説明

車両用ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】車両運転中にユーザが所望する施設を推定し案内できるようにする。
【解決手段】地図上に現在位置を表示して案内を行う車両用ナビゲーション装置において、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段(4)と、地図データ、施設データを含む案内に必要なデータを記憶した情報記憶手段(5)と、ドリンクホルダに置かれた飲料容器の重量を測定する重量測定手段(2)と、前記重量測定手段の測定結果から残量を推定する推定手段(6b)と、推定した残量が所定値以下になったとき、前記情報記憶手段に記憶された現在位置周辺の施設データを検索する検索手段(6c)と、前記検索手段で検索した施設データからユーザが所望する施設を推定して案内する制御手段(6d)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行時にユーザが所望する施設を推定し、案内するようにした車両用ナビゲーション装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置において、ジャンルを選択するジャンル検索、選択されたジャンルに属する施設を検索するメッシュ検索、検索された該当する施設を取得する周辺施設検索により、どのようなジャンルの施設であっても現在地から近い順に目的とする施設の検索をレスポンスよく行えるようにしたものが提案されている(特許文献1)。車両を運転中、ユーザが飲み物を購入したいとき、或いはトイレに行きたいときなどは、特許文献1のようなナビゲーション装置の周辺施設検索機能を使用し、飲み物を購入できる施設、トイレを使用できる施設として、例えばコンビニエンスストア等を目的地に設定することが行われている。
【特許文献1】特開2005−291892
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来においては、車両運転中における飲み物の購入などの生理的欲求への対処方は、自己管理であり、ナビゲーション装置がユーザの生理的欲求に応えられる豊富な施設データを保持しているにもかかわらず、ユーザがナビゲーション装置を意識的に操作しない限りナビゲーション装置側から関与することは行われていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、車両運転中にユーザが所望する施設を推定し、案内できるようにすることを目的とする。
本発明は、地図上に現在位置を表示して案内を行う車両用ナビゲーション装置において、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、地図データ、施設データを含む案内に必要なデータを記憶した情報記憶手段と、ドリンクホルダに置かれた飲料容器の重量を測定する重量測定手段と、前記重量測定手段の測定結果から残量を推定する推定手段と、推定した残量が所定値以下になったとき、前記情報記憶手段に記憶された現在位置周辺の施設データを検索する検索手段と、前記検索手段で検索した施設データからユーザが所望する施設を推定して案内する制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、地図上に現在位置を表示して案内を行う車両用ナビゲーション装置を制御するプログラムにおいて、車両の現在位置を検出するステップ、ドリンクホルダに置かれた飲料容器の重量を測定するステップ、測定結果から残量を推定するステップ、推定した残量が所定値以下になったとき情報記憶手段に記憶された現在位置周辺の施設データを検索するステップ、検索した施設データからユーザが所望する施設を推定して案内するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、ドリンクホルダの飲料容器の残量を推定し、その残量からユーザの所望する施設を推定して案内することで、ナビゲーション装置側から積極的にユーザの生理的欲求を満たすことを手助けすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係るナビゲーション装置の例を示す図である。