車両用防振装置
【課題】廉価な車両用防振装置を提供する。
【解決手段】一端部12がエンジン1に固定され、他端部13が車体に固定される第1ロッドと、前記第1ロッドに支持された慣性マス15と、前記慣性マスを前記第1ロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、を有する第1のトルクロッドアッセンブリ5と、一端部61がエンジン1に固定され、他端部が、車体に弾性部材を介して装着されたサブフレーム2に固定される第2ロッドを有する第2のトルクロッドアッセンブリ6と、を備える。
【解決手段】一端部12がエンジン1に固定され、他端部13が車体に固定される第1ロッドと、前記第1ロッドに支持された慣性マス15と、前記慣性マスを前記第1ロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、を有する第1のトルクロッドアッセンブリ5と、一端部61がエンジン1に固定され、他端部が、車体に弾性部材を介して装着されたサブフレーム2に固定される第2ロッドを有する第2のトルクロッドアッセンブリ6と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動源であるエンジンから車体側へ伝達される振動を抑制する車両用防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンから車体側へ伝達される振動を抑制する防振装置として、トルクロッドの剛体共振周波数をエンジンの共振周波数より低く設定するとともに、トルクロッドの軸方向変位の速度に比例した力をアクチュエータに発生させるように構成した防振装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−12757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の防振装置は、ペンデュラム方式で搭載されたエンジンの上下それぞれの位置にアクチュエータ付きトルクロッドを設ける構成であるため、車両のコストアップに繋がるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、廉価な車両用防振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のトルクロッドアッセンブリはアクチュエータを備えたものとする一方で、第2のトルクロッドアッセンブリの一端をサブフレームに固定することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第2のトルクロッドアッセンブリの一端がサブフレームに固定されるので、アクチュエータがなくても、第2のトルクロッドアッセンブリを伝達して発生する車内音を抑制することができ、その結果、第2のトルクロッドアッセンブリはアクチュエータのない廉価なもので構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】本発明の一実施の形態に係る防振装置を車両のエンジンに適用した例を示す正面図である。
【図1B】図1Aの平面図である。
【図2】図1A及び図1Bの分解斜視図である。
【図3】図1Bのアッパトルクロッドアッセンブリを示す断面図である。
【図4A】図1Aのロアトルクロッドアッセンブリの一例を示す断面図である。
【図4B】図1Aのロアトルクロッドアッセンブリの他例を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る防振装置におけるエンジン、サブフレーム、ロアトルクロッドアッセンブリ及びアッパトルクロッドアッセンブリの共振周波数の関係を示す図である。
【図6】図5の防振装置を適用した車両の振動周波数に対する車体感度比の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る防振装置におけるエンジン、サブフレーム、ロアトルクロッドアッセンブリ及びアッパトルクロッドアッセンブリの共振周波数の関係を示す図である。
【図8A】トルクロッドのピッチ方向及び剪断方向の剛性感度を検証するための解析モデルを示す斜視図である。
【図8B】図8Aの解析モデルを用いて剛性感度を検証した結果を示す図である。
【図9】2重防振の効果が得られる構成による伝達力の周波数特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に本発明の一実施の形態に係る車両用防振装置を適用する、いわゆるペンデュラム方式エンジンについて説明する。ペンデュラム方式によるエンジン1の支持構造とは、図1A及び図1Bに示すように、エンジン1の慣性主軸Lを、車両の幅方向(進行方向と直交する方向,車両左右方向ともいう)と平行に向けて配置された、いわゆる横置きエンジン1に対して、エンジン1を支持する2個の支持点P1,P2が、図1Bの平面視においては、エンジン1の慣性主軸Lの近傍の、重心Gを挟んで互いに軸方向反対側に位置し、図1Aの側面視においては、ともに慣性主軸Lの車両上方に位置するように設けられた支持構造である。なお、2個の支持点P1,P2は、図2に示すように左右それぞれのエンジンマウント3,4により構成される。
【0010】
ペンデュラム方式エンジンの支持構造は、エンジン1を振り子のように吊り下げて支持するとともに、それらの支持点P1,P2を結ぶ直線の周りを揺動するエンジン重心Gを、車体に取り付けられたトルクロッドアッセンブリ5,6のような棒状部材で抑えるよう構成され、少ない点数の部品で従来と同様の制振効果が得られるといったメリットがある。すなわち、ペンデュラム方式でマウントされたエンジン1では、エンジン1の運転時に回転慣性力によって2つの支持点P1,P2を結んだ軸の回りにエンジン1が傾く。この傾きを防止してエンジン1を支持するため、エンジン1のほぼ上半分と車体側部材とを連結する第1のトルクロッドアッセンブリ5と、エンジン1の残り下半分と車体側部材とを連結する第2のトルクロッドアッセンブリ6とを備える。第1のトルクロッドアッセンブリ5が車両右上側からエンジン1に、もう一つの第2トルクロッドアッセンブリ6が車両下側からエンジン1に連結され、これら2つのトルクロッドアッセンブリ5,6により、ペンデュラム方式のエンジン1が傾くことを防止している。
【0011】
上記のエンジン1は、たとえば2次バランサつきの直列4気筒やV型6気筒エンジンである。2次バランサつきの4気筒エンジンやV型6気筒エンジンでは、エンジン回転の基本次数で不平衡慣性力が小さいので、主にエンジントルク変動の反力がエンジン1に作用する。したがってエンジン回転の基本次数では、トルクを支持している上記2つのトルクロッドアッセンブリ5,6からの入力によって主に車内音・車内振動が発生することが本発明者によって知見されている。さらに、車両の主に加速時に、基本次数の高次数で構成される約1000Hzまでの車内音が乗員にとって問題となることが知られている。
【0012】
