説明

車両

【課題】車両本体内の温度を調節する場合であっても、蓄電装置に蓄電した電力の消費量を抑え、モータで走行可能な距離が短くなるのを抑えることを目的とする。
【解決手段】車両は、車両本体の給電口に給電プラグが接続されたか否かを検出する接続検出部12と、温度検出部11により検出された検出温度と温度設定部10aにより設定された設定温度とに基づいて車両本体内の温度を調節する温度調節部10bと、給電口に供給される電力および蓄電装置から供給される電力のいずれか一方を温度調節部10bに出力する電力切替部10cと、電力切替部10cおよび温度調節部10bを制御する温度制御部10dとを備え、温度制御部10dは、給電口に給電プラグが接続された場合には、電力切替部10cに給電口から供給される電力を温度調節部10bに出力させると共に、温度調節部10bに車両本体内の温度を調節させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置と駆動装置としてのモータとを搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境にやさしい車両として、蓄電装置と駆動装置としてのモータとを搭載し、蓄電装置の充電電力を用いてモータを駆動する電気自動車が注目されつつある。このような車両では、外部の充電装置から蓄電装置に電力が供給されていた。すなわち、車両では、車両本体外の充電装置から電力線を介して電力が供給され、供給された電力を蓄電装置に蓄電していた(例えば、特許文献1参照)。また、従来の車両では、蓄電装置に蓄電した電力を各種の車載機器に供給していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−252016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両では、車両の外部の充電装置から供給される電力を蓄電装置に充電する間、モータおよび車載機器である、例えば温度を調節するエアーコンディショナー(以下、「エアコン」と記す)を停止状態にしていたため、車両の周囲温度が快適温度(例えば、25℃)より高い夏場では車両本体内の温度は、例えば50℃〜60℃と高くなり、冬場では車両本体内の温度は、例えば、0℃〜10℃と快適温度より低くなっていた。
【0005】
このため、充電完了後に再び車両本体内の温度を快適な設定温度に調節する場合、車両本体内の温度と設定温度との温度差が大きくなり、エアコンの運転時間が長くなり、運転動作を「強」にするなど車両本体内の温度を設定温度に調節するための電力使用量が増えて蓄電装置に蓄電した電力の消費量が増加し、これにより蓄電装置を用いてモータで走行可能な距離が短くなるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、車両本体内の温度を調節する場合であっても、蓄電装置に蓄電した電力の消費量を抑え、モータで走行可能な距離が短くなるのを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の車両は、車両本体の給電口に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、給電口に給電プラグが接続されたことを検出する接続検出部と、車両本体内の温度を検出する温度検出部と、車両本体内の温度を設定する温度設定部と、温度検出部により検出された検出温度と温度設定部により設定された設定温度とに基づいて車両本体内の温度を調節する温度調節部と、給電口に供給される電力および蓄電装置から供給される電力のいずれか一方を温度調節部に出力する電力切替部と、接続検出部の検出結果に応じて電力切替部および温度調節部を制御する温度制御部とを備え、温度制御部は、接続検出部が給電口に給電プラグが接続されたことを検出した場合には、電力切替部に給電口に供給される電力を温度調節部に出力させると共に、温度調節部に車両本体内の温度を調節させる構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両は、車両本体の給電口に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、給電口に給電プラグが接続されたことを検出する接続検出部と、車両本体内の温度を検出する温度検出部と、車両本体内の温度を設定