説明

車両用エアバッグ装置

【課題】サイドエアバッグと共に設けられたカーテンエアバッグによる車両ロールオーバの際の乗員保護性能を向上させることができる車両用エアバッグ装置を得る。
【解決手段】車両用エアバッグ装置10は、車両用シート24に折り畳み状態で収納され、側突の際にガス供給により車両用シート24の着座乗員とフロントサイドドア26との間で展開されるサイドエアバッグ22と、ドアオープニング11、13の上縁部に折り畳み状態で収納され、側面衝突及びロールオーバの際にガス供給により下向きにカーテン状に展開されるカーテンエアバッグ12とを備える。カーテンエアバッグ12は、その主チャンバ36から絞り通路38を通じてガスの供給を受けることで、該主チャンバ36に対し遅れて展開されるディレイチャンバ40を有する。ディレイチャンバ40は、下端側がベルトラインBLよりも下方でかつサイドエアバッグ22の展開範囲と重なる範囲で展開される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドエアバッグ及びカーテンエアバッグを共に備える車両用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンエアバッグにおいて、乗員の着座位置を除く箇所にベルトラインよりも下方へ延出する副展開部を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、カーテンエアバッグを、サイドエアバッグの展開領域と重なる位置まで展開すると共に、展開したサイドエアバッグを嵌め込み可能な展開形状となるように構成する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−116167号公報
【特許文献2】特許第4420067号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、副展開部が乗員から離れた位置で展開されるので、ロールオーバの際の頭部保護の観点から改善の余地がある。また、特許文献2の技術では、サイドエアバッグと重なる部分のカーテンエアバッグの展開厚みを厚くすることができないので、ロールオーバの際の頭部保護の観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、サイドエアバッグと共に設けられたカーテンエアバッグによる車両ロールオーバの際の乗員保護性能を向上させることができる車両用エアバッグ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、車両用シート又は車体側部に折り畳み状態で収納され、車両の側面衝突の際にガスの供給を受けて膨張し、前記車両用シートに着座した乗員と車体側部との間で展開されるサイドエアバッグと、車体における乗降用の開口部の上縁部に折り畳み状態で収納され、車両の側面衝突の際及び車両のロールオーバの際にガスの供給を受けて膨張し、車両下方に向けてカーテン状に展開されるカーテンエアバッグと、前記カーテンエアバッグに設けられ、該カーテンエアバッグの主展開部から絞り通路を通じてガスの供給を受けることで該カーテンエアバッグの主展開部に対し遅れて膨張し、上端側が前記カーテンエアバッグに連結されると共に下端側がベルトラインよりも下方でかつ前記サイドエアバッグの展開範囲と重なる範囲で展開される遅れ展開部と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の車両用エアバッグ装置では、例えば車両の側面衝突の際には、サイドエアバッグ及びカーテンエアバッグが共に展開され、乗員が保護される。カーテンエアバッグの遅れ展開部は、絞り通路を通じてガスの供給を受けるため、主展開部よりもガスの供給が遅れ(制限され)、主展開部に対し遅れて展開される。この遅れ展開部は、車両が側面衝突に続いてロールオーバに至った場合に、上端側がカーテンエアバッグに連結されると共に下端側がサイドエアバッグの展開範囲における前記ベルトラインの下側部分と重なるように展開される。この際、サイドエアバッグは機能を終了しているので、遅れ展開部は、サイドエアバッグに阻害されることなく予定の展開位置で展開される。
【0008】
そして、サイドエアバッグに重なるように展開される遅れ展開部は、換言すれば、乗員の近くで展開される遅れ展開部は、その下部を車体のベルトライン下側部分に係合させて乗員からの荷重(反力)を支持しつつ、ロールオーバに伴う乗員頭部の車両外側への移動を効果的に抑制する。
【0009】
このように、請求項1記載の車両用エアバッグ装置では、サイドエアバッグと共に設けられたカーテンエアバッグによる車両ロールオーバの際の乗員保護性能を向上させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項1記載の車両用エアバッグ装置において、前記遅れ展開部は、前記カーテンエアバッグの主展開部から絞り通路を通じてガスの供給を受ける第1遅れ展開部と、前記第1遅れ展開部からガス供給を受けて、下端側が前記ベルトラインよりも下方でかつ前記サイドエアバッグの展開範囲と重なる範囲で展開される第2遅れ展開部と、前記第1遅れ展開部の内圧が所定値を超えるまで前記第1遅れ展開部から第2遅れ展開部へのガス供給を制限する制限構造と、を含んで構成されている。
【0011】
請求項2記載の車両用エアバッグ装置では、カーテンエアバッグが展開されながら、絞り通路を通じて第1遅れ展開部にも僅かずつガスが供給される。一方、第1遅れ展開部の内圧が所定値以下の低い状態では、第2遅れ展開部へのガス供給は、制限構造により制限される。したがって、第2遅れ展開部へのガスの供給は、実質的に第1遅れ展開部の展開完了後に開始されることとなる。このため、本車両用エアバッグ装置では、ロールオーバの際に、サイドエアバッグと展開範囲が重なる第2遅れ展開部のカーテンエアバッグに対する展開遅れの時間を制御しやすい。
【0012】
請求項3記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項1記載の車両用エアバッグ装置において、前記カーテンエアバッグは、側面視でセンタピラーに重なって展開され、かつ前記絞り通路を通じて前記遅れ展開部の後部に連通されたピラーラップ部を有し、前記遅れ展開部は、前記ピラーラップ部から前記絞り通路を通じてガスの供給を受けて、側面視で下端側が前記ベルトラインよりも下方でかつ前席用の前記サイドエアバッグの展開範囲と重なる範囲で展開されるように構成されている。
【0013】
請求項3記載の車両用エアバッグ装置では、ピラーラップ部がセンタピラーに重なって展開された後に、該ピラーラップ部から絞り通路を通じてガスが供給されて遅れ展開部が展開される。遅れ展開部の後部は、絞り通路を介してピラーラップ部に連通されているので、該ピラーラップ部によっても前席の乗員頭部の保護の際に反力を支持することができ、乗員保護性能が向上される。
【0014】
請求項4記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項2記載の車両用エアバッグ装置において、前記第1遅れ展開部は、側面視でセンタピラーに重なって展開され、かつ、少なくとも内圧が所定値を超えた状態で前記第2遅れ展開部の後部に連通され、前記第2遅れ展開部は、側面視で下端側が前記ベルトラインよりも下方でかつ前席用の前記サイドエアバッグの展開範囲と重なる範囲で展開されるように構成されている。