既述したとおり、本例の車両用防振装置は、2つのトルクロッドアッセンブリ5,6を備える。第1のトルクロッドアッセンブリ5は、アッパトルクロッドとも称され、図1Bに示すようにエンジン1の上部と車体との間に装着される。これに対し、第2のトルクロッドアッセンブリ6は、ロアトルクロッドとも称され、図1A,図1B及び図2に示すように、エンジン1の下部とサブフレーム2との間に装着される。ここで、第1のトルクロッドアッセンブリ5が固定される車体とは、乗員が乗り込むキャビンを構成、或いは、キャビンを支持する剛体部材のことを指すのであって、例えばメインフレーム(車体フレーム)がその代表である。言い方を変えると、第2のトルクロッドアッセンブリ6が固定されるような、メインフレームとの間に弾性部材を介して設けられたサブフレーム等は、ここでの車体に相当しない。サブフレーム2は、具体的にはゴム製のブッシュ、あるいはインシュレータ等を介して車体に取り付けられているものであって、例えばサスペンションフレームを具体例として挙げられる。
【0013】
第1のトルクロッドアッセンブリ5は、図2及び図3に示すように、一端部のブッシュ12がエンジン1の上部に固定され、他端部のブッシュ13が車体に固定される第1ロッド11と、第1ロッド11に支持された慣性マス15と、慣性マス15を第1ロッド11の軸方向に往復動させるアクチュエータ17とを有する。
【0014】
図3はアッパトルクロッド5の要部断面図であり、棒状の第1ロッド11の両端に一対のブッシュ12,13が溶接により固定されている。エンジン側に固定されるブッシュ12は、円筒状の外筒12aと、外筒12aと同心の円筒状の内筒12bと、これら外筒12aと内筒12bとを連結する弾性体(防音材)12cとからなる。内筒12bに対して図3で紙面に直交する向きに挿通されるボルト(図示しない)によってブッシュ12はエンジン1に固定される。
【0015】
一方、車体側に固定されるブッシュ13も、上記ブッシュ12と同様に、円筒状の外筒13aと、外筒13aと同心の円筒状の内筒13bと、これら外筒13aと内筒13bとを連結する弾性体(防音材)13cとからなる。内筒13bに対して図3で紙面に直交する向きに挿通されるボルト(図示しない)によってブッシュ13は車体側の部材に固定される。
【0016】
なお、図示する実施形態は、ブッシュ12をエンジン1に固定し、ブッシュ13を車体側に固定する構成であるが、これに限らず、ブッシュ12を車体側に固定し、ブッシュ13をエンジン1に固定してもよい。また、図3に示すアッパトルクロッド5は、ブッシュ12,13の内筒12b,13bに挿通される2つのボルトが平行に配置される例を示すが、図2に示すアッパトルクロッドは、ブッシュ12,13の内筒12b,13bに挿通される2つのボルト18,19が互いに直交する向きに配置された例を示す。車体側の固定部及びエンジンの固定部の形状に応じて適宜変更することができる。
【0017】
本例の弾性体(防音材)12c,13cは、ばねと減衰の機能を兼ね備えた部材であり、例えば弾性ゴムを用いることができる。
【0018】
本例のアッパトルクロッド5では、ブッシュ12,13の外筒及び内筒の径を相違させる。すなわち、ブッシュ13の外筒13a、内筒13bの径を、対応するブッシュ12の外筒12a、内筒12bの径よりも相対的に小さくすると共に、さらに、ブッシュ13の弾性体13cの剛性を、ブッシュ12の弾性体12cの剛性よりも相対的に大きくする。一対のブッシュ12、13の弾性体12c、13cの剛性を異ならせることで、2つの異なる周波数において2重防振に適したロッド軸方向のエンジン剛体共振とロッド剛体共振とを生じさせている。
【0019】
すなわち、図9に実線で示したように、ブッシュ12の弾性体12cの剛性から定まるロッド軸方向のエンジン剛体共振Aがほぼゼロに近い周波数f1[Hz]で生じ、ブッシュ13の弾性体13cの剛性から定まるロッド軸方向のロッド剛体共振Bが200Hzに近い周波数f2[Hz]で生じている。分かり易さのため、エンジン剛体共振とロッド剛体共振を極めて単純化したばねマス系に基づいて説明すれば、エンジン剛体共振Aは、エンジン質量と、ブッシュ12の弾性体12cの剛性(ばね定数)で決まり、ロッド剛体共振Bは、ブッシュ12の弾性体12cとブッシュ13の弾性体13cの間の質量である第1ロッド11(および各ブッシュの外筒部分)の質量と、ブッシュ13の弾性体13cの剛性(ばね定数)で決まる。
【0020】
エンジン1単体での曲げ、捩りの1次の共振周波数f3は、一般的な車両用エンジンでは280Hz〜350Hz程度なので、本例のようにエンジン剛体共振Aをほぼゼロ(0Hz)とし、ロッド剛体共振Bを約200Hzとすれば、エンジン1の曲げ、捩りの共振振動の車体への伝達が、高周波数側(防振域内)で効果的に抑えられる(2重防振される)ことになる。
【0021】
以上より、エンジン剛体共振Aおよびロッド剛体共振Bが、エンジンの曲げ、捩りの共振周波数f3より小さな周波数となるように、ブッシュ12の弾性体12cの剛性(ばね定数)、およびブッシュ12の弾性体12cとブッシュ13の弾性体13cの間の質量である第1ロッド11(および各ブッシュの外筒部分)の質量、ブッシュ13の弾性体13cの剛性(ばね定数)を定めればよい。このように、エンジン剛体共振Aおよびロッド剛体共振Bを2つの異なる周波数で、つまり低周波域の周波数f1と、中周波数域の周波数f2との2箇所で生じさせてエンジン1から車体側に伝達される振動を防止する効果が得られるのが2重防振の効果である。
【0022】
本例のアッパトルクロッド5は、磁性を有する金属等からなる慣性マス15と、アクチュエータ17と、加速度センサ21と、バンドパスフィルタ22と、電圧増幅回路23とを備える。
【0023】
慣性マス15は、第1ロッド11の周囲に第1ロッド11と同軸で設けられている。第1ロッド11の軸方向に見た慣性マス15の断面は、第1ロッド11の中心(重心)を中心にした点対称な形であると共に、慣性マス15の重心が第1ロッド11の中心に一致している。慣性マス15は、図2にも示されているように角筒型とされ、慣性マス15のロッド軸方向の両端(図3で上下端)がそれぞれ弾性支持バネ16を介して第1ロッド11に連結されている。弾性支持バネ16は、たとえば比較的小さな剛性を有する板バネである。慣性マス15の内壁15aはその一部が後述するアクチュエータ17の永久磁石17cに向けて凸設されている。
【0024】
本例のアッパトルクロッド5は、慣性マス15と第1ロッド11との間の空間にアクチュエータ17が設けられている。アクチュエータ17は、角筒状のコア17aと、コイル17bと、永久磁石17cとを含むリニアタイプ(直線運動型)のアクチュエータで、慣性マス15を第1ロッド11の軸方向に往復動するものである。
【0025】
コイルの磁路を構成するコア17aは積層鋼鈑から構成されており、第1ロッド11に固設されている。コア17aは、アッパトルクロッド5の組立前には複数個の部材に分割されており、これら複数個の部材を接着剤で棒状の第1ロッド11の周囲に接着することにより、全体として角筒状のコア17aを形成している。コイル17bは、この角筒状のコア17aに巻装されている。永久磁石17cは、コア17aの外周面に設けられている。
【0026】
アクチュエータ17は、このような構成であるので、コイル17bと永久磁石17cとが発生する磁界によるリアクタンストルクによって慣性マス15をリニアに、つまり慣性マス15を第1ロッド11の軸方向に往復動するように駆動することとなる。
【0027】
