説明

車両用表示装置

【課題】複数の画像が異なる描画手段によって生成されても、高い操作性を獲得できる車両用表示装置の提供。
【解決手段】主画像2aを表示する主表示領域42、並びに補完画像2bを主画像2aと並列表示する補完表示領域43を有し、それら表示領域のうちアクティブ領域として選定される一方の表示領域の画像にポインタ画像2cを重畳して表示する表示画面を備えた車両用表示装置100である。主画像2aはナビゲーション装置50によって生成され、補完画像2bは映像描画部22によって生成される。主表示領域42及び補完表示領域43の境界線41aにポインタ画像2cの表示位置を移動させると、アクティブ領域が主表示領域42及び補完表示領域43の一方から他方へ切り替える。これにより、ポインタ画像2cは、当該一方の表示領域から消え、他方の表示領域に現われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、第一描画手段および第二描画手段によってそれぞれ生成される第一画像および第二画像を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員に向けて設置される表示器の表示画面を複数の表示領域に分け、当該複数の表示領域の各々に画像を表示する装置が知られている。このような装置の一種として、例えば特許文献1に開示の表示装置では、モニタ部に、例えばナビゲーションコントローラによって生成されるナビゲーション画像、テレビチューナ及びデコーダによって生成されるテレビ画像等が並列表示される。
【0003】
また特許文献2に開示の構成において、車載操作システムと接続されているナビゲーションECUは、ナビゲーション機能に関するナビゲーション画像とオーディオ機能を制御するオーディオ画像とが並列された画像を生成する。表示器の表示画面は、ナビゲーションECUによって生成される画像に、ポインタを重畳して表示する。そして、ナビゲーションECUと接続されている車載操作システムには、表示画面におけるポインタの表示位置を移動させるための移動要求、並びに当該ポインタの特定の表示位置に関連付けられた表示態様へ表示画面の表示態様を変更するための変更要求が、ユーザ要求として入力される。
【0004】
以上の構成において、表示器の表示画面で互いに並列表示されるナビゲーション画像及びオーディオ画像のうち例えばナビゲーション画像に、ポインタが重畳されている状態とする。この状態下、オーディオ画像の表示されている表示領域にポインタの表示位置を移動させる移動要求が車載操作システムへ入力される。すると、移動要求に応じて、ポインタは、オーディオ画像の表示されている表示領域を移動可能となる。また、オーディオ画像の表示態様は、車載操作システムに入力される変更要求に応じて変更可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−195056号公報
【特許文献2】特開2010−108255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示の構成では、ナビゲーション画像及びオーディオ画像が同一の描画手段であるナビゲーションECUによって生成されている。故に、ナビゲーションECUにおいて、ポインタを重畳する位置を変更すれば、表示画面におけるポインタは、ナビゲーション画像を表示している表示領域からオーディオ画像を表示している表示領域に自由に移動することができる。このように、ポインタの表示位置を二つの表示領域において一方から他方に移動させることは、特許文献2に開示の構成では容易に行い得た。
【0007】
ここで、近年、表示器の大型化及び高精細化により、当該表示器の表示可能な表示画素数が著しく増加している。故に、描画手段によって生成される画像の画素数も、表示器の表示画素数に対応するよう引き上げられる必要がある。すると、特許文献2に開示の構成のように、同一の描画手段によって画素数の増加した複数の画像を生成し、これらの画像を並列表示することが、当該描画手段の処理能力上困難になる事態が生じてきた。故に、異なる描画手段によって生成された複数の画像を並列表示する車両用表示装置に対する要望が高まりつつある。
【0008】
しかし、特許文献1に開示の表示装置のように、ナビゲーション画像及びテレビ画像が互いに異なる描画手段によって生成されている形態では、操作性が悪化するという懸念がある。具体的に説明すると、ポインタ画像の表示位置を、ナビゲーション画像を表示している表示領域からテレビ画像を表示している表示領域に移動させるための移動要求が、入力部に入力されても、ポインタ画像は、テレビ画像を表示している表示領域を移動可能にはならない。故に、テレビ画像の表示態様を、入力部に入力される変更要求に応じて変更させることもできない。このように、並列表示される複数の画像が異なる画像手段によって生成される車両用表示装置では、操作性が悪化する懸念がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の画像が異なる描画手段によって生成されても、高い操作性を獲得できる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車両に搭載され、第一描画手段および第二描画手段によってそれぞれ生成される第一画像および第二画像を表示する車両用表示装置であって、第一画像を表示する第一表示領域、並びに第二画像を第一画像と並列表示する第二表示領域を有し、それら表示領域のうちアクティブ領域として選定される一方の表示領域の画像にポインタ画像を重畳して表示する表示画面と、表示画面におけるポインタ画像の表示位置を移動させるための移動要求、並びにポインタ画像の特定の表示位置に関連付けられた表示態様へ表示画面の表示態様を変更するための変更要求が、ユーザ要求として入力される入力部と、アクティブ領域において第一表示領域及び第二表示領域の境界線に沿う内縁部にポインタ画像の表示位置を移動させる移動要求が、入力部へ入力された場合に、アクティブ領域を第一表示領域及び第二表示領域の一方から他方へ切り替えると共に、当該一方の表示領域を非アクティブ領域に切り替える切替手段と、を備え、第一描画手段及び第二描画手段のうち、切替手段によりアクティブ領域に切り替えられた表示領域の画像を生成する描画手段は、当該アクティブ領域の画像に対するポインタ画像の重畳を開始して、ポインタ画像の表示位置での変更要求に応じて当該アクティブ領域の画像の表示態様を変更し、第一描画手段及び第二描画手段のうち、切替手段により非アクティブ領域に切り替えられた表示領域の画像を生成する描画手段は、当該非アクティブ領域の画像に対するポインタ画像の重畳を中止することを特徴とする車両用表示装置とする。
【0011】
この発明において、まず、第一画像を表示する第一表示領域、並びに第二画像を当該第一画像と並列表示する第二表示領域のうち、アクティブ領域として選定される一方の表示領域の画像にポインタ画像が重畳された状態とする。この状態下、アクティブ領域において第一表示領域及び第二表示領域の境界線に沿う内縁部に、ポインタ画像の表示位置を移動させる移動要求が入力部へ入力される。すると、切替手段は、アクティブ領域を第一表示領域及び第二表示領域の一方から他方へ切り替えると共に、当該一方の表示領域を非アクティブ領域に切り替える。
【0012】
