追加のコーティングまたは層を備えた多層ポリマーフィルム
【課題】積層体そのものが所望の全ての物理、化学または光学特性を有していない問題を解決する。
【解決手段】多層ポリマーフィルムは、光学積層体の層とは異なる機械、光学または化学特性を有するスキン層を備えた、複数のポリマー層を含む光学積層体を含む。
【選択図】図9
【解決手段】多層ポリマーフィルムは、光学積層体の層とは異なる機械、光学または化学特性を有するスキン層を備えた、複数のポリマー層を含む光学積層体を含む。
【選択図】図9
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
追加のコーティングまたは層を備えた多層ポリマーフィルムが提供される。
【背景技術】
【0002】
多層光学積層体は、様々の光学特性を提供するものとしてよく知られている。このような多層積層体は、反射性偏光子またはミラーとして機能して、全偏光を反射する。これらはまた、可視光は反射するが赤外は透過する「コールドミラー」または可視は透過し、赤外は反射する「ホットミラー」のような波長選択性反射器としても機能する。多層積層体の様々な構成例が、1995年3月10日出願の米国特許出願番号第08/402,041号に挙げられている。
【0003】
業界で知られている多層積層体の問題は、積層体そのものが所望の全ての物理、化学または光学特性を有していないことである。従って、これらの所望の特性を何らかの方法で提供することが有益である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によれば、多層フィルムは、光学積層体の層の材料の特性とは異なる機械、化学または光学特性を有する少なくとも1枚の追加の層を、一主面または両主面に接着させている。
【0005】
本発明の他の実施形態によれば、多層フィルムは、多層光学積層体を保護する追加の層を、一表面または両表面に接着させている。
【0006】
詳細な説明
多層光学フィルム
多層光学フィルムの利点、特徴および製造については、上述の同時継続出願および同一人に譲渡された米国特許出願番号第08/402,041号(1995年3月10日出願、発明の名称「光学フィルム(OPTICAL FILM)」)に最も完全に記載されている。この出願はここにリファレンスとして組み込まれる。多層光学フィルムは、例えば、高効率ミラーおよび/または偏光子として有用である。多層光学フィルムの特性および特徴を比較的簡潔に下記に示し、続けて本発明の多層光学フィルムを用いるバックライトシステムの実施例について説明する。
【0007】
本発明に関連して用いる多層光学フィルムは、入射光の吸収が比較的低く、法線および軸外れの光線の反射率が高い。これらの特性によれば、一般に、フィルムを純粋な反射として用いるか、それとも光の反射偏光として用いることになる。多層光学フィルムの独特の特性および利点によれば、公知のバックライトシステムに比べて低い吸収損を示す高効率のバックライトシステムを設計する機会が与えられる。
【0008】
図1Aおよび1Bに図示された本発明の多層光学フィルムの実例には、少なくとも2種の材料12および14が交互に配置された層を有する多層積層体10が含まれている。材料のうち少なくとも1種は圧力誘起複屈折特性を有しており、その材料の屈折率(n)は、延伸工程に影響される。図1Aは、両方の材料が同一の屈折率を有する延伸工程前の多層積層体の実例を示す。光線13の屈折率の変化は比較的小さく、積層体を通過する。図1Bにおいて、同積層体を延伸することにより、材料12の屈折率を増大させている。層の各境界で屈折率が異なると、光線15の一部が反射される。多層積層体を単軸から二軸方向に延伸することによって、平面偏光入射光の方向の異なる反射率範囲を有するフィルムが作成される。このように、多層積層体は、反射性偏光子またはミラーとして有用なものである。
【0009】
本発明に従って構築された多層光学フィルムは、非常に大きい、またはポリマー層界面には存在しないブルースター角(層界面での入射光に対し反射率がゼロとなる角度)を示す。これに対し、公知のポリマーフィルムは、層界面で比較的小さなブルースター角を示すため、光透過および/または望ましくないイリデッセンスとなる。しかし、本発明による多層光学フィルムは、p偏光の反射率が、入射角とともに徐々に減少するか、入射角には依存しないか、もしくは法線からの入射角の増大とともに増大するミラーおよび偏光子の構築を可能とするものである。その結果、広帯域幅および広い角度範囲にわたってsおよびp両偏光の高い反射率を有する多層積層体が得られる。
【0010】
図2は、多層積層体の2つの層を示しており、各層の3次元屈折率を示している。各層の屈折率は、層102についてはn1x、n1yおよびn1z、層104についてはn2x、n2yおよびn2zである。各フィルム層の層間およびフィルム積層体の他の層に対する屈折率の関係は、任意の方位方向からの任意の入射角での多層積層体の反射挙動を決めるものである。米国特許出願番号第08/402,041号に記載されている原理および設計についての考察を、広範な状況および用途で所望の光学上の効果を有する多層積層体を作成するのに適用することができる。多層積層体中の層の屈折率を操作および調整し、所望の光学特性を得ることができる。
【0011】
図1Bを再度参照すると、多層積層体10には、数十、数百または数千の層を含ませることができ、各層は、多くの異なる材料から作成することができる。特定の積層体用の材料選択を決める特徴は、積層体の所望の光学性能に依存している。積層体は、積層体中の層と同じ程度の多くの材料を含むことができる。製造を簡易にするために、光学薄フィルム積層体は、ほんの僅かの種類の材料を含むのが好ましい。
【0012】
異なる物理特性を備えた化学的には同一の材料の境界は明確に分けても、徐々に分けてもよい。分析で説明のつくいくつかの単純なケースを除くと、後者のタイプの連続して率の変わる層状媒体の分析は、明確な境界を有する多数の薄均一層として扱うものの、近接する層間の特性の変化が少ない。
【0013】
好ましい多層積層体は、フィルム層に低/高率のペアを含み、層の各低/高率ペアは、合わせると、反射するように設計された帯域の中心波長の1/2の光学厚さを有している。このようなフィルムの積層体は、通常、四分の一波長積層体と呼ばれている。可視および近赤外波長に関する多層光学フィルムについては、四分の一波長に設計すると、多層積層体中の各層が、平均厚さ0.5ミクロン以下となる。
【0014】
反射性フィルム(例えば、ミラー)が設計されるこのような用途において、各偏光および入射面の所望の平均光透過率は、反射性フィルムの用途に依存している。多層ミラーフィルムを生成する1つの方法は、多層積層体を二軸延伸することである。高性能反射性フィルムについては、可視スペクトル(380〜750nm)の法線入射での各延伸方向に沿った平均透過率は、10パーセント末満(90パーセントを超える反射率)が望ましく、好ましくは5パーセント未満(95パーセントを超える反射率)、より好ましくは2パーセント未満(98パーセントを超える反射率)、さらに好ましくは1パーセント未満(99パーセントを超える反射率)である。380〜750nmの法線から60度での平均透過率は、20パーセント未満(80パーセントを超える反射率)が望ましく、好ましくは10パーセント未満(90パーセントを超える反射率)、より好ましくは5パーセント未満(95パーセントを超える反射率)、より好ましくは2パーセント未満(98パーセントを超える反射率)、さらに好ましくは1パーセント末満(99パーセントを超える反射率)である。
【0015】
さらに、用途によっては非対称反射性フィルムが望ましいこともある。この場合、例えば、可視スペクトル(380〜750nm)または可視スペクトルおよび近赤外(すなわち、380〜850nm)での帯域幅にわたって、一延伸方向に沿った平均透過率は、例えば50パーセント未満が望ましく、他延伸方向に沿った平均透過率は、例えば20パーセント未満が望ましい。
【0016】
多層光学フィルムはまた、反射性偏光子として作用するように設計することもできる。多層反射性偏光子を作成する1つの方法は、多層積層体を単軸延伸することである。生成する反射性偏光子は、広範な入射角に、一軸(延伸方向に)に平行な偏光面に高い光反射率を有し、広範な入射角について、他軸(非延伸方向に)に平行な偏光面に低い光反射率と高い光透過性を同時に有している。各フィルムの3つの屈性率nx、nyおよびnzを制御することによって、所望の偏光子挙動を得ることができる。
【0017】
多くの用途について、反射性偏光子は、全入射角で、一方の軸(いわゆる消光軸)に沿って高い反射率を、他方に沿ってゼロの反射率を有するのが理想的である。偏光子の透過軸については、当該の帯域幅そして当該の角度範囲にわたって、透過軸の方向に偏光された光の透過を最大化するのが一般に望ましい。
【0018】
可視スペクトル(帯域幅300nmで380〜750nm)での透過軸における偏光子の法線入射での平均透過率は、少なくとも50パーセントであるのが望ましく、好ましくは少なくとも70パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセント、さらに好ましくは少なくとも90パーセントである。380〜750nmからの偏光子についての法線(p偏光についての透過軸に沿って測定)から60度での平均透過率は、少なくとも50パーセントであるのが望ましく、好ましくは少なくとも70パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセント、さらに好ましくは少なくとも90パーセントである。
【0019】
可視スペクトル(帯域幅300nmで380〜750nm)での消光軸方向に偏光された光の法線入射での多層反射性偏光子の平均透過率は、50パーセント未満であるのが望ましく、好ましくは30パーセント未満、より好ましくは15パーセント未満、さらに好ましくは5パーセント未満である。380〜750nmからの消光軸方向に偏光された光の偏光子の法線(p偏光された光の透過軸に沿って測定)から60度での平均透過率は、50パーセント未満であるのが望ましく、好ましくは30パーセント未満、より好ましくは15パーセント未満、さらに好ましくは5パーセント未満である。
【0020】
特定の用途については、法線から外れた角度の透過軸に平行な偏光面に、p偏光された光に対して高い反射率を有しているのが好ましい。透過軸に沿って偏光された光の平均透過率は、法線から少なくとも20度の角度で20パーセントを超えるものでなければならない。
【0021】
さらに、反射性偏光フィルムおよび非対称反射性フィルムについて、ここでは別個に記述したが、このようなフィルムの2枚以上が、全入射光を実質的に反射するようにできると理解するものとする(ただし、そうできるよう互いに適切に配向されていることが条件である)。この構造は、一般に、多層光学フィルムを、本発明のバックライトシステムにおいて反射器として用いるときに望ましい。
【0022】
透過軸に沿ってある反射が生じると、法線から外れた角度の偏光子の性能が落ちる場合がある。透過軸に沿った反射率が様々な波長で異なると、透過された光に色がつく場合がある。色を測定する1つの方法は、当該の波長領域にわたって、選択した1つまたは複数の角度での透過率の二乗平均(RMS)値を求めることである。RMS色率、CRMSは、次の式により求められる。
【0023】
【数1】
式中、範囲11〜12は当該の波長領域または帯域幅、Tは透過軸に沿った透過率、Tは当該の波長領域における透過軸に沿った平均透過率である。低色偏光子が望ましい用途については、RMS色率は、法線から少なくとも30度、好ましくは法線から少なくとも45度、より好ましくは少なくとも60度の角度で、10パーセント未満でなければならず、好ましくは8パーセント未満、より好ましくは3.5パーセント未満、さらに好ましくは2パーセント未満である。
【0024】
好ましくは、反射性偏光子は、特定の用途の透過軸に沿った所望のRMS色率を、当該の帯域幅にわたる消光軸に沿った所望の反射量と合わせる。可視領域(400〜700nmまたは300nmの帯域幅)に帯域幅を有する偏光子については、法線入射での消光軸に沿った平均透過率は、40パーセント未満が望ましく、より望ましくは25パーセント未満、好ましくは15パーセント未満、より好ましくは5パーセント未満、さらに好ましくは3パーセント未満である。
【0025】
材料の選択および処理
上述の米国特許出願番号第08/402,041号に記載された設計についての考察により、当業者であれば、所望の屈折率の関係を得るために選択した条件下で処理すると、広範な材料を用いて本発明の多層反射性フィルムまたは偏光子を形成できることが理解できるであろう。所望の屈折率の関係は、フィルム形成中または形成後の延伸(例えば、有機ポリマーの場合)、押出し(例えば、液晶材料の場合)またはコーティングを含め、様々な方法で得ることができる。さらに、共押出しできるように2種の材料が同一の流動特性(例えば、溶融粘度)を有しているのが好ましい。
【0026】