第1ロッド11の略軸心の延長線上のブッシュ13の先端(図3で上端)には、第1ロッド11の略軸心位置での軸方向の振動の加速度を、エンジン1から第1ロッド11に伝達される振動の加速度として検出する加速度センサ21が取り付けられ、加速度センサ21からのロッド軸方向加速度の信号はバンドパスフィルタ22を介して電圧増幅回路23に入力され、この電圧増幅回路23で増幅された信号はアクチュエータ17のコイル17bに印加される(電圧の制御を行なう)。電圧増幅回路23は例えばオペアンプから構成することができる。
【0028】
慣性マス15は比較的柔らかい板バネ(弾性支持バネ16)で支持され、例えば慣性マス15の第1ロッド11に対するロッド軸方向の共振は10Hzから100Hzまでの低い周波数で生じるものとされている。例えば4気筒エンジンのアイドル回転速度2次の振動周波数は約20Hzであることから、慣性マス15の共振周波数を10Hzにすることができれば、エンジン1の運転条件によらず慣性マス15が共振するのを抑えることができる。
【0029】
一方、慣性マス15の共振周波数を10Hzといったこのような低周波数に設定しようとすると、慣性マス15が大きくなりすぎてそのような設定が困難な場合には、抑制しようとするロッド剛性共振B(実施形態では200Hz)の約1/2の周波数より低く設定しておけば、互いの共振周波数が十分に離れ、後述するような振動伝達の抑制が十分に行なわれる。
【0030】
また、加速度センサ21で検出した加速度信号をバンドパスフィルタ22に通すことによって、余分な周波数での制御を行なわないようにして、制御安定性を高めるとともに、余分な電力消費を抑えつつ狙いの周波数範囲での確実な伝達力の抑制を図ることができる。ロッド剛体共振Bに対する防振域は、図9に示したようにロッド剛体共振Bの共振周波数f2に対して所定値(≒1.4)を乗じて求まる周波数f5以上の周波数範囲であるので、バンドパスフィルタ22としては、慣性マス15のロッド軸方向の共振周波数(10Hzから100Hzまでの低い周波数)を含みこの共振周波数より、ロッド剛体共振Bに対する防振域の周波数範囲までの信号を通過するフィルタであって、防振域のうち制御が発散しない範囲の上限(例えば400Hzとする)までの信号を通過するフィルタを選定する。
【0031】
そして、制御対象である第1ロッド11の減衰を増大する速度フィードバック制御が行われるように、バンドパスフィルタ22で通過している周波数帯において、加速度センサ21により検出した振動のロッド軸方向速度に略比例した力を逆符合とした力をアクチュエータ17から発生させる。
【0032】
図1A,図1B及び図2に戻り、エンジン1の下部とサブフレーム2との間に装着されるロアトルクロッド(第2のトルクロッドアッセンブリ)6は、一端部のブッシュ61がエンジン1に固定され、他端部のブッシュ62が、車体に弾性部材を介して装着されたサブフレーム2に固定される第2ロッド63を有する。
【0033】
図4Aはロアトルクロッド6の概略平面図であり、棒状の第2ロッド63の両端に一対のブッシュ61,62が溶接により固定されている。エンジン側に固定されるブッシュ61は、円筒状の外筒61aと、外筒61aと同心の円筒状の内筒61bと、これら外筒61aと内筒61bとを連結する弾性体(防音材)61cとからなる。内筒61bに対して図4Aで紙面に直交する向きに挿通されるボルト(図示しない)によってブッシュ61はエンジン1に固定される。
【0034】
一方、車体側に固定されるブッシュ62も、上記ブッシュ61と同様に、円筒状の外筒62aと、外筒62aと同心の円筒状の内筒62bと、これら外筒62aと内筒62bとを連結する弾性体(防音材)62cとからなる。内筒62bに対して図4Aで紙面に直交する向きに挿通されるボルト(図示しない)によってブッシュ13はサブフレーム2に固定される。
【0035】
なお、図示する実施形態は、ブッシュ61をエンジン1に固定し、ブッシュ62をサブフレーム2に固定する構成であるが、これに限らず、ブッシュ61をサブフレーム2に固定し、ブッシュ62をエンジン1に固定してもよい。
【0036】
また、図4Aに示すロアトルクロッド6は、ブッシュ61,62の内筒61b,62bに挿通される2つのボルトが平行に配置される例を示すが、図4Bに示すロアトルクロッド6は、ブッシュ61,62の内筒61b,62bに挿通される2つのボルトが互いに直交する向きに配置された例を示す。特に相対的に小径とされたブッシュ62をサブフレーム2に固定する方向について車両の左右方向にボルトが挿通するように構成されている。
【0037】
図8Aはトルクロッドの解析モデルを示す斜視図であり、ロアトルクロッド6のブッシュ62に相当する部分を示す。同図の解析モデルを用いて、図8Bの左図に示すようにロッドにピッチ方向の力Fを加えたときの変位と、右図に示すようにロッドに剪断方向の力Fを加えたときの変位をそれぞれ測定したところ、ピッチ方向に力Fが作用した方が相対的に感度は高くなる。換言すれば、剪断方向に力Fが作用した方が相対的に剛性は高くなる。したがって、図4Bのように、ピッチ方向の剛性に感度が高いブッシュ62を剪断変形する方向で固定することで、ロアトルクロッド6のピッチ方向の剛体共振周波数を高くすることができ、その結果、車体への振動伝達を抑制することができる。
【0038】
サブフレーム2は、車体そのものではなく、車体に対して弾性ゴムなどの弾性部材を介して装着された車体部品であり、懸架装置を支持するサスペンションフレームなどを例示することができる。既設部品であるサスペンションフレームへロアトルクロッド6を固定すれば、重量アップすることなく防振効果を発揮できる。ただし、本発明のサブフレームはサスペンションフレームのみに限定されず、弾性部材を介して車体に取り付けられた他の部品を適用してもよい。
【0039】
上述したとおり、本例の車両用防振装置では、第1のトルクロッドアッセンブリであるアッパトルクロッド5には慣性マス15及びこれを駆動するアクチュエータ17を設ける一方で、第2のトルクロッドアッセンブリであるロアトルクロッド6には慣性マス15及びアクチュエータ17を省略し、その代わりに車体に弾性部材を介して装着されたサブフレーム2に当該ロアトルクロッド6の一端部を固定する。
【0040】
すなわち、車体へ直付けとなるアッパトルクロッド5には慣性マス15及びアクチュエータ17を備えているため、アッパトルクロッド5を伝達して発生する車内音を制御できる。一方、ロアトルクロッド6は、ゴムなどの弾性部材を介して固定されたサブフレーム2に固定されているため、ロアトルクロッド6を伝達して発生する車内音も抑制できることで、大トルクエンジン1にペンデュラムタイプのプラットフォームを適用することができる。この結果、車両のコストダウン及び軽量化を図ることができ、燃費が向上し、加速性能も向上する。
【0041】
また、本例の車両用防振装置では、図3に示すアッパトルクロッド5の第1ロッド11の軸方向(エンジントルク支持方向)の長さに比べ、図4A又は図4Bに示すロアトルクロッド6の第2ロッド63の軸方向の長さより短く設定されている。ロアトルクロッド6は、慣性マス15及びアクチュエータ17を省略したぶんロッド長をアッパトルクロッド5と比較し短くできるため、アッパトルクロッド5に比べて剛体共振を高い周波数に設定することができる。この様子を図5に示す。ロアトルクロッド6の剛体共振周波数は、トルク支持方向及びピッチ方向のいずれも浩周波数領域に設定されている。
【0042】
