説明

車両用内装材

【課題】基材から表皮材が剥離することを抑制可能な車両用内装材を提供できる。
【解決手段】板状をなし、植物性繊維が含有された基材20と、基材20の主表面20A及び端面20Bを覆う形で接着された表皮材30と、を備え、基材20において、端面20B側の周端部21の厚さY1を中央部22の厚さY2より小さく設定することで、基材20の主表面20Aのうち、周端部の表面21Aが中央部の表面22Aよりも低い位置に配されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用内装材として、例えば、繊維が含有された基材に表皮材を被覆したものが知られている(例えば、下記特許文献1)。特許文献1に記載の車両用内装材は、基材を加熱した状態で表皮材を積層し、両部材をプレス型などでプレスすることで成形と同時に表皮材の接着が行われる。表皮材は基材の主表面及び端面を覆う構成となっており、見栄えを向上できるとともに、基材の端部に直接手を触れることを抑止でき、安全性をより高くできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−222208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようにプレス成型などによって、表皮材を基材に押しつける場合、基材の端面において表皮材が剥がれやすくなる事態が懸念される。なぜなら、一般的にプレス型は、最も接着面が大きい主表面と交差する方向から押しつける場合が多く、基材の端面に対しては、基材の主表面と比較して表皮材を押しつけにくく(押しつける力が及び難く)、接着性を高くすることが困難であるためである。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、基材から表皮材が剥離することを抑制可能な車両用内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用内装材は、板状をなし、植物性繊維が含有された基材と、前記基材の主表面及び端面を覆う形で接着された表皮材と、を備え、前記基材において、前記端面側の周端部の厚さを中央部の厚さより小さく設定することで、前記基材の前記主表面のうち、前記周端部の表面が前記中央部の表面よりも低い位置に配されていることに特徴を有する。
【0007】
本発明においては、表皮材にて基材の端面を覆うことで見栄えを向上できるとともに、基材の端部に直接手を触れることを抑止でき、安全性をより高くできる。ここで、基材と表皮材との接着性を高くするためには、両部材の接着時に、例えばプレス型などで表皮材を基材に対して強く押しつけることが好ましい。しかし、最も接着面が大きい主表面と直交する方向から力を付与して押しつける場合、基材の端面に対しては、基材の主表面と比較して表皮材を押しつけにくく(押しつける力が及び難く)、接着性を高くすることが困難である。つまり、基材の端面は、基材の主表面と比較して、接着性を確保し難く、表皮材が剥がれやすい箇所と言える。
【0008】
そこで、本発明においては、基材において端面側の周端部の厚さを中央部の厚さより小さく構成した。このようにすれば、例えば、基材全面に渡って同じ厚さとした構成と比較して、基材の厚さ方向における端面の寸法が小さくなる。これにより、表皮材が比較的剥がれやすい箇所である基材の端面の面積を小さくできる結果、端面において、表皮材が剥離する事態を抑制できる。また、特に植物性繊維からなる基材は表皮材に対する接着性が低く、端面において極端に接着性が低下することが懸念される。しかしながら、本発明のような中央部より周端部の厚さを小さくする構成を採用することで、植物性繊維からなる基材を用いた場合であっても端面における十分な接着性を確保することが可能となる。
【0009】
上記構成において、前記植物性繊維はケナフ繊維であるものとすることができる。ケナフ繊維は、例えば木材繊維などと比較して高い強度を有し、繊維長が長い。このようなケナフ繊維を用いることで、基材の強度を高くできる。また、一年生草であるケナフは収穫量が多く入手しやすいため、製造に係るコストを低減することができる。
【0010】
また、前記表皮材は、前記基材に加熱圧着されているものとすることができる。表皮材を基材に加熱圧着する構成とすれば、両部材の接着に際して接着剤などが不要となり、材料に係るコストを低減できる。
【0011】
また、前記表皮材は起毛性部材からなり、前記基材に対して加熱圧着されており、前記加熱圧着は、前記基材の前記表皮材が形成された側とは反対側から加熱されるものとすることができる。
【0012】
表皮材を基材に対して加熱圧着する場合は、表皮材は加熱された状態で基材側へ押圧される。表皮材が起毛性部材である場合は、起毛が加熱された状態で倒されることとなり、倒れたままの状態で保持される(毛倒れ)おそれがある。この点、本発明においては、基材の周端部の表面を中央部の表面より低い位置に配しており、両表面は非同一面上に配されている。このため、仮に、表皮材の周端部に毛倒れが発生した場合であっても、周端部の表面と中央部の表面が同一平面上となっている構成と比較して、周端部の表面と中央部の表面とでは光の当たり方に違いが生じ、毛倒れが目立ちにくい。
