説明

車載用電子機器

【課題】 停車した車両の現在位置から所定範囲の一部が盗難多発エリアに重畳しているとき運転者に対し警告を報知する。
【解決手段】現在位置を検出する現在位置検出手段と、車両の停車を検出する車両状態検出手段と、盗難多発エリアのデータを記憶した盗難多発エリア記憶手段と、表示手段および音声報知手段からなる出力手段と、車両状態検出手段により車両の停車が検出されると、現在位置から所定範囲が盗難多発エリアに重畳しているか否かを検出し、重畳しているときに出力手段から盗難注意を促す警告を出力する制御手段と、を備えた構成とする。
を備え。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が停車したとき、車両の現在位置を中心とした所定範囲が盗難多発エリアに重畳しているとき盗難注意を促す警告を出力する車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両または車両内に載置された車載用電子機器の盗難が多発しており、盗難を防止するための策を施した車載用電子機器が望まれている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1(特開2004−355241号公報)には、車載用電子機器の盗難を防止する車両用通信ECUおよびその盗難監視方法の発明が開示されている。
【0004】
この特許文献1に開示された技術は、車載用電子機器が無線機を通じて外部との間で通信を行う装置に関するものであり、車載用電子機器の車両への取り付け状態を検出するセンサを設け、このセンサによって盗難時の異常な取り外しを監視するようにしたものである。そして、センサからの検出出力により無線機を通じて管理センターに盗難されたことを知らせるようになっており、同時に、当該無線機を使用不能にロックするようにもなっている。
【特許文献1】特開2004−355241号公報(段落[0018]〜段落[0020]、段落[0029]〜段落[0037]) 上記特許文献1に開示された車載用電子機器においては、車載用電子機器の車両への取り付け状態を検出するセンサを設け、センサが盗難時の異常な取り外しを検出し、この検出出力を無線機を通じて通信により外部の管理センターへと知らせるものであり、車載用電子機器の盗難を発見するために車載用電子機器本体とは別途でセンサを設けなければならずコストが高くなり、また外部の管理センターとの通信を行なわなくてはならないため、例えば通信障害が生じた場合などに盗難を発見することができなくなるという問題が生じる。
【0005】
このような問題を解決するために、本願の発明者等は既に特願2007−283500号の出願を行っており、この出願の中で、車載用電子機器に、車両の現在位置を検出する現在位置検出機能と、盗難多発エリアのデータと、車両の現在位置を判別するエリア判別機能と、車両の停車を検出する車両状態検出機能と、警告機能を設けることで、特別に外部との通信を必要とせずに車両が盗難多発エリア内で停車したことを検出すると盗難注意を促す警告を出力する車載用電子機器について開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車載用電子機器においては、例えば、市町村単位またはメッシュデータ単位でエリアを区切り、区切ったエリア毎の盗難発生率等のデータに基づき盗難多発エリアか否かを定めている。
【0007】
しかしながら、盗難多発エリアを定めたからといって、盗難多発エリアではないエリア(安全圏エリア)において必ずしも盗難が発生しないとは限らない。盗難多発エリアを定める基準が盗難発生率を考慮したものであれば、安全圏エリアは単に盗難発生率が低いだけであり、盗難発生がゼロというわけではない。したがって、安全圏エリアの中でも、盗難多発エリアに近い領域においては盗難多発エリア内と同様に盗難発生の危険性を有しているものと考えられ、盗難多発エリア内と同様に警告を出力することが望ましいと考えられる。
【0008】
しかしながら、特願2007−283500号に記載の発明では、停車した車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置したときにしか警告が出力されないものであり、盗難多発エリアの近くで停車した場合には何ら警告が出力されないという問題が生じる。
【0009】
そこで本願発明は、上記の問題を解消すべく種々検討を重ねた結果、停車した車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置していないことを検出したとき、車両の現在位置を中心とした所定範囲が盗難多発エリアに重畳しているか否かを検出し、重畳しているときに警告を出力する車載用電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本願の請求項1にかかる発明は、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
車両の停車を検出する車両状態検出手段と、
盗難多発エリアのデータを記憶した盗難多発エリア記憶手段と、
