説明

車両用スマートエントリー(R)システム

【課題】車両用スマートエントリー(R)システムにおいて、携帯用送受信機を車内に置き忘れた場合に、車両のユーザ以外の者が、その車内に置き忘れた携帯用送受信機のキーを用いてエンジンの始動を行って、その車両を持ち逃げすることを抑制する。
【解決手段】ドアのロック時の室内送信アンテナのリクエスト信号に対して、トランスミッタのトランスミッタID信号が返信され且つIDコードの認証が得られた場合には、そのトランスミッタが車室内に置き忘れられているとして、警報ランプ、車内警報ブザー及び車外ブザーによって警報を行うとともに、メモリに登録されている、該車室内に置き忘れたトランスミッタのIDコード及びこれに対応するトランスポンダのIDコードを無効化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スマートエントリー(R)システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯機からのID信号を車載機で受信して、該ID信号に含まれるIDコードの認証が得られれば、車両のドアのアンロックやエンジンの始動等を許容するようにしたスマートエントリー(R)システムは知られている。
【0003】
詳しくは、上記スマートエントリー(R)システムは、例えば特許文献1に開示されるように、乗員の車外からのドアのアンロック操作時において、車載機からリクエスト信号が車外に送信されると、それに対して携帯機からIDコードを含むID信号が送信され、該ID信号を受信した車載機のスマートキーレス(R)制御ユニットによってIDの認証が行われる。そして、上記IDの認証が成立すれば、すなわちID信号中のIDコードがスマートキーレス(R)制御ユニットに登録されているIDコードと一致すれば、該スマートキーレス(R)制御ユニットがドアのアンロックを許可する信号を出力し、ドアのアンロックが行われるようになっている。
【0004】
また、上記スマートエントリー(R)システムは、乗員のエンジン始動操作時において、車載機からリクエスト信号が車内に送信されると、それに対して携帯機からID信号が送信され、該ID信号を受信した車載機のスマートキーレス(R)制御ユニットによってIDの認証が行われる。そして、上記IDの認証が成立すれば、該スマートキーレス(R)制御ユニットがエンジンの始動を許可する信号を出力し、乗員の操作に応じてエンジンの始動が行われるようになっている。
【0005】
さらに、上記スマートエントリー(R)システムは、ドアのロック時において携帯機を車室内に置き忘れているときに、その車室内に置き忘れた携帯機のIDコードを無効化したり、車外からのドアのアンロック操作時において、上記IDの認証が成立すれば、無効化された携帯機のIDコードの無効化を解除したりするようになっている。
【0006】
詳しくは、上記スマートエントリー(R)システムは、ドアのロック時において、車載機からリクエスト信号が車内に送信されると、それに対して携帯機からID信号が送信され、該ID信号を受信した車載機のスマートキーレス(R)制御ユニットによってIDの認証が行われる。そして、上記IDの認証が成立すれば、携帯機が車室内に置き忘れられているとして、その旨が警報されるとともに、該車室内に置き忘れた携帯機のIDコードが無効化されるようになっている。この無効化後、乗員のエンジン始動操作時において、該携帯機のIDコードの認証が得られても、エンジン始動を許可しないようになっている。それから、上記無効化後、車外からのドアのアンロック操作時において、上記IDの認証が成立すれば、無効化された携帯機のIDコードの無効化が解除されるようになっている。この無効化の解除後、乗員のエンジン始動操作時において、該携帯機のIDコードの認証が得られれば、エンジン始動を許可するようになっている。
【特許文献1】特開2003−148019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、携帯機を車室内に置き忘れた場合には、その携帯機のIDコードが無効化されるものの、携帯機は、一般的に、トランスポンダ及びキーを持っており、車両泥棒が、その車室内に置き忘れた携帯機のキーを用いてエンジンの始動を行って、その車両を持ち逃げするおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、携帯用送受信機からのID信号を車載受信機で受信して、該ID信号に含まれるIDコードの認証が得られれば、車両のドアのアンロックやエンジンの始動をするようにした車両用スマートエントリー(R)システムにおいて、携帯用送受信機を車内に置き忘れた場合に、車両のユーザ以外の者が、その車内に置き忘れた携帯用送受信機のキーを用いてエンジンの始動を行って、その車両を持ち逃げすることを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、リクエスト信号を無線送信する車載送信機と、上記リクエスト信号を受信したときにID信号を無線送信し、トランスポンダ及びキーを有する携帯用送受信機と、上記ID信号を受信する車載受信機と、上記トランスポンダのIDを読み取る車載読取り手段と、上記携帯用送受信機のIDと上記トランスポンダのIDとを記憶する記憶手段と、少なくとも、車外からのドアのアンロック操作の検出時に、上記車載送信機に上記リクエスト信号を車外に送信させて、該リクエスト信号に対して、上記携帯用送受信機からのID信号を上記車載受信機で受信しかつそのIDと上記記憶手段に記憶された携帯用送受信機のIDとが一致するとの認証が成立したときに、上記ドアのアンロックを行うドア制御手段と、車内のエンジン始動スイッチの操作時に、上記車載送信機に上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、上記携帯用送受信機からのID信号を上記車載受信機で受信しかつそのIDと上記記憶手段に記憶された携帯用送受信機のIDとが一致するとの認証が成立したとき、又は上記キーによるエンジン始動操作時に、上記車載読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDと上記記憶手段に記憶されたトランスポンダのIDとが一致するとの認証が成立したときに、エンジンの始動を行うエンジン制御手段と、ドアのロック時に、上記車載送信機に上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、上記携帯用送受信機からのID信号を上記車載受信機で受信しかつそのIDと上記記憶手段に記憶された携帯用送受信機のIDとが一致するとの認証が成立したときに、その後の上記エンジン始動スイッチの操作時における該携帯用送受信機のIDの認証を無効化する無効化制御手段とを備えた車両用スマートエントリー(R)システムであって、上記記憶手段は、上記携帯用送受信機のIDと上記トランスポンダのIDとを対応付けて記憶するように構成されており、上記無効化制御手段は、上記ドアのロック時に車内に送信させたリクエスト信号に対して、上記携帯用送受信機からのID信号を受信しかつそのIDの認証が成立したときには、上記無効化するとともに、その後の上記キーによるエンジン始動操作時における該携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDの認証も無効化するように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
尚、「エンジン始動スイッチの操作時における携帯用送受信機のIDの認証を無効化する」とは、例えば、そのIDの認証が成立してもエンジンの始動を行わなかったり、そのIDを無効化したり、その携帯用送受信機を無効化したり、そのIDの照合を行わなかったりすることによって、エンジン始動スイッチの操作時における携帯用送受信機のIDの認証を無効化することをいう。
【0011】
また、「キーによるエンジン始動操作時におけるトランスポンダのIDの認証を無効化する」とは、例えば、そのIDの認証が成立してもエンジンの始動を行わなかったり、そのIDを無効化したり、そのトランスポンダを無効化したり、そのIDの照合を行わなかったりすることによって、キーによるエンジン始動操作時におけるトランスポンダのIDの認証を無効化することをいう。
【0012】
本発明によれば、ドアのロック時に車内に送信させたリクエスト信号に対して、携帯用送受信機からのID信号を受信しかつそのIDと記憶手段に記憶された携帯用送受信機のIDとが一致するとの認証が成立したときには、無効化制御手段により、その後のエンジン始動スイッチの操作時におけるその携帯用送受信機のIDの認証を無効化するするとともに、その後のキーによるエンジン始動操作時におけるその携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDの認証も無効化する。そのため、携帯用送受信機を車内に置き忘れた場合において、車両のユーザ以外の者(例えば車両泥棒)が車両に乗り込んだとしても、その携帯用送受信機やこれのキーを用いてエンジンの始動を行うことができず、その車両を持ち逃げすることができない。したがって、本車両用スマートエントリー(R)システムのセキュリティ性を向上させることができる。
【0013】
