説明

車両用周辺監視装置、車両用周辺監視装置の表示方法およびプログラム

【課題】車両周辺の監視状態の確認を容易にすることができる車両用周辺監視装置、車両用周辺監視装置の表示方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】車両の周辺における情報を取得する取得部11,12,13と、車両の状態に係る情報を表示する表示領域を有する車両情報表示部31と、取得部11,12,13の動作状態を表す虚像を、車両の運転者から見て、車両情報表示部31における表示領域の少なくとも一部と重なる位置に表示する虚像表示部33と、が設けられ、制御部40は、車両情報表示部31に対して虚像と重なる表示領域に対する光の照明等を中止させると共に、虚像表示部33により虚像を表示させる。これにより車両の始動時に、運転者が上述の虚像を視認する際に、表示領域が邪魔になることがない。さらに、上述の虚像の周囲が暗くなり虚像の表示が強調されるため、運転者は上述の虚像を視認しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺監視が正常に行われているか確認を容易にする車両用周辺監視装置、車両用周辺監視装置の表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者に対する運転操作の負担軽減を目的として、車両の周辺を監視する各種のセンサが車両に設けられ始めている。各種のセンサとしては、レーダやクリアランスソナーやカメラ等を例示することができる。
【0003】
レーダは比較的離れた位置に存在する物体と車両との距離や相対速度や方位を測定する際に用いられるセンサであり、クリアランスソナーは比較的近い位置に存在する物体と車両との距離や位置を測定する際に用いられるセンサであり、例えば駐車操作を行う際に運転者をサポートするものである。カメラは運転者が視認できない死角の領域を撮影するものであり、例えば車庫入れ時や、路肩駐車や、幅寄せや、車線変更時などの操作を行う際に運転者をサポートするものである。
【0004】
上述の各種センサにより測定された情報は、例えばECU(電子制御ユニット)などの演算部により処理され、処理された情報がコンビネーションメータ等のメータ部やMID(Multi Infomation Display)に表示される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4010224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、各種センサがそれぞれ測定すべき情報を測定した場合には、メータ部等に測定された情報に関する表示が行われて運転者に情報が伝達される。この場合、運転者は、メータ部等に上述の表示が行われない場合には、測定すべき対象物がないためメータ部等に表示が行われないのか、各種センサやメータ部等の故障により表示が行われないのか判別することができないという問題があった。
【0007】
また、各種センサにより測定された情報に基づいて、運転者に警告などその他の情報表示する場合、コンビネーションメータ等のメータ部に配置された指示器(インジケータ)や、MIDに情報が表示される。この表示が小さいと、車両を運転操作する運転者にとって、視覚的に気づきにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、車両周辺の監視状態の確認を容易にすることができる車両用周辺監視装置、車両用周辺監視装置の表示方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の車両用周辺監視装置は、車両の周辺における情報を取得する取得部と、車両の状態に係る情報を表示する表示領域を有し、この表示領域は光で照明される、または、表示領域における車両の状態に係る情報を表示する部分から光が出射される車両情報表示部と、取得部の動作状態を表す虚像の表示を行う虚像表示部と、車両の状態に係る情報および取得部により取得された情報が入力されるとともに、車両情報表示部および虚像表示部を制御する制御部と、が設けられ、虚像表示部は、車両の運転者から見て、車両情報表示部における表示領域の少なくとも一部と重なる位置に虚像を表示させる位置に配置され、制御部は、車両の始動時に、車両情報表示部に対して虚像と重なる表示領域に対する光の照明、または、虚像と重なる表示領域における光の出射を中止させると共に、虚像表示部により虚像を表示させるものである。
【0010】
