説明

車載電力線通信装置およびこれを用いた車両

【課題】通信部に充電装置または蓄電装置から電力が供給される前であっても、認証装置と車両との間で通信ができ、これにより認証手続きを行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】車載電力線通信装置13は、車両2の本体外の認証装置としてのPC8と電力線4を介して通信する通信部13bと、通信部13bに接続されると共に通信部13bに電力を供給するバッテリ13dとを備え、通信部13bは、充電装置3または蓄電装置10から電力が供給される前に、電力線4を介してPC8と認証用通信ができる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電力線通信装置およびこれを用いた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境にやさしい車両として、蓄電装置と駆動装置としてのモータとを搭載し、蓄電装置の充電電力を用いてモータを駆動する電気自動車が注目されつつある。このような車両では、外部の充電装置から電力の受電が行われていた。すなわち、車両では、外部の充電装置から電力線を介して電力が供給され、給電された電力を蓄電装置に充電していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−252016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般住宅で充電装置を使用する場合、住宅に隣接した場所に充電装置が設置される。そして、充電装置は住宅内の電源に接続され、車両に電力が供給される。どの車両に対しても電力が供給されるとすると盗電される可能性もある。そこで、認証装置と車両との間で認証手続きを行い、認証ができた車両にのみ電力を供給するようにすれば、盗電を防止できる。
【0005】
しかしながら、車両所有者が充電作業などのために車両を離れる場合、車両が勝手に発進するなど動き出さないように各部を停止状態にしてから車両キーを外す、すなわち安全のために蓄電装置から通信部など各回路部やモータ駆動部へ電力が供給されず、各部の動作が停止しているため認証手続きを行えなかった。一方、車両本体外の充電装置から電力を供給することも考えられるが、車両が認証されるまでは電力が供給されず、車両内の通信部に電力が供給されなかった。これにより、認証装置と車両との間で通信ができず、認証手続きを行えないという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、通信部に充電装置または蓄電装置から電力が供給される前であっても、認証装置と車両との間で通信ができ、これにより認証手続きを行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の車載電力線通信装置は、車両本体外の充電装置から電力線を介して供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電した電力により車輪を回転させる車輪駆動部とを有する車両に備えられるものであって、車両本体外の認証装置と電力線を介して通信する通信部と、通信部に接続されると共に通信部に電力を供給する電源部とを備え、通信部は、充電装置または蓄電装置から電力が供給される前に、電力線を介して認証装置と認証用通信ができる構成としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の車両は、上記した車載電力線通信装置と、車両本体外の充電装置から電力線を介して供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置の電力により車輪を回転させる車輪駆動部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車載電力線通信装置は、車両本体外の認証装置と電力線を介して通信する通信部と、通信部に接続されると共に通信部に電力を供給する電源部とを備え、通信部は、充電装置または蓄電装置から電力が供給される前に、電力線を介して認証装置と認証用通信ができる構成としたので、通信部は電源部から常に電力が供給され、回路を動作させることができる。このため、通信部は、充電装置または蓄電装置から電力が供給されなくても、認証装置と電力線を介して認証用通信ができる。
【0010】
