車両用ウィンドウガラスの破損検出装置
【課題】低消費電力化を図ることができる車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を提供する。
【解決手段】クリップがウィンドウガラスに配置され、ウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕を行う力で付勢する。可動片がクリップによるウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位し、第2機械式スイッチSW2が、可動接点と固定接点との開閉状態が反転して通信手段(制御部73、送信部72)が電源から電力の供給を受けてウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る。
【解決手段】クリップがウィンドウガラスに配置され、ウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕を行う力で付勢する。可動片がクリップによるウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位し、第2機械式スイッチSW2が、可動接点と固定接点との開閉状態が反転して通信手段(制御部73、送信部72)が電源から電力の供給を受けてウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ウィンドウガラスの破損検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においてウィンドウガラス破損検出具が開示されており、検出具としてのクリップによりウィンドウガラスの端部においてウィンドウガラスを挟持している。また、クリップには永久磁石が装着され、この永久磁石に対向するように磁気センサが配置されている。そして、クリップによりウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの端部での粉砕を行ってクリップの落下を磁気センサにより検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−96448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、磁気センサを用いてウィンドウガラスの破損を検知する方式においては磁気センサに常に電力を供給する必要があり、消費電力が大きくなってしまう。
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、低消費電力化を図ることができる車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、車両用ウィンドウガラスの破損を検出する車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記ウィンドウガラスに取り付けられ、ウィンドウガラスの破損に伴う当該ウィンドウガラスの粉砕を行う力で付勢する付勢部材と、前記ウィンドウガラスに取り付けられ、前記付勢部材による前記ウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位する可動部材と、前記ウィンドウガラスに取り付けられ、ばね力が付与される可動接点を有し、前記ウィンドウガラスの破損に伴う前記可動部材の変位に伴って前記可動接点と固定接点との開閉状態が反転する機械式スイッチと、前記ウィンドウガラスに取り付けられ、前記機械式スイッチにおける前記ウィンドウガラスの破損に伴う可動接点と固定接点との開閉状態の反転により電源から電力の供給を受けて前記ウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る通信手段と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ウィンドウガラスの破損に伴い付勢部材によりウィンドウガラスが粉砕され、この付勢部材によるウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により可動部材が変位する。そして、ウィンドウガラスの破損に伴う可動部材の変位に伴って機械式スイッチにおける可動接点と固定接点との開閉状態が反転され、この機械式スイッチにおけるウィンドウガラスの破損に伴う可動接点と固定接点との開閉状態の反転により通信手段が電源から電力の供給を受けてウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る。
【0007】
これにより、ウィンドウガラスが破損されると機械式スイッチが作動して通信手段が電源から電力を受けて信号を送るので、ウィンドウガラスが破損されるまでは電力の消費はなく、低消費電力化を図ることができる。
【0008】
請求項2に記載のように、請求項1に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記機械式スイッチの固定接点は、基板上において離間して形成した一対の導体パターンであり、前記機械式スイッチの可動接点は、一端が、前記一対の導体パターンのうちの一方の導体パターンに接合され、他端が、閉状態において前記一対の導体パターンのうちの他方の導体パターンに接触し、かつ、当該他方の導体パターンに離間する方向に付勢されるばね材であるとよい。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記ウィンドウガラスには、前記機械式スイッチ以外に、前記ウィンドウガラスの破損によって、ばね力が付与される可動接点と固定接点との開閉状態が反転しない機械式スイッチが更に取り付けられ、前記両方の機械式スイッチが排他的論理和回路の入力端子に接続され、前記両方の機械式スイッチおよび前記通信手段を前記ウィンドウガラスに取り付ける前の状態において前記両方の機械式スイッチにおける接点の開閉状態が同一で前記排他的論理和回路の出力状態により前記通信手段に前記電源から電力の供給を行わないことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、排他的論理和回路を用いて両方の機械式スイッチおよび通信手段をウィンドウガラスに取り付ける前の状態において、両方の機械式スイッチにおける接点の開閉状態が同一で通信手段に電源からの電力の供給を停止することができ、更なる低消費電力化を図ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記通信手段は、無線通信機器であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、通信手段は無線通信機器であるので、搭載性に優れている。
【0012】
請求項5に記載のように、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスを挟持するクリップであるとよい。
【0013】
請求項6に記載のように、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記ウィンドウガラスは開閉式ウィンドウガラスであるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低消費電力化を図ることができる車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態での乗用車における右前ドアでの分解斜視図。
【図2】乗用車における右前ドアでの概略正面図。
【図3】図2のA−A線での縦断面図。
【図4】車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の斜視図。
【図5】クリップ等の分解斜視図。
【図6】(a)はクリップ等の正面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
【図7】クリップ等の背面図。
【図8】(a)は通信モジュールの正面図、(b)は通信モジュールの側面図。
【図9】(a)はスイッチのオフ(開放)状態での平面図、(b)はスイッチのオフ(開放)状態での正面図。
【図10】スイッチのオン(プッシュ)状態での正面図。
【図11】車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の電気的構成を示す回路図。
【図12】車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の電気的構成を示す回路図。
【図13】通信モジュールおよび車体側無線機の設置位置を説明するための車室内の斜視図。
【図14】状態説明図。
【図15】(a)はクリップ等の正面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
【図16】(a)はクリップ等の正面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
【図17】(a)はクリップ等の正面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
【図18】別例の状態説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を説明する。
図1は、乗用車における右前ドアでの分解斜視図であり、図2は乗用車における右前ドアでの概略正面図である。
【0017】
図1に示すように、車両ドア1はアウタパネル2とインナパネル3を具備している。アウタパネル2とインナパネル3の間に、強化ガラスからなるウィンドウガラス5が配置されている。ウィンドウガラス5の厚さは3.1mm〜5.0mm程度である。車両ドア1のインナパネル3の内側にはドアトリムが取り付けられている。
【0018】
車両ドア1の内部には、ウィンドウガラス5を上下動するウィンドウレギュレータ10が収納されている。本実施形態においては、ウィンドウレギュレータ10としてXアーム式ウィンドウレギュレータを用いている。インナパネル3にはドア部品組付穴3aが穿設されており、このドア部品組付穴3aを塞ぐようにモジュラーパネル6が設けられている。
【0019】
Xアーム式ウィンドウレギュレータ10は、ベースプレート(固定ベース)11を介して、モジュラーパネル6の室外側の面に支持されている。即ち、モジュラーパネル6の室外側の面に固定するベースプレート11には、Xアーム式ウィンドウレギュレータ10のリフトアーム12の軸13が支持されている。ベースプレート11には電動駆動ユニット14が固定されている。リフトアーム12は、図2に示すように軸13を中心とするセクタギヤ(ドリブンギヤ)15を一体に有しており、図1の電動駆動ユニット14は、このセクタギヤ15と噛み合うピニオン16(図2)及びその駆動モータ(図示せず)を備えている。
【0020】
図2において、リフトアーム12の長さ方向の中間部分には、軸17でイコライザアーム18の中間部分が枢着されている。リフトアーム12とイコライザアーム18の上端部(先端部)にはそれぞれ、ガイドピース(ローラ)19,20が回転及び傾動可能に枢着されており、イコライザアーム18の下端部には、ガイドピース(ローラ)21が枢着されている。
