車体前部構造
【課題】衝撃荷重による冷却系部品の損傷を防ぐことができ、さらに、車両前方から導入された空気を冷却系部品に効率よく導くことができる車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前部構造10は、フロントバルクヘッド15のアッパ梁部33に冷却系部品16の左上部が設けられるとともに、フロントバルクヘッド15のロア梁部32に冷却系部品16の左下部が設けられている。この車体前部構造は、冷却系部品16の左下部を車体後方に向けて移動可能な左下支持機構と、冷却系部品16の中央下部16dおよびロア梁部32間の空間38に配置されて空間38を前後に仕切る隔壁部材21とを備えている。
【解決手段】車体前部構造10は、フロントバルクヘッド15のアッパ梁部33に冷却系部品16の左上部が設けられるとともに、フロントバルクヘッド15のロア梁部32に冷却系部品16の左下部が設けられている。この車体前部構造は、冷却系部品16の左下部を車体後方に向けて移動可能な左下支持機構と、冷却系部品16の中央下部16dおよびロア梁部32間の空間38に配置されて空間38を前後に仕切る隔壁部材21とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントバルクヘッドのアッパ梁部およびロア梁部に冷却系部品が設けられた車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体前部構造のなかには、左右のフロントサイドフレームおよび左右のアッパメンバーにフロントバルクヘッドが設けられ、フロントバルクヘッドに冷却系部品が設けられたものがある。
この冷却系部品は、フロントバルクヘッドのアッパ梁部に冷却系部品の上部が取り付けられ、フロントバルクヘッドのロア梁部にロア支持ブラケットを介して冷却系部品の下部が取り付けられている。
そして、アッパ梁部が左右のアッパメンバーに車体後方に向けて移動可能にボルトで締結され、ロア支持ブラケットがロア梁部に車体後方に向けて移動可能にボルトで締結されている。
【0003】
この車体前部構造によれば、例えば、軽衝突によって車体前部に衝撃荷重(入力)が作用した場合に、アッパ梁部とともに冷却系部品の上部を車体後方に向けて移動させることが可能である。同時に、ロア支持ブラケットとともに冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動させることが可能である。
冷却系部品の上部および下部を車体後方に向けて移動させることで、衝撃荷重で冷却系部品が損傷することを防ぐことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−137482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の車体前部構造は、冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動させるために、冷却系部品の下部およびロア梁部間にロア支持ブラケットが介在されている。
よって、冷却系部品の下部およびロア梁部間にロア支持ブラケットを介在させる空間を確保する必要がある。
【0006】
しかし、冷却系部品の下部およびロア梁部間に空間を確保すると、車両の走行中に車両前方から導入された空気の一部がこの空間を経て車体後方(エンジンルーム側)に流れてしまうことが考えられる。
このため、車両前方から導入された空気を冷却系部品に効率よく導くことが難しく、この観点から改良の余地が残されていた。
【0007】
本発明は、衝撃荷重による冷却系部品の損傷を防ぐことができ、さらに、車両前方から導入された空気を冷却系部品に効率よく導くことができる車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、フロントバルクヘッドのアッパ梁部に冷却系部品の上部が設けられるとともに、前記フロントバルクヘッドのロア梁部に冷却系部品の下部が設けられた車体前部構造において、前記ロア梁部に設けられるとともに前記冷却系部品の下部を支持可能で、かつ、前記冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動可能な下支持機構と、前記下支持機構に前記冷却系部品の下部が支持され、前記冷却系部品の下部および前記ロア梁部間の空間に配置されて前記空間を前後に仕切る隔壁部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2は、前記隔壁部材は、前記冷却系部品に対して車体前後方向に離れた位置に配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3は、前記隔壁部材は、前記ロア梁部に取り付けられた取付座部と、前記取付座部から上方に立ち上げられて前記空間を前後に仕切る隔壁パネルと、前記隔壁パネルおよび前記取付座部を連結した略三角形状の補強リブと、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4は、前記隔壁部材は、前記隔壁パネルの上端部から車体後方の前記冷却系部品へ向けて張り出された張出片を有することを特徴とする。
【0012】
ここで、車両走行中に車体前方から導かれた空気は冷却系部品を通過した後、一部の空気が冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れる。
そして、隔壁パネル側に流れた空気は、隔壁パネルの上端部を乗り越えて隔壁パネルの前方に戻される(リサーキュレーションする)ことが考えられる。
そこで、隔壁パネルの上端部に張出片を設け、この張出片で隔壁パネル側に流れた空気が隔壁パネルの上端部を乗り越えることを防ぐようにした。
【0013】
請求項5は、前記冷却系部品は、車体前方側に設けられた前冷却系部品と、車体後方側に設けられた後冷却系部品と、を備え、前記隔壁部材は、前記前冷却系部品および前記後冷却系部品間に設けられたことを特徴とする。
【0014】
ここで、車両走行中に車体前方から導かれた空気は前後の冷却系部品を通過した後、一部の空気が後冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れる。
このため、隔壁部材を前冷却系部品の車体前方側に設けると、後冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れた空気が前後の冷却系部品間に流れ込んでしまい前後の冷却系部品の冷却性能を確保し難くなる。
【0015】
一方、隔壁部材を後冷却系部品の車体後方側に設けると、隔壁部材が前冷却系部品から車体後方側に離れすぎてしまう。
よって、冷却系部品の下部およびロア梁部間の空間に向けて車両前方から導入された空気を隔壁部材で前冷却系部品側に導くことが難しく、前後の冷却系部品の冷却性能を確保し難くなる。
【0016】
そこで、請求項5において、前冷却系部品および後冷却系部品間に隔壁部材を設けるようにした。
よって、後冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れた空気が前後の冷却系部品間に流れ込むことを防ぎ、さらに、車両前方から導入された空気を隔壁部材で前冷却系部品側に導くことができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、ロア梁部に下支持機構を設け、この下支持機構で冷却系部品の下部を支持可能で、かつ、車体後方に向けて移動可能とした。
よって、下支持機構に荷重(入力)が車体前方から車体後方に向けて作用した際に、下支持機構で冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動させることができる。
これにより、冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動させて、冷却系部品が荷重で損傷することを防ぐことができる。
【0018】
さらに、ロア梁部に下支持機構を設け、下支持機構で冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動可能とした。
よって、ロア梁部を車体後方に移動させる必要がないので、ロア梁部を一体的に強固に設ける(取り付ける)ことができ、フロントバルクヘッドの剛性を確保できる。
これにより、フロントバルクヘッドで車体前部構造の剛性を確保することが可能になり、車体前部構造の剛性を多種のパワーユニット(例えば、エンジン・トランスミッションユニット)に対応させることができる。
【0019】
加えて、冷却系部品の下部およびロア梁部間において、下支持機構を避けた空間に隔壁部材を配置し、隔壁部材で空間を前後に仕切るようにした。
よって、冷却系部品の下部およびロア梁部間の空間に向けて車両前方から導入された空気を隔壁部材で冷却系部品側に案内することができる。
これにより、車両前方から導入された空気を冷却系部品に効率よく導くことができ、冷却系部品の冷却性能を確保することができる。
【0020】
請求項2に係る発明では、隔壁部材を冷却系部品に対して車体前後方向に離れた位置(すなわち、オフセットされた位置)に配置した。
これにより、車両の走行振動で冷却系部品が上下方向に振動した場合に、冷却系部品が隔壁部材と干渉することを防止できる。
【0021】
請求項3に係る発明では、取付座部から隔壁パネルを上方に立ち上げ、隔壁パネルで空間を前後に仕切るようにした。さらに、隔壁パネルおよび取付座部を略三角形状の補強リブで連結した。
よって、補強リブで隔壁パネルを補強することができ、車両走行中に導かれた空気で隔壁パネルが車体後方に傾く(倒れ込む)ことを防止できる。
これにより、冷却系部品の下部およびロア梁部間の空間に向けて車両前方から導入された空気を隔壁パネルで冷却系部品側に案内して冷却系部品の冷却性能を確保できる。
【0022】
請求項4に係る発明では、隔壁パネルの上端部から車体後方の冷却系部品へ向けて張出片を張り出した。
隔壁パネルの上端部から張出片を張り出すことで、張り出した張出片で隔壁パネル側に流れた空気が隔壁パネルの上端部を乗り越えることを防ぐことができる。
このように、隔壁パネルの上端部に張出片を設けることで、冷却系部品を通過した空気の一部が冷却系部品の下部側から隔壁パネルを経て車体前方に戻される(リサーキュレーションする)ことを防ぐことができる。
【0023】
請求項5に係る発明では、前冷却系部品および後冷却系部品間に隔壁部材を設けた。
よって、後冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れた空気が前後の冷却系部品間に流れ込むことを防ぎ、さらに、車両前方から導入された空気を隔壁部材で前冷却系部品側に導くことができる。
これにより、前冷却系部品および後冷却系部品の冷却性能を確保することができる。
【0024】
さらに、前冷却系部品および後冷却系部品間に隔壁部材を設けることで、隔壁部材を前後の冷却系部品に対して車体前後方向に離れた位置(すなわち、オフセットされた位置)に配置できる。
これにより、車両の走行振動で前後の冷却系部品が上下方向に振動した場合に、前後の冷却系部品が隔壁部材と干渉することを防止できる。
また、車両の加速時や停止時などにおいて前後の冷却系部品が前後方向に揺動(振動)した場合に、前後の冷却系部品が隔壁部材に干渉することを防止できる。
【0025】
加えて、前冷却系部品および後冷却系部品間に隔壁部材を設けた。よって、前冷却系部品が隔壁部材より車体前方側に配置され、後冷却系部品が隔壁部材より車体後方側に配置される。
これにより、隔壁部材より車体前方側に配置された前冷却系部品の下部のみを隔壁部材の上方に配置することで、前後の冷却系部品を隔壁部材に干渉させずに車体後方に移動させることができる。
【0026】
すなわち、後冷却系部品は隔壁部材より車体後方側に設けられている。よって、後冷却系部品の下部を隔壁部材の下方まで延ばしても、後冷却系部品の下部を隔壁部材に干渉させずに車体後方に移動できる。
これにより、後冷却系部品の形状を任意に形成でき、設計の自由度を高めることができる。
【0027】
このように、前冷却系部品の下部のみを隔壁部材の上方に配置することで、前後の冷却系部品を車体後方に移動可能とすることができる。
これにより、例えば車体前部に障害物などが軽衝突した場合に、前後の冷却系部品を車体後方に向けて移動させて、前後の冷却系部品が衝突荷重で損傷することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る車体前部構造を示す斜視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図1の車体前部構造を示す平面図である。
【図4】図1の車体前部構造を示す斜視図である。
【図5】図4の車体前部構造を示す分解斜視図である。
【図6】図5の左上支持機構を示す分解斜視図である。
【図7】図4の7−7線断面図である。
【図8】図5の左下支持機構を示す分解斜視図である。
【図9】図4の9−9線断面図である。
【図10】本発明に係る車体前部構造の隔壁部材を示す斜視図である。
【図11】図1の11−11線断面図である。
【図12】図11の12部拡大図である。
【図13】本発明に係る車体前部構造の左上支持機構を組み付ける手順を説明する図である。
【図14】本発明に係る車体前部構造の左下支持機構を組み付ける手順を説明する図である。
【図15】本発明に係る左上支持機構および左下支持機構をフロントバルクヘッドに組み付ける手順を説明する図である。
【図16】本発明に係る左上支持機構および左下支持機構に衝撃荷重が作用した状態を説明する図である。
【図17】本発明に係る左上支持機構のアッパ移動ブラケットを車体後方にスライド移動させる例を説明する図である。
【図18】本発明に係る左下支持機構のロア移動ブラケットを車体後方にスライド移動させる例を説明する図である。
【図19】本発明に係る左上支持機構および左下支持機構で冷却系部品を車体後方に移動させる例を説明する図である。
【図20】本発明に係る冷却系部品を車体後方に移動させた状態を説明する図である。
【図21】車両走行中に導いた空気で冷却系部品を冷却する例を説明する図である。
【図22】車両走行中に冷却系部品が上下方向に振動する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0030】
実施例に係る車体前部構造10について説明する。
なお、車体前部構造10の骨格部を構成するフロントサイドフレーム、アッパメンバーおよびアッパサイドフレームは左右対称の部材なので左側部材について説明して右側部材の説明を省略する。
【0031】
図1に示すように、車体前部構造10は、車体前部の左右側にそれぞれ設けられた左右のフロントサイドフレーム11と、左右のフロントサイドフレーム11の外側上方にそれぞれ設けられた左右のアッパメンバー12と、左右のアッパメンバー12に設けられた左右のアッパサイドフレーム13と、左右のアッパサイドフレーム13および左右のフロントサイドフレーム11に設けられたバルクヘッド15と、バルクヘッド15に設けられて冷却系部品16を支える冷却系支持ユニット20と、冷却系支持ユニット20間に設けられた隔壁部材21とを備えている。
【0032】
図2、図3に示すように、冷却系部品16は、エンジンルーム22に臨む部位に設けられたラジエータ(後冷却系部品)17と、ラジエータ17の前方に設けられたコンデンサ(前冷却系部品)18とを備えている。
【0033】
ラジエータ17は、車体後方側に設けられ、例えば、エンジンの冷却水を冷却するものである。
このラジエータ17は、ラジエータ本体17cの車体後方側に冷却ファン17dを備えている。
コンデンサ18は、車体前方側に設けられ、例えば、エアコン用の冷媒ガスを冷却して液化するものである。
【0034】
エンジンルーム22においてラジエータ17の車体後方に吸気ダクト(エンジン補機)23およびバッテリ24が設けられている。吸気ダクト23は、エンジン25の気化器に空気を導くためのダクトである。
また、エンジンルーム22の下方に、エンジン25を支える(搭載する)サブフレーム26が設けられている。
【0035】
図1に示すように、左フロントサイドフレーム11は、車体前部の左側に配置され、車体前後方向に延びる部材である。
左アッパメンバー12は、左フロントサイドフレーム11の上方外側に配置され、後端部が左フロントピラー(図示せず)に連結され、前端部が左フロントサイドフレーム11の前端部11aに溶接(例えば、スポット溶接)で接合された部材である。
【0036】
左アッパサイドフレーム13は、左アッパメンバー12の略中央部12aから車体前方で、かつ車体中心側に向けてバルクヘッド15の左上端部15aまで湾曲状に延出されている。
【0037】
バルクヘッド15は、左右のフロントサイドフレーム11に設けられた左右のサイド脚部31と、左右のサイド脚部31の下端部31aに設けられたロア梁部32と、左右のサイド脚部31の上端部31bに設けられたアッパ梁部33とで略矩形状に形成された枠体である。
【0038】
ロア梁部32は、左右のサイド脚部31の下端部31aに架け渡されている。
具体的には、ロア梁部32は、左サイド脚部31の下端部31aに左端部32aが溶接(例えば、スポット溶接)で接合され、右サイド脚部31の下端部31aに右端部32aが溶接(例えば、スポット溶接)で接合されている。
【0039】
アッパ梁部33は、左右のサイド脚部31の上端部31bに架け渡されている。
具体的には、アッパ梁部33は、左サイド脚部31の上端部31bに左端部(左上端部)15aが溶接(例えば、スポット溶接)で接合され、右サイド脚部31の上端部31bに右端部(右上端部)15aが溶接(例えば、スポット溶接)で接合されている。
バルクヘッド15には、冷却系部品16を支える冷却系支持ユニット20が設けられている。
【0040】
冷却系支持ユニット20は、アッパ梁部33の左右の端部15aに設けられた左右の上支持機構(上支持機構)35と、ロア梁部32の左右の端部32aに設けられた左右の下支持機構(下支持機構)36とを備えている。
