説明

車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物、成形品及び部品

【課題】表面が高い平滑性を有し、高光沢を呈する成形品を形成でき、長期間使用しても車載ランプの前面レンズの防曇塗装膜の防曇性能を低下させることのないランプ部品を形成できる車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物、それを用いた車載ランプ用成形品及び車載ランプ用部品を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部及びアルキレンビス脂肪酸アミド(B)0.04〜3質量部(熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して)を含有する車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物、それを用いた車載ランプ用成形品及び車載ランプ用部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載ランプ用の熱可塑性樹脂組成物、その成形品及び部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載ランプ等に使用される、ハウジング、リフレクター、エクステンション等の密閉系ランプ部品には、板金や、熱硬化性樹脂であるバルクモールディングコンパウンド(BMC)及びシートモールディングコンパウンド(SMC)が使用されていた。しかしながら、近年、車載ランプ部品の高機能化やデザインの多様化が進み、生産性及び意匠性に優れた熱可塑性樹脂の射出成形品が利用されるようになっている。
【0003】
上記射出成形品に使用される材料としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂に代表される結晶性の熱可塑性樹脂や、ポリカーボネート樹脂に代表される非晶性の熱可塑性樹脂に種々の強化材や充填材を配合したものがある。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂を用い、これにガラス繊維やタルク等のフィラーを配合した樹脂組成物を用いたランプリフレクターが提案されている。
【0004】
このような樹脂組成物を車載ランプ用の光反射体部品に使用する場合は、樹脂組成物から得られた成形品の表面に光反射金属層が形成されるが、その前に成形品の表面にアンダーコート層を形成し、成形品の表面を鏡面状態に仕上げるのが一般的であった。しかしながら、通常、アンダーコート層用の材料には溶剤又は水が使用されており、溶剤系の材料では環境負荷、また、水系の材料では塗付後の乾燥におけるエネルギーロスが問題視されている。
【0005】
上記状況から、光反射金属層の形成方法として、アンダーコート層を必要としないダイレクト(直接)蒸着法が提案されている。このダイレクト蒸着法は、成形品に金属を直接蒸着するか、又は成形品の表面にプラズマ活性化処理を施した後に金属を蒸着する方法である。特許文献2には、この蒸着法に適した樹脂組成物として、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂にポリカーボネート樹脂及び各種特定の添加剤を配合した樹脂組成物が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2の樹脂組成物の成形品にダイレクト蒸着法で光反射金属層を形成した光反射体部品では、非常に高い表面平滑性が要求される用途には対応できない。
このような状況において、表面平滑性がより優れ、そのままの状態で車載ランプ用部品として使用可能な成形品を形成できる樹脂組成物が望まれている。
【0007】
一方、車載ランプの輝度を高めるために高出力の光源を利用することが多くなり、また意匠面でハウジング内の容積が小さくなる傾向もあり、ランプハウジング内の温度は上昇する傾向にある。光反射金属層を有する車載ランプ用部品が光反射体部品としてランプユニットに組み込まれて長期間高温下で使用された場合、基材となる成形品の表面に微小な凹凸が生じて光反射金属層の外観が悪くなったり、車載ランプの前面レンズの内面に水滴が結露するといった問題が発生し易くなる。
【0008】
また、特許文献3には、特定の粒径及び屈折率の無機フィラーを特定量使用することによって、成形品が長時間加熱されても収縮による寸法変化が殆ど起こらなくなり、成形品の表面に凹凸が発生せず、成形品の表面に光反射金属層を形成させた光反射体部品の高外観を維持できる樹脂組成物が提案されている。しかしながら、車載ランプの前面レンズの内面に水滴が結露する問題の解決手段については検討されていない。
【0009】
車載ランプの前面レンズの内側の結露の発生原因は解明されていない。しかしながら、その一因として、リフレクターやエクステンション等の車載ランプ部品の基材樹脂組成物から発生する揮発成分が影響していることが挙げられる。
特許文献4には、車載ランプの前面レンズの内側に防曇塗膜を形成して結露防止させる車両用灯具が提案されている。この技術では、長期間熱を受ける部品からの水分を含む揮発成分が防曇塗膜の表面に付着若しくは吸着する、又は防曇成分が洗い流されることにより、前面レンズの内側の防曇性能が低下すると考えられている。この現象は、成形品の表面にアンダーコート層を介して光反射金属層を形成させた光反射体部品や成形品の表面を塗装した部品を使用しても起こる。しかし、ダイレクト蒸着法により成形品の表面に光反射金属層を形成させた光反射体部品や成形品をそのまま使用した車載ランプ部品では、アンダーコート層を介して光反射金属層を形成させた光反射体部品を使用した車載ランプ部品に比べて層が一層少ないことから、揮発成分の放出が速く、この現象の発生がより早くなることが懸念される。
【特許文献1】特開平6−203613号公報
【特許文献2】特開平11−241006号公報
【特許文献3】特開2005−194300号公報
【特許文献4】特開2004−214076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、表面が高い平滑性を有し、高光沢を呈する成形品を形成でき、長期間使用しても車載ランプの前面レンズの防曇性能を低下させることのないランプ部品を形成できる車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物、それを用いた車載ランプ用成形品及び車載ランプ用部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための第1の発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部及びアルキレンビス脂肪酸アミド(B)0.04〜3質量部(熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して)を含有する車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物である。
また、第2の発明は、前記の車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物から得られる車載ランプ用成形品である。
更に、第3の発明は、前記の車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部に塗料被覆層を有する車載ランプ用塗装成形品である。
また、第4の発明は、前記の車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部にアンダーコート層を介して光反射金属層を有する車載ランプ用部品である。
また、第5の発明は、前記の車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部に光反射金属層を直に有する車載ランプ用部品である。
更に、第6の発明は、前記の車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部が露出している車載ランプ用部品である。
また、第7の発明は、前記の車載ランプ用塗装成形品の表面の少なくとも一部が露出している車載ランプ用部品である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物は成形時の離型性が良く、表面が高い平滑性を有し、高光沢を呈する成形品を形成できる。また、この熱可塑性樹脂組成物から製造された車載ランプ用成形品及び車載ランプ用部品は、長期間使用しても前面レンズの防曇性能を低下させない効果を発現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」という)について説明する。
【0014】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、例えば、芳香族若しくは脂環式のジカルボン酸又はそれらの誘導体とポリオールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂が挙げられる。
芳香族又は脂環式のジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、メチレン鎖が2〜6であるエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のアルキレンジオールや、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの付加体が挙げられる。
