説明

車線装置、選択装置、及び車両の車線判定方法

本発明は、車線装置(30)、車両(10)の車線を判定する方法、及び車線装置(30)と相互作用する選択装置に関する。車線装置(30)は、少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)の距離データ(60、61、66)を評価するための評価手段(32、35、37)を含み、該距離センサによって、距離データ(60、61、66)から、少なくとも部分的に、車線の横に基本的に連続して延びる参照物体(62、64)からの側方距離(d1−d4)を決定することが可能である。評価手段(32、35、37)は、距離データ(60、61、66)を基に車線データ(36)を決定するよう構成されている。本発明によると、さらに評価手段(32、35、37)は、特に車線付近に存在する車両(17)又は参照物体(62、64)の不連続性(63)によってもたらされる、誤った情報を、距離データ(60、61、66)から、除去するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車線を検知するための車線装置及び方法、並びに車線装置と相互作用する選択装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の車線装置は、乗用車又は多用途車を車線に沿って誘導するのに使用される。トラック・フリー車両を車線に沿って誘導するために、例えば特許文献1では、路床に敷設された誘導ケーブルに沿って自動的に上記車両を誘導することが記載されている。車両は、誘導ケーブルの機能によって操縦される。しかし、誘導ケーブルはまれなケースにしか存在せず、従ってこうした車線誘導は、特定の用途、例えばバスの車線誘導(特許文献1)、あるいは特許文献2に開示されているような、例えば高層倉庫の、保管システム用積荷運搬車両等、でしか採用されない手段であった。このため、他の車線誘導システムは、例えばビデオカメラ等の、すなわち光学システムの使用を提案している。こうしたシステムは、例えば特許文献3に記載されている。しかし暗闇の場合、こうしたシステムは一般に、ビデオカメラの光に対する感度が十分な場合にのみ使用されることが可能である。
【0003】
特許文献4は、車線に沿って車両を誘導するための車線装置について述べている。このようにするために、車線装置は2つの光学感知手段を有する。CCDカメラとして組み込まれた第1感知手段により、車道上に存在する好ましくは白の路面表示線が感知される。感知された路面表示線の概要が評価され、この過程で取得された情報は、車両が、路面表示線から識別される通りに、道路の進路に自動的に従って進行するように、ステアリング装置を作動させるのに使用される。路面表示線を感知するのが不可能な場合、車両の自動路線誘導は第2感知手段を用いて実施され、該手段はレーザーレーダー装置として組み込まれており、それによって車道に沿って配置された側壁と車両との距離が測定される。車両と側壁との距離を示すデータは、車両の車線誘導を実施するのに使用される。第2感知手段によって、この車線装置は一般の光線条件とは無関係に使用されることが可能である。しかし、例えば第2感知手段を使用して距離が感知される対象となる側壁が不連続で、従って、光線条件が難しい中で、感知された距離データにノイズ情報がある場合であっても信頼性をもって動作することは、この車線装置では保証されない。こうした状況は、例えばトンネル内で発生し、不連続性はトンネル壁の突起や窪みによってもたらされる。不連続性は、接近又は追い越し車両によってもたらされる可能性もある。さらに不連続性は、防護壁の隙間、又は低く設置された縁石によっても起こり得る。これらの状況においても車線装置の信頼性のある動作を確保するための対策は、特許文献4では明記されていない。
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第 30 42 723 A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第 26 49 595 A1号明細書
【特許文献3】欧州特許第 1 074 904 B1号明細書
【特許文献4】米国特許第6,138,062号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従って、車線装置について、困難な環境条件にあっても信頼性をもって動作する車両の車線の判定、及び、困難な環境条件において使用するために設けられた別の既存の車線装置の改善を、可能にすることである。環境条件とは、光線条件、車道の又は車道に沿った構造の状態、及び車道又は車道の一部の状態を含むことを意味する。特に、本発明による車線装置は、暗闇で、及び/又はトンネル内で、及び/又は車道路面表示等が汚れている場合も、信頼性をもって動作することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、車両の車線を検知するための車線装置によって達成され、該車線装置は、少なくとも1つの距離センサの距離データを評価する評価手段を有し、少なくとも部分的に、車線側方に基本的に連続して延びる参照物体からの側方距離を距離データから決定することが可能である。評価手段は距離データに応じて車線データを取得するように構成されている。本発明によると、評価手段は、特に車線付近に存在する車両又は参照物体の不連続性によってもたらされるノイズ情報を、距離データから除去するよう構成されている。これにより、距離データに応じて取得された車線データは、車線装置の誤作動を招く可能性のあるノイズ情報を一切含まないことが保証される。
