説明

車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置

【課題】送信機から受信機に送られたトリガ信号の受信強度データが誤っていることによる車輪位置検出の間違いが発生することを防止できるようにする。
【解決手段】各送信機から送られてきた受信強度データに示される受信強度が予め設定しておいた範囲内に含まれるか否かに基づいて、受信強度データが正確か間違っているかを判定し、それを採用するか否かを決める。これにより、間違った受信強度データを採用してしまうことを防止でき、車輪位置検出の間違いが発生することを防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪が車両のどの位置に取り付けられているかを検出する車輪位置検出装置に関するもので、特に、タイヤ空気圧の検出を行うタイヤ空気圧検出装置に適用すると好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ空気圧検出装置の1つとして、ダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンサが備えられた送信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センサからの検出信号が送信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出信号が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われる。
【0003】
このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、送信されてきたデータが自車両のものであるかどうか、および送信機がどの車輪に取り付けられたものかを判別できるように、送信機が送信するデータ中に、自車両か他車両かを判別するためと送信機が取り付けられた車輪を判別するためのID情報を付加している。そして、受信機側にそのID情報を予め登録しておき、送信機から送られたデータを受信したときに、受け取ったID情報からそのデータがどの車輪のものかを判別するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、ユーザ自らがタイヤローテーションなどのように車輪の位置を変えた場合には、ユーザがローテーションさせた車輪のID情報を読み取り、それまでに登録してあったID情報を受信機に対して再度登録し直さなければ、タイヤ空気圧検出装置側で車輪の位置変更に対応できないという問題がある。
【0005】
そこで、この問題の解決手段として、本発明者らは、先の特許出願(特願2005−197497)に記載されているように、トリガ機から複数個の車輪のそれぞれに取り付けられた送信機までの距離と、送信機が受信するトリガ信号の受信強度との関係から、送信機が複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別できる車輪位置検出装置を提案している。この車輪位置検出装置では、トリガ機からの距離が長くなるほどトリガ信号の強度が低下していくことを利用し、送信機が受信したトリガ信号の受信強度データを受信機側に送り、受信機に伝えられたトリガ信号の受信強度の順番から各送信機が複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する。
【特許文献1】特許第3212311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、受信機に送られてきたトリガ信号の受信強度データに問題があった場合、車輪位置検出の際に、各送信機が複数個の車輪のいずれに取り付けられたものであるかを間違えて判別してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、送信機から受信機に送られたトリガ信号の受信強度データが誤っていることによる車輪位置検出の間違いが発生することを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、受信アンテナ(25)を通じてトリガ信号を受信する受信部(22c)と、受信部で受信されたトリガ信号の受信強度を求めると共に、受信強度を表す受信強度データを送信するフレームに格納する第1制御部(22a)と、送信アンテナ(24)を通じて第1制御部にて処理されたフレームを送信する送信部(22b)とを有してなる送信機(2)と、車体(7)側に備えられ、複数個の車輪(6a〜6d)のうちの複数に受信されるようにトリガ信号を出力するトリガ機(5)と、車体側に備えられ、フレームを受信する受信部(32a)と、該フレームに格納された受信強度データが表す受信強度に基づいて、送信機が複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかという車輪位置検出を行う第2制御部(32b)とを有してなる受信機(3)と、を備えている。そして、第2制御部は、受信強度が予め設定された範囲に含まれているか否かにより、該受信強度データを車輪位置検出に採用するか否かを判定することを特徴としている。
【0009】
このように、各送信機から送られてきた受信強度データに示される受信強度が予め設定しておいた範囲内に含まれるか否かに基づいて、受信強度データが正確か間違っているかを判定し、それを採用するか否かを決めるようにしている。このため、間違った受信強度データを採用してしまうことを防止でき、車輪位置検出の間違いが発生することを防止することが可能となる。
【0010】
また、第2制御部は、受信強度データを受信していない場合、もしくは、受信強度が予め設定された範囲に含まれていない場合に、受信強度データが正常に受信できていないとして、トリガ機に対してトリガ信号を出力させるように指令することができる。