【0041】
冷却系支持ユニット20の車体前方側にはバンパービーム(図示せず)が設けられている。バンパービームに車体前方から後方に向けて衝撃荷重(荷重、入力)が作用することで、バンパービームに作用した衝撃荷重がバンパービームを経て冷却系支持ユニット20に伝えられる。
【0042】
図4に示すように、左上支持機構35は、アッパ梁部33の左端部15aに設けられるとともに冷却系部品16の左上部(上部)16a(図2、図3参照)を支持可能で、かつ、冷却系部品16の左上部16aを車体後方に向けて移動可能な機構である。
左下支持機構36は、ロア梁部32の左端部32aに設けられている。
この左下支持機構36は、冷却系部品16の下部16bのうち左下部(下部)16c(図2参照)を支持可能で、かつ、冷却系部品16の下部16bを車体後方に向けて移動可能な機構である。
【0043】
図5、図6に示すように、左上支持機構35は、アッパ梁部33の左端部15aに設けられたアッパ支持ブラケット41と、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)に設けられたアッパ移動ブラケット42と、アッパ移動ブラケット42をアッパ支持ブラケット41に締結する一対の上締結手段(上締結手段)43とを備えている。
【0044】
アッパ支持ブラケット41は、アッパ梁部33の左端部15aのうち前壁15bに設けられた鉛直部45と、鉛直部45の下端から車体前方に向けて下り勾配に張り出された傾斜部46(図2も参照)と、傾斜部46の前端部から車体前方に略水平に張り出された水平部47とを有する。
【0045】
鉛直部45は、車幅方向に所定間隔をおいて一対の取付孔45aが形成されている。
鉛直部45の一対の取付孔45aにボルト51を差し込み、前壁15bの一対の溶接ナット52にねじ結合することで、鉛直部45が前壁15bに沿って一対のボルト51で取り付けられている。
この状態で、アッパ梁部33の下方で、かつ、アッパ梁部33の前方に水平部47が位置する(図2も参照)。
水平部47は、上面に一対の溶接ナット54が車幅方向に所定間隔L1をおいて溶接されている。
【0046】
アッパ移動ブラケット42は、アッパ支持ブラケット41の下方で、かつ、アッパ支持ブラケット41の水平部47に沿って配置された部材である。
このアッパ移動ブラケット42は、ラジエータ17の左上部17a(図2も参照)やコンデンサ18の左上部18a(図2参照)を支えるアッパ支え部56と、アッパ支え部56から車体前方に向けて突出されたアッパ当接部57とを有する。
【0047】
アッパ支え部56は、アッパ支持ブラケット41の水平部47の下方で、かつ、水平部47に沿って配置された略台形状の部位である。
このアッパ支え部56は、後端部56aに上ラジエータ支え部61が設けられ、上ラジエータ支え部61の車体前方側に上コンデンサ支え部62が設けられ、前左右端部に車幅方向に所定間隔L1をおいて一対のスリット63が形成されている。
【0048】
上ラジエータ支え部61は、ラジエータ17の左上部17aに嵌合することで左上部17aを支えることができる。
上コンデンサ支え部62は、コンデンサ18の左上部18aに嵌合することで左上部18aを支えることができる。
すなわち、アッパ支え部56は、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)に設けられることで、冷却系部品16の左上部16aを支える部材である。
【0049】
一対のスリット63は、アッパ支え部56のうちアッパ支持ブラケット41に対向する部位(具体的には、水平部47の一対の溶接ナット54に対向する前左右端の部位)56bにそれぞれ設けられている。
このスリット63は、車体前方へ向けて開口するように形成され、前端に開口部63aを有するガイド溝である。
【0050】
スリット63に貫通された上締結ボルト65(後述する)に沿ってスリット63が車体後方に移動可能で、かつ、開口部63aが上締結ボルト65を通過することで上締結ボルト65からスリット63を外すことができる。
【0051】
アッパ当接部57は、アッパ支え部56の前端のうち車幅方向中央(すなわち、一対のスリット63間の前端中央)56cから車体前方に向けて略水平に突出された突出片で、前端部57aが下方に折り曲げられている。
アッパ当接部57をアッパ支え部56の前端中央56cから突出させることで、アッパ当接部57の前端部57aに軽衝突時の衝撃荷重(荷重、入力)を車体前方から車体後方に向けて作用させることができる。
アッパ移動ブラケット42はアッパ支持ブラケット41に一対の上締結手段43で締結されている。
【0052】
一対の上締結手段43は、アッパ当接部57に対して一方の上締結手段43が車体外側に設けられ、アッパ当接部57に対して他方の上締結手段43が車体内側(車体中心側)に設けられている。
【0053】
一方の上締結手段43は、アッパ移動ブラケット42をアッパ支持ブラケット41に締結する上締結ボルト(上締結部材)65と、上締結ボルト65に嵌合された上ばね部材(上弾性部材)67およびワッシャ68とを備えている。
上締結ボルト65は、ワッシャ65bを一体にまとめた、通称「フランジボルト」と称するボルトが用いられている。
以下、構成の理解を容易にするためワッシャ65bを第1ワッシャ、ワッシャ68を第2ワッシャとして説明する。
【0054】
他方の上締結手段43は、一方の上締結手段43と同一構成部材なので各構成部材に一方の上締結手段43と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0055】
図6、図7に示すように、一方の上締結手段43は、上締結ボルト65に上ばね部材67および第2ワッシャ68を嵌合させた状態で、上締結ボルト65が一方(車体外側)のスリット63を貫通して一方(車体外側)の溶接ナット54にねじ結合されている。
上ばね部材67は圧縮ばねである。
【0056】
この状態で、第2ワッシャ68がアッパ支え部56の前左端部56bに当接され、第1ワッシャ65bおよび第2ワッシャ68間に上ばね部材67が圧縮された状態で介在されている。
換言すれば、上ばね部材67は、アッパ支え部56の前左端部56bおよび上締結ボルト65の頭部65aに第1ワッシャ65bおよび第2ワッシャ68を介して圧縮された状態で介在されている。
【0057】
他方の上締結手段43は、一方の上締結手段43と同様に、第2ワッシャ68がアッパ支え部56の前右端部56bに当接され、第1ワッシャ65bおよび第2ワッシャ68間に上ばね部材67が圧縮された状態で介在されている。
換言すれば、他方の上締結手段43の上ばね部材67は、アッパ支え部56の前右端部56bおよび上締結ボルト65の頭部65aに第1ワッシャ65bおよび第2ワッシャ68を介して圧縮された状態で介在されている。
【0058】
このように、一方の上締結手段43がアッパ当接部57に対して車体外側に設けられ、他方の上締結手段43がアッパ当接部57に対して車体内側(車体中心側)に設けられることで、一対の上締結手段43がアッパ移動ブラケット42の車幅方向両側に設けられている。
【0059】
この状態で、一対のスリット63に上締結ボルト65がそれぞれ貫通されている。
よって、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42が一対の上締結手段43で車体後方に移動自在に締結されている。
これにより、アッパ梁部33(前壁15b)に左上支持機構35を介して冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)が車体後方に移動自在に設けられる。
【0060】
アッパ移動ブラケット42の車幅方向両側(車体外側および車体中心側)に上締結手段43をそれぞれ設けることで、アッパ移動ブラケット42の車体前後方向略中央に一対の上締結手段43を備えることができる。
よって、アッパ移動ブラケット42の形状を車体後方に大きく張り出す必要がなく、アッパ移動ブラケット42の小型化を図ることができる。
【0061】
このように、アッパ移動ブラケット42の小型化を図り、かつ、アッパ移動ブラケット42を所望方向(車体後方)に安定的にスライド移動させることで、アッパ移動ブラケット42の車体後方への突出方向や突出量を好適に抑えることができる。
【0062】
さらに、アッパ移動ブラケット42および上締結ボルト65の頭部65a間に上ばね部材67を介在させることで、上締結ボルト65の締結荷重を上ばね部材67で好適に調整することができる。
これにより、アッパ移動ブラケット42のスリット63を上締結ボルト65から外す際の荷重(すなわち、「抜去荷重」)の管理が容易になり、性能品質を良好に保つことができる。
【0063】
図5、図8に示すように、左下支持機構36は、ロア梁部32の左端部32aに設けられたロア支持ブラケット71と、冷却系部品16の左下部16c(図2参照)に設けられたロア移動ブラケット72と、ロア移動ブラケット72をロア支持ブラケット71に締結する一対の下締結手段(下締結手段)73とを備えている。
【0064】
ロア支持ブラケット71は、ロア梁部32の左端部32aのうち上部32bに沿って設けられ、平面視で略四角形に形成されている。
このロア支持ブラケット71は、四隅に取付孔71aがそれぞれ形成されている。
四隅の取付孔71aにボルト75をそれぞれ差し込み、上部32bの溶接ナット76にねじ結合することで、ロア支持ブラケット71が上部32bに4個のボルト75で取り付けられる。
【0065】
この状態で、ロア支持ブラケット71のブラケット本体71bが上部32bに対して上方に浮いた状態で配置される(図9も参照)。
ブラケット本体71bは、車体中心側部71cに溶接ナット78が溶接され、車体外側部71dに溶接ナット78が溶接されている。
車体中心側部71cの溶接ナット78および車体外側部71dの溶接ナット78は、車幅方向に所定間隔L2をおいて溶接されている。
【0066】
ロア移動ブラケット72は、ロア支持ブラケット71の上方で、かつ、ロア支持ブラケット71に沿って配置されている。
このロア移動ブラケット72は、ラジエータ17の左下部17b(図2参照)やコンデンサ18の左下部18b(図2参照)を支えるロア支え部81と、ロア支え部81から車体前方に向けて突出されたロア当接部82とを有する。
【0067】
ロア支え部81は、ロア支持ブラケット71の上方で、かつ、ロア支持ブラケット71に沿って配置された略矩形状の部位である。
このロア支え部81は、後端部81aに下ラジエータ支え部84が設けられ、下ラジエータ支え部84の車体前方側に下コンデンサ支え部85が設けられ、車体中心側部81bにスリット86が形成され、外側部81cにスロット穴87の後半部87aが形成されている。
【0068】
下ラジエータ支え部84は、ラジエータ17の左下部17bに嵌合することで左下部17bを支えることができる。
下コンデンサ支え部85は、コンデンサ18の左下部18bに嵌合することで左下部18bを支えることができる。
すなわち、ロア移動ブラケット72は冷却系部品16の左下部16c(図2参照)に設けられることで、冷却系部品16の左下部16cを支える部材である。
【0069】
スリット86は、ロア支持ブラケット71(車体中心側部71c)の溶接ナット78に対向する部位(車体中心側部)81bに設けられている。
このスリット86は、車体前方へ向けて開口するように形成され、前端に開口部86aを有するガイド溝である。
スリット86に貫通された下締結ボルト91(後述する)に沿ってスリット86が車体後方に移動可能で、かつ、開口部86aが下締結ボルト91を通過することで下締結ボルト91からスリット86を外すことができる。
【0070】
スロット穴87の後半部87aは、ロア支持ブラケット71(車体外側部71d)の溶接ナット78に対向する部位(外側部)81cに設けられ、車体前後方向へ向けて延びている。
【0071】
ロア当接部82は、ロア支え部81の前端から車体前方に向けて略水平に突出された突出片で、外側部82aにスロット穴87の前半部87bが形成され、前端部82bが上方に折り曲げられている。
【0072】
スロット穴87の前半部87bは、スロット穴87の後半部87aから車体前方に向けて直線上に延出されている。
前半部87bおよび後半部87aでスロット穴87が形成されている。
スロット穴87は、車体前後方向に向けて直線上に延出され、スロット穴87に貫通された下締結ボルト91(後述する)に沿って車体後方に移動可能なガイド用の長穴である。
スロット穴87およびスリット86は、車幅方向に所定間隔L2をおいて形成されている。
【0073】
ロア当接部82をロア支え部81の前端から突出させることで、ロア当接部82の前端部82bに軽衝突時の衝撃荷重(荷重、入力)を車体前方から車体後方に向けて作用させることができる。
ロア移動ブラケット72はロア支持ブラケット71に一対の下締結手段73で締結されている。
【0074】
一対の下締結手段73は、一方の下締結手段73がスロット穴87に対応するように車体外側に設けられ、他方の下締結手段73がスリット86に対応するように車体内側(車体中心側)に設けられている。
【0075】
一方の下締結手段73は、ロア移動ブラケット72をロア支持ブラケット71に締結する下締結ボルト(下締結部材)91と、下ばね部材(下弾性部材)93および第2ワッシャ94とを備えている。
下締結ボルト91は、ワッシャ91bを一体にまとめた、通称「フランジボルト」と称するボルトが用いられている。
以下、構成の理解を容易にするためワッシャ91bを第1ワッシャ、ワッシャ94を第2ワッシャとして説明する。
【0076】
他方の下締結手段73は、一方の下締結手段73と同一構成部材なので各構成部材に一方の下締結手段73と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0077】
図8、図9に示すように、一方の下締結手段73は、下締結ボルト91に下ばね部材93および第2ワッシャ94を嵌合させた状態で、下締結ボルト91がスロット穴87を貫通して一方の溶接ナット78にねじ結合されている。
下ばね部材93は圧縮ばねである。
【0078】
この状態で、第2ワッシャ94がロア支え部81の外側部81cに当接され、第1ワッシャ91bおよび第2ワッシャ94間に下ばね部材93が圧縮された状態で介在されている。
換言すれば、下ばね部材93は、下締結ボルト91の頭部91aおよびロア支え部81の外側部81cに第1ワッシャ91bおよび第2ワッシャ94を介して圧縮された状態で介在されている。
【0079】
他方の下締結手段73は、下締結ボルト91に下ばね部材93および第2ワッシャ94を嵌合させた状態で、下締結ボルト91がスリット86を貫通して他方(車体内側(車体中心側))の溶接ナット78にねじ結合されている。
【0080】
この他方の下締結手段73は、一方の下締結手段73と同様に、第2ワッシャ94がロア支え部81の車体中心側部81bに当接され、第1ワッシャ91bおよび第2ワッシャ94間に下ばね部材93が圧縮された状態で介在されている。
換言すれば、他方の下締結手段73の下ばね部材93は、下締結ボルト91の頭部91aおよびロア支え部81の車体中心側部81bに第1ワッシャ91bおよび第2ワッシャ94を介して圧縮された状態で介在されている。
【0081】
このように、一方の下締結手段73がロア移動ブラケット72の外側部81cに設けられ、他方の下締結手段73がロア移動ブラケット72の車体中心側部81bに設けられることで、一対の下締結手段73がロア移動ブラケット72の車幅方向両側に設けられている。
【0082】
この状態で、スリット86に下締結ボルト91が貫通されるとともに、スロット穴87に下締結ボルト91が貫通されている。
よって、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72が一対の下締結手段73で車体後方に移動自在に締結されている。
これにより、ロア梁部32(上部32b)に左下支持機構36を介して冷却系部品16の左下部16c(図2参照)が車体後方に移動自在に設けられる。
【0083】
ここで、スロット穴87は車体前後方向に延出されている。
これにより、ロア移動ブラケット72を車体後方に移動(スライド移動)させる際に、スロット穴87を下締結ボルト91に沿わせて移動させることができる。
【0084】
ロア移動ブラケット72の車幅方向両側に下締結手段73をそれぞれ設けることで、ロア移動ブラケット72の車体前後方向略中央に一対の下締結手段73を備えることができる。
よって、ロア移動ブラケット72の形状を車体後方に大きく張り出す必要がなく、ロア移動ブラケット72の小型化を図ることができる。
【0085】
このように、ロア移動ブラケット72の小型化を図り、かつ、ロア移動ブラケット72を所望方向(車体後方)に安定的にスライド移動させることで、ロア移動ブラケット72の車体後方への突出方向や突出量を好適に抑えることができる。
【0086】
さらに、ロア移動ブラケット72および下締結ボルト91の頭部91a間に下ばね部材93を介在させることで、下締結ボルト91の締結荷重を下ばね部材93で好適に調整することができる。
これにより、ロア移動ブラケット72のスリット86を下締結ボルト91から外す際の荷重(すなわち、「抜去荷重」)の管理が容易になり、性能品質を良好に保つことができる。
さらに、ロア移動ブラケット72のスロット穴87を下締結ボルト91に沿わせて移動する際の荷重(すなわち、「移動荷重」)の管理が容易になり、性能品質を良好に保つことができる。
【0087】
図4に示すように、車体前部構造10によれば、アッパ梁部33に左上支持機構35を設け、この左上支持機構35で冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)を支持可能で、かつ、車体後方に向けて移動可能とした。
また、ロア梁部32に左下支持機構36を設け、この左下支持機構36で冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を支持可能で、かつ、車体後方に向けて移動可能とした。
【0088】
