説明

車載用画像データ転送装置

【課題】車速に応じて、車載ネットワークの転送帯域を有効利用する画像データ転送装置を提供する。
【解決手段】車載ネットワーク207を介して要求される画像データに対して、ナビ用地図画像データや機器操作画像データなど、その種別ごとに自車の車速に応じた各種画像データの転送頻度の算出を行う。そして、その算出された転送頻度に応じて各種画像データを車載ネットワーク207に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ転送システムに関し、特に、車載ネットワークにおける車載用画像転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置、DVD装置などのマルチメディア機器により自動車内に構成されるマルチメディア向けの車載ネットワークの構築が、自動車メーカを中心に進んでいる。
【0003】
図1は、当該車載ネットワークの一例であり、当該車載ネットワークのプロトコルであるIDB-1394に準拠したネットワーク構成で各機器の接続が記載されている。図1の各種マルチメディア機器101と表示モニタ102は一体型機器として構成され、各種マルチメディア機器101は、モニタ1に表示されるタッチパネル等の外部入力により操作される。そして、この一体型機器はフロントシート105側に設置され、メインターミナル108と称される。また、表示モニタ103、104を備える機器は、メインターミナル108とネットワーク接続される。そして、これらはリアシート106側に設置され、サブターミナル109、110と称される。
【0004】
前記メインターミナル108が具備する各種マルチメディア機器101から車載ネットワーク107を介してサブターミナル1(109)とサブターミナル2(110)にカーナビゲーションのためのナビ用地図データや、タッチパネル入力のための機器操作用の機器操作画像データ等が転送され、各表示モニタ103、104に表示される。
【0005】
これより、従来、主に運転手が操作、鑑賞するためにフロントシート105側にのみ設置されていた各種マルチメディア機器101を、運転手以外の乗員がリアシート106側から操作して、個別に鑑賞することが可能である。
【0006】
また、この車載ネットワークに接続されるマルチメディア機器101は、画像データの配信を主に行う。そのため、これらの機器が一斉動作した場合は、当該ネットワークに大容量の画像データが転送される。
【0007】
特許文献1では、自車の車速に応じて、各動作処理に対するCPUリソースの配分を変化させるカーナビゲーション装置について記載している。
【0008】
また、特許文献2では、一度、ナビゲーション画面に表示した交通情報を比較用に保存して、後の交通情報と比較し、全く同じものと判断された場合は、わずらわしさを解消するためにナビゲーション画面に再表示させない道路交通情報提供方法について記載している。
【0009】
また、特許文献3では、車載用デジタルテレビにおいて、走行中のテレビ電波受信状況を監視し、受信状況の悪化による動画の途切れを予測して、画像の途切れを静止画で補完する車載用テレビシステムについて記載している。
【0010】
これら特許文献には、車載ネットワークについての記載はない。
【特許文献1】特開2001-99662
【特許文献2】特開2005-127887
【特許文献3】特開2006-222509
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来は、車載ネットワークの転送帯域は限られているため、画像データ転送量が転送帯域を超過し、転送のエラーや遅延が生じる場合がある。
【0012】
一方で、各画像データに対する優先度は車速により変化する。例えば、カーナビゲーション装置において、高速運転中に、モニタへの地図の書換えが頻繁に行われなければ、ユーザは自車の位置を特定することができない。そのため、高速運転中は、ナビ用地図画像データに対する優先度が高まる。また、カーナビゲーション装置の操作は主に自車が停車中若しくは低速運転中に行われる。そのため、低速運転中は、機器操作画像データに対する優先度が高まる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、車速に応じて、車載ネットワークの転送帯域を有効利用する車載用画像データ転送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの態様によれば、画像データ生成装置と画像表示装置とをネットワークを介して接続する車載ネットワークシステムにおける前記画像データ生成装置が具備する車載用画像転送装置において、前記画像データ生成装置が生成する画像データの種類と車速センサが生成する車速に応じて前記画像データの転送頻度を変化させ、前記転送頻度に応じて、前記ネットワークを介して前記画像データを前記画像表示装置に転送する。