【0011】
このようにすることで、仮に受信強度データが受信できなかったり、一度送信機から送られてきた受信強度データが間違っていたからと言って、車輪位置検出が行えなくなってしまうわけではなく、何度かリトライして正確な受信強度データを得て、車輪位置検出が行えるようにすることができる。
【0012】
例えば、第2制御部に対して、受信強度データのうち、予め設定された範囲に受信強度が含まれていたものの数が予め決められた個数であるか否かを判定する手段(115、140)を備え、当該個数で無かった場合にトリガ機に対してトリガ信号を出力させるように指令することができる。
【0013】
また、第2制御部は、車両(1)が走行中であるか否かを検出し、車両が走行中の際にトリガ機に対してトリガ信号を出力させるように指令することもできる。
【0014】
例えば、送信機の位置がたまたまトリガ信号が受信し難い場所にあったときにトリガ信号が出力された場合等においては、送信機が同じ場所にある状態でリトライしてもまた送信機がトリガ信号を受信できないという状態になり兼ねない。このため、車両が走行中にリトライさせるようにすれば、送信機の位置が変わり、トリガ信号が受信できる可能性を高めることが可能となる。
【0015】
なお、トリガ機(5)が、複数の車輪のうちの一部の車輪(6a、6b)を対象としてトリガ信号を出力する第1トリガ機(5a)と、複数の車輪のうちの異なる車輪(6c、6d)を対象としてトリガ信号を出力する第2トリガ機(5b)とを有しているような場合には、第2制御部は、受信強度データが正常に受信できていないときに、第1、第2トリガ機のうち受信強度データが正常に受信できていない車輪を対象に含むものに対してのみトリガ信号を出力させるように指令するのが好ましい。
【0016】
以上の説明では、本発明を車輪位置検出装置として示したが、この車輪位置検出装置を
タイヤ空気圧検出装置に組み込むことも可能である。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す。図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。
【0020】
図1に示されるように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機3、表示器4およびトリガ機5を備えて構成されている。本実施形態では、送信機2、受信機3およびトリガ機5が、本発明の車輪位置検出装置に相当する。
【0021】
送信機2は、車両1における4つの車輪6a〜6d(スペアタイヤを含めると5つ)それぞれに取り付けられるもので、各車輪6a〜6dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータを送信するフレーム内に格納して送信するものである。また、受信機3は、車両1における車体7側に取り付けられるもので、送信機2から送信されるフレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。
【0022】
図2(a)、(b)に、これら送信機2と受信機3のブロック構成を示す。図2(a)に示されるように、送信機2は、センシング部21、マイクロコンピュータ22、電池23、送信アンテナ24および受信アンテナ25を備えて構成されている。
【0023】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0024】
マイクロコンピュータ22は、制御部(第1制御部)22aや送信部22bおよび受信部22cなどを備えた周知のもので、制御部22a内のメモリ(図示せず)内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0025】
制御部22aは、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、検出結果を示すデータ(以下、タイヤ空気圧に関するデータという)として各送信機2のID情報と共に送信するフレーム内に格納し、その後、フレームを送信部22bに送るものである。この送信部22bへ信号を送る処理は、上記プログラムに従って所定の周期毎に実行される。
【0026】
また、制御部22aは、受信アンテナ25および受信部22cを通じてトリガ機5からのトリガ信号を受け取り、それを信号処理することでトリガ信号の受信強度を求めると共に、必要に応じて加工し、トリガ信号の受信強度データをタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレーム、もしくは、それとは別のフレームに格納し、その後、そのフレームを送信部22bに送るものである。この送信部22bへ信号を送る処理も、上記プログラムに従って行われる。
【0027】
また、制御部22aは、フレームを送信部22bに送るタイミングを制御する。これは、各送信機2からの送信データ同士でのバッティングを防ぐためである。例えば、トリガ信号を受け取ってから何秒後にフレームを送るかという送信タイミングが、予め各送信機2毎に異なるもので設定されている。このため、各車輪6a〜6dの送信機2から、それぞれ異なったタイミングでフレームが送信されるようになっている。
【0028】
ただし、各車輪6a〜6dの送信機2から異なるタイミングでフレームが送信されるようにするために、単に、各送信機2の制御部22aに異なった送信タイミングを記憶させただけでは、各送信機2の記憶内容が異なったものとなってしまう。このため、受信強度に応じてフレームの送信タイミングがずらされるように、例えば、受信強度に応じて送信タイミングが選択できるマップ、もしくは、送信強度を変数として送信タイミングを求める関数式を制御部22aに記憶させておき、受信強度の相違により必然的に各送信機2の送信タイミングが異なるようにすれば、すべての送信機2の制御部22aのプログラムを共通にすることが可能となる。
