説明

車載情報処理装置

【課題】 不要なコンテンツのデータを的確に消去してデータベースの空き容量を確保し、もって円滑なダウンロードを実現できると共に、データベース内の不要なコンテンツの誤利用を未然に防止できる車載情報処理装置を提供する。
【解決手段】 コンテンツの内容に含まれる時刻情報や位置情報、或いはコンテンツの取得時に追記される時刻情報や位置情報を現在の時刻や自車位置と比較してコンテンツの要否を判定する。例えばコンテンツの内容に含まれる時刻情報が現在時刻を経過してコンテンツを利用不能なとき、或いは内容に含まれる位置情報から自車が遠ざかってコンテンツを利用する可能性が低いときには、コンテンツが不要なものと見なしてデータベースから消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータセンタや自車の周辺を走行する他車からコンテンツを取得して任意に利用可能とする車載情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば従来のカーナビゲーション装置では、CD−ROM等の記録媒体から読み出した地図情報、或いはVICS(Vehicle Information and Communication System)受信機を介して受信される路側のビーコンからの渋滞情報や事故情報等をディスプレイ表示や音声案内を利用して運転者に提供している。更に近年ではこれらの車両の運転に関わる情報のみならず、例えば音楽や映画情報、或いは自車周辺のローカル情報等のような多岐にわたる情報提供を目的として、各地に設置されたデータセンタから情報を配信するネットワークが構築されており、車両の搭載された車載情報処理装置を介して任意のコンテンツをデータセンタから取得できるようになっている。
【0003】
ところが、このように提供されるコンテンツが飛躍的に増大するにも拘わらず、車両に搭載される車載情報処理装置は保存容量に限度があるため大量のコンテンツの長期保存には適しておらず、不要なデータの保存により必要なデータのダウンロードに支障をきたす虞があった。
その対策として、同一コンテンツに関する重複するデータの保存を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1に開示された技術は天気予報情報等を想定したものであり、データベースの空き容量が限界に近づくと、新たに取得した天気予報情報と同一の位置情報が添付されたデータをデータベース内で検索し、該当するデータが存在するときには同一地域に関する過去の不要な天気予報情報と見なして消去した上で、新たに取得したデータを保存している。
【特許文献1】特開2001−116557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では同一コンテンツに関する重複する過去のデータを消去するに過ぎないため、この対策により実際にデータベースから消去されるデータ量はそれほど多くはなく、データベースの空き容量不足を解消するには不十分であった。
例えば、車両と共に移動する車載情報処理装置の特性上、データベースに保存されているコンテンツの中には自車の現在位置では利用する可能性がほとんどないデータも存在し、このようなデータはデータベースの空き容量を縮小させる要因にしかならない。又、上記過去のデータの消去により最新データとしてデータベースに保存されているコンテンツでも、実際には利用可能な時期を過ぎたものもあり、このようなデータも空き容量を縮小させる要因でしかない。上記特許文献1の技術では、これらの不要なコンテンツの保存を防止できないため、結果としてデータベースの空き容量不足によりダウンロードに支障をきたしたり、不要なコンテンツを誤って利用してトラブルを生じたりする虞があった。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、不要なコンテンツのデータを的確に消去してデータベースの空き容量を確保し、もって円滑なダウンロードを実現できると共に、データベース内の不要なコンテンツの誤利用を未然に防止することができる車載情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、通信手段により配信元からコンテンツを取得する取得手段と、取得手段に取得されたコンテンツを保存するデータベースと、自車の位置を検出する自車位置検出手段と、データベースに保存されたコンテンツが有する位置情報を自車位置検出手段により検出された自車位置と比較して該コンテンツの要否を判定し、不要と判定したときにコンテンツを消去するコンテンツ消去手段とを備えたものである。
【0007】
