説明

車載通信装置

【課題】装置の立ち上がり時間に関するユーザの使い勝手を考慮した車載通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯機器と通信可能な通信モジュールを有する車載通信装置であって、ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることを予測するACCオン予測手段と、前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオン前に前記ACCスイッチがオンされることが予測された場合に、前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続を開始する通信接続手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの使い勝手を考慮した車載通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車内での安全な携帯電話の利用環境を構築するために、車載用のハンズフリーシステムが提案されている。中でも、携帯電話機とカーナビゲーションシステムを、例えばブルートゥースで接続し、カーナビゲーションシステムを利用してハンズフリーでの会話を実現したシステムが主流となりつつある。このようなシステムでは、ブルートゥースにより携帯電話機と通信を行う装置は、ACCスイッチがオンされてから携帯電話機との接続を開始するため、携帯電話機との接続が完了し、ハンズフリーシステムが立ち上がるまでに10秒程度待つ必要があり、ユーザの使い勝手はあまり良いとはいえなかった。
【0003】
装置の立ち上がり時間に関するユーザの使い勝手を考慮した車載用の機器としては、例えば、音声出力手段と画像表示手段を有し、ドアの開閉情報に基づいて、画像表示手段が立ち上がる前に、先に立ち上がる音声出力手段に、画像に先行して音声を出力させる車載情報提供システムが提案されているが(例えば、特許文献1参照)、音声出力のみに対応したものであり、ユーザの使い勝手は十分には向上していなかった。
【特許文献1】特開2005−24500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、従来から、装置の立ち上がり時間に関するユーザの使い勝手を考慮した車載用の機器が提案されていたが、ユーザの使い勝手は十分には向上していなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、装置の立ち上がり時間に関するユーザの使い勝手を考慮した車載通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明は、携帯機器と通信可能な通信モジュールを有する車載通信装置であって、ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることを予測するACCオン予測手段と、前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオン前に前記ACCスイッチがオンされることが予測された場合に、前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続を開始する通信接続手段とを有することを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に係る車載通信装置において、更に、前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることが予測されてから、又は、前記通信接続手段により前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続が完了してから、前記ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過するか否かを判別する時間経過判別手段を有し、前記通信接続手段は、前記時間経過判別手段により前記ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過すると判別された場合には、前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続を切断することを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、第1の発明に係る車載通信装置において、前記通信モジュールは、前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることが予測された場合に電源オンされると共に、前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることが予測されてから、又は、前記通信接続手段により前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続が完了してから、前記ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過するか否かを判別する時間経過判別手段と、前記時間経過判別手段により前記ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過すると判別された場合に、前記通信モジュールの電源をオフする強制電源オフ手