【0021】
このリフトアーム12のガイドピース19と、イコライザアーム18のガイドピース20とは、ウィンドウガラスブラケット22に移動自在に嵌められ、イコライザアーム18のガイドピース21は、図1のモジュラーパネル6の室外側の面に固定するイコライザアームブラケット(姿勢維持レール)23に移動自在に案内される。
【0022】
一方、ウィンドウガラス5の下縁にはその前後においてウィンドウガラスホルダ24が固定されている。このウィンドウガラスホルダ24は、予めウィンドウガラス5の下縁に固定され、このウィンドウガラスホルダ24を有するウィンドウガラス5が、アウタパネル2とインナパネル3の隙間から挿入されて、ボルト25によりウィンドウガラスブラケット22に固定されている。
【0023】
図2に示すように、前後一対のガラスラン26が立設されている。このガラスラン26はゴム材よりなる。レール部材としての前後一対のガラスラン26により車両のウィンドウガラス5が移動自在に支持されている。即ち、ウィンドウガラス5の前後の端部がガラスラン26に案内されて上下に移動することができるようになっている。
【0024】
図1の電動駆動ユニット14を介してピニオン16を正逆に駆動すると、セクタギヤ15を介してリフトアーム12が軸13を中心に揺動し、その結果、ウィンドウガラスブラケット22(ウィンドウガラス5)が、イコライザアーム18、ガイドピース19,20,21、イコライザアームブラケット23により略水平状態に保持されながら昇降運動する。このようにウィンドウガラス5が昇降され、ウィンドウガラス5により車両の開口部4が開閉自在となっている。
【0025】
図2のA−A線での縦断面を図3に示す。図3において、不正侵入防止用の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30が車両ドア1の内部に配置されている。車両用ウィンドウガラスの破損を検出する車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30は、付勢部材としてのクリップ(金具)50と、樹脂成形品60と、通信モジュール70を備えている。
【0026】
樹脂成形品60は、可動部材としての可動片69を備えている。通信モジュール70は、第1機械式スイッチSW1および第2機械式スイッチSW2(図8参照)を備えている。また、通信モジュール70は、通信手段としての制御部73及び送信部72(図11参照)を備えている。
【0027】
図4には車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30の斜視図を示す。図5にはクリップ50等の分解斜視図を示し、図6(a),(b),(c)はクリップ50等を示し、(a)は正面図(図3のV矢視図)、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図である。図7は、背面図(図3のW矢視図)である。
【0028】
図3において、アウタパネル2とインナパネル3との間にウィンドウガラス5がウェザーストリップ7によりシールされた状態で配置されている。また、インナパネル3の内側にはドアトリム8が配置されている。クリップ50はウィンドウガラス5の下端部に配置され、ウィンドウガラス5を挟んでいる。
【0029】
図5に示すように、クリップ50は、ウィンドウガラス5に対し挟持力を付与する。樹脂成形品60は、ウィンドウガラス5とクリップ50との間に介在されると共に通信モジュール70を保持している。図4,6に示すように、クリップ50における正面側には通信モジュール70が配置されている。
【0030】
図5に示すように、クリップ50は、一枚の板ばね用鋼板を折り曲げて構成されている。クリップ50は、ウィンドウガラスを挟む第1および第2部材51,52と折り曲げ部(連結部)53を有している。背面側の第1部材51は正方形状をなし、正面側の第2部材52は左右の立設部52a,52bを有している。背面側の第1部材51と正面側の第2部材52の間にウィンドウガラス5が配置され(図6参照)、第1部材51と第2部材52はウィンドウガラス5に対し互いに接近する方向に付勢されている。
【0031】
折り曲げ部53は第1部材51と第2部材52を連結している。この折り曲げ部53は、二段に折り曲げられ、二段目の折り曲げ部53bの幅はウィンドウガラス5の厚みよりも狭く、一段目の折り曲げ部53aにおいてウィンドウガラス5の端面が位置している(図6参照)。つまり、クリップ50の折り曲げ部53には段差部が形成され、段差部に図6に示すようにウィンドウガラス5の端面が位置しており、かつ、ウィンドウガラス5の下端まで嵌らないようになっている(下辺部付近でウィンドウガラス5を挟み込まないようになっている)。
【0032】
図5において、第2部材52での左右の立設部52a,52bの上端部からアーム部52c,52dが互いに接近する方向に延びている。第2部材52での立設部52a,52bおよびアーム部52c,52dで囲まれた領域に対応する箇所に第1部材51が位置している。
【0033】
ウィンドウガラス5に取り付けられたクリップ50はウィンドウガラス5の破損に伴うウィンドウガラス5の粉砕を行う力で付勢する。詳しくは、クリップ50は、ウィンドウガラス5が配置される第1部材51と第2部材52の間において第1部材51と第2部材52がウィンドウガラス5の面内でずれた位置で互いに接近する方向に付勢されている。即ち、ウィンドウガラス5の表面5aと裏面5bにおいて違う場所でウィンドウガラス5に対し力が加わる。また、クリップ50はウィンドウガラス5の下端部を所定の力以上で挟持(把持)している。
【0034】
樹脂成形品60は、前面プレート部61と下面台座部62と通信モジュール支持部63と背面側保持部64を有し、これらは一体成形されている。図5、図6(b)に示すように、下面台座部62は上面が平坦に形成され、当該平坦部にウィンドウガラス5が載置されている。そして、図6(b)に示すように、下面台座部62がクリップ50の折り曲げ部53とウィンドウガラス5の間に位置する。また、下面台座部62の前端から板状の前面プレート部61が立設されている。前面プレート部61は長方形状をなし、中央部には長方形の貫通孔61aが形成されている。そして、図6(b)に示すように、前面プレート部61がクリップ50の第2部材52とウィンドウガラス5の間に位置する。
【0035】
さらに、樹脂成形品60において、左右に延びる下面台座部62における前端での中央部には通信モジュール支持部63が立設されている。通信モジュール支持部63は、その内部に四角板状の通信モジュール70を支持しており、通信モジュール支持部63も四角板状をなしている。通信モジュール支持部63は、図6(a)に示すように、左右に延びる貫通孔61aにおける中央部に上下に延びるように配置されている。図6(a)において、通信モジュール支持部63の上部は貫通孔61aの内部に位置し、下部は貫通孔61aよりも下方に位置している。通信モジュール支持部63の下端から背面側保持部64が延設されている。
【0036】
図5、図6(c)に示すように、樹脂成形品60の背面側保持部64にはウィンドウガラス5の形状に合わせた切り欠き部67が形成され、切り欠き部67は水平面67aと立設面67bを有している。切り欠き部67の水平面67aにはウィンドウガラス5の下面が対向配置され、立設面67bにはウィンドウガラス5の表面5a(室外側の面)が対向配置される。
【0037】
そして、図6(c)に示すように、背面側保持部64がクリップ50の第1部材51とウィンドウガラス5の間に位置する。ここで、クリップ50の第1部材51には貫通孔51a(図5、図6(c)参照)が形成され、この貫通孔51aに樹脂成形品60の背面側保持部64に形成した突起64aが嵌合している。
【0038】
図6(b)に示すように、クリップ50は、第2部材52がウィンドウガラス5の室内側の面(裏面5b側)に位置し、第1部材51がウィンドウガラス5の室外側の面(表面5a側)に位置している。そして、クリップ50の第1部材51は、図6(a)に示すように第2部材52での立設部52a,52bおよびアーム部52c,52dで囲まれた領域に対応する場所で、図6(c)に示すようにウィンドウガラス5の表面5aから付勢している。よって、第2部材52におけるウィンドウガラス5への付勢部はウィンドウガラス5の面内において2箇所に離間して第1部材51におけるウィンドウガラス5への付勢部を挟むように設けられている。
【0039】
図5、図6(c)に示すように、樹脂成形品60の通信モジュール支持部63と背面側保持部64とは対向している。樹脂成形品60の通信モジュール支持部63の背面側とウィンドウガラス5、および、背面側保持部64とウィンドウガラス5とは両面テープ65(図5、図6(c)参照)で接着固定されている。クリップ50と樹脂成形品60の組み立て順序としては、図5に示すように、両面テープ65を用いてウィンドウガラス5の裏面5bに樹脂成形品60の通信モジュール支持部63を接着固定するとともにウィンドウガラス5の表面5aに樹脂成形品60の背面側保持部64を接着固定する。これにより樹脂成形品60がウィンドウガラス5に固定される。その後、ウィンドウガラス5に対し樹脂成形品60の外方からクリップ50をウィンドウガラス5を挟み込むように取り付ける。このとき、クリップ50の第1部材51の貫通孔51aに樹脂成形品60の背面側保持部64の突起64aが嵌合して樹脂成形品60にクリップ50が嵌合にて固定される。
【0040】
図5に示すように、通信モジュール70は樹脂成形品60に着脱可能に設けられている。詳しくは、樹脂成形品60の通信モジュール支持部63において前面に通信モジュール70の挿入口63aが形成されている。この挿入口63aから通信モジュール70を挿入することができるようになっている。また、樹脂成形品60の通信モジュール支持部63において四角形状の挿入口63aの四隅にはストッパ用突起63bが形成され、ストッパ用突起63bにより、挿入口63aから挿入した通信モジュール70を脱落しないように押さえている。
【0041】
図8には通信モジュール70を示す。通信モジュール70は、所定厚さを有する長方形状をなし、図8における上下位置には凹部70a,70bが形成されている。通信モジュール70の上側の凹部70aにおける底部には第1機械式スイッチSW1が設けられている。また、通信モジュール70の下側の凹部70bにおける底部には第2機械式スイッチSW2が設けられている。ウィンドウガラス5に取り付けられる第1機械式スイッチSW1および第2機械式スイッチSW2は、常にはオフ状態(非通電状態)となっている。そして、図8において上側に設けた第1機械式スイッチ用押圧部P1を押すことにより第1機械式スイッチSW1をオンすることができる。同様に、図8において下側に設けた第2機械式スイッチ用押圧部P2を押すことにより第2機械式スイッチSW2をオンすることができる。
【0042】