ところで、トランスポンダは、携帯用送受信機とは異なり、電池によって駆動されるものではなく、電池切れのおそれがないものである。また、トランスポンダは、これを車載読取り手段に挿入すると、固有のIDを送信するようになっている。以上のように、トランスポンダは、電池が内蔵されず、さらに、これを車載読取り手段に挿入すると、IDを送信するため、車載読取り手段は、トランスポンダが近距離(例えば、15cm以内)にあるときにのみ、そのトランスポンダのIDを受信できる。ここで、トランスポンダを有する携帯用送受信機を車内に置き忘れた場合、その携帯用送受信機は、上記近距離にないのが殆どであると考えられるため、トランスポンダのIDの認証を、車載読取り手段を用いて無効化することはできない。そこで、本発明者たちは、上述のような車両用スマートエントリーシステムを開発するに至った。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記携帯用送受信機は、該携帯用送受信機のトランスポンダのIDを読み取る携帯機側読取り手段を有していて、少なくとも、上記ドアのロック時に上記リクエスト信号を受信したときには、上記ID信号とともに、該携帯機側読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDも無線送信するように構成されており、上記車載受信機は、上記ID信号とともに、上記トランスポンダのIDも受信するように構成されており、上記無効化制御手段は、上記車載受信機で受信したトランスポンダのIDを上記携帯用送受信機のIDに対応付けて上記記憶手段に記憶させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
これにより、携帯用送受信機は、少なくとも、ドアのロック時にリクエスト信号を受信したときには、ID信号とともに、携帯機側読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDも無線送信する。そして、車載受信機は、その携帯用送受信機からのID信号とともに、トランスポンダのIDも受信する。それから、無効化制御手段により、その車載受信機で受信したトランスポンダのIDを携帯用送受信機のIDに対応付けて記憶手段に記憶させる。そのため、記憶手段にその携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDが記憶されていない場合であっても、記憶手段に、車載受信機で受信した、その携帯用送受信機からのトランスポンダのIDを記憶させることによって、記憶手段にその携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDを容易に記憶させることができる。
【0016】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記無効化制御手段は、上記記憶手段に上記携帯用送受信機のIDに対応する上記トランスポンダのIDが記憶されていない場合において、該携帯用送受信機が車内に存在するときには、上記車載読取り手段に該トランスポンダのIDを読み取らせることを乗員に促すガイダンスを行い、該ガイダンス後に上記車載読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDを上記車内に存在する携帯用送受信機のIDに対応付けて上記記憶手段に記憶させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
これにより、記憶手段に携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDが記憶されていない場合において、その携帯用送受信機が車内に存在するときには、無効化制御手段により、車載読取り手段にそのトランスポンダのIDを読み取らせることを乗員に促すガイダンスを行う。そして、無効化制御手段により、そのガイダンス後に車載読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDをその車内に存在する携帯用送受信機のIDに対応付けて記憶手段に記憶させる。そのため、記憶手段に携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDが記憶されていない場合であっても、その乗員がそのガイダンスに従って車載読取り手段にそのトランスポンダのIDを読み取らせて、記憶手段にその車載読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDを記憶させることによって、記憶手段にその携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDを容易に記憶させることができる。
【0018】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記無効化制御手段は、上記記憶手段に上記携帯用送受信機のIDに対応する上記トランスポンダのIDが記憶されていない場合であっても、該携帯用送受信機を含む複数の携帯用送受信機が車内に存在するときには、上記ガイダンスを行わないように構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
ところで、記憶手段に携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDが記憶されていない場合において、その携帯用送受信機を含む複数の携帯用送受信機が車内に存在するときには、それらのうち、どの携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDが記憶手段に記憶されていないか分からない。そのため、このような場合において、車載読取り手段にそのトランスポンダのIDを読み取らせることを乗員に促すガイダンスを行うと、その乗員が車載読取り手段に誤ったトランスポンダのIDを読み取らせてしまい、その結果、記憶手段にその誤ったトランスポンダのIDを記憶させてしまうおそれがある。
【0020】
ここで、本発明によれば、記憶手段に携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDが記憶されていない場合であっても、その携帯用送受信機を含む複数の携帯用送受信機が車内に存在するときには、無効化制御手段により、車載読取り手段にそのトランスポンダのIDを読み取らせることを乗員に促すガイダンスを行わない。そのため、記憶手段に誤ったトランスポンダのIDを記憶させてしまうことを未然に抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ドアのロック時に車内に送信させたリクエスト信号に対して、携帯用送受信機からのID信号を受信しかつそのIDと記憶手段に記憶された携帯用送受信機のIDとが一致するとの認証が成立したときには、その後のエンジン始動スイッチの操作時におけるその携帯用送受信機のIDの認証を無効化するするとともに、その後のキーによるエンジン始動操作時におけるその携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDの認証も無効化する。そのため、携帯用送受信機を車内に置き忘れた場合において、車両のユーザ以外の者(例えば車両泥棒)が車両に乗り込んだとしても、その携帯用送受信機やこれのキーを用いてエンジンの始動を行うことができず、その車両を持ち逃げすることができない。したがって、本車両用スマートエントリー(R)システムのセキュリティ性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用スマートキーレス(R)システムの全体の構成を示す。このシステムは、乗員が携帯する携帯用送受信機としての複数のトランスミッタ2,…(図1では便宜上1つだけ図示)と、車両1に搭載された車載機3とで構成されている。図2は、車載機3を搭載した車両1の概略図である。図2において、符号1は、車載機3を搭載した車両であって、車両右側に運転席側ドア11aが設けられる一方、車両左側に助手席側ドア11bが設けられると共に、車室内前方に位置するインストゥルメントパネル12の運転席側上部にはメータユニット12aが設けられている。尚、本実施形態の車室内はトランク内も含む。
【0024】
上記各トランスミッタ2は、CPUからなるトランスミッタ制御ユニット22を有する。このトランスミッタ制御ユニット22には、車載機3からのリクエスト信号rを受信する受信アンテナ23と、トランスミッタ2のIDコードを含むトランスミッタID信号i、メカニカルキー29のトランスポンダ29aのIDコードを含むトランスポンダID信号j、ドアロックのためのロック信号L及びドアアンロックのためのアンロック信号Uを無線送信する送信アンテナ24と、トランスミッタ2に収納されたメカニカルキー29に内蔵されたトランスポンダ29aのIDコードを読み取る携帯機側読取り手段としてのトランスポンダリーダ25と、ドアロックする際のスイッチであるロックスイッチ26と、ドアロックを解除する際のスイッチであるアンロックスイッチ27と、トランスミッタ2を所持した乗員に警報を鳴らすブザー28と、が信号の授受可能に接続されている。上記受信アンテナ23が、上記車載機3からのリクエスト信号rを受信すると、この受信信号を受けてトランスミッタ制御ユニット22が、トランスミッタ2のIDコードを含むトランスミッタID信号i、及びトランスポンダリーダ25により読み取られたトランスポンダ29aのIDコードを含むトランスポンダID信号jを送信アンテナ24から送信させる。上記ロックスイッチ26又はアンロックスイッチ27が押圧操作されると、トランスミッタ制御ユニット22がロック信号L又はアンロック信号U及びトランスミッタID信号iを送信アンテナ24から送信させる。
【0025】