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、第1乃至第3の何れか一項に記載の発明に係る車載通信装置において、前記携帯機器は携帯電話機であり、前記通信接続手段により前記携帯電話機と前記通信モジュールとの通信接続が開始されてから前記ACCスイッチがオンされるまでの間に前記携帯電話機に着信があるか否かを判別する着信判別手段を有し、前記通信接続手段は、前記着信判別手段により前記携帯電話機に着信があると判別された場合には、前記携帯電話機と前記通信モジュールとの通信接続を切断することを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、第1乃至第3の何れか一項に記載の発明に係る車載通信装置において、前記携帯機器は、車載ナビゲーション装置の機能を利用して使用できる携帯電話機であり、前記通信接続手段により前記携帯電話機と前記通信モジュールとの通信接続が開始されてから、前記ACCスイッチがオンされ前記車載ナビゲーション装置の起動が完了するまでの間に、前記携帯電話機に着信があるか否かを判別する着信判別手段を有し、前記通信接続手段は、前記着信判別手段により前記携帯電話機に着信があると判別された場合には、前記携帯電話機と前記通信モジュールとの通信接続を切断することを特徴とする。
【0011】
第6の発明は、第1乃至第5の何れか一項に記載の発明に係る車載通信装置において、前記ACCオン予測手段は、前記ACCスイッチのオフ時に車両ドアが開閉されたか否か又は車両ドアがロックからアンロックに移行されたか否かに基づいて、前記ACCスイッチがオンされることを予測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置の立ち上がり時間に関するユーザの使い勝手を考慮した車載通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0014】
〈実施例1〉
図1は本発明の実施例1の車載通信装置100の概略の構成例を示す図である。図1を用いて、車載通信装置100の概略の構成について説明する。
【0015】
図1に示す車載通信装置100は、通信モジュール10、表示部20、パワーマネージメントECU30、ACCオン検出手段40、ドア制御ECU50、ドア開閉検出手段60から構成されている。
【0016】
また、車載通信装置100中の通信モジュール10は、コントロール部11、通信接続手段12、時間経過判別手段13、着信判別手段14から構成されている。
【0017】
また、70は、所定の通信方式(例えば、ブルートゥースなど)により通信モジュール10と無線通信可能な携帯電話機である。
【0018】
通信モジュール10は、所定の通信方式(例えば、ブルートゥースなど)により、携帯電話機70と通信接続される。パワーマネージメントECU30は、電源系を制御する電子制御ユニットである。ACCオン検出手段40は、ACCスイッチがオンされているか否かを検出する。ここで、ACCとは、アクセサリー電源のことであり、オーディオシステムやカーナビゲーションシステムやETCなどの車両に搭載された様々なアクセサリーの電源として使用される。ACCは、一般に、キーをオフ位置から一段回した位置で通電し、キーをイグニションオン位置に回した状態でも通電している。ACCオン検出手段40の検出結果は、パワーマネージメントECU30に送られる。
【0019】
ドア制御ECU50は、ドアロックの解除/施錠や窓の開閉などを制御する電子制御ユニットである。ドア開閉検出手段60は、ドアが開閉されたことを検出する。ドア開閉検出手段60の検出結果は、ドア制御ECU50に送られる。ここで、ドア開閉検出の意味するところについて説明する。ドア開閉は、通常、車両が発進する直前に行われるものであり、キーが回され、ACCスイッチがオンになり、エンジンが間もなく始動することが予測できる。すなわち、ドア開閉により、「ACCスイッチがオンされる」ことが予測できるのであり、ドア開閉検出手段60は、「ACCスイッチのオフ時にACCスイッチがオンされる」ことを予測するACCオン予測手段として機能する。
【0020】
通信モジュール10、パワーマネージメントECU30、ドア制御ECU50は、車載LAN(例えば、CAN等のボデー多重など)によって、互いに接続され、双方向の通信が可能な状態になっている。
【0021】
また、通信モジュール10、パワーマネージメントECU30、ドア制御ECU50は、ACCスイッチを経由せずに、車両に搭載されているバッテリと接続されており、低消費電力動作モードと通常動作モードの2種類のモードで動作することができる。低消費電力動作モードでは、消費電力を低くするために必要最低限の機能のみを有効にし、通常動作モードでは全ての機能を有効にする。
【0022】
図2は本発明の実施例1の車載通信装置100の動作の例を示すフローチャートである。また、図3は本発明の実施例1の車載通信装置100を構成する着信判別手段14の動作の例を示すフローチャートである。図2及び図3を用いて、車載通信装置100の動作について説明する。
【0023】