サブフレーム2は、力を受ける車体部品であるため、車体へのゴム弾性支持部の共振周波数は比較的高い周波数に存在するものの、ロアトルクロッド6の共振周波数を高く設定することで、結果として、サブフレーム2の車両上下方向の剛体共振周波数より、ロアトルクロッド6のピッチ方向及び上下方向の固有値を上げることでき、ロアトルクロッド6の剛体共振による車内音の増大を抑制することができる。
【0043】
また、本例の車両用防振装置では、ロアトルクロッド6の第2ロッド63の大径側のブッシュ61は、車体の左右方向の最大長さに比べて車体の上下方向の最大長さの方が短く形成されている。図4Aでいうと、ブッシュ61の左右方向の最大長、すなわち外筒61aの外径に対し、ブッシュ61の車体上下方向の最大長、すなわち紙面に垂直な方向の最大長の方が短く設定されている。
【0044】
これにより、ロアトルクロッド6のピッチ方向の慣性質量に感度が高い方向の寸法を小さくできるため、ロアトルクロッド6のピッチ方向の剛体共振周波数を高く設定でき、その結果、車体への伝達力を抑制することができる。さらに、この寸法は車体の上下方向であるため、最低地上高さへの影響も小さくできる。
【0045】
また、本例の車両用防振装置において、図4Bに示すように、ロアトルクロッド6の第2ロッド63の小径側のブッシュ62を、車両の左右方向に沿った軸方向からサブフレーム2に固定すれば、ロアトルクロッド6のピッチ方向の剛性に感度が高い小さい側のブッシュ62を剪断変形で支持することになるため、ロアトルクロッド6のピッチ方向の剛体共振周波数を高く設定でき、その結果、車体への伝達力を抑制することができる。
【0046】
また、本例の車両用防振装置では、ロアトルクロッド6のピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数は、図5に示すように、少なくとも一つの運転条件において(同図に示す運転条件は全開加速運転時)、サブフレーム2のピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数より高く設定されている。
【0047】
サブフレーム2の剛体共振周波数よりも、ロアトルクロッド6のピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数を高く設定することで、これらが共振することがないため車内音が静寂になる。
【0048】
また、本例の車両用防振装置では、図5に示すように、ロアトルクロッド6のピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数は、エンジントルク支持方向の剛体共振周波数より高く設定されている。防振性能に影響するトルク支持方向の固有値を維持しつつ、車内音を増大させるピッチ方向及び上下方向のトルクロッド剛体共振を高い周波数に設定することで、ピッチ方向及び上下方向のトルクロッド剛体共振の影響を抑えつつ、ロアトルクロッド6の防振効果が得られる。
【0049】
また、本例の車両用防振装置では、図5に示すように、サブフレーム2の主たる剛体共振周波数は、エンジン1の主たる弾性共振周波数未満に設定され、アッパトルクロッド5のエンジントルク支持方向の剛体共振周波数は、エンジン1の主たる弾性共振周波数以下に設定され、さらにロアトルクロッド6のエンジントルク支持方向の剛体共振周波数は、サブフレーム2の主たる剛体共振周波数以上で、エンジン1の主たる弾性共振周波数以下に設定されている。
【0050】
ロアトルクロッド6において、剛体共振周波数をサブフレーム2の共振周波数とエンジン1の弾性共振周波数の間に設定するため、ロアトルクロッド6の剛体共振による車内音増大を緩和しつつ、エンジン1の弾性共振によって増大された振動を、ロアトルクロッド6の剛体共振の防振効果によって、大幅に低減することができ、その結果、車内音を低減することができる。参考に、本例の車両用防振装置のアッパトルクロッド5とロアトルクロッド6の周波数別車体感度比を示す。
【0051】
なお、図5に示す実施形態では、ロアトルクロッド6のエンジントルク支持方向の剛体共振周波数をエンジン1の弾性共振周波数より小さく設定したが、図7に示すように、ロアトルクロッド6のエンジントルク支持方向の剛体共振周波数をエンジン1の弾性共振周波数より高く設定してもよい。
【0052】
上記アッパトルクロッド5は本発明に係る第1のトルクロッドアッセンブリに相当し、上記ロアトルクロッド6は本発明に係る第2のトルクロッドアッセンブリに相当する。
【符号の説明】
【0053】
1…エンジン
2…サブフレーム
3,4…エンジンマウント
P1,P2…支持点
5…アッパトルクロッド
6…ロアトルクロッド
11…第1ロッド
12,13…ブッシュ
15…慣性マス
17…アクチュエータ
21…加速度センサ
22…バンドパスフィルタ
23…電圧増幅回路
61,62…ブッシュ
63…第2ロッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動源であるエンジンから車体側へ伝達される振動を抑制する車両用防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンから車体側へ伝達される振動を抑制する防振装置として、トルクロッドの剛体共振周波数をエンジンの共振周波数より低く設定するとともに、トルクロッドの軸方向変位の速度に比例した力をアクチュエータに発生させるように構成した防振装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−12757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の防振装置は、ペンデュラム方式で搭載されたエンジンの上下それぞれの位置にアクチュエータ付きトルクロッドを設ける構成であるため、車両のコストアップに繋がるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、廉価な車両用防振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のトルクロッドアッセンブリはアクチュエータを備えたものとする一方で、第2のトルクロッドアッセンブリの一端をサブフレームに固定することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第2のトルクロッドアッセンブリの一端がサブフレームに固定されるので、アクチュエータがなくても、第2のトルクロッドアッセンブリを伝達して発生する車内音を抑制することができ、その結果、第2のトルクロッドアッセンブリはアクチュエータのない廉価なもので構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】本発明の一実施の形態に係る防振装置を車両のエンジンに適用した例を示す正面図である。
【図1B】図1Aの平面図である。
【図2】図1A及び図1Bの分解斜視図である。
【図3】図1Bのアッパトルクロッドアッセンブリを示す断面図である。
【図4A】図1Aのロアトルクロッドアッセンブリの一例を示す断面図である。
【図4B】図1Aのロアトルクロッドアッセンブリの他例を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る防振装置におけるエンジン、サブフレーム、ロアトルクロッドアッセンブリ及びアッパトルクロッドアッセンブリの共振周波数の関係を示す図である。