第1機械式スイッチSW1と第2機械式スイッチSW2は同一構成となっている。図9にはスイッチの構成を示す。機械式スイッチ(SW1,SW2)は固定接点76,77と可動接点78を備えており、可動接点78はばね力F(図10参照)が付与される。そして、ウィンドウガラスの破損に伴う可動片69の変位に伴って可動接点78と固定接点77,76との開閉状態が反転することになる。
【0043】
図9において、固定接点76,77は、基板75上において離間して形成した一対の導体パターンである。可動接点78は、導電性帯板よりなるばね材(ばね鋼)である。可動接点78はその一端が、一対の導体パターンのうちの一方の導体パターン(固定接点77)に接合され、他端が、図10の閉状態において一対の導体パターンのうちの他方の導体パターン(固定接点76)に接触し、かつ、他方の導体パターン(固定接点76)に離間する方向に付勢される。詳しくは、固定接点77の上面には、可動接点78の一端部78aが接合され、可動接点78はS字状に曲げ形成されている。可動接点78は固定接点77との接合部(78a)から可動部78bが上方に延びている。図9の状態はスイッチ・オフ状態(開放状態)であり、可動接点78の他端である可動部78bは固定接点76とは離間している。
【0044】
図9の基板75の上面に直交する方向Pにおいて可動接点78を下方に付勢することにより可動部78bが固定接点76に接近する方向に変形して、図10に示すように、可動接点78の可動部78bが固定接点76に接触する。この図10がスイッチ・オン状態であり、このプッシュ時にオン(導通)状態となる。図10の状態では、ばね鋼よりなる可動接点78により、ばね力Fが作用する。
【0045】
このように、図8の第1機械式スイッチ用押圧部P1、第2機械式スイッチ用押圧部P2を押すと、それまでの図9の状態から図10の状態になる。
図7において、樹脂成形品60の背面側保持部64にはコ状のスリット(切れ目)68が形成され、スリット68の内方で構成される可動片69を有している。可動片69は上下に延びており、下端を回動中心にして図17(c)に示すごとく通信モジュール支持部63から離間する方向に回動することができるようになっている。つまり、ウィンドウガラス5に取り付けられた可動片69は、クリップ50によるウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位することができる。なお、図5に示すように通信モジュール支持部63において、可動片69の配置箇所に対応する部位には切り欠き部63cが形成されている。
【0046】
図6(c)に示すように、樹脂成形品60の背面側保持部64の可動片69における通信モジュール支持部63との対向面には突起69aが形成されている。なお、図5に示すように両面テープ65において、可動片69の突起69aの配置箇所に対応する部位には切り欠き部65aが形成されている。
【0047】
そして、図6(c)のウィンドウガラス5に組み付けた状態において、突起69aが第2機械式スイッチ用押圧部P2を押すことにより第2機械式スイッチSW2がオン(プッシュ)している。また、樹脂成形品60の通信モジュール支持部63における通信モジュール70と対向する面には突起66が形成され、ウィンドウガラス5に組み付けた状態において、突起66が第1機械式スイッチ用押圧部P1を押すことにより第1機械式スイッチSW1がオン(プッシュ)している。
【0048】
図11には、ウィンドウガラス5に取り付けられる通信モジュール70の回路図を示す。図11において、基板に、通信手段を構成する送信部72と、通信手段を構成する制御部73と、排他的論理和回路(XORゲート)74と、第1機械式スイッチSW1と、第2機械式スイッチSW2と、電源Bが搭載されている。送信部72はアンテナ72aを有している。
【0049】
電源Bの正極は第1機械式スイッチSW1を介して排他的論理和回路74に接続されている。また、電源Bの正極は第2機械式スイッチSW2を介して排他的論理和回路74に接続されている。排他的論理和回路74の出力であるメイン電源線は制御部73と接続されている。制御部73には送信部72が接続され、制御部73は送信部のアンテナ72aからウィンドウガラス5の破損を知らせる無線信号やID信号を送出させることができるようになっている。
【0050】
制御部73は電源Bから電力の供給を受けて駆動することができる。また、制御部73は第1機械式スイッチSW1から排他的論理和回路74への信号を入力して第1機械式スイッチSW1の状態(オン・オフ状態)を検知することができるようになっている。また、制御部73は第2機械式スイッチSW2から排他的論理和回路74への信号を入力して第2機械式スイッチSW2の状態(オン・オフ状態)を検知することができるようになっている。
【0051】
よって、ウィンドウガラス5には、機械式スイッチSW2以外に、機械式スイッチSW1が更に取り付けられている。この機械式スイッチSW1は、図17(c)に示すようにウィンドウガラスが破損して可動片69が変位しても突起66により押圧されている。よって、ばね力が付与される可動接点78と固定接点76,77との開閉状態が反転しない。この両方の機械式スイッチSW1,SW2が排他的論理和回路74の入力端子に接続されている。この構成により、両方の機械式スイッチSW1,SW2および通信手段(送信部72、制御部73)をウィンドウガラス5に取り付ける前の状態において両方の機械式スイッチSW1,SW2における接点の開閉状態が同一である。そして、この排他的論理和回路74の出力状態により通信手段(送信部72、制御部73)に電源Bから電力の供給を行わないようにすることが可能となる。
【0052】
図13に示すように、車室内のルーフにおける車両前面での中央部には車体側無線機80が配置されている。車体側無線機80の設置場所としてオーバーヘッドコンソールを挙げることができる。一方、図12に示すように、前述の通信モジュール70は、4つのドア(前・右ドア、前・左ドア、後・右ドア、後・左ドア)にそれぞれ設置されている。車体側無線機80と各通信モジュール70とは通信可能となっている。
【0053】
車体側無線機80は、アンテナ80aと受信部を備えている。車体側無線機80はアンテナ80aにより通信モジュール70からの電波による信号を受信することができる。車体側無線機80にはボディECU81が接続されている。ボディECU81は車体側無線機80を介した通信モジュール70からの信号によりウィンドウガラス5の破損を検知する。ボディECU81には警報器82が接続されている。ボディECU81はエンジン停止信号(イグニッションスイッチのオフ操作に伴う信号)、ドアロック指令信号(電子キーによるドアロック操作に伴う信号)などが送られてくる。
【0054】
次に、このように構成した車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の作用について説明する。
まず、図14の状態説明図を用いて、通信モジュール70における第1機械式スイッチSW1、第2機械式スイッチSW2の状態、および、通信モジュール70の駆動状態を説明する。
【0055】
図14において、スイッチ状態として、
1.部品出荷時、
2.ガラス組み付け時、
3.ガラス割れ時、
4.その他としてのID登録時、
がある。
【0056】
つまり、図11の制御部73は第1機械式スイッチSW1と第2機械式スイッチSW2の出力信号をモニターすることにより図14の4つの状態を判別することができる。
図14において、その他としてのID登録時には次のようになる。工場出荷前において作業者は図8の通信モジュール70を単体して用意する。このとき、図11の制御部73には車両毎のIDが記憶されている。作業者は図8の通信モジュール70の第2機械式スイッチ用押圧部P2を押して第2機械式スイッチSW2をオン(プッシュ)する。すると、図11の排他的論理和回路(XORゲート)74の電源用の出力がHレベルとなり、電源の供給を受けて制御部73が駆動される。これにより、第1機械式スイッチSW1がオフ(開放)、第2機械式スイッチSW2がオン(プッシュ)であることが制御部73において認識され、制御部73から記憶したIDが送信部72を通して図12の車体側無線機80に送られる。ボディECU81は当該IDを記憶する。このようにしてIDが登録される。
【0057】
図14において通信モジュール70の部品出荷時には、第1機械式スイッチSW1がオフ(開放)、第2機械式スイッチSW2がオフ(開放)である。図11の排他的論理和回路(XORゲート)74の電源用の出力がLレベルとなり、電源の供給を受けず制御部73が駆動されない。よって、電力は消費しない。
【0058】
図14においてガラス組み付け時には、クリップ50および樹脂成形品60がウィンドウガラス5に組み付けられると共に通信モジュール70が樹脂成形品60に嵌め込まれる。この状態では図6(c)に示すように、第1機械式スイッチSW1が突起66により抑えられており、オン(プッシュ)している。また、第2機械式スイッチSW2が突起69aにより押さえられており、オン(プッシュ)している。図11の排他的論理和回路(XORゲート)74の電源用の出力がLレベルとなり、電源の供給を受けず制御部73が駆動されない。よって、電力は消費しない。
【0059】
図14において、ガラス割れ時、即ち、ウィンドウガラス5が壊された(破損した)ときの動作を、以下に、説明する。
図6に示すように、ウィンドウガラス5の端部に配置したクリップ50がウィンドウガラス5の端部を挟持している。詳しくは、クリップ50自身の弾性力にて第1部材51と第2部材52との間にウィンドウガラス5を挟持している。
【0060】
通常時においては、乗員が車両から離れるときにウィンドウガラス5を全閉にしている。ボディECU81は、エンジンが停止されるとともに電子キーによりドアロックされている時に、車体側無線機80において通信モジュール70からウィンドウガラス5の破損を知らせる信号(ガラス割れ検出信号)を受信したか否かモニターしている。
【0061】
ウィンドウガラス5が破損すると、その強度が低下する。つまり、強化ガラスからなるウィンドウガラス5の一部が破損すると、図15に示すようにウィンドウガラス5のすべてにひびが入り強度が著しく低下する(ガラス割れ時にガラス強度が低下する)。
【0062】
この強度低下に伴って図16に示すようにクリップ50がその挟持力によりウィンドウガラス5の一部領域である端部(下端部)を粉砕する。つまり、自身のばね力により強化ガラスからなるウィンドウガラス5が部分的に完全に粉砕される(粉々にされる)。
【0063】
このようにして、ウィンドウガラス5が部分的に粉砕されて、クリップ50が落下する。このとき、図17に示すように、クリップ50と樹脂成形品60とが分離する。そして、樹脂成形品60の可動片69が回動して突起69aも通信モジュール70から離れる方向に回動する。つまり、それまでは図10のようにばね力Fが作用し、ガラス割れ時には、ばね力Fにより可動接点78が変位して図9に示す状態となる。その結果、通信モジュール70の第2機械式スイッチSW2がオフ(開放)する。また、第1機械式スイッチSW1はオン(プッシュ)のままである。
【0064】
