説明

車両

【課題】車体を傾斜させても車体の安定を維持することができ、旋回操作が容易で、車体を容易に傾斜させることができ、また、旋回性能を向上させることができるとともに、乗り心地がよく、安定した走行状態を実現することができるようにする。
【解決手段】伸縮装置を介して互いの間隔を伸縮可能に連結された操舵部及び駆動部を備える車体と、車体を操舵する操舵輪と、車体を駆動する駆動輪と、車速を検出する車速検出手段と、乗員が要求する車体の要求旋回量を検出する要求旋回量検出手段と、駆動部を旋回方向に傾斜させる傾斜用アクチュエータ装置と、傾斜用アクチュエータ装置を制御して車体の傾斜を制御する制御装置とを有する車両であって、制御装置は、旋回する際に、伸縮装置を作動させて操舵輪と駆動輪との軸距離を短縮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも左右一対の車輪と、左右一対の車輪を支持するリンク機構とを備える車両に関するものである。
【0002】
特に、旋回性能を向上して、安定した旋回を行うことができるとともに、乗員の負担を軽減して、快適性を確保することができる車両に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、エネルギ資源の枯渇問題に鑑み、車両の省燃費化が強く要求されている。その一方で、車両の低価格化等から、車両の保有者が増大し、1人が1台の車両を保有する傾向にある。そのため、例えば、4人乗り車両を運転者1人のみが運転することで、エネルギが無駄に消費されるという問題点があった。車両の小型化による省燃費化としては、車両を1人乗りの三輪車又は四輪車として構成する形態が最も効率的であるといえる。
【0004】
しかし、走行状態によっては、車両の安定性が低下してしまうことがある。そこで、車体を横方向に傾斜させることによって、旋回時の車両の安定性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−155671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の車両においては、旋回性能を向上させるために、車体を旋回方向内側に傾斜させることができるようになっているが、車体を傾斜させる操作が困難であり、旋回性能が低いので、乗員が不快に感じたり、不安を抱いたりしてしまうことがある。
【0007】
本発明は、前記従来の車両の問題点を解決して、旋回する際にホイールベースを短縮することによって、車体を傾斜させても車体の安定を維持することができ、旋回操作が容易で、車体を容易に傾斜させることができ、また、旋回性能を向上させることができるとともに、乗り心地がよく、安定した走行状態を実現することができる安全性の高い車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の車両においては、伸縮装置を介して互いの間隔を伸縮可能に連結された操舵(だ)部及び駆動部を備える車体と、前記操舵部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を操舵する操舵輪と、前記駆動部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を駆動する駆動輪と、車速を検出する車速検出手段と、乗員が要求する前記車体の要求旋回量を検出する要求旋回量検出手段と、前記駆動部を旋回方向に傾斜させる傾斜用アクチュエータ装置と、該傾斜用アクチュエータ装置を制御して車体の傾斜を制御する制御装置とを有する車両であって、前記制御装置は、旋回する際に、前記伸縮装置を作動させて操舵輪と駆動輪との軸距離を短縮させる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の構成によれば、車体を傾斜させても車体の安定を維持することができ、旋回性能を向上させることができるとともに、安定した走行状態を実現することができる。
【0010】
請求項2の構成によれば、三輪であっても、旋回性能を向上させることができるとともに、安定した走行状態を実現することができる。
【0011】
請求項3の構成によれば、安定性を更に向上させることができる。
【0012】
請求項4の構成によれば、旋回中の安定性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車両の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における車両のリンク機構の構成を示す要部拡大図であり図1におけるH−H矢視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における車両の傾斜領域を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における車両の各部の寸法を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における車両のリンク機構の動作を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における車両を傾斜させたときのリンク機構の各部の寸法を