【図6】図5の防振装置を適用した車両の振動周波数に対する車体感度比の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る防振装置におけるエンジン、サブフレーム、ロアトルクロッドアッセンブリ及びアッパトルクロッドアッセンブリの共振周波数の関係を示す図である。
【図8A】トルクロッドのピッチ方向及び剪断方向の剛性感度を検証するための解析モデルを示す斜視図である。
【図8B】図8Aの解析モデルを用いて剛性感度を検証した結果を示す図である。
【図9】2重防振の効果が得られる構成による伝達力の周波数特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に本発明の一実施の形態に係る車両用防振装置を適用する、いわゆるペンデュラム方式エンジンについて説明する。ペンデュラム方式によるエンジン1の支持構造とは、図1A及び図1Bに示すように、エンジン1の慣性主軸Lを、車両の幅方向(進行方向と直交する方向,車両左右方向ともいう)と平行に向けて配置された、いわゆる横置きエンジン1に対して、エンジン1を支持する2個の支持点P1,P2が、図1Bの平面視においては、エンジン1の慣性主軸Lの近傍の、重心Gを挟んで互いに軸方向反対側に位置し、図1Aの側面視においては、ともに慣性主軸Lの車両上方に位置するように設けられた支持構造である。なお、2個の支持点P1,P2は、図2に示すように左右それぞれのエンジンマウント3,4により構成される。
【0010】
ペンデュラム方式エンジンの支持構造は、エンジン1を振り子のように吊り下げて支持するとともに、それらの支持点P1,P2を結ぶ直線の周りを揺動するエンジン重心Gを、車体に取り付けられたトルクロッドアッセンブリ5,6のような棒状部材で抑えるよう構成され、少ない点数の部品で従来と同様の制振効果が得られるといったメリットがある。すなわち、ペンデュラム方式でマウントされたエンジン1では、エンジン1の運転時に回転慣性力によって2つの支持点P1,P2を結んだ軸の回りにエンジン1が傾く。この傾きを防止してエンジン1を支持するため、エンジン1のほぼ上半分と車体側部材とを連結する第1のトルクロッドアッセンブリ5と、エンジン1の残り下半分と車体側部材とを連結する第2のトルクロッドアッセンブリ6とを備える。第1のトルクロッドアッセンブリ5が車両右上側からエンジン1に、もう一つの第2トルクロッドアッセンブリ6が車両下側からエンジン1に連結され、これら2つのトルクロッドアッセンブリ5,6により、ペンデュラム方式のエンジン1が傾くことを防止している。
【0011】
上記のエンジン1は、たとえば2次バランサつきの直列4気筒やV型6気筒エンジンである。2次バランサつきの4気筒エンジンやV型6気筒エンジンでは、エンジン回転の基本次数で不平衡慣性力が小さいので、主にエンジントルク変動の反力がエンジン1に作用する。したがってエンジン回転の基本次数では、トルクを支持している上記2つのトルクロッドアッセンブリ5,6からの入力によって主に車内音・車内振動が発生することが本発明者によって知見されている。さらに、車両の主に加速時に、基本次数の高次数で構成される約1000Hzまでの車内音が乗員にとって問題となることが知られている。
【0012】
既述したとおり、本例の車両用防振装置は、2つのトルクロッドアッセンブリ5,6を備える。第1のトルクロッドアッセンブリ5は、アッパトルクロッドとも称され、図1Bに示すようにエンジン1の上部と車体との間に装着される。これに対し、第2のトルクロッドアッセンブリ6は、ロアトルクロッドとも称され、図1A,図1B及び図2に示すように、エンジン1の下部とサブフレーム2との間に装着される。ここで、第1のトルクロッドアッセンブリ5が固定される車体とは、乗員が乗り込むキャビンを構成、或いは、キャビンを支持する剛体部材のことを指すのであって、例えばメインフレーム(車体フレーム)がその代表である。言い方を変えると、第2のトルクロッドアッセンブリ6が固定されるような、メインフレームとの間に弾性部材を介して設けられたサブフレーム等は、ここでの車体に相当しない。サブフレーム2は、具体的にはゴム製のブッシュ、あるいはインシュレータ等を介して車体に取り付けられているものであって、例えばサスペンションフレームを具体例として挙げられる。
【0013】
第1のトルクロッドアッセンブリ5は、図2及び図3に示すように、一端部のブッシュ12がエンジン1の上部に固定され、他端部のブッシュ13が車体に固定される第1ロッド11と、第1ロッド11に支持された慣性マス15と、慣性マス15を第1ロッド11の軸方向に往復動させるアクチュエータ17とを有する。
【0014】
図3はアッパトルクロッド5の要部断面図であり、棒状の第1ロッド11の両端に一対のブッシュ12,13が溶接により固定されている。エンジン側に固定されるブッシュ12は、円筒状の外筒12aと、外筒12aと同心の円筒状の内筒12bと、これら外筒12aと内筒12bとを連結する弾性体(防音材)12cとからなる。内筒12bに対して図3で紙面に直交する向きに挿通されるボルト(図示しない)によってブッシュ12はエンジン1に固定される。
【0015】
一方、車体側に固定されるブッシュ13も、上記ブッシュ12と同様に、円筒状の外筒13aと、外筒13aと同心の円筒状の内筒13bと、これら外筒13aと内筒13bとを連結する弾性体(防音材)13cとからなる。内筒13bに対して図3で紙面に直交する向きに挿通されるボルト(図示しない)によってブッシュ13は車体側の部材に固定される。
【0016】
なお、図示する実施形態は、ブッシュ12をエンジン1に固定し、ブッシュ13を車体側に固定する構成であるが、これに限らず、ブッシュ12を車体側に固定し、ブッシュ13をエンジン1に固定してもよい。また、図3に示すアッパトルクロッド5は、ブッシュ12,13の内筒12b,13bに挿通される2つのボルトが平行に配置される例を示すが、図2に示すアッパトルクロッドは、ブッシュ12,13の内筒12b,13bに挿通される2つのボルト18,19が互いに直交する向きに配置された例を示す。車体側の固定部及びエンジンの固定部の形状に応じて適宜変更することができる。
【0017】
本例の弾性体(防音材)12c,13cは、ばねと減衰の機能を兼ね備えた部材であり、例えば弾性ゴムを用いることができる。
【0018】
本例のアッパトルクロッド5では、ブッシュ12,13の外筒及び内筒の径を相違させる。すなわち、ブッシュ13の外筒13a、内筒13bの径を、対応するブッシュ12の外筒12a、内筒12bの径よりも相対的に小さくすると共に、さらに、ブッシュ13の弾性体13cの剛性を、ブッシュ12の弾性体12cの剛性よりも相対的に大きくする。一対のブッシュ12、13の弾性体12c、13cの剛性を異ならせることで、2つの異なる周波数において2重防振に適したロッド軸方向のエンジン剛体共振とロッド剛体共振とを生じさせている。
【0019】
