説明

車載器、表示制御方法及びプログラム

【課題】ユーザが事前に駐車時におけるバッテリー充電の可否を把握できるようにすること。
【解決手段】バッテリー23から電源電圧が供給される車載器1であって、表示部12と、駐車予定の駐車場の候補を検索し、当該検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得し、当該取得された日照情報に基づいて、バッテリー23の充電時間を算出し、当該算出された充電時間に所定の充電電流を積算してバッテリー23の充電量を算出し、当該算出された充電量と、検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて表示部12に表示させる制御部11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、快適なドライブを楽しむ装置として車載用のナビゲーション装置(以下、車載器)が普及している。このような車載器においては、従来から、ユーザ所望の目的地の検索を行い、検索結果(目的地の名称や位置等の情報)をモニタ(表示部)に表示する技術が知られている。
【0003】
例えば、ユーザが目的地として「駐車場」を設定した場合は、設定された駐車場の検索が行われる。そして、検索結果として複数の駐車場の名称、位置等を示した一覧表がモニタに表示される。一覧表がモニタに表示されると、ユーザにより一覧表の中から所望の駐車場が選択される。そして、選択された駐車場までの経路案内が開始される。これにより、ユーザは、所望の駐車場に到達することができる。
【0004】
また、駐車可能な駐車場に到着することができるとともに、モニタに表示される地図上に駐車場として表示されていなかった駐車場をも目的地として設定することができるナビゲーション装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−48568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、車両がソーラーカーの場合、駐車時にバッテリーの充電ができれば、容易にバッテリーの充電が可能となる。しかしながら、上述の検索結果を表示する技術や特許文献の技術は、車両を駐車する前(事前)に、駐車時におけるバッテリー充電が可能か否かについての情報を表示する技術ではない。このため、駐車場に到着しても、駐車場が日陰や屋内であった場合は、駐車時中にバッテリーを充電することができない可能性があった。駐車時中にバッテリー充電することができないといった状況を防ぐには、ユーザが事前に駐車時におけるバッテリー充電の可否を把握することが必要である。このため、ユーザが事前に駐車時におけるバッテリー充電の可否を把握できる技術を実現する要請があった。
【0007】
本発明の課題は、ユーザが事前に駐車時におけるバッテリー充電の可否を把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の車載器は、
バッテリーから電源電圧が供給される車載器であって、
表示部と、
駐車予定の駐車場の候補を検索し、当該検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得し、当該取得された日照情報に基づいて、前記バッテリーの充電時間を算出し、当該算出された充電時間に所定の充電電流を積算して前記バッテリーの充電量を算出し、当該算出された充電量と、検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて前記表示部に表示させる制御部と、
を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載器において、
前記日照情報は、
前記駐車場に太陽光が照射されないことを示す第1の情報と、前記駐車場に太陽光が照射されることを示す第2の情報とを含み、
前記制御部は、
前記駐車場情報、駐車する時刻に関する時刻情報、太陽の方位角・高度を示す太陽位置情報及び降水確率を示す天気予想情報に基づいて、前記日照情報を取得する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車載器において、
前記制御部は、
前記駐車場情報に含まれる駐車場位置情報及び前記太陽位置情報に基づいて、駐車場の位置と太陽の位置とを結んだ線分を示す線分情報及び駐車場の位置から太陽の位置に向かって所定の距離以内に存在する建物の高さを示す高さ情報を取得し、当該取得された線分情報及び高さ情報に基づいて、前記線分が前記建物により遮られていないか否かを判別し、当該判別結果と前記天気予想情報とに基づいて、前記日照情報を取得する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車載器において、
