説明

車両用ドアの施錠装置

【課題】盗難者等による被害をより確実に抑制でき、安全性を確保することのできる車両用ドアの施錠装置の提供。
【解決手段】複数のドアをそれぞれ施錠しかつ解錠する施錠機構31〜35と、施錠機構31〜35をそれぞれ駆動する駆動手段71〜75と、駆動手段71〜75の駆動状態を制御可能な駆動部制御手段110と、遠隔地から駆動部制御手段110を作動操作するリモートコントローラ100と設け、駆動部制御手段110に、前記複数のドアを同時に解錠する第一の解錠制御手段111と、特定のドアのみを解錠する第二の解錠制御手段112とを設けるとともに、これら第一の解錠制御手段111と第二の解錠制御手段112とが、前記リモートコントローラ100の操作に応じて選択的に作動操作されるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地から車両用ドアの解錠操作が可能なリモートコントローラを有する車両用ドアの施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような車両用ドアの施錠装置としては、例えば特許文献1に開示されるスマートキーレスエントリーシステムのように、遠隔地から車両用ドアの解錠、施錠操作が可能なリモートコントローラ(携帯機)と、車載機とを有し、リモートコントローラと車載機との間の双方向無線通信により、遠隔地からのドアの解錠および施錠を可能としたものが開発されている。
【0003】
そして、このような施錠装置では、一般的に同乗者等の円滑な乗車を確保するために、リモートコントローラの操作によって車両に設けられた全てのドアが解錠あるいは施錠されるよう構成されている。
【特許文献1】特開2006−207138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記のように遠隔操作により全てのドアが解錠されてしまうと、例えば、ドアの解錠に伴って後部座席等から盗難者が車室内に進入する可能性や、荷物の積み下ろし作業中に荷室から離れた運転席側から盗難者が車室内に進入する可能性があり、乗員の十分な安全性が確保されない。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑み、盗難者等による被害をより確実に抑制でき、安全性を確保することのできる車両用ドアの施錠装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、車両の複数のドアの設置部にそれぞれ設けられて各ドアの施錠および解錠を行う施錠機構と、前記各施錠機構をそれぞれ駆動する駆動手段と、当該駆動手段の駆動状態を制御可能な駆動部制御手段と、当該駆動部制御手段を車室外の遠隔地から作動操作するリモートコントローラとを備え、前記駆動部制御手段が、前記複数の駆動手段を駆動して当該駆動手段により施錠機構を駆動させることで、前記複数のドアを全て同時に解錠する第一の解錠制御手段と、前記複数の駆動手段のうち特定の駆動手段を駆動して当該駆動手段により特定の施錠機構を駆動させることで、当該特定の施錠機構が設けられた特定のドアのみを解錠する第二の解錠制御手段とを有するとともに、前記リモートコントローラの操作に応じて、前記第一の解錠制御手段と第二の解錠制御手段とが選択的に作動操作されることを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
本発明によれば、第一の解錠制御手段によって複数のドアを同時に解錠し同乗者等の円滑な乗車を確保することができる一方、第二の解錠制御手段によって特定のドアのみを解錠して、使用者等が乗車する以外のドア等の解錠を禁止し、盗難者等の車室内への不測の進入を抑制することができる。そして、この第一の解錠制御手段と第二の解錠制御手段とを遠隔操作可能なリモートコントローラの操作に応じて選択的に作動操作させることができるので、周囲の状況等に応じて使用者等の任意の選択が可能となり、操作性が向上する。
【0008】
また、本発明において、前記第二の解錠制御手段が、前記複数の駆動手段のうち前記リモートコントローラの操作後に最初に操作されたドアに設けられた駆動手段のみを駆動して、この駆動手段により前記施錠機構を駆動させ、前記操作されたドアのみを解錠するのが好ましい(請求項2)。