【0015】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という)、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」という)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンナフタレートが挙げられる。これらは1種で又は2種以上を併用して使用できる。また、同種で分子量の異なるポリエステル樹脂を併用して使用することができる。
【0016】
また、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、成形性、外観及び経済性の点で、PBTとPETを併用することが好ましい。これらを併用する場合の混合比率は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)中に、PBTを55〜95質量%、及びPETを5〜45質量%含有することが好ましい。
PBTの混合比率が55質量%以上及びPETの混合比率が45質量%以下で、成形サイクル時間が短くなり生産性が良好となる傾向にある。また、PBTの混合比率が95質量%以下及びPETの混合比率が5質量%以上で、成形品の表面平滑性が良好となる傾向にある。
PBTの混合比率の下限値は、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。PBTの混合比率の上限値は、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が特に好ましい。
また、PETの混合比率の上限値は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。PETの混合比率の下限値は、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。
【0017】
PBTとしては、例えば、ブチレンテレフタレート単位の単独重合体及びブチレンテレフタレート単位を繰り返し単位中70質量%以上含有する共重合体が挙げられる。
上記共重合体のブチレンテレフタレート単位以外の繰り返し単位の原料である単量体としては、例えば、二塩基酸成分として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の芳香族若しくは脂肪族多塩基酸又はそれらのエステルが挙げられる。
また、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジオール等のアルキレングリコール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物;又はそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0018】
PBTの分子量は、25℃における還元粘度(ηsp/C)として0.7〜2.0が好ましい。還元粘度が0.7以上で、強度が良好となる傾向にあり、2.0以下で、成形時の樹脂組成物の流動性及び成形品の外観が良好となる傾向にある。この還元粘度の下限値は、0.8以上がより好ましく、0.9以上が特に好ましい。また、この還元粘度の上限値は、1.7以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。
【0019】
PETとしては、例えば、エチレンテレフタレート単位の単独重合体及びエチレンテレフタレート単位を繰り返し単位中70質量%以上含有する共重合体が挙げられる。
エチレンテレフタレートと共重合される単量体としては、PBTの1例であるブチレンテレフタレート単位を繰り返し単位中70質量%以上含有する共重合体のブチレンテレフタレート単位以外の繰り返し単位の原料として使用される単量体と同様の二塩基酸成分及びグリコール成分が挙げられる。
【0020】
PETの分子量は、固有粘度([η])として0.4〜1.0が好ましい。固有粘度が0.4以上で、強度が良好となる傾向にあり、1.0以下で、流動性及び外観が良好となる傾向にある。この固有粘度の下限値は、0.45以上がより好ましく、0.5以上が特に好ましい。また、この固有粘度の上限値は、0.9以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましい。
【0021】
アルキレンビス脂肪酸アミド(B)
本発明において、アルキレンビス脂肪酸アミド(B)は成形時の離型性を向上させる為に使用される。他の離型剤を使用した場合と異なり、アルキレンビス脂肪酸アミド(B)を含有する本発明の樹脂組成物から得られる成形品及び部品を車載ランプユニットとして長期間使用しても、車載ランプの前面レンズの防曇性能が低下しにくい。その理由は明らかではないが、アルキレンビス脂肪酸アミド(B)は加熱しても防曇成分を失活させる揮発成分が発生しにくい。このことは、アルキレンビス脂肪酸アミド(B)は防曇塗装膜に含まれるのと同様の官能基を持っていることから、本発明の樹脂組成物の加熱時に発生する揮発成分の内、防曇成分を失活させる成分を吸着し、又ははそれと反応して、成形品及び部品の表面からその成分が放出されにくくなる為と推定される。
【0022】
アルキレンビス脂肪酸アミド(B)としては、例えば、炭素数1〜6のアルキレンジアミンと炭素数8以上の脂肪酸との反応物が挙げられる。具体例としては、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のメチレンビス脂肪酸アミド類;エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド等のエチレンビス脂肪酸アミド類;ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド等のヘキサメチレンビス脂肪酸アミド類及びエチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスオクタデカジエン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等のアルキレンビス不飽和脂肪酸アミド類が挙げられる。
【0023】
アルキレンビス脂肪酸アミド(B)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.04〜3質量部である。この含有量が0.04質量部以上で、成形時の離型性が良くなり、成形品を長時間加熱しても、防曇塗装膜の防曇性能が維持される傾向にある。また、この含有量が3質量部以下で、成形品のフォギング性が良くなる傾向にある。
アルキレンビス脂肪酸アミド(B)の含有量の下限値は0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上が特に好ましい。また、アルキレンビス脂肪酸アミド(B)の含有量の上限値は2質量部以下が好ましく、1質量部以下が特に好ましい。
【0024】
非イオン系界面活性剤(C)
本発明の樹脂組成物に非イオン系界面活性剤(C)を配合することにより、成形時の離型性を向上させると共に、その成形品及び部品を車載ランプユニットとして長期間使用した際に、車載ランプの前面レンズの防曇塗装膜の防曇性能が低下するのを抑制することができる。その理由は明らかではないが、非イオン系界面活性剤(C)はエステル結合、アミド結合、エーテル結合等の親水性の官能基を持っていることから、非イオン系界面活性剤(C)が、本発明の樹脂組成物の加熱時に発生する揮発成分の中の防曇成分を失活させる成分を吸着して又はそれと反応して、成形品及び部品表面からその成分が放出されにくくなる為と推定される。
【0025】
非イオン系界面活性剤(C)としては、例えば、モノステアリン酸グリセリン、モノイソステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン、ジオレイン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類;トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、テトラオレイン酸ヘキサグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタヒドロキシステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、ポリリシノレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類;ショ糖ラウリン酸モノエステル、ショ糖ラウリン酸ジエステル、ショ糖ラウリン酸トリエステル、ショ糖ミリスチン酸モノエステル、ショ糖ミリスチン酸ジエステル、ショ糖ミリスチン酸トリエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル、ショ糖オレイン酸モノエステル、ショ糖オレイン酸ジエステル、ショ糖オレイン酸トリエステル、ショ糖エルカ酸モノエステル、ショ糖エルカ酸ジエステル、ショ糖エルカ酸トリエステル、ショ糖ベヘニン酸モノエステル、ショ糖ベヘニン酸ジエステル、ショ糖ベヘニン酸トリエステル等のショ糖脂肪酸エステル類;トリベヘン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;トリステアリン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン、ジエチレントリミリスチン酸ポリオキトリメチロールプロパン、ジステアリン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン等のポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ひまし油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンひまし油等のひまし油誘導体が挙げられる。