よって、左上支持機構35および左下支持機構36に衝撃荷重が車体前方から作用した際に、各支持機構35,36で冷却系部品16を車体後方に向けて移動させることができる。
これにより、冷却系部品16を車体後方に向けて移動させて、冷却系部品16が衝撃荷重で損傷することを防ぐことができる。
【0089】
さらに、アッパ梁部33の左上支持機構35およびロア梁部32の左下支持機構36で冷却系部品16を車体後方に向けて移動可能とさせることで、アッパ梁部やロア梁部を車体後方に移動させる必要がない。
アッパ梁部33やロア梁部32を車体後方に移動させる必要がないので、アッパ梁部33やロア梁部32を一体的に強固に設けて(取り付けて)フロントバルクヘッド15の剛性を確保できる。
これにより、フロントバルクヘッド15で車体前部構造10の剛性を確保することが可能になり、車体前部構造10を多種のパワーユニット(例えば、エンジン・トランスミッションユニット)に対応させることができる。
【0090】
図10に示すように、冷却系支持ユニット20(具体的には、左下支持機構36のロア支持ブラケット71および右下支持機構36のロア支持ブラケット71)間に隔壁部材21が配置されている。
この隔壁部材21は、冷却系部品16の下部16bのうち中央下部(下部)16dおよびロア梁部32間の空間38に配置され、ロア梁部32に複数のボルト101・ナット102(図12参照)で設けられている(図1も参照)。
【0091】
なお、実施例では隔壁部材21をロア梁部32に取り付ける締結手段としてボルト101・ナット102を例示するが、その他の締結手段としてクリップなどを用いることも可能である。
締結手段としてクリップを用いることで作業性を一層高め、かつ、コストを抑えて安価にできる。
【0092】
ここで、空間38は、冷却系部品16の下部16bおよびロア梁部32間において左右の下支持機構36を避けた空間である。
冷却系部品16の下部16bは、左下部16c、右下部および中央下部16dからなる。
左下部16cは左下支持機構36で支えられる部位であり、右下部は右下支持機構36で支えられる部位である。
【0093】
図11に示すように、空間38に配置された隔壁部材21は、隔壁部材21より車体前方に配置されたグリル開口部105に対峙している。
グリル開口部105は、車両走行中に空気を車両前方からエンジンルーム22側に導入する開口である。
【0094】
図10、図12に示すように、隔壁部材21は、ロア梁部32に取り付けられた取付座部111と、取付座部111から上方に立ち上げられて空間38を前後に仕切る隔壁パネル112と、隔壁パネル112および取付座部111を連結した略三角形状の補強リブ113と、隔壁パネル112の上端部112aから車体後方のラジエータ17へ向けて張り出された張出片114とを有する。
【0095】
取付座部111は、ロア梁部32の中央上部32cに沿って車幅方向に配置され、複数のボルト101・ナット102で中央上部32cに取り付けられている。
この取付座部111は、左下支持機構36のロア支持ブラケット71および右下支持機構36のロア支持ブラケット71間に配置されている。
【0096】
隔壁パネル112は、取付座部111の後端部111aから上方に向けて鉛直に立ち上げられ、コンデンサ18およびラジエータ17間に設けられている。
隔壁パネル112をコンデンサ18およびラジエータ17間に立ち上げることにより、隔壁部材21がコンデンサ18およびラジエータ17間に設けられている。
よって、隔壁部材21(すなわち、隔壁パネル112)で空間38を前後に仕切ることができる。
【0097】
この隔壁パネル112は、コンデンサ18に対して車体後方へ距離L3だけ離れた位置(オフセットさせた位置)に配置されている。
すなわち、隔壁部材21がコンデンサ18に対して車体後方へ離れた位置に配置されている。
【0098】
さらに、隔壁パネル112は、ラジエータ17に対して車体前方へ距離L4だけ離れた位置(オフセットさせた位置)に配置されている。
すなわち、隔壁部材21がラジエータ17に対して車体前方へ離れた位置に配置されている。
【0099】
このように、隔壁部材21が車体前後方向においてコンデンサ18およびラジエータ17間に設けられることで、隔壁部材21が冷却系部品16に対して車体前後方向へ離れた位置に配置されている。
【0100】
ここで、コンデンサ18は、弾性変形可能な上下のコンデンサ支え部62,85(図2参照)で支持されている。
また、ラジエータ17は、弾性変形可能な上下のラジエータ支え部61,84(図2参照)で支持されている。
よって、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動して隔壁パネル112に干渉することが考えられる。
【0101】
そこで、隔壁パネル112をコンデンサ18やラジエータ17に対して車体前後方向へ離した位置(オフセットさせた位置)に配置するようにした。
これにより、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が隔壁パネル112(隔壁部材21)と干渉することを防止できる。
【0102】
また、車両の加速時や停止時などにおいて冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が前後方向に揺動(振動)して隔壁パネル112に干渉することが考えられる。
そこで、隔壁パネル112をコンデンサ18やラジエータ17に対して車体前後方向へ離して配置することで、前後方向に揺動(振動)した冷却系部品16が隔壁パネル112に干渉することを防ぐようにした。
【0103】
特に、冷却系部品16のラジエータ17は下部17eが隔壁パネル112の上端部112aより下方に延びている。
よって、隔壁パネル112をラジエータ17に対して車体前方へ距離L4だけ離すことで、ラジエータ17の下部17eが隔壁パネル112に干渉することを防ぐことができる。
【0104】
加えて、コンデンサ18およびラジエータ17間に隔壁部材21を設けた。よって、コンデンサ18が隔壁部材21より車体前方側に配置され、ラジエータ17が隔壁部材21より車体後方側に配置されている。
これにより、隔壁部材21より車体前方側に配置されたコンデンサ18の下部18cのみを隔壁部材21より距離H2だけ上方に配置することで、コンデンサ18およびラジエータ17を隔壁部材21に干渉させずに車体後方に移動させることができる。
【0105】
すなわち、ラジエータ17は隔壁部材21より車体後方側に設けられている。よって、ラジエータ17の下部17eを隔壁部材21の下方まで延ばしても、ラジエータ17の下部17eを隔壁部材21に干渉させずに車体後方に移動できる。
これにより、ラジエータ17の形状を任意に形成でき、設計の自由度を高めることができる。
【0106】
このように、コンデンサ18の下部18cのみを隔壁部材21の上方に配置することで、コンデンサ18およびラジエータ17を車体後方に移動可能とすることができる。
これにより、例えば車体前部に障害物などが軽衝突した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17を車体後方に向けて移動させて、コンデンサ18およびラジエータ17が衝突荷重で損傷することを防ぐことができる。
【0107】
加えて、冷却系部品16の中央下部16dおよびロア梁部32間の空間38に隔壁パネル112を配置し、隔壁パネル112で空間38を前後に仕切るようにした。
ここで、図11に示すように、隔壁パネル112(すなわち、隔壁部材21)はグリル開口部105に対峙する位置に設けられている。
【0108】
よって、グリル開口部105から空間38に向けて導かれた空気を隔壁パネル112(隔壁部材21)で冷却系部品16側に案内する(上昇させる)ことができる。
これにより、グリル開口部105から導入された空気を冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)に効率よく導くことができ、冷却系部品16の冷却性能を確保できる。
【0109】
ここで、車両走行中にラジエータ17の冷却ファン17dが回転しているので、グリル開口部105から車両内に導かれた空気をコンデンサ18およびラジエータ17に導くことができる。
コンデンサ18およびラジエータ17を通過した空気のうち、殆どの空気がエンジンルーム22の後方に向けて流れ、一部の空気がラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に戻るように流れることが考えられる。
【0110】
このため、例えば、隔壁パネル112をコンデンサ18の車体前方側に設けると、ラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に戻された空気がコンデンサ18およびラジエータ17間の空間39に流れ込むことが考えられる。
ラジエータ17の下部17e側から戻された空気が空間39に流れ込むことで、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を確保し難くなる。
【0111】
一方、隔壁パネル112をラジエータ17の車体後方側に設けると、隔壁パネル112がコンデンサ18から車体後方側に大きく離れすぎてしまう。
よって、グリル開口部105から空間38に向けて導入された空気を隔壁パネル112でコンデンサ18側に導くことが難しく、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を確保し難くなる。
【0112】
そこで、コンデンサ18およびラジエータ17間に隔壁パネル112(隔壁部材21)を設けるようにした。
よって、ラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に戻された空気がコンデンサ18およびラジエータ17間の空間39に流れ込むことを防ぎ、さらに、グリル開口部105から導入された空気を隔壁パネル112でコンデンサ18側に導くことができる。
これにより、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を確保することができる。
【0113】
図10、図12に示すように、補強リブ113は、車幅方向に所定間隔をおいて複数個設けられ、底辺113a、鉛直辺113bおよび傾斜辺113cで略三角形状に形成されている。
底辺113aは、取付座部111の前端部111bから後端部111aまで車体後方に延びた辺である。
鉛直辺113bは、取付座部111の後端部111aから隔壁パネル112の上端部112aまで上方に延びた辺である。
傾斜辺113cは、隔壁パネル112の上端部112aから取付座部111の前端部111bまで下り勾配に延びた辺である。
【0114】
隔壁パネル112および取付座部111を補強リブ113で連結することで、補強リブ113で隔壁パネル112を補強して隔壁パネル112の剛性(強度)を高めることができる。
これにより、車両走行中にグリル開口部105から導かれた空気で隔壁パネル112が車体後方に傾く(倒れ込む)ことを防止できる。
【0115】
さらに、補強リブ113を略三角形状に形成することで、コンデンサ18の下部18cに対峙する辺を傾斜辺113cに形成することができる。
よって、傾斜辺113cをコンデンサ18の下部18cより下方に大きく離して、傾斜辺113cおよびコンデンサ18の下部18c間の距離H1を大きく確保できる。
また、隔壁パネル112は、上端部112a(具体的には、張出片114)がコンデンサ18の下部18cより距離H2だけ下方に配置されている。
【0116】
ここで、隔壁パネル112の上端部112a(張出片114)は、車体前後方向においてコンデンサ18およびラジエータ17間に設けられている。
すなわち、上端部112a(張出片114)は、冷却系部品16に対して車体前後方向へ離れた位置(オフセットさせた位置)に配置されている。
よって、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が上端部112a(張出片114)と干渉することを防止できる。
【0117】
さらに、補強リブ113を略三角形状に形成することで、傾斜辺113cおよびコンデンサ18の下部18c間の距離H1が大きく確保されている。
よって、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が傾斜辺113c(隔壁部材21)と干渉することを防止できる。
【0118】
このように、冷却系部品16が上下方向に振動した場合に、冷却系部品16による上端部112a(張出片114)や傾斜辺113cへの干渉を防ぐことで、冷却系部品16が隔壁部材21に干渉することを防止できる。
【0119】
張出片114は、隔壁パネル112の上端部112aから車体後方のラジエータ17へ向けて略水平に張り出されている。
隔壁パネル112の上端部112aに張出片114を設けることで、隔壁パネル112の剛性(強度)をさらに高めることができる。
【0120】
ここで、車両走行中にグリル開口部105から導かれた空気はコンデンサ18およびラジエータ17を通過した後、一部の空気がラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に戻るように流れることが考えられる。
そして、隔壁パネル112側に流れた空気は、隔壁パネル112の上端部112aを乗り越えて隔壁パネル112の前方に戻される(リサーキュレーションする)虞がある。
【0121】
そこで、隔壁パネル112の上端部112aに張出片114を設けるようにした。
上端部112aに張出片114を設けることで、張出片114で隔壁パネル112側に戻された空気が上端部112aを乗り越えて隔壁パネル112の前方に戻される(リサーキュレーションする)ことを防止できる。
【0122】
つぎに、車体前部構造10の製造方法(組付手順)を図13〜図15に基づいて説明する。
図13(a)に示すように、一方の上締結手段43の上締結ボルト65に上ばね部材67および第2ワッシャ68を嵌合させる。
この状態で、上締結ボルト65をアッパ移動ブラケット42の一方(車体外側)のスリット63に貫通させて、アッパ支持ブラケット41の一方(車体外側)の溶接ナット54に矢印Aの如くねじ結合する。
【0123】
また、他方の上締結手段43の上締結ボルト65に上ばね部材67および第2ワッシャ68を嵌合させる。
この状態で、上締結ボルト65をアッパ移動ブラケット42の他方(車体内側(車体中心側))のスリット63に貫通させてアッパ支持ブラケット41の他方(車体内側(車体中心側))の溶接ナット54に矢印Bの如くねじ結合する。
【0124】
図13(b)に示すように、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42を一対の上締結手段43で車体後方に移動自在に締結する。
【0125】
図14(a)に示すように、一方の下締結手段73の下締結ボルト91に下ばね部材93および第2ワッシャ94を嵌合させる。
この状態で、下締結ボルト91をロア移動ブラケット72のスロット穴87に貫通させてロア支持ブラケット71の一方(車体外側)の溶接ナット78に矢印Cの如くねじ結合する。
【0126】
また、他方の下締結手段73の下締結ボルト91に下ばね部材93および第2ワッシャ94を嵌合させる。
この状態で、下締結ボルト91をロア移動ブラケット72のスリット86に貫通させてロア支持ブラケット71の他方(車体内側(車体中心側))の溶接ナット78に矢印Dの如くねじ結合する。
【0127】
図14(b)に示すように、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72を一対の上締結手段73で車体後方に移動自在に締結する。
【0128】
図15(a)に示すように、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42を締結した状態で、アッパ移動ブラケット42に冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)を支持する。
さらに、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72を締結した状態で、ロア移動ブラケット72に冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を支持する。
【0129】
アッパ移動ブラケット42に冷却系部品16の左上部16aを支持した状態において、アッパ支持ブラケット41の一対の取付孔45aにボルト51を差し込む。
そして、差し込んだ一対のボルト51をアッパ梁部33(前壁15b)の溶接ナット52に矢印Eの如くそれぞれねじ結合する。
【0130】
さらに、ロア移動ブラケット72に冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を支持した状態において、ロア支持ブラケット71の四隅の取付孔71aにボルト75をそれぞれ差し込む。
そして、差し込んだ4個のボルト75をロア梁部32(上部32b)の溶接ナット76に矢印Fの如くねじ結合する。
【0131】
図15(b)に示すように、アッパ支持ブラケット41をアッパ梁部33(前壁15b)に一対のボルト51で取り付ける。
これにより、アッパ梁部33(前壁15b)に左上支持機構35を介して冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)が車体後方に移動自在に設けられる。
【0132】
さらに、ロア支持ブラケット71をロア梁部32(上部32b)に4個のボルト75で取り付ける。
これにより、ロア梁部32(上部32b)に左下支持機構36を介して冷却系部品16の左下部16c(図2参照)が車体後方に移動自在に設けられる。
【0133】
このように、アッパ梁部33にアッパ支持ブラケット41を取り付ける前に、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42を一対の上締結手段43で締結した。
