説明

輸送手段用電源の安定化

ハウジング(12)に位置付けられた少なくとも一つの環状リング(14、16)を含む輸送手段用の電源である。環状リング(14、16)は、複数の永久磁石(22、24、26、52、54、56)などの磁性材料を含む。環状リング(14、16)は、ハウジング(12)内で磁気的に浮揚する。推進巻線(46、66)はハウジング(12)に付加され、環状リング(14、16)を動かすよう電力信号によって通電可能である。一度環状リングが動き出すと、磁性材料および推進巻線(46、66)は、協働して電力を生成および/または輸送手段に安定効果を提供する。例えば航空機(300)を利用する幾つかの実施例においては、2つ以上の環状リング(14、16)が使用可能であり、所定の正味の角運動量を生成するよう該環状リングを反対方向に回転できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、輸送手段に電力を供給する装置、および/または輸送手段を安定させるための装置に関する。具体的には、航空機などの輸送手段に電力を供給する装置、および/または航空機などの輸送手段を安定させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車、電車、ボートおよび航空機を含む輸送手段は、電力を複数のタイプの主要電源のうちの1つ以上から得ている。代表的な主要電源は、ガスとディーゼルエンジンなどの発熱源および発電機、バッテリ、燃料電池などの電源を含む。これらの電力源の幾つかは非効率とも言え、望ましくない炭化水素副産物を生成し、あるいは特定の用途に限定される。
【0003】
<関連する出願への相互参照>
本出願は、2005年9月20日に出願された米国特許出願第11/230、962号「Stabilizing Power Source For A Vehicle」に優先権を主張し、上記出願の全ての内容を参照により本願明細書に援用する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、添付の請求項および/または以下の特徴に列挙される1つ以上の特徴を備え、該特徴は、単独または任意の組合せにおいて特許性のある対象を備えることができる。
【0005】
一態様において、電力を輸送手段に供給する装置が環状リングを備えている。該環状リングは、ハウジングの環状空洞内に位置付けられてもよい。永久固体磁石または磁性粉末などの磁性材料が環状リングに加えられてもよい。推進巻線(a propulsion winding)がハウジングに加えられてもよい。該推進巻線は一つ以上の電磁石として実現されてもよい。該推進巻線は、通電時に交番磁界を発生するよう構成が可能であり、それにより環状リングを環状空洞内で回転させる。浮揚巻線(a levitation winding)はハウジング内に加えられてもよい。該浮揚巻線は、磁性材料を反発および/または誘引することによって、環状空洞内で環状リングを浮揚させるための磁界を発生させるよう構成できる。該浮揚巻線は、一つ以上の電磁石および/またはリッツ線等の導電性材料の積層部分から形成される導電軌道として実現されてもよい。すなわち、幾つかの実施形態においては、浮揚巻線が受動的であり、かつ磁界を発生させることによって、誘導電流を介して環状リングを浮揚させることが可能であり、該誘導電流は、浮揚巻線を通過する磁性材料の一部の回転によってもたらされる。
【0006】
一度環状リングが回転すると、環状リングは輸送手段に安定効果を提供できる。さらに、一度環状リングが最低作動速度まで回転すると、推進巻線は、磁性材料と協働して発電機を形成するために使用できる。すなわち、推進巻線を通過する磁性材料によって生成された磁界の回転は、推進巻線に電流を生成する。推進巻線だけでなく、幾つかの実施形態においては、浮揚巻線も制御回路によって生成された通電信号によって通電されてもよい。該通電信号は、直流または交流信号でもよい。該制御回路は、外部電源または環状リング自体(すなわち、発電機としての機能を果たす場合)によって供給された電力から通電信号を生成することができる。例えば、外部電源は制御回路に結合可能であり、さらに外部電源は、初めに環状リングを浮揚させ、該環状リングを所定の使用回転速度に回転させるために使用できる。そのような所定の使用回転速度は、任意の回転速度値を含むことができる。一度環状リングが所定の使用回転速度になると、外部電源は除去されても、そうでなければ制御回路から切断されてもよい。次に該制御回路は、環状リングによって(すなわち、磁性材料と推進巻線の協働により)生成された電力を使用できる。それにより、該電力を機器類、センサ群、および他の電磁石などの他の回路に、またはモータ、アクチュエータ、もしくは機械的作用等を実現するための原動機類などの他の装置に供給する。
【0007】
幾つかの実施形態においては、2つ以上の環状リングは互いに鉛直方向に位置付けられてもよい。例えば、ハウジングは2つの環状空洞を含んでもよい。第1環状空洞は、第2環状空洞上に鉛直方向に配置可能である。一つの環状リングが他方のリング上に鉛直方向に配置されるように、環状リングは各空洞内に位置付けられる。推進巻線および浮揚巻線がハウジングと一体になることによって、各環状空洞内に浮揚磁界および交番磁界を生成できる。該交番磁界は各環状リングを回転させる。航空機および他の輸送手段などの幾つかの用途においては、複数の環状リングが反対方向かつほぼ同じ速度で回転し、最小限の正味の角運動量を生成する。これに代えて又はこれに加えて、該複数の環状リングは、同じ方向または反対方向に回転するが、航空機に安定効果を提供するよう異なる速度で回転できる。該制御回路は、巻線の機能性を制御する通電信号を生成する。
【0008】
別の態様では、航空機は、胴体および該胴体を取り囲むハウジングを含む。該ハウジングは、ハウジング内に画定された一つ以上の環状空洞を備えてもよい。環状リングは、該空洞のそれぞれに位置付けられてもよい。複数の推進巻線は、該ハウジングと一体になってもよい。該推進巻線は、複数の環状空洞のそれぞれに交番磁界を生成するよう構成され、それにより別の通電信号に応じて環状リングのそれぞれの回転が可能である。さらに複数の浮揚巻線は、該ハウジングと一体となってもよい。該浮揚巻線は、通電信号に応じてまたは誘導電流を介して、環状空洞のそれぞれに浮揚磁界を生成するよう構成されてもよい。環状リング群のうちの幾つかは、反対または逆方向に回転してもよい。制御回路は、通電信号を生成するよう構成されてもよい。該制御回路は、外部電源を所定の回数使用することによって、一部の通電信号を生成できる。さらに該制御回路は、単数または複数の環状リングが生成した電力を使用することによって、一部の通電信号を生成し、電力を他の回路、電磁石、装置、モータ、アクチュエータまたは他の原動機に供給できる。
【0009】
本開示の上記および他の特徴は、単独または任意の組合せにより特許性のある対象を備えることが可能である。該特徴は以下の説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本開示の概念は、さまざまな変更及び代替の形態が可能であるが、その特定の例示的な実施形態が例として図面に示されており、本明細書中に詳細に説明される。しかし、本開示を開示された特定の形態に限定する意図はなく、むしろその意図は、本開示の精神及び範囲内に収まる全ての変形物、均等物、代替物をカバーすることであると理解されるべきである。
【0011】
次に図1に示すように、航空機等の輸送手段に電力を供給する、および/または輸送手段を安定させる装置10がハウジング12を備える。ハウジング12は、該ハウジング内に画定された複数の環状空洞を有する。具体的には、ハウジング12は、互いに鉛直方向に整列された2つの環状空洞を含む。第1環状リング14は環状軌道の空洞の一つに位置付けられ、第2環状リング16はもう一方の環状空洞に位置付けられる。環状リング14、16は、例示的に炭素繊維複合材料から作られる。しかし、環状リングの回転中に発生した遠心力に耐えられる他の材料も利用可能である。環状リング14、16は任意のサイズが可能であり、また、任意の長さの直径18および断面直径20(図2を参照)を有することができる。環状リング14、16の直径18および断面直径20の長さは、特定の用途によって決まる。幾つかの実施形態では、環状リング14、16の直径18の長さは、約3フィート(約0.914m)から約50フィート(約15.24m)でもよく、断面直径20の長さは約1インチ(約0.0254m)から約6インチ(約0.1524m)でもよい。例えば、ある特定の実施形態においては、環状リング14、16は、約28フィート(約8.53m)の直径18および約3インチ(約0.0762m)の断面直径20を有している。従って、環状リング14、16の直径の大半は、装置10の特定の用途に基づいて求められてもよい。例えば、環状リング14、16の大多数は、リング14、16が、該リングの回転中に輸送手段に対して十分な安定効果および/または動的エネルギーを提供できるよう選択されてもよい。
【0012】
図1には、ハウジング12の2つの環状軌道の空洞内に位置付けられた環状リング14、16を有する装置10が示されているが、他の実施形態においては、装置10は、ハウジング12の複数の環状空洞のそれぞれに位置付けられた任意の個数の環状リングを含んでもよい。さらに、図1に示されたハウジング12は環状ハウジングであるが、他の実施形態において、ハウジング12は少なくとも一つの環状空洞を該ハウジング内に備えることができる立法体、長方形、楕円形などのいかなる種類の断面形状であってもよい。
【0013】
次に図2に示すように、ハウジング12は、複数の環状ケーシングまたは環状軌道34、36を含む開放フレーム構造で形成され、該環状ケーシングまたは環状軌道は、環状リング14、16がそれぞれ位置付けられる複数の環状空洞を画成する。しかし、他の実施形態において、ハウジング12は非開放フレーム(a solid frame)構造で形成されてもよい。環状軌道34、36のそれぞれは、各空洞内を真空にするよう減圧される。環状軌道34、36は、環状リング14、16の断面直径20より大きい内径38を有する。それにより、以下の詳細な説明のとおり、該リングが磁気的に浮揚するときに、厚さ40のわずかな真空ギャップが環状リング14、16の周囲に形成される。
