説明

転がり軸受用シール装置、およびこのシール装置を備えた転がり軸受

【課題】シールケースに対してオイルシールを従来に比べて容易に着脱することができ、かつ一旦取り外したオイルシールを再使用することのできる転がり軸受用シール装置を提供する。
【解決手段】転がり軸受1の軸方向一端に配設されたシール装置20は、外輪14の軸方向両端に設置される環状のシールケース21と、シールケース21の内周に配設され、内輪11との間に接触シールを構成するオイルシール22とを備える。オイルシール22の外周にはシール取付け部材23が装着されると共に、シール取付け部材23の外周に軸受外部側に向けて拡径するシール側テーパ面23bが形成される。そして、このシール側テーパ面23bとシールケース21のケース側テーパ面21aとを係合させ、オイルシール22をシールケース21に嵌合させた状態では、シール取付け部材23のシールケース21に対する相対移動が規制されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受用シール装置に関し、特に圧延機のロールネック用軸受など、高い密封性が要求される用途の転がり軸受に用いられるシール装置、およびこのシール装置を備えた転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転がり軸受においては、軸受内部に封入したグリースなどの潤滑剤が漏れ出すのを防止し、また、外部から水や異物が侵入するのを防止するため、接触式または非接触式のシール装置が設けられている。例えば、接触式のシール装置として、外輪の軸方向両端にシールケースを取り付け、そのシールケースの内側にオイルシールを装着して、そのシールリップを油切りや後蓋などに弾性的に接触させたものが知られている。
【0003】
また、鉄鋼圧延機のロールネック用軸受のように、多量の冷却水や潤滑油等が供給される環境下で使用される転がり軸受においては、その密封性を高めるために、接触式のシール装置が使用されることが多い。下記特許文献1に開示の密封装置はその一例を示すものであり、4列密封円すいころ軸受の軸方向両端にオイルシールを備えた密封装置が装着されている。そして、密封装置を構成する接触式のオイルシールを、その芯金を軸受両端部に配置したシールケースの内周面に圧入嵌合することによりシール装置が外輪に取付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−254010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の軸受は、その過酷な使用環境を考慮して、定期的なメンテナンスのために当該軸受を分解することも多く、その際には、当該軸受の軸方向両端に設けられるオイルシールを取り外す必要が生じる。しかし、上記特許文献1のように、オイルシールをシールケースの内周に圧入固定した状態では、オイルシールを取り外すために、専用のプレス機や治具を要し、取り外しに非常に手間が掛かるといった問題がある。また、圧入した状態のオイルシールを非常に大きな力で引き抜くことでオイルシールに不要な変形が生じ、これにより再使用ができないおそれもある。
【0006】
もちろん、上述の問題は、圧延機のロールネックに用いられる転がり軸受に限らず、分解される可能性のある全ての転がり軸受に起こり得る。
【0007】
以上の事情に鑑み、本明細書では、シールケースに対してオイルシールを従来に比べて容易に着脱することができ、かつ一旦取り外したオイルシールを再使用することのできる転がり軸受用シール装置を提供することを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題の解決は本発明に係る転がり軸受用シール装置により達成される。すなわち、前記課題は、転がり軸受の内輪と外輪との間をシールするためのシール装置であって、外輪を含む外方部材の軸方向端部に設置されるシールケースと、シールケースの内周に固定され、内輪を含む内方部材との間をシールするオイルシールとを備え、オイルシールとシールケースとはテーパ面で嵌合し、かつ嵌合した状態でオイルシールのシールケースに対する軸方向の相対移動が規制されるようにしたことを特徴とする転がり軸受用シール装置により解決することができる。
【0009】
通常、この種のシール装置はその密封性を確保する観点から全周にわたって内方部材との間に摺接部を有し、それ故、このシール装置を構成するシールケースやオイルケースは環状に形成される。よって、上記のように、オイルシールとシールケースとを、テーパ面で嵌合した状態で固定するようにすれば、テーパ面のガイド機能により、互いの芯を合わせた状態で嵌め合わせることができる。従って、圧入のように位置決め等の微調整を簡略又は省略して、容易にオイルシールをシールケースに取付けることができる。また、テーパ面で嵌合した状態で軸方向の相対移動を規制することで両者を固定するようにしたので、大きな力を掛けることなくテーパ面の嵌合状態を解消する向きにオイルシールを引き抜くことができ、これによりオイルシールをシールケースから容易に取り外すことができる。よって、従来の圧入固定の場合のように、プレス機やこれに伴う専用治具を使用せずに済み、転がり軸受の分解を容易にかつ短時間で行うことができる。また、着脱作業時にオイルシールに不要な変形が生じるのを抑えて、このオイルシールを再使用することができる。
【0010】
この場合、シールケースに対するオイルシールの軸方向の相対移動、特にテーパ面での嵌合状態を解消する向きの相対移動を規制するための手段としては種々の手段を採用することができる。要は、圧入のように「強制的な変形を伴ってオイルシールをシールケースに対して軸方向に圧し進める手段」以外の手段で、両者の軸方向の相対移動が規制できればよく、例えば、オイルシールとシールケースのうち一方のテーパ面の大径側にボルト締結手段を設け、この締結手段によりオイルシールをシールケースに締結することで軸方向の相対移動が規制されるようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、オイルシールの嵌合開始側からシールケースとの締結又はその解除を行うことができるので、オイルシールの着脱作業をスムーズに行うことができる。また、ボルト締結手段の締結力で、オイルシールとシールケースとの固定力又はテーパ面での密着力を容易に調整できる。加えて、ボルト締結手段を採用すれば、この締結手段を、オイルシールのシールケースに対する回り止めとしても機能させることができる。
【0012】
また、上記のようにボルト締結により軸方向の相対移動を規制する場合、以下の具体的な構成が考えられる。すなわち、オイルシールが芯金を有する場合、芯金の外周にシール取付け部材を装着して、シールケースとシール取付け部材とをテーパ面で嵌合させるようにし、かつ、シール取付け部材のテーパ面の大径側に、外径側に突出した鍔部を形成して、この鍔部をボルト締結手段でシールケースに締結することで軸方向の相対移動が規制されるようにした構成を採ることも可能である。
【0013】
このように、芯金とは別にシール取付け部材を設け、これをシールケースにテーパ面嵌合すると共にボルト締結するようにしたので、芯金には従来と同じものを使用でき、かつテーパ面およびボルト締結用穴の加工を容易に行うことができる。よって、これまでと同等の密封性を内方部材との間で確保しつつも、その加工コストを抑えることで本発明に係るシール装置を低コストに製作することができる。
【0014】
