説明

車体前部構造

【課題】操縦安定性を確保すると共に衝撃エネルギの吸収性に優れた車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前後方向に延在する左右のサイドフレーム2の下方に配置される左右のサイドメンバ22の中間部が後部クロスメンバ51で連結され、サイドメンバ22の前後端部を左右のサイドフレーム2に結合すると共に、各サイドメンバ22の中間取付部28に固設された中間支持部材41がサイドフレーム2の中間取付部5に結合されるサブフレーム21を備え、サイドフレーム21の中間取付部5と中間支持部材41が、パワーユニットP/Uの相対的な後方移動に起因する後部クロスメンバ51の移動に伴うサイドフレーム2の中間取付部5に対する中間支持部材41の相対移動によって結合が解除される結合手段61を介して結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドフレームの下方にサブフレームが配置された車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体前部において車体前後方向に延在する左右のサイドフレームの下方にサスペンションを支承するサブフレームを配置した車両がある。
【0003】
この種のサブフレームとしては、例えば、車体の左右において前後方向に延在するサイドメンバ及びこれら左右のサイドメンバの前部及び後部を連結するクロスメンバにより形成し、サイドメンバの前後両端部をサイドフレームにそれぞれ固設すると共に、中間部を中間連結ブラケットを介してサイドフレームに支持する。更に、このサイドメンバの前端と中間部との間にサイドメンバの軸線方向と略直交する向きの曲折用ビードを設け、衝突時の座屈荷重が加わると、この曲折用ビードの部分をきっかけとしてサイドメンバを変形させる自動車のサブフレーム構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、前後方向に延在する左右のサイドメンバの前部及び後部をクロスメンバにより連結し、サイドメンバの前後の両端部をラバーブッシュを介在してサイドフレームに支持すると共に、中間部に立設した中間支持部をラバーブッシュを介在してサイドメンバに支持するサブフレームも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−85473号公報
【特許文献2】特開2005−271810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1によると、サスペンションを支持するサブフレームを形成するサイドメンバの前端部及び後端部をサイドフレームに固設し、更に中間部を中間連結ブラケットを介してサイドフレームに支持することによってサブフレームとサイドフレームが強固に結合されてサイドフレーム及びサブフレームの剛性が高められてサスペンション支持剛性及び車体剛性が向上し、操縦安定性が向上する。また、このサイドメンバの前端部と中間部との間にサイドメンバの軸線方向と略直交する向きの曲折用ビードを設けることにより、衝突時に前方から衝撃荷重が加わるとサイドメンバに設けられた曲折用ビードの部分をきっかけとしてサイドメンバの座屈変形が誘発される。
【0007】
しかし、サイドメンバの前端部及び後端部がサイドフレームに固設され更に中間部が中間連結ブラケットを介してサイドフレームに支持されることから、衝突時の衝撃荷重によるサイドフレーム及びサブフレームの変形が拘束されて衝撃エネルギの吸収性に影響を及ぼすことが懸念される。
【0008】
即ち、衝突初期においてはサイドフレーム及びサブフレームの前部部分の座屈変形による衝突エネルギの吸収特性が得られる。一方、クロスメンバが掛け渡されたサイドメンバの前後端部及び中間部がサイドフレームに強固に結合されることから、衝突後期においてエンジン等のパワーユニットが相対的に後退してクロスメンバに接触した際に、サブフレーム及びサイドメンバの変形が拘束されてサブフレーム及びサイドメンバの変形による良好な衝撃エネルギ吸収性が確保できないおそれがある。
【0009】
この対策としてサイドフレームにおける中間連結ブラケットの結合部とサイドフレームとの結合部と範囲、即ちサイドフレームの中間連結ブラケットとの結合部より後方の後部範囲の剛性を抑制してサイドフレームの有効圧壊ストロークを確保すると、サイドフレームの剛性が低下して車体剛性及びサスペンション支持剛性の低下を招き、操縦安定性に影響を及ぼすことが懸念される。
【0010】
また、サイドフレームの中間部分における中間連結ブラケットとの結合部分が、中間連結ブラケットの結合によって該部の剛性が増大してサイドフレームの十分な有効圧壊ストロークの確保が困難になる。
【0011】
一方、上記特許文献2によると、サイドメンバとサブフレームがラバーブッシュを介在して連結されることから、衝突時の衝撃荷重によるサイドフレーム及びサブフレームの拘束が緩和されて、特許文献1に対して衝撃エネルギの吸収性が向上する。しかし、サイドフレームとサブフレームの結合剛性の低下によりサスペンション支持剛性及び車体剛性が低下して、操縦安定性に影響を及ぼすことが懸念される。