【0026】
上記以外に、非イオン系界面活性剤(C)として、極めて弱いカチオン性のある、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のポリオキシエチレン脂肪酸アミド類;ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類も挙げられる。これらの非イオン系界面活性剤(C)は1種で又は2種以上を併用して使用できる。
【0027】
非イオン系界面活性剤(C)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.01〜3質量部が好ましい。この含有量が0.01以上で、成形時の離型性が良くなり、成形品を長時間加熱しても、防曇塗装膜の防曇性能が維持される傾向にある。また、この含有量が3質量部以下で、成形品に光反射金属層を形成した場合の耐熱性が良くなる傾向にある。
非イオン系界面活性剤(C)の含有量の下限値は、成形時の離型性及び防曇塗装膜の防曇性能の点で、0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、成形品に光反射金属層を形成した場合の耐熱性の点で、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下が特に好ましい。
【0028】
無機フィラー(D)
本発明の樹脂組成物に無機フィラー(D)を配合することにより、成形品の機械的強度及び耐熱性を上げることができると共に、成形品を加熱した後も成形品の表面平滑性及び光沢を維持することができる。また、光反射金属層を形成させた成形品において加熱曇り(金属膜を曇らせること)が発生しにくくなる。
【0029】
無機フィラー(D)としては、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、石英、タルク、マイカ、カオリン、クレー、ハイドロタルサイト、黒鉛、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、ドロマイト及びセリサイトが挙げられる。
【0030】
無機フィラー(D)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜40質量部が好ましい。この含有量が0.1質量部以上で、成形品の機械的強度及び耐熱性が良好となる傾向にあり、また、40質量部以下で、無機フィラー(D)の分散状態が良好となって成形品の表面平滑性が良好となる傾向にある。
無機フィラー(D)の含有量の下限値は、成形品の機械的強度及び耐熱性の点で、0.2質量部以上がより好ましく、0.4質量部以上が特に好ましい。また、無機フィラー(D)の含有量の上限値は、成形品の表面平滑性の点で、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
但し、アンダーコート層を介して金属蒸着する場合は成形品の表面平滑性が向上するため、無機フィラー(D)の含有量の上限値は、25質量部以下が特に好ましい。
【0031】
無機フィラー(D)の平均粒子径の上限値は、成形品の表面外観の点で、3.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.0μm以下が更に好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。また、無機フィラー(D)の平均粒子径の下限値は、無機フィラー(D)の分散性の点で、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上が更に好ましく、0.1μm以上が特に好ましい。
また、アンダーコート層を介して金属蒸着する場合は、成形品の表面平滑性が向上し、外観が向上するため、無機フィラー(D)の平均粒子径の上限値は、5.0μm以下が好ましく、3.5μm以下がより好ましい。
【0032】
本発明の樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、前述したように、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)及びアルキレンビス脂肪酸アミド(B)を含有し、必要に応じて非イオン系界面活性剤(C)及び/又は無機フィラー(D)を含有する。
本発明の樹脂組成物には、目的に応じて、一般的に熱可塑性樹脂に配合される公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、金型離型性を向上させる為の離型剤、染料や顔料等の着色剤、熱安定性を改良する為のヒンダードフェノール系、ホスファイト系等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、流動性を改質する為のピロメリット酸アルキルエステルやエポキシ化ダイズ油等の可塑剤及び難燃剤が挙げられる。
【0033】
また、本発明の樹脂組成物には、一般的に熱可塑性樹脂に配合される公知のビニル系非晶性熱可塑性樹脂を配合することができる。例えば、ビニル系非晶性熱可塑性樹脂を配合することにより成形収縮率を低減させ、成形品の表面平滑性を上げることができ、得られる車載ランプ用部品の表面平滑性が向上し、また加熱後も車載ランプ用部品の光沢が維持される傾向にある。特に、ビニル系非晶性熱可塑性樹脂の配合は、成形品に光反射金属層を直接形成させる場合に効果的である。
【0034】
ビニル系非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(以下、「AN/St樹脂」という)、エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(以下、「エポキシ基含有AN/St樹脂」という)、マレイミド系共重合樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂が挙げられる。これらは1種で又は2種以上を併用して使用できる。
【0035】
中でも(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂は、成形品に高い表面平滑性と光沢を付与する傾向がある。(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)に配合し成形した場合、例えば射出成形においては、成形機シリンダー内で溶融した際、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)に(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂が分子レベルで絡まり合っていると思われる。このため、樹脂が金型内で射出される時にバラス効果が生じて金型内で樹脂が膨潤し、成形品のスキン層形成時に収縮が緩和され、表面平滑性が向上すると考えられる。また、成形機シリンダー内で樹脂が溶融する時に、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂が分子レベルで絡まり合うことにより、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)のような結晶性樹脂は、成形品が金型内で固化する際に形成されるスキン層の結晶性が低下すると考えられる。このことにより、一次、二次収縮による結晶化の進行による成形品表面の変化が抑制され、無機フィラー(D)による白化等の抑制のみならず、加熱処理前後における成形品の表面及び光反射体部品の表面に高い光沢を付与することができるものと推定される。
【0036】
AN/St樹脂は、アクリロニトリル単位とスチレン単位の比率(AN/St)は質量比でAN/St=20/80〜45/55が好ましく、25/75〜35/65がより好ましい。
AN/St樹脂の製造方法としては、懸淘重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等の公知の重合法が挙げられる。
AN/St樹脂の分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルバーミエーションクロマトグラフィーで測定した質量平均分子量(MW)で50,000〜250,000が好ましい。
【0037】
エポキシ基含有AN/St樹脂は、シアン化ビニル単量体単位15〜40質量%、芳香族ビニル単量体単位60〜84.9質量%及びエポキシ基含有ビニル単量体単位0.1〜質量%からなる共重合体が好ましい。
エポキシ基含有AN/St樹脂の製造方法としては、懸淘重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等の公知の重合法が挙げられる。
エポキシ基含有AN/St樹脂の分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルバーミエーションクロマトグラフィーで測定した質量平均分子量(MW)で30,000〜200,000が好ましい。
【0038】
マレイミド系共重合樹脂としては、例えば、マレイミド系単量体単位並びに芳香族ビニル系単量体単位及び/又は他のビニル系単量体単位からなる共重合樹脂が挙げられる。
