説明

車両用冷却装置

【課題】自動アイドリングストップ制御などのエコラン制御が行われるときに、エンジンの停止効率が低下するのを防止しながら、的確な冷却を行う。
【解決手段】エンジン停止条件が成立されてエンジンが停止されると、冷媒圧力が設定圧力以上か、エンジン冷却水の水温が設定温度以上かを確認し、所定速度以下及びファンモータを停止した状態で、設定圧力又は設定温度を超えると、ファンモータを作動する(ステップ100〜120)。また、所定速度以上又はファンモータを駆動した状態で、設定圧力又は設定温度を超えると、エンジン始動要求を行ってファンモータを停止し、冷媒圧力及び水温が設定圧力及び設定温度を下回ると、エンジン始動要求を解除する(ステップ114〜118、122〜134)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンラジエータ、コンデンサなどの冷却用熱交換器を用いて冷媒を冷却する車両用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃費効率の向上、エミッションや騒音の低減などを目的として、走行用の駆動源としてエンジンに加えた電気モータが設けられたハイブリッド車などで、車両停止時などの予め設定しているエンジン停止条件が成立することによりエンジンを停止するアイドルストップ制御などが行われる車両が普及している。
【0003】
一般に、エンジンを走行用の駆動源とする車両には、冷却用熱交換器としてエンジンラジエータが設けられており、冷却ファンが駆動されることにより車両前方の空気を冷却風として導風し、この冷却風がエンジンラジエータを通過することにより、エンジン冷却水との間で熱交換が行われて冷却されるようにしているが、冷却ファンが、エンジンによって駆動されるメカニカルファンであると、エンジンが停止することにより冷却風の導風が停止してしまい、熱交換器による冷媒の冷却も停止してしまう。
【0004】
ここから、特許文献1では、連続高速走行を行なった後、エンジン停止条件が成立したときには、エンジン停止を禁止することにより、エンジン冷却水の温度が上昇してしまうのを防止するように提案している。
【0005】
また、特許文献2では、エンジン冷却水を循環するウォータポンプと冷却ファンを一つの電気モータを用いて同時に駆動するように提案しており、この構成を用いることにより、エンジンを停止したときにも、冷却ファンを駆動してエンジンの冷却を行うことができる。
【0006】
一方、車両には、車室内を快適な空調状態とするための空調装置(車両用空調装置、以下、エアコンとする)が設けられており、アイドルストップ制御を行う車両においても、エアコンのコンデンサを用いた冷媒の冷却が必要となっており、ここから、例えば、特許文献3に示されるように、コンデンサの冷却用として、電気モータによって駆動する電動ファンを設ける方法がある。
【0007】
このように、エンジン停止中に、エンジンラジエータとコンデンサなどの複数の熱交換器を冷却する方法としては、電動ファンを用いるのが一般的に考えられる。
【0008】
ところで、近年では、エンジン排気量の大きい車両においても、アイドルストップ制御が行われるようになっている。エンジン排気量の大きい車両において、メカニカルファンと同等の冷却能力を得るための電動ファンは、数kw程度の大型の電気モータを必要とするが、エンジンルームのスペース、コスト、バッテリ等の容量などの観点から、このような電動ファンを設置することは実質的に困難となる。
【0009】
また、メカニカルファンに加えて小型の電動ファンを用いることが考えられるが、二つの冷却ファンの何れを作動させたときにも、エンジンラジエータとコンデンサなどの複数の熱交換器を同時に冷却することは、これらを車両の前後方向に並べて配置する必要があり、エンジンルームのスペースから困難となる。
【0010】
ここから、例えば、特許文献4に示されるように、一つの冷却ファンの駆動を、エンジンと電気モータで切り換える方法が考えられる。このときに、例えば、非特許文献1に示されるファンカップリング機能を備えた電気モータを用いる方法もある。
【0011】
しかしながら、単に、一つの冷却ファンを、エンジンと電気モータのそれぞれで駆動可能としても、効率的な冷却を行うためには、適正な切換制御が必要となる。
【特許文献1】特開2003−201882号公報
【特許文献2】特開平8−93473号公報
【特許文献3】特開2002−316529号公報
【特許文献4】特開2003−239741号公報
【非特許文献1】発明協会公開技法公技番号2001−43号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、自動アイドリングストップ制御などのエンジン停止制御が行われる車両において、エンジン及び電気モータの駆動によって冷却用熱交換器を用いた冷媒の冷却を行うときに、エンジンの停止効率が低下するのを防止しながら、的確な冷却能力が得られる車両用冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、予め設定されているエンジン停止条件が成立することによりエンジンを停止させると共に、エンジン始動条件が成立することによりエンジンを再始動するエンジン制御が行われる車両に設けられる車両用冷却装置であって、冷却風が導風されることにより冷媒との間で熱交換が行なわれる冷却用熱交換器と、回転駆動されることにより作動して前記冷却風を前記冷却用熱交換器へ導風する単一の冷却ファンと、前記エンジンの駆動力によって前記冷却ファンを作動可能とする第1の駆動手段と、電気モータの駆動力によって前記冷却ファンを作動可能とする第2の駆動手段と、前記冷却用熱交換器に対する冷却負荷を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記冷却用熱交換器の冷却能力を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果及び前記冷却風の導風能力に基づいて前記第1の駆動手段又は前記第2の駆動手段のいずれか一方を選択して前記冷却ファンを作動する冷却制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、第1又は第2の駆動手段を用いて冷却ファンを作動させて、車両前方側の空気を冷却風として導風して、冷却用熱交換器を用いた冷媒の冷却を行う。
【0015】
ここで、判定手段は、検出手段によって検出される冷却負荷に対する冷却用熱交換器の冷却能力を判定し、冷却負荷に対して冷却能力が低いと判定されたときに、冷却制御手段は、冷却風の導風能力に基づいて第1又は第2の駆動手段の何れか一方を選択して、冷却ファンを作動させる。
【0016】
これにより、冷却用熱交換器の冷却能力を、冷却負荷に対して適切な能力となるようにして冷却を行うことができる。
【0017】
このような本発明においては、請求項2に記載するように、前記電気モータによる前記冷却ファンの回転数が、前記エンジンの駆動力による回転数より低くすることができる。また、本発明においては、請求項3に記載するように、前記検出手段が、エンジン冷却水温度を検出する水温検出手段及び冷媒圧力を検出する圧力検出手段を含むことができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明は、車両の走行速度を検出する速度検出手段を含み、前記第2の駆動手段を用いた前記冷却ファンの作動中又は、前記速度検出手段の検出する走行速度が所定速度以上であるとき、前記冷却制御手段が、前記第1の駆動手段を選択することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、第2の駆動手段を用いた冷却ファンの作動中または、車両の走行速度が所定速度以上であるときに、冷却負荷に対する冷却用熱交換器の冷却能力が低いと判定された場合に、第1の駆動手段を選択して冷却ファンを作動させる。
【0020】
すなわち、車両が停止しているときに、冷却負荷に対して冷却能力が低いと判定されたときには、第2の駆動手段を選択して冷却ファンを作動させる。また、第2の駆動手段を用いて冷却ファンを作動させているとき、または、車両の走行速度が所定速度以上であるときに、冷却負荷に対する冷却能力が低いと判定されたときにのみ、第1の駆動手段を選択して冷却ファンを作動させる。
【0021】
これにより、冷却能力を確保するためにエンジンを始動させるのを抑えることができ、エンジン停止効率を低下させることなく、冷却用熱交換器を用いた適切な冷却を行うことができる。
【0022】
さらに、請求項5に係る発明は、前記第1の駆動手段に、前記エンジンの駆動力を前記冷却ファンに伝達する伝達手段としてファンカップリングを含むときに、ファンカップリングの雰囲気温度が所定温度以上であり、かつ、前記エンジン停止条件が成立したときには、前記冷却制御手段が、前記判定手段の判定結果にかかわらず、前記第2の駆動手段を選択して前記冷却ファンを作動する、ことを特徴とする。
【0023】
一般に、ファンカップリングには、粘性流体が用いられており、この粘性流体の温度が高いと、エンジンを停止したときに、冷却ファンのつれ回りが生じ、騒音を発生させてしまう。
【0024】
ここから、請求項5に記載の発明では、ファンカップリングの雰囲気温度が高いときには、エンジンを停止するときに、第2の駆動手段によって冷却ファンを作動させて、冷却ファンの作動が継続されるようにする。
【0025】
これにより、冷却ファンにつれ回りが生じるのを防止し、騒音の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、冷却負荷に対する冷却能力が低いと判定されたときに、第1又は第2の駆動手段を選択して、冷却ファンを作動させる。このときに、第2の駆動手段を用いた冷却ファンの作動中、又は、車両の走行速度が所定以上であるときに、冷却能力を大きくする必要があれば、第1の駆動手段を選択する。
【0027】
これにより、冷却負荷に応じた冷却能力が得られるように冷却ファンを作動することができるので、エンジン停止効率を低下させることなく、効率的な冷却を行うことができるという優れた効果が得られる。
【0028】
また、本発明では、エンジンを停止するときに、ファンカップリングの雰囲気温度が高ければ、第2の駆動手段を選択して冷却ファンを作動させる。これにより、冷却ファンのつれ回りによる騒音の発生を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1には、本発明の第1の実施の形態に適用した車両10の要部の概略構成を示している。なお、図1では、矢印FR方向で車両前後方向の前方側を示し、矢印UP方向で車両上下方向の上方側を示している。
【0030】