する温度設定部と、温度検出部により検出された検出温度と温度設定部により設定された設定温度とに基づいて車両本体内の温度を調節する温度調節部と、給電口に供給される電力および蓄電装置から供給される電力のいずれか一方を温度調節部に出力する電力切替部と、接続検出部の検出結果に応じて電力切替部および温度調節部を制御する温度制御部とを備え、温度制御部は、接続検出部が給電口に給電プラグが接続されたことを検出した場合には、電力切替部に給電口に供給される電力を温度調節部に出力させると共に、温度調節部に車両本体内の温度を調節させる構成としたので、温度制御部は、給電口に供給される電力を利用して温度調節部により車両本体内の温度を充電中に設定温度に調節させることができる。このため、充電後に車両本体内の温度を設定温度に調節する場合には、車両本体内の温度と設定温度との温度差を小さくすることができるので、温度調節部の運転時間を短縮し、運転動作を「弱」にでき電力の消費を抑えることができる。これにより蓄電装置に蓄電した電力の消費が抑えられ、モータで走行できる走行距離が短くなるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における車両充電システムの構成を示す概要図
【図2】同車両充電システムの車両の構成を示す概要図
【図3】同車両充電システムの車両の構成を示すブロック図
【図4】図2に示した車両に載置されるエアコンの構成を示すブロック図
【図5】図2に示した車両に載置される車載充電装置の構成を示すブロック図
【図6】図2に示した車両に載置される蓄電装置の構成を示すブロック図
【図7】図2に示した車両の動作を示すフローチャート
【図8】本発明の実施の形態2における車両の構成を示す概要図
【図9】同車両の時間管理部の構成を示すブロック図
【図10】図8に示した車両の動作を示すフローチャート
【図11】本発明の実施の形態3における車両充電システムの構成を示す概略図
【図12】本発明の実施の形態3における車両に載置されるエアコンの構成を示すブロック図
【図13】本発明の実施の形態4における車両充電システムの構成を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一または相当の部分には同一の符号を付して説明する。
【0011】
(実施の形態1)
まず、図1を参照しながら、実施の形態1における車両充電システムの概要について説明する。ここでは、車両として、蓄電装置と車輪を回転させる車輪駆動部としてのモータとを搭載し、蓄電装置の充電電力を用いてモータを駆動する電気自動車の場合を例として説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1における車両充電システム1の構成を示す概要図である。図1において、車両充電システム1は、充電装置3と、充電装置3と電力線4を介して接続された車両2とを備えている。
【0013】
一般の住宅6では、充電装置3は、住宅6に隣接した場所に設置され、住宅6の電源7に接続される。例えば、電源7の電力線7aに接続されている宅外のコンセントに充電装置3の電源プラグを接続する。これにより、充電装置3に必要となる電力が住宅6の電源7から供給され、充電装置3は住宅6の電源7の電力を利用して車両2に電力を供給することができる。
【0014】
このような構成により、車両充電システム1では、充電装置3から電力線4を介して車両2の給電口5に電力を供給し、給電口5に供給された電力は蓄電装置8に電力が充電される。
【0015】
次に、図2は、車両充電システム1の車両2の構成を示す概要図である。図2に示すように、車両2は、車両本体2aの給電口5から供給される電力を蓄電装置8に充電する。車両2では、充電完了後、蓄電装置8に蓄電された電力を用いてモータ17を駆動し、車輪18を回転させる。また同様に、蓄電装置8に蓄電された電力が電力線8aを介してエアコン10等の車載機器に供給され、この電力により車載機器が動作する。
【0016】
このように、車両2は、充電後、すべての車載機器やモータ17を動作させるための電力が蓄電装置8に蓄電された電力でまかなわれるため、走行距離は蓄電装置8の電力消費量に依存することとなる。
【0017】