マレイミド系共重合樹脂中のマレイミド系単量体単位の含有量は15〜65質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
マレイミド系単量体としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−オルトクロルフェニルマレイミド、N−オルトブロモマレイミド及びN−フェニルマレイミドが好ましく、N−フェニルマレイミドがより好ましい。これらは1種で又は2種以上を併用して使用できる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。これらは1種で又は2種以上を併用して使用できる。
マレイミド系共重合樹脂中の芳香族ビニル系単量体単位の含有量は35〜85質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。
他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体等が挙げられ、シアン化ビニル系単量体が好ましい。
マレイミド系共重合樹脂の分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルバーミエーションクロマトグラフィーで測定した質量平均分子量(MW)で100,000〜300,000が好ましい。
【0039】
(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂としては、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルから得られる共重合体、及び(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体から得られる共重合体が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂を配合することにより、得られる成形品に高い表面平滑性を付与し、且つ加熱処理後でも成形品の表面に高い光沢を与えることができる。このため、光反射金属層を直接形成させた成形品は加熱曇りが極めて少ない。また、成形品をそのまま使用する場合、又は成形品の表面を塗装した塗装成形品をそのまま使用する場合にもエクステンション等の車載ランプ用部品に好適に用いることができる。
【0040】
(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂の原料となるアクリル酸エステルとしては、炭素数が1〜18の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を有するものが挙げられる。
直鎖状のアルキル基を有するものとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等が挙げられる。分岐状のアルキル基を有するものとしては、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、環状のアルキル基を有するものとしては、シクロヘキシルアクリレート等が挙げられる。アルキル基の炭素数が18個を超えると、単量体の重合性が低下し、共重合が困難になる場合がある。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂の原料となるメチルメタクリレートを除くメタクリル酸エステルとしては、炭素数が2〜18の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を有するものが挙げられる。
直鎖状のアルキル基を有するものとしては、エチルメタクリレート、n‐ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等が挙げられる。分岐状のアルキル基を有するものとしては、i‐ブチルメタクリレート、t‐ブチルメタクリレート、2‐エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられ、環状のアルキル基を有するものとしては、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。アルキル基の炭素数が18個を超える場合には、単量体の重合性が低下し、共重合が困難になる場合がある。
【0041】
上記の中で、(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂の原料となる単量体成分中におけるメチルメタクリレート含有量が50質量%以上のものが好ましく、60質量%以上のものがより好ましく、65質量%以上のものが特に好ましい。
【0042】
(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂の原料となる(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル;無水マレイン酸等のジカルボン酸無水物や、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル等の多官能性単量体が挙げられる。これらは1種で又は2種以上を併用して使用できる。
【0043】
(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂を得るための重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等の公知の方法が挙げられる。中でも乳化重合法が好ましい。
【0044】
(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂の質量平均分子量や分子量分布は、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤や重合条件等で任意に調整が可能である。(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂の分子量は、成形品の外観向上の点で、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した質量平均分子量(MW)で、500,000〜6,000,000が好ましい。
【0045】
(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。この含有量が10質量部以下で、成形時の流動性が良好で、且つ、高い表面平滑性と光沢を持った成形品が得られ、加熱後も高外観が維持される傾向にある。この含有量の上限値は5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましい。また、本発明の樹脂組成物の成形性及び成形品の表面平滑性、光沢及び耐熱性の点で、この含有量の下限値は0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂以外のビニル系熱可塑生樹脂の中で、例えばAN/St樹脂又はマレイミド系共重合樹脂を配合する場合は、熱可塑性ポリエルテル樹脂(A)100質量部に対して2〜25質量部が好ましい。この含有量が2質量部以上で、成形品の表面平滑性が良好となる傾向にあり、25質量部以下で、成形品の機械的強度及び耐熱性が良好となる傾向にある。(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂以外のビニル系熱可塑生樹脂の含有量の下限値は、熱可塑性ポリエルテル樹脂(A)100質量部に対して3質量部以上がより好ましく、4質量部以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は17.5質量部以下がより好ましく、11質量部以下が特に好ましい。
【0046】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、例えば、溶融混練法が挙げられる。溶融混練に用いる装置としては公知の装置を使用することができ、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ローラー及びニーダーを使用することができる。
【0047】
車載ランプ用成形品
本発明の車載ランプ用成形品は、本発明の樹脂組成物を成形することにより得られ、後述の車載ランプ用部品の製造に使用される。
【0048】
車載ランプ用成形品の成形方法としては、射出成形法、ガスアシスト成形法、冷熱サイクル成形法、ブロー成形法、押出成形法等の公知の方法が挙げられる。中でも、汎用性の点で、射出成形法が好ましい。また、成形する際、金型の磨きを磨き番手♯5,000以上、好ましくは♯10,000以上とするか、又は金型表面をクロムメッキ等の平滑化表面処理を行うことにより、成形品の表面平滑性や光沢が増すと共に、金属蒸着後の成形品に良好な外観を付与することが容易となる。
【0049】
塗料被覆層
車載ランプ用塗装成形品
本発明においては、目的に応じて前記の車載ランプ用成形品の表面に、塗料で塗装して、塗料被覆層を有するものを使用することができる。
塗料及び塗装方法としては、公知のものを使用することができる。
【0050】
車載ランプ用部品
本発明の車載ランプ用成形品は、以下のような車載ランプ用部品として利用される。
(1)車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部にアンダーコート層を介して光反射金属層が形成された車載ランプ用部品。
(2)車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部に光反射金属層が直接形成された車載ランプ用部品。