【0012】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、操縦安定性を確保すると共に衝撃エネルギの吸収性に優れた車体前部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する請求項1に記載の車体前部構造の発明は、車体前後方向に延在するサイドフレームの下方に配置されて、車体前後方向に延在する左右のサイドメンバの前端部及び後端部をそれぞれ上記左右のサイドフレームに結合すると共に、該各サイドメンバの前後方向中間に形成された中間取付部にクロスメンバを支持する中間支持部材が上記左右のサイドフレームの中間取付部に結合されるサブフレームを備え、上記左右のサイドフレーム間にパワーユニットが搭載される車体前部構造において、上記サイドメンバの中間取付部と後端側との間に、前方からの衝突荷重により座屈変形する屈曲促進部を有し、上記サイドフレームの中間取付部と中間支持部材とが、上記パワーユニットの後方移動に起因する上記クロスメンバの移動に伴うサイドフレームの中間取付部に対する上記中間支持部材の相対移動によって結合が解除される結合手段を介して結合されたことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、サイドメンバの前端部及び後端部がサイドフレームに結合されると共に、クロスメンバが中間支持部材及び結合手段によってサイドフレームの中間取付部に結合されて、サイドフレーム及びサブフレームの剛性が向上しサスペンション支持剛性及び車体剛性が確保されて良好な操縦安定性が得られる。
【0015】
一方、衝突初期においては中間支持部材及び結合手段によって連結されるサイドフレーム及びサイドメンバの中間取付部より前方の前部範囲の変形により衝撃エネルギを吸収して衝撃荷重を低減させる。更に、パワーユニットが後方移動する衝突後期においては、パワーユニットの後方移動によりクロスメンバを後方移動させて、結合手段によるサイドフレームの中間取付部と中間支持部材との結合を解除してサイドフレームからクロスメンバを脱落させてパワーユニットの後方移動に対する抗力を抑制して衝撃エネルギの吸収性を確保することにより衝撃荷重が低減され、乗員に対する衝撃を大幅に緩和する。また、サイドメンバの中間取付部と後端部との間に前方からの衝撃荷重により座屈変形する屈曲促進部を形成することにより、衝突後期においてパワーユニットの後方移動に起因するクロスメンバの移動が確実に行われ、サイドメンバの中間取付部と後端部との間の座屈変形による有効的な衝撃エネルギの吸収が確保できる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1の車体前部構造において、前方からの衝撃荷重に対する座屈抗力が、上記サイドメンバの中間取付部より前方の前部範囲に対し中間取付部と後端部との間が大であることを特徴とする。この発明によると、サイドメンバの前部範囲が後部範囲に対して座屈抗力が小さく設定され、衝突初期における前部範囲の座屈による衝撃エネルギの吸収が効率的に行われる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1の車体前部構造において、上記屈曲促進部は、上記サイドメンバの中間取付部の後端側に屈曲部を介して前端が連続すると共に後方に移行するに従って漸次下降する前方部分と、該前方部分の後端に屈曲部を介して前端が連続すると共に略水平で後方に延在する中間部分と、該中間部分の後端に屈曲部を介して前端が連続すると共に後方に移行するに従って漸次上昇し後端が上記後端部側に連続する後方部分とが連続形成されたことを特徴とする。
【0018】
この発明によると、衝突後期において前方からの衝撃荷重により前方部分及び後方部分の傾斜角が増大するように座屈促進部が座屈変形して、脱落したパワーユニットを下方に誘導し、パワーユニットの後方移動に対する抗力を抑制できると共に、パワーユニットの後退による車室への影響が軽減できる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の車体前部構造において、上記結合手段は、上記中間支持部材に設けられ前端側が開放されたスリット状のボルト取付穴が形成されたブラケットと、上記サイドフレームの中間取付部に固定され上記ボルト取付穴を貫通して上記ブラケットに対して相対移動可能に結合する取付ボルトとを備えたことを特徴とする。
【0020】
この発明によると、サイドフレームの中間取付部に対する中間支持部材の相対的な後方移動により、ブラケットが後方に移動してボルト取付穴がサイドフレームに固設された取付ボルトから外れ、中間支持部材とサイドフレームとの結合が解除できる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の車体前部構造において、上記サイドフレームにおける中間取付部と後端部との間を補強する補強部材を備えたことを特徴とする。
【0022】