表示手段および/または音声報知手段からなる出力手段と、
前記車両状態検出手段により車両の停車が検出されると、前記現在位置から所定範囲が前記盗難多発エリアに重畳しているか否かを検出し、重畳しているときに前記出力手段から盗難注意を促す警告を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2にかかる発明は、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
車両の停車を検出する車両状態検出手段と、
盗難多発エリアのデータを記憶した盗難多発エリア記憶手段と、
表示手段および/または音声報知手段からなる出力手段と、
前記車両状態検出手段により車両の停車が検出されたとき、前記現在位置が前記盗難多発エリア内に位置していないことを検出すると、前記現在位置から所定範囲が前記盗難多発エリアに重畳しているか否かを検出し、重畳しているときに前記出力手段から盗難注意を促す警告を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる車載用電子機器において、
前記制御手段は、前記現在位置が前記盗難多発エリア内に位置しているときと、前記所定範囲が前記盗難多発エリアに重畳しているときとで異なる警告を前記出力手段から出力することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1から3の何れかにかかる車載用電子機器において、
前記車両状態検出手段は、車両のイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられた時点を車両が停車した時点として検出することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1から4の何れかにかかる車載用電子機器において、
前記車両状態検出手段は、車両の速度が検出できなくなった時点または車両の速度が検出できなくなってから所定時間が経過した時点を車両が停車した時点として検出することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1から5の何れかにかかる車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は、外部電源接続手段と、内部電源と、を備え、前記外部電源接続手段を介し外部電源から電源の供給を受け、
前記制御手段は、前記車両状態検出手段により車両の停車が検出されたとき前記外部電源からの電源供給を前記内部電源からの電源供給に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1にかかる発明においては、
車両状態検出手段により車両の停車が検出されると、現在位置から所定範囲が盗難多発エリアに重畳しているか否かを検出し、重畳しているときに出力手段から盗難注意を促す警告を出力する。
【0017】
このような構成をとることで、車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置していなくても車両の現在位置が盗難多発エリアの近傍に位置していれば盗難注意を促す警告を出力するので、盗難多発エリア以外のエリアにおける盗難も未然に防ぐことができる。
【0018】
請求項2に記載の発明においては、車両状態検出手段により車両の停車が検出されたとき、現在位置が盗難多発エリア内に位置していないことを検出すると、現在位置から所定範囲が盗難多発エリアに重畳しているか否かを検出し、重畳しているときに出力手段から盗難注意を促す警告を出力する。
【0019】
このような構成をとることで、車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置していなくても、車両の現在位置から所定範囲が盗難多発エリアに重畳していれば、車両の現在位置が盗難多発エリアの近傍に位置しているとして盗難注意を促す警告を出力するので、盗難多発エリア以外のエリアにおける盗難も未然に防ぐことができる。
【0020】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2にかかる車載用電子機器において、制御手段は、現在位置が盗難多発エリア内に位置しているときと、所定範囲が盗難多発エリアに重畳しているときとで異なる警告を出力手段から出力する。
【0021】
このような構成をとることで、車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置しているときと、所定範囲の一部が盗難多発エリアに重畳しているときとで異なる警告を出力することで、停車した位置に応じて異なる危険度にあった警告を出力することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明においては、請求項1から3の何れかにかかる車載用電子機器において、車両状態検出手段は、車両のイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられた時点を車両が停車した時点として検出する。
