説明

車両用サスペンション装置

【課題】適切に車両の傾斜を抑制することができる車両用サスペンション装置を提供すること。
【解決手段】左車輪および右車輪にそれぞれ設けられたエアばねと、左車輪と右車輪とを接続し、車両に対してロール方向の力を発生するアクティブスタビライザと、を備え、停止時の路面の状態に応じて(S2−Y)エアばねによって変更した(S3,S4)左右の車高差を、発進後の走行路面状態に応じて変更する(S5−Y)ときに、エアばねによる車高調整、およびアクティブスタビライザが発生するロール方向の力によって車両の左右の傾斜を抑制する(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サスペンション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の姿勢を制御する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、走行車体の左右傾斜角度を検出する傾斜検出手段による検出結果に基づいて走行車体を設定姿勢に維持すべく左右の車高調節シリンダを背反的に伸縮作動させる傾斜制御手段を設けた走行車輌における傾斜制御装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−142345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の傾斜を抑制することについて、なお改善の余地がある。例えば、エアばねによって車両の姿勢を制御しようとする場合、所望の姿勢を実現するまでには時間を要する。路面の変化等に応じて応答よく車両の傾斜を抑制できるなど、適切に車両の傾斜を抑制できることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、適切に車両の傾斜を抑制することができる車両用サスペンション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用サスペンション装置は、左車輪および右車輪にそれぞれ設けられたエアばねと、前記左車輪と前記右車輪とを接続し、車両に対してロール方向の力を発生するアクティブスタビライザと、を備え、停止時の路面の状態に応じて前記エアばねによって変更した左右の車高差を、発進後の走行路面状態に応じて変更するときに、前記エアばねによる車高調整、および前記アクティブスタビライザが発生するロール方向の力によって前記車両の左右の傾斜を抑制することを特徴とする。
【0007】
上記車両用サスペンション装置において、前記エアばねによる車高調整として、前記左車輪のエアばねおよび前記右車輪のエアばねのそれぞれに対して給排気を行うことが好ましい。
【0008】
上記車両用サスペンション装置において、前記エアばねによる車高調整の進行に応じて前記アクティブスタビライザが発生するロール方向の力を低減させることが好ましい。
【0009】
上記車両用サスペンション装置において、前記エアばねによる車高調整として、前記左車輪のエアばねの空気室と前記右車輪のエアばねの空気室とを連通することが好ましい。
【0010】
上記車両用サスペンション装置において、前記空気室同士を連通することによるロール剛性の低下を前記アクティブスタビライザによって補うことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両用サスペンション装置は、左車輪および右車輪にそれぞれ設けられたエアばねと、左車輪と右車輪とを接続し、車両に対してロール方向の力を発生するアクティブスタビライザと、を備え、停止時の路面の状態に応じてエアばねによって変更した左右の車高差を、発進後の走行路面状態に応じて変更するときに、エアばねによる車高調整、およびアクティブスタビライザが発生するロール方向の力によって車両の左右の傾斜を抑制する。本発明に係る車両用サスペンション装置によれば、適切に車両の傾斜を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態に係る制御のフローチャートである。
【図2】図2は、実施形態に係る第一車高制御のフローチャートである。
【図3】図3は、実施形態に係る第二車高制御のフローチャートである。
【図4】図4は、実施形態に係る車両の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用サスペンション装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[実施形態]
図1から図4を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用サスペンション装置に関する。図1は、実施形態に係る制御のフローチャート、図2は、実施形態に係る第一車高制御のフローチャート、図3は、実施形態に係る第二車高制御のフローチャート、図4は、実施形態に係る車両の概略構成を示す図である。
【0015】
エアサスペンションシステムには、ある程度の不整地停車中も車高調整可能なものがある。例えば、左2輪を縁石に乗り上げた場合、右に荷重移動して車体が右下がりになるが、エアサスペンションシステムは車高を路面に平行に合わせようとして左右の車高を調整する。縁石に合わせて車高が調整された状態から車両が平坦路を走行し始めると、エアサスペンションシステムは車体を水平とするように再度車高を調整するが、車高調整が完了するまでの間は右上がりの姿勢となってしまう。