【発明の効果】
【0015】
上記の発明によれば、車速に応じて転送帯域を有効活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し,本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0017】
本実施の形態に係る車載用画像転送装置は、車載ネットワークを介して要求される、ナビ用地図画像データや機器操作用画像データなどの画像データに対し、車速に応じた転送頻度の算出を行い、その算出された転送頻度に応じて各種画像データを車載ネットワークに転送する転送頻度算出制御を行う。
【0018】
はじめに、車載ネットワーク内に転送される画像データの種類と、それら各種画像データの車速に応じた分類について説明する。なお、以下の説明を明確にするために、画像データの種類を限定するが、実際に本実施の形態において車載ネットワークを介して転送される画像データは、以下に記載する画像データの種類に限らない。
【0019】
前述したとおり、各種画像データは車速に応じてその優先度が変化する。また、それらは、高速運転中に優先される画像データと低速運転中に優先される画像データの2種類に分類される。以下、高速運転中に優先される画像データを高速用画像データ、低速運転中に優先される画像データを低速用画像データと称する。
【0020】
高速用画像データには前述したナビ用地図画像データの他に車外カメラからの映像や車体のエンジン異常等の車体状況を表す監視モニタ画像データ等がある。また、低速用画像データである機器操作画像データの中にはナビ用操作画像データやDVD用操作画像データ等の他、機器を操作するための機器コマンドデータも含む。
【0021】
この機器コマンドデータは、タッチパネル付きモニタ画面に表示された機器操作画像を操作した結果生成され、車載ネットワークを介して各機器に転送され、それに応じて各機器が操作される。
【0022】
例えば、メインターミナルのナビゲーション装置をサブターミナルから車載ネットワークを介して操作する場合であって、ナビゲーション装置の操作のための機器操作画像データがサブターミナルのタッチパネル付きモニタ画面に表示されている場合において、ナビ用地図画像データを要求するタッチパネル上のボタンを押すことにより、当該機器コマンドデータが車載ネットワークを介してメインターミナルのナビゲーション装置に転送される。そして、ナビゲーション装置は前記機器コマンドデータに応答して、ナビ用地図画像をサブターミナルのモニタ装置に車載ネットワークを介して転送する。
【0023】
なお、本実施の形態において、ナビ用操作画像データは、他の機器操作のための機器操作画像データとは区別することとする。
【0024】
これより、高速用画像データは、ナビ用地図画像データと監視モニタ画像データとし、低速用画像データは、ナビ用操作画像データと機器操作画像データとして以下の説明をする。
【0025】
[第1の実施の形態]
図2は、本第1の実施の形態を説明するための車載ネットワーク構成の模式図である。図2のネットワーク構成は、図1と同一であり、メインターミナル208とサブターミナル1(209)とサブターミナル2(210)とを備える。
【0026】
また、各ターミナル208、209、210は1394インターフェースを備え、それらを介してネットワーク接続されている。そして、各ターミナル208、209、210が具備する制御ユニット11は、車速を算出する車速センサユニット12が生成する車速データS2に応じて画像データの転送頻度算出制御を行う。
【0027】
図2における車載ネットワークの前記転送頻度算出制御を説明するために、当該車載ネットワークを構成する各機器について説明する。
【0028】
はじめに、メインターミナル208を構成する各部の機能と動作について説明する。
【0029】
図3は、本第1の実施の形態におけるメインターミナル208が具備する画像データ転送装置のブロック図である。
【0030】
DVD装置1とナビゲーション装置2は、CPU3や外部入力装置24やモニタ25とバス26で接続されており、外部入力装置24からバス26を介して送信される機器コマンドデータにより操作される。また、外部入力装置24はモニタ25と一体のタッチパネル式入力装置であってもよい。
