説明

車高調整方法及び車高調整装置

【課題】人の乗車や荷物の積載時であっても、車高を調整することで車両の操縦安定性能や乗り心地等の動的なバランスが最適となるように車両の姿勢を制御可能とする車高調整方法及び車高調整装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両のいずれかの1輪を加振手段により0〜6Hzの周波数の範囲で変化させながら上下方向に加振して当該車両全輪の輪荷重値の変化を測定し、加振の周波数と、測定された各輪の輪荷重値に基づいて車両のピッチロール伝達特性を設定し、当該ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相がゼロに近づくように車高調整手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車高調整装置に関し、特に、車両の動的なバランスが最適となるように車高を調整する車高調整方法及び車高調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のバランスを調整することで操縦応答性や乗り心地性が向上することが知られている。自動車には、エアサス等の車高の調整可能なサスペンションを備え、人の乗車状態や荷物の積載状態に応じて車体の姿勢を自動で調整する車高調整装置を装着した車両がある。
このような車両の車高調整装置は、車両の後輪側に車高の調整を可能とする車高調整手段と、前輪側の車高と後輪側の車高とを個別に検出する前輪側車高検出手段及び後輪側車高検出手段と、前輪側車高検出手段で検出された前輪側の車高及び後輪側車高検出手段で検出された後輪側の車高に基いて車両を水平状態に制御する車高制御手段と、水平状態に制御された車両の前後車輪位置の車高を標準車高と比較する比較手段と、車高制御手段で水平状態に制御された車両の前後車輪位置の車高が標準車高より低いと判定された時に、後輪側の車高を前輪側の車高よりも所定量低くするように補正する車高補正手段とにより構成され、ヘッドライトの照射位置が最適となるように車両の姿勢を自動で調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−321270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記車高調整装置は、ヘッドライトの照射角が一定となるように車高を調整するものであって、車両が走行している状態において、車両の動的なバランスを一定に維持するものではない。即ち、ヘッドライトの照射角を一定に維持することはできるが、人の乗車や荷物の積載により生じるサスペンションへの荷重のバラツキを考慮した制御を行っているわけではなく、車高調整後の車両は、車輪に作用する荷重バランスが崩れた状態で走行することとなり、例えば、直進安定性等の車両の走行性能に影響を及ぼし、ドライバーに対する操縦安定性能や乗り心地を損なわせることとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、人の乗車時や荷物の積載時であっても、車高を調整することで車両の操縦安定性能や乗り心地等の動的なバランスが最適となるように車両の姿勢を制御可能とする車高調整方法及び車高調整装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車高調整方法の態様として、少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両のいずれかの1輪を加振手段により0〜6Hzの周波数の範囲で周波数を変化させながら上下方向に加振して当該車両全輪の輪荷重値の変化を測定し、加振の周波数と、測定された各輪の輪荷重値に基づいて車両のピッチロール伝達特性を設定し、当該ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように車高調整手段を制御する形態とした。
本態様によれば、少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両のいずれか1輪を加振手段により0〜6Hzの周波数の範囲で周波数を変化させながら上下方向に加振し、加振に対する応答として測定された各輪における輪荷重値の変化に基づいて、加振に対する車両のピッチロール伝達特性を設定し、ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達関数の位相値がゼロに近づくように車高調整手段を制御することで車両のバランスを最適化することができる。つまり、車両において車高の調整を可能とする車高調整手段の少なくとも1つにより車高を調整することで、車両のバランス、換言すれば車両の重心位置を最適にすることができ、操縦安定性能や乗り心地が向上する。
【0007】
また、上記課題を解決する車高調整方法の他の態様として、少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両の走行中に全輪に加わる振動による輪荷重値の変化を測定し、振動の周波数と、測定された各輪の輪荷重値に基づいて車両のピッチロール伝達特性を設定し、当該ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの前記ピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように前記車高調整手段を制御する態様とした。