よって、図11の排他的論理和回路(XORゲート)74の電源用の出力がHレベルとなり、電源の供給を受けて制御部73が駆動される。これにより、第1機械式スイッチSW1がオン(プッシュ)、第2機械式スイッチSW2がオフ(開放)であることが制御部73において認識され、制御部73から、記憶しているIDおよびウィンドウガラス5の破損を知らせる信号が送られる。詳しくは、送信部72のアンテナ72aから、IDおよびウィンドウガラス5の破損を知らせる電波による信号が車体側無線機80に送られる。
【0065】
図12の車体側無線機80において、ウィンドウガラス5の破損に伴い、通信モジュール70からIDとウィンドウガラス5の破損を知らせる信号が送られ、ボディECU81で、登録されているIDと送られてきたIDとを照合して一致すれば、自車においてウィンドウガラス5の破損(ガラス割れ)が発生したと判定する。すると、ボディECU81は警報器82を作動して警報を発する。一方、ボディECU81において、登録されているIDと送られてきたIDとを照合したとき、不一致であれば、他の車においてウィンドウガラス5の破損(ガラス割れ)が発生したと判定して警報は行わない。
【0066】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)可動片69がクリップ50によるウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位し、ウィンドウガラスの破損に伴う可動片69の変位に伴って第2機械式スイッチSW2の可動接点78と固定接点76,77との開閉状態が反転する。そして、通信手段(送信部72、制御部73)は、第2機械式スイッチSW2におけるウィンドウガラスの破損に伴う可動接点78と固定接点76,77との開閉状態の反転により電源から電力の供給を受けてウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る。よって、ウィンドウガラス5が破損されると第2機械式スイッチSW2が作動して通信手段(送信部72、制御部73)が電源Bから電力を受けて信号を送るので、ウィンドウガラス5が破損されるまでは電力の消費はなく、低消費電力化を図ることができる。
【0067】
即ち、ウィンドウガラス5が割れて初めて第2機械式スイッチSW2の状態が切り替わるため、ガラス割れ監視のための電力を必要としない。よって、低消費電力なシステムを実現できる。つまり、ウィンドウガラスの破損を知らせる必要があるときのみに通信手段(送信部72、制御部73)が電源からの電力の供給を受けてウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る。
【0068】
(2)部品出荷時に電源オフとするためにスイッチを2個設けて、2つの機械式スイッチSW1,SW2の状態(オン・オフ)により4状態を切り替えることができる。つまり、排他的論理和回路74を用いて両方の機械式スイッチSW1,SW2および通信手段(送信部72、制御部73)をウィンドウガラス5に取り付ける前の状態において、両方の機械式スイッチSW1,SW2における接点の開閉状態が同一で通信手段(送信部72、制御部73)に電源からの電力の供給を停止することができる。これにより、更なる低消費電力化を図ることができる。
【0069】
(3)スイッチの構造として図9,10に示す構成とした。この構成とすることにより、オフ・オン間の全ストローク量St1(図9(b)参照)を大きくすることができるとともに、オン領域でのストローク量St2(図10参照)を大きくすることができる。これにより、図10に示すオン状態から図9に示すオフ状態になるとき、可動接点78が固定接点76から完全に離れた時のみオフすることができる。その結果、組み付けた後における「がたつき」の発生時にスイッチが誤ってオフ(開放)となる動作を未然に防止することができる。このように、外部環境の変化(温度、窓がたつき等)によるガラス割れ誤検知を防ぐことができる。また、スイッチの構成において図10に示したオン(プッシュ)時にはばね力Fが発生する。そのため、ガラス割れ時にばね力Fによりスイッチがオフ(開放)され、確実にガラス割れを検知することができる。
【0070】
(4)図2に示すように、ウィンドウガラス5が全閉位置にないときも、ウィンドウガラス5の破損を確実に検出することができる。詳しく説明する。特許文献1においては、クリップに対向するように磁気センサを配置しているためウィンドウガラスの窓開き量が大きい場合には検知しにくくなる。これに対し、本実施形態においては、クリップに対向されるセンサは設けておらず、ウィンドウガラスの窓開き量が大きい場合にもウィンドウガラス5の破損を確実に検出することができる。
【0071】
(5)通信手段としての送信部72および制御部73は無線通信機器であるので、コードレス化を図ることができ、搭載性に優れている。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0072】
・上記実施形態では通信モジュール70に第1機械式スイッチSW1と第2機械式スイッチSW2を設け、電源Bの出力を第1機械式スイッチSW1および第2機械式スイッチSW2を通して排他的論理和回路(XORゲート)74に入力して排他的論理和回路(XORゲート)74から制御部73に供給するシステム構成とした。これに代わり、通信モジュール70に1つの機械式スイッチSWのみを設けてもよい。詳しくは、図11に代わり、電源Bに1つの機械式スイッチSWを接続するとともに、この機械式スイッチSWにインバータ(反転回路)を介して制御部73を接続する。そして、電源Bの出力を、機械式スイッチSWを通して制御部73に供給するシステム構成としてもよい。この場合、図18のように、スイッチ状態として、
1.ガラス組み付け時、
2.ガラス割れ時、
となる。ガラス組み付け時には、クリップ50および樹脂成形品60がウィンドウガラス5に組み付けられると共に通信モジュール70が樹脂成形品60に嵌め込まれる。この状態では図6(c)に示すように、可動片69の突起69aにより機械式スイッチSWが押さえられており、オン(プッシュ)している。これによりインバータ(反転回路)を介することにより電源Bから制御部73への給電が行われない。一方、ガラス割れ時には、機械式スイッチSWがオフ(開放)してインバータ(反転回路)を介して電源Bから制御部73への給電が行われ制御部73が駆動される。これにより、制御部73からウィンドウガラス5の破損を知らせる信号が車体側無線機80に送られる。
【0073】
・他にも、機械式スイッチの数は3以上でもよい。
・ウィンドウガラス5の破損を検出した時に警報器82による警報に代わり、車両の外部機器への通知でもよい。
【0074】
・車体側無線機80は車室内のルーフに設置したが、Aピラー(フロントピラー)等に設置してもよい。
・上記実施形態ではウィンドウレギュレータとしてXアーム式ウィンドウレギュレータを用いたが、ケーブル式ウィンドウレギュレータを用いてもよい。
【0075】
・上記実施形態においてウィンドウガラスの駆動手段としてはモータを有するものだけではなく、乗員の手動によるものでもよい。
・上記実施形態ではウィンドウガラス破損検出装置を乗用車における側部ドアに適用したが、側部ドアの他にも、後部ドアや屋根に設けられた開閉式ガラスルーフに適用してもよい。
【0076】
・クリップ50はウィンドウガラス5の下端部に設置したが、これに限ることなく、例えばウィンドウガラス5の側面での下部に設置してもよい。要は、ウィンドウガラスの端部のうちの車両ドア1の内部の目立たない所に設置すればよい。
【0077】
・車体側無線機を1台使用し、通信モジュールを複数台使用してシステムを構築したが(図12では1対4)、これに限ることなく、車体側無線機を1台使用し、通信モジュールを1台使用してシステムを構築してもよい。また、車体側無線機を複数台使用し、通信モジュールを複数台使用してシステムを構築してもよい。
【0078】
・開閉式ウィンドウガラスに適用したが、固定式ウィンドウガラスに適用してもよい。
・通信手段としての送信部72および制御部73は無線通信機器であったが、有線方式の通信機器であってもよい。
【0079】
・機械式スイッチはノーマルオフタイプのものを用いたが、ノーマルオンタイプのものを用いてもよい。この場合には、ウィンドウガラスの破損時には機械式スイッチはオンとなる。
【符号の説明】
【0080】
5…ウィンドウガラス、30…車両用ウィンドウガラスの破損検出装置、50…クリップ、69…可動片、70…通信モジュール、72…送信部、73…制御部、74…排他的論理和回路、75…基板、76…固定接点、77…固定接点、78…可動接点、B…電源、SW1…第1機械式スイッチ、SW2…第2機械式スイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ウィンドウガラスの破損検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においてウィンドウガラス破損検出具が開示されており、検出具としてのクリップによりウィンドウガラスの端部においてウィンドウガラスを挟持している。また、クリップには永久磁石が装着され、この永久磁石に対向するように磁気センサが配置されている。そして、クリップによりウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの端部での粉砕を行ってクリップの落下を磁気センサにより検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−96448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、磁気センサを用いてウィンドウガラスの破損を検知する方式においては磁気センサに常に電力を供給する必要があり、消費電力が大きくなってしまう。
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、低消費電力化を図ることができる車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、車両用ウィンドウガラスの破損を検出する車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記ウィンドウガラスに取り付けられ、ウィンドウガラスの破損に伴う当該ウィンドウガラスの粉砕を行う力で付勢する付勢部材と、前記ウィンドウガラスに取り付けられ、前記付勢部材による前記ウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位する可動部材と、前記ウィンドウガラスに取り付けられ、ばね力が付与される可動接点を有し、前記ウィンドウガラスの破損に伴う前記可動部材の変位に伴って前記可動接点と固定接点との開閉状態が反転する機械式スイッチと、前記ウィンドウガラスに取り付けられ、前記機械式スイッチにおける前記ウィンドウガラスの破損に伴う可動接点と固定接点との開閉状態の反転により電源から電力の供給を受けて前記ウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る通信手段と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ウィンドウガラスの破損に伴い付勢部材によりウィンドウガラスが粉砕され、この付勢部材によるウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により可動部材が変位する。そして、ウィンドウガラスの破損に伴う可動部材の変位に伴って機械式スイッチにおける可動接点と固定接点との開閉状態が反転され、この機械式スイッチにおけるウィンドウガラスの破損に伴う可動接点と固定接点との開閉状態の反転により通信手段が電源から電力の供給を受けてウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る。