【0031】
制御ユニット11は、1394インターフェース18、19により車載ネットワーク207を介して他の機器と接続され、それら各機器と画像データの双方向転送を行う。また、制御ユニット11は、画像データに対して各種の処理を行うデータ処理ユニット7と車速に応じて各種画像データの転送頻度を算出してデータ転送を行う転送頻度算出ユニット9と車載ネットワーク207とパケット転送処理を行うデータ転送ユニット20とを備える。
【0032】
データ処理ユニット7は、画像データ転送管理部8とエンコーダ5とデコーダ6を備える。
【0033】
画像データ転送管理部8には、DVD装置1とナビゲーション装置2から画像データg7、g8、が入力される。そして、画像データ転送管理部8は、前記入力画像データg7、g8の種類に応じた種別転送リクエスト信号S1を後述する転送頻度算出ユニット9に送信する。そして、画像データ転送管理部8は、転送頻度算出ユニット9が生成する転送命令信号S4に応じて、前記入力された画像データg7、g8をデータ転送ユニット20や画像出力装置23や若しくはその両方に転送する(g4、g9)。また、画像データ転送管理部8は、データ転送ユニット20に画像データを転送する場合は、画像データをエンコードした後に転送する。
【0034】
さらに、画像データ転送管理部8は、車載ネットワーク207を介してデータ転送ユニット20から入力された画像データ(g4)を、デコードして画像出力装置23に転送する(g9)。
【0035】
転送頻度算出ユニット9は、頻度算出部10と頻度制御部13と解除信号生成部15を備える。そして、車速センサユニット12が生成する車速データS2と前述したデータ処理ユニット7が生成する種別転送リクエスト信号S1に応じて、転送頻度算出を行い、前記画像データ転送管理部8に転送命令信号S4を送信する。
【0036】
車速センサユニット12は、スピードメータから与えられる車体速度と加速度や、タイヤ回転数やタイヤの回転方向から与えられる車体速度と加速度と車体の向きや、アクセルやブレーキ等の制動装置から与えられる停止や徐行や加速や減速等の走行状態や、ハンドルの方向から与えられる車体の向きと直進中又はカーブ中などの走行状態や、ギア比やギアの種類から与えられる走行状態などの情報のうち、少なくとも1つを入力として車速データS2を生成する。この車速データS2は、自車の速度だけではなく、走行状況を数値化したデータを備えていてもよい。それより、車速のみならず、走行状況にも応じた転送頻度算出が可能となる。
【0037】
頻度算出部10は、前述した画像データ転送管理部8からの種別転送リクエスト信号S1と、車速センサユニット12からの車速データS2に応じて、頻度データS3を算出する。
【0038】
そして、当該頻度データS3は、画像データ転送管理部8に入力された画像データg7、g8、g4の転送をするか否かの情報を持つ。また、頻度データS3は、画像データg7、g8、g4の転送順序等の情報を備えていてもよい。さらに、頻度データS3は各画像データg7、g8、g4の転送割当時間としてもよい。
【0039】
解除信号生成部15は、外部から操作可能な頻度制御解除スイッチ14が押されることにより生成する外部信号S6を受信する毎に、解除信号S5のON-OFF切替え動作を行う。この解除信号S5は、転送頻度算出制御を行うか否かを切り替えるための信号フラグとして後述する頻度制御部13で用いられる。
【0040】
この転送頻度算出制御の切替え機能は、例えば高速運転中での緊急時に、行き先を変更するために機器操作が必要な場合などに有用である。
【0041】
頻度制御部13は、前述した解除信号生成部15が生成する解除信号S5が、例えばOFFの場合に、前述した頻度算出部10が生成する頻度データS3に応じて転送命令信号S4を画像データ転送管理部8に送信する。また、逆に解除信号S5がONの時は、頻度データS3は無視され、頻度制御部13は、常に転送命令信号S4を画像データ転送管理部8に送信する。
【0042】
そして、前述したとおり、転送命令信号S4に応じて画図データ転送管理部8から画像データが出力される。そして、画像出力装置23に転送される画像データg9は、画像出力装置23を介してモニタ25に表示される。一方、同様にデータ転送ユニット20に転送される画像データg4は、車載ネットワーク207を介して接続される各機器に転送される。
【0043】