この車両10の前部のエンジンルーム12内には、走行用の駆動源となるエンジン14が設けられており、車両10は、このエンジン14の駆動力によって走行可能となっている。また、この車両10には、走行用の駆動源として図示しない電気モータが設けられており、車両10は、エンジン12を停止している状態で電気モータを駆動することにより、電気モータの駆動力によって走行可能な所謂ハイブリッド車となっている。
【0031】
なお、本実施の形態では、ハイブリッド車である車両10を例に説明するが、本発明はこれに限らず、停車時などにエンジン12の駆動を停止する自動アイドリングストップ制御が行われる任意の構成の車両に適用可能である。
【0032】
車両10のエンジンルーム12には、エンジン14の車両前方側に冷却装置16が配設されている。冷却装置16は、冷却用熱交換器として、車両前方側に配設されたコンデンサ18及び、コンデンサ18とエンジン14の間に配設されたエンジンラジエータ20を備え、また、エンジンラジエータ20とエンジン14の間に配設された冷却ファン22を備えている。
【0033】
車両10では、前進走行することにより、ラジエタグリル及びバンパグリル(何れも図示省略)から、車両前方側の空気が冷却風として導風され、この冷却風がコンデンサ18及びエンジンラジエータ20を通過することにより、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20内を循環される冷媒が冷却されるようになっている。
【0034】
また、冷却装置16では、冷却ファン22が作動されることにより、車両前方側の空気を冷却風として導風し、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20を通過した冷却風を車両後方側へ排出するようになっている。
【0035】
エンジンラジエータ20には、冷媒としてエンジン冷却水が用いられ、エンジンラジエータ20では、エンジン14との間で循環されるエンジン冷却水と冷却風との間で熱交換が行われることにより、エンジン冷却水が冷却される。
【0036】
また、車両10には、車室内を空調する空調装置(以下、エアコン26とする。図2参照)が設けられている。このエアコン26には、コンデンサ18と共に、コンプレッサ、膨張弁及びエバポレータ(何れも図示省略)によって冷媒が循環される冷凍サイクルが形成されており、コンプレッサによって圧縮された冷媒がコンデンサ18を通過することにより冷却される。この冷媒がエバポレータを通過するときに、車室内へ吹き出される空調風を冷却する一般的構成となっている。
【0037】
なお、冷却装置16は、エンジンラジエータ20のエンジン14側を覆うファンシュラウド28を備え、このファンシュラウド28に形成されたファン開口部28A内に冷却ファン22が配置されている。これにより、冷却ファン22の周囲から冷却風を車両後方側に排出可能となっていると共に、エンジン14によって加熱されたエンジンルーム12内の空気が、コンデンサ18ないしエンジンラジエータ20の前方側へ廻り込んで、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却効率を低下させてしまうのを防止するようにしている。
【0038】
ところで、冷却ファン22の回転軸30は、エンジン14の駆動によって回転する回転軸32とファンカップリング34を介して連結されている。これにより、エンジン14が駆動されることにより、このエンジン14の駆動力が冷却ファン22に伝達されて、冷却ファン22が回転駆動されるようになっている。
【0039】
このファンカップリング34は、シリコンオイルなどの剪弾力を発生可能な粘性流体が封入され、また、ハウジング内に一方が回転軸30に連結され、他方が回転軸32に連結されたプレートが対で配置されている。なお、このプレートは、一対であっても良く、複数対であっても良い。
【0040】
このようなファンカップリング34では、回転軸32の回転速度(回転数)が低いときには、回転軸30が回転軸32と略同速で回転駆動するが、回転軸32の回転速度が高くなることにより粘性流体に剪弾力が発生し、回転軸32の回転速度に対して、回転軸30の回転速度が低くなる。
【0041】
これにより、冷却装置16では、エンジン14の回転数が低いときには、エンジン14の回転数と略同じ回転数で冷却ファン16が回転されるが、エンジン14の回転速度が高くなったときに、冷却ファン16の回転数が上昇してしまうのを防止できるようになっている。また、ファンカップリング34は、エンジン14が始動したときに、粘性流体に剪弾力が発生することにより、冷却ファン22の円滑な始動が可能となるようにしている。
【0042】
このようなファンカップリング34としては、一般的構成の流体継手を用いることができ、基本的機能が同じであれば、任意の機能を含む公知の流体継手を適用することができる。
【0043】
冷却ファン22の回転軸30には、プーリ36が配設されている。また、エンジンルーム12内には、ファンモータ38が配設されており、このファンモータ38の駆動軸40に設けられたプーリ42と、プーリ38の間に無端の駆動ベルト44が掛け渡されている。
【0044】
また、ファンモータ38が連結されるプーリ36には、ワンウェイクラッチ機構が設けられており、ファンモータ38が停止された状態でエンジン14が駆動されているときには、回転軸30とプーリ36が相対回転するが、エンジン14が停止した状態で、ファンモータ38が作動して回転駆動されるときに、回転軸30と一体回転して、ファンモータ38の駆動力による冷却ファン22の作動が可能となるようにしている。
【0045】