また本発明の車両は、上述した車載電力線通信装置と、車両本体外の充電装置から電力線を介して供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置の電力により車輪を回転させる車輪駆動部とを備えているので、車載電力線通信装置は電力を供給されなくても内部の通信部は電源部から常に電力が供給され、回路を動作させることができる。これにより、車両本体外の認証装置は電力線を介していつでも車載電力線通信装置と認証手続きができ、認証装置が認証できた車両にのみ充電装置から電力線を介し蓄電装置に電力を供給させることができるので、悪意のある者による電力の盗電を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における車両充電システムの構成を示す概要図
【図2】同車両充電システムの構成を示すブロック図
【図3】同車両充電システムの車両の主要部の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一または相当の部分には同一の符号を付して説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1〜図3を参照しながら、本発明の実施の形態における車両充電システムについて説明する。ここでは、車両として、蓄電装置と車輪を回転させる車輪駆動部としてのモータとを搭載し、蓄電装置の充電電力を用いてモータを駆動する電気自動車の場合を例として説明する。
【0014】
まず、図1は、本発明の実施の形態における車両充電システム1の構成を示す概要図である。図1において、車両充電システム1は、充電装置3と、充電装置3と電力線4を介して接続された車両2とを備えている。
【0015】
車両保有者は、充電作業のために車両2から離れる際、車両2が勝手に発進するなど動き出さないように車両2を停止状態にしてから車両キーを外す、すなわち安全のために蓄電装置10から各回路部やモータ駆動部への電力の供給を停止させる。そして、車両保有者により、車両2と充電装置3とが電力線4を介して接続される。これにより、充電装置3から電力線4を介して車両2の給電口5に電力が供給できるようになる。
【0016】
車両2は、給電口5から供給された電力を本体内の蓄電装置10に蓄電する。充電作業を完了した後、車両2は、蓄電装置10に蓄電された電力を用いてモータで車輪を回転させ、他の場所に移動することができる。
【0017】
充電装置3は、住宅6に隣接した場所に設置され、住宅6の宅内にある電源7の電力線7aに設けられているコンセントに電源プラグが接続される。これにより、必要な電力が住宅6の電源7から充電装置3に供給される。
【0018】
このような構成により、車両充電システム1では、充電装置3から電力線4を介して車両2に電力を供給できるようになる。また、どの車両2にでも電力を供給できるようにすると盗電される可能性もあるので、認証装置と車両2との間で認証手続きを行い、認証ができた車両2にのみ電力を供給し、盗電を防止する。この盗電防止の詳細については後述する。
【0019】
次に、車両充電システム1の詳細な構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態における車両充電システム1の構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、住宅6の電力線7aには、認証装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記す)8が電力線通信装置9を介して接続されている。PC8を用いることで、車両保有者は専用の認証装置を購入する必要がなく、容易に、安価に認証環境を整えることができる。PC8は、車両2の認証結果に基づいて充電装置3の制御を行う。車両2には予め固有の登録情報18aを登録させておく。
【0021】
PC8は、電力線通信装置9、電力線7aおよび電力線4を介して車両2の車載電力線通信装置13と通信し、車載電力線通信装置13から登録情報18aを取得する。そして、PC8は予め読み取ったICカード8aの認証情報と登録情報18aとを照合し、照合が一致した場合、車両2は登録された車(以下、「登録車」と記す)と判断する。この場合、PC8は充電装置3を制御し、充電装置3から電力線4を介して登録車である車両2に電力を供給する。このようにして、悪意のある者による盗電を防止する。
【0022】
充電装置3は、電力線通信部3aと、充電制御部3bと、接続部3cとを備えている。
【0023】
電力線通信部3aは、PC8から電力線通信装置9、電力線7aを介して送信される制御信号を復調する。充電制御部3bは、電力線通信部3aで復調された制御信号に基づいて、接続部3cにより電力線7aと電力線4とを電気的に接続状態または非接続状態にする。具体的には、接続部3cはスイッチで構成される。接続部3cは制御信号により接続状態、すなわち閉状態、または非接続状態、すなわち開状態に制御される。
