説明

転写材料用硬化性組成物およびパターン形成方法

【課題】アルゴンガスと酸素ガスでのドライエッチング速度の選択性が高く、高いスループットで微細パターンを形成することができるナノインプリント法に好適な転写材料用硬化性組成物を提供する。
【解決手段】アミノ基が芳香環に直接結合された芳香族アミン化合物と分子内にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られる芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする転写材料用硬化性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント法によりパターンを形成するためのエネルギー線硬化型または熱硬化型の転写材料用硬化性組成物およびそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスやパターンドメディア等の磁気記録媒体製造プロセス等における微細パターン作成方法としてナノインプリント技術が注目されており、それに用いるための優れた転写材料が求められている。
【0003】
ナノインプリント用転写材料としては、一般にポリメチルメタクリレートなどの熱可塑性樹脂が用いられ、その場合は、塗布した材料をガラス転移点以上に加熱し、型押しをし、冷却した後に型を外すサイクルが一般的である。しかし、このような方法は非常に時間がかかりスループットが悪いという問題がある。
【0004】
これに対してシロキサン化合物の一つである水素化シルセスキオキサンを用い、その塗布膜を基板上に形成後、室温で型押しをすることにより、微細なパターンを得る技術が開示されている(特許文献1)。また、カテコール誘導体とレゾルシノール誘導体からなる組成物による塗布膜を基板上に形成後、室温で型押しをすることにより、微細なパターンを得る技術が開示されている(特許文献2)。
【0005】
これらの方法は室温インプリント法と呼ばれ、加熱、冷却のサイクルがないものの、型押しに必要な時間が長く、スループットがまだ十分とは言えない。また、高圧で型押しするためにスタンパーの寿命に難点があり、量産化の技術としても十分とは言えない。
【0006】
そこで、紫外線で硬化する光硬化性樹脂を用いたUVナノインプリントと呼ばれる技術が提案されている。このプロセスは、光硬化性樹脂を塗布した後に、スタンパーで型押しをしながら紫外線を照射し、樹脂を硬化させ、その後にスタンパーを外すことで微細パターンを形成させる方法である。このプロセスは、加熱、冷却のサイクルが不要である。また、紫外線による硬化は非常に短時間で行うことができ、型押しも低い圧力で行うことができる。したがって、このプロセスによれば、上記の種々の問題を解決できる可能性が高い。
【0007】
しかしながら、UVナノインプリントにおいて通常用いられる樹脂はアクリル系の有機系樹脂である。形成した微細パターンをレジストとして用いる場合、ドライエッチングのガスの種類によるエッチング速度の選択性が重要である。ここで、エッチング速度の選択性とは、エッチングのガスの種類によりエッチング速度が異なることをいう。そして、エッチング速度が大きく異なることをエッチング速度の選択性が高いという。
【0008】
微細パターンがレジストとして機能する場合は、エッチングに用いるガスに対して耐性が高く、除去する際は容易に除去される必要がある。すなわち、エッチング速度の選択性が高いことが必要である。エッチング用ガスとしてよく用いられるガスとしてはフッ素系のガスと酸素ガスがある。一般的に有機樹脂の場合、フッ素系ガスと酸素ガスとではそのエッチング速度に大きな差はない。
【0009】
そこで、フッ素系ガスと酸素ガスでのエッチング速度の選択性を出すために、通常ケイ素化合物が用いられる。上記の水素化シルセスキオキサンなどはその一例であり、フッ素系ガスにおけるエッチング速度が大きいのに対し、酸素ガスによるエッチング速度は非常に遅い特徴がある。しかしながら、水素化シルセスキオキサンには光硬化性がないためUVナノインプリント法に用いることができないという問題がある。
【0010】
このような問題を解決する方法として、ゾルゲル法で合成された硬化性官能基を有するケイ素化合物を用いる技術が提案されている(特許文献3)。しかし、この方法では、ゾルゲル過程でケイ素化合物の分子量を大きくすると、ゲル化して溶媒に不溶不融の化合物になってしまうため、分子量を大きくすることが出来ない。このため、この方法には、インプリント成形時及び成形後の微細パターンの強度と柔軟性とのバランスを取りにくいという問題がある。
【0011】
また、フッ素系ガスは、腐食などの問題で使用できない場合がある。そのような場合にはアルゴンガスを用いることがある。その場合には酸素ガスとアルゴンガスとのエッチング速度の選択性が高い必要がある。上記のようなケイ素化合物は、いずれの条件でもエッチングされにくく、この用途には適していない。そのため、アルゴンガスに対するエッチング耐性が高く、酸素ガスによるエッチングで剥離しやすい化合物が求められている。
【0012】
なお、非特許文献1には、芳香族アミン型(メタ)アクリレートの合成法、物性、機械的特性などが記されている。しかしながら、非特許文献1にはこれらの材料がインプリント用レジスト材料として使用することについては全く記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−100609号公報
【特許文献2】特開2005−277280号公報
【特許文献3】特開2007−72374号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】ポリエステル樹脂ハンドブック 昭和63年6月30日 初版1刷 著者:滝山栄一郎、発行者:藤吉敏生 発行所:日刊工業新聞社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、アルゴンガスと酸素ガスとのドライエッチング速度の選択性が高く、かつレジスト等に用いる微細パターンを熱またはUVナノインプリント法によって形成することができる転写材料用硬化性組成物およびその形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは上記の課題を、鋭意検討した結果、以下の芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物を含有する硬化性組成物をインプリント用転写材料として用いることで、良好なインプリント性を有するだけではなく、パターン形成後の下地層加工におけるレジストとしての性能であるエッチング耐性に優れた硬化物を形成することのできる組成物が得られ、この組成物が半導体や磁気記録媒体の加工に優れた特性を示すことを見出した。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[14]に記載の実施態様を有するものである。
【0017】
[1]アミノ基が芳香環に直接結合された芳香族アミン化合物と、分子内にエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られる芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする転写材料用硬化性組成物。
[2]前記芳香族アミン化合物が4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−エチレンジアニリン、2,2'−エチレンジアニリン、o−トリジン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,6−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、2,7−ジアミノフルオレンまたは9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンである[1]に記載の転写材料用硬化性組成物。
【0018】
[3]前記分子内にエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、メタクリル酸グリシジルおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレートから選択される少なくとも一つである[1]または[2]に記載の転写材料用硬化性組成物。
[4]さらに、前記芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物を含有する[1]〜[3]のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