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における車両のホイールベースを伸縮させる動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態における車両のホイールベースを伸縮させる動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態における車両のホイールベースを伸縮させる動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施の形態における車両のホイールベースを伸縮させる動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施の形態における車両の構成を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態における車両のリンク機構の構成を示す要部拡大図であり図1におけるH−H矢視図である。なお、図1において、(a)はホイールベース伸長時の左側面図、(b)はホイールベース短縮時の左側面図、(c)は(b)におけるI部拡大図、(d)はホイールベース伸長時の上面図、(e)はホイールベース短縮時の上面図である。
【0016】
図において、10は、本実施の形態における車両であり、車体の駆動部としての本体部20と、乗員が搭乗して操舵する操舵部としての搭乗部11と、車体の前方において幅方向の中心に配設された前輪である操舵輪としての車輪12Fと、後輪として後方に配設された駆動輪である左側の車輪12L及び右側の車輪12Rとを有する。さらに、車体を左右に傾斜させる、すなわち、リーンさせるためのリーン機構、すなわち、車体傾斜機構として、左右の車輪12L及び12Rを支持するリンク機構30と、該リンク機構30を作動させるアクチュエータとしての傾斜用アクチュエータ装置25とを有する。なお、前記車両10は、前輪が左右2輪であって後輪が1輪の三輪車であってもよいが、本実施の形態においては、図に示されるように、前輪が1輪であって後輪が左右2輪の三輪車である場合について説明する。
【0017】
旋回時には、左右の車輪12L及び12Rの路面18に対する角度、すなわち、キャンバー角を変化させるとともに、搭乗部11及び本体部20を含む車体を旋回内輪側へ傾斜させることによって、旋回性能の向上と乗員の快適性の確保とを図ることができるようになっている。すなわち、前記車両10は車体を横方向(左右方向)にも傾斜させることができる。なお、図に示される例においては、車輪12L及び12Rは路面18に対して直立している、すなわち、キャンバー角が0度になっている。
【0018】
前記リンク機構30は、左側の車輪12L及び該車輪12Lに駆動力を付与する電気モータ等から成る左側の回転駆動装置51Lを支持する左側の縦リンクユニット33Lと、右側の車輪12R及び該車輪12Rに駆動力を付与する電気モータ等から成る右側の回転駆動装置51Rを支持する右側の縦リンクユニット33Rと、左右の縦リンクユニット33L及び33Rの上端同士を連結する上側の横リンクユニット31Uと、左右の縦リンクユニット33L及び33Rの下端同士を連結する下側の横リンクユニット31Dと、本体部20に上端が固定され、上下に延在する中央縦部材21とを有する。また、左右の縦リンクユニット33L及び33Rと上下の横リンクユニット31U及び31Dとは回転可能に連結されている。さらに、上下の横リンクユニット31U及び31Dは、その中央部で中央縦部材21と回転可能に連結されている。なお、左右の車輪12L及び12R、左右の回転駆動装置51L及び51R、左右の縦リンクユニット33L及び33R、並びに、上下の横リンクユニット31U及び31Dを統合的に説明する場合には、車輪12、回転駆動装置51、縦リンクユニット33及び横リンクユニット31として説明する。
【0019】
そして、駆動用アクチュエータ装置としての前記回転駆動装置51は、いわゆるインホイールモータであって、固定子としてのボディが縦リンクユニット33に固定され、前記ボディに回転可能に取り付けられた回転子としての回転軸が車輪12の軸に接続され、前記回転軸の回転によって車輪12を回転させる。なお、前記回転駆動装置51は、インホイールモータ以外の種類のモータであってもよい。
【0020】
また、前記傾斜用アクチュエータ装置25は、電気モータ等を含む回転式の電動アクチュエータであって、固定子としての円筒状のボディと、該ボディに回転可能に取り付けられた回転子としての回転軸とを備えるものであり、前記ボディが取付フランジ22を介して本体部20に固定され、前記回転軸がリンク機構30の上側の横リンクユニット31Uに固定されている。なお、傾斜用アクチュエータ装置25の回転軸は、本体部20を傾斜させる傾斜軸として機能し、中央縦部材21と上側の横リンクユニット31Uとの連結部分の回転軸と同軸になっている。そして、傾斜用アクチュエータ装置25を駆動して回転軸をボディに対して回転させると、本体部20及び該本体部20に固定された中央縦部材21に対して上側の横リンクユニット31Uが回動し、リンク機構30が作動する、すなわち、屈伸する。これにより、本体部20を傾斜させることができる。なお、傾斜用アクチュエータ装置25は、その回転軸が本体部20及び中央縦部材21に固定され、そのボディが上側の横リンクユニット31Uに固定されていてもよい。