【0007】
さらに、この目的は、対応する方法によって達成される。さらに、この目的を達成するため、車線装置と相互作用して、距離センサの距離データを、車線装置又は駐車支援装置へ割り当てる、選択装置が提供される。
【0008】
本発明による車線装置は、例えば、車両が移動する車道、トンネル壁、衝突防護壁等に沿った縁石を、位置方向を決めるための参照物体として使用する。こうした参照物体は基本的には連続して延びている。評価手段は、1つ以上の参照物体からの1つ以上の距離を含む距離データから、車線データを取得する。この車線データは、例えばナビゲーションシステム又は車両の横制御装置へ、送信される。こうした横制御装置は、本発明による車線装置の構成部品となることも可能である。こうした車線装置は、車線追従装置とも言われている。車線装置は、車両、例えば乗用車又は多用途車を、所望の車線上に維持するための、ステアリング介入を実行する。
【0009】
距離データは、ある程度のノイズを有する可能性があるか、あるいは信憑性がない。ノイズ情報は、例えば接近してくる車両、本発明に従って構成された当該車両に対して追い越しをかける車両等によってもたらされると考えられる。さらに、参照物体上に不連続性が存在する可能性もあり、例えば、衝突防護壁には隙間、トンネルの壁には突起又はくぼみ、低く設置された縁石等があることも考えられる。互いに組み合わされることが可能な多数の解決策が、こうしたノイズ情報を除去するために提案される。
【0010】
例えば、ハイパス・フィルタが、高周波のノイズ情報を除去するのに設けられるようにすることも可能である。こうした高周波ノイズ情報は、例えばトンネル壁に沿って高速で移動する車両、及び幅の狭い突起を有するトンネル壁によってもたらされる。しかし、ローパス・フィルタも低周波ノイズ情報を除去するのに有利である。こうした低周波ノイズは、例えば、本発明に従って構成された車両に対して、低い相対速度で追い越しをかける車両等によってもたらされる可能性がある
【0011】
さらに信憑性確認も好ましい。信憑性確認の間に、例えば複数の距離センサからの異なる距離データが評価される。1つのセンサの距離データが他の距離センサの距離データと著しく異なる場合、この異なる距離データは除去される。
【0012】
別の好ましい変化形態は、記憶済車線データと比較される車線データ又は距離データを提供する。記憶済車線データは、例えば、デジタル化された道路地図から本発明による車線装置を抽出する。
【0013】
距離センサは、好ましくは不可視又は不可聴周波数の範囲で動作する。特に、不可視周波数を使用することは、距離データの取得が少なくとも周囲の光に左右されない、という利点を有する。同じことは、不可聴周波数範囲で動作する距離センサの使用にも当てはまる。同時に、これらの周波数範囲により、運転者又は他の道路利用者に対する混乱は、確実に排除される。
【0014】
距離センサは、例えば、超音波、レーダーセンサ、又は赤外線センサである。さらに、上述した構成の複数の異なるセンサを互いに組み合わせて適用することも可能である。
【0015】
本発明による車線装置は、好ましくは、例えばGPSシステム(Global Positioning System:全地球測位システム)、又は、例えば1つ以上のビデオカメラ等の光学検知装置に基づいた、無線位置確認システムが作動していない場合に、作動する。無線位置確認システムは、例えば、トンネルでは最早作動しない。光学装置は、例えば車道表示が存在しない又は車道表示が汚れている、あるいは好ましくない照明又は難しい光線条件によっては、最早動作できない。
【0016】
本発明による車線装置は、1つ以上の距離センサを好適に含む。しかし、本発明の特に好ましい変化形態は、本発明による車線装置が、駐車支援装置の距離センサを利用するように準備する。この結果、これらの距離センサが、一方では駐車支援によって、もう一方で車線装置によって利用されることで、二重使用が起こる。駐車支援装置は通常、車両の前方走行方向及び車両の逆走行方向に主に向けられる複数の距離センサを有する。さらに、斜め後方又は斜め前方に作用する距離センサも、一般的である。車両の周囲の側方領域をカバーするこれらの距離センサの距離データは、本発明による車線装置に特に関連性があり、従って本発明の好ましい変化形態は、車両上の距離センサの位置に応じて距離データを評価する車線装置を提供している。さらに、距離センサのそれぞれの位置に応じて、距離データに加重値を与えることも好適である。
【0017】
上記の案は、次のように一般化された方法で要約されることが可能である。車両に取付けられた駐車支援装置の構成部品である距離センサは、これも車両に取付けられた車線装置に対して供給される距離データを入手可能にするのに使用され、上記車線装置は、この距離データから、車両が誘導される車線を判定するための車線データを取得する。
【0018】
