説明

車載ナビゲーション装置

【課題】車載ナビゲーション装置において、以前に経由できなかった経由地に対して、次回以降改めて経由する機会を提供するとともに、この際ドライバーはこの経由地を経由するか否かを容易に判断できるようにする。
【解決手段】経由地を設定して経路案内を行ったときに、車両が目的地に到着した時点で経由していない経由地を記憶する。そして、新たに経路探索を行ったときに、その経路沿いの所定領域内に記憶した経由地がある場合は、ドライバーに報知する。その後、その経由地を経由した経路を探索し、走行中に経由地を経由しない経路と経由する経路との分岐点の情報及び走行時間の差を報知する。そして、分岐点において両経路に関する最終的な案内情報を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、目的地とともに経由地を設定した場合は、その経由地を経由して目的地に到達するように経路案内を行う車載ナビゲーション装置が公知である。このような車載ナビゲーション装置においては、一般的に、経由地に至る経路を誘導案内中に、車両がその経由地を経由した後の経路に乗り換えた場合には、そのまま目的地に到達するように経路案内がされる。しかし、経由地に向かう経路と経由地を経由した後の経路とが交差する地点において、走行する道路を間違えたり、又はロケーション誤差によって、経由地を経由した後の経路に乗り換えがあったと判定されて、勝手にその経由地を経由した後の経路案内に切り替わってしまい、経由地に行けなくなるという事態が発生していた。
【0003】
特許文献1のカーナビゲーション装置は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、経由地を通過する前に、現在地が当該経由地を通過した後の案内経路に入ってしまった場合でも、案内経路が経由地を通過した後の経路に切り替えられることを極力防止でき、また切り替えられたとしても、経由地へ行くことを極力可能にするものである。
【特許文献1】特許第3514253号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1のカーナビゲーション装置は、ドライバーが設定した経由地は極力経由することができるようにしたものである。しかしながら、例えば、時間的制約等でドライバー自らの意思で経由地を経由しなかった場合、特許文献1のカーナビゲーション装置では、その経由地情報は削除されてしまう。このような経由地は、次回以降何らかの機会に恵まれた場合に、改めて立ち寄りたいと思うことが多い。特許文献1のカーナビゲーション装置では、このような場合、後日改めて経由したかった経由地を設定し直さなければならず、ドライバーが注意深く記憶していないと、以前立ち寄りたかった経由地に行くことはなくなってしまう。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、以前に経由できなかった経由地に対して、改めて経由する機会を提供するとともに、この際ドライバーはこの経由地を経由するか否かを容易に判断することができる車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、請求項1の車載ナビゲーション装置は、自車両の現在地を検出する現在地検出手段と、道路地図データを記憶する地図データ記憶手段と、目的地及び経由地を設定する設定手段と、前記道路地図データを用いて、前記自車両の現在地から前記目的地までの経路を探索するものであって、前記設定手段により経由地を設定した場合には当該経由地を経由した経路を探索する経路探索手段と、前記自車両が前記設定手段により設定した経由地を経由したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記自車両が前記経由地を経由していないと判定した場合に、その経由地を未経由地として登録する登録手段と、前記経路探索手段が経路を探索したときに、当該経路周辺に前記登録手段により登録した未経由地があるか否かを確認する確認手段と、前記確認手段により前記経路周辺に未経由地を発見した場合に、当該未経由地に関する情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
このように、請求項1の車載ナビゲーション装置では、ドライバーの諸事情により設定した経由地を経由できなかった場合、その経由地を未経由地として記憶する。そして、経路案内を行う際に、その経路周辺に記憶した未経由地(以前経由できなかった経由地)がある場合は、ドライバーにその経由地の情報(例えば、その経由地の名称や位置又はその経由地を経由する経路)を報知する。したがって、ドライバーは、以前行くことができなかった経由地であっても、後日に改めて行く機会が与えられる。また、今回走行する予定の経路周辺の未経由地情報を報知するので、ドライバーは、その経由地を経由するか否かについて容易に判断することができる。
【0008】