【0015】
請求項4記載の車両用エアバッグ装置では、第1遅れ展開部がセンタピラーに重なって展開された後に、該第1遅れ展開部から第2絞り通路を通じてガスが供給されて第2遅れ展開部が展開される。第2遅れ展開部の後部は、少なくとも制限構造による制限解消後には第1遅れ展開部からのガスが供給されるように該第1遅れ展開部に連通されているので、該第1遅れ展開部によっても前席の乗員頭部の保護の際に反力を支持することができ、ロールオーバの際の乗員保護性能が向上される。
【0016】
請求項5記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項4記載の車両用エアバッグ装置において、前記第1遅れ展開部から第2遅れ展開部へのガスの供給方向は、前記カーテンエアバッグの主展開部から前記第1遅れ展開部へのガスの供給方向と逆向きとされている。
【0017】
請求項5記載の車両用エアバッグ装置では、カーテンエアバッグから第1遅れ展開部に供給されたガスは、該第1遅れ展開部内で折り返すようにして第2遅れ展開部に供給される。すなわち、ガスが第1遅れ展開部をストレートに通過する構成と比べて、第2遅れ展開部へのガス流入が効果的に制限される。このため、サイドエアバッグと展開範囲が重なる第2遅れ展開部のカーテンエアバッグに対する展開遅れの時間を一層制御しやすい。
【0018】
請求項6記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置において、前記サイドエアバッグは、前後方向の位置を調整可能な前記車両用シートに収納されており、前記遅れ展開部は、前記車両用シートが最も前方に位置する場合の前記サイドエアバッグの展開位置から前記車両用シートが最も後方に位置する場合の前記サイドエアバッグの展開位置までの範囲において、下端側が前記サイドエアバッグと重なって展開される。
【0019】
請求項6記載の車両用エアバッグ装置では、車両用シートの前後方向位置に依らず、遅れ展開部を乗員の近くで展開させることができ、該遅れ展開部によってロールオーバの際に乗員頭部が保護されやすい。
【0020】
請求項7記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項1〜請求項6の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置において、前記絞り通路は、ガス流通状態での内経が40mm以上70mm以下とされている。
【0021】
請求項7記載の車両用エアバッグ装置では、絞り通路の内径が40mm以上70mm以下であるため、サイドエアバッグの機能終了後に遅れ展開部を展開させることができる。すなわち、絞り通路の内径が70mmを超えると、サイドエアバッグの機能終了前に遅れ展開部が展開されることが懸念される。一方、絞り通路の内径が40mmを下回ると、絞り通路に作用する応力が過大になることが懸念される。
【0022】
請求項8記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置において、前記遅れ展開部の容量は、前記カーテンエアバッグの総容量の1/6以上1/5以下とされている。
【0023】
請求項8記載の車両用エアバッグ装置では、遅れ展開部の容量がカーテンエアバッグの総容量(遅れ展開部の容量を含む容量)の1/6以上1/5以下であるため、遅れて展開された遅れ展開部の内圧をロールオーバの際に要求される内圧以上の圧力にすることができる。
【0024】
請求項9記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項1〜請求項8の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置において、前記カーテンエアバッグは、側面視でフロントピラー及び車体における前記ベルトラインの下側部分に重なるように前席の前方で膨張し展開される前側ラップ部を有する。
【0025】
請求項9記載の車両用エアバッグ装置では、前側ラップ部は、乗員側から荷重を受けると、フロントピラー及び車体におけるベルトラインの下側部分のそれぞれに係合する。このため、本車両用エアバッグ装置では、前側ラップ部によっても前席の乗員頭部の車両外側への移動を効果的に抑制することができる。なお、前側ラップ部が主展開部の一部である構成としも良く、前側ラップ部が主展開部に対し遅れて展開される構成としても良い。
【0026】
請求項10記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項1〜請求項9の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置において、前記カーテンエアバッグは、上端側が前記カーテンエアバッグの主展開部に連結されると共に、下端側が側面視で車体における前記ベルトラインの下側部分に重なって展開される後側ラップ部を有する。
【0027】
請求項10記載の車両用エアバッグ装置では、後側ラップ部は、乗員側から荷重を受けると、上端側でカーテンエアバッグの主展開部を介して車体に支持されつつ、下端側で車体におけるベルトラインの下側部分に係合する。このため、本車両用エアバッグ装置では、後側ラップ部によっても後席の乗員頭部の車両外側への移動を効果的に抑制することができる。なお、後側ラップ部が主展開部の一部である構成としも良く、後側ラップ部が主展開部に対し遅れて展開される構成としても良い。
【0028】
請求項11記載の発明に係る車両用エアバッグ装置は、請求項1〜請求項10の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置において、前記カーテンエアバッグの主展開部は、前席の側方で展開される前側主展開部と後席の側方で展開される後側主展開部とを有し、前記カーテンエアバッグにガスを供給するインフレータが、前記乗降用の開口部の上縁部における前記カーテンエアバッグの前側主展開部と後側主展開部との間に配置されている。
【0029】
請求項11記載の車両用エアバッグ装置では、カーテンエアバッグの前部と後部とは共通のインフレータからガスの供給を受けて膨張、展開される。インフレータはカーテンエアバッグの前部と後部との間に配置されているので、該カーテンエアバッグの前部及び後部(遅れ展開部を除く)を短時間で展開させることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明に係る車両用エアバッグ装置は、サイドエアバッグと共に設けられたカーテンエアバッグによる車両ロールオーバの際の乗員保護性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置の概略全体構成を示す、前席がフロントモースト位置に位置する場合の車室内から見た側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置の概略全体構成を示す、前席がリヤモースト位置に位置する場合の車室内から見た側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置を模式的に示す正面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置を構成するカーテンエアバッグの展開状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置の制御系等を模式的示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置を構成するサイドエアバッグ及びカーテンエアバッグの展開タイミングを示す線図である。