ここで、一般の住宅6で使用される交流電源を使用する場合、直接に蓄電装置8に交流の電力を供給できないため、給電口5と蓄電装置8との間に車載充電装置9を設け、給電口5から供給される電力を車載充電装置9により交流から直流に変換し、変換された電力(直流)を蓄電装置8に供給する。なお、給電口5に直流電源が接続される場合には、車載充電装置9はなくてもよい。
【0018】
図3は、車両充電システム1の車両2の構成を示すブロック図である。図3に示すように、給電口5は電力線9a、車載充電装置9、電力線9bを介して蓄電装置8に接続されている。
【0019】
車両2において充電作業が行われる場合、車両保有者は、車両2が勝手に発進するなど動き出さないように車両2を車両キーにより停止状態にしてから車両2を離れる、すなわち安全のために蓄電装置8からモータ駆動部16への電力供給、エアコン10等の車載機器への電力供給を停止する。具体的には、車両2を停止状態にした場合には、車両制御部14により、電力線8a、電力線8bの途中に設けられたスイッチ15が開状態、すなわち非接続状態にされ、蓄電装置8からモータ駆動部16や各種の車載機器への電力の供給が停止される。
【0020】
車両保有者は、車両2を停止状態にした後、充電装置3からの電力線4の接続プラグを車両2の給電口5に接続し、充電装置3から車両2に電力を供給する。
【0021】
車両保有者は、充電後に車両2を再び使用する場合は、車両キーにより車両2を動作状態にする。車両2を動作状態にした場合、車両制御部14により、スイッチ15を閉状態、すなわち接続状態にされ、蓄電装置8からモータ駆動部16や、エアコン10等の車載機器へ電力が供給される。これにより、車両2では、蓄電装置8に蓄電された電力をモータ17やエアコン10で利用できるようにすることができる。
【0022】
ところで、車両2の充電時間は20分〜数時間必要であるため、この充電期間中に、エアコン10を停止状態にすると、車両2の周囲温度が快適温度(例えば、25℃)より高い夏場では車両本体2a内の温度は、どんどん上昇し、例えば50℃〜60℃と高くなり、冬場では車両本体2a内の温度は、例えば、0℃〜10℃と快適温度に比べて低くなる。このため、充電完了後に再び車両本体2a内の温度を快適な設定温度に調節する場合、車両本体2a内の温度と設定温度との温度差が大きくなり、エアコン10により車両本体2a内の温度を設定温度に調節するための使用電力量が増加して蓄電装置8に蓄電した電力の消費量が増える。このため、フル充電した場合であっても、貴重な電力を消費してしまい、これにより蓄電装置8を用いてモータ17で走行可能な距離が短くなる。
【0023】
そこで実施の形態1では、エアコン10により車両本体2a内の温度を調節する場合であっても、蓄電装置8に蓄電した電力の消費量を抑えるようにした。図4は、図2に示した車両2に載置されるエアコン10の構成を示すブロック図である。
【0024】
すなわち、図3および図4に示すように、エアコン10は、車両本体2a内の温度を検出する温度検出部11により検出された検出温度と車両本体2a内の温度を設定する温度設定部10aにより設定された設定温度との差が小さくなるように車両本体2a内の温度を調節する温度調節部10bと、給電口5に供給される電力(給電口5から電力線9a、車載充電装置9および電力線9cを介して供給される電力)および蓄電装置8から供給される電力(蓄電装置8から電力線8aを介して供給される電力)のいずれか一方を温度調節部10bに出力する電力切替部10cと、給電口5に電力線4(図1)の給電プラグが接続されたことを検出する接続検出部12の検出結果に応じて電力切替部10cおよび温度調節部10bを制御する温度制御部10dとを備え、温度制御部10dは、接続検出部12が給電口5に給電プラグが接続されたことを検出した場合には、電力切替部10cに給電口5に供給される電力を温度調節部10bに出力させると共に、温度調節部10bに車両本体2a内の温度を調節させる構成とした。接続検出部12は、給電口5に給電プラグを差し込んだときに、所定の端子が短絡されることにより、接続状態であることを検出する。
【0025】
これにより、温度制御部10dは、給電口5に供給される電力を利用して温度調節部10bにより車両本体2a内の温度を充電中に設定温度に調節させることができる。このため、充電後に車両本体2a内の温度を設定温度に調節する場合には、車両本体2a内の温度と設定温度との温度差を小さくすることができるので、温度調節部10bの運転時間を短縮し、運転動作を「弱」にでき電力の消費を抑えることができる。これにより蓄電装置8に蓄電した電力の消費が抑えられ、モータ17で走行できる走行距離が短くなるのを抑えることができる。さらに、夏場や冬場に、近くの店舗に買い物をする間に充電する場合でも、車両本体2a内を快適な温度に保つことができ、短時間で設定温度にすることができ、家に帰るまでに車両本体2a内を快適な温度にすることができる。