【0007】
これにより、ウィンドウガラスが破損されると機械式スイッチが作動して通信手段が電源から電力を受けて信号を送るので、ウィンドウガラスが破損されるまでは電力の消費はなく、低消費電力化を図ることができる。
【0008】
請求項2に記載のように、請求項1に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記機械式スイッチの固定接点は、基板上において離間して形成した一対の導体パターンであり、前記機械式スイッチの可動接点は、一端が、前記一対の導体パターンのうちの一方の導体パターンに接合され、他端が、閉状態において前記一対の導体パターンのうちの他方の導体パターンに接触し、かつ、当該他方の導体パターンに離間する方向に付勢されるばね材であるとよい。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記ウィンドウガラスには、前記機械式スイッチ以外に、前記ウィンドウガラスの破損によって、ばね力が付与される可動接点と固定接点との開閉状態が反転しない機械式スイッチが更に取り付けられ、前記両方の機械式スイッチが排他的論理和回路の入力端子に接続され、前記両方の機械式スイッチおよび前記通信手段を前記ウィンドウガラスに取り付ける前の状態において前記両方の機械式スイッチにおける接点の開閉状態が同一で前記排他的論理和回路の出力状態により前記通信手段に前記電源から電力の供給を行わないことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、排他的論理和回路を用いて両方の機械式スイッチおよび通信手段をウィンドウガラスに取り付ける前の状態において、両方の機械式スイッチにおける接点の開閉状態が同一で通信手段に電源からの電力の供給を停止することができ、更なる低消費電力化を図ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記通信手段は、無線通信機器であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、通信手段は無線通信機器であるので、搭載性に優れている。
【0012】
請求項5に記載のように、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスを挟持するクリップであるとよい。
【0013】
請求項6に記載のように、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記ウィンドウガラスは開閉式ウィンドウガラスであるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低消費電力化を図ることができる車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態での乗用車における右前ドアでの分解斜視図。
【図2】乗用車における右前ドアでの概略正面図。
【図3】図2のA−A線での縦断面図。
【図4】車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の斜視図。
【図5】クリップ等の分解斜視図。
【図6】(a)はクリップ等の正面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
【図7】クリップ等の背面図。
【図8】(a)は通信モジュールの正面図、(b)は通信モジュールの側面図。
【図9】(a)はスイッチのオフ(開放)状態での平面図、(b)はスイッチのオフ(開放)状態での正面図。
【図10】スイッチのオン(プッシュ)状態での正面図。
【図11】車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の電気的構成を示す回路図。
【図12】車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の電気的構成を示す回路図。
【図13】通信モジュールおよび車体側無線機の設置位置を説明するための車室内の斜視図。
【図14】状態説明図。
【図15】(a)はクリップ等の正面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
【図16】(a)はクリップ等の正面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
【図17】(a)はクリップ等の正面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
【図18】別例の状態説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を説明する。
図1は、乗用車における右前ドアでの分解斜視図であり、図2は乗用車における右前ドアでの概略正面図である。
【0017】
図1に示すように、車両ドア1はアウタパネル2とインナパネル3を具備している。アウタパネル2とインナパネル3の間に、強化ガラスからなるウィンドウガラス5が配置されている。ウィンドウガラス5の厚さは3.1mm〜5.0mm程度である。車両ドア1のインナパネル3の内側にはドアトリムが取り付けられている。
【0018】
車両ドア1の内部には、ウィンドウガラス5を上下動するウィンドウレギュレータ10が収納されている。本実施形態においては、ウィンドウレギュレータ10としてXアーム式ウィンドウレギュレータを用いている。インナパネル3にはドア部品組付穴3aが穿設されており、このドア部品組付穴3aを塞ぐようにモジュラーパネル6が設けられている。
【0019】
Xアーム式ウィンドウレギュレータ10は、ベースプレート(固定ベース)11を介して、モジュラーパネル6の室外側の面に支持されている。即ち、モジュラーパネル6の室外側の面に固定するベースプレート11には、Xアーム式ウィンドウレギュレータ10のリフトアーム12の軸13が支持されている。ベースプレート11には電動駆動ユニット14が固定されている。リフトアーム12は、図2に示すように軸13を中心とするセクタギヤ(ドリブンギヤ)15を一体に有しており、図1の電動駆動ユニット14は、このセクタギヤ15と噛み合うピニオン16(図2)及びその駆動モータ(図示せず)を備えている。
【0020】
図2において、リフトアーム12の長さ方向の中間部分には、軸17でイコライザアーム18の中間部分が枢着されている。リフトアーム12とイコライザアーム18の上端部(先端部)にはそれぞれ、ガイドピース(ローラ)19,20が回転及び傾動可能に枢着されており、イコライザアーム18の下端部には、ガイドピース(ローラ)21が枢着されている。
【0021】
このリフトアーム12のガイドピース19と、イコライザアーム18のガイドピース20とは、ウィンドウガラスブラケット22に移動自在に嵌められ、イコライザアーム18のガイドピース21は、図1のモジュラーパネル6の室外側の面に固定するイコライザアームブラケット(姿勢維持レール)23に移動自在に案内される。
【0022】
一方、ウィンドウガラス5の下縁にはその前後においてウィンドウガラスホルダ24が固定されている。このウィンドウガラスホルダ24は、予めウィンドウガラス5の下縁に固定され、このウィンドウガラスホルダ24を有するウィンドウガラス5が、アウタパネル2とインナパネル3の隙間から挿入されて、ボルト25によりウィンドウガラスブラケット22に固定されている。
【0023】
図2に示すように、前後一対のガラスラン26が立設されている。このガラスラン26はゴム材よりなる。レール部材としての前後一対のガラスラン26により車両のウィンドウガラス5が移動自在に支持されている。即ち、ウィンドウガラス5の前後の端部がガラスラン26に案内されて上下に移動することができるようになっている。
【0024】
図1の電動駆動ユニット14を介してピニオン16を正逆に駆動すると、セクタギヤ15を介してリフトアーム12が軸13を中心に揺動し、その結果、ウィンドウガラスブラケット22(ウィンドウガラス5)が、イコライザアーム18、ガイドピース19,20,21、イコライザアームブラケット23により略水平状態に保持されながら昇降運動する。このようにウィンドウガラス5が昇降され、ウィンドウガラス5により車両の開口部4が開閉自在となっている。
【0025】
図2のA−A線での縦断面を図3に示す。図3において、不正侵入防止用の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30が車両ドア1の内部に配置されている。車両用ウィンドウガラスの破損を検出する車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30は、付勢部材としてのクリップ(金具)50と、樹脂成形品60と、通信モジュール70を備えている。
【0026】
樹脂成形品60は、可動部材としての可動片69を備えている。通信モジュール70は、第1機械式スイッチSW1および第2機械式スイッチSW2(図8参照)を備えている。また、通信モジュール70は、通信手段としての制御部73及び送信部72(図11参照)を備えている。
【0027】
図4には車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30の斜視図を示す。図5にはクリップ50等の分解斜視図を示し、図6(a),(b),(c)はクリップ50等を示し、(a)は正面図(図3のV矢視図)、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図である。図7は、背面図(図3のW矢視図)である。
【0028】
図3において、アウタパネル2とインナパネル3との間にウィンドウガラス5がウェザーストリップ7によりシールされた状態で配置されている。また、インナパネル3の内側にはドアトリム8が配置されている。クリップ50はウィンドウガラス5の下端部に配置され、ウィンドウガラス5を挟んでいる。
【0029】
図5に示すように、クリップ50は、ウィンドウガラス5に対し挟持力を付与する。樹脂成形品60は、ウィンドウガラス5とクリップ50との間に介在されると共に通信モジュール70を保持している。図4,6に示すように、クリップ50における正面側には通信モジュール70が配置されている。
【0030】