本発明の別の変化形態は、車両の横方向制御装置は、特に高速の車両速度において必要とされ、一方で駐車支援装置は、基本的に低速の車両速度において作動する、という認識に基づいている。これに伴って、距離センサの距離データを車両の速度に応じて評価する車線装置は、例えば車両が少なくとも所定の速度で前方に移動している場合にのみ、距離データを評価する、という対策が有利になされている。
【0019】
本発明の1つの変化形態は、距離センサの距離データは、車線装置及び駐車支援装置とは独立した選択装置によって評価され、1つ以上の判定基準に応じて車線装置及び/又は駐車支援装置に割り当てられるよう定めている。例えば、選択装置は、車両が低速のときは駐車支援装置に対して、かつ高速では車線装置に対して、距離データを送信する。本発明の別の判定基準として、本発明による選択装置は、距離センサの位置を判定することが可能である。例えば、側面に取付けられた距離センサからは、車線装置に対して距離データが送信され、車両の前方又は後方に取付けられた距離センサからは、駐車支援装置に対して距離データが送信される。
【0020】
以下に、本発明の例示された実施形態を、図面を参照してより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図2は、道路14の車道13上を、一方が他方の後方を移動中の車両10、11、12を図示している。車両10〜12の走行方向は、短い矢印によって示されている。車両17は、道路14の車道16上を、車両10〜12に向かって接近している。
【0022】
道路14は、好ましくは、トンネルの中、例えば、トンネルの入口18’の間に位置するトンネル区間18の中に延びている。トンネル区間18の外側では、車両10、11、12は、例示された実施形態では理論上同一のデザインであるが、例えば、光学検知装置、無線位置確認システム等を用いて、それぞれの車線15を検知する。車線15の進路に関する情報は、例えば、ナビゲーションシステム及び/又は車両10、11、12のステアリングシステム装置にとって役に立つ。上記の位置確認システムは、例えば、ラジオによって支援される、あるいは光学原理を使用して動作するが、しかしトンネル区間18内では使用できない。本発明はこれを改善する。
【0023】
例として、説明のために、図1に概略的に図示された、車両10〜12の機能的アセンブリを、車両10についてより詳細に説明する。
【0024】
車両10は、例えば、内燃機関又は電気モータ(図示せず)を備えた、乗用車又は多用途車等である。
【0025】
車両10は、運転支援装置20により運転作業を支援される運転者19によって制御されることが可能である。運転支援装置20は、本発明の1つの変化形態では、例えばステアリング修正を実行し、車両10を安定させ(ESP(Electronic Stability Program:電子安定性プログラム)モジュールの機能)、あるいは車両10を自立的に制御してもよい。車両10を操縦するために、ステアリングアクチュエータ22を用いて車両10の前輪23の操縦を行う、ステアリング制御モジュール21がある。ここでは、車両10の後輪24は操縦できない。しかし、理論的には、ステアリング制御モジュール21は、操縦可能な後輪に対するステアリング作用を適用することも可能である。
【0026】
運転支援装置20の重要な機能は、ソフトウェアを使用して実行され、複数のソフトウェアモジュールが用意されている。ステアリング制御モジュール21、駐車支援装置を形成し車両10の駐車の支援を提供する駐車支援モジュール28、距離センサによって取得された距離データを選択する選択モジュール29、及び本発明による車線装置を形成する車線モジュール30である。モジュール21、28、29、30のプログラムコードは、運転支援装置20の1つ以上の演算処理装置25によって実行され、メモリ26、例えばRAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)及び/又はROM(Read Only Memory:読み出しメモリ)、に格納される。
【0027】
ステアリング制御モジュール21は、車線に沿って車両10を操縦するのに車線データが必要である。視界が良好で、且つ、例えば車道表示等が検知可能な場合、こうした車線データは、例えば1つ以上のビデオカメラを備えた光学検知装置40によって送信される。さらに、運転支援装置20、特にステアリング制御モジュール21は、無線方式で動作する位置確認システム、例えばGPS受信器41、から車線データを受信する。しかし、無線方式で送信された車線データ又は位置データは、あらゆる場所での受信、例えばトンネル区間18内での受信は不可能である。さらに、車線表示等も検知できないので、光学検知装置40も無効のままである。このような状況では、本発明による運転支援装置20は好ましくは、不可視又は不可聴周波数範囲で動作する1つ以上の距離センサ50から距離データを評価する。しかし勿論、運転支援装置20は、検知装置40及び/又はGPS受信器41が通常通り機能している場合、可視又は可聴周波数範囲で動作する1つ以上の距離センサ50から距離データを評価することも可能である。
【0028】
