説明

車両用ブレーキ液圧制御装置

【課題】常開型比例電磁弁を備えてABS制御などのブレーキ液圧制御とEBD制御を行う車両用ブレーキ液圧制御装置において、耳障りな磁歪音を無くすことを目的とする。
【解決手段】入口弁として常開型比例電磁弁を備え、車輪ブレーキの増圧状態、保持状態または減圧状態を切り換えるABS制御手段24などのブレーキ液圧制御手段と、後輪の制動力を前輪の制動力よりも弱めるように配分すべく後輪の車輪ブレーキの液圧を保持状態に切換制御するEBD制御手段26とを備える車両用ブレーキ液圧制御装置100である。ブレーキ液圧手段は、PWM制御におけるデューティ比を変更することで入口弁1への通電量を制御し、EBD制御手段26は、入口弁へデューティ比100%で電流を供給することで閉弁制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置に関し、詳しくは、前後輪制動力配分制御を実行可能な車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪ブレーキのホイールシリンダ内のブレーキ液圧を制御して、アンチロックブレーキ(ABS)制御や、前後輪制動力配分(EBD)制御をする車両用ブレーキ液圧制御装置が知られている。近年、このような車両用ブレーキ液圧制御装置では、マスタシリンダからホイールシリンダに向かう液圧路に設ける常開型電磁弁に、常開型比例電磁弁を採用することでホイールシリンダ圧を滑らかに制御することが行われている。そして、常開型比例電磁弁は、一般に、所定の一サイクル時間に対する通電時間の割合、いわゆるデューティ比を調整することで、電流を可変制御するPWM制御(デューティ制御)が利用される(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−255017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PWM制御においてデューティ比を変更して電流を制御し、常開型比例電磁弁を駆動すると磁歪音が発生する。特に、EBD制御時には、ABS制御時とは異なりポンプやモータが作動しないので、この磁歪音が耳障りであるという問題がある。
特許文献1の発明においては、常開型比例電磁弁の閉弁時には、開弁時に比較して1サイクル時間を長くするので、周波数が低い方へ移行し、磁歪音が余計に耳障りになるという問題がある。なお、同文献において、常開型比例電磁弁の閉弁時には指示電流を閉弁維持電流となるように設定しているが、この指示電流も閉弁維持電流となるように通電電流をデューティ制御しているものであるため、磁歪音の発生を防止しているわけではない。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みなされたもので、常開型比例電磁弁を備えてABS制御などのブレーキ液圧制御とEBD制御を行う車両用ブレーキ液圧制御装置において、耳障りな磁歪音を無くすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明は、少なくとも前後1輪ずつの複数の車輪に設けられた車輪ブレーキの制動力を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、液圧源から前記車輪ブレーキに向かう液圧路に設けられて、供給される電流に応じて前記車輪ブレーキに供給するブレーキ液圧を調整可能な常開型比例電磁弁と、前記車輪ブレーキから前記液圧源に向かう液圧路に設けられた常閉型電磁弁と、前記常開型比例電磁弁および前記常閉型電磁弁を制御して前記車輪ブレーキの増圧状態、保持状態または減圧状態を切り換えるブレーキ液圧制御手段と、前後輪の制動力を適切に配分すべく前記後輪の車輪ブレーキの液圧を調整する前後輪制動力配分制御手段と、を備え、前記ブレーキ液圧制御手段は、PWM制御におけるデューティ比を変更することで前記常開型比例電磁弁への通電量を制御し、前記前後輪制動力配分制御手段は、前記常開型比例電磁弁へデューティ比100%で電流を供給することで閉弁制御することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、前後輪制動力配分制御手段は、常開型比例電磁弁を閉弁制御するときにデューティ比100%で電流を供給するので、磁歪音は全く発生しない。
なお、本発明におけるブレーキ液圧制御手段が行う制御は、前後輪制動力配分制御以外のブレーキ液圧の増圧状態、保持状態または減圧状態を切り換えるもので、ABS制御が含まれ、車両の挙動を安定化させる横滑り抑制制御などの制御が含まれるものであってもよい。
【0008】
前記した車両用ブレーキ液圧制御装置においては、前記車輪ブレーキを減圧するときに排出したブレーキ液を汲み上げ、および/または、前記車輪ブレーキの少なくとも一つを加圧するためのポンプと、当該ポンプを駆動するモータとを備えることができる。
【0009】
このように、ポンプおよびモータを備える装置においては、ABS制御などの際にポンプが作動するので、常開型比例電磁弁の磁歪音は全く気にならないものの、前後輪制動力配分制御の際には、ポンプおよびモータが作動しないので、磁歪音の発生が問題となる。したがって、このような装置において、本発明の効果が顕著に発揮される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、常開型比例電磁弁を備えてABS制御などのブレーキ液圧制御と前後輪制動力配分制御を行う車両用ブレーキ液圧制御装置において、耳障りな磁歪音を無くすことができる。そのため、搭乗者に不快感を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図であり、図2は車両用ブレーキ液圧装置のブレーキ液圧回路図である。
