、車両が路面に対して傾斜すると経路長L1と経路長L2の経路長はそれぞれ変化し経路差が生じる。
【0028】
経路差(L1−L2)と波長λとIQ信号から算出した位相差φには以下の関係式が成り立つ。
φ=2π×(L1―L2)/λ
【0029】
図3は、実施の形態1による傾斜角度と位相差の関係を説明する図である。横軸を車両の路面に対する傾斜角度、縦軸を位相差とおくと、傾斜角度と位相差には一対一の関係があり位相差から傾斜角度を算出することができる。
【0030】
以上のように、車両傾斜検知装置は車両の傾斜によって変化する電波伝搬経路の偏位を位相差の偏位として高精度に検出し精度よく車両傾斜角度を算出できるという効果がある。また、温度や風があっても影響を受けず精度良く傾斜角度を算出できるという効果がある。さらに、エンジン等の騒音の影響を受けずに精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、受信信号レベルが変動しても、IQ信号の位相から傾斜角度を算出するので精度良く傾斜角度を測定できるという効果が得られる。
【0031】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2による車両傾斜検知装置の受信手段と傾斜角度演算手段を示すブロック図である。受信手段500は受信アンテナ201と受信アンテナ202と増幅器203と増幅器204と直交検波器501と直交検波器502とを備えている。傾斜角度演算手段600は振幅位相演算器601と傾斜角度演算器602とを備えている。なお、図において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することである。また、明細書全文に表れている構成要素の形容は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
【0032】
受信アンテナ201は送信手段100から放射された電波を受信し、受信信号1として出力する。増幅器203は受信信号1を所定のレベルまで電力増幅し、直交検波器501へ出力する。直交検波器501は送信手段100内の発振器101から出力された送信信号と受信信号1をIQ検波(直交検波)しIQ信号1を傾斜角度演算手段600へ出力する。
【0033】
同様に受信アンテナ202は送信手段100から放射された電波を受信し、受信信号2として出力する。増幅器204は受信信号2を所定のレベルまで電力増幅し、直交検波器502へ出力する。直交検波器502は送信手段100内の発振器101から出力された送信信号と受信信号2をIQ検波(直交検波)しIQ信号2を傾斜角度演算手段600へ出力する。
【0034】
傾斜角度演算手段600内の振幅位相演算器601は、IQ信号1とIQ信号2から受信信号1と受信信号2との位相差を導出し、傾斜角度演算器602へ出力する。傾斜角度演算器602は位相差から傾斜角度を算出する。
【0035】
以上のように、車両傾斜検知装置は車両の傾斜によって変化する電波伝搬経路の偏位を位相差の偏位として高精度に検出し精度よく車両傾斜角度を算出できるという効果がある。また、温度や風があっても影響を受けず精度良く傾斜角度を算出できるという効果がある。さらに、エンジン等の騒音の影響を受けずに精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、受信信号レベルが変動しても、IQ信号の位相から傾斜角度を算出するので精度良く傾斜角度を測定できるという効果が得られる。
【0036】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による車両傾斜検知装置の構成を示すブロック図である。車両傾斜検知装置は、送信手段700と受信手段200と傾斜角度演算手段800とを備えている。送信手段700は、制御器701と信号生成器702と増幅器703と送信アンテナ704とを備えている。受信手段200は二つの受信アンテナ201と受信アンテナ202と増幅器203と増幅器204と直交検波器205とを備えている。傾斜角度演算手段800は傾斜角度演算器801を備えている。
【0037】
次に動作について説明する。送信手段700内の信号生成器702は制御器701から出力された制御信号の指示に従って所定の周波数と振幅と位相を持った送信信号を出力する。制御器701は、制御信号を信号生成器702と傾斜角度演算器801へ出力する。制御器701が信号生成器702に所定の周波数帯域をもつ周波数を挿引した信号の出力を指示した場合について説明する。信号生成器702は制御信号の指示に従って周波数挿引信号を送信信号として増幅器703へ出力する。増幅器703は送信信号を所定のレベルまで電力増幅し送信アンテナ704へ出力する。
【0038】
放射された電波は地面で反射し受信手段200内の異なる位置に設置された2つの受信アンテナ1と受信アンテナ2でそれぞれ受信され受信信号1と受信信号2として出力される。増幅器203は受信信号1を所定のレベルまで増幅し直交検波器205へ出力する。増幅器204は受信信号2を所定のレベルまで電力増幅し直交検波器205へ出力する。直交検波器205はどちらか一方の受信信号を基準信号として受信信号をベースバンド信号にIQ検波(直交検波)しIQ信号を傾斜角度演算器801へ出力する。
【0039】
傾斜角度演算器801は、制御器701から出力された制御信号とIQ信号からから車両の傾斜角度を算出する。図6は、制御器701が指示した周波数と各周波数から得られたIQ信号から算出された位相差の関係を説明する図である。横軸を周波数とし、縦軸を位相差とする。周波数が高くなると波長が短くなり実施の形態1で示した式中のλが小さくなる。そのため、経路差が一定でも周波数が高くなると位相差は大きくなり、周波数と位相差には図中の直線に示した関係が成り立つ。
【0040】
傾斜角度演算器801は、制御信号とIQ信号から周波数挿引した時に得られた各位相差のプロット点から直線近似をおこない図に示した直線を線形近似により導出する。近似直線から所定の周波数における位相差を算出し、算出した位相差から傾斜角度を算出する。算出した位相差と傾斜角度の関係は実施の形態1で説明したのと同じ関係がある。
【0041】
また、制御器701が異なる周波数を持つ信号を時分割で送信するよう信号生成器702に指示した場合も同様に、傾斜角度演算器801は異なる周波数で得られた位相差から近似曲線を算出し、近似曲線から傾斜角度を算出する。また、車両傾斜検知装置内の受信手段は実施の形態2と同様に、受信信号1と送信手段内の信号生成器702から出力された送信信号でIQ検波しIQ信号1を傾斜角度演算手段へ出力し、受信信号2と送信手段内の信号生成器702から出力された送信信号でIQ検波しIQ信号2を傾斜角度演算手段へ出力する。傾斜角度演算手段はIQ信号1とIQ信号2と制御信号から傾斜角度を算出してもよい。