一般に、適切な組み合わせは、第1の材料として結晶または半結晶、もしくは液晶材料、好ましくはポリマーを選択することによって得られる。次の第2の材料は、結晶、半結晶またはアモルファスである。第2の材料は、第1の材料とは異なり、または第1の材料と同様に複屈折性であってもよい。もしくは第2の材料は複屈折性でなくてもよい。従来のポリマー技術において、ポリマー類は、通常、完全に結晶ではないため、本発明の内容からいくと、結晶または半結晶ポリマー類とはアモルファスではなく、結晶、部分結晶、半結晶等と通常呼ばれる材料を含むものとして一般に認識されているものと理解される。第2の材料は、第1の材料とは異なり、または第1の材料と同様に複屈折性であってもよい。もしくは第2の材料は複屈折性でなくてもよい。
【0027】
適した材料の特定の例としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびこのイソマー類(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−および2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート類(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド類(例えば、ポリアクリルイミド類)、ポリエーテルイミド類、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート類、ポリメタクリレート類(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートおよびポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート類(例えば、ポリブチルアクリレートおよびポリメチルアクリレート)、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、シンジオタクチックポリ−アルファ−メチルスチレン、シンジオタクチックポリジクロロスチレン、これらポリスチレン類のコポリマー類および配合物、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロールプロピロネート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロールニトレート)、ポリアルキレンポリマー類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレンおよびポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ化ポリマー類(例えば、ペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレンコポリマー類、ポリフッ化ビニリデンおよびポリクロロトリフルオロエチレン)、塩化ポリマー類(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル)、ポリスルフォン類、ポリエーテルスルフォン類、ポリアクリロニトリル、ポリアミド類、シリコーン樹脂類、エポキシ樹脂類、ポリビニルアセテート、ポリエーテル−アミド類、イオノマー樹脂類、エラストマー類(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびネオプレン)およびポリウレタン類が挙げられる。
【0028】
同じく適したものとしては、コポリマー類、例えば、PENのコポリマー類(例えば、2,6−、1,4−、1,5−2,7−および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸またはこのエステル類と、(a)テレフタル酸またはこのエステル類、(b)イソフタル酸またはこのエステル類、(c)フタル酸またはこのエステル類、(d)アルカングリコール類、(e)シクロアルカングリコール類(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸類および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー類)、ポリアルキレンテレフタレート類のコポリマー類(例えば、テレフタル酸、このエステル類と、(a)ナフタレンジカルボン酸またはこのエステル類、(b)イソフタル酸またはこのエステル類、(c)フタル酸またはこのエステル類、(d)アルカングリコール類、(e)シクロアルカングリコール類(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー類)およびスチレンコポリマー類(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー類とスチレン−アクリロニトリルコポリマー類)、4,4−ビベンゾイック酸およびエチレングリコールが挙げられる。さらに、各個別の層は、上述のポリマー類またはコポリマー類の2種以上の配合物(例えば、sPSおよびアタクチックポリスチレンの配合物)を含んでいてもよい。説明したcoPENは、少なくとも1種の成分がPET、PENまたはcoPENのようなナフタレンジカルボン酸ベースのポリマーで、他の成分が他のポリエステル類またはポリカーボネート類であるペレットの配合物であってもよい。
【0029】
偏光子の場合に特に好ましい層の組み合わせとしては、PEN/coPEN、ポリエチレンテレフタレート(PET)/coPEN、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/EstarおよびPET/Estarが挙げられる。ここで「coPEN」とはナフタレンジカルボン酸ベースのコポリマーまたは配合物(上述)であり、EstarとはEastman Chemical Co.より市販されているポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートである。
【0030】
反射性フィルムの場合に特に好ましい層の組み合わせとしては、PET/Ecdel、PEN/Ecdel、PEN/sPS、PEN/THV、PEN/co−PETおよびPET/sPSが挙げられる。ここで「co−PET」とはテレフタル酸ベースのコポリマーまたは配合物(上述)であり、EcdelはEastman Chemical Co.より市販されている熱可塑性ポリエステルであり、THVは Minnesota Mining and Manufacturing Company(ミネソタ州、セントポール)より市販されているフルオロポリマーである。
【0031】
フィルムにおける層の数は、フィルムの厚さ、可撓性および経済性から最低数のフィルムを用いて所望の光学特性が得られるように選択する。偏光子と反射性フィルムの両方の場合において、層の数は、10,000未満が好ましく、より好ましくは5,000未満、さらに好ましくは2,000未満である。
【0032】
上述した通り、様々な屈折率の中で所望の関係を得る能力(すなわち、多層フィルムの光学特性)は、多層フィルムを作成するのに用いる処理条件に影響される。延伸により配向可能な有機ポリマー類の場合には、フィルムは、一般に、個々のポリマーを共押出しして多層フィルムを形成し、次に選択した温度でそのフィルムを延伸して配向し、任意でその後に、選択した温度で熱硬化して作成する。この代わりに、共押出しおよび配向工程を同時に行ってもよい。偏光子の場合には、フィルムを実質的に一方向(単軸配向)に延伸し、一方、反射性フィルムの場合には、フィルムを実質的に二方向(二軸配向)に延伸する。
【0033】
フィルムは、十字延伸での自然減少により(延伸比の二乗根に等しい)十字延伸方向に寸法を緩和させてもよい。十字延伸寸法の実質的な変更を制限するために単に固定させてもよい。または、十字延伸寸法で積極的に延伸してもよい。フィルムは、機械方向に長さオリエンターで、またはテンターを用いて幅を延伸してもよい。
【0034】
予備延伸温度、延伸温度、延伸速度、延伸比、熱硬化温度、熱硬化時間、熱硬化緩和および十字延伸緩和は、所望の反射率の関係を有する多層フィルムが得られるように選択する。これらの変数は相互依存している。例えば、比較的低い延伸速度は、比較的低い延伸温度と組み合わせる場合に用いる。当業者であれば、所望の多層フィルムを得るために、これらの変数の適切な組み合わせの選択方法がわかるはずである。しかし、一般に、延伸方向に1:2〜1:10(より好ましくは1:3〜1:7)、延伸方向に直交して1:0.2〜1:10(より好ましくは1:0.2〜1:7)の延伸比が好ましい。
【0035】
適した多層フィルムは、複屈折性ポリイミド類についてはスピンコーティング(例えば、Boeseら、J.Polym.Sci.: Part B,30:1321(1992)に記載されている)および結晶構造有機化合物については真空蒸着(例えば、Zangら、Appl.Phys.Letters,59:823(1991)に記載されている)のような技法を用いて作成してもよい。後者の技法は、結晶構造有機化合物と無機材料の特定の組み合わせに特に有用である。
【0036】
実例の多層反射性ミラーフィルムおよび多層反射性偏光子を以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0037】
実施例1
PEN:THV500、449、ミラー)
鋳造フィルム状材料(web)を1回の操作で押し出して、次に実験室のフィルム延伸装置でフィルムを配向させて449枚の層を含有する共押出しされたフィルムを作成した。固有粘度0.53dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン)を1つの押出し機で時間当たり56ポンドの速度で供給し、THV500(Minnesota Mining and Manufacturing Company製フルオロポリマー)を他の押出し機で時間当たり11ポンドの速度で供給した。PENをスキン層に載せ、PEN50パーセントを2枚のスキン層に存在させた。供給ブロック方法を用いて57枚の層を生成し、449枚の層の押出し物を生成する3つのマルチプライヤを通過させた。鋳造フィルム状材料は厚さ20ミル、幅12インチであった。次にパンタグラフを用いる実験室の延伸装置を用いてフィルム状材料を二軸配向させて、フィルムの角部をつかむと同時に一定の速度で両方向に延伸した。7.46cm片のフィルム状材料を約100℃で伸張器へ入れて60秒間140℃まで加熱した。そして、試料が約3.5x3.5に延伸されるまで、10パーセント/秒(元の寸法に基づいて)で延伸を開始した。延伸直後に、室温を吹き付けることにより試料を冷やした。
【0038】
図3に、この多層フィルムの透過率を示す。曲線(a)は、透過方向で偏光された光の法線入射での応答を示し、曲線(b)は、透過方向でp−偏光された60度での応答を示している。
【0039】
実施例2
(PEN:PMMA、601、ミラー)
601枚の層を含有する共押し出しされたフィルムを共押出し工程による連続フラットフィルム作成ライン上で作成した。固有粘度0.57dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン)を押出し機Aにより時間当たり114ポンドの速度で供給し、時間当たり64ポンドは供給ブロックへ、残りは後述のスキン層へ送った。PMMA(米国ICI製CP−82)を押出し機Bにより時間当たり61ポンドの速度で供給し、すべて供給ブロックへ送った。PENを供給ブロックのスキン層に載せた。供給ブロックの2枚の非対称スキン層を、押出し機Aにより供給されるPENと同じタイプの時間当たり30ポンドを測る押出し機Cを用いて共押出しした後、供給ブロック方法を用い、米国特許第3,801,429号に記載されたように供給ブロックを使って151枚の層を生成した。この押出し物は2つのマルチプライヤを通過して約601枚の押出し物を生成した。米国特許第3,565,985号には、同様の共押出しマルチプライヤが記載されている。押出し物は、押出し機AからPENの時間当たり50ポンドの総速度でスキン層を共押出しした他の装置を通過した。フィルム状材料を長さ配向させて、約3.2の延伸比とし、フィルム状材料温度を約280°Fとした。フィルムを続いて約38秒間で約310°Fまで予備加熱し、約4.5の延伸比および秒当たり約11パーセントの速度で横断方向に延伸した。次に、フィルムを緩和させずに440°Fで熱硬化させた。仕上がったフィルムの厚さは約3ミルであった。
【0040】
図4の曲線(a)に示す通り、法線入射での帯域幅は、約350nmで、平均内域(in-band)消光は99パーセントを超えている。光吸収量は、値が低いため測定するのが難しく、1パーセント未満である。法線から50パーセントの入射角では、s(曲線(b))およびp−偏光(曲線(c))された光は両者とも同様の消光を呈し、帯域は期待通り短い波長にシフトした。s−偏光された光の赤帯域端は、p−偏光された光と同等には青にシフトしなかった。というのは、s−偏光された光にはより大きな帯域幅が見込まれ、PEN層のp−偏光された光に見られた率は低かったためである。
