車軸駆動装置
【課題】バギー車の車軸駆動装置においては、従来、ブレーキ装置が、前後方向の入力軸から同一軸芯上に延設される軸上に配置されていて、ブレーキ装置の着脱に際し、車軸駆動装置における入力軸と車軸との間の動力伝達系の分割組立作業を必要とした。
【解決手段】車軸5、該車軸5と直角方向の入力軸3、及び該入力軸3と該車軸5との間に介設される伝動機構をケース2に収納してなる、バギー車の車軸駆動装置1において、該ケース2の、該車軸5と平行方向の一側に、該車軸制動用のブレーキ装置30を配置した。
【解決手段】車軸5、該車軸5と直角方向の入力軸3、及び該入力軸3と該車軸5との間に介設される伝動機構をケース2に収納してなる、バギー車の車軸駆動装置1において、該ケース2の、該車軸5と平行方向の一側に、該車軸制動用のブレーキ装置30を配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸駆動装置、特にはバギー車等のサドルタイプ車両に適用される車軸駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バギー車の車軸駆動装置としては、特許文献1に開示される構造のものが公知となっている。この公知の車軸駆動装置は、前後方向の入力軸を支持する入力ケースと、車軸への減速ギアを収納する減速ギアケースとの間に、該入力軸と、左右方向の車軸とを駆動連結する前後方向の(該入力軸と同一軸芯上の)伝動軸を支持する中間ケースが介設されており、該中間ケース内にて、該前後方向の伝動軸上にブレーキが装着されている。したがって、該入力ケースと該減速ケースより中間ケースを取り外して、その中のブレーキのメンテナンス作業を施すことが可能である。
【特許文献1】特許第3052075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記中間ケースは、前記入力ケースと前記減速ケースとの間に挟持されるように介設されているので、該中間ケースを取り外す際には、入力ケースと減速ケースとの間が切り離され、したがって、入力軸と減速ギアとの切り離しも伴い、分解取り外しを要する部分が多い。つまり、ブレーキ装置のメンテナンスに、伝動系についてこのような大がかりな分解作業が伴い、結局、当該メンテナンスは容易ではない。
【0004】
さらに、前後方向の前記伝動軸と、左右方向の前記車軸との間の減速ギアは、必然的にベベルギアになる。特に、車軸上に設ける大径のファイナルギアをベベルギアとする場合は加工が複雑となる(車軸への装着部であるボスも一体に形成したギア材の外周にベベルギアの歯切り加工をすると、ボスが該加工の支障となるので、通常、ボスと、ベベルギアを形成するホイルとは別であり、後から両者を溶接、またはボルト締結する)。このようなことから、車軸駆動装置自体が高コストになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車軸、該車軸と直角方向の入力軸、及び該入力軸と該車軸との間に介設される伝動機構を車軸駆動ケースに収納してなる、バギー車の車軸駆動装置において、該車軸駆動ケースの、該車軸と平行方向の一側に、該車軸制動用のブレーキ装置を配置したものである。
【0006】
また、前記車軸駆動ケース内にて、前記車軸と平行方向のカウンタ軸を前記入力軸と該車軸との間に支持し、該カウンタ軸を介して該入力軸と該車軸とをギアにて駆動連結し、該カウンタ軸の外端部に前記ブレーキ装置を装着するものである。
【0007】
さらに、前記車軸駆動ケースの、前記ギアを収容するギア室に油溜まりを形成する一方、前記カウンタ軸は、軸芯方向に延伸する孔を有する中空軸とし、該孔の一端部を該車軸駆動ケース内に向けて開口し、該開口端部付近に該孔への潤滑油導入手段を設けるとともに、該孔の他端部を前記ブレーキ装置に向けて開口するものである。
【0008】
さらに、前記車軸駆動ケースは、前記ギア室と、前記ブレーキ装置を収容するブレーキ室とを区画する壁部分を有し、該壁部分に、該ブレーキ室から該ギア室へ潤滑油を還流させるための連通孔を設けるものである。
【0009】
さらに、前記ブレーキ室を構成するブレーキケースの外表面に、略水平なフィンを複数形成するものである。
【0010】
さらに、前記ブレーキケースは前記車軸駆動ケースに対し分離・係合自在とし、前輪用、後輪用のいずれにも適用可能とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るバギー車の車軸駆動装置は、車軸、該車軸と直角方向の入力軸、及び該入力軸と該車軸との間に介設される伝動機構を収納する車軸駆動ケースの、該車軸と平行方向の一側に、該車軸制動用のブレーキ装置を配置することで、ブレーキ装置以外の伝動系部材の組立分解を伴うことなく、容易にブレーキ装置を着脱でき、該ブレーキ装置のメンテナンス性に優れている。
【0012】
また、前記車軸駆動装置において、前記車軸駆動ケース内にて、前記車軸と平行方向のカウンタ軸を前記入力軸と該車軸との間に支持し、該カウンタ軸を介して該入力軸と該車軸とをギアにて駆動連結し、該カウンタ軸の外端部に前記ブレーキ装置を装着することで、該ブレーキ装置を取り外す場合にも、該入力軸、該カウンタ軸、該ギア、該車軸への伝動系構造は何ら分解を必要とせずにそのまま保持され、前述の、該車軸駆動装置におけるブレーキ装置の優れたメンテナンス性を実現している。
【0013】
さらに言えば、カウンタ軸と車軸とが平行であることから、両軸間に構成する前記ギアを平ギアとすることができ、車軸駆動装置の低コスト化を図ることができる。
【0014】
さらに、前記車軸駆動ケースの、前記ギアを収容するギア室に油溜まりを形成する一方、前記カウンタ軸は、軸芯方向に延伸する孔を有する中空軸とし、該孔の一端部を該車軸駆動ケース内に向けて開口し、該開口端部付近に該孔への潤滑油導入手段を設けるとともに、該孔の他端部を前記ブレーキ装置に向けて開口することで、他に特別なブレーキ装置への潤滑油供給手段を設ける必要なく、中空軸であるカウンタ軸を利用して軽量化を図りつつ、該ケース内の潤滑油を効率的に該ブレーキ装置へと供給することができる。また、前記カウンタ軸内の孔の、一端部から他端部まで、該カウンタ軸の略全長分をブレーキ装置用の潤滑油供給油路として提供することで、十分な油量を確保できる。
【0015】
さらに、前記車軸駆動ケースに、前記ギア室と、前記ブレーキ装置を収容するブレーキ室とを区画する壁部分を設け、該壁部分に、該ブレーキ室から該ギア室へ潤滑油を還流させるための連通孔を設けることにより、ギア室とブレーキ室との間の油の循環が円滑になり、ブレーキ室内の温度上昇を抑制してブレーキ装置の耐久性向上を図り、また、ギア室の潤滑油不足を起こすことがない。
【0016】
さらに、前記ブレーキ室を構成するブレーキケースの外表面に、略水平なフィンを複数形成することにより、走行時にブレーキ装置を作動させたときに発する摩擦熱や潤滑油の熱がブレーキケースに伝播されたときに、フィンの外表面上を相対的に流れる空気へ効率よく放熱させ、ブレーキ室内の冷却効果を高めることができる。
【0017】
さらに、前記ブレーキケースは前記車軸駆動ケースに対し分離・係合自在とし、前輪用、後輪用のいずれにも適用可能とすることで、ブレーキ装置以外の部分は前輪用と後輪用とで該車軸駆動装置を共用することができ、即ち、規格化を進めて製造コストの削減を実現できる。そして、後輪用にはブレーキ装置を装着した車軸駆動装置を、前輪用にはブレーキ装置を装着しない車軸駆動装置を用いる必要がある場合に、このように規格化された本発明の車軸駆動装置のケースに、ブレーキ装置を装着するだけで後輪車軸用、ブレーキ装置を装着しないだけで前輪車軸用として適用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る車軸駆動装置を前輪用・後輪用の両方に適用したバギー車の全体構成について、図1及び図2より説明する。上部フレーム50tと下部フレーム50bとを組み合わせて、車体フレーム50が構成されており、該車体フレーム50の前部に前フェンダ51fを、後部に後フェンダ51rを取り付けている。
【0019】
該下部フレーム50b前端より左右両側にウィッシュボーンフレーム50wが上下揺動自在に延設され、各ウィッシュボーンフレーム50wの外側の揺動端が、左右各フロントサスペンション64に支持され、さらに該揺動端に、左右一対の前輪52fの各々が操舵可能に支持され、左右両前輪52fが前フェンダ51fにて覆われている。
【0020】
また、該下部フレーム50bの前端部には前車軸駆動装置1fの車軸駆動ケース2が取り付け固定支持されている。
【0021】
該前車軸駆動装置1fより左右両側に、各ウィッシュボーンフレーム50wに沿って、前輪車軸53が延設されている。なお、該前車軸駆動装置1fの車軸駆動ケース2の左右端部には、左右各車軸5fが左右水平状に軸支されていて、各前輪車軸53は、その内端部を各車軸5fに、その外端部を各前輪52fのリム中心部に、それぞれ、ユニバーサルジョイントにて連結しており、各ユニバーサルジョイント連結部は、ブーツ54にてそれぞれ覆っている。こうして、左右両前輪52fは、車体フレーム50に操舵可能に支持されて、後述のハンドル55にて操舵される操舵輪であるとともに、前車軸駆動装置1fより動力を受ける駆動輪となっている。
【0022】
下部フレーム50bの後方には、上部フレーム50tより下後方に延設したリアサスペンション63にて上下揺動自在に支持した後車軸駆動装置1rを配置している。後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2からは左右両側に後輪車軸61が延設され、各後輪車軸61の外端部が各後輪52rのリム中心部に固着されている。また、該後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2の左右各端と各後輪52rのリムとの間にそれぞれ車軸ケース62が介設されて、各後輪車軸61全体を覆っている。なお、各後輪車軸61は、該後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2に軸支される左右各車軸5rに同一軸芯上に連結固定するものとしてもよいし、或いは、各車軸5rをそのまま後輪車軸61として延長した構成にしてもよい。このように、左右後輪52rは、非操舵輪であって、かつ、後車軸駆動装置1rより動力を受ける駆動輪であり、前記の後フェンダ51rに覆われている。