【0029】
また、送信タイミングが毎回ランダムに変更されるように、制御部22aに記憶させるプログラムを設定しても良い。このように、毎回ランダムに変更されるようにすれば、高い確率で各送信機2の送信タイミングがすべて異なったものになるようにすることが可能である。
【0030】
送信部22bは、送信アンテナ24を通じて、制御部22aから送られてきたフレームを受信機3に向けてRF帯、例えば310MHzの電波で送信する出力部としての機能を果たすものである。
【0031】
受信部22cは、受信アンテナ25を通じて、トリガ信号を受け取って制御部22aに送る入力部としての機能を果たすものである。
【0032】
電池23は、制御部22aなどに対して電力供給を行うものであり、この電池23からの電力供給を受けて、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や制御部22aでの各種演算などが実行される。
【0033】
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪6a〜6dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、各送信機2に備えられた送信アンテナ24を通じて、所定周期毎(例えば、1分毎)にフレームを送信するようになっている。
【0034】
また、図2(b)に示されるように、受信機3は、アンテナ31とマイクロコンピュータ32を備えた構成となっている。
【0035】
アンテナ31は、各送信機2から送られてくるフレームを総括的に受け取る1本の共通アンテナとなっており、車体7に固定されている。
【0036】
マイクロコンピュータ32は、受信部32aや制御部(第2制御部)32bなどを備えた周知のもので、制御部32b内のメモリ(図示せず)内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0037】
受信部32aは、各送信機2から送信されたフレームがアンテナ31で受信されると、それを入力して制御部32bに送る入力部としての機能を果たすものである。
【0038】
制御部32bは、トリガ機5に対してトリガ信号を出力させることを指令するトリガ指令信号を出力すると共に、受信部32aから送られてきたフレームを受け取り、フレームに格納された各送信機2でのトリガ信号の受信強度データに基づいて、送られてきたフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送信機2のものかを特定する車輪位置検出を行う。なお、制御部32bに車速センサ8から車速に関する情報が入力されるようになっており、車速に関する情報も車輪位置検出に利用される。この車輪位置検出方法については後で詳細に説明する。
【0039】
さらに、制御部32bでは、受け取ったフレームに格納された検出結果を示すデータに基づいて各種信号処理および演算等を行うことによりタイヤ空気圧を求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、制御部32bは、求めたタイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較し、タイヤ空気圧が低下したことを検知した場合には、その旨の信号を表示器4に出力する。これにより、4つの車輪6a〜6dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことが表示器4に伝えられる。
【0040】
表示器4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプによって構成される。この表示器4は、例えば受信機3における制御部32bからタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0041】
トリガ機5は、受信機3の制御部32bから送られてくるトリガ指令信号が入力されると、例えば、134kHzのLF帯であって、所定の信号強度を有するトリガ信号を出力するものである。
【0042】
本実施形態では、前輪側に配置された第1トリガ機5aと、後輪側に配置された第2トリガ機5bの2台のトリガ機5を用いている。これは、使用できる電波の電界強度には法規制により上限があるため、トリガ機1個にすると、すべての送信機2に電波が届かない可能性があるためである。そこで、本実施形態では、第1トリガ機5aから送信されたトリガ信号が左右前輪6a、6bに取り付けられた送信機2に届き、第2トリガ機5bから送信されたトリガ信号が左右後輪6c、6dに取り付けられた送信機2に届くようにしている。
【0043】
また、各トリガ機5は、対応する各車輪に対して異なる距離となるように、車両1を左右対称に分断する中心線に対してオフセットされて配置される。本実施形態では、第1トリガ機5aは左前輪6bの近傍に配置され、第2トリガ機5bは左後輪6dの近傍に配置されており、両者は共に中心線よりも左側に配置されている。このため、第1トリガ機5aから右前輪6aまでの距離の方が、第1トリガ機5aから左前輪6bまでの距離よりも長く、第2トリガ機5bから右後輪6cまでの距離の方が、第2トリガ機5bから左後輪6dまでの距離よりも長くなっている。
【0044】
なお、トリガ機5は、周囲すべてが金属で覆われていない場所であればどこに搭載されていても構わないが、できるだけ金属で覆われないような場所、かつ、走行中に石等が当らないような例えばライナー内や車室内などに搭載されているのが好ましい。
【0045】
以上のようにして、本実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
【0046】