[5]さらに、熱ラジカル重合開始剤を含有する[1]〜[4]のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
[6]さらに、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含有する[1]〜[5]のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
[7][1]〜[5]のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、 塗布膜を形成する工程と、 前記塗布膜に、 表面に凹凸パターンを有する型を押し当てる工程と、前記塗布膜に型を押し当てた状態で塗布膜を加熱することにより塗布膜を硬化させる工程と、前記硬化した塗布膜から型を外す工程と、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【0019】
[8][1]〜[4]および[6]のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜に、表面に凹凸パターンを有する型を押し当てる工程と、前記塗布膜に型を押し当てた状態で塗布膜に活性エネルギー線を照射することにより塗布膜を硬化させる工程と、前記硬化した塗布膜から型を外す工程と、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
[9]前記型が活性エネルギー線を透過させる材料で形成されており、活性エネルギー線を、前記型を介して前記塗布膜に照射する[8]に記載のパターン形成方法。
[10]前記基板が活性エネルギー線を透過させる材料で形成されており、活性エネルギー線を、前記基板を介して前記塗布膜に照射する[8]に記載のパターン形成方法。
[11]前記パターンが、10μm以下の微細パターンである[7]〜[10]のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
[12]基体上に磁性膜を備えてなる基板の前記磁性膜上に[7]〜[11]のいずれか1項に記載のパターン形成方法でパターンを形成し、このパターンをレジストとして前記磁性膜の一部を除去するか、または前記磁性膜の一部を非磁性化することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
[13][12]に記載の製造方法で得られた磁気記録媒体。
[14] [13]に記載の磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明の転写材料用硬化性組成物を用いれば、高いスループットで、アルゴンガスと酸素ガスとのエッチング速度の選択性が高い微細パターンを形成することができる。
そしてそのような転写材料用硬化性組成物を用いる本発明のパターン形成方法は、以下三つの特徴を有する。
(1)インプリント時の転写性能が良好である
(2)インプリント後の磁性層露出のための底抜きや当該組成物から形成された硬化膜の剥離の際には、酸素ガスを用いて反応性イオンエッチングを行うことにより、容易に硬化膜を除去できる
(3)一方媒体を加工する際のアルゴンガスを用いたエッチングにおいてはレジストとしての良好な耐性を示す。
【0021】
また本発明の微細パターン形成方法を用いることにより、半導体や磁気記録媒体製造プロセス等における微細パターンを作成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の転写材料用硬化性組成物を用いた10μm以下の微細パターン形成方法の工程を示す図である。
【図2】図2は、磁気記録媒体の磁性膜の加工における底抜き工程を示す図である。
【図3】図3は、磁気記録媒体の磁性膜の一部除去加工、および非磁性化の概略を示す図である。
【図4】図4は、合成例1で合成された反応物の1H−NMRスペクトルである。
【図5】図5は、合成例2で合成された反応物の1H−NMRスペクトルである。
【図6】図6は、合成例3で合成された反応物の1H−NMRスペクトルである。
【図7】図7は、合成例4で合成された反応物の1H−NMRスペクトルである。
【図8】図8は、合成例5で合成された反応物の1H−NMRスペクトルである。
【図9】図9は、合成例7で合成された反応物の1H−NMRスペクトルである。
【図10】図10は、実施例7〜12で使用された、凹凸形状が半径方向に沿ってパターニングされた石英ガラス製の円板状の型を示す図である。凹部の幅(L)は図2の半径方向に80nm、凸部の幅(S)は図の半径方向に120nmである。また図2における円板形状のガラス基板上の右側に図示されている型に対応する長方形の縦(短手)方向の長さは、0.1mmである。
【図11】図11は実施例7の、薄膜にパターン形状が転写されたガラス基板を破断した、その断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。
【図12】図12は実施例8の、薄膜にパターン形状が転写されたガラス基板を破断した、その断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。
【図13】図13は実施例9の、薄膜にパターン形状が転写されたガラス基板を破断した、その断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。
【図14】図14は実施例10の、薄膜にパターン形状が転写されたガラス基板を破断した、その断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。
【図15】図15は実施例11の、薄膜にパターン形状が転写されたガラス基板を破断した、その断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。
【図16】図16は実施例12の、薄膜にパターン形状が転写されたガラス基板を破断した、その断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。
【図17】図17は比較例2の、薄膜にパターン形状が転写されたガラス基板を破断した、その断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の転写材料用硬化性組成物および該組成物を用いたパターンの形成方法を詳細に説明する。
〔転写材料用硬化性組成物〕
本発明の転写材料用硬化性組成物は、4,4'−ジアミノジフェニルメタンなどのアミノ基が芳香環に直接結合された芳香族アミン(A)と、分子内にエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)とを反応させて得られる芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする。
【0024】
芳香族アミン(A)は、アミノ基が芳香環に直接結合してなる分子構造を有する。アミノ基が芳香環に直接結合されていない芳香族アミン、例えばm−キシリレンジアミンのような、アミノ基と芳香環とがメチレンを介して結合されている芳香族アミンを用いると、当該組成物から得られる転写パターンの矩形性に劣る傾向がある。
【0025】
芳香環としては特に限定されず、例えば、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格等が挙げられる。
尚、本発明において(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基との総称である。同様に、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの総称である。
【0026】
4,4'−ジアミノジフェニルメタン以外の芳香族アミン化合物(A)として、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−エチレンジアニリン、2,2'−エチレンジアニリン、o−トリジン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,6−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、2,7−ジアミノフルオレン、および9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどを挙げることができる。
【0027】