【0041】
実施例3
(PEN:PCTG、449、偏光子)
鋳造フィルム状材料を1回の操作で押し出して、次に実験室のフィルム延伸装置でフィルムを配向させて481枚の層を含有する共押出しされたフィルムを作成した。61層の供給ブロックおよび3つの(2x)マルチプライヤで供給ブロック方法を用いた。厚いスキン層を最後のマルチプライヤとダイの間に加えた。固有粘度0.47dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン)を1つの押出し機により時間当たり25.0ポンドの速度で供給した。グリコール変性ポリエチレンジメチルシクロヘキサンテレフタレート(Eastman製PCTG5445)を他の押出し機から時間当たり25.0ポンドの速度で供給した。上記の押出し機とは異なる流れのPENを、マルチプレイヤの後でスキン層として時間当たり25.0ポンドの速度で加えた。鋳造フィルム状材料は厚さ0.007インチ、幅12インチであった。次にパンタグラフを用いる実験室の延伸装置を用いてフィルム状材料を単軸配向の層とし、フィルムの角部をつかんで、一定の速度で一方向に延伸し、他方向は自由に弛めておいた。入れたフィルム状材料試料を、パンタグラフのつかみ具の間で幅約5.40cm(固定していない方向)、長さ約7.45cmとした。フィルム状材料を約100℃で伸張器へ入れて45秒間135℃まで加熱した。次に、試料が約6:1(つかみ具間の寸法に基づき)に延伸されるまで、20パーセント/秒(元の寸法に基づき)で延伸を開始した。延伸直後に、室温を吹き付けることにより試料を冷やした。中心で、試料が係数2.0まで緩和されているのが分かった。
【0042】
図5に、この多層フィルムの透過率を示す。曲線aは非延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示し、曲線bは非延伸方向の60度の入射で偏光されたp−偏光の透過率を示し、曲線cは延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示している。曲線aの平均透過率は、400〜700nmで89.7パーセント、曲線bの平均透過率は、400〜700nmで96.9パーセント、曲線cの平均透過率は、400〜700nmで4.0パーセントである。曲線aのRMS色率は1.05パーセント、曲線bのRMS色率は1.44パーセントである。
【0043】
実施例4
(PEN:CoPEN、601、偏光子)
601枚の層を含有する共押出しされたフィルムを共押出し工程による連続フラットフィルム作成ライン上で作成した。固有粘度0.54dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン)を1つの押出し機により時間当たり75ポンドの速度で供給し、coPENを他の押出し機により時間当たり65ポンドの速度で供給した。coPENは70モルパーセントの2,6ナフタレンジカルボキシレートメチルエステル、15パーセントのジメチルイソフタレートおよび15パーセントのジメチルテレフタレートとエチレングリコールとのコポリマーであった。供給ブロック方法を用いて151枚の層を生成した。供給ブロックは、上部から下部へ厚さ勾配のあるフィルムの積層体を生成するように設計した。最薄層と最厚層の厚さの比は1.22とした。PENスキン層を光学積層体の外側で共押出しし、総厚さは共押し出しされた層の8パーセントとした。光学積層体を2つの連続マルチプライヤで積層させた(multiplied)。マルチプライヤの公称積層比はそれぞれ1.2と1.27であった。フィルムを続いて約40秒間で310°Fまで予備加熱し、約5.0の延伸比および秒当たり6パーセントの速度で横断方向に延伸した。仕上がったフィルムの厚さは約2ミルであった。
【0044】
図6に、この多層フィルムの透過率を示す。曲線aは非延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示し、曲線bは60度の入射でp−偏光された光の透過率を示し、曲線cは延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示している。非延伸方向のp−偏光された光は法線および60度入射共に非常に高い透過率(80〜100パーセント)であることに留意されたい。また、曲線cに示された延伸方向の可視領域(400〜700nm)で偏光された光の反射率が非常に高いことにも留意されたい。反射率は500〜650nmの間でほぼ100パーセントである。
【0045】
実施例5
(PEN:sPS、481、偏光子)
481枚の層の多層フィルムを、Eastman Chemicalsより市販されている、60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン中で測定された固有粘度が0.56dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)およびシンジオタクチックポリスチレン(sPS)ホモポリマー(重量平均分子量=200,000ダルトン、DowCorporation製見本品)より作成した。PENを外側の層に置いて、時間当たり26ポンドで、sPSは時間当たり23ポンドで押し出した。用いた供給ブロックは、ほぼ同じ厚さの61枚の層を生成した。供給ブロックの後、3つ(2x)のマルチプライヤを用いた。供給ブロックに供給された同じPENを含有する等しい厚さのスキン層を、時間当たり22ポンドの総速度で最後のマルチプライヤの後に加えた。フィルム状材料を12インチ幅のダイを通じて約0.011インチ(0.276mm)の厚さに押し出した。押出し温度は290℃であった。
【0046】
このフィルム状材料を周囲条件で9日間保管し、テンターで単軸配向した。フィルムを約25秒間で約320°F(160℃)まで予備加熱し、延伸比約6:1で、秒当たり約28パーセントの速度で横断方向に延伸した。延伸方向には緩和させなかった。仕上がったフィルムの厚さは約0.0018インチ(0.046mm)であった。
【0047】
図7に、この481枚の層を含むPEN:sPS反射性偏光子の光学性能を示す。曲線aは非延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示し、曲線bは60度の入射でp−偏光された光の透過率を示し、曲線cは延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示している。p−偏光された光は法線および60度入射共に非常に高い透過率であることに留意されたい。400〜700nmの曲線aの平均透過率は86.2パーセント、400〜700nmの曲線bの平均透過率は79.7パーセントである。また、曲線cに示された可視領域(400〜700nm)での延伸方向で偏光された光の反射率が非常に高いことにも留意されたい。フィルムは、400〜700nmの間で曲線cについて1.6パーセントの平均透過率を有している。曲線aのRMS色率は3.2パーセント、曲線bのRMS色率は18.2パーセントである。
【0048】
実施例6
(PEN:CoPEN、603、偏光子)
603枚の層を含有する反射性偏光子を共押出し工程による連続フラットフィルム作成ライン上で作成した。固有粘度0.47dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノールプラス40重量パーセントジクロロベンゼン中で)を1つの押出し機に時間当たり83ポンド(38kg)の速度で供給し、CoPENを他の押出し機で時間当たり75ポンド(34kg)の速度で供給した。CoPENは70モルパーセントの2,6ナフタレンジカルボキシレートメチルエステル、15モルパーセントのジメチルテレフタレートおよび15モルパーセントのジメチルイソフタレートとエチレングリコールとのコポリマーであった。供給ブロック方法を用いて151枚の層を生成した。供給ブロックは、上部から下部へ厚さ勾配のあるフィルムの積層体を生成するように設計した。最薄層と最厚層の厚さの比は1.22とした。この光学積層体を2つの連続マルチプライヤで積層させた。マルチプライヤの公称積層比はそれぞれ1.2と1.4であった。最後のマルチプライヤとダイの間に、上述した同一のCoPENを含むスキン層を加え、時間当たり106ポンド(48kg)の総速度で第3の押出し機により供給した。フィルムを続いて約30秒間で300°F(150℃)まで予備加熱し、秒当たり約20パーセントの初期速度で約6の延伸比まで横断方向に延伸した。仕上がったフィルムの厚さは約0.0035インチ(0.089mm)であった。
【0049】
図8に、実施例6の偏光子の光学性能を示す。曲線aは非延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示し、曲線bは非延伸方向の角度50度の入射でp−偏光された光の透過率を示し、曲線cは延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示している。非延伸方向の偏光された光は非常に高い透過率であることに留意されたい。曲線aの平均透過率は、400〜700nmで87パーセントである。また、曲線bに示された延伸方向の可視領域(400〜700nm)で偏光された光の反射率が非常に高いことにも留意されたい。曲線bについてフィルムの平均透過率は400〜700nmの間で2.5パーセントである。さらに、この偏光子のRMS色率は非常に低い。曲線bのRMS色率は5パーセントである。
【0050】
多層光学積層体は、上述した通り、重要な所望の光学特性を提供することができるものの、機械、光学または化学のような他の特性を、光学積層体の性能を落とさずに、光学積層体そのものに提供することは難しい。このような特性は、光学積層体そのものの主要な光学機能に寄与させずに、これらの特性を提供する1枚またはそれ以上の層を光学積層体に含ませることにより提供される。これらの層は一般に光学積層体の主面に提供されるため、「スキン層」と呼ばれることが多い。
【0051】
スキン層は多層積層体の製造中にその片主面または両主面上に共押出しされて、多層積層体を供給ブロックおよびダイ壁に沿って高剪断から保護するものであり、所望の化学または物理特性を備えた外層を、例えば、UV安定化剤のような添加剤をスキン層を形成するポリマーメルトに混合し、製造中に多層光学積層体の片側または両側に異なる特性を備えたスキン層を共押出しすることにより得られる。この他、追加の層を多層フィルムの製造中にスキン層の外側に共押出ししてもよく、これは、個別のコーティング操作中に多層フィルム上にコーティングしたり、個別のフィルム、ホイルまたはポリエステル(PET)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート、金属またはガラスのような剛性または半剛性の強化基材として多層フィルムに積層させてもよい。多層ポリマーフィルムを他の表面に積層させるのに有用な接着剤としては、光学的に透明な拡散接着剤や、感圧および非感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤は室温では通常粘着性であり、指で軽く押す程度の塗布で表面に接着させることができるが、非感圧接着剤には、溶剤、熱または放射線活性の接着システムが含まれている。
【0052】
本発明に有用な接着剤としては、ポリアクリレート;ポリビニルエーテル;天然ゴム、ポリイソプレンおよびポリイソブチレンのようなジエン−含有ゴム;ポリクロロピレン;ブチルゴム;ブタジエン−アクリロニトリルポリマー;熱可塑性エラストマー;スチレン−イソプレンおよびスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー類、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー類およびスチレン−ブタジエンポリマーのようなブロックコポリマー類;ポリ−アルファ−オレフィン;アモルファスポリオレフィン;シリコーン;エチレンビニルアセテート、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレートのようなエチレン−含有コポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;エポキシ;ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマー類;ポリエステル類;および上記の混合物の一般的な組成物がベースのものが例示される。さらに、接着剤には、粘着性付与剤、可塑剤、充填材、酸化防止剤、安定化剤、顔料、拡散粒子、硬化剤、殺生物剤および溶剤のような添加剤を含ませることができる。本発明に有用な接着剤としては、Shell Chemical Co.(オハイオ州、Akron)製熱溶融接着剤VITEL3300またはMinnesota Mining and Manufacturing Company(ミネソタ州、St.Paul)製90/10 IOA/AAアクリル接着剤のようなアクリル感圧接着剤が好ましい。積層接着剤を用いて多層フィルムを他の表面に接着するときは、接着剤組成および厚さを多層積層体の光学特性を損なわないように選択するのが好ましい。例えば、追加の層を、高度の透過率が要求される多層ポリマー偏光子またはミラーに積層するときは、積層接着剤は、偏光子またはミラーが透明に設計されている波長領域で光学的に透明でなければならない。