【0014】
図2の実施形態において、環状リング14、16は内部環状空洞15、17をそれぞれ備える。内部環状空洞15、17は中空でもよく、または発泡材料などで充填されてもよい。あるいは、補助環状リング群が望ましい実施形態(例えば、環状リングの直径18が比較的小さい場合の実施形態)では、環状リング14、16は、さらに小さい内部環状空洞15、17を有してもよく、または中空でなくてもよい。
【0015】
磁性材料は、環状リング14、16のそれぞれに付加される。図2の実施形態において、該磁性材料は、複数の永久磁石22、24、26、52、54、56として実現される。永久磁石22、24、26は、環状リング14の外周に沿って連続して(すなわち、永久磁石22の列、永久磁石24の列、および永久磁石26の列)組み込まれている。永久磁石22、24、26のそれぞれが各列に位置付けられることにより、該磁石22、24、26によって形成された磁界が、方向矢印28、30、32がそれぞれ示すように環状リング14から外側方向に強化または増大され、また、リング14に向かって内側方向に低減または実質的に消去される。同様に、永久磁石52、54、56が、環状リング16の外周に沿って連続して組み込まれている。また、永久磁石52、54、56がそれぞれの列に位置付けられることにより、該磁石52、54、56によって形成された磁界が、方向矢印68、70、72がそれぞれ示すように環状リング16から外側方向に強化または増大され、さらにリング16に向かって内側方向に低減または実質的に消去される。そうするために、一実施形態においては、永久磁石22、24、26、52、54、56は、ハルバッハ配列(Halbach arrays)に配置される。例えば、永久磁石22は、各個別の永久磁石22−22の磁極が図3のように配向されるように、ハルバッハ配列に配置された個別の永久磁石22−22の列から形成される。
【0016】
具体的には、永久磁石22、24、26、52、54、56は希土類合金から形成される。ある特定の実施形態においては、磁石22、24、26、52、54、56は、例えばネオジム鉄ホウ素(NdFeB)またはサマリウムコバルト(SmCo)合金などのランタニド合金から形成される。しかし、他の実施形態においては、材料の磁力、材料の熱特性等のような基準に基づいて、他の材料も使用可能である。図2の例示的な実施形態において、磁性材料は永久磁石として実現されるが、他の実施形態においては、該磁性材料は環状リング14、16の外面に付着、または該環状リングの中に組み込まれる磁性粉末として実現可能である。そのような実施形態では、該磁性粉末は、付着、組込み、もしくはハルバッハ配列に配置されてもよい。例えば、該磁性粉末は、環状リングが製造されるときに該リングの材料に含まれてもよいし、該リングが形成されるときに、後にハルバッハ配列に、あるいは近似したハルバッハ配列に配置されてもよい。
【0017】
また、装置10は、環状軌道34、36とそれぞれ一体となった複数の巻線42、44、46および62、64、66を備える。本明細書で使用されているように、「巻線」という用語は、任意の巻数をそれぞれ有する一つ以上のコイルを示すことを意図している。巻線は、例えば、互いに電気的に結合され、かつそれぞれ一定の巻数を有する複数のコイルとして実現できる。あるいは、巻線は単巻きの単一コイルとして実現されてもよい。該単巻きコイルは、幾つかの実施形態において短絡化されてもよい(すなわち、電気的に結合された端部を有してもよい)。さらに、巻線が多相電力信号と共に利用可能になる(すなわち、巻線は多相巻線である)ように、巻線は、任意の巻回数をそれぞれ有する複数のコイル一式として実現できる。そのように、巻線は「能動的(active)」でもよく、かつ通電電力信号に応じて磁界を生成するよう電磁石として構成されてもよい。あるいは、巻線は「受動的(passive)」でもよく、磁界を誘導電流に応じて生成できる。巻線は、あらゆる種類のワイヤ、積層材料、または電流経路を供給できる他の材料から形成されてもよい。
【0018】
図2の実施形態において、巻線42、44、46および62、64、66は、それぞれ環状軌道34、36の内部に組み込まれる。しかし他の実施形態においては、巻線42、44、46、62、64、66は、環状軌道34、36の内壁または外壁と結合できる。具体的には、巻線42、44、46、62、64、66は超電導であり、超電導ワイヤの複数の個別コイルから形成される。例えば、ある特定の実施形態においては、該超電導ワイヤはニオブチタン(NbTi)またはニオブスズ(NBSn)などのニオブ合金から形成される。巻線42、44、46、62、64、66は、任意の巻回数をそれぞれ有する任意の個数の個別コイルで形成されてもよい。これに限定されるわけではないが、例えば、巻線42、44、46、62、64、66のうち一つ以上が、4アンペアまでの電流を支持できる約550巻の超電導コイル(すなわち、1コイルあたり約2,200アンペアターンである超電導コイル)から形成されてもよい。さらに、幾つかの実施形態においては、巻線42、44、46、62、64、66(例えば電磁石として利用される巻線など)のうち一つ以上が、正方形の超電導ケーブル・イン・コンジット(CIC)から形成され、図8に関する以下の説明のように、冷却システムを利用する電磁石の極低温冷却を容易にする。
【0019】
図2の例示的な実施形態において、巻線46および66は推進/発電機巻線であり、永久磁石26、56と協働して環状リング14、16をそれぞれ回転させ、さらに電力を生成する。実例となる推進巻線46、66は、用途によって単相または多相の巻線でも可能である。例えば、巻線46に関する図4のように、推進巻線46は、推進コイル46A1-Anの第1組(すなわち第1相)、推進コイル46B1-Bnの第2組(すなわち第2相)および推進コイル46C1-Cnの第3組(すなわち第3相)を含むことができる。空間効率のためには、巻線46(および巻線66の複数のコイル)の個別コイル46A1-An、46BB1-Bn、および46C1-Cnは、図4のように重複位置に位置付け可能である。
【0020】
図8に関してさらに後述するように、複数の推進コイル46A1-An、46B1-Bn、および46C1-Cnは、制御システムによって制御されることによって、環状リング14、16にかかる回転力を生成する。そうするためには、電力信号(例えば、交流、三相信号など)が推進巻線46、66に供給される。電力信号の受信中に、推進巻線46、66は交番磁界を生成する電磁石を形成する。推進巻線46、66の個別コイル(すなわち電磁石)の一部は完全に通電されるが、一方で、他の個別コイルは部分的に通電、または全く通電されない。交番磁界は、永久磁石26、56によって生成されたそれぞれの磁界と相互に作用し、磁気斥力および磁気引力によって環状リング14、16を「押し引き」する。推進巻線46、66は電力信号によって通電されるが、推進巻線46、66および永久磁石26、56はモータを形成する。一度環状リング14、16がある作動速度で回転すると、環状リング14、16は安定効果を与え、および/または電源として使用できる。例えば、一度リング14、16が回転すると、電力信号は推進巻線から解除されてもよく、それに応じて推進巻線46、66は、もはや電磁石の機能を果たさなくなる。むしろ、環状リング14、16が回転している間に、推進巻線46、66および永久磁石26、56は協働して発電機を形成する。すなわち、永久磁石26、56によって生成された磁界が、推進巻線46、66の個別コイルをそれぞれ通過すると、電流が電磁石46、66に誘導される。このようにして、環状リング14、16が回転している間に、電磁石46、66および永久磁石26、56は協働して電力を生成する。該生成された電力は、輸送手段(例えば、輸送手段の発電機)および/または幾つかの実施形態において、下記のような巻線42、44、46、62、64、66を含む他の電気装置に電力を供給するよう使用できる。
【0021】
巻線42、44、および62、64は浮揚巻線であり、作動中は、環状リング14、16を浮揚させるために使用される。幾つかの実施形態では、浮揚巻線42、44、62、64は、環状リング14、16(すなわち永久磁石22、24、52、54)が作動中に誘導される誘導電流に基づいて浮揚させる複数の誘導ガイドでもよい。そのような実施形態においては、浮揚巻線42、44、62、64は受動的である。すなわち、永久磁石22、24、52、54によって生成された磁界が浮揚巻線42、44、62、64を通過すると、巻線42、44、62、64に電流が誘導され、反発磁界を作る。巻線42、44、63、64によって生成された磁界は、永久磁石22、24、52、54によって生成された磁界に反発する。また、該永久磁石22、24、52、54によって生成された磁界は、磁石の斥力によって環状リング14、16を浮揚させる。幾つかの実施形態においては、受動的な浮揚巻線42、44、62、64は、導電性材料の積層部分またはリッツ線から形成されてもよい。そのような実施形態においては、巻線42、44、62、64は、短路端部を有する複数の単巻コイルから形成され、該単巻コイルによって、誘導電流が、リング14、16を浮揚させるための対立する磁界を効果的に作れるようになる。例えば、そのような受動的な浮揚の具体例として、浮揚巻線44は、図5に図示するような一連のスロットまたは開口部49を有する導電性材料の積層部分から形成されてもよい。単巻コイル471-nは各スロット49の周囲に形成される。永久磁石24によって生成された磁界が浮揚巻線44を通過すると、上記のように、電流がコイル471-nのそれぞれに誘導され、反発磁界を生成する。そのような実施形態において、他の浮揚巻線42、62、64は同様に構成される。
【0022】