この発明によると、衝突時の衝撃エネルギ吸収に影響が少ないサイドフレームにおける中間取付部と後端部との間を補強部材により補強することにより、衝撃エネルギ吸収特性を確保しつつサイドフレームの剛性が向上し、サスペンション支持剛性及び車体剛性が確保されて良好な操縦安定性が得られる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によると、サイドフレーム及びサブフレームの剛性が向上しサスペンション支持剛性及び車体剛性が確保されて良好な操縦安定性が得られる。
【0024】
一方、衝突初期においては中間支持部材及び結合手段によって連結されるサイドフレーム及びサイドメンバの中間取付部より前方の前部範囲の変形により衝撃エネルギを吸収して衝突荷重を低減させると共に、パワーユニットが後退する衝突後期においては、結合手段によるサイドフレームの中間取付部と中間支持部材支持部材との結合を解除して、パワーユニットの後方移動に対する抗力を抑制して衝撃エネルギの吸収性を確保することにより衝撃荷重を低減させ、乗員に対する衝撃を大幅に緩和する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の車体前部構造の実施の形態を図1乃至図8を参照して説明する。なお、各図において矢印Fは車体前方方向を示している。
図1は、本実施の形態に係る車体前部構造における車体前部1の概要を示す斜視図であり、図2は図1の矢視A方向から見た模式的に示す側面図である。
【0026】
図1に示すように、車体前部1には、車体前後方向に延在する中空断面形状に形成された左右のサイドフレーム2が配設されている。
【0027】
サイドフレーム2は略水平で前後方向に延在する直線状で前端下面に前部取付部4が形成され後端下面に中間取付部5が形成された前部範囲3と、前部範囲3の後端に連続すると共に後方に移行するに従って漸次下方に変移するように傾斜したキックアップ部7及びキックアップ部7の後端に連続形成されて図示しないフロアフレームに接続される後端部8が連続形成された後部範囲6を備えている。前部取付部4には下方に延在する前部支持部材40が設けられている。
【0028】
左右のサイドフレーム2の前端にブラケット10を介して車幅方向に延在するバンパフレーム11が掛け渡されている。バンパフレーム11の前面に図示しないポリプロピレン発泡材等によって形成された衝撃緩衝部材が配置され、衝撃緩衝部材の外表面を樹脂製のバンパフェイスによって被覆して車幅方向に延在するバンパを形成している。なお、この左右のサイドフレーム2の間にエンジンルームEが形成され、エンジンルームEにエンジン及びトランスミッション等からなるパワーユニットP/Uが搭載される。
【0029】
左右のフロアフレームを上方から覆うように図示しないフロアパネルが設けられ、フロアパネルの前端部近傍は、サイドフレーム2のキックアップ部7に沿って上方側に向かって延設され、その前端部に上方に延設してエンジンルームEと車室Rとを区分するバルクヘッド部が形成されている。
【0030】
左右のサイドフレーム2の下方に、それぞれ前後方向に中空断面形状で延在する左右の一対のサイドメンバ22と、車幅方向に延在して左右のサイドメンバ22の前端部間に掛け渡されて固定された前部クロスメンバ35及び前後方向の中間部間に車幅方向に掛け渡されて固定される後部クロスメンバ51とを備えたサブフレーム21が配置されている。この後部クロスメンバ51については後述する。
【0031】
各サイドメンバ22は、前後方向に延在して前端上面に前端取付部24が形成され、前端取付部24から後方に延在する第1屈曲促進部25を介して後端上面に中間取付部28が形成される前部範囲23と、前部範囲23の後端に連続する第2屈曲促進部30及び第2屈曲促進部30の後端に後端部34が形成された後部範囲29とが連続形成されている。
【0032】
第1屈曲促進部25は中間取付部28の前端に屈曲部を介して連続すると共に前方に移行するに従って漸次上昇するように傾斜する傾斜部分26を有し、傾斜部分26の前端上面に前端取付部24が形成されている。
【0033】
第2屈曲促進部30は、前方部分31、中間部分32、後方部分33とから構成され、前方部分31は中間取付部28の後端側に屈曲部を介して前端が連続すると共に後方に移行するに従って漸次下降するように傾斜し、中間部分32は前方部分31の後端に屈曲部を介して前端が連続すると共に略水平で後方に延在し、後方部分33は中間部分32の後端に屈曲部を介して前端が連続すると共に後方に移行するに従って漸次上昇するように傾斜し後端が屈曲部を介して後端部34の前端に連続する屈曲形状に形成されている。これら第1座屈促進部25及び第2座屈促進部30によってサイドメンバ22は、前方からの衝撃荷重に対する座屈抗力が中間取付部28より前方の前部範囲23に対し後部範囲29、より詳細には中間取付部25と後端部34との間が大きく設定されている。
【0034】
左右のサイドメンバ22の前端にブラケット36を介して車幅方向に延在するリンホース37が掛け渡されている。このリンホース37の前面に図示しないポリプロピレン発泡材等によって形成された衝撃緩衝部材が配置され、衝撃緩衝部材の外表面はバンパフェイスによって被覆されている。また、リンホース37は上述のバンパフレーム11の略直ぐ下方側に位置するように設定されている。