(3)車載ランプ用成形品又は車載ランプ用塗装成形品の表面の少なくとも一部が露出した状態の車載ランプ用部品。
これらの部品は、ランプユニットとして組み込まれる場合、長期間、高温下に処しても前面レンズ内面の防曇塗装膜の防曇性能が低下しにくい。
【0051】
成形品の表面の少なくとも一部に光反射金属層が直接形成された車載ランプ用部品を光反射体部品として使用する場合、金型の磨きを磨き番手♯10,000以上とした金型を使用することが好ましい。この場合、成形品の初期又は耐熱試験後の拡散反射率を3.0%以下とすることが好ましく、2.5%以下とすることがより好ましく、2.0%以下とすることが特に好ましい。
【0052】
アンダーコート層
本発明において、アンダーコート層を形成するために使用されるアンダーコート剤としては、例えば、成形品と光反射金属層との付着性を向上させる付着成分(E)、架橋硬化被膜を形成させる架橋成分(F)、光重合開始剤(G)及び有機溶剤(H)が主に配合されたアクリルオリゴマー系のアンダーコート剤が挙げられる。
【0053】
付着性成分(E)としては、アミノ基を有する(メタ)アクリル系単量体の単独重合体又は共重合体が好ましい。これらはラジカル重合開始剤の存在下に溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等の重合法により得られる。
【0054】
アミノ基を有する(メタ)アクリル系単独重合体又は共重合体の原料となるアミノ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、N−メチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノ−n−プロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノイソプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノイソブチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノ−t−ブチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノ−n−プロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノイソプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノイソブチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノ−t−ブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ−n−プロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノイソプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノイソブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ−t−ブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノ−n−プロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノイソプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノイソブチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジエチルアミノ−t−ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中で、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートが好ましい。これらの単量体は1種で又は2種以上を併用して使用できる。
【0055】
また、上記単量体と共重合される共重合用単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキシドの付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとプロピレンオキシドの付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンの付加物等の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと有機ラクトン類の付加物等の水酸基含有ビニルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン又はスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の重合性不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリロニトリル等の重合性不飽和ニトリル類;ジエチルマレエート、ジブチルマレエート、ジブチルフマレート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート等の重合性不飽和カルボン酸エステル類;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート等のビニルエステル類が挙げられる。これら共重合用単量体は1種で又は2種以上を併用して使用できる。
アミノ基を有する(メタ)アクリル系共重合体においては、原料である単量体混合物中のアミノ基を有する(メタ)アクリル系単量体の含有量は、成形品とアンダーコート層との付着性の点で、5質量%以上が好ましい。
【0056】
アンダーコート剤中のアミノ基を有する(メタ)アクリル系単量体の単独重合体又は共重合体の使用割合は、(E)〜(G)成分の合計量の10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。アミノ基を有する(メタ)アクリル系単量体の単独重合体又は共重合体の量が10質量%以上で成形品とアンダーコート層との十分な付着性が得られ、また、80質量%以下で耐熱性及び表面平滑性が良好なアンダーコート層が得られる。
【0057】
架橋成分(F)としては、例えば、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能性単量体(f−1)と、1分子中に1〜2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する1〜2官能性単量体(f−2)とからなる架橋性単量体混合物が挙げられる。この架橋性単量体混合物は、アンダーコート剤が活性エネルギー線の照射により良好な重合活性を示し、且つ、樹脂成形品の表面に、耐熱性及び表面平滑性に優れた蒸着用のアンダーコート層としての架橋硬化被膜を形成させるために使用される。
【0058】
多官能性単量体(f−1)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート及びトリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中で、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。これらの多官能性単量体(f−1)は1種で又は2種以上を併用して使用できる。
【0059】
また、1〜2官能性単量体(f−2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン等の1官能性(メタ)アクリレート、及びエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロキシ(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス−(2−メタアクリロイルオキシエチル)フタレート等の2官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中で、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、水素化ビスフェノールAジアクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジアクリレート及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレートが好ましい。これらの1〜2官能性単量体は1種で又は2種以上を併用して使用できる。
【0060】
架橋成分(F)中の多官能性単量体(f−1)と1〜2官能性単量体(f−2)の使用割合は、多官能性単量体(f−1)/1〜2官能性単量体(f−2)=20〜100/80〜0(質量%)が好ましく、アンダーコート層の耐熱性及び表面平滑性並びに成形品との付着性の点から、(f−1)/(f−2)=30〜70/70〜30(質量%)がより好ましい。但し、多官能性単量体(f−1)の使用量は、成分(E)〜(G)成分の合計量の30質量%以下が好ましい。
架橋成分(F)の使用割合は、(E)〜(G)成分の合計量の10〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。架橋成分(F)が10質量%以上で十分な耐熱性が得られ、80質量%以下で良好な成形品とアンダーコート層との付着性が得られる。
【0061】