本態様によれば、上記効果に加え、車両のいずれか一方の片側前後2輪を加振手段により加振して車両に対してより大きな入力を与えることができるので、より正確に車両のバランスを最適化でき、操縦安定性能や乗り心地を向上させることができる。
【0008】
また、上記課題を解決する車高調整方法の他の態様として、少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両の走行中における全輪の輪荷重値の変化を測定し、加振の周波数と、測定された各輪の輪荷重値に基づいて車両のピッチロール伝達特性を設定し、当該ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように車高調整手段を制御する態様とした。
本態様によれば、上記効果に加え、車両の走行中において車両のバランスが最適となるように調整されるので、安定した操縦安定性能や乗り心地の良さを常に維持することができる。
【0009】
また、上記課題を解決する車高調整装置の構成として、車両の少なくとも1輪に設けられ、当該車両の車高を調整する車高調整手段と、車両の全輪に設けられ、当該車両の輪荷重値を測定する輪荷重測定手段と、車両のいずれか1輪を0〜6Hzの周波数の範囲で周波数を変化させながら上下に加振する加振手段と、加振の周波数と、測定された車両の各輪の輪荷重値に基づいて車両のピッチロール伝達特性を設定するピッチロール伝達特性設定手段と、ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように車高調整手段を制御する車高制御手段とを備える構成とした。
本構成によれば、少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両のいずれか1輪を加振手段により0〜6Hzの周波数の範囲で変化させながら上下方向に加振し、加振に対する応答として測定された各輪における輪荷重の変化に基づいて、加振に対する車両のピッチロール伝達特性を設定し、ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達関数の位相値がゼロに近づくように車高調整手段を制御することで車両のバランスを最適化することができる。つまり、車両において車高の調整を可能とする車高調整手段の少なくとも1つにより車高を調整することで、車両のバランス、換言すれば車両の重心位置を最適にすることができ、操縦安定性能や乗り心地が向上する。
【0010】
また、上記課題を解決する車高調整装置の他の構成として、車両の少なくとも1輪に設けられ、当該車両の車高を調整する車高調整手段と、車両の全輪に設けられ、当該車両の輪荷重値を測定する輪荷重測定手段と、車両の片側前後2輪を0〜6Hzの周波数の範囲で周波数を変化させながら上下に加振する加振手段と、加振の周波数と、測定された車両の各輪の輪荷重値に基づいて車両のピッチロール伝達特性を設定するピッチロール伝達特性設定手段と、ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように車高調整手段を制御する車高制御手段とを備える構成とした。
本構成によれば、上記効果に加え、車両のいずれか一方の片側前後2輪を加振手段により加振することで、車両に対してより大きな入力を与えることができるので、より正確に車両のバランスを最適化することで、操縦安定性能や乗り心地を向上させることができる。
【0011】
また、上記課題を解決する車高調整装置の他の構成として、車両の少なくとも1輪に設けられ、当該車両の車高を調整する車高調整手段と、車両の全輪に設けられ、当該走行中の車両の車輪に加わる振動により変化する輪荷重値を測定する輪荷重測定手段と、振動の加振の周波数と、測定された車両の各輪の輪荷重値に基づいて車両のピッチロール伝達特性を設定するピッチロール伝達特性設定手段と、ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように車高調整手段を制御する車高制御手段とを備える構成とした。
本構成によれば、上記効果に加え、車両の走行中において車両のバランスが最適となるように調整されるので、安定した操縦安定性能や乗り心地の良さを常に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車高調整装置の一実施形態を示す概念図である。
【図2】車高調整装置の平面図である。
【図3】加振による応答として出力されたゲイン及び位相値を示す図である。
【図4】制御ユニットによる車高調整のフローチャートである。
【図5】車高調整装置の他の実施形態を示す概念図である。
【図6】車高調整装置の他の実施形態を示す概念図である。
【0013】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組合せすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態1
図1は、本発明に係る車高調整装置1の一実施形態を示す概念図である。図2は、車高調整装置1の平面図である。以下、図1,図2を用いて車高調整装置1について説明する。なお、下記に示す符号の下付きの文字は、fが前輪側を示し、rが後輪側を示す。また、frが右前輪を示し、flが左前輪を示し、rrが右後輪を示し、rlが左後輪を示す。また、frrlが右前輪及び左後輪からなる対角輪の組合せを示し、fl−rrが左前輪及び右後輪からなる対角輪の組合せを示している。