【0012】
図1に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、車両CRの各車輪(前輪F,F、後輪R,R)に付与する制動力を適宜制御する装置である。車両用ブレーキ液圧制御装置100は、油路や各種部品が設けられる液圧ユニット10と、液圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御部20とを主に備えている。
【0013】
各車輪には、それぞれ車輪ブレーキFL,RR,RL,FRが備えられ、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRには、液圧源の一例としてのマスタシリンダMから供給される液圧により制動力を発生するホイールシリンダWが備えられている。マスタシリンダMとホイールシリンダWとは、それぞれ液圧ユニット10に接続されている。そして、ブレーキペダルPの踏力(運転者の制動操作)に応じてマスタシリンダMで発生したブレーキ液圧が、制御部20および液圧ユニット10で制御された上でホイールシリンダWに供給されている。
【0014】
制御部20には、各前輪F,Fの車輪速度を検出する前輪速度センサSFL,SFRおよび各後輪R,Rの車輪速度を検出する後輪速度センサSRL,SRRが接続されている。そして、この制御部20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、前輪速度センサSFL,SFRおよび後輪速度センサSRL,SRRからの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。なお、制御部20の詳細は、後述することとする。
【0015】
図2に示すように、液圧ユニット10は、マスタシリンダMと車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとの間に配置されている。マスタシリンダMの二つの出力ポートM1,M2は、液圧ユニット10の入口ポート121に接続され、出口ポート122が、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに接続されている。そして、通常時は液圧ユニット10内の入口ポート121から出口ポート122までが連通した油路となっていることで、ブレーキペダルPの踏力が各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達されるようになっている。
【0016】
液圧ユニット10には、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに対応して四つの入口弁1、四つの出口弁2、および四つのチェック弁1aが設けられている。また、出力ポートM1,M2に対応した各出力液圧路81,82に対応して二つのリザーバ3、二つのポンプ4、二つのダンパ5、二つのオリフィス5aが設けられ、二つのポンプ4を駆動するためのモータ6を備えている。
【0017】
入口弁1は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとマスタシリンダMとの間(各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの上流側)に配置された常開型比例電磁弁である。入口弁1は、前記した制御部20からの通電量によって、その開弁量が調整可能となっている。入口弁1は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、入口弁1は、車輪がロックしそうになったときに制御部20により閉塞されることで、ブレーキペダルPから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達する液圧を遮断する。さらに、入口弁1は、制御部20によって所定の閉弁力(開弁量)となるように制御されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR内の液圧を所定の傾きで増加させる。
【0018】
出口弁2は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRと各リザーバ3との間(入口弁1のホイールシリンダW側の液圧路からリザーバ3およびポンプ4に通じる液圧路上)に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁2は、通常時に閉塞されているが、車輪がロックしそうになったときに制御部20により開放されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに加わる液圧を各リザーバ3に逃がす。
【0019】
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルPからの入力が解除された場合に入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流れを許容する。
【0020】
リザーバ3は、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液を一時的に貯留する機能を有している。
ポンプ4は、リザーバ3で貯留されているブレーキ液を吸入し、そのブレーキ液をダンパ5やオリフィス5aを介してマスタシリンダMへ戻す機能を有している。
【0021】
