説明

車載機

【課題】車両が走行中であっても安全性を損なうことなくユーザがアイコンの表示態様を変更できるようにする。
【解決手段】車載ナビゲーション装置1は、車両が走行中である場合に、ユーザから発せられた音声がマイク15に入力され、そのマイク15に入力された音声が音声認識部11により音声認識されて予め記憶されている対応テーブルの音声コマンドに該当すると判定すると、アイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して予め記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更する。ユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドの1つである例えば「右へ」に該当すると判定すると、アイコンの表示画面上での表示位置を所定ピクセルだけ右へ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガジェットに対応するアイコンを表示画面上に表示する表示手段と、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更可能な制御手段とを備えた車載機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ガジェットに対応するアイコン(ガジェットの内容を所定サイズのピクセル(画素)で簡易に表す絵図)をパーソナルコンピュータ等の情報処理装置の表示画面上に表示させる構成が開示されている。この場合、ユーザは表示画面上に表示されているアイコンを操作することで、ガジェットを起動する(ガジェットに対応する機能を呼出したりプログラムを実行させたりする)ことができる。ガジェットとはユーザが頻繁に使用するツールに簡単にアクセスすることを可能とする小規模なプログラムであり、ウィジェットとも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−26239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車載機におけるGUI(Graphical User Interface)の技術が向上していることに伴い、ガジェットに対応するアイコンを車両に搭載されている車載機に表示させることが想定される。ところで、ユーザにおいては例えば使用頻度が高いアイコンの視認性を他よりも高めたりする等、アイコンの表示態様(表示位置、表示サイズ、表示濃淡、表示可否等)を自分の趣向に合うように自由に変更したいという要望が想定される。アイコンの表示態様を変更する方法としては、例えばユーザが操作可能な操作キー(移動キー、拡大キー、縮小キー等)をタッチキーとして表示画面上に新たに形成したりハードキーとして新たに配置したりし、ユーザが移動キーを操作することでアイコンの表示位置を変更したり、ユーザが拡大キーや縮小キーを操作することでアイコンの表示サイズを変更したりする方法が想定される。
【0005】
しかしながら、このようにユーザが操作キーを操作することでアイコンの表示態様を変更する構成では、車両が停止中であれば、ユーザが操作キーを操作する分には特に支障を来たさないが、一方、車両が走行中であれば、ユーザが操作キーを操作するに際して操作キーの位置を探すために目線を進行方向から一旦外したり表示画面を注視したりする必要がある等、安全性に支障を来たすことになる。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両が走行中であっても安全性を損なうことなくユーザがアイコンの表示態様を変更することができる車載機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、制御手段は、走行状態取得手段により取得された車両の走行状態に基づいて自機を搭載している車両が走行中である旨を判定し、且つユーザから発せられた音声が音声入力手段に入力されたことで音声認識手段により音声認識された音声が記憶手段に記憶されている音声コマンドに該当する旨を判定すると、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して記憶手段に記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更する。
【0008】
これにより、車両が走行中であっても、ユーザが音声コマンドに該当する音声を発することで、ユーザが操作キーの位置を探すために目線を進行方向から一旦外したり表示画面を注視したりする必要なく、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更することができ、安全性を損なうことなくアイコンの表示態様を変更することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、走行状態取得手段により取得された車両の走行状態に基づいて自機を搭載している車両が走行中である旨を判定し、表示態様変更操作を操作受付手段が受付けた旨を判定し、且つユーザから発せられた音声が音声入力手段に入力されたことで音声認識手段により音声認識された音声が記憶手段に記憶されている音声コマンドに該当する旨を判定すると、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して記憶手段に記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更する。