【0023】
前輪52fと後輪52rとの間にて、前から後へ順に、ハンドル55、燃料タンク56、サドル57が上部フレーム50tに搭載され、燃料タンク56及びサドル57の下方にて、パワーユニット58が下部フレーム50bに搭載されている。パワーユニット58は、変速ギアボックス58gの上部にエンジン58eを連設してなるものである。
【0024】
該変速ギアボックス58gより前方に前輪駆動軸59fが、後方に後輪駆動軸59rが延設されており、エンジン58eの動力が、該変速ギアボックス58g内の変速ギアを介して、前輪駆動軸59fと後輪駆動軸59rとに分配されるものとしている。前輪駆動軸59fの前端は、前車軸駆動装置1fの車軸駆動ケース2の後端に嵌入され、また、後輪駆動軸59rの後端は、後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2の前端に嵌入され、それぞれ、各車軸駆動ケース2内の後記減速ギア列に駆動連結される。
【0025】
なお、変速ギアボックス58gの後端と、後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2の前端との間には、軸ケース60が介設されて、後輪駆動軸59rを覆っている。また、後車軸駆動軸59rの前端は、変速ギアボックス58g内の後輪駆動用出力軸に対しユニバーサルジョイント等で連結され、前述の如くリアサスペンション63にて吊持された後車軸駆動装置1rの上下揺動自在性を確保している。
【0026】
次に、図1及び図2に示すバギー車においては後車軸駆動装置1rとして用いるよう設定した図3乃至図10に示す車軸駆動装置1について説明する。この車軸駆動装置1は、図4等に示すように、車軸駆動ケース2内に、入力軸3、カウンタ軸4、一対の車軸5(後車軸駆動装置1rとして用いる場合は後車軸5r)を軸支し、該入力軸3から該両車軸5までの減速ギア列を収納してなる構成である。以下、位置関係については、入力軸3を前後方向かつ前方に向け、後車軸駆動装置1rとして配設した状態を想定して説明する。
【0027】
車軸駆動ケース2は、ケース本体21に、サイドカバー22をボルト締結にて接合してなるものである。ケース本体21の外縁には、図3及び図5に示すように、左右方向の貫通孔を有するボス部21aやボルト孔を有するマウント部21bを形成しており、サスペンション63や車体フレーム50への取付に用いられる。
【0028】
ケース本体21の前端は開口していて、該前端開口部より、入力軸3を軸支する軸受ブロック7を該ケース本体21に嵌入固定する。入力軸3は、軸受12・13を介して該軸受ブロック7に軸支されており、その前端は、該軸受ブロック7の前端より前方に突出され、該突出端に、後輪駆動軸59r(この車軸駆動装置1を前車軸駆動装置1fとして用いる場合は、前輪駆動軸59f)と接続するためのカップリング6が相対回転不能に装着されている。一方、入力軸3の後端は、該軸受ブロック7より後方に突出されて、該後端にベベルギア3aを形成している。
【0029】
また、ケース本体21後部の左右一側には、左右一方の車軸5を挿通軸支するための軸孔が設けられており、その左右反対側にて、該ケース本体21に接合されたサイドカバー22に、左右他方の車軸5を挿通軸支するための軸孔が設けられている。
【0030】
車軸駆動装置1は、後述の如く、差動タイプまたは非差動タイプに構成することが可能であるが、図4に示す車軸駆動装置1は、非差動タイプであって、該ケース本体21・サイドカバー22の両軸孔にそれぞれ挿通軸支持された両車軸5の内端を、平ギアである大径のファイナルギア9の中心ボス部にスプライン嵌入し、ファイナルギア9の回転と一体に(差動不能に)両車軸5・5が回転可能となっている。該ファイナルギア9は、左右一端にて、軸受16を介してケース本体21に、左右他端にて、軸受17を介してサイドカバー22に、それぞれ軸受けされている。
【0031】
図4等に示すように、これら両車軸5の軸支部分の前方にて、ケース本体21の側壁は、左右方向(車軸5・5と平行)に延設されるカウンタ軸4の一端を軸受けする部分となっている。なお、該側壁と該カウンタ軸4の該一端との間には、後述の、ブレーキユニット30への潤滑油供給用油路孔21cが形成されている。このケース本体21の左右反対側にて、サイドカバー22の外側部には、図4、図5、図7及び図9に示すように、ブレーキユニット30の取付け用の台座部22aが形成されており、台座部22aで囲まれるサイドカバー22の外壁の中央部に、カウンタ軸4挿通用の軸孔22bが穿設されている。この軸孔22bを介して、車軸駆動ケース2内に軸支されたカウンタ軸4が、台座部22aに据えつけられたブレーキユニット30内のブレーキ室へと突出する。即ち、この台座部22aが、後述するギア室とブレーキ室とを区画する。
【0032】
なお、後述の図13に示すように、ブレーキユニット30を装着しない場合は、カウンタ軸4をサイドカバー22から突出させないので、この軸孔22bを穿設せず、したがって、サイドカバー22の当該部分は塞がれている。
【0033】
また、図4や図9等に示す如く、台座部22aで囲まれる部分の軸孔22b周辺におけるサイドカバー22の外側面部に、カム板部22cを形成しており、該カム板部22cに、後述の各カム球33の半部を嵌入するための半球状の凹部22dを、軸孔22bを中心とした円周上に配列している。
【0034】
さらに、図9に示すように、サイドカバー22の、該台座部22aで囲まれる側部に、連通孔22e・22f・22gが貫通しており、車軸駆動ケース2内と、該台座部22aに取り付けたブレーキユニット30の後記ブレーキケース23内とを連通するものとしている。連通孔22e・22f・22gのうち、上下中間位置にある連通孔22fは、回転するギアで攪拌されて飛散する車軸駆動ケース2内の油をブレーキケース23内へと案内する潤滑油供給路とされる。連通孔22gは、連通孔22fより低位にあり、ブレーキケース23内の油を車軸駆動ケース2内へと戻す還流油路として機能する。最も上位の連通孔22eは、潤滑油の、該連通孔22f・22gを介しての循環や、後記の、カウンタ軸4内を介してのブレーキユニット30への潤滑油の供給を円滑にすべく、空気を車軸駆動ケース2内に導入するための空気導入路として機能する。
【0035】
車軸駆動ケース2内において、カウンタ軸4の、サイドカバー22の内壁面に沿って、前記の入力軸3のベベルギア3aと噛合するベベルギア8がスプライン嵌合にて環設され、該ベベルギア8が、軸受15を介してサイドカバー22に軸支されている。また、カウンタ軸4の、ケース本体21側の端部は、前記の油路孔21cに沿って設けられた軸受14を介して、ケース本体21に軸支されている。そして、該軸受14と該ベベルギア8との間にて、該カウンタ軸4に、前記の大径のファイナルギア9と噛合する小径のピニオン4aが形成されている。これらピニオン4a・ファイナルギア9が減速ギア列をなすものである。
【0036】
この、径長の異なるギア4a・9同士が噛合して構成される減速ギア列については、該ピニオン4a・ファイナルギア9を平ギアにて構成することで、安価にすることができる。一方、この減速ギア列により、ベベルギア3a・8間については、ギア比を1:1にしてもよいため、バックラッシの調整が容易であり、ベベルギア列ではあっても、組み立てが比較的容易で製造コストも安く抑えることができる。このように、車軸駆動ケース2には減速ギア列のギアを収容するギア室が形成され、該ギア室はまた、各ギアや軸受等に必要な潤滑油を貯蔵しておく油溜まりとして機能する。
【0037】
カウンタ軸4には、中心軸線に沿って貫通状に軸芯孔4bが形成されて、中空軸となっており、そのケース本体21側の開口端は、ケース本体21の内側壁に形成した油路孔21cに連通している。この軸芯孔4bは、カウンタ軸4の軽量化に資するとともに、該油路孔21cに臨む一端側からブレーキユニット30内の他端側へと前記潤滑油を供給するための油路孔として機能する。
【0038】
ブレーキユニット30を取り付けている場合のブレーキユニット30への潤滑油供給構造について図4乃至図9より説明する。カウンタ軸4のブレーキユニット30内における端部にて、軸芯孔4bより径方向に、複数の放射孔4cが延設されて、外周面にて開口しており、後述の、該カウンタ軸4に周設された、ブレーキディスク31やブレーキシュー32に臨ませている。
【0039】
油路孔21cは、ケース本体21内の空間(ギア室)に開口しており、該開口の下部に、油導入板10を延設している。油導入板10は、本実施例では、L字形に曲折した金属板をケース本体21に取り付けた構成であるが、ケース本体21の内側壁を突出させて構成してもよい。該油導入板10はピニオン4aに臨むように軸方向に延設されており、該ピニオン4aやファイナルギア9が掻き上げた車軸駆動ケース2内の潤滑油を取り込み、油路孔21c内へと案内する。
【0040】
カウンタ軸4の各開口端には、リング11が嵌入されている。該リング11はゴム等の弾性部材よりなっている。各リング11の外周端は、放射孔4cの軸芯方向中心側寄り、その内周側部分が軸芯孔4bの軸芯方向外側寄り、さらにその内周側部分が軸芯孔4bの軸芯方向中心側寄りとなるように、折り返し部11aが形成されている。また、図5及び図6に示すように、油路孔21cの出口よりケース本体21の壁の一部が延設されて、樋状部21dを形成しており、該樋状部21dを、該リング11の折り返し部11aの内周端に沿わせて、軸芯孔4b内に突入させている。これにより、油路孔21cから軸芯孔4bへの油の導入を円滑にし、油がカウンタ軸4の奥(反対)側に向かって流れ易くなる。