入口弁1および出口弁2は、制御部20により開閉状態が制御されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRのホイールシリンダWにおける液圧(以下、「キャリパ圧」ともいう。)を制御する。例えば、入口弁1が開、出口弁2が閉となる通常状態では、ブレーキペダルPを踏んでいれば、マスタシリンダMからの液圧がそのままホイールシリンダWへ伝達して増圧状態となり、入口弁1が閉、出口弁2が開となれば、ホイールシリンダWからリザーバ3側へブレーキ液が流出して減圧状態となり、入口弁1と出口弁2が共に閉となれば、キャリパ圧(ホイールシリンダWの液圧)が保持される保持状態となる。また、入口弁1を所定の開弁量で開弁させた状態では、ホイールシリンダW内が所定の傾きで徐々に増圧する増圧状態となる。そして、制御部20は、各ホイールシリンダWで目標とするブレーキ液圧に応じて、前記した増圧状態、減圧状態、保持状態を切り換えるべく、各入口弁1や各出口弁2に所定量の電流または制御信号を出力する。
【0022】
次に、制御部20の詳細について説明する。参照する図面において、図3は、制御部の構成を示すブロック図であり、図4は、制御部による入口弁の開弁制御を示すフローチャートである。
【0023】
図3に示すように、制御部20は、前輪速度センサSFL,SFRおよび後輪速度センサSRL,SRRが検出した車輪速に基づき、ABS制御およびEBD制御を行う装置である。そのため、制御部20は、前輪速度算出部21、後輪速度算出部22、スリップ率算出部23、ABS制御手段24、目標車輪速度設定部25、EBD制御手段26、弁駆動部27および記憶部29を備えている。
【0024】
前輪速度算出部21は、左右の前輪速度センサSFL,SFRが検出した前輪F,Fの回転速度を前輪F,Fの外周の速度に換算して前輪F,Fの速度を算出する部分である。後輪速度算出部22も同様にして、左右の後輪速度センサSRL,SRRが検出した後輪R,Rの回転速度から後輪R,Rの速度を算出する。前輪F,Fおよび後輪R,Rの速度は、スリップ率算出部23および目標車輪速設定部25に出力され、後輪R,Rの速度は、EBD制御手段26に出力される。
【0025】
スリップ率算出部23は、前輪F,Fおよび後輪R,Rの速度から公知の方法によりスリップ率を算出する部分である。スリップ率は、車体速度を推定した上で、各車輪について算出する。算出されたスリップ率はABS制御手段24に出力される。
【0026】
ABS制御手段24は、スリップ率に基づいて、各車輪のロックを抑制するべく、各車輪に制動力を適宜付与する手段である。例えば、スリップ率が所定値以上であれば、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの減圧を弁駆動部27に指示し、スリップ率が所定範囲内であれば、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの液圧の保持を弁駆動部27に指示し、スリップ率が所定値以下であれば、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの増圧を弁駆動部27に指示するようになっている。
ABS制御手段24は、保持または減圧後に増圧をするため入口弁1を開くに際し、PWM制御によるデューティ比を変更することで、入口弁1の通電量、すなわち開き具合を制御する。
【0027】
目標車輪速度設定部25は、各後輪R,Rの目標車輪速度を設定する部分である。EBD制御においては、一例として左右で同じ側の後輪Rの速度と前輪Fの速度とを同等にすれば、各前輪F,Fと各後輪R,Rの制動力配分が適正になるのであるが、各後輪R,Rの車輪速度の設定方法は、これに限定されるものではない。各後輪R,Rの車輪速度の設定を各前輪F,Fの車輪速度と同等にする場合、各前輪F,Fの速度を目標車輪速度とすればよい。また、特開2007−30797号公報に開示されているように、各後輪R,Rの今回の目標車輪速度を、前回の目標車輪速度と各前輪F,Fの減速量とに基づいて設定してもよい。設定された目標車輪速度は、EBD制御手段26に出力される。
【0028】
EBD制御手段26は、各後輪R,Rの目標車輪速度と各後輪R,Rの車輪速度とに基づいて各後輪R,Rの制動力を制御することで、各後輪R,Rの制動力を各前輪F,Fの制動力よりも弱めるように各前輪F,Fと各後輪R,Rの制動力配分を調整する部分である。
具体的には、各後輪R,Rの目標車輪速度と各後輪R,Rの車輪速度との差(速度差)の大小に応じて後輪R,Rの制御弁手段Vを制御する。例えば、速度差が予め設定された増圧基準値以上である場合には、入口弁1を開弁させるとともに出口弁2を閉弁させる指示を弁駆動部27に出力し、速度差が予め設定された減圧基準値よりも大きくかつ増圧基準値未満であれば入口弁1を閉弁させるとともに出口弁2を閉弁させる指示を弁駆動部27に出力し、速度差が減圧基準値以下である場合には入口弁1を閉弁させるとともに出口弁2を開弁する指示を弁駆動部27に出力する。EBD制御手段26は、この入口弁1の制御の際、入口弁1に100%デューティで電流を供給する指示をすることで、閉弁制御する。
【0029】
弁駆動部27は、ABS制御手段24およびEBD制御手段26の指示にしたがって、制御弁手段Vを駆動する部分である。すなわち、ABS制御手段24およびEBD制御手段26からの指示に従い、入口弁1をデューティ制御し、出口弁2に信号を出力する。この際、ABS制御手段24の指示に従い、入口弁1のデューティ比を適宜変更し、EBD制御手段26に従い、入口弁1に100%デューティで電流を供給する。
【0030】
記憶部29は、制御部20で用いる演算式や、テーブル、定数、プログラムなどを記憶している記憶装置である。
【0031】
以上のように構成された車両用ブレーキ液圧制御装置100の動作について説明する。