車高調整装置1は、車両の車高を調整可能にする車高調整手段4と、車両の輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlを測定する輪荷重測定手段6と、車輪8を上下に加振する加振手段5と、加振手段5の加振により輪荷重測定手段6で測定された各車輪8の輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに基づいて車高調整手段4を制御する制御ユニット7により構成される。
【0015】
本発明に係る車高調整手段4は、車両が備える例えばエアサスペンションである。
エアサスペンションは、空気ばね11と、ダンパー12と、空気ばね11の空気量を調整する空気量調整手段13とにより構成され、また車高を調整可能である。空気ばね11及びダンパー12は、各車輪8に対して組で設けられる。
空気ばね11は、気密室を備え、気密室内に充填される空気の圧力により車体を支持するスプリングとしての役割を担う。空気ばね11は、空気量調整手段13と接続され、気密室内の空気量が調整される。また、空気ばね11は、空気ばね11内の内圧を測定する圧力センサ14を備える。
圧力センサ14は、制御ユニット7と接続され、測定した空気ばね11内の内圧を信号として制御ユニット7に出力する。ダンパー12は、例えば油圧式の減衰器であって、空気ばね11の振動を減衰する。
【0016】
空気量調整手段13は、例えばコンプレッサ18と制御バルブ15とにより構成される。コンプレッサ18は、後述の制御ユニット7と電気的に接続され、制御ユニット7から出力される駆動信号により駆動して加圧した空気を吐出口から吐出する。吐出口には、空気ばね11毎に個別に制御バルブ15が設けられる。
制御バルブ15は、制御ユニット7と電気的に接続され、制御ユニット7から出力される信号に基づいて、コンプレッサ18から吐出された空気を空気ばね11に供給、又は停止、あるいは空気ばね11内の空気を排気させる切替えを行う。
【0017】
具体的には、制御バルブ15は、吸入口と供給口と排気口とを備え、吸入口と供給口とを連通又は遮断する開閉弁16と、開閉弁16の下流側に設けられ供給口と排気口との連通又は遮断をする排気弁17とを備える。吸入口には、コンプレッサ18から延長する配管が接続される。供給口には、空気ばね11から延長する配管が接続される。また、開閉弁16と排気弁17とは、制御ユニット7と電気的に個別に接続され、制御ユニット7から出力される信号に基づいて個別に開閉する。詳細には、開閉弁16は、制御ユニット7から出力された信号に基づいて弁を開放して、コンプレッサ18からの空気を空気ばね11に供給可能にする。また、排気弁17は、制御ユニット7から出力された信号に基づいて弁を開放して、空気ばね11内の空気を排気する。なお、開閉弁16及び排気弁17は、初期状態及び非制御時には弁が閉じた状態に設定される。
以下の説明において、車輪8は、右前輪を8A、左前輪を8C、右後輪を8D、左後輪を8Dとして示し、右前輪8Aに対応する空気ばねを11A、左前輪8Cに対応する空気ばねを11C、右後輪8Dに対応する空気ばねを11B、左後輪8Bに対応する空気ばねを11Bとして説明する。
【0018】
加振手段5は、加振機19と加振機19の動作を制御する加振制御装置20とにより構成される。加振機19は、各車輪8に対応するように設けられ、車輪8を上下に振動させるアクチュエータと、荷重計22と、車輪8が載置される車輪載せ台23とにより構成される。
アクチュエータは、加振制御装置20と接続され、加振制御装置20から出力される信号によりサーボモータが駆動することで進退するピストン21を備える。ピストン21の上面には車輪載せ台23が固定される。
【0019】
車輪載せ台23は、上面と下面が平行に形成された矩形状の平板材により構成され、車輪8を載せたときに車輪8の輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlを測定する荷重計22を内臓する。車輪載せ台23の上面側には、車輪8が載置される車輪載せ面が形成され、車輪8を載せたときに車輪8が前後方向及び左右方向に移動しないように規制する図外の輪止機構を備える。また、車輪載せ面には、荷重計22の測定面が面一となるように配置される。
荷重計22は、後述の制御ユニット7にそれぞれ接続され、車輪の輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlを測定して制御ユニット7に出力する。
【0020】
加振制御装置20は、加振機19のアクチュエータの動作を制御するコンピュータであり、演算処理手段としてのCPU、記憶手段としてのROM,RAM及びHDD、通信手段としてのインターフェイスを含み、記憶手段に格納されたプログラムに基づいて動作する。加振制御装置20には、図外のキーボードやマウス等の入力手段やモニタ等の表示手段が接続される。
加振制御装置20は、作業者が入力手段を操作し、車輪8を加振する振幅及び加振周波数を入力することで入力された振幅及び加振周波数を加振機19のアクチュエータに出力して、アクチュエータによる車輪8の上下の加振を制御する。
本実施形態では、加振制御装置20は、車両の例えば左前輪8Cの一輪のみを0〜6Hzの範囲で加振周波数を変化させながら加振するように加振機19を制御する。なお、加振周波数0〜6Hzの範囲は、平坦な直線道路を車両が走行中に、路面から車輪8Cに入力される振動を想定したものである。