【0041】
軸芯孔4b内の油は、カウンタ軸4の回転中は遠心力により、該軸芯孔4bの内周面に押しつけられる。ケース本体21側のリング11は、該折り返し部11aに、油路孔21cより軸芯孔4bに導入された油を溜め、カウンタ軸4の回転に伴って、該油を、該軸芯孔4bの周面に沿ってブレーキユニット30内のカウンタ軸4の他端側へと案内する。油はやがて軸芯孔4bのブレーキユニット30側の端部に到達し、放射孔4cを介してブレーキディスク31やブレーキシュー32へと供給される。
【0042】
ブレーキユニット30内の軸芯孔4bの開口端におけるリング11は、その折り返し部11aにより、該車軸駆動ケース2側より軸芯孔4bの周面を伝ってきた油が、そのまま該開口端からカウンタ軸4の外側(ブレーキユニット30内)へと逃げないように阻止し、油を該車軸駆動ケース2側へとターンさせて、軸芯孔4bへ導入される油の量を確保する。こうして、車軸駆動ケース2内の油溜まりより、該車軸駆動ケース2に外付けされたブレーキユニット30内に潤滑油が供給される。
【0043】
なお、図11の他実施例のように、該軸芯孔4bの内周面に、該ケース本体21側開口端から該ブレーキユニット30側開口端まで油を強制移動させる螺旋状の帯4eを取り付けてもよい。あるいは、内周面にネジ状の溝を形成してもよい。
【0044】
ブレーキユニット30について、図3乃至図5、図7、図9、図10より説明する。サイドカバー22の前記台座部22aに、ブレーキケース23が接合固着されている。ブレーキケース23の外側面にはブレーキユニット30冷却用の略水平状のフィン23aが複数形成されている。該ブレーキケース23内にて、車軸駆動ケース2からのカウンタ軸4の突出部に、複数のブレーキディスク31が、スプライン嵌合にて軸芯方向摺動可能かつ相対回転不能に取り付けられており、各隣接ブレーキディスク31・31間にブレーキシュー32が配置され、各ブレーキシュー32は、その外周爪部(図示せず)を該ブレーキケース23の溝(図示せず)に係止させることにより、軸芯方向摺動可能かつ相対回転不能に取り付けられている。前記のカウンタ軸4の放射孔4cはこれらのブレーキディス31・ブレーキシュー32に臨んで開口している。
【0045】
サイドカバー22に形成した前記の各凹部22dにカム球33の半部が嵌入されている。この凹部22dを開口するサイドカバー22の外側面と、最も車軸駆動ケース2側のブレーキシュー32(或いはブレーキディスク31)の、該車軸駆動ケース2側の側面との間に、カムリング34が、その軸芯部を中心に回動可能に挟持されており、カムリング34の車軸駆動ケース2側の側面には、各カム球33嵌入用のカム溝34aが形成されている。カム溝34aは、該カム軸4の軸芯を中心とする円周方向に沿って、各凹部22dに対峙するよう配置され、各カム溝34aは、図10に示すように、該円周方向沿いに、該カム球33の径長より長くなっていて、該方向の両端部が浅く(浅端部)、中央部が深く(深央部)なっている。
【0046】
該カムリング34の回動に基づき、各カム球33が各カム溝34aの深央部に嵌入している時は、カムリング34とサイドカバー22との隙間が最小となり、ブレーキディスク31とブレーキシュー32同士が離れ、ブレーキがかからない状態(非制動状態)となっている。一方、各カム球33が各カム溝34aの浅端部に嵌入している時は、カムリング34が各球33に押されてサイドカバー22から離れ、ブレーキディスク31とブレーキシュー32同士を押接し、ブレーキがかかった状態(制動状態)にする。
【0047】
図7に示すように、サイドカバー22及びブレーキケース23にて、カウンタ軸4と平行なブレーキ軸35が軸支されており、該ブレーキ軸35の外端部がブレーキケース23より突出し、該突出端にブレーキアーム36が固設されている。ブレーキアーム36は、図1及び図2に示すバギー車においてハンドル55に付設されたブレーキレバーとワイヤにて連動連係され、このワイヤを案内する案内孔37aを有するワイヤステー37を、ブレーキケース23の外側に固設している。
【0048】
このブレーキアーム36は、該ブレーキレバーの操作で回動されて、ブレーキディスク31・ブレーキシュー32を非制動状態にする非制動位置と、制動状態にする制動位置とに切り換えられる。また、ブレーキアーム36と、ブレーキケース23に形成したバネ止め部23bとの間にて、リターンバネ38が介装され、ブレーキ軸35の突出端と、該ブレーキ軸35を軸支するブレーキケース23のボス部とに巻装されている。このリターンバネ38により、ブレーキアーム36及びブレーキ軸35が非制動位置へと付勢される。
【0049】
サイドカバー22及びブレーキケース23内にて、カムリング34の一部が延出されてアーム34bとなっており、該ブレーキ軸35に対峙している。該ブレーキ軸35の、該アーム34bへの対峙部は、断面視で弦状に切り欠かれて、カム面35aとされている。ブレーキアーム36が非制動位置の時は、該カム面35aがアーム34bの対峙面と略平行に対峙しており、カムリング34がブレーキディスク31・ブレーキシュー32を非制動状態とする位置にある。ブレーキアーム36を制動位置に回動すると、ブレーキ軸35がブレーキアーム36とともに回動して、そのカム面を該アーム34bの対峙面に対して斜めにし、これにより、該アーム34bを押動して、カムリング34を、ブレーキディスク31・ブレーキシュー32が制動状態となる位置にする。
【0050】
以上は、図1及び図2に示すバギー車においては後車軸駆動装置1rとして適用される、ブレーキユニット30付きで、左右車軸5・5同士をリジッドに連結した非差動タイプの車軸駆動装置1について説明したものである。
【0051】
なお、車両に適用するにあたっては、干渉物との関係等を考慮すると、車軸駆動ケース2に対するブレーキユニット30の取付位置が、図1乃至図4等に示す位置とは左右反対側であることが好適な場合がある。図12に示す車軸駆動装置1については、車軸駆動ケース2において、ケース本体21・サイドカバー22が、図3乃至図10に示すものとは左右反転状に構成されており、このサイドカバー22に装着することで、ブレーキユニット30の取付位置を左右反転させることができる。
【0052】
ブレーキユニット30を車軸駆動装置1の車軸駆動ケース2の左右いずれの側面に取り付けるにしても、車軸5・5の軸芯方向と平行な左右方向のいずれかの側面に外付けされるため、メンテナンス等のためのブレーキユニット30の取り外しの際に、該車軸5と直角な前後方向に配設される入力軸3から車軸5・5までの伝動系(即ち、入力軸3とカウンタ軸4との間に介設されるベベルギア3a・8のギア列、及び、カウンタ軸4と車軸5・5との間に介設されるピニオン4a・ファイナルギア9の減速ギア列)を分解する必要がない。即ち、他の車軸駆動装置における動力伝達部材はそのままで、ブレーキケース23を台座部22aより外すだけで、ブレーキユニット30の内部を露出させることができ、メンテナンス等のための分解組立が非常に容易である。
【0053】
なお、図12に示す実施例でのカウンタ軸4は、ケース本体21側の端部にベベルギア8がスプライン嵌合されており、軸受18を介して該ベベルギア8をケース本体21に軸支し、一方、サイドカバー22には軸受19を介してカウンタ軸4を軸支する構造としているが、図4に示すカウンタ軸4と同様に(即ち、図4に示すカウンタ軸4を左右反対にして)、ケース本体21には軸受14を介してカウンタ軸4の油路孔21c側の端部を軸支し、サイドカバー22には軸受15を介して、カウンタ軸4にスプライン嵌合したベベルギア8を軸支するものとしてもよい。
【0054】
次に、図13に示す車軸駆動装置1は、図1及び図2に示すバギー車においては前車軸駆動装置1fとして適用されるものであって、ブレーキユニット30が付設されておらず、かつ、左右車軸5・5同士を差動連結した差動タイプである。前車軸駆動装置1fとして車両に適用する場合は、前後方向の入力軸3を後方に向け、左右方向の車軸5・5をその前方に配置する。以下、図13の車軸駆動装置1について、図3乃至図10に示す車軸駆動装置1と異なる点のみ説明する。
【0055】
まず、この車軸駆動装置1は、車軸駆動ケース2にデフギアユニット40を収納し、該デフギアユニット40にて左右車軸5・5同士を差動連結している。また、車軸駆動ケース2より突出していた長いカウンタ軸4に代えて、車軸駆動ケース2内で全体が収容される短いカウンタ軸41が用いられる。
【0056】
短いカウンタ軸41は、長いカウンタ軸4の、サイドケース22からブレーキユニット30内への突出部分を切除した構成となっていて、カウンタ軸4と同様に、サイドカバー22側端部にはベベルギア3aと噛合するベベルギア8が環設され、また、左右中央部に平ギアのピニオン41aが形成されており、さらには、軸芯孔41bがカウンタ軸41を貫通している。軸芯孔41bは、この仕様においてはブレーキユニット30に油を供給する機能はないが、カウンタ軸41の軽量化に資する。また、軸芯孔41bやピニオン41aの加工はカウンタ軸4の軸芯孔4bやピニオン4aの加工と共通の工程とすることができる。
【0057】
デフギアユニット40を収納するため、このタイプの車軸駆動装置1に用いられる車軸駆動ケース2は、前記の車軸駆動装置1のものに比べ、左右各車軸5・5の軸支部分を左右方向外側に延出した構成のケース本体24とサイドカバー25とを接合してなる。なお、左右車軸5・5の軸支部分を左右方向外側に延出した構成以外は、前述の非差動タイプの車軸駆動装置1における車軸駆動ケースのケース本体21・サイドカバー22の構成と同様である。即ち、ケース本体24にはボス部21a・マウント部21b・油路孔21c・樋状部21d等に該当する部分(図13の油路孔24c・樋状部24dは油路孔21c・樋状部21dに該当)が構成されており、サイドカバー25には、サイドカバー22の台座部22a・カム板部22c・凹部22d等に該当する台座部25a・カム板部25c・凹部25dが構成されており、また、ブレーキユニット30の装着に対応して長いカウンタ軸4を用いる時には、軸孔22bに該当する軸孔25b(図14参照)をサイドカバー25に穿設可能である。