前記制御部は、
前記線分が前記建物により遮られていると判別された場合、又は前記天気予想情報が所定の降水確率以上である場合に前記第1の情報を取得し、前記線分が前記建物により遮られていないと判別され、且つ、前記天気予想情報が所定の降水確率より低い場合に、前記第2の情報を取得する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の車載器において、
前記時刻情報は、駐車開始時刻を示す駐車開始時刻情報及び駐車終了時刻を示す駐車終了時刻情報を含み、
前記制御部は、
前記駐車開始時刻から前記駐車終了時刻までの間、前記充電時間を計算するための計算用充電時間を所定時間毎に算出し、当該算出された計算用充電時間を加算して前記充電時間を算出する。
【0013】
請求項6に記載の発明の表示制御方法は、
バッテリーから電源電圧が供給される車載器の表示制御方法であって、
駐車予定の駐車場の候補を検索し、当該検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得し、当該取得された日照情報に基づいて、前記バッテリーの充電時間を算出し、当該算出された充電時間に所定の充電電流を積算して前記バッテリーの充電量を算出し、当該算出された充電量と、検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて表示部に表示させる制御工程を含む。
【0014】
請求項7に記載の発明のプログラムは、
バッテリーから電源電圧が供給される車載器のコンピュータを、
表示部、
駐車予定の駐車場の候補を検索し、当該検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得し、当該取得された日照情報に基づいて、前記バッテリーの充電時間を算出し、当該算出された充電時間に所定の充電電流を積算して前記バッテリーの充電量を算出し、当該算出された充電量と、検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて前記表示部に表示させる制御部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、駐車時におけるバッテリーの充電の可否をユーザが事前に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車載器の内部構成を示す図である。
【図2】バッテリー充電量表示処理のフローチャートを示す図である。
【図3】駐車場情報に基づいて作成された一覧表を示す図である。
【図4】充電量が代入された一覧表を示す図である。
【図5】充電量計算処理のフローチャートを示す図である。
【図6】(A)は、駐車場の位置と太陽の位置とを示した図である。(B)(C)は、任意の時間において、駐車場の位置から太陽の位置へ向かって500m内に存在する建物を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0018】
図1〜図6を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。先ず、図1を参照して、本発明に係る車載器1について説明する。図1に示す車載器1は、制御部11と、表示部12と、操作部13と、音声入力部14と、音声出力部15と、ビーコン受信部16と、放送受信部17と、GPS受信部18と、ジャイロ部19と、ROM20と、RAM21と、電源回路部22と、を備えて構成される。また、車載器1は、バッテリー23から電力が供給される。
【0019】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備えて構成され、車載器1の各部を中央制御する。制御部11は、ROM20に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM21に展開し、RAM21に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0020】
また、制御部11は、後述するバッテリー充電量表示プログラムとの協働により、駐車予定の駐車場の候補を検索し、当該検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得する。そして、取得された日照情報に基づいて、バッテリー23の充電時間を算出し、当該算出された充電時間に所定の充電電流を積算してバッテリー23の充電量を算出し、当該算出された充電量と、検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて表示部12に表示させる。