本発明の車両用周辺監視装置によれば、車両の始動時に、取得部の動作状態を表す虚像が虚像表示部により表示され、かつ、表示領領域における虚像が表示される部分の照明が中止、または、表示領域における光の出射が中止される。そのため、運転者が上述の虚像を視認する際に、表示領域が邪魔になることがない。さらに、上述の虚像の周囲が暗くなり虚像の表示が強調されるため、運転者は上述の虚像を視認しやすくなる。
【0011】
ここで、車両の周辺における情報としては、障害物の有無を示す情報や、路面の状態を示す情報や、他の車両の接近を示す情報などを例示することができる。また、車両の状態に係る情報としては、車両の走行速度を示す情報や、エンジンの回転数を示す情報や、エンジンの冷却水温度を示す情報や、燃料の残量を示す情報などを例示することができる。
【0012】
上記発明の車両情報表示部における表示領域は、複数の部分に分割され、分割された部分の少なくとも一つが、虚像表示部により表示される虚像と重なり、制御部は、虚像を虚像表示部に表示させる際に、虚像と重なる表示領域の分割された部分に対する光の照明、または、虚像と重なる表示領域における光の出射を中止させることが望ましい。
【0013】
このようにすることで、虚像が表示される周辺の表示領域のみ暗くして虚像の視認性を確保し、虚像が表示される部分から離れた表示領域は、光の照明または光の出射を継続して、この部分に表示される車両の状態に係る情報の視認性低下を防止できる。
【0014】
上記発明の車両情報表示部には、表示領域における分割されたそれぞれの部分を照明する光、または、車両の状態に係る情報を表示する部分から出射される光を出射する複数の光源が設けられ、制御部は、複数の光源からの光の出射を個別に制御することが望ましい。
【0015】
このように、さらに、表示領域における分割されたそれぞれの部分を、独立して照明する光源を設けて、この光源における光の出射を制御することで、虚像と重なる表示領域の分割された部分に対する光の照明、または、虚像と重なる表示領域における光の出射を容易に、かつ、確実に中止することができる。
【0016】
本発明の車両用周辺監視装置の表示方法は、車両の始動を検知する始動検知ステップと、車両の始動後に、車両の周辺における情報を取得する取得部に係る情報を取得する情報取得ステップと、車両の状態に係る情報を表示する表示領域に対する光の照明、または、表示領域における車両の状態に係る情報を表示する部分からの光の出射を中止させる光制御ステップと、表示領域に対する光の照明、または、表示領域における車両の状態に係る情報を表示する部分からの光の出射が中止された部分に、情報取得ステップにおいて取得された情報を示す虚像を表示させる虚像表示ステップと、を有するものである。
【0017】
本発明のプログラムは、コンピュータに、車両の始動を検知する始動検知機能と、車両の始動後に、車両の周辺における情報を取得する取得部に係る情報を取得する情報取得機能と、車両の状態に係る情報を表示する表示領域に対する光の照明、または、表示領域における車両の状態に係る情報を表示する部分からの光の出射を中止させる光制御機能と、表示領域に対する光の照明、または、表示領域における車両の状態に係る情報を表示する部分からの光の出射が中止された部分に、情報取得機能において取得された情報を示す虚像を表示させる虚像表示機能と、を実現させるものである。
【0018】
本発明の車両周辺監視装置の表示方法またはプログラムによれば、車両の始動時に、情報取得ステップにおいて取得された情報を示す虚像が表示され、かつ、車両の状態に係る情報が表示される表示領領域における虚像が表示される部分の照明が中止、または、表示領域における光の出射が中止される。そのため、運転者が上述の虚像を視認する際に、表示領域が邪魔になることがない。さらに、上述の虚像の周囲が暗くなり虚像の表示が強調されるため、運転者は上述の虚像を視認しやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両用周辺監視装置、車両用周辺監視装置の表示方法およびプログラムによれば、車両の始動時に、取得部の動作状態を表す虚像が虚像表示部により表示され、かつ、表示領領域における虚像が表示される部分の照明が中止、または、表示領域における光の出射が中止されるため、車両周辺の監視状態の確認を容易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用周辺監視装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1の実メータ部による表示状態を説明する模式図である。