【0058】
また、サイドカバー25には、前記の車軸駆動ケース2内とブレーキユニット30内との間の潤滑油循環用の連通孔22f・22gに該当する連通孔25f・25g(図15、図16参照)が形成されており、さらに、この潤滑油の循環を円滑化するための空気連通孔22eに該当する孔(図示せず)も穿設されている。
【0059】
デフギアユニット40においては、平ギアで大径のファイナルギア42が入力ギアとして用いられ、該ケース本体24・サイドカバー25の両軸孔にそれぞれ挿通軸支持された各車軸5(前車軸5f)に、左右一対のデフケース43の各軸芯方向外側部に形成したボス部がそれぞれ相対回転自在に外嵌され、各ボス部の端部が、軸受16・17を介してそれぞれケース本体24・サイドカバー25に軸受けされている。各デフケース43の軸芯方向内端面は、ボルト44を介してファイナルギア42の左右各面に締止されている。
【0060】
デフケース43内にて、各車軸5の内端部にデフサイドギア45が固設されており、一方、ファイナルギア42内にピニオン軸46が軸支され、該ピニオン軸46にデフピニオン47が外嵌されて、各デフピニオン47が左右両デフサイドギア45に噛合している。
【0061】
さらに一方のデフケース43のボス部には、デフロックスライダ48が軸芯方向に摺動自在に外嵌されており、当該デフケース43にピン孔が穿設され、該デフロックスライダ48より車軸と平行に延設されるデフロックピン49を、該デフケース43のピン孔を介して、一方のデフサイドギア45に形成した凹部45aに嵌入可能となっている。図13に示されるデフロックスライダ48及びデフロックピン49はデフロック解除位置にあり、デフロックピン49が該デフサイドギア45の凹部45aより外れていて、両車軸5同士の差動回転を可能としている。図13におけるデフロックスライダ48が図面で右側に摺動すると、デフロックピン49が凹部45aに嵌入し、車軸5・5同士をデフロック、すなわち、一体連結する。このようにして、デフロック機構付きのデフギアユニット40が構成されている。
【0062】
図13に示す車軸駆動装置1は、図1、図2のバギー車における前車軸駆動装置1fとして適用されるものであって、左右各車軸5(前車軸5f)は、カップリング5aを外端に形成したものとなっており、各前輪車軸53の内端に構成した自在継手53aを該カップリング5aに嵌入して、各フロントサスペンション64にて上下揺動自在に懸架した各前輪51fに、各車軸5(前車軸5f)を駆動連結するものとしている。
【0063】
このような差動タイプの車軸駆動装置1に、ブレーキユニット30を装着して、図1及び図2のバギー車の後車軸駆動装置1rとして適用可能としたものが、図14に示す車軸駆動装置1である。図12の、前車軸駆動装置1fへの適用タイプとの違いは、サイドカバー25の外側にブレーキユニット30を装着していることである。装着構造については、図3乃至図10に示すものと同様であり、サイドカバー25には、前述の軸孔25bを穿設し、長いカウンタ軸4を車軸駆動装置2内にて軸支し、該軸孔25bを介して、その一端部を、ブレーキユニット30内へと突出させている。
【0064】
そして、各車軸5(後車軸5r)に関しては、その外端部が、リジッドかつ同一軸芯上に後輪車軸61に連結される構成としている。
【0065】
こうして、前車軸駆動装置1fに加えて、後車軸駆動装置1rも差動タイプにすれば、車軸駆動ケース2は、ともにケース本体24・サイドカバー25を接合したものに統一でき、軸孔25bを穿設するしないのみで、ブレーキユニット30の装着・非装着に対応できるものであって、さらに部品規格化を促進することができ、低コスト化を図ることができる。
【0066】
また、車両によっては、前車軸駆動装置1f・後車軸駆動装置1rをともに非差動タイプにすることも考えられ、この場合は、いずれの車軸駆動装置にも、ケース本体21・サイドカバー22を接合してなる車軸駆動ケース2を用いることができる。また、いずれを差動・非差動とするかにかかわらず、後車軸駆動装置1rにブレーキユニット30を装着せず、前車軸駆動装置1gにブレーキユニット30を装着することとしてもよいし、或いは前・後車軸駆動装置1f・1rともにブレーキユニット30ありとしてもよいし、或いはともにブレーキユニット30なしとしてもよい。
【0067】
なお、図13、図14に示す差動タイプの車軸駆動装置1においても、ケース本体24・サイドカバー25を左右反転状に構成することで、ブレーキユニット30を、図13、図14に示す位置とは左右反対側に車軸駆動ケース2に取り付けることができる。
【0068】
図15、図16は、それぞれ別の構成の差動機構を車軸駆動ケース2に収納してなる差動タイプの車軸駆動装置1の実施例を開示している。それぞれ、ブレーキユニット30が装着されている(対応して、長いカウンタ軸4が用いられている)が、ブレーキユニット30を外したタイプにしてもよく、また、左右反対側(図15、図16において、ブレーキユニット30’として図示)に取り付ける構成にしてもよい。
【0069】
図15の車軸駆動装置1におけるデフギアユニット70は、デフロック機構に代わって、左右各デフケース43と、各車軸5との間に、摩擦板71・72を介設して、回転差感知式(トルク感知式)リミティッドスリップデフとしたものである。摩擦板71・72は交互に配列され、摩擦板71は車軸5に、摩擦板72はデフケース43にそれぞれ相対回転不能に係合されていて、互いに相対摩擦摺動可能に当接している。一方の車軸5がスタック状態となっても、他方の車軸5との差動が制限されているため、該他方の車軸5に伝達される入力軸3からの動力で該スタック状態から脱出できる。
【0070】
図16の車軸駆動装置1における左右車軸5・5間のデフギアユニット80は、オートデフロックタイプとなっている。即ち、ピニオン4aに噛合するファイナルギア81が、クラッチケース82の外周部に固設されており、該クラッチケース82の左右開口部より該クラッチケース82内に各車軸5の内端部が挿入され、各車軸5の内端部と、該クラッチケース82との間に、双方向クラッチ83を介設している。また、オートデフロック式差動機構としては、ギアレスタイプのものも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る車軸駆動装置は、入力軸の軸芯方向と車軸の軸芯方向とが直角な構造のものであって、他の伝動系の分解組立等を殆ど必要とせずにブレーキ装置を着脱可能なものであり、特にはバギー車等のサドルタイプ車両に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る車軸駆動装置を備えたバギー車の側面図である。
【図2】図1のバギー車の平面図である。
【図3】ブレーキユニットを装着した非差動タイプの車軸駆動装置の、ブレーキユニット装着側から見た側面図である。
【図4】図3に示す車軸駆動装置の平面断面図(図3中IV−IV矢視断面図)である。
【図5】図3中V−V矢視断面図である。
【図6】図5中におけるカウンタ軸へのブレーキ用潤滑油導入部の拡大図である。
【図7】図3中VII−VII矢視断面図である。
【図8】図4中VIII−VIII矢視断面図である。
【図9】図7中IX−IX矢視断面図である。
【図10】図3に示す車軸駆動装置のブレーキカム部分の断面図である。
【図11】カウンタ軸内のブレーキ用潤滑油供給油路を別の構造とした場合の、図3中V−V矢視断面図である。
【図12】車軸駆動ケースに対するブレーキユニットの装着側を、図3、図4に示す側とは反対側にした場合の、非差動タイプの車軸駆動装置の平面断面図である。
【図13】ブレーキユニットを装着しない差動タイプの車軸駆動装置の平面断面図である。
【図14】ブレーキユニットを装着した差動タイプの車軸駆動装置の平面断面図である。
【図15】リミティッドスリップデフを備えた、ブレーキユニットを装着した車軸駆動装置のスケルトン図である。
【図16】オートデフロック機能を有する差動機構を備えた、ブレーキユニットを装着した車軸駆動装置のスケルトン図である。
【0073】
1 車軸駆動装置
2 車軸駆動ケース
3 入力軸
3a ベベルギア
4(41) カウンタ軸
4a ピニオン
4b 軸芯孔(ブレーキ潤滑油供給用油路)
4c 放射孔(ブレーキ潤滑油供給用油路)
5(5f・5r) 車軸
8 ベベルギア
9 ファイナルギア
10 油導入板
11 リング
30 ブレーキユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸駆動装置、特にはバギー車等のサドルタイプ車両に適用される車軸駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バギー車の車軸駆動装置としては、特許文献1に開示される構造のものが公知となっている。この公知の車軸駆動装置は、前後方向の入力軸を支持する入力ケースと、車軸への減速ギアを収納する減速ギアケースとの間に、該入力軸と、左右方向の車軸とを駆動連結する前後方向の(該入力軸と同一軸芯上の)伝動軸を支持する中間ケースが介設されており、該中間ケース内にて、該前後方向の伝動軸上にブレーキが装着されている。したがって、該入力ケースと該減速ケースより中間ケースを取り外して、その中のブレーキのメンテナンス作業を施すことが可能である。
【特許文献1】特許第3052075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記中間ケースは、前記入力ケースと前記減速ケースとの間に挟持されるように介設されているので、該中間ケースを取り外す際には、入力ケースと減速ケースとの間が切り離され、したがって、入力軸と減速ギアとの切り離しも伴い、分解取り外しを要する部分が多い。つまり、ブレーキ装置のメンテナンスに、伝動系についてこのような大がかりな分解作業が伴い、結局、当該メンテナンスは容易ではない。