データ転送ユニット20は、データ蓄積部16とパケット処理部17と1394インターフェース18、19を備える。そして画像データ転送管理部8から転送された画像データをパケット化し、車載ネットワーク207にパケット転送する。また、逆に車載ネットワーク207から入力されたパケットをパケット結合し、画像データとして転送管理部8に出力する(g4)。
【0044】
データ蓄積部(FIFO)16は、画像データ転送管理部8から連続的に転送される各種画像データg4を一時保存し、蓄積するバッファであり、画像データ転送管理部8から転送された画像データg4の順に、当該画像データg4をパケット処理部17に出力する(g3)。
【0045】
パケット処理部17は、データ蓄積部からの入力画像データg3を逐次パケット化する。当該生成されたパケットは、車載ネットワーク207につながる他の機器の転送パケットとパケット干渉をおこさないように仲裁制御がとられ、その仲裁制御に従ってパケットデータg2として1394インターフェース18、19から車載ネットワーク207に転送される(g1)。
【0046】
また、図4は本第1の実施の形態における転送パケット形態の一例である。転送パケットの情報部は、図4に示すような構成でもよい。すなわち、車速に応じて算出される各種画像データの頻度に応じてパケット情報量を割当てる。図4は、ナビ用地図画像データと監視モニタ画像データとナビ用操作画像データと機器操作画像データとを同時に画像転送する場合の例である。
【0047】
パケットp1は転送頻度算出制御を行わない場合の転送パケットである。CSはサイクルスタートパケットであり、ある一定時間毎に出力される。パケットp1が持つ各画像データの情報量は同一である。
【0048】
また、パケットp2は高速運転中に転送頻度算出制御を行う場合の転送パケットの形態である。そして、パケットp2において、高速用画像データであるナビ用地図画像データと監視モニタ画像データのほうが、低速用画像データであるナビ用操作画像データと機器操作画像データよりも情報量は多い。
【0049】
また、パケットp3は低速運転中に転送頻度算出制御を行う場合の転送パケットの形態である。
【0050】
そして、パケットp3において、低速用画像データであるナビ用操作画像データと機器操作画像データのほうが、高速用画像データであるナビ用地図画像データと監視モニタ画像データよりも情報量は多い。
【0051】
また、車載ネットワーク207からデータ転送ユニット20に入力されるパケットg1は、逆の処理によりパケット結合され、画像データg4として画像データ転送管理部8に転送される。
【0052】
また、当該画像データ転送管理部8に転送されたデータg4が前述したDVD装置1もしくはナビゲーション装置2に対する機器コマンドデータである場合は、画像データ転送管理部8は、それぞれの機器に対して機器コマンドデータg7、g8を送信する。
【0053】
次に、図2においてメインターミナル208と車載ネットワーク207を介して接続されるサブターミナル209、210の構成について簡単に説明する。
【0054】
図5は、サブターミナル209、210が具備する画像データ転送装置のブロック図である。図3に示したメインターミナルが具備する画像データ転送装置のブロック図との違いは、DVD装置1、ナビゲーション装置2とバス26を介して接続されていないことと、外部入力装置(タッチパネル)24から入力されるコマンドデータg11がデータ処理ユニット7に送信されることと、頻度解除制御スイッチ14を具備しないことであり、それ以外の同一又は対応する構成要素には図3と同一符号を付している。
【0055】
次に、図2に示される車載ネットワーク207を介する画像データ転送の動作例を図3、5を参照して説明する。図2に明記されていないが、メインターミナル208の解除信号発生部15とサブターミナル209、210の解除信号生成部15は接続されていて、全ての解除信号生成部15が単一の頻度制御解除スイッチにより同時に操作される。
【0056】
また、説明のための前提として、サブターミナル1(209)はナビゲーション装置2からナビ用地図画像データを要求し、そしてサブターミナル2(210)はDVD装置1から機器操作画像データを要求し、さらに高速運転中である場合を想定する。
【0057】
図2においてサブターミナル1(209)はナビ用地図画像データを要求し、サブターミナル2(210)は機器操作画像データを要求する。それに対応して、図3に示されるメインターミナルにおいて、DVD装置1からの機器操作画像データg7とナビゲーション装置2からのナビ用地図画像データg8が画像データ転送管理部8に転送される。ここで、ナビ用地図画像データg8は前述した高速用画像データであり、機器操作画像データg7は前述した低速用画像データである。画像データ転送管理部8は、転送頻度算出ユニット9に各々の画像データg7、g8の種類に応じた種別転送リクエスト信号S1を送信する。