すなわち、図9に実線で示したように、ブッシュ12の弾性体12cの剛性から定まるロッド軸方向のエンジン剛体共振Aがほぼゼロに近い周波数f1[Hz]で生じ、ブッシュ13の弾性体13cの剛性から定まるロッド軸方向のロッド剛体共振Bが200Hzに近い周波数f2[Hz]で生じている。分かり易さのため、エンジン剛体共振とロッド剛体共振を極めて単純化したばねマス系に基づいて説明すれば、エンジン剛体共振Aは、エンジン質量と、ブッシュ12の弾性体12cの剛性(ばね定数)で決まり、ロッド剛体共振Bは、ブッシュ12の弾性体12cとブッシュ13の弾性体13cの間の質量である第1ロッド11(および各ブッシュの外筒部分)の質量と、ブッシュ13の弾性体13cの剛性(ばね定数)で決まる。
【0020】
エンジン1単体での曲げ、捩りの1次の共振周波数f3は、一般的な車両用エンジンでは280Hz〜350Hz程度なので、本例のようにエンジン剛体共振Aをほぼゼロ(0Hz)とし、ロッド剛体共振Bを約200Hzとすれば、エンジン1の曲げ、捩りの共振振動の車体への伝達が、高周波数側(防振域内)で効果的に抑えられる(2重防振される)ことになる。
【0021】
以上より、エンジン剛体共振Aおよびロッド剛体共振Bが、エンジンの曲げ、捩りの共振周波数f3より小さな周波数となるように、ブッシュ12の弾性体12cの剛性(ばね定数)、およびブッシュ12の弾性体12cとブッシュ13の弾性体13cの間の質量である第1ロッド11(および各ブッシュの外筒部分)の質量、ブッシュ13の弾性体13cの剛性(ばね定数)を定めればよい。このように、エンジン剛体共振Aおよびロッド剛体共振Bを2つの異なる周波数で、つまり低周波域の周波数f1と、中周波数域の周波数f2との2箇所で生じさせてエンジン1から車体側に伝達される振動を防止する効果が得られるのが2重防振の効果である。
【0022】
本例のアッパトルクロッド5は、磁性を有する金属等からなる慣性マス15と、アクチュエータ17と、加速度センサ21と、バンドパスフィルタ22と、電圧増幅回路23とを備える。
【0023】
慣性マス15は、第1ロッド11の周囲に第1ロッド11と同軸で設けられている。第1ロッド11の軸方向に見た慣性マス15の断面は、第1ロッド11の中心(重心)を中心にした点対称な形であると共に、慣性マス15の重心が第1ロッド11の中心に一致している。慣性マス15は、図2にも示されているように角筒型とされ、慣性マス15のロッド軸方向の両端(図3で上下端)がそれぞれ弾性支持バネ16を介して第1ロッド11に連結されている。弾性支持バネ16は、たとえば比較的小さな剛性を有する板バネである。慣性マス15の内壁15aはその一部が後述するアクチュエータ17の永久磁石17cに向けて凸設されている。
【0024】
本例のアッパトルクロッド5は、慣性マス15と第1ロッド11との間の空間にアクチュエータ17が設けられている。アクチュエータ17は、角筒状のコア17aと、コイル17bと、永久磁石17cとを含むリニアタイプ(直線運動型)のアクチュエータで、慣性マス15を第1ロッド11の軸方向に往復動するものである。
【0025】
コイルの磁路を構成するコア17aは積層鋼鈑から構成されており、第1ロッド11に固設されている。コア17aは、アッパトルクロッド5の組立前には複数個の部材に分割されており、これら複数個の部材を接着剤で棒状の第1ロッド11の周囲に接着することにより、全体として角筒状のコア17aを形成している。コイル17bは、この角筒状のコア17aに巻装されている。永久磁石17cは、コア17aの外周面に設けられている。
【0026】
アクチュエータ17は、このような構成であるので、コイル17bと永久磁石17cとが発生する磁界によるリアクタンストルクによって慣性マス15をリニアに、つまり慣性マス15を第1ロッド11の軸方向に往復動するように駆動することとなる。
【0027】
第1ロッド11の略軸心の延長線上のブッシュ13の先端(図3で上端)には、第1ロッド11の略軸心位置での軸方向の振動の加速度を、エンジン1から第1ロッド11に伝達される振動の加速度として検出する加速度センサ21が取り付けられ、加速度センサ21からのロッド軸方向加速度の信号はバンドパスフィルタ22を介して電圧増幅回路23に入力され、この電圧増幅回路23で増幅された信号はアクチュエータ17のコイル17bに印加される(電圧の制御を行なう)。電圧増幅回路23は例えばオペアンプから構成することができる。
【0028】
慣性マス15は比較的柔らかい板バネ(弾性支持バネ16)で支持され、例えば慣性マス15の第1ロッド11に対するロッド軸方向の共振は10Hzから100Hzまでの低い周波数で生じるものとされている。例えば4気筒エンジンのアイドル回転速度2次の振動周波数は約20Hzであることから、慣性マス15の共振周波数を10Hzにすることができれば、エンジン1の運転条件によらず慣性マス15が共振するのを抑えることができる。
【0029】
一方、慣性マス15の共振周波数を10Hzといったこのような低周波数に設定しようとすると、慣性マス15が大きくなりすぎてそのような設定が困難な場合には、抑制しようとするロッド剛性共振B(実施形態では200Hz)の約1/2の周波数より低く設定しておけば、互いの共振周波数が十分に離れ、後述するような振動伝達の抑制が十分に行なわれる。
【0030】
また、加速度センサ21で検出した加速度信号をバンドパスフィルタ22に通すことによって、余分な周波数での制御を行なわないようにして、制御安定性を高めるとともに、余分な電力消費を抑えつつ狙いの周波数範囲での確実な伝達力の抑制を図ることができる。ロッド剛体共振Bに対する防振域は、図9に示したようにロッド剛体共振Bの共振周波数f2に対して所定値(≒1.4)を乗じて求まる周波数f5以上の周波数範囲であるので、バンドパスフィルタ22としては、慣性マス15のロッド軸方向の共振周波数(10Hzから100Hzまでの低い周波数)を含みこの共振周波数より、ロッド剛体共振Bに対する防振域の周波数範囲までの信号を通過するフィルタであって、防振域のうち制御が発散しない範囲の上限(例えば400Hzとする)までの信号を通過するフィルタを選定する。
【0031】
そして、制御対象である第1ロッド11の減衰を増大する速度フィードバック制御が行われるように、バンドパスフィルタ22で通過している周波数帯において、加速度センサ21により検出した振動のロッド軸方向速度に略比例した力を逆符合とした力をアクチュエータ17から発生させる。
【0032】
図1A,図1B及び図2に戻り、エンジン1の下部とサブフレーム2との間に装着されるロアトルクロッド(第2のトルクロッドアッセンブリ)6は、一端部のブッシュ61がエンジン1に固定され、他端部のブッシュ62が、車体に弾性部材を介して装着されたサブフレーム2に固定される第2ロッド63を有する。
【0033】
図4Aはロアトルクロッド6の概略平面図であり、棒状の第2ロッド63の両端に一対のブッシュ61,62が溶接により固定されている。エンジン側に固定されるブッシュ61は、円筒状の外筒61aと、外筒61aと同心の円筒状の内筒61bと、これら外筒61aと内筒61bとを連結する弾性体(防音材)61cとからなる。内筒61bに対して図4Aで紙面に直交する向きに挿通されるボルト(図示しない)によってブッシュ61はエンジン1に固定される。
【0034】
一方、車体側に固定されるブッシュ62も、上記ブッシュ61と同様に、円筒状の外筒62aと、外筒62aと同心の円筒状の内筒62bと、これら外筒62aと内筒62bとを連結する弾性体(防音材)62cとからなる。内筒62bに対して図4Aで紙面に直交する向きに挿通されるボルト(図示しない)によってブッシュ13はサブフレーム2に固定される。
【0035】