よって、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42を一対の上締結手段43で締結する際の締結荷重(すなわち、「抜去荷重」)を好適に調整することができる。
【0134】
同様に、ロア梁部32にロア支持ブラケット71を取り付ける前に、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72を一対の下締結手段73で締結した。
よって、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72を一対の下締結手段73で締結する際の締結荷重(すなわち、「移動荷重」)を好適に調整することができる。
【0135】
このように、上下の締結手段43,73の締結荷重を好適に調整することで、締結荷重の管理が容易になり、性能品質を良好に保つことができる。
したがって、フロントバルクヘッド15に左上支持機構35および左下支持機構36を介して冷却系部品16を容易に組み付けることができる。
【0136】
ついで、車体前部構造10の左前部に障害物98が軽衝突(オフセット衝突)した場合に、冷却系部品16の左半部を車体後方に移動させる例を図16〜図20に基づいて説明する。
図16(a),(b)に示すように、車体前部構造10の左前部に障害物98が軽衝突した場合に、左上支持機構35のアッパ当接部57(前端部57a)に衝撃荷重F1が矢印の如く伝わる。
同時に、左下支持機構36のロア当接部82(前端部82b)に衝撃荷重F2が矢印の如く伝わる。
【0137】
ここで、図17(a)に示すように、アッパ移動ブラケット42の一対のスリット63が車体前方へ向けて開口されている(図17(b)も参照)。
そして、スリット63を貫通した上締結ボルト65で上ばね部材67が圧縮されている。よって、アッパ移動ブラケット42が一対の上締結手段43でアッパ支持ブラケット41に締結されている。
これにより、アッパ移動ブラケット42の前端部57aに衝撃荷重F1が伝わることにより、アッパ移動ブラケット42が車体後方に向けて矢印Gの如く移動(スライド移動)する。
【0138】
図17(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42を車体後方に移動させることで、一方の上締結ボルト65から一方(車体外側)のスリット63を外すとともに、他方の上締結ボルト65から他方(車体内側(車体中心側))のスリット63を外すことができる。
【0139】
また、図18(a)に示すように、ロア移動ブラケット72のスロット穴87が車体前後方向へ向けて延出されている。
さらに、ロア移動ブラケット72のスリット86が車体前方へ向けて開口されている(図14(a)も参照)。
そして、スロット穴87を貫通した一方の下締結ボルト91で一方の下ばね部材93が圧縮されている。また、スリット86を貫通した他方の下締結ボルト91で他方の下ばね部材93が圧縮されている。
【0140】
よって、ロア移動ブラケット72が一対の下締結手段73でロア支持ブラケット71に締結されている。
これにより、ロア移動ブラケット72の前端部82bに衝撃荷重F2が伝わることにより、ロア移動ブラケット72が車体後方に向けて矢印Hの如く移動(スライド移動)する。
【0141】
図18(b)に示すように、ロア移動ブラケット72を車体後方に移動させた際に、スリット86を他方の下締結ボルト91から外し、スロット穴87に一方の下締結ボルト91を貫通させた状態に保つことができる。
すなわち、ロア移動ブラケット72がロア支持ブラケット71から離れないように一方の下締結ボルト91で保持することができる。
【0142】
図19(a),(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42を車体後方に向けて矢印Gの如く移動(スライド移動)することで、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)を車体後方に向けて矢印Gの如く移動することができる。
さらに、ロア移動ブラケット72を車体後方に向けて矢印Hの如く移動(スライド移動)することで、冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を車体後方に向けて矢印Hの如く移動することができる。
これにより、冷却系部品16の左半部を車体後方に向けて移動することができる。
【0143】
ここで、図17(a),(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42を車体後方に向けて矢印Gの如く移動(スライド移動)することで、一対の上締結ボルト65からスリット63をそれぞれ外すことができる。
これにより、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)をアッパ支持ブラケット41(アッパ梁部33(図4参照))から外して、冷却系部品16の左上部16aの拘束を解除できる。
【0144】
また、図18(a),(b)に示すように、ロア移動ブラケット72を車体後方に向けて矢印Hの如く移動(スライド移動)させた際に、ロア移動ブラケット72がロア支持ブラケット71(ロア梁部32)から離れないように一方の下締結ボルト91で保持できる。
【0145】
図20(a),(b)に示すように、冷却系部品16をロア移動ブラケット72(すなわち、冷却系部品16の左下部16c(図2参照))を支点として車体後方に向けて矢印Gの如く比較的大きく移動させることができる。
これにより、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)が衝撃荷重で損傷することを良好に防ぐことができる。
【0146】
さらに、アッパ移動ブラケット42をアッパ梁部33(アッパ支持ブラケット41)から外すことで、アッパ梁部33に衝撃荷重が作用することを除去できる。
これにより、アッパ梁部33(すなわち、フロントバルクヘッド15)が衝撃荷重で変形することを抑えることができ、修理費(リペア費)を低減することができる。
【0147】
また、ロア移動ブラケット72をロア支持ブラケット71に連結させた状態に保つことで、冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を所望方向に安定的に移動させることができる。
そして、冷却系部品16の左下部16cの移動が完了した際に、冷却系部品16をフロントバルクヘッド15から離れないように保つことができる。
これにより、冷却系部品16を良好に保護して冷却系部品16の衝撃荷重による損傷を一層良好に防ぐことができる。
【0148】
ここで、図17(a),(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42の車幅方向両側に上締結手段43をそれぞれ設けた。よって、アッパ移動ブラケット42を所望方向(車体後方)に安定的に移動(スライド移動)させることができる。
さらに、アッパ移動ブラケット42の車幅方向両側に上締結手段43を設けた。一対の上締結手段43はアッパ移動ブラケット42の車体前後方向略中央に設けられている。
よって、アッパ移動ブラケット42の形状を車体後方に大きく張り出す必要がなく、アッパ移動ブラケット42の小型化を図ることができる。
【0149】
加えて、図18(a),(b)に示すように、ロア移動ブラケット72の車幅方向両側に下締結手段73をそれぞれ設けた。よって、ロア移動ブラケット72を所望方向(車体後方)に安定的に移動(スライド移動)させることができる。
さらに、ロア移動ブラケット72の車幅方向両側に下締結手段73を設けた。一対の下締結手段73はロア移動ブラケット72の車体前後方向略中央に設けられている。
よって、ロア移動ブラケット72の形状を車体後方に大きく張り出す必要がなく、ロア移動ブラケット72の小型化を図ることができる。
【0150】
図20(a),(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42およびロア移動ブラケット72を所望方向(車体後方)に安定的にスライド移動させることで、冷却系部品16を車体後方に安定的に移動させることができる。
さらに、アッパ移動ブラケット42およびロア移動ブラケット72の小型化を図ることで、アッパ移動ブラケット42およびロア移動ブラケット72の車体後方への突出方向や突出量を好適に抑えることができる。
【0151】
これにより、図20(a)に示すように、冷却系部品16を車体後方に移動させた際に、冷却系部品16の後方に備えられたバッテリ24にアッパ移動ブラケット42や冷却系部品16が干渉することを良好に避ける(回避する)ことができる。
さらに、図20(b)に示すように、エンジンルーム22の下方に備えたサブフレーム26にロア移動ブラケット72や冷却系部品16が干渉することを良好に避ける(回避する)ことができる。
【0152】
ここで、図20(a)に示すように、冷却系部品16を車体後方に移動させた際に、冷却系部品16の後方に備えられた吸気ダクト23に冷却系部品16が干渉することが考えられる。
この吸気ダクト23は弾性変形可能な部材である。よって、吸気ダクト23に冷却系部品16が干渉した際に、吸気ダクト23が弾性変形して冷却系部品16が損傷することを防ぐことができる。
【0153】
つぎに、車両走行中に導いた空気で冷却系部品16を冷却する例を図21(a),(b)に基づいて説明する。
図21(a)に示すように、車両走行中にグリル開口部105から車両内に空気が矢印Ia,Ib,Icの如く流入する。
ここで、ラジエータ17の冷却ファン17dが回転している。
よって、グリル開口部105から矢印Ia,Ibの如く流入した空気をコンデンサ18およびラジエータ17に矢印Ja,Jbの如く導くことができる。
【0154】
ここで、冷却系部品16の中央下部16dおよびロア梁部32間の空間38に隔壁パネル112(隔壁部材21)が設けられている。
よって、グリル開口部105から矢印Icの如く流入した空気が、空間38に流れることを隔壁パネル112で防ぐことができる。
これにより、グリル開口部105から矢印Icの如く流入した空気を、隔壁パネル112でコンデンサ18およびラジエータ17に矢印Jcの如く導くことができる。
【0155】
ここで、図12に示すように、隔壁パネル112および取付座部111を補強リブ113で連結することで隔壁パネル112の剛性(強度)が高められている。
よって、グリル開口部105から矢印Icの如く流入した空気で隔壁パネル112が車体後方に傾く(倒れ込む)ことを防止できる。
これにより、グリル開口部105から矢印Icの如く流入した空気を、隔壁パネル112でコンデンサ18およびラジエータ17に矢印Jcの如く確実に導くことができる。
【0156】
このように、車両内に矢印Ia,Ib,Icの如く導かれた全ての空気をコンデンサ18およびラジエータ17に矢印Ja,Jb,Jcの如く効率よく導いて通過させることができる。
全ての空気がコンデンサ18およびラジエータ17を通過することで、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を好適に確保できる。
【0157】
コンデンサ18およびラジエータ17を通過した殆どの空気はエンジンルーム22の後方に向けて矢印Ka,Kbの如く導かれる。
残りの空気はエンジンルーム22内の機器(図示せず)に案内されて矢印Kcの如く下方に導かれる。
【0158】
図21(b)に示すように、矢印Kcの如く下方に導かれた空気はラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に矢印Lcの如く流れる。
ここで、隔壁パネル112の上端部112aに張出片114が設けられている。
よって、隔壁パネル112側に戻された空気の流れを張出片114で遮り、戻された空気が隔壁パネル112の上端部112aを乗り越えることを阻止できる。
【0159】
これにより、矢印Lcの如く下方に導かれた空気が、ラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112の張出片114を経て車体前方に戻される(リサーキュレーションする)ことを防止できる。
空気の車体前方側へのリサーキュレーションを防止することで、グリル開口部105から矢印Ia,Ib,Icの如く流入した空気をコンデンサ18およびラジエータ17に一層効率よく導くことができる。
したがって、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を一層高めることができる。
【0160】
ついで、車両走行中に冷却系部品16が上下方向に振動する例や前後方向に揺動(振動)する例を図22に基づいて説明する。
図22に示すように、隔壁パネル112(隔壁部材21)をコンデンサ18やラジエータ17に対して車体前後方向へ離した位置(オフセットさせた位置)に配置した。
これにより、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に矢印Mの如く振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が隔壁パネル112(隔壁部材21)と干渉することを防止できる。
【0161】
加えて、補強リブ113を略三角形状に形成することで、コンデンサ18の下部18cに対峙する傾斜辺113cをコンデンサ18の下部18cより下方に大きく離すことができる。
よって、傾斜辺113cおよびコンデンサ18の下部18c間の距離H1を大きく確保できる。
これにより、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が傾斜辺113c(隔壁部材21)と干渉することを防止できる。
【0162】
さらに、隔壁パネル112をコンデンサ18やラジエータ17に対して車体前後方向へ離して配置した。
よって、車両の加速時や停止時などにおいて冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が前後方向に揺動(振動)した場合、前後方向に揺動(振動)した冷却系部品16が隔壁パネル112に干渉することを防ぐことができる。
【0163】
なお、本発明に係る車体前部構造10は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、上下の弾性部材として上下のばね部材67,93を用いた例について説明したが、これに限らないで、硬質ゴムなどの他の弾性部材を用いることも可能である。
【0164】
また、前記実施例では、車体前部構造10の左前部に障害物98が軽衝突(オフセット衝突)した場合について説明したが、これに限らないで、車体前部構造10の右前部に障害物98が軽衝突(オフセット衝突)した場合でも同様の効果を得ることができる。
加えて、車体前部構造10の前部に障害物98が正面衝突(軽衝突)した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0165】
さらに、前記実施例では、左上支持機構35のアッパ移動ブラケット42や左下支持機構36のロア移動ブラケット72に軽衝突時の衝撃荷重が作用した例について説明したが、これに限らないで、軽衝突時の衝撃荷重より大きな荷重が作用した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0166】
また、前記実施例では、左上支持機構35に一対(2個)の上締結手段43を設けた例について説明したが、これに限らないで、上締結手段43を2個以上の複数個設けることも可能である。
加えて、左下支持機構36に一対(2個)の下締結手段73を設けた例について説明したが、これに限らないで、下締結手段73を2個以上の複数個設けることも可能である。
【0167】
さらに、前記実施例で示した車体前部構造10、フロントバルクヘッド15、冷却系部品16、左上部16a、下部16b、左下部16c、中央下部16d、ラジエータ17、コンデンサ18、隔壁部材21、ロア梁部32、左右の下支持機構36、空間38、取付座部111、隔壁パネル112、補強リブ113および張出片114などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、フロントバルクヘッドのアッパ梁部に冷却系部品の上部が設けられるとともにロア梁部に冷却系部品の下部が設けられた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0169】
10…車体前部構造、15…フロントバルクヘッド、16…冷却系部品、16a…左上部(上部)、16b…下部、16c…左下部(下部)、16d…中央下部(下部)、17…ラジエータ(後冷却系部品)、18…コンデンサ(前冷却系部品)、21…隔壁部材、32…ロア梁部、36…左右の下支持機構(下支持機構)、38…空間、111…取付座部、112…隔壁パネル、112a…隔壁パネルの上端部、113…補強リブ、114…張出片。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントバルクヘッドのアッパ梁部およびロア梁部に冷却系部品が設けられた車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体前部構造のなかには、左右のフロントサイドフレームおよび左右のアッパメンバーにフロントバルクヘッドが設けられ、フロントバルクヘッドに冷却系部品が設けられたものがある。
この冷却系部品は、フロントバルクヘッドのアッパ梁部に冷却系部品の上部が取り付けられ、フロントバルクヘッドのロア梁部にロア支持ブラケットを介して冷却系部品の下部が取り付けられている。
そして、アッパ梁部が左右のアッパメンバーに車体後方に向けて移動可能にボルトで締結され、ロア支持ブラケットがロア梁部に車体後方に向けて移動可能にボルトで締結されている。
【0003】
この車体前部構造によれば、例えば、軽衝突によって車体前部に衝撃荷重(入力)が作用した場合に、アッパ梁部とともに冷却系部品の上部を車体後方に向けて移動させることが可能である。同時に、ロア支持ブラケットとともに冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動させることが可能である。