【0021】
表示部12は、カラー液晶ディスプレイ等により構成され、制御部11からの指示に従って表示画面上に地図画面やアイコン、案内図等のナビゲーション用の表示情報を表示する。
【0022】
操作部13は、方向(上、右上、右、右下、下、左下、左、左上)を指示するための矢印キー、この矢印キーの中央部に配置されたセットキー、数字キー、その他ナビゲーション利用等の各種機能に対応付けられた各種キーを備え、操作されたキーに対する操作信号を制御部11に出力する。また、操作部13は、表示部12の画面を覆うように設けられたタッチパネルを備え、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を位置信号として制御部11に出力する。あるいは、操作部13は、リモコン、マイク等を備える構成としてもよい。
【0023】
音声入力部14は、例えば、マイクロフォン、AF(Audio Frequency)増幅器、サンプラー及びA/D(Analog-to-Digital)コンバータ等により構成される。音声入力部14は、マイクロフォンが集音した音声を表す音声信号を増幅し、サンプリングしてA/D変換することにより、当該音声を表すデジタル形式の音声データを生成する。そして、この音声データを制御部11に出力する。そして、制御部11より、音声データに音声認識を施す処理が行われ、処理の施された音声データが音声出力部15に出力される。尚、音声認識の手法は適宜公知技術を採用可能である。
【0024】
音声出力部15は、例えば、D/A(Digital-to-Analog)コンバータ、AF増幅器及
びスピーカ等を備えて構成され。制御部11から供給された音声データをD/A変換して増幅し、得られたアナログ信号に基づいてスピーカから音声を再生する。
【0025】
ビーコン受信部16は、光ビーコン及び電波ビーコン等によって送信されている渋滞や交通規制に関する所謂VICS情報をANT1を介して受信し、受信したVICS情報を制御部11に出力する。
【0026】
放送受信部17は、TV放送を受信して、映像信号及び音声信号を生成・出力するための回路部であり、チューナ部、復調部、映像復号部及び音声復号部等を備えて構成される。具体的には、放送受信部17は、アンテナANT2を同調させることによって、ユーザに指定されたチャンネルに対応する周波数のTV放送を受信する。そして、その受信したTV放送を復調部によって復調して、映像データ及び音声データそれぞれを抽出して映像復号部及び音声復号部に出力する。映像復号部及び音声復号部は、復調部によって復調された映像データ及び音声データを復号して映像信号及び音声信号をそれぞれ生成し、生成した映像信号及び音声信号を制御部11に出力する。
また、放送受信部17は、FM放送を受信することとしてもよい。この場合、放送受信部17は、受信したFM放送に含まれるVICS FM交通情報(渋滞や交通規制に関する情報)を処理して制御部11に出力する。
【0027】
GPS受信部18は、車両の現在位置(例えば、緯度や経度)を測位する回路部であり、複数のGPS衛星から送信されるGPS信号をアンテナANT3を介して受信して、そのGPS信号に基づいて測位した現在位置を制御部11に出力する。尚、現在位置を測位する方法は、適宜公知技術を採用可能である。
【0028】
ジャイロ部19は、角度(左右、上下)や走行速度を検出するセンサである。具体的には、ジャイロ部19は、角度として車両の右左折(車両の左右)や道路の高低(車両の上下)を検出し、検出した角度を制御部11に出力する。
【0029】
車速パルス測定部19Aは、車両から車速パルス(タイヤが一回転で4パルスなどの情報)を取り込み、取り込んだ車速パルスから時間当たりにタイヤが何回転したかを測定する。そして、測定した回転数に基づいて、走行速度を計算(検出)し、計算した走行速度を制御部11に出力する。
【0030】
ROM(Read Only Memory)20は、制御部11により実行される制御プログラム、当該制御プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶する。具体的には、ROM20は、地図DB20A、駐車場DB20B、高さ情報付建物DB20C、太陽の緯度・経度DB20Dを記憶する。
【0031】
地図DB20Aは、道路情報を含む地図情報を格納するデータベースである。道路情報としては、ノード、リンク、各道路の名称、道路の種類を示す種別(高速道路、国道、県道、一般道、幹線道、有料道路等)、道幅、IC(インターチェンジ)の名称及び地図上の座標情報(緯度経度)、SA(サービスエリア)の名称及び地図上の座標情報等の情報が含まれる。