また、上記トランスミッタ2には、トランスミッタ2の電池(図示省略)が切れた場合や上記車両用スマートキーレス(R)システムが作動しない場合においてドアロック、ドアアンロック及びエンジン始動を行うためのエマージェンシーキーとしてのメカニカルキー29が着脱自在に収納されている。このメカニカルキー29には、内部アンテナ(図示省略)とIDコードを記憶するIC(図示省略)とが格納されたトランスポンダ29aが内蔵されている。
【0026】
車載機3は、制御手段としての、CPUを有するスマートキーレス(R)制御ユニット4が設けられている。このスマートキーレス(R)制御ユニット4には、車両内の運転席前方に位置するインストゥルメントパネル12の上部に設けられたメータユニット12aと、このメータユニット12aの下側に設けられた、車両1を運転状態にするエンジン始動スイッチとしてのイグニッションスタータ13と、車両1の車速を検出する車速検出センサ14と、車室内に設けられ車両1の各種機器(例えば、パワーウィンドウやオーディオ等)をそれぞれ操作するための各種室内スイッチ15,…と、車室内の運転席前方に設けられメカニカルキー29が挿入されるトランスポンダリーダ(車載読取り手段)としてのキースロット16と、上記運転席側及び助手席側ドア11a,11bそれぞれのドアノブに設けられたドアリクエストスイッチ50,50と、各ドア11a,11bそれぞれのドアノブに設けられメカニカルキー29が挿入されるドアキーシリンダ51,51と、各ドア11a,11bそれぞれに設けられ各ドア11a,11bをロック状態又はアンロック状態に切り換えるドアロックアクチュエータ52,52と、各ドア11a,11bが開き状態にあることを検出するドア開検出センサ53,53と、車両の各ドア11a,11bがロック又はアンロックされていることを検出するドアロック検出センサ54,54と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出センサ55と、上記トランスミッタ2にリクエスト信号rを無線送信するための車載送信機としての室外及び室内送信アンテナ61,62と、インストゥルメントパネル12の上側に設けられた車載受信機としての車載受信アンテナ63と、トランスミッタ2のIDコード、トランスポンダ29aのIDコード及びそれらが有効であるか無効であるかを記憶しておくための記憶手段としてのメモリ70と、車外に警報を鳴らす車外ブザー7と、ECU(エンジン制御ユニット)8と、が信号の授受可能に接続されている。
【0027】
上記メータユニット12aには、車室内の乗員に警報を行う警報ランプ(図示省略)及び車内警報ブザー(図示省略)と、イグニッションスタータ13のキーノブ(図示省略)のロックが解除されたことを通知するキーノブロック解除表示ユニット(図示省略)と、メモリ70に未登録のトランスポンダ29aのIDコードを該メモリ70に登録することを促すトランスポーダID登録表示ユニット(図示省略)とが設けられている。
【0028】
上記イグニッションスタータ13は、そのキーノブが回転操作されることによって、アクセサリOFF、アクセサリON、イグニッションON、イグニッションSTARTの4つの操作を切り換えて行うべく、それぞれに対応した操作信号をスマートキーレス(R)制御ユニット4に供給する。
【0029】
上記室内スイッチ15は、これが操作されることによって、操作信号をスマートキーレス(R)制御ユニット4に供給する。
【0030】
上記キースロット16には、その上部にコイルアンテナ(図示省略)が設けられている。このコイルアンテナは、キースロット16に挿入されたメカニカルキー29のトランスポンダ29からのトランスポンダID信号jを受信し、このトランスポンダID信号jをスマートキーレス(R)制御ユニット4へ供給する。このように、キースロット16は、これに挿入されたメカニカルキー29のトランスポンダ29aのIDコードを読み取って、この読み取ったIDコードをスマートキーレス(R)制御ユニット4へ供給する。
【0031】
上記ドアリクエストスイッチ50は、車室外から押圧操作可能に車両の運転席側及び助手席側ドア11a,11bのドアノブに設けられ、ドアアンロックするとき又はドアロックするときに、その意思表示を行うために使用するものである。また、このドアリクエストスイッチ50は、押圧操作が行われることによってスマートキーレス(R)制御ユニット4にオン信号を供給する。そして、スマートキーレス(R)制御ユニット4は、このオン信号によって、車外からドアアンロック又はドアロック操作が行われたことを検出する。
【0032】
上記ドアロックアクチュエータ52は、スマートキーレス(R)制御ユニット4からのドアロック信号又はドアアンロック信号を受けて、運転席側ドア11a及び/又は助手席側ドア11bをドアロック又はアンロックする。
【0033】
上記ドア開検出センサ53は、運転席側及び助手席側ドア11a,11bが開状態であるか閉状態であるかを識別するためのセンサであって、ドア11a,11bそれぞれに設けられていて、ドア11a(又は11b)が開状態にあるときに、ドア開信号をスマートキーレス(R)制御ユニット4に供給する。
【0034】
上記室外送信アンテナ61は、運転席側及び助手席側ドア11a,11b、リヤエンドパネル11cの3箇所にそれぞれ設けられた、運転席側送信アンテナ61a、助手席側送信アンテナ61b及びリヤエンドパネル送信アンテナ61cからなる。上記室内送信アンテナ62は、助手席の車両前方に位置するインストゥルメントパネル12の車両前方側及び座席の車両後方側の2箇所にそれぞれ設けられたフロント送信アンテナ62a及びリヤ送信アンテナ62bからなる。
【0035】
上記送信アンテナ61a〜61c,62a,62bは、それぞれ、該送信アンテナ61a〜61c,62a,62bを中心に略球状の範囲内にリクエスト信号rを送信するとともに、それらの範囲がオーバーラップするように構成されている。そして、リクエスト信号rは、上記送信アンテナ61a〜61c,62a,62bから順に送信されるようになっている。
【0036】
上記車載受信アンテナ63は、上記トランスミッタ2からのトランスミッタID信号i、トランスポンダID信号j、ロック信号L及びアンロック信号Uを受信し、これらのトランスミッタID信号i、トランスポンダID信号j、ロック信号L及びアンロック信号Uをスマートキーレス(R)制御ユニット4へ供給する。
【0037】
そして、上述のように送信アンテナ61a〜61c,62a,62bを配置することによって、トランスミッタ2が車室内外のどこに位置するかを把握できるようになっている。つまり、室外及び室内送信アンテナ61,62のリクエスト信号r,rのうち、室外送信アンテナ61のリクエスト信号rに対してのみ、トランスミッタ2が返信するトランスミッタID信号iが車載受信アンテナ63によって受信されたときは、トランスミッタ2は運転席側ドア11a近傍の車外、助手席側ドア11b近傍の車外又はリヤエンドパネル11c近傍の車外に存在すると判定することができ、室内送信アンテナ62のリクエスト信号rに対してのみ、トランスミッタ2が返信するトランスミッタID信号iが車載受信アンテナ63によって受信されたときは、トランスミッタ2は車室内に存在すると判定することができる。
【0038】
上記メモリ70には、事前に各トランスミッタ2のIDコードが登録されており、また、各トランスミッタ2のトランスポンダ29aのIDコードが、該各トランスミッタ2のIDコードと対応付けて登録されるようになっている。さらに、メモリ70には、各トランスミッタ2のIDコード及び該各トランスミッタ2のトランスポンダ29aのIDコードが有効であるか無効であるかが登録されている。
【0039】
以下、車載機3のスマートキーレス(R)制御ユニット4で行われる信号処理の動作を説明する。
【0040】
まず、上記車両用スマートキーレス(R)システムによるドアロック制御について説明する。このドアロック制御とは、トランスミッタ2に内蔵されたメカニカルキー29をドア11a(又は11b)のドアキーシリンダ51に差し込んで操作することなく、ドア11a(又は11b)のアンロック/ロック操作を行う制御である。
【0041】
車両1のエンジン停止時において、上記トランスミッタ2を所持した乗員が上記ドアリクエストスイッチ50を押圧操作すると、室外及び室内送信アンテナ61,62からリクエスト信号r,rがそれぞれ送信される。この両送信アンテナ61,62からのリクエスト信号r,rを受けたトランスミッタ2がトランスミッタID信号iを返信し、このトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信し、さらに、トランスミッタID信号i中のIDコードの照合を行う。ここで、室外送信アンテナ61のリクエスト信号rに対してのみ、トランスミッタID信号iが返信され且つIDコードの認証が得られた場合には、トランスミッタ2を所持した乗員が運転席側又は助手席側ドア11a,11bの近傍にいるとして、ドア11a,11bのロック/アンロック状態に応じて、ドア11a,11bをアンロック/ロック制御する。このドア11a,11bのロック/アンロック状態は、上記各ドアロック検出センサ54によって検出する。また、ドア11a,11bのアンロック/ロック制御は、スマートキーレス(R)制御ユニット4が、各ドアロックアクチュエータ52に、ドアアンロック信号/ドアロック信号を供給することによって行われる。この詳細については後述する。
【0042】