【0021】
なお、傾斜用アクチュエータ装置25は、回転軸をボディに対して回転不能に固定する図示されないロック機構を備える。該ロック機構は、メカニカルな機構であって、回転軸をボディに対して回転不能に固定している間には電力を消費しないものであることが望ましい。前記ロック機構によって、回転軸をボディに対して所定の角度で回転不能に固定することができる。
【0022】
前記搭乗部11は、本体部20の前端に連結部24及び伸縮装置としてのスライドアクチュエータ装置27を介して連結される。前記連結部24は、搭乗部11と本体部20とを所定の方向に相対的に変位可能に連結する機能を有し、例えば、本体部20を搭乗部11に対して上下方向及び水平方向(旋回方向)に揺動可能に連結する機能を有する。
【0023】
そして、前記スライドアクチュエータ装置27は、連結部24を搭乗部11に対して前後方向(図1(c)において矢印Jで示される方向)にスライド可能に接続し、その結果、搭乗部11と本体部20とは互いの間隔が伸縮可能に連結される。これにより、前記スライドアクチュエータ装置27を作動させると、本体部20が搭乗部11に対して前後方向にスライド可能となり、その結果、車輪12Fと車輪12L及び12Rとの軸距離、すなわち、ホイールベースが伸縮する。なお、前記スライドアクチュエータ装置27は、例えば、回転式の電気モータとボールねじ伝導装置との組み合わせであるが、リニアモータ、油圧シリンダ等であってもよく、いかなる種類のアクチュエータであってもよい。
【0024】
なお、スライドアクチュエータ装置27は、連結部24を搭乗部11に対してスライド不能に固定する図示されないロック機構を備える。該ロック機構は、メカニカルな機構であって、連結部24を搭乗部11に対してスライド不能に固定している間には電力を消費しないものであることが望ましい。前記ロック機構によって、連結部24を搭乗部11にに対して所定の位置でスライド不能に固定することができ、その結果、ホイールベースを所定の値に保持することができる。
【0025】
本実施の形態においては、直進走行の際には、図1(a)及び(d)に示されるように、ホイールベースを伸長させた状態とし、旋回する際には、図1(b)及び(e)に示されるように、ホイールベースを短縮させた状態とする。図1(d)及び(e)を比較すると、車両10の重心Mが、ホイールベースを短縮させると、わずかに前方に変位することが分かる。
【0026】
また、前輪である車輪12Fの接地点と、左右の後輪である車輪12L及び12Rの接地点とを頂点とする二等辺三角形Kは、ホイールベースを短縮させると、その頂角∠Kの角度が大きくなることが分かる。その結果、二等辺三角形Kの底辺K1と平行で、2つの斜辺を両端とし、重心Mを通る線分M1の長さが長くなることが分かる。
【0027】
つまり、ホイールベースを短縮させると、重心Mがわずかに前方に変位しても、重心Mから両側の斜辺までの距離が長くなるので、重心Mが二等辺三角形Kの範囲から外れにくくなり、車両10の左右方向への安定性が増大する。
【0028】
また、前記搭乗部11は、座席11a、フットレスト11b、風よけ部11c及び荷台11dを備える。前記座席11aは、車両10の走行中に乗員が着座するための部位である。また、前記フットレスト11bは、乗員の足部を支持するための部位であり、座席11aの前方側(図1(a)及び(b)における左側)下方に配設される。
【0029】
さらに、搭乗部11の後方若しくは下方又は本体部20には、図示されないバッテリ装置が配設されている。該バッテリ装置は、回転駆動装置51、傾斜用アクチュエータ装置25、スライドアクチュエータ装置27等のエネルギ供給源である。また、搭乗部11の後方若しくは下方又は本体部20には、図示されない制御装置、インバータ装置、加速度センサ等の各種センサ等が収納されている。
【0030】
そして、座席11aの前方には、操縦装置41が配設されている。該操縦装置41には、操舵装置としてのハンドルバー41a、速度メータ等のメータ、インジケータ、スイッチ等の操縦に必要な部材が配設されている。乗員は、前記ハンドルバー41a及びその他の部材を操作して、車両10の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、旋回半径等)を指示する。なお、乗員が要求する車体の要求旋回量を検出するための手段である操舵装置として、ハンドルバー41aに代えて他の装置、例えば、ステアリングホイール、ジョグダイヤル、タッチパネル、押しボタン等の装置を操舵装置として使用することもできる。また、操縦装置41は、操舵装置としてのハンドルバー41aの操舵量を検出するエンコーダ等の操舵量検出器を備える。本実施の形態においては、要求旋回量として操舵装置の操舵量を検出する。
【0031】
なお、車輪12Fは、サスペンション装置(懸架装置)の一部である前輪フォーク17を介して搭乗部11に接続されている。前記サスペンション装置は、例えば、一般的なオートバイ、自転車等において使用されている前輪用のサスペンション装置と同様の装置であり、前記前輪フォーク17は、例えば、スプリングを内蔵したテレスコピックタイプのフォークである。そして、一般的なオートバイ、自転車等の場合と同様に、乗員によるハンドルバー41aの操作に応じて操舵輪としての車輪12Fは舵角を変化させ、これにより、車両10の進行方向が変化する。