【0016】
本実施形態の車両用サスペンション装置1−1は、エアサスペンションシステムによる車高調整によって目標の姿勢を実現するまでの間、アクティブスタビライザによって車両の姿勢を補正する。これにより、エアサスペンションシステムによる車高調整中も適正な車高および車両姿勢を保持することが可能となる。よって、本実施形態の車両用サスペンション装置1−1によれば、エアサスペンションシステムによる車両姿勢の調整中における車両の左右方向の傾斜を抑制することができる。
【0017】
図4に示す車両用サスペンション装置1−1は、前輪アクティブスタビライザ10、後輪アクティブスタビライザ20、ECU30およびエアサスペンションシステム40を備えている。アクティブスタビライザ10,20は、それぞれロール剛性可変なスタビライザ装置であり、車両100に対してロール方向の力を発生することができる。なお、ロール方向とは、車両100の前後方向に沿った軸である前後軸まわりの方向である。例えば、アクティブスタビライザ10,20は、車両100のロールを抑制するアンチロールモーメントを発生させるロール抑制装置としての機能を有する。アクティブスタビライザ10,20は、車両100のロールに対してアンチロールモーメントを発生させることにより車両100のロールを抑制する。アンチロールモーメントの目標値は、例えば、横G、ヨーレート、車速および操舵角等に基づいて算出される。
【0018】
前輪アクティブスタビライザ10は、車両100の左前輪と右前輪とを接続しており、車両100の少なくとも前部に対してロール方向の力を発生することができる。前輪アクティブスタビライザ10は、スタビライザバー部材11,12およびアクチュエータ13を有する。スタビライザバー部材11,12は、車体によって支持されている。スタビライザバー部材11は、アクチュエータ13と右前輪を保持する保持部材80FRとを接続する。また、スタビライザバー部材12は、アクチュエータ13と左前輪を保持する保持部材80FLとを接続する。
【0019】
スタビライザバー部材11,12は、それぞれ車幅方向に延在するトーションバー部11a,12aと、トーションバー部11a,12aと一体に形成され、車両前後方向に延在するアーム部11b,12bとを有する。アーム部11bにおけるトーションバー部11a側と反対側の端部は、右前輪を保持する保持部材80FR、例えばロワアームに接続されている。また、アーム部12bにおけるトーションバー部12a側と反対側の端部は、左前輪を保持する保持部材80FL、例えばロワアームに接続されている。
【0020】
アクチュエータ13は、右前輪側のスタビライザバー部材11と左前輪側のスタビライザバー部材12との相対的なねじれ量を制御する。アクチュエータ13は、固定子および回転子を有する電動式のモータを備えている。スタビライザバー部材11,12の一方がモータの固定子側に、他方がモータの回転子側に接続されている。従って、モータの回転量を制御することによってスタビライザバー部材11とスタビライザバー部材12との相対回転量を制御することができる。
【0021】
車両100のロールによってスタビライザバー部材11,12に捻り力が作用するときに、アクチュエータ13によってこの捻り力による捻り方向と反対方向にスタビライザバー部材11,12を相対回転させることで、車両100の前部に対してロール方向の力を発生させ、ロールモーメントに対抗するアンチロールモーメントを発生させることができる。そして、モータ力によってアクチュエータ13の回転量を変化させることで、左右のスタビライザバー部材11,12の相対回転量を変化させれば、ロール抑制力としてのアンチロールモーメントが変化し、車体のロールをアクティブに抑制することが可能となる。
【0022】
なお、ここでいうアクチュエータ13の回転量とは、車両100が平坦路に水平な姿勢で静止している状態を基準状態としてその基準状態でのアクチュエータ13の回転位置を中立位置とした場合において、その中立位置からの回転量、つまり、動作量を意味する。したがって、アクチュエータ13の回転量が大きくなるほど、アクチュエータ13の回転位置が中立位置から離れ、スタビライザバー部材11,12の捻り反力、つまり、ロール抑制力も大きくなる。
【0023】
後輪アクティブスタビライザ20は、車両100の左後輪と右後輪とを接続しており、車両100の少なくとも後部に対してロール方向の力を発生することができる。後輪アクティブスタビライザ20は、前輪アクティブスタビライザ10と同様の構成要素を備えるものであり、スタビライザバー部材21,22およびアクチュエータ23を有する。スタビライザバー部材21,22は、それぞれトーションバー部材21a,22aと、アーム部21b,22bとを有し、車体によって支持されている。スタビライザバー部材21は、アクチュエータ23と右後輪を保持する保持部材80RRとを接続している。スタビライザバー部材22は、アクチュエータ23と左後輪を保持する保持部材80RLとを接続している。アクチュエータ23は、モータ力によって左右のスタビライザバー部材21,22の相対回転量を変化させることにより、車両100の後部に対してロール方向の力を発生させ、後輪側のロール抑制力を変化させる。このように、アクティブスタビライザ10,20は、左右のスタビライザバー部材間の捻り角を可変に制御可能な可変捻り角スタビライザである。