請求項2の車載ナビゲーション装置は、前記経路探索手段は、前記確認手段が未経由地を発見した場合には、当該未経由地を経由する経路を探索し、前記報知手段は、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路とに関する情報を報知することを特徴とする。
【0009】
ここで報知する情報としては、例えば、未経由地を経由する経路と経由しない経路とを表示画面に表示したり、又はこの両経路を走行したときの予想走行時間を表示画面や音声で報知する。これにより、ドライバーは今回の走行で容易にその経由地に行くことができる。また、例えばその経由地を経由する経路と経由しない経路との分岐点情報(例えば、分岐点に対応する交差点の名称や位置)を報知してもよい。これにより、ドライバーは、その分岐点に到達するまでに経由地を経由するか否かを決定すればよいので、時間的に余裕を持ってこの判断をすることができる。
【0010】
請求項3の車載ナビゲーション装置は、前記未経由地を経由する経路を走行したとき、及び経由しない経路を走行したときの予想走行時間を算出する時間算出手段を備え、前記報知手段は、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路とに関する情報として、前記時間算出手段が算出した予想走行時間に関する情報を報知することを特徴とする。
【0011】
この予想走行時間に関する情報として、両経路の予想走行時間を並べて報知したり、又は両経路の予想走行時間の差を報知してもよい。これにより、ドライバーは目的地に到着する時間に制約があったとしても、容易に経由地を経由するか否かを判断することができる。
【0012】
請求項4の車載ナビゲーション装置は、前記報知手段は、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路とに関する情報として、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路との分岐点において、両経路に関する最終的な案内情報を報知することを特徴とする。
【0013】
これにより、ドライバーは、この分岐点において最終的に経由地を経由するか否かを決定することができ、具体的に分岐点のどちらの道路に進入してよいかを把握することができる。この報知内容としては、例えば「○○を経由すると目的地に到着する時間が30分遅くなります。○○を経由する場合は左折、経由しない場合は直進して下さい。」等の音声案内をする。
【0014】
請求項5の車載ナビゲーション装置は、前記自車両が前記未経由地を経由するか否かを識別する識別手段と、前記自車両が前記経路探索手段が当初に探索した未経由地を経由しない経路に沿って走行するように案内するものであって、前記識別手段によって前記自車両が前記未経由地を経由すると識別された後は、前記未経由地を経由する経路案内に切り替える案内手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
このように、以前経由しなかった経由地を経由する場合には、ドライバーは改めてその経由地を設定して経路探索を行う必要がないので、設定操作による煩わしさを軽減することができる。
【0016】
請求項6に記載の車載ナビゲーション装置は、前記識別手段は、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路との分岐点において、前記自車両が前記未経由地に向かう道路に進入したときは当該未経由地を経由すると識別することを特徴とする。このように、請求項6の車載ナビゲーション装置では、ドライバーの運転操作により自動的に経由地に経由するか否かが判別される。
【0017】
請求項7に記載の車載ナビゲーション装置は、前記識別手段は、ユーザーが前記未経由地を経由するか否かを決定することができる決定手段を備え、当該決定手段の結果に基づいて前記未経由地を経由するか否かを識別することを特徴とする。
【0018】
これにより、例えば、上記分岐点において、誤ってドライバーが意図しない方向に進んでしまった場合や、当初は経由地を経由しないつもりでその方向に進んだが、気が変わって経由したいと考えた場合にも対処することができる。例えば、道路地図等を表示する液晶ディスプレイにタッチボタンを設けて、そのボタン操作により経由地を経由するか否かを選択する方法がある。
【0019】
請求項8に記載の車載ナビゲーション装置は、前記未経由地を経由する経路を走行したときと経由しない経路を走行したときとの走行時間の差を算出する時間差算出手段を備え、前記報知手段は、前記時間差算出手段が算出した前記走行時間の差が所定値以上の場合には、前記未経由地に関する情報の報知をしないことを特徴とする。
【0020】