【0010】
これにより、ユーザが表示態様変更操作を行った後に、ユーザが音声コマンドに該当する音声を発することで、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更することができる。即ち、ユーザが表示態様変更操作を行うことで、ユーザがアイコンの表示態様を変更することを意識した上で、アイコンの表示態様を変更することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、制御手段は、走行状態取得手段により取得された車両の走行状態に基づいて自機を搭載している車両が走行中である旨を判定し、ガジェット起動操作とは異なる表示態様変更操作を操作受付手段が受付けた旨を判定し、且つユーザから発せられた音声が音声入力手段に入力されたことで音声認識手段により音声認識された音声が記憶手段に記憶されている音声コマンドに該当する旨を判定すると、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して記憶手段に記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更する。
【0012】
これにより、ユーザがガジェット起動操作を行うことでガジェットを起動することができる一方で、ユーザがガジェット起動操作とは異なる表示態様変更操作を行った後に、ユーザが音声コマンドに該当する音声を発することで、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更することができる。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、操作受付手段は、ユーザがアイコンを選択して当該選択したアイコンの表示態様を変更する操作を表示態様変更操作として受付可能であり、制御手段は、走行状態取得手段により取得された車両の走行状態に基づいて自機を搭載している車両が走行中である旨を判定し、表示態様変更操作を操作受付手段が受付けた旨を判定し、且つユーザから発せられた音声が音声入力手段に入力されたことで音声認識手段により音声認識された音声が記憶手段に記憶されている音声コマンドに該当する旨を判定すると、表示手段の表示画面上に表示させているアイコンのうちユーザが選択したアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して記憶手段に記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更する。これにより、ユーザがアイコンを選択する操作を行うことで、そのユーザが選択したアイコンの表示態様を変更することができる。
【0014】
請求項5に記載した発明によれば、制御手段は、表示態様変更操作を操作受付手段が受付けた旨を判定すると、音声認識手段を音声認識可能な状態とする。これにより、ユーザが表示態様変更操作を行うことで、音声認識を必要とする適切なタイミングで音声認識手段を音声認識可能な状態とすることができ、音声認識手段を効率良く動作させることができる。
【0015】
請求項6に記載した発明によれば、制御手段は、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更することとして、アイコンの表示画面上での表示位置を変更する。これにより、ユーザがアイコンの表示画面上での表示位置を変更する音声として例えば「上へ」、「下へ」、「左へ」又は「右へ」等を発することで、アイコンの表示画面上での表示位置を上下左右へ移動することができる。
【0016】
請求項7に記載した発明によれば、制御手段は、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更することとして、アイコンの表示画面上での表示サイズを変更する。これにより、ユーザがアイコンの表示画面上での表示サイズを変更する音声として例えば「大きく」又は「小さく」等を発することで、アイコンの表示画面上での表示サイズを大きくしたり小さくしたりすることができる。
【0017】
請求項8に記載した発明によれば、制御手段は、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更することとして、アイコンの表示画面上での表示濃淡を変更する。これにより、ユーザがアイコンの表示画面上での表示濃淡を変更する音声として例えば「濃く」又は「淡く」等を発することで、アイコンの表示画面上での表示濃淡を濃くしたり淡くしたりすることができる。
【0018】