図5に示すように、クリップ50は、一枚の板ばね用鋼板を折り曲げて構成されている。クリップ50は、ウィンドウガラスを挟む第1および第2部材51,52と折り曲げ部(連結部)53を有している。背面側の第1部材51は正方形状をなし、正面側の第2部材52は左右の立設部52a,52bを有している。背面側の第1部材51と正面側の第2部材52の間にウィンドウガラス5が配置され(図6参照)、第1部材51と第2部材52はウィンドウガラス5に対し互いに接近する方向に付勢されている。
【0031】
折り曲げ部53は第1部材51と第2部材52を連結している。この折り曲げ部53は、二段に折り曲げられ、二段目の折り曲げ部53bの幅はウィンドウガラス5の厚みよりも狭く、一段目の折り曲げ部53aにおいてウィンドウガラス5の端面が位置している(図6参照)。つまり、クリップ50の折り曲げ部53には段差部が形成され、段差部に図6に示すようにウィンドウガラス5の端面が位置しており、かつ、ウィンドウガラス5の下端まで嵌らないようになっている(下辺部付近でウィンドウガラス5を挟み込まないようになっている)。
【0032】
図5において、第2部材52での左右の立設部52a,52bの上端部からアーム部52c,52dが互いに接近する方向に延びている。第2部材52での立設部52a,52bおよびアーム部52c,52dで囲まれた領域に対応する箇所に第1部材51が位置している。
【0033】
ウィンドウガラス5に取り付けられたクリップ50はウィンドウガラス5の破損に伴うウィンドウガラス5の粉砕を行う力で付勢する。詳しくは、クリップ50は、ウィンドウガラス5が配置される第1部材51と第2部材52の間において第1部材51と第2部材52がウィンドウガラス5の面内でずれた位置で互いに接近する方向に付勢されている。即ち、ウィンドウガラス5の表面5aと裏面5bにおいて違う場所でウィンドウガラス5に対し力が加わる。また、クリップ50はウィンドウガラス5の下端部を所定の力以上で挟持(把持)している。
【0034】
樹脂成形品60は、前面プレート部61と下面台座部62と通信モジュール支持部63と背面側保持部64を有し、これらは一体成形されている。図5、図6(b)に示すように、下面台座部62は上面が平坦に形成され、当該平坦部にウィンドウガラス5が載置されている。そして、図6(b)に示すように、下面台座部62がクリップ50の折り曲げ部53とウィンドウガラス5の間に位置する。また、下面台座部62の前端から板状の前面プレート部61が立設されている。前面プレート部61は長方形状をなし、中央部には長方形の貫通孔61aが形成されている。そして、図6(b)に示すように、前面プレート部61がクリップ50の第2部材52とウィンドウガラス5の間に位置する。
【0035】
さらに、樹脂成形品60において、左右に延びる下面台座部62における前端での中央部には通信モジュール支持部63が立設されている。通信モジュール支持部63は、その内部に四角板状の通信モジュール70を支持しており、通信モジュール支持部63も四角板状をなしている。通信モジュール支持部63は、図6(a)に示すように、左右に延びる貫通孔61aにおける中央部に上下に延びるように配置されている。図6(a)において、通信モジュール支持部63の上部は貫通孔61aの内部に位置し、下部は貫通孔61aよりも下方に位置している。通信モジュール支持部63の下端から背面側保持部64が延設されている。
【0036】
図5、図6(c)に示すように、樹脂成形品60の背面側保持部64にはウィンドウガラス5の形状に合わせた切り欠き部67が形成され、切り欠き部67は水平面67aと立設面67bを有している。切り欠き部67の水平面67aにはウィンドウガラス5の下面が対向配置され、立設面67bにはウィンドウガラス5の表面5a(室外側の面)が対向配置される。
【0037】
そして、図6(c)に示すように、背面側保持部64がクリップ50の第1部材51とウィンドウガラス5の間に位置する。ここで、クリップ50の第1部材51には貫通孔51a(図5、図6(c)参照)が形成され、この貫通孔51aに樹脂成形品60の背面側保持部64に形成した突起64aが嵌合している。
【0038】
図6(b)に示すように、クリップ50は、第2部材52がウィンドウガラス5の室内側の面(裏面5b側)に位置し、第1部材51がウィンドウガラス5の室外側の面(表面5a側)に位置している。そして、クリップ50の第1部材51は、図6(a)に示すように第2部材52での立設部52a,52bおよびアーム部52c,52dで囲まれた領域に対応する場所で、図6(c)に示すようにウィンドウガラス5の表面5aから付勢している。よって、第2部材52におけるウィンドウガラス5への付勢部はウィンドウガラス5の面内において2箇所に離間して第1部材51におけるウィンドウガラス5への付勢部を挟むように設けられている。
【0039】
図5、図6(c)に示すように、樹脂成形品60の通信モジュール支持部63と背面側保持部64とは対向している。樹脂成形品60の通信モジュール支持部63の背面側とウィンドウガラス5、および、背面側保持部64とウィンドウガラス5とは両面テープ65(図5、図6(c)参照)で接着固定されている。クリップ50と樹脂成形品60の組み立て順序としては、図5に示すように、両面テープ65を用いてウィンドウガラス5の裏面5bに樹脂成形品60の通信モジュール支持部63を接着固定するとともにウィンドウガラス5の表面5aに樹脂成形品60の背面側保持部64を接着固定する。これにより樹脂成形品60がウィンドウガラス5に固定される。その後、ウィンドウガラス5に対し樹脂成形品60の外方からクリップ50をウィンドウガラス5を挟み込むように取り付ける。このとき、クリップ50の第1部材51の貫通孔51aに樹脂成形品60の背面側保持部64の突起64aが嵌合して樹脂成形品60にクリップ50が嵌合にて固定される。
【0040】
図5に示すように、通信モジュール70は樹脂成形品60に着脱可能に設けられている。詳しくは、樹脂成形品60の通信モジュール支持部63において前面に通信モジュール70の挿入口63aが形成されている。この挿入口63aから通信モジュール70を挿入することができるようになっている。また、樹脂成形品60の通信モジュール支持部63において四角形状の挿入口63aの四隅にはストッパ用突起63bが形成され、ストッパ用突起63bにより、挿入口63aから挿入した通信モジュール70を脱落しないように押さえている。
【0041】
図8には通信モジュール70を示す。通信モジュール70は、所定厚さを有する長方形状をなし、図8における上下位置には凹部70a,70bが形成されている。通信モジュール70の上側の凹部70aにおける底部には第1機械式スイッチSW1が設けられている。また、通信モジュール70の下側の凹部70bにおける底部には第2機械式スイッチSW2が設けられている。ウィンドウガラス5に取り付けられる第1機械式スイッチSW1および第2機械式スイッチSW2は、常にはオフ状態(非通電状態)となっている。そして、図8において上側に設けた第1機械式スイッチ用押圧部P1を押すことにより第1機械式スイッチSW1をオンすることができる。同様に、図8において下側に設けた第2機械式スイッチ用押圧部P2を押すことにより第2機械式スイッチSW2をオンすることができる。
【0042】
第1機械式スイッチSW1と第2機械式スイッチSW2は同一構成となっている。図9にはスイッチの構成を示す。機械式スイッチ(SW1,SW2)は固定接点76,77と可動接点78を備えており、可動接点78はばね力F(図10参照)が付与される。そして、ウィンドウガラスの破損に伴う可動片69の変位に伴って可動接点78と固定接点77,76との開閉状態が反転することになる。
【0043】
図9において、固定接点76,77は、基板75上において離間して形成した一対の導体パターンである。可動接点78は、導電性帯板よりなるばね材(ばね鋼)である。可動接点78はその一端が、一対の導体パターンのうちの一方の導体パターン(固定接点77)に接合され、他端が、図10の閉状態において一対の導体パターンのうちの他方の導体パターン(固定接点76)に接触し、かつ、他方の導体パターン(固定接点76)に離間する方向に付勢される。詳しくは、固定接点77の上面には、可動接点78の一端部78aが接合され、可動接点78はS字状に曲げ形成されている。可動接点78は固定接点77との接合部(78a)から可動部78bが上方に延びている。図9の状態はスイッチ・オフ状態(開放状態)であり、可動接点78の他端である可動部78bは固定接点76とは離間している。
【0044】
図9の基板75の上面に直交する方向Pにおいて可動接点78を下方に付勢することにより可動部78bが固定接点76に接近する方向に変形して、図10に示すように、可動接点78の可動部78bが固定接点76に接触する。この図10がスイッチ・オン状態であり、このプッシュ時にオン(導通)状態となる。図10の状態では、ばね鋼よりなる可動接点78により、ばね力Fが作用する。
【0045】
このように、図8の第1機械式スイッチ用押圧部P1、第2機械式スイッチ用押圧部P2を押すと、それまでの図9の状態から図10の状態になる。
図7において、樹脂成形品60の背面側保持部64にはコ状のスリット(切れ目)68が形成され、スリット68の内方で構成される可動片69を有している。可動片69は上下に延びており、下端を回動中心にして図17(c)に示すごとく通信モジュール支持部63から離間する方向に回動することができるようになっている。つまり、ウィンドウガラス5に取り付けられた可動片69は、クリップ50によるウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位することができる。なお、図5に示すように通信モジュール支持部63において、可動片69の配置箇所に対応する部位には切り欠き部63cが形成されている。
【0046】
図6(c)に示すように、樹脂成形品60の背面側保持部64の可動片69における通信モジュール支持部63との対向面には突起69aが形成されている。なお、図5に示すように両面テープ65において、可動片69の突起69aの配置箇所に対応する部位には切り欠き部65aが形成されている。
【0047】
そして、図6(c)のウィンドウガラス5に組み付けた状態において、突起69aが第2機械式スイッチ用押圧部P2を押すことにより第2機械式スイッチSW2がオン(プッシュ)している。また、樹脂成形品60の通信モジュール支持部63における通信モジュール70と対向する面には突起66が形成され、ウィンドウガラス5に組み付けた状態において、突起66が第1機械式スイッチ用押圧部P1を押すことにより第1機械式スイッチSW1がオン(プッシュ)している。
【0048】
図11には、ウィンドウガラス5に取り付けられる通信モジュール70の回路図を示す。図11において、基板に、通信手段を構成する送信部72と、通信手段を構成する制御部73と、排他的論理和回路(XORゲート)74と、第1機械式スイッチSW1と、第2機械式スイッチSW2と、電源Bが搭載されている。送信部72はアンテナ72aを有している。
【0049】