例えば、以前行くことができなかった経由地が経路周辺にある場合であっても、道路状況等により、その経由地を経由すると目的地への到着が大きく遅くなる場合も考えられる。このような場合に、その経由地情報を報知するとかえって煩わしいこともある。したがって、請求項8の車載ナビゲーション装置では、経由地を経由して目的地に行く場合と、経由地を経由しないで目的地に行く場合とで、目的地に到着する時間に所定以上の差がある場合には、この経由地情報の報知は行わず、通常の経路案内がなされる。これにより、不要報知による煩わしさを軽減することができる。
【0021】
請求項9に記載の車載ナビゲーション装置は、前記登録手段により登録した未経由地を削除する削除手段を備えることを特徴とする。経由地によっては重要度が低いものもある。また、時間の経過にともなって重要度も低くなることもある。このように重要度が低い経由地に対して、報知を行うとかえって煩わしいことも考えられる。したがって、請求項9に記載の車載ナビゲーション装置では、未経由地として登録した経由地を削除することができる。これにより、不要報知による煩わしさを軽減することができる。この削除方法としては、例えば、ドライバーの操作によって削除する方法や、所定時間以前に登録された経由地は自動で削除する方法などがある。
【0022】
請求項10の車載ナビゲーション装置は、前記登録手段は、前記経路探索手段が探索した所定の経由地を含む経路に対して、前記自車両が当該経路の目的地に到着した時点で前記判定手段により経由していないと判定された経由地を未経由地として登録することを特徴とする。これにより、確実に経由していない経由地を登録することができる。
【0023】
請求項11の車載ナビゲーション装置は、前記確認手段が1つ以上の未経由地を発見した際に、当該未経由地のうち今回の走行で経由する可能性のある未経由地をユーザーの操作によって選択する選択手段を備え、前記報知手段は、前記選択手段によって選択された未経由地に関する情報のみを報知することを特徴とする。
【0024】
例えば、経路探索をした際に、その経路周辺に複数の未経由地が存在していることもあると考えられる。このような未経由地のなかには重要度、緊急度が低いものもあると予想され、この経由地に対してすべて報知を行うとかえって煩わしいこともある。したがって、請求項11の車載ナビゲーション装置では、経路周辺に未経由地を発見した場合は、今回の走行で経由する可能性のある経由地のみの情報を報知することができる。この選択方法としては、例えば、未経由地を発見した場合に、この未経由地の名称をリストアップして表示してユーザーに選択させる方法などがある。これにより、不要報知による煩わしさを軽減することができる。また、車載ナビゲーション装置の処理負担も軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本実施形態における車載ナビゲーション装置100の全体構成を示すブロック図である。同図に示すように車載ナビゲーション装置100は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示装置10、音声出力装置11、リモコンセンサ12、リモコン13、及びこれらと接続する制御回路8から構成される。以下各構成部品について説明する。
【0027】
制御回路8は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、制御回路8が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が各種演算処理を実行する。なお、このプログラムは、外部メモリ9を介して外部から取得することもできる。本実施形態では、特に車両を目的地まで誘導を行う際に、後述する地図データ入力器6から読み出した地図データを用いて、経由地を経由して目的地に至る最短経路を探索する。そして、このとき経路周辺に過去に経由地として設定したが経由できなかった経由地があるか否かを確認し、ある場合にはこの経由地に関する報知処理を行う。詳細は後述する。
【0028】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器1を上述した一部で構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。この位置検出器1により、車両の現在地が検出され、制御回路8は、車両が経路探索された経路のどの位置を走行しているのかを認識でき、また車両がその経路に沿って走行するように誘導することができる。
【0029】
地図データ入力器6は、地図データ、背景データ、目印データ等を含む各種データを入力するための装置である。各種データを記憶する記憶媒体としては、CD−ROMやDVD−ROM等の再生専用の記憶媒体の他、メモリカードやハードディスク等の書き込み可能な記憶媒体を用いることもできる。
【0030】
また、地図データは、リンクデータとノードデータによって構成される。このリンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割し、それぞれのノード間をリンクとして規定したものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、及び制限速度等の各データから構成される。