【0023】
このような構成をとることで、車両の停車を確実に検出することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明においては、請求項1から4の何れかにかかる車載用電子機器において、車両状態検出手段は、車両の速度が検出できなくなった時点または車両の速度が検出できなくなってから所定時間が経過した時点を車両が停車した時点として検出する。
【0025】
このような構成をとることで、車両のエンジンを切らない状態(イグニッションスイッチがONの状態)でも車両の停車を精度良く検出することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明においては、請求項1から5の何れかにかかる車載用電子機器において、車両状態検出手段により車両の停車が検出されたとき外部電源からの電源供給を内部電源からの電源供給に切り替える。
【0027】
このような構成をとることで、請求項4に記載したようにイグニッションスイッチをOFFにした状態であっても、車載用電子機器に対して電源が供給されるので、イグニッションスイッチがOFFの状態でも盗難注意を促す警告を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の具体例を実施例および図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車載用電子機器を例示するものであって、本発明をこの車載用電子機器に特定することを意図するものではなく、本実施例に例示する車載用電子機器にナビゲーション機能を併せ持った車載用ナビゲーション装置等、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0029】
図1は実施例の車載用電子機器1の要部構成を示すブロック図である。
【0030】
制御手段10は、CPU(図示せず)、RAM(図示せず)、ROM(図示せず)からなるプロセッサで構成され、RAM/ROMに記録された制御プログラムに基づき車載用電子機器1の各部の動作制御を行うものである。制御手段10の制御機能には、電源供給切替え機能(後述する外部電源と内部電源の切換え機能)、エリア判別機能、音声報知制御機能等が含まれている。
【0031】
現在位置検出手段11は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成される。さらに、現在位置検出手段11は、距離センサや方位センサ、蛇角センサなどからなる自律航法部を用いた構成としてもよく、自律航法部による現在位置検出方法は、GPS受信と組み合わせることでGPS電波を受信できないトンネル内や誤差が生じやすい高層ビル街において効果を発揮する。
【0032】
なお、携帯用電子機器等、自律航法部を備えていない電子機器においてはGPS受信機のみを用いた構成とする。
【0033】
入力手段12は、使用者が車載用電子機器1における各種操作入力を行うための操作キーまたは操作スイッチなどから構成される。
【0034】
表示手段13は、液晶ディスプレイなどで構成され、制御手段10による表示制御に基づき地図画像等を表示する。また、表示手段13は入力手段として機能させてもよく、この場合、表示手段13の表示画面に沿って設けられたタッチパネルを操作することで操作可能となる。
【0035】
車両状態検出手段14は、車両のイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられた時点、または車速が検出できなくなった時点、もしくは車速が検出できなくなってから所定時間が経過した時点を車両の停車時点として検出する。
【0036】
盗難多発エリア記憶手段15は、全体地図を所定の経度および緯度で区切った複数の矩形形状のメッシュデータと、各メッシュデータ上の位置座標データ、さらには、表示手段13に表示する地図画像データ等を記憶している。地図画像データには、施設位置・形状・名称を含む施設データ等が含まれている。また地図画像データには複数のカラーパレットを備えておき、盗難多発エリアにおいては例えばエリアを赤色で表示したりすることで使用者に対して盗難多発エリアの存在をより強調して示すことができる。
【0037】
また、盗難多発エリア記憶手段15には、車両盗難に関する盗難多発エリアデータ、車載用電子機器の盗難に関する盗難多発エリアデータを有している他、車両に対するイタズラ(パンク)等が多発しているエリアのデータを有することもできる。
【0038】
ここで、図2を用いて盗難多発エリア記憶手段15に記憶された盗難多発エリアデータの説明を行う。
【0039】
図2に示すように、すべてのメッシュデータについて盗難多発エリアであるか否かが設定されており、盗難多発エリアであるメッシュデータには(1)が設定されており(C4・C5・D4・D5、E5・E6・F5・F6)、盗難多発エリアではないメッシュデータには(0)が設定されている。
【0040】
なお、盗難多発エリアをメッシュデータ単位で設定するのではなく、行政単位で設定することもできる。
【0041】