初期状態では、ACCスイッチはオフされており、通信モジュール10、パワーマネージメントECU30、ドア制御ECU50は、低消費電力動作モードで動作しているものとする。低消費電力動作モードでは、通信モジュール10については、通信モジュール10中のコントロール部11が、パワーマネージメントECU30及びドア制御ECU50と通信する機能のみが有効になっており、通信結果に基づいて、通信モジュール10中のコントロール部11は、通信モジュール10を低消費電力動作モードから通常動作モードに遷移させることができる。また、低消費電力動作モードでは、パワーマネージメントECU30については、ACCオン検出手段40から入力される信号を監視する機能と通信モジュール10中のコントロール部11と通信する機能のみが有効となっている。また、低消費電力動作モードでは、ドア制御ECU50については、ドア開閉検出手段60から入力される信号を監視する機能と通信モジュール10中のコントロール部11と通信する機能のみが有効となっている。
【0024】
ステップ100では、ドア開閉検出手段60は、ドアが開いたか否かを検出する(S100)。ドアが開いたことを検出しない場合には、ステップ100の動作が繰り返される。ドアが開いたことを検出した場合には、ドア開閉検出手段60が検出した「ドアが開いた」との情報はドア制御ECU50に送られ、ステップ200の処理が実行される。
【0025】
ステップ200では、ドア制御ECU50は、ドア開閉検出手段60が検出した「ドアが開いた」との検出結果を車載LANを通して通信モジュール10中のコントロール部11に送信する(S200)。次に、ステップ300の処理が実行される。
【0026】
ステップ300では、通信モジュール10中のコントロール部11に送信されたドア制御ECU50からの「ドアが開いた」との検出結果に基づいて、通信モジュール10中のコントロール部11は、通信モジュール10の電源をオンにする。ここでいう「電源をオンにする」とは、低消費電力動作モードから通常動作モードに遷移し、携帯電話機70との無線通信を可能にすることを含む全ての機能を有効にすることを言う。次に、コントロール部11の指令により、通信接続手段12は、携帯電話機70と通信モジュール10とを所定の通信方式により通信接続する(S300)。「通信接続手段12により、携帯電話機70と通信モジュール10とが通信接続された」との情報は、コントロール部11から着信判別手段14に送られる。次に、ステップ400の処理が実行される。
【0027】
ステップ400では、ACCオン検出手段40は、ACCスイッチがオンされているか否かを検出し、検出結果は、パワーマネージメントECU30に送られる(S400)。ACCオン検出手段40が「ACCスイッチがオンされている」ことを検出した場合には、ステップ500の処理が実行された後、図2のフローチャートの処理は終了する。
【0028】
ステップ500では、パワーマネージメントECU30は、ACCオン検出手段40の「ACCスイッチがオンされている」との検出結果を車載LANを通して通信モジュール10中のコントロール部11に送信する。送信を受けた通信モジュール10中のコントロール部11は、表示部20に、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が完了している旨を表示する(S500)。「ACCスイッチがオンされている」との情報と、「表示部20に、所定の表示がされた」との情報は、コントロール部11から着信判別手段14に送られる。
【0029】
ステップ400において、ACCオン検出手段40が「ACCスイッチがオンされていない」ことを検出した場合には、ステップ600の処理が実行される。ステップ600では、パワーマネージメントECU30は、ACCオン検出手段40の「ACCスイッチがオンされていない」との検出結果を車載LANを通して通信モジュール10中のコントロール部11に送信する。また、時間経過判別手段13は、通信接続手段12が、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続を完了してからACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過したか否かを判別する(S600)。時間経過判別手段13が「ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過した」ことを判別した場合には、判別結果は、コントロール部11に送られ、ステップ700の処理が実行された後、図2のフローチャートの処理は終了する。尚、所定の時間は任意に設定すればよいが、例えば60秒程度である。また、時間経過判別手段13が「ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過した」ことを判別しなかった場合には、ステップ400の処理が実行される。
【0030】
ステップ700では、通信モジュール10中のコントロール部11は、時間経過判別手段13の「ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過した」との判別結果に基づいて、通信モジュール10の電源をオフにする(S700)。ここでいう「電源をオフにする」とは、通常動作モードから低消費電力動作モードに遷移し、通信モジュール10中のコントロール部11が、パワーマネージメントECU30及びドア制御ECU50と通信する機能のみを有効にし、少なくとも携帯電話機70との無線通信を可能にすることを無効にすることを言う。
【0031】
次に、図3を用いて、着信判別手段14の動作について説明する。ステップ800では、着信判別手段14は、コントロール部11から送られる情報に基づいて、携帯電話機70と通信モジュール10は通信接続されたか否かを判別する(S800)。着信判別手段14が「携帯電話機70と通信モジュール10は通信接続されていない」と判別した場合には、図3のフローチャートの処理は終了する。着信判別手段14が「携帯電話機70と通信モジュール10は通信接続されている」と判別した場合には、ステップ810の処理が実行される。