【0021】
制御ユニット7は、車両のバランスが最適となるように車高調整手段4を制御するための処理を実行をするコンピュータであり、演算処理手段としてのCPU、記憶手段としてのROM,RAM及びHDD、通信手段としてのインターフェイスを含み、記憶手段に格納されたプログラムに基づいて動作する。
制御ユニット7は、タッチパネル等の入力表示手段を備え、車両のバランス制御に対するコマンドや動作状態が入力表示手段に表示される。
車両のバランスが最適とは、車両の重心位置が、車体の幅方向中心に沿って前後方向に位置する場合を示し、特に対角に位置する車輪8A;8B,8C;8D同士を結ぶ線が交差する車両の中心に位置することを示す。
【0022】
図1に示すように、制御ユニット7は、加振機19により加振された車両のピッチ量とロール量とを算出するピッチロール算出手段25と、加振した周波数とロール量及びピッチ量とに基づく車両のピッチロール伝達関数を設定するピッチロール伝達特性設定手段26と、ピッチロール伝達関数により得られるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達関数の位相値がゼロとなるように車高調整手段4を制御する車高制御手段27とを備える。
【0023】
ピッチロール算出手段25は、荷重計22から出力された輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに基づいて、車両のピッチ量を算出するピッチ算出部25Aと、ロール量を算出するロール算出部25Bとを有する。
ピッチ算出部25Aは、荷重計22によって測定された左右前輪8A;8Cの輪荷重値Wfr,Wflの和、及び、左右後輪8B;8Dの輪荷重値Wrr,Wrlの和を算出し、左右前輪8A;8Cの輪荷重値Wfr,Wflの和から左右後輪8B;8Dの輪荷重値Wrr,Wrlの和を減じることにより輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに基づいた車両のピッチ量を算出する。例えば、左右前輪8A;8Cの輪荷重値Wfr,Wflの和が左右後輪8B;8Dの輪荷重値Wrr,Wrlの和よりも大きければ車両の姿勢は前下がりの状態であり、左右前輪8A;8Cの輪荷重値Wfr,Wflの和が左右後輪8B;8Dの輪荷重値Wrr,Wrlの和よりも小さいければ車両の姿勢は右下がりの状態である。
ロール算出部25Bは、荷重計22によって測定された右側前後車輪8A;8Dの輪荷重値Wfr,Wrrの和、及び、左側前後車輪8B;8Cの輪荷重値Wfl,Wrlの和を算出し、右側前後車輪8A;8Dの輪荷重値Wfr,Wrrの和から左側前後輪8B;8Cの輪荷重値Wfl,Wrlの和を減じることにより、輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに基づく車両のロール量を算出する。例えば、右側前後車輪8A;8Dの輪荷重値Wfr,Wrrの和が左側前後車輪8B;8Cの輪荷重値Wfl,Wrlの和よりも大きければ車両の姿勢は前下がりの状態であり、右側前後車輪8A;8Dの輪荷重値Wfr,Wrrの和が左側前後車輪8B;8Cの輪荷重値Wfl,Wrlの和よりも小さければ車両の姿勢は左下がりの状態である。
【0024】
ピッチロール伝達特性設定手段26は、右前輪8A及び左後輪8Cを結ぶ対角軸A1、又は左前輪8B及び右後輪8Dを結ぶ対角軸A2のいずれか一方の対角軸A1又はA2における車両の重心位置の変化に関する運動方程式に基づいて導出されるピッチロール伝達特性を示すピッチロール伝達関数を設定する。つまり、加振機19による加振を入力とし、当該入力に対する応答として荷重計22によって測定された輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに基づいてピッチロール伝達関数を設定する。設定されたピッチロール伝達関数は、記憶手段に記憶される。
【0025】
本実施形態では、車両の車輪8A;8Bを結ぶ一方の対角軸A1に着目して、車両の重心位置における運動方程式に基づくピッチロール伝達関数を制御ユニット7に記憶させておき、ピッチロール伝達関数のパラメータを設定する。ピッチロール伝達関数は、対角軸A1上の重心位置を基準とする運動方程式から導出される。
【0026】
図3は、ピッチロール伝達関数により加振の応答として出力されたゲイン及び位相値を示す図である。車高制御手段27は、ゲインピーク検出部31と、位相検出部32と、車高制御部34とを備える。
ゲインピーク検出部31は、図3に示すように加振による応答として出力されるゲインからゲインのピークを検出し、ピークを検出したときのピーク周波数を位相検出部32に出力する。例えば、加振周波数に対して得られたゲインを周波数方向に走査してピークを検出し、そのときの周波数をピーク周波数として位相検出部32に出力する。
位相検出部32は、ゲインピーク検出部31から出力されたゲインのピーク周波数に1Hz加算したときの位相値の値を検出し、当該位相値が閾値よりも大きいときには、位相値を信号として車高制御部34に出力し、位相値が閾値よりも小さいときには車高制御部34に制御終了の信号を出力する。
【0027】
車高制御部34は、位相検出部32により出力される信号に基づいて車高の制御を行う。つまり、位相検出部32から位相値の信号が出力されたときに制御を行う。具体的には、車高制御部34は、位相検出部32により出力された位相値がゼロとなるように車高調整手段4の空気ばね11の内圧を設定する。