【0024】
エアサスペンションシステム40は、エアばね41(41FR、41FL、41RR、41RL)、フィルタ42、コンプレッサ43、モータ44、チェック弁45,46、オリフィス47、ドライヤ48、高圧タンク49、排気バルブ50、低圧タンク51、ハイトコントロールバルブ52(52FR、52FL、52RR、52RL)、エア配管53および排出配管54を備える。なお、エアばね41およびハイトコントロールバルブ52において、添字FRは右前輪、FLは左前輪、RRは右後輪、RLは左後輪に係る構成要素をそれぞれ示すものとする。
【0025】
エアばね41は、車両100を支持するエアサスペンションであり、かつ車両100の車高を調整する車高調整機能を有している。
【0026】
エアばね41は、ショックアブソーバ60と共に設けられている。ショックアブソーバ60は、外筒61と、ピストンロッド62とを有する。外筒61は中空円筒形状であって、内部に作動流体、例えばオイルが封入されている。ピストンロッド62は、外筒61の内部に配置されて外筒61の内壁面に沿って摺動するピストン部を有している。外筒61の内部は、ピストン部によってピストン上室とピストン下室とに仕切られている。ピストン部には、ピストン上室とピストン下室とを連通する連通路が形成されている。外筒61の下端は、車輪を保持する保持部材80(80FR,80FL,80RR,80RL)によってブシュ63を介して支持されている。
【0027】
エアばね41は、車体側外殻部材41a、車輪側外殻部材41bおよびローリングダイアフラム41cを有する。車体側外殻部材41aは、ピストンロッド62に連結されており、ピストンロッド62と共にショックアブソーバ60の軸方向に移動することができる。また、車体側外殻部材41aは、車体90(90FR,90FL,90RR,90RL)を支持している。右前輪に配置されたエアばね41FRの車体側外殻部材41aは、車体90における右前輪側90FRを支持している。同様に、エアばね41FL,41RR,41RLは、それぞれ車体90における左前輪側90FL、右後輪側90RR、左後輪側90RLを支持している。
【0028】
車輪側外殻部材41bは、ショックアブソーバ60の外筒61に連結されている。すなわち、車輪側外殻部材41bは、外筒61を介して車輪を保持する保持部材80によって支持されている。右前輪のエアばね41FRの車輪側外殻部材41bは、右前輪を保持する保持部材80FRによって支持されている。同様に、エアばね41FL,41RR,41RLの車輪側外殻部材41bは、それぞれ左前輪を保持する保持部材80FL、右後輪を保持する保持部材80RR、左後輪を保持する保持部材80RLによって支持されている。
【0029】
ローリングダイアフラム41cは、車体側外殻部材41aと車輪側外殻部材41bとを接続している。車体側外殻部材41a、ローリングダイアフラム41cおよび車輪側外殻部材41bによって、空気室41dが形成されている。各エアばね41FR,41FL,41RR,41RLの空気室41dには、エア配管53が接続されている。
【0030】
エア配管53には、コンプレッサ43が設けられている。コンプレッサ43は、モータ44の動力によって駆動されて作動気体としての空気を圧縮する。コンプレッサ43は、フィルタ42を介して吸入した空気を圧縮して各エアばね41に向けて吐出する。エア配管53における各エアばね41とコンプレッサ43との間には、コンプレッサ43に近い側から順に、チェック弁45、チェック弁46およびオリフィス47、ドライヤ48が設けられている。チェック弁45は、コンプレッサ43から各エアばね41に向かう空気の流れを許容し、各エアばね41からコンプレッサ43に向かう空気の流れを規制する逆止弁である。チェック弁46およびオリフィス47は、並列に設けられている。チェック弁46は、チェック弁45と同様に、コンプレッサ43から各エアばね41に向かう空気の流れを許容し、これと逆向きの空気の流れを規制する。ドライヤ48は、コンプレッサ43から吐出された空気に含まれる水分を除去する。
【0031】
各エアばね41には、ハイトコントロールバルブ52がそれぞれ配置されている。ハイトコントロールバルブ52は、エア配管53におけるコンプレッサ43と各エアばね41との空気の流路を開閉するものである。例えば、右前輪のハイトコントロールバルブ52FRは、エアばね41FRの空気室41dとコンプレッサ43との間の空気の流路を開閉する。コンプレッサ43の作動時に右前輪のハイトコントロールバルブ52FRが流路を開放すると、コンプレッサ43から吐出された空気が右前輪のエアばね41FRの空気室41dに流入する。これにより、右前輪の車体側外殻部材41aは、上側に向けて車輪側外殻部材41bに対して相対移動する。つまり、車体側外殻部材41aと車輪側外殻部材41bとはショックアブソーバ60の軸方向において離間する方向に相対移動する。その結果、車体90における右前輪側90FRは、右前輪の接地面に対して離間する。つまり、車体90の右前部の車高が増加する。
【0032】
他のエアばね41についても同様であり、エア配管53に圧縮空気が供給されている状態でエアばね41FL、41RR、41RLのハイトコントロールバルブ52FL、52RR、52RLが開かれると、車体90における左前部90FL、右後部90RR、左後部90RLの車高がそれぞれ増加する。