【0026】
なお、電力検出部10eを新たに設け、給電口5に供給される電力を検出するようにしてもよい。給電口5に電力が供給されると、車載充電装置9が作動し、電力線9cに直流の出力電圧が発生する。電力検出部10eは、電力線9cに発生した電圧を検出し、この電圧が所定の値以上(例えば、12ボルト以上)であるか否かを検出することで、給電口5に電力が供給されているか否かを検出することができる。すなわち、電力検出部10eは、電力線9cの電圧が所定の値以上であれば給電口5に電力が供給されており、電力線9cの電圧が所定の値未満であれば給電口5に電力が供給されていないことを検出する。この場合、温度制御部10dは、電力検出部10eにより電力線9cの電圧が所定の値以上になった場合、電力切替部10cに給電口5に供給される電力を温度調節部10bに出力させると共に、温度調節部10bに車両本体2a内の温度を調節させる構成とする。
【0027】
これにより、例えば、車両充電システム1が、車両2の認証により充電装置3から電力を供給するシステムで給電口5に接続プラグが接続されても給電口5に電力がまだ供給されない場合であっても、温度調節部10bを給電口5に電力が供給されるまで停止させておくことができ、給電口5に電力が供給された場合(蓄電装置8の充電中)に温度調節部10bの起動を開始させる。このようにして、エアコン10は、充電中に車両本体2a内の温度を設定温度に調節させることができる。また、接続検出部12に代えて電力検出部10eを使用するようにすれば、接続検出部12はなくてもよい。
【0028】
また、温度制御部10dは、電源部10fに接続されると共に、電源部10fからの電力により動作する。これにより、温度制御部10dは、車両キーにより、停止状態にされた場合でも、給電口5に電力線4の給電プラグが接続されているか否かを検出する接続検出部12の検出結果を監視することができる。電源部10fは、例えば電池等で構成される。
【0029】
図5は、図2に示した車両2に載置される車載充電装置9の構成を示すブロック図である。図5に示すように、給電口5から交流の電力が供給される場合、車載充電装置9は、AC/DC変換部21を有し、交流(例えば、電圧100ボルト〜200ボルト)の電力を直流(例えば、後述するように、図6のモータ用蓄電部22に使用する電圧として約300ボルトまたは車載機器用蓄電部23に使用する電圧として12ボルト〜14ボルト)の電力に変換する。この構成により、車載充電装置9は、給電口5から端子Aに供給される電力を交流から直流に変換し、変換された電力(直流)を端子Bから電力線9bを介して蓄電装置8に供給する。また、端子Cから電力線9cを介して、給電口5に供給される電力を車載機器用の直流(電圧12ボルト〜14ボルト)に変換してエアコン10に供給する。
【0030】
図6は、図2に示した車両2に載置される蓄電装置8の構成を示すブロック図である。図6に示すように、蓄電装置8は、モータ用蓄電部22と、車載機器用蓄電部23とを備えている。
【0031】
モータ用蓄電部22は、入力端子からの電力を充電し、充電した約300ボルトの電力を、例えば500ボルト〜700ボルトに内部昇圧し、出力端子Aに出力する。昇圧された電力は出力端子Aから電力線8b、スイッチ15(図3)を介してモータ駆動部16(図3)に供給される。また、車載機器用蓄電部23は、入力端子からの電力を充電し、充電された電力(例えば、12ボルト〜14ボルト)を、電力線8a、スイッチ15を介してエアコン10(図3)等の車載機器に電力を供給する。
【0032】
図7は、図2に示した車両2の動作を示すフローチャートである。まず、車両2は、図7に示すように、接続検出部12により、給電口5に電力線4の給電プラグが接続されているかを検出する(S100)。
【0033】
次に、車両2は、給電口5に給電プラグが接続されている場合には(S102)、給電口5に供給される電力を蓄電装置8に充電する(S104)。そして、車両2は、温度制御部10dにより、電力切替部10cに給電口5に供給される電力を温度調節部10bに出力させると共に(S106)、温度調節部10bに車両本体2a内の温度を調節させる(S108)。