車高制御部34では、下記に基づいて車高の調整を行う。
車両の対角軸A1の輪荷重値Wfr,Wrlの和と、対角軸A2の輪荷重値Wfl,Wrrの和との差がゼロとなるように繰り返し車高を制御することで、ロールの位相値をゼロにすることができる。なお、実際にロールの位相値をゼロにすることができるのは、車両が停止状態であって、走行中には、車両に作用する輪荷重値が時々刻々と変化するため、ゼロに近づける制御を連続的に行うこととなる。
本実施形態では、右後輪8Dについてのみ車高調整の制御を行うものとし、輪荷重値Wrrが変化するように空気ばね11の内圧を調整することで車高の調整値を設定する。
【0028】
即ち、車高制御部34は、一方の対角軸A1の輪荷重値Wfr,Wrlの和が、他方の対角軸A2の輪荷重値Wfl,Wrrの和よりも小さいときには、調整前の時点における対角軸A1;A2の位相値の差がゼロ、換言すれば、ピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように空気ばね11内の内圧を低くすることで輪荷重値Wrrを大きくし、再び輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlを測定して空気ばね11の内圧を調整することで、対角軸A1;A2の位相値の差がゼロとなるまで輪荷重値Wrrを繰り返し調整する。
また、一方の対角軸A1の輪荷重値Wfr;Wrlの和が、他方の対角軸A2の輪荷重値Wfl;Wrrの和よりも大きいときには、調整前の時点における対角軸A1;A2の位相値の差がゼロ、換言すれば、ピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように空気ばね11内の内圧を高くすることで輪荷重値Wrrを小さくし、再び輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlを測定して空気ばね11の内圧を調整することで、対角軸A1;A2の位相値の差がゼロとなるまで輪荷重値Wrrを繰り返し調整する。
【0029】
車高制御部34は、右後輪8Dの空気ばね11Dの内圧が、設定された圧力となるように空気量調整手段13に信号を出力し、空気量調整手段13を制御することで、対角軸A1の輪荷重値Wfr;Wrlの和と対角軸A2の輪荷重値Wfl;Wrrの和との差が、ゼロとなるように右後輪8D側の車高を調整する。
よって、制御ユニット7は、各車輪8において測定された輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlの対角の輪荷重値Wfr;Wrl,Wfl;Wrrの和の差がゼロとなるように車高調整手段4を制御することで、車両に装着されたダンパー12の減衰力Cや空気ばね11のばね係数Kに依存することなく車両のバランスを調整することができる。
【0030】
図4は、制御ユニット7による車高調整のフローチャートである。以下、制御ユニット7による車高調整の動作について説明する。
まず、車両を加振機19に配置して、ドライバーが乗車した状態で加振機19を動作させて車両の左前輪8Cを0〜6Hzの周波数の範囲で変化させながら上下方向に加振し、全輪の輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlの変化を荷重計22により測定する(S101)。
加振周波数に対応する荷重計22により輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに基づいて車両のピッチ量及びロール量をそれぞれ算出する(S102)。
【0031】
次に、0〜6Hzの周波数の範囲による加振を入力とし、ピッチ量及びロール量を出力とするピッチロール伝達関数をピッチロール伝達特性設定手段26により設定する(S103)。
次に、ゲインピーク検出部31によりピッチロール伝達関数のゲインに周波数方向に走査することでピークを検出し、ピークを検出したときのピーク周波数を検出し、位相検出部32によりゲインのピーク周波数に1Hz加算したときの位相値を検出する(S104)。
次に、位相値が閾値以下のときには、制御を終了し、閾値以上のときにはS105に移行する(S105)。
次に、調整前の時点における対角軸A1;A2の位相値の差がゼロとなるピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの位相値がゼロに近づくように、車輪8Dに対応する空気ばね11Dの内圧を調整する調整値を設定する(S106)。
次に、車高制御部34は、車輪8Dに対応する空気ばね11Dの内圧を調整する調整値に基づいて、右後輪8Dの空気ばね11Dに空気を所定量供給又は排気するように空気量調整手段13に信号を出力し、空気量調整手段13が空気ばね11Dの内圧を調整する(S107)。
次に、S101に戻り、再び輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlを測定し、S102からS105まで実行し、ピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの位相値が閾値以下となったときに制御を終了する。
【0032】