請求項9に記載した発明によれば、制御手段は、表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更することとして、当該ジェットに対応するアイコンの表示画面上での表示可否を変更する。これにより、ユーザがアイコンの表示画面上での表示可否を変更する音声として例えば「消去」又は「表示」等を発することで、アイコンを消去したり表示したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】音声コマンドと表示態様変更処理との対応を示す図
【図3】フローチャート
【図4】ガジェットに対応するアイコンの表示態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を車載ナビゲーション装置に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は車載ナビゲーション装置の全体構成を機能ブロック図により示している。車載ナビゲーション装置1は、制御部2(本発明でいう制御手段、記憶手段)、位置検出器3、地図データ入力器4、操作スイッチ群5(本発明でいう操作受付手段)、VICS(登録商標)受信機、通信装置7、外部メモリ8、表示装置9(本発明でいう表示手段)、音声コントローラ10、音声認識部11(本発明でいう音声認識手段)、リモコンセンサ12及び車載LAN接続部13(本発明でいう走行状態取得手段)を備えて構成されている。
【0021】
制御部2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oバスを有し、制御プログラムを実行して装置全体の動作を制御する。位置検出器3は、Gセンサ3a、ジャイロスコープ3b、距離センサ3c及びGPS受信機3d等を備えて構成され、これらの各構成要素は互いに性質の異なる検出誤差を有している。制御部2は、これら各構成要素から入力した検出信号を互いに補完して車両の現在位置を検出する(特定する)。この場合、位置検出器3は、要求される検出精度で車両の現在位置を検出可能であれば、これら全ての構成要素を備える必要はなく、又、ステアリングの舵角を検出するステアリングセンサや各車輪の回転を検出する車輪センサ等が組み合わされて構成されていても良い。
【0022】
地図データ入力器4は、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカード又はHDD等の記録媒体を装着し、地図データやマップマッチング用データ等を入力する。操作スイッチ群5は、表示装置9の周辺に配置されているメカニカルキーや表示装置9の表示画面上に形成されるタッチキーから構成され、例えばユーザが何らかの操作(例えばメニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、表示画面変更及び音量調整等)を行った旨を検出すると、操作検出信号を制御部2に出力する。
【0023】
VICS受信機6は、広域通信網を通じて広域通信を行い、VICSセンター装置(図示せず)から送信されたVICS情報を広域通信網を通じて受信する。通信装置7は、広域通信網を通じて広域通信を行い、サーバ(図示せず)から送信されたガジェットを広域通信網を通じて受信する。ガジェットとはユーザが頻繁に使用するツールに簡単にアクセスすることを可能とする小規模なプログラムであり、ウィジェットとも称される。外部メモリ8は、HDD等の大容量記憶装置から構成され、各種情報の1つとして上記したサーバから広域通信網を通じて通信装置7に受信されたガジェットを記憶する。
【0024】
表示装置9は、例えばカラー液晶ディスプレイ装置から構成され、メニュー選択画面、目的地設定画面、経路案内画面等の各種の表示画面を表示すると共に、車両の現在位置を表す現在位置マークや走行軌跡等を地図データの地図上に重ねて表示する。尚、表示装置9は、有機ELやプラズマディスプレイ装置等から構成されていても良い。
【0025】
音声コントローラ10は、例えば警告音や経路案内の案内音声等をスピーカ14から出力させる。音声認識部11は、制御部2により動作が制御され、起動状態ではマイク15(本発明でいう音声入力手段)から入力した音声を音声認識アルゴリズムにしたがって音声認識可能な状態となる。リモコンセンサ12は、操作リモコン16から送信された操作検出信号を受信すると、その受信した操作検出信号を制御部2に出力する。車載LAN接続部13は、車載LAN17との間のインタフェース機能を有しており、車両に搭載されている車速センサ(図示せず)から出力された車速パルスに応じた車速信号やACC(アクセサリ)スイッチから出力されたACC信号を車載LAN17を通じて入力し、それら入力した車速信号やACC信号を制御部2に出力する。
【0026】