第一画像を生成する第一描画手段及び第二画像を生成する第二描画手段のうち、切替手段により非アクティブ領域に切り替えられた表示領域の画像を生成する描画手段は、非アクティブ領域の画像に対するポインタ画像の重畳を中止する。一方、第一描画手段及び第二描画手段のうち、切替手段によりアクティブ領域に切り替えられた表示領域の画像を生成する描画手段は、当該アクティブ領域の画像に対するポインタ画像の重畳を開始する。これらにより、表示画面において、ポインタ画像は、非アクティブ領域となった表示領域に表示される画像から消えるとともに、アクティブ領域となった表示領域に表示される画像に現れる。そして、ポインタ画像は、入力部に入力される移動要求に応じてアクティブ領域となった表示領域を移動可能となる。また、アクティブ領域に表示されている画像の表示態様は、入力部に入力される変更要求に応じて、ポインタ画像の特定の表示位置に関連付けられた表示態様へ変更可能となる。
【0013】
以上のように、第一画像及び第二画像がそれぞれ第一描画手段および第二描画手段によって生成されていても、入力部に入力されるポインタ画像の移動要求により、第一表示領域及び第二領表示域のアクティブ領域又は非アクティブ領域への切り替えは行われ得る。故に、ポインタ画像は、第一表示領域及び第二表示領域を移動することができる。そして、アクティブ領域においては、変更要求によって当該アクティブ領域に表示されている画像の表示態様を変更することができる。したがって、第一画像及び第二画像が異なる描画手段によって生成されても、車両用表示装置は高い操作性を獲得することができる。
【0014】
車両に搭載される車両用表示装置では、ポインタ画像を移動させるための車両の乗員による入力部の操作は、車両の振動等に起因して、緻密に行われ難い。故に、アクティブ領域を第一表示領域及び第二表示領域の一方から他方へ切り替える意思が乗員に無いにもかかわらず、第一表示領域及び第二表示領域の境界線に沿う内縁部にポインタ画像の表示位置を移動させる移動要求が偶発的に入力部に入力される場合がある。
【0015】
そこで、請求項2に記載の発明では、切替手段は、予め設定される設定時間よりも長く内縁部にポインタ画像を位置させる移動要求が、入力部に入力された場合に、アクティブ領域を第一表示領域及び第二表示領域の一方から他方へ切り替えると共に、当該一方の表示領域を非アクティブ領域に切り替えることを特徴とする。
【0016】
この発明では、第一表示領域及び第二表示領域の境界線に沿う内縁部に、予め設定される設定時間よりも長くポインタ画像を位置させなければ、切替手段は、アクティブ領域を第一表示領域及び第二表示領域の一方から他方へ切り替えない。故に、第一表示領域及び第二表示領域の境界線に沿う内縁部にポインタ画像の表示位置を移動させる移動要求が偶発的に入力部に入力されることにより、アクティブ領域が切り替えられる事態は生じ難くなる。対して、アクティブ領域を切り替える意思を持って、予め設定される設定時間よりも長く内縁部にポインタ画像を位置させる移動要求を入力部に入力すれば、アクティブ領域は、第一表示領域及び第二表示領域の一方から他方へ切り替わる。以上により、車両用表示装置は、アクティブ領域を切り替える旨の乗員の意思を忠実に反映したうえで、当該アクティブ領域の切り替えを行い得る。したがって、車両用表示装置の操作性はさらに向上する。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、内縁部にポインタ画像を位置させる移動要求が入力部に入力された場合に、入力部に対して、当該移動要求を入力する操作に対する反力を印加する反力印加部をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、第一表示領域及び第二表示領域の境界線に沿う内縁部にポインタ画像を位置させる移動要求が入力部に入力されると、反力印加部は、当該入力部に対して、当該移動要求を入力する操作に対する反力を印加する。故に、アクティブ領域を切り替える意思が操作を入力する乗員に有る場合にだけ、反力印加部によって印加される反力に抗して、内縁部にポインタ画像を位置させる移動要求が入力され続ける蓋然性が高くなる。故に、車両用表示装置は、ポインタ画像の表示位置を切り替える旨の乗員の意思をさらに忠実に反映したうえで、アクティブ領域を切り替えることができる。したがって、車両用表示装置の操作性はさらに高いものとなる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、表示画面に配列される複数の表示画素のうち、第一表示領域に属する表示画素の数は、第一描画手段によって生成される第一画像の画素数に応じて規定され、第二描画手段は、表示画面の表示画素の数と、第一表示領域に属する表示画素の数との差を補完する画素数にて、第二画像を生成することを特徴とする。
【0020】
この発明において、表示画面に配列される複数の表示画素のうち、第一表示領域に属する表示画素の数は、第一描画手段によって生成される第一画像の画素数に応じて規定される。そして、第一表示領域に属する表示画素の数と、表示画面に配列される表示画素の数との差は、当該差を補完する画素数にて生成される第二画像により、補完される。故に、第一描画手段によって生成され得る第一画像の画素数が、表示画面に配列される表示画素の数より少なくても、車両用表示装置は、当該第一画像を用いつつ、当該表示画面の表示画素をすべて活用し得る。
【0021】
以上の構成では、表示画面に配列される表示画素の数を増加させた場合であっても、第二描画手段によって生成される第二画像の画素数を調整することにより、第一画像の生成に関する既存の第一描画手段は流用され得る。故に、車両用表示装置の設計に係わる作業量は低減され得る。したがって、高い操作性を備えた車両用表示装置の提供が容易になる。
【0022】
請求項5に記載の発明では、第一描画手段は、車両の乗員による運転操作を支援するナビゲーション画像を第一画像として生成するナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0023】
一般に、ナビゲーション装置によって生成されるナビゲーション画像は、非常に複雑な処理によって生成されている。故に、ナビゲーション画像の画素数を向上させるには、第一描画手段の処理能力の向上と、仕様変更のための多くの作業が発生し得る。しかし、既存のナビゲーション装置によって生成されるナビゲーション画像を第一画像として用いる車両用表示装置とすることにより、表示画素の増加に対応させつつ、ナビゲーション装置の処理能力の維持と仕様変更のための作業の省略とが図られ得る。