他の実施形態において、巻線42、44、62、64は「能動的」であり、電磁石として構成される。使用時には、浮揚巻線42、44、62、64は、永久磁石22、24、52、54とそれぞれ協働して環状リング14、16を浮揚させる。そうするためには、電力信号または通電電流信号が浮揚巻線42、44、62、64に供給される。それに応じて、浮揚巻線42、44、62、64は磁界を生成する。浮揚巻線42、44、62、64によって生成された磁界は、永久磁石22、24、52、54によってそれぞれ生成された磁界を引きつける。環状リング14、16は、連動する磁界の引力によって浮揚する。そのような実施形態においては、浮揚巻線42、44、62、64は、推進巻線46、66(例えば、単相の推進巻線46、66)と同様である。また、図2に関する上記説明のように、浮揚巻線42、44、62、64は、任意の個数の巻線を有する複数の個別浮揚コイル(すなわち、電磁石)から形成される。さらに、幾つかの実施形態においては、浮揚巻線42、44、62、64は、「受動的」および「能動的」な巻線の両方を備えることが可能である。それにより、上記のように、巻線42、44、62、64の一部が受信した電力信号に応じて浮揚磁界を生成し、その一方で、巻線42、44、62、64の別の一部が誘導電流に応じて浮揚磁界を生成する。さらに、幾つかの実施形態では、推進巻線は交互に配置されてもよく、そうでなければ浮揚巻線42、44、62、64に含まれてもよい。
【0023】
次に図6に示すように、別の実施形態では、環状軌道34は複数の突出部80、82、84を含み、環状軌道36は複数の突出部86、88、90を含む。環状リング14は、突出部80を収容するように構成されたノッチ92と、突出部82を収容するように構成されたノッチ94と、突出部84を収容するように構成されたノッチ96とを含む。同様に、環状リング16は、突出部86を収容するように構成されたノッチ98と、突出部88を構成するように構成されたノッチ100と、突出部90を収容するように構成されたノッチ102とを含む。図6の実施形態は、2つの環状リング14、16および軌道34、36を含んでいるが、他の実施形態において、任意の個数の環状リングおよび関連した複数の軌道を含むこともできる。
【0024】
図6の実施形態において、環状リング14は、永久磁石22の代わりに永久磁石104、106を、永久磁石24の代わりに永久磁石108、110を、永久磁石26の代わりに永久磁石112、114を含む。しかし、永久磁石104、106、108、110、112、114は永久磁石22、24、26と同様である。永久磁石104、106、108、110、112、114のそれぞれは、環状リング14の周囲に連続して組み込まれた複数の個別の永久磁石から形成される。環状リング14と同様に、環状リング16も永久磁石52の代わりに永久磁石116、118を、永久磁石54の代わりに永久磁石120、122を、永久磁石56の代わりに永久磁石124、126を含む。永久磁石116、118、120、122、124、126は、永久磁石52、54、56と同様であり、それぞれ環状リング16の周囲に連続して組込まれた複数の個別の永久磁石から形成される。
【0025】
永久磁石104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126のそれぞれは、ハルバッハ配列に配置される。例えば、図7のように、永久磁石112および114は、ハルバッハ配列に配置さられた複数の個別の永久磁石112〜112nおよび114〜114nから形成される。それにより、磁石112〜112nおよび114〜114nによって生成された磁界が、ノッチ84の領域で強化または増大され、さらにこの領域の外側で低減する。同様に、永久磁石124および126は、ハルバッハ配列に配置された複数の個別の永久磁石124〜124nおよび126〜126nから形成される。それにより、磁石124〜124nおよび126〜126nによって生成された磁界が、ノッチ102の領域で強化または増大され、さらにこの領域の外側で低減する。
【0026】
浮揚巻線42および44は、突出部80および82にそれぞれ位置付けられる。同様に、浮揚巻線62および64は、突出部86および88にそれぞれ位置付けられる。浮揚巻線42、44、62、64は、図2および図5に関する上記方法と実質的に同じ方法で作動する。すなわち、浮揚巻線42、44、62、64は「受動的」でもよく、単巻かつ短路化された複数の個別コイル(例えば、図5のような複数のスロットを有する層状の導電性材料など)から形成されてもよい。あるいは、浮揚巻線42、44、62、64は「能動的」でもよく、引力のある浮揚磁界を生成するための電磁石として機能する複数の個別コイルから形成されてもよい。
【0027】
推進巻線46および66は、突出部84および90内にそれぞれ組み込まれる。推進巻線46、66は、実質的に図2および図4に関する上記方法と同じ方法で作動する。すなわち、推進巻線46、66は、推進磁界を生成するために電磁石として機能する複数の個別コイルから形成される。そうするためには、電力信号(例えば、交流、三相信号など)が推進巻線46、66に供給され、巻線46、66に交番磁界を生成させる。該交番磁界は、永久磁石112、114、124、126によって生成されたそれぞれの磁界と相互に作用し、磁気斥力および磁気引力によって環状リング14、16を「押し引き」する。一度リング14、16が動くと(すなわち回転すると)、電力信号は解除され、推進巻線46、66および永久磁石112、114、124、126は協働して発電機を形成する。すなわち、永久磁石112、114、124、126によって生成された磁界が推進巻線46、66の個別コイルを通過すると、電流がコイル内に誘導される。このようにして、巻線46、66および永久磁石112、114、124、126は、環状リング14、16の回転中に、協働して電力を生成する。さらに、環状リングの回転中に、環状リング14、16は、装置10が含まれる輸送手段に安定効果を提供できる。例えば、実施例によって、環状リング14、16は回転中に偏揺れ(yaw)、縦揺れ(pitch)および/または横揺れ(roll)に対して安定効果を提供できる。
【0028】
図6において、推進巻線46、66および浮揚巻線42、44、62、64は互いに離れて配置されているが、幾つかの実施形態においては、推進巻線46、66は、突出部80、82、86、88において浮揚巻線42、44、62、64と交互に配置可能であり、永久磁石104、106、108、110、116、118、120、122と相互に作用できると理解されるべきである。同様に、幾つかの実施形態においては、浮揚巻線42、44、62、64は推進巻線46、66と交互に配置可能であり、さらに永久磁石112、114、124、126と相互に作用できる。
【0029】
次に図8に示すように、幾つかの実施形態において、装置10は、ハウジング12内に組み込まれた、もしくは一体となった巻線42、44、46、62、64、66に結合された制御システム130を含むこともできる。制御システム130は、制御回路132とスイッチング回路134、138を含み、さらに幾つかの実施形態においては、スイッチング回路136を含む。制御回路132は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、特定用途向け集積回路(ASIC)、個別部品などのあらゆる種類の制御回路として実現できる。さらに、制御回路132は、制御システム130の他の構成要素を制御または相互に作用するための他の回路を備えることができる。該制御システム130の他の構成要素には、複数のメモリデバイス、プロセッサ、出力ドライバ、継電器、スイッチ、バッファ、電力変換回路等が含まれるが、それらに限定されるわけではない。スイッチング回路134、136、138は、さまざまなインターコネクトに選択的に結合できるあらゆる種類の回路として組み込まれてもよい。例えば、幾つかの実施形態においては、スイッチング回路134、136、138は、複数の継電器、スイッチなどとして組み込まれている。さらに、幾つかの実施形態においては、スイッチング回路134、136、138、またはその一部は、制御回路132に含まれる。
【0030】
制御回路132は、スイッチング回路134を介して環状リング14の推進巻線46に結合される。具体的には、スイッチング回路134は、複数のインターコネクト140を介して推進巻線46に結合される。制御回路132は、複数のインターコネクト142とインターコネクト144を介してスイッチング回路134に結合される。スイッチング回路134は、複数のインターコネクト146およびコネクタ148を介して外部電源150に遠隔に結合することもできる。同様に、制御回路132は、スイッチング回路138を介して環状リング16の推進巻線66に結合される。具体的には、スイッチング回路138は、複数のインターコネクト152を介して推進巻線66に結合される。制御回路132は、複数のインターコネクト154とインターコネクト156を介してスイッチング回路138に結合される。スイッチング回路134と同様に、スイッチング回路138は、インターコネクト146およびコネクタ148を介して、外部電源150に遠隔に結合できる。外部電源150は、装置10に外付けのいかなる種類の電源でもよい。幾つかの実施形態では、外部電源150は、バッテリやバッテリパックとして実現される。他の実施形態においては、外部電源150は、発電機、コンデンサーバンク、または電気グリッドとして実現されてもよい。それにかかわらず、外部電源150は、推進巻線46、66が環状リング14、16を最小使用回転速度(例えば、45,000RPM)で回転させるのに十分な交番磁界を生成するほどの電力を供給できる電源である。
【0031】
浮揚巻線が「能動的」である(すなわち、電磁石として構成される)実施形態では、さらに制御回路132も、環状リング14の浮揚巻線42、44および環状リング16の浮揚巻線62、64にスイッチング回路136を介して結合される。具体的には、スイッチング回路136は、複数のインターコネクト160を介して浮揚巻線42、44、62、64に結合される。制御回路132は、複数のインターコネクト162インターコネクト164を介してスイッチング回路136に結合される。さらに、スイッチング回路136は、インターコネクト146およびコネクタ148を介して外部電源150に遠隔に結合できる。