図3は、鳥取県を例に挙げ、行政単位で盗難多発エリアが設定された例を示している。
【0042】
図3に示すデータでは、県・市・町・番地まで細かく区分けしてあり、番地毎に盗難多発エリアであるか否かが設定されている。図中においては、鳥取市AAA町1番地、2番地が盗難多発エリアとして(1)が設定されている。また、この他にも倉吉市BBA町1番地、2番地、3番地、BBB町1番地も盗難多発エリアとして(1)が設定されている。この他の地域に関しては盗難多発エリアではないということで(0)が設定されている。盗難多発エリアであるか否かの設定は番地毎に限らず、市毎、または町毎で設定するようにしてもよい。
【0043】
また、以下の説明では車両の盗難に関する盗難多発エリアデータ、または車載用電子機器の盗難に関する盗難多発エリアデータを単に盗難多発エリアデータとして説明する。
【0044】
音声報知手段16は、車載用電子機器1における各種音声報知を出力するものであり、スピーカ等で構成される。
【0045】
外部電源接続手段17は、車載用電子機器1と外部電源(図示せず)とを接続する接続手段であり、車載用電子機器1は通常は外部電源からの電源供給を受けて作動する。外部電源とは、例えばシガーソケットから供給される電源である。
【0046】
内部電源18は、車両の停車が検出されたとき、制御手段10の制御に基づき車載用電子機器1に電源の供給を行う。
【0047】
次に、図4のフローチャートを用いて本発明の車載用電子機器1における制御手段10の制御動作を説明する。
【0048】
なお、本フローチャートにおいて車両状態検出手段14は、イグニッションスイッチのON/OFFに基づき車両の停車を検出するものとする。
【0049】
車両状態検出手段14により車両のイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられたことが検出されると(ステップS1のY)、これまで外部電源から受けていた電源供給を内部電源へと切り替えを行う(ステップS2)。これにより、イグニッションスイッチがOFFに切り替えられた後でも車載用電子機器1は継続して作動し続けることができる。
【0050】
ステップS2の処理において電源の供給を外部電源から内部電源に切り替えると、次に、現在位置検出手段11が受信したGPS信号等の位置情報に基づき車両の現在位置を算出し(ステップS3)、盗難多発エリア記憶手段15に記憶された盗難多発エリアデータと、算出した車両の現在位置とを比較して、車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置しているか否かを検出する(ステップS4)。ステップS4における検出は、盗難多発エリアに対応したメッシュデータ上の位置座標データと車両現在位置の位置座標データとを比較することで判別する。
【0051】
図5は、車両の現在位置と盗難多発エリアの位置関係について説明した図であり、図5における(a)は車両の現在位置、(b)は盗難多発エリアを示している。盗難多発エリアは、全体の地図を所定の経度および緯度で区切った複数の矩形形状のメッシュデータで構成されており、また、本実施例においては、各メッシュデータをアルファベットと数字を用いて識別可能としており、図5における盗難多発エリアは二重線で囲まれたメッシュデータ(E5・E6・F5・F6)である。
【0052】
ステップS4の処理において車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置していると判別すると(ステップS4のY)、次に音声報知手段16を介して車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置しているという警告を出力する。警告は、例えば「現在位置は盗難多発エリア内に位置しています。危険ですので車両をすみやかに安全なエリアに移動させてください」または「現在位置は盗難多発エリア内に位置しています。車載用電子機器を取り外して下さい」等の警告を出力する(ステップS5)。このとき、音声報知手段16からは音声による警告を出力し、表示手段13からはメッセージによる警告を出力するようにしてもよい。なお、盗難注意を促す警告(音声警告データ)は、例えばRAM(図示しない)内、または別途設けた音声データ記憶手段に記憶する構成とし、制御手段10は、RAMまたは音声データ記憶手段から音声警告データを取り出して音声報知手段16を介して出力する。
【0053】
ステップS1の処理において車両のイグニッションスイッチがONのままであることが検出されると(ステップS1のN)、イグニッションスイッチがOFFに切り替えられるまで処理を継続する。
【0054】
ステップS6の処理において警告が終了したことを検出したときは(ステップS6のY)、ステップS7の処理に進み内部電源をOFFにして処理を終了し、ステップS6の処理において警告が終了していないことを検出すると(ステップS6のN)、警告が終了するまで出力を続ける。
【0055】