なお、図示する実施形態は、ブッシュ61をエンジン1に固定し、ブッシュ62をサブフレーム2に固定する構成であるが、これに限らず、ブッシュ61をサブフレーム2に固定し、ブッシュ62をエンジン1に固定してもよい。
【0036】
また、図4Aに示すロアトルクロッド6は、ブッシュ61,62の内筒61b,62bに挿通される2つのボルトが平行に配置される例を示すが、図4Bに示すロアトルクロッド6は、ブッシュ61,62の内筒61b,62bに挿通される2つのボルトが互いに直交する向きに配置された例を示す。特に相対的に小径とされたブッシュ62をサブフレーム2に固定する方向について車両の左右方向にボルトが挿通するように構成されている。
【0037】
図8Aはトルクロッドの解析モデルを示す斜視図であり、ロアトルクロッド6のブッシュ62に相当する部分を示す。同図の解析モデルを用いて、図8Bの左図に示すようにロッドにピッチ方向の力Fを加えたときの変位と、右図に示すようにロッドに剪断方向の力Fを加えたときの変位をそれぞれ測定したところ、ピッチ方向に力Fが作用した方が相対的に感度は高くなる。換言すれば、剪断方向に力Fが作用した方が相対的に剛性は高くなる。したがって、図4Bのように、ピッチ方向の剛性に感度が高いブッシュ62を剪断変形する方向で固定することで、ロアトルクロッド6のピッチ方向の剛体共振周波数を高くすることができ、その結果、車体への振動伝達を抑制することができる。
【0038】
サブフレーム2は、車体そのものではなく、車体に対して弾性ゴムなどの弾性部材を介して装着された車体部品であり、懸架装置を支持するサスペンションフレームなどを例示することができる。既設部品であるサスペンションフレームへロアトルクロッド6を固定すれば、重量アップすることなく防振効果を発揮できる。ただし、本発明のサブフレームはサスペンションフレームのみに限定されず、弾性部材を介して車体に取り付けられた他の部品を適用してもよい。
【0039】
上述したとおり、本例の車両用防振装置では、第1のトルクロッドアッセンブリであるアッパトルクロッド5には慣性マス15及びこれを駆動するアクチュエータ17を設ける一方で、第2のトルクロッドアッセンブリであるロアトルクロッド6には慣性マス15及びアクチュエータ17を省略し、その代わりに車体に弾性部材を介して装着されたサブフレーム2に当該ロアトルクロッド6の一端部を固定する。
【0040】
すなわち、車体へ直付けとなるアッパトルクロッド5には慣性マス15及びアクチュエータ17を備えているため、アッパトルクロッド5を伝達して発生する車内音を制御できる。一方、ロアトルクロッド6は、ゴムなどの弾性部材を介して固定されたサブフレーム2に固定されているため、ロアトルクロッド6を伝達して発生する車内音も抑制できることで、大トルクエンジン1にペンデュラムタイプのプラットフォームを適用することができる。この結果、車両のコストダウン及び軽量化を図ることができ、燃費が向上し、加速性能も向上する。
【0041】
また、本例の車両用防振装置では、図3に示すアッパトルクロッド5の第1ロッド11の軸方向(エンジントルク支持方向)の長さに比べ、図4A又は図4Bに示すロアトルクロッド6の第2ロッド63の軸方向の長さより短く設定されている。ロアトルクロッド6は、慣性マス15及びアクチュエータ17を省略したぶんロッド長をアッパトルクロッド5と比較し短くできるため、アッパトルクロッド5に比べて剛体共振を高い周波数に設定することができる。この様子を図5に示す。ロアトルクロッド6の剛体共振周波数は、トルク支持方向及びピッチ方向のいずれも浩周波数領域に設定されている。
【0042】
サブフレーム2は、力を受ける車体部品であるため、車体へのゴム弾性支持部の共振周波数は比較的高い周波数に存在するものの、ロアトルクロッド6の共振周波数を高く設定することで、結果として、サブフレーム2の車両上下方向の剛体共振周波数より、ロアトルクロッド6のピッチ方向及び上下方向の固有値を上げることでき、ロアトルクロッド6の剛体共振による車内音の増大を抑制することができる。
【0043】
また、本例の車両用防振装置では、ロアトルクロッド6の第2ロッド63の大径側のブッシュ61は、車体の左右方向の最大長さに比べて車体の上下方向の最大長さの方が短く形成されている。図4Aでいうと、ブッシュ61の左右方向の最大長、すなわち外筒61aの外径に対し、ブッシュ61の車体上下方向の最大長、すなわち紙面に垂直な方向の最大長の方が短く設定されている。
【0044】
これにより、ロアトルクロッド6のピッチ方向の慣性質量に感度が高い方向の寸法を小さくできるため、ロアトルクロッド6のピッチ方向の剛体共振周波数を高く設定でき、その結果、車体への伝達力を抑制することができる。さらに、この寸法は車体の上下方向であるため、最低地上高さへの影響も小さくできる。
【0045】
また、本例の車両用防振装置において、図4Bに示すように、ロアトルクロッド6の第2ロッド63の小径側のブッシュ62を、車両の左右方向に沿った軸方向からサブフレーム2に固定すれば、ロアトルクロッド6のピッチ方向の剛性に感度が高い小さい側のブッシュ62を剪断変形で支持することになるため、ロアトルクロッド6のピッチ方向の剛体共振周波数を高く設定でき、その結果、車体への伝達力を抑制することができる。
【0046】
また、本例の車両用防振装置では、ロアトルクロッド6のピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数は、図5に示すように、少なくとも一つの運転条件において(同図に示す運転条件は全開加速運転時)、サブフレーム2のピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数より高く設定されている。
【0047】
サブフレーム2の剛体共振周波数よりも、ロアトルクロッド6のピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数を高く設定することで、これらが共振することがないため車内音が静寂になる。
【0048】
また、本例の車両用防振装置では、図5に示すように、ロアトルクロッド6のピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数は、エンジントルク支持方向の剛体共振周波数より高く設定されている。防振性能に影響するトルク支持方向の固有値を維持しつつ、車内音を増大させるピッチ方向及び上下方向のトルクロッド剛体共振を高い周波数に設定することで、ピッチ方向及び上下方向のトルクロッド剛体共振の影響を抑えつつ、ロアトルクロッド6の防振効果が得られる。
【0049】
また、本例の車両用防振装置では、図5に示すように、サブフレーム2の主たる剛体共振周波数は、エンジン1の主たる弾性共振周波数未満に設定され、アッパトルクロッド5のエンジントルク支持方向の剛体共振周波数は、エンジン1の主たる弾性共振周波数以下に設定され、さらにロアトルクロッド6のエンジントルク支持方向の剛体共振周波数は、サブフレーム2の主たる剛体共振周波数以上で、エンジン1の主たる弾性共振周波数以下に設定されている。
【0050】