【0013】
また、加熱圧着を行う際に、基材を裏側(表皮材で覆われた側とは反対側)から加熱する場合は、基材の周端部(基材において比較的厚さの小さい部分)に接着されている表皮材の箇所(表皮材の周端部)には、基材を介して熱が伝わりやすく、特に毛倒れが起こりやすい。つまり、本発明においては、周端部の表面を中央部の表面より低くした基材に対して加熱圧着を行うことで、表皮材周端部における毛倒れの発生が懸念されるのであるが、仮に毛倒れが発生した場合であっても、周端部は、厚さを異ならせた段差形状となっているため当該毛倒れが目立ちにくく、見栄えが低下する事態を抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基材から表皮材が剥離することを抑制可能な車両用内装材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係るラゲージボードが取り付けられた車両の荷室を示す斜視図。
【図2】図1のラゲージボードにおいて周端部付近を示す断面図(図1のA−A断面線で切断した図)。
【図3】図1のラゲージボードを成形する成形型において、外周部付近を拡大して示す拡大図(型開き状態)。
【図4】図1のラゲージボードを成形する成形型において、外周部付近を拡大して示す拡大図(型閉じ状態)。
【図5】本発明の実施形態2に係るバックドアトリムが取り付けられたバックドアを示す正面図。
【図6】図5に示すバックドアの周端部付近を示す断面図(図5のB−B断面線で切断した図)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。本実施形態においては、車両用内装材として、ラゲージボード16を例示する。本実施形態に係るラゲージボード16は、例えば、車両の後部に設けられた荷室10に設置されるものである。図1は、車両後方側から視た状態の荷室10を示す斜視図であり、図2は、ラゲージボード16の断面図である。また、図2において、上側がラゲージボード16の表側となっており、下側が裏側となっている。
【0017】
図1ないし図2に示すように、荷室10の左右の側壁には、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料によって形成されたサイドトリム12が取り付けられている。両サイドトリム12は、荷室10の左右方向において、ほぼ対称な形状をなし、各サイドトリム12は、荷室10の側壁を構成する金属製のボデーパネル13の車室内面に対して、合成樹脂製のクリップなどによって取り付けられている(図示せず)。サイドトリム12は、荷室10の内壁面を保護したり、荷室10に収容されている荷物などを保護したり、荷室10の内部の意匠性を高めるために取り付けられるものである。なお、図1においては、左側のサイドトリム12を図示省略してある。
【0018】
サイドトリム12の形状は、車両のホイールベースに相当する部分が荷室10の室内側に向かってせり出す形状をなしている。このため、両サイドトリム12の間に形成される荷室10は、車両前方側(図1の左上側)の幅が小さくなっており、車両後方側(図1の右下側)の幅が大きくなる形状をなしている。また、車両の後部には、この荷室10の後方を覆うための図示しないバックドアが設けられている。車両の乗員等は、このバックドアを開閉することによって、荷室10の内部に収容されている荷物を取り出すことが可能となっている。
【0019】
ラゲージボード16は、その外周部が平面視においてサイドトリム12の形状に対応した形状をなし、具体的には、車両前方側の幅が小さくなっており、車両後方側の幅が大きくなる形状をなしている。ラゲージボード16は、図1に示すように、両側のサイドトリム12の間に載置されている。また、図2に示すように、ラゲージボード16は、床部14を凹状とすることで形成された収納室15を閉止する形で床部14に取り付けられている。ラゲージボード16の周端部21付近が床部14(詳しくは床部14における収納室15の周辺部分)に載置されている。これにより、収納室15内に収容された荷物(例えばスペアタイヤや工具など)をラゲージボード16によって遮蔽できることに加え、ラゲージボード16上へ荷物を載置することも可能となる。
【0020】
図2に示すように、ラゲージボード16は、板状をなす基材20と、基材20の表側の面(主表面20A)を覆う形で接着された表皮材30と、基材20の裏側の面20Dを覆う形で接着された合成繊維(ポリエステルやポリエチレン等)の不織布40と、を備えている。
【0021】
基材20は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂とケナフ繊維(植物性繊維)とをブレンダーにより混合した後、フォーマーなどにより板状に成形したものである。なお、基材20における熱可塑性樹脂とケナフ繊維との混合比率は例えば50:50(重量比)とされるが、この混合比率に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0022】