冷却系部品の上部および下部を車体後方に向けて移動させることで、衝撃荷重で冷却系部品が損傷することを防ぐことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−137482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の車体前部構造は、冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動させるために、冷却系部品の下部およびロア梁部間にロア支持ブラケットが介在されている。
よって、冷却系部品の下部およびロア梁部間にロア支持ブラケットを介在させる空間を確保する必要がある。
【0006】
しかし、冷却系部品の下部およびロア梁部間に空間を確保すると、車両の走行中に車両前方から導入された空気の一部がこの空間を経て車体後方(エンジンルーム側)に流れてしまうことが考えられる。
このため、車両前方から導入された空気を冷却系部品に効率よく導くことが難しく、この観点から改良の余地が残されていた。
【0007】
本発明は、衝撃荷重による冷却系部品の損傷を防ぐことができ、さらに、車両前方から導入された空気を冷却系部品に効率よく導くことができる車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、フロントバルクヘッドのアッパ梁部に冷却系部品の上部が設けられるとともに、前記フロントバルクヘッドのロア梁部に冷却系部品の下部が設けられた車体前部構造において、前記ロア梁部に設けられるとともに前記冷却系部品の下部を支持可能で、かつ、前記冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動可能な下支持機構と、前記下支持機構に前記冷却系部品の下部が支持され、前記冷却系部品の下部および前記ロア梁部間の空間に配置されて前記空間を前後に仕切る隔壁部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2は、前記隔壁部材は、前記冷却系部品に対して車体前後方向に離れた位置に配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3は、前記隔壁部材は、前記ロア梁部に取り付けられた取付座部と、前記取付座部から上方に立ち上げられて前記空間を前後に仕切る隔壁パネルと、前記隔壁パネルおよび前記取付座部を連結した略三角形状の補強リブと、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4は、前記隔壁部材は、前記隔壁パネルの上端部から車体後方の前記冷却系部品へ向けて張り出された張出片を有することを特徴とする。
【0012】
ここで、車両走行中に車体前方から導かれた空気は冷却系部品を通過した後、一部の空気が冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れる。
そして、隔壁パネル側に流れた空気は、隔壁パネルの上端部を乗り越えて隔壁パネルの前方に戻される(リサーキュレーションする)ことが考えられる。
そこで、隔壁パネルの上端部に張出片を設け、この張出片で隔壁パネル側に流れた空気が隔壁パネルの上端部を乗り越えることを防ぐようにした。
【0013】
請求項5は、前記冷却系部品は、車体前方側に設けられた前冷却系部品と、車体後方側に設けられた後冷却系部品と、を備え、前記隔壁部材は、前記前冷却系部品および前記後冷却系部品間に設けられたことを特徴とする。
【0014】
ここで、車両走行中に車体前方から導かれた空気は前後の冷却系部品を通過した後、一部の空気が後冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れる。
このため、隔壁部材を前冷却系部品の車体前方側に設けると、後冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れた空気が前後の冷却系部品間に流れ込んでしまい前後の冷却系部品の冷却性能を確保し難くなる。
【0015】
一方、隔壁部材を後冷却系部品の車体後方側に設けると、隔壁部材が前冷却系部品から車体後方側に離れすぎてしまう。
よって、冷却系部品の下部およびロア梁部間の空間に向けて車両前方から導入された空気を隔壁部材で前冷却系部品側に導くことが難しく、前後の冷却系部品の冷却性能を確保し難くなる。
【0016】
そこで、請求項5において、前冷却系部品および後冷却系部品間に隔壁部材を設けるようにした。
よって、後冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れた空気が前後の冷却系部品間に流れ込むことを防ぎ、さらに、車両前方から導入された空気を隔壁部材で前冷却系部品側に導くことができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、ロア梁部に下支持機構を設け、この下支持機構で冷却系部品の下部を支持可能で、かつ、車体後方に向けて移動可能とした。
よって、下支持機構に荷重(入力)が車体前方から車体後方に向けて作用した際に、下支持機構で冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動させることができる。
これにより、冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動させて、冷却系部品が荷重で損傷することを防ぐことができる。
【0018】
さらに、ロア梁部に下支持機構を設け、下支持機構で冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動可能とした。
よって、ロア梁部を車体後方に移動させる必要がないので、ロア梁部を一体的に強固に設ける(取り付ける)ことができ、フロントバルクヘッドの剛性を確保できる。
これにより、フロントバルクヘッドで車体前部構造の剛性を確保することが可能になり、車体前部構造の剛性を多種のパワーユニット(例えば、エンジン・トランスミッションユニット)に対応させることができる。
【0019】
加えて、冷却系部品の下部およびロア梁部間において、下支持機構を避けた空間に隔壁部材を配置し、隔壁部材で空間を前後に仕切るようにした。
よって、冷却系部品の下部およびロア梁部間の空間に向けて車両前方から導入された空気を隔壁部材で冷却系部品側に案内することができる。
これにより、車両前方から導入された空気を冷却系部品に効率よく導くことができ、冷却系部品の冷却性能を確保することができる。
【0020】
請求項2に係る発明では、隔壁部材を冷却系部品に対して車体前後方向に離れた位置(すなわち、オフセットされた位置)に配置した。
これにより、車両の走行振動で冷却系部品が上下方向に振動した場合に、冷却系部品が隔壁部材と干渉することを防止できる。
【0021】
請求項3に係る発明では、取付座部から隔壁パネルを上方に立ち上げ、隔壁パネルで空間を前後に仕切るようにした。さらに、隔壁パネルおよび取付座部を略三角形状の補強リブで連結した。
よって、補強リブで隔壁パネルを補強することができ、車両走行中に導かれた空気で隔壁パネルが車体後方に傾く(倒れ込む)ことを防止できる。
これにより、冷却系部品の下部およびロア梁部間の空間に向けて車両前方から導入された空気を隔壁パネルで冷却系部品側に案内して冷却系部品の冷却性能を確保できる。
【0022】
請求項4に係る発明では、隔壁パネルの上端部から車体後方の冷却系部品へ向けて張出片を張り出した。
隔壁パネルの上端部から張出片を張り出すことで、張り出した張出片で隔壁パネル側に流れた空気が隔壁パネルの上端部を乗り越えることを防ぐことができる。
このように、隔壁パネルの上端部に張出片を設けることで、冷却系部品を通過した空気の一部が冷却系部品の下部側から隔壁パネルを経て車体前方に戻される(リサーキュレーションする)ことを防ぐことができる。
【0023】
請求項5に係る発明では、前冷却系部品および後冷却系部品間に隔壁部材を設けた。
よって、後冷却系部品の下部側から隔壁パネル側に流れた空気が前後の冷却系部品間に流れ込むことを防ぎ、さらに、車両前方から導入された空気を隔壁部材で前冷却系部品側に導くことができる。
これにより、前冷却系部品および後冷却系部品の冷却性能を確保することができる。
【0024】
さらに、前冷却系部品および後冷却系部品間に隔壁部材を設けることで、隔壁部材を前後の冷却系部品に対して車体前後方向に離れた位置(すなわち、オフセットされた位置)に配置できる。
これにより、車両の走行振動で前後の冷却系部品が上下方向に振動した場合に、前後の冷却系部品が隔壁部材と干渉することを防止できる。
また、車両の加速時や停止時などにおいて前後の冷却系部品が前後方向に揺動(振動)した場合に、前後の冷却系部品が隔壁部材に干渉することを防止できる。
【0025】
加えて、前冷却系部品および後冷却系部品間に隔壁部材を設けた。よって、前冷却系部品が隔壁部材より車体前方側に配置され、後冷却系部品が隔壁部材より車体後方側に配置される。
これにより、隔壁部材より車体前方側に配置された前冷却系部品の下部のみを隔壁部材の上方に配置することで、前後の冷却系部品を隔壁部材に干渉させずに車体後方に移動させることができる。
【0026】
すなわち、後冷却系部品は隔壁部材より車体後方側に設けられている。よって、後冷却系部品の下部を隔壁部材の下方まで延ばしても、後冷却系部品の下部を隔壁部材に干渉させずに車体後方に移動できる。
これにより、後冷却系部品の形状を任意に形成でき、設計の自由度を高めることができる。
【0027】
このように、前冷却系部品の下部のみを隔壁部材の上方に配置することで、前後の冷却系部品を車体後方に移動可能とすることができる。
これにより、例えば車体前部に障害物などが軽衝突した場合に、前後の冷却系部品を車体後方に向けて移動させて、前後の冷却系部品が衝突荷重で損傷することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る車体前部構造を示す斜視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図1の車体前部構造を示す平面図である。
【図4】図1の車体前部構造を示す斜視図である。
【図5】図4の車体前部構造を示す分解斜視図である。
【図6】図5の左上支持機構を示す分解斜視図である。
【図7】図4の7−7線断面図である。
【図8】図5の左下支持機構を示す分解斜視図である。
【図9】図4の9−9線断面図である。
【図10】本発明に係る車体前部構造の隔壁部材を示す斜視図である。
【図11】図1の11−11線断面図である。
【図12】図11の12部拡大図である。
【図13】本発明に係る車体前部構造の左上支持機構を組み付ける手順を説明する図である。
【図14】本発明に係る車体前部構造の左下支持機構を組み付ける手順を説明する図である。
【図15】本発明に係る左上支持機構および左下支持機構をフロントバルクヘッドに組み付ける手順を説明する図である。
【図16】本発明に係る左上支持機構および左下支持機構に衝撃荷重が作用した状態を説明する図である。
【図17】本発明に係る左上支持機構のアッパ移動ブラケットを車体後方にスライド移動させる例を説明する図である。
【図18】本発明に係る左下支持機構のロア移動ブラケットを車体後方にスライド移動させる例を説明する図である。
【図19】本発明に係る左上支持機構および左下支持機構で冷却系部品を車体後方に移動させる例を説明する図である。
【図20】本発明に係る冷却系部品を車体後方に移動させた状態を説明する図である。
【図21】車両走行中に導いた空気で冷却系部品を冷却する例を説明する図である。
【図22】車両走行中に冷却系部品が上下方向に振動する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0030】
実施例に係る車体前部構造10について説明する。
なお、車体前部構造10の骨格部を構成するフロントサイドフレーム、アッパメンバーおよびアッパサイドフレームは左右対称の部材なので左側部材について説明して右側部材の説明を省略する。
【0031】
図1に示すように、車体前部構造10は、車体前部の左右側にそれぞれ設けられた左右のフロントサイドフレーム11と、左右のフロントサイドフレーム11の外側上方にそれぞれ設けられた左右のアッパメンバー12と、左右のアッパメンバー12に設けられた左右のアッパサイドフレーム13と、左右のアッパサイドフレーム13および左右のフロントサイドフレーム11に設けられたバルクヘッド15と、バルクヘッド15に設けられて冷却系部品16を支える冷却系支持ユニット20と、冷却系支持ユニット20間に設けられた隔壁部材21とを備えている。
【0032】
図2、図3に示すように、冷却系部品16は、エンジンルーム22に臨む部位に設けられたラジエータ(後冷却系部品)17と、ラジエータ17の前方に設けられたコンデンサ(前冷却系部品)18とを備えている。
【0033】
ラジエータ17は、車体後方側に設けられ、例えば、エンジンの冷却水を冷却するものである。
このラジエータ17は、ラジエータ本体17cの車体後方側に冷却ファン17dを備えている。
コンデンサ18は、車体前方側に設けられ、例えば、エアコン用の冷媒ガスを冷却して液化するものである。
【0034】
エンジンルーム22においてラジエータ17の車体後方に吸気ダクト(エンジン補機)23およびバッテリ24が設けられている。吸気ダクト23は、エンジン25の気化器に空気を導くためのダクトである。
また、エンジンルーム22の下方に、エンジン25を支える(搭載する)サブフレーム26が設けられている。
【0035】
図1に示すように、左フロントサイドフレーム11は、車体前部の左側に配置され、車体前後方向に延びる部材である。
左アッパメンバー12は、左フロントサイドフレーム11の上方外側に配置され、後端部が左フロントピラー(図示せず)に連結され、前端部が左フロントサイドフレーム11の前端部11aに溶接(例えば、スポット溶接)で接合された部材である。
【0036】
左アッパサイドフレーム13は、左アッパメンバー12の略中央部12aから車体前方で、かつ車体中心側に向けてバルクヘッド15の左上端部15aまで湾曲状に延出されている。
【0037】
バルクヘッド15は、左右のフロントサイドフレーム11に設けられた左右のサイド脚部31と、左右のサイド脚部31の下端部31aに設けられたロア梁部32と、左右のサイド脚部31の上端部31bに設けられたアッパ梁部33とで略矩形状に形成された枠体である。
【0038】
ロア梁部32は、左右のサイド脚部31の下端部31aに架け渡されている。
具体的には、ロア梁部32は、左サイド脚部31の下端部31aに左端部32aが溶接(例えば、スポット溶接)で接合され、右サイド脚部31の下端部31aに右端部32aが溶接(例えば、スポット溶接)で接合されている。
【0039】
アッパ梁部33は、左右のサイド脚部31の上端部31bに架け渡されている。
具体的には、アッパ梁部33は、左サイド脚部31の上端部31bに左端部(左上端部)15aが溶接(例えば、スポット溶接)で接合され、右サイド脚部31の上端部31bに右端部(右上端部)15aが溶接(例えば、スポット溶接)で接合されている。
バルクヘッド15には、冷却系部品16を支える冷却系支持ユニット20が設けられている。
【0040】
冷却系支持ユニット20は、アッパ梁部33の左右の端部15aに設けられた左右の上支持機構(上支持機構)35と、ロア梁部32の左右の端部32aに設けられた左右の下支持機構(下支持機構)36とを備えている。
【0041】
冷却系支持ユニット20の車体前方側にはバンパービーム(図示せず)が設けられている。バンパービームに車体前方から後方に向けて衝撃荷重(荷重、入力)が作用することで、バンパービームに作用した衝撃荷重がバンパービームを経て冷却系支持ユニット20に伝えられる。
【0042】
図4に示すように、左上支持機構35は、アッパ梁部33の左端部15aに設けられるとともに冷却系部品16の左上部(上部)16a(図2、図3参照)を支持可能で、かつ、冷却系部品16の左上部16aを車体後方に向けて移動可能な機構である。
左下支持機構36は、ロア梁部32の左端部32aに設けられている。
この左下支持機構36は、冷却系部品16の下部16bのうち左下部(下部)16c(図2参照)を支持可能で、かつ、冷却系部品16の下部16bを車体後方に向けて移動可能な機構である。
【0043】
図5、図6に示すように、左上支持機構35は、アッパ梁部33の左端部15aに設けられたアッパ支持ブラケット41と、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)に設けられたアッパ移動ブラケット42と、アッパ移動ブラケット42をアッパ支持ブラケット41に締結する一対の上締結手段(上締結手段)43とを備えている。
【0044】
アッパ支持ブラケット41は、アッパ梁部33の左端部15aのうち前壁15bに設けられた鉛直部45と、鉛直部45の下端から車体前方に向けて下り勾配に張り出された傾斜部46(図2も参照)と、傾斜部46の前端部から車体前方に略水平に張り出された水平部47とを有する。
【0045】
鉛直部45は、車幅方向に所定間隔をおいて一対の取付孔45aが形成されている。
鉛直部45の一対の取付孔45aにボルト51を差し込み、前壁15bの一対の溶接ナット52にねじ結合することで、鉛直部45が前壁15bに沿って一対のボルト51で取り付けられている。
この状態で、アッパ梁部33の下方で、かつ、アッパ梁部33の前方に水平部47が位置する(図2も参照)。
水平部47は、上面に一対の溶接ナット54が車幅方向に所定間隔L1をおいて溶接されている。
【0046】
アッパ移動ブラケット42は、アッパ支持ブラケット41の下方で、かつ、アッパ支持ブラケット41の水平部47に沿って配置された部材である。
このアッパ移動ブラケット42は、ラジエータ17の左上部17a(図2も参照)やコンデンサ18の左上部18a(図2参照)を支えるアッパ支え部56と、アッパ支え部56から車体前方に向けて突出されたアッパ当接部57とを有する。