【0058】
転送頻度算出ユニット9は前記種別転送リクエスト信号S1と車速データS2に応じて、高速用画像データであるナビ用地図画像データg8の転送頻度が高くなるように、画像データ転送管理部8に対し転送命令信号S4を送信する。
【0059】
また、画像データ転送管理部8は転送命令信号S4に従い、それぞれの画像データをエンコードし、データ転送ユニット20に転送する。
【0060】
データ転送ユニット20に転送される各々の画像データは、高速運転中での転送頻度算出制御を受けている。そのため、画像データ転送管理部8からデータ蓄積部(FIFO)16に転送される画像データの頻度は、前述した機器操作画像データよりもナビ用地図画像データの方が高い。そして、データ蓄積部(FIFO)に転送されてきた画像データg4は、その転送順にパケット処理部に転送される(g3)。パケット処理部17は、入力画像データ(g3)を順次パケット処理し、当該生成されたパケットは、パケットデータg2として1394インターフェース18、19から車載ネットワーク207を介してサブターミナル1(209)、サブターミナル2(210)に転送される。
【0061】
図5に示すサブターミナルにおいて、データ転送ユニット20は、車載ネットワーク207を介して前記パケットを受信し、パケット結合し、画像データとして画像データ転送管理部8に転送する。
【0062】
そして、画像データ転送管理部8は、各々のサブターミナル209、210が要求する画像データをデコードし、画像出力装置23に転送する(g9)。そして、画像がモニタ(25)に表示される。
【0063】
以上により、サブターミナル1(209)においてはナビ用地図画像が表示され、サブターミナル2(210)では、DVDの機器操作画像が表示される。また、高速運転中を想定した頻度算出制御が行われたため、メインターミナル(208)から転送された各々の画像データの情報量は、機器操作画像データよりも、ナビ用地図画像データの方が多い。
【0064】
次に、機器コマンドデータの転送例について説明する。図2において、サブターミナル209、210からメインターミナル208が具備するマルチメディア機器を操作する。
【0065】
例えばサブターミナル1(209)のタッチパネル24からメインターミナル208のDVD機器1の操作を行う場合に、要求によりサブターミナル1(209)のモニタに表示される機器操作画像データは、前述したとおり転送頻度算出制御されてDVD機器1から車載ネットワーク207を介してサブターミナル1(209)に転送される。そこで、その機器操作画像データの転送と同時に、DVD装置1からDVD装置1を操作するための機器制御コマンド若しくは機器操作コマンドテーブルを画像データと同様に転送させ、サブターミナル1(209)の内部メモリに常駐させる。それにより、サブターミナルからDVD装置1を制御するための機器コマンドデータの転送が可能になる。
【0066】
図5において、サブターミナルの外部入力装置(タッチパネル)24から入力された機器コマンドデータg11は、画像データ転送管理部8に送信され、前述した機器操作画像データ同様に車速に応じた転送頻度算出制御により、図3におけるメインターミナルの画像データ転送管理部8に転送され、DVD装置1に送信される(g7)。そして、DVD装置1において当該機器コマンドデータg7に応じた処理が行われ、DVD装置1は必要に応じて新たに機器操作画像データを、転送頻度に応じてサブターミナル1(209)に転送する。
【0067】
前述した画像データ転送動作は、基本的に高速運転中であることを前提に説明をしたが、低速運転中の画像データ転送動作は、高速用画像データと低速用画像データの転送頻度を図4のように変えるだけである。
【0068】
本第1の実施の形態により、各種画像データに対し、自車の速度に応じた転送頻度算出制御を行うことにより車載ネットワーク207の転送帯域を有効活用することができる。
【0069】
なお、図3においてメインターミナル208のモニタ25にナビゲーション情報を表示させる場合において、要求に応じてナビゲーション装置2から画像データ転送管理部8に転送されるナビ用地図画像データg8は、前述した転送頻度算出が行われ、当該転送頻度に応じて画像出力装置23に転送される(g9)。そして、画像出力装置23に転送されたナビ用地図画像データg9は、画像出力装置25の備える動作周波数に応じてモニタ25に繰り返し映出される(g10)。たとえば,画像出力装置25への転送頻度が1秒間に1回の場合は,画像出力装置25が1秒間に30回同じ画像をモニタ25に映出させる。