【0032】
ステップ810では、着信判別手段14は、コントロール部11から送られる情報に基づいて、「ACCスイッチがオンされている」かつ「表示部20に、所定の表示がされた」か否か(車載ナビゲーション装置の表示部などの機能を利用して携帯電話機70が使用される場合には、ACCスイッチがオンかつ車載ナビゲーション装置の起動が完了されているか否か)を判別する(S810)。ここで、所定の表示とは、例えば、初期表示や携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が完了している旨の表示をいう。着信判別手段14が、「ACCスイッチがオンされている」かつ「表示部20に、所定の表示がされた」と判別した場合には、図3のフローチャートの処理は終了する。着信判別手段14が、「ACCスイッチがオンされている」かつ「表示部20に、所定の表示がされた」と判別しなかった場合には、ステップ820の処理が実行される。
【0033】
ステップ820では、着信判別手段14は、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が開始されてから、ACCスイッチのオン後に表示部20に所定の表示(例えば、初期表示や携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が完了している旨の表示)が出るまでの間に携帯電話機70に着信があったか否かを判別する(S820)。着信判別手段14が「携帯電話機70に着信があった」ことを判別した場合には、判別結果は、コントロール部11に送られ、ステップ830の処理が実行された後、図3のフローチャートの処理は終了する。着信判別手段14が「携帯電話機70に着信があった」ことを判別しなかった場合には、図3のフローチャートの処理は終了する。
【0034】
ステップ830では、通信モジュール10中のコントロール部11は、着信判別手段14の「携帯電話機70に着信があった」との判別結果に基づいて、通信接続手段12に、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続を切ることを指令する。指令を受けた通信接続手段12は、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続を切る(S830)。
【0035】
尚、携帯電話機70のユーザは、車載ナビゲーション装置の機能(表示部やスピーカなど)を利用して携帯電話機70を使用することができる。
【0036】
以上で、図2及び図3のフローチャートの動作説明は終わりであるが、次に、図2及び図3のフローチャートを実行することによって得られる効果について説明する。
【0037】
従来の車載通信装置では、ACCスイッチがオンされてから、通信モジュールの電源がオンされ、携帯電話機と通信モジュールの通信接続が開始される。その結果、ACCスイッチがオンになってから、携帯電話機と通信モジュールの通信接続が完了するまでに、例えば10秒程度の時間を要する。携帯電話機のユーザは、携帯電話機と通信モジュールの通信接続が完了するまで待たなければ、携帯電話機を使用することができず、ユーザの使い勝手は、あまりよくはなかった。
【0038】
これに対し、本発明の実施例1の車載通信装置100では、ドア開閉検出手段60が、ドアが開いたことを検出することで、ACCスイッチがオンされることを予測し(S100)、その時点で、通信モジュール10の電源がオンされ、携帯電話機70と通信モジュール10は、通信接続手段12によって、通信接続が開始され、例えば10秒程度で通信接続が完了する(S300)。ドアが開いてから、ACCスイッチがオンになるまで10秒以上必要であると考えられるので、ACCスイッチがオンになる前に、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が完了する。その結果、携帯電話機70のユーザは、ACCスイッチがオンされた後、車載ナビゲーション装置の起動が完了した後すぐに、車載ナビゲーション装置の機能(表示部やスピーカなど)を利用して携帯電話機70を使用すること(例えばハンズフリー通話を行うこと)ができる。尚、この場合には、車載ナビゲーション装置(通信モジュール10を除く)を早く起動させるため、ドア開閉検出手段60(ACCオン予測手段)の検出結果に基づいて、通信モジュール10の電源がオンされるのと同時に、車載ナビゲーション装置(通信モジュール10を除く)の電源もオンされることが望ましい。
【0039】
また、本発明の実施例1の車載通信装置100では、ACCオン検出手段40が、ACCスイッチがオンされていないことを検出した場合で(S400のN)、かつ、時間経過判別手段13が、通信接続手段12が携帯電話機70と通信モジュール10とを通信接続を完了してからACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過したことを検出した場合には(S600のY)、通信モジュール10の電源はオフされ、通信モジュール10は、低消費電力動作モードに遷移する(S700)。この結果、車両に搭載されているバッテリが無駄に放電することを防止することができる。
【0040】