次に、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置による車輪位置の検出方法について説明する。
【0047】
図3に、トリガ機5から送信機2までの距離と送信機2が受信するトリガ信号の受信強度との関係を示す。図3に示すように、自由空間では、トリガ信号の受信強度(電波の電界強度)はトリガ機5からの距離に応じて減衰するため、トリガ機5からの送信機2までの距離が長くなるにつれ、送信機2でのトリガ信号の受信強度が減少する傾向がある。
【0048】
そして、1つのトリガ機5から各車輪までの距離が異なっており、本実施形態では、第1トリガ機5aからの距離は、右前輪6aの方が左前輪6bよりも長いことから、両車輪6a、6bに取り付けられた送信機2で受信されたときのトリガ信号の受信強度は、右前輪6aの方が低い。したがって、トリガ信号の受信強度を比較すれば、送信機2が右前輪6aと左前輪6bのいずれに取り付けられたものであるかがわかる。同様に、第2トリガ機5bのトリガ信号の受信強度を比較すれば、送信機2が右後輪6cと左後輪6dのいずれに取り付けられたものであるかがわかる。
【0049】
そこで、本実施形態では、各送信機2が受信したトリガ信号の受信強度を受信機3に送り、トリガ信号の受信強度とトリガ機5から各送信機2までの距離との関係に基づいて、受信機3にて各送信機2が車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものかを判別する。
【0050】
ただし、受信機3に伝えられたトリガ信号の受信強度が必ずしも正確なものとは限らない。このため、トリガ信号の受信強度データを検証し、そのデータを車輪位置検出に採用して良いか、それとも再度トリガ信号を出力して各送信機2でトリガ信号の受信強度を測定させるかを決める必要がある。
【0051】
このトリガ信号の受信強度データが正確なものであるか、それとも間違ったものであるかの検証は、以下の考え方に基づいて行うことができる。図4は、トリガ機5から各送信機2までの距離とトリガ信号の受信強度との関係を示したグラフであり、図4(a)はトリガ機5から近い側に配置された左車輪6b、6dにおける上記関係、図4(b)はトリガ機5から遠い側に配置された右車輪6a、6cにおける上記関係を示している。
【0052】
トリガ機5と送信機2との距離は、車輪6a〜6dの回転に伴って変わる。左車輪6b、6dに取り付けられた送信機2が対応するトリガ機5に最接近したときの距離をa、最も離れたときの距離をbとすると、受信強度の最大値Vmax(L)と最小値Vmin(L)は、それぞれ距離a、bとトリガ機5の出力するトリガ信号の強度(以下、トリガ出力という)に基づいて次式で表される。なお、ここでいうトリガ出力とは、トリガ機5からトリガ信号を出力したときに、その信号強度をトリガ機5から所定距離(ここでは3m)離れた場所で測定したときの値を示している。また、βは、トリガ機5の設置位置や外部環境などによる影響を考慮した補正値を示している。
【0053】
(数1)
Vmax(L)=トリガ出力+60×log(3000/a)+β
(数2)
Vmin(L)=トリガ出力+60×log(3000/b)+β
したがって、左車輪6b、6dに取り付けられた送信機2が受信したトリガ信号の受信強度の範囲は、Vmin(L)からVmax(L)の範囲内となる。このため、受信機3に送られた受信強度データがこの範囲内に入っているか否かを判定すれば、そのデータが正確であるか間違っているかを検証することができる。
【0054】
同様に、右車輪6a、6cに取り付けられた送信機2が対応するトリガ機5に最接近したときの距離をc、最も離れたときの距離をdとすると、受信強度の最大値Vmax(R)と最小値Vmin(R)はそれぞれ距離c、dとトリガ出力に基づいて次式で表される。なお、αはトリガ信号が車体から受ける影響を考慮した補正値であり、車種によって決まる値である。
【0055】
(数3)
Vmax(R)=トリガ出力+60×log(3000/c)+α+β
(数4)
Vmin(R)=トリガ出力+60×log(3000/d)+α+β
したがって、右車輪6a、6cに取り付けられた送信機2が受信したトリガ信号の受信強度の範囲は、Vmin(R)からVmax(R)という範囲内となる。このため、受信機3に送られた受信強度データがこの範囲内に入っているか否かを判定すれば、そのデータが正確であるか間違っているかを検証することができる。このような検証方法に基づいて、車輪位置検出を行っている。
【0056】
なお、数式1〜4において、各トリガ機5a、5bからトリガ信号を出力したときの車輪6a〜6dに取り付けた各送信機2でのトリガ信号の受信強度の求め方について記載したが、予め影響を受けると想定される様々な要因をどこまで考慮に入れるかによって、上述した数式中のβやαが変わる。このため、補正の仕方により受信強度の範囲にある程度バラツキが生じても良い。
【0057】
続いて、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。タイヤ空気圧検出装置は、まず、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったときに、車輪位置検出を行う。この車輪位置検出は、受信機3の制御部32bが車輪位置検出処理を実行することにより行われる。
【0058】
図5は、受信機3の制御部32bが実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。この車輪位置検出処理は、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わり、受信機3の制御部32bに対して電源投入が行われたときに実行される。
【0059】