の内圧の変化過程を示す線図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る車両用エアバッグ装置の概略全体構成を示す、車室内から見た側面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る車両用エアバッグ装置を構成するカーテンエアバッグの内圧の変化過程を示す線図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る車両用エアバッグ装置の概略全体構成を示す、車室内から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置10について図1〜図5に基づいて説明する。先ず、車両用エアバッグ装置10の概略全体構成を説明し、次いで本発明の要部であるカーテンエアバッグ12の構成を説明することとする。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印IN、矢印OUTは、それぞれ車両用エアバッグ装置10が適用された自動車Sの前方向(進行方向)、上方向、車幅方向内側、及び外側を示している。以下、単に前後、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下を示すものとする。
【0033】
(車両用エアバッグ装置の全体構成)
図1には、車両用エアバッグ装置10が適用された自動車Sの車室内から見た側面図が示されている。この図に示される如く、車両用エアバッグ装置10は、カーテンエアバッグ12とサイドエアバッグ22とを備えている。カーテンエアバッグ12は、車室内側部としてのサイドウインドガラス14、センタピラー(Bピラー)15に沿って展開するように形成されている。この実施形態では、カーテンエアバッグ12は、前席Sf及び後席Srの側方に位置する前後のサイドウインドガラス14を覆うように構成されている。
【0034】
図示は省略するが、カーテンエアバッグ12は、例えばロール折り又は蛇腹折りされて長尺状にされた上で、フロントピラー(Aピラー)16からルーフサイド部18に亘ってリヤピラー19の近傍まで収納されており、後述する所定の場合に図1に示される如く前後のサイドウインドガラス14、センタピラー15に沿って展開して前席、後席の乗員の頭部を保護するようになっている。なお、この実施形態におけるルーフサイド部18は、該ルーフサイド部18とフロントピラー16とセンタピラー15とリヤピラー19とで囲まれた乗降用の開口部としての前後のドアオープニング11、13の上縁を成している。カーテンエアバッグ12は、ルーフサイド部18を成すルーフサイドレールとルーフヘッドライニングとの間に収容されている。
【0035】
また、車両用エアバッグ装置10は、カーテンエアバッグ12内にガスを供給するためのインフレータ20を備えている。インフレータ20は、燃焼式又はコールドガス式のものが採用され、作動されることで多量のガスをカーテンエアバッグ12内に供給するようになっている。インフレータ20のガス吹出口は、カーテンエアバッグ12の内部と連通されている。この実施形態では、インフレータ20はルーフサイド部18に配設されている。カーテンエアバッグ12の展開形状及びインフレータ20の配置については、後述する。
【0036】
サイドエアバッグ22は、乗員が着座する前席Sfを構成する車両用シート24と車体のフロントサイドドア26との間で展開して、車両用シート24に着座している乗員の上体(腰部、胸部)を保護するようになっている。この実施形態におけるサイドエアバッグ22の上端は、自動車Sにおけるサイドウインドガラス14の下縁に沿ったベルトラインBLよりも若干上側に位置する構成とされている。なお、サイドエアバッグ22は、乗員の肩部までを保護する構成としても良い。
【0037】
図示は省略するが、サイドエアバッグ22は、例えばロール折り又は蛇腹折りされた上で、車両用シート24のシートバック24Aにおける車幅方向外側の側部に上下方向に沿って収納されており、インフレータ28(図5参照)からのガス供給によって膨張、展開するようになっている。インフレータ28は、ガス発生材を燃焼させてガスを供給する燃焼式又はコールドガス式のインフレータとして構成されており、サイドエアバッグ22と共にシートバック24A内に配設されている。
【0038】
以上により、サイドエアバッグ22は、図1に示す車両用シート24のフロントモースト位置、図2に示す車両用シート24のリヤモースト位置、及びこれらの間の位置の何れにおいても、車両用シート24の着座乗員とフロントサイドドア26との間で展開する構成とされている。
【0039】
以上説明したカーテンエアバッグ12、インフレータ20は、図5に模式的に示される如く、それぞれ左右一対設けられている。また、サイドエアバッグ22、インフレータ28は、左右の車両用シート24(運転席及び助手席)にそれぞれ設けられている。
【0040】
さらに、車両用エアバッグ装置10は、図5に示される如く、側突センサ30及びロールオーバセンサ32のそれぞれと電気的に接続されたエアバッグECU34を備えている。側突センサ30は、自動車Sの側面衝突(の不可避)を予測又は検出してエアバッグECU34に側突検出信号を出力するように構成されている。ロールオーバセンサ32は、自動車Sのロールオーバ(の不可避)を予測又は検出してエアバッグECU34にロールオーバ検出信号(以下、R/O検出信号という)を出力するように構成されている。
【0041】
エアバッグECU34は、側突検出信号が入力されると、側面衝突側(ニアサイド)のインフレータ20及びインフレータ28を作動する構成とされている。したがって、自動車Sに側面衝突が生じると、カーテンエアバッグ12及びサイドエアバッグ22の双方がガス供給を受けて膨張し、展開されるようになっている。また、エアバッグECU34は、R/O検出信号が入力されると、車幅方向両側のインフレータ20を作動する構成とされている。なお、エアバッグECU34は、側面衝突後にR/O検出信号が入力されると、すでに作動されている衝突側とは反対側のインフレータ20を作動するようになっている。また、この実施形態では、エアバッグECU34は、R/O検出信号が入力された場合にインフレータ28を作動しない構成とされている。
【0042】
(カーテンエアバッグの構成)
以下、カーテンエアバッグ12の具体的な構成を説明する。なお、特に断りのない場合、カーテンエアバッグ12の膨張、展開状態の構成(形状)を説明するものとする。図1に示される如く、カーテンエアバッグ12は、主展開部としての主チャンバ36と、主チャンバ36に絞り通路38を介して連通された遅れ展開部としてのディレイチャンバ40とを備えている。
【0043】
主チャンバ36は、側面衝突に対する頭部保護エリア(図4に示す領域A参照)で膨張、展開されるようになっている。より具体的には、主チャンバ36は、前席Sf用の側面衝突に対する頭部保護エリアAfを含んで膨張展開される前側主チャンバ36Fと、後席Sr用の側面衝突に対する頭部保護エリアArを含んで膨張展開される後側主チャンバ36Rと、ルーフサイド部18に沿ってこれら前側主チャンバ36Fと前側主チャンバ36Fとを連通するガス供給通路36Cとを含んで構成されている。