ここで、上記構成を採る場合、例えばシール取付け部材を、軸方向に沿った断面で分割された2個の分割体で構成すると共に、各分割体の内周面に半環状凹部を形成して、2個の分割体を一体にシールケースに締結した状態で、芯金の外周部がシール取付け部材の内周面に形成された環状凹部に保持されるようにしてもよい。
【0015】
このように構成することで、シール取付け部材をオイルシールに対して着脱自在に取付けることができるので、例えば着脱作業によりシール取付け部材に変形や損傷等の不具合が生じた場合、シール取付け部材のみを交換するだけで済む。また、オイルシールのみを取外すことができるので、そのメンテナンスも容易に行える。加えて、シール取付け部材を2つ割りした構造とすることで各種面加工や穴加工を行い易い、シール取付け部材をオイルシールに固定するための工程を省略できる、といった利点もある。
【0016】
以上、軸方向の相対移動を規制するための手段としてボルト締結手段を採用した場合を説明したが、もちろんこれ以外の構成を採用することもできる。例えば、オイルシールとシールケースのうち一方のテーパ面の大径側に止め輪を装着して、他方と止め輪とを軸方向で係合させることで、軸方向の相対移動が規制されるようにしてもよい。
【0017】
このように、止め輪を上記の所定位置に装着するだけでテーパ面での嵌合状態が解消する向きの相対移動を規制することができる。よって、ボルト締結手段を採用する場合と比べて、シール装置全体の構成をコンパクトにすることができる。また、止め輪を装着するための加工は、オイルシールとシールケースの一方のみに施せば足りるので、加工を簡略化して製作コストをより低減することができる。
【0018】
あるいは、さらに別の軸方向相対移動の規制手段として、下記の構成を採用することもできる。すなわち、シールケースの内周に設けたテーパ面の小径側に、円周方向に沿って複数の切欠き凹部および凸部を形成すると共に、オイルシールの外周に設けたテーパ面の小径側に、外径側に突出し、シールケースの切欠き凸部と軸方向で係合可能な突起部を形成し、テーパ面で嵌合し、かつ切欠き凸部と突起部とを軸方向で係合させることで、オイルシールのシールケースに対する軸方向の相対移動が規制されるように規制手段を構成してもよい。
【0019】
このようにすれば、先に例示したボルトや止め輪のような部材を用いなくても、テーパ面での嵌合状態を解消する向きの相対移動を規制するための手段を構成することができる。さらにいえば、シール取付け部材を設けずとも、例えばオイルシールを構成する芯金の一部に突起部を設けるだけで済むので、加工コストの低減化とコンパクト化を図ることが可能となる。
【0020】
また、上記構成を採用する場合、例えば切欠き凸部と突起部の何れか一方に、互いに軸方向に係合した状態で他方を収容可能な凹部を設け、テーパ面で嵌合した状態では凹部の円周方向両側部で他方の円周方向の相対移動が規制されるようにしてもよい。
【0021】
このように構成することで、軸方向の係合部位と円周方向への相対移動の規制部位を切欠き凸部と突起部とに集約することができる。そのため、部品点数を増やすことなくオイルシールの回り止めを強化することができる。また、加工精度を要する部位を切欠き凸部と突起部とに絞ることができるので、加工時間およびコストを節約できる。
【0022】
また、オイルシールが芯金を有する場合、この芯金の外周に芯金補強部材を固定して、芯金補強部材の外周にテーパ面を形成するようにしてもよい。
【0023】
このように構成することで、オイルシールの芯金にテーパ面を設ける場合と比べて、芯金のシール嵌合部の剛性を高めることができる。
【0024】
また、オイルシールとシールケースとの嵌合部の密着性向上を図る目的で、オイルシールとシールケースとの間に密着シールを配設し、この密着シールを介してオイルシールとシールケースとをテーパ面で嵌合させるようにしてもよい。
【0025】
このようにすることで、双方の嵌合面と密着シールとが密着した状態でオイルシールがシールケースに嵌合されるので、オイルシールと内方部材との間だけでなくオイルシールとシールケースとの嵌合部における密封性を確保することも可能となる。また、密着シールを介在させることで、テーパ嵌合時にテーパ面間に作用する押付け力(ボルト締結手段を採用する場合であれば、その締付け力)を、所定の密着性が確保できる程度に緩めることができる。そのため、脱着時の作業性をより良好なものとすることができる。また、密着シールを双方のテーパ面と密着させることで、円筒面の場合と比べて密着面積を稼ぐことができるので、嵌合部における密封性を維持したままでテーパ嵌合部の軸方向寸法を短くでき、シール装置のコンパクト化を図ることもできる。
【0026】
なお、密着シールは、少なくとも一方のテーパ面と密着する前の状態では、その表面に凹凸を有していてもよい。あるいは、テーパ面の大径側で半径方向外側に突出してシールケース又はオイルシールの軸方向端面と密着する端面密着部をさらに有していてもよい。
【0027】
このように、テーパ面との密着表面に凹凸を設けることで、テーパ面との密着性を更に高めることができる。これにより、シールケースに対するオイルシールの組付け力を更に緩和することができる。また、端面密着部を設けることで、嵌合部の密着領域を広げて、当該嵌合部の密封性(シール性)を更に高めることができる。この種の密着シールは、オイルシール又はシールケースの所定表面に予め一体に形成しておいてもよく、別体に形成したものを例えば双方のテーパ面で挟持するようにしてもよい。
【0028】
以上の説明に係るシール装置は、転がり軸受の外輪両端に設置されたシールケースに対して所要の固定強度を確保しつつも容易に着脱できることから、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に転動可能に収容された複数の転動体と、外輪の軸方向端部に設けられるシール装置とを備えた転がり軸受として好適に提供することができる。また、特に、軸受の分解頻度が高い鉄鋼圧延機のロールネック用軸受など、液体等の異物が侵入し易い環境下で使用される転がり軸受として好適に使用できる。
【発明の効果】
【0029】
上記のように、本発明によれば、シールケースに対してオイルシールを従来に比べて容易に着脱することができ、かつ一旦取り外したオイルシールを再使用することのできる転がり軸受用シール装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る転がり軸受の全体断面図である。
【図2】図1に示す転がり軸受に取付けたシール装置であって、(a)はその全体断面図、(b)は図2(a)に示すシール装置を矢印Aの方向から見た要部平面図である。
【図3】図2に示すオイルシールのシールケースへの取付け態様を説明するための要部断面図である。
【図4】第1実施形態に係るシール装置の変形例であって、(a)はその要部断面図、(b)は図4(a)に示すシール装置を矢印Bの方向から見た要部平面図、(c)は図4(b)に示すシール装置のB−B断面図である。
【図5】第1実施形態に係るシール装置の変形例であって、(a)はその要部平面図、(b)は図5(a)に示すシール装置のC−C断面図である。
【図6】第1実施形態に係るシール装置の変形例であって、(a)はその要部正面図、(b)は図6(a)に示すシール装置への他部品の取付け態様を説明するための要部斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るシール装置であって、(a)は図7(b)に示すシール装置のD−D断面図、(b)は図7(a)に示すシール装置を矢印Dの方向から見た要部平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るシール装置であって、(a)はその全体断面図、(b)は図8(a)に示すシール装置を矢印Eの方向から見た要部平面図である。