【0009】
このようにすれば、運転席に乗り込む場合や、後部座席から荷物を取り出す場合といった種々の使用状況に応じて、使用者等が解錠するドアを容易に選択することができるので、前記のように、盗難者等の車室内への不測の進入を抑制しつつ、使用者等の利便性を確保することができる。
【0010】
また、本発明において、前記特定のドアおよび当該ドアに設けられる前記特定の施錠機構および前記特定の駆動手段が予め指定されており、前記第二の解錠制御手段が、当該予め指定された特定の駆動手段のみを駆動してこの特定の駆動手段により前記特定の施錠機構を駆動させることで、前記指定された特定のドアのみを解錠するようにしてもよい(請求項3)。
【0011】
このようにすれば、使用者等が前記リモートコントローラの操作に加えてさらに何らかの操作をすることなく、予め指定した特定のドアのみを解錠することができるので、前記のように、盗難者等の車室内への不測の進入を抑制しつつ、使用者等の利便性を確保することができる。
【0012】
また、本発明において、前記複数のドアの開閉状態をそれぞれ検出するドア開閉状態検出手段を備え、前記第二の解錠制御手段によって前記特定ドアが解錠された場合に、当該第二の解錠制御手段が、前記ドア開閉状態検出手段によって前記特定のドアの開状態が検出された後当該特定のドアの閉状態が検出されるのに伴って、当該特定のドアに設けられた前記駆動手段を駆動して、この駆動手段により前記施錠機構を駆動させることで、当該特定のドアを自動的に施錠するのが好ましい(請求項4)。
【0013】
このようにすれば、使用者等が車室内に乗り込んだ後ドアを閉操作することで、解錠された特定のドアが自動的に施錠されることになるので、施錠し忘れ等を抑制して盗難者等の車室内への進入をより一層抑制することができる。
【0014】
また、本発明において、前記リモートコントローラが、前記第一の解錠制御手段を作動操作する第一の操作部と、前記第二の解錠制御手段を作動操作する第二の操作部とをそれぞれ有するのが好ましい(請求項5)。
【0015】
このようにすれば、第一の解錠制御手段と第二の解錠制御手段とを誤って作動操作するのを抑制することができ、操作性が向上する。
【0016】
また、本発明において、前記リモートコントローラの操作信号を受信する操作信号受信手段と、当該操作信号受信手段によって前記操作信号が受信された場合に、音声や光を発生することで当該操作信号の受信状況を使用者等に認識させるアンサーバック手段と、前記リモートコントローラの操作により前記第一の解錠制御手段の作動操作が選択された場合には、前記アンサーバック手段を駆動する一方、前記リモートコントローラの操作に応じて前記第二の解錠制御手段の作動操作が選択された場合には、当該アンサーバック手段の駆動を規制して前記音声や光の発生を禁止するアンサーバック制御手段とを有するのが好ましい(請求項6)。
【0017】
前記アンサーバック手段によれば、使用者等がリモートコントローラの操作信号の受信状況、ひいてはドアの施錠状況を容易に認識することができるので操作性が向上する。一方、前記のように音声や光を発生させてしまうと、ドアの施錠状況および使用者等の存在を使用者以外の者にも認識させてしまうことになる。そのため、使用者等が乗車するより前に盗難者等が車室内に侵入してしまうという事態を十分に回避できない可能性がある。従って、本構成のように、前記第一の解錠制御手段の作動操作が選択された場合にはアンサーバック手段を駆動する一方、前記第二の解錠制御手段の作動操作が選択された場合にはアンサーバック手段の駆動を規制するようにすれば、操作性を確保しつつより確実に盗難者等の進入を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、盗難者等の車室内への進入を抑制しつつ、利便性を確保することのできる車両用ドアの施錠装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、図1に示すように本発明に係る車両用ドアの施錠装置10を5ドアの車両1に用いた場合について説明する。