【0032】
また、本実施の形態における車両10は、図示されない制御装置としての車体制御システムを有する。該車体制御システムは、一種のコンピュータシステムであり、操縦装置41、回転駆動装置51、傾斜用アクチュエータ装置25、スライドアクチュエータ装置27、操舵量検出器等に接続されている。また、前記車体制御システムは、車速を検出するために車輪12の回転速度を検出する図示されない車輪回転計及び車体の傾斜角度を検出する図示されない車体傾斜角度計を含み、車両10のすべての動作を統括的に制御する。具体的には、旋回する際に、スライドアクチュエータ装置27を作動させてホイールベースを短縮させる。
【0033】
次に、前記構成の車両10の動作について説明する。ここでは、旋回の際にホイールベースを短縮し、その後伸長する動作についてのみ説明する。
【0034】
図3は本発明の第1の実施の形態における車両の傾斜領域を説明する図、図4は本発明の第1の実施の形態における車両の各部の寸法を説明する図、図5は本発明の第1の実施の形態における車両のリンク機構の動作を説明する図、図6は本発明の第1の実施の形態における車両を傾斜させたときのリンク機構の各部の寸法を説明する図、図7は本発明の第1の実施の形態における車両のホイールベースを伸縮させる動作を示すフローチャートである。なお、図4において、(a)はホイールベース伸長時の左側面図、(b)はホイールベース短縮時の左側面図、(c)はホイールベース伸長時の上面図、(d)はホイールベース短縮時の上面図であり、図5において、(a)は直立時のリンク機構を示す図、(b)は直立時のリンク機構の模式図、(c)は傾斜時のリンク機構の模式図、(d)は傾斜時のリンク機構の更なる模式図である。
【0035】
旋回制御処理が開始されると、車体制御システムは、まず、走行速度及び要求旋回量、すなわち、車速及び操舵角を検出する(ステップS1)。なお、旋回制御処理は、車両10の電源が投入されている間、車体制御システムによって繰り返し(例えば、0.2〔ms〕間隔で)実行される処理であり、旋回時において、旋回性能の向上と乗員の快適性の確保とを図る処理である。
【0036】
本実施の形態においては、操舵輪である車輪12Fの舵角、すなわち、操舵角に基づいて、旋回をするか否かを判断する。すなわち、操舵角の絶対値が所定値より小さい場合には、ハンドルバー41aの操舵量が微小であるから、操縦装置41の遊びの範囲であって、乗員は操舵を意図していない、と考えられるので、直進状態となるようにする。つまり、車輪12Fの舵角を変化させず、かつ、リンク機構30を作用させずに車体を直立に維持する、すなわち、リーン角制御を行わない。一方、操舵角の絶対値が所定値以上である場合には、ハンドルバー41aの操舵量がある程度大きく、操縦装置41の遊びの範囲を超えているので、乗員は操舵を意図している、と考えられるので、旋回するようにする。つまり、車輪12Fの舵角を変化させ、リンク機構30を作動させて車体を傾斜させる、すなわち、リーン角制御を行う。
【0037】
続いて、車体制御システムは、横加速度の値が所定の閾(しきい)値を超えているか否か、すなわち、F>閾値であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0038】
ここで、ホイールベースLと、左右の後輪である車輪12L及び12Rの中点の描く旋回半径Rとの間には、次の式(1)の関係が成立するので、該式(1)に従って旋回半径Rを求めることができる。
R×sin η=L ・・・式(1)
なお、ηは車輪12Fの舵角である。
【0039】
また、旋回半径R及び走行速度Vに基づき、車両10の横加速度Fは、次の式(2)に従って求めることができる。
F=CV2 /R ・・・式(2)
なお、Cは車両10の重量である。
【0040】
このように、リーン角制御においては、旋回半径R及び走行速度Vに基づいて車両10の横加速度Fを計算し、該横加速度Fに応じた適切なリーン角、すなわち、車体の傾斜角を決定して、車体を旋回方向内側へ傾斜させる。
【0041】
そして、横加速度の値が所定の閾値を超えていない、すなわち、F>閾値でない場合には、ステップS1に戻り、F>閾値になるまで待機する。なお、横加速度の閾値は、図3に示されるように、操舵角と車速とに応じて変化する。図3から分かるように、F>閾値でない場合には、車両非傾斜領域であるので、車両10を傾斜させず、F>閾値である場合には、車両傾斜領域であるので、車両10を傾斜させる。
【0042】
ところで、車両10を傾斜させると重心Mの位置が左右に移動する。そして、図1に示される例において、重心Mの位置が二等辺三角形Kの左右の斜辺よりも外側にまで移動すると、重心Mに作用する重力の作用線が路面18と交差する位置が、車輪12Fの接地点と、左右の後輪である車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側となるので、車両10が転倒する可能性がある。なお、厳密には、旋回中の重心Mには重力とともに遠心力が作用するので、重力と遠心力との合力の作用線が路面18と交差する位置を考察する必要がある。しかし、遠心力を考慮すると説明が複雑になり、かつ、走行速度Vが中低速域にあるときには遠心力がさほど大きくなく、遠心力の影響を無視し得るので、ここでは、遠心力を考慮せずに重心Mの位置についての説明を行うこととする。