【0042】
以上のように、車両傾斜検知装置は車両の傾斜によって変化する電波伝搬経路の偏位を位相の偏位として高精度に検出し精度よく車両傾斜角度を算出できるという効果がある。また、温度や風があっても影響を受けず精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。さらに、エンジン等の騒音の影響を受けずに精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、受信信号レベルが変動しても、IQ信号の位相から傾斜角度を算出するので精度良く傾斜角度を測定できるという効果が得られる。さらに、各周波数の送信信号から算出された位相差から近似曲線を算出し傾斜角度を算出するので、精度良く傾斜角度を測定できるという効果が得られる。
【0043】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4による車両傾斜検知装置の構成を示すブロック図である。車両傾斜検知装置は送信手段900と受信手段1000と傾斜角度演算手段1100とを備えている。また、送信手段900は、符号生成器901と発振器902と変調器903と増幅器904と送信アンテナ905を備えている。受信手段1000は受信アンテナ1001と受信アンテナ1002と増幅器1003と増幅器1004と復調器1005と復調器1006と相関演算器1007と相関演算器1008を備えている。傾斜角度演算手段1100は傾斜角演算器1101を備えている。
【0044】
次に動作について説明する。送信手段900は所定の周波数の発振信号を所定の符号またはIDによる符号信号で変調して送信信号として送信アンテナ905へ出力する。送信アンテナ905に入力された送信信号は電波として放射される。アンテナは指向性アンテナ、アレイアンテナ、ホーンアンテナ、パッチアンテナ等いかなるアンテナを用いてもよい。また、放射する電波は、垂直偏波、水平偏波、円偏波等いかなる電波を放射してもよい。
【0045】
受信手段1000は、電波を2箇所に設置した受信アンテナ1001と受信アンテナ1002で受信した受信信号1と受信信号2をそれぞれ送信手段900内の発振信号で直交検波して得られたベースバンド信号と符号信号との相関値の振幅および位相を演算し傾斜角度演算手段1100へ出力する。傾斜角度演算手段1100は相関値の振幅および位相から傾斜角度を演算する。
【0046】
送信手段900内の符号生成器901は、予め設定した符号又はIDの情報を符号信号として出力する。この符号はM系列やGOLD系列や直交系列等の符号と組み合わせで構成する。符号生成器901が生成する符号信号は、送信手段900内の変調器903と受信手段1000内の相関演算器1007と相関演算器1008に入力される。
【0047】
送信手段900内の発振器902は予め設定した周波数を生成して発振信号として変調器903と受信手段1000内の復調器1005と復調器1006へ出力する。変調器903は発振信号を搬送波として符号信号でBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調して増幅器904に変調信号として出力する。増幅器904は変調信号を所定のレベルまで電力増幅し送信信号として送信アンテナ905へ出力する。送信アンテナ905は送信信号を電波として空間へ放射する。
【0048】
放射された電波は受信手段1000内の異なる位置に設置された受信アンテナ1001と受信アンテナ1002で受信されそれぞれ受信信号1と受信信号2として出力される。
【0049】
増幅器1003は受信信号1を所定のレベルまで電力増幅し復調器1005へ出力する。復調器1005は発振器903の発振信号を基準として受信信号1をベースバンド信号1にIQ検波して得られたIQ信号1を相関演算器1007へ出力する。
【0050】
相関演算器1007は符号生成器901により生成された符号信号とIQ信号1との相関演算を行う。相関演算は符号信号1周期分の相関を演算し、I成分に対応する相関値IとQ成分に対応する相関値Qを計算する。相関値Iと相関値Qの二乗和の平方根は受信信号1の振幅に相当し、相関値Iと相関値Qの逆正接は受信信号1の位相に相当する。相関演算部は演算したこの相関値1の振幅と位相を傾斜角度演算器1101に出力する。
【0051】
増幅器1004は受信信号2を所定のレベルまで電力増幅し復調器1006へ出力する。復調器1006は発振器903の発振信号を基準として受信信号2をベースバンド信号2にIQ検波して得られたIQ信号2を相関演算器1008へ出力する。
【0052】
相関演算器1008は符号生成器901により生成された符号信号とIQ信号2との相関演算を行う。相関演算は符号信号1周期分の相関を演算し、I成分に対応する相関値IとQ成分に対応する相関値Qを計算する。相関値Iと相関値Qの二乗和の平方根は受信信号2の振幅に相当し、相関値Iと相関値Qの逆正接は受信信号2の位相に相当する。相関演算部は演算したこの相関値2の振幅と位相を傾斜角度演算器1101に出力する。
【0053】
傾斜角度演算器1101は相関値1と相関値2から傾斜角度を算出する。相関値1の位相と相関値2の位相の位相差と傾斜角度には実施の形態1と同様の一対一の関係があり傾斜角度が算出される。
【0054】
また、受信手段内の相関演算器は、IQ信号1とIQ信号2を用いて相関演算を行い相関値の振幅と位相を算出し、傾斜角度演算手段は相関値から傾斜角度を算出してもよい。この時、算出された振幅と位相は、相関値1の振幅と相関値2の振幅の積、相関値1の位相と相関値2の位相の位相差に相当する。
【0055】
以上のように、車両傾斜検知装置は車両の傾斜によって変化する電波伝搬距離の偏位を位相の偏位として高精度に検出し精度よく車両傾斜角度を算出できるという効果がある。また、温度や風があっても影響を受けず精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。さらに、エンジン等の騒音の影響を受けずに精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、受信信号レベルが変動しても、相関値の位相差から傾斜角度を算出するので精度良く傾斜角度を測定できるという効果が得られる。さらに、送信信号を符号変調しているので車両用レーダー装置から放射された電波や他の装置から放射された電波など同一周波数をもつ電波を受信アンテナで受信しても位相干渉による誤差を抑圧できるので精度良く傾斜角度を測定できるという効果がある。
【0056】
実施の形態5.