分子内にエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)としては、芳香族アミン化合物(A)のアミノ基と反応することのできるエポキシ基を有し、さらに(メタ)アクリロイル基を有する限り特に制限されず、たとえば(メタ)アクリル酸グリシジルおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中でメタクリル酸グリシジルおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレートが入手しやすい点でより好ましい。
【0028】
上記芳香族アミン化合物(A)と、分子内にエポキシ基および(メタ)アクロイル基を有する化合物(B)とを反応させる際に、これらの配合比は特に限定されないが、一般的には芳香族アミン化合物(A)内のアミノ基1モルに対して、化合物(B)内のエポキシ基1〜5モルであり、好ましくは2〜3モルである。この範囲を外れると一方の原料が使われずに大量に残るため、経済的に不利になる場合がある。また、反応容器に加える順番も、特に限定されないが、(A)および(B)の全量を混合させてから反応させることが好ましい。
【0029】
この反応において、反応時間を短くする目的で、触媒を用いることができる。このような触媒としては、例えば、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N'-ジメチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン{トリエチレンジアミン}、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化リチウム、トリフェニルホスフィン等を用いることができる。これらの中でも、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが好ましく、その添加量は、芳香族アミン化合物1モルに対して通常0.005〜0.05モルである。
【0030】
反応温度は80〜140℃の範囲が好ましく、100〜120℃の範囲が更に好ましい。
反応温度が80℃より低いと反応速度が低くなり、また、140℃を超えると生成物が熱重合を起こしやすい。
【0031】
また、反応中にゲル化を防ぐ目的で、重合禁止剤を添加することが望ましい。このような禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2−t−ブチルハイドロキノン、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、4,4'−チオ−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール等のフェノール系化合物、フェノチアジン、スチリルフェノチアジン、ジラウリル 3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3'−チオジプロピオネート、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の硫黄系化合物、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト等のリン系化合物等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。重合禁止剤の添加量としては、反応液(組成物中の重合禁止剤以外の全ての成分の合計量)100質量部に対して0.01から1質量部、より好ましくは0.1から0.35質量部である。重合禁止剤の添加量が0.01質量部より少ないと効果が小さく、1質量部よりも多いと硬化性や着色に悪影響を与えることがある。
【0032】
また、上記反応は、同様に重合を防止する目的で酸素を共存させた状態で行うこともできる。共存させる酸素濃度としては、爆発限界も加味して気相中の濃度として10mol%以下が望ましい。10mol%を越えても、重合禁止には効果があるが着火源があると引火しやすく危険である。
【0033】
上記反応においては、溶媒を用いてもよい。用いうる溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒等を挙げることができる。
【0034】
上記反応により、化合物(B)のエポキシ基が開環し、第1アミンである芳香族アミン化合物(A)のアミノ基に結合して、第2または第3アミンである芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物が得られる。
【0035】
前記芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物は、官能基として(メタ)アクリロイル基を有していることから、本発明の転写材料用硬化性組成物は、ラジカル重合やポリチオールとの重付加を併用したラジカル付加重合を行うことができる。尚、本願明細書において(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基から選ばれる1種以上を意味する。
【0036】
本発明の転写材料用硬化性組成物は、上記の芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物を含むことにより、インプリント時の転写性能が良好であり、またその硬化物は、インプリント後底出しや剥離の際には、酸素ガスを用いて反応性イオンエッチングを行うことで容易に除去され、また基材−媒体加工時のArミリング等のエッチング工程において耐性を示す。また、本発明の転写材料用硬化性組成物は、官能基として(メタ)アクリロイル基を含有しているので、ラジカル重合を行うことができる。
【0037】
<転写材料用硬化性組成物のその他の成分>
本発明の転写材料用硬化性組成物は、上記芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物(I)の(メタ)アクリロイル基と共重合できる官能基を持った、芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性化合物(II)を含んでもよい。ラジカル重合性化合物(II)としては、炭素−炭素二重結合を少なくとも一つ有する化合物、具体的には(メタ)アクリロイルオキシ基、スチリル基、ビニル基、アリル基、フマル基、マレイル基等を持つ化合物が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリロイルオキシ基を持つ化合物が特に好ましく、たとえば、(メタ)アクリル酸エステルの構造を1つ以上有するモノマーまたはオリゴマーが好適である。
【0038】
前記(メタ)アクリル酸エステルの構造を1つ以上有するモノマーまたはオリゴマーとしては、単官能もしくは多官能の(メタ)アクリレートが使用できる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
【0039】
また(メタ)アクリロイルオキシ基を持つ化合物として、さらには、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加させたいわゆるエポキシ(メタ)アクリレートも用いることが出来る。
【0040】
さらに(メタ)アクリロイルオキシ基を持つ化合物の他の例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレートアクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどと反応させたウレタン(メタ)アクリレートなどの活性水素含有(メタ)アクリレート系モノマーも用いることが出来る。
【0041】
前記スチリル基を有する化合物としては、具体的には、スチレン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2,4,5−トリメチルスチレン、ペンタメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−ビニル−p−ターフェニル、1−ビニルアントラセン、α−メチルスチレン、o−イソプロペニルトルエン、m−イソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,5−ジメチル−α−メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、2,4−ジイソプロピルスチレン等が挙げられる。
【0042】