表皮材30は、その表面が起毛された起毛性部材であって、例えば、ポリエステルやポリエチレン等の合成繊維の不織布とされる。このような表皮材30は、例えばニードルパンチ法によって形成されるが、これ以外の製法によって形成されていてもよい。
【0023】
図1及び図2に示すように、基材20の全周に渡って、その外周部分はなだらかな段差形状をなしている。具体的には、基材20における周端部21の厚さY1は、中央部22の厚さY2より小さく設定されており、基材20の主表面20Aのうち、周端部21の表面21Aが中央部22の表面22Aよりも低い位置(基材20の裏面に近い位置)に配されている。また、基材20の端面20Bは、基材20の裏側へ向かうにつれて低くなる曲面状をなしている。表皮材30は、基材20の主表面20A及び端面20Bの形状に沿って、これらを覆う形で接着されている。
【0024】
なお、ラゲージボード16における中央部(基材20の中央部22に対応)の厚さ(基材20、表皮材30、不織布40の厚さを合計した厚さ)は、例えば、4mmで設定され、周端部(周端部21に対応)の厚さは、例えば、2.3mmで設定される。なお、これらの厚さは適宜変更可能である。また、基材20の周端部21は、基材20の外周端から内側へ約3mmの長さ(図2のW1)で設定されるが、この長さも適宜変更可能である。
【0025】
次に、本実施形態のラゲージボード16を成形するための成形型50について、図3ないし図4を参照しながら説明する。図3及び図4は、成形型50(上型60及び下型70)において、外周部付近を拡大して示す図である。
【0026】
下型70は、図示しない基台上に設置され、ラゲージボード16の裏面形状に対応した平坦な成形面71を有している。上型60において下型70との対向面には、上方に凹んだ形状をなす凹部61が形成されており、この凹部61の表面形状がラゲージボード16の主表面20A及び端面20Bの形状に対応している。具体的には、凹部61における周端部61Aは、基材20の周端部21の形状に対応した段差状をなしている。上型60は、例えば、油圧シリンダ(図示せず)などの移動手段によって、上下方向(基材20の主表面20Aと直交する方向)に移動可能とされ、これにより、成形型50の型閉じ又は型開きが可能な構成となっている。
【0027】
成形型50が型閉じされた状態(図4の状態)では、上型60及び下型70の各対向面間にラゲージボード16を成形する成形空間Sが形成される構成となっている。これにより、下型70に成形前の基材20、表皮材30、不織布40(図3の状態)をセットし、一対の型2を型閉じすると、ラゲージボード16を構成する各部材20,30,40が成形空間Sの形状に対応した所定の形状にプレス成形される。
【0028】
また、下型70において、成形面71の外側には切断用凹部72が形成されている。この切断用凹部72には、上型60において凹部61の外側に形成された切断用凸部62が進入可能となっており、切断用凹部72に切断用凸部62が進入することで、図4に示すように成形空間Sから外部にはみ出した成形前のラゲージボード16の一部(外周不要部分17)を切断可能となっている。また、下型70には、例えば、ヒータ(不図示)などの加熱装置が内蔵されており、下型70を加熱することが可能な構成となっている。
【0029】
次に、この成形型50によるラゲージボード16の製造手順について説明する。まず、成形型50が開いた状態(上型60と下型70とが離間した状態)において下型70の成形面71上にラゲージボード16における基材20(成形前の平板状をなす状態)を載置させ、基材20の表側の面に表皮材30を載置する(図3の状態)。なお、このとき、基材20の裏面には、不織布40が例えば熱圧着によって予め接着されており、基材20の表面(不織布40が接着された面と反対側の面)が上型60と対向する形で載置される。
【0030】
次に、下型70に内蔵されたヒータを作動させ、下型70を加熱する。これにより、基材20は裏面側(基材の表皮材が形成された側とは反対側)から加熱される。これにより、基材20に含まれる熱可塑性樹脂を溶融させることができる。なお、この際の基材20の加熱温度は、例えば、基材20に含まれる熱可塑性樹脂の融点より高い温度とされる。熱可塑性樹脂が例えば、ポリプロピレンの場合、ポリプロピレンの融点(160℃〜170℃)以上の温度(例えば170〜180℃)に加熱すればよい。
【0031】
基材20を加熱した後、上型60を下型70に向けて移動させ、成形型50の型閉じを行うと、基材20は、成形空間Sの形状に対応した所定の形状に成型される。これと同時に、表皮材30は、溶融軟化された状態の基材20側に押圧されることで、基材20に対して圧着され(加熱圧着)、基材20の主表面20A及び端面20Bを覆う形で接着される。また、成形空間Sから外部にはみ出したラゲージボード16の外周不要部分17は、切断用凹部72に切断用凸部62が進入することで、せん断される。これにより、本実施形態のラゲージボード16が成形される。