ステップ100では、電源投入から所定時間経過後に、第1トリガ機5aに向けてトリガ指令信号を出力する。このトリガ指令信号が第1トリガ機5aに入力されると、第1トリガ機5aから左右前輪6a、6bに取り付けられた送信機2に向けて、所定の信号強度を有するトリガ信号が出力される。
【0060】
このトリガ信号が左右前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2の受信アンテナ25および受信部22cを通じて、制御部22aに入力されると、制御部22aがWake−up状態となって、受け取ったトリガ信号の受信強度を測定する。
【0061】
また、各送信機2は、トリガ信号の受信強度を求めると、それを各送信機2の区別のために付けられるID情報と共に送信するフレームに格納し、そのフレームを受信機3に向けて送信する。このとき、各送信機2の送信タイミングは、それぞれ異なったものとされていることから、受信機3により各送信機2から送られてくるフレームを混信することなく確実に受信できる。
【0062】
続いて、ステップ105では、第1トリガ機5aから出力されたトリガ信号に対して、所定個数の送信機2が応答したか否かを判定する。ここでいう所定個数とは、例えば2つもしくは3つが想定され、車両によって異なる。すなわち、第1トリガ機5aの出力したトリガ信号を受信するのが両前輪6a、6bに取り付けられた送信機2のみと想定されるのであれば2つ、さらに比較的第1トリガ機5aからの距離が短くなる左後輪6dに取り付けられた送信機2も受信すると想定されるのであれば3つとなる。勿論、この数はトリガ信号の信号強度や第1トリガ機5aから両後輪6c、6dの距離などによって変化するため、条件次第では4つということも有り得る。
【0063】
例えば、路面が鉄板であったり、妨害電波を放射している施設・設備近くに駐車しているなど、車両の周辺環境からトリガ信号の出力強度が影響を受ける場合には送信機2でトリガ信号を受信できなくなる可能性がある。そして、両前輪6a、6bに取り付けられた2つの送信機2のうち少なくとも一方がトリガ信号を受信できなくなると、2つの送信機2からフレームが送信されなくなる。このような場合、2つ以上の送信機2からの応答ができなくなる可能性がある。この場合には否定判定される。ここで否定判定されると、上記各処理をリトライすべく、ステップ110に進むと共に、制御部32bに内蔵された図示しないカウンタのカウント値を1つインクリメントしてリトライ回数を記憶しておく。
【0064】
そして、ステップ110において、リトライ回数が5回以下であるか否かを判定し、5回以下であればステップ100に戻ってリトライし、5回を超えていればリトライせずに、処理を止める。なお、この場合には、送信機2の故障や電池切れなどが発生していると考えられるため、表示器4を通じてその旨を伝えるようにしても良い。
【0065】
一方、ステップ105で肯定判定されると、ステップ115に進み、受信したフレームに格納されていた受信強度データが予め設定した範囲内に含まれるか否かを判定する。ここでいう予め設定した範囲とは、上述したVmin(L)〜Vmax(L)とVmin(R)〜Vmax(R)の2つの範囲のことを意味している。そして、受信強度データの1つがVmin(L)〜Vmax(L)に含まれ、かつ、他の受信強度データの1つがVmin(R)〜Vmax(R)に含まれるという条件を満たしていれば肯定判定され、この条件を満たしていなければ否定判定される。このような判定を行う理由について説明する。
【0066】
第1トリガ機5aは基本的には両前輪6a、6bの送信機2に対してトリガ信号を出力するものであるが、比較的第1トリガ機5aの近傍に配置される左後輪6dに取り付けられた送信機2もトリガ信号を受信してしまう可能性がある。この場合、左後輪6dに取り付けられた送信機2も応答してフレームを送信することになるため、それが受信機3で受信される。このため、例えば、仮に両前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2のうちの一方が故障していた場合において、左後輪6dに取り付けられた送信機2からもフレームの送信があったときには、ステップ105で肯定判定されることになるが、このときに得たい受信強度データは両前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2のものであるため、得た受信強度データが本当に両前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2のものであるか否かを認証しなければならない。
【0067】
このとき、上述した認証方法において説明したように、両前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2でのトリガ信号の受信強度はそれぞれVmin(L)〜Vmax(L)とVmin(R)〜Vmaz(R)の範囲内になるが、左後輪6dに取り付けられた送信機2でのトリガ信号の受信強度はその範囲外となる。このため、受信機3が両前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2から受信高度のデータを含むフレームを受信していれば上記条件を満たすが、仮に2つ以上のフレームを受信したとしても、受信したのが両前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2から送られてきたフレームではなければ上記条件を満たさないことになる。
【0068】
このようにして、まず両前輪6a、6bに取り付けられた送信機2から正常にトリガ信号の受信強度データが送られてきているか否か、つまり受信強度データが正確であるか否かを認証することができる。
【0069】
ここで否定判定されればステップ120に進むと共に、制御部32bに内蔵された図示しないカウンタのカウント値を1つインクリメントしてリトライ回数を記憶しておく。そして、ステップ110と同様、リトライ回数が5回以下であるか否かを判定し、5回以下であればステップ100に戻ってリトライし、5回を超えていればリトライせずに、処理を止める。また、ここで肯定判定されればステップ125に進む。