ロアトルクロッド6において、剛体共振周波数をサブフレーム2の共振周波数とエンジン1の弾性共振周波数の間に設定するため、ロアトルクロッド6の剛体共振による車内音増大を緩和しつつ、エンジン1の弾性共振によって増大された振動を、ロアトルクロッド6の剛体共振の防振効果によって、大幅に低減することができ、その結果、車内音を低減することができる。参考に、本例の車両用防振装置のアッパトルクロッド5とロアトルクロッド6の周波数別車体感度比を示す。
【0051】
なお、図5に示す実施形態では、ロアトルクロッド6のエンジントルク支持方向の剛体共振周波数をエンジン1の弾性共振周波数より小さく設定したが、図7に示すように、ロアトルクロッド6のエンジントルク支持方向の剛体共振周波数をエンジン1の弾性共振周波数より高く設定してもよい。
【0052】
上記アッパトルクロッド5は本発明に係る第1のトルクロッドアッセンブリに相当し、上記ロアトルクロッド6は本発明に係る第2のトルクロッドアッセンブリに相当する。
【符号の説明】
【0053】
1…エンジン
2…サブフレーム
3,4…エンジンマウント
P1,P2…支持点
5…アッパトルクロッド
6…ロアトルクロッド
11…第1ロッド
12,13…ブッシュ
15…慣性マス
17…アクチュエータ
21…加速度センサ
22…バンドパスフィルタ
23…電圧増幅回路
61,62…ブッシュ
63…第2ロッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部がエンジンに固定され、他端部が車体に固定される第1ロッドと、前記第1ロッドに支持された慣性マスと、前記慣性マスを前記第1ロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、を有する第1のトルクロッドアッセンブリと、
一端部がエンジンに固定され、他端部が、車体に弾性部材を介して装着されたサブフレームに固定される第2ロッドを有する第2のトルクロッドアッセンブリと、を備える車両用防振装置。
【請求項2】
前記第2ロッドの軸方向の長さは、前記第1ロッドの軸方向の長さより短い請求項1に記載の車両用防振装置。
【請求項3】
前記第2ロッドの大径側の端部は、前記車体の左右方向の最大長さに比べて前記車体の上下方向の最大長さの方が短く形成されている請求項1又は2に記載の車両用防振装置。
【請求項4】
前記第2ロッドの小径側の端部は、前記車両の左右方向に沿った軸方向から前記サブフレーム又は前記エンジンに固定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項5】
前記第2のトルクロッドアッセンブリのピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数は、少なくとも一つの運転条件において、前記サブフレームのピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数より高く設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項6】
前記第2のトルクロッドアッセンブリのピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数は、エンジントルク支持方向の剛体共振周波数より高く設定されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項7】
前記サブフレームの主たる剛体共振周波数は、前記エンジンの主たる弾性共振周波数未満に設定され、
前記第1のトルクロッドアッセンブリのエンジントルク支持方向の剛体共振周波数は、前記エンジンの主たる弾性共振周波数以下に設定され、
前記第2のトルクロッドアッセンブリのエンジントルク支持方向の剛体共振周波数は、前記サブフレームの主たる剛体共振周波数以上、前記エンジンの主たる弾性共振周波数以下に設定されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項8】
前記サブフレームは、前記車体に装着される懸架装置を支持するサスペンションフレームである請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項1】
一端部がエンジンに固定され、他端部が車体に固定される第1ロッドと、前記第1ロッドに支持された慣性マスと、前記慣性マスを前記第1ロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、を有する第1のトルクロッドアッセンブリと、
一端部がエンジンに固定され、他端部が、車体に弾性部材を介して装着されたサブフレームに固定される第2ロッドを有する第2のトルクロッドアッセンブリと、を備える車両用防振装置。
【請求項2】
前記第2ロッドの軸方向の長さは、前記第1ロッドの軸方向の長さより短い請求項1に記載の車両用防振装置。
【請求項3】
前記第2ロッドの大径側の端部は、前記車体の左右方向の最大長さに比べて前記車体の上下方向の最大長さの方が短く形成されている請求項1又は2に記載の車両用防振装置。
【請求項4】
前記第2ロッドの小径側の端部は、前記車両の左右方向に沿った軸方向から前記サブフレーム又は前記エンジンに固定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項5】
前記第2のトルクロッドアッセンブリのピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数は、少なくとも一つの運転条件において、前記サブフレームのピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数より高く設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項6】
前記第2のトルクロッドアッセンブリのピッチ方向及び上下方向の剛体共振周波数は、エンジントルク支持方向の剛体共振周波数より高く設定されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項7】
前記サブフレームの主たる剛体共振周波数は、前記エンジンの主たる弾性共振周波数未満に設定され、
前記第1のトルクロッドアッセンブリのエンジントルク支持方向の剛体共振周波数は、前記エンジンの主たる弾性共振周波数以下に設定され、
前記第2のトルクロッドアッセンブリのエンジントルク支持方向の剛体共振周波数は、前記サブフレームの主たる剛体共振周波数以上、前記エンジンの主たる弾性共振周波数以下に設定されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【請求項8】
前記サブフレームは、前記車体に装着される懸架装置を支持するサスペンションフレームである請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用防振装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公開番号】特開2013−28302(P2013−28302A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166536(P2011−166536)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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