【0070】
[第2の実施の形態]
図6は、第2の実施の形態を説明するための車載ネットワーク構成の模式図である。そして、当該車載ネットワークを構成する機器にはメインターミナル208が使用されていない。そして、前述したメインターミナル208が具備していたDVD装置1とナビゲーション装置2を、各々オプション機器として独立させ、各々オプション機器は、車載ネットワーク207に対して個別に画像データの転送を行う。図6に示される車載ネットワークは、サブターミナル61、65とオプション機器62、63、64で構成されている。また、図6中には明記していないが、それぞれの機器は解除信号発生部15を具備し、それらは接続されていて、全ての解除信号生成部15を同時に制御できるものとする。さらに、各機器は転送頻度算出制御を行うために車速センサユニット12から車速データS2を得る。
【0071】
ここで、オプション機器における画像データ転送動作について簡単に説明する。
【0072】
図7は、ナビゲーション装置を備えるオプション機器が具備する画像データ転送装置ブロック図である。図5との違いは、外部入力装置(タッチパネル)による直接の操作がないことと、ナビゲーション装置30が付いていることであり、それ以外の同一又は対応する構成要素には同一符号を付している。
【0073】
簡単に動作説明をすると、例えば図7に示すナビゲーション装置30が、車載ネットワーク207を介して転送される機器コマンドデータ(g12)に応じて出力するナビ用地図画像データg12は、画像データ転送管理部8に転送され、転送頻度算出処理を受け、データ転送ユニット20に転送され、車載ネットワーク207を介して各接続機器に転送される。
【0074】
また、前述したDVD装置1とナビゲーション装置2とを具備するメインターミナルでは、当該2台の機器が生成する画像データを1台の制御ユニット11で転送管理している。しかし、ナビゲーション装置30を具備するオプション機器62から車載ネットワーク207に転送される画像データg12は、機器固有の画像データのみである。よって、メインターミナルが具備する各々の装置をオプション機器で構成することにより、画像データ転送処理の分散が可能となる。
【0075】
次に、図6、7を用いてオプション機器の画像データの転送動作を簡単に説明する。サブターミナル61がオプション機器62からのナビ用地図画像データを要求し、さらに高速運転中である場合、ナビゲーション装置装置30を具備するオプション機器62からのナビ用地図画像データは、高速用画像データであるため、高い転送頻度で車載ネットワーク207に転送される。サブターミナル61に転送されたナビ用地図画像データは、前述した同様の処理によりサブターミナル61のモニタに出力される。
【0076】
また、サブターミナル61からナビゲーション装置30を操作する場合に、サブターミナル61から転送されたコマンドデータは、前述したとおり画像データ同様に処理され、図7のナビゲーション装置30に転送される(g12)。
【0077】
ここで、図6において、DVD装置31とカメラ装置32を具備するオプション機器63、64は、画像データを生成し車載ネットワーク207に転送するという点で前述したナビゲーション装置30を具備するオプション機器62と同様の扱いが可能である。すなわち、それぞれのオプション機器62、63、64が、車速に応じて車載ネットワーク207に対する画像データの転送頻度を変える。
【0078】
例えば、高速運転中に、要求に応じて各オプション機器62、63、64から車載ネットワーク207に転送される画像データにおいて、ナビゲーション装置62から出力されるナビ用地図画像データとカメラ装置64から出力される監視モニタ画像データの転送頻度は高く、各オプション機器62、63、64から出力される機器操作画像データの転送頻度はそれより低い。
【0079】
逆に低速運転中には、ナビゲーション装置62から出力されるナビ用地図画像データとカメラ装置64から出力される監視モニタ画像データの転送頻度は低く、各オプション機器62、63、64から出力される機器操作画像データの転送頻度はそれより高い。
【0080】
本第2の実施の形態により、転送頻度算出処理の分散がなされ、頻度算出制御による車載ネットワーク207の転送帯域の有効活用に加え、メインターミナルを具備する車載ネットワーク構成と比較して転送処理の高速化がなされる。
【0081】
[第3の実施の形態]