【0033】
なお、エア配管53におけるドライヤ48よりも各エアばね41側には、高圧タンク49が接続されている。高圧タンク49は、コンプレッサ43から吐出された圧縮空気を蓄えるアキュムレータとしての機能を有する。高圧タンク49には、エア配管53との間の空気の流路を開閉する図示しない開閉弁が設けられている。開閉弁を開放させることにより、エア配管53の圧縮空気を高圧タンク49に受け入れること、あるいは高圧タンク49内に蓄えた圧縮空気をエア配管53に流出させることが可能である。
【0034】
高圧タンク49の開閉弁は、例えば、エアばね41の空気室41dに空気を供給する際に開かれる。高圧タンク49に予め蓄えられた圧縮空気をエア配管53に流出させることにより、コンプレッサ43をアシストして空気室41dに速やかに圧縮空気を供給することが可能となる。また、車高の調整が完了した後などに、各ハイトコントロールバルブ52を閉じた状態でコンプレッサ43を運転することにより、高圧タンク49に圧縮空気を貯留することが可能である。
【0035】
エア配管53には、排出配管54が接続されている。排出配管54は、エア配管53におけるチェック弁45とチェック弁46との間に接続されている。排出配管54は、エア配管53と低圧タンク51とを接続している。低圧タンク51は、例えば、大気圧よりも低圧に保たれている。低圧タンク51内の空気は、例えば、コンプレッサ43によって吸引されるようにしてもよい。あるいは、低圧タンク51内の空気を吸引するポンプ等が設けられていてもよい。
【0036】
排出配管54には、排出配管54の空気の流路を開閉する排気バルブ50が設けられている。排気バルブ50が開かれると、エア配管53内の空気が排出配管54を介して低圧タンク51に流出する。低圧タンク51内が大気圧よりも低圧であることから、エア配管53の空気が大気に放出される場合よりも速やかにエア配管53の空気を排出させる積極排気が可能となる。排気バルブ50は、空気室41dに空気が供給されるときには排出配管54を遮断する。なお、排出配管54は、低圧タンク51に接続されることに代えて、大気に対して開放されていてもよい。
【0037】
空気室41d内の空気を排出して車高を下げる場合、コンプレッサ43が停止され、かつ排気バルブ50およびハイトコントロールバルブ52が開かれる。このとき、高圧タンク49の開閉弁は閉じられる。ハイトコントロールバルブ52および排気バルブ50が開かれることで、各空気室41d内の空気は、エア配管53に排出され、排出配管54を介して低圧タンク51に流入する。空気室41d内の空気が排出されることで、車体側外殻部材41aは、下側に向けて車輪側外殻部材41bに対して相対移動する。つまり、車体側外殻部材41aと車輪側外殻部材41bとはショックアブソーバ60の軸方向において互いに接近する方向に相対移動する。従って、エア配管53に圧縮空気が供給されておらず、かつ排気バルブ50が開かれた状態でエアばね41FR、41FL、41RR、41RLのハイトコントロールバルブ52FR、52FL、52RR、52RLが開かれると、それぞれ車体90の右前部90FR、左前部90FL、右後部90RR、左後部90RLの車高が減少する。
【0038】
前輪アクティブスタビライザ10、後輪アクティブスタビライザ20およびエアサスペンションシステム40は、それぞれECU30によって制御される。ECU30は、例えばコンピュータを有する電子制御ユニットである。前輪アクティブスタビライザ10のアクチュエータ13および後輪アクティブスタビライザ20のアクチュエータ23は、それぞれECU30に接続されており、ECU30によって制御される。また、エアサスペンションシステム40のモータ44、排気バルブ50、高圧タンク49および各ハイトコントロールバルブ52(52FR、52FL、52RR、52RL)はそれぞれECU30に接続されており、ECU30によって制御される。なお、ECU30は、更に、ショックアブソーバ60の減衰力制御を行うことができる。例えば、ECU30は、ピストンロッド62のピストン部における連通路の流路面積を調節することで、ピストンロッド62が軸方向に移動するときの減衰力を制御することができる。
【0039】
ECU30には、車両100の走行状態を検出するセンサ70が接続されている。本実施形態では、横Gセンサ71、ヨーレートセンサ72、車速センサ73、舵角センサ74および車高センサ75がECU30に接続されている。
【0040】
横Gセンサ71は、車両100に発生する車両の幅方向(左右方向)の加速度である横Gを検出することができる。ヨーレートセンサ72は、車両100のヨーレートを検出することができる。車速センサ73は、車両100の走行速度を検出することができる。舵角センサ74は、運転者によって操作されるステアリングホイールの操作量(操舵角)を検出することができる。車高センサ75は、車両100の車高を検出することができる。車高センサ75は、各車輪に対応してそれぞれ配置されている。車高センサ75は、車輪近傍における車高、すなわち車輪が接地する路面に対する車体90の高さ位置を検出することができる。例えば、左前輪に配置された車高センサ75は、左前輪が接地する路面に対する車体90の左前輪側90FLの高さ位置を検出する。各センサ71,72,73,74,75の検出結果を示す信号は、それぞれECU30に出力される。なお、ECU30は、電源回路76から供給される電力によって作動する。