【0031】
さらに、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種類等の各データから構成される。
【0032】
そして経由地及び目的地までの経路を探索する際には、これら各リンク及びノードごとに通過しやすさを示す通過コストが算出される。この通過コストは、各リンクの特性(リンク長、道路種、道路幅等)及び各ノードにおける直進、右左折の種別に応じて算出される。そして、出発地から経由地を経由する目的地までの任意の経路に対して、各経路を構成する各リンク及び各ノードの通過コストの加算値が最小となる経路がダイクストラ法などの経路探索手法などを用いて探索される。
【0033】
操作スイッチ群7は、例えば、後述する表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、経路探索の際の出発地、経由地及び目的地の設定等各種入力に使用される。
【0034】
表示装置10は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、表示装置10の画面には位置検出器1により検出された車両の現在位置に対応する自車位置マークと、地図データ入力器6より入力された地図データ、背景データ、目印データ等によって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。また、操作スイッチ群7や後述するリモコン13等の操作により、道路地図を所定の縮尺に変更して表示したり、道路地図をスクロールして表示したりすることも可能である。さらに本実施形態では、操作スイッチ群7やリモコン13等から出発地、目的地を入力すると、上述の地図データを用いて、出発地から目的地に至る任意の経路に対して、コストの合計が最小の経路を自動的に探索して案内経路を計算して表示装置10へ表示する。
【0035】
音声出力装置11は、例えばスピーカで構成され、経路案内時には、この音声出力装置11により音声案内がされる。また、本実施形態では、音声出力装置11は、経路周辺に過去に行くことができなかった経由地がある場合には、そのような経由地が存在する旨を報知したり、今回の走行でその経由地を経由する場合の走行時間や、経由地を経由する経路と経由しない経路との分岐点において、両経路に関する最終的な案内を報知する。
【0036】
リモコン13は、例えば各種機能を備えた多機能リモコンであり、リモコンセンサ12を介して、車載ナビゲーション装置100に各種ナビゲーション動作の開始や終了を指示する。なお、この指示に関しては、操作スイッチ群7によって行ってもよい。
【0037】
以下、本発明の特徴的部分である、設定した経由地を経由できなかった場合にその経由地を未経由地として記憶するとともに、探索した新たな経路周辺に、記憶した未経由地がある場合には、ドライバーにその未経由地に関する情報を報知する処理について説明する。
【0038】
図2は、設定した経由地を経由できなかった場合にその経由地を未経由地として記憶する処理を示すフローチャートである。
【0039】
先ず、前提として、出発地、経由地及び目的地がドライバーによって入力されたとする。そして、入力された出発地、経由地及び目的地がそれぞれ、出発地A、経由地B、C、D、及び目的地Eとする。また、本実施形態では、出発地Aは、位置検出器1によって検出された車両の現在地としている。なお、これら目的地等の設定については、上述した操作スイッチ群7又はリモコン12によって設定する。
【0040】
ステップS10において、制御回路8は、現在地Aから経由地B、C、Dを経由して目的地Eに至る経路を探索する処理を行う。具体的には、上述したように、制御回路8は、地図データ入力器6から地図データを読み出す。そして、経由地を経由し目的地に至る経路に対して、その地図データを構成するリンクデータ及びノードデータに付された通過しやすさを示すコストの合計が最小となるような経路をダイクストラ法などの探索アルゴリズムを用いて探索する。なお、複数の経由地を設定した場合に、それらの経由地を経由する順番については、ユーザーが設定した順番に従って経由するように経路探索を行ってもよい。そして、このようにして探索した結果、図3に示す経路を探索したとする。
【0041】
その後、ステップS20において、車両が経路に従って走行するように誘導を行う。具体的には、表示装置10の表示画面にこの経路と車両の現在地を表示したり、車両がどちらの方向に進むべきかを音声出力装置11によって音声報知を行う。そして、車両が目的地Eに到着するまで経路案内を行う(ステップS30否定判定)。最終的に、車両が目的地Eに到着したときは(ステップS30肯定判定)、ステップS40へ処理を進める。なお、車両が目的地Eに到着したか否かの判定は、位置検出器1の検出結果に基づいて判断する。
【0042】