【図3】図1の実メータ部および虚像用ディスプレイによる表示状態を説明する模式図である。
【図4】車両の始動時における図1の車両用周辺監視装置による表示制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の一実施形態に係る車両用周辺監視装置について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用周辺監視装置1の構成を説明するブロック図である。図2は、図1の実メータ部31による表示状態を説明する模式図であり、図3は、図1の実メータ部31および虚像用ディスプレイ33による表示状態を説明する模式図である。
【0022】
本実施形態に係る車両用周辺監視装置1は、車両の周辺に存在する障害物や、他の車両や、人などの物体の有無などの監視に用いられるものである。車両用周辺監視装置1には、図1に示すように、周辺監視部10と、車両情報部20と、表示部30と、制御ユニット(制御部、コンピュータ)40と、が主に設けられている。
【0023】
周辺監視部10は、車両の周辺に存在する物体の有無などの監視に用いられるものであり、監視する対象に合わせて、車両の各所に配置されたものである。本実施形態では、周辺監視部10として、カメラ(取得部)11と、クリアランスソナー(取得部)12と、レーダ(取得部)13とが設けられている例に適用して説明するが、これらのものに限られるものではない。
【0024】
カメラ11は、車両の周辺における所定の領域を撮影することにより監視を行うものである。本実施形態では、車両のドアミラーにカメラ11が内蔵されて、車両の側方領域の映像を撮影するものに適用して説明する。なお、カメラ11は、その他に、車両の後方領域の映像を撮影するものや、車両の前側方領域の映像を撮影するものが追加して設けられていてもよく、特に限定するものではない。
【0025】
クリアランスソナー12は、車両から外側に向かって超音波を送信し、車両周辺の物体により反射した超音波を受信することにより、物体の検出や、物体までの距離や、物体の位置の測定などを行うものである。本実施形態では、車両の前方および後方のバンパに配置されている例に適用して説明する。より詳しくは、バンパの中央、右端および左端にクリアランスソナー12が配置されている例に適用して説明する。
【0026】
レーダ13は、例えばミリ波の電波を送信し、物体により反射した電波を受信することにより車両周辺の物体の検出や、物体までの距離や、物体の位置や、物体との相対速度などの測定を行うものである。一般的に、レーダ13による検出または測定可能な範囲は、クリアランスソナー12よりも広く、例えば車両の前方を走行する他の車両との距離や、相対速度等を測定することができる。
【0027】
車両情報部20は、車両の走行速度を示す情報や、エンジンの回転数を示す情報や、エンジンの冷却水温度を示す情報や、燃料の残量を示す情報などの送受信に関するものである。本実施形態では、車両情報部20に設けられた車載ネットワークである車両CAN(Controller Area Network)21によって、上述の各種情報を表す信号が送受信されている。
【0028】
表示部30は、運転者に対して車両の種々の情報を表示するものであり、例えば、車両のインスツルメントパネルに設けられたものである。表示部30には、実メータ部(車両情報表示部)31と、メータバックライト(車両情報表示部、光源)32と、虚像用ディスプレイ(虚像表示部)33と、が主に設けられている。
【0029】
実メータ部31は、車両の運転者に対して車両の走行速度を示す情報や、エンジンの回転数を示す情報や、エンジンの冷却水温度を示す情報や、燃料の残量を示す情報などを表示して伝達するものであり、メータバックライト32と共に、いわゆる自発光式メータを構成するものである。本実施形態では、図2に示すように、左右方向に3つの部分に分割され、左端にエンジンの回転数を表示する部分である回転計31Rと、中央に車両の走行速度を表示する部分である速度計31Sと、右端にエンジンの冷却水温度および燃料の残量を表示する部分である水温計31Tおよび燃料計31Fと、が設けられた例に適用して説明する。それぞれの部分は、ステッピングモータなどの駆動部により回転位相が制御される指針31Mの指し示す向きによって、各々の情報を表示(アナログ表示)している。
【0030】