【0035】
このように構成されたサブフレーム21は、左右のサイドメンバ22の前端上面に形成された前端取付部24がサイドフレーム2の前部取付部4に設けられた前部支持部材40の下端にボルト結合され、後端に形成された後端部34がサイドフレーム2の後端部8に複数、例えば3本のボルトにより強固に固定されてサイドフレームとサブフレーム21の高い荷重伝達効率を確保している。更に、サイドメンバ22の中間取付部28が後部クロスメンバ51と一体的に形成された中間支持部41及び結合手段61を介してサイドフレーム2の中間取付部5に結合して取り付けられる。前部支持部材40の下端とサイドメンバ22の前端取付部24とのボルトによる結合剛性は比較的低く設定されている。
【0036】
次に、図1及び図2と共に、図3から図5を参照して後部クロスメンバ51及び結合手段61を説明する。図3は結合手段61の要部分解斜視図、図4は結合状態における図3のI−I線断面図、図5は結合手段61の衝突荷重が作用したときの作動説明図である。
【0037】
クロスメンバ51の両端は、図1に示すように車幅方向に延在して対向する前面42及び後面43と、前面42及び後面43の各下縁を連結する下面44と、前面42及び後面43の各上縁を連結する上面45とを備えた車幅方向に延在する略矩形断面形状を有し、下面44がサイドメンバ22に形成された中間取付部28に強固に溶接結合されている。更に、上面45に下方が開放された断面逆U字状のサスペンション支持ブラケット46が設けられ、このサスペンション支持ブラケット46にサスペンション部材、例えば図示しないサスペンションロアアームが取り付け支持される。
【0038】
左右の中間支持部材41間に、車幅方向に延在する後部クロスメンバ51が掛け渡されて各端がそれぞれ中間支持部材41に溶接結合されている。後部クロスメンバ51は、車幅方向に延在する上面52の前縁と後縁に沿って下方に折曲形成された前面53及び後面54を有して車幅方向に延在する下方が開放された断面逆U字状に形成されている。この後部クロスメンバ51は、前面53がエンジンルームE内に搭載されたパワーユニットP/Uの一部、例えばエンジンの後部と対向配置されると共に、後部クロスメンバ51にエンジンマウント等を介してパワーユニットP/Uが搭載されている。
【0039】
結合手段61は、図1、図3及び図4に要部分解斜視図を示すように中間支持部材41の上面45に取り付けられる結合部材62と、この結合部材62とサイドフレーム2の中間取付部5との間に介装されるスペーサ67と、サイドフレーム2の中間取付部5に穿設された一対のボルト取付孔70c、70dにそれぞれ対応して配置されて中間取付部5に溶接されたボルト固定手段となるナット71c、71d及び一対の取付ボルト72、73を備えている。
【0040】
結合部材62は、図3及び図4に示すように中間支持部材41の上面45に載置して結合される矩形平板状のベース63を備え、ベース63の車幅方向外側に沿って前後方向に一対のボルト挿入孔63c、63dが穿設されている。
【0041】
ベース63上に、ベース63をほぼ覆うと共に車幅方向外方側にボルト挿入孔63c及び63dを間隙を有して覆うように、断面逆U字状乃至半円弧状で前後方向に連続して隆起して前縁65a側が開放された第1結合部65が形成されたブラケット64が溶接結合されている。この第1結合部65の前部及び後部にボルト取付穴65c及びボルト挿入孔65dがそれぞれ開口している。特にボルト取付穴65cは前方向に長く前端が前縁65aに開放されたU字形のスリット状に形成されている。
【0042】
更に、第1結合部65の後部上に、ボルト挿入孔65dを間隙を有して覆うように断面逆U字状乃至半円弧状で前後方向に連続すると共に両側縁及び後縁が第1結合部65上に溶接結合され、かつ前側となる前縁66a側が開放された第2結合部66が設けられている。第2結合部66にボルト取付穴66dが開口している。このボルト取付穴66dは前方向に長く前端が前縁66aに開放されたU字形のスリット状に形成されている。
【0043】
スペーサ67は、断面逆U字状乃至半円弧状で前後方向に連続して第1結合部65の上面に嵌合する第1下面67aと、第1下面67aの後縁に段部を介して連続する断面逆U字状乃至半円弧状で前後方向に連続して第2結合部66の上面に嵌合する第2下面67bと、サイドフレーム2の中間取付部7に接面する上面67cを有するブロック状に形成されている。このスペーサ67には、第1下面67aと上面67c及び第2下面67bと上面67cを貫通するボルト貫通孔68c及び68dが穿設されている。
【0044】
これらベース63のボルト挿入孔63c、第1結合部65のボルト取付穴65c、スペーサ67のボルト貫通孔68c、サイドフレーム2に形成されたボルト取付孔70c及びナット71cが上下方向に延在する基準線c上に配置されている。
【0045】
同様にベース63のボルト挿入孔63d、第1結合部65のボルト挿入孔65d、第2結合部66のボルト取付穴66d、スペーサ67のボルト貫通孔68d、サイドフレーム2のボルト取付孔70d及びナット71dが基準線cより後方で上下方向に延在する基準線d上に配置されている。