【0032】
また、制御回路132は、複数のインターコネクト178、180を介してセンサ174、176にそれぞれ結合される。センサ174は環状軌道34と一体になり、環状リング14の回転速度を検知または求めるよう位置付けられる。同様に、センサ176は、環状軌道36と一体になり、環状リング16の回転速度を検知または求めるよう位置付けられる。そのように、センサ174、176は、個々の回転スピードを示す信号を作り出す。該センサは、例えば、複数のホール効果センサ、赤外線センサ、レーザセンサなどのような、環状リング14、16の回転速度を検知または求めることができるいかなる種類のセンサも可能である。幾つかの実施形態においては、例えば、軌道34、36に対するリングの配列といった環状リング14、16の他の状況の検知に、複数の補助センサが利用されてもよい。さらに、そのような補助センサは、所望の状況を検知できるいかなる種類のセンサでもよい。
【0033】
また、制御回路132は、輸送手段電源および複数のインターコネクト166を介して他の電子回路170に結合される。そのような輸送手段電源回路は、例えば輸送手段を動かすための発電機または他の電動輸送手段推進装置を含んでもよい。そのような他の電子回路は、制御回路から電力を受信できるいかなる追加回路を含んでもよい。例えば、他の電子回路170は、フライトナビゲーション機器、電子計算機、環境調整装置、通信機器などの電子機器を含むこともできる。
【0034】
さらに幾つかの実施形態においては、装置10は冷却システム172を備えてもよい。そのような実施形態においては、制御回路132は、複数のインターコネクト173を介して冷却システム172に結合される。冷却システム172は、例示的に開放型冷却システムである(すなわち、冷却媒体が局所的に再冷却されない)。それゆえ、冷却媒体(例えば冷却液)の外部冷却が実行できる。さらに、例えば液体窒素が冷却媒体として使用される実施形態においては、冷却媒体は取り込まれるというよりはむしろ放出されてもよい。あるいは、冷却システム172は、冷却媒体がその使用後に再冷却される閉鎖型冷却システムでもよい。そのような実施形態では、冷却システム172は、冷却媒体を冷却するための冷蔵室または他の冷蔵手段を含んでもよい。そのような実施形態においては、該冷却媒体が一つ以上の巻線42、44、46、62、64、66に接触して、または接近して流れることによって、巻線内の熱を除去できる。それによって、冷却媒体は巻線42、44、46、62、64、66を形成している複数のワイヤの抵抗力を低減させる。巻線42、44、46、62、64、66の抵抗力の低減は、装置10の全体的な効果を向上させることができる。このようにして、巻線42、44、46、62、64、66を形成しているワイヤは、冷却媒体によって冷却される。冷却媒体は貯蔵容器(図示せず)に収集可能であり、また、使用された冷却システムのタイプに応じて外部または内部で冷却できる。
【0035】
使用時には、制御回路132は、スイッチング回路134、136、138の作動を制御および環状リング14、16によって(回転中に)生成された電力の分配を制御するよう構成される。例えば、装置10の使用に先立って、環状リング14、16は静止していてもよく、あるいは回転していなくてもよい。環状リング14、16が回転していないと、環状リング14、16は測定可能な電力を生成しない。従って、外部電源150が装置10に結合されることによって、装置10に電力を供給する。そうするためには、制御回路132は、インターコネクト142を介してスイッチング回路134に制御信号を送信し、スイッチング回路134が、インターコネクト140とインターコネクト146を結合させる。さらに、制御回路132は、インターコネクト154を介して制御信号をスイッチング回路138に送信し、スイッチング回路136が、インターコネクト152とインターコネクト146を結合させる。さらに、浮揚巻線42、44、62、64が「能動的」である(すなわち、電磁石として構成されている)実施形態において、制御回路132は、インターコネクト162を介して制御信号をスイッチング回路136に送信し、スイッチング回路136がインターコネクト160とインターコネクト146を結合させる。このようにして、外部電源150は、浮揚巻線42、44、62、64に通電するインターコネクト160に電力を供給する。上記のように、装置10は、浮揚巻線42、44、62、64と関連する軌道34、36内の環状リング14、16の配置を検知するために、複数の追加センサを含んでもよい。配置センサからのフィードバックに基づいて、制御回路132は、浮揚巻線42、44、62、64に与えられた信号を調整する(例えば、信号の電圧を調整する)よう構成されてもよく、それにより軌道34、36内の環状リング14、16の適切な配置を維持する。
【0036】
さらに外部電源150は、推進巻線46、66に通電するインターコネクト140と152に電力を提供する。しかし、スイッチング回路134、136および/または制御回路132は、外部電源150によって供給された電力を変更、変換、変調して推進巻線46、66に供給することもできる。例えば、図4に関して前述したように、外部電源150によって供給された電力信号は、三相電力信号に変換可能であり、また、推進巻線46、66の三相コイルに供給できる。さらに、幾つかの実施形態においては、外部電源150によって供給された電力信号は、直流電力信号から交流電力信号に変換されてもよい。それにかかわらず、一度通電されると、推進巻線46、66は、交番磁界を環状軌道34、36によって画定された環状空洞に生成する。該交番磁界は、環状リング14、16を磁気斥力や磁気引力によって回転させる。このようにして、環状リング14、16は交流磁界によって「押し引き」される。環状リング14、16の回転速度は、センサ174、176によって求められ、その回転速度を示すデータ信号は、各センサ174、176によってインターコネクト178、180を介して制御回路132にそれぞれ送信される。制御回路132は、各環状リング14、16の回転速度を監視するよう構成されており、それにより、所望の正味の角運動量を生成するようリング14、16が必要な速度で反対または逆方向に回転することを確実にする。前述のとおり、環状リング14、16がほぼ同じ速度で反対方向に回転されることによって、最小限の正味の角運動量を生成できる。これに代えて又はこれに加えて、環状リング14、16は、同じ方向または逆方向に回転できるが、航空機に安定効果を提供するよう異なる速度でも回転できる。それにかかわらず、制御回路132は、推進巻線46、66に供給された電圧を制御することによって、リング14、16の回転速度を制御できる。制御回路132は、例えば、スイッチング回路134、138を制御することによって電圧を制御する。
【0037】
環状リング14、16の両方が所定の使用回転速度と同じ速度、またはそれを越える速度で回転していることを、一度制御回路132が判断すると、制御回路はスイッチング回路134、136、および138を制御するよう構成され、装置10を外部電源150から切断する。すなわち、制御回路132は、制御信号を複数のインターコネクト142を介してスイッチング回路134に送信し、スイッチング回路134によって、インターコネクト140をインターコネクト146から切り離し、インターコネクト140をインターコネクト144と結合させる。同様に、制御回路132は、インターコネクト154を介して制御信号をスイッチング回路138に送信し、スイッチング回路138によってインターコネクト152をインターコネクト146から切り離し、インターコネクト152をインターコネクト156と結合させる。さらに、浮揚巻線42、44、62、64が電磁石として構成される実施形態では、制御回路132は、インターコネクト162を介して制御信号をスイッチング回路136に送信し、スイッチング回路136によってインターコネクト160をインターコネクト146から切り離し、インターコネクト160をインターコネクト164と結合させる。
【0038】
環状リング14が回転することによって、永久磁石26(または永久磁石112、114)および推進巻線46は発電機を形成し、インターコネクト140、スイッチング回路134、およびインターコネクト144を介して電力を制御回路132に供給する。同様に、環状リング16が回転することによって、永久磁石56(または永久磁石124、126)および推進巻線66は発電機を形成し、インターコネクト152、スイッチング回路138、およびインターコネクト156を介して電力を制御回路132に供給する。制御回路132はインターコネクト144、156を介して電力を受信し、インターコネクト166を介して電力を輸送手段用電源および他の電子回路170に再分配する。制御回路132は、環状リング14、16の正味の角運動量を所望の量に維持するために、環状リング14、16から(巻線46、66を介して)引き出された電力量を監視および制御するよう構成されている。
【0039】
輸送手段用電源および他の電子回路170は、環状リング14、16によって生成された電力によって作動可能なあらゆる種類の電気回路構成を含むことができる。例えば、輸送手段用電源および他の電子回路170は、発電機、他の電動輸送手段の推進および持上げ装置、電気機器、電子計算機、制御システム、照明とディスプレイ、電気計測器などを含むことができる。ある特定の実施形態では、他の電子回路170は通常航空機で見られる電気回路を含み、推進システム、通信機器と通信システム、ナビゲーション機器とナビゲーションシステム、照明システム、全地球測位システム(GPS)、多目的表示器(MPDs)、およびエンジンまたはモータ監視システムなどがある。浮揚巻線が「能動的」である(すなわち、電磁石として構成される)実施形態では、制御回路132は、電力を浮揚巻線42、44、62、64に分配することによって、図2に関する上記の方法で環状リング14、16の浮揚をそれぞれ維持できる。浮揚巻線が「受動的」である実施形態では、浮揚巻線42、44、62、64とそれに関連した永久磁石22、24、52、54(または104と106、108と110、116と118、120と122)が協働して生成した磁界によって生じた誘導電流は、浮揚力(すなわち、磁気斥力)を生成し、それにより環状リング14、16を浮揚した位置に維持する。