【0041】
ECU30は、各車輪のエアばね41を制御することにより、各車輪の車高を他の車輪の車高と独立して増減させることが可能である。例えば、ECU30は、右側車輪のエアばね41の空気室41d内の空気量と、左側車輪のエアばね41の空気室41d内の空気量とを異ならせることによって、車両100における幅方向の一方側の車高と他方側の車高とを異なる車高に調節することが可能である。また、ECU30は、乗員や積載量にかかわらず一定の車高を保持するオートレベリング制御を実行することができる。オートレベリング制御は、例えば、各車高センサ75によって検出された各車輪の車高に基づいて、一定の車高を保持するようにエアサスペンションシステム40を制御するものである。
【0042】
ECU30は、路面の状態に基づいてエアばね41によって左右の車高を調節することができる。例えば、路面が左右方向に傾斜している場合や、左右の一方の車輪が縁石に乗り上げた場合、左右輪の荷重の不均等により車体90が左右に傾斜する。一例として、左前輪および左後輪の2輪が縁石に乗り上げて停車した場合、右車輪の荷重が左車輪の荷重よりも大きくなり、車体90が右に傾斜する。この場合、ECU30は、左前輪のエアばね41FLおよび左後輪のエアばね41RLによって車両左側の車高を低くすること、あるいは右前輪のエアばね41FRおよび右後輪のエアばね41RRによって車両右側の車高を高くすることの少なくともいずれか一方により、車体90の左右の傾斜を抑制する。
【0043】
ECU30は、例えば、車体90を路面と平行にするように車高の制御を行う。このように、ECU30は、路面の状態に基づいてエアばね41によって左右の車高を異ならせる車高調整を行うことができる。ここで、路面の状態には、縁石等の道路上の構造物、路面の凹凸、路面の傾斜など、左右の車輪の接地面の鉛直方向における高さ位置を異ならせるものが含まれる。
【0044】
このように路面の状態に応じて左右の車高を異ならせて停車した状態から走行を開始し、平坦路に戻って左右荷重の不均等が解消したり、左右荷重の不均等が軽減されたりすると、左右の車高差により車両姿勢が傾いてしまうことがある。車両用サスペンション装置1−1は、停止時の路面の状態に応じてエアばね41によって変更した左右の車高差を、発進後の走行路面状態に応じて変更する。例えば、路面の傾斜が停止時とは異なるものに変化すると、変化後の路面の傾斜に応じてエアばね41による車高調整を実施する。このときに、車両姿勢を水平に調節するべくエアばね41による車高調整を行うにしても、エアばね41に対する給排気にはある程度の時間を要する。このため、車高調整が完了するまでの間、車体90が左右に傾斜した状態での走行を余儀なくされる。このように車体90が傾斜した状態で走行すると、運転者に対して違和感を与える。
【0045】
本実施形態の車両用サスペンション装置1−1は、路面の状態に応じてエアばね41によって左右の車高を異ならせて停車した状態から発進するとき、あるいは発進した後に、走行路面状態に応じて左右車高差を変更するときに、エアばね41による車高調整のみならず、アクティブスタビライザ10,20が発生するロール方向の力によって車両100の左右の傾斜を抑制する。これにより、走行中の車両100の傾斜を抑制し、ドライバビリティを向上させることができる。
【0046】
ECU30は、例えば、左右のうち相対的に車高が高くなっている側の車高を低減させ、かつ相対的に車高が低くなっている側の車高を増加させるように、アクティブスタビライザ10,20を制御する。これにより、エアばね41による車高調整によって路面状態に応じた目標の車両姿勢を実現できるようになるまでの過渡状態における車両100の傾斜を抑制することができる。
【0047】
図1から図3を参照して、本実施形態の制御について説明する。図1に示す制御フローは、例えば、車両100のシステム作動中に実行されるものであり、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0048】
まず、ステップS1では、ECU30により、停車中であるか否かが判定される。ECU30は、例えば、車速センサ73の検出結果に基づいてステップS1の判定を行う。なお、車速が0である場合に限らず、車速が予め定められた所定車速以下である場合に停車中であると判定されるようにしてもよい。ステップS1の判定の結果、停車中であると判定された場合(ステップS1−Y)にはステップS2に進み、そうでない場合(ステップS1−N)にはステップS5に進む。
【0049】
ステップS2では、ECU30により、車高左右差が大であるか否かが判定される。ステップS2では、車両100が左右に傾斜した状態で停車しているか否かが判定される。ECU30は、車高センサ75の検出結果に基づいてステップS2の判定を行うことができる。ECU30は、例えば、車体90の左側の車高と右側の車高との車高差である車高左右差が予め定められた閾値以上である場合にステップS2で肯定判定を行う。ここで、車高左右差には、例えば、左前輪の車高と右前輪の車高との差分、左後輪の車高と右後輪の車高との差分、左側前後輪の車高の平均値と右側前後輪の車高の平均値との差分等が含まれてもよい。一例として、ECU30は、前輪の車高左右差および後輪の車高左右差がそれぞれ閾値以上であるときにステップS2で肯定判定を行う。