図8はこの発明の車両傾斜検知装置のアンテナ配置の構成を示す図である。二等辺三角形の底辺の角頂点に第1の受信アンテナ1202と第2の受信アンテナ1203を設置し、残りの頂点に送信アンテナ1201を設置している。
【0057】
図9は本発明のアンテナを三角形に配置したときの傾斜角度と位相差とアンテナ高さの関係を説明する説明図である。具体的には、図8に示したアンテナ配置のときの傾斜角度と位相差の関係を示す図である。図中の直線1301は車高もしくはアンテナの高さが高い時の関係を示し、破線1302は車高またはアンテナの高さが低い時の関係を示している。アンテナの高さが偏位しても傾斜角度と位相差の関係は偏位しない。
【0058】
図10は送信アンテナと受信アンテナを直線上に配置した時の傾斜角と位相差の関係を示した図である。送信アンテナを中心として直線上に送信アンテナと第1の受信アンテナと第2の受信アンテナを設置している。図中の直線1401は車高もしくはアンテナの高さが高いときの関係を示し、破線1402は車高もしくはアンテナの高さが低いときの関係を示している。アンテナの高さが偏位すると同じ傾斜角度でも位相差が異なる。
【0059】
また、図8では二等辺三角形の各頂点にアンテナを配置した場合について述べたが、正三角形の各頂点に送信アンテナと第1の受信アンテナと第2の受信アンテナを設置しても同様の結果となる。
【0060】
送信手段、受信手段等については、実施の形態1から実施の形態4までのいずれかに記載された構成であればよい。
【0061】
以上のように、車両傾斜検知装置は車両の傾斜によって変化する電波伝搬距離の偏位を位相の偏位として高精度に検出し精度よく車両傾斜角度を算出できるという効果がある。また、温度や風があっても影響を受けず精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。さらに、エンジン等の騒音の影響を受けずに精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、二等辺三角形の各頂点にアンテナを設置するとアンテナを直線上に設置した時よりも車高の偏位による位相差の偏位を抑圧できるので、傾斜角度を精度良く算出できるという効果がある。
【0062】
実施の形態6.
図11はこの発明の実施の形態6における車両傾斜検知装置のアンテナ配置の構成を示す図である。受信アンテナを3つ以上用いた場合における実施の形態の一例である。四角形の各頂点に第1の受信アンテナ1501と第2の受信アンテナ1502と第3の受信アンテナ1503と第4の受信アンテナ1504を設置し、四角形の対角線の交点に送信アンテナ1505を配置する。第1の受信アンテナ1501と第2の受信アンテナ1502をつなぐ直線と車両の前後方向が略平行で、受信アンテナ1501と受信アンテナ1503をつなぐ直線と車両の左右(幅)方向が略平行になるように設置したとする。受信手段が受信アンテナを4個備える場合には、送信アンテナを中心とした四角形の各頂点に受信アンテナを配置することになる。
【0063】
図12はこの発明の実施の形態6における車両傾斜検知装置のブロック図の構成を示す図である。送信手段1600は、送信アンテナ1605から電波を放射し、受信手段1700は、受信アンテナ1501と受信アンテナ1502で受信した受信信号から算出した振幅と位相を傾斜角度演算手段1900へ出力する。受信手段1800は、受信アンテナ1503と受信アンテナ1504で受信した受信信号から算出した振幅と位相を傾斜角度演算手段1900へ出力する。
【0064】
受信手段は、受信アンテナを3つ以上備え、傾斜角度演算手段は、第1の受信アンテナおよび第2の受信アンテナ以外の前記受信アンテナの受信信号も更に用いて傾斜角度を算出することになる。例えば、第3の受信アンテナで受信した第3の受信信号は、その後の扱いは第1の受信信号と同様の処理をすることになる。ここで、受信アンテナすべての組み合わせを行っても良いし、一方、組み合わせの一部を用いても良い。
【0065】
送信手段1600は実施の形態1から実施の形態4までのいずれかに記載された構成である。また、受信手段1700と受信手段1800とは実施の形態1から実施の形態4までのいずれかに記載された構成である。傾斜角度演算手段1900内の傾斜角度演算器1901は、受信手段1700から算出された位相差と受信手段1800から算出された位相差の平均値から傾斜角度を算出する。
【0066】
図13と図14は実施の形態6による前後方向の傾斜角度と位相差の関係を説明した図である。具体的には、図13は車両が左右方向に傾斜していない時の傾斜角度と位相差の関係を示している。図中の実線2001は受信手段1700から算出された値で、図中の破線2002は受信手段1800から算出された値で、実線2001と破線2002は一致する。また、図14は車両が左右方向に傾斜している時の傾斜角度と位相差の関係を示している。図中の実線2101は受信手段1700から算出された値で、破線2102は受信手段1800から算出された値を示しており、実線2101と破線2102は一致していない。点線2103は実線2101と破線2102の平均値から算出して得られた直線であり、左右方向に傾斜していない時に得られる実線2001や破線2002と一致する。
【0067】
また、同様に受信アンテナ1501と受信アンテナ1503でそれぞれ受信した受信信号から得られた振幅と位相と、受信アンテナ1502と受信アンテナ1504でそれぞれ受信した受信信号から得られた振幅と位相から左右方向の傾斜角度を算出する。さらに、上記の信号処理を同時に実施すれば、前後方向と左右方向の傾斜角度を同時に算出される。
【0068】
以上のように、車両の左右方向の傾斜の影響を受けずに前後方向の傾斜を精度良く算出できるという効果がある。また、車両の前後方向の傾斜の影響を受けずに左右方向の傾斜を精度良く算出できるという効果がある。さらに、車両の前後方向の傾斜と左右方向の傾斜を同時に精度良く算出できるという効果がある。
【0069】
実施の形態7.