【図9】図8に示すオイルシールのシールケースへの取付け態様を説明するための要部平面図である。
【図10】第3実施形態に係るシール装置の変形例であって、(a)はその要部断面図、(b)は図10(a)に示すシール装置を矢印Fの方向から見た要部平面図、(c)は図10(a)に示すシール装置のF−F断面図である。
【図11】第3実施形態に係るシール装置の変形例であって、(a)はその要部断面図、(b)は図11(a)に示すシール装置を矢印Gの方向から見た要部平面図、(c)は図11(a)に示すシール装置のG−G断面図である。
【図12】第3実施形態に係るシール装置の変形例であって、(a)はその要部断面図、(b)は図12(a)に示すシール装置を矢印Hの方向から見た要部平面図である。
【図13】第3実施形態に係るシール装置の変形例を示す要部断面図である。
【図14】第3実施形態に係るシール装置の変形例を示す要部断面図である。
【図15】第3実施形態に係るシール装置の変形例を示す要部断面図である。
【図16】第3実施形態に係るシール装置の変形例を示す要部断面図である。
【図17】第3実施形態に係るシール装置の変形例であって、(a)はオイルシールをシールケースに取付ける前の要部断面図、(b)はシールケースに取付けた状態の要部断面図である。
【図18】第3実施形態に係るシール装置の変形例を示す要部断面図である。
【図19】その他の実施形態に係るシール装置であって、(a)はその要部平面図、(b)は図19(a)に示すシール装置のI−I断面図、(c)は図19(a)に示すシール装置のJ−J断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1実施形態に係る転がり軸受1の全体断面図を示す。この図に示す転がり軸受1は鉄鋼圧延機のロールネックを回転支持するために使用される、いわゆる4列円すいころ軸受であって、軸受部10と、軸受部10の軸方向両端に配設されて軸受部10の内部空間をシールするためのシール装置20・20と、軸受中央部の内周に配設されて軸受部10の内径側中央をシールするための中間シール30を主に備える。このうち、軸受部10は、図示しない圧延ロールのロールネックの外周に配設され、2列の軌道面をそれぞれ有する2個の内輪11・11と、2列の軌道面を有する中央の外輪12と、その両側に間座13を介して配置された1列の軌道面をそれぞれ有する2個の外輪14と、半径方向に相対する4組の軌道面の間にそれぞれ転動自在に配設された複数の円すいころ15と、複数の円すいころ15を円周方向に所定の間隔を隔てて保持する保持器16とを備える。
【0033】
軸受部10の内部空間にはグリース等の潤滑剤が充填されており、例えば円すいころ15の外周面と内輪11の軌道面との間や、円すいころ15の外周面と外輪12・14の軌道面との間などにグリースが行き届くようになっている。以下、軸基端側(図1でいえば左側)のシール装置20を例にとりその構成および作用を詳述する。
【0034】
図2(a)は、転がり軸受1の軸方向一端に配設されたシール装置20の断面図を示している。また、図2(b)は、図2(a)に示すシール装置20を同図中の矢印Aで示す方向から見た要部平面図である。図2(a)において、軸受部10の各構成要素(内輪11、外輪12・14など)は1点鎖線で描いている。このシール装置20は、図2(a)に示すように、外輪14の軸方向端面と当接する環状のシールケース21と、シールケース21の内周に配設され、内輪11との間に接触シールを構成するオイルシール22と、オイルシール22の外周に装着され、オイルシール22をシールケース21に取付けるためのシール取付け部材23とからなる。この図示例では、例えば上記特許文献1に示す従前のシールケースを半径方向で2つに分割し、その外径側の分割体をシールケース21とし、内径側の分割体をシール取付け部材23とした形態を呈している。これら外輪12・14やシールケース21は、図示しない軸受箱などの保持手段の内周に取付けられている。また、シールケース21の外周面にはOリング24が装着され、これにより図示しない軸受箱との間をシールするようになっている。
【0035】
オイルシール22は、芯金25と、芯金25に焼付け等により一体に形成され、内輪11の端部外周面11aと全周にわたって摺接するシールリップ26と、シールリップ26の摺接部の外径側に配設され、シールリップ26を内径側に向けて弾性的に附勢する弾性リング27とを有する。これにより、グリースが充填される軸受部10の内部空間がシールされ、また、外部からの異物の侵入を防ぐようになっている。
【0036】
芯金25は、例えば金属板のプレス成形により得られるもので、ここでは、シールリップ26が一体に形成される内周端部25aと、内周端部25aから軸受外部側に向けて拡径する円すい筒部25bと、円すい筒部25bの大径端から外径側に広がるフランジ部25cと、フランジ部25cの外径端から軸受内部側に伸びる円筒状の外側筒部25dとを一体に有する形態を呈している。この場合、外側筒部25dの外周面にシール取付け部材23が装着される。
【0037】
シール取付け部材23は、上述の通り、芯金25を装着するための円筒状の内周面23aを有すると共に、外周に、軸受外部側(図2(a)でいえば左側)に向けて拡径するシール側テーパ面23bを有している。また、シール側テーパ面23bの大径端には、外径側に突出した鍔部23cが形成されている。この鍔部23cは、後述するボルト締結手段によりシールケース21に締結固定されるようになっている。
【0038】
シールケース21の内周には、シール取付け部材23の外周に設けたシール側テーパ面23bに対応する(ここでは、軸受外部側に向けて拡径し、かつテーパ角が等しい)ケース側テーパ面21aが形成されている。そして、オイルシール22を装着したシール取付け部材23を、シールケース21の内周に挿入することで、双方のテーパ面23b・21aが互いに係合し、これによりシール取付け部材23がテーパ面23b・21aでシールケース21に嵌合されるようになっている。また、双方のテーパ面23b・21aの大径側には、シール取付け部材23とシールケース21とのテーパ面23b・21aでの嵌合状態を解消する向き(図2でいえば左方向)の相対移動を規制する規制手段28が設けられている。
【0039】
ここで、上記規制手段28は、ボルト締結手段で構成される。具体的には、ボルト締結手段は、シール取付け部材23の鍔部23cを軸方向に貫通するシール側締結孔23dと、鍔部23cと軸方向に対向するシールケース21の外側端面21bに形成されるケース側締結孔21cと、双方の締結孔23d・21cと螺着して、鍔部23cをシールケース21の外側端面21bに締結固定するためのボルト29とで構成される。シール側締結孔23dとケース側締結孔21cは円周方向に沿って1又は複数設けられる。また、この実施形態では、さらに、ボルト29のヘッド29aと鍔部23cとの間に段付きの座金31が挟持固定されており、座金31の段部31aをシールケース21の外側端面21bの内周縁に引っ掛けると共に、座金31の下端部を爪状に折り曲げて、この爪部31bをボルト29のヘッド29aと係合させることで(図2(b)を参照)、座金31がボルト29の回り止めとして機能するようになっている。
【0040】