【0050】
なお、前輪の車高左右差と後輪の車高左右差との差分が大きい場合にステップS2において肯定判定がなされるようにしてもよい。また、車高左右差に代えて、あるいは車高左右差に加えて、アクティブスタビライザ10,20の捻れ角に基づいてステップS2の判定がなされてもよい。
【0051】
ステップS2の判定の結果、車高左右差が大であると判定された場合(ステップS2−Y)にはステップS3に進み、そうでない場合(ステップS2−N)にはステップS4に進む。
【0052】
ステップS3では、ECU30により、車高目標値が補正される。車高目標値は、目標とする車両姿勢に基づいて定められる各車輪の車高の目標値である。本実施形態において目標とされる車両姿勢は、車高調整を行わない場合よりも車両100の傾斜を緩和するものである。快適性の観点からは、車体90を路面に対して平行(あるいは水平姿勢)とするように車高調整を行うことが好ましいとも考えられるが、このように車高調整をしきってしまうと、その後に走行して平坦路に戻った場合の車高調整量が大きなものとなってしまう。
【0053】
本実施形態では、車体90の傾斜を緩和することによる快適性の確保と、走行開始後の車体90の傾斜の抑制とを両立できるように、目標とする車両姿勢が定められる。目標車高は、例えば、車高左右差を初期の車高左右差の半分とし、かつ左右の車高の平均が標準車高となるように定められる。標準車高は、例えば、平坦路において停車あるいは走行するときの標準的な目標車高であり、予め定められている。このように路面状態に基づく車高調整を抑制することによって、走行開始後に平坦路に戻ったときの車高の再調整代を小さくすることができる。ステップS3で車高目標値が決定されると、ステップS4に進む。
【0054】
ステップS4では、ECU30により、エアばね41による車高制御が実施される。ステップS3からステップS4に進んだ場合、ECU30は、ステップS3で決定された車高目標値に基づいて、各車輪のエアばね41を制御する。これにより、路面状態に基づいた目標とする車両姿勢が実現される。また、ステップS2で否定判定がなされてステップS4に進んだ場合、ECU30は、エアばね41による車高制御を実施する。この場合、ECU30は、車体90を路面に対して平行(あるいは水平姿勢)とするように車高調整を行ってもよく、車高左右差が十分に小さい場合、路面状態に基づく車高調整を省略するようにしてもよい。ステップS4が実行されると、本制御フローは終了する。
【0055】
ステップS1で否定判定がなされた場合など、ステップS5に進むと、ステップS5では、ECU30により、車高左右差が大であるか否か判定される。ステップS5では、車高左右差が大の状態で走行中であるか否かが判定される。発進後の車高左右差には、走行路面状態が反映されている。ECU30は、例えば、ステップS2と同様にしてステップS5の判定を行うようにしてもよい。
【0056】
なお、ECU30は、ステップS5において、車高調整の過不足に起因して車体90が左右に傾斜しているか否かを判定するようにしてもよい。例えば、車高左右差が大きい場合であっても、路面がある程度傾斜していることにより、水平方向に対する車体90の傾斜がそれほど大きくない場合も考えられる。このような場合、ステップS5において否定判定がなされるようにしてもよい。ステップS5の判定の結果、車高左右差が大であると判定された場合(ステップS5−Y)にはステップS6に進み、そうでない場合(ステップS5−N)にはステップS4に進む。
【0057】
ステップS5で否定判定がなされてステップS4に進むと、ステップS4では、ECU30により、エアばね41による車高制御が実施される。ECU30は、車体90を路面に対して平行(あるいは水平姿勢)とするように車高調整を行ってもよく、車高左右差が十分に小さい場合、路面状態に基づく車高調整を省略するようにしてもよい。ステップS4が実行されると、本制御フローは終了する。
【0058】
ステップS6では、ECU30により、所定車高制御が実施される。所定車高制御は、エアばね41による車高調整、およびアクティブスタビライザ10,20が発生するロール方向の力によって車両100の左右の傾斜を抑制する制御である。左右の車高を異ならせて停車した状態から発進して走行を開始し、左右輪の分担荷重が均等になると、車体90が左右に傾く。この車体90の左右の傾斜に対して、ステップS6において所定車高制御がなされる。
【0059】
本実施形態では、所定車高制御として、第一車高制御あるいは第二車高制御が実行される。第一車高制御は、左右のエアばね41を連通することによって車体90の左右の車高差を低減させるものである。ECU30は、前後別々にエアばね41を左右連通させることにより車体90の傾斜を解消する。ただし、左右のエアばね41を連通することにより一時的にロール剛性が低下するので、その分アクティブスタビライザ10,20の発生力を増して補完する。これにより、ロール剛性を維持しつつ車高左右差を解消することが可能となる。
【0060】
第二車高制御は、左右の各エアばね41に対する給排気によって左右の車高差を低減させるものである。第二車高制御では、第一車高制御と異なり、左右のエアばね41を連通させることなく1輪ごとにエアを給排して車高調整がなされる。ECU30は、各車輪のエアばね41に対するエアの給排がなされて車高調整が完了するまでの間、アクティブスタビライザ10,20にアクティブ力を発生させ、車体90の傾斜を抑制する。ECU30は、エアサスペンションシステム40による車高調整の進展に伴い、アクティブスタビライザ10,20の発生力を漸減させていく。車高が標準車高となって車高左右差が解消され、アクティブスタビライザ10,20の発生力が0となると、車高調整終了とされる。