図4に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、車両CRの走行中に、随時前輪F,Fの回転速度と後輪R,Rの回転速度を検出し、車輪速度を算出する(S101)。そして、前輪F,Fの車輪速度と後輪R,Rの車輪速度に基づいてスリップ率を算出する(S102)。このスリップ率に基づいて、ABS制御手段24は、ABS制御条件の成立を判断し、成立した場合には(S103,Yes)、ABS制御のために、減圧、保持または増圧の指示を弁駆動部27に出力する。そして、弁駆動部27により制御弁手段Vが制御される。このとき、入口弁1は、指定のデューティ比で制御される(S104)。すなわち、増圧の程度によっては、デューティ比が随時変更されつつ、入口弁1の開度が調整される。
【0032】
一方、ABS制御条件が成立しない場合(S103,No)、目標車輪速度設定部25により、目標車輪速度が設定される(S105)。そして、EBD制御手段26により、EBD制御条件が成立したかどうか判断される。EBD制御条件が成立した場合(S106,Yes)、EBD制御のために制御弁手段Vに、減圧、保持または増圧の指示を弁駆動部27に出力する。このとき、入口弁1は、100%デューティで閉弁制御される(S107)。
【0033】
ステップS106において、EBD制御条件が成立しない場合(No)、制御弁手段Vの駆動指示は出力されない。すなわち、入口弁1の駆動は停止する(S108)。
【0034】
以上のように、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100によれば、ABS制御をするときには、PWM制御におけるデューティ比を変更することで入口弁1に供給される電流が制御されるが、EBD制御をする場合には、入口弁1が100%デューティで制御される。したがって、EBD制御時において、耳障りな磁歪音が発生することはなく、車両CRの居住環境を良好にすることができる。
なお、ABS制御をするときには、入口弁1を制御するデューティ比を100%にするとは限らないので、磁歪音が発生するが、ABS制御時には、モータ6の作動音などで磁歪音はほとんど分からないので、車両CRの居住性にはほとんど影響がない。
【0035】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
例えば、液圧源はブレーキペダルPにより圧力を発生するマスタシリンダMには限られない。
【0036】
前記実施形態においては、EBD制御の他に、ABS制御をする場合についてのみ説明したが、車両CRが横滑りし始めたときに、車両CRを安定化させる横滑り抑制制御を併せて行う車両用ブレーキ液圧制御装置に本発明を適用することもできる。この場合、例えば特開2007−30757号公報に記載のように、ポンプで車輪ブレーキの少なくとも一つを加圧する形態とすることができる。
【0037】
前記実施形態においては、4輪の車両CRについてのみ例示したが、2輪車や、6輪車など前後に少なくとも一つの車輪がある車両であれば、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図である。
【図2】車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。
【図3】制御装置のブロック構成図である。
【図4】制御部による入口弁の開弁制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 入口弁
2 出口弁
3 リザーバ
4 ポンプ
5 ダンパ
6 モータ
10 液圧ユニット
20 制御部
100 車両用ブレーキ液圧制御装置
FL,RR,RL,FR 車輪ブレーキ
M マスタシリンダ
R 後輪
SF 前輪速度センサ
SR 後輪速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前後1輪ずつの複数の車輪に設けられた車輪ブレーキの制動力を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
液圧源から前記車輪ブレーキに向かう液圧路に設けられて、供給される電流に応じて前記車輪ブレーキに供給するブレーキ液圧を調整可能な常開型比例電磁弁と、
前記車輪ブレーキから前記液圧源に向かう液圧路に設けられた常閉型電磁弁と、
前記常開型比例電磁弁および前記常閉型電磁弁を制御して前記車輪ブレーキの増圧状態、保持状態または減圧状態を切り換えるブレーキ液圧制御手段と、
前後輪の制動力を適切に配分すべく前記後輪の車輪ブレーキの液圧を調整する前後輪制動力配分制御手段と、を備え、
前記ブレーキ液圧制御手段は、PWM制御におけるデューティ比を変更することで前記常開型比例電磁弁への通電量を制御し、
前記前後輪制動力配分制御手段は、前記常開型比例電磁弁へデューティ比100%で電流を供給することで閉弁制御することを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
前記車輪ブレーキを減圧するときに排出したブレーキ液を汲み上げ、および/または、前記車輪ブレーキの少なくとも一つを加圧するためのポンプと、当該ポンプを駆動するモータとを備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−12734(P2009−12734A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180347(P2007−180347)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】