また、図2(a)に示すように、シール取付け部材23に設けたシール側テーパ面23bと、シールケース21に設けたケース側テーパ面21aとの間には、密着シール32が配設されている。この密着シール32は、例えばゴムパッキンのように、シール側テーパ面23bとケース側テーパ面21aに比べて優れた密着性および圧縮性を示すもので、左記の性質を示す樹脂やゴムなどで薄肉に形成される。この実施形態では、密着シール32は、図3に示すように、シール取付け部材23のシール側テーパ面23bに一体かつ薄肉に密着形成されており、図2(a)に示すように、シール取付け部材23をシールケース21の内周に嵌合してはじめてケース側テーパ面21aに密着するようになっている。同様に、この実施形態では、シール取付け部材23の内側端面23eにも密着シール33が一体に密着形成されており(図3を参照)、相互に嵌合した状態ではじめてシールケース21の外側端面21bに密着するようになっている。なお、図2や図3では、その存在位置が容易に視認できるように、密着シール32・33の厚みを比較的大きめに描いている。以下の説明に係る図においても同様に大きめに(厚めに)描いている。
【0041】
以下、上記構成のシール装置20における、シールケース21に対するオイルシール22の脱着態様(取付け態様、および取外し態様)を図面に基づき説明する。まず、図3の左側に示すように、オイルシール22の外周にシール取付け部材23を装着したものを用意する。そして、シール取付け部材23を装着したオイルシール22を軸受外部側からシールケース21の内周に嵌め入れる。これにより、図3の右側に示すように、密着シール32の外周面32aがシールケース21のケース側テーパ面21aと密着し、この密着シール32を介してシール取付け部材23とシールケース21とがテーパ面23b・21aで嵌合する。また、この際、ケース側テーパ面21aにより、シール取付け部材23とシールケース21との中心軸が一致するようにシール側テーパ面23bが所定位置に案内されつつ上記嵌合が行われる。この結果、互いの芯合わせが行われた状態で、オイルシール22がシールケース21の内周に嵌合される。
【0042】
このようにオイルシール22とシールケース21とをテーパ面23b・21aで嵌合させた状態で、ボルト29を軸受外部側から締付けることで、シール取付け部材23の鍔部23cをシールケース21の外側端面21bに締結する(図2(a)を参照)。これにより、オイルシール22(ここではシール取付け部材23)とシールケース21との嵌合部では、双方のテーパ面23b・21aが互いに軸方向に係合し、この係合により、オイルシール22の軸受内部側(図2でいえば右向き)への相対移動が規制される。また、シール取付け部材23とシールケース21とのボルト締結により、オイルシール22のテーパ面23b・21aでの嵌合状態を解消する向き(図2でいえば左向き)への相対移動が規制される。このようにして、オイルシール22が、軸方向の相対移動を規制された状態でシールケース21に取付けられる。
【0043】
また、この実施形態のように、シール取付け部材23のテーパ面23bや、鍔部23cの内側端面23eに密着シール32・33を密着形成した場合、ボルト29の締付けに伴い、各密着シール32・33が圧縮変形し、シールケース21のケース側テーパ面21aや外側端面21bに密着する。これにより、シール取付け部材23とシールケース21との間を全周にわたってすき間なくシールすることができ、シール装置20(オイルシール22)による高い密封性を維持することが可能となる。また、密着シール32の外周面32aをケース側テーパ面21aに密着させるようにしたので、転がり軸受1の使用時(相対回転時)、シールケース21とシール取付け部材23(に設けた密着シール32)との間に生じる摩擦トルクが、オイルシール22と内輪11との間に生じる摩擦トルクを常に上回るようにすることができる。これにより、オイルシール22のシールケース21に対する回り止めを図ることができる。逆にいえば、後述する密着シール32の形態も含め、上記トルクの大小関係を満たすように、密着シール32の材質・厚み・形状を設定するようにするのがよい。
【0044】
次に、オイルシール22をシールケース21から取り外す場合には、上記と全く逆の手順で取り外し作業を行うことにより、オイルシール22とシール取付け部材23との一体品をシールケース21から取り外すことができる。すなわち、図2に示す状態から、まずボルト29を緩めてシール取付け部材23とシールケース21との締結状態を解除する(図3の右側を参照)。そして、そのまま、シール取付け部材23を、双方のテーパ面23b・21aでの嵌合状態が解消される向き(図3でいえば左方向)に引き抜くことで、シール取付け部材23およびオイルシール22が、シールケース21から取り外される。
【0045】
このように、上記構成のシール装置20であれば、オイルシール22の嵌合開始側からシールケース21との締結又はその解除を行うことができるので、オイルシール22の着脱作業をスムーズに行うことができる。また、シール取付け部材23をテーパ面23b・21aの大径側に向けて引抜くことで、オイルシール22の取外しを行うことになるので、引抜きに要する力も従来に比べて僅かで済む。そのため、大掛かりな駆動手段や専用の治具を用いることなく、オイルシール22の脱着作業を簡易に行うことができる。また、従来に比べて小さな力でオイルシール22を取り外すことができるので、芯金25あるいはシールリップ26などに不要な変形、摩耗が生じるのを避けて、このオイルシール22を再使用することができる。
【0046】
図4は、本発明の第1実施形態に係るシール装置の変形例の1つであって、(a)はその要部断面図、(b)は図4(a)に示すシール装置を矢印Bの方向から見た要部平面図をそれぞれ示している。これらの図に示すシール装置20は、シール取付け部材23の外側端面23fに当接させた押え板34を、ボルト29の締付けによりシールケース21に固定することで、シール取付け部材23の軸方向への相対移動を規制するようにしている。このように構成することで、シール取付け部材23の軸方向への相対移動を規制しつつも、ボルト締結のための鍔部23cを省略して、シール取付け部材23の構造を簡素化することができる。また、鍔部23cのほぼ厚み分だけシール装置20全体の軸方向寸法を短くすることができる。
【0047】
また、この実施形態では、図4(a)や(b)に示すように、押え板34の外周縁のうち、ボルト29の締結箇所に対応する部分に、当該部分を軸受外部側に折り曲げることでボルト29と同数の爪部34aを形成するようにしている。このようにすることで、締結状態にあるボルト29のヘッド29aの相対回転を規制して、ボルト29の回り止めを図ることができるまた、図4(b)および(c)に示すように、シール取付け部材23の円周方向所定位置に1又は複数の凹部23gを設け、この凹部23gに、押え板34の内径側端部を折込むことで、この折込み部34bがシール取付け部材23に対する押え板34の回り止めとして機能する。これにより、シール取付け部材23のシールケース21に対する軸方向相対移動および相対回転が確実に規制される。
【0048】