【0004】
さらに、前後方向の前記伝動軸と、左右方向の前記車軸との間の減速ギアは、必然的にベベルギアになる。特に、車軸上に設ける大径のファイナルギアをベベルギアとする場合は加工が複雑となる(車軸への装着部であるボスも一体に形成したギア材の外周にベベルギアの歯切り加工をすると、ボスが該加工の支障となるので、通常、ボスと、ベベルギアを形成するホイルとは別であり、後から両者を溶接、またはボルト締結する)。このようなことから、車軸駆動装置自体が高コストになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車軸、該車軸と直角方向の入力軸、及び該入力軸と該車軸との間に介設される伝動機構を車軸駆動ケースに収納してなる、バギー車の車軸駆動装置において、該車軸駆動ケースの、該車軸と平行方向の一側に、該車軸制動用のブレーキ装置を配置したものである。
【0006】
また、前記車軸駆動ケース内にて、前記車軸と平行方向のカウンタ軸を前記入力軸と該車軸との間に支持し、該カウンタ軸を介して該入力軸と該車軸とをギアにて駆動連結し、該カウンタ軸の外端部に前記ブレーキ装置を装着するものである。
【0007】
さらに、前記車軸駆動ケースの、前記ギアを収容するギア室に油溜まりを形成する一方、前記カウンタ軸は、軸芯方向に延伸する孔を有する中空軸とし、該孔の一端部を該車軸駆動ケース内に向けて開口し、該開口端部付近に該孔への潤滑油導入手段を設けるとともに、該孔の他端部を前記ブレーキ装置に向けて開口するものである。
【0008】
さらに、前記車軸駆動ケースは、前記ギア室と、前記ブレーキ装置を収容するブレーキ室とを区画する壁部分を有し、該壁部分に、該ブレーキ室から該ギア室へ潤滑油を還流させるための連通孔を設けるものである。
【0009】
さらに、前記ブレーキ室を構成するブレーキケースの外表面に、略水平なフィンを複数形成するものである。
【0010】
さらに、前記ブレーキケースは前記車軸駆動ケースに対し分離・係合自在とし、前輪用、後輪用のいずれにも適用可能とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るバギー車の車軸駆動装置は、車軸、該車軸と直角方向の入力軸、及び該入力軸と該車軸との間に介設される伝動機構を収納する車軸駆動ケースの、該車軸と平行方向の一側に、該車軸制動用のブレーキ装置を配置することで、ブレーキ装置以外の伝動系部材の組立分解を伴うことなく、容易にブレーキ装置を着脱でき、該ブレーキ装置のメンテナンス性に優れている。
【0012】
また、前記車軸駆動装置において、前記車軸駆動ケース内にて、前記車軸と平行方向のカウンタ軸を前記入力軸と該車軸との間に支持し、該カウンタ軸を介して該入力軸と該車軸とをギアにて駆動連結し、該カウンタ軸の外端部に前記ブレーキ装置を装着することで、該ブレーキ装置を取り外す場合にも、該入力軸、該カウンタ軸、該ギア、該車軸への伝動系構造は何ら分解を必要とせずにそのまま保持され、前述の、該車軸駆動装置におけるブレーキ装置の優れたメンテナンス性を実現している。
【0013】
さらに言えば、カウンタ軸と車軸とが平行であることから、両軸間に構成する前記ギアを平ギアとすることができ、車軸駆動装置の低コスト化を図ることができる。
【0014】
さらに、前記車軸駆動ケースの、前記ギアを収容するギア室に油溜まりを形成する一方、前記カウンタ軸は、軸芯方向に延伸する孔を有する中空軸とし、該孔の一端部を該車軸駆動ケース内に向けて開口し、該開口端部付近に該孔への潤滑油導入手段を設けるとともに、該孔の他端部を前記ブレーキ装置に向けて開口することで、他に特別なブレーキ装置への潤滑油供給手段を設ける必要なく、中空軸であるカウンタ軸を利用して軽量化を図りつつ、該ケース内の潤滑油を効率的に該ブレーキ装置へと供給することができる。また、前記カウンタ軸内の孔の、一端部から他端部まで、該カウンタ軸の略全長分をブレーキ装置用の潤滑油供給油路として提供することで、十分な油量を確保できる。
【0015】
さらに、前記車軸駆動ケースに、前記ギア室と、前記ブレーキ装置を収容するブレーキ室とを区画する壁部分を設け、該壁部分に、該ブレーキ室から該ギア室へ潤滑油を還流させるための連通孔を設けることにより、ギア室とブレーキ室との間の油の循環が円滑になり、ブレーキ室内の温度上昇を抑制してブレーキ装置の耐久性向上を図り、また、ギア室の潤滑油不足を起こすことがない。
【0016】
さらに、前記ブレーキ室を構成するブレーキケースの外表面に、略水平なフィンを複数形成することにより、走行時にブレーキ装置を作動させたときに発する摩擦熱や潤滑油の熱がブレーキケースに伝播されたときに、フィンの外表面上を相対的に流れる空気へ効率よく放熱させ、ブレーキ室内の冷却効果を高めることができる。
【0017】
さらに、前記ブレーキケースは前記車軸駆動ケースに対し分離・係合自在とし、前輪用、後輪用のいずれにも適用可能とすることで、ブレーキ装置以外の部分は前輪用と後輪用とで該車軸駆動装置を共用することができ、即ち、規格化を進めて製造コストの削減を実現できる。そして、後輪用にはブレーキ装置を装着した車軸駆動装置を、前輪用にはブレーキ装置を装着しない車軸駆動装置を用いる必要がある場合に、このように規格化された本発明の車軸駆動装置のケースに、ブレーキ装置を装着するだけで後輪車軸用、ブレーキ装置を装着しないだけで前輪車軸用として適用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る車軸駆動装置を前輪用・後輪用の両方に適用したバギー車の全体構成について、図1及び図2より説明する。上部フレーム50tと下部フレーム50bとを組み合わせて、車体フレーム50が構成されており、該車体フレーム50の前部に前フェンダ51fを、後部に後フェンダ51rを取り付けている。
【0019】
該下部フレーム50b前端より左右両側にウィッシュボーンフレーム50wが上下揺動自在に延設され、各ウィッシュボーンフレーム50wの外側の揺動端が、左右各フロントサスペンション64に支持され、さらに該揺動端に、左右一対の前輪52fの各々が操舵可能に支持され、左右両前輪52fが前フェンダ51fにて覆われている。
【0020】
また、該下部フレーム50bの前端部には前車軸駆動装置1fの車軸駆動ケース2が取り付け固定支持されている。
【0021】
該前車軸駆動装置1fより左右両側に、各ウィッシュボーンフレーム50wに沿って、前輪車軸53が延設されている。なお、該前車軸駆動装置1fの車軸駆動ケース2の左右端部には、左右各車軸5fが左右水平状に軸支されていて、各前輪車軸53は、その内端部を各車軸5fに、その外端部を各前輪52fのリム中心部に、それぞれ、ユニバーサルジョイントにて連結しており、各ユニバーサルジョイント連結部は、ブーツ54にてそれぞれ覆っている。こうして、左右両前輪52fは、車体フレーム50に操舵可能に支持されて、後述のハンドル55にて操舵される操舵輪であるとともに、前車軸駆動装置1fより動力を受ける駆動輪となっている。
【0022】
下部フレーム50bの後方には、上部フレーム50tより下後方に延設したリアサスペンション63にて上下揺動自在に支持した後車軸駆動装置1rを配置している。後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2からは左右両側に後輪車軸61が延設され、各後輪車軸61の外端部が各後輪52rのリム中心部に固着されている。また、該後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2の左右各端と各後輪52rのリムとの間にそれぞれ車軸ケース62が介設されて、各後輪車軸61全体を覆っている。なお、各後輪車軸61は、該後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2に軸支される左右各車軸5rに同一軸芯上に連結固定するものとしてもよいし、或いは、各車軸5rをそのまま後輪車軸61として延長した構成にしてもよい。このように、左右後輪52rは、非操舵輪であって、かつ、後車軸駆動装置1rより動力を受ける駆動輪であり、前記の後フェンダ51rに覆われている。
【0023】
前輪52fと後輪52rとの間にて、前から後へ順に、ハンドル55、燃料タンク56、サドル57が上部フレーム50tに搭載され、燃料タンク56及びサドル57の下方にて、パワーユニット58が下部フレーム50bに搭載されている。パワーユニット58は、変速ギアボックス58gの上部にエンジン58eを連設してなるものである。
【0024】
該変速ギアボックス58gより前方に前輪駆動軸59fが、後方に後輪駆動軸59rが延設されており、エンジン58eの動力が、該変速ギアボックス58g内の変速ギアを介して、前輪駆動軸59fと後輪駆動軸59rとに分配されるものとしている。前輪駆動軸59fの前端は、前車軸駆動装置1fの車軸駆動ケース2の後端に嵌入され、また、後輪駆動軸59rの後端は、後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2の前端に嵌入され、それぞれ、各車軸駆動ケース2内の後記減速ギア列に駆動連結される。
【0025】
なお、変速ギアボックス58gの後端と、後車軸駆動装置1rの車軸駆動ケース2の前端との間には、軸ケース60が介設されて、後輪駆動軸59rを覆っている。また、後車軸駆動軸59rの前端は、変速ギアボックス58g内の後輪駆動用出力軸に対しユニバーサルジョイント等で連結され、前述の如くリアサスペンション63にて吊持された後車軸駆動装置1rの上下揺動自在性を確保している。
【0026】
次に、図1及び図2に示すバギー車においては後車軸駆動装置1rとして用いるよう設定した図3乃至図10に示す車軸駆動装置1について説明する。この車軸駆動装置1は、図4等に示すように、車軸駆動ケース2内に、入力軸3、カウンタ軸4、一対の車軸5(後車軸駆動装置1rとして用いる場合は後車軸5r)を軸支し、該入力軸3から該両車軸5までの減速ギア列を収納してなる構成である。以下、位置関係については、入力軸3を前後方向かつ前方に向け、後車軸駆動装置1rとして配設した状態を想定して説明する。