【0044】
インフレータ20は、ガス供給通路36Cの略中央部からガスを供給するように設けられている。すなわち、カーテンエアバッグ12の前部である前側主チャンバ36Fと後部である後側主チャンバ36Rとの間にインフレータ20が配置されている。なお、インフレータ20は、CピラーやDピラーに配設されても良い。
【0045】
また、前側主チャンバ36Fの後部でかつガス供給通路36Cの下部では、延長展開部である延長チャンバ36Eが膨張、展開されるようになっている。延長チャンバ36Eは、前端が前側主チャンバ36Fからガス供給を受けるように該前側主チャンバ36Fに接続されている。延長チャンバ36Eの後部は、側面視でセンタピラー15にオーバラップするようになっている。すなわち、延長チャンバ36Eは、ピラーラップ部に相当する。
【0046】
そして、絞り通路38は、延長チャンバ36Eの前下部から略前下向きに延びており、ディレイチャンバ40の後部に連通している。この絞り通路38を通じてガスが供給されることで、ディレイチャンバ40は、前側主チャンバ36Fの下方で膨張、展開されるようになっている。
【0047】
このディレイチャンバ40は、図1に示される如く、上縁部が前側主チャンバ36Fの下縁部に連結(接続)されると共に、下縁部がベルトラインBLよりも下方に位置するようになっている。このため、ディレイチャンバ40は、その下部の展開範囲が側面視でサイドエアバッグ22の展開範囲と重なって設定されている。したがって、車両用エアバッグ装置10では、側面衝突の際には、ディレイチャンバ40の下部は、ベルトラインBLの下側で展開状態のサイドエアバッグ22の上部の展開領域に重なるように展開される構成である。
【0048】
図1及び図2に示される如く、ディレイチャンバ40は、前席Sfの車両用シート24がフロントモース位置に位置する場合、リヤモースト位置に位置する場合の何れにおいても、換言すれば、車両用シート24の前後位置に依らず、その下部の展開領域がサイドエアバッグ22の上部の展開領域に重なる設定とされている。さらに、図3に示される如く、頭部を保護する前のディレイチャンバ40は、正面視においてもサイドエアバッグ22の上部の展開領域に重なる設定とされている。なお、図3に想像線にて示すカーテンエアバッグ12は、乗員の頭部保護過程を示すものである。
【0049】
このディレイチャンバ40の展開位置は、ロールオーバの際に乗員の頭部を、車両用シート24の近くにおいて、前側主チャンバ36Fとで保護し得る位置とされている。なお、図4に細い実線にて示す領域Bは、ロールオーバ試験(FMVSS規格)での乗員頭部に相当するインパクタI(図3参照)を当てる試験ポイント(打点)を示す。
【0050】
そして、ロールオーバの際には、乗員の頭部の車両外側への移動量を抑制することで該頭部を保護するため、ディレイチャンバ40は、ベルトラインBLの下方まで展開してフロントサイドドア26におけるベルトラインBLの下側部分に当接するようになっている。
【0051】
ここで、絞り通路38でのガスの流動抵抗(圧力損失)は主チャンバ36(カーテンエアバッグの主展開部)内でのガスの流動抵抗に対し大であるため、ディレイチャンバ40は主チャンバ36に対し時間的に遅れて膨張、展開される構成とされている。
【0052】
ところで、図6に示される如く、車両用エアバッグ装置10では、側突センサ30からの側突信号の入力すなわちインフレータ20、インフレータ28が作動された時点t0から略20msec後の時点t1でサイドエアバッグ22の展開が完了し、時点t0から略35msec後の時点t2でカーテンエアバッグ12の主チャンバ36の展開が完了されるように構成されている。なお、サイドエアバッグ22は、ガスの車室内空気との熱交換による収縮(体積減少)及び/又は図示しないベントホールによるガス排出によって、時点t3以降は内圧が十分に低下されるようになっている。
【0053】
一方、側面衝突の際に、サイドエアバッグ22による乗員の上体の保護、及びカーテンエアバッグ12の主チャンバ36による乗員の頭部の保護は、時点t0から略100msec後の時点t3までに終了するようになっている。この時点t3からディレイチャンバ40の膨張が実質的に開始される設定(設計上の狙い)とされている。車両用エアバッグ装置10では、絞り通路38の内径を40mm〜70mmの範囲内(この実施形態では55mm)とすることで、時点t0から時点t3後にディレイチャンバ40の膨張が開始される構成(設計)とされている。
【0054】
したがって、車両用エアバッグ装置10では、側面衝突の際のカーテンエアバッグ12及びサイドエアバッグ22による乗員保護の終了後に、ディレイチャンバ40が膨張、展開される構成とされている。なお、自動車Sのロールオーバは、側面衝突に起因するものは時点t0から略1.5sec(時点t5)〜略6sec(時点t6)の間に発生し、また側面衝突に起因しないものはロールオーバセンサ32によるR/O検出信号の出力(すなわちインフレータ20の作動時点である時点t0)から略1.5sec〜略6secの間に発生する。
【0055】
この実施形態では、インフレータ20は、長時間ガスを供給し続けるロングフロータイプとされている。これにより、上記した時点t0から6sec間、主チャンバ36及びディレイチャンバ40の内圧を所要の圧力(例えば25kPa)以上の内圧に保持することができる構成とされている。なお、インフレータ20は、時点t3までの側面衝突に対する乗員保護期間については、主チャンバ36の内圧が例えば40kPa以上となるように構成されている。
【0056】
さらに、カーテンエアバッグ12は、ロールオーバの際に前席Sfの乗員の頭部を前席Sfの前側で保護するための前側ラップ部としての第1副チャンバ42と、ロールオーバの際に後席Srの乗員の頭部を後席Srの前側で保護するための後側ラップ部としての第2副チャンバ44とを備えている。
【0057】
第1副チャンバ42は、前側主チャンバ36Fの前方で展開されてカーテンエアバッグ12の前端部分を構成する。第1副チャンバ42は、その上端側が側面視でフロントピラー16にオーバラップされると共に、その下端側でベルトラインBL下方に位置してフロントサイドドア26の前部にオーバラップされる構成である。この第1副チャンバ42により、上記ロールオーバ試験における最前の試験ポイントがカバーされている。なお、上記ロールオーバ試験における前席Sfの最後の試験ポイントは、前側主チャンバ36F及び延長チャンバ36Eにてカバーされている。
【0058】
第2副チャンバ44は、後側主チャンバ36Rの前方で展開されて、該後側主チャンバ36Rと延長チャンバ36Eとの間の部分を構成する。第2副チャンバ44は、その上端側がガス供給通路36Cの下縁部に連結(接続)されると共に、その下端側の少なくとも一部がベルトラインBL下方に位置してリヤサイドドア27にオーバラップされる構成である。この第2副チャンバ44とガス供給通路36Cとにより、上記ロールオーバ試験における後席Srの最前の試験ポイントがカバーされている。一方、上記ロールオーバ試験における後席Srの最後の試験ポイントは、後側主チャンバ36R及び第2副チャンバ44の後部とによりカバーされている。
【0059】