図5は、第1実施形態に係るシール装置のその他の変形例であって、(a)はその要部平面図、(b)は図5(a)に示すシール装置のC−C断面図をそれぞれ示している。この図におけるシール装置20は、シール取付け部材23を、その中心軸を含む断面で2個の分割体35・35に分割した点を特徴とするものである。この場合、各分割体35は、半環状の内周面35a、シール側テーパ面35b、鍔部35c、および鍔部35cの内側端面35eをそれぞれ有する。そして、鍔部35cに形成した1又は複数のシール側締結孔35dにボルト29を螺着して、シールケース21に2個の分割体35を一体に締結することで、シール取付け部材23がシールケース21に固定されるようになっている。また、各分割体35の内周面35aには、内周面35aより大径の半環状凹部36がそれぞれ形成されている(図5(b)を参照)。そして、上記のように割り面を合わせて2個の分割体35・35を一体にシールケース21に締結した状態では、分割体35の内周に配置した芯金25の外側筒部25dが、各分割体35・35の内周面35a・35aに形成された半環状凹部36・36に挟み込まれる(図5(a)を参照)。これにより、芯金25が、一体化した分割体35・35、すなわちシール取付け部材23の内周に、軸方向の相対移動を規制された状態で保持される(図5(b)を参照)。
【0049】
このように構成することで、シール取付け部材23をオイルシール22に対して着脱自在に取付けることができるので、例えば着脱作業によりシール取付け部材23に変形や損傷等の不具合が生じた場合、シール取付け部材23のみを交換するだけで済む。また、オイルシール22のみを取外すことができるので、そのメンテナンスも容易に行える。また、図2に示す形態であれば必要となる、シール取付け部材23をオイルシール22に固定するための工程を省略することができる。ところで、シール取付け部材23を分割した場合、これら分割体35・35を位置決めした状態でシールケース21の内周に嵌め入れるのに相当の手間を要するところ、本発明に係るシール装置20であれば、その外周に半環状のシール側テーパ面23bを有しているので、対応するケース側テーパ面21aのガイド機能により、容易に位置決め嵌合を図ることができる。なお、図5(a)に示すように、各分割体35の割り面に密着シール37を密着形成してもよい。これにより、割り面間の密着性を高めて、シール装置20全体としての高い密封性を確保することができる。これら密着シール32・33・37は、別個にシール取付け部材23(分割体35)に密着形成してもよく、一体に密着形成してもよい(図5(b)を参照)。
【0050】
また、上記のように、シール取付け部材23を2個の分割体35・35で構成する場合、分割体35・35間に他の部品を装着することも可能である。図6はその一例を示すもので、(a)は分割体35の要部(割り面)を正面から見た図、(b)は図6(a)に示す分割体35(シール取付け部材)への他部品の取付け態様を説明するための要部斜視図をそれぞれ示している。この図示例では、シール取付け部材の分割体35の割り面に、所定形状の収容凹部38が形成されている。この収容凹部38は双方の分割体35・35に形成されており、分割体35を例えば図5(a)に示すように一体化した状態では、2つの収容凹部38が、一方向への通気を許容する一方向通気部材39(いわゆる逆止弁など)を収容し得る収容空間を形成できるようになっている。そのため、図6に示す形態のシール取付け部材(分割体35)であれば、図6(b)に示すように、まず、一方の分割体35の収容凹部38に一方向通気部材39を取付けると共に、その内周面35aに設けた半環状凹部36に芯金25の外側筒部25d(図5(b)を参照)の半分を嵌め合わせる。然る後、他方の分割体35を一方の分割体35の割り面で合わせることで、一方向通気部材39が分割体35の収容凹部38・38に収容されると共に、芯金25の外側筒部25dが半環状凹部36・36に挟持される。このようにして、分割体35・35間に芯金25や一方向通気部材39を保持した状態で、例えば図4に示す規制手段28を適用することで、シール取付け部材23をシールケース21に固定することができる。
【0051】
このようにすることで、特に構造を複雑化させることなく、シール取付け部材23の内部に一方向通気部材39を装着することができ、これにより、例えば必要な空気を軸受外部から内部に取り入れて、軸受内外における圧力差を解消することができる。なお、この際、図6(b)に示すように、Oリングやドーナツ型パッキン等の密封部材40を、収容凹部38の軸方向一端に取付けておいてもよい。このようにすることで、割り面のうち密着シール37の存在しない部分における密封性を併せて維持することができる。また、図6(a)や(b)に示すように、割り面に設けた密着シール37の一部を収容凹部38の内周面から半径方向外側ないし内側に後退させることで、当該後退部分に排水用の溝41を軸方向に沿って形成することも可能である。
【0052】
以上、本発明の第1実施形態を説明したが、本発明の範囲は当該実施形態に限定して解釈されるべきものではなく、オイルシール22とシールケース21とがテーパ面で嵌合し、かつ嵌合した状態でオイルシール22のシールケース21に対する軸方向の相対移動が規制されるようにしたもの全てに及ぶことはもちろんである。
【0053】
図7は、本発明の第2実施形態に係るシール装置であって、(a)は図7(b)に示すシール装置のD−D断面図、(b)は図7(a)に示すシール装置を矢印Dの方向から見た要部平面図をそれぞれ示している。同図に示すシール装置20は、第1実施形態とは異なる規制手段28を有する。すなわち、この実施形態における規制手段28は、図7(a)に示すように、シールケース21のケース側テーパ面21aの大径側に設けられた環状溝21dと、環状溝21dと嵌合可能な止め輪42とで構成される。そして、シールケース21に設けた環状溝21dに止め輪42としてのCリングなどを嵌め合わせることで、シール取付け部材23の外側端面23fと軸方向で係合可能とし、これにより、シール取付け部材23の軸方向への相対移動が規制されるようにしている。この構成によれば、第1実施形態のように、ボルト29を締結するための孔(シール側締結孔23d、ケース側締結孔21c)を設けずに済むので、ボルト締結手段を採用する場合と比べて、シール装置20全体の構成をコンパクトにすることができる。また、加工コストの低減を図ることができる。
【0054】
もちろん、止め輪42であれば、これを縮径させて環状溝21dから外すだけで、シール取付け部材23の軸方向の規制状態を解除して、オイルシール22をシールケース21から容易に取り外すことができるので、オイルシール22の着脱作業も手間なく行うことができる。この際、例えば図7(b)に示すように、止め輪42の円周方向両端部に拡縮操作用の孔42a・42aを設けておき、この孔42aに適当な操作器具のピン部を挿入して当該ピン部を互いに近接させることで、止め輪42を容易に縮径させて、環状溝21dから取り外すことができる。
【0055】
図8は、さらに他の実施形態(第3実施形態)に係るシール装置であって、(a)はその全体断面図、(b)は図8(a)に示すシール装置を矢印Eの方向から見た要部平面図をそれぞれ示している。この実施形態に係るシール装置20は、シールケース21の内周に設けたケース側テーパ面21aの小径端に、円周方向に沿って複数の切欠き凸部43と切欠き凹部44とを形成すると共に、オイルシール22の側に設けたシール側テーパ面の小径側に、外径側に突出し、シールケース21の切欠き凸部43と軸方向で係合可能な突起部45を形成したものである。そして、オイルシール22とシールケース21とをテーパ面で嵌合させ、かつ切欠き凸部43と突起部45とを軸方向で係合させることで、オイルシール22のシールケース21に対する軸方向の相対移動が規制されるようにしている。この点、すなわち上記構成の規制手段28を有する点で、本実施形態に係るシール装置20は、上記第1・第2実施形態に係るシール装置20と相違する。
【0056】