図15はこの発明の実施の形態7による車両傾斜検知装置の傾斜角度演算手段を示すブロック図である。傾斜角度演算手段2200は、傾斜角度演算器2201と補正値記憶器2202とから構成される。補正値記憶部2202は、装置の製作バラツキや車両に取り付けた際に生じる傾斜のオフセットによるバラツキを補正する補正値をあらかじめ記憶している。傾斜角度演算器2201は算出した傾斜角度を補正値記憶部2202に記憶されている補正値に従って補正した傾斜角度を算出する。
【0070】
装置の製作バラツキや車両設置時のバラツキを補正値として記憶し、傾斜角度演算器は補正値で傾斜角度を補正するので、精度よく傾斜角度を算出することができるという効果がある。
【0071】
実施の形態8.
図16はこの発明の実施の形態8による車両傾斜検知装置の傾斜角度演算手段の構成を示すブロック図である。傾斜角度演算手段2300は、傾斜角度演算器2301と信号レベル監視器2302とから構成される。
【0072】
信号レベル監視部2302は、振幅値のレベルが予め設定した所定レベルの範囲の内外にあるか判定する判定信号を傾斜角度演算器2301と外部に出力する。傾斜角度演算器2301は、判定信号が所定レベルの範囲内となっているとき傾斜角度を算出し、判定信号が所定レベルの範囲外となっているとき傾斜角度を算出しない。
【0073】
信号レベル監視器は受信信号のレベルが所定のレベル内にあるか判定を行い装置の健全性および信号の健全性のチェックが行えるので、傾斜角度を精度よく算出することができるという効果がある。
【0074】
実施の形態9.
図17は実施の形態9による車両傾斜検知装置のブロック図の構成を示す図である。より具体的には、実施の形態9による車両傾斜検知装置の送信手段100と受信手段500と傾斜角度演算手段600と車両状態判定手段2500と路面状態判定手段2600と出力信号演算手段2700とを示すブロック図である。車両状態判定手段2500は、位相偏差演算器2501と車両状態判定器2502とを備えている。路面状態判定手段2600は角度偏差演算器2601と路面状態判定器2602とを備えている。出力信号演算手段2700は出力信号演算器2701を備えている。
【0075】
次に動作について説明する。受信アンテナ201は送信手段100から放射された電波を受信し、受信信号1として出力する。増幅器203は受信信号1を所定のレベルまで電力増幅し、直交検波器501へ出力する。直交検波器501は送信手段100内の発振器101から出力された送信信号と受信信号1をIQ検波(直交検波)しIQ信号1を傾斜角度演算手段600へ出力する。
【0076】
同様に受信アンテナ202は送信手段100から放射された電波を受信し、受信信号2として出力する。増幅器204は受信信号2を所定のレベルまで電力増幅し、直交検波器502へ出力する。直交検波器502は送信手段100内の発振器101から出力された送信信号と受信信号2をIQ検波(直交検波)しIQ信号2を傾斜角度演算手段600へ出力する。
【0077】
傾斜角度演算手段600内の振幅位相演算器601は、IQ信号1とIQ信号2から受信信号1と受信信号2と振幅と位相を導出し、傾斜角度演算器602と車両状態判定手段2500内の位相偏差演算器2501に出力する。
【0078】
傾斜角度演算器602は受信信号1と受信信号2の位相の位相差から傾斜角度を算出し路面状態判定手段2600内の角度偏差演算器2601と出力信号演算手段2700内の出力信号演算器2701へ出力する。
【0079】
車両状態判定手段2500内の、位相偏差演算器2501は、受信信号1と受信信号2のそれぞれ過去複数点にわたる位相の標準偏差を演算して位相標準偏差値として車両状態判定器2502へ出力する。
【0080】
車両状態判定器2502は、位相標準偏差が所定の閾値で区切られたどこの領域に存在するか判定し車両状態判定結果として出力信号演算手段2700内の出力信号演算器2701に出力する。位相の時間に対する変化量(時間変化量)から車両の走行および停止状態を判定することになる。
【0081】
図18は車両傾斜検知装置の車両状態判定手段を説明した図であり、車両状態を判定する閾値の一例を示した図である。横軸は時間、縦軸は位相偏位(位相の標準偏差値)を表している。例えば、車両状態として、単純な車両の走行および停止以外にも、踏み切りなどの局所的な路面の凸凹を走行している状態を判定する。車両が振動することで車両と路面との間の距離が変化すると受信信号1および受信信号2の電波伝搬経路長が変化し位相が変化する。
【0082】
図中の領域1となる場合には、車両の停止と判別する。車両が停止すると車両の振動が小さく、言い換えると電波伝搬経路長の偏位が小さくなるので、位相標準偏差値は小さくなる。走行すると路面の凹凸によって車両が振動するので、位相標準偏差値は大きくなる。閾値1は車両の停止と走行を判別するように設定される。
【0083】
図中の領域3は、高架を走行している時の道路の繋ぎ目や踏み切りなど局所的に発生する路面の凹凸を走行している状態を判定する。踏み切りなど局所的に発生する路面の凹凸により車両は大きく振動するので位相標準偏差は大きくなる。閾値2は、局所的に凸凹した路面を走行している状態を判別するように設定される。図中の領域2は、そのほかの路面を車両が走行していると判別する。
【0084】
路面状態判定手段2600内の角度偏差演算器2601は、過去複数点の傾斜角度の標準偏差を演算して角度標準偏差値として路面状態判定器2602へ出力する。路面状態判定部2602は、角度標準偏差が所定の閾値で区切られたどの領域に存在するか判定し路面状態判定結果として出力信号演算手段2700内の出力信号演算器2701に出力する。傾斜角度の時間変化量から路面の局所的な凹凸を検知することになる。
【0085】
図19は車両傾斜検知装置の路面状態判定手段を説明した図であり、路面の状態を判定する閾値の一例を示した図である。横軸は時間、縦軸は傾斜角度偏位(傾斜角度の標準偏差)標準偏差を表している。例えば、路面状態として踏み切りなど局所的にある凹凸の有無を検知する。
【0086】
図中の領域1は、車両の停止状態と判別する。車両が停止しているときは路面の電波照射面は変化しないので、角度標準偏差値は小さな値となる。走行すると路面の凹凸などにより傾斜角度は時々刻々と変化するので角度標準偏差値は増加する。閾値1は車両の停止を判別するように設定される。
【0087】
図中の領域3は、踏み切り等の局所的な路面の凹凸を走行している状態と判定する。車両の傾斜角度が大きく変化するので角度標準偏差は大きな値となる。閾値2は局所的な凸凹した路面を走行している状態を判別するように設定される。傾斜角度の時間変化量から路面の局所的な凹凸を検知することとなる。
【0088】