【0043】
そこで、本実施の形態においては、旋回の際にホイールベースを短縮させ、重心Mから二等辺三角形Kの左右の斜辺までの距離を長くすることによって、重心Mの位置が斜辺よりも外側にまで移動しないようにして、車両10の転倒を確実に防止するようになっている。そのため、F>閾値であるか否かを判断してF>閾値である場合、車体制御システムは、スライドアクチュエータ装置27を作動させ(ステップS3)、ホイールベースを短縮させる。これにより、旋回の開始直後にホイールベースを短縮させることができる。
【0044】
なお、回転駆動装置51によって車輪12L及び12Rに付与される本体部20を前進させようとする駆動力を利用してホイールベースを短縮させることもできる。このように、本体部20を前進させようとする駆動力を利用することによって、スライドアクチュエータ装置27の負荷を低減させることができる。
【0045】
図4において、車両10の各部の寸法は、次のように表される。
1 :搭乗部11の前後方向重心位置、すなわち、車輪12Fの軸心から搭乗部11の重心M−10までの距離
1 及びb2 :本体部20の前後方向重心位置、すなわち、車輪12Fの軸心から本体部20の重心M−20までの距離(ホイールベース伸長時及び短縮時)
1 及びc2 :車両10の前後方向重心位置、すなわち、車輪12Fの軸心から車両10の重心Mまでの距離(ホイールベース伸長時及び短縮時)
1 及びL2 :ホイールベース(ホイールベース伸長時及び短縮時)
T:後輪トレッド(左右の車輪12L及び12Rの中心(接地点)間の距離)
1 及びT2 :線分M1の長さ(ホイールベース伸長時及び短縮時)
ΔT:後輪トレッドと線分M1の長さとの差の1/2(ΔT=(T−T1 )/2)
なお、搭乗部11の重量はA、本体部20の重量はB、車両10の重量はC=A+Bであるものとする。
【0046】
ホイールベース伸長時及び短縮時の車両10の前後方向重心位置c1 及びc2 は、次の式(3)によって求められる。
【0047】
【数1】

また、ホイールベース伸長時の線分M1の長さは、二等辺三角形Kの面積に基づいて、次の式(4)が導出されるから、該式(4)を変形して得られた式(5)を更に変形して、式(6)のように表される。
【0048】
【数2】

なお、前記式(4)において、左辺の第1項は二等辺三角形Kの面積を表し、同第2項は線分M1を底辺とする小さな二等辺三角形の面積を表し、右辺は線分M1及び底辺K1を上底及び下底とする台形の面積を表す。
【0049】
また、ホイールベース短縮時の線分M1の長さは、同様にして、次の式(7)のように表される。
【0050】
【数3】

ここで、ホイールベース伸長時、すなわち、ホイールベースを短縮させる前の状態における車両10の各部の寸法は、a1 =900.2〔mm〕、b1 =1477〔mm〕、A=115.7〔kg〕、B=63.7〔kg〕、L1 =1410〔mm〕、T=500〔mm〕であるとする。
【0051】
そして、スライドアクチュエータ装置27を作動させて、ホイールベースを、例えば、200〔mm〕短縮させるものとする。すると、b2 =1277〔mm〕、L2 =1210〔mm〕となる。
【0052】
また、車両10の前後方向重心位置c1 及びc2 は、前記式(3)に数値を代入することによって、c1 =1105〔mm〕、c2 =1034〔mm〕となることが分かる。
【0053】
さらに、線分M1の長さT1 及びT2 は、前記式(6)及び(7)に数値を代入することによって、T1 =391.8〔mm〕、T2 =427.3〔mm〕となることが分かる。
【0054】
このことから、ホイールベースを、例えば、200〔mm〕短縮させると、重心Mから二等辺三角形Kの左右の斜辺までの距離が、それぞれ、17.75〔mm〕増加し、車両10の安定性が向上したことが分かる。
【0055】
なお、重心Mに作用する重力の作用線が路面18と交差する位置が、車輪12Fの接地点と、左右の後輪である車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側とならない領域、すなわち、転倒することがない車両10の傾斜領域は、図5及び6から、把握することができる。
【0056】
図5(a)には、図2と同様に、後方から観た車両10のリンク機構が示されている。そして、左右の車輪12L及び12R、左右の縦リンクユニット33L及び33R、上下の横リンクユニット31U及び31D、並びに、中央縦部材21、すなわち、リンク機構を構成する各リンクに相当する部材には、センターラインが示されている。なお、中央縦部材21のセンターラインは、車両10の重心Mの位置にまで延長されている。
【0057】
そして、図5(b)では、センターラインを残し、リンク機構の各部材の描画が省略されている。すなわち、リンク機構の動作を理解しやすくするために、センターラインでリンク機構の各部材を表している。また、各部材の回転可能な連結部は白丸で示されている。なお、傾斜用アクチュエータ装置25の回転軸は、中央縦部材21と上側の横リンクユニット31Uとの連結部分の回転軸と同軸で、かつ、上側の横リンクユニット31Uに固定され、該上側の横リンクユニット31Uを回転させるのであるから、中央縦部材21と上側の横リンクユニット31Uとの連結部分の回転軸がリンク機構の回転中心である。