メータバックライト32は、光を用いて実メータ部31の視認性を向上させるものであり、本実施形態としては、LED(Light Emitted Diode)を光源として用いて、LEDの点灯を制御する電源回路が設けられた例に適用して説明する。
【0031】
メータバックライト32のLEDは、実メータ部31における文字板31Bの裏側に配置され、メータバックライト32のLEDから出射された光は、プリズムなどの光学部材を介して、文字板31Bを背面から照明している。さらに、メータバックライト32の他のLEDは、指針31Mの回転中心であって、文字板31Bの裏側に配置され、メータバックライト32の他のLEDから出射された光は、例えば透光性を有する樹脂で形成された指針31Mの内部に導かれ、指針31Mを光らせている。
【0032】
また、実メータ部31における左端部分の回転計31R、中央部分の速度計31S、右端部分の水温計31Tおよび燃料計31Fの部分には、文字板31Bを照明するメータバックライト32のLEDおよび指針31Mを光らせるメータバックライト32のLEDが別々に配置されている。
【0033】
虚像用ディスプレイ33は、周辺監視部10により取得された情報に係る虚像を表示するものであり、本実施形態では、図3に示すように、実メータ部31における中央の速度計31Sの部分に虚像を表示する例に適用して説明する。虚像用ディスプレイ33としては、虚像が投影されるハーフミラー等の透光性を有する光学部材と、投影される虚像に係る画像を生成する表示器と、虚像の投影に用いられる光を出射する光源と、を主に備えた構成を例示することができる。この場合、虚像が投影される光学部材が、運転者から見て、実メータ部31における中央部分である速度計31Sの少なくとも一部を覆う位置に配置されている。
【0034】
制御ユニット40は、周辺監視部10や車両情報部20などから各種の情報が入力されるとともに、表示部30における情報の表示状態を制御するものである。制御ユニット40には、車両状態処理部41と、周辺状態処理部42と、表示制御部43と、が主に設けられている。
【0035】
車両状態処理部41は、車両CAN21から車両の走行速度を示す情報に関する信号等が入力されるものであり、入力された信号に基づいて、車両が始動したか否かを判別するものである。
【0036】
周辺状態処理部42は、周辺監視部10から車両の周辺に存在する物体の有無などの監視情報が入力されるものであり、入力された信号に基づいて、例えば周辺監視部10のカメラ11や、クリアランスソナー12や、レーダ13などが正常に作動しているか否かを判定するものである。
【0037】
表示制御部43は、車両状態処理部41および周辺状態処理部42における判別の結果に基づいて、表示部30の実メータ部31およびメータバックライト32における表示や、虚像用ディスプレイ33における表示を制御するものである。なお、車両状態処理部41、周辺状態処理部42および表示制御部43における処理の詳しい内容については後述する。
【0038】
次に、上記の構成からなる車両用周辺監視装置1における車両の始動時における表示について図1および図4を参照しながら説明する。図4は、車両の始動時における図1の車両用周辺監視装置1による表示制御を説明するフローチャートである。
【0039】
制御ユニット40の車両状態処理部41は、車両CAN21を介して車両が始動したか否か、より具体的には、車両のエンジンが始動したか否かの判定を行う(S11:始動検知ステップ)。本実施形態では、キーシリンダに差し込まれたエンジンキー(イグニッションキー)が、エンジンのスタータモータを回転させるイグニッションONの位置まで回されたか否かにより判定する例に適用して説明する。なお、エンジンが始動したか否かの判定は、上述のようにエンジンキーの回転位置を検出して判別してもよいし、エンジンを制御するECUなどの制御部の動作状況、エンジンの振動や温度などを測定するセンサの出力等に基づいて判別してもよく、特に限定するものではない。
【0040】
S11において車両のエンジンが始動していないと判別された場合(NOの場合)には、エンジンが始動したか否かの判定(イグニッションONを検出したか否かの判定)を繰り返し行う。エンジンが始動した(イグニッションONを検出した)と判別された場合(YESの場合)には、車両状態処理部41は、イグニッションONの検知信号を出力する。
【0041】
イグニッションON信号は周辺状態処理部42に入力され、周辺状態処理部42は、周辺監視部10から周辺監視情報が取得されたか否かの判別を行う(S12:情報取得ステップ)。言い換えると、周辺監視部10が正常に動作しているか否かを判定するために、カメラ11から車両の周辺の映像を撮影した映像信号が取得されているか、クリアランスソナー12から超音波の送受信がされていることを示す信号が取得されているか、レーダ13から電波が送受信されていることを示す信号が取得されているかの判定が行われる。