出力信号演算手段2700内の出力信号演算器2701は、傾斜角度と車両状態判定結果と路面状態判定結果を用いて、補正した傾斜角度を出力する。出力される補正した傾斜角度は、車両走行中と判定されている時に計測された過去複数点の傾斜角度の平均値を傾斜角度として出力する。また、踏み切りなどを走行している時の計測データを除外して過去複数点の傾斜角度の平均値を傾斜角度として出力する。また、領域ごとに重み係数を割り振り、過去複数点の傾斜角度の重み付け平均値を傾斜角度として出力する。
【0089】
よって、車両傾斜検知装置は車両の傾斜によって変化する電波伝搬距離の偏位を位相の偏位として高精度に検出し精度よく車両傾斜角度を算出できるという効果がある。また、温度変化や風があっても影響を受けず精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、エンジン等の騒音の影響を受けずに精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、受信信号レベル差が変動しても、直交検波によるIQ信号の位相から傾斜角度を算出するので精度良く傾斜角度を測定できるという効果が得られる。
【0090】
また、車両振動によって変化する電波伝搬距離の時間偏位を位相の時間変化として高精度に検出し位相の時間偏位量や過去複数点の位相の偏差として求め、車両の走行および停止など車両の状態を所定の閾値で区切られた領域に割り当て判定し、車両状態と傾斜角度により傾斜角度を出力するので車速センサを用いることなく精度よく傾斜角度を求めることができる。
【0091】
また、路面の凹凸によって変化する車両の傾斜角度を傾斜角度の時間偏位量や過去複数点の傾斜角度の偏差として高精度に検知し、局所的に生じる路面凹凸の有無を所定の閾値で区切られた領域に割り当て判定し、判定結果と傾斜角度を用いて車両の傾斜角度を求めるので、精度よく補正した傾斜角度を求めることができる。
【0092】
位相の時間変化量から車両の走行および停止状態を判定する車両状態判定手段と、傾斜角度演算手段で算出された傾斜角度の時間変化量から路面の局所的な凹凸を検知する路面状態判定手段と、車両状態判定手段の判定結果および路面状態判定手段の検知結果を用いて傾斜角度を補正した結果を出力する出力信号演算手段によって、例えば、補正した傾斜角度で車両のヘッドライトの光軸を調整することができるようになる。
【0093】
実施の形態10.
図20はこの発明の実施の形態10による車両傾斜検知装置のブロック図の構成を示す図である。車両傾斜検知装置は送信手段900と受信手段1000と傾斜角度演算手段1100と路面状態判定手段2600と車両状態判定手段2800と出力信号演算手段2700を備えている。また、車両状態判定手段2800は、相関値偏差演算器2801と車両状態判定器2802とを備えている。
【0094】
送信手段900から放射された電波は受信手段1000内の異なる位置に設置された受信アンテナ1001と受信アンテナ1002で受信されそれぞれ受信信号1と受信信号2として出力される。
【0095】
増幅器1003は受信信号1を所定のレベルまで電力増幅し復調器1005へ出力する。復調器1005は発振器903の発振信号を基準として受信信号1をベースバンド信号1にIQ検波して得られたIQ信号1を相関演算器1007へ出力する。
【0096】
相関演算器1007は符号生成器901により生成された符号信号とIQ信号1との相関演算を行う。相関演算は符号信号1周期分の相関を演算し、I成分に対応する相関値IとQ成分に対応する相関値Qを計算する。相関値Iと相関値Qの二乗和の平方根は受信信号1の振幅に相当し、相関値Iと相関値Qの逆正接は受信信号1の位相に相当する。相関演算部は演算したこの相関値1の振幅と位相を傾斜角度演算器1101と相関値偏差演算器2801に出力する。
【0097】
増幅器1004は受信信号2を所定のレベルまで電力増幅し復調器1006へ出力する。復調器1006は発振器903の発振信号を基準として受信信号2をベースバンド信号2にIQ検波して得られたIQ信号2を相関演算器1008へ出力する。
【0098】
相関演算器1008は符号生成器901により生成された符号信号とIQ信号2との相関演算を行う。相関演算は符号信号1周期分の相関を演算し、I成分に対応する相関値IとQ成分に対応する相関値Qを計算する。相関値Iと相関値Qの二乗和の平方根は受信信号2の振幅に相当し、相関値Iと相関値Qの逆正接は受信信号2の位相に相当する。相関演算部は演算したこの相関値2の振幅と位相を傾斜角度演算器1101と相関値偏差演算器2801に出力する。
【0099】
傾斜角度演算器1101は相関値1と相関値2から傾斜角度を算出する。相関値1の位相と相関値2の位相の位相差と傾斜角度には実施の形態1と同様の一対一の関係があり傾斜角度が算出され出力信号演算器2701と角度偏差演算器2601に出力する。
【0100】
車両状態判定手段2800内の、相関値偏差演算器2801は相関値1と相関値2それぞれ過去複数点にわたる相関値の位相の標準偏差を演算して相関標準偏差値として車両状態判定器2802へ出力する。
【0101】
車両状態判定器2802は、相関標準偏差値が所定の閾値で区切られたどの領域に存在するか判定し車両状態判定結果として出力信号演算手段2700内の出力信号演算器2701に出力する。この判定については実施の形態9と同様である。位相の時間変化量から車両の走行および停止状態を判定することになる。
【0102】
路面状態判定手段2600内の角度偏差演算器2601は、過去複数点の傾斜角度の標準偏差を演算して角度標準偏差値として路面状態判定器2602へ出力する。
【0103】
路面状態判定部2602は、角度標準偏差が所定の閾値で区切られたどの領域に存在するか判定し路面状態判定結果として出力信号演算手段2700内の出力信号演算器2701に出力する。この判定については実施の形態9と同様である。傾斜角度の時間変化量から路面の局所的な凹凸を検知することになる。
【0104】
出力信号演算手段2700内の出力信号演算器2701は、傾斜角度と車両状態判定結果と路面状態判定結果を用いて、補正した傾斜角度を出力する。出力される傾斜角度は、車両走行中と判定されている時に計測された過去複数点の傾斜角度の平均値を傾斜角度として出力する。また、踏み切りなどを走行している時の計測データを除外して過去複数点の傾斜角度の平均値を傾斜角度として出力する。また、領域ごとに重み係数を割り振り、過去複数点の傾斜角度の重み付け平均値を傾斜角度として出力する。
【0105】
よって、車両傾斜検知装置は車両の傾斜によって変化する電波伝搬距離の偏位を位相の偏位として高精度に検出し精度よく車両傾斜角度を算出できるという効果がある。また、温度変化や風があっても影響を受けず精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、エンジン等の騒音の影響を受けずに精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、受信信号レベル差が変動しても、直交検波によるIQ信号の位相から傾斜角度を算出するので精度良く傾斜角度を測定できるという効果が得られる。