【0034】
なお、車両2は、給電口5に給電プラグが接続されている間、すなわち、充電中は(S100)から(S108)を繰り返し実行する。
【0035】
一方、車両2は、給電口5に給電プラグが接続されていない場合には(S102)、温度制御部10dにより、電力切替部10cに蓄電装置8から供給される電力を温度調節部10bに出力させる(S110)。
【0036】
ここで、車両2は、車両本体2a内の温度を調節する場合(S112)、温度調節部10bに車両本体2a内の温度を調節させた後(S108)、(S100)に戻り、(S100)、(S102)、(S110)および(S112)を実行する。一方、車両2は、車両本体2a内の温度を調節しない場合(S112)、(S100)に戻り、(S100)、(S102)、(S110)および(S112)を実行する。
【0037】
以上のように実施の形態1によれば、図2、図3および図4に示すように、車両2は、車両本体2aの給電口5に供給される電力を蓄電する蓄電装置8と、蓄電装置8に蓄電された電力により車輪18を回転させる車輪駆動部であるモータ17と、給電口5に給電プラグが接続されたことを検出する接続検出部12と、車両本体2a内の温度を検出する温度検出部11と、車両本体2a内の温度を設定する温度設定部10aと、温度検出部11により検出された検出温度と温度設定部10aにより設定された設定温度とに基づいて車両2の車両本体2a内の温度を調節する温度調節部10bと、給電口5から供給される電力および蓄電装置8から供給される電力のいずれか一方を温度調節部10bに出力する電力切替部10cと、接続検出部12の検出結果に応じて電力切替部10cおよび温度調節部10bを制御する温度制御部10dとを備え、温度制御部10dは、接続検出部12が給電口5に給電プラグが接続されたことを検出した場合には、電力切替部10cに給電口5から供給される電力を温度調節部10bに出力させると共に温度調節部10bに車両本体2a内の温度を調節させる構成とした。
【0038】
この構成により、温度制御部10dは、給電口5に供給される電力を利用して温度調節部10bにより車両本体2a内の温度を充電中に設定温度に調節させることができる。このため、充電後に車両本体2a内の温度を設定温度に調節する場合には、車両本体2a内の温度と設定温度との温度差を小さくすることができるので、温度調節部10bの運転時間を短縮し、運転動作を「弱」にでき電力の消費を抑えることができる。これにより蓄電装置8に蓄電した電力の消費が抑えられ、モータ17で走行できる走行距離が短くなるのを抑えることができる。
【0039】
(実施の形態2)
次に、図4、図8および図9を参照しながら、実施の形態2における車両2について説明する。図8は本発明の実施の形態2における車両2の構成を示す概要図、図9は同車両2の時間管理部13の構成を示すブロック図である。
【0040】
実施の形態2では、車両2の他の構成例として、時間管理部13をさらに設け、エアコン10の温度制御部10dは、時間管理部13に接続されると共に、時間管理部13から出力される時間情報に基づいて温度調節部10bを起動または停止させている。
【0041】
図8、図9において、時間管理部13は、時間設定部13aと、タイマー部13bと、比較部13cとを備えている。
【0042】
時間管理部13では、時間設定部13aに所定の時間を設定しておくと、タイマー部13bの時刻が所定の時間になったときに、比較部13cから時間情報である一致信号が出力される。温度制御部10dは、時間管理部13から一致信号が出力されたときに、温度調節部10bを起動する。なお、温度制御部10dは、一致信号を受け取るまで、温度調節部10bを停止させておく。
【0043】
このように、温度制御部10dを起動させる時間を予約することができる。車両2を利用する時間が予めわかっている場合には、その利用時間の手前、例えば15分前に所定の時間を設定し、温度制御部10dを起動させる。これにより、夏場や冬場でも車両本体2a内を快適温度に設定でき、車両2を利用するときの快適性を向上させることができる。
【0044】
次に、図4および図8〜図10を参照しながら、車両2の動作を説明する。図10は、図8に示した車両2の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず車両2は、接続検出部12により、給電口5に電力線4の給電プラグが接続されたことを検出する(S200)。