【0070】
この後、ステップ125〜ステップ145の各処理では、ステップ125において第2トリガ機5bに向けてトリガ指令信号を出力することにより、後輪6c、6d側について上記ステップ100〜120に示した各処理と同様のことを実行する。これら各処理については前輪6a、6b側に対して実行したものと全く同じことであるため、ここでは説明を省略するが、これら各処理を実行することにより、両後輪6c、6dに取り付けられた送信機2から正常にトリガ信号の受信強度データが送られてきているか否か、つまり受信強度データが正確であるか否かを認証することができる。
【0071】
なお、ステップ130の処理では、上述したステップ105の処理と同様、所定個数の送信機2が応答したか否かを判定することになるが、後輪6a、6bの近傍には図示しないスペアタイヤが配置され、このスペアタイヤにも送信機2が取り付けられることがある。このような場合には、スペアタイヤに取り付けられた送信機2からのフレームを受信することも考慮に入れて所定個数が設定されることになる。すなわち、スペアタイヤを考慮に入れない場合には、両後輪6c、6dに取り付けられた送信機2のみ、もしくはそれに加えて左前輪6bに取り付けられた送信機2で受信されると想定されるため、2つもしくは3つとなる。スペアタイヤを考慮にいれた場合には、さらにそれが1つ増えて3つもしくは4つとなる。勿論、この数はトリガ信号の信号強度や第1トリガ機5aから両後輪6c、6dの距離などによって変化するため、条件次第ではさらに1つ増えることも有り得る。
【0072】
続いて、ステップ150では、ステップ115において、範囲内に含まれていた受信強度データが格納されているID情報を読み出し、受信強度の高い順にID情報を並べ、受信強度が高い方のID情報を左前輪6bに取り付けられた送信機2のもの、受信強度が低い方のID情報を右前輪6aに取り付けられた送信機2のものであると判別する。そして、各フレームに格納されたID情報を送信機2が取り付けられた右前輪6a、左前輪6bと対応付けて、制御部32b内のメモリに記憶(登録)する。
【0073】
また、同様に、ステップ150において、範囲内に含まれていた受信強度データが格納されているID情報を読み出し、受信強度の高い順にID情報を並べ、受信強度が高い方のID情報を左後輪6dに取り付けられた送信機2のもの、受信強度が低い方のID情報を右後輪6cに取り付けられた送信機2のものであると判別する。そして、各フレームに格納されたID情報を送信機2が取り付けられた右後輪6c、左後輪6dと対応付けて、制御部32b内のメモリに記憶(登録)する。このようにして、車輪位置検出処理が終了する。
【0074】
これにより、受信機3は、後述するタイヤ空気圧検出を行う場合に、タイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームが送信されてくると、そのフレーム内に格納されたID情報からフレームを送った送信機2が4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものであるかを判別し、各車輪6a〜6dのタイヤ空気圧を求めることが可能となる。したがって、各送信機2が車輪6a〜6dのいずれに取り付けられているかについて、ユーザによるID情報の読み取りなどを行わなくても検出できる。
【0075】
そして、タイヤ空気圧検出装置は、このようにして車輪位置検出を行った後、タイヤ空気圧検出を行う。
【0076】
具体的には、タイヤ空気圧検出装置は定期送信モードとなり、上述したように、各送信機2では、制御部22aに、センシング部21からのタイヤ空気圧やタイヤ内の温度を示す検出信号が入力される。そして、この検出信号が必要に応じて信号処理されることでタイヤ空気圧に関するデータとされ、各送信機2のID情報と共に送信するフレームに格納されたのち、所定周期毎に送信部22bを通じて受信機3側に送信される。
【0077】
一方、送信機2からフレームが送信されると、それが受信機3のアンテナ31にて受信され、受信部32aを通じて制御部32bに入力される。そして、制御部32bにおいて、受信したフレームからタイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータが抽出され、温度を示すデータに基づいて必要に応じて温度補正がなされ、タイヤ空気圧が求められる。このとき、フレーム内にID情報が格納されているため、車輪位置検出の際に記憶されたID情報と照合され、そのフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送信機2から送られてきたものかが判別される。
【0078】
そして、求められたタイヤ空気圧と前回求められたタイヤ空気圧との差が所定のしきい値を超えていないようなタイヤ空気圧の変化が少ない場合には、タイヤ空気圧を検出する周期がそのまま(例えば1分間毎)とされ、所定のしきい値を超えてタイヤ空気圧の変化が大きい場合には、その周期が早められる(例えば5秒間毎)。
【0079】
この後、求められたタイヤ空気圧が所定のしきい値を下回っていると判定されれば、制御部32bから表示器4にその旨を示す信号が出力され、タイヤ空気圧が低下したのが4つの車輪6a〜6dのいずれであるかが特定できる形態で、表示器4に表示される。これにより、ドライバに車輪6a〜6dのいずれのタイヤ空気圧が低下したかを知らせることが可能となる。
【0080】
最後に、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わると、再び受信機3の制御部32bからトリガ機5にトリガ指令信号が出力され、トリガ機5からトリガ信号が出力される。このトリガ信号が受信アンテナ25および受信部22cを通じて制御部22aに入力されると、送信機2がSleep状態に切り替わる。これにより、タイヤ空気圧検出装置のタイヤ空気圧検出が終了になる。