【0032】
駐車場DB20Bは、駐車場の名称及び位置(緯度・経度やマップコードなど)、駐車場が屋内・屋外など太陽があたる場所であるかの情報(駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報)を格納するデータベースである。また、日照情報は、駐車場に太陽光が照射されないことを示す情報(第1の情報)と、駐車場に太陽光が照射されることを示す情報(第2の情報)とを含む。
【0033】
高さ情報付建物DB20Cは、建物の名称、建物の位置、及び建物の高さ情報を格納するデータベースである。
【0034】
太陽の緯度・経度DB20Dは、太陽の位置(方位角・高度)の計算用情報を格納するデータベースである。計算用情報は、年月日に応じた太陽の緯度・経度情報を示す。
【0035】
RAM21は、制御部11により制御実行される各種処理において、ROM20から読み出された各種プログラム、入力、若しくは出力データ及びパラメータなどの一時的な格納領域となる。具体的には、RAM21は、駐車場検索結果(駐車場情報)、時刻情報(駐車日及び駐車時刻)及び太陽の位置計算結果(太陽の方位角・高度を示す太陽位置情報)などの情報を一時的に格納する。
【0036】
電源回路部22は、バッテリー23を電力源として制御部11に電源電圧を供給する電源回路であり、供給する電源電圧をオン/オフ(投入、遮断)するスイッチング機能を有している。電源回路部22から制御部11に電源電圧が供給されると、制御部11により車載器1の各部に電源電圧が供給される。
【0037】
次に、図2〜6を参照して、車載器1の動作を説明する。先ず、図2を参照して、バッテリー充電量表示処理について説明する。バッテリー充電量表示処理は、車両の駐車前において、駐車予定の駐車場の候補を検索し、検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得し、取得された日照情報に基づいて、バッテリー23の充電量を算出し、算出された充電量と検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて表示部12に表示する処理である。
【0038】
例えば、車載器1において、操作部13を介してバッテリー充電量表示処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、ROM20から読み出されて適宜RAM21に充電量算出プログラムと、CPUとの協働によりバッテリー充電量表示処理が実行される。
【0039】
予め、太陽の緯度・経度情報が太陽の緯度・経度DB20Dに格納されているものとする。
【0040】
先ず、駐車場の検索が実行される(ステップS11)。具体的には、駐車予定の駐車場の候補が検索される。駐車場の検索は、所定の位置(例えば、車両の現在位置、到着地等)付近に存在する駐車場が検索される。例えば、GPS受信部18により測位された車両の現在位置の付近(例えば、半径数百m)に存在する駐車場が検索される。また、ユーザにより操作部13を介して到着地付近の駐車場情報を検索する旨の指示入力がされた場合は、到着地付近に存在する駐車場を検索することとしてもよい。本ステップにより駐車場が検索されると、検索された駐車場に関する駐車場情報(駐車場名称情報及び駐車場位置情報)がRAM21に格納される。
【0041】
ステップS11の実行後、RAM21に格納された駐車場情報が読み出され、読み出された駐車場情報に基づいて、一覧表が作成される(ステップS12)。図3に、本ステップで作成された一覧表31の一例を示す。図3に示すように、一覧表31は、駐車場情報を識別するための番号と、駐車場名称情報を示す名称と、駐車場位置情報を示す緯度経度と、充電量と、を含み、それぞれの情報が対応付けられている。一覧表31の充電量には、後述する充電量計算処理により計算された充電量が代入される。
【0042】
図2に戻り、ステップS12の実行後、充電量計算処理が実行される(ステップS13)。そして、充電量計算処理により計算された充電量が一覧表に代入される(ステップS14)。例えば、駐車場Aにおける充電量が「0」であった場合、一覧表31の充電量に「0」が代入される。
【0043】
ステップS14の実行後、次のリストがあるか否かが判別される(ステップS15)。例えば、ステップS11において、駐車場情報が5つ検索された場合、リスト(駐車場情報)は「5」となる。この場合、リストが「5」になるまで次のリストはあると判別(すなわち、ステップS15;YESと判別)される。
【0044】