【0020】
図1は本発明に係る車両用ドアの施錠装置10を有する車両の概略構成図であり、図2はこの車両用ドアの施錠装置のリモートコントローラの概略図であり、図3はこの車両用ドアの施錠装置10の概略ブロック図である。
【0021】
前記のように、車両1は5ドアの車両であって、運転席側および助手席側にそれぞれ設けられたFRドア21とFLドア22と、後部座席の左右それぞれに設けられたRRドア23およびRLドア24と、荷室側のリヤゲートであるBドア25とを有している。そして各ドア21〜25には、それぞれ、ロックユニット(施錠機構)31〜35と、アウタドアハンドル41〜45と、解錠スイッチ51〜55と、ドア開閉センサ(ドア開閉状況検出手段)61〜65と、駆動手段71〜75とが設けられている。
【0022】
前記ロックユニット31〜35とは、各ドアを施錠しかつ解錠するためのユニットである。このロックユニットは、例えば各ドアに設けられた図示しないドアラッチと車体側に設けられたストライカとを係合させることで各ドアを施錠し、この係合状態を解除することで各ドアを解錠するように構成されている。そして、このロックユニット31〜35は、各ドアの内側に設けられた図示しないインナーロックノブの操作状況に応じて、あるいは、後述する駆動部制御手段110からの信号に応じて駆動される駆動手段71〜75によって駆動され、各ドア31〜35を施錠あるいは解錠する。
【0023】
前記駆動手段71〜75とは、前記ロックユニット31〜35をそれぞれ駆動するためのものである。この駆動手段71〜75は例えばモータ等からなり、前記ロックユニットに設けられたドアラッチと前記ストライカとを係合させる、あるいはこのドアラッチとストライカとの係合状態を解除している。
【0024】
前記アウタドアハンドル41〜45とは、各ドア31〜35の外側に設けられて各ドアの開閉操作を行うためのハンドルである。前記解錠スイッチ51〜55とは、後述する駆動手段制御部110に設けられた第二の解錠制御手段112によって解錠するドアを特定するためのスイッチである。具体的には、この第二の解錠制御手段112が作動操作された際に、いずれかの解錠スイッチ51〜55を押圧操作することで、最初に押圧操作された解錠スイッチが設けられたドアのみを解錠することができるようになっている。そして、この解錠スイッチ51〜55は、前記アウタドアハンドル41〜45の近傍等の使用者等の操作が可能な位置に設けられている。
【0025】
前記ドア開閉センサ61〜65とは、各ドアの開閉状況を検出するためのセンサである。これらドア開閉センサは、各ドアと車体との連結部分等に設けられて例えば各ドアの開閉角度等から開閉状況を検出する。
【0026】
前記キーレスエントリ操作リモコン100とは、使用者等が携帯可能な形状を有し、使用者等の操作によって遠隔地から前記駆動部制御手段110を作動操作して前記駆動手段71〜75を駆動し、各ドア31〜35を施錠あるいは解錠するためのものである。
【0027】
このキーレスエントリ操作リモコン100には、図2に示すように、ロックスイッチ103と、アンロックスイッチ101と、Sスイッチ102とが設けられている。ロックスイッチ103とは、ドア21〜25を全て同時に施錠するためのスイッチである。アンロックスイッチ101とは、ドア21〜25を全て同時に解錠するためのスイッチである。Sスイッチ102とは、特定のドアのみを解錠するためのスイッチである。このキーレスエントリ操作リモコン100では、これらスイッチ101〜103が押圧操作されるのに伴って、各スイッチに対応した固有コードを含むリクエスト信号を送信する。そして、このリクエスト信号が、後述するキーレスエントリ信号受信装置(操作信号受信手段)110で受信され、予め設定された固有コードと一致していることが確認されると、各スイッチに対応してドアの解錠あるいは施錠が行われる。
【0028】
また、このキーレスエントリ操作リモコン100には、図2に示すように、鍵部104が取り付けられている。この鍵部104は、運転席側のFRドア21等に設けられた前記ロックユニット31等を直接操作して、このドアの解錠あるいは施錠を行うためのものである。
【0029】