出発地や目的地の情報を入力するキーボード、マウス、タッチパネル、操作キー等からなる入力装置1、車両のドリンクホルダに置いたペットボトルや缶などの飲料容器の重量を測定する重量センサ2、ドリンクホルダ付近に配置してドリンクホルダの飲料容器を撮影し、容器の形状、サイズを認識し、また、ドリンクホルダから飲料容器が離れる回数等を検知するためのカメラ3、車両の現在位置に関する情報を検出する現在位置検出装置4、地図データ、施設データ、道路データ、経路の探索に必要なナビゲーション用データ、経路案内に必要な表示/音声の案内データ、さらに地図の表示、経路探索、音声案内等を行うためのプログラム(アプリケーション及び/又はOS)等を記憶した情報記憶装置5、入力された目的地までの経路を探索する経路探索手段6a、重量センサ2の測定結果、或いはカメラ3で撮影した画像データも利用してドリンクホルダの飲料容器の残量を推定する推定手段6b、現在位置周辺の施設を検索する周辺検索手段6c、走行中にユーザの所望する施設を推定して案内する制御手段6dを備え、ナビゲータ処理手段として地図の表示処理、経路探索処理、経路案内に必要な表示/音声案内処理、さらにシステム全体の制御を行う中央処理装置6、車両の走行に関する情報である、例えば道路情報、交通情報を送受信したり、車両の現在位置に関する情報を検出したり、さらに現在位置に関する情報を送受信したりする情報送受信装置7、経路案内に関する情報を出力するディスプレイやスピーカその他の出力装置8から構成されている。
【0007】
図2はドリンクホルダの飲料容器の重量測定、カメラ撮影を説明する図である。
通常、車両にはドリンクホルダが設けられ、ユーザは購入ないしは持参した飲料容器をドリンクホルダに置いて走行中利用している。走行過程において、ドリンクホルダの飲料容器の残量は減少していき、当然、さらに飲み物が欲しくなったり、或いはトイレに行きたいなどの生理的欲求が生ずる。本実施形態ではこのような生理的欲求があることを想定し、ユーザが所望する施設を案内する。
【0008】
車両の運転席や助手席の近傍、ドアの近傍、或いは後部座席等にはドリンクホルダ10が設けられ、ペットボトルや缶などの飲料容器11が置かれる。本実施形態では重量センサ7で飲料容器11の重量を測定する。この重量測定は、飲む前と飲んだ後の比較漏れがないように、例えば、1分間隔ごとに行うように重量センサが制御される。通常、ペットボトルや缶などは、250cc、500cc、750cc、1000ccなど定容量であるため、これらのデータを予め保持しておくことにより、最初にドリンクホルダ10に置いたときの重量を測定することで、ドリンクホルダに置いた飲料容器の最大許容容量を知ることができる。飲料容器の最大許容容量を知ることで、その後の重量測定値から残量を推定することで飲んだ量を知ることが可能である。なお、多量に飲んでから初めてドリンクホルダ10に飲料容器を置いた場合には、最初の測定値で飲料容器の最大許容容量を知ることはできない。このような場合は、カメラ8で飲料容器を撮影し、画像認識により容器の形状やサイズを認識して容器の最大許容容量を求める。容器の最大許容容量が分かれば重量測定値から残量を推定することが可能である。
【0009】
例えば、図3に示すように、残量が多い(飲んだ量が少ない)図3(a)の状態から、図3(b)に示すように、残量が15%以下(飲んだ量が85%以上)になったと推定したとき、ユーザは飲みものを購入したい、トイレに行きたいと思っているなどユーザの生理的欲求があると判断し、ナビゲーション装置では飲料水が購入ができる施設、トイレが使用できるコンビニエンスストア、飲食店、スーパー等の施設を周辺検索し、検索データの中からユーザが所望する施設と推定して案内する。そのためには、施設データの中に、自動販売機の設置場所、公衆トイレや有料トイレなどの施設データを情報記憶装置5に加えておくことが望ましい。
【0010】
次に、図4によりユーザが所望する施設を推定して案内する処理フローについて説明する。
この処理は、例えばアクセルキーのONを検知するとスタートし、最初に飲料容器の重量を測定する(ステップS1)。この重量測定は、例えば1分間隔程度で行い、時々刻々の測定結果に基づいてドリンク残量を推定する(ステップS2)。上記したように、ペットボトルや缶などは、最大許容容量が決まっているため、飲んだ量が少ないと思われる初期の測定値から最大許容容量を知ることができ、その後の重量測定値から残量を推定することが可能である。次いで、残量が所定値以下、例えば最大許容容量の15%以下になったか否か判断し(ステップS3)、これによりユーザが飲みものを購入したいと思っている、或いはトイレに行きたいと思っているなどの生理的欲求があるか否か判断する。残量が多い場合はステップS1に戻って重量測定を行う。次いで、残量が所定値以下になったと推定できた場合、経路を走行中か否か判断する(ステップS4)。経路走行中の場合には、その目的地が特定の施設、例えば、飲みものの購入が可能、或いはトイレ利用が可能なコンビニエンスストア、飲食点、スーパー等、或いは自宅か否か判断し(ステップS5)、このような特定の施設、自宅を目的地とした経路走行中の場合は、既にユーザが生理的欲求を満たすために行動を起こしているのでユーザが所望する施設を推定する案内は行わない。