詳述すると、この実施形態において、オイルシール22の芯金25は、図8(a)に示すように、最も外径側に位置する外側筒部25dをその先端側(組み込んだ状態では軸受内部側)に向けてテーパ状に縮径するように折り曲げてあり、この外側筒部25dの外周に、シールケース21とテーパ嵌合するシール側テーパ面25eが形成されている。また、外側筒部25dの小径端には、図9に示すように、切欠き凸部43と軸方向に係合可能な突起部45が円周方向の複数箇所にわたって形成されている。同様に、シールケース21の内周に設けたケース側テーパ面21aの小径端には、このテーパ面21aを円周方向の複数箇所にわたって切欠くことにより複数の切欠き凸部43と切欠き凹部44とが交互に形成されている。この際、図8(b)に示すように、切欠き凸部43と突起部45とは、円周方向幅寸法が略等しく、互いに円周方向のほぼ全領域にわたって係合できるようになっている。また、後述のように、オイルシール22とシールケース21とがテーパ面25e・21aで嵌合した状態では、突起部45の外径寸法が切欠き凹部44の内径寸法より小さくなるよう形成されている。
【0057】
以下、上記構成のシール装置20における、シールケース21に対するオイルシール22の脱着態様(取付け態様、および取外し態様)を説明する。まず、図8(a)に示すように、芯金25の外周(シール側テーパ面25e)に密着シール32を装着したオイルシール22を用意する。そして、このオイルシール22を、図9に示すように、芯金25に設けた突起部45とシールケース21に設けた切欠き凹部44の円周方向の位相を合わせた状態で、軸受外部側からシールケース21の内周に嵌め入れる。これにより、突起部45が切欠き凹部44を軸方向に通過して、切欠き凸部43よりも軸受内部側(図8(a)でいえば右側)に来たところで芯金25のシール側テーパ面25eと、シールケース21のケース側テーパ面21aとが薄肉の密着シール32を介して嵌合する。
【0058】
そして、テーパ面25e・21aで嵌合した状態のシールケース21に対してオイルシール22を所定角度だけ回転させることで、芯金25に設けた突起部45を、図9に示す円周方向位置から図8(b)に示す円周方向位置へと移動させ、突起部45と切欠き凸部43とを軸方向に係合させる(図8(a)を参照)。なお、この際、突起部45から切欠き凸部43を附勢する向きの力(図8(a)でいえば左向きの力)が作用するように、テーパ嵌合した状態における突起部45の外側端面が切欠き凸部の内側端面よりも僅かに軸受外部側に位置するように構成してもよい。
【0059】
このようにして、オイルシール22とシールケース21との嵌合部では、双方のテーパ面25e・21aが互いに係合し、この係合により、オイルシール22の軸受内部側(図8(a)でいえば右向き)の相対移動が規制される。また、芯金25に設けた突起部45とシールケース21に設けた切欠き凸部43とを軸方向に係合させることにより、オイルシール22のテーパ面25e・21aでの嵌合状態を解消する向き(図8(a)でいえば左向き)の相対移動が規制される。このようにして、オイルシール22が、軸方向の相対移動を規制された状態でシールケース21に取付けられる。
【0060】
次に、オイルシール22をシールケース21から取り外す場合には、上記と全く逆の手順で取り外し作業を行うことにより、オイルシール22をシールケース21から取り外すことができる。すなわち、図8(b)に示す状態から、オイルシール22をシールケース21に対して所定角度だけ回転させることで、突起部45と切欠き凸部43との位相をずらして、オイルシール22とシールケース21との係合状態を解除すると共に、突起部45と切欠き凹部44との位相を一致させる(図9を参照)。そして、そのまま突起部45を、双方のテーパ面25e・21aでの嵌合状態が解消される向き(図8(a)でいえば左方向)に引き抜くことで、オイルシール22が、シールケース21から取り外される。
【0061】
このようにすることで、ボルト29や止め輪42などの部品を省略できる。また、芯金25とシールケース21の一部で規制手段28を構成でき、シール取付け部材23についても省略できる。そのため、シール装置20の密封性ないし脱着性はそのままでコンパクト化を図ることができる。加えて、切欠き凸部43や突起部45のような部位であれば、ボルト29の締結孔23d・21cよりも加工が容易なため、その加工コストをさらに低減することもできる。
【0062】
また、この実施形態では、突起部45と切欠き凸部43を共にシール側テーパ面25eとケース側テーパ面21aの小径端に設けるようにしたので、オイルシール22の嵌め入れ(引抜き)動作と回転動作のみで規制手段28を構成又は解除することができる。そのため、脱着操作性をより一層良好かつ簡易なものとすることができる。
【0063】
図10は、第3実施形態に係るシール装置の変形例であって、(a)はその要部断面図、(b)は図10(a)に示すシール装置を矢印Fの方向から見た要部平面図、(c)は図10(a)に示すシール装置のF−F断面図をそれぞれ示している。この図示例に係るシール装置20は、シールケース21の切欠き凸部43に軸方向の段部43aを設けたもので、双方のテーパ面25e・21aで嵌合した状態では、図10(a)に示すように、上記段部43aにオイルシール22の芯金25に設けた突起部45が嵌り合うように構成されている点で、図8に示すシール装置20と相違する。この際、図10(b)に示すように、切欠き凸部43の円周方向幅寸法は突起部45のそれに比べて大きく、かつ、切欠き凸部43に設けた段部43aの円周方向幅寸法についても突起部45のそれ以上に形成されている。また、図10(a)ないし(c)に示すように、シールケース21とオイルシール22とがテーパ面25e・21aで嵌合した状態で、突起部45の外側端面が段部43aの内側端面と係合するように、シール側テーパ面25eに対する突起部45の形成位置、又は段部43aの段差(後退量)が設定されている。
【0064】
上述の構成を採る場合、例えば図8に示すシール装置20と同様、オイルシール22を、図9に示すように、芯金25に設けた突起部45とシールケース21に設けた切欠き凹部44の円周方向の位相を合わせた状態で、軸受外部側からシールケース21の内周に嵌め入れる。そして、テーパ面25e・21aで嵌合した状態のシールケース21に対してオイルシール22を所定角度だけ回転させることで、芯金25に設けた突起部45を、図9に示す円周方向位置から図10(b)に示す円周方向位置へと移動させる。そして、突起部45と切欠き凸部43の段部43aとが同位相になると、突起部45が若干の変形を伴って段部43aの円周方向両側部を乗り越えて、段部43aと同位相に来ると、突起部45が軸受外部側に戻って段部43aと嵌り合う。これにより、オイルシール22とシールケース21とがテーパ面25e・21aで嵌合した状態で、切欠き凸部43の段部43aと突起部45とが軸方向で係合し、かつ円周方向でも係合可能となる。よって、特に別部材を別途設けることなく、オイルシール22の回り止めを実施することが可能となる。
【0065】