【0046】
また、ベース63のボルト挿入孔63cは取付ボルト72の頭部72aの径より大きな径を有する一方、第1結合部65のボルト取付穴65cは軸部72bの径より大きく頭部72aの径より小さな径に設定されている。同様にベース63のボルト挿入孔63d及び第1結合部65のボルト挿入孔65dは取付ボルト73の頭部73aの径より大きな径を有する一方、第2結合部66のボルト取付穴66dは軸部73bの径より大きく頭部73aの径より小さな径に設定されている。
【0047】
そして、取付ボルト72をベース63のボルト挿入孔63cから挿入し、第1結合部65のボルト取付穴65c、スペーサ67のボルト貫通孔68c、及びサイドフレーム2のボルト取付孔70cを貫通してナット71cに予め設定された締結トルクで螺合することによって、取付ボルト72及びナット71cによってスペーサ67を介在して第1結合部65とサイドフレーム2の中間取付部5を締結する。同様に取付ボルト73をベース63のボルト挿入孔63dから挿入し、第1結合部65のボルト挿入孔65d、第2結合部66のボルト取付穴66d、スペーサ67のボルト貫通孔68d、及びサイドフレーム2のボルト取付孔70dを貫通してナット71dに予め設定された締結トルクで螺合することによって、取付ボルト73及びナット71dによってスペーサ67を介在して第2結合部66とサイドフレーム2の中間取付部5を締結する。
【0048】
この結合状態においては、図5に示すように取付ボルト72の軸部72bは第1結合部65に形成されたボルト取付穴65cの後端近傍の基準線c上に位置し、取付ボルト73の軸部73bは第2結合部66のボルト取付穴66dの後端近傍の基準線d上に位置している。
【0049】
このようにサイドメンバ22の中間取付部28に溶接結合された中間支持部材41とサイドフレーム2の中間取付部5が結合手段61を介して結合される。
【0050】
一方、サイドフレーム2の中間取付部5に対しサイドメンバ22の中間取付部28に結合された中間支持部材41が予め設定された以上の荷重で車体後方に相対移動した際には、中間支持部材41に取り付けられた結合部材62が図5に実線で示す状態から仮想線62aで示すようにスペーサ67の第1下面67a及び第2下面67bに沿って後方に移動し、この移動に伴って前端が開放されたスリット状の第1結合部65のボルト取付穴65c及び第2結合部66のボルト取付穴66dがサイドフレーム2の支持された取付ボルト72、73から外れ、中間支持部材41とサイドフレーム2との結合が解除される。
【0051】
このようにサイドフレーム2の中間取付部5が結合手段61によって予め設定された移動荷重によって相対移動可能に中間支持部材41に結合されることから、前部範囲3の後部に形成された中間取付部5の剛性が中間支持部材41との結合によって増大することがなく、前部範囲3の有効圧壊ストロークが、前部範囲3全長に亘って確保できる。この前部範囲3の有効圧壊ストロークの増大に伴って衝突時の前部範囲3の衝突抗力を増大することが可能になる。
【0052】
次に、このように構成されたサイドフレーム2及びサブフレーム21を備えた車体前部構造の作用を図1及び衝突時の概要を示す図6及び衝突に伴う「衝撃抗力−衝撃ストローク相関図」(図7)を参照して説明する。
【0053】
後部クロスメンバ51及び中間支持部材41によって左右のサイドメンバ22が強固に結合されてサブフレーム21の剛性が確保され、この剛性が確保されたサブフレーム21のサイドメンバ22の前端取付部24が前部支持部材40を介してサイドフレーム2の前部取付部4と連結し、後端部34がサイドフレーム2の後端部8に結合されると共に、中間取付部28が中間支持部材41及び結合手段61によってサイドフレーム2の中間取付部5に結合することによって、サブフレーム2とサイドフレーム21が強固に結合されてサイドフレーム2及びサブフレーム21の剛性が増大し、サスペンション支持剛性及び車体剛性が確保されて通常走行時の良好な操縦安定性が得られる。
【0054】
一方、車両が障害物と前方衝突した場合、障害物からの衝突荷重Pは、サイドフレーム2の前端に設けられたバンパフレーム11と、サブフレーム21の前端設けられたリンホース37に分散されて入力され、衝突が軽度の場合であれば、ブラケット10及び36の変形によって衝撃エネルギを吸収することができ、その後の修理もブレケット10及び36の交換のみで行える。
【0055】
しかし、衝突度合が大きき場合には、図6(b)に示すようにバンパフレーム11及びブラケット10により吸収されなかった衝撃荷重P1が、サイドフレーム2の前端から略前後方向に沿って後方に向かって入力される。一方、リンホース37及びブラケット36により吸収されなかった衝撃荷重P2はサブフレーム21、特にサイドメンバ22の前端から略前後方向に沿って後方に向かって入力される。
【0056】