ステップS4の処理において、現在位置が盗難多発エリア内に位置していないことを検出すると(ステップS4のN)、ステップS8の処理に進み、ステップS3の処理において算出した車両の現在位置から半径所定距離の範囲(所定範囲)を算出し、ステップS9の処理において、所定範囲が盗難多発エリア記憶手段15に記憶された盗難多発エリアに重畳しているか否かの検出を行う。ステップS8の処理における半径所定距離は予めROMなどに記憶しておく。また使用者が入力手段12を介して所定距離を書き換えることもでき、このように書き換え可能とする場合は、RAMなどの書き換え可能な記憶媒体に記憶させるものとする。
【0056】
図6は、車両の現在位置から半径所定距離の範囲(所定範囲)と盗難多発エリアとの位置関係を示した図である。
【0057】
図6における(a´)は車両の現在位置、(b´)は盗難多発エリア、(c)は所定範囲を求めるための半径所定距離、(d)は車両の現在位置から半径所定距離の範囲(所定範囲)、(e)は盗難多発エリアに重畳する所定範囲の一部である。
【0058】
図6に示すように、車両の現在位置(a´)は、盗難多発エリア(b´)内には位置していないが、所定範囲(d)の一部(e)が盗難多発エリア(b´)に重畳している。
【0059】
このように、所定範囲が盗難多発エリアに重畳していることを検出すると(ステップS9のY)、ステップS10の処理において、音声報知手段16を介して車両が現在停車している位置は盗難多発エリアの近くであることを使用者に対し警告を出力する(ステップS10)。このとき、車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置しているときと(ステップS4のY)、所定範囲の一部が盗難多発エリアに重畳しているときとで(ステップS9のY)、異なる警告を出力することもできる。
【0060】
つまり、車両の現在位置が盗難多発エリア内に位置しているときは、盗難被害に遭う可能性が高いので、車両を安全なエリアに移動させる等の処置をとらなければならないため、例えば「現在位置は盗難多発エリア内に位置しています。危険ですので車両をすみやかに安全なエリアに移動させてください」等の警告を出力し、所定範囲の一部が盗難多発エリアに重畳しているような場合は、例えば「盗難多発エリアの近くに位置しています」等、現在位置が盗難多発エリアの近くに位置していることが分かる程度の警告を出力するようにする。
【0061】
その後ステップS11の処理において警告が終了したか否かを検出し、終了していないときは警告を継続し(ステップS11のN)、警告が終了したときは(ステップS11のY)、ステップS7の処理に進み内部電源をOFFにして処理を終了する。
【0062】
図4のフローチャートで説明したように所定範囲を算出する理由として、車載用電子機器1においては、例えば、市町村単位、またはメッシュデータ単位でエリアを区切り、区切ったエリア毎の盗難発生率等のデータに基づき盗難多発エリアか否かを定めているが、盗難多発エリアを定めたからといって盗難多発エリアではないエリア(安全圏エリア)において必ずしも盗難が発生しないとは限らない。つまり盗難多発エリアを定める基準が盗難発生率を考慮したものであれば、安全圏エリアは単に盗難発生率が低いだけであり盗難発生がゼロというわけではない。したがって、安全圏エリアの中でも、盗難多発エリアに近い領域においては盗難多発エリア内と同様に盗難発生の危険性を有しているものと考えられ、盗難多発エリア内と同様に警告を出力する必要があるからである。
【0063】
なお、実施例1では、予め盗難多発エリアのデータが設定され盗難多発エリア記憶手段15に記憶されている例を説明したが、使用者自身が盗難多発エリアを設定可能とすることもできる。その場合、使用者は、表示手段13に盗難多発エリアとして設定したい所望のエリアを含んだ地図画像を表示させ、表示された地図画像上のうち、盗難多発エリアとして設定したいエリアをタッチパネル機能を用いて四点座標の指定を行い、この四点で囲まれたエリアを盗難多発エリアとして設定することができる。このようにして設定された盗難多発エリアは、盗難多発エリア記憶手段15とは別に書き換え可能な記憶手段を設け、この記憶手段に記憶する方法をとってもよく、また、盗難多発エリア記憶手段15の中に書き換え可能な記憶領域を設け、この記憶領域に記憶するようにしてもよい。
【0064】
また、上記説明した使用者が地図画像上の四点座標を指定することで設定する方法以外にも、表示手段13に複数のエリアをリスト表示し、リスト表示されたエリアから所望するエリアを選択する方法も考えられる。この場合、使用者は、表示手段13にリスト表示されたエリアの中から盗難多発エリアとして設定したいエリアを選択することで、選択したエリアを盗難多発エリアとして設定可能となる。
【0065】
また、警察署等、盗難多発エリアデータを所有している機関から、通信等で盗難多発エリアのデータを受信し、受信したデータを用いて盗難多発エリア記憶手段15に記憶された盗難多発エリアのデータを自動的に追加、もしくはデータの更新を行うこともできる。こうした場合、車載用電子機器1には、新たに外部との通信を行う通信手段を設ける必要がある。
【0066】