以上説明したように、本発明の車高調整装置1は、車両において対角に位置する車輪の輪荷重値Wfr;Wrl,Wfl;Wrrの和の変化に基づいて右後輪8Dの一輪のみを車高の調整対象としているので、車両のバランス、即ち、車両における対角の輪荷重値Wfr;Wrl,Wfl;Wrrの和の差がゼロとなるよう車高を制御するときに、容易に制御でき、かつ、制御に係る時間を短くすることができる。よって、ピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの位相値がゼロに近づくように、対角の輪荷重値Wfr;Wrl,Wfl;Wrrの和の差がゼロとなるよう車高を制御された車両は、操縦安定性能や乗り心地等の動的なバランスに優れたものとなる。
【0033】
実施形態2
上記実施形態1では、車両のいずれか1輪を0〜6Hzの範囲で周波数を変化させながら加振機19により上下に加振するとしたが、本実施形態2では、車両のいずれか一方の片側前後車輪8A;8D,8B;8Cの二輪を加振するようにした点で異なる。
【0034】
本実施形態の加振手段5は、図1及び図2に示す、車両の例えば右側前後車輪8A;8Dに対応して設けられる加振機19;19と、加振機19;19の動作を制御する加振制御装置20とにより構成される。加振制御装置20は、各加振機19;19が上下に同位相で0〜6Hzの加振周波数の範囲で変化させながら加振するように制御する。
【0035】
本実施形態のように加振機19;19により右側前後車輪8A;8Dを同位相で加振すると、車両に対する入力を大きくすることができ、車両における重心位置の変化を大きくすることができる。このように、大きな入力により加振することで測定された輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに基づいて、ピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの位相値がゼロに近づくように、繰り返し右後輪8Dに対応する空気ばね11Dの内圧を調整して、車高が調整された車両は、実際の走行において大きな入力が生じても、実施形態1により調整された車両のバランスに比べて、車両の姿勢変化に対して安定性が良くなる。よって、凹凸の大きな路面やうねりの大きな路面を走行しても、操縦安定性能や乗り心地等の動的なバランスに優れたものとなる。
【0036】
なお、本実施形態では、右側前後車輪8A;8Dを同位相で加振するとして説明したが、逆位相であっても良い。また、右側前後車輪8A;8Dを加振するとして説明したが、左側前後車輪8B;8Cを加振するようにしても良い。
【0037】
実施形態3
図5は、車高調整装置1の他の実施形態を示す概念図である。
上記実施形態1及び実施形態2では、加振手段5である加振機19の車輪載せ台23に内蔵される荷重計22を輪荷重測定手段6として説明したが、本実施形態3では、車高調整手段4である空気ばね11に取り付けられた圧力センサ14を輪荷重測定手段6として用いる点で異なる。
【0038】
本実施形態の輪荷重測定手段6は、各車輪8A;8B;8C;8Dに対応する空気ばね11A;11B;11C;11Dに取り付けられた圧力センサ14と、圧力センサ14から出力された信号に基づいて各車輪8A;8B;8C;8Dの輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlを測定する輪荷重変換手段28とにより構成される。
輪荷重変換手段28は、例えば制御ユニット7に内蔵され、圧力センサ14から出力された空気ばね11の内圧に基づいて輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlを算出する圧力輪荷重変換データを備え、圧力センサ14から出力された空気ばね11A;11B;11C;11Dの圧力値を輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに変換する。輪荷重変換手段28が変換した輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlは、ピッチロール算出手段25に出力される。よって、ピッチロール算出手段25は、輪荷重変換手段28が変換した輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlによりピッチ量とロール量とを算出することができ、変換された輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlに基づいて、ピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの位相値がゼロとなるように車輪8Dに対応する空気ばね11Dの内圧を繰り返し調整することで、車高を調整することができる。このように車高調整装置1を構成しても、上記実施形態1及び実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0039】
実施形態4
図6は、車高調整装置1の他の実施形態を示す概念図である。
上記実施形態1乃至実施形態3では、加振手段5の加振機19により車両を加振して車高の調整を行うとして説明したが、本実施形態では、走行中の車両において路面から車輪8A;8B;8C;8Dに入力される振動に基づいて車高の調整を行う点で異なる。
【0040】
本実施形態の車高調整装置1は、実施形態3において加振手段5を備えていない構成に加え、路面から車輪8A;8B;8C;8Dに入力される振動を検出する振動検出手段29と、振動検出手段29により検出された振動を振幅と周波数に変換する振動変換手段30とを備える。