この衝突初期においては、図6(b)に示すようにサイドフレーム2の前端から入力された衝撃荷重P1により、中間支持部材41の架設によって剛性が確保されたサイドフレーム2の後部範囲6に対し剛性が比較的低い前部範囲3が前端から軸方向に沿って後方側に順に潰れる圧壊変形により衝撃荷重P1の衝撃エネルギが吸収されて衝撃荷重P1が低減される。一方、サブフレーム21においても、サイドメンバ22の前端から入力された衝撃荷重P2により、第1屈曲促進部25の傾斜部分26がその傾斜に起因して押し下げられ、主に座屈変形により衝撃荷重P2の衝撃エネルギが吸収され、衝撃荷重P2が低減される。
【0057】
この衝突初期においては、図7に示すように障害物との衝突により障害物からの衝撃荷重P1により急激にサイドフレーム2及びサブフレーム21の衝衝撃抗力が増大し、その増大した衝撃抗力はサイドフレーム2の前部範囲3における前方から潰れる圧壊変形及びサブフレーム22の第1屈曲促進部25の座屈変形に伴って順次減少する。
【0058】
ここで、サイドフレーム2の後部範囲6の剛性が確保されることから、前部範囲3のみが潰れる圧壊変形により衝撃荷重P1の衝撃エネルギを吸収して衝撃荷重P1を低減させる。同様に、サイドメンバ21の後部範囲26の剛性が確保されることから、前部範囲23のみの座屈変形により衝撃荷重P2の衝撃エネルギを吸収して衝撃荷重P2を低減させる。
【0059】
特にサイドフレーム2の前部範囲3の有効圧壊ストロークの増大に伴って、衝突初期における衝撃荷重P1に対する衝撃抗力が確保され、衝撃エネルギの吸収効率が向上する。また、初期に比較的急激に増大する衝撃抗力、即ち車体加速度が発生することから、早期にエアバッグシステム及びシートベルトシステム等の作動による乗員の拘束が可能になり、乗員の障害値を低減することができる。
【0060】
更に、この衝突度合いが大きくサイドフレーム2の前部範囲3の圧壊変形及びサイドメンバ21の第1屈曲促進部25の座屈変形では衝撃エネルギが吸収されずに、車体前方の潰れ変形に伴って衝突荷重がパワーユニットP/Uに作用してパワーユニットP/Uが相対的に後方に移動する衝突後期にあっては、後方に移動するパワーユニットP/Uが後部クロスメンバ51に接触、或いはエンジンマウントを介して後部クロスメンバ51に後方へ向かう荷重が伝達され、後部クロスメンバ51がパワーユニットP/Uと共に後方へ移動する。この後部クロスメンバ51の後方移動に伴って後部クロスメンバ51と一体結合された中間支持部材41がサイドメンバ22の後部範囲29の屈曲促進部30を仮想線30aで示すよう前方部分32及び後方部分34の傾斜角が増大するように座屈変形させつつサイドフレーム2の中間取付部5に対して相対的に後方に若干移動する。
【0061】
中間支持部材41がサイドフレーム2の中間取付部5に対し後方に相対移動すると、中間支持部材41に取り付けられた結合部材62が図5に実線で示す状態から仮想線62aで示すようにスペーサ67の第1下面67a及び第2下面67bに沿って結合部材62の第1結合部65及び第2結合部66が相対的に後方に移動し、第1結合部65及び第2結合部66に形成されたスリット状のボルト取付穴65c及び66dがそれぞれサイドフレーム2の中間取付部5にナット71c、71dに螺合して支持された取付ボルト72、73の軸部72b、73bから離脱する。
【0062】
この離脱によりサイドフレーム2によるサブフレーム21の変形拘束が解除され、更なるパワーユニットP/Uの後方移動に伴う後部クロスメンバ51の後方移動により中間支持部材41を介してサブフレーム21の第2屈曲促進部30が更に座屈変形して衝撃エネルギを吸収する。
【0063】
ここで、衝突後期において、後方に移動するパワーユニットP/Uによって中間支持部材41及び結合手段61によるサイドフレーム2とサブフレーム21の結合を解除されて、サブフレーム2によるパワーユニットP/Uの後方移動に対する抗力が大幅に低減される。この後方に移動するパワーユニットP/Uによる衝撃荷重の衝撃エネルギの吸収は主にサイドフレーム21のサブフレーム22の後部範囲29に形成された第2屈曲促進部30の座屈変形で吸収して衝撃荷重を低減させることから、衝突後期における衝撃荷重Pに対する衝撃抗力が抑制され、衝突ストロークの増大が得られる。また、第2屈曲促進部30が、前方からの衝撃荷重により前方部分31及び後方部分33の傾斜角が増大するように座屈変形することにより、脱落したパワーユニットP/Uが積極的に下方に誘導されて、パワーユニットP/Uの後方移動に対する抗力を抑制されると共に、パワーユニットP/Uの後退による車室Rへの影響が軽減できる。
【0064】
従って、本実施の形態によると、通常走行時においては、サブフレーム21のサイドメンバ22の前端取付部24が前部支持部材40を介してサイドフレーム2の前部取付部4と連結し、後端結合部34がサイドフレーム2の後端部9に結合されると共に、中間取付部28が中間支持部材41及び結合手段61によってサイドフレーム2の中間取付部5に結合することによって、サブフレーム2の前後端部及び中間部がサイドフレーム21と強固に結合されてサイドフレーム2及びサブフレーム21の剛性が確保されてサスペンション支持剛性及び車体剛性が確保されて良好な操縦安定性が得られる。
【0065】