ステップS15において、次のリストがあると判別された場合(ステップS15;YES)、ステップS13に移行される。ステップS15において、次のリストがないと判別された場合(ステップS15;NO)、一覧表が表示部に表示される(ステップS16)。具体的には、一覧表31の充電量に値が代入されて表示部12に表示される。例えば、図4に示す一覧表31が表示部12に表示される。ステップS16の実行後、バッテリー充電量表示処理は終了される。
【0045】
次に、図5を参照して、バッテリー充電量表示処理のステップS13で実行される充電量計算処理について説明する。
【0046】
先ず、計算用年月日及び計算用時刻が設定される(ステップS21)。計算用年月日は駐車日を示す。計算用時刻は駐車時刻を示す。また、駐車時刻には、駐車開始時刻と駐車終了時刻とが含まれる。
駐車日及び駐車時刻は、ユーザにより操作部13を介して設定入力される。例えば、2009年5月13日の15:00〜17:00に車両を駐車する場合、駐車日として「2009年5月13日」、駐車時刻として駐車開始時刻「15:00」及び駐車終了時刻「17:00」が操作部13を介して設定入力される。この場合、計算用時刻(駐車時刻)は、駐車開始時刻「15:00」に設定され、以降の処理が実行される。
また、このとき、駐車開始時刻及び駐車終了時刻をデフォルト値として設定することとしてもよい。例えば、デフォルト値として、駐車開始時刻「0:00」、駐車終了時刻「24:00」を設定することとしてもよい。このとき、計算用年月日(駐車日)はユーザにより操作部13を介して設定入力される。また、この場合、計算用時刻は駐車開始時刻「0:00」に設定され、以降の処理が実行される。
また、駐車開始時刻及び駐車終了時刻のいずれか1つをユーザにより操作部13を介して設定入力し、残り1つをデフォルト値として設定することとしてもよい。例えば、駐車開始時刻「15:00」をユーザにより操作部13を介して設定入力し、駐車終了時刻「24:00」をデフォルト値として設定してもよい。このとき、計算用年月日(駐車日)はユーザにより操作部13を介して設定入力される。また、この場合、計算用時刻は駐車開始時刻「15:00」に設定され、以降の処理が実行される。
また、本ステップの処理における駐車開始時刻は、駐車場到着予想時間としてもよい。
【0047】
ステップS21の実行後、計算用年月日、計算用時刻、駐車場の位置及び太陽の緯度・経度から太陽の位置(方位角・高度)が計算される(ステップS22)。具体的には、ステップS21で設定された計算年月日(駐車日)、計算用時刻(駐車時刻)、RAM21に格納されている駐車場の位置(緯度・経度)及び太陽の緯度・経度DB20Dに格納されている太陽の緯度・経度に基づいて、太陽の位置(方位角・高度)が計算される。
【0048】
ステップS22の実行後、駐車場の位置と太陽の位置とを線分で結んだ線分情報及び駐車場から太陽の位置角方向にある500m以内の建物情報が取得される(ステップS23)。具体的には、駐車場の位置(緯度・経度)及び太陽の位置(方位角・高度)に基づいて、駐車場の位置と太陽の位置とを直線で結んだ線分情報が取得される。また、駐車場の位置(緯度・経度)及び太陽の位置(方位角・高度)に基づいて、駐車場から太陽の位置角方向にある500m以内(500mは暫定距離)の建物情報が高さ情報付き建物DB20Cから取得される。
【0049】
ステップS23の実行後、太陽を遮る建物が存在するか否かが判別される(ステップS24)。具体的には、ステップS23で取得された建物情報に含まれる建物の高さ情報及び線分情報に基づいて、線分を遮断する建物があるか否かが判別される。
【0050】
ここで、図6を参照して、ステップS24において実行される太陽を遮る建物が存在するか否かを判別する方法について説明する。図6(A)は、駐車場の位置と太陽の位置とを示した図である。図6(A)の矢印は、駐車場の位置から太陽の位置への方向が所定時間毎(例えば、5分毎)に変化した状態を示すものである。図6(B)(C)は、任意の時間において、駐車場の位置から太陽の位置へ向かって500m内に存在する建物を示した図である。
【0051】
図6(B)の場合、線分を遮断する建物は存在しない。このため、ステップS24において、太陽を遮る建物は存在しないと判別される。一方、図6(C)の場合、線分を遮る建物が存在する。このため、ステップS24において、太陽を遮る建物は存在すると判別される。
【0052】
図5に戻り、ステップS24において、太陽を遮る建物が存在すると判別された場合(ステップS24;YES)、太陽を遮る建物が存在するため、駐車場に太陽光は照射されないとの情報を示す日照情報が取得され、後述するステップS27に移行される。ステップS24において、太陽を遮る建物が存在しないと判別された場合(ステップS24;NO)、天気予想情報が取得される(ステップS25)。具体的には、通信部(不図示)と通信接続されたインターネットから駐車場周辺の5分単位の天気予想情報(降水確率情報)が自動的に取得される。