前記ビニル基を有する化合物としては、具体的には、(メタ)アクリロニトリル及びその誘導体、有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アジピン酸ジビニル等)が挙げられる。尚、本発明において(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの総称である。
【0043】
前記アリル基を有する化合物としては、例えば、酢酸アリル、安息香酸アリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル等が挙げられる。
【0044】
前記フマル基を有する化合物としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジベンジル等が挙げられる。
【0045】
前記マレイル基を有する化合物としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ−sec−ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、マレイン酸ジベンジル等が挙げられる。
【0046】
その他上記芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物(I)の(メタ)アクリロイル基と共重合できる官能基を持ったラジカル重合性化合物(II)として、イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体(イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピル、イタコン酸ジ−sec−ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジベンジル等)、有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体(N−メチル−N−ビニルアセトアミド等)、マレイミド及びその誘導体(N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等)も挙げられる。
【0047】
本発明の転写材料用硬化性組成物において、芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物(I)と芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性化合物(II)とを含む場合、両者の配合割合は、両者の合計量を100質量部として、好ましくは(I)30〜95質量部、(II)70〜5質量部であり、更に好ましくは(I)50〜9質量部、(II)50〜5質量部あり、特に好ましい混合比率は(I)70〜95質量部、(II)30〜5質量部である。(I)以外のラジカル重合性化合物を上記の割合で配合することにより、組成物の硬化性や密着性を改善することができる。
【0048】
本発明の転写材料用硬化性組成物中に含まれる硬化性官能基である(メタ)アクリロイル基を硬化反応させる方法としては、熱重合による硬化と活性エネルギー線重合による硬化の方法があり、これらの重合様式に応じてそれぞれ最適な重合開始剤を必要に応じて添加することが望ましい。
【0049】
熱重合の場合に使用することができる熱ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−S−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α'−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシアセテート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどの、有機過酸化物、または、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジンー2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2'−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]などの、アゾ化合物等が挙げられる。
【0050】
活性エネルギー線硬化の場合に用いられる活性エネルギー線は、上記の化合物の(メタ)アクリロイル基に作用して組成物を硬化させるものであれば特に限定されるものではない。例えば、紫外線、X線等の放射線、電子線を挙げることができる。これらの中では紫外線や電子線を好適に使用できる。
【0051】
電子線を用いた場合のように、重合開始剤が無くても(メタ)アクリロイル基を硬化することが出来る場合もあるが、本組成物に用いる活性エネルギー線と官能基の種類によって、必要に応じて活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。
【0052】
本発明で用いる紫外線ラジカル重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン 2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンなどの、アセトフェノン系光ラジカル重合開始剤や、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどの、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤や、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどの、ベンゾフェノン系光ラジカル重合開始剤や、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどの、チオキサントン系光ラジカル重合開始剤、ベンジル、ベンジルメチルケタール、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4',4''−ジエチルイソフタロフェノンなどの、ケトン系光ラジカル重合開始剤や、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−イミダゾールなどの、イミダゾール系光ラジカル重合開始剤や、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤や、カルバゾール系光ラジカル重合開始剤や、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄−ヘキサフルオロホスフェートなどの、ルイス酸のオニウム塩などの光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0053】
これらの重合開始剤は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、熱ラジカル重合開始剤と活性エネルギー線ラジカル重合開始剤とを併用することもできる。
【0054】
本発明の転写材料用硬化性組成物がさらに(III)活性エネルギー線ラジカル重合開始剤または熱ラジカル重合開始剤を含有する場合、(I)と(II)との配合割合は前述のとおりであり、(III)の配合割合は、(I)と(II)との合計量100質量部に対して、(III)0.2〜10質量部であり、更に好ましくは(III)0.5〜7質量部であり、特に好ましくは(III)1〜5質量部である。(III)の割合が0.2質量部より少ないと硬化性が低くなる傾向があり、10質量部を超えると塗膜物性が低下する傾向がある。
【0055】
さらに、本発明の転写材料用硬化性組成物は、重合開始剤の他に粘度調整剤、分散剤、表面調整剤などの添加剤を含有することができる。その場合には、その合計が硬化性組成物の30質量%以下となるようにすることが好ましい。添加剤の量が多すぎると、本発明の硬化性組成物を用いて得られる微細パターンのエッチング耐性が劣ってしまうおそれがある。
【0056】
本発明の転写材料用硬化性組成物を用いて、微細パターンを形成する場合、塗布性向上のため、必要に応じて溶媒等を添加することができる。希釈溶媒としては、前記芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物の製造反応時に用いた溶媒をそのまま使用することも出来るし、反応溶媒を減圧下に留去した後、違う溶媒を添加することも出来る。このような溶媒としては、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒、2−プロパノール、ブタノールおよびヘキサノール、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン等のアミド系溶媒などを挙げることができる。