従って、配信元から配信されるコンテンツは通信手段を介して取得手段により取得され、取得されたコンテンツがデータベースに保存される。保存されたコンテンツが有する位置情報は自車位置検出手段により検出された自車位置と比較されてコンテンツ消去手段によりコンテンツの要否が判定され、不要判定時にはコンテンツが消去される。
これにより、例えばコンテンツが有する位置情報から自車が遠ざかったときには、当該コンテンツが不要なものと判定されて確実に消去されるため、例えば同一コンテンツに関する重複する過去のデータを消去するだけの場合に比較するとデータベースの空き容量が確保される。しかも、データベースの空き容量に関係なく、位置情報に基づいて不要と判定した時点で速やかにコンテンツが消去されるため、データベースの空き容量が限界に近づくまで不要なデータの消去を実行しない場合に比較すると、データベースの空き容量が常に十分なものとなる。更に、例えば遠隔地のため利用の可能性が全くないコンテンツ等は位置情報に基づいて消去されるため、これらのコンテンツの誤利用による無用なトラブルが未然に防止される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、現在時刻を検出する時刻検出手段を更に備え、コンテンツ消去手段が、データベースに保存されたコンテンツが有する位置情報を自車位置検出手段により検出された自車位置と比較してコンテンツの要否を判定すると共に、コンテンツが有する時刻情報を時刻検出手段により検出された現在時刻と比較してコンテンツの要否を判定し、何れかで不要と判定したときにコンテンツを消去するものである。
【0009】
従って、例えばコンテンツが有する時刻が終了してコンテンツを利用不能なときには、当該コンテンツが不要なものと判定されて確実に消去されるため、位置情報のみに基づいてコンテンツの要否を判定する場合に比較して、データベースの空き容量がより十分に確保される。
請求項3の発明は、請求項1において、取得手段によりコンテンツが取得されたときに、自車位置検出手段により検出されたコンテンツ取得時の自車位置を取得したコンテンツに追記する情報追記手段を更に備え、コンテンツ消去手段が、情報追記手段により追記された自車位置をコンテンツが有する位置情報としてコンテンツの要否判定に適用するものである。
【0010】
従って、コンテンツが取得されると、取得時の自車位置が位置情報としてコンテンツに追記され、追記された位置情報に基づいてコンテンツの要否が判定される。結果として内容に位置情報を含まないコンテンツであっても要否を判定して不要判定時に消去できるため、データベースの空き容量を一層確保可能となる。
請求項4の発明は、請求項2において、取得手段によりコンテンツが取得されたときに、自車位置検出手段により検出されたコンテンツ取得時の自車位置又は時刻検出手段により検出されたコンテンツ取得時の時刻の少なくとも一方を取得したコンテンツに追記する情報追記手段を更に備え、コンテンツ消去手段が、情報追記手段により追記された自車位置又は時刻をコンテンツが有する位置情報又は時刻情報としてコンテンツの要否判定に適用するものである。
【0011】
従って、コンテンツが取得されると、取得時の自車位置が位置情報としてコンテンツに追記されたり、或いは取得時の時刻が時刻情報としてコンテンツに記載されたりし、追記された位置情報や時刻情報に基づいてコンテンツの要否が判定される。結果として内容に位置情報や時刻情報を含まないコンテンツであっても要否を判定して不要判定時に消去できるため、データベースの空き容量を一層確保可能となる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至4において、取得手段により取得されるコンテンツが保存対象であるか否かを判別する保存対象判別手段を更に備え、コンテンツ消去手段が、保存対象判別手段により保存対象と判別されたコンテンツを除外して要否判定を行うものである。
従って、保存対象判別手段により保存対象と判別されたコンテンツを除外してコンテンツ消去手段による要否判定が行われるため、保存対象のコンテンツを消去することなく保存し続けて後の参考等に利用可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように請求項1の発明の車載情報処理装置によれば、データベースに保存されたコンテンツが有する位置情報を自車位置と比較してコンテンツの要否を判定し、不要と判定したときにはコンテンツを消去するようにしたため、不要なコンテンツのデータを的確に消去してデータベースの空き容量を確保し、もって円滑なダウンロードを実現できると共に、データベース内の不要なコンテンツの誤利用を未然に防止することができる。
【0014】