経路走行中でない場合、特定の施設や自宅を目的地としていない経路走行の場合は、ユーザが飲み物を購入したい、或いはトイレに行きたいと思っていると判断して現在位置周辺の施設を検索し(ステップS6)、検索結果の中からユーザが所望する施設を推定して案内する(ステップS7)。例えば、案内画面に現在地にもっとも近い施設を表示するとともに、音声案内で「ドリンクの補充は如何ですか。○○先に××ポイントがあります。」、「トイレは大丈夫でしょうか。○○先に△△ポイントがあります。」のように案内する。また、現在地周辺の複数の施設を地図画面上に表示又はリスト表示してその中からユーザに選択してもらうしてもよい。さらに、現在地に最も近い施設やユーザが選択した施設を目的地として経路を探索し、当該施設まで経路誘導するようにしてもよい。
【0011】
なお、ステップS1〜S3における残量の推定において、カメラ撮影画像から飲料容器の形状、サイズを画像認識して最大許容容量を求めることを加えれば、一層精度よく残量の推定が可能である。また、カメラ撮影画像の画像認識によりドリンクホルダから飲料容器が離れる回数を検知し、離れる回数が多かったり、残量の減り方が速い場合には、残量が最大許容容量の30%以下になったとき案内することで、案内のタイミングを早くするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置の例を示すブロック図である。
【図2】ドリンクホルダにおける飲料容器の残量検知を説明する図である。
【図3】飲料容器の残量の説明図である。
【図4】ユーザが所望する施設の案内処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0013】
1…入力装置、2…重量センサ、3…カメラ、4…現在位置検出装置、5…情報記憶装置、6…中央処理装置、6a…経路探索手段、6b…推定手段、6c…周辺検索手段、6d…制御手段、7…情報送受信装置、8…出力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上に現在位置を表示して案内を行う車両用ナビゲーション装置において、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
地図データ、施設データを含む案内に必要なデータを記憶した情報記憶手段と、
ドリンクホルダに置かれた飲料容器の重量を測定する重量測定手段と、
前記重量測定手段の測定結果から残量を推定する推定手段と、
推定した残量が所定値以下になったとき、前記情報記憶手段に記憶された現在位置周辺の施設データを検索する検索手段と、
前記検索手段で検索した施設データからユーザが所望する施設を推定して案内する制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、案内経路走行時、目的地が特定の施設または自宅であるとき、ユーザが所望する施設を推定する案内を行わないことを特徴とする請求項1記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
さらに、飲料容器を撮影する撮影手段を備え、前記推定手段は撮影手段による撮影画像の認識結果も加味して残量を推定することを特徴とする請求項1記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、飲料水が購入可能な施設をユーザが所望する施設と推定して案内することを特徴とする請求項1記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
地図上に現在位置を表示して案内を行う車両用ナビゲーション装置を制御するプログラムにおいて、
車両の現在位置を検出するステップ、
ドリンクホルダに置かれた飲料容器の重量を測定するステップ、
測定結果から残量を推定するステップ、
推定した残量が所定値以下になったとき情報記憶手段に記憶された現在位置周辺の施設データを検索するステップ、
検索した施設データからユーザが所望する施設を推定して案内するステップ、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−85614(P2009−85614A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251956(P2007−251956)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】