本第3の実施の形態においては、車速を複数の範囲に分割し、その各々の範囲に対応した転送頻度を設定することにより、車速の属する範囲に応じて各画像データの転送頻度を段階的に変化させる。
【0082】
図8は車速に応じた各画像データの転送頻度変化を表す図表である。前述したとおり、高速用画像データは、ナビ用地図画像データと監視モニタ画像データとし、低速用画像データは、ナビ用操作画像データと機器操作画像データとする。
【0083】
表1において、車速40km/h以上60km/h未満を基準運転速度として頻度制御は行わず、車速20km/h以上40km/h未満で高速用画像データ転送頻度を25%下げ、低速用画像データ転送頻度を25%上げる。そして、車速20km/h未満で高速用画像データ転送頻度を50%下げ、低速用画像データ転送頻度を50%上げる。逆に、車速60km/h以上80km/h未満で高速用画像データ転送頻度を25%上げ、低速用画像データ転送頻度を25%下げる。そして、80km/h以上で高速用画像データ転送頻度を50%上げ、低速用画像データ転送頻度50%下げる。
【0084】
また、高速用画像データと低速用画像データの分類に基づいて転送頻度を設定するのではなく、各々画像データの種別毎に車速に応じた転送頻度を設定してもよい。
【0085】
本第3の実施の形態により、車速の属する範囲が変わった時にのみ各画像データに対する転送頻度計算をさせ、計算量を減少させることにより、頻度算出制御による画像データ転送の高速化が可能になる。
【0086】
[第4の実施の形態]
本第4の実施の形態においては、各々の画像データの転送頻度算出を所定の時間間隔毎に行う。例えば1秒毎に転送頻度算出を行う。
【0087】
定速走行で運転中に、所定の短い時間で車速が突然変化することは考えにくい。そのため、画像データの種類と車速に応じた転送頻度の算出を行った後は、当該所定の時間内は転送頻度算出を行わず、前記算出した頻度を維持して各々の画像データを転送する。前述した車速センサが生成する走行状況に応じて、転送頻度を算出する時間間隔を変化させてもよい。例えば、速度変化の大きい加速中は、転送頻度を算出する時間間隔を短くする。
【0088】
所定の時間間隔で、各画像データに対する転送頻度計算をさせ、計算量を減少させることにより、頻度算出制御による画像データ転送の高速化が可能になる。
【0089】
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
【0090】
(付記1)
画像データ生成装置と画像表示装置とをネットワークを介して接続する車載ネットワークシステムにおける前記画像データ生成装置が具備する車載用画像転送装置において、
前記画像データ生成装置が生成する画像データの種類と車速センサが生成する車速に応じて前記画像データの転送頻度を変化させ、前記転送頻度に応じて、前記ネットワークを介して前記画像データを前記画像表示装置に転送する車載用画像転送装置。
【0091】
(付記2)
前記車載用画像転送装置は、
前記車速が第1の速度の場合であって、
前記画像データが第1の画像データの場合、前記転送頻度を第1の転送頻度とし、
前記画像データが第2の画像データの場合、前記転送頻度を前記第1の転送頻度より高い第2の転送頻度とし、
前記車速が前記第1の速度より速い第2の速度の場合であって、
前記画像データが第1の画像データの場合、前記転送頻度を第3の転送頻度とし、
前記画像データが第2の画像データの場合、前記転送頻度を前記第3の転送頻度より低い第4の転送頻度とする付記1記載の車載用画像転送装置。
【0092】
(付記3)
前記第3の転送頻度が前記第1の転送頻度より高く、前記第2の転送頻度が前記第4の転送頻度より高いことを特徴とする付記2記載の車載用画像転送装置
(付記4)
前記画像データ生成装置は、カーナビゲーション装置又は監視モニタ装置のうち少なくとも1つを有し、
前記第2の画像データは、前記画像データ生成装置の操作用の機器操作用画像データであり、前記第1の画像データは、前記カーナビゲーション装置が生成する地図画像データ又は前記監視モニタ装置が生成する監視モニタ画像データである付記2又は3記載の画像処理装置。
【0093】
(付記5)
前記転送頻度が転送割当時間である付記1記載の車載用画像転送装置。
【0094】
(付記6)
前記転送頻度が転送順序である付記1記載の車載用画像転送装置。
【0095】
(付記7)
前記車速センサが、車速の他、走行状況も検出し、前記転送頻度が、前記走行状況に応じて変化する付記1記載の車載用画像転送装置。
【0096】
(付記8)
前記車速が、複数の車速範囲に分けられ、