【0047】
アッパ支え部56は、アッパ支持ブラケット41の水平部47の下方で、かつ、水平部47に沿って配置された略台形状の部位である。
このアッパ支え部56は、後端部56aに上ラジエータ支え部61が設けられ、上ラジエータ支え部61の車体前方側に上コンデンサ支え部62が設けられ、前左右端部に車幅方向に所定間隔L1をおいて一対のスリット63が形成されている。
【0048】
上ラジエータ支え部61は、ラジエータ17の左上部17aに嵌合することで左上部17aを支えることができる。
上コンデンサ支え部62は、コンデンサ18の左上部18aに嵌合することで左上部18aを支えることができる。
すなわち、アッパ支え部56は、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)に設けられることで、冷却系部品16の左上部16aを支える部材である。
【0049】
一対のスリット63は、アッパ支え部56のうちアッパ支持ブラケット41に対向する部位(具体的には、水平部47の一対の溶接ナット54に対向する前左右端の部位)56bにそれぞれ設けられている。
このスリット63は、車体前方へ向けて開口するように形成され、前端に開口部63aを有するガイド溝である。
【0050】
スリット63に貫通された上締結ボルト65(後述する)に沿ってスリット63が車体後方に移動可能で、かつ、開口部63aが上締結ボルト65を通過することで上締結ボルト65からスリット63を外すことができる。
【0051】
アッパ当接部57は、アッパ支え部56の前端のうち車幅方向中央(すなわち、一対のスリット63間の前端中央)56cから車体前方に向けて略水平に突出された突出片で、前端部57aが下方に折り曲げられている。
アッパ当接部57をアッパ支え部56の前端中央56cから突出させることで、アッパ当接部57の前端部57aに軽衝突時の衝撃荷重(荷重、入力)を車体前方から車体後方に向けて作用させることができる。
アッパ移動ブラケット42はアッパ支持ブラケット41に一対の上締結手段43で締結されている。
【0052】
一対の上締結手段43は、アッパ当接部57に対して一方の上締結手段43が車体外側に設けられ、アッパ当接部57に対して他方の上締結手段43が車体内側(車体中心側)に設けられている。
【0053】
一方の上締結手段43は、アッパ移動ブラケット42をアッパ支持ブラケット41に締結する上締結ボルト(上締結部材)65と、上締結ボルト65に嵌合された上ばね部材(上弾性部材)67およびワッシャ68とを備えている。
上締結ボルト65は、ワッシャ65bを一体にまとめた、通称「フランジボルト」と称するボルトが用いられている。
以下、構成の理解を容易にするためワッシャ65bを第1ワッシャ、ワッシャ68を第2ワッシャとして説明する。
【0054】
他方の上締結手段43は、一方の上締結手段43と同一構成部材なので各構成部材に一方の上締結手段43と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0055】
図6、図7に示すように、一方の上締結手段43は、上締結ボルト65に上ばね部材67および第2ワッシャ68を嵌合させた状態で、上締結ボルト65が一方(車体外側)のスリット63を貫通して一方(車体外側)の溶接ナット54にねじ結合されている。
上ばね部材67は圧縮ばねである。
【0056】
この状態で、第2ワッシャ68がアッパ支え部56の前左端部56bに当接され、第1ワッシャ65bおよび第2ワッシャ68間に上ばね部材67が圧縮された状態で介在されている。
換言すれば、上ばね部材67は、アッパ支え部56の前左端部56bおよび上締結ボルト65の頭部65aに第1ワッシャ65bおよび第2ワッシャ68を介して圧縮された状態で介在されている。
【0057】
他方の上締結手段43は、一方の上締結手段43と同様に、第2ワッシャ68がアッパ支え部56の前右端部56bに当接され、第1ワッシャ65bおよび第2ワッシャ68間に上ばね部材67が圧縮された状態で介在されている。
換言すれば、他方の上締結手段43の上ばね部材67は、アッパ支え部56の前右端部56bおよび上締結ボルト65の頭部65aに第1ワッシャ65bおよび第2ワッシャ68を介して圧縮された状態で介在されている。
【0058】
このように、一方の上締結手段43がアッパ当接部57に対して車体外側に設けられ、他方の上締結手段43がアッパ当接部57に対して車体内側(車体中心側)に設けられることで、一対の上締結手段43がアッパ移動ブラケット42の車幅方向両側に設けられている。
【0059】
この状態で、一対のスリット63に上締結ボルト65がそれぞれ貫通されている。
よって、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42が一対の上締結手段43で車体後方に移動自在に締結されている。
これにより、アッパ梁部33(前壁15b)に左上支持機構35を介して冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)が車体後方に移動自在に設けられる。
【0060】
アッパ移動ブラケット42の車幅方向両側(車体外側および車体中心側)に上締結手段43をそれぞれ設けることで、アッパ移動ブラケット42の車体前後方向略中央に一対の上締結手段43を備えることができる。
よって、アッパ移動ブラケット42の形状を車体後方に大きく張り出す必要がなく、アッパ移動ブラケット42の小型化を図ることができる。
【0061】
このように、アッパ移動ブラケット42の小型化を図り、かつ、アッパ移動ブラケット42を所望方向(車体後方)に安定的にスライド移動させることで、アッパ移動ブラケット42の車体後方への突出方向や突出量を好適に抑えることができる。
【0062】
さらに、アッパ移動ブラケット42および上締結ボルト65の頭部65a間に上ばね部材67を介在させることで、上締結ボルト65の締結荷重を上ばね部材67で好適に調整することができる。
これにより、アッパ移動ブラケット42のスリット63を上締結ボルト65から外す際の荷重(すなわち、「抜去荷重」)の管理が容易になり、性能品質を良好に保つことができる。
【0063】
図5、図8に示すように、左下支持機構36は、ロア梁部32の左端部32aに設けられたロア支持ブラケット71と、冷却系部品16の左下部16c(図2参照)に設けられたロア移動ブラケット72と、ロア移動ブラケット72をロア支持ブラケット71に締結する一対の下締結手段(下締結手段)73とを備えている。
【0064】
ロア支持ブラケット71は、ロア梁部32の左端部32aのうち上部32bに沿って設けられ、平面視で略四角形に形成されている。
このロア支持ブラケット71は、四隅に取付孔71aがそれぞれ形成されている。
四隅の取付孔71aにボルト75をそれぞれ差し込み、上部32bの溶接ナット76にねじ結合することで、ロア支持ブラケット71が上部32bに4個のボルト75で取り付けられる。
【0065】
この状態で、ロア支持ブラケット71のブラケット本体71bが上部32bに対して上方に浮いた状態で配置される(図9も参照)。
ブラケット本体71bは、車体中心側部71cに溶接ナット78が溶接され、車体外側部71dに溶接ナット78が溶接されている。
車体中心側部71cの溶接ナット78および車体外側部71dの溶接ナット78は、車幅方向に所定間隔L2をおいて溶接されている。
【0066】
ロア移動ブラケット72は、ロア支持ブラケット71の上方で、かつ、ロア支持ブラケット71に沿って配置されている。
このロア移動ブラケット72は、ラジエータ17の左下部17b(図2参照)やコンデンサ18の左下部18b(図2参照)を支えるロア支え部81と、ロア支え部81から車体前方に向けて突出されたロア当接部82とを有する。
【0067】
ロア支え部81は、ロア支持ブラケット71の上方で、かつ、ロア支持ブラケット71に沿って配置された略矩形状の部位である。
このロア支え部81は、後端部81aに下ラジエータ支え部84が設けられ、下ラジエータ支え部84の車体前方側に下コンデンサ支え部85が設けられ、車体中心側部81bにスリット86が形成され、外側部81cにスロット穴87の後半部87aが形成されている。
【0068】
下ラジエータ支え部84は、ラジエータ17の左下部17bに嵌合することで左下部17bを支えることができる。
下コンデンサ支え部85は、コンデンサ18の左下部18bに嵌合することで左下部18bを支えることができる。
すなわち、ロア移動ブラケット72は冷却系部品16の左下部16c(図2参照)に設けられることで、冷却系部品16の左下部16cを支える部材である。
【0069】
スリット86は、ロア支持ブラケット71(車体中心側部71c)の溶接ナット78に対向する部位(車体中心側部)81bに設けられている。
このスリット86は、車体前方へ向けて開口するように形成され、前端に開口部86aを有するガイド溝である。
スリット86に貫通された下締結ボルト91(後述する)に沿ってスリット86が車体後方に移動可能で、かつ、開口部86aが下締結ボルト91を通過することで下締結ボルト91からスリット86を外すことができる。
【0070】
スロット穴87の後半部87aは、ロア支持ブラケット71(車体外側部71d)の溶接ナット78に対向する部位(外側部)81cに設けられ、車体前後方向へ向けて延びている。
【0071】
ロア当接部82は、ロア支え部81の前端から車体前方に向けて略水平に突出された突出片で、外側部82aにスロット穴87の前半部87bが形成され、前端部82bが上方に折り曲げられている。
【0072】
スロット穴87の前半部87bは、スロット穴87の後半部87aから車体前方に向けて直線上に延出されている。
前半部87bおよび後半部87aでスロット穴87が形成されている。
スロット穴87は、車体前後方向に向けて直線上に延出され、スロット穴87に貫通された下締結ボルト91(後述する)に沿って車体後方に移動可能なガイド用の長穴である。
スロット穴87およびスリット86は、車幅方向に所定間隔L2をおいて形成されている。
【0073】
ロア当接部82をロア支え部81の前端から突出させることで、ロア当接部82の前端部82bに軽衝突時の衝撃荷重(荷重、入力)を車体前方から車体後方に向けて作用させることができる。
ロア移動ブラケット72はロア支持ブラケット71に一対の下締結手段73で締結されている。
【0074】
一対の下締結手段73は、一方の下締結手段73がスロット穴87に対応するように車体外側に設けられ、他方の下締結手段73がスリット86に対応するように車体内側(車体中心側)に設けられている。
【0075】
一方の下締結手段73は、ロア移動ブラケット72をロア支持ブラケット71に締結する下締結ボルト(下締結部材)91と、下ばね部材(下弾性部材)93および第2ワッシャ94とを備えている。
下締結ボルト91は、ワッシャ91bを一体にまとめた、通称「フランジボルト」と称するボルトが用いられている。
以下、構成の理解を容易にするためワッシャ91bを第1ワッシャ、ワッシャ94を第2ワッシャとして説明する。
【0076】
他方の下締結手段73は、一方の下締結手段73と同一構成部材なので各構成部材に一方の下締結手段73と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0077】
図8、図9に示すように、一方の下締結手段73は、下締結ボルト91に下ばね部材93および第2ワッシャ94を嵌合させた状態で、下締結ボルト91がスロット穴87を貫通して一方の溶接ナット78にねじ結合されている。
下ばね部材93は圧縮ばねである。
【0078】
この状態で、第2ワッシャ94がロア支え部81の外側部81cに当接され、第1ワッシャ91bおよび第2ワッシャ94間に下ばね部材93が圧縮された状態で介在されている。
換言すれば、下ばね部材93は、下締結ボルト91の頭部91aおよびロア支え部81の外側部81cに第1ワッシャ91bおよび第2ワッシャ94を介して圧縮された状態で介在されている。
【0079】
他方の下締結手段73は、下締結ボルト91に下ばね部材93および第2ワッシャ94を嵌合させた状態で、下締結ボルト91がスリット86を貫通して他方(車体内側(車体中心側))の溶接ナット78にねじ結合されている。
【0080】
この他方の下締結手段73は、一方の下締結手段73と同様に、第2ワッシャ94がロア支え部81の車体中心側部81bに当接され、第1ワッシャ91bおよび第2ワッシャ94間に下ばね部材93が圧縮された状態で介在されている。
換言すれば、他方の下締結手段73の下ばね部材93は、下締結ボルト91の頭部91aおよびロア支え部81の車体中心側部81bに第1ワッシャ91bおよび第2ワッシャ94を介して圧縮された状態で介在されている。
【0081】
このように、一方の下締結手段73がロア移動ブラケット72の外側部81cに設けられ、他方の下締結手段73がロア移動ブラケット72の車体中心側部81bに設けられることで、一対の下締結手段73がロア移動ブラケット72の車幅方向両側に設けられている。
【0082】
この状態で、スリット86に下締結ボルト91が貫通されるとともに、スロット穴87に下締結ボルト91が貫通されている。
よって、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72が一対の下締結手段73で車体後方に移動自在に締結されている。
これにより、ロア梁部32(上部32b)に左下支持機構36を介して冷却系部品16の左下部16c(図2参照)が車体後方に移動自在に設けられる。
【0083】
ここで、スロット穴87は車体前後方向に延出されている。
これにより、ロア移動ブラケット72を車体後方に移動(スライド移動)させる際に、スロット穴87を下締結ボルト91に沿わせて移動させることができる。
【0084】
ロア移動ブラケット72の車幅方向両側に下締結手段73をそれぞれ設けることで、ロア移動ブラケット72の車体前後方向略中央に一対の下締結手段73を備えることができる。
よって、ロア移動ブラケット72の形状を車体後方に大きく張り出す必要がなく、ロア移動ブラケット72の小型化を図ることができる。
【0085】
このように、ロア移動ブラケット72の小型化を図り、かつ、ロア移動ブラケット72を所望方向(車体後方)に安定的にスライド移動させることで、ロア移動ブラケット72の車体後方への突出方向や突出量を好適に抑えることができる。
【0086】
さらに、ロア移動ブラケット72および下締結ボルト91の頭部91a間に下ばね部材93を介在させることで、下締結ボルト91の締結荷重を下ばね部材93で好適に調整することができる。
これにより、ロア移動ブラケット72のスリット86を下締結ボルト91から外す際の荷重(すなわち、「抜去荷重」)の管理が容易になり、性能品質を良好に保つことができる。
さらに、ロア移動ブラケット72のスロット穴87を下締結ボルト91に沿わせて移動する際の荷重(すなわち、「移動荷重」)の管理が容易になり、性能品質を良好に保つことができる。
【0087】
図4に示すように、車体前部構造10によれば、アッパ梁部33に左上支持機構35を設け、この左上支持機構35で冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)を支持可能で、かつ、車体後方に向けて移動可能とした。
また、ロア梁部32に左下支持機構36を設け、この左下支持機構36で冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を支持可能で、かつ、車体後方に向けて移動可能とした。
【0088】
よって、左上支持機構35および左下支持機構36に衝撃荷重が車体前方から作用した際に、各支持機構35,36で冷却系部品16を車体後方に向けて移動させることができる。
これにより、冷却系部品16を車体後方に向けて移動させて、冷却系部品16が衝撃荷重で損傷することを防ぐことができる。
【0089】
さらに、アッパ梁部33の左上支持機構35およびロア梁部32の左下支持機構36で冷却系部品16を車体後方に向けて移動可能とさせることで、アッパ梁部やロア梁部を車体後方に移動させる必要がない。
アッパ梁部33やロア梁部32を車体後方に移動させる必要がないので、アッパ梁部33やロア梁部32を一体的に強固に設けて(取り付けて)フロントバルクヘッド15の剛性を確保できる。
これにより、フロントバルクヘッド15で車体前部構造10の剛性を確保することが可能になり、車体前部構造10を多種のパワーユニット(例えば、エンジン・トランスミッションユニット)に対応させることができる。
【0090】
図10に示すように、冷却系支持ユニット20(具体的には、左下支持機構36のロア支持ブラケット71および右下支持機構36のロア支持ブラケット71)間に隔壁部材21が配置されている。
この隔壁部材21は、冷却系部品16の下部16bのうち中央下部(下部)16dおよびロア梁部32間の空間38に配置され、ロア梁部32に複数のボルト101・ナット102(図12参照)で設けられている(図1も参照)。
【0091】
なお、実施例では隔壁部材21をロア梁部32に取り付ける締結手段としてボルト101・ナット102を例示するが、その他の締結手段としてクリップなどを用いることも可能である。
締結手段としてクリップを用いることで作業性を一層高め、かつ、コストを抑えて安価にできる。
【0092】
ここで、空間38は、冷却系部品16の下部16bおよびロア梁部32間において左右の下支持機構36を避けた空間である。
冷却系部品16の下部16bは、左下部16c、右下部および中央下部16dからなる。
左下部16cは左下支持機構36で支えられる部位であり、右下部は右下支持機構36で支えられる部位である。
【0093】
図11に示すように、空間38に配置された隔壁部材21は、隔壁部材21より車体前方に配置されたグリル開口部105に対峙している。
グリル開口部105は、車両走行中に空気を車両前方からエンジンルーム22側に導入する開口である。
【0094】