また、車両1には、インストゥルメントパネルの内側等に駆動手段制御部110と、キーレスエントリ信号受信装置80と、アンサーバック制御手段90とが設けられている。
【0030】
前記キーレスエントリ信号受信装置80とは、キーレスエントリ操作リモコン100から送信されたリクエスト信号を受信し、当該信号を前記駆動手段制御部110等に送信するためのものである。具体的には、前記のように、キーレスエントリ操作リモコン100から発せられた固有コードを含むリクエスト信号を受信して、予め登録された固有コードと一致しているかどうかを確認する。そして、ロックスイッチ101から送信された信号であるか、アンロックスイッチ101から送信された信号であるか、Sスイッチ102から送信された信号であるかを判別し、その判別結果を駆動手段70およびアンサーバック制御手段90に送信する。
【0031】
前記駆動部制御手段110とは、各ドア21〜25に設けられた前記駆動手段71〜75を駆動制御するためのものである。この駆動部制御手段110には、図3に示すように、第一の解錠制御手段111と第二の解錠制御手段112と一括施錠制御手段113とが設けられている。この第一の解錠制御手段111、第二の解錠制御手段112および一括施錠制御手段113は、前記キーレスエントリ信号受信装置80で受信、判別されたキーレスエントリ操作リモコン100の操作信号に基づいて、いずれか一の手段が選択される。
【0032】
前記一括施錠制御手段113は、前記ロックスイッチ103の押圧操作に応じて、全てのドア21〜25を同時に施錠するためのものである。すなわち、この一括施錠制御手段73は、ロックスイッチ103が押圧操作され、当該操作信号がキーレスエントリ信号受信装置80で受信および判別されると、全ての駆動手段71〜75を駆動して、これら駆動手段71〜75により前記ロックユニット31〜35を駆動させることで、全てのドア21〜25を同時に施錠する。
【0033】
前記第一の解錠制御手段111は、前記アンロックスイッチ101の押圧操作に応じて、全てのドア21〜25を同時に解錠するためのものである。すなわち、この第一の解錠制御手段111は、アンロックスイッチ101が押圧操作され、当該操作信号がキーレスエントリ信号受信装置80で受信および判別されると、全ての駆動手段71〜75を駆動して、これら駆動手段71〜75により前記ロックユニット31〜35を駆動させることで、全てのドア21〜25を同時に解錠する。
【0034】
前記第二の解錠制御手段112は、前記Sスイッチ102の押圧操作に応じて、特定のドアのみを解錠するためのものである。すなわち、この第二の解錠制御手段112は、Sスイッチ102が押圧操作され、当該操作信号がキーレスエントリ信号受信装置80で受信および判別されると、前記駆動手段71〜75のうち特定の駆動手段を駆動して、この特定の駆動手段により特定のロックユニットを駆動させることで、特定のロックユニットが設けられる特定のドアのみを解錠する。具体的には、前記キーレスエントリ信号受信装置80から送信される判別結果に基づいてこの第二の解錠制御手段112が選択された後、前記解錠スイッチ51〜55のうち最初に押圧操作された解錠スイッチが設けられたドアを解錠する。
【0035】
また、この第二の解錠制御手段112では、前記のようにして特定のドアを解錠した後、前記ドア開閉センサ61〜65に基づいてこの特定のドアが開操作され、さらにその後閉操作されたことが検出されると、この特定のドアを施錠する。このように、第二の解錠制御手段112では、特定のドアの解錠および施錠を行っている。
【0036】
前記アンサーバック制御手段90とは、前記キーレスエントリ信号受信装置80で受信および判別されたキーレスエントリ操作リモコン100からの操作信号に基づいて、アンサーバック手段を制御するためのものである。ここで、アンサーバック手段とは、前記キーレスエントリ信号受信装置80がキーレスエントリ操作リモコン100の操作信号を受信したかどうか、ひいては、この操作信号に応じてドアの解錠あるいは施錠が行われたかどうかを使用者等に認識させるためのものである。このアンサーバック手段としては、例えば図3に示すようにランプユニット2を用いることができる。このランプユニット2は、キーレスエントリ操作リモコン100の操作信号の受信状態に応じてターンシグナルランプ3等を点灯させ、使用者等に前記操作信号の受信状況を認識させる。