【0040】
幾つかの実施形態では、制御回路132は、センサ174、176を介して環状リング14、16の回転速度を監視し、環状リング14、16の回転速度が所定の最小回転速度以下(例えば、6、000RPM)に落ちた場合、警告信号を装置10(または装置10によって作動する輸送手段)の操作員に示す。該警告信号は、環状リング14、16の「再充電」(すなわち、外部電源150を利用して、リング14、16を所定の使用回転速度になるまで回転させるよう推進巻線46、66に電力を供給すること)が必要であることを操作員に知らせる。そのような状況下では、制御回路132は、輸送手段用電源または他の電子回路170の一部から電力を除去し、それによって駆動モータなどの優先順位の高い装置用の電力を保存するよう構成できる。環状リング14、16は、上記の方法によってコネクタ148を利用しながら外部電源150を装置10と結合させることによって再充電される。
【0041】
次に図9に示すように、輸送手段に電力を供給するアルゴリズム200は、制御回路132によって実行可能であり、プロセスステップ202から始まる。プロセスステップ202以前は、環状リング14、16は制止状態または最小回転速度以下である。従って、環状リング14、16(すなわち、永久磁石26、56、112、114、124、126および推進巻線46、66)は、最小限の電力を生成しているか、または全く電力を生成してない。プロセスステップ202では、制御回路132は、外部電源150が装置10に結合されているかどうかを判断する。図8に関して前述したように、外部電源150はコネクタ148を介して装置10に結合されてもよい。外部電源150が装置10に結合されていない場合、アルゴリズム200は、プロセスステップ202に戻る。このようにして、アルゴリズム200は、外部電源150と装置10の結合を監視する。
【0042】
浮揚巻線42、44、62、64が「能動的」である(すなわち、電磁石として構成される)実施形態では、一度制御回路132が、外部電源150は装置10に結合されたと検知もしくは判断すると、アルゴリズム200はプロセスステップ204に進む。プロセスステップ204では、浮揚巻線42、44、62、64が通電され、環状リング14、16を磁気引力によって環状軌道34、36内で浮揚させる。そうするためには、制御回路132はスイッチング回路136を制御し、外部電源150から浮揚巻線42、44、62、64に電力を分配する。
【0043】
次に、アルゴリズム200はプロセスステップ206に進み、そこで推進巻線46、66(すなわち、電磁石)が通電され、磁気引力および磁気斥力によって環状リング14、16が動き始める(すなわち回転する)。そうするために、制御回路132は、外部電源150から推進巻線46、66に電力を分配するようスイッチング回路134、138を制御する。浮揚巻線が「能動的」である実施形態では、プロセスステップ204と206は、同時にまたは任意の順番で実行可能である。例えば、浮揚巻線42、44、62、64は、推進巻線46、66の通電に先立って短期間で通電できる。あるいは、浮揚巻線42、44、62、64が「受動的」である実施形態では、電流が永久磁石22、24、52、54の協働によって巻線に誘導されるときに(すなわち、永久磁石22、24、52、54が浮揚巻線42、44、62、64を通過する間に)、環状リング14、16を巻線42、44、62、64が生成した磁界によって浮揚させる。そのような実施形態においては、環状リングが浮揚していない間に(すなわち、浮揚巻線42、44、62、64が環状リング14、16を浮揚させるのに十分な磁界を生成するときに先立って)、装置10は、環状リング14、16を支持するよう構成された複数のスライド、車輪、または他の低摩擦支持機構を含むことができる。さらに、装置10が冷却システム172を備える実施形態では、制御回路132は、プロセスステップ206における推進巻線46、66の通電の後で、または同時に、外部電源150から冷却システム172に電力を分配することができる。
【0044】
プロセスステップ208では、制御回路132は、環状リング14、16の回転速度が所定の使用回転速度と同じ、またはそれを超えるかどうかを判断する。そうするためには、制御回路132は、センサ174、176から環状リング14、16の回転速度を示すデータ信号をそれぞれ受信する。制御回路132は、計測された環状リング14、16の回転速度と所定の使用回転速度を比較する。幾つかの実施形態においては、所定の使用回転速度は約6,000RPMから約85,000RPMでもよい。しかし、所定の使用回転速度は、装置10の特定の用途によって変更できる。それにかかわらず、環状リング14、16の回転速度が所定の使用回転速度より遅い場合、アルゴリズム200は、プロセスステップ204に(また、幾つかの実施形態においては、プロセスステップ206に)戻る。そこで推進巻線46、66(および浮揚巻線42、44、62、64)が、外部電源150を利用して通電される。このようにして、アルゴリズム200は、能動的または誘導された磁気浮揚によって環状リング14、16の磁気浮揚を維持し、所定の使用回転速度に達するまで環状リング14、16を回転し続ける。
【0045】
プロセスステップ208において、一度環状リング14、16が所定の使用回転速度で、または所定の使用回転速度を超える速度で回転していると判断されると、アルゴリズム200はプロセスステップ210に進む。さらに、幾つかの実施形態においては、装置10および/または装置10が結合される輸送手段の操作員は、環状リング14、16が「充電」された、あるいは所定の使用回転速度かそれ以上の速さで回転していることを通知される。プロセスステップ210では、アルゴリズム200は、外部電源150が装置10から切断されたかどうかを判断する。もしそうでなければ、環状リング14、16の磁気浮揚と回転を維持するために、アルゴリズム200は、プロセスステップ204(およびプロセスステップ206)に戻る。しかし、外部電源150は装置10からの切断に成功したとアルゴリズム200が判断する場合は、アルゴリズム200はプロセスステップ212に進む。幾つかの実施形態においては、アルゴリズム200が、外部電源150は所望の回転速度に達する前に切り離されたと判断する場合は、アルゴリズム200はプロセスステップ202に戻る。
【0046】
プロセスステップ212では、環状リング14、16の運動エネルギーは電気エネルギー(すなわち、電力)に変換される。そうするためには、制御回路132は、スイッチング回路134、138をそれぞれ介して、インターコネクト140とインターコネクト144を結合させ、インターコネクト152とインターコネクト156を結合させる。環状リング14が回転することによって、永久磁石26(または112と114)は、推進巻線46と協働して発電機を形成し、インターコネクト140と144を介して電力を制御回路132に供給する。同様に、環状リング16が回転することによって、永久磁石56(または124と126)は、推進巻線66と協働して発電機を形成し、インターコネクト152と156を介して電力を制御回路132に供給する。次に、制御回路132は電力を分配する。具体的には、プロセスステップ214において、制御回路132は電力の一部を輸送手段用電源および他の電子回路170に分配する。そうするためには、制御回路132は、インターコネクト166を介して、環状リング14、16によって生成された電力の一部を輸送手段用電源および他の電子回路170に供給または分配する。
【0047】
プロセスステップ216では、制御回路132は、環状リング14、16の浮揚を維持する。浮揚巻線42、44、62、64が「能動的」である(すなわち、電磁石として構成される)実施形態では、アルゴリズム200は、プロセスステップ212で生成された電気エネルギーの一部を浮揚巻線42、44、62、64に分配することによって、リング14、16の浮揚を維持する。そうするためには、制御回路132はスイッチング回路136を制御し、インターコネクト160をインターコネクト164に結合する。このようにして、制御回路132は、環状リング14、16によって生成された電力の一部を、複数のインターコネクト164、スイッチング回路136、および複数のインターコネクト160を介して、浮揚巻線42、44、62、64に供給または分配することによって電力を提供する。あるいは、浮揚巻線が「受動的」である実施形態では、環状リング14、16の浮揚は、永久磁石22、24、52、54の通過によって誘導された電流に応じて、浮揚巻線42、44、62、64によって生成された磁界を介してプロセスステップ216で維持する。
【0048】
幾つかの実施形態においては、アルゴリズム200は、環状リング14、16が制御されるプロセスステップ217を含む。例えば、プロセスステップ217では、正味の角運動量がごく少量に維持されるように、制御システム132は環状リング14、16の角速度を監視および調整できる。例えば、プロセスステップ212で変換される運動エネルギー量は修正され、それによって環状リング14、16の回転速度を変更する。他の実施形態において、例えば、装置10が航空機に使用される実施形態では、正味の角運動量はヨー制御として使用できる。すなわち、環状リング14、16のうちの一つまたは両方の回転スピードを調整することによって、十分な正味の角運動量を確立し、輸送手段(例えば、航空機)の方向が制御できるようになる。さらに、浮揚巻線42、44、62、64が「能動的」である実施形態では、浮揚巻線42、44、62、64に供給された電圧をプロセスステップ217で調整することによって、軌道34、36内の環状リング14、16の配置を制御できる。
【0049】