また、衝突初期においてはサイドメンバ2における前部範囲3及びサブフレーム21のサイドメンバ22の前部範囲23の変形により衝撃エネルギを吸収して衝撃荷重を低減させると共に、パワーユニットP/Uが後退する衝突後期においてはサイドメンバ22の後部範囲29の変形により衝撃エネルギを吸収して衝撃荷重を低減させることから、サイドフレーム2の後部範囲6は衝突時の衝撃エネルギ吸収機能を考慮することなく、補強部材或いは形状及び板厚等により剛性を十分確保することが可能になり、要求サスペンション支持剛性や車体剛性の確保が容易になり、更に優れた操縦安定性を確保することができる。
【0066】
一方、車両が障害物と前方衝突した衝突初期においては、座屈ストロークが確保されたサイドフレーム2の前部範囲3及びサイドメンバ21の前部範囲23の変形により衝撃荷重の衝撃エネルギを吸収することにより、衝突初期における衝撃荷重に対する衝突抗力が増大して衝撃エネルギの吸収効率が向上し、パワーユニットP/Uが後方に移動する衝突後期にあっては、結合手段61による中間支持部材41によるサイドフレーム2とサブフレーム21との結合を解除して、主にサブフレーム21の後部範囲29の変形により衝撃エネルギを吸収して衝撃荷重を低減させることから、衝突後期における衝撃荷重に対する衝突抗力が抑制されて乗員に対する衝撃が大幅に緩和される。
【0067】
また、サイドフレーム2を、衝突に伴う座屈変形の範囲となる前部範囲3と、衝突に伴う変形を考慮することなく剛性が確保できる範囲となる後部範囲6とに区分することにより、要求性能に応じて前部範囲3及び後部範囲6の剛性等の設定が可能になり、車体設計の効率化が得られる。
【0068】
本実施の形態と比較する参考例として本実施の形態におけるサブフレーム21のサイドメンバ22の中間取付部28とサイドフレーム2の中間取付部5を中間支持部材41を介して強固に締結した場合の作用を図8を参照して説明する。
【0069】
図8(a)に、サブフレーム21のサイドメンバ22の前端が前部支持部材40を介してサイドフレー2の前端と連結し、後端部34がサイドフレーム2の後端部9に結合されると共に、中間取付部5が中間支持部材41によってサイドフレーム2に強固に結合されている。しかし、サイドフレーム2の中間取付部5の範囲は強固に結合された中間取付部材41によって剛性が増大し、前部範囲3の有効圧壊ストロークが本実施の形態における有効圧壊ストロークよりも短く設定される。即ち、前部範囲3の衝突抗力が本実施の形態における衝突抗力より小さく設定されている。
【0070】
衝突初期においては、図8(b)に示すように障害物からの衝撃荷重Pがサイドフレーム2及びサブフレーム21の前端に分散され入力され、サイドフレーム2に入力された衝撃荷重P1によりサイドフレーム2の前部範囲3が前端から後方側に順に潰れる圧壊変形により衝突荷重P1の衝撃エネルギを吸収して衝撃荷重P1が低減する一方、サイドメンバ22の前端から入力された衝撃荷重P2による第1屈曲部25の座屈変形により衝撃荷重P2の衝撃エネルギが吸収して衝撃荷重P2を低減する。
【0071】
この衝突初期においては、図7に破線で示すように障害物との衝突により障害物からの衝突荷重P1により急激にサイドフレーム2及びサブフレーム21の衝突抗力が増大し、その増大した衝突抗力はサイドフレーム2の前部範囲3における前方から潰れる圧壊変形及びサブフレーム22の第1屈曲促進部25の座屈変形により順次減少する。
【0072】
ここで、サイドフレーム2の後部範囲6及びサイドメンバ21の後部範囲26の剛性が確保され、それぞれの前部範囲3及び23のみの変形により衝撃荷重P1及びP2の衝撃エネルギを吸収して衝撃荷重P1及びP2を低減させる。この衝突初期においてサイドフレーム2の衝突抗力が本実施の形態に比べ小さく設定されることから、衝撃エネルギの吸収効率は本実施の形態に比較して低くなる。
【0073】
更に、パワーユニットP/Uが後方に移動する衝突後期にあっては、後方移動するパワーユニットP/Uが後部クロスメンバ51に接触した際、後部クロスメンバ51が中間支持部材41を介してサイドフレーム2に強固に結合されることから、そのパワーユニットP/Uの後退が妨げられ図7に示すように本実施の形態に比較して衝突抗力が急激に増大し、かつ衝突抗力が大きく衝撃ストロークが短くなり乗員への衝撃が大きくなる。
【0074】
この対策としてサイドフレーム2における後部範囲6の剛性を低く設定してサイドフレーム2の有効圧壊ストロークを確保するとサイドフレーム2の剛性低下により車体剛性及びサスペンション支持剛性の低下を招き、操縦安定性に影響を及ぼすことが懸念される。
【0075】
従って、本実施の形態によると、サイドフレーム2の中間取付部5に対し中間支持部材41が予め設定された以上の荷重で車体後方に相対移動した際に結合が解除される結合手段61によって中間支持部材41とサイドフレーム2の中間取付部5を結合することにより、通常走行時においては、サブフレーム21とサイドフレーム2とが結合されてサイドフレーム2及びサブフレーム21の剛性が確保されてサスペンション支持剛性及び車体剛性が確保されて良好な操縦安定性が得られる。一方、車両が障害物と前方衝突した衝突初期においては、サイドフレーム2及びサイドメンバ21の前部範囲3及び23の変形による衝撃荷重の衝撃エネルギの吸収効率が向上し、パワーユニットP/Uが後方に移動する衝突後期にあっては、中間支持部材41によるサイドフレーム2とサブフレーム21との結合を解除して衝撃荷重に対する衝突抗力を抑制して乗員に対する衝撃が大幅に緩和される。