【0053】
ステップS25の実行後、計算用充電時間が算出され、算出された計算用充電時間が充電時間に加算される(ステップS26)。計算用充電時間は、バッテリー23の充電時間を計算(算出)するための情報である。本実施の形態では、駐車開始時刻から駐車終了時刻までの間、5分毎に計算用充電時間が算出される。そして、算出された計算用充電時間が充電時間に加算されることによりバッテリー23の充電時間が算出される。このとき、充電時間の初期値としては「0分」が設定されており、5分毎に計算された計算用充電時間が順次加算されていく。例えば、本ステップの最初の実行時において、計算用充電時間として「5分」が算出された場合、算出された計算用充電時間「5分」が充電時間「0分」(初期値)に加算される。そして、本ステップの次の実行時(後述するステップS28においてNOと判別され、再度本ステップが実行される時)において、計算用充電時間として「5分」が算出された場合、算出された計算用充電時間「5分」が充電時間「5分」(前回実行時に加算された充電時間)に加算され、充電時間「10分」が算出される。
【0054】
また、計算用充電時間は、基準時間と、ステップS25において取得された天気予想情報(降水確率情報)に基づく加算率とに基づいて算出される。基準時間は、計算用充電時間を算出するための基準となる時間値を示す。本実施の形態では、5分毎に計算用充電時間が算出されるので基準時間は「5分」となる。また、加算率は、基準時間の割合値を示す。加算率は、降水確率情報に対応した値が設定される。具体的には、降水確率情報が高い場合はバッテリー23が充電される確率は低いため、加算率は低く設定される。また、降水確率情報が低い場合はバッテリー23が充電される確率は高いため、加算率は高く設定される。例えば、降水確率情報「50%〜100%」の場合は加算率「0%」、降水確率情報「30%〜50%」の場合は加算率「50%」、降水確率情報「0%〜30%」の場合は加算率「100%」といったように設定される。なお、上述の加算率は一例であり、降水確率情報に基づく任意の値の設定が可能である。また、加算率は、予めユーザにより設定されており、設定された値がRAM21に格納されているものとする。
【0055】
例えば、上述の加算率が設定されており、ステップS25において降水確率情報「50%〜100%」が取得された場合、降水確率は高確率のため、太陽光によりバッテリー23を充電できる可能性は極めて低い。したがって、降水確率情報「50%〜100%」のため駐車場に太陽光が照射されないとの情報を示す日照情報が取得される。そして、取得された日照情報に含まれる降水確率情報「50%〜100%」に基づいて、RAM21から加算率「0%」が読み出され、基準時間「5分」の「0%」が計算用充電時間として算出される。すなわち、計算用充電時間として「0分」が算出される。そして、算出された計算用充電時間「0分」が充電時間に加算される。
【0056】
また、例えば、ステップS25において、降水確率情報「30%〜50%」が取得された場合、降水確率は高確率ではないため、太陽光によりバッテリー23を充電できる可能性がある。したがって、降水確率情報「30%〜50%」のため駐車場に太陽光が照射されるとの情報を示す日照情報が取得される。そして、取得された日照情報に含まれる降水確率情報「30%〜50%」に基づいて、RAM21から加算率「50%」が読み出され、基準時間「5分」の「50%」が計算用充電時間として算出される。すなわち、計算用充電時間として「2.5分」が算出される。そして、算出された計算用充電時間「2.5分」が充電時間に加算される。
【0057】
また、例えば、ステップS25において、降水確率情報「0%〜30%」が取得された場合、降水確率は低確率であるため、太陽光によりバッテリー23を充電できる可能性は極めて高い。したがって、降水確率情報「0%〜30%」のため駐車場に太陽光が照射されるとの情報を示す日照情報が取得される。そして、取得された日照情報に含まれる降水確率情報「0%〜30%」に基づいて、RAM21から加算率「100%」が読み出され、基準時間「5分」の「100%」が計算用充電時間として算出される。すなわち、計算用充電時間として「5分」が算出される。そして、算出された計算用充電時間「5分」が充電時間に加算される。
【0058】