【0042】
S12において周辺監視情報が取得されていないと判別された場合(NOの場合)には、周辺監視情報が取得されたか否かの判別を繰り返し行う。周辺監視情報が取得されたと判別された場合(YESの場合)には、周辺状態処理部42は、周辺監視情報の検知信号を出力する。
【0043】
なお、周辺監視情報の取得の判別が繰り返し行われる場合、繰り返しを行う期間を定めていてもよいし、定めなくてもよく、特に限定するものではない。繰り返しを行う期間を定める場合には、期間を経過した後に、周辺監視情報の取得ができなかったもの、例えばカメラ11等を特定する情報を、周辺状態処理部42は出力してもよい。
【0044】
周辺監視情報の検知信号は表示制御部43に入力され、表示制御部43は、メータバックライト32の点灯消灯を制御する制御信号を出力する(S13:光制御ステップ)。具体的には、実メータ部31における中央部分の速度計31Sにおける照明等に用いられるメータバックライト32のLEDに対して、消灯する制御信号を出力する。この時、他の左端部分の回転計31R、右端部分の水温計31Tおよび燃料計31Fにおける照明等に用いるメータバックライト32のLEDは点灯されている。
【0045】
表示制御部43から出力された制御信号は、メータバックライト32の電源回路に入力され、電源回路は、実メータ部31における中央部分の速度計31Sにおける照明等に用いられるメータバックライト32のLEDに対する電流の印加を中止する(S14:光制御ステップ)。これにより、LEDからの光の出射が中止され、速度計31Sにおける文字板31Bの照明が中止されるとともに、速度計31Sの指針31Mが光らなくなる。
【0046】
表示制御部43は、さらに、虚像用ディスプレイ33に周辺監視部10の動作状況を運転者に伝える情報を表示させる(動画などの画像であるGUIを描画させる)制御信号を出力する(S15:虚像表示ステップ)。周辺監視部10の動作状況を運転者に伝える動画などの画像としては、図3に示すように、車両のアイコンと、カメラ11や、クリアランスソナー12や、レーダ13の監視領域を表示し、この表示にカメラ11等が正常に動作している等の状況を示す表示を順次重ねて表示する画像を例示することができる。ここで、周辺監視情報の取得ができなかったもの、言い換えると正常に動作していないもの(例えばカメラ11)を表示するようにしてもよい。図3では、車両のサイドミラーに設置されたカメラ11の動作状況が示されている。
【0047】
周辺監視部10の動作状況を運転者に伝える情報を表示させる制御信号が入力された虚像用ディスプレイ33の表示器は制御信号に従って画像を生成し、生成された画像は虚像表示用の光学部材に投射され、図3に示すような虚像が表示される(S16:虚像表示ステップ)。
【0048】
上記の車両用周辺監視装置によれば、車両の始動時に、カメラ11や、クリアランスソナー12や、レーダ13の動作状態を表す虚像が虚像用ディスプレイ33により表示され、かつ、実メータ部31における中央部分の速度計31Sの照明が中止される。そのため、運転者が上述の虚像を視認する際に、実メータ部31における表示が邪魔になることがない。さらに、上述の虚像の周囲が暗くなり虚像の表示が強調されるため、運転者は上述の虚像を視認しやすくなり、車両周辺の監視状態の確認を容易にすることができる。
【0049】
実メータ部31における中央部分の速度計31Sのみ暗くして虚像の視認性を確保し、虚像が表示される部分から離れた左端部分の回転計31R、右端部分の水温計31Tおよび燃料計31Fでは、光の照明を継続することで、この部分に表示されるエンジンの回転数や、エンジン冷却水の温度や、燃料の残量などの情報の視認性低下を防止することができる。
【0050】
実メータ部31における左端部分の回転計31R、中央部分の速度計31S、右端部分の水温計31Tおよび燃料計31Fの部分には、文字板31Bを照明するメータバックライト32のLEDおよび指針31Mを光らせるメータバックライト32のLEDが別々に配置されているため、このLEDにおける光の出射を制御することで、実メータ部31における中央部分の速度計31Sに対する光の照明等を容易に、かつ、確実に中止することができる。
【0051】