なお、このようなプーリ36のワンウェイクラッチ機構は、公知の任意の構成を適用することができる。また、ワンウェイクラッチ機構に換えて、電磁クラッチ機構を設け、ファンモータ38が作動したときに、プーリ36と回転軸30が一体回転可能するようにしても良く、さらに、ファンモータ38の駆動軸40のプーリ42にワンウェイクラッチ機構を設けるようにしても良い。
【0046】
一方、図2に示されるように、車両10には、エアコン26の作動を制御するエアコンECU50及び、エンジン14の作動を制御するエンジンECU52が設けられている。なお、ハイブリッド車である車両10には、電気モータの作動を制御するハイブリッドECUが設けられるが、この図示は省略する。
【0047】
エンジンECU52と図示しないハイブリッドECUは、各種のセンサによって運転者による車両10の運転操作状態、走行状態等を検出し、エンジン14及び電気モータの駆動を制御し、車両10が運転操作に応じた走行が可能となるようにしている。
【0048】
このとき、エンジンECU52は、車両の走行状態、運転車による運転操作状態を検出し、検出結果が予め設定されているエンジン停止条件を満たすとき(エンジン停止条件が成立したとき)にエンジン14の駆動を停止し、エンジン再始動条件が成立することによりエンジン14の再始動(駆動)を行なう。
【0049】
すなわち、エンジンECU52では、車速センサ54によって検出する車両10の走行速度vがv=0となる車両停止状態を検出すると、エンジン14を停止するアイドルストップ制御を行い、車両10の燃費向上、エミッション抑制、騒音抑制などを図るようにしている。
【0050】
また、ハイブリッドECU52とハイブリッドECUは、車両10の走行中にエンジン停止条件が成立してエンジン14が停止されるときや、車両10の走行状態からエンジン14の負荷が大きくなっているときなどの予め設定しているモータ駆動条件が成立することにより、電気モータを駆動する(エコラン制御)。なお、このような、エンジンECU52による走行制御は、公知の制御方法を適用でき、ここでは詳細な説明を省略する。
【0051】
一方、エアコンECU50には、例えばインストルメントパネルに設けられてエアコン10の運転/停止と共に運転モード、温度設定等の各種の設定操作が行われる操作パネル56が接続されており、エアコンECU50では、この操作パネル56の操作に基づいた空調運転が行われる。
【0052】
また、エアコンECU50には、図示しないコンプレッサを駆動するコンプレッサモータ58、内気循環モードと外気導入モードを切換るモード切換ダンパを駆動するサーボモータ60、ブロワファンを駆動するブロワモータ62、エンジン冷却水によって空調風を加熱するヒータコアを通過する空調風の風量とバイパスする空調風の風量を制御することにより吹き出し風の温度を制御するエアミックスダンパを作動するサーボモータ64、空調風が吹き出される吹き出し口を切り換える切換ダンパを作動するサーボモータ66等と共に、車室内の温度を検出する室温センサ68、エバポレータを通過した空調風の温度を検出するエバポレータ後温度センサ70、外気温度を検出する外気温センサ72、日射量を検出する日射センサ74等が接続されている。
【0053】
ここから、エアコンECU50では、各種のセンサの検出結果と設定温度に基づいて、室内を設定温度とする目標吹き出し温度を設定し、設定した目標吹き出し温度が得られるように、コンプレッサの回転数、エアミックスダンパの開度、吹出し風の風量等を設定し、設定結果に基づいて各機器の作動を制御する。
【0054】
また、エアコン26には、コンプレッサで圧縮した冷媒の圧力を検出する圧力センサ76が設けられており、この圧力センサ76がエアコンECU50に接続している。エアコンECU50では、この圧力センサ76によって検出する冷媒圧力が、所定値以下となるように、コンプレッサモータ58の回転速度等を制御する。
【0055】
これにより、エアコン10では、車室内が設定温度となるように空調すると共に、車室内が設定温度に達すると、設定温度を維持するように空調運転を行う。なお、このようなエアコンECU50の作動制御は、公知の一般的構成を適用できる。
【0056】
一方、冷却装置16は、冷却コントローラ78を備えている。なお、以下では、エアコンECU50及びエンジンECU52と別に、冷却コントローラ78を設けて説明するが、この冷却コントローラ78の機能をエアコンECU50又はエンジンECU52に持たせるものであっても良い。
【0057】
この冷却コントローラ78には、エアコンECU50及びエンジンECU52が接続していると共に、ファンモータ38が接続されている。
【0058】
エンジンECU52には、車両10の走行速度を検出する車速センサ54と共に、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ80が設けられており、冷却コントローラ78は、エンジンECU52からエンジン14の運転/停止状態、冷却能力のパラメータとなる車両10の走行速度と共に、エンジンラジエータ20に対する冷却負荷のパラメータとなるエンジン冷却水の水温を取得する。また、冷却コントローラ78は、エアコンECU50からコンデンサ18に対する冷却負荷のパラメータとなる冷媒圧力を取得する。
【0059】
冷却コントローラ78では、水温センサ80によって検出するエンジン冷却水の水温からエンジンラジエータ20の冷却負荷に対する冷却能力を判断すると共に、圧力センサ76によって検出する冷媒圧力からコンデンサ18の冷却負荷に対する冷却能力を判断するようになっている。