尚、ドアロック又はドアロック解除は、上述のような車両用スマートキーレス(R)システムを利用する方法だけでなく、上記ドアキーシリンダ51にメカニカルキー29を差し込んで回すことによってドアロック又はドアロック解除を行ったり、上記トランスミッタ2のロックスイッチ26やアンロックスイッチ27を押圧操作することによって上記ドアロックアクチュエータ52を遠隔操作してドアロック又はドアロック解除を行うようにしても良い。具体的には、例えば、ロックスイッチ25が押圧操作されると、トランスミッタ2の送信アンテナ22からロック信号L及び該トランスミッタ2のトランスミッタID信号iが送信され、それらを受信した車載機4のスマートキーレス(R)制御ユニット40が、トランスミッタ2のIDコードの照合を行って、認証が得られれば、ドアロックアクチュエータ52にドアロック信号を供給して、ドアロックを行う。
【0043】
続いて、上記車両用スマートキーレス(R)システムによる無効化制御について説明する。この無効化制御とは、ドア11a,11bのロック時においてトランスミッタ2を車室内に置き忘れているときに、その車室内に置き忘れたトランスミッタ2のIDコード等の無効化を行う制御である。
【0044】
ドア11a,11bのロック時において、室内送信アンテナ62からリクエスト信号rが送信される。この送信アンテナ62からのリクエスト信号rを受けたトランスミッタ2がトランスミッタID信号iを返信し、このトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信し、さらに、トランスミッタID信号i中のIDコードの照合を行う。ここで、図3(a)に示すように、室内送信アンテナ62のリクエスト信号rに対して、トランスミッタ2のトランスミッタID信号iが返信され且つIDコードの認証が得られた場合には、そのトランスミッタ2が車室内に置き忘れられているとして、警報ランプ、車内警報ブザー及び車外ブザー7によって警報を行うとともに、メモリ70に登録されている、該車室内に置き忘れたトランスミッタ2のIDコード及びこれに対応するトランスポンダ29aのIDコードを無効化する。尚、図中の破線の矢印は、トランスミッタ2から車載機3への信号の流れを表す(以下同じ)。そして、この無効化後、イグニッションスタータ13がイグニッションSTARTへ回転操作された場合において、該トランスミッタ2のIDコードの認証が得られても、エンジン始動制御を行わない。一方、室内送信アンテナ62のリクエスト信号rに対して、トランスミッタID信号iが返信され且つIDコードの認証が得られた場合、つまり、トランスミッタ2が車室内に置き忘れられている場合であっても、図3(b)に示すように、該車室内のトランスミッタ2若しくは車室外のトランスミッタ2のロックスイッチ26が押圧操作されたとき、又は室内スイッチ15が操作されたときには、メモリ70に登録されている、車室内のトランスミッタ2(例えば、車室内に残っている乗員が所持するトランスミッタ2)のIDコード及びこれに対応するトランスポンダ29aのIDコードを無効化しない。この詳細については後述する。
【0045】
続いて、上記車両用スマートキーレス(R)システムによる無効化解除制御について説明する。この無効化解除制御とは、ドア11a,11bのアンロック時において無効化されたトランスミッタ2のIDコード等の無効化を解除する制御である。
【0046】
上記無効化後、ドア11a,11bのアンロック時において、室内送信アンテナ62からリクエスト信号rが送信される。この送信アンテナ62からのリクエスト信号rを受けたトランスミッタ2がトランスミッタID信号iを返信し、このトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信し、さらに、トランスミッタID信号i中のIDコードの照合を行う。ここで、図3(c)に示すように、室内送信アンテナ62のリクエスト信号rに対して、トランスミッタ2のトランスミッタID信号iが返信され且つIDコードの認証が得られた場合であって、そのIDコードが無効化されていないものであるときには、そのトランスミッタ2、ひいては、これを所持した乗員が車室内に存在するとして、無効化された、車室内に置き忘れたトランスミッタ2のIDコード及びこれに対応するトランスポンダ29aのIDコードの無効化を解除する。この詳細については後述する。
【0047】
続いて、エンジン始動制御について説明する。このエンジン始動制御とは、イグニッションスタータ13をイグニッションSTARTへ操作して、エンジンの始動を開始させる制御をいう。この詳細については後述する。
【0048】
尚、エンジン始動は、上述のような車両用スマートキーレス(R)システムを利用する方法だけでなく、上記キースロット16にメカニカルキー29を差し込んでイグニッションSTARTへ回転操作することによってエンジン始動を行うようにしても良い。具体的には、メカニカルキー29がイグニッションSTARTへ操作されると、該メカニカルキー29のトランスポンダ29aからトランスポンダ信号jが送信され、それをキースロット16を介して受信した車載機4のスマートキーレス(R)制御ユニット40が、その信号jに含まれるトランスポンダ29aのIDコードが、上記メモリ44に登録されているかどうかを判定し、登録されていれば、トランスポンダ29aのIDコードの照合を行って、認証が得られれば、エンジンの始動を行う。一方、上記無効化後、メカニカルキー29がイグニッションSTARTへ操作された場合において、トランスポンダ29aのIDコードの認証が得られても、エンジン始動を行わない。この詳細については後述する。
【0049】
<スマートキーレス(R)制御>
以下、図4のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22によるスマートキーレス(R)制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図4の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4によるスマートキーレス(R)制御について説明し、その後、図4の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22によるスマートキーレス(R)制御について説明する。また、図中の破線は、車載機3とトランスミッタ2との間の信号の流れを表す(以下同じ)。
【0050】
(1)スマートキーレス(R)制御ユニットによるスマートキーレス(R)制御
ステップSA1では、ドアロック制御を行う。ステップSA2では、エンジン始動制御を行う。ステップSA3では、所定タイミングが到来したか否かを判定する。具体的には、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態になった直後、イグニッションスタータ13がイグニッションON状態になった直後、又はドア11a,11bが開状態になった直後か否かを判定する。ステップSA3の判定結果がYESの場合はステップSA4に進み、NOの場合はリターンに進む。
【0051】
ステップSA4では、室内送信アンテナ62a,62bにリクエスト信号rを車室内に向かって順次送信させる。ステップSA5では、リクエスト信号rの送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSA5の判定結果がYESの場合はステップSA6に進み、NOの場合はリターンに進む。
【0052】
ステップSA6では、受信したトランスミッタID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSA7では、1つのトランスミッタ2のIDコードのみが、メモリ70に登録されているトランスミッタ2のIDコードと一致するか否かを判定する。ステップSA7の判定結果がYESの場合(つまり、1つのIDコードのみが一致するとの認証が得られた場合)は、トランスミッタ2が車室内に1つだけ存在するとして、ステップSA8に進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった場合(例えば、乗員が車載機からリクエスト信号を受けてID信号を返信することができるトランスミッタを所持しているが、そのトランスミッタが上記車両1以外の他の車両に対応するものである場合)、又は2つ以上のIDコードが一致するとの認証が得られた場合(すなわち、トランスミッタ2が車室内に2つ以上存在する場合))は、メータユニット12aに後述の登録ガイダンスを提示せず、リターンに進む。
【0053】
ステップSA8では、一致するとの認証が得られたトランスミッタ2のIDコードが無効化されたものか否かを判定する。ステップSA8の判定結果がYESの場合(つまり、無効化されたIDコードの場合)はリターンに進み、NOの場合(つまり、有効なIDコードの場合)はステップSA9に進む。ステップSA9では、一致するとの認証が得られたトランスミッタ2のIDコードに対応するトランスポンダ29aのIDコードがメモリ70に登録されていないか否かを判定する。ステップSA9の判定結果がYESの場合(つまり、登録されていない場合)はステップSA10に進み、NOの場合(つまり、登録されている場合)はリターンに進む。ステップSA10では、メータユニット12aに「現在お持ちのトランスミッタのメカニカルキーをキースロットに挿入してください」という旨の登録ガイダンスを提示する。尚、この登録ガイダンスは、音声で行っても良い。ステップSA11では、その提示後所定時間以内に読み取られたトランスポンダ29aのIDコードを、これに対応する車室内のトランスミッタ2のIDコードに対応付けてメモリ70に記憶させる。
【0054】
(2)トランスミッタ制御ユニットによるスマートキーレス(R)制御