【0027】
車軸駆動ケース2は、ケース本体21に、サイドカバー22をボルト締結にて接合してなるものである。ケース本体21の外縁には、図3及び図5に示すように、左右方向の貫通孔を有するボス部21aやボルト孔を有するマウント部21bを形成しており、サスペンション63や車体フレーム50への取付に用いられる。
【0028】
ケース本体21の前端は開口していて、該前端開口部より、入力軸3を軸支する軸受ブロック7を該ケース本体21に嵌入固定する。入力軸3は、軸受12・13を介して該軸受ブロック7に軸支されており、その前端は、該軸受ブロック7の前端より前方に突出され、該突出端に、後輪駆動軸59r(この車軸駆動装置1を前車軸駆動装置1fとして用いる場合は、前輪駆動軸59f)と接続するためのカップリング6が相対回転不能に装着されている。一方、入力軸3の後端は、該軸受ブロック7より後方に突出されて、該後端にベベルギア3aを形成している。
【0029】
また、ケース本体21後部の左右一側には、左右一方の車軸5を挿通軸支するための軸孔が設けられており、その左右反対側にて、該ケース本体21に接合されたサイドカバー22に、左右他方の車軸5を挿通軸支するための軸孔が設けられている。
【0030】
車軸駆動装置1は、後述の如く、差動タイプまたは非差動タイプに構成することが可能であるが、図4に示す車軸駆動装置1は、非差動タイプであって、該ケース本体21・サイドカバー22の両軸孔にそれぞれ挿通軸支持された両車軸5の内端を、平ギアである大径のファイナルギア9の中心ボス部にスプライン嵌入し、ファイナルギア9の回転と一体に(差動不能に)両車軸5・5が回転可能となっている。該ファイナルギア9は、左右一端にて、軸受16を介してケース本体21に、左右他端にて、軸受17を介してサイドカバー22に、それぞれ軸受けされている。
【0031】
図4等に示すように、これら両車軸5の軸支部分の前方にて、ケース本体21の側壁は、左右方向(車軸5・5と平行)に延設されるカウンタ軸4の一端を軸受けする部分となっている。なお、該側壁と該カウンタ軸4の該一端との間には、後述の、ブレーキユニット30への潤滑油供給用油路孔21cが形成されている。このケース本体21の左右反対側にて、サイドカバー22の外側部には、図4、図5、図7及び図9に示すように、ブレーキユニット30の取付け用の台座部22aが形成されており、台座部22aで囲まれるサイドカバー22の外壁の中央部に、カウンタ軸4挿通用の軸孔22bが穿設されている。この軸孔22bを介して、車軸駆動ケース2内に軸支されたカウンタ軸4が、台座部22aに据えつけられたブレーキユニット30内のブレーキ室へと突出する。即ち、この台座部22aが、後述するギア室とブレーキ室とを区画する。
【0032】
なお、後述の図13に示すように、ブレーキユニット30を装着しない場合は、カウンタ軸4をサイドカバー22から突出させないので、この軸孔22bを穿設せず、したがって、サイドカバー22の当該部分は塞がれている。
【0033】
また、図4や図9等に示す如く、台座部22aで囲まれる部分の軸孔22b周辺におけるサイドカバー22の外側面部に、カム板部22cを形成しており、該カム板部22cに、後述の各カム球33の半部を嵌入するための半球状の凹部22dを、軸孔22bを中心とした円周上に配列している。
【0034】
さらに、図9に示すように、サイドカバー22の、該台座部22aで囲まれる側部に、連通孔22e・22f・22gが貫通しており、車軸駆動ケース2内と、該台座部22aに取り付けたブレーキユニット30の後記ブレーキケース23内とを連通するものとしている。連通孔22e・22f・22gのうち、上下中間位置にある連通孔22fは、回転するギアで攪拌されて飛散する車軸駆動ケース2内の油をブレーキケース23内へと案内する潤滑油供給路とされる。連通孔22gは、連通孔22fより低位にあり、ブレーキケース23内の油を車軸駆動ケース2内へと戻す還流油路として機能する。最も上位の連通孔22eは、潤滑油の、該連通孔22f・22gを介しての循環や、後記の、カウンタ軸4内を介してのブレーキユニット30への潤滑油の供給を円滑にすべく、空気を車軸駆動ケース2内に導入するための空気導入路として機能する。
【0035】
車軸駆動ケース2内において、カウンタ軸4の、サイドカバー22の内壁面に沿って、前記の入力軸3のベベルギア3aと噛合するベベルギア8がスプライン嵌合にて環設され、該ベベルギア8が、軸受15を介してサイドカバー22に軸支されている。また、カウンタ軸4の、ケース本体21側の端部は、前記の油路孔21cに沿って設けられた軸受14を介して、ケース本体21に軸支されている。そして、該軸受14と該ベベルギア8との間にて、該カウンタ軸4に、前記の大径のファイナルギア9と噛合する小径のピニオン4aが形成されている。これらピニオン4a・ファイナルギア9が減速ギア列をなすものである。
【0036】
この、径長の異なるギア4a・9同士が噛合して構成される減速ギア列については、該ピニオン4a・ファイナルギア9を平ギアにて構成することで、安価にすることができる。一方、この減速ギア列により、ベベルギア3a・8間については、ギア比を1:1にしてもよいため、バックラッシの調整が容易であり、ベベルギア列ではあっても、組み立てが比較的容易で製造コストも安く抑えることができる。このように、車軸駆動ケース2には減速ギア列のギアを収容するギア室が形成され、該ギア室はまた、各ギアや軸受等に必要な潤滑油を貯蔵しておく油溜まりとして機能する。
【0037】
カウンタ軸4には、中心軸線に沿って貫通状に軸芯孔4bが形成されて、中空軸となっており、そのケース本体21側の開口端は、ケース本体21の内側壁に形成した油路孔21cに連通している。この軸芯孔4bは、カウンタ軸4の軽量化に資するとともに、該油路孔21cに臨む一端側からブレーキユニット30内の他端側へと前記潤滑油を供給するための油路孔として機能する。
【0038】
ブレーキユニット30を取り付けている場合のブレーキユニット30への潤滑油供給構造について図4乃至図9より説明する。カウンタ軸4のブレーキユニット30内における端部にて、軸芯孔4bより径方向に、複数の放射孔4cが延設されて、外周面にて開口しており、後述の、該カウンタ軸4に周設された、ブレーキディスク31やブレーキシュー32に臨ませている。
【0039】
油路孔21cは、ケース本体21内の空間(ギア室)に開口しており、該開口の下部に、油導入板10を延設している。油導入板10は、本実施例では、L字形に曲折した金属板をケース本体21に取り付けた構成であるが、ケース本体21の内側壁を突出させて構成してもよい。該油導入板10はピニオン4aに臨むように軸方向に延設されており、該ピニオン4aやファイナルギア9が掻き上げた車軸駆動ケース2内の潤滑油を取り込み、油路孔21c内へと案内する。
【0040】
カウンタ軸4の各開口端には、リング11が嵌入されている。該リング11はゴム等の弾性部材よりなっている。各リング11の外周端は、放射孔4cの軸芯方向中心側寄り、その内周側部分が軸芯孔4bの軸芯方向外側寄り、さらにその内周側部分が軸芯孔4bの軸芯方向中心側寄りとなるように、折り返し部11aが形成されている。また、図5及び図6に示すように、油路孔21cの出口よりケース本体21の壁の一部が延設されて、樋状部21dを形成しており、該樋状部21dを、該リング11の折り返し部11aの内周端に沿わせて、軸芯孔4b内に突入させている。これにより、油路孔21cから軸芯孔4bへの油の導入を円滑にし、油がカウンタ軸4の奥(反対)側に向かって流れ易くなる。
【0041】
軸芯孔4b内の油は、カウンタ軸4の回転中は遠心力により、該軸芯孔4bの内周面に押しつけられる。ケース本体21側のリング11は、該折り返し部11aに、油路孔21cより軸芯孔4bに導入された油を溜め、カウンタ軸4の回転に伴って、該油を、該軸芯孔4bの周面に沿ってブレーキユニット30内のカウンタ軸4の他端側へと案内する。油はやがて軸芯孔4bのブレーキユニット30側の端部に到達し、放射孔4cを介してブレーキディスク31やブレーキシュー32へと供給される。
【0042】
ブレーキユニット30内の軸芯孔4bの開口端におけるリング11は、その折り返し部11aにより、該車軸駆動ケース2側より軸芯孔4bの周面を伝ってきた油が、そのまま該開口端からカウンタ軸4の外側(ブレーキユニット30内)へと逃げないように阻止し、油を該車軸駆動ケース2側へとターンさせて、軸芯孔4bへ導入される油の量を確保する。こうして、車軸駆動ケース2内の油溜まりより、該車軸駆動ケース2に外付けされたブレーキユニット30内に潤滑油が供給される。
【0043】
なお、図11の他実施例のように、該軸芯孔4bの内周面に、該ケース本体21側開口端から該ブレーキユニット30側開口端まで油を強制移動させる螺旋状の帯4eを取り付けてもよい。あるいは、内周面にネジ状の溝を形成してもよい。
【0044】
ブレーキユニット30について、図3乃至図5、図7、図9、図10より説明する。サイドカバー22の前記台座部22aに、ブレーキケース23が接合固着されている。ブレーキケース23の外側面にはブレーキユニット30冷却用の略水平状のフィン23aが複数形成されている。該ブレーキケース23内にて、車軸駆動ケース2からのカウンタ軸4の突出部に、複数のブレーキディスク31が、スプライン嵌合にて軸芯方向摺動可能かつ相対回転不能に取り付けられており、各隣接ブレーキディスク31・31間にブレーキシュー32が配置され、各ブレーキシュー32は、その外周爪部(図示せず)を該ブレーキケース23の溝(図示せず)に係止させることにより、軸芯方向摺動可能かつ相対回転不能に取り付けられている。前記のカウンタ軸4の放射孔4cはこれらのブレーキディス31・ブレーキシュー32に臨んで開口している。
【0045】