ステップS40では、経由していない経由地があるか否かを判定する。この判定方法としては、位置検出器1に検出結果に基づいて、例えば車両が経由地周辺の所定範囲内に進入しなかった場合、又は、車両が経由地に向かう探索経路から外れた場合には、その経由地に対しては経由していないと判定する。ここで、経由していない経由地はないと判定したときは(否定判定)、そのまま経路案内は終了する。一方、経由していない経由地があると判定したときは(肯定判定)、ステップS50において、制御回路8は、その経由地を記憶する。ここで、車両は、図3に示す当初の経路に対して、実際には図4に示す経路を走行したとする。この場合、同図に示すように、経由地Bは経由していないと判定し、経由地Bの情報を記憶する。
【0043】
次に、探索経路の周辺に、図2の処理で記憶した未経由地があった場合に、その経由地情報をドライバーに報知する処理を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
先ず、前提として、出発地、目的地がドライバーによって入力されたとする。そして、入力された出発地、目的地がそれぞれ、出発地F及び目的地Gとする。なお、上述と同様に出発地Fは現在地としている。
【0045】
ステップS101では、制御回路8は、現在地Fから目的地Gに至る経路を探索する処理を行う。そして、図6に示す経路を探索したとする。
【0046】
ステップS102では、この経路周辺に過去に行くことができなかった経由地を検出する処理を行う。具体的には、例えば、図7に示すように経路沿いの所定の範囲内に、図2のステップS50において記憶した経由地があるか否かを確認する。その結果、経路周辺に未経由地を検出できなかったときは(ステップS103否定判定)、ステップS114において、通常の現在地Fから目的地Gまでの経路案内を行う。
【0047】
一方、経路周辺に未経由地を検出したときは(ステップS103肯定判定)、ステップS104において、この未経由地に関する情報を報知する。例えば、音声出力装置11を用いて、「探索経路の周辺に以前に行くことができなかった経由地があります。これから先、この経由地情報を報知します」等の報知をし、表示装置10の表示画面に探索経路とこの未経由地との位置関係を表示する。例えば、現在地Fから目的地Gに至る経路に対して、図7に示すように検出領域を広げた場合、未経由地として経由地Bを検出することができる。
【0048】
目的地Gまでの経路案内が開始された後も、その経路案内中に経由地Bに関する情報が報知される。具体的には、先ずステップS105において、目的地Gに到着する予想所要時間を算出する処理を行う。この算出方法としては、例えば、経路を構成する各リンク及びノードのコストと車両の速度情報に基づいて算出する。なお、制御回路8に渋滞情報を取得することができる装置を接続して、そこで取得する渋滞情報を考慮して上記所要時間を算出してもよい。これにより、より正確に所要時間を予想することができる。
【0049】
次にステップS106において、経由地Bを経由する場合の経路を探索する処理を行う。その結果、図7に示す経路が探索されたとする。この際、ステップS107において、この経路(F→B→G)を走行したときの所要時間も算出する。また、ステップS108において、経由地Bを経由しないときの経路(F→G)と経由するときの経路(F→B→G)との分岐点を検出する処理を行う。
【0050】
その後、ステップS109において、経由地Bを経由しないときと経由したときの予想走行時間の差、及びステップS108において検出した分岐点の情報を音声や画面表示により報知する。これにより、ドライバーは、経由地Bを経由することによる時間的なロスを把握することができる。
【0051】
そして、ステップS110では、制御回路8は、車両がこの分岐点に到着したか否かを判定する。具体的には、位置検出器1を用いて車両の位置を検出することにより、車両が現在どこを走行しているのかを検出することができる。ここで、車両は未だ分岐点に達していないと判定したときは(否定判定)、再度ステップS105からS109までの処理を行う。すなわち、車両が分岐点に達するまでは、経由地Bを経由しない場合と経由する場合の走行時間の差を報知し続ける。これによりドライバーは、分岐点に達するまでに経由地Bを経由するか否かを決めればよいことになる。また、走行時間の差に関する最新情報を報知することにより、分岐点までの道路状況の変化等も反映した正確な走行時間の差を把握することができる。
【0052】
そして、車両が分岐点の直前に達したときは(肯定判定)、制御回路8は、両経路に関する最終的な案内情報をドライバーに報知する処理を行う。例えば、表示装置10と音声出力装置11を用いて、「経由地Bを経由するときは直進して下さい。経由しないときは右折して下さい。」や、「経由地Bを経由する場合、目的地に到着する時間が30分遅くなります。」等の報知を行う。
【0053】