【0024】
例えば、PC8は、認証結果により車両2を登録車と判断した場合、接続部3cを閉状態にさせる制御信号を電力線通信部3aに送信する。これにより、充電制御部3bは、接続部3cに閉状態、すなわち接続状態にする制御信号を送信する。これにより、充電装置3から車両2に電力線4を介して電力が供給される。
【0025】
一方、PC8により車両2が未登録車と判断された場合、PC8は電力線通信部3a、充電制御部3bを介して接続部3cに開状態にさせる制御信号を送信する。これにより、接続部3cが開状態、すなわち非接続状態となり、充電装置3から車両2に電力は供給されない。
【0026】
ここで、接続部3cが開状態の場合、電力線7aと電力線4とが接続されないため、通信回線が接続部3cのところで途絶えてしまう。
【0027】
そこで本実施の形態では、接続部3cの端子間に高周波信号を通過させるコンデンサ3dを設けた。これにより、接続部3cが非接続状態、すなわち電力線7aと電力線4とが接続されない場合でも、高周波信号(例えば、認証用通信信号)はコンデンサ3dにより接続部3cを迂回することができ、これによりPC8と車両2とが通信できる。すなわち、接続部3cが非接続状態であっても、PC8は電力線通信装置9、電力線7a、コンデンサ3dおよび電力線4を介して車両2と通信することができる。
【0028】
車両2は、給電口5、蓄電装置10、スイッチ11、車両制御部12、車載電力線通信装置13、スイッチ14、モータ駆動部15、モータ16、車輪17および登録情報記憶部18を備えている。
【0029】
車両2には、充電装置3から給電口5に接続された電力線4を介して蓄電装置10に電力が供給される。
【0030】
蓄電装置10は、電力変換部であるAC/DC変換部10aと、モータ用バッテリ10bと、車載機器用バッテリ10cとを備えている。
【0031】
AC/DC変換部10aは、電力を交流から直流に変換するものである。交流(例えば、電圧100ボルト〜200ボルト)を直流(例えば、モータ用バッテリ10b用として電圧約50ボルト〜300ボルトまたは車載機器用バッテリ10c用として電圧12ボルト〜14ボルト)に変換する。
【0032】
モータ用バッテリ10bはスイッチ14を介してモータ駆動部15と接続されている。なお、モータ用バッテリ10bは蓄電した約300ボルトの内部電圧を、例えば600ボルト〜700ボルトに昇圧する昇圧部(図示せず)を備えており、昇圧部により600ボルト〜700ボルトの直流の電力をモータ駆動部15に供給する。また、車載機器用バッテリ10cは、スイッチ11を介して車両制御部12、車載電力線通信装置13と接続されている。
【0033】
接続部であるスイッチ11は、例えば車両キーにより車両2が始動状態にされると閉状態、すなわち接続状態となり、車載機器用バッテリ10cの電力がスイッチ11を介して車両制御部12、車載電力線通信装置13に供給される。一方、車両キーにより車両2が停止状態にされると開状態、すなわち非接続状態となり、車載機器用バッテリ10cの電力が車両制御部12、車載電力線通信装置13に供給されない。
【0034】
同様に、車両キーにより車両2が始動状態にされるとスイッチ14が閉状態、すなわち接続状態になり、モータ用バッテリ10bの電力がスイッチ14を介してモータ駆動部15に供給される。
【0035】
一方、車両キーにより車両2が停止状態にされるとスイッチ14が開状態、すなわち非接続状態になり、モータ用バッテリ10bの電力がモータ駆動部15に供給されない。
【0036】
モータ駆動部15は、モータ用バッテリ10bから供給された電力を用いてモータ16を回転させる。モータ16は車輪17に連結され、車輪17を回転させる。
【0037】
このように、充電作業中は車両キーにより車両2が停止状態にされるので、スイッチ14が開状態になり、モータ駆動部15に電力が供給されない。これにより、充電中にモータ16が回転し車輪17が回転して車両2が誤発進することを防ぐ。このようにして安全性を向上させている。
【0038】
また、車両2を停止状態にする場合には、モータ用バッテリ10bからモータ駆動部15に電力を供給しないので、電力消費が抑えられる。
【0039】
同様に、車両2を停止状態にする場合、スイッチ11を開状態にし、車両制御部12、車載電力線通信装置13およびその他の車載機器に電力が供給されないので、車載機器用バッテリ10cの電力消費が抑えられる。
【0040】
車載電力線通信装置13は、登録情報記憶部18に接続されると共に登録情報記憶部18に予め登録および記憶されている登録情報18aを読み出すことができる。登録情報18aには車両2を識別するための情報(例えば、充電を許可された車両2の登録番号など)が記録されている。