【0081】
参考として、図6に、上記のような車輪位置検出処理およびタイヤ空気圧検出処理を実行したときのタイミングチャートを示す。この図に示されるように、イグニッションスイッチがオンされると同時に、第1、第2トリガ機5a、5bから順にトリガ信号が出力され、それに対応して車輪6a〜6dに取り付けられた各送信機2から受信強度データおよびID情報を格納したフレームが送信される。これが受信機3で受信されると、受信機3が定期送信モードに切り替わり、イグニッションスイッチがオフに切り替わるまでタイヤ空気圧検出処理が実行される。
【0082】
以上説明したように、本実施形態では、各送信機2から送られてきた受信強度データに示される受信強度が予め設定しておいた範囲内に含まれるか否かに基づいて、受信強度データが正確か間違っているかを判定し、それを採用するか否かを決めるようにしている。このため、間違った受信強度データを採用してしまうことを防止でき、車輪位置検出の間違いが発生することを防止することが可能となる。また、仮に、同様のシステムを搭載した他車の送信機から間違って受信強度データを含むデータ等が格納されたフレームを受信してしまったとしても、受信強度データに示される受信強度が予め設定しておいた範囲内に含まれるか否かに基づいて、自車のものであるか他車のものであるかを識別できるため、他車の間違ったデータを採用してしまわないようにすることも可能となる。
【0083】
また、各トリガ機5a、5bからトリガ信号を出力したときに、予めどれだけの数の送信機2が応答するかを設定しておき、その数と異なっていた場合にフレームが受信できなかったものとしている。そして、フレームを受信できなかった場合や上記のように受信強度データが採用できないものであった場合に、再度トリガ機5からトリガ信号を出力させ、再度受信強度データを要求するようにしている。
【0084】
このため、仮にフレームが受信できなかったり、一度送信機2から送られてきた受信強度データが間違っていたからと言って、車輪位置検出が行えなくなってしまうわけではなく、何度かリトライして正確な受信強度データを得て、車輪位置検出が行えるようにすることができる。
【0085】
勿論、このようなリトライは、正常に受信強度データを得ることができなかった車輪に対してのみ行えばよいため、第1、第2トリガ機5a、5bのうちその車輪に対応するもののみから再度トリガ信号を出力させるようにすれば良い。
【0086】
なお、このようなリトライを行う場合、車両1が走行中にリトライするようにすると好ましい。例えば、送信機2の位置がたまたまトリガ信号が受信し難い場所にあったときにトリガ信号が出力された場合等においては、送信機2が同じ場所にある状態でリトライしてもまた送信機2がトリガ信号を受信できないという状態になり兼ねない。このため、車両1が走行中にリトライさせるようにすれば、送信機2の位置が変わり、トリガ信号が受信できる可能性を高めることが可能となる。車両1が走行中であるか否かの検出に関しては、制御部32bに入力される車速センサ8の信号に基づいて行えばよく、車速が発生するような条件となったときに受信機3からトリガ機5に対してトリガ信号の出力指令を送るようにすれば良い。
【0087】
(他の実施形態)
上記実施形態では、第1トリガ機5bを両前輪6a、6b側に配置し、第2トリガ機5bを両後輪6c、6d側に配置している。そして、左右前輪6a、6bを一対としてそれらに対して第1トリガ機5aからトリガ信号を出力し、左右後輪6c、6dを一対としてそれらに対して第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させるようにした。これに対して、第1トリガ機5aを両左車輪6b、6d側に配置すると共に、第2トリガ機5bを両右車輪6a、6c側に配置し、両左車輪6b、6dを一対としてそれらに対して第1トリガ機5aからトリガ信号を出力し、両右車輪6a、6cを一対としてそれらに対して第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させるようにしても構わない。この場合、第1トリガ機5aを両左車輪6b、6dのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置し、第2トリガ機5bが両右車輪6a、6cのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置するようにすれば、第1、第2トリガ機5a、5bからトリガ信号を出力したときに、その受信強度が異なった値となるため、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、上記実施形態では、トリガ機5を第1、第2トリガ機5a、5bの2つで構成する場合について説明したが、すべての送信機2にトリガ信号を届かせるのであれば、各車輪6a〜6dそれぞれから異なる距離となるように1つのトリガ機5を備えるようにしたものであっても良い。この場合には、車輪6a〜6dそれぞれの送信機2から4つの受信強度データを入手することになり、トリガ機5と各送信機2との距離の関係から想定される受信強度の範囲内に4つの受信強度データがそれぞれ含まれているか否かを判定することにより、その受信強度データを採用しても良いか否かを判定することが可能となる。
【0089】
また、上記実施形態では、4輪車両に対して本発明の一実施形態を適用したものについて説明したが、4輪車両に限るものではなく、大型車両のようにそれ以上の車輪が備えられた車両の車輪位置検出装置やタイヤ空気圧検出装置に対して本発明を適用することもできる。
【0090】