【0053】
図10および11は、それぞれ1枚および2枚の追加の層を有する多層積層体を示している。図10および11を用いて、付けることのできる種々の追加の層について以下に説明する。
【0054】
異なる機械特性を有するスキンを層が望ましい1つの領域としては、特に、反射性偏光子のような単軸配向多層光学積層体が挙げられる。このような積層体は、主延伸方向において低い引き裂き抵抗を示しがちである。これにより、製造工程中の歩留まりが減少したり、もしくは後の取扱中にフィルムが破損したりする可能性がある。これを防ぐには、引き裂き抵抗層を光学積層体の外側主面に接着するとよい。これらの強靭な層は、何らかの適した材料としたり、光学積層体で用いる材料の1つと同じものにしてもよい。引き裂き抵抗層の材料を選択する際に考慮すべき要因は、破断時伸び率、ヤング率、引き裂き強さ、内層への接着、当該の電磁帯域での透過率および吸収率、光学的明瞭度またはヘーズ、周波数の関数としての反射率、テクスチャーおよび粗度、溶融熱安定性、分子量分布、溶融レオロジーおよび共押し出し性、強靭な光学層の材料間の混和性および内部拡散速度、粘弾性応答、延伸状態での緩和および結晶化挙動、使用温度での熱安定性、耐候性、コーティングへの接着能力および種々の気体および溶剤への浸透性が挙げられる。当然、前述した通り、光学積層体の光学特性に有害となる光学特性を有していない材料を選ぶことが重要である。それらは、製造工程中に付けてもよいし、後に光学積層体にコーティングまたは積層させてもよい。これらの層を共押出し工程のような製造工程中に光学積層体に接着すると、光学積層体が製造工程中に保護されるという利点がある。
【0055】
本発明のこの態様を示す図10には、引き裂き抵抗層400を有する多層光学積層体が示されている。フィルム400には光学積層体410が含まれている。光学積層体410には、異なる光学特性を有する2層のポリマーである代替層412および414が含まれている。光学積層体410の主面に付けられているのは、引き裂き抵抗層416および418である。層416および418は図10において層412および414より厚く示されているが、図10は一般に好ましい実施形態を決めるものではないということに留意されたい。一般的に、層416および418の各厚さは、光学積層体の厚さの5パーセントを超えるのが望ましい。用いる材料の量を不必要に増やすことなく引き裂き抵抗を与えるために、層416および418の各厚さは、光学積層体の厚さの5パーセントから60パーセントの範囲であるのが好ましい。従って、もし光学積層体が600枚の層を有している場合は、かかる好ましい実施形態において、引き裂き抵抗層416および418の各厚さは、積層体層30から360枚の厚さとなる。より好ましい実施形態において、引き裂き抵抗層416および418の各厚さは、光学積層体の厚さの30パーセントから50パーセントの範囲となる。
【0056】
特に望ましい実施形態において、引き裂き抵抗外層は、代替層412および414に用いるのと同一の材料の1つであってもよい。特に、PENおよびcoPENの代替層を含む反射性偏光子において、coPENの引き裂き抵抗外層は、製造工程中に共押し出ししてもよい。
【0057】
実施例7
反射性偏光子を形成するための代替PENおよびcoPEN層の多層複合体を、coPENの厚いスキン層と共に共押出しして引き裂き抵抗反射性偏光子を形成した。603枚の層を含む共押出しされたフィルムは連続フラットフィルム押出し機で作成された。固有粘度0.47dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノールプラス40重量パーセントジクロロベンゼン中で)を1つの押出し機により時間当たり86ポンドの速度で供給し、coPENを他の押出し機により時間当たり78ポンドの速度で供給した。coPENは70モルパーセントの2,6ナフタレンジカルボキシレートメチルエステルおよび30パーセントのジメチルテレフタレートとエチレングリコールとのコポリマーであった。供給ブロックは151枚の層を押し出した。供給ブロックは、上部から下部へ厚さ勾配のあるフィルムの積層体を生成するように設計した。最薄層と最厚層の厚さの比は1.22とした。この光学積層体を2つの連続マルチプライヤで積層させた。マルチプライヤの公称積層比はそれぞれ1.2と1.27であった。最後のマルチプライヤとダイの間に、上述したcoPENを含む層を加えた。これらの層を充填し、時間当たり187ポンドの総速度で第3の押出し機により供給した。追加のcoPEN外層を備えたフィルムを約40秒間で320°Fまで予備加熱し、秒当たり約20パーセントの初期速度で約6の延伸比まで横断方向に延伸した。仕上がったフィルムの厚さは、厚さ約50μmの内側多層光学積層体およびそれぞれ厚さ約25μmの2枚の外層(フィルムの各側に1枚)を含めて約100μmであった。
【0058】
スキン層のないケースでは引き裂き抵抗が改善され、強靭な反射性偏光子のロールに傷ができなかった。すなわち、本実施例に従って作成されたフィルムおよび同様の条件でcoPENスキン層のないフィルムで、ASTM D-1938に従った主延伸方向に沿ったトラウザー引き裂き試験を用いて引き裂き抵抗を測定した。平均フィルム厚さはそれぞれ100μmと48μmであった。平均引き裂き力値は、それぞれ標準偏差4.44および0.57重量グラムで、60.2と2.9重量グラムであった。coPENスキン層の分析によれば、633nmで屈折率1.63、1.62および1.61の低配向を示した。構造体をきれいに分離することが難しいことから、中間膜が良好に接着していることが示された。さらに、PENの3.8μmの外層を有する48μmの光学積層体との比較試験を行い、平均引き裂き力が標準偏差1.70で2.8グラムであることが分かった。
【0059】
フィルムの外観および/または性能は、1つまたはそれ以上のスペクトルの選択領域で吸収される染料または顔料を有するスキン層を含有させることで変えることができる。これは紫外および赤外はもちろん、可視スペクトルの一部または全部を含むことができる。当然、可視スペクトル全てが吸収される場合には、その層は不透明である。これらを選択することによって、光透過またはフィルムが反射する見かけ上の色を変えることができる。これらはまた、特にフィルムが特定の周波数を透過し、他のは反射するような場合に、フィルムの特性を補完するのに用いることもできる。UV照射露光時に不安定となる内層を保護するのに用いることができるため、カバー層にUV吸収材料を用いるのが特に望ましい。このように、図9は、電磁吸収材料を含む層を表す層316を備えたフィルムを示している。
【0060】
上述した電磁吸収材料と同様に、蛍光材料を図9の層316に、もしくは図10の416および418のうちの1層または両層に組み込んでもかまわない。蛍光材料は、スペクトルの紫外領域において電磁エネルギーを吸収し、可視で再放射する。望ましい蛍光材料としてはヒンダードアミン光安定剤(HALS)が挙げられ、ここにリファレンスとしてその開示が組み込まれる1994年11月28日に出願された米国特許出願番号第08/345,608号に詳細が記載されている。
【0061】
感圧接着剤は、図9の層316または図10の層416または418のいずれか1層として多層積層体に付けることのできる他の望ましい部類の材料となる。一般に、感圧接着剤は、光学積層体がガラスや金属基材のような他の材料に後に積層されるようなときに付けてもよい。
【0062】
層316または層416または418のうちの1層のようなスキン層に組み込むことのできる他の材料はすべり剤である。すべり剤により、製造工程中のフィルムの取扱いが容易になる。通常、すべり剤は、当たった光の一部を透過するためのフィルムよりミラーフィルムに用いられる。すべり剤により反射に起因するヘーズが増大するのを防ぐために、すべり剤を含む側は、支持基材に積層される側である。
【0063】
用いることのできる他の種類の追加の層は、保護層である。かかる層は、耐摩耗性または耐候性および/または耐化学作用性である。多層フィルムを厳しいまたは腐食性環境にさらすような状況においては、かかるコーティングは特に有用である。耐摩耗性または硬質コーティングとしては、Rohm&Haas製Acryloid A-11およびParalid K-120Nのようなアクリルハードコート;米国特許第4,249,011号に記載されていて、Sartomer Corp.製のようなウレタンアクリレート;およびMiles,Inc.製Desmodur N-3300のような脂肪族ポリイソシアネートを、Union Carbide製Tone Polyol 0305のようなポリエステルと反応させて得られるようなウレタンハードコートが例示される。かかる層はまた、酸素または二酸化炭素のようなガス、もしくは水蒸気がフィルムを透過するのを防ぐ作用も示す。繰り返すが、これは、図9に示した単層または図10に示した両側の層とすることができる。
【0064】
追加することのできる他の層には、ホログラフィーイメージ、ホログラフィーディフューザまたはその他拡散層を含む層が含まれる。かかる層は硬質ポリマーまたは接着剤中にある。
【0065】
図11に、保護層516、518および520と共に代替層512および514を有する代替多層フィルム500を示す。このように、複数の追加の層を多層光学積層体の一主面に近接して提供することができる。図11に示されたタイプの構造体の使用例としては、上述したように保護層516および518を引き裂き抵抗構造とし、層520を耐摩耗性とした例が挙げられる。
【0066】
多層積層体の外面に付けてその特性を変えることのできる様々なコーティングの例を前に挙げてきた。一般に、積層体そのものの層のもつものとは異なる機械、化学または光学特性を有する追加の層は、何枚でも追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1A】好ましい多層光学フィルムを示す。
【図1B】好ましい多層光学フィルムを示す。
【図2】好ましい多層光学フィルムを示す。
【図3】実施例1の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図4】実施例2の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図5】実施例3の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図6】実施例4の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図7】実施例5の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図8】実施例6の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図9】一主面に接着された追加の層を有する本発明の多層フィルムを示す。
【図10】両主面に接着された追加の層を有する本発明の多層フィルムを示す。
【図11】一主面に接着された1枚の追加の層および他主面に接着された2枚の追加の層を有する多層フィルムを示す。
【技術分野】
【0001】
追加のコーティングまたは層を備えた多層ポリマーフィルムが提供される。
【背景技術】
【0002】
多層光学積層体は、様々の光学特性を提供するものとしてよく知られている。このような多層積層体は、反射性偏光子またはミラーとして機能して、全偏光を反射する。これらはまた、可視光は反射するが赤外は透過する「コールドミラー」または可視は透過し、赤外は反射する「ホットミラー」のような波長選択性反射器としても機能する。多層積層体の様々な構成例が、1995年3月10日出願の米国特許出願番号第08/402,041号に挙げられている。
【0003】
業界で知られている多層積層体の問題は、積層体そのものが所望の全ての物理、化学または光学特性を有していないことである。従って、これらの所望の特性を何らかの方法で提供することが有益である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によれば、多層フィルムは、光学積層体の層の材料の特性とは異なる機械、化学または光学特性を有する少なくとも1枚の追加の層を、一主面または両主面に接着させている。
【0005】
本発明の他の実施形態によれば、多層フィルムは、多層光学積層体を保護する追加の層を、一表面または両表面に接着させている。
【0006】
詳細な説明
多層光学フィルム