前記車速が属する車速範囲が変化する毎に前記転送頻度を変化させる付記1記載の車載用画像転送装置。
(付記9)
前記転送頻度が所定の時間間隔毎に求められる付記1記載の車載用画像転送装置。
【0097】
(付記10)
さらに、前記転送頻度に応じた転送を停止する外部スイッチを有する付記1記載の車載用画像転送装置。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、車載ネットワークの一例である。
【図2】図2は、第1の実施の形態を説明するための車載ネットワーク構成の模式図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態におけるメインターミナルが具備する画像データ転送装置のブロック図である。
【図4】図4は第1の実施の形態における転送パケット形態の一例である。
【図5】図5は、サブターミナルが具備する画像データ転送装置のブロック図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態を説明するための車載ネットワーク構成の模式図である。
【図7】図7は、ナビゲーション装置を備えるオプション機器が具備する画像データ転送装置ブロック図である。
【図8】図8は車速に応じた各画像データの転送頻度変化を表す図表である。
【符号の説明】
【0099】
208 メインターミナル
209 210 サブターミナル
11 制御ユニット
5 ENCORDER
6 DECORDER
7 データ処理ユニット
8 画像データ転送管理部
9 転送頻度算出ユニット
10 頻度算出部
12 車速センサユニット
13 頻度制御部
18 19 1394I/F
20 データ転送ユニット
23 画像出力装置
24 外部入力装置(タッチパネル)
25 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ生成装置と画像表示装置とをネットワークを介して接続する車載ネットワークシステムにおける前記画像データ生成装置が具備する車載用画像転送装置において、
前記画像データ生成装置が生成する画像データの種類と車速センサが生成する車速に応じて前記画像データの転送頻度を変化させ、前記転送頻度に応じて、前記ネットワークを介して前記画像データを前記画像表示装置に転送する車載用画像転送装置。
【請求項2】
前記車載用画像転送装置は、
前記車速が第1の速度の場合であって、
前記画像データが第1の画像データの場合、前記転送頻度を第1の転送頻度とし、
前記画像データが第2の画像データの場合、前記転送頻度を前記第1の転送頻度より高い第2の転送頻度とし、
前記車速が前記第1の速度より速い第2の速度の場合であって、
前記画像データが第1の画像データの場合、前記転送頻度を第3の転送頻度とし、
前記画像データが第2の画像データの場合、前記転送頻度を前記第3の転送頻度より低い第4の転送頻度とする請求項1記載の車載用画像転送装置。
【請求項3】
前記第3の転送頻度が前記第1の転送頻度より高く、前記第2の転送頻度が前記第4の転送頻度より高いことを特徴とする請求項2記載の車載用画像転送装置。
【請求項4】
前記画像データ生成装置は、カーナビゲーション装置又は監視モニタ装置のうち少なくとも1つを有し、
前記第2の画像データは、前記画像データ生成装置の操作用の機器操作用画像データであり、前記第1の画像データは、前記カーナビゲーション装置が生成する地図画像データ又は前記監視モニタ装置が生成する監視モニタ画像データである請求項2又は3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記転送頻度が転送割当時間である請求項1記載の車載用画像転送装置。
【請求項6】
前記転送頻度が転送順序である請求項1記載の車載用画像転送装置。
【請求項7】
前記車速センサが、車速の他、走行状況も検出し、前記転送頻度が、前記走行状況に応じて変化する請求項1記載の車載用画像転送装置。
【請求項8】
前記車速が、複数の車速範囲に分けられ、
前記車速が属する車速範囲が変化する毎に前記転送頻度を変化させる請求項1記載の車載用画像転送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−54293(P2010−54293A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218454(P2008−218454)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】