ステップSA1´では、ドアロック制御を行う。ステップSA2´では、エンジン始動制御を行う。ステップSA3´では、車載機3からのリクエスト信号rを受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ここで、乗員が所持するトランスミッタ2が室内送信アンテナ62a,62bからのリクエスト信号rの到達範囲(電界範囲)にあるときは、トランスミッタ2は受信アンテナ23で該リクエスト信号rを受信する(以下同じ)。ステップSA3´の判定結果がYESの場合はステップSA4´に進み、NOの場合はリターンに進む。ステップSA4´では、送信アンテナ24にトランスミッタID信号iを車載機3へ送信させる。
【0055】
<ドアロック制御>
以下、図5のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22によるドアロック制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図5の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4によるドアロック制御について説明し、その後、図5の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22によるドアロック制御について説明する。
【0056】
(1)スマートキーレス(R)制御ユニットによるドアロック制御
ステップSB1では、エンジン回転数検出センサ55の出力信号に基づき、エンジンが回転しているか否かを判定する。尚、このステップSB1では、イグニッションスタータ13がアクセサリON状態、又はイグニッションON状態であるか否かを判定しても良い。ステップSB1の判定結果がYESの場合はステップSB7に進み、NOの場合はステップSB2に進む。ステップSB2では、ドアリクエストスイッチ50が押圧操作されたか否かを判定する。ステップSB2の判定結果がYESの場合はステップSB3に進み、NOの場合はSB7に進む。ステップSB3では、室外及び室内送信アンテナ61a〜61c,62a,62bにリクエスト信号rを車室内外に向かって順次送信させる。
【0057】
ステップSB4では、リクエスト信号rの送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSB4の判定結果がYESの場合はステップSB5に進み、NOの場合はステップSB7に進む。ステップSB5では、受信したトランスミッタID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSB6では、車室外向けのリクエスト信号rに対するトランスミッタID信号i中のIDコードが、メモリ70に登録されているトランスミッタ2のIDコードと一致するか否かを判定する。ステップSB6の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)は、トランスミッタ2が運転席側ドア11a近傍の車外又は助手席側ドア11b近傍の車外に存在するとして、ステップSB8に進み、NOの場合(つまり、車室外向けのリクエスト信号rに対するトランスミッタID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)はステップSB7に進む。
【0058】
ステップSB7では、トランスミッタ2からのロック信号L又はアンロック信号U及びトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信し、かつ、該トランスミッタID信号i中のIDコードが、メモリ70に登録されているトランスミッタ2のIDコードと一致するか否かを判定する。ステップSB7の判定結果がYESの場合(つまり、ロック信号L又はアンロック信号U及びトランスミッタID信号iを受信し、かつ、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)はステップSB8に進み、NOの場合(つまり、ロック信号L又はアンロック信号U及びトランスミッタID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)はステップSB14に進む。ステップSB8では、一致するとの認証が得られたトランスミッタ2のIDコードが無効化されたものか否かを判定する。ステップSB8の判定結果がYESの場合(つまり、無効化されたIDコードの場合)はステップSB14に進み、NOの場合(つまり、有効なIDコードの場合)はステップSB9に進む。
【0059】
ステップSB9では、ドアロック検出センサ54の出力信号に基づき、ドア11a,11bがロック状態であるか、又はアンロック状態であるかを判定する。ステップSB9の判定結果がアンロック状態である場合はステップSB10に進み、ロック状態である場合はステップSB13に進む。ステップSB10では、ドアロック制御を行う。ステップSB11では、車室内向けのリクエスト信号rに対するトランスミッタID信号i中のIDコードが、メモリ70に登録されているトランスミッタ2のIDコードと一致するか否かを判定する。ステップSB11の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)は、トランスミッタ2が車室内に置き忘れられているとして、ステップSB12に進み、NOの場合(つまり、車室内向けのリクエスト信号rに対するトランスミッタID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)はステップSB14に進む。
【0060】
ステップSB12では、無効化制御を行う。その後、ステップSB14に進む。
【0061】
ステップSB13では、ドアアンロック制御を行う。その後、ステップSB14に進む。
【0062】
ステップSB14では、無効化されたトランスミッタ2のIDコードがあるか否かを判定する。ステップSB14の判定結果がYESの場合はステップSB15に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSB15では、無効化解除制御を行う。その後、エンドに進む。
【0063】
(2)トランスミッタ制御ユニットによるドアロック制御
ステップSB1´では、車載機3からのリクエスト信号rを受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ステップSB1´の判定結果がYESの場合はステップSB2´に進み、NOの場合はステップSB3´に進む。ステップSB2´では、送信アンテナ24にトランスミッタID信号i及びトランスポンダID信号jを車載機3へ送信させる。ステップSB3´では、ロックスイッチ26又はアンロックスイッチ27が押圧操作されたか否かを判定する。ステップSB3´の判定結果がYESの場合はステップSB4´に進み、NOの場合はステップSB5´に進む。ステップSB4´では、送信アンテナ24にロック信号L又はアンロック信号U及びトランスミッタID信号iを車載機3へ送信させる。ステップSB5´では、無効化制御を行う。ステップSB6´では、無効化解除制御を行う。その後、エンドに進む。
【0064】
<無効化制御>
以下、図6のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22による無効化制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図6の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4による無効化制御について説明し、その後、図6の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22による無効化制御について説明する。
【0065】
(1)スマートキーレス(R)制御ユニットによる無効化制御
SC1では、車室内向けのリクエスト信号rに対するトランスミッタID信号i中のIDコードが一致するとの認証が得られたことによって、車室内に置き忘れられていると判定されたトランスミッタ2(図5のステップSB11参照)のIDコードに対応するトランスポンダ29aのIDコードを、該トランスミッタ2のIDコードに対応付けてメモリ70に記憶させる。尚、このステップSC1は、メモリ70に、車室内に置き忘れたトランスミッタ2のIDコードに対応するトランスポンダ29aのIDコードが登録されていない場合にのみ行われる。ステップSC2では、置き忘れ警報を実行する。この置き忘れ警報は、車外ブザー7、メータユニット12aの車内警報ブザー及び車室内に置き忘れたトランスミッタ2以外のトランスミッタ2のブザー28を鳴らすこと、並びにメータユニット12aの警報ランプを点灯させることによって、車室内外の乗員及び該トランスミッタ2を所持する乗員に対して、車内にトランスミッタ2が置き忘れられていることを警報する。尚、この置き忘れ警報は、その警報開始後所定時間経過した後、停止しても良い。
【0066】
ステップSC3では、置き忘れ警報開始後所定時間以内に、車室内又は車室外のトランスミッタ2からのロック信号L及びトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信し、かつ、該トランスミッタID信号i中のIDコードが、メモリ70に登録されているトランスミッタ2のIDコードと一致するか否かを判定する。ステップSC3の判定結果がYESの場合(つまり、ロック信号L及びトランスミッタID信号iを受信し、かつ、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)はステップSC5に進み、NOの場合(つまり、ロック信号L及びトランスミッタID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)はステップSC4に進む。ステップSC4では、置き忘れ警報開始後所定時間以内に、室内スイッチ15が操作されたか否かを判定する。ステップSC4の判定結果がYESの場合(つまり、操作された場合)はステップSC5に進み、NOの場合(つまり、操作されていない場合)はステップSC6に進む。