制御部2は、Adobe社のFlash(登録商標)を使用して作成されたswfファイルを表示するためのプログラムであるフラッシュプレイヤーを格納しており、その格納しているフラッシュプレイヤーを起動することで外部メモリ8に記憶されているガジェットに対応するアイコンを表示装置9の表示画面上に表示させる。制御部2は、ガジェットに対応するアイコンを表示装置9の表示画面上に表示させている状態では、その表示させているアイコン自体をタッチキーとして形成しており、ユーザがアイコンを操作した旨を検出すると、操作スイッチ群5から入力された操作検出信号に基づいて、ユーザがアイコンに対して行った操作の操作位置や操作時間や操作回数を複合的に判定することで、ユーザがアイコンに対して行った操作がガジェットを起動する操作(本発明でいうガジェット起動操作、ガジェットに対応する機能を呼出したりプログラムを実行したりする操作)であるか又はアイコンの表示態様を変更する操作(本発明でいう表示態様変更操作)であるかを判定する。
【0027】
即ち、制御部2は、例えばユーザがアイコンの中心部に1回だけ触れ(所謂タッチし)、そのユーザがアイコンの中心部に触れた時間が所定時間(例えば数秒)未満であると判定すると、ユーザがアイコンに対して行った操作がガジェットを起動する操作であると判定してガジェットを起動し、一方、ユーザがアイコンの一端側から他端側までなぞり(所謂ドラッグし)、そのユーザがアイコンの一端側から他端側までなぞった時間が所定時間(例えば数秒)以上であると判定すると、ユーザがアイコンに対して行った操作がアイコンの表示態様を変更する操作であると判定して詳しくは後述する処理を行う。
【0028】
又、制御部2は、その機能毎に、地図データを取得する地図データ取得部、車両の現在位置と地図データ取得部により取得された地図データに含まれている道路データとを使用して車両の現在位置が存在する道路を特定するマップマッチング部、マップマッチング部により特定された車両の現在位置からユーザにより設定された目的地までの経路を探索する経路探索部、経路探索部により探索された経路及び地図データに含まれている道路データや交差点の位置データ等に基づいて経路案内に必要な地点を算出して経路案内する経路案内部、車両の現在位置周辺の地図や高速道路の略図や交差点付近の拡大図等を描画する描画部等を備えて構成されている。
【0029】
本実施形態では、制御部2は、図2に示すようにアイコンの表示態様を変更する音声コマンドと表示態様変更処理との対応を示す表示態様変更用の対応テーブルを記憶しており、ユーザから発せられた音声がマイク15に入力され、その入力された音声が音声認識部11により音声認識されると、表示態様変更用の対応テーブルを参照することで、そのユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドに該当するか(合致するか)否かを判定し、ユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドに該当する旨を判定すると、その音声コマンドに該当する表示態様変更処理を行う。表示態様変更処理とは、アイコンの表示態様(表示位置、表示サイズ、表示濃淡、表示可否等)を変更する処理である。尚、図2に示す音声コマンドと表示態様変更処理との対応は一例であり、これら以外の音声コマンドと表示態様変更処理との対応であっても良い。
【0030】
又、制御部2は、上記した音声コマンドと表示態様変更処理との対応テーブルの他に、周知の目的地設定用の対応テーブルをも記憶しており、ユーザから発せられた音声がマイク15に入力され、その入力された音声が音声認識部11により音声認識されると、目的地設定用の対応テーブルを参照することで、そのユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドに該当するか否かを判定し、ユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドに該当する旨を判定すると、その音声コマンドに該当する目的地を設定する目的地設定処理を行う。
【0031】
次に、上記した構成の作用について、図3及び図4を参照して説明する。図3は制御部2が行う処理をフローチャートにより示している。
制御部2は、例えばACCスイッチから車載LAN17を通じて車載LAN接続部13に入力されたACC信号に基づいてACCスイッチがオン状態であると判定すると、車載ナビゲーション装置1を電源オン状態とし、ユーザにより予めカスタマイズされている起動画面(初期画面)を表示画面として表示装置9に表示させる。そして、制御部2は、ガジェットに対応するアイコンを表示装置9の表示画面上に表示させ、ユーザがアイコンに対して何らかの操作を行ったか否かを監視している(ステップS1)。
【0032】
ここで、制御部2は、操作スイッチ群5から入力された操作検出信号に基づいてユーザがアイコンに対して何らかの操作を行ったと判定すると(ステップS1にて「YES」)、車速センサから車載LAN17を通じて車載LAN接続部13に入力された車速信号に基づいて車両が走行中であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0033】
制御部2は、車両が走行中でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、そのユーザがアイコンに対して行った操作に応じて予め設定されている処理(車両が停止中の処理)を行い(ステップS3)、上記したステップS1に戻る。一方、制御部2は、車両が走行中であると判定すると(ステップS2にて「YES」)、そのユーザがアイコンに対して行った操作がアイコンの表示態様を変更する操作であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0034】