振動検出手段29は、各空気ばね11A;11B;11C;11Dの圧力センサ14と個別に接続され、圧力センサ14から出力される信号に基づいて各空気ばね11A;11B;11C;11Dに対応する車輪8A;8B;8C;8Dの内圧の変動を検出する。
振動変換手段30は、ピッチロール伝達関数に対する入力として振動検出手段29により検出された振動を振幅と周波数に変換して、ピッチロール伝達特性設定手段26に出力する。
【0041】
本実施形態では、走行中の車両の車輪8A;8B;8C;8Dから入力される振動をピッチロール伝達関数に対する入力とし、ピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達関数における位相値がゼロに近づくように、右後輪8Dに対応する空気ばね11Dの内圧を繰り返し調整することで車高を調整することにより、車両のバランスが最適となり、操縦安定性能や乗り心地等の動的なバランスに優れたものとなる。
【0042】
また、本実施形態では、車両において、前輪8A;8Cにおける操舵を検出する例えば操舵センサ等の操舵検出手段を設け、操舵センサと制御ユニット7とを電気的に接続し、操舵センサにより操舵の有無を検出して車両が直進状態のときのみに車高の制御を行うようにすることで車両の旋回中に操縦安定性が損なわれること防止することができる。
【0043】
上記実施形態1乃至実施形態4では、右後輪8Dに対応する空気ばね11Dの内圧を繰り返し調整することで車高を調整するとして説明したが、制御ユニット7により左右後輪8B;8Dの二輪に対応する空気ばね11B;11Dの内圧を調整するようにしても良い。制御ユニット7により左右後輪8B;8Dの二輪に対応する空気ばね11B;11Dの内圧を調整してピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達関数における位相値がゼロに近づくように、車高を制御するように左右後輪8B;8Dに対応する車高を調整することで、異なる対角軸A1;A2の輪荷重値Wfr;Wrl,Wfl;Wrrの和を個別に制御することができるので、精度のよい車高の制御をすることができるので、操縦安定性能や乗り心地等の動的なバランスをさらに優れたものとすることができる。
【0044】
また、いずれか一方の片側の前後車輪8A;8D,8B;8Cに対応する空気ばね11A;11D,11B;11Cの内圧を調整して車高を調整するようにしても良い。いずれか一方の片側の前後車輪8A;8D,8B;8Cに対応する空気ばね11A;11D,11B;11Cの内圧を調整してピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときのピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように、車高を制御するように前後車輪8A;8D,8B;8Cに対応する車高を調整することで、車高の調整範囲及び調整精度をさらに向上させることができる。
対角に位置する車輪の輪荷重値Wfr,Wfl,Wrr,Wrlの変化に基づいて車高を制御するようにしているので、互いに異なる対角に位置する車輪8A;8B,8C;8Dの一輪をそれぞれ制御することになるので、異なる対角軸A1;A2の輪荷重値Wfr;Wrl,Wfl;Wrrの和を個別に制御することにより、精度のよい車高の制御をすることが可能となり、操縦安定性能や乗り心地等の動的なバランスをさらに優れたものとすることができる。
【0045】
また、制御ユニット7により全車輪8A;8B;8C;8Dに対応する空気ばね11A;11B;11C;11Dの内圧を調整するようにしても良い。全車輪8A;8B;8C;8Dに対応する空気ばね11A;11B;11C;11Dの内圧を調整してピッチロール伝達関数の応答としてのゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの前記ピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように、車輪8A;8B;8C;8Dに対応する車高を調整することで、人の乗車や荷物の積載によって車重が増加したことによって、車両全体の車高が下がってしまう場合であっても、全車輪8A;8B;8C;8Dの車高を調整することで、必要な最低地上高を確保できるとともに、車両のバランスを最適に制御することができる。
【0046】
なお、上記実施形態1乃至実施形態4では、車両が車高調整手段4としてのエアサスペンションを備えているとして説明したが、エアサスペンションに限らず、油圧式の車高調整手段4や、機械的に車高を調整する車高調整手段4等の車高調整可能な装置を備えていれば良い。この場合、車高調整手段4の種類によって、制御ユニット7から出力される信号の種類を適宜変更して車高を制御すれば良い。
また、車高調整手段4は、車両の車輪8A;8B;8C;8D全てに対応するように備える必要はなく、少なくともいずれか一輪に備えていれば良い。好ましくは、車高調整手段4は、左右前輪8A;8Cに対応するように、あるいは左右後輪8B;8Dに対応するように、またはいずれか片側の前後輪8A;8D,8B;8Cに備えていることで、対角軸A1;A2の左右の車高を調整できるので、より精度良く車両のバランスを調整することが可能になり、操縦安定性や乗り心地を向上させることができる。
【0047】
以上説明したように本発明に係る車高調整方法及び装置によって車高を調整すれば、車両の静止時また走行時においても常に車両のバランスが維持されるので、操縦安定性や乗り心地を最適なものとすることができる。