以上説明したカーテンエアバッグ12の前端すなわち第1副チャンバ42は、側面視略三角形状の支持布(テンションクロス)46を介してフロントピラー16の下部に支持されている。また、カーテンエアバッグ12の後端すなわち後側主チャンバ36Rは、支持布48を介してリヤピラー19に支持されている。
【0060】
次に、第1の実施形態の作用を、サイドエアバッグ22、主チャンバ36、ディレイチャンバ40の展開(萎み)タイミングを示すタイミングチャートである図6を参照しつつ説明する。
【0061】
上記構成の車両用エアバッグ装置10では、適用された自動車Sに側面衝突が生じると、側突センサ30から側突検出信号を受けたエアバッグECU34は、側面衝突が生じた側のインフレータ20、28を作動させる(時点t0)。これにより先ず、図6に示される如く、サイドエアバッグ22がインフレータ28からガス供給を受けて膨張され、該サイドエアバッグ22の展開が終了される(時点t1)。また、サイドエアバッグ22と共にカーテンエアバッグ12(の主にディレイチャンバ40を除く部分)がインフレータ20からガス供給を受けて膨張され、該カーテンエアバッグ12の主チャンバ36、第1副チャンバ42、第2副チャンバ44の展開が終了される(時点t2)。
【0062】
これにより、側面衝突側の乗員は、その頭部がカーテンエアバッグ12の主チャンバ36にて保護されると共に、その上体がサイドエアバッグ22にて保護される。この側面衝突に対する乗員の保護は、時点t3までに完了する。
【0063】
ここで、車両用エアバッグ装置10では、側面衝突に対する乗員の保護の際にはカーテンエアバッグ12のディレイチャンバ40の膨張、展開が防止又は制限される。このため、ディレイチャンバ40がサイドエアバッグ22の適正位置での展開を妨げることがなく、該サイドエアバッグ22によって乗員の上体を適正に保護することができる。
【0064】
そして、側面衝突に対する乗員保護終了後において、絞り通路38を通じて主チャンバ36からガス供給を受けたディレイチャンバ40が膨張、展開される。この際、カーテンエアバッグ12では、主チャンバ36、第1副チャンバ42、第2副チャンバ44の内圧が例えば25kPa以上に維持されつつ、ディレイチャンバ40が主チャンバ36と同等(展開過程では同等未満)の内圧で展開される。
【0065】
ここで、側面衝突に対する乗員保護終了後(時点t3以降)においては、サイドエアバッグ22の内圧は十分に低下されている(サイドエアバッグ22は萎んでいる)ので、ディレイチャンバ40は、サイドエアバッグ22によって阻害されることなく(サイドエアバッグ22の上部を潰しながら)適正に展開される。このため、側面衝突に続いて自動車Sにロールオーバが生じた場合には、ディレイチャンバ40が主チャンバ36、第1副チャンバ42、第2副チャンバ44と共に展開されたカーテンエアバッグ12によって、乗員の頭部がロールオーバに対し良好に保護される。
【0066】
すなわち、図3に想像線にて示される如く、カーテンエアバッグ12は、ベルトラインBLの下側まで展開されるディレイチャンバ40の下部がフロントサイドドア26に当接する。このため、ディレイチャンバ40は、乗員の頭部が当たった場合には、該当接部で反力を支持されながら頭部の車両外方への移動量を小さく抑えることができる。
【0067】
特に、カーテンエアバッグ12では、ディレイチャンバ40に連通された延長チャンバ36Eがセンタピラー15に当接するため、該延長チャンバ36Eによって支持反力を支持しながら、ロールオーバ時に頭部の車両外方への移動量を一層小さく抑えることができる。
【0068】
以上説明したように、車両用エアバッグ装置10では、側面衝突に対する保護が要求されるタイミングとロールオーバに対する保護が要求されるタイミングとの時間差を利用して、サイドエアバッグ22に対しディレイチャンバ40が遅れて展開されるように構成されている。このため、ロールオーバ性能を確保するべくディレイチャンバ40がベルトラインBLの下側でサイドエアバッグ22の展開範囲に重なるように展開する構成において、サイドエアバッグ22は、側面衝突時にディレイチャンバ40に干渉することなく適正に(予定の位置で)展開される。
【0069】
一方、側面衝突後のロールオーバの際には、機能を果たしたサイドエアバッグ22の内圧が低下されているので、ディレイチャンバ40はサイドエアバッグ22に阻害されることなく良好に展開される。なお、ロールオーバが単独で生じた場合には、サイドエアバッグ22は展開されないので、ディレイチャンバ40は良好に展開される。仮にロールオーバ時にサイドエアバッグ22が展開される構成であっても、上記側面衝突後のロールオーバの際と同様に、ディレイチャンバ40は良好に展開される。すなわち、ロールオーバが単独で生じた場合においても、乗員の頭部はカーテンエアバッグ12によって良好に保護される。
【0070】
また、車両用エアバッグ装置10では、ディレイチャンバ40は、車両用シート24の前後位置に依らずサイドエアバッグ22の展開範囲にオーバラップする位置で展開される。このため、車両用シート24の前後位置に依らず、ディレイチャンバ40にて乗員の頭部の車両外方への移動量を小さく抑えることができる。
【0071】
さらに、車両用エアバッグ装置10では、絞り通路38の内径でディレイチャンバ40の展開タイミングを遅らせている。このため、ディレイチャンバ40をインフレータ20が作動される時点t0から長時間(100msec)経過後に膨張、展開させることができる。例えば、ディレイチャンバ40のガス入口をティアシームで縫製することで該ディレイチャンバ40の展開タイミングを遅らせる比較例では、主チャンバ36の内圧がピークに至るまでにティアシームを破断することになる。すなわち、主チャンバ36の展開が完了する時点t2(35msec)までにディレイチャンバ40の膨張が開始されることとなり、ディレイチャンバ40の展開タイミングを所望のタイミングに設定することが困難である。
【0072】
これに対して車両用エアバッグ装置10では、ガスの流動抵抗を生じる絞り通路38によってディレイチャンバ40へのガス流入タイミングを遅らせると共に流入ガスの流量を抑えるので、該ディレイチャンバ40を所要のタイミングで展開させることができる。そして、この絞り通路38の内径を40mm〜70mm(この実施形態では55mm)とすることで、上記の通り時点t0から略100msec後にディレイチャンバ40の展開を(実質的に)開始させる構成とすることができた。なお、絞り通路38の内径が70mmを超えると、サイドエアバッグ22の機能終了前にディレイチャンバ40が展開されることが懸念される。一方、絞り通路38の内径が40mmを下回ると、絞り通路38に作用する応力が高くなり、補強等が必要なるなど別の課題が生じることが懸念される。
【0073】
さらに、車両用エアバッグ装置10では、カーテンエアバッグ12の前部(前側主チャンバ36Fの前方)に第1副チャンバ42を設けたので、前席Sfの前方側において、ロールオーバの際に乗員の頭部を良好に保護することができる。特に、第1副チャンバ42は、上端側がフロントピラー16に係合すると共に下端側がフロントサイドドア26に係合することで、反力を良好に支持されながら乗員(前席乗員)の頭部の車両外方への移動量を小さく抑えることができる。
【0074】
またさらに、車両用エアバッグ装置10では、カーテンエアバッグ12の後部(後側主チャンバ36Rの前方)に第2副チャンバ44を設けたので、後席Srの前方側において、ロールオーバの際に乗員の頭部を良好に保護することができる。特に、第2副チャンバ44は、上端側がガス供給通路36Cに接続されると共に下端側がリヤサイドドア27に当接することで、反力を良好に支持されながら乗員(後席乗員)の頭部の車両外方への移動量を小さく抑えることができる。