【0067】
ステップSC5では、置き忘れ警報を強制的に停止して、車室内のトランスミッタ2のIDコード、及びこれに対応するトランスポンダ29aのIDコードを無効化しない。その後、エンドに進む。
【0068】
ステップSC6では、車室内に置き忘れたトランスミッタ2のIDコードに対応するトランスポンダ29aのIDコードを読み出す。ステップSC7では、車室内に置き忘れたトランスミッタ2のIDコード、及びこれに対応するトランスポンダ29aのIDコードを無効化する。その後、エンドに進む。
【0069】
(2)トランスミッタ制御ユニットによる無効化制御
SC1´では、車室内又は車室外のトランスミッタ2のロックスイッチ26が押圧操作されたか否かを判定する。ステップSC1´の判定結果がYESの場合(つまり、操作された場合)はステップSC2´に進み、NOの場合(つまり、操作されていない場合)はエンドに進む。ステップSC2´では、送信アンテナ24にロック信号L及びトランスミッタID信号iを車載機3へ送信させる。その後、エンドに進む。
【0070】
<無効化解除制御>
以下、図7のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22による無効化解除制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図7の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4による無効化解除制御について説明し、その後、図7の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22による無効化解除制御について説明する。
【0071】
(1)スマートキーレス(R)制御ユニットによる無効化解除制御
ステップSD1では、ドアリクエストスイッチ50を押圧操作すること、トランスミッタ2のアンロックスイッチ27を押圧操作すること、又はドアキーシリンダ51にメカニカルキー29を差し込んで回すことによって、ドア11a,11bがアンロックされたか否かを判定する。尚、このステップSD1では、ドア11a,11bが開状態になったか否かを判定しても良く、或いは、ドア11a,11bがアンロックされ、かつ、ドア11a,11bが開状態になったか否かを判定しても良い。ステップSD1の判定結果がYESの場合はステップSD3に進み、NOの場合はステップSD2に進む。ステップSD2では、ドア11a,11bが閉状態になった後所定時間(例えば2秒)以内であるか否かを判定する。ステップSD2の判定結果がYESの場合はステップSD3に進み、NOの場合はステップSD3に進む。
【0072】
ステップSD3では、室内送信アンテナ62a,62bにリクエスト信号rを車室内に向かって順次に送信させる。尚、この送信は、エンジン始動制御前まで周期的に行われる。ステップSD4では、リクエスト信号rの送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSD4の判定結果がYESの場合はステップSD5に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSD5では、受信したトランスミッタID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSD6では、トランスミッタ2のIDコードが、メモリ70に登録されているトランスミッタ2のIDコードと一致し、かつ、そのIDコードが無効化されていないものであるか否かを判定する。ステップSD6の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られ、かつ、有効なIDコードの場合)は、IDコードが無効化されていないトランスミッタ2、ひいては、これを所持した乗員が車室内に存在するとして、ステップSD7に進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった、又は無効化されたIDコードの場合)はエンドに進む。
【0073】
ステップSD7では、照合を行ったトランスミッタ2のIDコード(つまり、車室内に存在するトランスミッタ2のIDコード)のうち、無効化されたトランスミッタ2のIDコード、及びこれに対応する無効化されたトランスポンダ29aのIDコードの無効化を解除する。ステップSD8では、無効化解除警報を実行する。この無効化解除警報は、車外ブザー7及びメータユニット12aの車内警報ブザーを鳴らすこと、並びにメータユニット12aの警報ランプを点灯させることによって、車室内外の乗員に対して、無効化された、トランスミッタ2のIDコード及びこれに対応するトランスポンダ29aのIDコードの無効化が解除されたことを報知する。ステップSD9では、報知信号送信アンテナ(図示省略)に報知信号aを送信させる。
【0074】
(2)トランスミッタ制御ユニットによる無効化解除制御
ステップSD1´では、車載機3からのリクエスト信号rを受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ステップSD1´の判定結果がYESの場合はステップSD2´に進み、NOの場合はステップSD3´に進む。ステップSD2´では、送信アンテナ24にトランスミッタID信号i及びトランスポンダID信号jを車載機3へ送信させる。ステップSD3´では、車載機3からの報知信号を受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ステップSD3´の判定結果がYESの場合はステップSD4´に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSD4´では、無効化解除警報を実行する。この無効化解除警報は、トランスミッタ2のブザー28を鳴らすことことによって、該トランスミッタ2を所持した乗員に対して、無効化された、トランスミッタ2のIDコード及びこれに対応するトランスポンダ29aのIDコードの無効化が解除されたことを報知する。その後、エンドに進む。
【0075】
<エンジン始動制御>
以下、図8のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22によるエンジン始動制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図8の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス(R)制御ユニット4によるエンジン始動制御について説明し、その後、図8の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22によるエンジン始動制御について説明する。
【0076】
(1)スマートキーレス(R)制御ユニットによるエンジン始動制御
ステップSE1では、イグニッションスタータ13がイグニッションSTARTへ回転操作されたか否かを判定する。ステップSE1の判定結果がYESの場合はステップSE2に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSE2では、室内送信アンテナ62a,62bにリクエスト信号rを車室内に向かって順次送信させる。ステップSE3では、リクエスト信号rの送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのトランスミッタID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSE3の判定結果がYESの場合はステップSE4に進み、NOの場合はSE6に進む。ステップSE4では、受信したトランスミッタID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSE5では、トランスミッタID信号i中のIDコードが、メモリ70に登録されているトランスミッタ2のIDコードと一致するか否かを判定する。ステップSE5の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)はステップSE7に進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった場合)はステップSE6に進む。
【0077】
ステップSE6では、キースロット16に挿入されたメカニカルキー29のトランスポンダ29aからのトランスポンダID信号j中のIDコードが、メモリ70に登録されているトランスポンダ29aのIDコードと一致するか否かを判定する。ステップSE6の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)はステップSE7に進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった場合)はエンドに進む。ステップSE7では、一致するとの認証が得られたトランスミッタ2のIDコード又はトランスポンダ29aのIDコードが無効化されたものか否かを判定する。ステップSE7の判定結果がYESの場合(つまり、無効化されたIDコードの場合)はエンドに進み、NOの場合(つまり、有効なIDコードの場合)はステップSE8に進む。ステップSE8では、ECU8にエンジン始動許可信号を供給して、セルモータを回転させてエンジンを始動させるイグニッションスタータ制御を行う。その後、エンドに進む。