【0060】
また、冷却コントローラ78は、車速センサ54によって検出する車両10の走行速度と、エンジンECU52から入力されるエンジン14の運転/停止信号から、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却能力の増減が可能か否かを判断するようになっている。
【0061】
すなわち、エンジン冷却水の水温は、エンジンラジエータ20の冷却能力に対して、エンジン14の発する熱が高いと上昇され、冷房負荷がエンジンラジエータ20の冷却能力より低くなることにより低下される。また、エアコン26では、コンデンサ18の冷却能力に対して、コンデンサ18の冷却負荷が大きくなることにより冷媒圧力が上昇する。
【0062】
一方、冷却装置16では、車両10の停止状態でファンモータ38を駆動することにより、ファンモータ38の非駆動状態よりもコンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却能力が高くなる。
【0063】
また、冷却装置16では、ファンモータ38として、例えば、200w〜300wの小型の電気モータを用い、冷却ファン22が500rpm〜800rpmで作動するようにしている。これにより、車両10が前進走行を開始したときに、走行速度が所定速度(例えば、約5km/h)以上となると、停止中にファンモータ38を駆動したときより大きな冷却能力が得られる。
【0064】
さらに、冷却装置16では、エンジン14が駆動され、このエンジン14の駆動力によって冷却ファン22が作動される。このときに、冷却ファン22は、例えば、約1000rpm以上の速度で作動され、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却能力が大きくなる。
【0065】
ここから、冷却コントローラ78では、コンデンサ18又はエンジンラジエータ20の何れかで冷却能力に対して冷却負荷が大きくなると、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却能力を大きくするように、ファンモータ38を駆動するか、エンジンECU52に対してエンジン14の始動要求を行うようにしている。
【0066】
一方、冷却コントローラ78には、温度センサ82が接続されている。図1に示されるように、この温度センサ82は、ファンカップリング34の近傍に配置されて、ファンカップリング34の周囲温度(雰囲気温度)を検出することにより、ファンカップリグ34に用いている粘性流体の温度を検出する。
【0067】
一般に、ファンカップリング34に用いる粘性流体は、温度が上昇することにより流動性が高くなる。このために、粘性流体の温度が高いと、流動性が高くなる。
【0068】
このために、ファンカップリング34の雰囲気温度が高い状態で、駆動中のエンジン14を停止すると、冷却ファン22につれ回りが生じ、騒音を発生してしまう。
【0069】
ここから、冷却コントローラ78では、温度センサ82の検出温度が予め設定している温度を超えている状態で、駆動中のエンジン14が停止されたときには、ファンモータ38を駆動して、冷却ファン22の作動を継続させるようにしている。これにより、ファンカップリング34の冷却を図ると共に、冷却ファンのつれ回りを抑えて、つれ回りによる騒音の発生を防止するようにしている。
【0070】
このように構成されている冷却装置16が設けられた車両10は、予めエンジン停止条件及びエンジン再始動条件が設定されており、エンジンECU52は、車両走行状態及び運転操作状態等を検出して、エンジン停止条件が成立することによりエンジン14を停止する。また、エンジンECU52は、エンジン14を停止した状態で、エンジン再始動条件が成立すると、エンジン14の駆動を開始する。
【0071】
ところで、車両10では、エンジン14を駆動することにより、エンジン14の駆動力によって冷却ファン22が作動して、冷却ファン22によって導風された冷却風によってコンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却が行われるが、エンジン14が停止して、冷却ファン22の作動も停止することにより、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却能力も低下する。
【0072】
ここで、エアコン26による車室内の空調を行っているときに、コンデンサ18の冷却能力が低下すると、エアコン26の空調能力も低下する。これにより、車室内を所望の空調状態に維持できなくなったり、乗員に不快感を生じさせてしまう。
【0073】
また、例えば、エンジン14の高回転駆動が連続した後に、エンジン14が停止されたときに、冷却ファン22の作動も停止してエンジンラジエータ20の冷却能力が低下すると、エンジン冷却水の温度上昇が生じてしまう。
【0074】
ここで、冷却装置16では、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20に対する冷却負荷に基づいて、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却能力を制御することにより、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20を用いた効率的な冷却が可能となるようにしている。
【0075】