多層光学フィルムの利点、特徴および製造については、上述の同時継続出願および同一人に譲渡された米国特許出願番号第08/402,041号(1995年3月10日出願、発明の名称「光学フィルム(OPTICAL FILM)」)に最も完全に記載されている。この出願はここにリファレンスとして組み込まれる。多層光学フィルムは、例えば、高効率ミラーおよび/または偏光子として有用である。多層光学フィルムの特性および特徴を比較的簡潔に下記に示し、続けて本発明の多層光学フィルムを用いるバックライトシステムの実施例について説明する。
【0007】
本発明に関連して用いる多層光学フィルムは、入射光の吸収が比較的低く、法線および軸外れの光線の反射率が高い。これらの特性によれば、一般に、フィルムを純粋な反射として用いるか、それとも光の反射偏光として用いることになる。多層光学フィルムの独特の特性および利点によれば、公知のバックライトシステムに比べて低い吸収損を示す高効率のバックライトシステムを設計する機会が与えられる。
【0008】
図1Aおよび1Bに図示された本発明の多層光学フィルムの実例には、少なくとも2種の材料12および14が交互に配置された層を有する多層積層体10が含まれている。材料のうち少なくとも1種は圧力誘起複屈折特性を有しており、その材料の屈折率(n)は、延伸工程に影響される。図1Aは、両方の材料が同一の屈折率を有する延伸工程前の多層積層体の実例を示す。光線13の屈折率の変化は比較的小さく、積層体を通過する。図1Bにおいて、同積層体を延伸することにより、材料12の屈折率を増大させている。層の各境界で屈折率が異なると、光線15の一部が反射される。多層積層体を単軸から二軸方向に延伸することによって、平面偏光入射光の方向の異なる反射率範囲を有するフィルムが作成される。このように、多層積層体は、反射性偏光子またはミラーとして有用なものである。
【0009】
本発明に従って構築された多層光学フィルムは、非常に大きい、またはポリマー層界面には存在しないブルースター角(層界面での入射光に対し反射率がゼロとなる角度)を示す。これに対し、公知のポリマーフィルムは、層界面で比較的小さなブルースター角を示すため、光透過および/または望ましくないイリデッセンスとなる。しかし、本発明による多層光学フィルムは、p偏光の反射率が、入射角とともに徐々に減少するか、入射角には依存しないか、もしくは法線からの入射角の増大とともに増大するミラーおよび偏光子の構築を可能とするものである。その結果、広帯域幅および広い角度範囲にわたってsおよびp両偏光の高い反射率を有する多層積層体が得られる。
【0010】
図2は、多層積層体の2つの層を示しており、各層の3次元屈折率を示している。各層の屈折率は、層102についてはn1x、n1yおよびn1z、層104についてはn2x、n2yおよびn2zである。各フィルム層の層間およびフィルム積層体の他の層に対する屈折率の関係は、任意の方位方向からの任意の入射角での多層積層体の反射挙動を決めるものである。米国特許出願番号第08/402,041号に記載されている原理および設計についての考察を、広範な状況および用途で所望の光学上の効果を有する多層積層体を作成するのに適用することができる。多層積層体中の層の屈折率を操作および調整し、所望の光学特性を得ることができる。
【0011】
図1Bを再度参照すると、多層積層体10には、数十、数百または数千の層を含ませることができ、各層は、多くの異なる材料から作成することができる。特定の積層体用の材料選択を決める特徴は、積層体の所望の光学性能に依存している。積層体は、積層体中の層と同じ程度の多くの材料を含むことができる。製造を簡易にするために、光学薄フィルム積層体は、ほんの僅かの種類の材料を含むのが好ましい。
【0012】
異なる物理特性を備えた化学的には同一の材料の境界は明確に分けても、徐々に分けてもよい。分析で説明のつくいくつかの単純なケースを除くと、後者のタイプの連続して率の変わる層状媒体の分析は、明確な境界を有する多数の薄均一層として扱うものの、近接する層間の特性の変化が少ない。
【0013】
好ましい多層積層体は、フィルム層に低/高率のペアを含み、層の各低/高率ペアは、合わせると、反射するように設計された帯域の中心波長の1/2の光学厚さを有している。このようなフィルムの積層体は、通常、四分の一波長積層体と呼ばれている。可視および近赤外波長に関する多層光学フィルムについては、四分の一波長に設計すると、多層積層体中の各層が、平均厚さ0.5ミクロン以下となる。
【0014】
反射性フィルム(例えば、ミラー)が設計されるこのような用途において、各偏光および入射面の所望の平均光透過率は、反射性フィルムの用途に依存している。多層ミラーフィルムを生成する1つの方法は、多層積層体を二軸延伸することである。高性能反射性フィルムについては、可視スペクトル(380〜750nm)の法線入射での各延伸方向に沿った平均透過率は、10パーセント末満(90パーセントを超える反射率)が望ましく、好ましくは5パーセント未満(95パーセントを超える反射率)、より好ましくは2パーセント未満(98パーセントを超える反射率)、さらに好ましくは1パーセント未満(99パーセントを超える反射率)である。380〜750nmの法線から60度での平均透過率は、20パーセント未満(80パーセントを超える反射率)が望ましく、好ましくは10パーセント未満(90パーセントを超える反射率)、より好ましくは5パーセント未満(95パーセントを超える反射率)、より好ましくは2パーセント未満(98パーセントを超える反射率)、さらに好ましくは1パーセント末満(99パーセントを超える反射率)である。
【0015】
さらに、用途によっては非対称反射性フィルムが望ましいこともある。この場合、例えば、可視スペクトル(380〜750nm)または可視スペクトルおよび近赤外(すなわち、380〜850nm)での帯域幅にわたって、一延伸方向に沿った平均透過率は、例えば50パーセント未満が望ましく、他延伸方向に沿った平均透過率は、例えば20パーセント未満が望ましい。
【0016】
多層光学フィルムはまた、反射性偏光子として作用するように設計することもできる。多層反射性偏光子を作成する1つの方法は、多層積層体を単軸延伸することである。生成する反射性偏光子は、広範な入射角に、一軸(延伸方向に)に平行な偏光面に高い光反射率を有し、広範な入射角について、他軸(非延伸方向に)に平行な偏光面に低い光反射率と高い光透過性を同時に有している。各フィルムの3つの屈性率nx、nyおよびnzを制御することによって、所望の偏光子挙動を得ることができる。
【0017】
多くの用途について、反射性偏光子は、全入射角で、一方の軸(いわゆる消光軸)に沿って高い反射率を、他方に沿ってゼロの反射率を有するのが理想的である。偏光子の透過軸については、当該の帯域幅そして当該の角度範囲にわたって、透過軸の方向に偏光された光の透過を最大化するのが一般に望ましい。
【0018】
可視スペクトル(帯域幅300nmで380〜750nm)での透過軸における偏光子の法線入射での平均透過率は、少なくとも50パーセントであるのが望ましく、好ましくは少なくとも70パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセント、さらに好ましくは少なくとも90パーセントである。380〜750nmからの偏光子についての法線(p偏光についての透過軸に沿って測定)から60度での平均透過率は、少なくとも50パーセントであるのが望ましく、好ましくは少なくとも70パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセント、さらに好ましくは少なくとも90パーセントである。
【0019】
可視スペクトル(帯域幅300nmで380〜750nm)での消光軸方向に偏光された光の法線入射での多層反射性偏光子の平均透過率は、50パーセント未満であるのが望ましく、好ましくは30パーセント未満、より好ましくは15パーセント未満、さらに好ましくは5パーセント未満である。380〜750nmからの消光軸方向に偏光された光の偏光子の法線(p偏光された光の透過軸に沿って測定)から60度での平均透過率は、50パーセント未満であるのが望ましく、好ましくは30パーセント未満、より好ましくは15パーセント未満、さらに好ましくは5パーセント未満である。
【0020】
特定の用途については、法線から外れた角度の透過軸に平行な偏光面に、p偏光された光に対して高い反射率を有しているのが好ましい。透過軸に沿って偏光された光の平均透過率は、法線から少なくとも20度の角度で20パーセントを超えるものでなければならない。
【0021】
さらに、反射性偏光フィルムおよび非対称反射性フィルムについて、ここでは別個に記述したが、このようなフィルムの2枚以上が、全入射光を実質的に反射するようにできると理解するものとする(ただし、そうできるよう互いに適切に配向されていることが条件である)。この構造は、一般に、多層光学フィルムを、本発明のバックライトシステムにおいて反射器として用いるときに望ましい。
【0022】
透過軸に沿ってある反射が生じると、法線から外れた角度の偏光子の性能が落ちる場合がある。透過軸に沿った反射率が様々な波長で異なると、透過された光に色がつく場合がある。色を測定する1つの方法は、当該の波長領域にわたって、選択した1つまたは複数の角度での透過率の二乗平均(RMS)値を求めることである。RMS色率、CRMSは、次の式により求められる。
【0023】
【数1】
式中、範囲11〜12は当該の波長領域または帯域幅、Tは透過軸に沿った透過率、Tは当該の波長領域における透過軸に沿った平均透過率である。低色偏光子が望ましい用途については、RMS色率は、法線から少なくとも30度、好ましくは法線から少なくとも45度、より好ましくは少なくとも60度の角度で、10パーセント未満でなければならず、好ましくは8パーセント未満、より好ましくは3.5パーセント未満、さらに好ましくは2パーセント未満である。
【0024】
好ましくは、反射性偏光子は、特定の用途の透過軸に沿った所望のRMS色率を、当該の帯域幅にわたる消光軸に沿った所望の反射量と合わせる。可視領域(400〜700nmまたは300nmの帯域幅)に帯域幅を有する偏光子については、法線入射での消光軸に沿った平均透過率は、40パーセント未満が望ましく、より望ましくは25パーセント未満、好ましくは15パーセント未満、より好ましくは5パーセント未満、さらに好ましくは3パーセント未満である。
【0025】
材料の選択および処理
上述の米国特許出願番号第08/402,041号に記載された設計についての考察により、当業者であれば、所望の屈折率の関係を得るために選択した条件下で処理すると、広範な材料を用いて本発明の多層反射性フィルムまたは偏光子を形成できることが理解できるであろう。所望の屈折率の関係は、フィルム形成中または形成後の延伸(例えば、有機ポリマーの場合)、押出し(例えば、液晶材料の場合)またはコーティングを含め、様々な方法で得ることができる。さらに、共押出しできるように2種の材料が同一の流動特性(例えば、溶融粘度)を有しているのが好ましい。
【0026】
一般に、適切な組み合わせは、第1の材料として結晶または半結晶、もしくは液晶材料、好ましくはポリマーを選択することによって得られる。次の第2の材料は、結晶、半結晶またはアモルファスである。第2の材料は、第1の材料とは異なり、または第1の材料と同様に複屈折性であってもよい。もしくは第2の材料は複屈折性でなくてもよい。従来のポリマー技術において、ポリマー類は、通常、完全に結晶ではないため、本発明の内容からいくと、結晶または半結晶ポリマー類とはアモルファスではなく、結晶、部分結晶、半結晶等と通常呼ばれる材料を含むものとして一般に認識されているものと理解される。第2の材料は、第1の材料とは異なり、または第1の材料と同様に複屈折性であってもよい。もしくは第2の材料は複屈折性でなくてもよい。
【0027】