故に、高い操作性を備えた車両用表示装置の提供がさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による車両用表示装置によって生成される表示画像を説明するための図であって、主画像としてナビゲーション画像が、補完画像としてオーディオ画像が選択された場合の表示画像を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による車両用表示装置によって生成される表示画像を説明するための図であって、主画像としてエアコン情報画像が、補完画像としてオーディオ画像がそれぞれ選択された場合の表示画像を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による車両用表示装置によって生成される表示画像を説明するための図であって、主画像としてオーディオ画像が、補完画像としてエアコン情報画像がそれぞれ選択された場合の表示画像を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による車両用表示装置によって生成される表示画像を説明するための図であって、主画像としてテレビ画像が、補完画像としてテレビ操作画像がそれぞれ選択された場合の表示画像を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による車両用表示装置において、ポインタ画像が表示される表示領域が、主表示領域及び補完表示領域間で切り替えられる様子を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態による制御回路において、メイン制御部が実行する制御フローを示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による制御回路において、メイン制御部が実行する制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による車両用表示装置100の構成を概略的に示す構成図である。車両用表示装置100は、車両に搭載され、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aに表示される図2等に示すような表示画像1を生成する装置である。表示画像1は、主画像2a及び補完画像2bを並列表示するための画像であって、車両の乗員に向けて設置される液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aに表示されることにより、当該表示画像1を視認する乗員に種々の情報を提供する。具体的に、図2〜図4に示すような表示画像1が、液晶ディスプレイ装置40には表示される。
【0027】
まず図1に基づいて、車両用表示装置100の構成について説明する。車両用表示装置100は、グローバルController Area Network(CAN)80及びローカルCAN81に接続されている。車両用表示装置100は、操作装置30、ナビゲーション装置50、制御回路20、及び液晶ディスプレイ装置40を備えている。尚、これらの装置等は、すべて車両に搭載されている。
【0028】
グローバルCAN80及びローカルCAN81は、所定のプロトコルを用いて、車載された装置間での情報のやり取りを実現するための車載ネットワークシステムである。グローバルCAN80及びローカルCAN81は、二本の通信線からなるバスに、種々の装置が接続されることにより構築されている。グローバルCAN80には、ナビゲーション装置50に加えて、車両を統合的に制御する車両制御装置82、車両に搭載された内燃機関を制御する機関制御装置84、及び車室内の空調を制御するエアコン制御装置86等が接続されている。グローバルCAN80には、これらの装置82,84,86等から、種々の車両情報が出力される。一方、ローカルCAN81には、制御回路20、ナビゲーション装置50、及び操作装置30等が接続されている。
【0029】
操作装置30は、運転席と助手席との間に位置するセンターコンソール上に配置され、主に車両の乗員である運転者によって操作される入力用のインターフェースである。操作装置30には、表示画面40a(図2等参照)におけるポインタ画像2c(図2等参照)の表示位置を移動させるための移動要求がユーザ要求として入力される。加えて、操作装置30には、ポインタ画像2cの特定の表示位置に関連付けられた表示態様へ当該表示画面40aの表示態様を変更するための変更要求が、ユーザ要求として入力される。操作装置30は、ポインティングデバイス31、アクチュエータ33、及び複数の選択ボタン32を有している。
【0030】
ポインティングデバイス31は、表示画像1に描画されたポインタ画像2c(図2等参照)の位置を、主画像2a及び補完画像2bの表示領域内において移動させるための操作が入力される入力部である。ポインティングデバイス31は、センターコンソールから突出する操作ノブであって、前後左右に可動するよう設置されている。運転者の操作によって動かされるポインティングデバイス31の位置は、画面上のポインタ画像2cの位置と対応している。故に、ポインティングデバイス31の位置が運転者によって前後左右に動かされることにより、液晶ディスプレイ装置40の表示上におけるポインタ画像2cの位置は上下左右に移動する。
【0031】
アクチュエータ33は、運転者による操作の入力されるポインティングデバイス31に対して、当該操作に対する反力を印加する。このアクチュエータ33による反力によって、運転者は、操作に対するフィードバックを、ポインティングデバイス31から触覚を通じて受ける。例えば、主表示領域42及び補完表示領域43の境界線41aに沿う内縁部42a,43aにポインタ画像2cを位置させる移動要求がポインティングデバイス31に入力された場合(図6参照)、アクチュエータ33は、ポインティングデバイス31に反力を印加する。これにより、ポインティングデバイス31を操作する運転者は、境界線41a(図6参照)に、触覚によって『壁』を知覚する。
【0032】
選択ボタン32は、例えば、表示画面40aの特定の表示位置に表示されるボタン画像2d,2e(図2等参照)を選択するためのものである。ポインタ画像2c(図2等参照)をボタン画像2d,2eと重ねたうえで選択ボタン32を押圧する変更要求のための操作が操作装置30に入力されることにより、当該ボタン画像2d,2eと関連付けられた表示態様へ、表示画面40aの表示態様は変更される。
【0033】
操作装置30にユーザ要求として入力される移動要求及び変更要求等の操作の操作情報は、当該操作装置30によってローカルCAN81に出力され、ナビゲーション装置50及び制御回路20によって取得される。
【0034】
ナビゲーション装置50は、グローバルCAN80、ローカルCAN81、及びオーディオ装置51、及び制御回路20等と接続されている。ナビゲーション装置50は、車両制御装置82、機関制御装置84、及びエアコン制御装置86等からグローバルCAN80に出力される車両情報を取得する。そしてナビゲーション装置50は、取得した車両情報をローカルCAN81に出力する。加えてナビゲーション装置50は、操作装置30によってローカルCAN81に出力された操作情報を取得する。またナビゲーション装置50は、地上波デジタル放送を受信する受信機、車両の現在位置を測位するグローバル・ポジショニング・システム(GPS)受信機、方位を計測する電子コンパス等を備えている。
【0035】
オーディオ装置51は、CD(登録商標)及びDVD(登録商標)等の光学ディスク、又はハードディスクドライブ及びフラッシュメモリ等のストレージデバイスに記憶された音楽データ及び映像データ等を再生する装置である。オーディオ装置51は、現在再生している楽曲に関する楽曲情報及び映像に関する映像情報等をナビゲーション装置50に出力する。これら楽曲情報及び映像情報は、ナビゲーション装置50に取得されるとともに、ナビゲーション装置50からローカルCAN81に出力される。尚、楽曲情報としては、例えば楽曲の曲名、アーティスト名、アルバム名、アルバムのアートワーク画像、再生時間等である。
【0036】