距離センサ50は、例えば、赤外線センサ、レーダーセンサ、超音波センサ等である。赤外線センサ及びレーダーセンサは、不可視周波数範囲で動作する距離センサであり、超音波センサは不可聴周波数範囲で動作するセンサである。距離センサ50は、バスシステム51及び/又は他の接続回線によって、運転支援装置20に接続されている。距離センサ50は、車両10が、例えば0.03〜3m、0.06〜5m、0.2〜7m等の、接近した距離にあるとき特に有効である。
【0029】
距離センサの距離データ50は、一部は駐車支援モジュール28に関連し、一部はステアリング制御モジュール21に関連する。モジュール28、21に対するそれぞれに関連した距離データの選択と割り当ては、選択モジュール29によって行われる。割り当て判定基準は、例えば、車両10上のそれぞれの距離センサ50の位置である。例えば、車両10の前部に配置された距離センサ53により送信される距離データは、選択モジュール29によって駐車支援モジュール28へ送信される。距離センサ53は、車両の長手軸1の方向に向けられ、例えば、点線で示される、円錐形の範囲を網羅する。距離センサ54は車両10の後部に配置され、車両10の後ろの領域を網羅し、距離データ55を送信する。車両の長手軸1の方向における距離センサ54の向きに従って、選択モジュール29は距離データ55を駐車支援モジュール28へ送信する。車両10の後方には、例えば障害物56、例えば別の車両、木の幹等がある。障害物56は、距離センサ54によって感知され、距離データ55を用いて運転支援装置20へ信号が送られる。選択モジュール29は、例えば、可視及び/又は可聴出力手段57を使用して、距離データに応じて距離情報を出力する駐車支援モジュール28へ距離データ55を送信する。出力手段57は、それ自体は既知の方法で、例えば距離依存周波数で警告音を出力し、視覚的又はそれに類する方法で、障害物56からの距離等を示す。
【0030】
車両10の左又は右に走行方向に配置された側方センサ58、59は、車両10側方に対する障害物又は参照物体を感知する。カバー領域は、距離センサ58、59についても、点線で概略的に示されている。側方距離センサ58、59は、車両の横方向qの方向に、車両長手方向軸1方向の前方及び後方距離センサ53、54より、広い領域を網羅すると考えられる。距離センサ58、59によって送信された距離データ60、61は、本来は駐車支援モジュール28には関係なく、むしろ主に車線モジュール30のためのもので、同様に、選択モジュール29から車線モジュール30へ送信される。距離センサ59により送信される距離データ61は、例えば、トンネル区間18のトンネル壁62からの、あるいはトンネル壁62上の突起63からの、側方距離d2、d1に関する情報を含む。走行方向左に配置された側方距離センサ58により送信される距離データ60は、例えば、トンネル区間18の、トンネル壁63の反対にあるトンネル壁64からの、車両10の側方距離d3、d4に関する情報を含む。距離データ60、61を用いて、車線モジュール30は車線データ31を取得し、ステアリング制御モジュール21へ供給することが可能で、それによってステアリング制御モジュール21は車両10を車線15に沿って操縦できる。さらに、光学検知装置40又はGPS受信器41が無効な場合、距離データ60、61も利用可能である。
【0031】
別の距離センサ65は、斜め前方及び斜め後方、すなわち車両10のコーナー領域、に配置されており、それぞれ斜め前方又は斜め後方の車両10の領域において感応している。距離センサ65により取得される距離データ66は、一方で駐車支援モジュール28に対して関連性があり、もう一方では車線モジュール30に対して関連性がある。理論的には、距離データ66は両方のモジュール28、30に対して送信されることが可能である。しかし、これはある状況下では、比較的高い処理負荷を伴う。従って、選択モジュール29は、別の判定基準、具体的には車両10の長手方向速度vlに応じて、駐車支援モジュール28及び/又は車線モジュール30について、距離データ66を選択する。低速の車両速度vl、例えば時速10km、では、選択モジュール29は距離データ66を駐車支援モジュール28へ送信し、高速の車両速度vl、例えば時速20km超、では、上記距離データ66を車線モジュール30へ送信する。中間の範囲では、この場合例えば時速10〜20kmでは、選択モジュール29は、距離データ66を両方のモジュール28、30へ送信する。選択モジュール29は、回転速度計44から車両速度vlを受信する。
【0032】
トンネル壁62、64は、基本的に連続的に延びる参照物体を形成する。しかし、例えば既に述べた壁突起63等の、不連続性が存在することも考えられる。車両10が突起63を通過して走行する場合、走行方向前方にある距離センサ59は距離データ61を送信し、走行方向後方に位置する距離センサ59は距離データ61を送信し、この距離データ61は比較的短い距離d1を含む。この距離データ61における短期間又は高周波数の変化は、距離データ61からハイパス・フィルタ31で取り除く。ハイパス・フィルタ31は、車線モジュール30の入力フィルタ32に含まれている。さらにフィルタ32は、ハイパス・フィルタ31に加えて、又はその代わりに、有効な追跡手段34も含む。例えば、追跡手段34は、距離d1が距離センサ59によって別途計測された距離d2とは著しく異なることを判断し、よって距離d1を含む距離データ61を選んで除外する。