光重合開始剤(G)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−エチルアントラキノン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらは1種で又は2種以上を併用して使用できる。
これらの中で、ベンゾフェノン及び2−エチルアントラキノンが好ましい。
光重合開始剤(G)の使用量は、(E)〜(G)成分の合計量の0.1〜15質量%、より好ましくは、1〜10質量%である。光重合開始剤(G)の量が0.1質量%以上で硬化が十分となり、15質量%以下で良好な成形品とアンダーコート層との付着性が得られる。
【0062】
有機溶剤(H)は粘度調整のために使用される。有機溶剤(H)としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物;塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
【0063】
本発明においては、アンダーコート剤には、必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、沈降防止剤、潤滑剤、研磨剤、防錆剤、帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
アンダーコート層は、上記アンダーコート剤を成形品の表面に塗付し、活性エネルギー線を照射することにより形成される。アンダーコート層の膜厚は硬化被膜として1〜40μmが好ましい。
アンダーコート剤の塗付方法としては、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、カーテンコート等の方法が挙げられるが、塗付作業性、被膜の平滑性、均一性の点でスプレーコート法が好ましい。
また、アンダーコート剤を硬化するために用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、ガンマー線等が挙げられる。
【0064】
光反射金属層
本発明における光反射金属層としては、例えば、アルミニウム、銀、クロム、ニッケル、パラジウム、白金及び金の各金属層が挙げられる。
これらの中で、コスト、光学的な性能等の点で、アルミニウム層及び銀層が好ましく、コストの点で、アルミニウム層が特に好ましい。
光反射金属層の厚みとしては、通常、金属層の強度、輝度等の点で数十nm〜数μmに設定され、好ましくは、数十nm〜数百nmである。
【0065】
成形品に直接又はアンダーコート層を介して光反射金属層を形成する方法としては、大別すると、めっき処理法で代表されるウェットプロセス、並びに真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法で代表されるドライプロセスである蒸着法の2つの方法が挙げられる。
また、ドライプロセスにより金属蒸着を行う方法では、ダイレクト蒸着法及びアンダーコート層を形成した後に金属蒸着を行う方法が挙げられる。
アンダーコート層を形成した後に金属蒸着を行う方法では、金属蒸着の工程に先立って、成形品の表面に、例えば、硬化後の膜厚が20μmになるようにスプレーコート法等でアンダーコート剤を塗付し、必要に応じて、例えば80℃で5分間乾燥する。次いで、高圧水銀灯等の活性エネルギー線照射、加熱等により塗膜を硬化させてアンダーコート層を形成させる。この後、金属蒸着を実施する。ダイレクト蒸着法ではアンダーコート層の形成の工程を省いて金属蒸着を実施する。
【0066】
金属蒸着に際しては、成形品又はアンダーコート層を有する成形品と金属層との密着性を向上させるために成形品の表面にプラズマ活性化処理を施すことができる。
プラズマ活性化処理の方法としては、例えば、アルゴンガス等の不活性ガス、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素等の単独又は混合ガス雰囲気下で、成形品にプラズマを照射する方法が挙げられる。
金属蒸着の方法は、例えば以下の方法が挙げられる。
真空蒸着法では、高い真空状態で、抵抗発熱体、高周波、電子線等で金属を高温加熱することにより、金属を蒸発させ、成形品又はアンダーコート層を有する成形品の表面で金属を凝縮させて金属層を形成させる。真空蒸着法では金属蒸着速度が速い。
スパッタリング法では、高エネルギーを有するイオンを金属表面に照射することにより金属原子又は金属化合物を叩き出して成形品又はアンダーコート層を有する成形品の表面に金属層を形成させる。スパッタリング法では高融点の金属層やセラミック層を形成させることができる。また、スパッタリング法では、金属蒸着速度が真空蒸着法よりも遅いが、金属層と成形品又はアンダーコート層を有する成形品との密着性が真空蒸着法に比べて高い。
イオンプレーティング法では、真空蒸着装置内にあるプラズマゾーンで、蒸発した金属をプラズマ照射によりイオン化させ、イオン化させた金属を成形品又はアンダーコート層を有する成形品の表面に衝突させて金属層を形成させる。イオンプレーティング法では、真空蒸着法と同様に金属蒸着速度が速く、また、スパッタリング法と同様に、金属層と成形品又はアンダーコート層を有する成形品との密着性が高い。
更に、金属層の形成後に、金属層の耐候性向上、金属層の傷つきや剥離の防止、着色による意匠性付与等を目的として金属層の表面に保護膜を形成することができる。
保護膜としては、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の無機化合物及びアクリル系樹脂やシリコン系樹脂等の有機化合物が挙げられる。
保護膜の形成方法としては、例えば、アクリル系樹脂やシリコン系樹脂等の保護膜を塗装により形成させる湿式法、前記無機化合物の保護膜をスパッタリング法により形成させる乾式法、及びモノマーガス中でプラズマ重合により樹脂の保護膜を形成させるプラズマ重合法が挙げられる。
保護膜の厚みとしては、通常、数十nm〜数百nmである。
【0067】
尚、本発明においては、上記方法で得られた車載ランプ用部品の外観性能は、成形品の表面の少なくとも一部が成形品のままの状態で形成された車載ランプ用部品における外観性能にも反映される。従って、金属蒸着による光反射金属層が付与された状態で行う前記の外観性能の評価と、成形品の加熱による着色評価を併せることにより、成形品の表面の少なくとも一部が成形品のままの状態で形成された車載ランプ用部品についての評価が可能である。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。また、以下において、「部」は「質量部」を意味する。
【0069】
<樹脂の評価>
(1)還元粘度(ηsp/C)
ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂0.25gに、フェノール及び1,1,1,2−テトラクロロエタンの1:1(質量比)の混合溶媒(関東化学(株)製、商品名:PTM11)50mlを添加し、140℃で10〜30分程度で溶解して溶液を得た。これを25℃の恒温水槽中で3分間調温したのち、ウベローデ型自動粘度計(旭化成テクノシステム(株)製、商品名:AVL−4C)を用いて標線間を通過する時間を測定し、還元粘度(ηsp/C)を下式より求めた。
ηsp/C=(ηrel−1)/C =(T/T−1)/C
ηrel:η/η
η:サンプル溶液の粘度
η:混合溶媒のみの粘度
T:サンプル溶液の毛細管標線通過時間(秒)
:混合溶媒のみの毛細管標線間通過時間(秒)
C:サンプル濃度(g/dl)
【0070】
(2)固有粘度([η])
還元粘度の場合と同様の混合溶媒を用い、濃度0.2g/dl、0.3g/dl及び0.4g/dlの3種のポリエチレンテレフタレート樹脂溶液を調製した。各濃度の溶液の粘度を、前記還元粘度の測定に使用したものと同様のウベローデ型自動粘度計を用いて、温度25℃で測定し、得られた値をHugginsプロットにて、濃度0g/dlに外挿して、固有粘度([η])を求めた。
【0071】
(3)酸価(meq/kg)
ベンジルアルコールに、ポリブチレンテレフタレートを溶解させ、1/50N NaOHベンジルアルコール溶液にて滴定して酸価を求めた。
【0072】
(4)質量平均分子量(MW)
樹脂サンプル60mgを試薬一級テトラヒドロフラン(THF)25mlに完全に溶解させ、下記の内部標準溶液1mlを加え、試料を調製した。この試料をよく攪拌し、ろ過後、1mlをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用サンプル容器に入れ、GPC測定装置(東ソー(株)製 商品名:HPLC−8120GPC)にセットした。流速0.500ml、試料量10μl、測定温度40℃の条件で測定し、下記の検量線を用いてMWを算出した。尚、その他の測定条件は以下の通りとした。
(その他測定条件)
カラム:TSK−GEL SUPER HM−H 6.0×150 2本
排除限界:4×10
ガードカラム:TSK−GUARDCOLUMN HM−H 4.6×35 1本
検出器:RI(示差屈折計)
(内部標準溶液)
川口化学工業(株)製 アンテージW−400(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)1.5gをテトラヒドロフラン100mlに溶解させたものを内部標準溶液とした。
(検量線)
分子量既知のポリスチレンをTHFに溶解させ、予め下記の様に検量線を作成した。
MWが(A)5.48×10、3.55×10及び9.10×10の各ポリスチレン40mgをTHF50mlに溶解させて、試料と同様に測定を行い、各々のピークトップタイムを記録した。同様にMWが(B)2.89×10、9.64×10及び5.97×10の各ポリスチレン40mgをTHF50mlに溶解させ、また、MWが(C)7.06×10及び3.79×10の各ポリスチレン40mgをTHF33mlに溶解させ、試料と同様に測定を行い、全ピークトップタイムから検量線を作成した。