ここで、制御部2は、そのユーザがアイコンに対して行った操作がアイコンの表示態様を変更する操作ではない(アイコンの表示態様を変更する操作とは異なる操作である)と判定すると(ステップS4にて「NO」)、そのユーザがアイコンに対して行った操作に応じて予め設定されている処理(車両が走行中の処理)を行い(ステップS5)、上記したステップS1に戻る。即ち、制御部2は、例えばユーザがアイコンの中心部に1回だけ触れ、そのユーザがアイコンの中心部に触れた時間が所定時間未満であると判定すると、ユーザがアイコンに対して行った操作がガジェットを起動する操作であると判定し、走行中での起動が制限されていないガジェットであれば当該ガジェットを起動する。
【0035】
一方、制御部2は、そのユーザがアイコンに対して行った操作がアイコンの表示態様を変更する操作であると判定すると(ステップS4にて「YES」)、ユーザが操作を行ったアイコンを表示態様の変更対象として特定し(選択し)(ステップS6)、音声認識部11を起動して音声認識可能な状態とする(ステップS7)。即ち、制御部2は、例えばユーザがアイコンの一端側から他端側までなぞり、そのユーザがアイコンの一端側から他端側までなぞった時間が所定時間以上であると判定すると、ユーザがアイコンに対して行った操作がアイコンの表示態様を変更する操作であると判定し、ユーザが操作を行ったアイコンを表示態様の変更対象として特定し、音声認識部11を起動して音声認識可能な状態とする。そして、制御部2は、これ以降、ユーザから発せられた音声がマイク15に入力され、そのマイク15に入力された音声が音声認識部11により音声認識されたか否かを判定すると共に(ステップS8)、音声が音声認識部11により音声認識されない時間が所定時間(例えば数秒)継続したか否かを判定する(ステップS9)。
【0036】
次いで、制御部2は、ユーザから発せられた音声がマイク15に入力されて音声認識部11により音声認識されたと判定すると(ステップS8にて「YES」)、その音声認識された認識結果に基づいて、ユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドに該当するか(合致するか)否かを判定する(ステップS10)。そして、制御部2は、ユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドに該当すると判定すると(ステップS10にて「YES」)、その音声コマンドに対応する表示態様変更処理を行い(ステップS11)、上記したステップS8、S9に戻る。又、制御部2は、ユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドに該当しないと判定すると(ステップS10にて「NO」)、この場合も、上記したステップS8、S9に戻る。又、制御部2は、音声が音声認識部11により音声認識されない時間が所定時間継続したと判定すると(ステップS9にて「YES」)、音声認識部11を停止して音声認識不可能な状態とし(ステップS12)、上記したステップS1に戻る。
【0037】
以下、制御部2が上記した処理を行うことでガジェットに対応するアイコンの表示態様を変更する幾つかの例について図4を参照して説明する。ここでは、制御部2が、ユーザがアイコンをカスタマイズ可能な通常状態(図4(a)参照)でガジェットAに対応するアイコン21とガジェットBに対応するアイコン22とを表示画面23上に表示させている場合を説明する。
【0038】
制御部2は、ユーザがアイコンをカスタマイズ可能な通常状態にあるときに、ユーザがアイコン21に対して何らかの操作を行ったと判定し、車両が走行中であると判定し、そのユーザがアイコン21に対して行った操作がアイコン21の表示態様を変更する操作であると判定すると、音声認識部11を起動し、ユーザから発せられた音声が図2に示した対応テーブルの音声コマンドに該当するか否かを判定する。ここで、制御部2は、ユーザから発せられた音声が対応テーブルの音声コマンドの1つである例えば「右へ」に該当すると判定すると、アイコン21の表示画面23上での表示位置を所定ピクセルだけ右へ移動する(図4(b)参照)。
【0039】
又、制御部2は、ユーザから発せられた音声が図2に示した対応テーブルの音声コマンドの1つである例えば「大きく」に該当すると判定すると、アイコン21の表示画面23上での表示サイズを所定ピクセルだけ大きくする(図4(c)参照)。又、制御部2は、ユーザから発せられた音声が図2に示した対応テーブルの音声コマンドの1つである例えば「濃く」に該当すると判定すると、アイコン21の表示画面23上での表示濃淡を所定階調だけ濃くする(図4(d)参照、図4では濃くなることをハッチングにて示す)。更に、制御部2は、ユーザから発せられた音声が図2に示した対応テーブルの音声コマンドの1つである例えば「消去」に該当すると判定すると、アイコン21を消去する(図4(e)参照)。尚、以上は、ユーザがアイコン21の表示態様を変更する操作を行った場合を説明したが、ユーザがアイコン22の表示態様を変更する操作を行った場合であれば、制御部2はアイコン22の表示態様を同様にして変更する。