【0037】
前記アンサーバック制御手段90とは、前記キーレスエントリ信号受信装置80で受信および判別されたキーレスエントリ操作リモコン100からの操作信号に基づいて、このアンサーバック手段を駆動するかどうかを決定している。具体的には、前記キーレスエントリ信号受信装置80において前記ロックスイッチ103が押圧操作されたことが判別されると、ランプユニット2が駆動されてターンシグナルランプ3は点灯する。また、前記キーレスエントリ信号受信装置80において前記アンロックスイッチ102が押圧操作されたことが判別された場合にも、ランプユニット2が駆動されてターンシグナルランプ3が点灯する。ここで、どちらのスイッチの押圧操作が受信されたかを認識できるよう、ロックスイッチ103が押圧操作された場合の点灯方式と、アンロックスイッチ101が押圧操作された場合の点灯方式とは異なるものにしておくのがよい。一方、前記キーレスエントリ信号受信装置80において前記Sスイッチ102が押圧操作されたことが判別されると、ランプユニット2の駆動が規制されターンシグナルランプ3の点灯が禁止される。
【0038】
以上のように本施錠装置10では、キーレスエントリ操作リモコン100の操作状況に応じて、ドアの解錠パターンとアンサーバック手段の制御状態とを変化させることで、使用者等の操作性を確保しつつ安全性を確保することができるようになっている。
【0039】
次に、ドアの解錠を行う際の前記施錠装置10の動作をフローチャートを用いて説明する。図4は、前記実施形態に係る施錠装置10の動作を説明するためのフローチャートであり、図5は他の実施形態に係る施錠装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0040】
図4において、車両1の全てのドア21〜25が施錠されたロック状態であるとする。この状態で、アンロックスイッチ101の押圧操作がなされた場合、すなわちアンロックスイッチ101の操作信号が受信および判別された場合(ステップS1でYES)には、ランプユニット2が駆動されてターンシグナルランプ3が点灯される(ステップS2)。そして、第一の解錠制御手段111が作動して(ステップS3)、全ての駆動手段71〜75が駆動され、これら駆動手段71〜75により全てのロックユニット31〜35が駆動されることで(ステップS4)、全てのドア21〜25が解錠される(ステップS5)。
【0041】
一方、Sスイッチ102の押圧操作がなされた場合、すなわち、Sスイッチ102の操作信号が受信および判別された場合(前記ステップS1でNO、かつステップS6でYES)には、まず、ランプユニット2の駆動が規制されてターンシグナルランプ3の点灯が禁止される(ステップS7)。そして、各ロックユニット31〜35が待機状態になる(ステップS8)。ここで、前記Sスイッチ102の操作が受信された時点から所定時間内に解錠スイッチ51〜55のうちいずれかの操作が行われれば(ステップS9にてYES)、ステップS12に進む。一方、この所定時間内にいずれの解錠スイッチ51〜55も操作されなければ(ステップS9にてNO)、前記待機状態が解除されるとともに(ステップS10)、前記ランプユニット2の駆動規制状態およびターンシグナルランプ3の点灯禁止状態が解除されて(ステップS11)ステップS1に戻る。
【0042】
前記のように、所定時間内に解錠スイッチ51〜55のいずれかの解錠スイッチの操作が行われれば(ステップS9でYES)、第二の解錠制御手段112が作動する(ステップS12)。そして、前記操作された解錠スイッチが設けられたドアの駆動手段が駆動され、当該駆動手段により前記操作された解錠スイッチが設けられたドアのロックユニットが駆動されて(ステップS13)、このドアが解錠される(ステップS14)。
【0043】