また、上記の説明では、シールケース21の切欠き凸部43に段部43aを設け、この段部43aに突起部45を嵌め合い可能とした場合を例示したが、もちろん、逆の構成を採ることも可能である。図11はその一例を示すもので、(a)はその要部断面図、(b)は図11(a)に示すシール装置を矢印Gの方向から見た要部平面図、(c)は図11(a)に示すシール装置のG−G断面図をそれぞれ示している。この図示例に係るシール装置20は、芯金25の突起部45に軸方向の段部45aを設けており、双方のテーパ面25e・21aで嵌合した状態では、図11(a)に示すように、上記段部45aにシールケース21に設けた切欠き凸部43が嵌り合うように構成されている。よって、この構成によっても、オイルシール22の回り止めを実施することが可能となる。なお、図示は省略するが、切欠き凸部43(段部43a)又は突起部45の角部について面取りを施すことで、突起部45が段部43aの段差分を乗り越え易くして、突起部45の段部43aへの嵌め込みをスムーズに行うこともできる。突起部45に段部45aを設ける場合にも同様の構成を採り得ることはもちろんである。
【0066】
また、オイルシール22の回り止め効果を高める手段として、例えば図12に示す手段を採ることも可能である。すなわち、この図示例では、シール側テーパ面25eとケース側テーパ面21aとの間に配設した密着シール32をさらに外径側へ延長している。そして、図12(a)に示すように、延長部分としての端面密着部46をシールケース21の外側端面21bに密着させることで、シール嵌合部における密封性をより一層高めると共に、シールケース21との密着面積を増やして摺動抵抗を増大している。従って、この構成によってもオイルシール22の回り止めを図ることができる。なお、回り止め効果の更なる向上を図るのであれば、図12(b)に示すように、シールケース21に係合ピン47を立設すると共に、この係合ピン47のヘッド47aと嵌り合う大きさの切欠き部46aを端面密着部46の外周縁に形成することで、密着シール32ひいてはオイルシール22の回り止めを確実に図ることができる。
【0067】
図13は、第3実施形態に係るシール装置の更なる変形例を示す要部断面図である。同図に係るシール装置20は、芯金25の外側筒部25dの外周に芯金補強部材48を取付け、この芯金補強部材48の外周に、ケース側テーパ面21aと嵌合し得るシール側テーパ面48aを設けた点で、図8から図12に示すシール装置20と相違する。詳述すると、芯金補強部材48は、芯金25と同様、金属板のプレス成形等により所定形状に成形されたものであり、芯金25のテーパ形状をなす外側筒部25dの外側に重ねて配設されている。また、この図示例では、外側筒部25dに代えて、芯金補強部材48の小径側に突起部45が設けられており、テーパ面48a・21aで嵌合した状態では突起部45と切欠き凸部43とが軸方向に係合できるようになっている。
【0068】
このように構成することで、芯金25を補強することができ、これにより、オイルシール22脱着時に起こり得る芯金25の不要な変形、特にシールケース21とテーパ嵌合する外側筒部25dの変形を抑制することができる。
【0069】
また、図12に示すように、密着シール32に端面密着部46を設ける場合、この端面密着部46を芯金補強部材48で補強することも有効である。すなわち、図13に示すように、芯金25の外側筒部25dの外周に沿って配設される芯金補強部材48に、その大径端から外径側に向けて突出した鍔部48bを一体に設け、この鍔部48bの周囲に密着シール32(端面密着部46)を密着形成してもよい。このような構成を採ることで、鍔部48bを、端面密着部46の芯金として機能させることができ、端面密着部46を確実にシールケース21の外側端面21bに密着させることができる。
【0070】
あるいは、図14に示すように、突起部45の補強を図ることも可能である。すなわち、テーパ状をなす外側筒部25dの小径端部に、金属板をプレス成形してなる突起部形成部材49を固定する。そして、突起部形成部材49の一部を外径側に向けて折り曲げて重ね合わせて、この重ね合わせた部分49aで突起部45を構成してもよい。このように構成することで、切欠き凸部43との係合部(突起部45)のみを効果的に補強することができる。
【0071】
図15は、第3実施形態に係るシール装置の更に別の変形例を示す要部断面図である。同図に示すシール装置20では、シールケース21が、ケース本体50と、環状のケース分割体51とに分けて形成され、ケース分割体51の内周には切欠き凸部43および切欠き凹部44が形成されている。そして、このケース分割体51をボルト52によりケース本体50に締結することで、芯金25に設けた突起部45と軸方向に係合できるようになっている。このように構成することで、より容易に切欠き凸部43および切欠き凹部44を形成することができる。
【0072】
あるいは、図16に示すように、ケース分割体53を金属板のプレス成形品としてもよい。この場合、薄板状のケース分割体53の内周縁の一部を軸受外部側(図16でいえば左方向)に向けて折曲げると共に、この折曲げ部53aと円周方向に隣接する部分を軸方向に打抜くことで、複数の折曲げ部53aと打抜き部53bとが形成される。よって、これら折曲げ部53aと打抜き部53bをそれぞれ切欠き凸部43と切欠き凹部44として用いることで、突起部45と折曲げ部53aとで規制手段28をより安価に構成することができる。
【0073】
以上、主に規制手段28およびこの規制手段28を構成する要素が採り得る形態につき説明したが、これ以外の構成要素についても、本発明の範囲内である限りにおいて種々の形態を採り得ることはもちろんである。
【0074】
例えばオイルシール22とシールケース21との間に配設される密着シール32に関し、図17や図18に示す形態を採ることが可能である。すなわち、図17(a)に示すように、芯金25のシール側テーパ面25eに密着シール32を一体に形成する場合、ケース側テーパ面21aと当接する密着シール32の外周面32aに予め凹凸を設けるようにしてもよい。このように構成すれば、密着シール32の外周面32aに形成された凹凸部分が、テーパ面25e・21aで嵌合した状態ではケース側テーパ面21aに押圧されて変形し、その結果、密着シール32でケース側テーパ面21aを漏れなく密着することが可能となる。また、このようにケース側テーパ面21aへの密着性を向上させることで、シールケース21に対するオイルシール22の組付け力を緩和することができるので、脱着時におけるオイルシール22の損傷を防止又は抑制して、分解後の再使用を図ることができる。あるいは、図18に示すように、シールケース21の外側端面21bと当接する密着シール32の端面密着部46の内側端面46bに上記の凹凸(図中破線で示す)を設けるようにしてもよい。これにより、シール装置20全体としての密封性を更に高めることができる。
【0075】
図19は、他の実施形態に係るシール装置であって、(a)はその要部平面図、(b)は図19(a)に示すシール装置のI−I断面図、(c)は図19(a)に示すシール装置のJ−J断面図をそれぞれ示している。ここで、同図に係るシール装置20は、オイルシール22とシールケース21とが円筒面54a・54bで嵌合する点で、第1実施形態に係るシール装置20と相違する。また、シール取付け部材23を構成する2個の分割体35・35のうち、一方の分割体35のみがボルト29でが締結されるようになっており(図19(b)を参照)、他方の分割体35のシール側締結孔35dに対応するシールケース21の所定位置には、ケース側締結孔21cが形成されていない(図19(c)を参照)。もちろん、180°反対の位置では、他方の分割体35のシール側締結孔35dに対応する位置にのみケース側締結孔21cが形成されており、一方の分割体35のシール側締結孔35dに対応する位置には形成されていない。よって、円筒面54a・54b同士が密着している場合であっても、それぞれの分割体35に設けたシール側締結孔35dをタップ穴として利用することで、容易にシール取付け部材23をシールケース21から分離することができる。