【0078】
尚、ステップSE1においてイグニッションスタータ13がイグニッションSTARTへ操作されてはじめて、リクエスト信号rを送信してトランスミッタ2のIDコードの照合を行うのではなくて、以下の条件が成立したときに、予めステップSE2〜SE5を行ってトランスミッタ2のIDコードの照合を行っておいても良い。具体的には、(i)イグニッションスタータ13がアクセサリOFFからアクセサリONへ回転操作された、(ii)全てのドア11a,11bが閉の状態から、それらのうち少なくとも一つが開の状態になった、(iii)ドア11a,11bのうち少なくとも一つが開の状態から全てのドア11a,11bが閉の状態になった、という何れかの条件成立時には、その後、イグニッションスタータ13がイグニッションSTARTへ操作される可能性が高いため、これらの条件が成立したときに予めトランスミッタ2のIDコードの照合を行っておく。そして、IDコードの認証が得られれば、上記ステップSE2〜SE6を省略する。その結果、イグニッションスタータ13をイグニッションSTARTへ操作すると、IDコード照合のための時間を要さず、直ちにエンジンを始動させるイグニッションスタータ制御を行うことができる。
【0079】
(2)トランスミッタ制御ユニットによるエンジン始動制御
ステップSE1´では、車載機3からのリクエスト信号rを受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ステップSE1´の判定結果がYESの場合はステップSE2´に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSE2´では、送信アンテナ24にトランスミッタID信号i及びトランスポンダID信号jを車載機3へ送信させる。その後、エンドに進む。
【0080】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、ドア11a,11bのロック時に車内に送信させたリクエスト信号rに対して、トランスミッタ2からのID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立したときには、スマートキーレス(R)制御ユニット4により、その後のイグニッションスタータ13の操作時におけるそのトランスミッタ2のIDの認証を無効化するするとともに、その後のメカニカルキー29によるエンジン始動操作時におけるそのトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDの認証も無効化する。そのため、トランスミッタ2を車内に置き忘れた場合において、車両のユーザ以外の者(例えば車両泥棒)が車両1に乗り込んだとしても、そのトランスミッタ2やこれのメカニカルキー29を用いてエンジンの始動を行うことができず、その車両1を持ち逃げすることができない。したがって、本車両用スマートキーレス(R)システムのセキュリティ性を向上させることができる。
【0081】
ところで、トランスポンダ29aは、トランスミッタ2とは異なり、電池によって駆動されるものではなく、電池切れのおそれがないものである。また、トランスポンダ29aは、これをキースロット16に挿入すると、固有のIDを送信するようになっている。以上のように、トランスポンダ29aは、電池が内蔵されず、さらに、これをキースロット16に挿入すると、IDを送信するため、キースロット16は、トランスポンダ29aが近距離(例えば、15cm以内)にあるときにのみ、そのトランスポンダ29aのIDを受信できる。ここで、トランスポンダ29aを有するトランスミッタ2を車内に置き忘れた場合、そのトランスミッタ2は、上記近距離にないのが殆どであると考えられるため、トランスポンダ29aのIDの認証を、キースロット16を用いて無効化することはできない。そこで、本発明者たちは、上述のような車両スマートキーレス(R)システムを開発するに至った。
【0082】
また、トランスミッタ2は、少なくとも、ドア11a,11bのロック時に室内送信アンテナ62からのリクエスト信号rを受信したときには、ID信号iとともに、トランスポンダリーダ25に読み取られたトランスポンダ29aのIDも無線送信する。そして、車載受信アンテナ63は、そのトランスポンダ2からのID信号iとともに、トランスポンダ29aのIDも受信する。それから、スマートキーレス(R)制御ユニット4により、その車載受信アンテナ63で受信したトランスポンダ29aのIDをトランスミッタ2のIDに対応付けてメモリ70に記憶させる。そのため、メモリ70にトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDが記憶されていない場合であっても、メモリ70に、車載受信アンテナ63で受信した、そのトランスミッタ2からのトランスポンダ29aのIDを記憶させることによって、メモリ70にそのトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDを容易に記憶させることができる。
【0083】
また、メモリ70にトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDが記憶されていない場合において、そのトランスミッタ2が車内に存在するときには、スマートキーレス(R)制御ユニット4により、キースロット16にそのトランスポンダ29aのIDを読み取らせることを乗員に促すガイダンスを行う。そして、スマートキーレス(R)制御ユニット4により、そのガイダンス後にキースロット16に読み取られたトランスポンダ29aのIDをその車内に存在するトランスミッタ2のIDに対応付けてメモリ70に記憶させる。そのため、メモリ70にトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDが記憶されていない場合であっても、その乗員がそのガイダンスに従ってキースロット16にそのトランスポンダ29aのIDを読み取らせて、メモリ70にそのキースロット16に読み取られたトランスポンダ29aのIDを記憶させることによって、メモリ70にそのトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDを容易に記憶させることができる。
【0084】
ところで、メモリ70にトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDが記憶されていない場合において、そのトランスミッタ2を含む複数のトランスミッタ2,…が車内に存在するときには、それらのうち、どのトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDがメモリ70に記憶されていないか分からない。そのため、このような場合において、キースロット16にそのトランスポンダ29aのIDを読み取らせることを乗員に促すガイダンスを行うと、その乗員がキースロット16に誤ったトランスポンダ29aのIDを読み取らせてしまい、その結果、メモリ70にその誤ったトランスポンダ29aのIDを記憶させてしまうおそれがある。
【0085】
ここで、本実施形態によれば、メモリ70にトランスミッタ2のIDに対応するトランスポンダ29aのIDが記憶されていない場合であっても、そのトランスミッタ2を含む複数のトランスミッタ2,…が車内に存在するときには、スマートキーレス(R)制御ユニット4により、キースロット16にそのトランスポンダ29aのIDを読み取らせることを乗員に促すガイダンスを行わない。そのため、メモリ70に誤ったトランスポンダ29aのIDを記憶させてしまうことを未然に抑制できる。
【0086】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、車外からのドアアンロック操作のため、ドアリクエストスイッチ50が設けられているが、これに限らず、例えば、ドア11a,11bのドアノブに配設され、ドアアンロックの操作者の体の一部(例えば手)がドアノブに近付いたことを検出することによって、その操作者による車外からのドアアンロック操作を検出する静電容量検出センサを設けても良い。
【0087】
また、上記実施形態では、エンジン始動スイッチとしてイグニッションスタータ13が設けられているが、これに限らず、例えば、エンジン始動のためのボタンを設けても良い。
【0088】
また、上記実施形態では、IDの認証が成立してもエンジンの始動を行わないことによって、イグニッションスタータ13の操作時におけるトランスミッタ2のIDコードの認証を無効化しているが、これに限らず、例えば、そのIDコードを無効化したり、そのトランスミッタ2を無効化したり、そのIDコードの照合を行わなかったりすることによって、イグニッションスタータ13の操作時におけるトランスミッタ2のIDコードの認証を無効化しても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、IDの認証が成立してもエンジンの始動を行わないことによって、メカニカルキー29のイグニッションSTARTへの操作時におけるトランスポンダ29aのIDコードの認証を無効化しているが、これに限らず、例えば、そのIDコードを無効化したり、そのトランスポンダ29aを無効化したり、そのIDコードの照合を行わなかったりすることによって、メカニカルキー29のイグニッションSTARTへの操作時におけるトランスポンダ29aのIDコードの認証を無効化しても良い。
【0090】