【0032】
次に、本実施形態のラゲージボード16の作用効果について説明する。本実施形態のラゲージボード16は、基材20において、端面20B側の周端部21の厚さY1を中央部22の厚さY2より小さく設定し、基材20の主表面20Aのうち、周端部21の表面21Aが中央部22の表面22Aよりも低い位置に配されている。
【0033】
本実施形態においては、表皮材30にて基材20の端面20Bを覆うことで見栄えを向上できるとともに、基材20の端部に直接手を触れることを抑止でき、安全性をより高くできる。ここで、基材20と表皮材30との接着性を高くするためには、成形型50による両部材の接着時(加熱圧着時)に、表皮材30を基材20に対して強く押しつけることが好ましい。しかし、最も接着面が大きい主表面20Aと直交する方向から力を付与して押しつける場合(上型60を押しつける場合)、基材20の端面20Bに対しては、基材20の主表面20Aと比較して表皮材30を押しつけにくく(押しつける力が及び難く)、接着性を高くすることが困難である。つまり、基材20の端面20Bは、基材20の主表面20Aと比較して、接着性を確保し難く、表皮材30が剥がれやすい箇所と言える。
【0034】
そこで、本実施形態においては、基材20において周端部21の厚さY1を中央部22の厚さY2より小さく設定した。このようにすれば、例えば、基材20全面に渡って同じ厚さとした構成(図2において、2点鎖線で示す)と比較して、基材20の厚さ方向(図2の上下方向)における端面20Bの寸法が小さくなる。これにより、表皮材30が比較的剥がれやすい箇所である基材20の端面20Bの面積を小さくできる結果、端面20Bにおいて、表皮材30が剥離する事態を抑制できる。また、特に植物性繊維からなる基材20は表皮材30に対する接着性が低く、端面20Bにおいて極端に接着性が低下することが懸念される。しかしながら、本実施形態のような中央部22より周端部21の厚さを小さくする構成を採用することで、植物性繊維からなる基材20を用いた場合であっても端面20Bにおける十分な接着性を確保することが可能となる。
【0035】
また、基材20に用いる植物性繊維としてケナフ繊維を用いている。ケナフ繊維は、例えば木材繊維などと比較して高い強度を有し、繊維長が長い。このようなケナフ繊維を用いることで、基材20の強度を高くできる。また、一年生草であるケナフは収穫量が多く入手しやすいため、製造に係るコストを低減することができる。
【0036】
また、表皮材30は、基材20に加熱圧着されている。表皮材30を基材20に加熱圧着する構成とすれば、両部材の接着に際して接着剤などが不要となり、材料に係るコストを低減できる。
【0037】
また、表皮材30は起毛性部材からなり、加熱圧着は、基材20の表皮材30が形成された側とは反対側から加熱する構成とした。表皮材30を基材20に対して加熱圧着する場合は、表皮材30は加熱された状態で上型60によって基材20側へ押圧される。表皮材30が起毛性部材である場合は、起毛が加熱された状態で倒されることとなり、倒れたままの状態で保持される(毛倒れ)おそれがある。
【0038】
この点、本実施形態においては、基材20の周端部21の表面21Aを中央部22の表面22Aより低い位置に配しており、両表面は非同一面上に配されている。このため、仮に、表皮材30の周端部21に毛倒れが発生した場合であっても、周端部21の表面21Aと中央部22の表面22Aが同一平面上となっている構成と比較して、周端部21の表面21Aと中央部22の表面22Aとでは、光の当たり方に違いが生じ、毛倒れが目立ちにくい。
【0039】
また、加熱圧着を行う際に、基材20を裏側(表皮材で覆われた側とは反対側)から加熱する場合は、基材20において比較的厚さの小さい周端部21に接着されている表皮材30の箇所(つまり、表皮材30の周端部)には、基材20を介して熱が伝わりやすく、特に毛倒れが起こりやすい。つまり、本実施形態においては、周端部21の表面21Aを中央部22の表面22Aより低くした基材20に対して加熱圧着を行うことで、表皮材30の周端部における毛倒れの発生が懸念されるのであるが、仮に毛倒れが発生した場合であっても、周端部21は、厚さを異ならせた段差形状となっているため当該毛倒れが目立ちにくく、見栄えが低下する事態を抑制できる。
【0040】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図5ないし図6によって説明する。本実施形態においては、車両用内装材として、バックドア110に取り付けられるバックドアトリム116を例示する。図5は、バックドア110の裏側を示す平面図であり、図6は、図5におけるB−B線で切断した状態を示す断面図である。
【0041】