【0058】
図5(c)には、リンク機構を作動させて車両10を左側に傾斜させた状態が示されている。なお、説明の都合上、上下の横リンクユニット31U及び31Dが水平となるように描画されているので、路面18が傾斜している。また、図5(d)では、更なる簡素化のために、図5(c)における各部材のセンターラインを点線で表している。
【0059】
そして、図6では、図5(d)と同様の図面に、各部の寸法を示す符号が付与されている。なお、路面18が水平となるように描画されている。ここで、左側に傾斜した状態のリンク機構の各部の主な寸法は、次のように表される。
a:上下の横リンクユニット31U及び31Dにおける両端の支点間の距離
b:上下の横リンクユニット31U及び31Dの両端の支点から左右の車輪12L及び12Rまでの距離
c:左右の縦リンクユニット33L及び33Rにおける両端の支点間の距離
D:左右の車輪12L及び12Rの外径
G:回転中心から車両10の重心Mの高さ位置までの距離
θ:車体の傾斜角
β:上下の横リンクユニット31U及び31Dの水平に対する角度
転倒することがない車両10の傾斜領域は、前述のように、重心Mに作用する重力の作用線が路面18と交差する位置が、車輪12Fの接地点と、左右の後輪である車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側とならない領域であるから、図5から、次の式(8)が成立することが分かる。
X<Y−ΔT ・・・式(8)
ここで、X=Gsin θ、Y=(d+e)−(f+g)である。そして、前述のように、ΔT=(T−T1 )/2である。
【0060】
【数4】

これらを前記式(8)に代入すると、次の式(9)を得ることができる。
【0061】
【数5】

このことから、図3に示されるような車両傾斜領域は、前記式(9)を満足する領域であることが分かる。
【0062】
続いて、車体制御システムは、車速及び操舵角を検出する(ステップS4)。続いて、車体制御システムは、横加速度の値が所定の閾値未満であるか否か、すなわち、F<閾値であるか否かを判断する(ステップS5)。そして、横加速度の値が所定の閾値未満でない、すなわち、F<閾値でない場合には、ステップS4に戻り、F<閾値になるまで待機する。
【0063】
また、横加速度の値が所定の閾値未満である、すなわち、F<閾値である場合には、旋回が終了したものと考えられるので、車体制御システムは、スライドアクチュエータ装置27を作動させ(ステップS6)、ホイールベースを伸長させて、処理を終了する。
【0064】
このように、本実施の形態においては、旋回する際にホイールベースを短縮させるので、車両10の重心Mから二等辺三角形Kの斜辺までの距離が増加する。そのため、車両10を傾斜させても、重心Mが二等辺三角形Kの範囲から外れにくくなり、車体の安定を維持することができ、転倒を確実に防止することができる。また、ホイールベースが短縮されるので、同一の操舵角であっても旋回半径が小さくなり、小回りが効くようになり、旋回性能が向上する。さらに、旋回終了後にホイールベースが伸長されるので、直進走行時の安定性が向上するとともに、ピッチング方向の揺れが減少するので、乗り心地が向上する。
【0065】
なお、本実施の形態においては、旋回の開始直後にホイールベースを短縮させる場合について説明したが、旋回の開始前にホイールベースを短縮させることもできる。例えば、車両10がウィンカ等の方向指示器を備える場合、乗員が方向指示器を操作した時点で旋回が開始されることを予測して、ホイールベースを短縮させることができる。また、車両10が車両用ナビゲーション装置を備える場合、設定された経路における右左折する地点、左右に旋回すべきコーナ等が車両10の現在位置の前方所定距離内に接近した時点で、旋回が開始されることを予測して、ホイールベースを短縮させることができる。
【0066】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0067】
図8は本発明の第2の実施の形態における車両のホイールベースを伸縮させる動作を示すフローチャートである。
【0068】
本実施の形態においては、ホイールベースを伸長させる際に、ブレーキ力を利用するようになっている。なお、横加速度の値が所定の閾値未満であるか否かを判断するまでの動作については前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。すなわち、図8に示されるフローチャートにおけるステップS11〜S15の動作は、図7に示されるフローチャートにおけるステップS1〜S5の動作と同様である。
【0069】
本実施の形態においては、横加速度の値が所定の閾値未満である、すなわち、F<閾値である場合、車体制御システムは、ブレーキのON−OFFを検出し(ステップS16)、ブレーキがONであるか否かを判断する(ステップS17)。ここで、前記ブレーキは、車両10を制動させるための制動力を発生させる装置であり、左右の車輪12L及び12Rに作用する。前記ブレーキは、例えば、一般的な自動車等が具備するディスクブレーキ、ドラムブレーキ等の機械的に作動する制動装置であってもよいが、回転駆動装置51が制動力を発生させるタイプであれば回転駆動装置51であってもよく、また、前記制動装置と回転駆動装置51とを併用してもよく、前記制動装置又は回転駆動装置51のいずれかのみであってもよい。