また、上記実施形態では、車速センサ8の検出信号に基づいて車両1が走行中であるか否かを検出したが、その他の周知となっている信号、車輪速度センサや前後加速度センサ等の検出信号に基づいて検出することもできる。
【0091】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。
【図2】(a)、(b)は、それぞれ、送信機と受信機のブロック構成を示した図である。
【図3】トリガ機から送信機までの距離と送信機が受信するトリガ信号の受信強度との関係を示した図である。
【図4】トリガ機から各送信機までの距離とトリガ信号の受信強度との関係を示したグラフであり、(a)はトリガ機から近い側に配置された左車輪における上記関係を示すグラフ、(b)はトリガ機から遠い側に配置された右車輪における上記関係を示すグラフである。
【図5】受信機の制御部が実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。
【図6】車輪位置検出処理およびタイヤ空気圧検出処理を実行したときのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1…車両、2…送信機、3…受信機、4…表示器、5…トリガ機、5a、5b…第1、第2トリガ機、6a〜6d…車輪、7…車体、8…車速センサ、21…センシング部、22…マイクロコンピュータ、22a…制御部、22b…送信部、22c…受信部、23…電池、24…送信アンテナ、25…受信アンテナ、31…アンテナ、32…マイクロコンピュータ、32a…受信部、32b…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、受信アンテナ(25)を通じてトリガ信号を受信する受信部(22c)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号の受信強度を求めると共に、受信強度を表す受信強度データを送信するフレームに格納する第1制御部(22a)と、送信アンテナ(24)を通じて前記第1制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(22b)とを有してなる送信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記複数個の車輪(6a〜6d)のうちの複数に受信されるように前記トリガ信号を出力するトリガ機(5)と、
前記車体側に備えられ、前記フレームを受信する受信部(32a)と、該フレームに格納された前記受信強度データが表す前記受信強度に基づいて、前記送信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかという車輪位置検出を行う第2制御部(32b)とを有してなる受信機(3)と、を備え、
前記第2制御部は、前記受信強度が予め設定された範囲に含まれているか否かにより、該受信強度データを車輪位置検出に採用するか否かを判定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記受信強度データを受信していない場合、もしくは、前記受信強度が予め設定された範囲に含まれていない場合に、前記受信強度データが正常に受信できていないとして、前記トリガ機に対して前記トリガ信号を出力させるように指令することを特徴とする請求項1に記載の車輪位置検出装置。
【請求項3】
前記第2制御部は、車両(1)が走行中であるか否かを検出し、前記車両が走行中の際に前記トリガ機に対して前記トリガ信号を出力させるように指令することを特徴とする請求項2に記載の車輪位置検出装置。
【請求項4】
前記トリガ機(5)は、前記複数の車輪のうちの一部の車輪(6a、6b)を対象として前記トリガ信号を出力する第1トリガ機(5a)と、前記複数の車輪のうちの異なる車輪(6c、6d)を対象として前記トリガ信号を出力する第2トリガ機(5b)とを有しており、
前記第2制御部は、前記受信強度データが正常に受信できていないときに、前記第1、第2トリガ機のうち前記受信強度データが正常に受信できていない車輪を対象に含むものに対してのみ前記トリガ信号を出力させるように指令することを特徴とする請求項2または3に記載の車輪位置検出装置。
【請求項5】
前記第2制御部は、前記受信強度データのうち、前記予め設定された範囲に前記受信強度が含まれていたものの数が予め決められた個数であるか否かを判定する手段(115、140)を有し、当該個数で無かった場合に前記トリガ機に対して前記トリガ信号を出力させるように指令することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置を含むタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送信機(2)は、前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧に関する検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、前記第1制御部(22a)によって前記センシング部の検出信号が信号処理されたのち、前記送信部(22b)を介して送信されるようになっており、
前記受信機(3)は、前記第2制御部(32b)で、該検出信号に基づいて前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を求めるようになっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−74162(P2008−74162A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253042(P2006−253042)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】