これによりドライバーは最終的に経由地Bを経由するか否かを決定し、ステップS112において、制御回路8はドライバーがどちらの経路を選択したのかを判定する。ここで、ドライバーが経由地Bを経由するか否かについては、分岐点において車両が進入した道路によって判定する。すなわち、図7に示すように、車両が分岐点から進入した道路が、分岐点を直進した道路である場合は、ドライバーは経由地Bを経由すると制御回路8は判定する。一方、車両が分岐点から進入した道路が、分岐点を右折した道路である場合は、ドライバーは経由地Bを経由しないと制御回路8は判定する。なお、車両の進入道路は、位置検出器1によって検出される車両位置に基づいて判別することができる。
【0054】
ここで、ドライバーが、経由地Bを経由する経路を選択したときは(ステップS112肯定判定)、制御回路8は、経由地Bに至る経路案内に切り替える(ステップS113)。一方、ドライバーが、経由地Bを経由しない経路を選択したときは(否定判定)、そのまま目的地Gに至る経路の案内を継続する(ステップS114)。
【0055】
以上のように、本実施形態における車載ナビゲーション装置100は、ドライバーの諸事情により設定した経由地を経由できなかった場合、その経由地を未経由地として記憶する。そして、経路案内を行う際に、その経路周辺に以前経由できなかった経由地がある場合は、ドライバーにその経由地の情報を報知する。具体的には、その経由地の名称や経由地を経由する経路と経由しない経路との分岐点、及び経由地を経由した場合の走行時間等を報知する。したがって、ドライバーは、以前行くことができなかった経由地であっても、後日に改めて行く機会が与えられる。また、今回走行する予定の経路周辺の未経由地情報のみを報知し、かつ分岐点も報知するので、ドライバーは、その経由地を経由するか否かを容易に判断することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、例として図7に示す経路(F→G)に対して未経由地Bがあった場合について説明したが、経路周辺に複数の未経由地がある場合は、それぞれの経由地に対して上述した処理を行えば良い。
【0057】
(変形例1)
本実施形態では、ステップS102、S103において、未経由地を検出した場合は、一律にこの経由地に関する情報の報知を行っている。しかしながら、例えば、未経由地が経路周辺にある場合であっても、道路状況等により、その経由地を経由すると目的地への到着が大きく遅くなる場合も考えられる。このような場合に、その経由地情報を報知するとかえって煩わしいこともある。このような観点から、未経由地を検出した場合は、その未経由地を経由する経路を探索し、未経由地を経由する経路と経由しない経路との走行時間の差が所定以上の場合は、ステップS104以下の処理は行わないようにしてもよい。この場合は、当初探索した経路(未経由地を経由しない経路)にしたがって経路案内をする。
【0058】
また、この判断基準となる所定時間は、予め決められた既定値を用いたり、又はドライバー自らが操作スイッチ群7を介して設定できるようにしてもよい。また、その都度、未経由地を経由するときの所要時間と経由しないときの所要時間を表示装置10の表示画面に表示して、この際に図5のステップS104以下の処理を行うか否かをドライバーに選択させるようにしてもよい。この選択スイッチについては、例えば、表示装置10の表示画面上にタッチスイッチを設ける。これにより、毎回の運転状況や各ドライバーの嗜好に合った経路案内をすることができる。
【0059】
(変形例2)
本実施形態では、ステップS112において、ドライバーが未経由地を経由する経路を選択したか否かの判定について、位置検出器1により検出した車両位置に基づいて、未経由地に向かう道路であるか否か判定している。そして、未経由地を経由するか否かを判定した後は、未経由地を経由する経路案内又は経由しない経路案内に切り替えている。このような判定方法の他に、ドライバー自らが未経由地を経由するか否かを選択するという観点から、どちらかの経路をドライバーの操作によって選択するスイッチを設けてもよい。このスイッチは、例えば、表示装置10の表示画面にタッチスイッチを設ける。そして、ステップS111において、「経由地Bを経由する経路と経由しない経路のどちらかを選択して下さい。」等の案内をして、そのタッチスイッチの操作によりどちらかの経路を選択するようにする。また、当初設定した経路を案内することを前提として、ステップS111において、「経由地Bを経由する場合はスイッチを押して下さい。」等の案内をし、そのスイッチを押した場合のみ、その未経由地を経由する経路案内に切り替えてもよい。
【0060】