サイドカバー22に形成した前記の各凹部22dにカム球33の半部が嵌入されている。この凹部22dを開口するサイドカバー22の外側面と、最も車軸駆動ケース2側のブレーキシュー32(或いはブレーキディスク31)の、該車軸駆動ケース2側の側面との間に、カムリング34が、その軸芯部を中心に回動可能に挟持されており、カムリング34の車軸駆動ケース2側の側面には、各カム球33嵌入用のカム溝34aが形成されている。カム溝34aは、該カム軸4の軸芯を中心とする円周方向に沿って、各凹部22dに対峙するよう配置され、各カム溝34aは、図10に示すように、該円周方向沿いに、該カム球33の径長より長くなっていて、該方向の両端部が浅く(浅端部)、中央部が深く(深央部)なっている。
【0046】
該カムリング34の回動に基づき、各カム球33が各カム溝34aの深央部に嵌入している時は、カムリング34とサイドカバー22との隙間が最小となり、ブレーキディスク31とブレーキシュー32同士が離れ、ブレーキがかからない状態(非制動状態)となっている。一方、各カム球33が各カム溝34aの浅端部に嵌入している時は、カムリング34が各球33に押されてサイドカバー22から離れ、ブレーキディスク31とブレーキシュー32同士を押接し、ブレーキがかかった状態(制動状態)にする。
【0047】
図7に示すように、サイドカバー22及びブレーキケース23にて、カウンタ軸4と平行なブレーキ軸35が軸支されており、該ブレーキ軸35の外端部がブレーキケース23より突出し、該突出端にブレーキアーム36が固設されている。ブレーキアーム36は、図1及び図2に示すバギー車においてハンドル55に付設されたブレーキレバーとワイヤにて連動連係され、このワイヤを案内する案内孔37aを有するワイヤステー37を、ブレーキケース23の外側に固設している。
【0048】
このブレーキアーム36は、該ブレーキレバーの操作で回動されて、ブレーキディスク31・ブレーキシュー32を非制動状態にする非制動位置と、制動状態にする制動位置とに切り換えられる。また、ブレーキアーム36と、ブレーキケース23に形成したバネ止め部23bとの間にて、リターンバネ38が介装され、ブレーキ軸35の突出端と、該ブレーキ軸35を軸支するブレーキケース23のボス部とに巻装されている。このリターンバネ38により、ブレーキアーム36及びブレーキ軸35が非制動位置へと付勢される。
【0049】
サイドカバー22及びブレーキケース23内にて、カムリング34の一部が延出されてアーム34bとなっており、該ブレーキ軸35に対峙している。該ブレーキ軸35の、該アーム34bへの対峙部は、断面視で弦状に切り欠かれて、カム面35aとされている。ブレーキアーム36が非制動位置の時は、該カム面35aがアーム34bの対峙面と略平行に対峙しており、カムリング34がブレーキディスク31・ブレーキシュー32を非制動状態とする位置にある。ブレーキアーム36を制動位置に回動すると、ブレーキ軸35がブレーキアーム36とともに回動して、そのカム面を該アーム34bの対峙面に対して斜めにし、これにより、該アーム34bを押動して、カムリング34を、ブレーキディスク31・ブレーキシュー32が制動状態となる位置にする。
【0050】
以上は、図1及び図2に示すバギー車においては後車軸駆動装置1rとして適用される、ブレーキユニット30付きで、左右車軸5・5同士をリジッドに連結した非差動タイプの車軸駆動装置1について説明したものである。
【0051】
なお、車両に適用するにあたっては、干渉物との関係等を考慮すると、車軸駆動ケース2に対するブレーキユニット30の取付位置が、図1乃至図4等に示す位置とは左右反対側であることが好適な場合がある。図12に示す車軸駆動装置1については、車軸駆動ケース2において、ケース本体21・サイドカバー22が、図3乃至図10に示すものとは左右反転状に構成されており、このサイドカバー22に装着することで、ブレーキユニット30の取付位置を左右反転させることができる。
【0052】
ブレーキユニット30を車軸駆動装置1の車軸駆動ケース2の左右いずれの側面に取り付けるにしても、車軸5・5の軸芯方向と平行な左右方向のいずれかの側面に外付けされるため、メンテナンス等のためのブレーキユニット30の取り外しの際に、該車軸5と直角な前後方向に配設される入力軸3から車軸5・5までの伝動系(即ち、入力軸3とカウンタ軸4との間に介設されるベベルギア3a・8のギア列、及び、カウンタ軸4と車軸5・5との間に介設されるピニオン4a・ファイナルギア9の減速ギア列)を分解する必要がない。即ち、他の車軸駆動装置における動力伝達部材はそのままで、ブレーキケース23を台座部22aより外すだけで、ブレーキユニット30の内部を露出させることができ、メンテナンス等のための分解組立が非常に容易である。
【0053】
なお、図12に示す実施例でのカウンタ軸4は、ケース本体21側の端部にベベルギア8がスプライン嵌合されており、軸受18を介して該ベベルギア8をケース本体21に軸支し、一方、サイドカバー22には軸受19を介してカウンタ軸4を軸支する構造としているが、図4に示すカウンタ軸4と同様に(即ち、図4に示すカウンタ軸4を左右反対にして)、ケース本体21には軸受14を介してカウンタ軸4の油路孔21c側の端部を軸支し、サイドカバー22には軸受15を介して、カウンタ軸4にスプライン嵌合したベベルギア8を軸支するものとしてもよい。
【0054】
次に、図13に示す車軸駆動装置1は、図1及び図2に示すバギー車においては前車軸駆動装置1fとして適用されるものであって、ブレーキユニット30が付設されておらず、かつ、左右車軸5・5同士を差動連結した差動タイプである。前車軸駆動装置1fとして車両に適用する場合は、前後方向の入力軸3を後方に向け、左右方向の車軸5・5をその前方に配置する。以下、図13の車軸駆動装置1について、図3乃至図10に示す車軸駆動装置1と異なる点のみ説明する。
【0055】
まず、この車軸駆動装置1は、車軸駆動ケース2にデフギアユニット40を収納し、該デフギアユニット40にて左右車軸5・5同士を差動連結している。また、車軸駆動ケース2より突出していた長いカウンタ軸4に代えて、車軸駆動ケース2内で全体が収容される短いカウンタ軸41が用いられる。
【0056】
短いカウンタ軸41は、長いカウンタ軸4の、サイドケース22からブレーキユニット30内への突出部分を切除した構成となっていて、カウンタ軸4と同様に、サイドカバー22側端部にはベベルギア3aと噛合するベベルギア8が環設され、また、左右中央部に平ギアのピニオン41aが形成されており、さらには、軸芯孔41bがカウンタ軸41を貫通している。軸芯孔41bは、この仕様においてはブレーキユニット30に油を供給する機能はないが、カウンタ軸41の軽量化に資する。また、軸芯孔41bやピニオン41aの加工はカウンタ軸4の軸芯孔4bやピニオン4aの加工と共通の工程とすることができる。
【0057】
デフギアユニット40を収納するため、このタイプの車軸駆動装置1に用いられる車軸駆動ケース2は、前記の車軸駆動装置1のものに比べ、左右各車軸5・5の軸支部分を左右方向外側に延出した構成のケース本体24とサイドカバー25とを接合してなる。なお、左右車軸5・5の軸支部分を左右方向外側に延出した構成以外は、前述の非差動タイプの車軸駆動装置1における車軸駆動ケースのケース本体21・サイドカバー22の構成と同様である。即ち、ケース本体24にはボス部21a・マウント部21b・油路孔21c・樋状部21d等に該当する部分(図13の油路孔24c・樋状部24dは油路孔21c・樋状部21dに該当)が構成されており、サイドカバー25には、サイドカバー22の台座部22a・カム板部22c・凹部22d等に該当する台座部25a・カム板部25c・凹部25dが構成されており、また、ブレーキユニット30の装着に対応して長いカウンタ軸4を用いる時には、軸孔22bに該当する軸孔25b(図14参照)をサイドカバー25に穿設可能である。
【0058】
また、サイドカバー25には、前記の車軸駆動ケース2内とブレーキユニット30内との間の潤滑油循環用の連通孔22f・22gに該当する連通孔25f・25g(図15、図16参照)が形成されており、さらに、この潤滑油の循環を円滑化するための空気連通孔22eに該当する孔(図示せず)も穿設されている。
【0059】
デフギアユニット40においては、平ギアで大径のファイナルギア42が入力ギアとして用いられ、該ケース本体24・サイドカバー25の両軸孔にそれぞれ挿通軸支持された各車軸5(前車軸5f)に、左右一対のデフケース43の各軸芯方向外側部に形成したボス部がそれぞれ相対回転自在に外嵌され、各ボス部の端部が、軸受16・17を介してそれぞれケース本体24・サイドカバー25に軸受けされている。各デフケース43の軸芯方向内端面は、ボルト44を介してファイナルギア42の左右各面に締止されている。
【0060】
デフケース43内にて、各車軸5の内端部にデフサイドギア45が固設されており、一方、ファイナルギア42内にピニオン軸46が軸支され、該ピニオン軸46にデフピニオン47が外嵌されて、各デフピニオン47が左右両デフサイドギア45に噛合している。
【0061】
さらに一方のデフケース43のボス部には、デフロックスライダ48が軸芯方向に摺動自在に外嵌されており、当該デフケース43にピン孔が穿設され、該デフロックスライダ48より車軸と平行に延設されるデフロックピン49を、該デフケース43のピン孔を介して、一方のデフサイドギア45に形成した凹部45aに嵌入可能となっている。図13に示されるデフロックスライダ48及びデフロックピン49はデフロック解除位置にあり、デフロックピン49が該デフサイドギア45の凹部45aより外れていて、両車軸5同士の差動回転を可能としている。図13におけるデフロックスライダ48が図面で右側に摺動すると、デフロックピン49が凹部45aに嵌入し、車軸5・5同士をデフロック、すなわち、一体連結する。このようにして、デフロック機構付きのデフギアユニット40が構成されている。
【0062】