次に、解錠されたドアが解錠後所定時間内に開操作されたかどうかが判断される(ステップS15)。ここでYESと判断されこのドアの開操作が検出されると、さらに、その後このドアが閉操作されたかどうかが判断される(ステップS16)。前記開操作の後の閉操作が検出された場合には(ステップS16でYES)、前記第二の解錠制御手段112によって前記解錠されたドアの駆動手段が駆動され、それに伴いこのドアに設けられたロックユニットが駆動されて、このドアが再度施錠される(ステップS17)。一方、解錠後所定時間内にドアの開操作が検出されなければ(ステップS15でNO)、このドアは第二の解錠制御手段112によって再び施錠され(ステップS18)、ステップS1に戻る。
【0044】
次に、図5を用いて他の実施形態に係る施錠装置による動作を説明する。ここでは、図4と異なるステップS6以降についてのみ説明する。
【0045】
この実施形態では、前記第二の解錠制御手段112により解錠するドアが予め指定されており、前記第二の解錠制御手段112が、前記解錠スイッチ51〜55による操作によらず、前記指定されたドアを解錠するよう構成されている。
【0046】
そして、この実施形態では、Sスイッチ102の押圧操作がなされた場合、すなわち、Sスイッチ102の操作信号が受信および判別された場合(前記ステップS1でNO、かつステップS6でYES)には、まず、ランプユニット2の駆動が規制されてターンシグナルランプ3の点灯が禁止される(ステップS20)。そして、第二の解錠制御手段112が作動して、前記指定されたドアの駆動手段およびロックユニットが駆動されることで(ステップS21)、前記指定されたドアが解錠される(ステップS22)。
【0047】
次に、図5に示した場合と同様に、前記解錠されたドアが解錠後所定時間内に開操作されたかどうかが判断される(ステップS23)。ここでYESと判断され、このドアの開操作が検出されると、さらに、その後このドアが閉操作されたかどうかが判断される(ステップS24)。前記開操作の後の閉操作が検出された場合には(ステップS24でYES)、前記第二の解錠制御手段112によって前記解錠されたドアの駆動手段が駆動されることで、このドアのロックユニットが駆動されて、このドアが再度施錠される(ステップS25)。一方、解錠後所定時間内にドアの開操作が検出されなければ(ステップS23でNO)、このドアは第二の解錠制御手段112によって再び施錠される(ステップS28)とともに、ターンシグナルランプ3の点灯禁止状態が解除されて(ステップS27)、ステップS1に戻る。
【0048】
以上のように本施錠装置10では、前記キーレスエントリ操作リモコン100の操作に応じて、複数のドアを同時に解錠する第一の解錠制御手段111と、特定のドアのみを解錠する第二の解錠制御手段112とが選択的に作動操作されるので、第一の解錠制御手段111によって複数のドア21〜25を同時に解錠し同乗者等の円滑な乗車を確保することができる一方、第二の解錠制御手段112によって特定のドアのみを解錠して使用者等が乗車する以外のドアの解錠を禁止し、盗難者等の車室内への不測の進入を抑制することができる。そして、この第一の解錠制御手段111と第二の解錠制御手段112とを遠隔操作可能なキーレスエントリ操作リモコン100の操作に応じて選択的に作動操作することができ、周囲の状況等に応じて使用者等が任意に選択することができるので、操作性が向上する。
【0049】
また、前記施錠装置10のように、前記第二の解錠制御手段112を、前記キーレスエントリ操作リモコン100の操作後に前記最初に操作された解錠スイッチが設けられたドアのみを解錠するように構成すれば、使用状況に応じて使用者等が解錠するドアを選択することができるので、利便性が向上する。
【0050】
また、前記施錠装置10のように、第二の解錠制御手段112によって解錠されたドアの開状態が検出された後閉状態が検出された場合に、この解錠されたドアを施錠するように構成すれば、このドアの施錠し忘れを抑制して使用者等の安全を確保することができる。
【0051】
また、前記施錠装置10のように、キーレスエントリ操作リモコン100に、第一の解錠制御手段111を作動操作するアンロックスイッチ101と、第二の解錠制御手段112を作動操作するSスイッチ102とを設けておけば、第一の解錠制御手段111と第二の解錠制御手段112とを誤って作動操作するのを抑制することができ、操作性が向上する。