【0046】
次に、車両2は、給電口5に給電プラグが接続されている場合には(S202)、給電口5に供給される電力を蓄電装置8に充電する(S204)。また、車両2は、温度制御部10dにより、電力切替部10cに給電口5に供給される電力を温度調節部10bに出力させる(S206)。
【0047】
次に、時間管理部13は、時間設定部13aに設定された所定の時間とタイマー部13bの時刻とを比較部13cで比較し(S208)、一致したときに(S210)、温度制御部10dは温度調節部10bを起動し、車両本体2a内の温度を調節する(S212)。ここで、車両2は、時間設定部13aの所定の時間とタイマー部13bの時刻とが一致しない場合(S210)、(S200)に戻る。
【0048】
なお、車両2は、給電口5に給電プラグが接続されている間、すなわち、充電中は(S200)〜(S212)を繰り返し実行する。
【0049】
時間設定部13aの設定例としては、エアコン10を起動させるまでの時刻や停止させるまでの時刻が挙げられる。
【0050】
一方、車両2は、給電口5に給電プラグが接続されていない場合には(S202)、温度制御部10dにより、電力切替部10cに蓄電装置8から供給される電力を温度調節部10bに出力させる(S214)。
【0051】
ここで、車両2は、車両本体2a内の温度を調節する場合(S216)、温度調節部10bに車両本体2a内の温度を調節した後(S212)、(S200)に戻り、(S200)、(S202)、(S214)および(S216)を繰り返し実行する。一方、車両2は、車両本体2a内の温度を調節しない場合(S216)、(S200)に戻り、(S200)、(S202)、(S214)および(S216)を実行する。
【0052】
以上のように実施の形態2によれば、図8および図9に示すように、エアコン10の温度制御部10dは、時間管理部13に接続されると共に、時間管理部13から出力される時間情報に基づいて温度調節部10bを起動または停止させる。
【0053】
これにより、車両2を利用する時間が予めわかっている場合には、その利用時間の手前に所定の時間を設定し、温度制御部10dを起動させることができる。これにより、夏場や冬場でも車両本体2a内を快適温度に設定でき、車両2を利用するときの快適性を向上させることができる。
【0054】
(実施の形態3)
次に、図11、図12を参照しながら、実施の形態3について説明する。図11は本発明の実施の形態3における車両充電システム1の構成を示す概略図、図12は同車両2に載置されるエアコン10の構成を示すブロック図である。
【0055】
図11、図12に示すように、実施の形態3の車両充電システム1では、住宅6内にパーソナルコンピュータ30(以下、「PC30」と記す)と電力線通信部31を設けた点、エアコン10内に時間管理部13と、電力線通信部(図示せず)を有する受信部50とを設けた点で実施の形態1、2と相違する。
【0056】
PC30は、車両2のエアコン10を始動させる時刻やエアコン10を停止させる時間等の時間設定情報およびエアコン10の設定温度等の制御情報の少なくとも一方を入力するために用いられる。PC30で設定入力された制御情報または時間設定情報は、電力線通信部31、電力線7a、電力線4、車両2の給電口5および電力線9cを介して、受信部50に送信される。
【0057】
受信部50は、PC30から制御情報または時間設定情報を受信し、温度制御部10dに送信する。温度制御部10dは、受信した制御情報に基づいて温度調節部10bに車両2の本体内の温度を調節させる、若しくは、時間設定情報に基づいて温度調節部10bを所定の時間に始動または停止させる。
【0058】
以上のように実施の形態3によれば、図11および図12に示すように、車両2のエアコン10内に受信部50を備え、エアコン10は、住宅6内のPC30に入力される設定温度等の制御情報および時間設定情報の少なくとも一方を受信部50で受信し、この受信部50で受信した制御情報および時間設定情報に基づいて温度制御部10dが温度調整、起動または停止を行う。これにより、車両2から降車時にエアコン10に対する制御情報、時間情報を入力しなかった場合でも、車両2に再度乗車することなくエアコン10に対する温度設定、起動または停止を車両2の外部から行うことができる。