【0075】
また、車両用エアバッグ装置10では、インフレータ20がガス供給通路36Cの略中央部(センタピラー15の上方)に配置されているので、側面衝突の際に前側主チャンバ36F及び後側主チャンバ36Rを短時間で展開完了させることができる。すなわち、前側主チャンバ36F及び後側主チャンバ36Rに所定のバランスでガスを供給して両者を時間差が少ない状態で良好に展開させることができる。
【0076】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。以下の説明において、上記第1の形態又は前出の構成と基本的に同様の構成については、上記第1の形態又は前出の構成と同一の符号を付して、その説明、図示を省略する場合がある。
【0077】
(第2の実施形態)
図7には、本発明の第2の実施形態に係る車両用エアバッグ装置50を構成するカーテンエアバッグ52が図1に対応する側面図にて示されている。この図に示される如く、カーテンエアバッグ52は、延長チャンバ36E、絞り通路38、ディレイチャンバ40に代えて、ディレイチャンバ60を備えている。ディレイチャンバ60は、第1遅れ展開部としての第1ディレイチャンバ54、第2遅れ展開部としての第2ディレイチャンバ56、及びこれらを連通する制限構造としての絞り通路58を備えている。以下、具体的に説明する。
【0078】
第1ディレイチャンバ54は、絞り通路62を通じて前側主チャンバ36Fからのガス供給を受ける点で延長チャンバ36Eとは異なる以外、該延長チャンバ36Eとほぼ同様に構成されている。すなわち、第1ディレイチャンバ54は、延長チャンバ36Eと似た形状とされると共に延長チャンバ36Eとほぼ同じ位置で展開されるようになっている。絞り通路62の内径は、40mm〜70mm(この実施形態では55mm)とされている。
【0079】
また、第2遅れディレイチャンバ56、絞り通路58は、寸法、形状共に、それぞれディレイチャンバ40、絞り通路38と同様に構成されている。図7では、サイドエアバッグ22の図示を省略しているが、第2遅れディレイチャンバ56は、車両用シート24の前後位置に依らず、その下部の展開領域がサイドエアバッグ22の上部の展開領域に重なる設定とされている。
【0080】
これにより、ディレイチャンバ60は、第1ディレイチャンバ54及び第2遅れディレイチャンバ56が絞り通路62、58を介して、主チャンバ36に対し直列に連通されることで、2段階の遅れ展開構造を構成している。すなわち、絞り通路62は、カーテンエアバッグ52の主展開部との圧力バランスで第1ディレイチャンバ54へのガス流入を抑える構成であるので、主チャンバ36の展開過程において若干のガスが絞り通路62を通じて第1ディレイチャンバ54に流入する。そして、第1ディレイチャンバ54は、このように絞り通路62を通じて流れ込むガスを一時的に溜めておく第1遅れ展開部として捉えることができる。
【0081】
一方、第2遅れディレイチャンバ56は、第1ディレイチャンバ54が膨張、展開された後(内圧上昇後)に、絞り通路58を通じてガスが供給されることで膨張、展開される2次遅れ展開部として捉えることができる。
【0082】
また、車両用エアバッグ装置50では、ディレイチャンバ60の容量Vdは、カーテンエアバッグ52の総容量Vtの1/6以上1/5以下(1/6≦Vd/Vt≦1/5、以下の説明では「1/6〜1/5」等と記載する場合がある)とされている。換言すれば、カーテンエアバッグ52の総容量Vtと、側面衝突に対する乗員保護の際に展開される主チャンバ36、第1副チャンバ42、及び第2副チャンバ44の容量Vsと、ロールオーバに対する乗員保護の際に追加で展開されるディレイチャンバ60の容量Vdとの比(Vt:Vs:Vd)は、6:5:1〜5:4:1とされている。この容量比について、図8を参照しつつ以下に説明する。なお、図8は、カーテンエアバッグ52の内圧の時間変化を模式的に示したものであり、実際の内圧変化を示すものではない。また、図8は、サイドエアバッグ22の内圧変化を示すものではないので、時点t1の図示は省略する。
【0083】
第1の実施形態において説明した通り、側面衝突の際(時点t0〜時点t3)における乗員の頭部保護のためには、主チャンバ36、第1副チャンバ42、第2副チャンバ44の容量に対して例えば40kPa以上のバッグ内圧(P0)が要求される。一方、ロールオーバの際における乗員の頭部保護のためには、カーテンエアバッグ52の総容量に対して例えば25kPa以上のバッグ内圧(P2)が要求される。
【0084】
ここで、図8に示される如く、時点t3から時点t5までの時間経過に伴ってカーテンエアバッグ52の内圧が略20%低下することを考慮すると、該低下前(時点t3)におけるカーテンエアバッグ52の総容量に対する内圧(P1)は、25kPaの125%の31.25kPa以上であることが要求される。また、時点t3ではカーテンエアバッグ52の容量が上記容量Vsから容量Vdの分だけ増すことを考慮すると、
P1 = P0×Vs/(Vs+Vd) = P0×Vs/Vt
となる。
【0085】
したがって、P1=31.25kPa、P0=40kPaとすると、
Vs/Vt = P1/P0 ≒ 0.8
となり、Vt:Vd:Vs≒5:1:4(Vd/Vt≒1/4)となる。また、ロールオーバの際の内圧P1を25kPaよりも若干大きく設定する場合、Vd/Vtは小さくなる。例えばP1=27kPaとする場合、Vt:Vd:Vs≒6:1:5となる。
【0086】
この実施形態では、上記の通り、ディレイチャンバ60を2段階の遅れ展開構造とすることで、換言すれば、主チャンバ36の容量の一部(前側主チャンバ36F)をディレイチャンバ60の一部(第1ディレイチャンバ54)に代えることで、上記の容量比が設定されている。このため、車両用エアバッグ装置50を構成するインフレータ20は、車両用エアバッグ装置10で採用されたロングフロータイプではなく、通常のインフレータとされている。車両用エアバッグ装置50における他の構成は、図示しない部分を含め、基本的に車両用エアバッグ装置10の対応する構成と同様に構成されている。
【0087】
したがって、第2の実施形態に係る車両用エアバッグ装置50によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。なお、車両用エアバッグ装置50においては、延長チャンバ36Eに代えて第1ディレイチャンバ54がロールオーバに対する乗員の頭部保護の際に、第1ディレイチャンバ54が支持反力を支持することとなる。
【0088】
以下、第2の実施形態の作用における主に第1の実施形態の作用とは異なる部分を説明する。車両用エアバッグ装置50では、ディレイチャンバ60が2段階の遅れ展開構造とされているため、展開領域がサイドエアバッグ22の展開領域と重なる第2遅れディレイチャンバ56の展開タイミングを、サイドエアバッグ22の展開タイミングに対し、より確実に遅らせることができる。すなわち、ディレイチャンバ60は、1段階目の遅れ展開部である第1ディレイチャンバ54の膨張が完了するまで、2段階目の遅れ展開部である第2遅れディレイチャンバ56へのガスの供給が防止又は制限される。このため、第1の実施形態に係るディレイチャンバ40と比べても、第1ディレイチャンバ54の膨張用に要する時間だけ絞り通路58の膨張開始時間を確実に遅らせることができる。