以上の構成によるナビゲーション装置50は、グローバルCAN80から取得した車両情報と、GPS受信機及び電子コンパス等による測位情報に基づいて、目的地への誘導を行うことにより乗員の運転操作を支援するナビゲーション画像3a(図2等参照)を生成する。加えてナビゲーション装置50は、エアコン情報画像4a(図3参照)、オーディオ画像5a(図4参照)、受信機により受信した地上波デジタル放送によるテレビ画像9a(図5参照)等を生成する。尚、これら各画像3a,4a,9aの詳細については、後述する。
【0037】
ナビゲーション装置50は、通信線によって制御回路20と接続されている。ナビゲーション装置50は、例えばGigabit Video Interface(GVIF)(登録商標)等の映像用の出力方式により、生成した各画像3a,4a,9aのうちいずれか一つの映像信号を、制御回路20に逐次出力する。
【0038】
制御回路20には、制御用マイコン25及び描画用マイコン26が実装されている。制御用マイコン25は、各種の演算処理を行うプロセッサ、当該演算処理に用いられるプログラム及び車両に関する情報等が格納されたROM又はフラッシュメモリ、及び演算の作業領域として機能するRAM等によって構成されている。加えて制御用マイコン25は、ローカルCAN81と通信可能な通信用インターフェース(図示しない)と接続されている。
【0039】
描画用マイコン26は、画像処理を行うプロセッサ、当該画像処理に用いられるプログラム及び各種の画像データが格納されたROM又はフラッシュメモリ、及び演算の作業領域として機能するRAMを有している。また描画用マイコン26は、液晶ディスプレイ装置40に表示画像1の映像信号を出力する映像出力インターフェース(図示しない)と接続されている。
【0040】
以上の構成による制御回路20は、メイン制御部21、映像描画部22、及び映像合成部23を有している。
【0041】
メイン制御部21は、制御用マイコン25の機能ブロックである。メイン制御部21の機能は、制御用マイコン25において所定のプログラムが実行されることにより、当該制御用マイコン25によって果たされる。メイン制御部21は、表示画像1において主画像2a及び補完画像2bとして表示される画像の種類を、ローカルCAN81に出力された操作情報及び車両情報に基づいて決定する。そしてメイン制御部21は、映像描画部22及び映像合成部23に対して、表示画像1を生成する指示を行う。加えてメイン制御部21は、表示画像1においてポインタ画像2c(図2等参照)を描画する指令を、映像描画部22に対して指示する。
【0042】
映像描画部22及び映像合成部23は、ともに描画用マイコン26の機能ブロックである。映像描画部22及び映像合成部23の機能は、描画用マイコン26において所定のプログラムが実行されることにより、当該描画用マイコン26によって果たされる。
【0043】
映像合成部23は、各画像3a,4a,5a,9a(図2〜図5参照)のうちのいずれか一つの映像信号を、ナビゲーション装置50から取得する。映像合成部23は、ナビゲーション装置50から入力された映像信号に基づく、ナビゲーション画像3a、エアコン情報画像4a、オーディオ画像5a、及びテレビ画像9aのうちの一つを主画像2aとして取得する。
【0044】
映像合成部23に取得される主画像2aは、表示画像1よりも少ない画素数にて生成される。そこで映像描画部22は、映像合成部23によって取得される主画像2aの画素数と、表示画像1の画素数との差を補完する補完画像2bを生成する。補完画像2bは、ローカルCAN81を通じて取得した車両情報、楽曲情報、及び操作情報等に基づいて描画される。補完画像2bとして生成される画像は、例えば、オーディオ画像5b(図2及び図3等参照)、エアコン情報画像4b(図4参照)、テレビ操作画像9b(図5参照)である。補完画像2bは、映像合成部23に出力される。
【0045】
映像合成部23は、ナビゲーション装置50から取得する映像信号に基づく主画像2aと、映像描画部22により描画される補完画像2bとを合成する。これにより映像合成部23は、主画像2a及び補完画像2bが並列された表示画像1を生成する。そして表示画像1の映像信号は、例えばLow Voltage Differential Signaling(LVDS)等の映像用の出力方式により、制御回路20から液晶ディスプレイ装置40に逐次出力される。以上により、制御回路20は、表示画像1を液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aに表示させる。
【0046】
液晶ディスプレイ装置40は、車両室内のインスツルメントパネルの中央部等に配置される表示器であって、表示画面40aに表示画像1を表示することにより運転者に種々の情報を提供する。表示画面40aは、主画像2aを表示する主表示領域42、並びに補完画像2bを主画像2aと並列表示する補完表示領域43を有している。表示画面40aは、主表示領域42並びに補完表示領域43のうちアクティブ領域として選定される一方の表示領域の画像にポインタ画像2c(図2等参照)を重畳して表示する。
【0047】
液晶ディスプレイ装置40は、液晶パネル41及びバックライト42を有している。液晶パネル41の表示画面40aとなる部分には、例えば水平方向に1280の表示画素が、垂直方向に480の表示画素がそれぞれ配列されている。表示画面40aに配列される1280ドット×480ドットの表示画素のうち、800ドット×480ドットの表示画素が主表示領域42に属し、480ドット×480ドットの表示画素が補完表示領域43に属する。バックライト42は、液晶パネル41を表示方向の裏面側から透過照明する。液晶ディスプレイ装置40は、制御回路20から出力された映像信号を取得し、液晶パネル41の各表示画素を制御することにより、当該映像信号に基づく表示画像1を表示する。
【0048】
図2〜図5は、以上の構成によって液晶ディスプレイ装置40に表示される表示画像1の複数の例である。以下、図2〜図5及び図1に基づいて、液晶ディスプレイ装置40に表示される表示画像1についてさらに詳細に説明する。
【0049】
まず、表示画像1、主画像2a、及び補完画像2bの画素数について説明する。表示画像1の画素数は、液晶ディスプレイ装置40の表示画素の数に対応しており、1280ドット×480ドットである。一方、主画像2aとして用いられるナビゲーション画像3a、等の画素数は、表示画像1の画素数よりも少ない。主画像2aの画素数は、800ドット×480ドットである。上述した主表示領域42に属する表示画素の数は、これら主画像2aの画素数に応じて規定されている。
【0050】
このように、ナビゲーション装置50は、液晶ディスプレイ装置40の表示画素の数に対して、少ない画素数の画像しか生成することができない。故に、主画像2aと補完画像2bとを合成することにより、表示画像1の画素数と主画像2aの画素数との差は補完される。補完画像2bは、表示画面の表示画素の数と、第一表示領域に属する表示画素の数との差を補完する480ドット×480ドットの画素数にて生成される。
【0051】
図2の主画像2aであるナビゲーション画像3aは、車両の現在位置を示す地図画像を主体に構成されている。このナビゲーション画像3aは、車両の現在地、進行方向、目的地までの所要時間等の情報を運転者に報知することができる。ナビゲーション画像3aには、ポインタ画像2c及びボタン画像2dが描画されている。ポインタ画像2cとボタン画像2dとを表示上において重ねつつ選択ボタン32を押圧する変更要求のための操作が操作装置30に入力された場合、ナビゲーション画像3aに描画された地図画像の拡大又は縮小等の表示態様の変更がなされる。