【0041】
車載電力線通信装置13は、後述するように、充電装置3から電力線4を介して認証手続きの信号を受信した場合、登録情報記憶部18から登録情報18aを読み出し、読み出した登録情報18aを返信する。また、車載電力線通信装置13は、図示していないが、車内の通信線を介して他の車載機器と接続されている。
【0042】
次に、車両充電システム1の全体構成が理解されたところで、本実施の形態の特徴部分である車載電力線通信装置13について詳細に説明する。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態における車両充電システム1の車両2の主要部の構成を示すブロック図である。図3に示すように、車載電力線通信装置13は、カップラー13aと、通信部13bと、電力変換部であるAC/DC変換部13cと、電源部であるバッテリ13dとを備えている。
【0044】
カップラー13aは、電力線4を介して供給される交流の電力(例えば、電圧100ボルト〜200ボルト)から通信信号の取り出し、または、通信信号を重畳させるものである。
【0045】
通信部13bは、カップラー13a、電力線4を介して充電装置3と通信を行う。通信部13bには、登録情報記憶部18が接続されている。通信部13bは、電力線4を介して認証手続きの信号を受信した場合には、車両2を識別するための登録情報18aを登録情報記憶部18から読み出し、読み出した登録情報18aを充電装置3に返信する構成とした。登録情報18aは、予めICカード8a(図2)を用いて登録すべき車両2に認証用情報として登録したものである。
【0046】
これにより、例えば、住宅6内にあるPC8は、電力線7a、充電装置3、電力線4を介して車両2の通信部13bと通信できる。PC8は、通信部13bを介して登録情報18aを取得することができる。PC8は、取得した登録情報18aとICカード8aとを照合し、一致するか否かの判断をすることにより認証手続きを行うことができる。この認証手続き完了後、認証できた車両2に充電装置3から電力を供給する。これにより、悪意のある者による盗電を防止する。
【0047】
AC/DC変換部13cは、給電口5に供給される電力を交流から直流に変換し、通信部13bに供給する。
【0048】
上述したように、車両キーにより車両2が停止状態にされると、スイッチ11が開状態になり車載機器用バッテリ10cから通信部13bに電力が供給されない。この場合、通信部13bの回路が動作しないので、認証手続きを行えず、充電装置3から蓄電装置10に電力を供給することができない。
【0049】
そこで本実施の形態では、車載電力線通信装置13にバッテリ13dを設け、このバッテリ13dを通信部13bに接続するようにした。これにより、通信部13bはバッテリ13dにより常時電力が供給され、回路部を常に動作させることができる。これにより、車載機器用バッテリ10cから通信部13bに電力が供給されなくても、通信部13bはPC8と認証手続きを行うことができる。
【0050】
なお、バッテリ13dを着脱自在な電池で構成してもよい。この構成によれば、電池を容易に交換でき、車載機器用バッテリ10cが蓄電されていない状態であっても、バッテリ13dにより常時電力を通信部13bに供給して回路を動作させることができ、認証手続きを完了させることにより充電装置3から電力を供給することができる。また、車載機器用バッテリ10cに予め充電する必要がないので、車両2の製造工程の効率を上げることができる。また、車載機器用バッテリ10cに蓄電された電力がない状態であれば、出力端子の短絡により火花や大電流が流れることもなく、作業の安全性を高めることができる。
【0051】
また、バッテリ13dとして電池を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、電池に代えて、コンデンサなどの充電可能な蓄電部を使用してもよい。この構成により、スイッチ11により車載機器用バッテリ10cとバッテリ13dとが接続された状態では、車載機器用バッテリ10cの電力がバッテリ13dに充電される。これにより、バッテリ13dの電池容量が不足しても車両2を始動状態にしている間に電力を補うことができ、電池交換を不要にし、保守性が向上する。
【0052】
さらに、バッテリ13dとAC/DC変換部13cとを接続すると共に、AC/DC変換部13cから供給される電力を充電する構成とした。この構成により、充電装置3から電力線4を介して電力が供給されると、AC/DC変換部13cの電力がバッテリ13dに充電されるので、バッテリ13dの電池容量が不足しても車両2の蓄電装置10を充電している間に電力を補うことができる。これにより、電池交換を不要にし、保守性が向上する。