また、例えば、ドライバーは未経由地を経由しない経路を選択した後に、気が変わり未経由地を経由したいと思うことも予想される。このような場合、本実施形態では、既に未経由地を経由しない経路案内に切り替わっているので、再度その未経由地を設定して経路探索を行う必要があるので、その設定操作が煩わしい。このようなことを鑑みて、未経由地を経由するか否かの判定を上述の車両が進入した道路を検出して判定する方法と、ドライバー自らが経路を選択することができる選択スイッチの操作によって判定する方法とを併用してもよい。この場合、通常は車両が進入した道路を検出して自動で未経由地を経由するか否かを判定するが、どちらかの経路を選択した後にドライバーの気が変わった場合等を考慮して、選択スイッチの操作によっても経路を選択することができるようにする。このスイッチも、例えば、表示装置10の表示画面上にタッチスイッチとして実現する。これにより、ドライバーは、未経由地を経由しない経路を進入した場合であっても、その後選択スイッチを押すことにより未経由地を経由する経路に切り替わり、その未経由地を経由することができる。
【0061】
(変形例3)
本実施形態では、図5のステップS102において、検出する過去の未経由地としては、図2のステップS50において記憶した経由地すべてを対象としている。しかしながら、このような未経由地の中には、重要度が低いもの、または、時間の経過にともなって重要度が低くなったものもある。このように重要度が低い未経由地に対して報知を行うとかえって煩わしいことも考えられる。このような観点から、未経由地として登録した経由地を削除することができるようにしてもよい。これにより、不要報知による煩わしさを軽減することができる。この削除方法としては、例えば、ドライバーの操作によって削除できるようにしたり、また所定時間以前に登録された経由地は自動で削除するようにしてもよい。
【0062】
(変形例4)
本実施形態では、ステップS102、S103において、未経由地を検出した場合は、走行の最中、一律にこの未経由地に関する情報の報知を行っている。しかしながら、このような未経由地に対しては、時期等によって経由すべきか否かに関する重要度、緊急度が異なっていることも考えられる。また、複数の経由地を検出した場合には、これらの経由地の中には優先度の高いものもあれば低いものもある。この場合、走行の最中に、重要度、緊急度、優先度の低い経由地の情報も報知すると、かえって煩わしいことも考えられる。このような観点から、未経由地を検出した場合は、ステップS104において、その名称を表示し、ドライバーの選択操作によって、今回の走行で経由する可能性のある経由地の情報のみ走行中報知させるようにしてもよい。また、複数の未経由地を検出したときは、それらの名称をリストアップして表示してドライバーに走行中に報知する経由地と報知しない経由地を選択するようにしてもよい。これにより、不要報知による煩わしさを軽減することができる。また、車載ナビゲーション装置100の処理負担も軽減することができる。
【0063】
(変形例5)
本実施形態では、ステップS109において、未経由地を経由する経路と経由しない経路との走行時間の差及び両経路の分岐点情報を報知しているが、この際に、未経由地を経由する経路も表示してもよい。これにより、ドライバーは、その未経由地の位置及び経由した場合の距離的なロス等を感覚的に把握することができる。
【0064】
また、その未経由地を経由したときと、経由しないときとの走行距離の差を報知してもよい。このように距離を報知することにより、ドライバーは直接的にその未経由地が近いか遠いかを把握することができる。したがって、その未経由地を経由するか否かについての判断の手助けとなる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態に係る、車載ナビゲーション装置100の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る、設定した経由地を経由できなかった場合に、その経由地を未経由地として記憶する処理を示すフローチャートである。
【図3】図2に示す処理における、車載ナビゲーション装置100が探索した出発地から経由地を経由して目的地に至る経路を示す図である。
【図4】図2に示す処理における、実際に車両が走行した経路を示す図である。
【図5】探索した経路周辺に、以前に行くことができなかった経由地があった場合に、その経由地の情報を報知する処理を示すフローチャートである。
【図6】図5に示す処理における、車載ナビゲーション装置100が探索した出発地から目的地に至る経路を示す図である。
【図7】図5に示す処理における、車載ナビゲーション装置100が当初探索した経路と、その経路沿いの所定領域と、その領域内にある未経由地B及び未経由地Bを経由する経路を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
100 車載ナビゲーション装置
1 位置検出器
2 地磁気センサ
3 ジャイロスコープ
4 距離センサ
5 GPS受信機
6 地図データ入力器
7 操作スイッチ群
8 制御回路
9 外部メモリ
10 表示装置
11 音声出力装置
12 リモコンセンサ
13 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
道路地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