【0052】
また、図2の補完画像2bであるオーディオ画像5bは、ローカルCAN81を通じて取得した楽曲情報に基づいて映像描画部22によって生成されている。このオーディオ画像5bは、オーディオ装置51によって現在再生されている楽曲のタイトル、アルバム名等を運転者に報知することができる。ポインタ画像2cとボタン画像2eとを表示上において重ねつつ選択ボタン32を押圧する変更要求のための操作が操作装置30に入力された場合、楽曲及び音量等が変更される。
【0053】
図3の主画像2aであるエアコン情報画像4aは、エアコン制御装置86からグローバルCAN80に出力された車両情報に基づいて、ナビゲーション装置50によって生成されている。エアコン情報画像4aは、エアコンの現在の設定情報、例えば風量、風向、設定温度等の情報を運転者に報知することができる。エアコン情報画像4aには、ポインタ画像2c及びボタン画像2dが描画されている。ポインタ画像2cとボタン画像2dとを表示上において重ねつつ選択ボタン32を押圧する変更要求のための操作が操作装置30に入力された場合、エアコンの設定温度、風量等が変更される。また、図3の補完画像2bであるオーディオ画像5bは、図2において説明した補完画像2bと同一のものである。
【0054】
図4の主画像2aであるオーディオ画像5aは、オーディオ装置51から取得した楽曲情報に基づいてナビゲーション装置50により生成されている。オーディオ画像5aは、補完画像2bであるオーディオ画像5a(図2及び図3参照)と実質的に同一の情報を運転者に提供することができる。オーディオ画像5aには、オーディオ装置51によって現在再生されている楽曲の曲名、アルバム名等が表示されている。オーディオ画像5aには、ポインタ画像2c及びボタン画像2dが描画されている。ポインタ画像2cとボタン画像2dとを表示上において重ねつつ選択ボタン32を押圧する変更要求のための操作が操作装置30に入力された場合、楽曲及び音量等が変更される。
【0055】
また、図4の補完画像2bであるエアコン情報画像4bは、グローバルCAN80及びローカルCAN81を通じて取得したエアコン制御装置86からの車両情報に基づいて、映像描画部22によって生成されている。このエアコン情報画像4bは、主画像2aであるエアコン情報画像4a(図3参照)と実質的に同一の情報を運転者に提供することができる。エアコン情報画像4bには、エアコンの現在の設定情報、例えば風量、風向、設定温度等の情報が表示されている。ポインタ画像2cとボタン画像2eとを表示上において重ねつつ選択ボタン32を押圧する変更要求のための操作が操作装置30に入力された場合、エアコンの設定温度、風量等が変更される。
【0056】
図5の主画像2aであるテレビ画像9aは、ナビゲーション装置50によって生成されている。このテレビ画像9aと並列される補完画像2bは、当該テレビ画像9aを操作するためのテレビ操作画像9bである。テレビ操作画像9bは、ナビゲーション装置50から取得した受信情報に基づいて映像描画部22により生成される。テレビ操作画像9bには、テレビ画像9aに表示されているテレビ放送の放送局名に加えて、受信する放送局を変更するための複数のボタン画像2eが表示されている。ポインタ画像2cとボタン画像2eとを表示上において重ねつつ選択ボタン32を押圧する変更要求のための操作が操作装置30に入力された場合、当該ボタン画像2eに対応した放送局からの放送にテレビ画像9aは切り替わる。
【0057】
尚、図2〜図5において明示している主画像2a及び補完画像2bの組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても例示した主画像2a及び補完画像2bを適宜組み合せることができる。加えて図2〜図5では、表示画像1において水平方向左側に主画像2aを、右側に補完画像2bを配置しているが、これら主画像2a及び補完画像2bの位置は、車両の乗員の操作により又は自動的に入れ替えられてもよい。
【0058】
次に、図6に示すように車両用表示装置100では、主表示領域42及び補完表示領域43の境界線41aに沿う内縁部42a又は内縁部43aにポインタ画像2cの表示位置を移動させることにより、アクティブ領域として選定される表示領域が切り替わる。以下、その作動の詳細を説明する。
【0059】
図6(a)に示すように、補完画像2bを表示する補完表示領域43がアクティブ領域として選定されており、当該補完画像2bにポインタ画像2cが重畳された状態とする。この状態下、補完表示領域43において境界線41aに沿う内縁部43aに、ポインタ画像2cの表示位置を移動させ、当該内縁部43aに位置させる移動要求が操作装置30(図1参照)へ入力される。すると、予め設定された設定時間よりも長くポインタ画像2cが内縁部43aに位置した場合、図6(b)に示すように、主表示領域42がアクティブ領域に切り替えられると共に、補完表示領域43が非アクティブ領域に切り替えられる。
【0060】
これにより、表示画面40aにおいて、ポインタ画像2cは、非アクティブ領域となった補完表示領域43に表示される補完画像2bから消えるとともに、アクティブ領域となった主表示領域42に表示される主画像2aに現れる。そして、ポインタ画像2cは、操作装置30(図1参照)に入力される移動要求に応じてアクティブ領域となった主表示領域42を移動可能となる。また、アクティブ領域に表示されている主画像2aの表示態様は、操作装置30に入力される変更要求に応じて、ボタン画像2dに関連付けられた表示態様へ変更可能となる。
【0061】
図6(c)に示すように、主画像2aを表示する主表示領域42がアクティブ領域として選定されており、当該主画像2aにポインタ画像2cが重畳された状態とする。この状態下、主表示領域42において境界線41aに沿う内縁部42aに、ポインタ画像2cの表示位置を移動させ、当該内縁部42aに位置させる移動要求が操作装置30(図1参照)へ入力される。すると、予め設定された設定時間よりも長くポインタ画像2cが内縁部42aに位置していると、図6(d)に示すように、補完表示領域43がアクティブ領域に切り替えられると共に、主表示領域42が非アクティブ領域に切り替えられる。
【0062】
これにより、表示画面40aにおいて、ポインタ画像2cは、非アクティブ領域となった主表示領域42に表示される主画像2aから消えるとともに、アクティブ領域となった補完表示領域43に表示される補完画像2bに現れる。そして、ポインタ画像2cは、操作装置30(図1参照)に入力される移動要求に応じてアクティブ領域となった補完表示領域43を移動可能となる。また、アクティブ領域に表示されている補完画像2bの表示態様は、操作装置30に入力される変更要求に応じて、ボタン画像2eに関連付けられた表示態様へ変更可能となる。
【0063】
次に、車両の乗員によって操作装置30に入力される移動要求により、アクティブ領域が主表示領域42及び補完表示領域43間で切替られる処理について、図7及び図8に基づいて説明する。図7及び図8において説明する処理は、車両の乗員が車両のアクセサリー(ACC)電源をONにすることにより、制御回路20のメイン制御部21によって実施される。メイン制御部21による処理は、車両のACC電源がOFFにされるまで繰り返される。