プロセスステップ218では、アルゴリズム200は、環状リング14、16の回転速度が所定の最小回転速度を超えるかどうかを判断する。回転運動エネルギーが電気エネルギーに変換されると、環状リング14、16が次第に減速していくため、プロセスステップ218で環状リング14、16の回転速度が求められ、最小回転速度と比較される。そうするためには、制御回路132は、環状リング14、16の回転速度を示すデータ信号をセンサ174、176からそれぞれ受信する。制御回路132は、測定された環状リングの回転速度と所定の最小回転速度を比較する。そのような実施形態において、該所定の最小回転速度は約5,000RPMから約10,000RPMである。しかし、該所定の最小回転速度は、特定の用途によって変更できる。
【0050】
プロセスステップ218において、環状リング14、16の回転速度が最小回転速度を越えていると判断されると、アルゴリズム200は、プロセスステップ212、214、216(および217)に戻り、そこで電力が生成および分配され、さらに環状リング14、16の浮揚が維持される。しかし、環状リング14、16の回転速度が最小回転速度に満たないと判断されると、アルゴリズム200はプロセスステップ220に進み、そこで装置10または装置10が電力を供給する輸送手段(例えば、航空機)の操作員に通知される。該操作員は、可視的、可聴式、または触知できる指示器によって通知される。例えば、幾つかの実施形態においては、環状リング14、16が所定の最小使用回転速度以下の回転速度で回転していることを、操作員に警告するよう照明が照らされる。これに加えて又はこれに代えて、操作員の注意を引くよう可聴式の警笛またはブザーが作動してもよい。このようにして、生成可能な電力量が所望のレベルに満たないことを操作員に警告し、該操作員は適宜行動する(例えば、航空機を着陸させる)。あるいは、幾つかの実施形態においては、制御回路132は、航空機を着陸させるといった正確な対応に自動的に着手するよう構成されてもよい。プロセスステップ220において一度操作員が通知されると、アルゴリズム200はプロセスステップ222に進み、そこでアルゴリズム200は、環状リング14、16の回転速度がゼロまたはおよそゼロであるかどうかを判断する。すなわち、制御回路132は、センサ174、176を介して、環状リング14、16が停止またはほぼ停止位置に減速したかどうかを判断する。環状リング14、16が未だにある回転速度で回転している場合、アルゴリズム200は、プロセスステップ212、214、および216に戻り、回転している環状リングの利用可能な運動エネルギーの全てまたはほぼ全てが、電気エネルギー(すなわち電力)に変換されるようにする。しかし、環状リング14、16が停止またはほぼ停止位置に減速した場合、アルゴリズム200はプロセスステップ202に戻り、そこでアルゴリズム200は、環状リング14、16を「再充電」するために、外部電源150がもう一度装置10に結合されるまで待機または休止する。
【0051】
幾つかの実施形態では、装置10は、輸送手段に電力を供給する主要電源として、および/または輸送手段に安定効果を提供する安定装置として使用できることを理解すべきである。図10および図11に示すように、そのような一実施形態において、ダクテッドファン型航空機300は、主要電源として装置10を含む。図10に示すように、航空機300は実質的に上部の断面が円形であり、中心に配置された胴体302を含む。複数の操作員および乗客用座席304が、胴体302に位置付けられる。キャノピー306は、胴体302の上部を覆う。さらに航空機300は、ロータブレード領域308を含む。ロータシステム310は、ロータブレード領域308内に位置付けられる。制御可能な羽根付ダクト311は、ロータシステム310によってロータブレード領域308を通って収集または移動する空気の流路を設けながら、ロータブレード領域308の上部を覆う。制御可能な羽根付ダクトシステム312は、ロータシステム310によってロータブレード領域308から排気、あるいは該領域を通って移動する空気の流路を設けながら、ロータブレード領域308の底部を覆う。さらに、制御可能な羽根付ダクトシステム312は、作動中に航空機に対して横方向の制御および回転制御を行うことができる。システム311と312は閉鎖状態に制御でき、それによってシステム311と312は、前方移動中に航空機に揚力を供給できる堅固な、または概ね堅固な翼を形成する。
【0052】
図12および図13に示すように、ロータシステム310は、上部ロータ314および下部ロータ316を含む。各ロータ314、316は、複数のロータブレード318を含む。実例として、各ロータ314、316は6つのロータブレードを備える。しかし他の実施形態においては、多かれ少なかれロータブレードを有する複数のロータが使用されてもよい。ロータ314、316は互いに同軸上に位置付けられ、該ロータに電力が供給されると互いに反対方向に回転し、それによりロータ314、316によって生成された正味の角運動量が最小限になる。ロータ314、316は、乱流エネルギー損失を低減または最小化するために互いに鉛直方向に離れている。一実施形態において、ロータ314、316は、約18インチ(約45.72cm)またはそれ以上垂直方向に離れている。実例として、ロータ314、316は、リニア誘導モータ(LIM)によって動力を供給される。しかし、他の実施形態では、ロータ314、316は、一つ以上の電気モータを介して動力を供給されてもよい。垂直方向の推進力を提供するだけでなく、幾つかの実施形態において、個々のロータブレード318は、方向の推進力の提供に使用できる。そのような実施形態において、ロータブレード318は、まとめて制御されても(すなわち、各ロータブレ−ド318の縦揺れが一斉に調節される)、または周期的に制御されても(すなわち、各ロータブレ−ド318の縦揺れが、回転面における各ロータブレードの位置によって選択的に制御されても)よい。さらに、幾つかの実施形態においては、各ロータブレ−ド318の遠位端は、磁気的に浮揚させた環状ベアリング(図示せず)を介して、フレームの外側部分に摺動可能に結合できる。他の実施形態では、航空機300は、補助ロータまたは推進用の他の手段を備えることによって、方向制御および/または水平方向の推進力をもたらすことができる。
【0053】
実例として、航空機300は、環状軌道(例えば、環状ハウジング12)に位置付けられた2つの環状リング(例えば、環状リング14、16)を含む。しかし、他の実施形態において、航空機300は、任意の個数の環状リングを含むことができることを理解されるべきである。一般的に、環状リングが最小限の正味の角運動量を生成するよう構成されるように、偶数の環状リングが使用される。さらに、環状リングは、回転中に航空機300に安定性をもたらすよう使用できる。図12および図13に示すように、環状ハウジング12は、該ハウジング12が胴体302を取り囲むように位置付けられる。一実施形態において、図12に示すように、環状ハウジング12は、航空機300の外周に位置付けられる。そのような実施形態では、環状ハウジング12は、直径約28フィート(約8.53メートル)でもよい。しかし、別の実施形態では、図13に示すように、環状ハウジング12は胴体302の外周に位置付けることができる。そのような実施形態において、環状ハウジング12は、例として直径約8フィート(約2.43メートル)でもよい。
【0054】
さらに航空機300は、図8と図9に関連して図示および説明された制御システム130を含み、該制御システム130は環状リング14、16の作動を制御する。そのように、航空機300は、外部電源150に結合可能であり、環状リング14、16を磁気的に回転させるよう推進巻線46、66に最初に電力を供給する。また、幾つかの実施形態においては、図8と図9に関して前述したように、航空機300は、環状リング14、16を磁気的に浮揚させるよう浮揚巻線42、44、62、64に電力を供給する。回転中に環状リング14、16によって生成された正味の角運動量を最小限にするために、環状リング14、16は反対方向かつおよそ同じ回転速度で回転できる。一度環状リング14、16が所定の使用回転速度で回転すると、外部電源150は航空機300から分断される。図8と図9に関して前述したように、推進巻線46、66および永久磁石26、56(または112、114および124、126)は、環状リング14、16の回転中に発電機を形成する。環状リング14、16によって生成された電力は、輸送手段用電源および他の電子回路170に分配され、また、幾つかの実施形態においては、浮揚巻線42、44、62、64に分配される。例えば、生成された電力の一部は、航空機300を動かすために制御回路132によってロータシステム310に供給される。航空機300は、実例として垂直離着陸機(VTOL)航空機である。そのように、離陸時には、電力はロータシステム310に供給され、ロータ314、316を十分な回転速度になるまで回転させることによって、ロータブレ−ドが航空機300を上昇させるのに十分な垂直方向の推進力を提供できるようになる。一度上昇すると、航空機310の方向はエアダクトシステム312によって制御されてもよい。すなわち、エアダクトシステム312の複数の個々の羽根が制御可能になり、ロータブレ−ド領域308を通過する空気流の排気を制御できるようになる。このようにして、航空機300の方向推進力は、ロータシステム310およびエアダクトシステム312の制御によって達成可能である。これに加えて又はこれに代えて、正味の角運動が、方向づける力を航空機300に提供するように、環状リング14、16の回転速度は制御または変更できる。さらに、幾つかの実施形態においては、航空機300は、方向制御および/または推力を航空機にもたらす他の複数のロータ、プロペラ、タービン、または他の推力装置を含んでもよい。そのような実施形態においては、ロータ314、316の速度が減速または停止する間、エアダクトシステム311、312は部分的に、または完全に閉鎖できる。それによって航空機の形状は、補助推力装置によってもたらされた前方推進力に基づいて揚力を発生させる。環状リング14、16が最小回転速度の回転速度またはそれに満たない速度に減速するまで、航空機300は上記のような方法で作動可能である。その後に航空機300を着陸させ、外部電源150を利用して環状リング14、16を「再充電」することができる。