【0048】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 車高調整装置、4 車高調整手段、5 加振手段、6 輪荷重測定手段、
7 制御ユニット、8 車輪、
8A 右前輪、8B 左後輪、8C 左前輪、8D 右後輪、
11;11A;11B;11C;11D 空気ばね、12 ダンパー、
13 空気量調整手段、14 圧力センサ、19 加振機、
20 加振制御装置、22 荷重計、25 ピッチロール算出手段、
25A ピッチ算出部、25B ロール算出部、26 ピッチロール伝達特性設定手段、
27 車高制御手段、31 ゲインピーク検出部、32 位相検出部、
34 車高制御部、A1;A2 対角軸、Wfr;Wfl;Wrr;Wrl 輪荷重値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両のいずれかの1輪を加振手段により0〜6Hzの周波数の範囲で周波数を変化させながら上下方向に加振して当該車両全輪の輪荷重値の変化を測定し、
前記加振の周波数と、測定された各輪の輪荷重値に基づいて前記車両のピッチロール伝達特性を設定し、
当該ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの前記ピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように前記車高調整手段を制御する車高調整方法。
【請求項2】
少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両のいずれか一方の片側前後2輪を加振手段により0〜6Hzの周波数の範囲で周波数を変化させながら上下方向に加振して当該車両全輪の輪荷重値の変化を測定し、
前記加振の周波数と、測定された各輪の輪荷重値に基づいて前記車両のピッチロール伝達特性を設定し、
当該ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの前記ピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように前記車高調整手段を制御する車高調整方法。
【請求項3】
少なくとも1輪に車高の調整を可能とする車高調整手段が設けられた車両の走行中に全輪に加わる振動による輪荷重値の変化を測定し、
前記振動の周波数と、測定された各輪の輪荷重値に基づいて前記車両のピッチロール伝達特性を設定し、
当該ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの前記ピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように前記車高調整手段を制御する車高調整方法。
【請求項4】
車両の少なくとも1輪に設けられ、当該車両の車高を調整する車高調整手段と、
前記車両の全輪に設けられ、当該車両の輪荷重値を測定する輪荷重測定手段と、
前記車両のいずれか1輪を0〜6Hzの周波数の範囲で周波数を変化させながら上下に加振する加振手段と、
前記加振の周波数と、測定された前記車両の各輪の輪荷重値に基づいて前記車両のピッチロール伝達特性を設定するピッチロール伝達特性設定手段と、
前記ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの前記ピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように前記車高調整手段を制御する車高制御手段とを備える車高調整装置。
【請求項5】
車両の少なくとも1輪に設けられ、当該車両の車高を調整する車高調整手段と、
前記車両の全輪に設けられ、当該車両の輪荷重値を測定する輪荷重測定手段と、
前記車両の片側前後2輪を0〜6Hzの周波数の範囲で周波数を変化させながら上下に加振する加振手段と、
前記加振の周波数と、測定された前記車両の各輪の輪荷重値に基づいて前記車両のピッチロール伝達特性を設定するピッチロール伝達特性設定手段と、
前記ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの前記ピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように前記車高調整手段を制御する車高制御手段とを備える車高調整装置。
【請求項6】
車両の少なくとも1輪に設けられ、当該車両の車高を調整する車高調整手段と、
前記車両の全輪に設けられ、当該走行中の車両の車輪に加わる振動により変化する輪荷重値を測定する輪荷重測定手段と、
前記振動の加振の周波数と、測定された前記車両の各輪の輪荷重値に基づいて前記車両のピッチロール伝達特性を設定するピッチロール伝達特性設定手段と、
前記ピッチロール伝達特性におけるゲインのピークとなる周波数より1Hz分周波数が高いときの前記ピッチロール伝達特性における位相値がゼロに近づくように前記車高調整手段を制御する車高制御手段とを備える車高調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−43564(P2013−43564A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182954(P2011−182954)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】