【0052】
また、前記施錠装置10のように、前記第一の解錠制御手段111の作動操作が選択された場合にはアンサーバック手段を駆動する一方、前記第二の解錠制御手段112の作動操作が選択された場合にはアンサーバック手段の駆動を規制するようなアンサーバック制御手段90を設けておけば、第一の解錠制御手段111の作動時には、使用者等がキーレスエントリ操作リモコン100の操作信号の受信状況およびドアの開閉状況を容易に認識することができ操作性が向上する一方、第二の解錠制御手段112の作動時にはより確実に盗難者等の進入を抑制することができる。
【0053】
また、前記施錠装置10における他の実施形態のように、前記第二の解錠制御手段112の作動により解錠される特定のドアが予め指定されている場合には、使用者等が前記キーレスエントリ操作リモコン100の操作に加えてさらに何らかの操作をすることなく、予め指定した特定のドアのみを解錠することができるので、利便性が向上する。
【0054】
ここで、前記実施形態では、車両1に解錠スイッチ51〜55を設け、当該解錠スイッチの操作に応じて第二の解錠制御手段112により解錠されるドアを特定する方法について示したが、例えばアウタドアハンドル41〜45の操作状況に応じて、前記ドアを特定するようにしてもよい。すなわち、最初に操作されたアウタドアハンドルが設けられたドアのみを解錠するようにしてもよい。また、車室内に第二の解錠制御手段112によって解錠されるドアを特定する指定スイッチを別途設けて、この指定スイッチの操作状況に応じて前記ドアを特定するようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、前記ドア開閉センサ61〜65の検出結果に基づいて、第二の解錠制御手段112によって、一旦解錠されたドアを施錠するよう構成したが、さらに、シート等に設けられた重量センサといった使用者等が車内に乗り込んだかどうかを検出する検出手段を設け、使用者等が車内に乗り込んだことが検出されるとともに前記ドアの閉状態が検出されることで、前記ドアを施錠するように構成してもよい。
【0056】
また、キーレスエントリ操作リモコン100に全ての操作スイッチを設ける必要はなく、Sスイッチ機能を有するリモートコントローラのみを別途構築するようにしてもよい。
【0057】
また、キーレスエントリ操作リモコン100に全ての操作スイッチを個別に設ける必要はなく、一つあるいは二つの操作スイッチのみを設け、その押圧回数や押圧時間に応じて、前記施錠手段73、第一の解錠制御手段111、第二の解錠制御手段112が選択されるようにしてもよい。
【0058】
また、キーレスエントリ操作リモコン100の操作スイッチや解錠スイッチ等の操作は押圧操作に限らない。
【0059】
また、前記アンサーバック手段はランプユニット2限らず、ブザー音等の発生装置を用いてもよい。
【0060】
また、車両1のドア数は前記に限らない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る車両用ドアの施錠装置を有する車両の概略構成図である。
【図2】図1に示すリモートコントローラの概略図である。
【図3】図1に示す車両用ドアの施錠装置の概略ブロック図である。
【図4】図1に示す車両用ドアの施錠装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】他の実施形態に係る車両用ドアの施錠装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
2 ターンシグナルランプ(アンサーバック手段)
10 車両用ドアの施錠装置
21〜25 ドア
31〜35 ロックユニット(施錠機構)
51〜55 解錠スイッチ
61〜65 ドア開閉センサ(ドア開閉状況検出手段)
71〜75 駆動手段
80 キーレスエントリ信号受信装置
90 アンサーバック制御手段
100 キーレスエントリ操作リモコン(リモートコントローラ)
101 アンロックスイッチ(第一の操作部)
102 Sスイッチ(第二の操作部)
110 駆動部制御手段
111 第一の解錠制御手段
112 第二の解錠制御手段