また、車両のダッシュボード内に嵌め込む形で取り付けられるインダッシュタイプの車載用電子機器は、車両のバッテリーと接続することでバッテリーから電源の供給を受けるため、本願実施例で説明したような外部電源接続手段17や、内部電源18といった構成は有しない。したがって、このような車載用電子機器においては、本願実施例におけるフローチャート[図4]におけるステップS2の処理で説明したような電源供給の切換え制御は行わないものとする。そして、このような車載用電子機器における車両状態検出手段14は、車速が検出できなくなった時点もしくは車速が検出できなくなってから所定時間が経過した時点を車両が停車した時点として検出するものとする。
【0067】
以上、詳細に説明をしたように本発明の車載用電子機器1は、停車した車両の現在位置が盗難多発エリア内ではないことを検出したとき、車両の現在位置を中心とした所定範囲が盗難多発エリアに重畳しているときに警告を出力することで、車両または車載用電子機器の盗難を未然に防ぐことが可能となる。
【0068】
また、「発明を実施するための最良の形態」の冒頭でも述べたように、本願発明は、実施例で説明した車載用電子機器1に限定するものではなく、車両の現在位置を検出する機能と、盗難多発エリアのデータと、車両の停車を検出する機能と、車両の現在位置を判別する判別機能と、警告を行う機能を有する他の車載用電子機器においても適用可能なものとする。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の車載用電子機器1の要部を示すブロック図である。
【図2】盗難多発エリア記憶手段15に記憶された盗難多発エリアデータを示した図である。
【図3】行政区画単位で設定された盗難多発エリアデータを示した図である。
【図4】本発明の車載用電子機器1の制御手段10による制御動作を示すフローチャートである。
【図5】車両の現在位置と盗難多発エリアの位置関係を示した図である。
【図6】車両現在位置から所定範囲と盗難多発エリアの位置関係を示した図である。
【符号の説明】
【0070】
1・・・・車載用電子機器
10・・・制御手段
11・・・現在位置検出手段
12・・・入力手段
13・・・表示手段
14・・・車両状態検出手段
15・・・盗難多発エリア記憶手段
16・・・音声報知手段
17・・・外部電源接続手段
18・・・内部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
車両の停車を検出する車両状態検出手段と、
盗難多発エリアのデータを記憶した盗難多発エリア記憶手段と、
表示手段および/または音声報知手段からなる出力手段と、
前記車両状態検出手段により車両の停車が検出されると、前記現在位置から所定範囲が前記盗難多発エリアに重畳しているか否かを検出し、重畳しているときに前記出力手段から盗難注意を促す警告を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
車両の停車を検出する車両状態検出手段と、
盗難多発エリアのデータを記憶した盗難多発エリア記憶手段と、
表示手段および/または音声報知手段からなる出力手段と、
前記車両状態検出手段により車両の停車が検出されたとき、前記現在位置が前記盗難多発エリア内に位置していないことを検出すると、前記現在位置から所定範囲が前記盗難多発エリアに重畳しているか否かを検出し、重畳しているときに前記出力手段から盗難注意を促す警告を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記現在位置が前記盗難多発エリア内に位置しているときと、前記所定範囲が前記盗難多発エリアに重畳しているときとで異なる警告を前記出力手段から出力することを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記車両状態検出手段は、車両のイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられた時点を車両が停車した時点として検出することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記車両状態検出手段は、車両の速度が検出できなくなった時点または車両の速度が検出できなくなってから所定時間が経過した時点を車両が停車した時点として検出することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記車載用電子機器は、外部電源接続手段と、内部電源と、を備え、前記外部電源接続手段を介し外部電源から電源の供給を受け、
前記制御手段は、前記車両状態検出手段により車両の停車が検出されたとき前記外部電源からの電源供給を前記内部電源からの電源供給に切り替えることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−152575(P2010−152575A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328984(P2008−328984)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】