【0070】
そして、ブレーキがONである場合、車体制御システムは、スライドアクチュエータ装置27を作動させ(ステップS18)、ホイールベースを伸長させて、処理を終了する。これにより、ブレーキによって車輪12L及び12Rに付与される本体部20を減速又は停止させようとする制動力を利用してホイールベースを伸長させることができる。このように、本体部20を減速又は停止させようとする制動力を利用することによって、スライドアクチュエータ装置27の負荷を低減させることができる。
【0071】
また、ブレーキがONでない場合、車体制御システムは、ステップS16に戻り、ブレーキがONになるまで待機する。なお、所定の時間が経過しても、ブレーキがONにならない場合には、ブレーキの制動力を利用することなく、スライドアクチュエータ装置27を作動させ、ホイールベースを伸長させるようにしてもよい。
【0072】
このように、本実施の形態においては、ホイールベースを伸長させる際にブレーキの制動力を利用するので、スライドアクチュエータ装置27の負荷を更に低減させることができる。
【0073】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0074】
図9は本発明の第3の実施の形態における車両のホイールベースを伸縮させる動作を示すフローチャートである。
【0075】
本実施の形態においては、車両10を傾斜させると、重心Mが二等辺三角形Kの範囲から外れる場合、すなわち、重心Mの位置が車輪12Fの接地点と車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側となる場合に、ホイールベースを短縮するようになっている。
【0076】
旋回制御処理が開始されると、車体制御システムは、まず、重心Mの位置、走行速度及び要求旋回量、すなわち、重心、車速及び操舵角を検出する(ステップS21)。
【0077】
本実施の形態においても、前記第1の実施の形態と同様に、操舵輪である車輪12Fの舵角、すなわち、操舵角に基づいて旋回をするか否かを判断し、操舵角の絶対値が所定値より小さい場合にはリーン角制御を行わず、操舵角の絶対値が所定値以上である場合にのみリーン角制御を行い、リンク機構30を作動させて車体を傾斜させる。
【0078】
続いて、車体制御システムは、横加速度の値が所定の閾値を超えているか否か、すなわち、F>閾値であるか否かを判断する(ステップS22)。そして、横加速度の値が所定の閾値を超えていない、すなわち、F>閾値でない場合には、ステップS21に戻り、F>閾値になるまで待機する。
【0079】
また、横加速度の値が所定の閾値を超えている、すなわち、F>閾値である場合、車体制御システムは、車体の傾斜角を決定し(ステップS23)、車体を旋回方向内側へ傾斜させる。この場合、車体制御システムは、前記第1の実施の形態と同様に、操舵角から求められる旋回半径及び車速に基づいて車両10の横加速度Fを計算し、該横加速度Fに応じた適切な車体の傾斜角を決定して、車体を旋回方向内側へ傾斜させる。
【0080】
続いて、車体制御システムは、重心Mの位置が、車輪12Fの接地点と車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側であるか否か、すなわち、車輪の接地点を結ぶ線より重心位置が外側であるか否かを判断する(ステップS24)。そして、重心Mの位置が、車輪12Fの接地点と車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側でない、すなわち、車輪の接地点を結ぶ線より重心位置が外側でない場合には、ステップS21に戻り、以降の動作を繰り返す。
【0081】
また、重心Mの位置が、車輪12Fの接地点と車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側である、すなわち、車輪の接地点を結ぶ線より重心位置が外側である場合には、車両10が転倒する可能性があるので、車体制御システムは、スライドアクチュエータ装置27を作動させ(ステップS25)、ホイールベースを短縮させる。これにより、重心Mから車輪12Fの接地点と車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線までの距離を長くすることによって、重心Mの位置が車輪12Fの接地点と車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側にまで移動しないようにして、車両10の転倒を確実に防止することができる。
【0082】
なお、回転駆動装置51によって車輪12L及び12Rに付与される本体部20を前進させようとする駆動力を利用してホイールベースを短縮させることもできる。このように、本体部20を前進させようとする駆動力を利用することによって、スライドアクチュエータ装置27の負荷を低減させることができる。
【0083】
なお、以降の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0084】