【0076】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、中間支持部材41とサイドフレーム2の中間取付部5を結合する結合手段61を中間支持部材41側に前方側が開放されたボルト取付穴65c、66dが形成されたブラケット64を取り付け、サイドフレーム2にボルト取付穴65c、66dに挿通する取付ボルト72、73を固定したが、サイドフレーム2の中間取付部5側に後端が開放されたスリット状のボルト取付穴が形成されたブラケットを取り付け、中間支持部材41側にこのボルト取付穴に挿通する取付ボルトを固定することもできる。また、サイドフレーム2の中間取付部5と中間支持部材41とを、サイドフレーム2の中間取付部5に対し中間支持部材41が予め設定された以上の荷重で車体後方に相対移動した際に破断するボルト等によって連結手段61を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係る車体前部構造の概要を示す車体前部の斜視図である。
【図2】図1の矢視A方向から見た模式的に示す側面図である。
【図3】結合手段の要部分解斜視図である。
【図4】結合状態における図3のI−I線断面図である。
【図5】結合手段の作動説明図である。
【図6】衝突時の概要を示す図である。
【図7】衝撃抗力−衝撃ストローク相関図である。
【図8】参考例における衝突時の概要を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 車体前部
2 サイドフレーム
3 前部範囲
4 前部取付部
5 中間取付部
6 後部範囲
8 後端部
21 サブフレーム
22 サイドメンバ
23 前部範囲
24 前端取付部
25 第1屈曲促進部
28 中間取付部
29 後部範囲
30 第2屈曲促進部
31 前方部分
32 中間部分
33 後方部分
34 後端部
40 前部支持部材
41 中間支持部材
51 後部クロスメンバ
61 結合手段
62 結合部材
64 ブラケット
65 第1結合部
65c ボルト取付穴
66 第2結合部
66d ボルト取付穴
72、73 取付ボルト
P/U パワーユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向に延在するサイドフレームの下方に配置されて、車体前後方向に延在する左右のサイドメンバの前端部及び後端部をそれぞれ上記左右のサイドフレームに結合すると共に、該各サイドメンバの前後方向中間に形成された中間取付部にクロスメンバを支持する中間支持部材が上記左右のサイドフレームの中間取付部に結合されるサブフレームを備え、上記左右のサイドフレーム間にパワーユニットが搭載される車体前部構造において、
上記サイドメンバの中間取付部と後端部との間に、前方からの衝突荷重により座屈変形する屈曲促進部を有し、上記サイドフレームの中間取付部と中間支持部材とが、上記パワーユニットの後方移動に起因する上記クロスメンバの移動に伴うサイドフレームの中間取付部に対する上記中間支持部材の相対移動によって結合が解除される結合手段を介して結合されたことを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前方からの衝撃荷重に対する座屈抗力が、上記サイドメンバの中間取付部より前方の前部範囲に対し該中間取付部と後端部との間が大であることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項3】
上記屈曲促進部は、上記サイドメンバの中間取付部の後端側に屈曲部を介して前端が連続すると共に後方に移行するに従って漸次下降する前方部分と、該前方部分の後端に屈曲部を介して前端が連続すると共に略水平で後方に延在する中間部分と、該中間部分の後端に屈曲部を介して前端が連続すると共に後方に移行するに従って漸次上昇し後端が上記後端部側に連続する後方部分とが連続形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項4】
上記結合手段は、
上記中間支持部材に設けられ前端側が開放されたスリット状のボルト取付穴が形成されたブラケットと、
上記サイドフレームの中間取付部に固定され上記ボルト取付穴を貫通して上記ブラケットに対して相対移動可能に結合する取付ボルトとを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体前部構造。
【請求項5】
上記サイドフレームにおける中間取付部と後端部との間を補強する補強部材を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−56191(P2008−56191A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238452(P2006−238452)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】