【0076】
なお、以上の説明に係る部品(特に金属製部品)について、例えば図1に示す用途(圧延機ロールネック用)に本発明に係るシール装置を使用する場合、その使用環境を考慮して、例えばテフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂材料によるコーティング、リン酸塩皮膜処理、亜鉛めっきなど、種々の防錆処理を施しておいてもよい。
【0077】
また、以上の説明では、オイルシール22を、金属製の芯金25と、芯金25に一体に形成され、内輪11の端部外周面11aと全周にわたって摺接するシールリップ26と、シールリップ26の摺接部の外径側に配設され、シールリップ26を内径側に向けて弾性的に附勢する弾性リング27とで構成した場合を例示したが、もちろん、これ以外の構成に係るオイルシール22についても本発明を適用することができる。
【0078】
また、以上の説明では、鉄鋼圧延機のロールネック用の4列円すいころ軸受に本発明を適用した場合を説明したが、適用可能な転がり軸受1の形態・用途は特に問わない。すなわち、例示した複列(4列)に限らず、2例あるいは単列の転がり軸受に対しても本発明を適用することができる。もちろん、転動体の種類も問わない。円すいころ軸受に限らず、円筒ころ軸受や調心ころ軸受などのころ軸受、さらには玉軸受など転がり軸受全般に対して本発明を適用することができる。また、用途に関しても上記例示の用途に限ることなく、上記各種の転がり軸受に対応した用途(一般産業機械用途、鉄道車両用途)に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 転がり軸受
10 軸受部
11・11 内輪
12・14 外輪
13 間座
15 円すいころ
16 保持器
20・20 シール装置
21 シールケース
21a ケース側テーパ面
21c ケース側締結孔
21d 環状溝
22 オイルシール
23 シール取付け部材
23b シール側テーパ面
23c 鍔部
23d シール側締結孔
24 Oリング
25 芯金
25d 外側筒部
25e シール側テーパ面
26 シールリップ
27 弾性リング
28 規制手段
30 中間シール
31 座金
31a 段部
32・33・37 密着シール
34 押え板
35・35 分割体
35b シール側テーパ面
35d シール側締結孔
36 半環状凹部
39 一方向通気部材
40 密封部材
42 止め輪
43 切欠き凸部
43a 段部
44 切欠き凹部
45 突起部
45a 段部
46 端面密着部
47 係合ピン
48 芯金補強部材
48a シール側テーパ面
48b 鍔部
49 突起部形成部材
50 ケース本体
51・53 ケース分割体
54a・54b 円筒面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受の内輪と外輪との間をシールするためのシール装置であって、外輪を含む外方部材の軸方向端部に設置されるシールケースと、シールケースの内周に固定され、内輪を含む内方部材との間をシールするオイルシールとを備え、
オイルシールとシールケースとはテーパ面で嵌合し、かつ嵌合した状態でオイルシールのシールケースに対する軸方向の相対移動が規制されるようにしたことを特徴とする転がり軸受用シール装置。
【請求項2】
オイルシールとシールケースのうち一方のテーパ面の大径側にボルト締結手段を設け、この締結手段によりオイルシールをシールケースに締結することで軸方向の相対移動が規制されるようにした請求項1に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項3】
オイルシールは芯金を有し、芯金の外周にシール取付け部材が装着され、
シールケースとシール取付け部材はテーパ面で嵌合し、
シール取付け部材のテーパ面の大径側には、外径側に突出した鍔部が形成され、この鍔部をボルト締結手段でシールケースに締結することで軸方向の相対移動が規制されるようにした請求項2に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項4】
シール取付け部材は軸方向に沿った断面で分割された2個の分割体で構成されると共に、各分割体の内周面には半環状凹部が形成され、
2個の分割体を一体にシールケースに締結した状態で、芯金の外周部がシール取付け部材の内周面に形成された環状凹部に保持されるようにした請求項3に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項5】
オイルシールとシールケースのうち一方のテーパ面の大径側に止め輪を装着して、他方と止め輪とを軸方向で係合させることで、軸方向の相対移動が規制されるようにした請求項1に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項6】
シールケースの内周に設けたテーパ面の小径側に、円周方向に沿って複数の切欠き凹部および凸部が形成されると共に、オイルシールの外周に設けたテーパ面の小径側に、外径側に突出し、シールケースの切欠き凸部と軸方向で係合可能な突起部が形成され、
テーパ面で嵌合し、かつ切欠き凸部と突起部とを軸方向で係合させることで、オイルシールのシールケースに対する軸方向の相対移動が規制されるようにした請求項1に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項7】
切欠き凸部と突起部の何れか一方に、互いに軸方向に係合した状態で他方を収容可能な凹部を設け、テーパ面で嵌合した状態では凹部の円周方向両側部で他方の円周方向の相対移動が規制されるようにした請求項6に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項8】
オイルシールは芯金を有し、この芯金の外周には芯金補強部材が固定され、芯金補強部材の外周にテーパ面が形成されている請求項6に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項9】
オイルシールとシールケースとの間には密着シールが配設され、この密着シールを介してオイルシールとシールケースとがテーパ面で嵌合するようにした請求項1に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項10】
密着シールは、少なくとも一方のテーパ面と密着する前の状態では、その表面に凹凸を有している請求項9に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項11】
密着シールは、テーパ面の大径側で半径方向外側に突出してシールケース又はオイルシールの軸方向端面と密着する端面密着部をさらに有する請求項9に記載の転がり軸受用シール装置。
【請求項12】
外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に転動可能に収容された複数の転動体と、外輪の軸方向端部に設けられる請求項1〜11の何れかに記載のシール装置とを備えた転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−74957(P2011−74957A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224713(P2009−224713)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】