請求項2の発明の車載情報処理装置によれば、請求項1に加えて、位置情報と共に時刻情報に基づいてコンテンツの要否を判定するようにしたため、データベースの空き容量をより十分に確保して一層円滑なダウンロードを実現できると共に、不要なコンテンツの誤利用を一層確実に防止することができる。
請求項3の発明の車載情報処理装置によれば、請求項1に加えて、コンテンツ取得時の自車位置を位置情報としてコンテンツに追記するようにしたため、内容に位置情報を含まないコンテンツであっても要否を判定して不要判定時に消去することができる。
【0015】
請求項4の発明の車載情報処理装置によれば、請求項2に加えて、コンテンツ取得時の自車位置や時刻を位置情報や時刻情報としてコンテンツに追記するようにしたため、内容に位置情報や時刻情報を含まないコンテンツであっても要否を判定して不要判定時に消去することができる。
請求項5の発明の車載情報処理装置によれば、請求項1乃至4に加えて、保存対象のコンテンツを要否判定から除外するようにしたため、コンテンツを保存し続けて後の参考等に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した車載情報処理装置の一実施形態を説明する。
図1は実施形態の車載情報処理装置を示すブロック図である。車両(以下、自車と称する)に搭載された通信モジュール1は携帯電話、無線LAN、Bluetooth、特定省電力無線機等の通信手段を用いて、例えば各地に設置されたデータセンタのサーバとの間の路車間通信、或いは自車の周囲を走行中の他車に搭載された通信モジュールとの間の車車間通信を行う(通信手段)。これにより、自車が保有しない地図情報やより詳細な地図情報、渋滞情報、事故情報、音楽や映画情報、自車周辺のローカル情報等の種々のコンテンツをデータセンタや他車から取得したり(取得手段)、逆に当該コンテンツを他車に供給したりする。
【0017】
上記のように通信により供給・取得されるコンテンツには様々なものがあり、コンテンツによってはその内容に時刻情報及び位置情報を含むものもある。具体的には、「パチンコ店の大放出」を伝えるコンテンツでは、当該大放出を行う日時として時刻情報が含まれると共に、パチンコ店の場所として位置情報が含まれる。又、このような元々コンテンツに含まれる内容に関する時刻情報及び位置情報の他に、送受信のために必要な時刻情報として全てのコンテンツには送受信時の日時等の情報が添付されている。
【0018】
データセンタや他車から自車がコンテンツを取得する場合、通信モジュール1を介してダウンロードされたコンテンツのデータは情報追記部2に入力される。情報追記部2では、タイマ3(時刻検出手段)により計時された時刻情報、GPS4(自車位置検出手段)により取得された自車の位置情報、及び予め区分されたカテゴリー分類に従ってカテゴリー判定部5により判定されたコンテンツのカテゴリー情報を入力し、これらの時刻情報、位置情報、カテゴリー情報が取得したコンテンツのデータに追記され(情報追記手段)、追記後のデータがデータベース6に保存される。
【0019】
ここで、追記される時刻情報及び位置情報はコンテンツの取得時の時刻と自車位置とを示しており、上記した送受信時(=コンテンツ取得時)に添付される時刻情報と同種のものであり、元々コンテンツに含まれる内容に関する時刻情報及び位置情報とは別の意味を持つ。
一方、カテゴリー判定部5には予め運転者から保存を希望するカテゴリーが指定されており、指定されたカテゴリーが比較演算部7に入力されている。以下に述べるように本実施形態では保存を指定されていないカテゴリーのコンテンツを基本的に所定条件の下で自動消去しているため、運転者は後の参考のために自動消去せずに保存しておきたいコンテンツのカテゴリーをカテゴリー判定部5により指定することになる。従って、カテゴリーの分類は運転者の嗜好を十分に反映できる程度に細分化されており、例えば上記自車周辺のローカル情報としては、主に男性が好む「パチンコ店の大放出」の情報と、主に主婦が好む「スーパーの売出し」に関する情報とが別カテゴリーとして分類されている。
【0020】
一方、比較演算機7では所定時間毎にタイマ3からの時刻情報、GPS4からの自車の位置情報、及びカテゴリー判定部5からの保存指定されたカテゴリー情報を入力した上で、保存を指定されていないカテゴリーに属するコンテンツをデータベース6から読み出す(保存対象判別手段)。そして、比較演算機7は読み出したコンテンツの時刻情報及び位置情報を現在の時刻情報及び位置情報と逐次比較した上で、それぞれのコンテンツが不要か否かを判定し、不要と判定したコンテンツを消去することでデータベース6の空き容量の確保を図っている(コンテンツ消去手段)。
【0021】