図3には、このときに冷却装置16に設けた冷却コントローラ78による冷却制御の概略を示している。
【0076】
このフローチャートは、図示しないイグニッションスイッチがオンされることにより実行され、最初のステップ100では、エンジン14が停止中か否かを確認する。ここで、エンジン停止条件が成立してエンジン14が停止されていると、ステップ100で肯定判定してステップ102へ移行する。
【0077】
ステップ102では、圧力センサ76によって検出する冷媒圧力Prを読み込んで、次のステップ104では、冷媒圧力Prが予め設定した設定値(設定圧力Ps)を超えているか否かを確認する。また、ステップ106では、水温センサ80によって検出されるエンジン冷却水の水温Thを読み込み、ステップ108では、水温Thが予め設定されている設定温度Thsを超えているか否かを確認する。
【0078】
すなわち、ステップ102及びステップ104では、コンデンサ18の冷却負荷に対して、コンデンサ18の冷却能力が低くなっているか否かを確認し、ステップ106及びステップ108では、エンジンラジエータ20の冷却負荷に対して、エンジンラジエータ20の冷却能力が低くなっているか否かを確認している。
【0079】
ここで、冷媒圧力Prが設定圧力Psより低く(Pr≦Ps)、かつ、エンジン冷却水の水温Thが設定温度Thsより低いとき(Th≦Ths)には、ステップ104及びステップ108で否定判定されてステップ110へ移行する。すなわち、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20のそれぞれの冷却負荷に対して、冷却能力が高いと判断されるときには、ステップ110へ移行する。
【0080】
このステップ110では、ファンモータ38が駆動されているか否かを確認し、ファンモータ38が駆動されていれば、ステップ110で肯定判定してステップ112へ移行し、ファンモータ38を停止する。
【0081】
これに対して、冷媒圧力Prが設定圧力Psよりも高く(Pr>Ps)、コンデンサ18の冷却能力に対して冷却負荷が大きいと判断されるとき(ステップ104で肯定判定)、又は、エンジン冷却水の水温Thが設定温度Thsよりも高く(Th>Ths)、エンジンラジエータ20の冷却能力に対して、冷却負荷が大きいと判断されるとき(ステップ108で肯定判定)には、ステップ114へ移行する。
【0082】
このステップ114では、車速センサ54によって検出される車両10の走行速度vを読み込み、ステップ116では、読み込んだ走行速度vが予め設定している設定速度vsよりも高いか否かを確認する。また、ステップ118では、ファンモータ38が駆動されているか否かを確認する。
【0083】
ここで、車両10が停止しているか、走行中であっても、走行速度vが設定速度vs以下(v≦vs)であり、また、ファンモータ38も作動されていないときには、ステップ116及びステップ118で否定判定されてステップ120へ移行し、ファンモータ38を作動させる。
【0084】
すなわち、車両10が略停止状態であるときに、ファンモータ38が停止していれば、ファンモータ38を作動させて、ファンモータ38を用いて冷却能力を大きくする。
【0085】
一方、走行速度vが設定速度vsよりも高くなっている(v>vs)か、既にファンモータ38が作動しているときには、ステップ116又はステップ118で肯定判定されてステップ122へ移行する。
【0086】
このステップ122では、エンジンECU52へエンジン14の始動要求を行う。これと共に、ステップ124では、ファンモータ38を停止状態とする。これにより、エンジン14の始動要求に基づいてエンジンECU52がエンジン14を再始動すると、エンジン14の駆動力によって作動される冷却ファン22により冷却風の導風が行なわれ、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却能力が増加される。
【0087】
この後、ステップ126では、圧力センサ76によって検出される冷媒圧力Prを読み込み、冷媒圧力Prが設定圧力Psよりも低くなっているか否かを確認する(ステップ128)。また、ステップ130では、水温センサ80によって検出されるエンジン冷却水の水温Thを読み込み、水温Thが設定温度Thsよりも下がっているか否かを確認する(ステップ132)。
【0088】
ここで、冷媒圧力Prが設定圧力Psより下がり(Pr<Ps)、かつ、エンジン冷却水の水温Thが設定温度Thsより下がって(Th<Ths)、ステップ128及びステップ132で肯定判定されるとステップ134へ移行して、エンジン14の始動要求を解除する。
【0089】
このように、冷却装置16では、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20のそれぞれの冷却能力に対して、冷却負荷が大きくなっているか否かを確認し、冷却能力に対して冷却負荷が大きくなっているときには、段階的にコンデンサ18及びエンジンラジエータ20の冷却能力が大きくなるようにする。
【0090】
これにより、冷却能力が低くなることによるエンジン14の始動を抑えながら、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20を用いた適正な冷却が可能となる。
【0091】
一方、エンジン再始動条件が成立したときや、冷却コントローラ78からエンジン14の始動要求がなされると、エンジンECU52は、エンジン14を駆動する。
【0092】