【0057】
〔パターンの形成方法〕
次に、本発明の転写材料用硬化性組成物を用いて、パターンを形成する方法を説明する。特に、この形成方法によれば、10μm以下の微細パターンを形成することができる。ここで、10μm以下の微細パターンとは、型に刻み込んだ凹凸の線幅寸法が10μm以下のパターンであり、つまり1つの凹の線幅と1つの凸の線幅との合計(ピッチ)が10μm以下であるパターンを意味する。
【0058】
本発明のパターンの形成方法の一例は、本発明の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、基板に塗布した転写材料用硬化性組成物に型を押し当てる工程と、型を押し当てた状態で転写材料用硬化性組成物を加熱することにより転写材料用硬化性組成物を硬化させる工程と、硬化した転写材料用硬化性組成物から型を外す工程とを含む。
【0059】
また、本発明のパターンの形成方法の他の例は、本発明の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、基板に塗布した転写材料用硬化性組成物に型を押し当てる工程と、型を押し当てた状態で転写材料用硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより前記転写材料用硬化性組成物を硬化させる工程と、硬化した転写材料用硬化性組成物から型を外す工程とを含む。
【0060】
[1、塗布工程]
基板に硬化性組成物を塗布する方法に特に制限はなく、例えば、スピンコートやディップコートなどの方法を用いることができるが、基板上の転写材料用硬化性組成物からなる塗布膜の膜厚が均一になる方法を用いることが好ましい。図1(a)は基板上に本発明の硬化性組成物が塗布された状態を示しており、基板16上に塗布膜14が設けられている。なお「基板」とは、ガラス板などの基体自体およびその基体上に、磁性膜および/または保護膜などのパターンが形成されるべき層が設けられたものを指す。
【0061】
[2、転写工程および硬化工程]
微細パターンは、塗布膜に微細パターンを既に付けられた型を押し付けること(転写)で形成することができる。塗布膜に型を押し付けた後、硬化性組成物を硬化するために活性エネルギー線による硬化、もしくは熱硬化を行う。また、両方法を組み合わせ、加熱下で活性エネルギー線を照射することもできる。図1(b)および(c)は、基板上に塗布された本発明の硬化性組成物に型を押し当て、活性エネルギー線照射および/または熱により該組成物を硬化させる工程を示している。図1(b)は、基板16上に設けられた塗布膜14に型16が押し当てられた状態を示し、図1(c)は、塗布膜14に型12が押し当てられた状態で、塗布膜14に活性エネルギー線が照射され、または熱が加えられた状態を示している。
【0062】
型の素材については特に制限はないが、紫外線等の活性エネルギー線で硬化性組成物を硬化させる場合、活性エネルギー線が透過する樹脂、ガラスまたは石英製の型を使用すると、活性エネルギー線が透過しない基板を使用した場合にでも、活性エネルギー線が、型の、前記塗布膜が接している面とは反対の面の側から、型を通過して、前記塗布膜に照射されるようにすることにより、硬化性組成物を硬化させ、微細パターンを形成することができ、好ましい。つまり、図1(c)において、活性エネルギー線が型12の上側から照射され、型12を通過し、微細パターンが形成されている塗布膜14に到達するようにする。基板が活性エネルギー線を透過させる透明基板などである場合には、通常活性エネルギー線が、基板の、前記塗布膜が接している面とは反対の面の側から、基板を通過して、前記塗布膜に照射されることにより、硬化が行われる。つまり、図1(c)において、活性エネルギー線が基板16の下側から照射され、基板16を通過し、微細パターンが形成されている塗布膜14に到達するようにする。
【0063】
本発明に用いられる活性エネルギー線は、上記の(メタ)アクリロイル基に作用して組成物を硬化させるものであれば特に限定されるものではない。例えば、紫外線、X線等の放射線、電子線を挙げることができる。これらの中では紫外線や電子線を好適に使用できる。
【0064】
また、型を押し付ける際、あるいはその後の加熱もしくはエネルギー線照射をする際の雰囲気に特に制限はないが、硬化した硬化性組成物中に気泡が残ることを防ぐために真空とすることが好ましい。また硬化性官能基が、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基などの炭素−炭素二重結合である場合には、酸素による重合阻害を防ぐことができるため、型の押し付けおよびその後の加熱もしくはエネルギー線照射を真空中で行うことが好ましい。
【0065】
[3、離型工程]
本発明の硬化性組成物からなる塗布膜を硬化させた後に、型を塗布膜から外す。図1(d)は、硬化され、微細パターンが形成された塗布膜14から型12が外された状態を示す。型を外した後、微細パターンの耐熱性や物理強度を向上させるためにさらに加熱して硬化度を高めることもできる。このとき、加熱の方法に特に制限はないが、形成したパターンが崩れないように塗布膜のガラス転移点以下の温度を保って徐々に昇温し、加熱の上限は、塗布膜の熱分解を防ぐため、250℃とすることが好ましい。
【0066】
このようにして10μm以下の微細パターンが形成される。この微細パターンは本発明の転写材料用硬化性組成物が硬化したものであり、アルゴンガスと酸素ガスとのエッチング速度の選択性が高い。そのため、本発明の10μm以下の微細パターン形成方法により形成された微細パターンは、エッチングに用いるガス(アルゴンガス)に対して耐性が高いのでエッチングの度合いを容易に制御することができ、除去する際に用いられるガス(酸素ガス)に対しては耐性が低いので容易に除去される。従って、前記微細パターンは、優れたレジストとなるので、半導体や磁気記録媒体をはじめとした幅広い用途に適用可能である。
【0067】
上記のように、本発明の転写材料用硬化性組成物は磁気記録媒体をはじめとした幅広い用途に適用可能である。より詳しくは、磁気記録媒体の用途として、上記の微細パターンを、磁気記録媒体の磁性膜の一部除去加工、もしくは非磁性化する方法に適用することができる。その方法を以下に説明する。
【0068】
(1.底抜き)
硬化性組成物を反応性イオンエッチング(RIE、イオンミリングともいう)によりエッチングし、凹凸の凹部分に対応する磁性膜表面を露出させる。図2に、この工程の概略を示す。図2には、基体上に磁性膜が設けられてなる基板の前記磁性膜上に、本発明の硬化性組成物からなる、微細パターンが形成された硬化膜が設けられており、その硬化膜の上方から反応性イオンエッチングを行う(図2の上の図)。その結果、微細パターンが形成された硬化膜の凹部が削られ、微細パターンに対応して、磁性膜上に硬化膜が存在しない部分が形成される(図2の下の図)。
【0069】
(2.磁性層の一部除去加工もしくは非磁性化)
イオンミリングにより露出した磁性部をエッチングするもしくは反応性ガスにより露出した磁性部を非磁性化する。このとき、硬化性組成物は、イオンミリングおよび反応性ガスに耐性を持たなければならない。図3に、この工程の概略を示す。図3の左の図は、イオンミリング(イオンエッチング)の工程を示し、微細パターンが形成され、前記底抜きがなされた硬化膜の上方からイオンミリングすると(図3左上の図)、硬化膜が存在しない部分の磁性膜がエッチングされる(図3左下の図)。図3の右の図は、反応性ガスによる非磁性化処理の工程を示し、微細パターンが形成され、前記底抜きがなされた硬化膜の上方から反応性ガスで処理すると(図3右上の図)、硬化膜が存在しない部分の磁性膜が非磁性化される(図3右下の図)。なお、磁性部を非磁性化する方法としては、たとえば特開2007−273067号公報に記載されているような、磁性部に、イオンビーム法などによりケイ素、ホウ素、フッ素、リン、タングステン、炭素、インジウム、ゲルマニウム、ビスマス、クリプトン、アルゴンなどの原子を注入し、磁性部を非晶質化する方法が挙げられる。
【0070】
その後、前記硬化性組成物からなる膜を除去することにより、磁気記録媒体が得られる。
以上の方法により製造した磁気記録媒体を磁気記録再生装置に組み込むことにより、従来と同等以上の記録再生特性を確保しつつ、記録密度を大幅に増加した磁気記録再生装置を製造することができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