113 一括施錠制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の複数のドアの設置部にそれぞれ設けられて各ドアの施錠および解錠を行う施錠機構と、
前記各施錠機構をそれぞれ駆動する駆動手段と、
当該駆動手段の駆動状態を制御可能な駆動部制御手段と、
当該駆動部制御手段を車室外の遠隔地から作動操作するリモートコントローラとを備え、
前記駆動部制御手段が、前記複数の駆動手段を駆動して当該駆動手段により施錠機構を駆動させることで、前記複数のドアを全て同時に解錠する第一の解錠制御手段と、前記複数の駆動手段のうち特定の駆動手段を駆動して当該駆動手段により特定の施錠機構を駆動させることで、当該特定の施錠機構が設けられた特定のドアのみを解錠する第二の解錠制御手段とを有するとともに、
前記リモートコントローラの操作に応じて、前記第一の解錠制御手段と第二の解錠制御手段とが選択的に作動操作されることを特徴とする車両用ドアの施錠装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアの施錠装置において、
前記第二の解錠制御手段が、前記複数の駆動手段のうち前記リモートコントローラの操作後に最初に操作されたドアに設けられた駆動手段のみを駆動して、この駆動手段により前記施錠機構を駆動させ、前記操作されたドアのみを解錠することを特徴とする車両用ドアの施錠装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用ドアの施錠装置において、
前記特定のドアおよび当該ドアに設けられる前記特定の施錠機構および前記特定の駆動手段が予め指定されており、
前記第二の解錠制御手段が、当該予め指定された特定の駆動手段のみを駆動してこの特定の駆動手段により前記特定の施錠機構を駆動させることで、前記指定された特定のドアのみを解錠することを特徴とする車両用ドアの施錠装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ドアの施錠装置において、
前記複数のドアの開閉状態をそれぞれ検出するドア開閉状態検出手段を備え、
前記第二の解錠制御手段によって前記特定ドアが解錠された場合に、当該第二の解錠制御手段が、前記ドア開閉状態検出手段によって前記特定のドアの開状態が検出された後当該特定のドアの閉状態が検出されるのに伴って、当該特定のドアに設けられた前記駆動手段を駆動して、この駆動手段により前記施錠機構を駆動させることで、当該特定のドアを自動的に施錠することを特徴とする車両用ドアの施錠装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の車両用ドアの施錠装置において、
前記リモートコントローラが、前記第一の解錠制御手段を作動操作する第一の操作部と、前記第二の解錠制御手段を作動操作する第二の操作部とをそれぞれ有することを特徴とする車両用ドアの施錠装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の車両用ドアの施錠装置において、
前記リモートコントローラの操作信号を受信する操作信号受信手段と、
当該操作信号受信手段によって前記操作信号が受信された場合に、音声や光を発生することで当該操作信号の受信状況を使用者等に認識させるアンサーバック手段と、
前記リモートコントローラの操作により前記第一の解錠制御手段の作動操作が選択された場合には、前記アンサーバック手段を駆動する一方、前記リモートコントローラの操作に応じて前記第二の解錠制御手段の作動操作が選択された場合には、当該アンサーバック手段の駆動を規制して前記音声や光の発生を禁止するアンサーバック制御手段とを有することを特徴とする車両用ドアの施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−115653(P2008−115653A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301972(P2006−301972)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】