そこで、以下に情報追記部2による情報の追記処理、及び比較演算機7によるコンテンツの要否判定・消去処理について詳述する。ここで、データセンタや他車から取得されるコンテンツは多岐にわたり、実際には内容に関する時刻情報や位置情報を含むコンテンツ(上記パチンコ店の例)と当該情報を含まないコンテンツとが混在しているが、何れのコンテンツに該当するかに応じて情報追記部2及び比較演算機7では異なる処理を実行しているため、以下、双方を場合分けして説明する。
【0022】
図2はコンテンツに対する情報追記部2及び比較演算機7による処理を示すブロック図である。コンテンツが内容に関する時刻情報及び位置情報を含むときには、コンテンツのデータには情報追記部2によりカテゴリー情報のみが追記される。結果として各コンテンツは内容に関する時刻情報及び位置情報と共にカテゴリー情報が添付された状態でデータベース6に保存される。
【0023】
そして、データベース6に保存された各カテゴリーのコンテンツの内、保存を指定されていないカテゴリーに属するコンテンツが所定時間毎に比較演算機7により読み出され、読み出されたコンテンツの時刻情報及び位置情報が現在の時刻情報及び位置情報と逐次比較された上で、それぞれのコンテンツの要否が判定される。このときのコンテンツの時刻情報及び位置情報は内容に関するものであり、例えば「パチンコ店の大放出」では、当該大放出を行う日時及びパチンコ店の場所である。
【0024】
従って、具体的な判定処理としては、現在時刻を基準としてコンテンツの時刻情報が経過せず(パチンコ店の大放出が終了しておらず)、且つ、コンテンツの位置情報を基準として現在の自車位置が所定距離未満であるとき(パチンコ店に行く可能性があるとき)には、未だコンテンツを利用する可能性があると見なせる。よって、この場合にはコンテンツが有用なものと判定し、データベース6内のコンテンツのデータを引き続いて保存する。
【0025】
又、現在時刻を基準としてコンテンツの時刻情報が経過しているとき(パチンコ店の大放出が終了しているとき)にはコンテンツを利用不能であると見なせ、コンテンツの位置情報を基準として自車位置が所定距離以上の遠隔地であるとき(パチンコ店に行く可能性がほとんどないとき)にはコンテンツを利用する可能性が低いと見なせる。よって、何れかの条件が成立したときにはコンテンツが不要なものと判定し、データベース6内のコンテンツのデータを消去する。
【0026】
一方、コンテンツが内容に関する時刻情報及び位置情報を含まないときには、コンテンツのデータには情報追記部2によりカテゴリー情報に加えてタイマ3の時刻情報及びGPS4の位置情報が追記される。結果として各コンテンツはコンテンツ取得時の時刻情報、取得時の自車の位置情報、及びカテゴリー情報が添付された状態でデータベース6に保存される。そして、データベース6から保存を指定されていないカテゴリーに属するコンテンツが所定時間毎に比較演算機7により読み出され、読み出されたコンテンツの時刻情報及び位置情報が現在の時刻情報及び位置情報と逐次比較された上で、それぞれのコンテンツの要否が判定される。
【0027】
このときのコンテンツの時刻情報及び位置情報はコンテンツ取得時のものであり、時刻情報を起点として時間経過に従ってコンテンツの内容は次第に古くなり、一方、一般にコンテンツの内容に関わる地域(例えばパチンコ店が存在する地域)でコンテンツは取得されることから、取得時の位置情報から自車位置が遠ざかるほど自車が取得地域に戻ってコンテンツを利用する可能性は低くなる。
【0028】
従って、具体的な判定処理としては、コンテンツの時刻情報から所定時間が経過せず(コンテンツの内容が未だ新しいと推測される)、且つ、コンテンツの位置情報を基準として現在の自車位置が所定距離未満であるとき(取得地域から自車がそれほど遠ざかっていないとき)には、未だコンテンツを利用する可能性があると見なせる。よって、この場合にはコンテンツが有用なものと判定し、データベース6内のコンテンツのデータを引き続いて保存する。
【0029】
又、コンテンツの時刻情報から所定時間が経過しているとき(コンテンツの内容が古くなったと推測されるとき)にはコンテンツを利用不能であると見なせ、コンテンツの位置情報を基準として現在の自車位置が所定距離以上の遠隔地であるとき(取得地域から自車が遠ざかったとき)にはコンテンツを利用する可能性が低いと見なせる。よって、何れかの条件が成立したときにはコンテンツが不要なものと判定し、データベース6内のコンテンツのデータを消去する。
【0030】
尚、追記された時刻情報に代えて、送受信のためにコンテンツに添付されている時刻情報を用いてもよく、この場合でも同様の要否判定結果を得ることができる。