【0059】
(実施の形態4)
次に、図12、図13を参照しながら、本発明の実施の形態4について説明する。図13は、本発明の実施の形態4における車両充電システム1の構成を示す概略図である。
【0060】
実施の形態4では、充電装置3に設定入力部40、制御部41および電力線通信部42を設けた点で実施の形態1〜3と相違する。なお、車両2のエアコン10の構成は実施の形態3と同様な構成である。
【0061】
図13に示すように、充電装置3の設定入力部40は、エアコン10を始動させる時刻やエアコン10を始動させるまでの時間等の時間設定情報およびエアコン10の設定温度等の制御情報の少なくとも一方を入力するために用いられる。
【0062】
設定入力部40の具体例としては、タッチパネル等のユーザーインターフェース装置が挙げられる。電力線通信部42は、設定入力部40で入力された制御情報および時間設定情報の少なくとも一方をエアコン10の受信部50へ送信する。制御部41は、設定入力部40および電力線通信部42の動作を制御する。
【0063】
以上のように実施の形態4によれば、図12および図13に示すように、充電装置3の設定入力部40を用いて、充電装置3からでも制御情報または時間設定情報を入力することができるので、降車時に制御情報、時間情報の入力を忘れた場合でも、車両2に再度乗車することなくエアコン10に対する温度設定、起動または停止を車両2の外部から行うことができる。
【0064】
なお、実施の形態4においては、充電装置3は屋内または屋外に設置することができる。例えば、充電装置3を商業施設の駐車場の近傍や商業施設の屋内等に設置することが考えられる。
【0065】
また、実施の形態3、4においては、エアコン10に対する制御情報、時間設定情報の送信に電力線通信を用いた例を示したが、これに限定されない。例えば、電力線通信以外に、受信部50に無線部を設け、設定入力部40を有する携帯電話や専用装置から無線送信される制御情報、時間設定情報の受信を行うことができる。
【0066】
また、実施の形態3、4において、電力線通信部31および受信部50の認証は、PC30から送信される認証情報が、電力線4に接続される車両2の本体の給電口5を介して受信部50で受信されることによって行うことができる。ここで、電力線通信部31は、認証情報の受信機能を備えている。電力線通信部31への認証情報の入力は、例えば、自動車のキーから送信される電磁波に自動車固有のID情報を変調して、電力線通信部31に受信させることによって行われる。なお、認証情報の受信機能は、電力線通信部31と独立したハードウェアに担当させても構わない。
【0067】
なお、本発明の具体的な構成は、上述した実施の形態1〜4に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【0068】
また、電気自動車を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、モータとエンジンとを併用するハイブリッド自動車にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の車両は、車両本体の給電口に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、給電口に給電プラグが接続されたことを検出する接続検出部と、車両本体内の温度を検出する温度検出部と、車両本体内の温度を設定する温度設定部と、温度検出部により検出された検出温度と温度設定部により設定された設定温度とに基づいて車両本体内の温度を調節する温度調節部と、給電口に供給される電力および蓄電装置から供給される電力のいずれか一方を温度調節部に出力する電力切替部と、接続検出部の検出結果に応じて電力切替部および温度調節部を制御する温度制御部とを備え、温度制御部は、接続検出部が給電口に給電プラグが接続されたことを検出した場合には、電力切替部に給電口に供給される電力を温度調節部に出力させると共に、温度調節部に車両本体内の温度を調節させる構成としたので、温度制御部は、給電口に供給される電力を利用して温度調節部により車両本体内の温度を充電中に設定温度に調節させることができる。
【0070】