適した材料の特定の例としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびこのイソマー類(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−および2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート類(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド類(例えば、ポリアクリルイミド類)、ポリエーテルイミド類、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート類、ポリメタクリレート類(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートおよびポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート類(例えば、ポリブチルアクリレートおよびポリメチルアクリレート)、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、シンジオタクチックポリ−アルファ−メチルスチレン、シンジオタクチックポリジクロロスチレン、これらポリスチレン類のコポリマー類および配合物、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロールプロピロネート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロールニトレート)、ポリアルキレンポリマー類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレンおよびポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ化ポリマー類(例えば、ペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレンコポリマー類、ポリフッ化ビニリデンおよびポリクロロトリフルオロエチレン)、塩化ポリマー類(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル)、ポリスルフォン類、ポリエーテルスルフォン類、ポリアクリロニトリル、ポリアミド類、シリコーン樹脂類、エポキシ樹脂類、ポリビニルアセテート、ポリエーテル−アミド類、イオノマー樹脂類、エラストマー類(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびネオプレン)およびポリウレタン類が挙げられる。
【0028】
同じく適したものとしては、コポリマー類、例えば、PENのコポリマー類(例えば、2,6−、1,4−、1,5−2,7−および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸またはこのエステル類と、(a)テレフタル酸またはこのエステル類、(b)イソフタル酸またはこのエステル類、(c)フタル酸またはこのエステル類、(d)アルカングリコール類、(e)シクロアルカングリコール類(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸類および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー類)、ポリアルキレンテレフタレート類のコポリマー類(例えば、テレフタル酸、このエステル類と、(a)ナフタレンジカルボン酸またはこのエステル類、(b)イソフタル酸またはこのエステル類、(c)フタル酸またはこのエステル類、(d)アルカングリコール類、(e)シクロアルカングリコール類(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー類)およびスチレンコポリマー類(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー類とスチレン−アクリロニトリルコポリマー類)、4,4−ビベンゾイック酸およびエチレングリコールが挙げられる。さらに、各個別の層は、上述のポリマー類またはコポリマー類の2種以上の配合物(例えば、sPSおよびアタクチックポリスチレンの配合物)を含んでいてもよい。説明したcoPENは、少なくとも1種の成分がPET、PENまたはcoPENのようなナフタレンジカルボン酸ベースのポリマーで、他の成分が他のポリエステル類またはポリカーボネート類であるペレットの配合物であってもよい。
【0029】
偏光子の場合に特に好ましい層の組み合わせとしては、PEN/coPEN、ポリエチレンテレフタレート(PET)/coPEN、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/EstarおよびPET/Estarが挙げられる。ここで「coPEN」とはナフタレンジカルボン酸ベースのコポリマーまたは配合物(上述)であり、EstarとはEastman Chemical Co.より市販されているポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートである。
【0030】
反射性フィルムの場合に特に好ましい層の組み合わせとしては、PET/Ecdel、PEN/Ecdel、PEN/sPS、PEN/THV、PEN/co−PETおよびPET/sPSが挙げられる。ここで「co−PET」とはテレフタル酸ベースのコポリマーまたは配合物(上述)であり、EcdelはEastman Chemical Co.より市販されている熱可塑性ポリエステルであり、THVは Minnesota Mining and Manufacturing Company(ミネソタ州、セントポール)より市販されているフルオロポリマーである。
【0031】
フィルムにおける層の数は、フィルムの厚さ、可撓性および経済性から最低数のフィルムを用いて所望の光学特性が得られるように選択する。偏光子と反射性フィルムの両方の場合において、層の数は、10,000未満が好ましく、より好ましくは5,000未満、さらに好ましくは2,000未満である。
【0032】
上述した通り、様々な屈折率の中で所望の関係を得る能力(すなわち、多層フィルムの光学特性)は、多層フィルムを作成するのに用いる処理条件に影響される。延伸により配向可能な有機ポリマー類の場合には、フィルムは、一般に、個々のポリマーを共押出しして多層フィルムを形成し、次に選択した温度でそのフィルムを延伸して配向し、任意でその後に、選択した温度で熱硬化して作成する。この代わりに、共押出しおよび配向工程を同時に行ってもよい。偏光子の場合には、フィルムを実質的に一方向(単軸配向)に延伸し、一方、反射性フィルムの場合には、フィルムを実質的に二方向(二軸配向)に延伸する。
【0033】
フィルムは、十字延伸での自然減少により(延伸比の二乗根に等しい)十字延伸方向に寸法を緩和させてもよい。十字延伸寸法の実質的な変更を制限するために単に固定させてもよい。または、十字延伸寸法で積極的に延伸してもよい。フィルムは、機械方向に長さオリエンターで、またはテンターを用いて幅を延伸してもよい。
【0034】
予備延伸温度、延伸温度、延伸速度、延伸比、熱硬化温度、熱硬化時間、熱硬化緩和および十字延伸緩和は、所望の反射率の関係を有する多層フィルムが得られるように選択する。これらの変数は相互依存している。例えば、比較的低い延伸速度は、比較的低い延伸温度と組み合わせる場合に用いる。当業者であれば、所望の多層フィルムを得るために、これらの変数の適切な組み合わせの選択方法がわかるはずである。しかし、一般に、延伸方向に1:2〜1:10(より好ましくは1:3〜1:7)、延伸方向に直交して1:0.2〜1:10(より好ましくは1:0.2〜1:7)の延伸比が好ましい。
【0035】
適した多層フィルムは、複屈折性ポリイミド類についてはスピンコーティング(例えば、Boeseら、J.Polym.Sci.: Part B,30:1321(1992)に記載されている)および結晶構造有機化合物については真空蒸着(例えば、Zangら、Appl.Phys.Letters,59:823(1991)に記載されている)のような技法を用いて作成してもよい。後者の技法は、結晶構造有機化合物と無機材料の特定の組み合わせに特に有用である。
【0036】
実例の多層反射性ミラーフィルムおよび多層反射性偏光子を以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0037】
実施例1
PEN:THV500、449、ミラー)
鋳造フィルム状材料(web)を1回の操作で押し出して、次に実験室のフィルム延伸装置でフィルムを配向させて449枚の層を含有する共押出しされたフィルムを作成した。固有粘度0.53dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン)を1つの押出し機で時間当たり56ポンドの速度で供給し、THV500(Minnesota Mining and Manufacturing Company製フルオロポリマー)を他の押出し機で時間当たり11ポンドの速度で供給した。PENをスキン層に載せ、PEN50パーセントを2枚のスキン層に存在させた。供給ブロック方法を用いて57枚の層を生成し、449枚の層の押出し物を生成する3つのマルチプライヤを通過させた。鋳造フィルム状材料は厚さ20ミル、幅12インチであった。次にパンタグラフを用いる実験室の延伸装置を用いてフィルム状材料を二軸配向させて、フィルムの角部をつかむと同時に一定の速度で両方向に延伸した。7.46cm片のフィルム状材料を約100℃で伸張器へ入れて60秒間140℃まで加熱した。そして、試料が約3.5x3.5に延伸されるまで、10パーセント/秒(元の寸法に基づいて)で延伸を開始した。延伸直後に、室温を吹き付けることにより試料を冷やした。
【0038】
図3に、この多層フィルムの透過率を示す。曲線(a)は、透過方向で偏光された光の法線入射での応答を示し、曲線(b)は、透過方向でp−偏光された60度での応答を示している。
【0039】
実施例2
(PEN:PMMA、601、ミラー)
601枚の層を含有する共押し出しされたフィルムを共押出し工程による連続フラットフィルム作成ライン上で作成した。固有粘度0.57dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン)を押出し機Aにより時間当たり114ポンドの速度で供給し、時間当たり64ポンドは供給ブロックへ、残りは後述のスキン層へ送った。PMMA(米国ICI製CP−82)を押出し機Bにより時間当たり61ポンドの速度で供給し、すべて供給ブロックへ送った。PENを供給ブロックのスキン層に載せた。供給ブロックの2枚の非対称スキン層を、押出し機Aにより供給されるPENと同じタイプの時間当たり30ポンドを測る押出し機Cを用いて共押出しした後、供給ブロック方法を用い、米国特許第3,801,429号に記載されたように供給ブロックを使って151枚の層を生成した。この押出し物は2つのマルチプライヤを通過して約601枚の押出し物を生成した。米国特許第3,565,985号には、同様の共押出しマルチプライヤが記載されている。押出し物は、押出し機AからPENの時間当たり50ポンドの総速度でスキン層を共押出しした他の装置を通過した。フィルム状材料を長さ配向させて、約3.2の延伸比とし、フィルム状材料温度を約280°Fとした。フィルムを続いて約38秒間で約310°Fまで予備加熱し、約4.5の延伸比および秒当たり約11パーセントの速度で横断方向に延伸した。次に、フィルムを緩和させずに440°Fで熱硬化させた。仕上がったフィルムの厚さは約3ミルであった。
【0040】
図4の曲線(a)に示す通り、法線入射での帯域幅は、約350nmで、平均内域(in-band)消光は99パーセントを超えている。光吸収量は、値が低いため測定するのが難しく、1パーセント未満である。法線から50パーセントの入射角では、s(曲線(b))およびp−偏光(曲線(c))された光は両者とも同様の消光を呈し、帯域は期待通り短い波長にシフトした。s−偏光された光の赤帯域端は、p−偏光された光と同等には青にシフトしなかった。というのは、s−偏光された光にはより大きな帯域幅が見込まれ、PEN層のp−偏光された光に見られた率は低かったためである。
【0041】
実施例3
(PEN:PCTG、449、偏光子)
鋳造フィルム状材料を1回の操作で押し出して、次に実験室のフィルム延伸装置でフィルムを配向させて481枚の層を含有する共押出しされたフィルムを作成した。61層の供給ブロックおよび3つの(2x)マルチプライヤで供給ブロック方法を用いた。厚いスキン層を最後のマルチプライヤとダイの間に加えた。固有粘度0.47dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン)を1つの押出し機により時間当たり25.0ポンドの速度で供給した。グリコール変性ポリエチレンジメチルシクロヘキサンテレフタレート(Eastman製PCTG5445)を他の押出し機から時間当たり25.0ポンドの速度で供給した。上記の押出し機とは異なる流れのPENを、マルチプレイヤの後でスキン層として時間当たり25.0ポンドの速度で加えた。鋳造フィルム状材料は厚さ0.007インチ、幅12インチであった。次にパンタグラフを用いる実験室の延伸装置を用いてフィルム状材料を単軸配向の層とし、フィルムの角部をつかんで、一定の速度で一方向に延伸し、他方向は自由に弛めておいた。入れたフィルム状材料試料を、パンタグラフのつかみ具の間で幅約5.40cm(固定していない方向)、長さ約7.45cmとした。フィルム状材料を約100℃で伸張器へ入れて45秒間135℃まで加熱した。次に、試料が約6:1(つかみ具間の寸法に基づき)に延伸されるまで、20パーセント/秒(元の寸法に基づき)で延伸を開始した。延伸直後に、室温を吹き付けることにより試料を冷やした。中心で、試料が係数2.0まで緩和されているのが分かった。
【0042】