電源Bの正極は第1機械式スイッチSW1を介して排他的論理和回路74に接続されている。また、電源Bの正極は第2機械式スイッチSW2を介して排他的論理和回路74に接続されている。排他的論理和回路74の出力であるメイン電源線は制御部73と接続されている。制御部73には送信部72が接続され、制御部73は送信部のアンテナ72aからウィンドウガラス5の破損を知らせる無線信号やID信号を送出させることができるようになっている。
【0050】
制御部73は電源Bから電力の供給を受けて駆動することができる。また、制御部73は第1機械式スイッチSW1から排他的論理和回路74への信号を入力して第1機械式スイッチSW1の状態(オン・オフ状態)を検知することができるようになっている。また、制御部73は第2機械式スイッチSW2から排他的論理和回路74への信号を入力して第2機械式スイッチSW2の状態(オン・オフ状態)を検知することができるようになっている。
【0051】
よって、ウィンドウガラス5には、機械式スイッチSW2以外に、機械式スイッチSW1が更に取り付けられている。この機械式スイッチSW1は、図17(c)に示すようにウィンドウガラスが破損して可動片69が変位しても突起66により押圧されている。よって、ばね力が付与される可動接点78と固定接点76,77との開閉状態が反転しない。この両方の機械式スイッチSW1,SW2が排他的論理和回路74の入力端子に接続されている。この構成により、両方の機械式スイッチSW1,SW2および通信手段(送信部72、制御部73)をウィンドウガラス5に取り付ける前の状態において両方の機械式スイッチSW1,SW2における接点の開閉状態が同一である。そして、この排他的論理和回路74の出力状態により通信手段(送信部72、制御部73)に電源Bから電力の供給を行わないようにすることが可能となる。
【0052】
図13に示すように、車室内のルーフにおける車両前面での中央部には車体側無線機80が配置されている。車体側無線機80の設置場所としてオーバーヘッドコンソールを挙げることができる。一方、図12に示すように、前述の通信モジュール70は、4つのドア(前・右ドア、前・左ドア、後・右ドア、後・左ドア)にそれぞれ設置されている。車体側無線機80と各通信モジュール70とは通信可能となっている。
【0053】
車体側無線機80は、アンテナ80aと受信部を備えている。車体側無線機80はアンテナ80aにより通信モジュール70からの電波による信号を受信することができる。車体側無線機80にはボディECU81が接続されている。ボディECU81は車体側無線機80を介した通信モジュール70からの信号によりウィンドウガラス5の破損を検知する。ボディECU81には警報器82が接続されている。ボディECU81はエンジン停止信号(イグニッションスイッチのオフ操作に伴う信号)、ドアロック指令信号(電子キーによるドアロック操作に伴う信号)などが送られてくる。
【0054】
次に、このように構成した車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の作用について説明する。
まず、図14の状態説明図を用いて、通信モジュール70における第1機械式スイッチSW1、第2機械式スイッチSW2の状態、および、通信モジュール70の駆動状態を説明する。
【0055】
図14において、スイッチ状態として、
1.部品出荷時、
2.ガラス組み付け時、
3.ガラス割れ時、
4.その他としてのID登録時、
がある。
【0056】
つまり、図11の制御部73は第1機械式スイッチSW1と第2機械式スイッチSW2の出力信号をモニターすることにより図14の4つの状態を判別することができる。
図14において、その他としてのID登録時には次のようになる。工場出荷前において作業者は図8の通信モジュール70を単体して用意する。このとき、図11の制御部73には車両毎のIDが記憶されている。作業者は図8の通信モジュール70の第2機械式スイッチ用押圧部P2を押して第2機械式スイッチSW2をオン(プッシュ)する。すると、図11の排他的論理和回路(XORゲート)74の電源用の出力がHレベルとなり、電源の供給を受けて制御部73が駆動される。これにより、第1機械式スイッチSW1がオフ(開放)、第2機械式スイッチSW2がオン(プッシュ)であることが制御部73において認識され、制御部73から記憶したIDが送信部72を通して図12の車体側無線機80に送られる。ボディECU81は当該IDを記憶する。このようにしてIDが登録される。
【0057】
図14において通信モジュール70の部品出荷時には、第1機械式スイッチSW1がオフ(開放)、第2機械式スイッチSW2がオフ(開放)である。図11の排他的論理和回路(XORゲート)74の電源用の出力がLレベルとなり、電源の供給を受けず制御部73が駆動されない。よって、電力は消費しない。
【0058】
図14においてガラス組み付け時には、クリップ50および樹脂成形品60がウィンドウガラス5に組み付けられると共に通信モジュール70が樹脂成形品60に嵌め込まれる。この状態では図6(c)に示すように、第1機械式スイッチSW1が突起66により抑えられており、オン(プッシュ)している。また、第2機械式スイッチSW2が突起69aにより押さえられており、オン(プッシュ)している。図11の排他的論理和回路(XORゲート)74の電源用の出力がLレベルとなり、電源の供給を受けず制御部73が駆動されない。よって、電力は消費しない。
【0059】
図14において、ガラス割れ時、即ち、ウィンドウガラス5が壊された(破損した)ときの動作を、以下に、説明する。
図6に示すように、ウィンドウガラス5の端部に配置したクリップ50がウィンドウガラス5の端部を挟持している。詳しくは、クリップ50自身の弾性力にて第1部材51と第2部材52との間にウィンドウガラス5を挟持している。
【0060】
通常時においては、乗員が車両から離れるときにウィンドウガラス5を全閉にしている。ボディECU81は、エンジンが停止されるとともに電子キーによりドアロックされている時に、車体側無線機80において通信モジュール70からウィンドウガラス5の破損を知らせる信号(ガラス割れ検出信号)を受信したか否かモニターしている。
【0061】
ウィンドウガラス5が破損すると、その強度が低下する。つまり、強化ガラスからなるウィンドウガラス5の一部が破損すると、図15に示すようにウィンドウガラス5のすべてにひびが入り強度が著しく低下する(ガラス割れ時にガラス強度が低下する)。
【0062】
この強度低下に伴って図16に示すようにクリップ50がその挟持力によりウィンドウガラス5の一部領域である端部(下端部)を粉砕する。つまり、自身のばね力により強化ガラスからなるウィンドウガラス5が部分的に完全に粉砕される(粉々にされる)。
【0063】
このようにして、ウィンドウガラス5が部分的に粉砕されて、クリップ50が落下する。このとき、図17に示すように、クリップ50と樹脂成形品60とが分離する。そして、樹脂成形品60の可動片69が回動して突起69aも通信モジュール70から離れる方向に回動する。つまり、それまでは図10のようにばね力Fが作用し、ガラス割れ時には、ばね力Fにより可動接点78が変位して図9に示す状態となる。その結果、通信モジュール70の第2機械式スイッチSW2がオフ(開放)する。また、第1機械式スイッチSW1はオン(プッシュ)のままである。
【0064】
よって、図11の排他的論理和回路(XORゲート)74の電源用の出力がHレベルとなり、電源の供給を受けて制御部73が駆動される。これにより、第1機械式スイッチSW1がオン(プッシュ)、第2機械式スイッチSW2がオフ(開放)であることが制御部73において認識され、制御部73から、記憶しているIDおよびウィンドウガラス5の破損を知らせる信号が送られる。詳しくは、送信部72のアンテナ72aから、IDおよびウィンドウガラス5の破損を知らせる電波による信号が車体側無線機80に送られる。
【0065】
図12の車体側無線機80において、ウィンドウガラス5の破損に伴い、通信モジュール70からIDとウィンドウガラス5の破損を知らせる信号が送られ、ボディECU81で、登録されているIDと送られてきたIDとを照合して一致すれば、自車においてウィンドウガラス5の破損(ガラス割れ)が発生したと判定する。すると、ボディECU81は警報器82を作動して警報を発する。一方、ボディECU81において、登録されているIDと送られてきたIDとを照合したとき、不一致であれば、他の車においてウィンドウガラス5の破損(ガラス割れ)が発生したと判定して警報は行わない。
【0066】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)可動片69がクリップ50によるウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位し、ウィンドウガラスの破損に伴う可動片69の変位に伴って第2機械式スイッチSW2の可動接点78と固定接点76,77との開閉状態が反転する。そして、通信手段(送信部72、制御部73)は、第2機械式スイッチSW2におけるウィンドウガラスの破損に伴う可動接点78と固定接点76,77との開閉状態の反転により電源から電力の供給を受けてウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る。よって、ウィンドウガラス5が破損されると第2機械式スイッチSW2が作動して通信手段(送信部72、制御部73)が電源Bから電力を受けて信号を送るので、ウィンドウガラス5が破損されるまでは電力の消費はなく、低消費電力化を図ることができる。
【0067】
即ち、ウィンドウガラス5が割れて初めて第2機械式スイッチSW2の状態が切り替わるため、ガラス割れ監視のための電力を必要としない。よって、低消費電力なシステムを実現できる。つまり、ウィンドウガラスの破損を知らせる必要があるときのみに通信手段(送信部72、制御部73)が電源からの電力の供給を受けてウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る。
【0068】
(2)部品出荷時に電源オフとするためにスイッチを2個設けて、2つの機械式スイッチSW1,SW2の状態(オン・オフ)により4状態を切り替えることができる。つまり、排他的論理和回路74を用いて両方の機械式スイッチSW1,SW2および通信手段(送信部72、制御部73)をウィンドウガラス5に取り付ける前の状態において、両方の機械式スイッチSW1,SW2における接点の開閉状態が同一で通信手段(送信部72、制御部73)に電源からの電力の供給を停止することができる。これにより、更なる低消費電力化を図ることができる。
【0069】
(3)スイッチの構造として図9,10に示す構成とした。この構成とすることにより、オフ・オン間の全ストローク量St1(図9(b)参照)を大きくすることができるとともに、オン領域でのストローク量St2(図10参照)を大きくすることができる。これにより、図10に示すオン状態から図9に示すオフ状態になるとき、可動接点78が固定接点76から完全に離れた時のみオフすることができる。その結果、組み付けた後における「がたつき」の発生時にスイッチが誤ってオフ(開放)となる動作を未然に防止することができる。このように、外部環境の変化(温度、窓がたつき等)によるガラス割れ誤検知を防ぐことができる。また、スイッチの構成において図10に示したオン(プッシュ)時にはばね力Fが発生する。そのため、ガラス割れ時にばね力Fによりスイッチがオフ(開放)され、確実にガラス割れを検知することができる。