また、上記実施形態では、室外送信アンテナ61は3つのアンテナ61a〜61cからなり、室内送信アンテナ62は2つのアンテナ62a,62bからなるが、これに限らず、室外送信アンテナ61は1つ、2つ又は4以上のアンテナからなっても良く、室内送信アンテナ62は1つ又は3以上のアンテナからなっても良い。
【0091】
また、上記実施形態では、室外送信アンテナは61は、車室外にのみ電波が送信されるようになっているが、室外送信アンテナ61のうち、運転席側送信アンテナ61a及び助手席側送信アンテナ61bは、車室内にも電波が送信されるようにしても良い。この場合、室外及び室内送信アンテナ61,62のリクエスト信号r,rのうち、室外送信アンテナ61のリクエスト信号rに対してのみ、トランスミッタ2が返信するトランスミッタID信号iが車載受信アンテナ63によって受信されたときは、トランスミッタ2は運転席側ドア11a近傍の車外、助手席側ドア11b近傍の車外又はリヤエンドパネル11c近傍の車外に存在すると判定する一方、室外及び室内送信アンテナ61,62の両方のリクエスト信号r,rに対してトランスミッタ2が返信するトランスミッタID信号i,iが車載受信アンテナ63によって受信されたときは、トランスミッタ2は車室内に存在すると判定する。
【0092】
また、上記実施形態では、受信アンテナ23が、車載機3からのリクエスト信号rを受信すると、この受信信号を受けてトランスミッタ制御ユニット22が、トランスミッタID信号i、及びトランスポンダID信号jを送信アンテナ24から送信させるが、受信アンテナ23が、少なくとも、ドア11a,11bのロック時に車載機3からのリクエスト信号rを受信したときに、トランスミッタ制御ユニット22が、トランスミッタID信号i、及びトランスポンダID信号jを送信アンテナ24から送信させれば良い。
【0093】
また、上記実施形態では、トランスミッタ2には、トランスポンダ29aが内蔵されたメカニカルキー29が着脱自在に収納されているが、トランスポンダ29a及びメカニカルキー29が着脱不能に収納されても良い。
【0094】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0095】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように、本発明は、携帯用送受信機からのID信号を車載受信機で受信して、該ID信号に含まれるIDコードの認証が得られれば、車両のドアのアンロックやエンジンの始動をするようにした車両用スマートエントリー(R)システム等について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用スマートキーレス(R)システムのブロック図である。
【図2】車載機を搭載した車両を示す斜視図である。
【図3】車載機を搭載した車両を示す平面図であり、(a)及び(b)は無効化制御時の状態を示す図であり、(c)は無効化解除制御時の状態を示す図である。
【図4】スマートキーレス(R)制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによるスマートキーレス(R)制御のフローチャート図である。
【図5】スマートキーレス(R)制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによるドアロック制御のフローチャート図である。
【図6】スマートキーレス(R)制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによる無効化制御のフローチャート図である。
【図7】スマートキーレス(R)制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによる無効化解除制御のフローチャート図である。
【図8】スマートキーレス(R)制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによるエンジン始動制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0098】
1 車両
2 トランスミッタ(携帯用送受信機)
3 車載機
4 スマートキーレス(R)制御ユニット(ドア制御手段、エンジン制御手段、無効化制御手段)
13 イグニッションスタータ(エンジン始動スイッチ)
16 キースロット(車載読取り手段)
25 トランスポンダリーダ(携帯機側読取り手段)
29 メカニカルキー
29a トランスポンダ
50 ドアリクエストスイッチ
61 室外送信アンテナ(車載送信機)
62 室内送信アンテナ(車載送信機)
63 車載受信アンテナ(車載受信機)
70 メモリ(記憶手段)
i トランスミッタID信号
j トランスポンダID信号
L ロック信号
U アンロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクエスト信号を無線送信する車載送信機と、
上記リクエスト信号を受信したときにID信号を無線送信し、トランスポンダ及びキーを有する携帯用送受信機と、
上記ID信号を受信する車載受信機と、
上記トランスポンダのIDを読み取る車載読取り手段と、
上記携帯用送受信機のIDと上記トランスポンダのIDとを記憶する記憶手段と、
少なくとも、車外からのドアのアンロック操作の検出時に、上記車載送信機に上記リクエスト信号を車外に送信させて、該リクエスト信号に対して、上記携帯用送受信機からのID信号を上記車載受信機で受信しかつそのIDと上記記憶手段に記憶された携帯用送受信機のIDとが一致するとの認証が成立したときに、上記ドアのアンロックを行うドア制御手段と、
車内のエンジン始動スイッチの操作時に、上記車載送信機に上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、上記携帯用送受信機からのID信号を上記車載受信機で受信しかつそのIDと上記記憶手段に記憶された携帯用送受信機のIDとが一致するとの認証が成立したとき、又は上記キーによるエンジン始動操作時に、上記車載読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDと上記記憶手段に記憶されたトランスポンダのIDとが一致するとの認証が成立したときに、エンジンの始動を行うエンジン制御手段と、
ドアのロック時に、上記車載送信機に上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、上記携帯用送受信機からのID信号を上記車載受信機で受信しかつそのIDと上記記憶手段に記憶された携帯用送受信機のIDとが一致するとの認証が成立したときに、その後の上記エンジン始動スイッチの操作時における該携帯用送受信機のIDの認証を無効化する無効化制御手段とを備えた車両用スマートエントリー(R)システムであって、
上記記憶手段は、上記携帯用送受信機のIDと上記トランスポンダのIDとを対応付けて記憶するように構成されており、
上記無効化制御手段は、上記ドアのロック時に車内に送信させたリクエスト信号に対して、上記携帯用送受信機からのID信号を受信しかつそのIDの認証が成立したときには、上記無効化するとともに、その後の上記キーによるエンジン始動操作時における該携帯用送受信機のIDに対応するトランスポンダのIDの認証も無効化するように構成されていることを特徴とする車両用スマートエントリー(R)システム。
【請求項2】
請求項1記載の車両用スマートエントリー(R)システムにおいて、
上記携帯用送受信機は、該携帯用送受信機のトランスポンダのIDを読み取る携帯機側読取り手段を有していて、少なくとも、上記ドアのロック時に上記リクエスト信号を受信したときには、上記ID信号とともに、該携帯機側読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDも無線送信するように構成されており、
上記車載受信機は、上記ID信号とともに、上記トランスポンダのIDも受信するように構成されており、
上記無効化制御手段は、上記車載受信機で受信したトランスポンダのIDを上記携帯用送受信機のIDに対応付けて上記記憶手段に記憶させるように構成されていることを特徴とする車両用スマートエントリー(R)システム。
【請求項3】
請求項1記載の車両用スマートエントリー(R)システムにおいて、
上記無効化制御手段は、上記記憶手段に上記携帯用送受信機のIDに対応する上記トランスポンダのIDが記憶されていない場合において、該携帯用送受信機が車内に存在するときには、上記車載読取り手段に該トランスポンダのIDを読み取らせることを乗員に促すガイダンスを行い、該ガイダンス後に上記車載読取り手段に読み取られたトランスポンダのIDを上記車内に存在する携帯用送受信機のIDに対応付けて上記記憶手段に記憶させるように構成されていることを特徴とする車両用スマートエントリー(R)システム。
【請求項4】
請求項3記載の車両用スマートエントリー(R)システムにおいて、
上記無効化制御手段は、上記記憶手段に上記携帯用送受信機のIDに対応する上記トランスポンダのIDが記憶されていない場合であっても、該携帯用送受信機を含む複数の携帯用送受信機が車内に存在するときには、上記ガイダンスを行わないように構成されていることを特徴とする車両用スマートエントリー(R)システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−1479(P2007−1479A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185180(P2005−185180)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】