また、本発明の実施例1の車載通信装置100では、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が開始されてから、ACCスイッチのオン後に表示部20に所定の表示が出るまでの間に、着信判別手段14が「携帯電話機70に着信があった」ことを検出した場合には(S800のY)、通信モジュール10中のコントロール部11は、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続を切る(S900)。これは一般に、携帯電話機と通信可能な通信モジュールを有する車載通信装置の場合には、携帯電話機と通信モジュールが通信接続されている状態では、携帯電話機の着信音を鳴らさないものが多いことを考慮したものである。
【0041】
すなわち、本発明の実施例1の車載通信装置100では、実際に携帯電話機70の使用が可能になるのは、ACCスイッチがオンされた後に車載ナビゲーション装置の起動が完了し、表示部20に携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が完了している旨が表示(S500)された後である。もしも、表示部20に、係る表示が出る前に、携帯電話機70に着信があったときに、通信モジュール10との通信接続に起因してその携帯電話機70の着信音がならない場合には、表示部20には、まだ所定の表示がされないため、ユーザは、着信に気づくことができず、携帯電話機70の通常使用及び車載ナビゲーション装置の機能を利用した使用の双方をすることができないことが起こり得る。そこで、このような場合には、通信モジュール10中のコントロール部11は、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続を切る(S900)ことにより、携帯電話機70が単体で動作できるようになる。この結果、携帯電話機70単体で着信音を鳴らすことができるようになり、ユーザは、車両外で通常使用するように、携帯電話機70を使用することができる。
【0042】
このように、本発明によれば、装置の立ち上がり時間に関するユーザの使い勝手を考慮した車載通信装置を提供することができる。
【0043】
〈実施例2〉
図4は本発明の実施例2の車載通信装置200の概略の構成例を示す図である。同図中、図1と同一部品については、同一符号を付し、その説明は省略する。図1と異なる部分は、携帯電話機70が、所定の通信方式(例えば、ブルートゥースなど)により通信モジュール10と通信可能なポータブルオーディオプレーヤ80に置換されたことである。
【0044】
通信モジュール10及び表示部20は、例えば、車載ナビゲーション装置の一機能として実現することができる。
【0045】
図5は本発明の実施例2の車載通信装置200の動作の例を示すフローチャートである。同図中、図2と同一部分については、同一符号を付し、その説明は省略する。図2と異なる部分は、携帯電話機が、ポータブルオーディオプレーヤに置換された点である。
【0046】
図5のフローチャートにおける各ステップの動作に関しては、通信接続される携帯機器がポータブルオーディオプレーヤ80になったことを除いて、図2の場合と全く同様であるため、その説明は省略し、効果に関してのみ以下に説明する。
【0047】
従来の車載通信装置では、ACCスイッチがオンされてから、通信モジュールの電源がオンされ、ポータブルオーディオプレーヤと通信モジュールの通信接続が開始される。その結果、ACCスイッチがオンになってから、ポータブルオーディオプレーヤと通信モジュールの通信接続が完了するまでに、例えば10秒程度の時間を要する。ポータブルオーディオプレーヤのユーザは、ポータブルオーディオプレーヤと通信モジュールの通信接続が完了するまで待たなければ、ポータブルオーディオプレーヤを使用することができず、ユーザの使い勝手は、あまりよくはなかった。
【0048】
これに対し、本発明の実施例2の車載通信装置200では、ドア開閉検出手段60が、ドアが開いたことを検出することで、ACCスイッチがオンされることを予想し(S100)、その時点で、通信モジュール10の電源がオンされ、ポータブルオーディオプレーヤ80と通信モジュール10は、通信接続手段12によって、通信接続が開始され、例えば10秒程度で通信接続が完了する(S300)。ドアが開いてから、ACCスイッチがオンになるまで10秒以上必要であると考えられるので、ACCスイッチがオンになる前に、ポータブルオーディオプレーヤ80と通信モジュール10の通信接続が完了する。その結果、ポータブルオーディオプレーヤ80のユーザは、ACCスイッチがオンされた後、車載ナビゲーション装置の起動が完了した後すぐに、車載ナビゲーション装置の機能(表示部やスピーカなど)を利用してポータブルオーディオプレーヤ80を使用することができる。尚、この場合には、車載ナビゲーション装置(通信モジュール10を除く)を早く起動させるため、ドア開閉検出手段60(ACCオン予測手段)の検出結果に基づいて、通信モジュール10の電源がオンされるのと同時に、車載ナビゲーション装置(通信モジュール10を除く)の電源もオンされることが望ましい。
【0049】
また、本発明の実施例2の車載通信装置200では、ACCオン検出手段40が、ACCスイッチがオンされていないことを検出した場合で(S400のN)、かつ、時間経過判別手段13が、通信接続手段12がポータブルオーディオプレーヤ80と通信モジュール10との通信接続を完了してからACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過したことを検出した場合には(S600のY)、通信モジュール10の電源はオフされ、通信モジュール10は、低消費電力動作モードに遷移する(S700)。この結果、車両に搭載されているバッテリが無駄に放電することを防止することができる。