一方、上記のように運転者から保存指定されたカテゴリーに属するコンテンツは、このような要否判定及び消去の対象となることなく、継続してデータベース6に保存され続ける。
【0031】
以上のように、取得されたコンテンツは必要な情報を追記された上でデータベース6内に順次保存される一方、保存指定のないカテゴリーのコンテンツについては所定時間毎に時刻情報及び位置情報に基づいてそれぞれ要否が判定され、不要と判定されたコンテンツがデータベース6から消去される。
このように本実施形態ではコンテンツが有する位置情報(内容に含まれる位置情報、取得時に追記される位置情報)と現在の自車位置とを比較して当該コンテンツの要否を判定し、不要判定時にはデータベース6のコンテンツのデータを消去している。従って、例えばコンテンツが有する位置情報から自車が遠ざかったときには、当該コンテンツが不要なものと判定されて確実に消去されるため、同一コンテンツに関する重複する過去のデータを消去するだけの特許文献1に比較すると、データベース6の空き容量が十分に確保される。結果としてデータベース6の空き容量不足によりダウンロードに支障をきたす事態を未然に防止して、円滑なダウンロードを実現することができる。
【0032】
又、本実施形態では、コンテンツの位置情報に加えて時刻情報(内容に含まれる時刻情報、取得時に追記される時刻情報)を現在時刻と比較して要否を判定し、不要判定時にはコンテンツのデータをデータベース6から消去しているため、例えばコンテンツの内容が終了してコンテンツを利用不能なとき、或いは取得からの時間経過によりコンテンツの内容が古くなったときに、これらのコンテンツも不要なものとして消去される。従って、位置情報のみの場合に比較してデータベース6の空き容量をより十分に確保でき、これにより一層円滑なダウンロードを実現することができる。
【0033】
加えて、データベースに保存されているコンテンツの中には遠隔地のため利用の可能性が全くないコンテンツ、或いは期限切れのコンテンツ(例えば、大放出が終了したパチンコ店のコンテンツ)等が含まれるが、上記時刻情報や位置情報に基づいてこのようなコンテンツも不要なものとして自動消去されるため、これらのコンテンツを誤利用して無用なトラブルを引き起こす事態を未然に防止できるという効果も得られる。
【0034】
更にデータベース6の空き容量に関係なく、コンテンツの時刻情報や位置情報に基づいて不要と判定した時点で速やかに当該コンテンツをデータベース6から消去しているため、例えば特許文献1の技術のようにデータベースの空き容量が限界に近づくまで不要なデータの消去を実行しない場合に比較すると、データベース6の空き容量は常に十分に確保される。よって、大容量のコンテンツの取得が必要になったときでも確実に対応できると共に、車載情報処理装置の処理速度を向上することができる。
【0035】
一方、本実施形態では、コンテンツの内容に時刻情報及び位置情報が含まれるときには、これらの時刻情報及び位置情報に基づいてコンテンツの要否を判定し、コンテンツの内容に時刻情報及び位置情報が含まれないときには、取得時の時刻情報及び位置情報を追記した上で、これらの時刻情報及び位置情報に基づいてコンテンツの要否を判定している。従って、時刻情報や位置情報を含まないコンテンツに対しても不要な場合には自動消去が適用されるため、データベース6の空き容量を一層確実に確保することができる。
【0036】
更に、元々コンテンツの内容に含まれている情報と追記したコンテンツ取得時の情報とを比較した場合、コンテンツの内容に含まれる情報に基づく要否判定の方が信憑性が高い。例えば上記パチンコ店を例に挙げると、コンテンツ取得時の時刻情報はコンテンツの古さは判断できるが、内容に含まれる大放出の日時のようにコンテンツの期限切れを直接的に判断することはできず、一方、取得時の位置情報はパチンコ店の地域をある程度推定できるが、内容に含まれるパチンコ店の具体的な場所に比較すると大雑把な情報であり、結果として間接的な要否判定となって信憑性が低くなる傾向は避けられない。本実施形態ではコンテンツの内容に時刻情報及び位置情報が含まれるときには、当該情報を優先してコンテンツの要否判定に適用することから、十分に的確な要否判定、ひいては的確なコンテンツの自動消去を実現することができる。
【0037】
一方、保存希望に指定されたカテゴリーに属するコンテンツは、判定及び消去の対象とすることなくデータベース6に保存するため、運転者は保存を希望するコンテンツがあるときには当該コンテンツが属するカテゴリーを事前に指定するだけで、コンテンツを自動消去の対象から除外して保存し続けることができ、例えば保存中のコンテンツを後の参考等に自由に利用することができる。