【0106】
また、車両振動によって変化する電波伝搬距離の時間偏位を位相の時間変化として高精度に検出し位相の時間偏位量や過去複数点の位相の偏差として求め、車両の走行および停止など車両の状態を所定の閾値で区切られた領域に割り当て判定し、車両状態と傾斜角度により傾斜角度を出力するので車速センサを用いることなく精度よく傾斜角度を求めることができる。
【0107】
また、路面の凹凸によって変化する車両の傾斜角度を傾斜角度の時間偏位量や過去複数点の傾斜角度の偏差として高精度に検知し、局所的に生じる路面凹凸の有無を所定の閾値で区切られた領域に割り当て判定し、判定結果と傾斜角度を用いて車両の傾斜角度を求めるので、精度よく傾斜角度を求めることができる。
【0108】
さらに、位相の時間変化量から車両の走行および停止状態を判定する車両状態判定手段と、傾斜角度演算手段で算出された傾斜角度の時間変化量から路面の局所的な凹凸を検知する路面状態判定手段と、車両状態判定手段の判定結果および路面状態判定手段の検知結果を用いて傾斜角度を補正した結果を出力する出力信号演算手段によって、例えば、補正した傾斜角度で車両のヘッドライトの光軸を調整することができるようになる。
【0109】
実施の形態11.
図21はこの発明の実施の形態11による車両傾斜検知装置のブロック図の構成を示す図である。車両傾斜検知装置は、送信手段100と受信手段500と傾斜角度演算手段600と診断較正手段2900とを備えている。送信手段100は発振器101と増幅器102と送信アンテナ103と可変減衰器104と移相器105とを備えている。診断較正手段2900は診断信号制御器2901と診断較正演算器2902を備えている。
【0110】
次に動作について説明する。診断較正手段2900内の診断信号制御器2901は送信手段100内の可変減衰器104と移相器105へ所定の減衰量と移相量を指示する制御信号を出力する。また、診断信号制御器2901は同じ制御信号を診断較正演算器2902へ出力する。
【0111】
送信手段100は増幅器102と可変減衰器104と移相器105を介して所定の周波数と振幅と位相とを持った送信信号を送信アンテナ103へ出力する。送信アンテナ103に入力された送信信号は電波として放射される。
【0112】
受信手段500内の受信アンテナ201は送信手段100から放射された電波を受信し、受信信号1として出力する。増幅器203は受信信号1を所定のレベルまで電力増幅し、直交検波器501へ出力する。直交検波器501は送信手段100内の発振器101から出力された送信信号と受信信号1をIQ検波(直交検波)しIQ信号1を傾斜角度演算手段600へ出力する。
【0113】
同様に受信アンテナ202は送信手段100から放射された電波を受信し、受信信号2として出力する。増幅器204は受信信号2を所定のレベルまで電力増幅し、直交検波器502へ出力する。直交検波器502は送信手段100内の発振器101から出力された送信信号と受信信号2をIQ検波(直交検波)しIQ信号2を傾斜角度演算手段600へ出力する。
【0114】
傾斜角度演算手段600内の振幅位相演算器601は、IQ信号1とIQ信号2から受信信号1と受信信号2との位相差を導出し、傾斜角度演算器602へ出力する。また、IQ信号1とIQ信号2から受信信号1と受信信号2の振幅と位相を診断較正手段2900内の診断較正演算器2902に出力する。
【0115】
診断較正手段2900内の診断較正演算器2902は、受信信号1と受信信号2の振幅と位相が診断信号制御器2901から指示された減衰量と移相量に従って変化しているか判定し、変化量が予め設定した範囲内にあれば正常動作、範囲外にあれば異常動作と判定し診断結果として出力する。また、診断較正演算器2902は変化量が予め設定した範囲内にあるとき、装置の経時変化等によって生じる微小な偏位を再較正し得られた較正値を傾斜角度演算器602へ出力する。較正値として、直交検波器から出力されるIQ信号のI信号およびQ信号のオフセット補正値、IQ信号の振幅補正値、IQ信号の位相補正値がある。
【0116】
傾斜角度演算器602は、受信信号1と受信信号2の振幅と位相を較正値を用いて較正された位相から位相差を算出して傾斜角度を求め出力する。
【0117】
送信信号の振幅および位相を送信手段に指示し、指示した振幅および位相並びに直交検波した信号の振幅および位相を比較して診断および較正を行う診断較正手段と、診断較正手段の前記較正に基づいて第1の受信信号および第2の受信信号の振幅および位相の関係から車両の地面に対する傾斜角度を較正する傾斜角度演算手段とを備えていることになる。
【0118】
よって、車両傾斜検知装置は車両の傾斜によって変化する電波伝搬距離の偏位を位相の偏位として高精度に検出し精度よく車両傾斜角度を算出できるという効果がある。また、温度変化や風があっても影響を受けず精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、エンジン等の騒音の影響を受けずに精度よく傾斜角度を算出できるという効果がある。また、受信信号レベル差が変動しても、直交検波によるIQ信号の位相から傾斜角度を算出するので精度良く傾斜角度を測定できるという効果が得られる。
【0119】
また、送信信号の振幅と位相を制御することで、受信信号の直交検波によるIQ信号の振幅と位相の偏位から装置の診断および経時変化等によって生じる微小な変化を再較正できるので、傾斜角度を精度良く測定できるという効果が得られる。
【0120】
さらに、位相の時間変化量から車両の走行および停止状態を判定する車両状態判定手段と、傾斜角度演算手段で算出された傾斜角度の時間変化量から路面の局所的な凹凸を検知する路面状態判定手段と、車両状態判定手段の判定結果および路面状態判定手段の検知結果を用いて傾斜角度を補正した結果を出力する出力信号演算手段によって、例えば、補正した傾斜角度で車両のヘッドライトの光軸を調整することができるようになる。
【0121】
図22と図23と図24は、この発明の車両傾斜検知装置の適用例について説明した図である。すべての実施の形態で適用できる適用例である。図22の場合は、車両傾斜検知装置2400を車両に一台取り付けて傾斜角度を計測する一例を示した図である。図23の場合は、車両傾斜検知装置2400を車両の前後方向の異なる位置に2台取り付けて傾斜角度を計測する一例を示した図である。図24の場合は、車両傾斜検知装置2400を車両の左右方向の異なる位置に2台取り付けて傾斜角度を計測する一例を示した図である。車両の底部に取付け、地面(路面)に対して対向する位置に設置する。