前記したステップ100では、エンジン14が停止中か否かを確認しており、エンジン14が始動されていると、ステップ100で否定判定されてステップ136へ移行する。このステップ136では、ファンモータ38が駆動されているときにファンモータ38を停止し、次のステップ138では、エンジン始動要求が解除され、さらに、エンジン停止条件が成立してエンジン14が停止されたか否かを確認する。
【0093】
ここで、エンジン停止条件が成立してエンジン14が停止されるとステップ138で肯定判定してステップ140へ移行する。このステップ140では、温度センサ82によって検出するファンカップリング34の周囲温度Tcを読み込み、次のステップ142では、周囲温度Tcが予め設定している設定温度Tcsを超えているか否かを確認する。
【0094】
このときに、ファンカップリング34の周囲温度Tcが設定温度Tcsを超えている(Tc>Tcs)と、ステップ142で肯定判定してステップ144へ移行し、所定時間の間、ファンモータ38を駆動する。
【0095】
これにより、エンジン14の駆動力によって作動していた冷却ファン22は、エンジン14が停止したときに、ファンモータ38の駆動が開始されることにより、引き続きファンモータ38の駆動力によって作動し続け、エンジン14が停止したときに、冷却ファン22につれ回りが生じるのが防止される。
【0096】
すなわち、粘性流体が用いられているファンカップリング34は、周囲温度が上昇することにより粘性流体の温度も高くなり、流動性が高くなる。このときに、エンジン14が停止すると、冷却ファン22につれ回りが生じ、このつれ回りに伴って騒音が発生してしまう。
【0097】
ここで、エンジン14が停止したときに、ファンモータ38を駆動することにより、冷却ファン22は、つれ回りするのではなく、モータ38の駆動力によって回転することになる。したがって、冷却ファン22のつれ回りによる騒音の発生を防止することができる。
【0098】
また、冷却装置16では、排気量の大きいエンジン14が設けられた車両10であっても、出力の小さいファンモータを用いて、コンデンサ18及びエンジンラジエータ20を用いた適切で効率的な冷却が可能となる。
〔第2の実施の形態〕
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、第2の実施の形態の基本的構成は、前記した第1の実施の形態と同じであり、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の部品には同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0099】
図4には、第2の実施の形態に係る車両10Aの要部の概略構成を示している。この車両10Aのエンジンルーム12内に設けられている冷却装置16Aは、冷却ファン22の回転軸30に、ファンモータ84が設けられている。
【0100】
図5には、このファンモータ84の一例を示している。ファンモータ84は、ハウジング86を備え、このハウジング86の軸心部に軸受部88が設けられている。軸受部88には、ベアリング90が設けられており、回転軸30は、軸受部88に挿通されてベアリング90を介して軸支されている。これにより、ファンモータ84に対して回転軸30が相対回転可能となっている。
【0101】
ハウジング86内には、ハウジング86と、ハウジング86内に挿入された回転軸30の間に、略円筒状のモータ駆動軸92が配置されている。また、モータ駆動軸92と回転軸30の間には、冷却ファン22のファン回転軸22Aが配置されている。すなわち、回転軸30は、モータ駆動軸92に挿入され、さらに先端部が、ファン回転軸22Aに挿入されている。
【0102】
一方、ファン回転軸22Aと回転軸30の間には、ワンウェイクラッチ94が設けられている。このファンウェイクラッチ94は、エンジン14の駆動によって回転軸30が回転されたときに、この回転軸30とファン回転軸22Aが一体に所定方向へ回転するように連結する。また、ワンウェイクラッチ94は、回転軸30の回転が停止したときに、ファン回転軸22Aが前記所定方向へ相対回転可能となるようにしている。
【0103】
また、ファンモータ84には、ハウジング86内にステータ96Aが設けられ、モータ駆動軸92には、ステータ96Aに対向するロータ96Bが設けられている。これにより、ファンモータ84は、冷却コントローラ78から所定電圧の電力が供給されることにより、モータ駆動軸92が回転駆動するようになっている。
【0104】
このモータ駆動軸92とファン回転軸22Aとの間に、ワンウェイクラッチ98が設けられている。ファンモータ84は、モータ駆動軸92を、エンジン14によって回転される回転軸30と同一方向へ回転駆動するようになっており、ワンウェイクラッチ98は、このときに、モータ駆動軸92とファン回転軸22Aを一体に回転可能となるようにしている。
【0105】
これにより、冷却ファン22は、ファンモータ84が停止した状態で、エンジン14の駆動力によって回転軸30が回転されると、この回転軸30と一体に回転する。また、冷却ファン22は、回転軸30の回転が停止しているときに、ファンモータ84が駆動されることにより、モータ駆動軸92と一体で回転するようになっている。
【0106】
このようなファンモータ84を用いた冷却装置16Aにおいても、前記した冷却装置16と同様の冷却制御を行うことができる。
【0107】