図5に、この多層フィルムの透過率を示す。曲線aは非延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示し、曲線bは非延伸方向の60度の入射で偏光されたp−偏光の透過率を示し、曲線cは延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示している。曲線aの平均透過率は、400〜700nmで89.7パーセント、曲線bの平均透過率は、400〜700nmで96.9パーセント、曲線cの平均透過率は、400〜700nmで4.0パーセントである。曲線aのRMS色率は1.05パーセント、曲線bのRMS色率は1.44パーセントである。
【0043】
実施例4
(PEN:CoPEN、601、偏光子)
601枚の層を含有する共押出しされたフィルムを共押出し工程による連続フラットフィルム作成ライン上で作成した。固有粘度0.54dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン)を1つの押出し機により時間当たり75ポンドの速度で供給し、coPENを他の押出し機により時間当たり65ポンドの速度で供給した。coPENは70モルパーセントの2,6ナフタレンジカルボキシレートメチルエステル、15パーセントのジメチルイソフタレートおよび15パーセントのジメチルテレフタレートとエチレングリコールとのコポリマーであった。供給ブロック方法を用いて151枚の層を生成した。供給ブロックは、上部から下部へ厚さ勾配のあるフィルムの積層体を生成するように設計した。最薄層と最厚層の厚さの比は1.22とした。PENスキン層を光学積層体の外側で共押出しし、総厚さは共押し出しされた層の8パーセントとした。光学積層体を2つの連続マルチプライヤで積層させた(multiplied)。マルチプライヤの公称積層比はそれぞれ1.2と1.27であった。フィルムを続いて約40秒間で310°Fまで予備加熱し、約5.0の延伸比および秒当たり6パーセントの速度で横断方向に延伸した。仕上がったフィルムの厚さは約2ミルであった。
【0044】
図6に、この多層フィルムの透過率を示す。曲線aは非延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示し、曲線bは60度の入射でp−偏光された光の透過率を示し、曲線cは延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示している。非延伸方向のp−偏光された光は法線および60度入射共に非常に高い透過率(80〜100パーセント)であることに留意されたい。また、曲線cに示された延伸方向の可視領域(400〜700nm)で偏光された光の反射率が非常に高いことにも留意されたい。反射率は500〜650nmの間でほぼ100パーセントである。
【0045】
実施例5
(PEN:sPS、481、偏光子)
481枚の層の多層フィルムを、Eastman Chemicalsより市販されている、60重量パーセントフェノール/40重量パーセントジクロロベンゼン中で測定された固有粘度が0.56dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)およびシンジオタクチックポリスチレン(sPS)ホモポリマー(重量平均分子量=200,000ダルトン、DowCorporation製見本品)より作成した。PENを外側の層に置いて、時間当たり26ポンドで、sPSは時間当たり23ポンドで押し出した。用いた供給ブロックは、ほぼ同じ厚さの61枚の層を生成した。供給ブロックの後、3つ(2x)のマルチプライヤを用いた。供給ブロックに供給された同じPENを含有する等しい厚さのスキン層を、時間当たり22ポンドの総速度で最後のマルチプライヤの後に加えた。フィルム状材料を12インチ幅のダイを通じて約0.011インチ(0.276mm)の厚さに押し出した。押出し温度は290℃であった。
【0046】
このフィルム状材料を周囲条件で9日間保管し、テンターで単軸配向した。フィルムを約25秒間で約320°F(160℃)まで予備加熱し、延伸比約6:1で、秒当たり約28パーセントの速度で横断方向に延伸した。延伸方向には緩和させなかった。仕上がったフィルムの厚さは約0.0018インチ(0.046mm)であった。
【0047】
図7に、この481枚の層を含むPEN:sPS反射性偏光子の光学性能を示す。曲線aは非延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示し、曲線bは60度の入射でp−偏光された光の透過率を示し、曲線cは延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示している。p−偏光された光は法線および60度入射共に非常に高い透過率であることに留意されたい。400〜700nmの曲線aの平均透過率は86.2パーセント、400〜700nmの曲線bの平均透過率は79.7パーセントである。また、曲線cに示された可視領域(400〜700nm)での延伸方向で偏光された光の反射率が非常に高いことにも留意されたい。フィルムは、400〜700nmの間で曲線cについて1.6パーセントの平均透過率を有している。曲線aのRMS色率は3.2パーセント、曲線bのRMS色率は18.2パーセントである。
【0048】
実施例6
(PEN:CoPEN、603、偏光子)
603枚の層を含有する反射性偏光子を共押出し工程による連続フラットフィルム作成ライン上で作成した。固有粘度0.47dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノールプラス40重量パーセントジクロロベンゼン中で)を1つの押出し機に時間当たり83ポンド(38kg)の速度で供給し、CoPENを他の押出し機で時間当たり75ポンド(34kg)の速度で供給した。CoPENは70モルパーセントの2,6ナフタレンジカルボキシレートメチルエステル、15モルパーセントのジメチルテレフタレートおよび15モルパーセントのジメチルイソフタレートとエチレングリコールとのコポリマーであった。供給ブロック方法を用いて151枚の層を生成した。供給ブロックは、上部から下部へ厚さ勾配のあるフィルムの積層体を生成するように設計した。最薄層と最厚層の厚さの比は1.22とした。この光学積層体を2つの連続マルチプライヤで積層させた。マルチプライヤの公称積層比はそれぞれ1.2と1.4であった。最後のマルチプライヤとダイの間に、上述した同一のCoPENを含むスキン層を加え、時間当たり106ポンド(48kg)の総速度で第3の押出し機により供給した。フィルムを続いて約30秒間で300°F(150℃)まで予備加熱し、秒当たり約20パーセントの初期速度で約6の延伸比まで横断方向に延伸した。仕上がったフィルムの厚さは約0.0035インチ(0.089mm)であった。
【0049】
図8に、実施例6の偏光子の光学性能を示す。曲線aは非延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示し、曲線bは非延伸方向の角度50度の入射でp−偏光された光の透過率を示し、曲線cは延伸方向の法線入射で偏光された光の透過率を示している。非延伸方向の偏光された光は非常に高い透過率であることに留意されたい。曲線aの平均透過率は、400〜700nmで87パーセントである。また、曲線bに示された延伸方向の可視領域(400〜700nm)で偏光された光の反射率が非常に高いことにも留意されたい。曲線bについてフィルムの平均透過率は400〜700nmの間で2.5パーセントである。さらに、この偏光子のRMS色率は非常に低い。曲線bのRMS色率は5パーセントである。
【0050】
多層光学積層体は、上述した通り、重要な所望の光学特性を提供することができるものの、機械、光学または化学のような他の特性を、光学積層体の性能を落とさずに、光学積層体そのものに提供することは難しい。このような特性は、光学積層体そのものの主要な光学機能に寄与させずに、これらの特性を提供する1枚またはそれ以上の層を光学積層体に含ませることにより提供される。これらの層は一般に光学積層体の主面に提供されるため、「スキン層」と呼ばれることが多い。
【0051】
スキン層は多層積層体の製造中にその片主面または両主面上に共押出しされて、多層積層体を供給ブロックおよびダイ壁に沿って高剪断から保護するものであり、所望の化学または物理特性を備えた外層を、例えば、UV安定化剤のような添加剤をスキン層を形成するポリマーメルトに混合し、製造中に多層光学積層体の片側または両側に異なる特性を備えたスキン層を共押出しすることにより得られる。この他、追加の層を多層フィルムの製造中にスキン層の外側に共押出ししてもよく、これは、個別のコーティング操作中に多層フィルム上にコーティングしたり、個別のフィルム、ホイルまたはポリエステル(PET)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート、金属またはガラスのような剛性または半剛性の強化基材として多層フィルムに積層させてもよい。多層ポリマーフィルムを他の表面に積層させるのに有用な接着剤としては、光学的に透明な拡散接着剤や、感圧および非感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤は室温では通常粘着性であり、指で軽く押す程度の塗布で表面に接着させることができるが、非感圧接着剤には、溶剤、熱または放射線活性の接着システムが含まれている。
【0052】
本発明に有用な接着剤としては、ポリアクリレート;ポリビニルエーテル;天然ゴム、ポリイソプレンおよびポリイソブチレンのようなジエン−含有ゴム;ポリクロロピレン;ブチルゴム;ブタジエン−アクリロニトリルポリマー;熱可塑性エラストマー;スチレン−イソプレンおよびスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー類、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー類およびスチレン−ブタジエンポリマーのようなブロックコポリマー類;ポリ−アルファ−オレフィン;アモルファスポリオレフィン;シリコーン;エチレンビニルアセテート、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレートのようなエチレン−含有コポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;エポキシ;ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマー類;ポリエステル類;および上記の混合物の一般的な組成物がベースのものが例示される。さらに、接着剤には、粘着性付与剤、可塑剤、充填材、酸化防止剤、安定化剤、顔料、拡散粒子、硬化剤、殺生物剤および溶剤のような添加剤を含ませることができる。本発明に有用な接着剤としては、Shell Chemical Co.(オハイオ州、Akron)製熱溶融接着剤VITEL3300またはMinnesota Mining and Manufacturing Company(ミネソタ州、St.Paul)製90/10 IOA/AAアクリル接着剤のようなアクリル感圧接着剤が好ましい。積層接着剤を用いて多層フィルムを他の表面に接着するときは、接着剤組成および厚さを多層積層体の光学特性を損なわないように選択するのが好ましい。例えば、追加の層を、高度の透過率が要求される多層ポリマー偏光子またはミラーに積層するときは、積層接着剤は、偏光子またはミラーが透明に設計されている波長領域で光学的に透明でなければならない。
【0053】
図10および11は、それぞれ1枚および2枚の追加の層を有する多層積層体を示している。図10および11を用いて、付けることのできる種々の追加の層について以下に説明する。
【0054】
異なる機械特性を有するスキンを層が望ましい1つの領域としては、特に、反射性偏光子のような単軸配向多層光学積層体が挙げられる。このような積層体は、主延伸方向において低い引き裂き抵抗を示しがちである。これにより、製造工程中の歩留まりが減少したり、もしくは後の取扱中にフィルムが破損したりする可能性がある。これを防ぐには、引き裂き抵抗層を光学積層体の外側主面に接着するとよい。これらの強靭な層は、何らかの適した材料としたり、光学積層体で用いる材料の1つと同じものにしてもよい。引き裂き抵抗層の材料を選択する際に考慮すべき要因は、破断時伸び率、ヤング率、引き裂き強さ、内層への接着、当該の電磁帯域での透過率および吸収率、光学的明瞭度またはヘーズ、周波数の関数としての反射率、テクスチャーおよび粗度、溶融熱安定性、分子量分布、溶融レオロジーおよび共押し出し性、強靭な光学層の材料間の混和性および内部拡散速度、粘弾性応答、延伸状態での緩和および結晶化挙動、使用温度での熱安定性、耐候性、コーティングへの接着能力および種々の気体および溶剤への浸透性が挙げられる。当然、前述した通り、光学積層体の光学特性に有害となる光学特性を有していない材料を選ぶことが重要である。それらは、製造工程中に付けてもよいし、後に光学積層体にコーティングまたは積層させてもよい。これらの層を共押出し工程のような製造工程中に光学積層体に接着すると、光学積層体が製造工程中に保護されるという利点がある。