【0050】
このように、本発明によれば、装置の立ち上がり時間に関するユーザの使い勝手を考慮した車載通信装置を提供することができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0052】
例えば、実施例1では、通信モジュール10と通信接続する携帯機器の例として携帯電話機70を、実施例2では、通信モジュール10と通信接続する携帯機器の例としてポータブルオーディオプレーヤ80を示したが、本発明は、これらの携帯機器に限定されることなく適用できる。例えば、携帯機器は、ポータブルビデオプレーヤなどでも構わない。
【0053】
また、実施例1及び実施例2では、コントロール部11、時間経過判別手段13、着信判別手段14は、通信モジュール10に内蔵される構成となっているが、通信モジュール10の外部に設けるような構成としてもよい。その場合には、初期状態ではコントロール部11のみを低消費電力モードとしておき、通信モジュール10の電源は完全にオフであっても構わない。
【0054】
また、本発明の車載通信装置を構成する通信モジュール10と通信接続されるポータブルオーディオプレーヤ80などの携帯機器は、必ずしも車載用の機器でなくても構わない。
【0055】
また、実施例1及び実施例2では、ACCオン予測手段としてドアが開いたか否かを検出するドア開閉検出手段を用いる例を示したが、ドアが開状態から閉まったか否かを検出するもの、或いは、ドアが閉状態から開いてその後に閉まったか否かを検出するものであってもよい。
【0056】
また、実施例1及び実施例2では、ACCオン予測手段としてドア開閉検出手段を用いる例を示したが、例えば、ACCスイッチのオフ時に車両ドアがロックからアンロックに移行されたか否かを検出するドアロック解除検出手段、ACCスイッチのオフ時に車両シートに着座されたか否かを検出する着座検出手段など、ACCスイッチがオンになる前に動作するもの(ACCスイッチのオフ時にACCスイッチがオンされることを予測できるもの)であれば、どのようなものでも構わない。
【0057】
また、実施例1及び実施例2では、時間経過判別手段13が「通信接続手段12が、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続を完了してからACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過したか否かを判別する」例を示したが、時間経過判別手段13が「ACCオン予測手段が、ACCスイッチがオンされることを予測してからACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過したか否かを判別する」ようにしても本発明の効果は得られる。
【0058】
また、実施例1及び実施例2では、図2又は図5のフローチャートにおけるステップ500で、表示部20に、携帯電話機70又はポータブルオーディオプレーヤ80と通信モジュール10との通信接続が完了している旨を表示するが、表示の代わりに、又は表示に加えて音声等による案内をするようにしても構わない。
【0059】
また、実施例1及び実施例2では、図2又は図5のフローチャートにおけるステップ700で、通信モジュール10中のコントロール部11は、時間経過判別手段13の「ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過した」との判別結果に基づいて、通信モジュール10の電源をオフにするが、通信モジュール10の電源をオフにする代わりに、携帯機器と通信モジュールとの通信接続を切断しても構わない。いずれの場合にも、車両に搭載されているバッテリが無駄に放電することを防止することができる。
【0060】
また、実施例1では、図3のフローチャートにおけるステップ810で、着信判別手段14は、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が開始されてから、ACCスイッチのオン後に表示部20に所定の表示が出るまでの間に携帯電話機70に着信があったか否かを判別する例を示したが、例えば車載ナビゲーション装置の機能を利用して使用できる携帯電話機の場合であれば、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が開始されてから、ACCスイッチがオンされ車載ナビゲーション装置の起動が完了するまでの間に、携帯電話機70に着信があるか否かを判別するようにすればよい。また、携帯電話機70と通信モジュール10との通信接続が開始されてから、ACCスイッチがオンされるまでの間に、携帯電話機70に着信があるか否かを判別するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例1の車載通信装置100の概略の構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の車載通信装置100の動作の例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例1の車載通信装置100を構成する着信判別手段14の動作の例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2の車載通信装置200の概略の構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の車載通信装置200の動作の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10 通信モジュール