【0070】
(4)図2に示すように、ウィンドウガラス5が全閉位置にないときも、ウィンドウガラス5の破損を確実に検出することができる。詳しく説明する。特許文献1においては、クリップに対向するように磁気センサを配置しているためウィンドウガラスの窓開き量が大きい場合には検知しにくくなる。これに対し、本実施形態においては、クリップに対向されるセンサは設けておらず、ウィンドウガラスの窓開き量が大きい場合にもウィンドウガラス5の破損を確実に検出することができる。
【0071】
(5)通信手段としての送信部72および制御部73は無線通信機器であるので、コードレス化を図ることができ、搭載性に優れている。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0072】
・上記実施形態では通信モジュール70に第1機械式スイッチSW1と第2機械式スイッチSW2を設け、電源Bの出力を第1機械式スイッチSW1および第2機械式スイッチSW2を通して排他的論理和回路(XORゲート)74に入力して排他的論理和回路(XORゲート)74から制御部73に供給するシステム構成とした。これに代わり、通信モジュール70に1つの機械式スイッチSWのみを設けてもよい。詳しくは、図11に代わり、電源Bに1つの機械式スイッチSWを接続するとともに、この機械式スイッチSWにインバータ(反転回路)を介して制御部73を接続する。そして、電源Bの出力を、機械式スイッチSWを通して制御部73に供給するシステム構成としてもよい。この場合、図18のように、スイッチ状態として、
1.ガラス組み付け時、
2.ガラス割れ時、
となる。ガラス組み付け時には、クリップ50および樹脂成形品60がウィンドウガラス5に組み付けられると共に通信モジュール70が樹脂成形品60に嵌め込まれる。この状態では図6(c)に示すように、可動片69の突起69aにより機械式スイッチSWが押さえられており、オン(プッシュ)している。これによりインバータ(反転回路)を介することにより電源Bから制御部73への給電が行われない。一方、ガラス割れ時には、機械式スイッチSWがオフ(開放)してインバータ(反転回路)を介して電源Bから制御部73への給電が行われ制御部73が駆動される。これにより、制御部73からウィンドウガラス5の破損を知らせる信号が車体側無線機80に送られる。
【0073】
・他にも、機械式スイッチの数は3以上でもよい。
・ウィンドウガラス5の破損を検出した時に警報器82による警報に代わり、車両の外部機器への通知でもよい。
【0074】
・車体側無線機80は車室内のルーフに設置したが、Aピラー(フロントピラー)等に設置してもよい。
・上記実施形態ではウィンドウレギュレータとしてXアーム式ウィンドウレギュレータを用いたが、ケーブル式ウィンドウレギュレータを用いてもよい。
【0075】
・上記実施形態においてウィンドウガラスの駆動手段としてはモータを有するものだけではなく、乗員の手動によるものでもよい。
・上記実施形態ではウィンドウガラス破損検出装置を乗用車における側部ドアに適用したが、側部ドアの他にも、後部ドアや屋根に設けられた開閉式ガラスルーフに適用してもよい。
【0076】
・クリップ50はウィンドウガラス5の下端部に設置したが、これに限ることなく、例えばウィンドウガラス5の側面での下部に設置してもよい。要は、ウィンドウガラスの端部のうちの車両ドア1の内部の目立たない所に設置すればよい。
【0077】
・車体側無線機を1台使用し、通信モジュールを複数台使用してシステムを構築したが(図12では1対4)、これに限ることなく、車体側無線機を1台使用し、通信モジュールを1台使用してシステムを構築してもよい。また、車体側無線機を複数台使用し、通信モジュールを複数台使用してシステムを構築してもよい。
【0078】
・開閉式ウィンドウガラスに適用したが、固定式ウィンドウガラスに適用してもよい。
・通信手段としての送信部72および制御部73は無線通信機器であったが、有線方式の通信機器であってもよい。
【0079】
・機械式スイッチはノーマルオフタイプのものを用いたが、ノーマルオンタイプのものを用いてもよい。この場合には、ウィンドウガラスの破損時には機械式スイッチはオンとなる。
【符号の説明】
【0080】
5…ウィンドウガラス、30…車両用ウィンドウガラスの破損検出装置、50…クリップ、69…可動片、70…通信モジュール、72…送信部、73…制御部、74…排他的論理和回路、75…基板、76…固定接点、77…固定接点、78…可動接点、B…電源、SW1…第1機械式スイッチ、SW2…第2機械式スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ウィンドウガラスの破損を検出する車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、
前記ウィンドウガラスに取り付けられ、ウィンドウガラスの破損に伴う当該ウィンドウガラスの粉砕を行う力で付勢する付勢部材と、
前記ウィンドウガラスに取り付けられ、前記付勢部材による前記ウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位する可動部材と、
前記ウィンドウガラスに取り付けられ、ばね力が付与される可動接点を有し、前記ウィンドウガラスの破損に伴う前記可動部材の変位に伴って前記可動接点と固定接点との開閉状態が反転する機械式スイッチと、
前記ウィンドウガラスに取り付けられ、前記機械式スイッチにおける前記ウィンドウガラスの破損に伴う可動接点と固定接点との開閉状態の反転により電源から電力の供給を受けて前記ウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る通信手段と、
を備えたことを特徴とする車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項2】
前記機械式スイッチの固定接点は、基板上において離間して形成した一対の導体パターンであり、
前記機械式スイッチの可動接点は、一端が、前記一対の導体パターンのうちの一方の導体パターンに接合され、他端が、閉状態において前記一対の導体パターンのうちの他方の導体パターンに接触し、かつ、当該他方の導体パターンに離間する方向に付勢されるばね材であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項3】
前記ウィンドウガラスには、前記機械式スイッチ以外に、前記ウィンドウガラスの破損によって、ばね力が付与される可動接点と固定接点との開閉状態が反転しない機械式スイッチが更に取り付けられ、
前記両方の機械式スイッチが排他的論理和回路の入力端子に接続され、
前記両方の機械式スイッチおよび前記通信手段を前記ウィンドウガラスに取り付ける前の状態において前記両方の機械式スイッチにおける接点の開閉状態が同一で前記排他的論理和回路の出力状態により前記通信手段に前記電源から電力の供給を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項4】
前記通信手段は、無線通信機器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスを挟持するクリップであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項6】
前記ウィンドウガラスは開閉式ウィンドウガラスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項1】
車両用ウィンドウガラスの破損を検出する車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、
前記ウィンドウガラスに取り付けられ、ウィンドウガラスの破損に伴う当該ウィンドウガラスの粉砕を行う力で付勢する付勢部材と、
前記ウィンドウガラスに取り付けられ、前記付勢部材による前記ウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの粉砕により変位する可動部材と、
前記ウィンドウガラスに取り付けられ、ばね力が付与される可動接点を有し、前記ウィンドウガラスの破損に伴う前記可動部材の変位に伴って前記可動接点と固定接点との開閉状態が反転する機械式スイッチと、
前記ウィンドウガラスに取り付けられ、前記機械式スイッチにおける前記ウィンドウガラスの破損に伴う可動接点と固定接点との開閉状態の反転により電源から電力の供給を受けて前記ウィンドウガラスの破損を知らせる信号を送る通信手段と、
を備えたことを特徴とする車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項2】
前記機械式スイッチの固定接点は、基板上において離間して形成した一対の導体パターンであり、
前記機械式スイッチの可動接点は、一端が、前記一対の導体パターンのうちの一方の導体パターンに接合され、他端が、閉状態において前記一対の導体パターンのうちの他方の導体パターンに接触し、かつ、当該他方の導体パターンに離間する方向に付勢されるばね材であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項3】
前記ウィンドウガラスには、前記機械式スイッチ以外に、前記ウィンドウガラスの破損によって、ばね力が付与される可動接点と固定接点との開閉状態が反転しない機械式スイッチが更に取り付けられ、
前記両方の機械式スイッチが排他的論理和回路の入力端子に接続され、
前記両方の機械式スイッチおよび前記通信手段を前記ウィンドウガラスに取り付ける前の状態において前記両方の機械式スイッチにおける接点の開閉状態が同一で前記排他的論理和回路の出力状態により前記通信手段に前記電源から電力の供給を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項4】
前記通信手段は、無線通信機器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスを挟持するクリップであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項6】
前記ウィンドウガラスは開閉式ウィンドウガラスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−184029(P2011−184029A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54777(P2010−54777)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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