【0064】
ステップS101では、補完表示領域43がアクティブ領域として選定されている旨の情報をローカルCAN81に出力し、ステップS102に進む。ナビゲーション装置50は、ローカルCAN81を通じて、補完表示領域43がアクティブ領域である旨の情報を取得することにより、非アクティブ領域である主表示領域42に表示される例えばナビゲーション画像3aに対するポインタ画像2cの重畳を行わない。
【0065】
ステップS102では、補完画像2bにポインタ画像2cを描画する指令を映像描画部22に出力し、S103に進む。映像描画部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、初期位置として、例えば補完画像2bの中央に、ポインタ画像2cを重畳する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、補完表示領域43にポインタ画像2cが表示される。
【0066】
ステップS103では、補完表示領域43において、主表示領域42及び補完表示領域43の境界線41aに沿う内縁部43aに、継続してポインタ画像2cが位置していたか否かを計るカウンタの値を初期化し、カウントを開始した後、ステップS104に進む。
【0067】
ステップS104では、ローカルCAN81を通じて、操作装置30に入力された移動要求の操作による操作情報を取得し、ステップS105に進む。
【0068】
ステップS105では、ステップS104で取得した操作情報に基づいて、ポインタ画像2cの重畳される位置を、映像描画部22に出力し、ステップS106に進む。映像描画部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、補完画像2bにおいてポインタ画像2cが重畳される位置を変更する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、操作装置30に入力された移動要求の操作に応じて、ポインタ画像2cの表示位置が移動する。
【0069】
ステップS106では、ステップS105によって移動したポインタ画像2cが、補完表示領域43において境界線41aに沿った内縁部43aに位置しているかを判定する。ポインタ画像2cの表示位置が内縁部43aから外れていた場合、ステップS103に戻る。一方、ポインタ画像2cが内縁部43aに位置していた場合、ステップS107に進む。またポインタ画像2cが内縁部43aに位置していた場合には、アクチュエータ33は、移動要求を入力する操作に対する反力を、ポインティングデバイス31に対して印加する。
【0070】
ステップS107では、ステップS103においてカウントを開始したカウントの値が、予め設定した設定時間である秒数の値を超えているか否かを判定する。カウンタの値が設定時間以下であった場合、ステップS104に戻る。一方、カウンタの値が設定時間を超えていた場合、ステップS109に進む。ここで、このステップS108において判定に用いられる設定時間は、適宜定められてよい。
【0071】
ステップS108では、アクティブ領域を補完表示領域43から主表示領域42へ切り替えると共に、補完表示領域43を非アクティブ領域に切り替えるため、主表示領域42がアクティブ領域として選定されている旨の情報をローカルCAN81に出力する。そして、ステップS109に進む。ナビゲーション装置50は、ローカルCAN81を通じて、主表示領域42がアクティブ領域である旨の情報を取得することにより、主表示領域42に表示される例えばナビゲーション画像3aに対して、ポインタ画像2cの重畳を開始する。これにより、表示画面40aの主表示領域42には、ポインタ画像2cが現れる。(図6(b)参照)。
【0072】
ステップS109では、ポインタ画像2cの描画を中止する指令を映像描画部22に出力し、ステップS110に進む。映像描画部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、補完画像2bへのポインタ画像2cの重畳を中止する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、補完表示領域43からポインタ画像2cが消える(図6(b)参照)。以上の処理により、アクティブ領域は、補完表示領域43から主表示領域42に切り替えられる。また、補完表示領域43は、非アクティブ領域になる。
【0073】
ステップS110では、主表示領域42において、主表示領域42及び補完表示領域43の境界線41aに沿う内縁部42aに、継続してポインタ画像2cが位置していたか否かを計るカウンタの値を初期化し、カウントを開始した後、ステップS111に進む。
【0074】
ステップS111では、ローカルCAN81を通じて、操作装置30に入力された移動要求の操作による操作情報を取得し、ステップS112に進む。このとき、ナビゲーション装置50は、ローカルCAN81を通じて取得した、操作装置30に入力された移動要求の操作による操作情報に基づいて、ポインタ画像2cの重畳される位置を変更する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、操作装置30に入力された移動要求の操作に応じて、ポインタ画像2cの表示位置が移動する。
【0075】
ステップS112では、ポインタ画像2cが、主表示領域42において境界線41aに沿った内縁部42aに位置しているかを判定する。ポインタ画像2cの表示位置が内縁部42aから外れていた場合、ステップS110に戻る。一方、ポインタ画像2cが内縁部42aに位置していた場合、ステップS113に進む。またポインタ画像2cが内縁部42aに位置していた場合には、アクチュエータ33は、移動要求を入力する操作に対する反力を、ポインティングデバイス31に対して印加する。
【0076】
ステップS113では、ステップS110においてカウントを開始したカウントの値が、予め設定した設定時間である秒数の値を超えているか否かを判定する。カウンタの値が設定時間以下であった場合、ステップS111に戻る。一方、カウンタの値が設定時間を超えていた場合、ステップS114に進む。ここで、このステップS113において判定に用いられる設定時間は、適宜定められてよい。
【0077】
ステップS114では、アクティブ領域を主表示領域42から補完表示領域43へ切り替えると共に、主表示領域42を非アクティブ領域に切り替えるため、補完表示領域43がアクティブ領域として選定されている旨の情報をローカルCAN81に出力する。そして、ステップS115に進む。ナビゲーション装置50は、ローカルCAN81を通じて、補完表示領域43がアクティブ領域である旨の情報を取得することにより、主表示領域42に表示される例えばナビゲーション画像3aに対するポインタ画像2cの重畳を中止する。これにより、表示画面40aの主表示領域42から、ポインタ画像2cが消える。(図6(d)参照)。
【0078】
ステップS115では、ポインタ画像2cの描画を開始する指令を映像描画部22に出力し、ステップS103に戻る。映像描画部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、補完画像2bへのポインタ画像2cの重畳を開始する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、補完表示領域43にポインタ画像2cが現れる(図6(d)参照)。以上、ステップS110からステップS116までの処理により、アクティブ領域は、主表示領域42から補完表示領域43に切り替えられる。また、主表示領域42は、非アクティブ領域になる。