このため、充電後に車両本体内の温度を設定温度に調節する場合には、車両本体内の温度と設定温度との温度差を小さくすることができるので、温度調節部の運転時間を短縮し、運転動作を「弱」にでき電力の消費を抑えることができ、蓄電装置に蓄電した電力の消費が抑え、モータで走行できる走行距離が短くなるのを抑えることができる。
【0071】
これにより、蓄電装置に電力を蓄電し、この蓄電した電力を利用して車輪を車輪駆動部で回転させて走行する電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に有用なものである。
【符号の説明】
【0072】
1 車両充電システム
2 車両
2a 車両本体
3 充電装置
4,7a,8a,8b,9a,9b,9c 電力線
5 給電口
6 住宅
7 電源
8 蓄電装置
9 車載充電装置
10 エアコン
10a 温度設定部
10b 温度調節部
10c 電力切替部
10d 温度制御部
10e 電力検出部
10f 電源部
11 温度検出部
12 接続検出部
13 時間管理部
13a 時間設定部
13b タイマー部
13c 比較部
14 車両制御部
15 スイッチ
16 モータ駆動部
17 モータ(車輪駆動部)
18 車輪
21 AC/DC変換部
22 モータ用蓄電部
23 車載機器用蓄電部
30 PC
31,42 電力線通信部
40 設定入力部
41 制御部
50 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体の給電口に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、
前記蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、
前記給電口に給電プラグが接続されたことを検出する接続検出部と、
前記車両本体内の温度を検出する温度検出部と、
前記車両本体内の温度を設定する温度設定部と、
前記温度検出部により検出された検出温度と前記温度設定部により設定された設定温度とに基づいて前記車両本体内の温度を調節する温度調節部と、
前記給電口に供給される電力および前記蓄電装置から供給される電力のいずれか一方を前記温度調節部に出力する電力切替部と、
前記接続検出部の検出結果に応じて前記電力切替部および前記温度調節部を制御する温度制御部とを備え、
前記温度制御部は、前記接続検出部が前記給電口に前記給電プラグが接続されたことを検出した場合には、前記電力切替部に前記給電口に供給される電力を前記温度調節部に出力させると共に、前記温度調節部に前記車両本体内の温度を調節させる構成としたことを特徴とする車両。
【請求項2】
前記接続検出部に代えて、前記給電口に供給される電力を検出する電力検出部を備え、
前記温度制御部は、前記電力検出部が前記給電口に供給される電力を検出した場合には、前記電力切替部に前記給電口に供給される電力を前記温度調節部に出力させると共に前記温度調節部に前記車両本体内の温度を調節させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記温度制御部は、電源部に接続されると共に、前記電源部からの電力により動作することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記温度制御部は、時間管理部に接続されると共に、前記時間管理部から出力される時間情報に基づいて前記温度調節部を起動または停止させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
前記温度制御部と接続されると共に、前記温度調節部を制御するための制御情報および前記温度調節部を所定の時間に起動または停止させるための時間設定情報の少なくとも一方を受信する受信部を備え、
前記温度制御部は、前記受信部で受信された前記制御情報に基づいて前記温度調節部に前記車両本体内の温度を調節させる、若しくは、前記受信部で受信された時間設定情報に基づいて前記温度調節部を前記所定の時間に起動または停止させる構成としたことを特徴とする請求項4に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−57003(P2011−57003A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206638(P2009−206638)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】