【0061】
まず、図2を参照して、第一車高制御について説明する。ステップS11では、ECU30により、左右のエアばね41が連通される。ECU30は、前輪の車高左右差を解消させる場合、右前輪のエアばね41FRの空気室41dと左前輪のエアばね41FLの空気室41dとを連通する。具体的には、ECU30は、排気バルブ50を閉じ、かつ右前輪のハイトコントロールバルブ52FRおよび左前輪のハイトコントロールバルブ52FLにそれぞれ空気の流路を開放させる。これにより、右前輪のエアばね41FRの空気室41dと左前輪のエアばね41FLの空気室41dとが連通し、車高左右差を解消するように一方の空気室41dから他方の空気室41dに空気が移動する。
【0062】
例えば、それまで左前輪のエアばね41FLを収縮させる車高調整がなされていた場合、右前輪の空気室41dと左前輪の空気室41dとが連通すると、右前輪の空気室41dから左前輪の空気室41dへ空気が移動する。また、ECU30は、後輪の車高左右差を解消させる場合、右後輪のエアばね41RRの空気室41dと左後輪のエアばね41RLの空気室41dとを連通する。前輪の空気室41dが左右連通されること、および後輪の空気室41dが左右連通されることにより、車高左右差が減少し、車高左右差が解消される。
【0063】
前輪の車高左右差の解消と、後輪の車高左右差の解消のいずれを先に行うかは、任意である。例えば、前輪の車高左右差あるいは後輪の車高左右差のいずれか大きい方の車高左右差を先に解消するようにしてもよい。ステップS11が実行されると、ステップS12に進む。
【0064】
ステップS12では、ECU30により、アクティブスタビライザ10,20によるロール剛性の補完がなされる。ステップS11で左右の空気室41dが連通されると、一時的にロール剛性が低下する。例えば、前輪の左右の空気室41dが連通されると、連通がなされている間は連通がなされていないときよりも前輪のロール剛性が低下する。この場合、ECU30は、前輪アクティブスタビライザ10の発生力を増加させる。これにより、前輪の空気室41d同士を連通することによるロール剛性の低下が前輪アクティブスタビライザ10によって補われる。一方、後輪の左右の空気室41dを連通する場合、ECU30は、後輪アクティブスタビライザ20の発生力を増加させる。これにより、後輪の空気室41d同士を連通することによるロール剛性の低下が後輪アクティブスタビライザ20によって補われる。ステップS12が実行されると、本制御フローは終了し、図1のステップS5に移行する。
【0065】
次に、図3を参照して、第二車高制御について説明する。ステップS21では、ECU30により、アクティブスタビライザ10,20によって車高左右差が解消される。ECU30は、例えば、ステップS5の判定対象として検出された車高左右差に基づき、この車高左右差を減少させるように前輪アクティブスタビライザ10の発生力および後輪アクティブスタビライザ20の発生力をそれぞれ決定する。
【0066】
一例として、ECU30は、車体90を水平姿勢とするように、アクティブスタビライザ10、20の発生力を決定する。ECU30は、例えば、前輪の車高左右差に基づいて前輪アクティブスタビライザ10の目標発生力を定め、後輪の車高左右差に基づいて後輪アクティブスタビライザ20の目標発生力を定める。ECU30は、決定した目標発生力に基づいて、アクティブスタビライザ10,20を制御する。ステップS21が実行されると、ステップS22に進む。
【0067】
ステップS22では、ECU30により、アクティブスタビライザ10,20の発生力が漸減される。ECU30は、アクティブスタビライザ10,20の発生するロール方向の力を段階的に、あるいは連続的に減少させる。ECU30は、例えば、車高センサ75の検出結果に基づいてエアばね41による車高調整の進行に応じてアクティブスタビライザ10,20の発生力を漸減させるようにしてもよく、時間の経過に伴いアクティブスタビライザ10,20の発生力を漸減させるようにしてもよい。ステップS22が実行されると、ステップS23に進む。
【0068】
ステップS23では、ECU30により、エアサスペンションシステム40による車高制御において左右差解消を優先させる。ECU30は、例えば、他の車高制御による要求に対して、第二車高制御による車高制御を優先させる。例えば、車速に基づく車高制御を実行可能な車両において、車速に基づく車高の調整よりも第二車高制御による車高左右差の解消を優先して実行する。ECU30は、複数の車高制御の要求が重なる場合には、各車高制御間の調停を行い、第二車高制御を優先する。ステップS23が実行されると、ステップS24に進む。
【0069】