【0055】
本開示は、図面および前述の説明において詳細に図示および説明されているが、そのような図解および説明は例示として考慮されるべきであり、その特徴を制限するものではない。例示的な実施形態のみが指摘および説明され、本開示の精神の範囲内にある変更例および変形例は、いずれも保護されることが望ましいと理解される。
【0056】
本明細書に記載の装置、システムおよび方法におけるさまざまな特徴は、本開示の複数の利点をもたらす。なお、本開示の装置、システム、および方法の別の実施形態は、そのような特徴の少なくとも幾つかの利点のうち、未だに利益であると説明された特徴の全てを含まなくてもよい。当業者は、本発明の特徴のうち一つ以上を組み込み、かつ添付の請求項が画定するような本開示の精神および範囲内に含まれる装置、システムおよび方法の発明者自身の実施方法を容易に発明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ハウジング軌道を有する電力を供給する装置の一実施形態の斜視図であって、ハウジング内に位置付けられた2つの環状リングを示すために、ハウジングの一部を切り取っている。
【図2】図1のハウジング軌道および環状リングの一実施形態の断面図であって、概ね図1の切断線2〜2に沿って取り出されている。
【図3】ハルバッハ配列に位置付けられた複数の永久磁石を有する図1の複数の環状リングのうちの一つの断片的な断面図であって、概ね図2の切断線3〜3に沿って取り出されている。
【図4】図1のハウジングと一体となった推進巻線の一部の断片的な断面図であって、概ね図2の切断線4〜4に沿って取り出されている。
【図5】図1の装置の浮揚巻線の一実施形態の断片的な断面図であって、概ね図2の切断線5〜5に沿って取り出されている。
【図6】図1のハウジング軌道および環状リングの別の実施形態における図2と同様の断面図である。
【図7】図6のハウジングおよび環状リングの断片的な断面図であって、概ね図6の切断線7〜7に沿って取り出されている。
【図8】電力を供給する制御システムを備える図1の装置の別の実施形態である。
【図9】図8の制御システムによって使用された電力を供給するためのアルゴリズムの簡易化したフローチャートである。
【図10】図8の制御システムによって電力を供給された航空機の斜視図であって、図1の装置を示すために一部を切り取っている。
【図11】図10の航空機の平面図である。
【図12】図10の航空機の一実施形態の側断面図である。
【図13】図10の航空機の別の実施形態の側断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送手段に電力を供給する装置であって、
環状空洞を画定するハウジングと、
磁性材料を含み、前記環状空洞に位置付けられた環状リングと、
前記ハウジングに付加され、第1電力信号に応じて前記環状リングを動かすために交番磁界を前記環状空洞に生成するよう構成された推進巻線と
を備える装置。
【請求項2】
前記環状リングの作動中に、前記推進巻線が前記磁性材料と協働して電力を生成するよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記推進巻線が電力を他の電気回路に供給するよう構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記環状空洞が実質的に円形状の断面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記環状空洞が標準気圧未満の内圧を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記環状リングが炭素繊維複合材料から成る、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記環状リングが約3フィートから約50フィートの外径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記環状リングが約1インチから約6インチの断面直径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記磁性材料が永久磁石を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記永久磁石が前記環状リング内に組み込まれる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記永久磁石がハルバッハ配列の一部を形成する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記永久磁石がランタニド合金から形成される、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記磁性材料が、前記環状リングに付加した粉末状の磁性材料を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記推進巻線が超電導電磁石を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記推進巻線が少なくとも一つのコイルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記推進巻線がニオブ合金から形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記磁性材料の少なくとも一部が、前記推進巻線の少なくとも一部によって生成された前記交番磁界の少なくとも一部の中に位置付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記推進巻線が電動発電機の一部を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第1電力信号が交流信号である、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記第1電力信号が、前記推進巻線の第1部分に第1の期間および前記推進巻線の第2部分に第2の期間にわたって電力を供給する、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記推進巻線が前記環状空洞に交番磁界を生成するよう構成され、前記環状リングを毎分回転数約10,000回から毎分回転数約85,000回の回転速度になるまで回転させる、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記第1電力信号を生成するよう構成された制御回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記制御回路が、外部電源を利用して前記第1電力信号を生成するよう構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記ハウジングと前記制御回路に付加されたセンサをさらに備え、前記センサが、前記環状リングの回転速度を示すデータ信号を生成する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記制御回路が、前記データ信号に応じて前記第1電力信号を調整するよう構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記推進巻線を冷却するよう構成された冷却システムをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記ハウジングに付加され、前記環状空洞内で前記環状リングを浮揚させるための磁界を生成するよう構成された浮揚巻線をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記浮揚巻線が、第2電力信号に応じて前記磁界を生成するよう構成された電磁石を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記浮揚巻線が、複数の並列なスロットを有する積層材料を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記浮揚巻線が、リッツ線のラダー軌道(ladder track)を形成する、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記ハウジングが前記環状空洞内に伸びている突出部を備え、前記浮揚巻線が前記突出部と一体となっている、請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記ハウジングが前記環状空洞内に伸びている突出部を含み、前記推進巻線が前記突出部と一体となっている、請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記輸送手段が航空機である、請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記環状リングが内部空洞を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記推進巻線が、前記輸送手段の推進装置用の電力を生成するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項36】
前記環状リングの作動中に、前記環状リングが前記輸送手段の安定性を増加させるよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項37】
前記輸送手段を安定させる手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
輸送手段用の電源であって、