図13に示す車軸駆動装置1は、図1、図2のバギー車における前車軸駆動装置1fとして適用されるものであって、左右各車軸5(前車軸5f)は、カップリング5aを外端に形成したものとなっており、各前輪車軸53の内端に構成した自在継手53aを該カップリング5aに嵌入して、各フロントサスペンション64にて上下揺動自在に懸架した各前輪51fに、各車軸5(前車軸5f)を駆動連結するものとしている。
【0063】
このような差動タイプの車軸駆動装置1に、ブレーキユニット30を装着して、図1及び図2のバギー車の後車軸駆動装置1rとして適用可能としたものが、図14に示す車軸駆動装置1である。図12の、前車軸駆動装置1fへの適用タイプとの違いは、サイドカバー25の外側にブレーキユニット30を装着していることである。装着構造については、図3乃至図10に示すものと同様であり、サイドカバー25には、前述の軸孔25bを穿設し、長いカウンタ軸4を車軸駆動装置2内にて軸支し、該軸孔25bを介して、その一端部を、ブレーキユニット30内へと突出させている。
【0064】
そして、各車軸5(後車軸5r)に関しては、その外端部が、リジッドかつ同一軸芯上に後輪車軸61に連結される構成としている。
【0065】
こうして、前車軸駆動装置1fに加えて、後車軸駆動装置1rも差動タイプにすれば、車軸駆動ケース2は、ともにケース本体24・サイドカバー25を接合したものに統一でき、軸孔25bを穿設するしないのみで、ブレーキユニット30の装着・非装着に対応できるものであって、さらに部品規格化を促進することができ、低コスト化を図ることができる。
【0066】
また、車両によっては、前車軸駆動装置1f・後車軸駆動装置1rをともに非差動タイプにすることも考えられ、この場合は、いずれの車軸駆動装置にも、ケース本体21・サイドカバー22を接合してなる車軸駆動ケース2を用いることができる。また、いずれを差動・非差動とするかにかかわらず、後車軸駆動装置1rにブレーキユニット30を装着せず、前車軸駆動装置1gにブレーキユニット30を装着することとしてもよいし、或いは前・後車軸駆動装置1f・1rともにブレーキユニット30ありとしてもよいし、或いはともにブレーキユニット30なしとしてもよい。
【0067】
なお、図13、図14に示す差動タイプの車軸駆動装置1においても、ケース本体24・サイドカバー25を左右反転状に構成することで、ブレーキユニット30を、図13、図14に示す位置とは左右反対側に車軸駆動ケース2に取り付けることができる。
【0068】
図15、図16は、それぞれ別の構成の差動機構を車軸駆動ケース2に収納してなる差動タイプの車軸駆動装置1の実施例を開示している。それぞれ、ブレーキユニット30が装着されている(対応して、長いカウンタ軸4が用いられている)が、ブレーキユニット30を外したタイプにしてもよく、また、左右反対側(図15、図16において、ブレーキユニット30’として図示)に取り付ける構成にしてもよい。
【0069】
図15の車軸駆動装置1におけるデフギアユニット70は、デフロック機構に代わって、左右各デフケース43と、各車軸5との間に、摩擦板71・72を介設して、回転差感知式(トルク感知式)リミティッドスリップデフとしたものである。摩擦板71・72は交互に配列され、摩擦板71は車軸5に、摩擦板72はデフケース43にそれぞれ相対回転不能に係合されていて、互いに相対摩擦摺動可能に当接している。一方の車軸5がスタック状態となっても、他方の車軸5との差動が制限されているため、該他方の車軸5に伝達される入力軸3からの動力で該スタック状態から脱出できる。
【0070】
図16の車軸駆動装置1における左右車軸5・5間のデフギアユニット80は、オートデフロックタイプとなっている。即ち、ピニオン4aに噛合するファイナルギア81が、クラッチケース82の外周部に固設されており、該クラッチケース82の左右開口部より該クラッチケース82内に各車軸5の内端部が挿入され、各車軸5の内端部と、該クラッチケース82との間に、双方向クラッチ83を介設している。また、オートデフロック式差動機構としては、ギアレスタイプのものも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る車軸駆動装置は、入力軸の軸芯方向と車軸の軸芯方向とが直角な構造のものであって、他の伝動系の分解組立等を殆ど必要とせずにブレーキ装置を着脱可能なものであり、特にはバギー車等のサドルタイプ車両に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る車軸駆動装置を備えたバギー車の側面図である。
【図2】図1のバギー車の平面図である。
【図3】ブレーキユニットを装着した非差動タイプの車軸駆動装置の、ブレーキユニット装着側から見た側面図である。
【図4】図3に示す車軸駆動装置の平面断面図(図3中IV−IV矢視断面図)である。
【図5】図3中V−V矢視断面図である。
【図6】図5中におけるカウンタ軸へのブレーキ用潤滑油導入部の拡大図である。
【図7】図3中VII−VII矢視断面図である。
【図8】図4中VIII−VIII矢視断面図である。
【図9】図7中IX−IX矢視断面図である。
【図10】図3に示す車軸駆動装置のブレーキカム部分の断面図である。
【図11】カウンタ軸内のブレーキ用潤滑油供給油路を別の構造とした場合の、図3中V−V矢視断面図である。
【図12】車軸駆動ケースに対するブレーキユニットの装着側を、図3、図4に示す側とは反対側にした場合の、非差動タイプの車軸駆動装置の平面断面図である。
【図13】ブレーキユニットを装着しない差動タイプの車軸駆動装置の平面断面図である。
【図14】ブレーキユニットを装着した差動タイプの車軸駆動装置の平面断面図である。
【図15】リミティッドスリップデフを備えた、ブレーキユニットを装着した車軸駆動装置のスケルトン図である。
【図16】オートデフロック機能を有する差動機構を備えた、ブレーキユニットを装着した車軸駆動装置のスケルトン図である。
【0073】
1 車軸駆動装置
2 車軸駆動ケース
3 入力軸
3a ベベルギア
4(41) カウンタ軸
4a ピニオン
4b 軸芯孔(ブレーキ潤滑油供給用油路)
4c 放射孔(ブレーキ潤滑油供給用油路)
5(5f・5r) 車軸
8 ベベルギア
9 ファイナルギア
10 油導入板
11 リング
30 ブレーキユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸、該車軸と直角方向の入力軸、及び該入力軸と該車軸との間に介設される伝動機構を車軸駆動ケースに収納してなる、バギー車の車軸駆動装置において、該車軸駆動ケースの、該車軸と平行方向の一側に、該車軸制動用のブレーキ装置を配置したことを特徴とする車軸駆動装置。
【請求項2】
前記車軸駆動ケース内にて、前記車軸と平行方向のカウンタ軸を前記入力軸と該車軸との間に支持し、該カウンタ軸を介して該入力軸と該車軸とをギアにて駆動連結し、該カウンタ軸の外端部に前記ブレーキ装置を装着することを特徴とする請求項1記載の車軸駆動装置。
【請求項3】
前記車軸駆動ケースの、前記ギアを収容するギア室に油溜まりを形成する一方、前記カウンタ軸は、軸芯方向に延伸する孔を有する中空軸とし、該孔の一端部を該車軸駆動ケース内に向けて開口し、該開口端部付近に該孔への潤滑油導入手段を設けるとともに、該孔の他端部を前記ブレーキ装置に向けて開口したことを特徴とする請求項2記載の車軸駆動装置。
【請求項4】
前記車軸駆動ケースは、前記ギア室と、前記ブレーキ装置を収容するブレーキ室とを区画する壁部分を有し、該壁部分に、該ブレーキ室から該ギア室へ潤滑油を還流させるための連通孔を設けたことを特徴とする請求項3記載の車軸駆動装置。
【請求項5】
前記ブレーキ室を構成するブレーキケースの外表面に、略水平なフィンを複数形成したことを特徴とする請求項4記載の車軸駆動装置。
【請求項6】
前記ブレーキケースは前記車軸駆動ケースに対し分離・係合自在とし、前輪用、後輪用のいずれにも適用可能とした請求項5記載の車軸駆動装置。
【請求項1】
車軸、該車軸と直角方向の入力軸、及び該入力軸と該車軸との間に介設される伝動機構を車軸駆動ケースに収納してなる、バギー車の車軸駆動装置において、該車軸駆動ケースの、該車軸と平行方向の一側に、該車軸制動用のブレーキ装置を配置したことを特徴とする車軸駆動装置。
【請求項2】
前記車軸駆動ケース内にて、前記車軸と平行方向のカウンタ軸を前記入力軸と該車軸との間に支持し、該カウンタ軸を介して該入力軸と該車軸とをギアにて駆動連結し、該カウンタ軸の外端部に前記ブレーキ装置を装着することを特徴とする請求項1記載の車軸駆動装置。
【請求項3】
前記車軸駆動ケースの、前記ギアを収容するギア室に油溜まりを形成する一方、前記カウンタ軸は、軸芯方向に延伸する孔を有する中空軸とし、該孔の一端部を該車軸駆動ケース内に向けて開口し、該開口端部付近に該孔への潤滑油導入手段を設けるとともに、該孔の他端部を前記ブレーキ装置に向けて開口したことを特徴とする請求項2記載の車軸駆動装置。
【請求項4】
前記車軸駆動ケースは、前記ギア室と、前記ブレーキ装置を収容するブレーキ室とを区画する壁部分を有し、該壁部分に、該ブレーキ室から該ギア室へ潤滑油を還流させるための連通孔を設けたことを特徴とする請求項3記載の車軸駆動装置。
【請求項5】
前記ブレーキ室を構成するブレーキケースの外表面に、略水平なフィンを複数形成したことを特徴とする請求項4記載の車軸駆動装置。
【請求項6】
前記ブレーキケースは前記車軸駆動ケースに対し分離・係合自在とし、前輪用、後輪用のいずれにも適用可能とした請求項5記載の車軸駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−37249(P2008−37249A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213676(P2006−213676)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】
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