図10、図12に示すように、隔壁部材21は、ロア梁部32に取り付けられた取付座部111と、取付座部111から上方に立ち上げられて空間38を前後に仕切る隔壁パネル112と、隔壁パネル112および取付座部111を連結した略三角形状の補強リブ113と、隔壁パネル112の上端部112aから車体後方のラジエータ17へ向けて張り出された張出片114とを有する。
【0095】
取付座部111は、ロア梁部32の中央上部32cに沿って車幅方向に配置され、複数のボルト101・ナット102で中央上部32cに取り付けられている。
この取付座部111は、左下支持機構36のロア支持ブラケット71および右下支持機構36のロア支持ブラケット71間に配置されている。
【0096】
隔壁パネル112は、取付座部111の後端部111aから上方に向けて鉛直に立ち上げられ、コンデンサ18およびラジエータ17間に設けられている。
隔壁パネル112をコンデンサ18およびラジエータ17間に立ち上げることにより、隔壁部材21がコンデンサ18およびラジエータ17間に設けられている。
よって、隔壁部材21(すなわち、隔壁パネル112)で空間38を前後に仕切ることができる。
【0097】
この隔壁パネル112は、コンデンサ18に対して車体後方へ距離L3だけ離れた位置(オフセットさせた位置)に配置されている。
すなわち、隔壁部材21がコンデンサ18に対して車体後方へ離れた位置に配置されている。
【0098】
さらに、隔壁パネル112は、ラジエータ17に対して車体前方へ距離L4だけ離れた位置(オフセットさせた位置)に配置されている。
すなわち、隔壁部材21がラジエータ17に対して車体前方へ離れた位置に配置されている。
【0099】
このように、隔壁部材21が車体前後方向においてコンデンサ18およびラジエータ17間に設けられることで、隔壁部材21が冷却系部品16に対して車体前後方向へ離れた位置に配置されている。
【0100】
ここで、コンデンサ18は、弾性変形可能な上下のコンデンサ支え部62,85(図2参照)で支持されている。
また、ラジエータ17は、弾性変形可能な上下のラジエータ支え部61,84(図2参照)で支持されている。
よって、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動して隔壁パネル112に干渉することが考えられる。
【0101】
そこで、隔壁パネル112をコンデンサ18やラジエータ17に対して車体前後方向へ離した位置(オフセットさせた位置)に配置するようにした。
これにより、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が隔壁パネル112(隔壁部材21)と干渉することを防止できる。
【0102】
また、車両の加速時や停止時などにおいて冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が前後方向に揺動(振動)して隔壁パネル112に干渉することが考えられる。
そこで、隔壁パネル112をコンデンサ18やラジエータ17に対して車体前後方向へ離して配置することで、前後方向に揺動(振動)した冷却系部品16が隔壁パネル112に干渉することを防ぐようにした。
【0103】
特に、冷却系部品16のラジエータ17は下部17eが隔壁パネル112の上端部112aより下方に延びている。
よって、隔壁パネル112をラジエータ17に対して車体前方へ距離L4だけ離すことで、ラジエータ17の下部17eが隔壁パネル112に干渉することを防ぐことができる。
【0104】
加えて、コンデンサ18およびラジエータ17間に隔壁部材21を設けた。よって、コンデンサ18が隔壁部材21より車体前方側に配置され、ラジエータ17が隔壁部材21より車体後方側に配置されている。
これにより、隔壁部材21より車体前方側に配置されたコンデンサ18の下部18cのみを隔壁部材21より距離H2だけ上方に配置することで、コンデンサ18およびラジエータ17を隔壁部材21に干渉させずに車体後方に移動させることができる。
【0105】
すなわち、ラジエータ17は隔壁部材21より車体後方側に設けられている。よって、ラジエータ17の下部17eを隔壁部材21の下方まで延ばしても、ラジエータ17の下部17eを隔壁部材21に干渉させずに車体後方に移動できる。
これにより、ラジエータ17の形状を任意に形成でき、設計の自由度を高めることができる。
【0106】
このように、コンデンサ18の下部18cのみを隔壁部材21の上方に配置することで、コンデンサ18およびラジエータ17を車体後方に移動可能とすることができる。
これにより、例えば車体前部に障害物などが軽衝突した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17を車体後方に向けて移動させて、コンデンサ18およびラジエータ17が衝突荷重で損傷することを防ぐことができる。
【0107】
加えて、冷却系部品16の中央下部16dおよびロア梁部32間の空間38に隔壁パネル112を配置し、隔壁パネル112で空間38を前後に仕切るようにした。
ここで、図11に示すように、隔壁パネル112(すなわち、隔壁部材21)はグリル開口部105に対峙する位置に設けられている。
【0108】
よって、グリル開口部105から空間38に向けて導かれた空気を隔壁パネル112(隔壁部材21)で冷却系部品16側に案内する(上昇させる)ことができる。
これにより、グリル開口部105から導入された空気を冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)に効率よく導くことができ、冷却系部品16の冷却性能を確保できる。
【0109】
ここで、車両走行中にラジエータ17の冷却ファン17dが回転しているので、グリル開口部105から車両内に導かれた空気をコンデンサ18およびラジエータ17に導くことができる。
コンデンサ18およびラジエータ17を通過した空気のうち、殆どの空気がエンジンルーム22の後方に向けて流れ、一部の空気がラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に戻るように流れることが考えられる。
【0110】
このため、例えば、隔壁パネル112をコンデンサ18の車体前方側に設けると、ラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に戻された空気がコンデンサ18およびラジエータ17間の空間39に流れ込むことが考えられる。
ラジエータ17の下部17e側から戻された空気が空間39に流れ込むことで、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を確保し難くなる。
【0111】
一方、隔壁パネル112をラジエータ17の車体後方側に設けると、隔壁パネル112がコンデンサ18から車体後方側に大きく離れすぎてしまう。
よって、グリル開口部105から空間38に向けて導入された空気を隔壁パネル112でコンデンサ18側に導くことが難しく、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を確保し難くなる。
【0112】
そこで、コンデンサ18およびラジエータ17間に隔壁パネル112(隔壁部材21)を設けるようにした。
よって、ラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に戻された空気がコンデンサ18およびラジエータ17間の空間39に流れ込むことを防ぎ、さらに、グリル開口部105から導入された空気を隔壁パネル112でコンデンサ18側に導くことができる。
これにより、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を確保することができる。
【0113】
図10、図12に示すように、補強リブ113は、車幅方向に所定間隔をおいて複数個設けられ、底辺113a、鉛直辺113bおよび傾斜辺113cで略三角形状に形成されている。
底辺113aは、取付座部111の前端部111bから後端部111aまで車体後方に延びた辺である。
鉛直辺113bは、取付座部111の後端部111aから隔壁パネル112の上端部112aまで上方に延びた辺である。
傾斜辺113cは、隔壁パネル112の上端部112aから取付座部111の前端部111bまで下り勾配に延びた辺である。
【0114】
隔壁パネル112および取付座部111を補強リブ113で連結することで、補強リブ113で隔壁パネル112を補強して隔壁パネル112の剛性(強度)を高めることができる。
これにより、車両走行中にグリル開口部105から導かれた空気で隔壁パネル112が車体後方に傾く(倒れ込む)ことを防止できる。
【0115】
さらに、補強リブ113を略三角形状に形成することで、コンデンサ18の下部18cに対峙する辺を傾斜辺113cに形成することができる。
よって、傾斜辺113cをコンデンサ18の下部18cより下方に大きく離して、傾斜辺113cおよびコンデンサ18の下部18c間の距離H1を大きく確保できる。
また、隔壁パネル112は、上端部112a(具体的には、張出片114)がコンデンサ18の下部18cより距離H2だけ下方に配置されている。
【0116】
ここで、隔壁パネル112の上端部112a(張出片114)は、車体前後方向においてコンデンサ18およびラジエータ17間に設けられている。
すなわち、上端部112a(張出片114)は、冷却系部品16に対して車体前後方向へ離れた位置(オフセットさせた位置)に配置されている。
よって、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が上端部112a(張出片114)と干渉することを防止できる。
【0117】
さらに、補強リブ113を略三角形状に形成することで、傾斜辺113cおよびコンデンサ18の下部18c間の距離H1が大きく確保されている。
よって、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が傾斜辺113c(隔壁部材21)と干渉することを防止できる。
【0118】
このように、冷却系部品16が上下方向に振動した場合に、冷却系部品16による上端部112a(張出片114)や傾斜辺113cへの干渉を防ぐことで、冷却系部品16が隔壁部材21に干渉することを防止できる。
【0119】
張出片114は、隔壁パネル112の上端部112aから車体後方のラジエータ17へ向けて略水平に張り出されている。
隔壁パネル112の上端部112aに張出片114を設けることで、隔壁パネル112の剛性(強度)をさらに高めることができる。
【0120】
ここで、車両走行中にグリル開口部105から導かれた空気はコンデンサ18およびラジエータ17を通過した後、一部の空気がラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に戻るように流れることが考えられる。
そして、隔壁パネル112側に流れた空気は、隔壁パネル112の上端部112aを乗り越えて隔壁パネル112の前方に戻される(リサーキュレーションする)虞がある。
【0121】
そこで、隔壁パネル112の上端部112aに張出片114を設けるようにした。
上端部112aに張出片114を設けることで、張出片114で隔壁パネル112側に戻された空気が上端部112aを乗り越えて隔壁パネル112の前方に戻される(リサーキュレーションする)ことを防止できる。
【0122】
つぎに、車体前部構造10の製造方法(組付手順)を図13〜図15に基づいて説明する。
図13(a)に示すように、一方の上締結手段43の上締結ボルト65に上ばね部材67および第2ワッシャ68を嵌合させる。
この状態で、上締結ボルト65をアッパ移動ブラケット42の一方(車体外側)のスリット63に貫通させて、アッパ支持ブラケット41の一方(車体外側)の溶接ナット54に矢印Aの如くねじ結合する。
【0123】
また、他方の上締結手段43の上締結ボルト65に上ばね部材67および第2ワッシャ68を嵌合させる。
この状態で、上締結ボルト65をアッパ移動ブラケット42の他方(車体内側(車体中心側))のスリット63に貫通させてアッパ支持ブラケット41の他方(車体内側(車体中心側))の溶接ナット54に矢印Bの如くねじ結合する。
【0124】
図13(b)に示すように、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42を一対の上締結手段43で車体後方に移動自在に締結する。
【0125】
図14(a)に示すように、一方の下締結手段73の下締結ボルト91に下ばね部材93および第2ワッシャ94を嵌合させる。
この状態で、下締結ボルト91をロア移動ブラケット72のスロット穴87に貫通させてロア支持ブラケット71の一方(車体外側)の溶接ナット78に矢印Cの如くねじ結合する。
【0126】
また、他方の下締結手段73の下締結ボルト91に下ばね部材93および第2ワッシャ94を嵌合させる。
この状態で、下締結ボルト91をロア移動ブラケット72のスリット86に貫通させてロア支持ブラケット71の他方(車体内側(車体中心側))の溶接ナット78に矢印Dの如くねじ結合する。
【0127】
図14(b)に示すように、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72を一対の上締結手段73で車体後方に移動自在に締結する。
【0128】
図15(a)に示すように、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42を締結した状態で、アッパ移動ブラケット42に冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)を支持する。
さらに、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72を締結した状態で、ロア移動ブラケット72に冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を支持する。
【0129】
アッパ移動ブラケット42に冷却系部品16の左上部16aを支持した状態において、アッパ支持ブラケット41の一対の取付孔45aにボルト51を差し込む。
そして、差し込んだ一対のボルト51をアッパ梁部33(前壁15b)の溶接ナット52に矢印Eの如くそれぞれねじ結合する。
【0130】
さらに、ロア移動ブラケット72に冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を支持した状態において、ロア支持ブラケット71の四隅の取付孔71aにボルト75をそれぞれ差し込む。
そして、差し込んだ4個のボルト75をロア梁部32(上部32b)の溶接ナット76に矢印Fの如くねじ結合する。
【0131】
図15(b)に示すように、アッパ支持ブラケット41をアッパ梁部33(前壁15b)に一対のボルト51で取り付ける。
これにより、アッパ梁部33(前壁15b)に左上支持機構35を介して冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)が車体後方に移動自在に設けられる。
【0132】
さらに、ロア支持ブラケット71をロア梁部32(上部32b)に4個のボルト75で取り付ける。
これにより、ロア梁部32(上部32b)に左下支持機構36を介して冷却系部品16の左下部16c(図2参照)が車体後方に移動自在に設けられる。
【0133】
このように、アッパ梁部33にアッパ支持ブラケット41を取り付ける前に、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42を一対の上締結手段43で締結した。
よって、アッパ支持ブラケット41にアッパ移動ブラケット42を一対の上締結手段43で締結する際の締結荷重(すなわち、「抜去荷重」)を好適に調整することができる。
【0134】
同様に、ロア梁部32にロア支持ブラケット71を取り付ける前に、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72を一対の下締結手段73で締結した。
よって、ロア支持ブラケット71にロア移動ブラケット72を一対の下締結手段73で締結する際の締結荷重(すなわち、「移動荷重」)を好適に調整することができる。
【0135】
このように、上下の締結手段43,73の締結荷重を好適に調整することで、締結荷重の管理が容易になり、性能品質を良好に保つことができる。
したがって、フロントバルクヘッド15に左上支持機構35および左下支持機構36を介して冷却系部品16を容易に組み付けることができる。
【0136】
ついで、車体前部構造10の左前部に障害物98が軽衝突(オフセット衝突)した場合に、冷却系部品16の左半部を車体後方に移動させる例を図16〜図20に基づいて説明する。
図16(a),(b)に示すように、車体前部構造10の左前部に障害物98が軽衝突した場合に、左上支持機構35のアッパ当接部57(前端部57a)に衝撃荷重F1が矢印の如く伝わる。
同時に、左下支持機構36のロア当接部82(前端部82b)に衝撃荷重F2が矢印の如く伝わる。
【0137】
ここで、図17(a)に示すように、アッパ移動ブラケット42の一対のスリット63が車体前方へ向けて開口されている(図17(b)も参照)。
そして、スリット63を貫通した上締結ボルト65で上ばね部材67が圧縮されている。よって、アッパ移動ブラケット42が一対の上締結手段43でアッパ支持ブラケット41に締結されている。
これにより、アッパ移動ブラケット42の前端部57aに衝撃荷重F1が伝わることにより、アッパ移動ブラケット42が車体後方に向けて矢印Gの如く移動(スライド移動)する。
【0138】
図17(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42を車体後方に移動させることで、一方の上締結ボルト65から一方(車体外側)のスリット63を外すとともに、他方の上締結ボルト65から他方(車体内側(車体中心側))のスリット63を外すことができる。
【0139】
また、図18(a)に示すように、ロア移動ブラケット72のスロット穴87が車体前後方向へ向けて延出されている。
さらに、ロア移動ブラケット72のスリット86が車体前方へ向けて開口されている(図14(a)も参照)。