ステップS26の実行後、計算用時刻に5分が加算される(ステップS27)。例えば、ステップS11において、計算用時刻が駐車開始時刻「15:00」に設定されていた場合、計算用時刻は「15:05」に設定される。以後、同様に、計算用時刻は「15:10」、「15:15」といったように、5分毎に加算される。
【0059】
ステップS27の実行後、計算用時刻は駐車終了時刻であるか否かが判別される(ステップS28)。具体的には、ステップS27において設定された計算用時刻がステップS21において設定された駐車終了時刻になったか否かが判別される。
【0060】
ステップS28において、駐車終了時刻でないと判別された場合(ステップ28;NO)、ステップS22に移行される。ステップS28において、駐車終了時刻であると判別された場合(ステップS28;YES)、充電量が計算される(ステップS29)。具体的には、ステップS25において算出された充電時間に、バッテリー23に流れる5分当りの充電電流(所定の充電電流)を積算することで充電量が計算される。ステップS29の実行後、充電量計算処理は終了され、バッテリー充電量表示処理のステップS14に移行される。
【0061】
以上、本実施の形態によれば、充電量と駐車場情報(駐車場名称情報及び駐車場位置情報)とを表示部12に表示する。これにより、ユーザは、充電量と駐車場情報とを参照することができるので、駐車時におけるバッテリーの充電の可否を事前(駐車前)に把握することができる。また、充電量と駐車場情報とを含む一覧表31が表示部12に表示されるので、ユーザは各駐車場の充電量を一覧で比較することができ、ユーザ所望の駐車場を選択することができる。
【0062】
また、駐車場情報(駐車場名称情報及び駐車場位置情報)、時刻情報(駐車日及び駐車時刻)、太陽位置情報(太陽の方位角・高度)及び天気予想情報(降水確率情報)に基づいて、日照情報を取得する。具体的には、駐車場情報に含まれる駐車場位置情報(駐車場の緯度・経度)及び太陽の方位角・高度に基づいて、線分情報及び建物情報に含まれる高さ情報を取得する。そして、取得された線分情報及び高さ情報に基づいて、線分が建物により遮られていないか否かを判別し、当該判別結果と天気予想情報とに基づいて日照情報を取得する。より具体的には、線分が建物により遮られていると判別された場合、又は天気予想情報が所定の降水確率(50%)以上である場合、駐車場に太陽光が照射されないことを示す日照情報を取得する。また、線分が建物により遮られていないと判別され、且つ、天気予想情報が所定の降水確率(50%)より低い場合に、駐車場に太陽光が照射されることを示す日照情報を取得する。これにより、正確な日照情報を取得することができる。
【0063】
また、駐車開始時刻から駐車終了時刻までの間、所定時間毎に計算用充電時間を算出し、当該算出された計算用充電時間を加算して充電時間を算出する。これにより、正確な充電時間を算出することができる。
【0064】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る車載器の一例であり、これに限定されるものではない。
【0065】
例えば、予め、駐車場毎に5分単位の日照年間データ(充電量)をROM20に記憶しておき、駐車場検索時に記憶された充電量を用いることとしてもよい。例えば、予め、駐車場Aの○月×日における5分単位の充電量が記憶されている場合、駐車開始時刻と駐車終了時刻との間における5分単位の充電量を加算することで、駐車場Aの充電量を算出することとしてもよい。
【0066】
また、充電量計算処理のステップS23において、駐車場から太陽の位置角方向にある500m以内の建物情報を取得することとしたがこれに限定されるものではない。例えば、任意の距離(例えば、1km等)以内の建物情報を取得することとしてもよい。
【0067】
また、充電量計算処理のステップS25において、計算用充電時間を算出した後に、算出した計算用充電時間に5分当りの充電電流を積算して充電量を算出し、算出した充電量を加算することとしてもよい。すなわち、ステップS29の処理をステップS25で実行することとしてもよい。
【0068】
また、充電量計算処理のステップS26において、駐車開始時刻から駐車終了時刻までの間、5分毎に計算用充電時間を算出することとしたがこれに限定されるものではない。例えば、任意の時間毎(例えば、10分毎)に計算用充電時間を算出することとしてもよい。
【0069】
また、充電量計算処理のステップS26において、ユーザにより操作部13を介して入力された加算率を用いて計算用充電時間を算出することとしたがこれに限定されるものではない。例えば、デフォルト値として予め設定された加算率を用いて計算用充電時間を算出することとしてもよい。
【0070】