【0033】
光学検知装置40は、例えば車道13、16を互いに分割する車道表示42の1つによって、それ自体の位置を決定する。
【0034】
変換手段35は、距離データ60、61、66を、車道13及び/又は車線15を特徴づける車線データ36へ変換する。この点で、変換手段35及び車線モジュール30は、距離データを評価する評価手段とみなされることも可能である。
【0035】
信憑性手段37は、記憶済車線データ45を用いて、車線データ36を信憑性について確認する。例えば、信憑性手段37は、ナビゲーションシステム43から、例えばデジタル化道路地図に記憶された車道の進路についてのデータを受信する。すなわち、記憶済車線データ45は、ナビゲーションシステム43に格納されている。明快にするために、記憶済車線データ45は、図1では図示されていない。車道データ36が記憶済車道データと著しく異なる場合、取り除かれる。そうでなければ、信憑性手段37は、車道データ36を選択手段38へ送信する。さらにナビゲーションシステム43は、車両10の現在位置を通知してもらうために、車線モジュール30から車道データ36を受信することも可能である。
【0036】
選択手段38は、光学検知装置40及びGPS受信器41が無効の場合、例えばトンネル区間18内にある場合、車線モジュール30のために車道データ36を選択する。さらに、選択手段38は、信憑性確認を実施し、光学検知手段40により送信された車道データ又はGPS受信器41によって送信された車道データを、ステアリング制御モジュール21へ送信する選択手段の、例えば3つのうち2つへ、車道データ36を、送信することも可能である。
【0037】
ノイズは、接近する車両、例えば車両11の場合、車両17によって引き起される可能性もある。障害は、前を走行する車両によって引き起こされる可能性もある。
【0038】
車両11は、理論的には車両10と同一のデザインであり、同様に距離センサ58、59を有する。センサ59は、距離データ61内のトンネル壁62からの2つの同一距離d1’、d2’の信号を送る。車両11の走行方向に対し後方左に配置された距離センサ58は、反対側のトンネル壁64からの距離d4’の信号を送る。一方、走行方向に対し前方左に配置された距離センサ58は、トンネル壁64からより小さい距離、具体的には接近する車両17からの距離d3’を信号として送る。このより小さい距離d3’は、例えばフィルタ32又は信憑性手段37によって、取り除かれる。
【0039】
勿論、他の配置も可能であり、例えば選択モジュール29は、車線モジュール30に含まれるようにすることも可能である。さらに、選択モジュール20は、運転支援装置20から独立した選択装置であることも可能で、上記選択装置は、例えば、独自の演算処理装置を含む。ハードウェア及びソフトウェアを備えた本発明の実施形態が説明された例示された実施形態とは対照的に、完結したハードウェアソリューション又は完結したソフトウェアソリューションを組み込むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による車線装置を装備した車両の概略図である。
【図2】本発明による複数の車両が、前方及び中を移動しているトンネル部分における運転状況を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10、11、12)の車線を検知するための車線装置であって、前記車線装置(30)は、少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)の距離データ(60、61、66)を評価する評価手段(32、34、37)を有し、少なくとも部分的に、前記車線側方に基本的に連続して延びる参照物体(62、64)からの側方距離(d1−d4)を前記距離データ(60、61、66)から決定することが可能であり、前記評価手段(32、35、37)は前記距離データ(60、61、66)に応じて車線データ(36)を取得するように構成されている車線装置において、
前記評価手段(32、35、37)は、特に前記車線付近に存在する車両(17)又は前記参照物体(62、64)の不連続性(63)によってもたらされるノイズ情報を、前記距離データ(60、61、66)から除去するよう構成されていることを特徴とする、車線装置。
【請求項2】
前記距離データ(60、61、66)を濾波するため、少なくとも1つのハイパス・フィルタ(31)及び/又は少なくとも1つのローパス・フィルタを含むことを特徴とする、請求項1に記載の車線装置。
【請求項3】
前記濾波のための信憑性確認を行うことを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の車線装置。
【請求項4】
前記評価手段(32、35、37)は、前記車線データ(36)及び/又は前記距離データ(60、61、66)を、記憶済車線データ(45)と比較することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項5】