【0073】
<成形性の評価>
(1)金型離型性(N)
溶融混練ペレットを乾燥後、射出成形機((株)山城精密製、商品名:SANJECT3601 60T)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、冷却時間20秒、サイクル35秒の条件で、長さ50mm、内径45mm、肉厚3〜4mmの円筒形の成形品を成形し、離型時の突出し力(離型力)を圧力センサーにより測定し、金型離型性を評価した。離型力が小さい程、金型離型性は良好である。
尚、車載ランプ用部品として成形する際に、この離型力が600N以下のものが良好な離型性を有する。離型力が600Nを超える場合は、離型性に難があり、生産性が低下したり、大型の成形品や複雑な形状の成形品を成形する際に問題となることがある。金型離型性は以下の基準で評価した。
◎:離型力が400N以下。
○:離型力が400Nを超え、600N以下。
△:離型力が600Nを超え、800N以下。
×:離型力が800Nを超える。
【0074】
<成形品の評価>
射出成形機((株)東芝製IS80FPB)を用いて、♯14,000で磨き上げた金型を使用し、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で射出成形して得られた、厚み3mm、100mm角の平板試験片を用いて下記の評価を実施した。
【0075】
(1)フォギング性(防曇塗装なし)(%)
平板試験片から4.5cmの小片を切出し、試験管(φ30×200mm)に入れ、160℃に温度調節したフォギング試験機(スガ試験機(株)製、商品名:フォギングテスターWSF−2改良型)にセットした。更に、上記試験管に、耐熱ガラス(テンパックスガラス、55×55×3mm)の蓋をした後、25℃に温度調節した冷却水を通水したアルミブロックを載せ、160℃で20時間、熱処理を実施した。この後、耐熱ガラスの蓋の内壁への、平板試験片からの揮発物の付着状態を評価した。この耐熱ガラスの蓋のヘイズ(曇り度合)を、反射・透過率計((株)村上色彩技術研究所製、商品名:HR−100)を用いて測定した。
耐熱ガラスの蓋のヘイズが30%を超える場合は、その成形品は車載ランプ用部品としては実用上問題がある。ヘイズが30%以下の場合は、その成形品は車載ランプ用部品として使用でき、10%以下の場合がより好ましい。フォギング性は以下の基準で評価した。
◎:ヘイズが10%以下。
○:ヘイズが10%を超え、30%以下。
△:ヘイズが30%を超え、45%以下。
×:ヘイズが45%を超える。
【0076】
(2)防曇フォギング性(防曇塗装あり)(%)
平板試験片から4.5cmの小片を切出し、前記フォギング性評価の場合と同様にフォギング試験機にセットした。上記試験管に、防曇塗装を施した無色透明の樹脂プレートで蓋をした後、160℃で4時間、熱処理を実施した。この後、樹脂プレートの内壁への、平板試験片からの揮発物の付着状態を評価した。この樹脂プレートのヘイズを前記フォギング性評価の場合と同様に測定した。
樹脂プレートのヘイズが3.0%を超える場合は、その成形品は車載ランプ用部品としては実用上問題がある。ヘイズが3.0%以下の場合は、その成形品は車載ランプ用部品として使用でき、1.0%以下の場合がより好ましい。防曇フォギング性は以下の基準で評価した。
◎:ヘイズが1.0%以下。
○:ヘイズが1.0%を超え、3.0%以下。
△:ヘイズが3.0%を超え、5.0%以下。
×:ヘイズが5.0%を超える。
【0077】
(3)防曇性(スチーム試験)(−)
500mlのガラスビーカーにイオン交換水を適量入れ、ホットプレート上で加熱した。ビーカー内の水温を80℃とし、温度が安定していることを確認した。次いで、上記の防曇フォギング性(防曇塗装あり)の試験を実施した樹脂プレートを、フォギング試験を行った面が湯気に当る様にガラスビーカーから約10cm上にかざした。樹脂プレートを10秒間湯気にかざした後の樹脂プレートの曇り状態を観察し、防曇性を評価した。
10秒間湯気にかざした後に樹脂プレートが曇っている場合は、加熱された成形品から防曇塗装膜の防曇性能を低下させている揮発分が発生している可能性があり、その成形品は車載ランプ用部品としては実用上問題がある。10秒間湯気にかざした後に樹脂プレートが曇っていない場合は、その成形品が車載ランプ用部品として使用でき、湯気にかざしていた10秒間に一度も曇らなかった場合が最も好ましい。防曇性は以下の基準で評価した。
◎:10秒間一度も曇らない。
○:10秒以内に一度曇るが、10秒後には消えている。
△:4秒を超えると曇り、10秒後にも曇りが消えない。
×:4秒以内に曇り、10秒後にも曇りが消えない。
【0078】
(4)防曇フォギング性及び防曇性試験後の外観(%)
前記の防曇フォギング性及び防曇性を評価した後の樹脂プレートを乾燥した。次いで、樹脂プレートのこれらの試験を実施した部位のヘイズを、反射・透過率計((株)村上色彩技術研究所製、商品名:HR−100)を用いて測定し、外観の評価を実施した。
樹脂プレートのヘイズが5.0%を超える場合は、成形品は車載ランプ用部品としては実用上問題がある。ヘイズが3.0%以下の場合は、車載ランプ用部品として使用でき、1.0%以下の場合がより好ましい。外観は以下の基準で評価した。
◎:ヘイズが1.0%以下。
○:ヘイズが1.0%を超え、3.0%以下。
△:ヘイズが3.0%を超え、5.0%以下。
×:ヘイズが5.0%を超える。
【0079】
<金属蒸着前後の成形品の評価>
試験片としては、前記の成形品の評価の際に使用したものと同サイズの平板試験片を用いた。
これらの平板試験片から下記の4種類の試験片を得て、下記(1)〜(3)の評価を実施した。
(イ)金属蒸着無し、耐熱試験無し
(ロ)金属蒸着無し、耐熱試験有り
(ハ)金属蒸着有り、耐熱試験無し
(ニ)金属蒸着有り、耐熱試験有り
尚、金属蒸着の条件は下記(2)の通りである。また、耐熱試験の条件は、ギヤオーブン(タバイエスベック(株)製、商品名:GPH(H)−100)中、170℃の熱風で24時間放置後、温度23℃、湿度50RH%の条件下で24時間以上放置である。
【0080】
(1)金属蒸着前の成形品の外観(−)
成形品を塗装しない状態で使用する場合の性能評価として、耐熱試験前後の平板試験片の外観を目視により評価した。外観は以下の基準で評価した。
○:平板試験片の表面に白化が無く、光沢が良好。
△:平板試験片の表面に白化が無く、光沢が良好だが、着色がある。
×:平板試験片の表面に白化があり、光沢が不足。
【0081】
(2)金属蒸着後の成形品(光反射体)の拡散反射率(%)
平板試験片を真空蒸着装置に入れ、真空蒸着装置の内圧を5×10−4Paの減圧状態にした。次に真空蒸着装置の内圧が10−2Pa程度になるようにアルゴンガスを導入し、活性化処理を行った。次いで、真空蒸着装置内においてターゲットを担持した電極に通電し、チャンバー内に誘導放電したプラズマによりスパッタしたアルミニウムスパッタ粒子を平板試験片に付着させ、平板試験片の表面に膜厚80nmのアルミニウム蒸着膜を形成した。この後、真空プラズマ状態下でヘキサメチレンジシロキサンを導入し、アルミニウム蒸着膜の表面に膜厚50nmの二酸化珪素重合膜の保護膜を形成し、光反射体を得た。この光反射体について、耐熱試験前後の拡散反射率を、反射・透過率計((株)村上色彩技術研究所製、商品名:HR−100)を用いて測定した。
光反射体の耐熱試験前の拡散反射率が2.5%以下の場合は、光反射体は車載ランプ用部品として使用でき、2.5%を超える場合は、光反射体は車載ランプ用部品として実用上問題がある。また、光反射体の耐熱試験後の拡散反射率が4.0%以下の場合は、光反射体は車載ランプ用部品として使用できるが、4.0%を超える場合は、光反射体は車載ランプ用部品として実用上問題がある。拡散反射率は以下の基準で評価した。
(耐熱試験前)
◎:拡散反射率が1.5%以下。
○:拡散反射率が1.5%を超え、2.5%以下。
△:拡散反射率が2.5%を超え、5.0%以下。
×:拡散反射率が5.0%を超える。
(耐熱試験後)
◎:拡散反射率が2.5%以下。
○:拡散反射率が2.5%を超え、4.0%以下。
△:拡散反射率が4.0%を超え、6.0%以下。
×:拡散反射率が6.0%を超える。
【0082】
(3)金属蒸着膜接着強度(%)
前記と同様にして得られた金属蒸着後の光反射体について、耐熱試験前後の金属蒸着膜接着強度を碁盤目剥離試験により評価した。碁盤目剥離試験は、1mm間隔の碁盤目数100について、ニチバン(株)製セロハンテープ(品番:CT−24)を使用して実施した。評価は全碁盤目数に対する成形品の表面に残存する碁盤目数を測定し、百分率(%)として表現し、残存率100%のものを良好とした。碁盤目剥離試験は以下の基準で評価した。
○:残存率が100%。
×:残存率が100%未満。
【0083】
<ビニル系非晶性熱可塑性樹脂の製造>
[製造例1]エポキシ基含有AN/St樹脂の製造
イオン交換水115部、第三リン酸カルシウム1部及びデモールP(花王(株)製)0.001部を攪拌機及び還流冷却器付き反応容器に仕込み、攪拌した。これにアクリロニトリル23部、スチレン76.7部、グリシジルメタクリレート0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部及びガファックGB−520(東邦化学工業(株)製)0.003部の混合物を加え、懸濁液状にした。この後、75℃に昇温して240分間保持して重合を完結し、エポキシ基含有AN/St樹脂を得た。この樹脂組成は、アクリロニトリル/スチレン/グリシジルメタクリレート=24.9/74.7/0.4(質量比)であった。また、樹脂についての各種評価を実施し、表1の結果を得た。