[合成例1]
温度計および冷却管を取り付けた300mLの3口フラスコに4,4−ジアミノジフェニルメタン10.0g(0.05mol)、メタクリル酸グリシジル28.7g(0.20mol)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール0.3g(1.13mmol)、p−メトキシフェノール0.1g(0.81mmol)を加え、乾燥空気で混合液をバブリングかつ撹拌しながら110℃で反応させた。3時間反応させた後、ガスクロマトグラフィーにより、反応液中のメタクリル酸グリシジルが全て反応で消費したことを確認した後、オイルバスから3口フラスコを上げ、反応を終了した。
【0072】
上記反応生成物の1H−NMRスペクトルを図4に示す。2ppm付近のピークがメタクリロイル基のメチル基の水素(12H)、5.6ppmおよび6.1ppm付近のピークがメタクリロイル基の炭素−炭素二重結合上の水素(8H)、6.5〜7.0ppm付近のピークが芳香環上の水素(8H)と推定される。また、これら以外の水素の合計24Hの数も残りのピークの積分値とほぼ一致することから、ガスクロマトグラフィーの結果と合わせ、式(1)で表される化合物(位置異性体を含む)が得られていると推定される。
【0073】
【化1】

[合成例2]
温度計および冷却管を取り付けた100mLの3口フラスコに1,5−ジアミノナフタレン1.39g(8.79mmol)、メタクリル酸グリシジル5.0g(35.2mmol)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール0.05g(0.19mmol)、p−メトキシフェノール20mg(0.16mmol)を加え、乾燥空気で混合液をバブリングかつ撹拌しながら110℃で反応させた。3時間反応させた後、ガスクロマトグラフィーにより、反応液中のメタクリル酸グリシジルが全て反応で消費したことを確認した後、オイルバスから3口フラスコを上げ、反応を終了した。
【0074】
上記反応生成物の1H−NMRスペクトルを図5に示す。1.9ppm付近のピークがメタクリロイル基のメチル基の水素(12H)、5.6ppmおよび6.1ppm付近のピークがメタクリロイル基の炭素−炭素二重結合上の水素(8H)、6.5〜7.3ppm付近のピークが芳香環上の水素(6H)と推定される。また、これら以外の水素の合計24Hの数も残りのピークの積分値とほぼ一致することから、ガスクロマトグラフィーの結果と合わせ、式(2)で表される化合物(位置異性体を含む)が得られていると推定される。
【0075】
【化2】

[合成例3]
温度計および冷却管を取り付けた100mLの3口フラスコにm−フェニレンジアミン1.9g(17.6mmol)、メタクリル酸グリシジル10.0g(0.07mol)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール0.1g(0.38mmol)、p−メトキシフェノール40mg(0.32mmol)を加え、乾燥空気で混合液をバブリングかつ撹拌しながら110℃で反応させた。3時間反応させた後、ガスクロマトグラフィーにより、反応液中のメタクリル酸グリシジルが全て反応で消費したことを確認した後、オイルバスから3口フラスコを上げ、反応を終了した。
【0076】
上記反応物の1H−NMRスペクトルを図6に示す。1.9ppm付近のピークがメタクリロイル基のメチル基の水素(12H)、5.6ppmおよび6.2ppm付近のピークがメタクリロイル基の炭素−炭素二重結合上の水素(8H)、6.2〜7.0ppm付近のピークが芳香環上の水素(4H)と推定される。また、これら以外の水素の合計24Hの数も残りのピークの積分値とほぼ一致することから、ガスクロマトグラフィーの結果と合わせ、式(3)で表される化合物(位置異性体を含む)が得られていると推定される。
【0077】
【化3】

[合成例4]
温度計および冷却管を取り付けた100mLの3口フラスコにp−フェニレンジアミン1.9g(17.6mmol)、メタクリル酸グリシジル10.0g(0.07mol)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール0.1g(0.38mmol)、p−メトキシフェノール40mg(0.32mmol)を加え、乾燥空気で混合液をバブリングかつ撹拌しながら110℃で反応させた。3時間反応させた後、ガスクロマトグラフィーにより、反応液中のメタクリル酸グリシジルが全て反応で消費したことを確認した後、オイルバスから3口フラスコを上げ、反応を終了した。
【0078】
上記反応物の1H−NMRスペクトルを図7に示す。1.9ppm付近のピークがメタクリロイル基のメチル基の水素(12H)、5.6ppmおよび6.1ppm付近のピークがメタクリロイル基の炭素−炭素二重結合上の水素(8H)、6.7〜6.9ppm付近のピークが芳香環上の水素(4H)と推定される。また、これら以外の水素の合計24Hの数も残りのピークの積分値とほぼ一致することから、ガスクロマトグラフィーの結果と合わせ、式(4)で表される化合物(位置異性体を含む)が得られていると推定される。
【0079】
【化4】

[合成例5]
温度計および冷却管を取り付けた100mLの3口フラスコにアニリン1.64g(17.6mmol)、メタクリル酸グリシジル5.0g(0.035mol)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール0.05g(0.19mmol)、p−メトキシフェノール20mg(0.16mmol)を加え、乾燥空気で混合液をバブリングかつ撹拌しながら110℃で反応させた。3時間反応させた後、ガスクロマトグラフィーにより、反応液中のメタクリル酸グリシジルが全て反応で消費したことを確認した後、オイルバスから3口フラスコを上げ、反応を終了した。
【0080】
上記反応物の1H−NMRスペクトルを図8に示す。1.9ppm付近のピークがメタクリロイル基のメチル基の水素(6H)、5.6ppmおよび6.1ppm付近のピークがメタクリロイル基の二重結合上の水素(4H)、6.6〜7.2ppm付近のピークが芳香環上の水素(5H)と推定される。また、これら以外の水素の合計12Hの数も残りのピークの積分値とほぼ一致することから、ガスクロマトグラフィーの結果と合わせ、式(5)で表される化合物(位置異性体を含む)が得られていると推定される。
【0081】
【化5】

[合成例6]
温度計および冷却管を取り付けた100mLの3口フラスコに4,4'−エチレンジアニリン1.00g(4.7mmol)、メタクリル酸グリシジル2.68g(0.019mol)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール0.02g(0.075mmol)、p−メトキシフェノール10mg(0.08mmol)を加え、乾燥空気で混合液をバブリングかつ撹拌しながら110℃で反応させた。3時間反応させた後、ガスクロマトグラフィーにより、反応液中のメタクリル酸グリシジルが全て反応で消費したことを確認した後、オイルバスから3口フラスコを上げ、反応を終了した。
【0082】
[合成例7]
温度計および冷却管を取り付けた100mLの3口フラスコにm−キシリレンジアミン2.4g(0.018mol)、メタクリル酸グリシジル10.0g(0.07mol)、p−メトキシフェノール35mg(0.28mmol)を加え、乾燥空気で混合液をバブリングかつ撹拌しながら60℃で反応させた。4時間反応させた後、ガスクロマトグラフィーにより、反応液中のメタクリル酸グリシジルが全て反応で消費したことを確認した後、オイルバスから3口フラスコを上げ、反応を終了した。
【0083】
上記反応物の1H−NMRスペクトルを図9に示す。2ppm付近のピークがメタクリロイル基のメチル基の水素(12H)、5.6ppmおよび6.1ppm付近のピークがメタクリロイル基の炭素−炭素二重結合上の水素(8H)、7.1〜7.2ppm付近のピークが芳香環上の水素(4H)と推定される。また、これら以外の水素の合計28Hの数も残りのピークの積分値とほぼ一致することから、ガスクロマトグラフィーの結果と合わせ、式(6)で表される化合物(位置異性体を含む)が得られていると推定される。
【0084】
【化6】

[実施例1]