【0038】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、データセンタとの路車間通信及び他車との車車間通信を想定したが、必ずしも双方の通信を実施する必要はなく、例えば路車間通信のみ、或いは車車間通信のみを行う車載情報処理装置に具体化してもよい。
又、上記実施形態では、コンテンツの内容に含まれる時刻情報及び位置情報に基づくコンテンツの要否判定、及びコンテンツ取得時に追記された時刻情報及び位置情報に基づく要否判定を実施したが、必ずしも双方の要否判定を実施する必要はなく、例えば取得される全てのコンテンツに対して取得時の時刻情報及び位置情報を追記し、追記した時刻情報及び位置情報に基づいてコンテンツの要否判定を行ってもよいし、或いは内容に時刻情報及び位置情報を含んだコンテンツのみに対して要否判定を行ってもよい。更に、時刻情報と位置情報とのいずれか一方のみに基づいてコンテンツの要否判定を実施してもよい。
【0039】
更に、上記実施形態では、保存を希望するコンテンツのカテゴリーを運転者に指定させたが、例えば運転者に指定させることなく、予め地図情報或いは音楽や映画情報等のように後に利用する蓋然性が高い情報は保存指定し、渋滞情報や事故情報等のように後では利用価値がほとんどない情報に関しては自動消去の対象とするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態の車載情報処理装置を示すブロック図である。
【図2】コンテンツに対する情報追記部及び比較演算機による処理を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 通信モジュール(通信手段、取得手段)
2 情報追記部(情報追記手段)
3 タイマ(時刻検出手段)
4 GPS(自車位置検出手段)
5 カテゴリー判定部(保存対象判別手段)
6 データベース
7 比較演算機(コンテンツ消去手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段により配信元からコンテンツを取得する取得手段と、
上記取得手段に取得されたコンテンツを保存するデータベースと、
自車の位置を検出する自車位置検出手段と、
上記データベースに保存されたコンテンツが有する位置情報を上記自車位置検出手段により検出された自車位置と比較して該コンテンツの要否を判定し、不要と判定したときに該コンテンツを消去するコンテンツ消去手段と
を備えたことを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項2】
現在時刻を検出する時刻検出手段を更に備え、
上記コンテンツ消去手段は、上記データベースに保存されたコンテンツが有する位置情報を上記自車位置検出手段により検出された自車位置と比較して該コンテンツの要否を判定すると共に、該コンテンツが有する時刻情報を上記時刻検出手段により検出された現在時刻と比較して該コンテンツの要否を判定し、何れかで不要と判定したときに該コンテンツを消去することを特徴とする請求項1記載の車載情報処理装置。
【請求項3】
上記取得手段によりコンテンツが取得されたときに、上記自車位置検出手段により検出された自車位置を上記取得したコンテンツに追記する情報追記手段を更に備え、
上記コンテンツ消去手段は、上記情報追記手段により追記された自車位置を上記コンテンツが有する位置情報として該コンテンツの要否判定に適用することを特徴とする請求項1記載の車載情報処理装置。
【請求項4】
上記取得手段によりコンテンツが取得されたときに、上記自車位置検出手段により検出された自車位置又は上記時刻検出手段により検出された時刻の少なくとも一方を上記取得したコンテンツに追記する情報追記手段を更に備え、
上記コンテンツ消去手段は、上記情報追記手段により追記された自車位置又は時刻を上記コンテンツが有する位置情報又は時刻情報として該コンテンツの要否判定に適用することを特徴とする請求項2記載の車載情報処理装置。
【請求項5】
上記取得手段により取得されるコンテンツが保存対象であるか否かを判別する保存対象判別手段を更に備え、
上記コンテンツ消去手段は、上記保存対象判別手段により保存対象と判別されたコンテンツを除外して要否判定を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車載情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−162282(P2006−162282A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350033(P2004−350033)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】