【0040】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載ナビゲーション装置1において、車両が走行中である場合に、ユーザから発せられた音声がマイク15に入力され、そのマイク15に入力された音声が音声認識部11により音声認識されて予め記憶されている対応テーブルの音声コマンドに該当すると判定すると、アイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して予め記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更するように構成したので、車両が走行中であっても、ユーザが音声コマンドに該当する音声を発することで、安全性を損なうことなくアイコンの表示態様を変更することができる。
【0041】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
車載機は車載ナビゲーション装置に限らず、ガジェトに対応するアイコンを表示する機能及びユーザから発せられた音声を音声認識する機能を有する車載機であれば良い。
アイコンは、表示内容が更新されない静的な画像、表示内容が更新される動的な画像、例えば時計等のようにプログラム自体を示す画像等の何れであっても良い。
音声コマンドは、例えばアイコンの表示画面上での表示位置を次画面へ移動する「次画面へ」や、アイコンの表示態様を直前の状態に戻す「戻る」等であっても良い。又、複合的な音声コマンドであっても良く、例えばアイコンの表示画面上での表示位置を右へ移動した後に表示サイズを大きくする「右へ移動した後に大きく」等であっても良い。又、移動量や拡縮率等を指定可能な音声コマンドであっても良く、例えばアイコンの表示画面上での表示位置を○○センチだけ右へ移動する「○○センチだけ右へ」や、アイコンの表示画面上での表示サイズを○○パーセントだけ大きくする「○○パーセントの拡大率で大きく」等であっても良い。更に、ユーザが音声コマンドと表示態様変更処理との対応を登録可能であっても良い。
【0042】
車載ナビゲーション装置1が電源オン状態であるときに音声認識部11を常時起動するようにしても良い。又、ユーザがPTTスイッチを操作した場合に音声認識部11を起動し、PTTスイッチを操作してから所定時間経過後に音声認識部11を停止するようにしても良い。
ユーザが特定の音声を発することで、ユーザが特定の音声を発した後に行う操作がガジェットを起動する操作であるか又はアイコンの表示態様を変更する操作であるかを判定するようにしても良い。
サーバから広域通信網を通じて受信されたガジェットに対応するアイコンの表示態様を変更することに限らず、USBメモリ等の外部記憶媒体が車載ナビゲーション装置1に装着されることで、外部記憶媒体から転送されたガジェットに対応するアイコンの表示態様を変更するようにしても良い。
車速信号に基づいて車両が走行中であるか否を判定する構成に限らず、距離センサから出力される距離信号やアクセルセンサから出力されるアクセルの開度を示すアクセル開度信号等をも組み合わせて車両が走行中であるか否を判定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0043】
図面中、1は車載ナビゲーション装置(車載機)、2は制御部(制御手段、記憶手段)、5は操作スイッチ群(操作受付手段)、9は表示装置(表示手段)、11は音声認識部(音声認識手段)、13は車載LAN接続部(走行状態取得手段)、15はマイク(音声入力手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガジェットに対応するアイコンを表示画面上に表示する表示手段と、
前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更可能な制御手段と、を備えた車載機であって、
自機を搭載している車両の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
ユーザから発せられた音声を入力する音声入力手段と、
ユーザから発せられて前記音声入力手段に入力された音声を音声認識する音声認識手段と、
音声コマンドと表示態様変更処理との対応を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記走行状態取得手段により取得された車両の走行状態に基づいて自機を搭載している車両が走行中である旨を判定し、且つユーザから発せられた音声が前記音声入力手段に入力されたことで前記音声認識手段により音声認識された音声が前記記憶手段に記憶されている音声コマンドに該当する旨を判定した場合に、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して前記記憶手段に記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更することを特徴とする車載機。