前記距離センサ(58、59、65)は、不可視又は不可聴の周波数の範囲内で動作することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)は、超音波センサ、レーダーセンサ、又は赤外線センサであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項7】
無線位置確認システム、特にGPSシステム(41)の動作故障がある場合、及び/又は光学検知装置(40)の動作故障がある場合、作動されることが可能である、又はそれ自体を作動させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)が前記車線装置(30)の構成部品を形成することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)が駐車支援装置(28)の構成部品を形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)の前記距離データ(60、61、66)を、前記車両(10、11、12)の速度(vl)に応じて評価することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項11】
前記距離データ(60、61、66)を、前記車両(10、11、12)の前記少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)の位置に応じて評価し、特に加重することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項12】
前記車両(10、11、12)の横方向制御を行い、特に、前記車両(10、11、12)のステアリング介入を生成するよう構成されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の車線装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)の距離データ(60、61、66)を、前記車両(10、11、12)の速度に応じて、前記駐車支援装置(28)及び/又は前記車線装置(30)のために選択する選択手段を有する、駐車支援装置(28)及び請求項1〜12のいずれか一項に記載の車線装置(30)と相互作用する選択装置。
【請求項14】
前記選択手段は、少なくとも2つの距離センサ(58、59、65)の前記距離データ(60、61、66)について、前記車両(10、11、12)上のそれらの位置に応じて、方向に依って選択を行うよう構成されていることを特徴とする、請求項13に記載の選択装置。
【請求項15】
前記車線装置(30)又は前記駐車支援装置(28)の構成部品を形成することを特徴とする、請求項13あるいは14に記載の選択装置。
【請求項16】
演算処理装置(25)により実行されることが可能なプログラムコードを有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の車線装置、又は請求項13〜15のいずれか一項に記載の選択装置。
【請求項17】
請求項16に記載の車線装置及び/又は選択装置を有する、記憶手段。
【請求項18】
車両、特に乗用車であって、請求項1〜12あるいは16のいずれか一項に記載の車線装置(30)、又は請求項13〜16のいずれか一項に記載の選択装置(29)、及び/又は請求項17に記載の記憶手段、を有することを特徴とする、車両。
【請求項19】
車両(10、11、12)の車線を検知する方法であって、
少なくとも1つの距離センサ(58、59、65)の距離データ(60、61、66)を評価するステップであって、少なくとも部分的に、前記車線側方に基本的に連続して延びる参照物体(62、64)からの側方距離(d1−d4)を前記距離データ(60、61、66)から決定することが可能なステップと、前記距離データ(60、61、66)に応じて車線データ(36)を取得するステップとを含む方法において、
特に前記車線付近に存在する車両(17)又は前記参照物体(62、64)の不連続性(63)によってもたらされるノイズ情報が、前記距離データ(60、61、66)から除去されることを特徴とする、方法。
【請求項20】
距離センサ(58、59、65)の使用であって、該距離センサは車両(10)に取付けられた駐車支援装置の構成部品であり、同じく前記車両(10)に取付けられた車線装置(30)に供給される距離データ(60、61、66)を提供するためのもので、前記車線装置(30)は、前記車両(10)が誘導される車線(15)を判定するために、この距離データ(60、61、66)から車線データ(36)を取得する、距離センサ(58、59、65)の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511410(P2007−511410A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540246(P2006−540246)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012654
【国際公開番号】WO2005/050338
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】