【0122】
車両の路面に対する傾斜角度は、乗員人数や着座位置や荷物の積載状況や車両のたわみなど様々な状況で変化するため、図23や図24のように2台以上の車両傾斜検知装置を取り付けて、各車両傾斜検知装置から算出された傾斜角度を平均値処理や重み付け平均値処理など行って傾斜角度を計測しても良い。
【0123】
例えば、車両に設置され、所定の周波数、振幅、位相を持つ送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、地面(路面)で反射した電波を2つの受信アンテナで受信し第1の受信信号と第2の受信信号として取り出し、送信手段からの送信信号と第1の受信信号で直交検波して得た信号から第1の振幅値と第1の位相値を算出し、送信手段からの送信信号と第2の受信信号で直交検波して得た信号から第2の振幅値と第2の位相値を算出する受信手段と、算出された振幅値と位相値に基づいて車両の地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段を備えた構成とすることができる。
【0124】
また、車両に設置され、所定の周波数、振幅、位相を持つ送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、地面で反射した電波を2つの異なる位置に設置した第1の受信アンテナと第2の受信アンテナで受信し第1の受信信号と第2の受信信号として取り出し、取り出した上記の第1の受信信号と第2の受信信号を用いた直交検波し振幅と位相を算出する受信手段と、算出された振幅と位相に基づいて第一の受信信号と第二の受信信号の振幅と位相の関係から車両の地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段を備えた構成とすることができる。
【0125】
車両に設置され、所定の周波数帯域で周波数を挿引した送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、地面(路面)で反射した電波を2つの受信アンテナで受信し第1の受信信号と第2の受信信号として取り出し、送信手段からの送信信号と第1の受信信号で直交検波して得た信号から第1の振幅値と第1の位相値を算出し、送信手段からの送信信号と第2の受信信号で直交検波して得た信号から第2の振幅値と第2の位相値を算出する受信手段と、送信信号の周波数と算出された振幅値と位相値から傾斜角度を演算する構成とすることができる。
【0126】
例えば、車両傾斜検知装置内の送信手段は、所定の異なる周波数を持つ送信信号を時分割で送信することができる。
【0127】
車両に設置され所定の周波数の発振信号を所定の符号またはIDによる符号信号で変調した送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、地面で反射した電波を2つの受信アンテナで受信し第1の受信信号と第2の受信信号として取り出し、上記送信手段からの発振信号と第1の受信信号とで直交検波して得た第1のベースバンド信号と、上記送信手段からの発振信号と第2の受信信号とで直交検波して得た第2のベースバンド信号を取り出す受信手段と、第1のベースバンド信号と符号信号との相関演算を行い第1の相関値の振幅および位相を演算し、第2のベースバンド信号と符号信号との相関演算を行い第2の相関値の振幅および位相を算出する相関演算手段と、演算された相関値の振幅および位相から車両の地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段を備えた構成とすることができる。
【0128】
車両に設置され所定の周波数の発振信号を所定の符号またはIDによる符号信号で変調した送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、地面で反射した電波を2つの受信アンテナで受信し第1の受信信号と第2の受信信号として取り出し、上記送信手段からの発振信号と第1の受信信号とで直交検波して得た第1のベースバンド信号と、上記送信手段からの発振信号と第2の受信信号とで直交検波して得た第2のベースバンド信号を取り出す受信手段と、第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号の相関値の振幅と位相を演算する相関演算手段と、演算された相関値の振幅と位相から車両の地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段を備えた構成とする。
【0129】
例えば、送信信号は符号分割多重信号を送信することができる。
【0130】
車両傾斜検知装置は、装置の製作バラツキや車両に取り付けた際のバラツキを補正する補正値を予め記憶する補正値記憶部を備え、傾斜角度演算手段は、前記補正値記憶部の補正値に基づいて振幅と位相を補正し傾斜角度を算出することができる。
【0131】
車両傾斜検知装置は、受信信号を監視するため受信信号レベルが予め設定した閾値の範囲にあるか監視し閾値範囲内外判定し判定信号を出力する監視部を備え、傾斜角度演算手段は、前記監視部から出力された判定信号に基づいて振幅と位相を補正し傾斜角度を算出することができる。
【0132】
例えば、送信手段は、周波数24GHz帯域の送信信号を生成し放射する。
【0133】
受信手段は、少なくとも3つ以上の受信アンテナを備えたことを特徴とする車両傾斜検知装置で、第1の受信信号と第2の受信信号を用いて直交検波し振幅値と位相値を算出し、第2の受信信号と第3の受信信号を用いて直交検波し振幅値と位相値を算出し、第3の受信信号と第1の受信信号を用いて直交検波し振幅値と位相値を算出するなど、所定の二つの受信信号を用いて直交検波し振幅値と位相値を算出する振幅位相演算手段と、算出された複数の振幅値と位相値から傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段とを備えた構成とすることができる。
【0134】
例えば、送信手段が放射する電波を円偏波とする。また、1つの送信アンテナを四角形の対角線の交点に配置し、4つの受信アンテナを四角形の各頂点に配置することができる。さらに、受信アンテナの高さが異なる高さになるように設置することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置され所定の周波数の発振信号を符号信号で変調した送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、
地面で反射した前記電波を第1の受信アンテナで受信した第1の受信信号と前記発振信号とで直交検波して得た第1のベースバンド信号および前記地面で反射した前記電波を第2の受信アンテナで受信した第2の受信信号と前記発振信号とで直交検波して得た第2のベースバンド信号を取り出す受信手段と、