なお、上述の実施形態では、車両の運転者に対して車両の走行速度を示す情報や、エンジンの回転数を示す情報や、エンジンの冷却水温度を示す情報や、燃料の残量を示す情報などを表示して伝達するものとして、実メータ部31およびメータバックライト32から構成される自発光式メータを用いる例に適用して説明したが、その他にも、液晶ディスプレイなどを用いたメータであってもよく、特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1…車両用周辺監視装置、11…カメラ(取得部)、12…クリアランスソナー(取得部)、13…レーダ(取得部)、31…実メータ部(車両情報表示部)、32…メータバックライト(車両情報表示部、光源)、33…虚像用ディスプレイ(虚像表示部)、40…制御ユニット(制御部、コンピュータ)、S11…始動検知ステップ、S12…情報取得ステップ、S13…光制御ステップ、S14…光制御ステップ、S15…虚像表示ステップ、S16…虚像表示ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺における情報を取得する取得部と、
前記車両の状態に係る情報を表示する表示領域を有し、該表示領域は光で照明される、または、前記表示領域における前記車両の状態に係る情報を表示する部分から光が出射される車両情報表示部と、
前記取得部の動作状態を表す虚像の表示を行う虚像表示部と、
前記車両の状態に係る情報および前記取得部により取得された情報が入力されるとともに、前記車両情報表示部および前記虚像表示部を制御する制御部と、
が設けられ、
前記虚像表示部は、前記車両の運転者から見て、前記車両情報表示部における前記表示領域の少なくとも一部と重なる位置に前記虚像を表示させる位置に配置され、
前記制御部は、前記車両の始動時に、前記車両情報表示部に対して前記虚像と重なる前記表示領域に対する光の照明、または、前記虚像と重なる前記表示領域における光の出射を中止させると共に、前記虚像表示部により前記虚像を表示させることを特徴とする車両用周辺監視装置。
【請求項2】
前記車両情報表示部における前記表示領域は複数の部分に分割され、分割された部分の少なくとも一つが、前記虚像表示部により表示される前記虚像と重なり、
前記制御部は、前記虚像を前記虚像表示部に表示させる際に、前記虚像と重なる前記表示領域の分割された部分に対する光の照明、または、前記虚像と重なる前記表示領域における光の出射を中止させることを特徴とする請求項1記載の車両用周辺監視装置。
【請求項3】
前記車両情報表示部には、前記表示領域における分割されたそれぞれの部分を照明する光、または、前記車両の状態に係る情報を表示する部分から出射される光を出射する複数の光源が設けられ、
前記制御部は、前記複数の光源からの光の出射を個別に制御することを特徴とする請求項2記載の車両用周辺監視装置。
【請求項4】
車両の始動を検知する始動検知ステップと、
前記車両の始動後に、前記車両の周辺における情報を取得する取得部に係る情報を取得する情報取得ステップと、
前記車両の状態に係る情報を表示する表示領域に対する光の照明、または、前記表示領域における前記車両の状態に係る情報を表示する部分からの光の出射を中止させる光制御ステップと、
前記表示領域に対する光の照明、または、前記表示領域における前記車両の状態に係る情報を表示する部分からの光の出射が中止された部分に、前記情報取得ステップにおいて取得された情報を示す虚像を表示させる虚像表示ステップと、
を有することを特徴とする車両用周辺監視装置の表示方法。
【請求項5】
コンピュータに、
車両の始動を検知する始動検知機能と、
前記車両の始動後に、前記車両の周辺における情報を取得する取得部に係る情報を取得する情報取得機能と、
前記車両の状態に係る情報を表示する表示領域に対する光の照明、または、前記表示領域における前記車両の状態に係る情報を表示する部分からの光の出射を中止させる光制御機能と、
前記表示領域に対する光の照明、または、前記表示領域における前記車両の状態に係る情報を表示する部分からの光の出射が中止された部分に、前記情報取得機能において取得された情報を示す虚像を表示させる虚像表示機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−148711(P2012−148711A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9945(P2011−9945)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】