本実施形態のバックドア110は、アウタパネル111及びインナパネル112を備えている。バックドアトリム116は横長の方形状をなし、インナパネル112の下部に例えばクリップなどで取り付けられている。図6に示すように、バックドアトリム116の周端部は、インナパネル112に形成された段差部112Aに設置されている。また、バックドア110の上部には、ウィンドウガラス113が取り付けられており、インナパネル112の下部には、車体側に取り付けられたストライカ(不図示)に係止可能な係止部114が設けられている。
【0042】
本実施形態のバックドアトリム116は、基材120における車両内側の面に表皮材130が接着され、表皮材130が接着される反対側の面に不織布140が接着されている。なお、バックドアトリム116において不織布140を備えていなくてもよい。
【0043】
上記実施形態のラゲージボード16と同様、基材120の全周に渡って、その周端部121は段差形状をなしている。具体的には、基材120における周端部121の厚さは、中央部の厚さより小さく設定されており、基材120の主表面120Aのうち、周端部121の表面121Aが中央部の表面122Aよりも低い位置に配されている。また、基材120の端面120Bは曲面状をなしている。
【0044】
本実施形態のバックドアトリム116においては、基材120における周端部121の厚さを中央部の厚さより小さく設定することで、上記実施形態のラゲージボード16と同様の効果、すなわち、端面120Bにおける表皮材130の剥離を抑制する効果や、周端部121における毛倒れを目立ちにくくする効果を奏することができる。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0046】
(1)上記実施形態においては、車両用内装材としてラゲージボード16及びバックドアトリム116を例示したが、これらに限定されない。板状の基材と表皮材を有する車両用内装材について適用可能である。
【0047】
(2)上記実施形態においては、ラゲージボード16又はバックドアトリム116の基材20,120における全周に渡って、段差状をなす構成(周端部の厚さが中央部の厚さよりも小さい構成)としたが、これに限定されない。基材の外周部の一部(少なくとも表皮材が覆われた端面側の周端部)の厚さが、中央部の厚さよりも小さい構成であればよい。
【0048】
(3)基材に混入される植物性繊維はケナフ繊維以外であってもよい。例えば、木材等を解織して得た木質繊維などであってもよい。
【0049】
(4)上記実施形態においては、表皮材30,130として、ポリエステルやポリエチレン等の合成繊維の不織布を例示したが、これに限定されない。表皮材30としては、合成樹脂製のシート、織布、牛革等の獣皮(本革)を用いることも可能であり、起毛性を有していない部材であってもよい。
【0050】
(5)上記実施形態においては、基材20を下型70にセットした状態で基材20を加熱し、表皮材30を加熱圧着する構成を例示したが、これに限定されない。下型70にセットする前に基材20を予め加熱しておいてもよい。また、表皮材30と基材20との接着方法は加熱圧着に限定されず、接着剤などで接着する構成としてもよい。また、加熱圧着と接着剤を併用してもよい。
【0051】
(6)上記実施形態においては、基材20,120の端面20B,120Bを曲面としたが、これに限定されない。端面20B,120Bは平面であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
16…ラゲージボード(車両用内装材)、20,120…基材、20A,120A…基材の主表面、20B,120B…基材の端面、21,121…端面側の周端部、21A,121A…周端部の表面、22A,122A…中央部の表面、30,130…表皮材、116…バックドアトリム(車両用内装材)、Y1…端面側の周端部の厚さ、Y2…中央部の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなし、植物性繊維が含有された基材と、
前記基材の主表面及び端面を覆う形で接着された表皮材と、を備え、
前記基材において、前記端面側の周端部の厚さを中央部の厚さより小さく設定することで、前記基材の前記主表面のうち、前記周端部の表面が前記中央部の表面よりも低い位置に配されていることを特徴とする車両用内装材。
【請求項2】
前記植物性繊維はケナフ繊維であることを特徴とする請求項1に記載の車両用内装材。
【請求項3】
前記表皮材は、前記基材に加熱圧着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用内装材。
【請求項4】
前記表皮材は起毛性部材からなり、前記基材に対して加熱圧着されており、
前記加熱圧着は、前記基材の前記表皮材が形成された側とは反対側から加熱されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−195086(P2011−195086A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66200(P2010−66200)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】