11 コントロール部
12 通信接続手段
13 時間経過判別手段
14 着信判別手段
20 表示部
30 パワーマネージメントECU
40 ACCオン検出手段
50 ドア制御ECU
60 ドア開閉検出手段
70 携帯電話機
80 ポータブルオーディオプレーヤ
100 車載通信装置
200 車載通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器と通信可能な通信モジュールを有する車載通信装置であって、
ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることを予測するACCオン予測手段と、
前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオン前に前記ACCスイッチがオンされることが予測された場合に、前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続を開始する通信接続手段とを有することを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
更に、前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることが予測されてから、又は、前記通信接続手段により前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続が完了してから、前記ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過するか否かを判別する時間経過判別手段を有し、
前記通信接続手段は、前記時間経過判別手段により前記ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過すると判別された場合には、前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続を切断することを特徴とする請求項1記載の車載通信装置。
【請求項3】
前記通信モジュールは、前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることが予測された場合に電源オンされると共に、
前記ACCオン予測手段により前記ACCスイッチのオフ時に前記ACCスイッチがオンされることが予測されてから、又は、前記通信接続手段により前記携帯機器と前記通信モジュールとの通信接続が完了してから、前記ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過するか否かを判別する時間経過判別手段と、
前記時間経過判別手段により前記ACCスイッチがオンされるまでに所定の時間が経過すると判別された場合に、前記通信モジュールの電源をオフする強制電源オフ手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の車載通信装置。
【請求項4】
前記携帯機器は携帯電話機であり、
前記通信接続手段により前記携帯電話機と前記通信モジュールとの通信接続が開始されてから前記ACCスイッチがオンされるまでの間に前記携帯電話機に着信があるか否かを判別する着信判別手段を有し、
前記通信接続手段は、前記着信判別手段により前記携帯電話機に着信があると判別された場合には、前記携帯電話機と前記通信モジュールとの通信接続を切断することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の車載通信装置。
【請求項5】
前記携帯機器は、車載ナビゲーション装置の機能を利用して使用できる携帯電話機であり、
前記通信接続手段により前記携帯電話機と前記通信モジュールとの通信接続が開始されてから、前記ACCスイッチがオンされ前記車載ナビゲーション装置の起動が完了するまでの間に、前記携帯電話機に着信があるか否かを判別する着信判別手段を有し、
前記通信接続手段は、前記着信判別手段により前記携帯電話機に着信があると判別された場合には、前記携帯電話機と前記通信モジュールとの通信接続を切断することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の車載通信装置。
【請求項6】
前記ACCオン予測手段は、前記ACCスイッチのオフ時に車両ドアが開閉されたか否か又は車両ドアがロックからアンロックに移行されたか否かに基づいて、前記ACCスイッチがオンされることを予測することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の車載通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−12577(P2009−12577A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175491(P2007−175491)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】