【0089】
特に、カーテンエアバッグ52では、主チャンバ36から第1ディレイチャンバ54への絞り通路62を通じたガス流れ方向と、第1ディレイチャンバ54から第2遅れディレイチャンバ56への絞り通路58を通じたガス流れ方向とが逆向きになる。このため、主チャンバ36から第1ディレイチャンバ54に供給されたガスは、該第1ディレイチャンバ54内で折り返すようにして第2遅れディレイチャンバ56に供給される。すなわち、ガスが第1ディレイチャンバ54をストレートに通過する構成と比べて、第2遅れディレイチャンバ56の主チャンバ36(サイドエアバッグ22)に対する展開遅れの時間を一層制御しやすい。
【0090】
また、車両用エアバッグ装置50では、カーテンエアバッグ52の総容量Vtに対しするディレイチャンバ60の容量Vdが1/6〜1/5とされているため、インフレータのガス排出特性に頼ることなく、ロールオーバの際にカーテンエアバッグ52の内圧を所定値(例えば25kPa)以上に保つことができる。
【0091】
逆に、カーテンエアバッグ52のうち、側面衝突に対する乗員保護の際に展開させる容量が、主に主チャンバ36、第1副チャンバ42、第2副チャンバ44の容量Vsに限られる。このため、カーテンエアバッグ52において、少ないガスで又は短時間で、側面衝突に対する乗員保護の際に展開される部分の内圧を所定値(例えば40kPa)以上にすることができる。これにより、車両用エアバッグ装置50では、側面衝突に対する乗員保護の際にカーテンエアバッグ52の全体が展開される(総容量Vt分のガスが要求される)比較例に対し、小容量のインフレータ20を用いることができる。
【0092】
なお、第2の実施形態では、ディレイチャンバ60が制限構造として絞り通路58を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、制限構造として、絞り通路58に代えて、第1ディレイチャンバ54と第2遅れディレイチャンバ56との間を、第1ディレイチャンバ54の内圧が所定値を超えると破断されるティアシームにて縫製する構造を採用しても良い。
【0093】
(第3の実施形態)
図9には、本発明の第3の実施形態に係る車両用エアバッグ装置70を構成するカーテンエアバッグ72が図1に対応する側面図にて示されている。この図に示される如く、カーテンエアバッグ72は、前席Sf側のディレイチャンバ40に加えて、後席Sr側にディレイチャンバ74が設定されている点で、第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置10とは異なる。
【0094】
具体的には、カーテンエアバッグ72は、第2副チャンバ44に代えて、該第2副チャンバ44よりも小型の第2副チャンバ76を有する。第2副チャンバ76は、後側主チャンバ36Rの前側に連通されると共に、その前側において絞り通路78を介してディレイチャンバ74に連通されている。第2副チャンバ76とディレイチャンバ74とで、側面視で第2副チャンバ44と略同じ形状(ロールオーバの際の頭部の保護範囲)を構成している。
【0095】
また、この実施形態では、カーテンエアバッグ72は、第1副チャンバ42に代えて第1副チャンバ80を有する。第1副チャンバ80は、第1副チャンバ42とは形状が異なるものの、第1副チャンバ42と同様の機能を果たす構成とされている。なお、本実施形態において第1副チャンバ80に代えて第1副チャンバ42を設けても良く、第1又は第2実施形態において第1副チャンバ42に代えて第1副チャンバ80を設けても良い。
【0096】
そして、車両用エアバッグ装置70では、前席Sf側のディレイチャンバ40の容量と後席Sr側のディレイチャンバ74の容量との和が、上記容量Vdに相当する。すなわち、第3の実施形態においても、ディレイチャンバ40、74の容量Vdは、カーテンエアバッグ72の総容量Vtの1/6〜1/5(1/6≦Vd/Vt≦1/5)とされている。車両用エアバッグ装置70における他の構成は、図示しない部分を含め、基本的に車両用エアバッグ装置10の対応する構成と同様に構成されている。
【0097】
したがって、第3の実施形態に係る車両用エアバッグ装置50によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用エアバッグ装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用エアバッグ装置70では、カーテンエアバッグ72の総容量Vtに対しするディレイチャンバ40、74の和の容量Vdが1/6〜1/5とされている。このため、第2の実施形態に係る車両用エアバッグ装置50と同様に、インフレータのガス排出特性に頼ることなく、ロールオーバの際にカーテンエアバッグ52の内圧を所定値(25kPa)以上に保つことができる。
【0098】
また第2の実施形態と同様に、カーテンエアバッグ72のうち、側面衝突に対する乗員保護の際に展開させる容量が、主に主チャンバ36、第1副チャンバ42、第2副チャンバ44の容量Vsに限られる。このため、カーテンエアバッグ72において、少ないガスで又は短時間で、側面衝突に対する乗員保護の際に展開される部分の内圧を所定値(例えば40kPa)以上にすることができる。これにより、車両用エアバッグ装置70では、側面衝突に対する乗員保護の際にカーテンエアバッグ72の全体が展開される(総容量Vt分のガスが要求される)比較例に対し、小容量のインフレータ20を用いることができる。
【0099】
なお、第3の実施形態では、後席Sr側にディレイチャンバ74を配置することで、ディレイチャンバ40、72の和の容量Vdを、カーテンエアバッグ72の総容量Vtに対し1/6〜1/5に設定する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1副チャンバ42、80の一部又は全部を遅れ展開部とすることで遅れ展開部の容量Vdを、カーテンエアバッグ72の総容量Vtに対し1/6〜1/5に設定するようにしても良い。また、第2副チャンバ44の全体(第2副チャンバ76及びディレイチャンバ74)を遅れ展開部とすることで該遅れ展開部の容量Vdを、カーテンエアバッグ72の総容量Vtに対し1/6〜1/5に設定するようにしても良い。
【0100】
また、本発明は、上記した各実施形態のカーテンエアバッグ12の形状に限定されることはない。例えば、主チャンバ36の前側主チャンバ36Fと後側主チャンバ36Rとがガス供給通路36Cによって連通された例に限定されることはなく、これに代えて、延長チャンバ36Eに相当する部分と第2副チャンバ44に相当する部分とが連通された構成としても良い。
【0101】
さらに、第2の実施形態では、2段階の遅れ展開構造を成すディレイチャンバ60の容量Vdが総容量Vtに対し1/6〜1/5となる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、2段階の遅れ展開構造だけのために第1ディレイチャンバ54の容量を設定しても良い。これにより第1ディレイチャンバ54の容量が小さくなる場合には、他に遅れ展開部を設けることで、遅れ展開部の容量Vdが総容量Vtに対し1/6〜1/5となるように構成することも可能である。
【0102】