【0053】
なお、車載電力線通信装置13において、通信部13bとバッテリ13d間とを接続する電力線の途中にスイッチ(図示せず)を設けるようにしてもよい。この場合、当該スイッチは、スイッチ11の動作に連動させる。例えば、当該スイッチは、スイッチ11が開状態(車両2が停止状態)の場合に閉状態となるように制御され、バッテリ13dから通信部13bに対する給電は車両2の蓄電装置10を充電するときだけ行われる。これにより、バッテリ13dから通信部13bに対する電源の供給を必要最小限に抑えることができ、バッテリ13dに充電されている電力の減りを抑え長持ちさせることができる。
【0054】
以上のように本実施の形態によれば、図3に示すように、車載電力線通信装置13は、車両2の本体外の充電装置3から電力線4を介して供給される電力を蓄電する蓄電装置10と、蓄電装置10に蓄電した電力により車輪17を回転させる車輪駆動部であるモータ16とを有する車両2に備えられるものであって、車両2の本体外の認証装置としてのPC8と電力線4を介して通信する通信部13bと、通信部13bに接続されると共に通信部13bに常時電力を供給するバッテリ13dとを備え、通信部13bは、充電装置3または蓄電装置10から電力が供給される前に、電力線4を介してPC8と認証用通信ができる構成とした。
【0055】
この構成により、車載電力線通信装置13は、車両2が停止状態で通信部13bが蓄電装置10から電力が供給される前である場合、あるいは、認証手続き前であり充電装置3から蓄電装置10に電力が供給されない場合であっても、バッテリ13dから通信部13bに電力が供給され、回路が動作するので、電力線7a、電力線4を介してPC8と認証用通信ができる。これにより、蓄電装置10または充電装置3から電力が供給される前であっても、PC8は電力線7a、充電装置3および電力線4を介して車載電力線通信装置13と認証用通信ができる。PC8は、車載電力線通信装置13から登録情報18aを取得し、予め読み取らせてあるICカード8aの認証情報と照合し、認証情報と登録情報18aとが一致する場合のみ充電装置3から車両2に電力を供給することができる。このため、悪意のある者による電力の盗電を防止することができる。
【0056】
また、車両2は、車載電力線通信装置13と、車両2の本体外の充電装置3から電力線4を介して供給される電力を蓄電する蓄電装置10と、蓄電装置10に蓄電した電力により車輪17を回転させるモータ16とを備えている。
【0057】
この構成により、充電装置3または蓄電装置10から車載電力線通信装置13に電力が供給されなくても、車載電力線通信装置13は内部のバッテリ13dにより常に回路が動作しているので、車両2と充電装置3との間でいつでも認証用通信ができる。これにより、PC8が認証できた車両2のみに充電装置3から電力を供給させることができ、悪意のある者による盗電を防止できる。
【0058】
なお、本発明の具体的な構成は、上述の実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【0059】
例えば、図3において、車載電力線通信装置13に搭載されるバッテリ13dは、通信部13bにのみ電力を供給すればよいので、蓄電容量は小さくてもよい。このため、小容量のキャパシタを有するコンデンサを使用してもよい。この場合、車両2を停止状態にする場合、車両キーによりスイッチ11を開状態に維持するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、車載機器用バッテリ10cとバッテリ13dとの間に間欠動作するスイッチを新たに設け、バッテリ13dのコンデンサに間欠充電するようにしてもよい。これにより、車載機器用バッテリ10cから放電される出力を抑えつつ、バッテリ13dに出力を供給することができる。
【0060】
また、車両2を停止状態にする場合、スイッチ11をスイッチ14より遅いタイミングで開状態にしてもよい。これにより、車載機器用バッテリ10cからバッテリ13dへの充電時間を長くすることができ、これによりバッテリ13dに蓄電する電力を維持させることができる。
【0061】
また、認証情報としてICカード8aの登録情報を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ICカード8aの登録情報を使う代わりに、電力線通信装置9のネットワークIDまたは暗号鍵を使うようにしてもよい。これにより、ICカード8aが不要となり、認証環境を整える際のコストを抑えることができる。
【0062】