合成例1で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した後ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。膜厚は約0.2μmであった。この硬化性組成物を塗布して表面に薄膜が形成されたガラス基板を窒素気流下、紫外線(波長365nmに於いて照度35mW/cm2)を15秒間照射した。後述の方法により、得られた樹脂薄膜のアルゴンガスによる反応性イオンエッチング速度および酸素ガスによる反応性イオンエッチング速度を測定した。
【0085】
[実施例2]
合成例2で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した後ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。膜厚は約0.2μmであった。この硬化性組成物を塗布して表面に薄膜が形成されたガラス基板を窒素気流下、紫外線(波長365nmに於いて照度35mW/cm2)を15秒間照射した。後述の方法により、得られた樹脂薄膜のアルゴンガスによる反応性イオンエッチング速度および酸素ガスによる反応性イオンエッチング速度を測定した。
【0086】
[実施例3]
合成例3で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した後ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。膜厚は約0.2μmであった。この硬化性組成物を塗布して表面に薄膜が形成されたガラス基板を窒素気流下、紫外線(波長365nmに於いて照度35mW/cm2)を15秒間照射した。後述の方法により、得られた樹脂薄膜のアルゴンガスによる反応性イオンエッチング速度および酸素ガスによる反応性イオンエッチング速度を測定した。
【0087】
[実施例4]
合成例4で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した後ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。膜厚は約0.2μmであった。この硬化性組成物を塗布して表面に薄膜が形成されたガラス基板を窒素気流下、紫外線(波長365nmに於いて照度35mW/cm2)を15秒間照射した。後述の方法により、得られた樹脂薄膜のアルゴンガスによる反応性イオンエッチング速度および酸素ガスによる反応性イオンエッチング速度を測定した。
【0088】
[実施例5]
合成例5で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した後ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。膜厚は約0.2μmであった。この硬化性組成物を塗布して表面に薄膜が形成されたガラス基板を窒素気流下、紫外線(波長365nmに於いて照度35mW/cm2)を15秒間照射した。後述の方法により、得られた樹脂薄膜のアルゴンガスによる反応性イオンエッチング速度および酸素ガスによる反応性イオンエッチング速度を測定した。
【0089】
[実施例6]
合成例6で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、硬化性組成物を得た。この硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した後ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。膜厚は約0.2μmであった。この硬化性組成物を塗布して表面に薄膜が形成されたガラス基板を窒素気流下、紫外線(波長365nmに於いて照度35mW/cm2)を15秒間照射した。後述の方法により、得られた樹脂薄膜のアルゴンガスによる反応性イオンエッチング速度および酸素ガスによる反応性イオンエッチング速度を測定した。
【0090】
[比較例1]
ジペンタエリスリトール ヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA 日本化薬製)50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。膜厚は約0.2μmであった。樹脂を塗布したガラス基板を窒素気流下、紫外線(波長365nmに於いて照度35mW/cm2)を15秒間照射した。後述の方法により、得られた樹脂薄膜のアルゴンガスによる反応性イオンエッチング速度および酸素による反応性イオンエッチング速度を測定した。
【0091】
(エッチング速度測定方法)
硬化した薄膜上にガラス小片を貼り付け、以下の条件の反応性イオンエッチング装置でエッチング処理を実施した。ガラス小片を取り外し、ガラス小片に保護された薄膜部分とエッチングされた薄膜部分段差を測定した。
【0092】
エッチング速度(nm/sec)=段差(nm)÷処理時間(sec)
反応性イオンエッチングの条件
(アルゴンガス)
エッチングガス : アルゴン
圧力 : 0.5Pa
ガス流量 : 40sccm
プラズマ電圧 : 200W
バイアス電圧 : 20W
処理時間 : 200sec
(酸素ガス)
エッチングガス : 酸素
圧力 : 0.5Pa
ガス流量 : 40sccm
プラズマ電圧 : 200W
バイアス電圧 : 20W
処理時間 : 20sec
【0093】
実施例1〜6および比較例1の各ガスにおけるエッチング速度を表1に示した。
実施例1〜6の樹脂薄膜は、比較例1の樹脂薄膜に比べてアルゴンのエッチング速度が約1 / 2と小さく、アルゴンエッチング耐性が高いことが分かる。また、実施例1〜6の樹脂薄膜は、酸素とアルゴンとのエッチング速度の比率がいずれも比較例1の場合より大きい。以上より本発明の転写材料用硬化性組成物の硬化膜は、アルゴン耐性およびエッチング速度の選択性が芳香族アミン骨格を有さない比較例の硬化膜に比べて高く、レジストとして好適に用いることができることがわかる。
【0094】
【表1】

[実施例7]
合成例1で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。次に、作製した硬化性組成物膜つきガラス基板の樹脂を塗布した面に、図10に示す石英ガラス製の半径方向に沿って凹凸形状がパターニングされた型(凹部の深さ150nm)のパターニングされた面を下にして載せ、UVナノインプリントプレス装置ST200(東芝機械(株)社製)にセットしてプレスし、波長365nm、強度6.5mW/cm2の紫外光を照射した。型の載った円板をプレス装置から取り出し、型をはずしてガラス円板上の被膜を観察したところ、パターンの抜けや塗膜のムラなどの塗膜の状態不良は見られなかった。
転写された基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図11に示す。図11より、型のパターンが矩形状に非常に良く転写されていることがわかる。
【0095】
[実施例8]
合成例2で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。次に、作製した硬化性組成物膜つきガラス基板の樹脂を塗布した面に、図10に示す石英ガラス製の半径方向に沿って凹凸形状がパターニングされた型(凹部の深さ150nm)のパターニングされた面を下にして載せ、UVナノインプリントプレス装置ST200(東芝機械(株)社製)にセットしてプレスし、波長365nm、強度6.5mW/cm2の紫外光を照射した。型の載った円板をプレス装置から取り出し、型をはずしてガラス円板上の被膜を観察したところ、パターンの抜けや塗膜のムラなどの塗膜の状態不良は見られなかった。
転写された基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図12に示す。図12より、型のパターンが矩形状に非常に良く転写されていることがわかる。
【0096】
[実施例9]
合成例3で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。次に、作製した硬化性組成物膜つきガラス基板の樹脂を塗布した面に、図10に示す石英ガラス製の半径方向に沿って凹凸形状がパターニングされた型(凹部の深さ150nm)のパターニングされた面を下にして載せ、UVナノインプリントプレス装置ST200(東芝機械(株)社製)にセットしてプレスし、波長365nm、強度6.5mW/cm2の紫外光を照射した。型の載った円板をプレス装置から取り出し、型をはずしてガラス円板上の被膜を観察したところ、パターンの抜けや塗膜のムラなどの塗膜の状態不良は見られなかった。
転写された基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図13に示す。図13より、型のパターンが矩形状に非常に良く転写されていることがわかる。