【0079】
ここまで説明した本実施形態によれば、操作装置30に入力される移動要求により、主表示領域42及び補完表示領域43のアクティブ領域又は非アクティブ領域に切り替えが行われる。そして、アクティブ領域においては、操作装置30に入力される変更要求により、当該アクティブ領域に表示されている画像の表示態様を変更することができる。したがって、主画像2a及び補完画像2bがそれぞれ異なるナビゲーション装置50及び映像描画部22によって生成されても、車両用表示装置100は、高い操作性を獲得することができる。
【0080】
加えて、車両に搭載される車両用表示装置100では、ポインタ画像2cを移動させるための車両の乗員による操作装置30の操作は、車両の振動等に起因して、緻密に行われ難い。故に、アクティブ領域を切り替える意思が乗員に無いにもかかわらず、境界線41aに沿う内縁部42a又は内縁部43aにポインタ画像2cの表示位置を移動させる移動要求が偶発的に操作装置30へ入力される場合がある。
【0081】
しかし本実施形態では、内縁部42a又は内縁部43aに、予め設定される設定時間よりも長くポインタ画像2cを位置させなければ、メイン制御部21は、アクティブ領域を主表示領域42及び補完表示領域43の一方から他方へ切り替えない。故に、内縁部42a又は内縁部43aにポインタ画像2cの表示位置を移動させる移動要求が偶発的に操作装置30に入力されても、アクティブ領域が切り替えられる事態は生じ難くなる。対して、アクティブ領域を切り替える意思を持って、設定時間よりも長く内縁部42a又は内縁部43aにポインタ画像2cを位置させる移動要求を操作装置30へ入力すれば、アクティブ領域は、主表示領域42及び補完表示領域43の一方から他方へ切り替わる。以上により、車両用表示装置100は、アクティブ領域を切り替える旨の乗員の意思を忠実に反映したうえで、当該アクティブ領域の切り替えを行い得る。したがって、車両用表示装置100の操作性はさらに向上する。
【0082】
また本実施形態によれば、内縁部42a又は内縁部43aにポインタ画像2cを位置させる移動要求が操作装置30に入力されると、アクチュエータ33は、ポインティングデバイス31に対して、当該移動要求を入力する操作に対する反力を印加する。故に、アクティブ領域を切り替える意思が車両の乗員に有る場合にだけ、アクチュエータ33によって印加される反力に抗して、内縁部42a又は内縁部43aにポインタ画像2cを位置させる移動要求が入力され続ける。故に、車両用表示装置100は、ポインタ画像2cの表示位置を切り替える旨の乗員の意思をさらに忠実に反映したうえで、アクティブ領域を切り替えることができる。したがって、車両用表示装置100の操作性は、さらに高いものとなる。
【0083】
さらに本実施形態によれば、主表示領域42に属する表示画素の数は、主画像2aの画素数に応じて規定される。そして、表示画面40aに配列される表示画素の数と、主表示領域42に属する表示画素の数との差は、補完画像2bにより、補完される。故に、ナビゲーション装置50によって生成され得る主画像2aの画素数が、表示画面40aに配列される表示画素の数より少なくても、車両用表示装置100は、当該主画像2aを用いつつ、当該表示画面40aの表示画素をすべて活用することができる。
【0084】
以上の構成では、表示画面40aに配列される表示画素の数を増加させた場合であっても、映像描画部22によって生成される補完画像2bの画素数を調整することにより、主画像2aの生成に関する既存のナビゲーション装置50を流用することができる。故に、車両用表示装置100の設計に係わる作業量を低減することができる。したがって、高い操作性を備えた車両用表示装置100の提供が容易になる。
【0085】
また加えて、ナビゲーション装置50によって生成されるナビゲーション画像3aは、非常に複雑な処理によって生成されている。具体的には、地図画像、ボタン画像2d、ポインタ画像2c等が描画されたレイヤを複数の重畳することにより、ナビゲーション画像3aは生成される。故に、ナビゲーション画像3aの画素数を向上させるには、ナビゲーション装置50の処理能力の向上と、仕様変更のための多くの作業が発生し得る。そこで本実施形態のように、既存のナビゲーション装置50によって生成されるナビゲーション画像3aを用いる車両用表示装置100とすることにより、表示画面40aの表示画素の増加に対応できる。このとき、当該装置50の処理能力はそのままであってもよく、且つ仕様変更のための作業も省略され得る。このように、既存のナビゲーション装置50において生成されるナビゲーション画像3aを主画像2aとして活用することにより、高い操作性を備えた車両用表示装置100の提供がさらに容易になる。
【0086】
尚、本実施形態において、主画像2aが特許請求の範囲に記載の「第一画像」に相当し、補完画像2bが特許請求の範囲に記載の「第二画像」に相当し、メイン制御部21が特許請求の範囲に記載の「切替手段」に相当し、映像描画部22が特許請求の範囲に記載の「第二描画手段」に相当し、操作装置30が特許請求の範囲に記載の「入力部」に相当し、アクチュエータ33が特許請求の範囲に記載の「反力印加部」に相当し、主表示領域42が特許請求の範囲に記載の「第一表示領域」に相当し、補完表示領域43が特許請求の範囲に記載の「第二表示領域」に相当し、ナビゲーション装置50が特許請求の範囲に記載の「第一描画手段」に相当する。
【0087】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0088】
上記実施形態では、ポインタ画像2cを、主表示領域42の内縁部42a又は補完表示領域43の内縁部43aに予め設定された設定時間よりも長く位置させることにより、アクティブ領域の切り替えが行われた。上述したように、この設定時間は、適宜変更されてよい。また、主表示領域42の内縁部42a又は補完表示領域43の内縁部43aにポインタ画像2cを移動させる入力が操作装置30になされた場合に、車両用表示装置は、アクティブ領域を主表示領域42及び補完表示領域43の一方から他方へ切り替えてもよい。
【0089】
上記実施形態では、主画像2a又は補完画像2bとして、ナビゲーション画像、エアコン情報画像、オーディオ画像等を例に説明した。しかし、主画像2a及び補完画像2bとして、情報を乗員に報知するための種々の画像が用いられてよい。例えば、車両周辺の障害物を検知するソナーが搭載されていれば、当該ソナーによる検出情報を運転者に報知する画像が、主画像2a又は補完画像2bとして、表示画面40aに表示されてもよい。又は、オーディオ装置51に携帯型の音楽プレーヤーや、携帯電話等の通信機器が接続されている場合、これらの機器を、操作装置30により操作するための操作画像が、主画像2a又は補完画像2bとして、表示画面40aに表示されてもよい。
【0090】