目的地及び経由地を設定する設定手段と、
前記道路地図データを用いて、前記自車両の現在地から前記目的地までの経路を探索するものであって、前記設定手段により経由地を設定した場合には当該経由地を経由した経路を探索する経路探索手段と、
前記自車両が前記設定手段により設定した経由地を経由したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記自車両が前記経由地を経由していないと判定した場合に、その経由地を未経由地として登録する登録手段と、
前記経路探索手段が経路を探索したときに、当該経路周辺に前記登録手段により登録した未経由地があるか否かを確認する確認手段と、
前記確認手段により前記経路周辺に未経由地を発見した場合に、当該未経由地に関する情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路探索手段は、前記確認手段が未経由地を発見した場合には、当該未経由地を経由する経路を探索し、
前記報知手段は、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路とに関する情報を報知することを特徴とする請求項1に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記未経由地を経由する経路を走行したとき、及び経由しない経路を走行したときの予想走行時間を算出する時間算出手段を備え、
前記報知手段は、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路とに関する情報として、前記時間算出手段が算出した予想走行時間に関する情報を報知することを特徴とする請求項2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路とに関する情報として、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路との分岐点において、両経路に関する最終的な案内情報を報知することを特徴とする請求項2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記自車両が前記未経由地を経由するか否かを識別する識別手段と、
前記自車両が前記経路探索手段が当初に探索した未経由地を経由しない経路に沿って走行するように案内するものであって、前記識別手段によって前記自車両が前記未経由地を経由すると識別された後は、前記未経由地を経由する経路案内に切り替える案内手段とを備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記識別手段は、前記未経由地を経由する経路と経由しない経路との分岐点において、前記自車両が前記未経由地に向かう道路に進入したときは当該未経由地を経由すると識別することを特徴とする請求項5に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記識別手段は、ユーザーが前記未経由地を経由するか否かを決定することができる決定手段を備え、当該決定手段の結果に基づいて前記未経由地を経由するか否かを識別することを特徴とする請求項5に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記未経由地を経由する経路を走行したときと経由しない経路を走行したときとの走行時間の差を算出する時間差算出手段を備え、
前記報知手段は、前記時間差算出手段が算出した前記走行時間の差が所定値以上の場合には、前記未経由地に関する情報の報知をしないことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記登録手段により登録した未経由地を削除する削除手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記登録手段は、前記経路探索手段が探索した所定の経由地を含む経路に対して、前記自車両が当該経路の目的地に到着した時点で前記判定手段により経由していないと判定された経由地を未経由地として登録することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項11】
前記確認手段が1つ以上の未経由地を発見した際に、当該未経由地のうち今回の走行で経由する可能性のある未経由地をユーザーの操作によって選択する選択手段を備え、
前記報知手段は、前記選択手段によって選択された未経由地に関する情報のみを報知することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−133037(P2006−133037A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321145(P2004−321145)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】