【0097】
[実施例10]
合成例4で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。次に、作製した硬化性組成物膜つきガラス基板の樹脂を塗布した面に、図10に示す石英ガラス製の半径方向に沿って凹凸形状がパターニングされた型(凹部の深さ150nm)のパターニングされた面を下にして載せ、UVナノインプリントプレス装置ST200(東芝機械(株)社製)にセットしてプレスし、波長365nm、強度6.5mW/cm2の紫外光を照射した。型の載った円板をプレス装置から取り出し、型をはずしてガラス円板上の被膜を観察したところ、パターンの抜けや塗膜のムラなどの塗膜の状態不良は見られなかった。
転写された基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図14に示す。図14より、型のパターンが矩形状に非常に良く転写されていることがわかる。
【0098】
[実施例11]
合成例5で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。次に、作製した硬化性組成物膜つきガラス基板の樹脂を塗布した面に、図10に示す石英ガラス製の半径方向に沿って凹凸形状がパターニングされた型(凹部の深さ150nm)のパターニングされた面を下にして載せ、UVナノインプリントプレス装置ST200(東芝機械(株)社製)にセットしてプレスし、波長365nm、強度6.5mW/cm2の紫外光を照射した。型の載った円板をプレス装置から取り出し、型をはずしてガラス円板上の被膜を観察したところ、パターンの抜けや塗膜のムラなどの塗膜の状態不良は見られなかった。
転写された基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図15に示す。図15より、型のパターンが矩形状に非常に良く転写されていることがわかる。
【0099】
[実施例12]
合成例6で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。次に、作製した硬化性組成物膜つきガラス基板の樹脂を塗布した面に、図10に示す石英ガラス製の半径方向に沿って凹凸形状がパターニングされた型(凹部の深さ150nm)のパターニングされた面を下にして載せ、UVナノインプリントプレス装置ST200(東芝機械(株)社製)にセットしてプレスし、波長365nm、強度6.5mW/cm2の紫外光を照射した。型の載った円板をプレス装置から取り出し、型をはずしてガラス円板上の被膜を観察したところ、パターンの抜けや塗膜のムラなどの塗膜の状態不良は見られなかった。
転写された基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図16に示す。図16より、型のパターンが矩形状に非常に良く転写されていることがわかる。
【0100】
[比較例2]
合成例7で得られた反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure369 チバジャパン(株)製)を1.5質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。次に、作製した硬化性組成物膜つきガラス基板の樹脂を塗布した面に、図10に示す石英ガラス製の半径方向に沿って凹凸形状がパターニングされた型(凹部の深さ150nm)のパターニングされた面を下にして載せ、UVナノインプリントプレス装置ST200(東芝機械(株)社製)にセットしてプレスし、波長365nm、強度6.5mW/cm2の紫外光を照射した。型の載った円板をプレス装置から取り出し、型をはずしてガラス円板上の被膜を観察したところ、パターンの抜けや塗膜のムラなどの塗膜の状態不良は見られなかった。
【0101】
転写された基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図17に示す。図17より、型のパターンが矩形状に転写されていないことが分かる。
【符号の説明】
【0102】
12 型
14 本発明の転写材料用硬化性組成物からなる塗布膜
16 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基が芳香環に直接結合された芳香族アミン化合物と、分子内にエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られる芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする転写材料用硬化性組成物。
【請求項2】
前記芳香族アミン化合物が4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−エチレンジアニリン、2,2'−エチレンジアニリン、o−トリジン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,6−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、2,7−ジアミノフルオレンまたは9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンである請求項1に記載の転写材料用硬化性組成物。
【請求項3】
前記分子内にエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、メタクリル酸グリシジルおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレートから選択される少なくとも一つである請求項1または2に記載の転写材料用硬化性組成物。
【請求項4】
さらに、前記芳香族アミン型(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
【請求項5】
さらに、熱ラジカル重合開始剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
【請求項6】
さらに、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜に、表面に凹凸パターンを有する型を押し当てる工程と、前記塗布膜に型を押し当てた状態で塗布膜を加熱することにより塗布膜を硬化させる工程と、前記硬化した塗布膜から型を外す工程と、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
請求項1〜4および6のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜に、表面に凹凸パターンを有する型を押し当てる工程と、前記塗布膜に型を押し当てた状態で塗布膜に活性エネルギー線を照射することにより塗布膜を硬化させる工程と、前記硬化した塗布膜から型を外す工程と、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
前記型が活性エネルギー線を透過させる材料で形成されており、活性エネルギー線を、前記型を介して前記塗布膜に照射する請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記基板が活性エネルギー線を透過させる材料で形成されており、活性エネルギー線を、前記基板を介して前記塗布膜に照射する請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記パターンが、10μm以下の微細パターンである請求項7〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
基体上に磁性膜を備えてなる基板の前記磁性膜上に請求項7〜11のいずれか1項に記載のパターン形成方法でパターンを形成し、このパターンをレジストとして前記磁性膜の一部を除去するか、または前記磁性膜の一部を非磁性化することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の製造方法で得られた磁気記録媒体。
【請求項14】
請求項13に記載の磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−175724(P2011−175724A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12747(P2011−12747)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】