上記実施形態では、操作装置30は、ポインティングデバイス31に対して反力を印加するアクチュエータ33を有していた。しかし、反力を印加するアクチュエータ33に相当する構成を有しない形態の操作装置であってもよい。加えて、ポインティングデバイスとして、レバーを倒す操作によりポインタ画像の移動要求を入力するジョイスティック、平面状のセンサをなぞる操作によりポインタ画像の移動要求を入力するタッチパッド、円柱状のダイヤルを回転する操作によりポインタ画像の移動要求を入力するダイヤル機構等を用いることができる。また、液晶パネル41の表示方向前面に配置した透明板状の圧力センサ又は静電容量センサを用いた所謂タッチパネル方式の操作装置が用いられる形態の車両用表示装置あってもよい。
【0091】
上記実施形態では、表示画面40aの表示画素の数のうち、主表示領域42に割り当てられる表示画素の数は、ナビゲーション画像3a等の主画像2aの画素数に対応するよう規定されていた。しかし、主表示領域42に属する表示画素の数は、主画像2aの画素数により多くてもよく、又は少なくてもよい。例えば、主表示領域42に480ドット×480ドットの表示画素が割り当てられ、補完表示領域43に800ドット×480ドットの表示画素が割り当てられていてもよい。
【0092】
上記実施形態では、制御回路20は、制御用マイコン25及び描画用マイコン26という二つのマイコンの機能ブロックとして、メイン制御部21、映像描画部22、及び映像合成部23を有していた。しかし、制御回路20の構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、メイン制御部21、映像描画部22、及び映像合成部23は、制御回路に実装された一つのマイコンの機能ブロックであってもよい。又は、プログラムの実行によらないアナログ回路によって、メイン制御部21、映像描画部22、及び映像合成部23が制御回路に構成されていてもよい。
【0093】
上記実施形態では、グローバルCAN80に出力された車両情報は、ナビゲーション装置50により一旦取得された後、当該ナビゲーション装置50からローカルCAN81に出力されることにより、制御回路20に取得されていた。しかし、制御回路20は、グローバルCAN80と直接接続されて、ローカルCAN81を通じてではなく、グローバルCAN80を通じで車両情報を取得してもよい。
【0094】
上記実施形態では、液晶ディスプレイ装置40は、1280ドット×480ドットの表示画素を備える表示装置であった。しかし、液晶ディスプレイ装置の表示画素の数は、上記実施形態に限定されない。車両用表示装置は、さらに表示画素の数が多い液晶ディスプレイ装置を備えていてもよい。また、車両用表示装置は、液晶ディスプレイ装置に替えて、プラズマディスプレイパネルや有機ELディスプレイを用いた表示装置を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 表示画像、2a 主画像(第一画像)、2b 補完画像(第二画像)、2c ポインタ画像、2d,2e ボタン画像、3a ナビゲーション画像(第一画像)、4a エアコン情報画像(第一画像)、4b エアコン情報画像(第二画像)、5a オーディオ画像(第一画像)、5b オーディオ画像(第二画像)、9a テレビ画像(第一画像)、9b テレビ操作画像(第二画像)、20 制御回路、21 メイン制御部(切替手段)、22 映像描画部(第二描画手段)、23 映像合成部、25 制御用マイコン、26 描画用マイコン、30 操作装置(入力部)、31 ポインティングデバイス、32 選択ボタン、33 アクチュエータ(反力印加部)、40 液晶ディスプレイ装置、40a 表示画面、41 液晶パネル、41a 境界線、42 主表示領域、43 補完表示領域、42a,43a 内縁部、45 バックライト、50 ナビゲーション装置(第一描画手段)、51 オーディオ装置、80 グローバルCAN、81 ローカルCAN、82 車両制御装置、84 機関制御装置、86 エアコン制御装置、100 車両用表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、第一描画手段および第二描画手段によってそれぞれ生成される第一画像および第二画像を表示する車両用表示装置であって、
前記第一画像を表示する第一表示領域、並びに前記第二画像を前記第一画像と並列表示する第二表示領域を有し、それら表示領域のうちアクティブ領域として選定される一方の表示領域の画像にポインタ画像を重畳して表示する表示画面と、
前記表示画面における前記ポインタ画像の表示位置を移動させるための移動要求、並びに前記ポインタ画像の特定の表示位置に関連付けられた表示態様へ前記表示画面の表示態様を変更するための変更要求が、ユーザ要求として入力される入力部と、
前記アクティブ領域において前記第一表示領域及び前記第二表示領域の境界線に沿う内縁部に前記ポインタ画像の表示位置を移動させる前記移動要求が、前記入力部へ入力された場合に、前記アクティブ領域を前記第一表示領域及び前記第二表示領域の一方から他方へ切り替えると共に、当該一方の表示領域を非アクティブ領域に切り替える切替手段と、
を備え、
前記第一描画手段及び前記第二描画手段のうち、前記切替手段により前記アクティブ領域に切り替えられた表示領域の画像を生成する描画手段は、当該アクティブ領域の画像に対する前記ポインタ画像の重畳を開始して、前記ポインタ画像の表示位置での前記変更要求に応じて当該アクティブ領域の画像の表示態様を変更し、
前記第一描画手段及び前記第二描画手段のうち、前記切替手段により前記非アクティブ領域に切り替えられた表示領域の画像を生成する描画手段は、当該非アクティブ領域の画像に対する前記ポインタ画像の重畳を中止することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記切替手段は、予め設定される設定時間よりも長く前記内縁部に前記ポインタ画像を位置させる前記移動要求が、前記入力部に入力された場合に、前記アクティブ領域を前記第一表示領域及び前記第二表示領域の一方から他方へ切り替えると共に、当該一方の表示領域を非アクティブ領域に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記内縁部に前記ポインタ画像を位置させる前記移動要求が前記入力部に入力された場合に、前記入力部に対して、当該移動要求を入力する操作に対する反力を印加する反力印加部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示画面に配列される複数の表示画素のうち、前記第一表示領域に属する表示画素の数は、前記第一描画手段によって生成される前記第一画像の画素数に応じて規定され、
前記第二描画手段は、前記表示画面の表示画素の数と、前記第一表示領域に属する表示画素の数との差を補完する画素数にて、前記第二画像を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記第一描画手段は、前記車両の乗員による運転操作を支援するナビゲーション画像を前記第一画像として生成するナビゲーション装置であることを特徴とする請求項4に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−8743(P2012−8743A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143195(P2010−143195)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】