なお、以上説明した本実施の形態は本発明の構成を限定するものではない。例えば、本実施の形態では、エンジン14に換えて冷却ファン22を駆動するときに、冷却ファン22の駆動専用とするファンモータを設けたが、本発明は、これに限るものではなく、例えば、エアコン26が空調運転を行うときに駆動されるコンプレッサモータ58の駆動力を用いて、冷却ファン22を駆動するようにしても良い。
【0108】
このときには、コンプレッサモータ58の駆動軸の回転を回転軸30に伝達する駆動ベルトとプーリなどの伝達機構を設けると共に、この伝達機能内に、電磁クラッチなどの断続機構を設け、ファンモータ38のオン/オフ(運転/停止)に換えて、断続機構のオン/オフを行うようにすれば良い。
【0109】
また、本実施の形態では、回転軸30、32の間にファンカップリング34を設けたが、このファンカップリング34に換えて、エンジン14の駆動/停止に合わせてオン/オフされる電磁クラッチなどを設けてもよく、このときには、エンジン14を停止したときの冷却ファン22のつれ回りを防止するためのファンモータ38の駆動を省略することができる。
【0110】
さらに、本実施の形態では、自動アイドルストップ制御とエコラン制御を行うハイブリッド車である車両10、10Aを例に説明したが、本発明は、これに限らず、自動アイドルストップ制御を行う任意の構成の車両に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】第1の実施の形態に係る車両の要部の概略構成図である。
【図2】エアコンECU及びエンジンECUと冷却コントローラの接続を示す概略構成図である。
【図3】本実施の形態に係る冷却制御の概略を示す流れ図である。
【図4】第2の実施の形態に係る車両の要部の概略構成図である。
【図5】第2の実施の形態に係るファンモータの概略構成図である。
【符号の説明】
【0112】
10、10A 車両
14 エンジン(第1の駆動手段)
16、16A 冷却装置
18 コンデンサ(冷却用熱交換器)
20 エンジンラジエータ(冷却用熱交換器)
22 冷却ファン
26 エアコン
34 ファンカップリング(第1の駆動手段、伝達手段)
38、84 ファンモータ(第2の駆動手段)
50 エアコンECU
52 エンジンECU
54 車速センサ(検出手段、速度検出手段)
76 圧力センサ(検出手段、圧力検出手段)
78 冷却コントローラ(判定手段、冷却制御手段)
80 水温センサ(水温検出手段)
82 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定されているエンジン停止条件が成立することによりエンジンを停止させると共に、エンジン始動条件が成立することによりエンジンを再始動するエンジン制御が行われる車両に設けられる車両用冷却装置であって、
冷却風が導風されることにより冷媒との間で熱交換が行なわれる冷却用熱交換器と、
回転駆動されることにより作動して前記冷却風を前記冷却用熱交換器へ導風する単一の冷却ファンと、
前記エンジンの駆動力によって前記冷却ファンを作動可能とする第1の駆動手段と、
電気モータの駆動力によって前記冷却ファンを作動可能とする第2の駆動手段と、
前記冷却用熱交換器に対する冷却負荷を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて前記冷却用熱交換器の冷却能力を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果及び前記冷却風の導風能力に基づいて前記第1の駆動手段又は前記第2の駆動手段のいずれか一方を選択して前記冷却ファンを作動する冷却制御手段と、
を含むことを特徴とする車両用冷却装置。
【請求項2】
前記電気モータによる前記冷却ファンの回転数が、前記エンジンの駆動力による回転数よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却装置。
【請求項3】
前記検出手段が、エンジン冷却水温度を検出する水温検出手段及び冷媒圧力を検出する圧力検出手段を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用冷却装置。
【請求項4】
車両の走行速度を検出する速度検出手段を含み、
前記第2の駆動手段を用いた前記冷却ファンの作動中又は、前記速度検出手段の検出する走行速度が所定速度以上であるとき、前記冷却制御手段が、前記第1の駆動手段を選択することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用冷却装置。
【請求項5】
前記第1の駆動手段に、前記エンジンの駆動力を前記冷却ファンに伝達する伝達手段としてファンカップリングを含むときに、
ファンカップリングの雰囲気温度が所定温度以上であり、かつ、前記エンジン停止条件が成立したときには、
前記冷却制御手段が、前記判定手段の判定結果にかかわらず、前記第2の駆動手段を選択して前記冷却ファンを作動する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両用冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−302207(P2007−302207A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135485(P2006−135485)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】