また、電気自動車を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、モータとエンジンとを併用するハイブリッド自動車にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の車載電力線通信装置は、車両本体外の充電装置から電力線を介して供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電した電力により車輪を回転させる車輪駆動部とを有する車両に備えられるものであって、車両本体外の認証装置と電力線を介して通信する通信部と、通信部に接続されると共に通信部に電力を供給する電源部とを備え、通信部は、充電装置または蓄電装置から電力が供給される前に、電力線を介して認証装置と認証用通信ができる構成としたので、通信部は、充電装置または蓄電装置から電力を供給されなくても、電源部から通信部に電力が供給され、回路を動作させることができ、車両本体外の認証装置と電力線を介していつでも認証用通信ができる。
【0064】
このため、認証装置が認証できた車両にのみ充電装置から電力線を介し蓄電装置に電力を供給することができるので、悪意のある者による盗電を防止できる。
【0065】
これにより、車両本体外の充電装置から電力線を介して蓄電装置に電力を蓄電し、この蓄電した電力を利用して車輪を車輪駆動部で回転させて走行する電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に搭載する車載電力線通信装置およびこれを用いた車両に有用なものである。
【符号の説明】
【0066】
1 車両充電システム
2 車両
3 充電装置
3a 電力線通信部
3b 充電制御部
3c 接続部
3d コンデンサ
4,7a 電力線
5 給電口
6 住宅
7 電源
8 PC(認証装置)
8a ICカード
9 電力線通信装置
10 蓄電装置
10a,13c AC/DC変換部(電力変換部)
10b モータ用バッテリ
10c 車載機器用バッテリ
11,14 スイッチ(接続部)
12 車両制御部
13 車載電力線通信装置
13a カップラー
13b 通信部
13d バッテリ(電源部)
15 モータ駆動部
16 モータ(車輪駆動部)
17 車輪
18 登録情報記憶部
18a 登録情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体外の充電装置から電力線を介して供給される電力を蓄電する蓄電装置と、前記蓄電装置に蓄電した電力により車輪を回転させる車輪駆動部とを有する車両に備えられる車載電力線通信装置であって、
前記車両本体外の認証装置と前記電力線を介して通信する通信部と、
前記通信部に接続されると共に前記通信部に電力を供給する電源部とを備え、
前記通信部は、前記充電装置または前記蓄電装置から電力が供給される前に、前記電力線を介して前記認証装置と認証用通信ができる構成としたことを特徴とする車載電力線通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、車両を識別するための登録情報を記憶した登録情報記憶部に接続されると共に、前記電力線を介して認証手続きの信号を受信した場合には、前記登録情報を返信する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の車載電力線通信装置。
【請求項3】
前記電源部は、着脱自在な電池で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車載電力線通信装置。
【請求項4】
前記電源部は、前記蓄電装置の電力を充電する蓄電部で構成したことを特徴とする請求項1に記載の車載電力線通信装置。
【請求項5】
前記電力線と接続されると共に交流電源を直流電源に変換する電力変換部を有し、
前記電源部は、前記電力変換部により変換された電力を蓄電部に充電する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の車載電力線通信装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車載電力線通信装置と、
車両本体外の充電装置から電力線を介して供給される電力を蓄電する蓄電装置と、
前記蓄電装置の電力により車輪を回転させる車輪駆動部とを備えたことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−151914(P2012−151914A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178601(P2009−178601)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】