前記第1のベースバンド信号と前記符号信号との相関演算を行い第1の相関値の振幅および位相を演算し、前記第2のベースバンド信号と前記符号信号との相関演算を行い第2の相関値の振幅および位相を演算する相関演算手段と、
前記第1の相関値の振幅および位相並びに前記第2の相関値の振幅および位相から前記車両の前記地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段とを備えたことを特徴とする車両傾斜検知装置。
【請求項2】
車両に設置され所定の周波数の発振信号を符号信号で変調した送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、
地面で反射した前記電波を第1の受信アンテナで受信した第1の受信信号と前記発振信号とで直交検波して得た第1のベースバンド信号および前記地面で反射した前記電波を第2の受信アンテナで受信した第2の受信信号と前記発振信号とで直交検波して得た第2のベースバンド信号を取り出す受信手段と、
前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との相関値の振幅および位相を演算する相関演算手段と、
前記相関値の振幅および位相から前記車両の前記地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段とを備えたことを特徴とする車両傾斜検知装置。
【請求項3】
送信信号は、符号分割多重信号を送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両傾斜検知装置。
【請求項4】
車両に設置され所定の周波数帯域で周波数を挿引した送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、
地面で反射した前記電波を第1の受信アンテナで受信した第1の受信信号と前記送信信号とで直交検波して得た第1の振幅値および第1の位相値並びに前記地面で反射した前記電波を第2の受信アンテナで受信した第2の受信信号と前記送信信号とで直交検波して得た第2の振幅値と第2の位相値を算出する受信手段と、
前記送信信号の周波数と前記第1の振幅値および第1の位相値と前記第2の振幅値および第2の位相値とから前記車両の前記地面に対する傾斜角度を演算する傾斜角度演算手段とを備えたことを特徴とする車両傾斜検知装置。
【請求項5】
車両に設置され所定の送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、
地面で反射した前記電波を第1の受信アンテナで受信した第1の受信信号および前記地面で反射した前記電波を第2の受信アンテナで受信した第2の受信信号で直交検波し振幅と位相を算出する受信手段と、
前記振幅と前記位相に基づいて前記第1の受信信号および前記第2の受信信号の振幅と位相の関係から前記車両の前記地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段とを備えたことを特徴とする車両傾斜検知装置。
【請求項6】
車両に設置され所定の送信信号を送信アンテナから電波にして放射する送信手段と、
地面で反射した前記電波を第1の受信アンテナで受信した第1の受信信号と前記送信信号とで直交検波して得た第1の振幅値および第1の位相値並びに前記地面で反射した前記電波を第2の受信アンテナで受信した第2の受信信号と前記送信信号とで直交検波して第2の振幅値と第2の位相値を算出する受信手段と、
前記第1の振幅値および第1の位相値並びに前記第2の振幅値と第2の位相値から前記車両の地面に対する傾斜角度を算出する傾斜角度演算手段とを備えたことを特徴とする車両傾斜検知装置。
【請求項7】
送信手段は、所定の異なる周波数を持つ送信信号を時分割で送信することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の車両傾斜検知装置。
【請求項8】
受信信号レベルが予め設定した閾値の範囲にあるか否かを判定する判定信号を出力する監視部を備え、
傾斜角度演算手段は、前記判定信号に基づいて振幅と位相を補正し傾斜角度を算出することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両傾斜検知装置。
【請求項9】
送信手段が放射する周波数は、24GHz帯域としたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車両傾斜検知装置。
【請求項10】
送信手段が放射する電波は、円偏波としたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の車両傾斜検知装置。
【請求項11】
受信手段は、受信アンテナを3つ以上備え、
傾斜角度演算手段は、第1の受信アンテナおよび第2の受信アンテナ以外の前記受信アンテナの受信信号も更に用いて傾斜角度を算出することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の車両傾斜検知装置。
【請求項12】
受信手段が受信アンテナを4個備える場合には、送信アンテナを中心とした四角形の各頂点に前記受信アンテナを配置したことを特徴とする請求項11に記載の車両傾斜検知装置。
【請求項13】
位相の時間変化量から車両の走行および停止状態を判定する車両状態判定手段と、
傾斜角度演算手段で算出された傾斜角度の時間変化量から路面の局所的な凹凸を検知する路面状態判定手段と、
前記車両状態判定手段の判定結果および前記路面状態判定手段の検知結果を用いて前記傾斜角度を補正した結果を出力する出力信号演算手段とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の車両傾斜検知装置。
【請求項14】
送信信号の振幅および位相を送信手段に指示し、指示した前記振幅および位相並びに直交検波した信号の振幅および位相を比較して診断および較正を行う診断較正手段と、
前記診断較正手段の前記較正に基づいて第1の受信信号および第2の受信信号の振幅および位相の関係から車両の地面に対する傾斜角度を較正する傾斜角度演算手段とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の車両傾斜検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−282022(P2009−282022A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104091(P2009−104091)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】