そして、スロット穴87を貫通した一方の下締結ボルト91で一方の下ばね部材93が圧縮されている。また、スリット86を貫通した他方の下締結ボルト91で他方の下ばね部材93が圧縮されている。
【0140】
よって、ロア移動ブラケット72が一対の下締結手段73でロア支持ブラケット71に締結されている。
これにより、ロア移動ブラケット72の前端部82bに衝撃荷重F2が伝わることにより、ロア移動ブラケット72が車体後方に向けて矢印Hの如く移動(スライド移動)する。
【0141】
図18(b)に示すように、ロア移動ブラケット72を車体後方に移動させた際に、スリット86を他方の下締結ボルト91から外し、スロット穴87に一方の下締結ボルト91を貫通させた状態に保つことができる。
すなわち、ロア移動ブラケット72がロア支持ブラケット71から離れないように一方の下締結ボルト91で保持することができる。
【0142】
図19(a),(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42を車体後方に向けて矢印Gの如く移動(スライド移動)することで、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)を車体後方に向けて矢印Gの如く移動することができる。
さらに、ロア移動ブラケット72を車体後方に向けて矢印Hの如く移動(スライド移動)することで、冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を車体後方に向けて矢印Hの如く移動することができる。
これにより、冷却系部品16の左半部を車体後方に向けて移動することができる。
【0143】
ここで、図17(a),(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42を車体後方に向けて矢印Gの如く移動(スライド移動)することで、一対の上締結ボルト65からスリット63をそれぞれ外すことができる。
これにより、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)をアッパ支持ブラケット41(アッパ梁部33(図4参照))から外して、冷却系部品16の左上部16aの拘束を解除できる。
【0144】
また、図18(a),(b)に示すように、ロア移動ブラケット72を車体後方に向けて矢印Hの如く移動(スライド移動)させた際に、ロア移動ブラケット72がロア支持ブラケット71(ロア梁部32)から離れないように一方の下締結ボルト91で保持できる。
【0145】
図20(a),(b)に示すように、冷却系部品16をロア移動ブラケット72(すなわち、冷却系部品16の左下部16c(図2参照))を支点として車体後方に向けて矢印Gの如く比較的大きく移動させることができる。
これにより、冷却系部品16の左上部16a(図2、図3参照)が衝撃荷重で損傷することを良好に防ぐことができる。
【0146】
さらに、アッパ移動ブラケット42をアッパ梁部33(アッパ支持ブラケット41)から外すことで、アッパ梁部33に衝撃荷重が作用することを除去できる。
これにより、アッパ梁部33(すなわち、フロントバルクヘッド15)が衝撃荷重で変形することを抑えることができ、修理費(リペア費)を低減することができる。
【0147】
また、ロア移動ブラケット72をロア支持ブラケット71に連結させた状態に保つことで、冷却系部品16の左下部16c(図2参照)を所望方向に安定的に移動させることができる。
そして、冷却系部品16の左下部16cの移動が完了した際に、冷却系部品16をフロントバルクヘッド15から離れないように保つことができる。
これにより、冷却系部品16を良好に保護して冷却系部品16の衝撃荷重による損傷を一層良好に防ぐことができる。
【0148】
ここで、図17(a),(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42の車幅方向両側に上締結手段43をそれぞれ設けた。よって、アッパ移動ブラケット42を所望方向(車体後方)に安定的に移動(スライド移動)させることができる。
さらに、アッパ移動ブラケット42の車幅方向両側に上締結手段43を設けた。一対の上締結手段43はアッパ移動ブラケット42の車体前後方向略中央に設けられている。
よって、アッパ移動ブラケット42の形状を車体後方に大きく張り出す必要がなく、アッパ移動ブラケット42の小型化を図ることができる。
【0149】
加えて、図18(a),(b)に示すように、ロア移動ブラケット72の車幅方向両側に下締結手段73をそれぞれ設けた。よって、ロア移動ブラケット72を所望方向(車体後方)に安定的に移動(スライド移動)させることができる。
さらに、ロア移動ブラケット72の車幅方向両側に下締結手段73を設けた。一対の下締結手段73はロア移動ブラケット72の車体前後方向略中央に設けられている。
よって、ロア移動ブラケット72の形状を車体後方に大きく張り出す必要がなく、ロア移動ブラケット72の小型化を図ることができる。
【0150】
図20(a),(b)に示すように、アッパ移動ブラケット42およびロア移動ブラケット72を所望方向(車体後方)に安定的にスライド移動させることで、冷却系部品16を車体後方に安定的に移動させることができる。
さらに、アッパ移動ブラケット42およびロア移動ブラケット72の小型化を図ることで、アッパ移動ブラケット42およびロア移動ブラケット72の車体後方への突出方向や突出量を好適に抑えることができる。
【0151】
これにより、図20(a)に示すように、冷却系部品16を車体後方に移動させた際に、冷却系部品16の後方に備えられたバッテリ24にアッパ移動ブラケット42や冷却系部品16が干渉することを良好に避ける(回避する)ことができる。
さらに、図20(b)に示すように、エンジンルーム22の下方に備えたサブフレーム26にロア移動ブラケット72や冷却系部品16が干渉することを良好に避ける(回避する)ことができる。
【0152】
ここで、図20(a)に示すように、冷却系部品16を車体後方に移動させた際に、冷却系部品16の後方に備えられた吸気ダクト23に冷却系部品16が干渉することが考えられる。
この吸気ダクト23は弾性変形可能な部材である。よって、吸気ダクト23に冷却系部品16が干渉した際に、吸気ダクト23が弾性変形して冷却系部品16が損傷することを防ぐことができる。
【0153】
つぎに、車両走行中に導いた空気で冷却系部品16を冷却する例を図21(a),(b)に基づいて説明する。
図21(a)に示すように、車両走行中にグリル開口部105から車両内に空気が矢印Ia,Ib,Icの如く流入する。
ここで、ラジエータ17の冷却ファン17dが回転している。
よって、グリル開口部105から矢印Ia,Ibの如く流入した空気をコンデンサ18およびラジエータ17に矢印Ja,Jbの如く導くことができる。
【0154】
ここで、冷却系部品16の中央下部16dおよびロア梁部32間の空間38に隔壁パネル112(隔壁部材21)が設けられている。
よって、グリル開口部105から矢印Icの如く流入した空気が、空間38に流れることを隔壁パネル112で防ぐことができる。
これにより、グリル開口部105から矢印Icの如く流入した空気を、隔壁パネル112でコンデンサ18およびラジエータ17に矢印Jcの如く導くことができる。
【0155】
ここで、図12に示すように、隔壁パネル112および取付座部111を補強リブ113で連結することで隔壁パネル112の剛性(強度)が高められている。
よって、グリル開口部105から矢印Icの如く流入した空気で隔壁パネル112が車体後方に傾く(倒れ込む)ことを防止できる。
これにより、グリル開口部105から矢印Icの如く流入した空気を、隔壁パネル112でコンデンサ18およびラジエータ17に矢印Jcの如く確実に導くことができる。
【0156】
このように、車両内に矢印Ia,Ib,Icの如く導かれた全ての空気をコンデンサ18およびラジエータ17に矢印Ja,Jb,Jcの如く効率よく導いて通過させることができる。
全ての空気がコンデンサ18およびラジエータ17を通過することで、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を好適に確保できる。
【0157】
コンデンサ18およびラジエータ17を通過した殆どの空気はエンジンルーム22の後方に向けて矢印Ka,Kbの如く導かれる。
残りの空気はエンジンルーム22内の機器(図示せず)に案内されて矢印Kcの如く下方に導かれる。
【0158】
図21(b)に示すように、矢印Kcの如く下方に導かれた空気はラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112側に矢印Lcの如く流れる。
ここで、隔壁パネル112の上端部112aに張出片114が設けられている。
よって、隔壁パネル112側に戻された空気の流れを張出片114で遮り、戻された空気が隔壁パネル112の上端部112aを乗り越えることを阻止できる。
【0159】
これにより、矢印Lcの如く下方に導かれた空気が、ラジエータ17の下部17e側から隔壁パネル112の張出片114を経て車体前方に戻される(リサーキュレーションする)ことを防止できる。
空気の車体前方側へのリサーキュレーションを防止することで、グリル開口部105から矢印Ia,Ib,Icの如く流入した空気をコンデンサ18およびラジエータ17に一層効率よく導くことができる。
したがって、コンデンサ18およびラジエータ17の冷却性能を一層高めることができる。
【0160】
ついで、車両走行中に冷却系部品16が上下方向に振動する例や前後方向に揺動(振動)する例を図22に基づいて説明する。
図22に示すように、隔壁パネル112(隔壁部材21)をコンデンサ18やラジエータ17に対して車体前後方向へ離した位置(オフセットさせた位置)に配置した。
これにより、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に矢印Mの如く振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が隔壁パネル112(隔壁部材21)と干渉することを防止できる。
【0161】
加えて、補強リブ113を略三角形状に形成することで、コンデンサ18の下部18cに対峙する傾斜辺113cをコンデンサ18の下部18cより下方に大きく離すことができる。
よって、傾斜辺113cおよびコンデンサ18の下部18c間の距離H1を大きく確保できる。
これにより、車両の走行振動で冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が上下方向に振動した場合に、コンデンサ18およびラジエータ17が傾斜辺113c(隔壁部材21)と干渉することを防止できる。
【0162】
さらに、隔壁パネル112をコンデンサ18やラジエータ17に対して車体前後方向へ離して配置した。
よって、車両の加速時や停止時などにおいて冷却系部品16(コンデンサ18およびラジエータ17)が前後方向に揺動(振動)した場合、前後方向に揺動(振動)した冷却系部品16が隔壁パネル112に干渉することを防ぐことができる。
【0163】
なお、本発明に係る車体前部構造10は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、上下の弾性部材として上下のばね部材67,93を用いた例について説明したが、これに限らないで、硬質ゴムなどの他の弾性部材を用いることも可能である。
【0164】
また、前記実施例では、車体前部構造10の左前部に障害物98が軽衝突(オフセット衝突)した場合について説明したが、これに限らないで、車体前部構造10の右前部に障害物98が軽衝突(オフセット衝突)した場合でも同様の効果を得ることができる。
加えて、車体前部構造10の前部に障害物98が正面衝突(軽衝突)した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0165】
さらに、前記実施例では、左上支持機構35のアッパ移動ブラケット42や左下支持機構36のロア移動ブラケット72に軽衝突時の衝撃荷重が作用した例について説明したが、これに限らないで、軽衝突時の衝撃荷重より大きな荷重が作用した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0166】
また、前記実施例では、左上支持機構35に一対(2個)の上締結手段43を設けた例について説明したが、これに限らないで、上締結手段43を2個以上の複数個設けることも可能である。
加えて、左下支持機構36に一対(2個)の下締結手段73を設けた例について説明したが、これに限らないで、下締結手段73を2個以上の複数個設けることも可能である。
【0167】
さらに、前記実施例で示した車体前部構造10、フロントバルクヘッド15、冷却系部品16、左上部16a、下部16b、左下部16c、中央下部16d、ラジエータ17、コンデンサ18、隔壁部材21、ロア梁部32、左右の下支持機構36、空間38、取付座部111、隔壁パネル112、補強リブ113および張出片114などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、フロントバルクヘッドのアッパ梁部に冷却系部品の上部が設けられるとともにロア梁部に冷却系部品の下部が設けられた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0169】
10…車体前部構造、15…フロントバルクヘッド、16…冷却系部品、16a…左上部(上部)、16b…下部、16c…左下部(下部)、16d…中央下部(下部)、17…ラジエータ(後冷却系部品)、18…コンデンサ(前冷却系部品)、21…隔壁部材、32…ロア梁部、36…左右の下支持機構(下支持機構)、38…空間、111…取付座部、112…隔壁パネル、112a…隔壁パネルの上端部、113…補強リブ、114…張出片。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントバルクヘッドのアッパ梁部に冷却系部品の上部が設けられるとともに、前記フロントバルクヘッドのロア梁部に冷却系部品の下部が設けられた車体前部構造であって、
前記ロア梁部に設けられるとともに前記冷却系部品の下部を支持可能で、かつ、前記冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動可能な下支持機構と、
前記下支持機構に前記冷却系部品の下部が支持され、前記冷却系部品の下部および前記ロア梁部間の空間に配置されて前記空間を前後に仕切る隔壁部材と、
を備えたことを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記隔壁部材は、
前記冷却系部品に対して車体前後方向に離れた位置に配置されたことを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記隔壁部材は、
前記ロア梁部に取り付けられた取付座部と、
前記取付座部から上方に立ち上げられて前記空間を前後に仕切る隔壁パネルと、
前記隔壁パネルおよび前記取付座部を連結した略三角形状の補強リブと、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記隔壁部材は、
前記隔壁パネルの上端部から車体後方の前記冷却系部品へ向けて張り出された張出片を有することを特徴とする請求項3記載の車体前部構造。
【請求項5】
前記冷却系部品は、
車体前方側に設けられた前冷却系部品と、車体後方側に設けられた後冷却系部品と、を備え、
前記隔壁部材は、
前記前冷却系部品および前記後冷却系部品間に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体前部構造。
【請求項1】
フロントバルクヘッドのアッパ梁部に冷却系部品の上部が設けられるとともに、前記フロントバルクヘッドのロア梁部に冷却系部品の下部が設けられた車体前部構造であって、
前記ロア梁部に設けられるとともに前記冷却系部品の下部を支持可能で、かつ、前記冷却系部品の下部を車体後方に向けて移動可能な下支持機構と、
前記下支持機構に前記冷却系部品の下部が支持され、前記冷却系部品の下部および前記ロア梁部間の空間に配置されて前記空間を前後に仕切る隔壁部材と、
を備えたことを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記隔壁部材は、
前記冷却系部品に対して車体前後方向に離れた位置に配置されたことを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記隔壁部材は、
前記ロア梁部に取り付けられた取付座部と、
前記取付座部から上方に立ち上げられて前記空間を前後に仕切る隔壁パネルと、
前記隔壁パネルおよび前記取付座部を連結した略三角形状の補強リブと、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記隔壁部材は、
前記隔壁パネルの上端部から車体後方の前記冷却系部品へ向けて張り出された張出片を有することを特徴とする請求項3記載の車体前部構造。
【請求項5】
前記冷却系部品は、
車体前方側に設けられた前冷却系部品と、車体後方側に設けられた後冷却系部品と、を備え、
前記隔壁部材は、
前記前冷却系部品および前記後冷却系部品間に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体前部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−11825(P2012−11825A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147960(P2010−147960)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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