このように、本実施の形態においては、旋回の際に車体の傾斜角に応じて、スライドアクチュエータ装置27を作動させ、ホイールベースを短縮するようになっている。つまり、横加速度Fに応じて決定された傾斜角になるように車体を傾斜させると、重心Mの位置が車輪12Fの接地点と車輪12L及び12Rの接地点とを結ぶ線よりも外側となる場合に、ホイールベースを短縮するようになっている。そのため、安定性が更に向上し、車両10の転倒を確実に防止することができる。
【0085】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0086】
図10は本発明の第4の実施の形態における車両のホイールベースを伸縮させる動作を示すフローチャートである。
【0087】
本実施の形態においては、ホイールベースを伸長させる際に、ブレーキ力を利用するようになっている。なお、横加速度の値が所定の閾値未満であるか否かを判断するまでの動作については前記第3の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。すなわち、図10に示されるフローチャートにおけるステップS31〜S37の動作は、図9に示されるフローチャートにおけるステップS21〜S27の動作と同様である。
【0088】
本実施の形態においては、横加速度の値が所定の閾値未満である、すなわち、F<閾値である場合、車体制御システムは、ブレーキのON−OFFを検出し(ステップS38)、ブレーキがONであるか否かを判断する(ステップS39)。ここで、前記ブレーキは、前記第2の実施の形態と同様に、車両10を制動させるための制動力を発生させる装置であり、左右の車輪12L及び12Rに作用する。
【0089】
そして、ブレーキがONである場合、車体制御システムは、スライドアクチュエータ装置27を作動させ(ステップS40)、ホイールベースを伸長させて、処理を終了する。これにより、ブレーキによって車輪12L及び12Rに付与される本体部20を減速又は停止させようとする制動力を利用してホイールベースを伸長させることができる。このように、本体部20を減速又は停止させようとする制動力を利用することによって、スライドアクチュエータ装置27の負荷を低減させることができる。
【0090】
また、ブレーキがONでない場合、車体制御システムは、ステップS38に戻り、ブレーキがONになるまで待機する。なお、所定の時間が経過しても、ブレーキがONにならない場合には、ブレーキの制動力を利用することなく、スライドアクチュエータ装置27を作動させ、ホイールベースを伸長させるようにしてもよい。
【0091】
このように、本実施の形態においては、ホイールベースを伸長させる際にブレーキの制動力を利用するので、スライドアクチュエータ装置27の負荷を更に低減させることができる。
【0092】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、少なくとも左右一対の車輪と、左右一対の車輪を支持するリンク機構とを備える車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 車両
11 搭乗部
12F、12L、12R 車輪
20 本体部
25 傾斜用アクチュエータ装置
27 スライドアクチュエータ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮装置を介して互いの間隔を伸縮可能に連結された操舵部及び駆動部を備える車体と、
前記操舵部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を操舵する操舵輪と、
前記駆動部に回転可能に取り付けられた車輪であって、前記車体を駆動する駆動輪と、
車速を検出する車速検出手段と、
乗員が要求する前記車体の要求旋回量を検出する要求旋回量検出手段と、
前記駆動部を旋回方向に傾斜させる傾斜用アクチュエータ装置と、
該傾斜用アクチュエータ装置を制御して車体の傾斜を制御する制御装置とを有する車両であって、
前記制御装置は、旋回する際に、前記伸縮装置を作動させて操舵輪と駆動輪との軸距離を短縮させることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記操舵輪は単一の車輪であり、前記駆動輪は左右一対の車輪である請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御装置は、車体の傾斜角に応じて旋回終了後に、前記伸縮装置を作動させて操舵輪と駆動輪との軸距離を伸長させる請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御装置は、旋回終了後に、前記伸縮装置を作動させて操舵輪と駆動輪との軸距離を伸長させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−46275(P2011−46275A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196239(P2009−196239)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】