またさらに、上記した各実施形態では、後席Sr及びリヤサイドドア27を備えた自動車Sに本発明が適用された例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、リヤサイドドア27を備えない2ドア自動車、後席Srを備えない2座の自動車、3列以上の座席を有する自動車等に本発明を適用することが可能である。
【0103】
また、上記した各実施形態においては、サイドエアバッグ22を前席Sfのシートバック側部に配設した例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、サイドエアバッグは、シートバック24A側方の車体側(フロントサイドドア26やセンタピラー15)に設けられても良く、後席Srのシートバックの側部に設けられても良い。
【符号の説明】
【0104】
10 車両用エアバッグ装置
11・13 ドアオープニング(乗降用の開口部)
12 カーテンエアバッグ
15 センタピラー
18 ルーフサイド部(開口部の上縁)
20 インフレータ
22 サイドエアバッグ
24 車両用シート
26 フロントサイドドア(車体側部)
27 リヤサイドドア(車体側部)
36 主チャンバ(カーテンエアバッグの主展開部)
36E 延長チャンバ(ピラーラップ部)
36F 前側主チャンバ(カーテンエアバッグの前側主展開部)
36R 後側主チャンバ(カーテンエアバッグの後側主展開部)
38 絞り通路
40 ディレイチャンバ(遅れ展開部)
42 第1副チャンバ(前側ラップ部)
44 第2副チャンバ(後側ラップ部)
50・70 車両用エアバッグ装置
52・72 カーテンエアバッグ
54 第1ディレイチャンバ(第1遅れ展開部)
56 第2ディレイチャンバ(第2遅れ展開部)
58 絞り通路(制限構造)
60 ディレイチャンバ(遅れ展開部)
62 絞り通路
74 ディレイチャンバ(遅れ展開部)
76 第2副チャンバ(後側ラップ部)
80 第1副チャンバ(前側ラップ部)
BL ベルトライン
S 自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シート又は車体側部に折り畳み状態で収納され、車両の側面衝突の際にガスの供給を受けて膨張し、前記車両用シートに着座した乗員と車体側部との間で展開されるサイドエアバッグと、
車体における乗降用の開口部の上縁部に折り畳み状態で収納され、車両の側面衝突の際及び車両のロールオーバの際にガスの供給を受けて膨張し、車両下方に向けてカーテン状に展開されるカーテンエアバッグと、
前記カーテンエアバッグに設けられ、該カーテンエアバッグの主展開部から絞り通路を通じてガスの供給を受けることで該カーテンエアバッグの主展開部に対し遅れて膨張し、上端側が前記カーテンエアバッグに連結されると共に下端側がベルトラインよりも下方でかつ前記サイドエアバッグの展開範囲と重なる範囲で展開される遅れ展開部と、
を備えた車両用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記遅れ展開部は、
前記カーテンエアバッグの主展開部から絞り通路を通じてガスの供給を受ける第1遅れ展開部と、
前記第1遅れ展開部からガス供給を受けて、下端側が前記ベルトラインよりも下方でかつ前記サイドエアバッグの展開範囲と重なる範囲で展開される第2遅れ展開部と、
前記第1遅れ展開部の内圧が所定値を超えるまで前記第1遅れ展開部から第2遅れ展開部へのガス供給を制限する制限構造と、
を含んで構成されている請求項1記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項3】
前記カーテンエアバッグは、側面視でセンタピラーに重なって展開され、かつ前記絞り通路を通じて前記遅れ展開部の後部に連通されたピラーラップ部を有し、
前記遅れ展開部は、前記ピラーラップ部から前記絞り通路を通じてガスの供給を受けて、側面視で下端側が前記ベルトラインよりも下方でかつ前席用の前記サイドエアバッグの展開範囲と重なる範囲で展開されるように構成されている請求項1記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項4】
前記第1遅れ展開部は、側面視でセンタピラーに重なって展開され、かつ、少なくとも内圧が所定値を超えた状態で前記第2遅れ展開部の後部に連通され、
前記第2遅れ展開部は、側面視で下端側が前記ベルトラインよりも下方でかつ前席用の前記サイドエアバッグの展開範囲と重なる範囲で展開されるように構成されている請求項2記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項5】
前記第1遅れ展開部から第2遅れ展開部へのガスの供給方向は、前記カーテンエアバッグの主展開部から前記第1遅れ展開部へのガスの供給方向と逆向きとされている請求項4記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項6】
前記サイドエアバッグは、前後方向の位置を調整可能な前記車両用シートに収納されており、
前記遅れ展開部は、前記車両用シートが最も前方に位置する場合の前記サイドエアバッグの展開位置から前記車両用シートが最も後方に位置する場合の前記サイドエアバッグの展開位置までの範囲において、下端側が前記サイドエアバッグと重なって展開される請求項1〜請求項5の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項7】
前記絞り通路は、ガス流通状態での内経が40mm以上70mm以下とされている請求項1〜請求項6の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項8】
前記遅れ展開部の容量は、前記カーテンエアバッグの総容量の1/6以上1/5以下とされている請求項1〜請求項7の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項9】
前記カーテンエアバッグは、側面視でフロントピラー及び車体における前記ベルトラインの下側部分に重なるように前席の前方で膨張し展開される前側ラップ部を有する請求項1〜請求項8の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項10】
前記カーテンエアバッグは、上端側が前記カーテンエアバッグの主展開部に連結されると共に、下端側が側面視で車体における前記ベルトラインの下側部分に重なって展開される後側ラップ部を有する請求項1〜請求項9の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項11】
前記カーテンエアバッグの主展開部は、前席の側方で展開される前側主展開部と後席の側方で展開される後側主展開部とを有し、
前記カーテンエアバッグにガスを供給するインフレータが、前記乗降用の開口部の上縁部における前記カーテンエアバッグの前側主展開部と後側主展開部との間に配置されている請求項1〜請求項10の何れか1項記載の車両用エアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−91650(P2012−91650A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239824(P2010−239824)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】