【0055】
本発明のこの態様を示す図10には、引き裂き抵抗層400を有する多層光学積層体が示されている。フィルム400には光学積層体410が含まれている。光学積層体410には、異なる光学特性を有する2層のポリマーである代替層412および414が含まれている。光学積層体410の主面に付けられているのは、引き裂き抵抗層416および418である。層416および418は図10において層412および414より厚く示されているが、図10は一般に好ましい実施形態を決めるものではないということに留意されたい。一般的に、層416および418の各厚さは、光学積層体の厚さの5パーセントを超えるのが望ましい。用いる材料の量を不必要に増やすことなく引き裂き抵抗を与えるために、層416および418の各厚さは、光学積層体の厚さの5パーセントから60パーセントの範囲であるのが好ましい。従って、もし光学積層体が600枚の層を有している場合は、かかる好ましい実施形態において、引き裂き抵抗層416および418の各厚さは、積層体層30から360枚の厚さとなる。より好ましい実施形態において、引き裂き抵抗層416および418の各厚さは、光学積層体の厚さの30パーセントから50パーセントの範囲となる。
【0056】
特に望ましい実施形態において、引き裂き抵抗外層は、代替層412および414に用いるのと同一の材料の1つであってもよい。特に、PENおよびcoPENの代替層を含む反射性偏光子において、coPENの引き裂き抵抗外層は、製造工程中に共押し出ししてもよい。
【0057】
実施例7
反射性偏光子を形成するための代替PENおよびcoPEN層の多層複合体を、coPENの厚いスキン層と共に共押出しして引き裂き抵抗反射性偏光子を形成した。603枚の層を含む共押出しされたフィルムは連続フラットフィルム押出し機で作成された。固有粘度0.47dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量パーセントフェノールプラス40重量パーセントジクロロベンゼン中で)を1つの押出し機により時間当たり86ポンドの速度で供給し、coPENを他の押出し機により時間当たり78ポンドの速度で供給した。coPENは70モルパーセントの2,6ナフタレンジカルボキシレートメチルエステルおよび30パーセントのジメチルテレフタレートとエチレングリコールとのコポリマーであった。供給ブロックは151枚の層を押し出した。供給ブロックは、上部から下部へ厚さ勾配のあるフィルムの積層体を生成するように設計した。最薄層と最厚層の厚さの比は1.22とした。この光学積層体を2つの連続マルチプライヤで積層させた。マルチプライヤの公称積層比はそれぞれ1.2と1.27であった。最後のマルチプライヤとダイの間に、上述したcoPENを含む層を加えた。これらの層を充填し、時間当たり187ポンドの総速度で第3の押出し機により供給した。追加のcoPEN外層を備えたフィルムを約40秒間で320°Fまで予備加熱し、秒当たり約20パーセントの初期速度で約6の延伸比まで横断方向に延伸した。仕上がったフィルムの厚さは、厚さ約50μmの内側多層光学積層体およびそれぞれ厚さ約25μmの2枚の外層(フィルムの各側に1枚)を含めて約100μmであった。
【0058】
スキン層のないケースでは引き裂き抵抗が改善され、強靭な反射性偏光子のロールに傷ができなかった。すなわち、本実施例に従って作成されたフィルムおよび同様の条件でcoPENスキン層のないフィルムで、ASTM D-1938に従った主延伸方向に沿ったトラウザー引き裂き試験を用いて引き裂き抵抗を測定した。平均フィルム厚さはそれぞれ100μmと48μmであった。平均引き裂き力値は、それぞれ標準偏差4.44および0.57重量グラムで、60.2と2.9重量グラムであった。coPENスキン層の分析によれば、633nmで屈折率1.63、1.62および1.61の低配向を示した。構造体をきれいに分離することが難しいことから、中間膜が良好に接着していることが示された。さらに、PENの3.8μmの外層を有する48μmの光学積層体との比較試験を行い、平均引き裂き力が標準偏差1.70で2.8グラムであることが分かった。
【0059】
フィルムの外観および/または性能は、1つまたはそれ以上のスペクトルの選択領域で吸収される染料または顔料を有するスキン層を含有させることで変えることができる。これは紫外および赤外はもちろん、可視スペクトルの一部または全部を含むことができる。当然、可視スペクトル全てが吸収される場合には、その層は不透明である。これらを選択することによって、光透過またはフィルムが反射する見かけ上の色を変えることができる。これらはまた、特にフィルムが特定の周波数を透過し、他のは反射するような場合に、フィルムの特性を補完するのに用いることもできる。UV照射露光時に不安定となる内層を保護するのに用いることができるため、カバー層にUV吸収材料を用いるのが特に望ましい。このように、図9は、電磁吸収材料を含む層を表す層316を備えたフィルムを示している。
【0060】
上述した電磁吸収材料と同様に、蛍光材料を図9の層316に、もしくは図10の416および418のうちの1層または両層に組み込んでもかまわない。蛍光材料は、スペクトルの紫外領域において電磁エネルギーを吸収し、可視で再放射する。望ましい蛍光材料としてはヒンダードアミン光安定剤(HALS)が挙げられ、ここにリファレンスとしてその開示が組み込まれる1994年11月28日に出願された米国特許出願番号第08/345,608号に詳細が記載されている。
【0061】
感圧接着剤は、図9の層316または図10の層416または418のいずれか1層として多層積層体に付けることのできる他の望ましい部類の材料となる。一般に、感圧接着剤は、光学積層体がガラスや金属基材のような他の材料に後に積層されるようなときに付けてもよい。
【0062】
層316または層416または418のうちの1層のようなスキン層に組み込むことのできる他の材料はすべり剤である。すべり剤により、製造工程中のフィルムの取扱いが容易になる。通常、すべり剤は、当たった光の一部を透過するためのフィルムよりミラーフィルムに用いられる。すべり剤により反射に起因するヘーズが増大するのを防ぐために、すべり剤を含む側は、支持基材に積層される側である。
【0063】
用いることのできる他の種類の追加の層は、保護層である。かかる層は、耐摩耗性または耐候性および/または耐化学作用性である。多層フィルムを厳しいまたは腐食性環境にさらすような状況においては、かかるコーティングは特に有用である。耐摩耗性または硬質コーティングとしては、Rohm&Haas製Acryloid A-11およびParalid K-120Nのようなアクリルハードコート;米国特許第4,249,011号に記載されていて、Sartomer Corp.製のようなウレタンアクリレート;およびMiles,Inc.製Desmodur N-3300のような脂肪族ポリイソシアネートを、Union Carbide製Tone Polyol 0305のようなポリエステルと反応させて得られるようなウレタンハードコートが例示される。かかる層はまた、酸素または二酸化炭素のようなガス、もしくは水蒸気がフィルムを透過するのを防ぐ作用も示す。繰り返すが、これは、図9に示した単層または図10に示した両側の層とすることができる。
【0064】
追加することのできる他の層には、ホログラフィーイメージ、ホログラフィーディフューザまたはその他拡散層を含む層が含まれる。かかる層は硬質ポリマーまたは接着剤中にある。
【0065】
図11に、保護層516、518および520と共に代替層512および514を有する代替多層フィルム500を示す。このように、複数の追加の層を多層光学積層体の一主面に近接して提供することができる。図11に示されたタイプの構造体の使用例としては、上述したように保護層516および518を引き裂き抵抗構造とし、層520を耐摩耗性とした例が挙げられる。
【0066】
多層積層体の外面に付けてその特性を変えることのできる様々なコーティングの例を前に挙げてきた。一般に、積層体そのものの層のもつものとは異なる機械、化学または光学特性を有する追加の層は、何枚でも追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1A】好ましい多層光学フィルムを示す。
【図1B】好ましい多層光学フィルムを示す。
【図2】好ましい多層光学フィルムを示す。
【図3】実施例1の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図4】実施例2の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図5】実施例3の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図6】実施例4の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図7】実施例5の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図8】実施例6の多層光学フィルムの透過スペクトルを示す。
【図9】一主面に接着された追加の層を有する本発明の多層フィルムを示す。
【図10】両主面に接着された追加の層を有する本発明の多層フィルムを示す。
【図11】一主面に接着された1枚の追加の層および他主面に接着された2枚の追加の層を有する多層フィルムを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均厚さ0.5ミクロン以下の第1の半結晶質ポリマーの複数の層と、平均厚さ0.5ミクロン以下の第2のポリマーの複数の層とを交互に含む光学積層体を含有する多層フィルムであって、
前記第1の半結晶質ポリマーと前記第2のポリマーは組成が異なり、前記光学積層体は、延伸される前の寸法の少なくとも2倍になるまで少なくとも1つの方向において延伸されており、前記光学積層体は、第1および第2の主面を有し、前記フィルムは前記第1の主面に接着された1層以上の第1の追加の層をさらに含み、前記1層以上の追加の層にはホログラフィーイメージまたはホログラフィーディフューザが含まれる、多層フィルム。
【請求項2】
前記第2の主面に接着された第2の追加の層をさらに含む、請求項1記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記第2の主面には、引き裂き抵抗層またはスキン層が接着されている、請求項2記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記光学積層体における前記層の各々は、当該層の面内に屈折率nxおよびnyを有し、当該層の面に垂直な方面に屈折率nzを有し、前記屈折率の全てが、所望の光学特性を与えるように選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項1】
平均厚さ0.5ミクロン以下の第1の半結晶質ポリマーの複数の層と、平均厚さ0.5ミクロン以下の第2のポリマーの複数の層とを交互に含む光学積層体を含有する多層フィルムであって、
前記第1の半結晶質ポリマーと前記第2のポリマーは組成が異なり、前記光学積層体は、延伸される前の寸法の少なくとも2倍になるまで少なくとも1つの方向において延伸されており、前記光学積層体は、第1および第2の主面を有し、前記フィルムは前記第1の主面に接着された1層以上の第1の追加の層をさらに含み、前記1層以上の追加の層にはホログラフィーイメージまたはホログラフィーディフューザが含まれる、多層フィルム。
【請求項2】
前記第2の主面に接着された第2の追加の層をさらに含む、請求項1記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記第2の主面には、引き裂き抵抗層またはスキン層が接着されている、請求項2記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記光学積層体における前記層の各々は、当該層の面内に屈折率nxおよびnyを有し、当該層の面に垂直な方面に屈折率nzを有し、前記屈折率の全てが、所望の光学特性を与えるように選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−162289(P2008−162289A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16934(P2008−16934)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【分割の表示】特願平9−504484の分割
【原出願日】平成8年6月20日(1996.6.20)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【分割の表示】特願平9−504484の分割
【原出願日】平成8年6月20日(1996.6.20)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]