その他、本実施の形態における、車載器1の細部構造及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 車載器
11 制御部
12 表示部
13 操作部
14 音声入力部
15 音声出力部
16 ビーコン受信部
17 放送受信部
18 GPS受信部
19 ジャイロ部
20 ROM
20A 地図DB
20B 駐車場DB
20C 高さ情報付き建物DB
20D 太陽の緯度・経度DB
21 RAM
22 電源回路部
23 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーから電源電圧が供給される車載器であって、
表示部と、
駐車予定の駐車場の候補を検索し、当該検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得し、当該取得された日照情報に基づいて、前記バッテリーの充電時間を算出し、当該算出された充電時間に所定の充電電流を積算して前記バッテリーの充電量を算出し、当該算出された充電量と、検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて前記表示部に表示させる制御部と、
を備える車載器。
【請求項2】
前記日照情報は、
前記駐車場に太陽光が照射されないことを示す第1の情報と、前記駐車場に太陽光が照射されることを示す第2の情報とを含み、
前記制御部は、
前記駐車場情報、駐車する時刻に関する時刻情報、太陽の方位角・高度を示す太陽位置情報及び降水確率を示す天気予想情報に基づいて、前記日照情報を取得する請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記駐車場情報に含まれる駐車場位置情報及び前記太陽位置情報に基づいて、駐車場の位置と太陽の位置とを結んだ線分を示す線分情報及び駐車場の位置から太陽の位置に向かって所定の距離以内に存在する建物の高さを示す高さ情報を取得し、当該取得された線分情報及び高さ情報に基づいて、前記線分が前記建物により遮られていないか否かを判別し、当該判別結果と前記天気予想情報とに基づいて、前記日照情報を取得する請求項2に記載の車載器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記線分が前記建物により遮られていると判別された場合、又は前記天気予想情報が所定の降水確率以上である場合に前記第1の情報を取得し、前記線分が前記建物により遮られていないと判別され、且つ、前記天気予想情報が所定の降水確率より低い場合に、前記第2の情報を取得する請求項3に記載の車載器。
【請求項5】
前記時刻情報は、駐車開始時刻を示す駐車開始時刻情報及び駐車終了時刻を示す駐車終了時刻情報を含み、
前記制御部は、
前記駐車開始時刻から前記駐車終了時刻までの間、前記充電時間を計算するための計算用充電時間を所定時間毎に算出し、当該算出された計算用充電時間を加算して前記充電時間を算出する請求項2から4のいずれか一項に記載の車載器。
【請求項6】
バッテリーから電源電圧が供給される車載器の表示制御方法であって、
駐車予定の駐車場の候補を検索し、当該検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得し、当該取得された日照情報に基づいて、前記バッテリーの充電時間を算出し、当該算出された充電時間に所定の充電電流を積算して前記バッテリーの充電量を算出し、当該算出された充電量と、検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて表示部に表示させる制御工程を含む表示制御方法。
【請求項7】
バッテリーから電源電圧が供給される車載器のコンピュータを、
表示部、
駐車予定の駐車場の候補を検索し、当該検索された駐車場に太陽光が照射されるか否かを示す日照情報を取得し、当該取得された日照情報に基づいて、前記バッテリーの充電時間を算出し、当該算出された充電時間に所定の充電電流を積算して前記バッテリーの充電量を算出し、当該算出された充電量と、検索された駐車場に関する駐車場情報とを対応付けて前記表示部に表示させる制御部、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−281715(P2010−281715A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135920(P2009−135920)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(508209990)J&Kカーエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】