第1環状空洞および第2環状空洞を画定するハウジングと、
前記第1環状空洞内に位置付けられ、第1磁性材料を付加させた第1環状リングと、
前記ハウジングに付加され、かつ第1電力信号に応じて前記第1環状リングを動かすために、前記第1環状空洞に第1交番磁界を生成するよう構成された第1推進巻線と、
前記第2環状空洞に位置付けられ、第2磁性材料を付加させた第2環状リングと、
前記ハウジングに付加され、かつ第2電力信号に応じて前記第2環状リングを動かすために、前記第2環状空洞に第2交番磁界を生成するよう構成された第2推進巻線と
を備える電源。
【請求項39】
前記第1環状リングが第1垂直軸を含み、前記第2環状リングが第2垂直軸を含み、前記第1および第2垂直軸が実質的に一直線に配置されている、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記第1推進巻線が、前記第1環状リングを第1回転速度で回転させるために、前記第1交番磁界を生成するよう構成された第1電磁石を備え、前記第2推進巻線が、前記第2環状リングを第2回転速度で回転させるために、前記第2交番磁界を生成するよう構成された第2電磁石を備える、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記第1および前記第2回転速度がほぼ等しい、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記第1および第2回転速度が毎分回転数約45,000回から約85,000回である、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記第1および第2電力信号を生成するよう構成された制御回路をさらに備える、請求項38に記載の装置。
【請求項44】
前記制御回路が、前記第1および第2環状リングの前記回転速度を制御するよう構成され、それによって前記第1および第2環状リングの前記回転が、所定の正味の角運動量を生成するようになる、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記制御回路が、外部電源を利用して前記第1および第2電力信号を生成するよう構成される、請求項43に記載の装置。
【請求項46】
(i)前記ハウジングに付加され、前記第1環状空洞内で前記第1環状リングを浮揚させるために第1磁界を生成するよう構成された第1浮揚巻線と、(ii)前記ハウジングに付加され、前記第2環状空洞内で前記第2環状リングを浮揚させるために第2磁界を生成するよう構成された第2浮揚巻線とをさらに備える、請求項38に記載の装置。
【請求項47】
前記第1浮揚巻線が、第3電力信号に応じて、前記第1磁界を生成するよう構成された第1電磁石を備え、前記第2浮揚巻線が、第4電力信号に応じて、前記第2磁界を生成するよう構成された第2電磁石を備える、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記第1および第2浮揚巻線が、複数の並列なスロットを有する積層材料から形成される、請求項46に記載の装置。
【請求項49】
前記第1および第2環状空洞のそれぞれが標準気圧未満の内圧を有する、請求項38に記載の装置。
【請求項50】
前記第1磁性材料が第1永久磁石を含み、前記第2磁性材料が第2永久磁石を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項51】
前記第1および第2永久磁石がランタニド合金から形成される、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記第1および前記第2永久磁石のうち少なくとも一つがハルバッハ配列の一部を形成する、請求項50に記載の装置。
【請求項53】
第1および第2推進巻線がニオブ合金から形成される、請求項38に記載の装置。
【請求項54】
前記第1および第2電力信号が交流信号である、請求項38に記載の装置。
【請求項55】
前記ハウジングと前記制御回路に付加された第1センサおよび第2センサをさらに備え、前記第1センサが、前記第1環状リングの回転速度を示す第1データ信号を生成し、前記第2センサが、前記第2環状リングの回転速度を示す第2データ信号を生成する、請求項38に記載の装置。
【請求項56】
前記輸送手段が航空機である、請求項38に記載の装置。
【請求項57】
前記第1および第2環状リングの作動中に、前記第1および第2環状リングが、前記輸送手段に安定性を提供するよう構成される、請求項38に記載の装置。
【請求項58】
輸送手段に電力を供給する方法であって、
磁性材料を付加させた環状リングを環状空洞内に浮揚させるステップと、
前記環状リングを所定使用回転速度になるまで回転させるよう巻線に通電するステップと、
前記環状リングの回転中に、前記磁性材料と前記巻線が協働して前記電力を生成するステップと
を備える方法。
【請求項59】
前記環状リングを浮揚させるステップが、前記環状リングを電磁的に浮揚させることを備える、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記電力を生成するステップが、前記電力を電磁的に生成することを備える、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記環状空洞の真空状態を確立するステップをさらに備える、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記磁性材料が永久磁石を備える、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記永久磁石がハルバッハ配列の一部を形成する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記磁性材料が、前記環状リングに付加した粉末状の磁性材料を備える、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記巻線に通電するステップが電磁石を励磁することを備える、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記巻線に通電するステップが、前記環状空洞に交番磁界を生成することを備える、請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記巻線に通電するステップが、巻線の第1部分に第1期間通電することと、前記巻線の第2部分に第2期間通電することとを備える、請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記所定の使用回転速度が、毎分回転数約45,000回から毎分回転数約85,000回である、請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記環状リングの回転速度を監視するステップをさらに備える、請求項58に記載の方法。
【請求項70】
前記巻線を冷却するステップをさらに備える、請求項58に記載の方法。
【請求項71】
前記輸送手段が航空機である、請求項58に記載の方法。
【請求項72】
胴体と、
前記胴体を取り囲み、環状空洞を画定するハウジングと、
前記環状空洞に位置付けられ、磁性材料を結合させた環状リングと、
前記ハウジングに付加され、前記環状空洞に交番磁界を生成するよう構成され、それによって電力信号に応じて前記環状リングを回転し、前記環状リングの回転中に前記磁性材料と協働して電力を生成する推進巻線と、
前記ハウジングに付加され、前記環状空洞で前記環状リングを浮揚させるための磁界を生成するよう構成された浮揚巻線と、
前記胴体に結合された第1番目のロータブレードと、
前記第1番目のロータブレードを回転させる手段と、
前記電力信号生成するよう構成された制御回路と
を備える航空機。
【請求項73】
(i)前記胴体と結合された第2番目のロータブレードと、(ii)前記第2番目のロータブレードを前記第1番目のロータブレードの回転方向と反対に回転させる手段とをさらに備える、請求項68に記載の航空機。
【請求項74】
輸送手段用の電源であって、
環状リングと、
前記環状リングを浮揚させる手段と、
前記環状リングに運動エネルギーを生成するよう前記環状リングを回転させる手段と、
前記環状リングの前記運動エネルギーを電気エネルギーに変換する手段と
を備える輸送手段用の電源。
【請求項75】
前記環状リングを浮揚させる手段が浮揚巻線を備え、前記環状リングを回転させる手段が推進巻線を備える、請求項74に記載の電源。
【請求項76】
前記浮揚巻線および前記推進巻線がそれぞれ少なくとも一つの電磁石を備える、請求項75に記載の電源。
【請求項77】
前記輸送手段に電力を供給する手段と、
前記輸送手段を安定させる手段と
を備える輸送手段。
【請求項78】
前記輸送手段に電力を供給する手段が推進巻線を備える、請求項77に記載の輸送手段。
【請求項79】
前記輸送手段を安定させる手段が環状リングを備える、請求項73に記載の輸送手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−510979(P2009−510979A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531160(P2008−531160)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/034178
【国際公開番号】WO2007/035228
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(508078112)バスティアン ファミリー ホールディングス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BASTIAN FAMILY HOLDINGS,INC.
【住所又は居所原語表記】13333 Six Points Road,Carmel,IN 46032,U.S.A.
【Fターム(参考)】