【請求項2】
請求項1に記載した車載機において、
ユーザがアイコンの表示態様を変更する操作を表示態様変更操作として受付可能な操作受付手段を備え、
前記制御手段は、前記走行状態取得手段により取得された車両の走行状態に基づいて自機を搭載している車両が走行中である旨を判定し、表示態様変更操作を前記操作受付手段が受付けた旨を判定し、且つユーザから発せられた音声が前記音声入力手段に入力されたことで前記音声認識手段により音声認識された音声が前記記憶手段に記憶されている音声コマンドに該当する旨を判定した場合に、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して前記記憶手段に記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更することを特徴とする車載機。
【請求項3】
請求項2に記載した車載機において、
前記操作受付手段は、ユーザがガジェットを起動する操作をガジェット起動操作として受付可能であり、
前記制御手段は、前記走行状態取得手段により取得された車両の走行状態に基づいて自機を搭載している車両が走行中である旨を判定し、ガジェット起動操作とは異なる表示態様変更操作を前記操作受付手段が受付けた旨を判定し、且つユーザから発せられた音声が前記音声入力手段に入力されたことで前記音声認識手段により音声認識された音声が前記記憶手段に記憶されている音声コマンドに該当する旨を判定した場合に、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して前記記憶手段に記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更することを特徴とする車載機。
【請求項4】
請求項2又は3に記載した車載機において、
前記操作受付手段は、ユーザがアイコンを選択して当該選択したアイコンの表示態様を変更する操作を表示態様変更操作として受付可能であり、
前記制御手段は、前記走行状態取得手段により取得された車両の走行状態に基づいて自機を搭載している車両が走行中である旨を判定し、ガジェット起動操作とは異なる表示態様変更操作を前記操作受付手段が受付けた旨を判定し、且つユーザから発せられた音声が前記音声入力手段に入力されたことで前記音声認識手段により音声認識された音声が前記記憶手段に記憶されている音声コマンドに該当する旨を判定した場合に、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンのうちユーザが選択したアイコンの表示態様を、その音声コマンドに対応して前記記憶手段に記憶されている表示態様変更処理にしたがって変更することを特徴とする車載機。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかに記載した車載機において、
前記制御手段は、表示態様変更操作を前記操作受付手段が受付けた旨を判定した場合に、前記音声認識手段を音声認識可能な状態とすることを特徴とする車載機。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載した車載機において、
前記制御手段は、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更することとして、アイコンの表示画面上での表示位置を変更することを特徴とする車載機。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れかに記載した車載機において、
前記制御手段は、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更することとして、アイコンの表示画面上での表示サイズを変更することを特徴とする車載機。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れかに記載した車載機において、
前記制御手段は、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更することとして、アイコンの表示画面上での表示濃淡を変更することを特徴とする車載機。
【請求項9】
請求項1乃至5の何れかに記載した車載機において、
前記制御手段は、前記表示手段の表示画面上に表示されているアイコンの表示態様を変更することとして、当該ジェットに対応するアイコンの表示画面上での表示可否を変更することを特徴とする車載機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−145748(P2011−145748A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3879(P2010−3879)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】