【0084】
[製造例2]マレイミド系共重合樹脂の製造
20リットルの攪拌装置を備えた重合反応器に、N−フェニルマレイミド20部、スチレン40部、アクリロニトリル20部、メチルエチルケトン20部、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.01部及びt−ドデシルメルカプタン0.05部の混合物を充満させ、窒素置換操作を施した。この重合反応器に、前記と同組成の単量体混合物を連続的に供給した。重合反応器内の温度を110℃に一定に保持しながら、平均滞在時間が2時間になるように重合反応器の底部に備えたギヤポンプにより重合反応液を連続的に抜き取り、引き続き、この重合反応液を150℃に保持した熱交換器にて約20分滞在させた後、バレル温度を230℃に制御した2ベントタイプの30mmφの二軸押出機に導入した。第一ベント部を大気圧、第二ベント部を2.7kPaに減圧して揮発成分を除去し、ペレタイザーにてペレット化してマレイミド系共重合樹脂を得た。樹脂についての各種評価を実施し、表1の結果を得た。
【0085】
[製造例3](メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂の製造
製造例1と同様の反応容器内を窒素で置換した後、この反応容器中に、イオン交換水250部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.5部、過硫酸カリウム0.2部、メチルメタクリレート80部及びn−ブチルアクリレート20部の混合物を仕込み、再度、反応容器内を窒素で置換した。この後、攪拌下に反応容器内の温度を65℃に昇温して4時間加熱攪拌して、重合を終了し、共重合樹脂のラテックスを得た。得られたラテックスを塩化アルミニウム水溶液を用いて塩析凝固した後、洗浄、乾燥して(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂を得た。樹脂についての各種評価を実施し、表1の結果を得た。
【0086】
【表1】

AN:アクリロニトリル
St:スチレン
GMA:グリシジルメタクリレート
N−PMI:N−フェニルマレイミド
n−BA:n−ブチルアクリレート
【0087】
[実施例1]
表2に示す量の各成分をV型ブレンダー中に投入し、5分間混合、均一化させた後、シリンダー温度260℃で2ベントタイプの30mmφの二軸押出機に投入し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
このペレットを用いて成形性の評価を実施し、表2の結果を得た。
次いで、このペレットを用いて平板試験片を作成し、成形品の評価を実施し、表2の結果を得た。
前記と同様の平板試験片を用いて、金属蒸着前後の成形品の評価を実施し、表2の結果を得た。
尚、金属蒸着は成形品の表面に以下のアンダーコート層を形成させた後に実施した。
アンダーコート剤には、付着成分(E)としてスチレン/イソボルニルメタアクリレート/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(質量比で30/40/30)から得られる共重合体(質量平均分子量3.0×10)50部、多官能性単量体(f−1)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30部、1〜2官能性単量体(f−2)として水素化ビスフェノールAジアクリレート10部及び2−ジシクロペンテノキシエチルアクリレート5部、光重合開始剤(G)としてベンゾフェノン5部並びに有機溶剤(H)としてトルエン200部を配合したものを使用した。
試験片の片面に、上記のアンダーコート剤を、硬化後の膜厚が20μmになるようにスプレーコート法にて塗付し、80℃で5分間加熱してアンダーコート剤中の有機溶剤を揮発させた。この後、高圧水銀灯で紫外線を照射し、硬化させてアンダーコート層を形成させた。
【0088】
[実施例2〜10及び比較例1〜7]
熱可塑性樹脂組成物の組成を表2〜5の組成とし、それ以外は実施例1と同様にして、成形性、成形品及び金属蒸着前後の成形品の各評価を実施し、表2〜5の結果を得た。
【0089】
【表2】

PBT:三菱レイヨン(株)製、商品名:タフペットN1300;還元粘度1.01、酸価42meq/kg
PET:三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナイトMA521H−D;固有粘度0.780
エチレンビスステアリン酸アミド:花王(株)製、商品名:カオーワックスEB−P
エチレンビスラウリン酸アミド:日本化成(株)製、商品名:スリパックス−L
エチレンビスベヘン酸アミド:コグニスジャパン(株)製、商品名:LOXIOL VPN212
ポリオキシエチレンラウリルエーテル:花王(株)製、商品名:エマルゲン130K
トリベヘン酸ソルビタン:理研ビタミン(株)製、商品名:リケマールB150
硫酸バリウム:堺化学工業(株)製シリカアルミナ表面処理沈降性硫酸バリウム、商品名:B−30;平均粒子径0.3μm、屈折率1.64、pH8.0
タルク:林化成(株)製エポキシシラン表面処理タルク、商品名:CHC−13S−05E;平均粒子径2.8μm
カオリン:ENGEL HARD社製ステアリン酸表面処理含水カオリン、商品名:ASP−101;平均粒径0.4μm
ホスファイト系酸化防止剤:旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、商品名:アデカスタブPEP−36
カーボンブラック:住化カラー(株)製、商品名:ブラックSPAB−8G227
キシリレンビスステアリル尿素:日本化成(株)製、商品名:ハクリーンSX
トルイレンビスステアリル尿素:日本化成(株)製、商品名:ハクリーンST
ポリエチレン:クラリアントジャパン(株)製、商品名:リコワックスPE520;MW6,000、密度0.93g/cm
酸化ポリエチレン:クラリアントジャパン(株)製、商品名:リコワックスPED521;MW4,200、密度0.95g/cm
トリモンタン酸グリセリン:クラリアントジャパン(株)製、商品名:リコルブWE4
ステアリルアルコール:花王(株)製、商品名:カルコール8688
【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
【表5】

【0093】
[実施例11]
熱可塑性樹脂組成物の組成を表6の組成とし、それ以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。
このペレットを用いて成形性の評価を実施し、表6の結果を得た。
次いで、このペレットを用いて平板試験片を作成し、成形品の評価を実施し、表6の結果を得た。
前記と同様の平板試験片を用いて、金属蒸着前後の成形品の評価を実施し、表6の結果を得た。
【0094】
[実施例12〜22及び比較例8〜16]
熱可塑性樹脂組成物の組成を表6〜11の組成とし、それ以外は、実施例9と同様にして成形性、成形品及び金属蒸着前後の成形品の各評価を実施し、表6〜11の結果を得た。
【0095】
【表6】

【0096】
【表7】

【0097】
【表8】

【0098】
【表9】

【0099】
【表10】

【0100】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部及びアルキレンビス脂肪酸アミド(B)0.04〜3質量部(熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して)を含有する車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、非イオン系界面活性剤(C)0.01〜3質量部を含有する請求項1に記載の車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、無機フィラー(D)0.1〜40質量部を含有する請求項1又は2に記載の車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車載ランプ用熱可塑性樹脂組成物から得られる車載ランプ用成形品。
【請求項5】
請求項4に記載の車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部に塗料被覆層を有する車載ランプ用塗装成形品。
【請求項6】
請求項4に記載の車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部にアンダーコート層を介して光反射金属層を有する車載ランプ用部品。
【請求項7】
請求項4に記載の車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部に光反射金属層を直に有する車載ランプ用部品。
【請求項8】
請求項4に記載の車載ランプ用成形品の表面の少なくとも一部が露出している車載ランプ用部品。
【請求項9】
請求項5に記載の車載ランプ用塗装成形品の表面の少なくとも一部が露出している車載ランプ用部品。

【公開番号】特開2008−184550(P2008−184550A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19596(P2007−19596)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】