ステップS24では、ECU30により、アクティブスタビライザ10,20の発生力が0であるか否かが判定される。ステップS24では、車高左右差が解消されたか否かが判定される。ECU30は、例えば、車高左右差を解消するためのアクティブスタビライザ10,20の発生力が0であるか否かを判定する。すなわち、ECU30は、車両100が旋回している場合に発生させるアンチロールモーメントなどを除いたアクティブスタビライザ10,20の発生力が0である場合、ステップS24で肯定判定を行う。ステップS24の判定の結果、アクティブスタビライザ10,20の発生力が0であると判定された場合(ステップS24−Y)には本制御フローは終了して図1のステップS5に移行し、そうでない場合(ステップS24−N)にはステップS22へ移行する。
【0070】
本実施形態の車両用サスペンション装置1−1によれば、非平坦路面に停車中の車高制御において、車体90の姿勢を水平まで補正しない範囲で左右の車高調整がなされる。非平坦路面での過度な車高制御を抑制することにより、平坦路に戻ったときの車体90の傾斜および当該傾斜を解消するための車高制御量を低減させることができる。
【0071】
また、第一車高制御あるいは第二車高制御によって、エアサスペンションシステム40による車高調整中の車両姿勢を水平に保つことが可能となる。よって、車体90の傾斜による見栄えの低下や乗心地の低下、操縦安定性の低下が抑制される。
【0072】
エアサスペンションシステム40による車高・車両姿勢の調整には時間がかかるが、調整完了後は動力を必要としないという利点がある。一方、アクティブスタビライザ10,20は、瞬時に車両姿勢を変更できるが、車両姿勢を維持するためには継続的に動力を必要とする。本実施形態によれば、エアサスペンションシステム40およびアクティブスタビライザ10,20のそれぞれの長所を活かして車体90の左右の傾斜を抑制し、車両姿勢を適正に制御することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、第一車高制御における左車輪の空気室41dと右車輪の空気室41dとの連通が、エア配管53を介してなされたが、これには限定されない。例えば、左車輪の空気室41dと右車輪の空気室41dとを接続する連通配管をエア配管53とは独立して設けておき、更に、連通配管を開閉する開閉弁を設けて、第一車高制御において連通配管を介して左右の空気室41d,41dを連通させるようにしてもよい。前輪側あるいは後輪側の少なくともいずれか一方に連通配管を配置すれば、前輪の車高左右差の解消と後輪の車高左右差の解消とを同時に行うことができる。
【0074】
また、本実施形態の車両用サスペンション装置1−1は、エアばね41に代えて、他の公知の車高制御装置を備えていてもよい。車高制御装置による車高制御をアクティブスタビライザ10,20によってアシストすることにより、車両100の左右の傾斜を適切に抑制することができる。
【0075】
本実施形態のアクティブスタビライザ10,20のアクチュエータ13,23は、電動のモータによってロール方向の力を発生させたが、ロール方向の力を発生させる駆動源は、電動モータには限定されない。
【0076】
ステップS6において第一車高制御を実施するか第二車高制御を実施するかを条件に応じて選択するようにしてもよい。例えば、車高左右差、車速、操舵角、ヨーレート、横G等に基づいて第一車高制御あるいは第二車高制御を選択的に実施するようにしてもよい。
【0077】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0078】
1−1 車両用サスペンション装置
10 前輪アクティブスタビライザ
20 後輪アクティブスタビライザ
30 ECU
40 エアサスペンションシステム
41(41FR、41FL、41RR、41RL) エアばね
41d 空気室
90(90FR,90FL,90RR,90RL) 車体
100 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左車輪および右車輪にそれぞれ設けられたエアばねと、
前記左車輪と前記右車輪とを接続し、車両に対してロール方向の力を発生するアクティブスタビライザと、
を備え、
停止時の路面の状態に応じて前記エアばねによって変更した左右の車高差を、発進後の走行路面状態に応じて変更するときに、前記エアばねによる車高調整、および前記アクティブスタビライザが発生するロール方向の力によって前記車両の左右の傾斜を抑制する
ことを特徴とする車両用サスペンション装置。
【請求項2】
前記エアばねによる車高調整として、前記左車輪のエアばねおよび前記右車輪のエアばねのそれぞれに対して給排気を行う
請求項1に記載の車両用サスペンション装置。
【請求項3】
前記エアばねによる車高調整の進行に応じて前記アクティブスタビライザが発生するロール方向の力を低減させる
請求項1または2に記載の車両用サスペンション装置。
【請求項4】
前記エアばねによる車高調整として、前記左車輪のエアばねの空気室と前記右車輪のエアばねの空気室とを連通する
請求項1に記載の車両用サスペンション装置。
【請求項5】
前記空気室同士を連通することによるロール剛性の低下を前記アクティブスタビライザによって補う
請求項4に記載の車両用サスペンション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−1225(P2013−1225A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133536(P2011−133536)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】